説明

一方向に配向したポリマーテープの積層体を製造する方法

ポリマーテープの少なくとも2の単層から形成される積層体の製造方法であって、該ポリマーテープは少なくとも200MPaの引張強さを有している積層体の製造方法において、ポリマーテープのプリテンショニングと、その後にポリマーテープを張設下に一方向で平行に位置決めすることとにより、ポリマーテープの第一の単層を形成する工程と、第一の単層を形成した方法と同じ方法で第一の単層の上に少なくとも1の第二の単層を形成する工程と、これらの工程により前記ポリマーテープの方向が、全ての単層において同じであり、かつそれぞれの単層のポリマーテープが、該単層の上または下で隣接している単層のテープとは、ずれて配置されるように、ポリマーテープの少なくとも2の単層を積み重ねる工程と、こうして積み重ねられたポリマーテープの単層を硬化させて積層体を得る工程とを有する、ポリマーテープの少なくとも2の単層から形成される積層体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーテープの少なくとも2つの単層から形成されている積層体を製造する方法、ポリマーテープの少なくとも2つの単層から形成されている積層体、および本発明による積層体から製造されるパネルに関する。
【0002】
多層のポリマーテープを有する積層体は従来技術において公知である。US5,578,370は、互いに交差した延伸部材のマットを開示している。該延伸部材は、両側が、中央部、つまり中心層よりも低い軟化温度範囲を有するポリマー材料によって被覆されたポリマーフィルムから製造されていてもよい。このようにして得られた複合フィルムは、細長く切断されて、テープの形に延伸された部材を形成する。次いで該テープを織るか、編むことにより、または繊維ウェブの形にすることによってマットが形成される。該マットは、少なくともテープの交差箇所においてテープを融着するためにマットを加熱することによって硬化される。融着前に2以上のマットの積層体を形成して、少なくとも2の織りマットまたは編みマットを有する製品が得られてもよい。
【0003】
EP1627719は、これらから製造された多層ポリエチレン材料およびバリスティック物品を開示している。該多層材料は、一方向に配向されたポリエチレンストリップの複数の単層を有している。該単層は互いに一定の角度で交差している。第二の単層を第一の単層の上に形成する前に、第一の単層は、圧力および熱を適用することによって硬化される。第二の単層のストリップを第一の単層に対して一定の角度で配置した後に、再び圧力および熱を適用することによって二層のマットが形成される。多層材料は、上記のとおりに得られた少なくとも2つの二層材料を硬化させることにより得られてもよい。
【0004】
EP1403038は、前記の物品の少なくとも1つの表面に、テープ、フィルムまたはヤーンを結合することによって、物品を強化する方法を開示している。該テープ、フィルムまたはヤーンは、任意の延伸された熱可塑性材料から形成することができる。ABまたはABAタイプの延伸された熱可塑性ポリマーが有利である。ABまたはABAタイプのテープ、フィルムまたはヤーンは、テープ、フィルムまたはヤーンが互いに一定の角度で配置されている形で使用される。
【0005】
従って従来技術によるテープは、織布、不織布または編まれたファブリックの形になっている。代替案として、一方向の単層の形で形成され、その際、単層は、互いに一定の角度で交差しているテープが形成される。後者の方法では、それぞれ個々の単層の硬化が必要である。
【0006】
従って本発明の課題は、従来技術の欠点を少なくとも低減し、かつ多層の物品を簡単に製造することができる方法を提供することである。
【0007】
この課題は、ポリマーテープの少なくとも2の単層から形成される積層体の製造方法であって、該ポリマーテープは少なくとも200MPaの引張強さを有している、積層体の製造方法において、
ポリマーテープのプリテンショニングと、その後にポリマーテープを張設下に一方向で平行に位置決めすることとにより、ポリマーテープの第一の単層を形成する工程と、
第一の単層を形成した方法と同じ方法で第一の単層の上に少なくとも1の第二の単層を形成する工程と、これらの工程により
前記ポリマーテープの方向が、全ての単層において同じであり、かつそれぞれの単層のポリマーテープが、該単層の上または下で隣接している単層のテープとは、ずれて配置されるように、ポリマーテープの少なくとも2の単層を積み重ねる工程と、
こうして積み重ねられたポリマーテープの単層を硬化させて積層体を得る工程
とを有する、ポリマーテープの少なくとも2の単層から形成される積層体の製造方法によって解決される。
【0008】
多層の物品はこれまではテープのポリマー材料中のひずみに基づいて、テープのそれぞれの層を硬化することにより、またはテープを所望の位置に固定する製織法によって形成することができたにすぎなかった。意外なことに、本発明による方法によって、テープのそれぞれの層を硬化する必要なしにポリマーテープの少なくとも2の単層を形成することができ、それにもかかわらず従来技術による方法で製造された多層の物品とほぼ同等の特性を有する積層体が得られる積層体の製造が可能となった。
【0009】
本発明による積層体は、ポリマーテープの2以上の単層、たとえば3、4または25まで、あるいは50まで、もしくは100までの単層を有していてもよく、これらは全て、ポリマーテープの方向が、全ての単層中で同じであり、かつそれぞれの単層のポリマーテープは、該単層の上または下で隣接する単層のテープとは、ずれて配置されるように積み重ねられる点に留意すべきである。
【0010】
単層あたりのテープの数は、テープの幅に依存する。これはたとえば10まで、100まで、1000まで、あるいはまた10000まで、またはそれ以上であってもよい。
【0011】
積み重ねられた単層の硬化は、積層された単層に、たとえばホットカレンダリングによって圧力および熱を適用することによって従来技術において当業者に公知の方法で実施される。
【0012】
それぞれの層のテープは、平行に、つまり並列する関係で配置されており、テープの方向は全ての単層において同じである。該単層は、互いに一定の角度で交差していない。
【0013】
単層は、それぞれの層のテープが、該層の上または下で隣接する単層のテープとは、ずれて配置されるように積み重ねられる。このようにして、単層の隣接するテープの結合部は、該層の上または下で隣接する単層のテープによって完全に覆われる。
【0014】
単層のそれぞれのポリマーテープが、これに隣接して配置されているテープに接触することが有利である。テープの幅に関して回避することができない許容範囲に基づいて、単層の若干の領域では、テープは間隔をあけて配置されていてもよい。しかし間空は常に、ポリマーテープの幅よりも小さくあるべきであり、このことによって間空は単層の上または下の単層のテープによって完全に覆われる。
【0015】
本発明による方法の特別な実施態様では、位置決めはポリマーテープを互いに平行に配置することによって実施してもよく、1の単層のそれぞれのポリマーテープは、これに隣接して位置決めされているポリマーテープとの重複部分を有する。平滑な表面を有する積層体を得るためには、このような位置決めは比較的薄く、かつ可とう性のテープと共にのみ使用すべきである。
【0016】
ポリマーテープの引張強さはASTM D638により測定される。
【0017】
本発明による方法のために使用されるテープが、少なくとも400MPaの引張強さを有していることが有利であり、さらに有利にはポリマーテープは少なくとも800MPaの引張強さを有する。ポリマー材料および延伸率に依存して、ポリマーテープは20GPaまで、またはそれ以上の引張強さを有していてもよい。
【0018】
本発明による方法のために使用されるポリマーテープが、少なくとも4GPa、有利には少なくとも8GPa、およびさらに有利には少なくとも16GPa、および最も有利には少なくとも40GPaの引張弾性率を有することが有利である。本発明による方法のために使用されるポリマーテープは、180GPaまでの引張弾性率を有していてもよい。
【0019】
ポリマーテープの引張弾性率は、ASTM D790により測定される。
【0020】
本発明による方法のもう1つの有利な実施態様では、ポリマーテープは、低い融点を有するポリマー材料と、高い融点を有するポリマー材料とから製造されている。ポリマーテープは少なくとも80%のポリマー材料を含有する。硬化は、低い融点を有するポリマー材料の融点よりも高く、かつ高い融点を有する材料の融点よりも低い温度で実施する。低い融点を有するポリマー材料は、硬化の間に軟化するか、もしくは溶融し、こうしてポリマーテープを結合する。
【0021】
低い融点は、55〜250℃の範囲であってよく、高い融点は90℃〜350℃の範囲であってよい。
【0022】
低い融点を有するポリマー材料が高い融点を有するポリマー材料を取り囲むことによって、隣接するテープの間に最適な結合が得られることが特に有利である。このような構造は、シース・コア構造として知られている。シースは、たとえばテープとしてモノフィラメントを使用する場合には、コア材料に沿ってシースを溶融紡糸することによってコア材料に適用されてもよい。
【0023】
シース材料は、後の工程で、有利にはプリテンショニングもしくは位置決めの前に、たとえばドクターブレードを用いて、噴霧、粉末被覆により、またはテープをポリマーの溶液、分散液またはエマルション等中に案内することによりコア材料に適用することもできる。シースは単層のプリテンショニングまたは位置決めの後に、たとえば単層中で位置決めされた個々のテープを、シース材料を含有する浴中に通過させることによって適用することもできる。
【0024】
シース材料対コア材料の比は、0.5/99.5〜50/50質量%の範囲である。
【0025】
コア材料およびシース材料が、同じポリマーから製造されている場合には特に有利であり、該シース材料は特にコポリマーであり、かつコア材料は特に延伸されたホモポリマーである。
【0026】
前記のコア材料および前記のシース材料は特に、ポリエチレン、超高分子ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリブタジエンテレフタレートおよびポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリビニルアルコール、ポリフェニリデンスルフィド、これらのポリマーのコポリマーおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0027】
さらにシース材料は、エチレンアルキルアクリレートコポリマー(EAA)、エチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)、エチレン−ブチルアクリレートコポリマー(EBA)、エチレンメチルアクリレートコポリマー(EMA)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LPDE)からなる群から選択されていてもよい。シース材料として、ポリイソブチレン(PIB)またはポリウレタン(PU)を使用することも可能である。これらのポリマーは、極めて可とう性であり得、かつ高い伸び率を示してもよい。シース材料は前記の材料の1つ、または前記のシース材料の混合物を含んでいてよい。
【0028】
シース材料をポリマーテープのコア材料上に適用する前に、コア表面上に接着促進剤としてプライマーを適用してもよい。このようなコアの表面処理は、コア材料とシース材料との間の結合を強化する。適切なプライマーはたとえば塩素化されたポリプロピレンである。プライマーの付加的な効果は、その後の加工工程におけるテープのフィブリル化の低減である。コア材料とシース材料との間の結合を強化するために使用することができるその他の表面処理は、プラズマまたはコロナ処理が含まれる。
【0029】
本発明による方法において使用されるポリマーテープは、紡糸されたモノフィラメントであってよい。ここで使用されるモノフィラメントという用語は、個別的に、たとえば溶融紡糸またはゲル紡糸により紡糸された任意のシングルフィラメントである。
【0030】
テープは、固体の状態での押出(SSE)により、または固体材料からの削り出しと、その後の後延伸により製造することもできる。
【0031】
本発明による方法で使用されるポリマーテープは、ポリマーフィルムを切断するか、または細長く切断することによって製造されてもよい。ポリマーふぃるむは、必要とされる引張強さを達成するために、カレンダリング、延伸または過剰の延伸を行ってもよい。
【0032】
ポリマーフィルムの1つの表面もしくは両面は、ベースポリマーよりも低い融点を有する樹脂によって被覆されていてもよい。このようなテープは従来技術において公知であり、かつたとえばEP0776762B1に開示されており、ここでは第一に2層もしくは3層のフィルムを同時押出により製造し、引き続き切断してテープを形成している。2層のテープは、いわゆるABタイプのものであり、かつ3層のテープはABAタイプのものである。ベースポリマーよりも低い融点を有する樹脂と、ベースポリマーとの結合は、プライマー、たとえば塩素化ポリプロピレンによるベースポリマーの表面処理によって強化することができる。その他の表面処理にはプラズマまたはコロナ処理が含まれる。
【0033】
従って本発明による方法の有利な実施態様では、ポリマーテープは、低い融点を有するポリマー材料と高い融点を有するポリマー材料の層とが交互になって層状構造を有していてもよい。従ってテープの結合は、低い融点を有するポリマー材料を溶融することによって生じる。
【0034】
低い融点を有するポリマー材料と、高い融点を有するポリマー材料とが交互になった層は、ポリエチレン、超高分子ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリブタジエンテレフタレートおよびポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリビニルアルコール、ポリフェニリデンスルフィド、ポリイソブチレン(PIB)、ポリウレタン(PU)、これらのポリマーのコポリマーおよびこれらの混合物からなる群から選択されていてもよい。
【0035】
ポリマーテープが少なくとも2つの層を有していることが有利である。さらに有利には、ポリマーテープは少なくとも3つの交互になった層を有しており、かつ最も有利にはポリマーテープは少なくとも5つの交互になった層を有している。
【0036】
さらに、樹脂をドクターブレードにより、噴霧、粉末被覆により、またはテープをポリマーの溶液、分散液またはエマルションなどの中に案内することによって層状のテープの周囲に適用してもよい。該樹脂は、硬化の間にポリマーテープの単層に適用されるよりも低い融点を有することによって、テープの最適な結合を確保すべきである。
【0037】
テープおよびそれぞれの単層の結合は、それぞれの単層の間の支持体層によって達成されてもよい。支持体層はフィルム、スクリムなどの形であってもよい。有利には支持体層は、ポリマーテープの融点よりも低い融点を有するポリマー材料からなる。支持体層は、強化材料として機能してもよい。スクリムまたは不織布は、強化材料として有利である。
【0038】
単一のポリマー材料を含有するポリマーテープもまた、付加的な樹脂材料なしで硬化される。該単層はこの場合、ポリマーテープの融点をわずかに下回る範囲の温度で硬化される。このような方法は、従来技術において「熱間圧縮」として公知である。
【0039】
ポリマーテープは感圧性接着剤によって結合されてもよい。
【0040】
本発明の文脈で使用されるテープという用語は、実質的に均一な幅と厚さとを有し、円形以外の任意の形状を有することができる可とう性の、延伸された部材を意味する。該テープの幅/高さ比は、少なくとも2、有利には少なくとも5、およびさらに有利には少なくとも20である。有利にはテープは並列する関係で位置決めされてもよく、その際、隣接するテープの側面は、ほぼ平行である。テープはスリットフィルムから得られてもよい。テープはまた、モノフィラメントであってもよい。本発明による方法で使用されるテープは、種々の横断面を有していてよい。
【0041】
有利には本発明によるテープはほぼ四角い横断面を有する。
【0042】
四角いという用語は、長方形の横断面、平行四辺形の横断面または台形の横断面を有するテープを含む。平行四辺形の横断面を有するテープは当然のことながら、隣接するテープの側面が互いにほぼ接合して、かつほぼ平行に位置決めされている。同じことが台形の横断面を有するテープにも該当する。このような位置決めは、台形の横断面を有するテープによっても、隣接するテープを交互に上下が逆になるように配置することによって達成することができる。
【0043】
もう1つの有利な実施態様では、テープがほぼ三角形の横断面を有する。この場合にも、1の単層の三角形のテープは、隣接するテープの側方が互いにほぼ接合し、かつほぼ平行になるように位置決めされる。これは、隣接するテープが上下逆になって、つまり底辺と、底辺に対して頂点を形成する2辺を有する横断面を有する三角形のテープを、1つのテープの底辺に隣接して、隣の三角形のテープの底辺に対する頂点が位置決めされるようにテープを交互に配置することによっても達成される。
【0044】
要求される引張強さを有する積層体を得るために、ポリマーテープを少なくとも1:5の延伸率で延伸することが有利であり、さらに有利にはポリマーテープを少なくとも1:15の延伸率で延伸する。1:50またはそれ以上の延伸率は、特に有利である。
【0045】
四角いモノフィラメントのテープは、有利には幅1.5mm〜10mm、および厚さ20μm〜150μmである。フィルムを細長く切断することにより製造される四角いテープは、幅2mm〜300mmおよび、層の数に応じて、厚さ1μm〜1000μm、有利には4μm〜50μmである。三角形の横断面を有するテープは、幅および厚さにおいて2〜10mmである。
【0046】
本発明はさらに、ポリマーテープの方向が、全ての単層において同じであり、かつそれぞれの単層のポリマーテープが、単層の上または下に積層された隣接する単層のテープとは、ずれて配置されていることを特徴とするポリマーテープの少なくとも2つの単層を有する積層体に関する。そのような積層体は、軽量であり、かつ優れた衝撃強さを有する。
【0047】
本発明のもう1つの課題は、個々の積層体から形成され、特別な強さおよび重量特性を有する硬質パネルを製造することである。
【0048】
前記課題は、本発明による個々の積層体、または本発明による方法で製造される積層体から形成されているパネルを製造する方法によって解決され、この場合、少なくとも2つの積層体を上下に重ねて配置し、かつ圧力および熱を使用して硬化させてパネルが形成される。パネルの製造方法では、1000までの積層体、有利には600まで、さらに有利には200までの積層体を重ねてパネルが形成される。
【0049】
この課題はさらに、本発明による個々の積層体、または本発明による方法で製造された積層体から形成されるパネルによって解決され、該パネルは、上下に重ねられた少なくとも2つの積層体を有し、その際、該積層体は有利にはその全表面に亘って溶融結合される。
【0050】
パネルまたはパネルの積層体を製造するための方法で使用される積層体は、積層体を形成しているポリマーテープが全て同じ方向となるように上下に重ねられる。有利な実施態様では、上に重ねられる積層体の少なくとも1つを、該積層体の上または下で隣接して配置されている積層体に対して回転されており、さらに有利には積層体の少なくとも1つは、該積層体の上または下で隣接して配置されている積層体に対して90゜回転されており、こうしてパネルの横方向での高い引張強さが得られる。積層体は0゜と90゜とが交互になるように積み重ねされてもよい。該パネルは、0°の積層体と90゜回転された積層体とが同じ数であってもよい。しかし、一番上と一番下の積層体のみが、その他の積層体に対して90゜回転されていれば十分である。
【0051】
適切な構成は、たとえば0−90−0−90−0、0−90−90−90−90−0、0−90−90−90、0−0−0−0−90である。もう1つの可能な構成は、0−45−90−135−0であってもよい。この構成の場合、45と記載されている積層体は、0と記載されている積層体に対して45°回転されている。残りの積層体は、同様に90゜、135°および0°回転されている。
【0052】
本発明によるパネルは、該パネルに与えられる衝撃エネルギーを、高いレベルのエネルギー吸収で吸収する。
【0053】
特別な実施態様では、本発明によるパネルが1もしくは複数の耐衝撃性材料の層を備えており、該耐衝撃性材料は、有利には金属、合金、ガラス、玄武岩ファイバー、ガラスファイバー、セラミックスまたは耐衝撃性適用のために使用することができるその他の材料、たとえばアラミドまたは超高分子ポリエチレンファイバーからなる群からの1もしくは複数の材料から選択されていることが特に有利である。耐衝撃性材料の層は、表面の片側または両側に備えられていてもよい。この耐衝撃性材料は、本発明による積層体および耐衝撃性材料の層が交互に配置されている場合でも、個々の積層体の間にサンドイッチ状に配置されていてもよい。
【0054】
本発明のもう1つの対象は、このようなパネルの特別な使用を提供することである。
【0055】
このような使用は、土木工学構造、移動住宅またはキャラバンのハル、ガレージのドア、ピックアップトラックのボックスまたは馬運搬車であってよい。本発明による硬質パネルは特にいわゆる硬質バラスティック適用のために適切である。このような硬質バラスティック適用は、壁、ドア、プレート、ベスト用の硬質バラスティックインサート、軍用適用、たとえば戦闘用ヘルメット、護身用具、地上用車両のための装甲板、航空機の機体および航空機のドアまたはボートであってよい。
【0056】
さらに、本発明による積層体は、特に層と層との結合が著しく改善されたSRP(自己強化ポリマー)製品において使用することができる。というのも、本発明による積層体と別の積層体との接触が、1のファブリックと別のファブリックとの間の接触と比較して緊密であるからである。
【0057】
本発明をさらに、図1、2、3および4により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明によるテープの1実施態様の断面を示す図
【図2】本発明によるテープの可能な横断面を示す図
【図3】長方形のテープの層を有する本発明による積層体の断面を示す図
【図4】三角形のテープの層を有する本発明による積層体の断面を示す図
【0059】
図1、2、3および4は、例として考慮されるべきである。これらは限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0060】
図1は、本発明による方法で使用することができるか、または本発明による積層体のために使用することができるテープの有利な実施態様の断面を示す。
【0061】
図1aは、1のポリマー材料からなるテープを示す。このようなテープを使用して、付加的な樹脂または支持体層なしでも熱間圧縮により積層体が形成される。代替案として、シース材料をプリテンショニングまたは位置決めの前にテープの周囲に適用することができる。
【0062】
図1bは、ポリマーシース材料により包囲されているポリマーコアを有するテープを示す。モノフィラメントをテープとして使用する場合、シースはコアに沿ってシースを紡糸することによってコア材料に適用することができる。上記のとおり、シース材料はプリテンショニングまたは位置決めの前にテープの周囲に適用することもできる。後者の方法は、スリットフィルムまたはモノフィラメントに適用することができる。
【0063】
図1cは、ポリマー材料が交互に層になっている層状の構造を有するテープを示す。このようなテープは、スリットフィルムから得られる。該テープは当然のことながら、図1cに示されているような3層よりも多くの層を有していてよい。本発明による方法で使用されるテープは、5、7、9またはそれ以上の層を有していてもよい。
【0064】
図1dは、シースにより包囲されるコアとして3つの層を有しているテープを示す。
【0065】
図1eは、1つのコアの周囲に2つのシースを有するテープを示す。このような構造は、コア材料への外側のシース材料の良好な結合を達成するために必要であるかもしれない。内側のシースはプライマーとして機能して、外側のシース材料とコア材料とが接着する、必要とされる表面を提供する。
【0066】
図2は、本発明による方法で使用することができるテープまたは本発明による積層体のために使用することができるテープの可能な横断面を示す。
【0067】
図3および4は、本発明による積層体の断面を例示している。図3に示されている積層体は、ほぼ長方形のテープの層を3つ有しており、その際、それぞれの単層のテープは、隣接する単層のテープとは、ずれて配置されている。図4に示されている積層体は、ほぼ三角形のテープの層を3つ有しており、その際、1の単層の三角形のテープは互いにほぼ接合しており、かつほぼ平行な隣接するテープの側方で位置決めされている。1の単層の隣接するテープ同士の間の結合部は、該層の上または下の隣接する単層のテープによって完全に覆われている。
【図1a)】

【図1b)】

【図1c)】

【図1d)】

【図1e)】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーテープの少なくとも2の単層から形成される積層体の製造方法であって、該ポリマーテープは少なくとも200MPaの引張強さを有している積層体の製造方法において、
ポリマーテープのプリテンショニングと、その後にポリマーテープを張設下に一方向で平行に位置決めすることとにより、ポリマーテープの第一の単層を形成する工程と、
第一の単層を形成した方法と同じ方法で第一の単層の上に少なくとも1の第二の単層を形成する工程と、これらの工程により
前記ポリマーテープの方向が、全ての単層において同じであり、かつそれぞれの単層のポリマーテープが、該単層の上または下で隣接している単層のテープとは、ずれて配置されるように、ポリマーテープの少なくとも2の単層を積み重ねる工程と、
こうして積み重ねられたポリマーテープの単層を硬化させて積層体を得る工程
とを有する、ポリマーテープの少なくとも2の単層から形成される積層体の製造方法。
【請求項2】
ポリマーテープが少なくとも400MPaの引張強さを有することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ポリマーテープが少なくとも800MPaの引張強さを有することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
ポリマーテープが少なくとも4GPaの引張弾性率を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
ポリマーテープが少なくとも8GPaの引張弾性率を有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
ポリマーテープが少なくとも16GPaの引張弾性率を有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
ポリマーテープが二成分構造を有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
ポリマーテープが、低い融点を有するポリマー材料と、高い融点を有するポリマー材料とからなることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
低い融点を有するポリマー材料が、高い融点を有するポリマー材料を取り囲んでいることを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項10】
ポリマーテープが、低い融点を有するポリマー材料と、高い融点を有するポリマー材料とが交互になった層を有する層状の構造を有することを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項11】
ポリマーテープが少なくとも2つの層を有することを特徴とする、請求項10記載の方法。
【請求項12】
ポリマーテープが少なくとも6つの層を有することを特徴とする、請求項10記載の方法。
【請求項13】
それぞれの単層の間に、フィルム、スクリムまたは不織布の形の支持体層が配置されていることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
テープがほぼ四角形の横断面を有することを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
テープがほぼ三角形の横断面を有することを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
ポリマーテープがモノフィラメントであることを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
ポリマーテープがスリットフィルムから製造されていることを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
ポリマーテープが少なくとも1:5の延伸率で延伸されることを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
ポリマーテープの少なくとも2の単層を有する積層体において、ポリマーテープの方向が全ての単層中で同じであり、かつそれぞれの単層のポリマーテープは、該単層の上または下に積み重ねられて隣接しているテープとは、ずれて配置されていることを特徴とする、ポリマーテープの少なくとも2の単層を有する積層体。
【請求項20】
請求項19または16に記載の積層体、または請求項1から18までのいずれか1項記載の方法により製造された積層体を有するパネルの製造方法において、少なくとも2の積層体を上下に重ねて配置し、かつ圧力および熱を使用して硬化させてパネルを形成することを特徴とする、請求項19または16に記載の積層体、または請求項1から18までのいずれか1項記載の方法により製造された積層体を有するパネルの製造方法。
【請求項21】
請求項19に記載の積層体、または請求項1から18までのいずれか1項記載の方法により製造された積層体を有するパネルにおいて、該パネルは、上下に重ねて配置され、溶融結合された少なくとも2の積層体を有することを特徴とする、請求項19に記載の積層体、または請求項1から18までのいずれか1項記載の方法により製造された積層体を有するパネル。
【請求項22】
パネルが、耐衝撃性材料の1もしくは複数の層を備えており、該耐衝撃性材料は、金属、合金、ガラス、玄武岩ファイバー、ガラスファイバー、セラミックス、アラミドまたは超高分子ポリエチレンファイバーからなる群の1もしくは複数の材料から選択されていることを特徴とする、請求項21記載のパネル。
【請求項23】
硬質バリスティック適用のための、請求項20に記載の方法を使用することにより得られるパネル、または請求項21または22に記載のパネルの使用。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−505645(P2010−505645A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530787(P2009−530787)
【出願日】平成19年9月29日(2007.9.29)
【国際出願番号】PCT/EP2007/008495
【国際公開番号】WO2008/040506
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(507335414)ノファメーア ベスローテン フェンノートシャップ (7)
【氏名又は名称原語表記】Novameer B.V.
【住所又は居所原語表記】Kennedeylaan 10, NL−5466 AA Veghel, Netherlands
【Fターム(参考)】