説明

一塩基多型(SNP)を含むポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドから成るイネ品種判別用SNPマーカー、及び、該SNP分析によるイネの品種判別方法

【課題】一度に多数の試料を用いて、イネの品種判別(識別)を簡便にかつ低コストで実施できるようなSNP分析手段、並びに、該分析手段に使用する一塩基多型(SNP)を含むポリヌクレオチド(断片)及び該ポリヌクレオチドから成るイネ品種判別用変異型プローブを提供すること。
【解決手段】イネの品種判別用SNPマーカーとして有用な特定の配列で示されるポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドから成るイネ品種判別用SNPマーカー及び該マーカーセット、並びに、該マーカーセット等を用いて該SNPを分析することによるイネの品種判別方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はイネの品種を判別(識別)するためのマーカーとして新たに同定された一塩基多型(SNP)を含むポリヌクレオチド(断片)、該ポリヌクレオチドから成るイネ品種判別用変異型プローブ等のイネ品種判別用SNPマーカー及び該マーカーセット、並びに、該マーカーセット等を用いて該SNPを分析することによるイネの品種判別方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
2005年に日本で50ha以上栽培されたイネ品種は約210、5ha以上栽培されたイネ品種は約300あり、互いにかなり類似するため、米の外観で品種を判定することは不可能である。一方で、一部の良食味品種が高価格で取引されるため、品種名の偽装や異品種の混米による不正が後を絶たない。そのため、混合米の中に含まれる米粒1つずつの品種を同定する技術が求められている。
【0003】
多数ある品種を判別する方法としては、DNA多型分析が最も有効である。作物の品種は他の品種と明確に識別できる遺伝的特性を持っていなければならないことから、遺伝子の塩基配列を分析すれば、理論上は全ての品種が判別可能である。塩基配列そのものを分析しなくても、塩基配列の差をDNA多型分析法で検出すれば、品種を判別できる。
【0004】
DNA多型分析に最も古くから利用されてきた方法は、サザンブロット法である。これは、ゲノムDNAを制限酵素で切断してアガロースゲルで電気泳動し、ナイロン膜にDNAを写し取って、それにアイソトープなどでラベルした特定の塩基配列のDNA断片(プローブ)をハイブリダイゼーションすることによって、ゲノムDNA中の特定塩基配列の制限酵素断片長多型(RFLP: restriction fragment length polymorphism)を分析する方法である。この方法は、信頼性が高い分析法であるが、分析に労力がかかり熟練も要する。
【0005】
PCR(polymerase chain reaction) は、ゲノムDNAを鋳型にして、その内の特定の塩基配列の領域を増幅することが出来る技術である。この方法を利用した最も簡単なDNA多型分析法は、10塩基程度の短いプライマーを用いてPCRを行い、増幅したDNAを電気泳動法で分析するRAPD法(random amplified polymorphic DNA)と呼ばれるものである。プライマーは無作為に選ぶだけで、極めて簡単であるが、分析結果の再現性が低い。
【0006】
現在イネの品種判別に最も多く利用されている方法は、特定の塩基配列を持つ20塩基程度のプライマー対でPCRを行い、電気泳動分析する方法がRAPD法に代わって用いられている。用いるプライマー対はゲノムDNA中の特定塩基配列を増幅できるように設計する。このプライマー対で増幅されるゲノム領域が一方の品種にあり他方の品種にない場合、プライマー対でDNAが増幅できるかどうかで品種判別が行える(特許文献1, 2, 3)。このようなDNAマーカーは優性SCAR(sequence characterized amplified region)マーカーと呼ばれる。鋳型に使うDNAの純度がPCRによるDNA増幅の成否に影響し、特に米粒から抽出したDNAには不純物が多いため、DNA増幅に失敗することがある。優性SCARマーカーは、DNAが増幅するかどうかを指標としているため、DNAの純度が低いときに本来増幅すべきDNAが増幅せず、誤ってその塩基配列を保有しない品種と判定する危険性がある。
【0007】
品種間に短い挿入や欠失の変異があれば、その領域を特異的に増幅する20塩基程度のプライマー対を用いてPCRを行い、電気泳動分析すればDNA断片の長さの差で品種判別ができる(特許文献4, 5, 6, 7)。このようなDNAマーカーは共優性SCARマーカーと呼ばれる。しかし、日本稲の品種のように互いに近縁な品種間では、共優性SCARマーカーで多型が検出できるゲノム領域は少ないため、この方法で判別できる品種は限定される。
【0008】
ゲノムDNA中の特定塩基配列を増幅したDNA断片で多型が検出できないときは、そのDNA断片を制限酵素で切断し電気泳動分析することで、多型が検出できる場合がある。このような分析をPCR-RFLP(CAPSとも呼ばれる)という。この方法は、上記方法より分析結果の信頼性が高いが、検出できるDNA多型は制限酵素認識配列での多型に限定される。
【0009】
2〜4塩基程度の配列が繰り返しになっている反復配列はマイクロサテライトまたは単純反復配列(simple sequence repeat, SSR)と呼ばれ、DNA複製の時に反復数のミスが起こりやすい。そのため、反復数に品種間差があることが多く、各マイクロサテライトを含むゲノム領域をPCRで特異的に増幅し、そのDNA断片長を電気泳動分析することで品種判別が可能である。2塩基や3塩基の差を検出するため、分析精度が高いポリアクリルアミドゲル電気泳動法を一般に用いて分析する。マイクロサテライト領域の多型分析はSSLP(simple sequence length polymorphism)とも呼ばれる。SSLPはイネの品種判別にも有効である(特許文献8, 9)が、突然変異品種とその原品種の判別には使えない。これまで述べた方法は、いずれも電気泳動法を使うので、多数(数百以上)の試料の分析には適さない。特に、マイクロサテライト分析はポリアクリルアミドゲル電気泳動法を用いるので煩雑である。
【0010】
塩基配列の中である特定の1塩基に変異があることを一塩基多型(SNP; single nucleotide polymorphism)といい、SNP分析が簡易に行えれば、突然変異遺伝子を簡易に同定でき、理論上全ての品種が判別可能となる。塩基配列を決定すればSNPを同定できるが、塩基配列決定には労力と経費がかかる。
【0011】
SSCP(single strand conformation polymorphism)法は、100 bpから500 bpの二本鎖DNAを変性させて一本鎖DNAとし、尿素を含まないポリアクリルアミドゲルで電気泳動するもので、SNPがそのDNA断片中にあれば、70%程度の率で多型が検出できる(非特許文献1)。
【0012】
セロリやアブラナから抽出したミスマッチ切断酵素を用いることによって、ヘテロ二本鎖のミスマッチ部位を切断し、電気泳動分析する方法も簡単である。この方法でSNPを検出できる率はSSCPよりやや低い(非特許文献2)。
【0013】
SNPが同定されておれば、SNPがある位置で制限酵素認識部位が出来るようにプライマーを設計し、ポリアクリルアミドゲルでPCR-RFLP分析するdCAPS法という方法もある(非特許文献3)。上記いずれのSNP分析法も、電気泳動法を使うので、労力がかかり多検体の分析には適さない。
【0014】
労力がかからない方法としては、プライマー伸長法(primer extension)がある。これは、DNA塩基配列分析法の原理を応用したもので、4色の蛍光色素をAGCTのそれぞれ付けたヂデオキシヌクレオチドをSNPの位置に取り込ませ、その色からSNPを分析するものである(非特許文献4)。極めて簡易で多検体分析も可能であるが、コストがかかる。
【0015】
PCRに利用するプライマーの3’末端の塩基にSNPの部位を合わせれば、SNPの遺伝子型特異的にDNAを増幅することが出来る。このような、対立遺伝子特異的増幅法によってもSNP分析が出来る。この対立遺伝子特異的増幅法(Allele specific amplification: ASA)と呼ばれる方法を利用した「イネゲノムの1塩基多型判別法の開発とイネ品種識別への応用」に関する発明が出願されている(特許文献10)。該方法は、PCRにより検出対象である数百bpのDNA断片の増幅を行ない、増幅されたDNA断片を電気泳動にかけ、その結果得られるバンドに基づき特定のDNA増幅の有無を識別するものである。尚、この発明の特徴は、PCR法を用いてSNPを含む数百bpのDNAを増幅する際に使用するプライマーの塩基にある。しかし、PCRによる増幅の有無は鋳型DNAの純度等の影響を受けやすく結果が不安定である。
【0016】
以上の通り、これまで開発されてきたSNP分析法は、1試料の分析に労力がかかるあるいはコストがかかるため、少なくとも多数試料の分析には適さないものであった。これに対して、本発明者等は、SNP分析法の低コスト化を鋭意検討し、ドットブロット法でSNPを分析できる方法 (dot-blot-SNP) を開発した。この方法はPCRで増幅したDNAをナイロンメンブランにブロッティングし、ラベルした合成DNAをハイブリダイゼーションしてSNPを分析するものである。この方法によれば、一枚のメンブランに、例えば、864個の試料DNAをブロッティングでき、同時に何枚も処理できるので、一度に多数の試料のSNP分析が可能であり、コストもかからない。この方法を用いる農産物の産地判別法に関して本発明者等により特許が出願されている(特許文献11、非特許文献5)。
【0017】
また、合成DNAを支持体に固定して、PCRでラベルした植物DNAのハイブリダイゼーションを行い、ハイブリダイゼーション効率の差からイネ品種の判別を行う方法も開発されている(特許文献12)。この方法は、植物DNAを固定する上記方法とは逆であり、一度の分析で品種を同定できる点で優れているが、多数試料の分析には適さない。
【特許文献1】特開2005-73655号公報
【特許文献2】特開2006-345843号公報
【特許文献3】特開2005-245244号公報
【特許文献4】特許第3685478号
【特許文献5】特開2001-95589号公報
【特許文献6】特開2002-306173号公報
【特許文献7】特開2003-135082号公報
【特許文献8】特開2004-65251号公報
【特許文献9】特開2007-37468号公報
【特許文献10】特開2004-248635号公報
【特許文献11】特開2007-117060号公報
【特許文献12】特開2006-158253号公報
【非特許文献1】Sato Y and Nishio T (2003) Theor. Appl. Genet. 107: 560-567
【非特許文献2】Shirasawa K et al. (2007) Theor. Appl. Genet. On line published
【非特許文献3】Neff MM et al. (1998) Plant J. 14: 387-392
【非特許文献4】Nasu S et al. (2002) DNA Res. 9: 163-171
【非特許文献5】Shirasawa K et al. (2006) Theor. Appl. Genet. 113: 147-155
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の課題は、一度に多数の試料を用いて、イネの品種判別(識別)を簡便にかつ低コストで実施できるようなSNP分析手段を提供することであり、特に、その為に、イネの品種を判別(識別)するために使用できる一塩基多型(SNP)を含むポリヌクレオチド(断片)、該ポリヌクレオチドから成るイネ品種判別用変異型プローブ等のSNPマーカー及びマーカーセット、並びに、該マーカーセット等を用いるイネの品種判別方法等に関する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者は、上記の課題を解決することを主な目的として鋭意研究の結果、日本稲品種間のSNPを新たに72種類同定した。これらSNPは全て、上記dot-blot-SNP法等に代表されるSNP分析を利用してイネ品種を判別するためのSNPマーカーとして極めて有用であることを確認し、本発明を完成した。
【0020】
本発明は、以下の各態様に係るものである。
[態様1]以下に示す58種類のポリヌクレオチドから成る群から選択されるいずれか一つのポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド:
(1)配列番号1で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(2)配列番号2で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(3)配列番号3で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(4)配列番号4で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はc)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(5)配列番号5で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(6)配列番号6で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(7)配列番号7で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(8)配列番号8で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はc)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(9)配列番号9で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はc)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(10)配列番号10で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(11)配列番号11で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はc)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(12)配列番号12で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(13)配列番号13で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(14)配列番号14で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(15)配列番号15で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(16)配列番号16で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(17)配列番号17で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(18)配列番号18で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(19)配列番号19で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(20)配列番号20で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はc)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(21)配列番号21で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(22)配列番号22で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(23)配列番号23で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はc)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(24)配列番号24で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(25)配列番号25で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(26)配列番号26で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はc)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(27)配列番号27で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はc)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(28)配列番号28で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(29)配列番号29で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(30)配列番号30で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(31)配列番号31で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(32)配列番号32で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はc)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(33)配列番号33で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(34)配列番号34で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はc)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(35)配列番号35で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(36)配列番号36で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(37)配列番号37で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(38)配列番号38で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はc)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(39)配列番号39で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(40)配列番号40で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(41)配列番号41で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(42)配列番号42で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(43)配列番号43で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(44)配列番号44で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目/又は10番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(45)配列番号45で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa、10番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(46)配列番号46で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(47)配列番号47で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(48)配列番号48で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(49)配列番号49で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(50)配列番号50で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(51)配列番号51で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(52)配列番号52で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はc)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(53)配列番号53で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(54)配列番号54で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(55)配列番号55で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(56)配列番号56で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(57)配列番号57で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;及び
(58)配列番号58で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド。
[態様2]9番目の塩基(配列番号45で表されDNA配列の場合には、9番目及び/又は10番目の塩基)を含むDNA配列からなるポリヌクレオチド10〜20の連続したDNA配列からなる、態様1記載のポリヌクレオチド。
[態様3]配列番号1〜58のいずれか一つで表されるDNA配列からなる、態様1又は2記載のポリヌクレオチド。
[態様4]態様1〜3のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドからなるイネ品種判別用SNPマーカー。
[態様5]以下に示す14種類のポリヌクレオチドから成る群から選択されるいずれか一つのポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドからなるイネ品種判別用SNPマーカー:
(59)配列番号59で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(60)配列番号60で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(61)配列番号61で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(62)配列番号62で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(63)配列番号63で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(64)配列番号64で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(65)配列番号65で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(66)配列番号66で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(67)配列番号67で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(68)配列番号68で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(69)配列番号69で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はc)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(70)配列番号70で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(71)配列番号71で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;及び
(72)配列番号72で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド。
[態様6]9番目の塩基を含む10〜20の連続したDNA配列からなる、態様5記載のイネ品種判別用SNPマーカー。
[態様7]配列番号59〜72のいずれか一つで表されるDNA配列からなる、態様5又は6記載のイネ品種判別用SNPマーカー。
[態様8]態様4及び5〜7のいずれか一項に記載の72種類のイネ品種判別用マーカーから成る群から選択された複数の任意のイネ品種判別用マーカーの組み合わせから成るイネ品種判別用SNPマーカーセット。
[態様9]配列番号1〜72のいずれか一つで表されるDNA配列の9番目の塩基(配列番号45で表されDNA配列の場合には、9番目及び/又は10番目の塩基)における一塩基多型(SNP)から成る群から選択された一つ又は複数の任意のSNPの組み合わせから成るSNP群を分析することから成る、イネの品種を判別する方法。
[態様10]配列番号1〜72で表されるDNA配列の9番目の塩基(配列番号45で表されDNA配列の場合には、9番目及び/又は10番目の塩基)における一塩基多型(SNP)から成る群から選択された一つ又は複数の任意のSNPの組み合わせから成るSNP群の各SNPにおける野生型又は変異型の存在を検出し、そのパターンからイネの品種を判別する方法。
[態様11]態様8記載のイネ品種判別用マーカーセットを変異型プローブセットとして用いるドットブロット法である、態様9又は10記載のイネの品種判別方法。
[態様12]各変異型プローブに対応する野生型プローブを用いた競合ハイブリダイズを利用するドットブロット法である、態様11記載のイネの品種判別方法。
[態様13]PCRによりSNPを含むDNA領域を増幅する、態様12記載の方法。
[態様14]競合ハイブリダイズにおいて使用するプローブ溶液において、標識DNAプローブに対して無標識DNAプローブが1〜10倍量(モル比)含まれていることを特徴とする、態様12に記載の方法。
[態様15]標識DNAプローブに対して無標識DNAプローブが約5倍量(モル比)含まれていることを特徴とする、請求14に記載の方法。
[態様16]標識としてジゴキシゲニン(DIG)を使用し、これを標識抗DIG抗体を反応させることを特徴とする、態様11ないし15のいずれか一項に記載の方法。
[態様17]標識抗DIG抗体がアルカリホスファターゼで標識された、抗DIG−AP抗体である、態様16記載の方法。
[態様18]標識としてビオチンを使用し、これをアビジンと反応させることを特徴とする、態様11ないし15のいずれか一項に記載の方法。
[態様19]態様4及び態様5〜7のいずれか一項に記載の72種類のイネ品種判別用マーカーから成る群から選択された少なくとも一つのイネ品種判別用マーカー又はそれに対応する野生型のDNA配列を含むDNA断片を増幅するためのPCRプライマー対。
[態様20]表1〜7に記載されているフォワードプライマー及びリバースプライマーから成る、態様19記載のPCRプライマー対。
[態様21]態様7記載のイネ品種判別用マーカーセットを含むイネ品種判別用キット。
[態様22]イネ品種判別用SNPマーカーセットを変異型プローブとして使用する態様21記載のイネ品種判別用キット。
[態様23]更に、各変異型プローブに対応する野生型プローブを含む、態様22記載のイネ品種判別用キット。
[態様24]態様19又は20記載のPCRプライマー対を含む、態様21〜23のいずれか一項に記載のイネ品種判別用キット。
【発明の効果】
【0021】
本発明によって、イネの品種判別(識別)の為のSNP分析に使用できる多数のSNPマーカーが提供され、これらSNPマーカーを利用する本発明方法、特に、ドットブロット法によって、一度に多数の試料を用い簡便にかつ低コストでイネの品種判別が実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明のポリヌクレオチドは、配列番号1〜72のいずれか一つで表されるDNA配列の9番目(配列番号45で表されDNA配列の場合には、9番目及び/又は10番目の塩基)にSNPを有するポリヌクレオチドを含むものである。このSNPは、日本晴型イネの遺伝子(野生型)の塩基配列に対する変異型である塩基配列として見出されたものである。尚、日本晴型イネのゲノム配列はデータベース(http://rgp.dna.affrc.go.jp/J/index.html)公表されている。本明細書の実施例の記載から明らかなように、本発明の全てのポリヌクレオチドは、SNP分析によるイネ品種判別方法においてイネ品種判別用SNPマーカーとしての共通の性質を有しており、変異型である塩基配列を検出することができるという共通する性質に不可欠である重要な構成要素、即ち、SNPを有している。
【0023】
SNPを有する9番目の塩基(配列番号45で表されDNA配列の場合には、9番目及び/又は10番目の塩基)を含む限り、全体の塩基長に特に制限はなく、使用するSNP分析の原理等に応じて、当業者が適宜、選択することができる。例えば、SSCP法によるSNP分析では、SNPを含む100〜500の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド、ドットブロット法によるSNP分析では、SNPを含む、数十の連続したDNA配列、例えば、10〜20個の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド、より具体的には、配列番号1〜72のいずれか一つで表されるDNA配列(表1〜7において、各SNPマーカーの「変異型のプローブ配列」として示されている塩基配列)そのものから成るポリヌクレオチド(10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド)がイネ品種判別用SNPマーカーとして有用である。
【0024】
更に、判別の対象となるイネの種類・数等に応じて、本発明の72種類の各SNPを有するイネ品種判別用SNPマーカーの中から、適当な種類の本発明のイネ品種判別用SNPマーカーを任意に選択して組み合わせ、イネ品種判別用SNPマーカーセットを構成することができる。通常、本明細書に記載の72種類のイネ品種判別用SNPマーカーの全てを使用する必要はなく、その中から、例えば、5〜30種類を選択してイネ品種判別用SNPマーカーセットを構成することができる。
【0025】
イネ品種判別用マーカーには、検出のために、当業者に公知の任意の標識物質を結合させることが出来る。例えば、放射性同位元素である32P等で標識されたヌクレオチドによる放射能標識、又は、非放射能標識として、卵黄由来のビタミンB群の一種であるビオチン及びジギタリス由来のストロイドハプテンであるジゴキシゲニン(DIG)等を代表的例として挙げることが出来る。非放射能標識は放射能の危険もなく安全管理の点で好ましい。これらの標識は、夫々の性質に応じて、当業者に公知の適当な方法でプローブに結合させ、均質標識又は末端標識とすることが出来る。例えば、ビオチンの場合にはビオチン標識したビオチン−dUTP(TTP)を用いるか、又は光活性基を導入したフォトビオチンを使用して直接DNAに結合させることができる。又、ジゴキシゲニンの場合には、環境汚染の心配もなく好適である。これらの非放射能標識は、その後に、アルカリホスファターゼ(AP)又はペルオキシダーゼ(POD)と結合したアビジンや抗DIG−AP抗体等の二次物質(二次抗体)と反応させ、結合した酵素による化学発光又は発色反応によって測定することが出来る。或いは、ARES法等によってDNAに蛍光色素を直接結合させることも可能である。
【0026】
このようなイネ品種判別用SNPマーカーを用いてSNP分析することによって、一度に多数の試料について、イネの品種判別(識別)を簡便にかつ低コストで実施することができる。尚、本発明のあるイネ品種判別用マーカーについて、野生型を示す品種と変異型を示す品種を判別するような場合には、一種類のSNPマーカーを単独で用いてSNP分析を行うことによってどちらの品種であるのかを極めて簡単に判別することが可能である。
【0027】
即ち、配列番号1〜72のいずれか一つで表されるDNA配列の9番目の塩基(配列番号45で表されDNA配列の場合には、9番目及び/又は10番目の塩基)における一塩基多型(SNP)から成る群から選択された一つ又は複数の任意の組み合わせから成るSNP群を分析することによって、イネの品種判別が可能となる。より具体的には、配列番号1〜72で表されるDNA配列の9番目の塩基(配列番号45で表されDNA配列の場合には、9番目及び/又は10番目の塩基)における一塩基多型(SNP)から成る群から選択された一つ又は複数の任意の組み合わせから成るSNP群の各SNPにおける野生型又は変異型の存在を検出し、そのパターンからイネの品種を判別することができる。尚、本明細書中に、主なウルチ17品種(表1〜7)及びもち40品種(表8)について、各SNPマーカーにおける野生型(日本晴型)配列(A)及び変異型配列(B)の存在の有無が開示されているので、試料を用いて得られた結果をこのパターンと照合することによって、それがどの品種か容易に判別することができる。尚、照合作業自体は当業者に公知の適当なソフトウェアを使用してコンピューターに行わせることも可能である。
【0028】
SNP分析は、既に記載したような当業者に公知の任意の方法で行うことが出来る。低コストで多数試料を簡便に分析する方法としては、本発明者等が開発したdot-blot-SNPが好ましい。本明細書の実施例に記載されているように、このドットブロット方法では、本発明のSNPマーカーを含む適当な長さ(百数十〜数百bp)のDNA断片をイネ試料から抽出したDNAから調製し、これを適当なメンブランにドットブロット(固定)し、このDNA断片と本発明の変異型プローブ(SNPマーカー)との間のハイブリダイゼーションを利用してSNP分析を行う。更に、各変異型プローブに対応する野生型プローブ(日本晴型イネ由来)を用いた競合ハイブリダイズを利用するとより優れた感度が得られる。
【0029】
本明細書の実施例に具体的に記載されているように、この競合ハイブリダイズにおいては、或るDNA変異を検出する為に使用するプローブ溶液には、当該DNA変異と特異的にハイブリダイズする塩基配列を有するプローブ(変異型プローブ)であって適当な標識物質で標識されたプローブ(検出用プローブ)と、該DNA変異に対して野生型である塩基配列に対して特異的にハイブリダイズする塩基配列を有するプローブ(野生型プローブ)であって標識されていないプローブ(競合用プローブ)を、検出用プローブに対して競合用プローブが適当に過剰となるような割合、例えば、標識DNAプローブに対して無標識DNAプローブが1〜10倍量、好ましくは約5倍量(モル比)含まれている。その結果、高特異性及び高感度の検出結果を得ることが出来るのである。
【0030】
イネ試料から抽出したDNAの量が検出に十分であれば、特に増幅することなく、以後の操作に供することが出来る。通常は、PCR(Polymerase Chain Reaction)法又はRT−PCR法、並びに、その他のICAN(Isothermal and chimeric primer-initiated amplification of nucleic acids)法、NASABA(Nucleic acid sequence based amplification)法、TMA(Transcription-mediated amplification)法およびSDA(Strand Displacement Amplification)法等の当業者に公知の任意の遺伝子増幅法により適当な量に増幅した後に、ドットプロットによる検出にかけることが好ましい。
【0031】
このような遺伝子増幅法に用いる各種プライマーは、夫々の検出対象となる本発明のSNPマーカーを含む適当な長さ(百数十〜数百bp)のDNA断片(遺伝子又はその一部を含む)が増幅されるように、適当に調製することができる。これらプライマーの長さは、通常、数十bp程度、例えば、10〜30bpの長さを有する。各SNPマーカーに対するこのようなプライマーの一例として、各SNPマーカーに対するPCRプライマー対(フォワードプライマー:Forward primer及びリバースプライマー:Reverse primer)の具体的な塩基配列が表1〜7に記載されている。従って、本発明は、本発明の72種類のイネ品種判別用マーカーから成る群から選択された任意のイネ品種判別用マーカー、又はそれに対応する野生型のDNA配列を含むDNA断片を増幅するためのPCRプライマー(対)にも係るものである。
【0032】
尚、本発明のイネ品種判別用SNPマーカー及び上記のプライマーは、日本晴型イネのゲノム配列はデータベース(http://rgp.dna.affrc.go.jp/J/index.html)及び本明細書に開示された配列番号1〜72で表されるDNA配列情報に基づき当業者が容易に設計し調製することが出来る。
【0033】
尚、ハイブリダイゼーションは、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー(Current protocols in molecular biology(edited by Frederick M. Ausubel et al., 1987))等に記載の当業界で公知の方法あるいはそれに準じる方法に従って行なうことができる。また、市販の装置・器具を使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。
【0034】
尚、DNAを抽出するイネの試料としては、例えば、イネの任意の一部(例えば、種子、葉及び茎等)、それらの抽出又は精製物、又は、それらの加工品を挙げることが出来る。加工品の具体例としては、籾、玄米、精米及び米粉、並びに、それらを更に加工した餅及び米菓等を挙げることが出来る。尚、これら試料からのDNAの抽出及び調製は、当業者に公知の方法で行うことができる。
【0035】
尚、試料から調製されるDNAの種類に特に制限はないが、ゲノムDNA及びcDNA等を挙げることが出来る。これらはその性質、並びに、試料の種類・性質等に応じた当業者に公知の適当な方法で抽出・精製することが出来る。例えば、ゲノムDNAの場合には、CTAB法、ボイル法、及び必要に応じて、アミラーゼ又はプロテアーゼなど処理を伴う酵素法を使用することもできる。
【0036】
又、本発明において、PCR等の各種遺伝子増幅におけるプライマー、又は、ドットブロットにおけるSNPマーカー(変異型プローブ又は野生型プローブ)として使用する各種のオリゴヌクレオチド(オリゴDNA)は、当業者に公知の方法、例えば、Carruthers(1982)Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 47:411-418; Adams(1983)J. Am. Chem. Soc. 105:661; Belousov(1997)Nucleic Acid Res. 25:3440-3444; Frenkel(1995)Free Radic. Biol. Med. 19:373-380;Blommers(1994)Biochemistry 33:7886-7896; Narang(1979)Meth. Enzymol. 68:90;Brown(1979)Meth. Enzymol. 68:109; Beaucage(1981)Tetra. Lett. 22:1859; 米国特許第4,458,066号)に記載されているような周知の化学合成技術により、in vitroにおいて合成することもできる。
【0037】
本発明は、更に本発明方法に使用するイネ品種判別用キットに係る。該キットは本発明のイネ品種判別用SNPマーカーセットを含む。更に、SNP分析の種類等に応じて、DNA増幅用の各種プライマーセット及び/又はマーカー、その他、当業者に公知の他の要素又は成分、例えば、各種試薬、酵素、緩衝液、並びに反応プレート(容器)等の中からその構成・目的等に応じて、適宜、必要なものを含むことが出来る。例えば、ドットブロット法に使用するキットには、イネ品種判別用変異型プローブ、及び、各変異型プローブに対応する野生型プローブが含まれる。
【0038】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例の記載によって何ら限定して解釈されるものではない。なお、本明細書において使用される用語は特に言及しない場合には、当該技術分野において通常使用される意味で用いられている。
【0039】
又、特に記載のない場合には、各操作は、例えば、Sambrook and Maniatis, in Molecular Cloning-A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, 1989; Molecular cloning third.ed.(Cold Spring Harbor Lab.Press,2001); Ausubel, F. M. et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, N.Y, 1995等に記載されている、当業者に公知の標準的な遺伝子工学及び分子生物学的技術に従い実施することが出来る。又、本明細書中に引用された文献の記載内容は本明細書の開示内容の一部を構成するものである。
【実施例】
【0040】
以下、本発明のSNPマーカーの一つである「E2439」(表6、配列番号58)を変異型プローブとして用いた競合ハイブリダイズを利用するドットブロット法による、多数のイネ品種のSNP分析の具体例を示す。他のSNPマーカーを使用した場合も同様にSNP分析を行うことができる。
【0041】
イネ48品種の種子を粉砕後、DNA抽出緩衝液(200 mM Tris-HCl緩衝液 pH 7.5, 250 mM NaCl, 25 mM EDTA, 0.5% SDS)を加え、良く混和し、遠心分離後に上清を回収し、等量のイソプロパノールを加え、DNAを析出させた。再び遠心分離を行い、沈殿を1xTE(10 mM Tris-HCl pH 8.0, 1 mM EDTA)緩衝液に溶かし、DNA溶液とした。10 μlのPCR反応液(10 ng DNA, 10 pmol E2439用プライマー対(表4), 1x ExTaq buffer, 2 μmol dNTP, 0.5 U Taq polymerase(ExTaq, TaKaRa Biomedicals社))を、94℃で1分間保温した後、94℃で30秒、58℃で30秒、72℃で30秒の反応を40回行い、最後に72℃で1分間保温することで、SNPを含むゲノムDNA領域を増幅させた。増幅したDNA溶液に等量のアルカリ変性液(0.8 N NaOH, 20 mM EDTA)を加え、マルチピンブロッター(ATTO社)を用いて、2枚のナイロンメンブラン(NytranN, Schleicher & Schuell社)に同じ配置でドットブロットし、UVクロスリンカーでDNAをメンブランに結合させた。ハイブリダイゼーション溶液(5×SSC, 0.1% sarcosyl, 0.02% SDS, 1% Blocking Reagent(Roche社))によるプレハイブリダイゼーションを50℃で1時間以上行い、ハイブリダイゼーションを一晩50℃で行った。
【0042】
プローブには、5’末端をビオチン標識した、日本晴型のSNPが中央(9塩基目)にある17塩基の5 μlの100 μM合成オリゴヌクレオチド(検出用プローブ、表6)を10 mlのハイブリダイゼーション溶液に加えたものを用い、変異型のSNPを持つ無標識の25 μlの100 μM合成オリゴヌクレオチドを競合用プローブとして加えた。これが、日本晴型対立遺伝子検出用プローブ液となる。逆に、変異型対立遺伝子検出用のプローブ溶液は、変異型SNPを持つ5’末端ビオチン標識の5 μlの100 μM合成オリゴヌクレオチド(検出用プローブ)と、日本晴型SNPを持つ無標識の25 μlの100 μM合成オリゴヌクレオチド(競合用プローブ)を10 mlのハイブリダイゼーション溶液に加えて作った。プローブは、使用前に10分間、熱湯中で変性させ急冷した。メンブランを2×SSC/0.1% SDSで5分間、室温で2回洗浄し、次に0.1×SSC/0.1%SDSで20分間、50℃で2回洗浄した。メンブランをTBS(50 mM Tris-HCl緩衝液, 0.9% NaCl, 0.02% NaN3, pH 8.0)で5分間、室温で洗浄し、ブロッキング溶液(TBS中に1% Blocking Reagentを加える)によるブロッキングを30分間以上、室温で行った。メンブランを、ストレプトアビジン-アルカリ性フォスファターゼ複合体溶液(Promega社製をブロッキング液で10000倍の濃度に希釈した液)に浸し、TBSで10分間、室温で3回洗浄した。メンブランをAP 9.5(100 mM Tris-HCl緩衝液, 100 mM NaCl, 5 mM MgCl2, pH 9.5)に室温で3分間浸した後、CSPD溶液(CSPD(Roche社)をAP 9.5で500倍に希釈)に5分間、37℃で浸した。X線フィルムに露光し、シグナルを検出した。得られた結果を図1に示す。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
【表3】

【0046】
【表4】

【0047】
【表5】

【0048】
【表6】

【0049】
【表7】

【0050】
【表8】

【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明を用いることによって、SNP分析に基づき、簡便にかつ低コストで多数のイネの品種判別(識別)を行うことが可能となり、品種名の偽装や異品種の混米による不正を有効に防ぐ手段として有効である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明のSNPマーカーの一つである「E2439」(配列番号58)を変異型プローブとして用いた競合ハイブリダイズを利用するドットブロット法による、イネ品種のSNP分析の結果を示す。尚、図の下の表に示したイネの品種名は上の各ドットブロットの位置に対応する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下に示す58種類のポリヌクレオチドから成る群から選択されるいずれか一つのポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド:
(1)配列番号1で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(2)配列番号2で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(3)配列番号3で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(4)配列番号4で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はc)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(5)配列番号5で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(6)配列番号6で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(7)配列番号7で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(8)配列番号8で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はc)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(9)配列番号9で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はc)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(10)配列番号10で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(11)配列番号11で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はc)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(12)配列番号12で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(13)配列番号13で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(14)配列番号14で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(15)配列番号15で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(16)配列番号16で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(17)配列番号17で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(18)配列番号18で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(19)配列番号19で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(20)配列番号20で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はc)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(21)配列番号21で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(22)配列番号22で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(23)配列番号23で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はc)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(24)配列番号24で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(25)配列番号25で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(26)配列番号26で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はc)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(27)配列番号27で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はc)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(28)配列番号28で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(29)配列番号29で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(30)配列番号30で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(31)配列番号31で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(32)配列番号32で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はc)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(33)配列番号33で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(34)配列番号34で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はc)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(35)配列番号35で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(36)配列番号36で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(37)配列番号37で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(38)配列番号38で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はc)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(39)配列番号39で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(40)配列番号40で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(41)配列番号41で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(42)配列番号42で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(43)配列番号43で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(44)配列番号44で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(45)配列番号45で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa、10番目はg)において、9番目及び/又は10番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(46)配列番号46で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(47)配列番号47で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(48)配列番号48で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(49)配列番号49で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(50)配列番号50で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(51)配列番号51で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(52)配列番号52で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はc)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(53)配列番号53で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(54)配列番号54で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(55)配列番号55で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(56)配列番号56で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(57)配列番号57で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;及び
(58)配列番号58で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド。
【請求項2】
9番目の塩基(配列番号45で表されDNA配列の場合には、9番目及び/又は10番目の塩基)を含むDNA配列からなるポリヌクレオチド10〜20の連続したDNA配列からなる、請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
配列番号1〜58のいずれか一つで表されるDNA配列からなる、請求項1又は2記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドからなるイネ品種判別用SNPマーカー。
【請求項5】
以下に示す14種類のポリヌクレオチドから成る群から選択されるいずれか一つのポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドからなるイネ品種判別用SNPマーカー:
(59)配列番号59で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(60)配列番号60で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(61)配列番号61で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(62)配列番号62で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(63)配列番号63で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(64)配列番号64で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(65)配列番号65で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(66)配列番号66で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(67)配列番号67で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はg)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(68)配列番号68で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はt)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(69)配列番号69で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はc)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(70)配列番号70で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;
(71)配列番号71で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド;及び
(72)配列番号72で表されるDNA配列からなるポリヌクレオチド(9番目はa)において、9番目の塩基を含む10〜17の連続したDNA配列からなるポリヌクレオチド。
【請求項6】
9番目の塩基を含む10〜20の連続したDNA配列からなる、請求項5記載のイネ品種判別用SNPマーカー。
【請求項7】
配列番号59〜72のいずれか一つで表されるDNA配列からなる、請求項5又は6記載のイネ品種判別用SNPマーカー。
【請求項8】
請求項4及び請求項5〜7のいずれか一項に記載の72種類のイネ品種判別用マーカーから成る群から選択された複数の任意のイネ品種判別用マーカーの組み合わせから成るイネ品種判別用SNPマーカーセット。
【請求項9】
配列番号1〜72のいずれか一つで表されるDNA配列の9番目の塩基(配列番号45で表されDNA配列の場合には、9番目及び/又は10番目の塩基)における一塩基多型(SNP)から成る群から選択された一つ又は複数の任意のSNPの組み合わせから成るSNP群を分析することから成る、イネの品種を判別する方法。
【請求項10】
配列番号1〜72で表されるDNA配列の9番目の塩基(配列番号45で表されDNA配列の場合には、9番目及び/又は10番目の塩基)における一塩基多型(SNP)から成る群から選択された一つ又は複数の任意のSNPの組み合わせから成るSNP群の各SNPにおける野生型又は変異型の存在を検出し、そのパターンからイネの品種を判別する方法。
【請求項11】
請求項8記載のイネ品種判別用マーカーセットを変異型プローブセットとして用いるドットブロット法である、請求項9又は10記載のイネの品種判別方法。
【請求項12】
各変異型プローブに対応する野生型プローブを用いた競合ハイブリダイズを利用するドットブロット法である、請求項11記載のイネの品種判別方法。
【請求項13】
PCRによりSNPを含むDNA領域を増幅する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
競合ハイブリダイズにおいて使用するプローブ溶液において、標識DNAプローブに対して無標識DNAプローブが1〜10倍量(モル比)含まれていることを特徴とする、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
標識DNAプローブに対して無標識DNAプローブが約5倍量(モル比)含まれていることを特徴とする、請求14に記載の方法。
【請求項16】
標識としてジゴキシゲニン(DIG)を使用し、これを標識抗DIG抗体を反応させることを特徴とする、請求項11ないし15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
標識抗DIG抗体がアルカリホスファターゼで標識された、抗DIG−AP抗体である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
標識としてビオチンを使用し、これをアビジンと反応させることを特徴とする、請求項11ないし15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
請求項4及び請求項5〜7のいずれか一項に記載の72種類のイネ品種判別用マーカーから成る群から選択された少なくとも一つのイネ品種判別用マーカー又はそれに対応する野生型のDNA配列を含むDNA断片を増幅するためのPCRプライマー対。
【請求項20】
表1〜7に記載されているフォワードプライマー及びリバースプライマーから成る、請求項19記載のPCRプライマー対。
【請求項21】
請求項8記載のイネ品種判別用マーカーセットを含むイネ品種判別用キット。
【請求項22】
イネ品種判別用SNPマーカーセットを変異型プローブとして使用する請求項21記載のイネ品種判別用キット。
【請求項23】
更に、各変異型プローブに対応する野生型プローブを含む、請求項22記載のイネ品種判別用キット。
【請求項24】
請求項19又は20記載のPCRプライマー対を含む、請求項21〜23のいずれか一項に記載のイネ品種判別用キット。

【図1】
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【公開番号】特開2009−100653(P2009−100653A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−273032(P2007−273032)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成18年度先端技術を用いた農林水産研究高度化事業委託事業、産業技術強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(899000035)株式会社 東北テクノアーチ (68)
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【Fターム(参考)】