一方向バルブ及びドアチェック装置
【課題】バルブが開状態になると、液体が連続的に流れ、作動が安定した一方向バルブを提供すること、及びドア開閉時の操作感が良いドアチェック装置を提供することを課題とする。
【解決手段】液体が流れる第1管路(管路)371と、第1管路371内を移動する弁体391と、第1管路371内であって、弁体391より上流側に設けられ、弁体391に塞がれることによって閉状態となる開口(穴部)371cと、開口371cを塞ぐ方向に弁体391を付勢する付勢手段401と、開口371cの周縁と弁体391との間に配置されるOリング(環状シール)393と、Oリング393を収容するために、弁体391に凹設される溝(収容凹部)391cと、溝391cの周縁に連通する連通溝(連通凹部)392と、を有し、Oリング393は、溝391c内で、開口371cの周縁と弁体391との間を進退可能である。
【解決手段】液体が流れる第1管路(管路)371と、第1管路371内を移動する弁体391と、第1管路371内であって、弁体391より上流側に設けられ、弁体391に塞がれることによって閉状態となる開口(穴部)371cと、開口371cを塞ぐ方向に弁体391を付勢する付勢手段401と、開口371cの周縁と弁体391との間に配置されるOリング(環状シール)393と、Oリング393を収容するために、弁体391に凹設される溝(収容凹部)391cと、溝391cの周縁に連通する連通溝(連通凹部)392と、を有し、Oリング393は、溝391c内で、開口371cの周縁と弁体391との間を進退可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方向バルブ及びこの一方向バルブを用いたドアチェック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図21を用いて、従来の一方向バルブの一例を説明する。
図において、液体が流れる管路1には、管路1内を進退移動する弁体3が設けられている。
【0003】
管路1内には、弁体3より上流側に設けられ、弁体3に塞がれることによって閉状態となる穴部5が形成されている。そして、弁体3は付勢手段7により、穴部5を塞ぐ方向に付勢されている。
【0004】
又、弁体3には、穴部5に遊嵌する突部3aが形成されている。
環状シール9が、管路1内の液体の流れを遮断するように、穴部5の周縁と弁体3との間に配置されている。この環状シール9は、弁体3の突部3aに収容されている。
【0005】
このような構成の一方向バルブの作動を説明する。通常、付勢手段7の付勢力により、弁体3は穴部5を塞ぎ、一方向バルブは閉状態にある。
弁体3より上流の液体の圧力が高くなると、付勢手段7の付勢力に抗して、弁体3が穴部5から離れ(バルブ開状態)、液体の弁体3より上流から下流への流れが許容される。
【0006】
又、弁体3より下流の液体の圧力が高くなっても、弁体3を穴部5に押し付ける方向にしか作用せず、弁体3は穴部5から離れないので(バルブ閉状態)、液体の弁体より下流から上流への流れは禁止される。
【特許文献1】特開2004−69064号公報(図33)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記構成の一方向バルブにおいて、下記のような問題点がある。
図21に示す状態は、弁体3より上流の液体の圧力と、弁体3より下流の液体の圧力とが等しい場合である。
【0008】
ここで、弁体3より上流の液体の圧力が高まると、図22に示すように、弁体3が穴部5から離れ始めると共に、環状シール9の外側に液体の流路が形成される。環状シール9は前記流路に向かう液体の流れに押引されて拡径及び変形する。
【0009】
次に、図23に示すように、前記流路が環状シール9の高さと略等しくなると、環状シール9が前記流路を塞ぐように拡径して液体の流れを堰き止める。続いて、堰き止められた液体による圧力上昇が環状シール9を外側に押圧するので、環状シール9は更に拡径しつつ上下に押し潰される。このとき、前記流路では、環状シール9の上下に隙間が形成されることで液体の流れを許容する。
【0010】
そして、前記流路の下流側に液体が流れると、環状シール9より上流側の液体の圧力が低下するため、環状シール9が縮径して流路を堰き止める状態に戻る。弁体3より上流の液体の圧力と弁体3を付勢する付勢手段の付勢力とが図23の状態で均衡した際には、上述した環状シール9の伸縮による液体の断続的な流れが引き起こされ、弁体3の作動が不安定になる。
【0011】
又、このような構成の一方向バルブを用いたドアチェック装置の場合、ドアをゆっくり開閉した場合、液体が一方向バルブを断続的に流れるので、ドア開閉時の操作感が悪い。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その課題は、バルブの開状態で、液体の断続的な流が起こりにくく、作動が安定した一方向バルブを提供することにある。
【0012】
又、ドア開閉時の操作感が良いドアチェック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に係る発明は、液体が流れる管路と、該管路内を進退移動する弁体と、前記管路内であって、前記弁体より上流側に設けられ、前記弁体に塞がれることによって閉状態となる穴部と、該穴部を塞ぐ方向に前記弁体を付勢する付勢手段と、前記管路内の液体の流れを遮断するように、前記穴部の周縁と前記弁体との間に配置される環状シールと、該環状シールを収容するために、前記穴部の周縁、前記弁体のうちのどちらかに凹設される収容凹部と、該収容凹部の周縁に連通する連通凹部と、を有し、前記環状シールは、前記収容凹部内で、前記穴部の周縁と前記弁体との間を進退可能であることを特徴とする一方向バルブである。
【0014】
通常、付勢手段の付勢力により、弁体は穴部を塞ぎ、一方向バルブは閉状態にある。
弁体より上流の液体の圧力が高くなると、付勢手段の付勢力に抗して、弁体が穴部5から離れ(バルブ開状態)、液体の弁体より上流から下流への流れが許容される。
【0015】
又、弁体の下流の液体の圧力が高くなっても、弁体を穴部に押しつける方向にしか作用せず、弁体は穴部から離れないので(バルブ閉状態)、液体の弁体より下流から上流への流れは禁止される。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、前記管路内に液体が流れる時、前記環状シールは、前記収容凹部に拘束されつつ拡径され、前記液体は前記環状シールの拡径された領域を通って前記連通凹部に流れることを特徴とする請求項1記載の一方向バルブである。
【0017】
請求項3に係る発明は、前記穴部内に挿入される突起を前記弁体に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の一方向バルブである。
請求項4に係る発明は、前記連通凹部は、前記収容凹部の周縁から放射状に延び、等ピッチ間隔で設けられた3つ以上の溝よりなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の一方向バルブである。
【0018】
請求項5に係る発明は、前記弁体の移動方向に延びる液体流路を前記弁体に設け、前記液体流路の一端を前記連通凹部に開口させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の一方向バルブである。
【0019】
請求項6に係る発明は、前記付勢手段は、前記管路側、前記弁体側のうちのいずれか一方の側に設けられ、前記管路側、前記弁体側のうちのいずれか他方の側には、前記弁体の移動方向に対して交差し、前記付勢手段の付勢力が作用すると、前記弁体に前記穴部を塞ぐ方向の分力が発生する第1面と、前記穴部を塞ぐ方向の分力が前記第1面より小さな分力が発生する第2面とが形成され、前記第1面に付勢力が作用する場合には、前記弁体は、前記穴部を塞ぐことが可能で、更に、前記管路内に液体が流れる時、前記環状シールは、前記収容凹部に拘束されつつ拡径され、前記液体は前記環状シールの拡径された領域を通って前記連通凹部に流れることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の一方向バルブである。
【0020】
前記弁体が前記穴部を塞ぐ状態では、前記付勢手段の付勢力は前記第1面に作用している。
弁体より上流の液体の圧力が、やっと弁体を動かす程度の圧力である場合、弁体は穴部から大きく離れないので、付勢手段に作用する箇所は第1面にとどまる。そして、液体は、前記環状シールの拡径された領域から前記連通凹部を通り、弁体を介して下流に流れる。
【0021】
弁体より上流の圧力が大きな場合、弁体は穴部から大きく離れ、前記付勢手段の付勢力の作用する箇所が第1面から第2面に移動する。
請求項7に係る発明は、液体が充填されるケーシングと、該ケーシング内に配置され、前記ケーシングに回転可能に支持されたシャフトと、該シャフトの周面に設けられ、前記ケーシング内を第1室、第2室に分けるフラップと、一方の開口が前記第1室に、他方の開口が前記第2室に臨むように、前記フラップにそれぞれ設けられた第1管路、第2管路と、前記第1管路内に設けられる第1一方向バルブであって、前記第1室から前記第2室への液体の流れを許容し、前記第2室から前記第1室への液体の流れを阻止する第1一方向バルブと、前記第2管路内に設けられる第2一方向バルブであって、前記第2室から前記第1室への液体の流れを許容し、前記第1室から前記第2室への液体の流れを阻止する第2一方向バルブと、からなるドアチェック装置において、前記第1一方向バルブ、前記第2一方向バルブは、請求項1乃至6のいずれかに記載の一方向バルブであることを特徴とするドアチェック装置である。
【0022】
シャフトが回転すると、第1管路、第2管路に液体が流れる。
第1室から第2室に向かって液体が流れる場合、第1管路の第1一方向バルブの弁体は、液体の圧力により穴部から離れる方向に押される。また、第2管路の第2一方向バルブの弁体は、液体の圧力により穴部を塞ぐ方向に押される。そして、付勢手段の付勢力に抗して、第1一方向バルブの弁体が穴部から離れる方向に移動する。そして、ドアの回転が停止すると、付勢手段の付勢力の穴部を塞ぐ方向の分力により、第1一方向バルブの弁体は速やかに穴部を塞ぐ。
【0023】
一方、第2室から第1室に向かって液体が流れる場合、第2管路の第2一方向バルブの弁体は、液体の圧力により穴部から離れる方向に押される。また、第1管路の第1一方向バルブの弁体は、液体の圧力により穴部を塞ぐ方向に押される。そして、付勢手段の付勢力に抗して、第2一方向バルブの弁体が穴部から離れる方向に移動すると、付勢手段の付勢力の穴部を塞ぐ方向の分力が小さくなる。
【0024】
そして、ドアの回転が停止すると、付勢手段の付勢力の穴部を塞ぐ方向の分力により、第2一方向バルブの弁体は速やかに穴部を塞ぐ。
【発明の効果】
【0025】
請求項1−請求項6に係る発明によれば、該環状シールを収容するために、前記穴部の周縁、前記弁体のうちのどちらかに凹設される収容凹部と、該収容凹部の周縁に連通する連通凹部と、を有し、前記環状シールは、前記収容凹部内で、前記穴部の周縁と前記弁体との間を進退可能であることにより、バルブの開状態で、液体の断続的な流れが起こりにくく、作動が安定する。
【0026】
請求項2に係る発明によれば、弁体より上流の液体の圧力がやっと弁体を動かす程度の圧力である場合、収容凹部内に収容される環状シールは、収容凹部内で、収容凹部の底部から浮いた状態となり、更に、環状シールの連通凹部と対向する部分は、連通凹部内に拡径され、液体は環状シールの拡径された領域を通って前記連通凹部に連続して流れ、作動が安定する。
【0027】
請求項3に係る発明によれば、前記穴部内に挿入される突起を前記弁体に設けたことにより、環状シールの径方向のずれを防止できる。
請求項4に係る発明によれば、前記連通凹部は、前記収容凹部の周縁から放射状に延び、等ピッチ間隔で設けられた3つ以上の溝よりなることにより、弁体より上流の液体の圧力がやっと弁体を動かす程度の圧力である場合でも、弁体の移動が安定する。
【0028】
請求項5に係る発明によれば、前記弁体の移動方向に延びる液体流路を前記弁体に設け、前記液体流路の一端を前記連通凹部に開口させることにより、弁体より上流の液体の圧力がやっと弁体を動かす程度の圧力である場合でも、液体の流れがスムーズとなる。
【0029】
請求項6に係る発明によれば、前記付勢手段は、前記管路側、前記弁体側のうちのいずれか一方の側に設けられ、前記管路側、前記弁体側のうちのいずれか他方の側には、前記弁体の移動方向に対して交差し、前記付勢手段の付勢力が作用すると、前記弁体に前記穴部を塞ぐ方向の分力が発生する第1面と、前記穴部を塞ぐ方向の分力が前記第1面より小さな分力が発生する第2面とが形成され、前記第1面に付勢力が作用する場合には、前記弁体は、前記穴部を塞ぐことが可能で、更に、前記管路内に液体が流れる時、前記環状シールは、前記収容凹部に拘束されつつ拡径され、前記液体は前記環状シールの拡径された領域を通って前記連通凹部に流れることにより、弁体より上流の液体の圧力が、やっと弁体を動かす程度の圧力である場合、弁体は穴部から大きく離れないので、付勢手段に作用する箇所は第1面にとどまる。そして、液体は、前記環状シールの拡径された領域から前記連通凹部、弁体を介して下流に連続して流れ、作動が安定する。
【0030】
請求項7に係る発明によれば、前記第1一方向バルブ、前記第2一方向バルブは、請求項1乃至6のいずれかに記載の一方向バルブである。
よって、シャフトがゆっくり回転し、弁体より上流の液体の圧力がやっと弁体を動かす程度の圧力である場合でも、一方向バルブの作動が安定し、ドア開閉時の操作感が良い。
【0031】
請求項6記載の一方向バルブの場合は、シャフトがゆっくり回転し、弁体より上流の液体の圧力がやっと弁体を動かす程度の圧力である場合、弁体は穴部から大きく離れないので、付勢手段に作用する箇所は第1面にとどまる。そして、液体は、前記環状シールの拡径された領域から前記連通凹部、弁体を介して下流に連続して流れ、作動が安定するので、ドア開閉時の操作感が良い。
【0032】
次に、シャフトが速く回転し、弁体より上流の圧力が大きな場合、前記付勢手段の付勢力の作用する箇所が第1面から第2面に移動し、環状シールの挙動に拘わらず、液体は、穴部から弁体を介して下流に連続的に流れるので、作動が安定するので、ドア開閉時の操作感が良い。更に、付勢手段の付勢力の作用する箇所が第1面から第2面に移動した時点で、穴部を塞ぐ方向の分力が前記第1面より小さな分力となる。即ち、ドア開閉の操作力が、始めは大きな力を必要とするが、付勢手段の付勢力の作用する箇所が第1面から第2面に移動した時点で、ドア開閉の操作力が小さくて済むようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の一方向バルブをドアチェック装置に用いた実施の形態例を説明する。
最初に、図10、図11を用いて、本形態例のドアチェック装置の車両への取り付け構造を説明する。図10に示すように、ドア300は、アッパヒンジ301とロアヒンジ303を用いて、ボデー305に回転可能に取り付けられている。そして、ドアチェック装置351が、アッパヒンジ301側に設けられる。
【0034】
図11に示すように、アッパヒンジ301は、基端部側がボデー305側に取り付けられるヒンジフィメール311と、基端部側がドア300側に取り付けられるヒンジメール313と、ヒンジフィメール311の先端部側に設けられたヒンジピン穴311aに嵌合固着され、ヒンジメール313の先端部側に設けられたヒンジピン穴313aに遊嵌されて、ヒンジメール313に対して相対的にヒンジフィメール311と一体となって回転するヒンジピン315とからなっている。そして、ドア300側でヒンジメール313の下部にドアチェック装置351が取り付けられ、このドアチェック装置351のシャフト355はヒンジピン315と結合され、ヒンジピン315とシャフト355とが一体に回転するようになっている。
【0035】
次に、図1−図2を用いて、図10、図11のドアチェック装置351を説明する。図1は図10の切断線I−Iでの断面図、図2は図1の切断線II−IIでの断面図である。
【0036】
これらの図において、ドアチェック装置351のケーシング353内には、シリコーンオイル等の液体が充填されている。ケーシング353内には、ケーシング353に回転可能に支持されたシャフト355が配置されている。
【0037】
シャフト355の周面には、ケーシング353内を第1室357と、第2室359とに分けるフラップ361が設けられている。
フラップ361には、一方の開口が第1室357に、他方の開口が第2室359に臨むように、それぞれ第1管路371と、第2管路373とが形成されている。
【0038】
第1管路371、第2管路373には、第1一方向バルブ381、第2一方向バルブ383が設けられている。第1一方向バルブ381は、通常は閉状態で、第1室357内の液圧が高くなると、開状態となり、第1室357から第2室359への液体の流れを許容し、第2室359内の液圧が高くなっても、閉状態を保持するバルブである。又、第2一方向バルブ383は、通常は閉状態で、第2室359内の液圧が高くなると、開状態となり、第2室359から第1室357への液体の流れを許容し、第1室357内の液圧が高くなっても、閉状態を保持するバルブである。
【0039】
ここで、第1一方向バルブ381、第2一方向バルブ383を説明する。尚、第1一方向バルブ381と、第2一方向バルブ383との構造は同一なので、図3、図4、図9を用いて、第1一方向バルブ381を説明し、第2一方向バルブ383の説明は省略する。図3は図2の第1一方向バルブの拡大図、図4は図3の弁体の上面図、図9は図2の蓋の取り付けを説明する図である。
【0040】
図3に示すように、第1管路371は、第1室357側の小径部371aと、第2室359側の穴411dと、小径部371aと穴411dとをつなぐ大径部371bとからなっている。大径部371bには、この大径部371bに移動可能に係合し、小径部371aと大径部371bとの間の段部371dに形成された開口(穴部)371cを塞ぐことにより、第1一方向バルブ381が閉状態となる弁体391と、弁体391を開口(穴部)371cを塞ぐ方向に付勢する付勢手段401と、大径部371bの第2室359に臨んだ開口を塞ぐように設けられる蓋411とが設けられている。
【0041】
弁体391は、小径部371a側に底部391aが形成された有底円筒状である。底部391aの中央部には、開口371c(小径部371a)に挿入可能な突起391bが形成されている。
【0042】
又、図3、図4に示すように、底部391aの段部371dとの対向面(以下、底部391aの外面という)には、突起391bを中心として環状の溝(収容凹部)391cが形成され、この溝391cには、段部371dに当接することにより、小径部371aと大径部371bとの間のシールを行なうOリング(環状シール)393が挿入されている。尚、Oリング393は、開口(穴部)371cの周縁と弁体391の溝391cとの間を進退可能に設けられている。又、図4に示すように、底部391aの外面には、溝391cの周縁に連通する連通凹部が形成されている。本形態例の連通凹部は、溝391cの周縁から放射状に延び、等ピッチ間隔(本形態例では90°ピッチ)で設けられた4本の連通溝392である。
【0043】
弁体391の底部391aには、弁体391の移動方向に延びる液体流路394が形成され、液体流路394の一端は、連通溝392に開口している。
図9に示すように、フラップ361には、蓋411が嵌合する蓋嵌合部361aが形成されている。この蓋嵌合部361aには、蓋411の周囲に形成されたつば部411eが係合可能な溝361bが形成されている。
【0044】
そして、蓋411の取り付け方向は、図9に示すように、第1一方向バルブ381の液体が流れる方向(図9において、矢印X方向)と交差する方向(図9において、矢印VI方向)に設定されている。
【0045】
図3に戻って、蓋411の大径部371bと対向する面(以下、蓋411の内面という)には、突部411aが形成されている。この突部411aの先端側には、弁体391の移動方向に対して交差する第1面411bが形成され、突部411aの基端側には、弁体391の移動方向に対して交差し、第1面411bより弁体391の移動方向に対する傾きがゆるい第2面411cが形成されている。更に、蓋411には、液体が流れる穴411dが形成されている。尚、本形態例では、弁体391の4つの液体流路394の開口面積の和より、蓋411の穴411dの開口面積を狭くした。
【0046】
付勢手段401は、薄板を折り曲げて形成された略Ω状で、弁体391の底部391aの段部371dとの対向面と反対側の面(以下、底部391aの内面という)に押接する弁体当接部401aと、突部411aの第1面411b、第2面411cを挟むように押接する2つの突部押接部401bとからなっている。
【0047】
突部411aの第1面411b、第2面411cは、付勢手段401を介して、弁体391に開口371cを塞ぐ方向の分力を発生させように形成されている。更に、第2面411cは、第1面411bと異なる傾斜であるので、付勢手段401が第2面411cを押圧する際には、第1面411bを押圧する際に比べて、開口371cを塞ぐ方向の分力が小さくなる。即ち、弁体391が開口(穴部)371cに近づくに従って、開口371cを塞ぐ方向の分力が大きくなるようになっている。
【0048】
次に、図3−図8を用いて、第1一方向バルブ381の作動を説明する。
通常、図3に示すように、付勢手段401の突部押接部401bは、突部411aの第1面411bを押接し、弁体391は開口371cを塞ぐ、バルブ閉状態となっている。
【0049】
ドアを回転させると、フラップ(シャフト355)361が早く回転して、第1室357側(弁体391の上流側)の液体の圧力が高くなる。
(1) ドアをゆっくり回転させ、第1室357側の液体の圧力がやっと弁体391を動かす程度の圧力である場合、図5、図6に示すように、弁体391は、開口(穴部)371cから大きく離れないので、付勢手段401の突部押接部401bは、突部411aの第1面411bにとどまる。
【0050】
この時、溝391c内に収容されるOリング393は、図5、図6に示すように、溝391c内で、溝391cの底部から浮いた状態となる。更に、Oリング393の連通溝392と対向する部分は、図5に示すように連通溝392方向に拡径される。よって、液体は、Oリング393の拡径された領域から連通溝392、液体流路394を介して下流に連続して流れる。
【0051】
(2) ドアを早く回転させ、第1室357側の液体の圧力が弁体391を大きく動かす圧力である場合、付勢手段401の付勢力に抗して、弁体391が開口371cから離れる方向に移動し、付勢手段401の突部押接部401bは、突部411aの第1面411b(図5参照)を介して第2面411cである図7に示すバルブ開状態となる。すると、付勢手段401の突部押接部401bが押接する箇所が突部411aの第2面411cであるので、開口371cを塞ぐ方向の分力が小さくなり、小さな液圧の液体でも、バルブ開状態が保持される。
【0052】
更に、弁体391が開口371cから離れる方向に移動すると、図8に示すように、付勢手段401の突部押接部401bの先端が蓋411の内面に当接し(底付き状態)、弁体391のそれ以上の移動が禁止される。
【0053】
この時、図7、図8に示すように、液体は、弁体391の液体流路394を介して下流に連続的に流れる。
ドアを回転する操作力の変化を図12、図13、図14に示す。図12は上記(1)の場合で、ドアをゆっくり回転させ、第1室357側の液体の圧力がやっと弁体391を動かす程度の圧力である場合である。図13は上記(2)の場合で、ドアを早く回転させ、第1室357側の液体の圧力が弁体391を大きく動かす圧力である場合である。図14は、最初は、ドアをゆっくり回転させ、途中からドアを早く回転させた場合を示している。
【0054】
上記構成によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)Oリング393を収容するために、弁体391に凹設される溝391cと、溝391cの周縁に連通する連通溝392と、を有し、Oリング393は、溝391c内で、開口(穴部)371cの周縁と弁体391との間を進退可能であることにより、弁体391より上流の液体の圧力がやっと弁体391を動かす程度の圧力である場合、溝391c内に収容されるOリング393は、溝391c内で、溝391cの底部から浮いた状態となり、更に、Oリング393の連通溝392と対向する部分は、連通溝392内に拡径され、液体はOリング393の拡径された領域を通って連通溝392に連続して流れ、一方向バルブ381、383の作動が安定する。
【0055】
又、図12に示すように、ドアのゆっくりとした動きに対し、ドアチェック装置351は、一定操作力を維持したまま安定した作動が可能となるので、ドアを少しだけ開閉する場合によい。
(2)開口371c(小径部371a)に挿入可能な突起391bを弁体391に設けたことにより、Oリング393の径方向のずれを防止できる。
(3)連通溝392は、溝391cの周縁から放射状に延び、等ピッチ間隔で設けられた4本の溝状であることにより、弁体391より上流の液体の圧力がやっと弁体391を動かす程度の圧力である場合でも、一方向バルブ381、383の弁体391の移動が安定する。
(4)弁体391の移動方向に延びる液体流路を弁体391に設け、液体流路の一端を連通溝392に開口させることにより、弁体391より上流の液体の圧力がやっと弁体391を動かす程度の圧力である場合でも、一方向バルブ381、383の液体の流れがスムーズとなる。
(5)付勢手段401は、弁体391側に設けられ、第1管路371、第2管路373には、弁体391の移動方向に対して交差し、付勢手段401の付勢力が作用すると、弁体391に開口(穴部)371cを塞ぐ方向の分力が発生する第1面411bと、開口371cを塞ぐ方向の分力が第1面411bより小さな分力が発生する第2面411cとが形成され、第1面411bに付勢力が作用する場合には、弁体391は、開口371cを塞ぐことが可能で、更に、第1管路371、第2管路373に液体が流れる時、Oリング393は、溝391cに拘束されつつ拡径され、液体はOリング393の拡径された領域を通って連通溝392に流れることにより、弁体391より上流の液体の圧力が、やっと弁体391を動かす程度の圧力である場合、弁体391は穴部から大きく離れないので、付勢手段401に作用する箇所は第1面411bにとどまる。そして、液体は、Oリング393の拡径された領域から連通溝392、弁体391の液体流路394を介して下流に連続して流れ、作動が安定し、又、ドアチェック装置351のドア開閉時の操作感が良い。
【0056】
次に、弁体391より上流の圧力が大きな場合、弁体391は開口371cから大きく離れ、付勢手段401の付勢力の作用する箇所が第1面411bから第2面411cに移動し、Oリング393の挙動に拘わらず、液体は、開口371cから弁体391の液体流路394を介して下流に連続的に流れる。更に、付勢手段401の付勢力の作用する箇所が第1面411bから第2面411cに移動した時点で、開口371cを塞ぐ方向の分力が第1面411bの時より小さな分力となる。
【0057】
よって、ドアの速い回転に対し、ドアチェック装置のチェック力を急低下することができ、ドア開閉の操作力が小さくて済むようになるので、ドアを速く回転する場合によい。
又、付勢手段401の付勢力の作用する箇所が第1面411bから第2面411cに移動した後で、弁体391より上流の液体の圧力が低下しても、弁体391は開口371c方向に移動しないので液体は流れる。
【0058】
尚、本発明は上記形態例に限定するものではない。上記形態例では、Oリング393と、このOリング393を収容する溝391cと、溝391cの周縁から放射状に延びる連通溝392とを弁体391側に設けたが、第1管路371、第2管路373の段部371dに設けても良い。又、第1面411b、第2面411cは、蓋411、即ち、第1管路371、第2管路373側に設けたが、弁体391側に設け、付勢手段401の弁体当接部401aを蓋411に当接させてもよい。
【0059】
連通溝としては、図15に示すように、溝391cの周縁から放射状に延びる複数の連通溝592と、これら連通溝592の先端同士連絡する環状の連通溝593とからなる連通溝であってもよい。又、図16に示すように、溝391cの周縁から放射状に延び、弁体391の外縁まで延出する連通溝692であってもよい。更に、図17に示すように、溝391cの周縁から放射状に延びる1つの連通溝722であってもよい。又、液体流路394は、連通溝722以外の箇所に形成する。
【0060】
又、Oリングを収容する溝、この溝の周縁に連通する連通溝の代わりに、図18、図19に示すような構成であってもよい。弁体391の底部391aの外面に、円筒状の突起701を形成し、この突起701の内周側を収容凹部としてOリング393を配設する。そして、突起701の周壁に等ピッチ間隔(図においては、90°ピッチ)でスリット701aを形成し、このスリット701aを収容凹部の周縁に連通する連通凹部とする。
【実施例】
【0061】
本願発明者は、本発明の効果を確認するべく、図1−図9に示すような形態例のドアチェック装置と、比較例として図1−図9に示すような形態例のドアチェック装置において、連通溝392がないドアチェック装置とで、4.4,7.1,8.8deg/sの一定角速度でフラップを回転させた際の変位と荷重との関係を計測した。尚、フラップの寸法は、図9に示すR=23mm,r=10mm,h=50mmのものを用いた。
【0062】
この結果を図20に示す。図20に示すように、比較例のほうは、荷重が波打ち、操作感が悪いことが、又、形態例のほうは、荷重が略一定となり、操作感がよいことを確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】図10の切断線I−Iでの断面図である。
【図2】図1の切断線II−IIでの断面図である。
【図3】図2の第1一方向バルブの拡大図である。
【図4】図4は図3の弁体の上面図である。
【図5】図3の第1一方向バルブの作動を説明する図である。
【図6】図4の切断線VI−VIでの断面図である。
【図7】図3の第1一方向バルブの作動を説明する図である。
【図8】図3の第1一方向バルブの作動を説明する図である。
【図9】図2の蓋の取り付けを説明する図である。
【図10】ドアチェック装置が設けられたドア周りの分解斜視図である。
【図11】図10のアッパヒンジ部分を拡大した図である。
【図12】ドアを回転する操作力の変化を示す図である。
【図13】ドアを回転する操作力の変化を示す図である。
【図14】ドアを回転する操作力の変化を示す図である。
【図15】連通溝の他の形態例を説明する図である。
【図16】連通溝の他の形態例を説明する図である。
【図17】連通溝の他の形態例を説明する図である。
【図18】Oリングを収容する溝、連通溝の他の形態例を説明する図である。
【図19】図18の正面図である。
【図20】実施例を説明する図である。
【図21】従来のドアチェック装置を説明する図である。
【図22】図21の作動を説明する図である。
【図23】図21の作動を説明する図である。
【符号の説明】
【0064】
371 第1管路(管路)
371c 開口(穴部)
381 第1一方向バルブ
391 弁体
391c 溝(収容凹部)
392 連通溝(連通凹部)
393 Oリング(環状シール)
401 付勢手段
411d 穴(出口)
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方向バルブ及びこの一方向バルブを用いたドアチェック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図21を用いて、従来の一方向バルブの一例を説明する。
図において、液体が流れる管路1には、管路1内を進退移動する弁体3が設けられている。
【0003】
管路1内には、弁体3より上流側に設けられ、弁体3に塞がれることによって閉状態となる穴部5が形成されている。そして、弁体3は付勢手段7により、穴部5を塞ぐ方向に付勢されている。
【0004】
又、弁体3には、穴部5に遊嵌する突部3aが形成されている。
環状シール9が、管路1内の液体の流れを遮断するように、穴部5の周縁と弁体3との間に配置されている。この環状シール9は、弁体3の突部3aに収容されている。
【0005】
このような構成の一方向バルブの作動を説明する。通常、付勢手段7の付勢力により、弁体3は穴部5を塞ぎ、一方向バルブは閉状態にある。
弁体3より上流の液体の圧力が高くなると、付勢手段7の付勢力に抗して、弁体3が穴部5から離れ(バルブ開状態)、液体の弁体3より上流から下流への流れが許容される。
【0006】
又、弁体3より下流の液体の圧力が高くなっても、弁体3を穴部5に押し付ける方向にしか作用せず、弁体3は穴部5から離れないので(バルブ閉状態)、液体の弁体より下流から上流への流れは禁止される。
【特許文献1】特開2004−69064号公報(図33)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記構成の一方向バルブにおいて、下記のような問題点がある。
図21に示す状態は、弁体3より上流の液体の圧力と、弁体3より下流の液体の圧力とが等しい場合である。
【0008】
ここで、弁体3より上流の液体の圧力が高まると、図22に示すように、弁体3が穴部5から離れ始めると共に、環状シール9の外側に液体の流路が形成される。環状シール9は前記流路に向かう液体の流れに押引されて拡径及び変形する。
【0009】
次に、図23に示すように、前記流路が環状シール9の高さと略等しくなると、環状シール9が前記流路を塞ぐように拡径して液体の流れを堰き止める。続いて、堰き止められた液体による圧力上昇が環状シール9を外側に押圧するので、環状シール9は更に拡径しつつ上下に押し潰される。このとき、前記流路では、環状シール9の上下に隙間が形成されることで液体の流れを許容する。
【0010】
そして、前記流路の下流側に液体が流れると、環状シール9より上流側の液体の圧力が低下するため、環状シール9が縮径して流路を堰き止める状態に戻る。弁体3より上流の液体の圧力と弁体3を付勢する付勢手段の付勢力とが図23の状態で均衡した際には、上述した環状シール9の伸縮による液体の断続的な流れが引き起こされ、弁体3の作動が不安定になる。
【0011】
又、このような構成の一方向バルブを用いたドアチェック装置の場合、ドアをゆっくり開閉した場合、液体が一方向バルブを断続的に流れるので、ドア開閉時の操作感が悪い。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その課題は、バルブの開状態で、液体の断続的な流が起こりにくく、作動が安定した一方向バルブを提供することにある。
【0012】
又、ドア開閉時の操作感が良いドアチェック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に係る発明は、液体が流れる管路と、該管路内を進退移動する弁体と、前記管路内であって、前記弁体より上流側に設けられ、前記弁体に塞がれることによって閉状態となる穴部と、該穴部を塞ぐ方向に前記弁体を付勢する付勢手段と、前記管路内の液体の流れを遮断するように、前記穴部の周縁と前記弁体との間に配置される環状シールと、該環状シールを収容するために、前記穴部の周縁、前記弁体のうちのどちらかに凹設される収容凹部と、該収容凹部の周縁に連通する連通凹部と、を有し、前記環状シールは、前記収容凹部内で、前記穴部の周縁と前記弁体との間を進退可能であることを特徴とする一方向バルブである。
【0014】
通常、付勢手段の付勢力により、弁体は穴部を塞ぎ、一方向バルブは閉状態にある。
弁体より上流の液体の圧力が高くなると、付勢手段の付勢力に抗して、弁体が穴部5から離れ(バルブ開状態)、液体の弁体より上流から下流への流れが許容される。
【0015】
又、弁体の下流の液体の圧力が高くなっても、弁体を穴部に押しつける方向にしか作用せず、弁体は穴部から離れないので(バルブ閉状態)、液体の弁体より下流から上流への流れは禁止される。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、前記管路内に液体が流れる時、前記環状シールは、前記収容凹部に拘束されつつ拡径され、前記液体は前記環状シールの拡径された領域を通って前記連通凹部に流れることを特徴とする請求項1記載の一方向バルブである。
【0017】
請求項3に係る発明は、前記穴部内に挿入される突起を前記弁体に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の一方向バルブである。
請求項4に係る発明は、前記連通凹部は、前記収容凹部の周縁から放射状に延び、等ピッチ間隔で設けられた3つ以上の溝よりなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の一方向バルブである。
【0018】
請求項5に係る発明は、前記弁体の移動方向に延びる液体流路を前記弁体に設け、前記液体流路の一端を前記連通凹部に開口させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の一方向バルブである。
【0019】
請求項6に係る発明は、前記付勢手段は、前記管路側、前記弁体側のうちのいずれか一方の側に設けられ、前記管路側、前記弁体側のうちのいずれか他方の側には、前記弁体の移動方向に対して交差し、前記付勢手段の付勢力が作用すると、前記弁体に前記穴部を塞ぐ方向の分力が発生する第1面と、前記穴部を塞ぐ方向の分力が前記第1面より小さな分力が発生する第2面とが形成され、前記第1面に付勢力が作用する場合には、前記弁体は、前記穴部を塞ぐことが可能で、更に、前記管路内に液体が流れる時、前記環状シールは、前記収容凹部に拘束されつつ拡径され、前記液体は前記環状シールの拡径された領域を通って前記連通凹部に流れることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の一方向バルブである。
【0020】
前記弁体が前記穴部を塞ぐ状態では、前記付勢手段の付勢力は前記第1面に作用している。
弁体より上流の液体の圧力が、やっと弁体を動かす程度の圧力である場合、弁体は穴部から大きく離れないので、付勢手段に作用する箇所は第1面にとどまる。そして、液体は、前記環状シールの拡径された領域から前記連通凹部を通り、弁体を介して下流に流れる。
【0021】
弁体より上流の圧力が大きな場合、弁体は穴部から大きく離れ、前記付勢手段の付勢力の作用する箇所が第1面から第2面に移動する。
請求項7に係る発明は、液体が充填されるケーシングと、該ケーシング内に配置され、前記ケーシングに回転可能に支持されたシャフトと、該シャフトの周面に設けられ、前記ケーシング内を第1室、第2室に分けるフラップと、一方の開口が前記第1室に、他方の開口が前記第2室に臨むように、前記フラップにそれぞれ設けられた第1管路、第2管路と、前記第1管路内に設けられる第1一方向バルブであって、前記第1室から前記第2室への液体の流れを許容し、前記第2室から前記第1室への液体の流れを阻止する第1一方向バルブと、前記第2管路内に設けられる第2一方向バルブであって、前記第2室から前記第1室への液体の流れを許容し、前記第1室から前記第2室への液体の流れを阻止する第2一方向バルブと、からなるドアチェック装置において、前記第1一方向バルブ、前記第2一方向バルブは、請求項1乃至6のいずれかに記載の一方向バルブであることを特徴とするドアチェック装置である。
【0022】
シャフトが回転すると、第1管路、第2管路に液体が流れる。
第1室から第2室に向かって液体が流れる場合、第1管路の第1一方向バルブの弁体は、液体の圧力により穴部から離れる方向に押される。また、第2管路の第2一方向バルブの弁体は、液体の圧力により穴部を塞ぐ方向に押される。そして、付勢手段の付勢力に抗して、第1一方向バルブの弁体が穴部から離れる方向に移動する。そして、ドアの回転が停止すると、付勢手段の付勢力の穴部を塞ぐ方向の分力により、第1一方向バルブの弁体は速やかに穴部を塞ぐ。
【0023】
一方、第2室から第1室に向かって液体が流れる場合、第2管路の第2一方向バルブの弁体は、液体の圧力により穴部から離れる方向に押される。また、第1管路の第1一方向バルブの弁体は、液体の圧力により穴部を塞ぐ方向に押される。そして、付勢手段の付勢力に抗して、第2一方向バルブの弁体が穴部から離れる方向に移動すると、付勢手段の付勢力の穴部を塞ぐ方向の分力が小さくなる。
【0024】
そして、ドアの回転が停止すると、付勢手段の付勢力の穴部を塞ぐ方向の分力により、第2一方向バルブの弁体は速やかに穴部を塞ぐ。
【発明の効果】
【0025】
請求項1−請求項6に係る発明によれば、該環状シールを収容するために、前記穴部の周縁、前記弁体のうちのどちらかに凹設される収容凹部と、該収容凹部の周縁に連通する連通凹部と、を有し、前記環状シールは、前記収容凹部内で、前記穴部の周縁と前記弁体との間を進退可能であることにより、バルブの開状態で、液体の断続的な流れが起こりにくく、作動が安定する。
【0026】
請求項2に係る発明によれば、弁体より上流の液体の圧力がやっと弁体を動かす程度の圧力である場合、収容凹部内に収容される環状シールは、収容凹部内で、収容凹部の底部から浮いた状態となり、更に、環状シールの連通凹部と対向する部分は、連通凹部内に拡径され、液体は環状シールの拡径された領域を通って前記連通凹部に連続して流れ、作動が安定する。
【0027】
請求項3に係る発明によれば、前記穴部内に挿入される突起を前記弁体に設けたことにより、環状シールの径方向のずれを防止できる。
請求項4に係る発明によれば、前記連通凹部は、前記収容凹部の周縁から放射状に延び、等ピッチ間隔で設けられた3つ以上の溝よりなることにより、弁体より上流の液体の圧力がやっと弁体を動かす程度の圧力である場合でも、弁体の移動が安定する。
【0028】
請求項5に係る発明によれば、前記弁体の移動方向に延びる液体流路を前記弁体に設け、前記液体流路の一端を前記連通凹部に開口させることにより、弁体より上流の液体の圧力がやっと弁体を動かす程度の圧力である場合でも、液体の流れがスムーズとなる。
【0029】
請求項6に係る発明によれば、前記付勢手段は、前記管路側、前記弁体側のうちのいずれか一方の側に設けられ、前記管路側、前記弁体側のうちのいずれか他方の側には、前記弁体の移動方向に対して交差し、前記付勢手段の付勢力が作用すると、前記弁体に前記穴部を塞ぐ方向の分力が発生する第1面と、前記穴部を塞ぐ方向の分力が前記第1面より小さな分力が発生する第2面とが形成され、前記第1面に付勢力が作用する場合には、前記弁体は、前記穴部を塞ぐことが可能で、更に、前記管路内に液体が流れる時、前記環状シールは、前記収容凹部に拘束されつつ拡径され、前記液体は前記環状シールの拡径された領域を通って前記連通凹部に流れることにより、弁体より上流の液体の圧力が、やっと弁体を動かす程度の圧力である場合、弁体は穴部から大きく離れないので、付勢手段に作用する箇所は第1面にとどまる。そして、液体は、前記環状シールの拡径された領域から前記連通凹部、弁体を介して下流に連続して流れ、作動が安定する。
【0030】
請求項7に係る発明によれば、前記第1一方向バルブ、前記第2一方向バルブは、請求項1乃至6のいずれかに記載の一方向バルブである。
よって、シャフトがゆっくり回転し、弁体より上流の液体の圧力がやっと弁体を動かす程度の圧力である場合でも、一方向バルブの作動が安定し、ドア開閉時の操作感が良い。
【0031】
請求項6記載の一方向バルブの場合は、シャフトがゆっくり回転し、弁体より上流の液体の圧力がやっと弁体を動かす程度の圧力である場合、弁体は穴部から大きく離れないので、付勢手段に作用する箇所は第1面にとどまる。そして、液体は、前記環状シールの拡径された領域から前記連通凹部、弁体を介して下流に連続して流れ、作動が安定するので、ドア開閉時の操作感が良い。
【0032】
次に、シャフトが速く回転し、弁体より上流の圧力が大きな場合、前記付勢手段の付勢力の作用する箇所が第1面から第2面に移動し、環状シールの挙動に拘わらず、液体は、穴部から弁体を介して下流に連続的に流れるので、作動が安定するので、ドア開閉時の操作感が良い。更に、付勢手段の付勢力の作用する箇所が第1面から第2面に移動した時点で、穴部を塞ぐ方向の分力が前記第1面より小さな分力となる。即ち、ドア開閉の操作力が、始めは大きな力を必要とするが、付勢手段の付勢力の作用する箇所が第1面から第2面に移動した時点で、ドア開閉の操作力が小さくて済むようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の一方向バルブをドアチェック装置に用いた実施の形態例を説明する。
最初に、図10、図11を用いて、本形態例のドアチェック装置の車両への取り付け構造を説明する。図10に示すように、ドア300は、アッパヒンジ301とロアヒンジ303を用いて、ボデー305に回転可能に取り付けられている。そして、ドアチェック装置351が、アッパヒンジ301側に設けられる。
【0034】
図11に示すように、アッパヒンジ301は、基端部側がボデー305側に取り付けられるヒンジフィメール311と、基端部側がドア300側に取り付けられるヒンジメール313と、ヒンジフィメール311の先端部側に設けられたヒンジピン穴311aに嵌合固着され、ヒンジメール313の先端部側に設けられたヒンジピン穴313aに遊嵌されて、ヒンジメール313に対して相対的にヒンジフィメール311と一体となって回転するヒンジピン315とからなっている。そして、ドア300側でヒンジメール313の下部にドアチェック装置351が取り付けられ、このドアチェック装置351のシャフト355はヒンジピン315と結合され、ヒンジピン315とシャフト355とが一体に回転するようになっている。
【0035】
次に、図1−図2を用いて、図10、図11のドアチェック装置351を説明する。図1は図10の切断線I−Iでの断面図、図2は図1の切断線II−IIでの断面図である。
【0036】
これらの図において、ドアチェック装置351のケーシング353内には、シリコーンオイル等の液体が充填されている。ケーシング353内には、ケーシング353に回転可能に支持されたシャフト355が配置されている。
【0037】
シャフト355の周面には、ケーシング353内を第1室357と、第2室359とに分けるフラップ361が設けられている。
フラップ361には、一方の開口が第1室357に、他方の開口が第2室359に臨むように、それぞれ第1管路371と、第2管路373とが形成されている。
【0038】
第1管路371、第2管路373には、第1一方向バルブ381、第2一方向バルブ383が設けられている。第1一方向バルブ381は、通常は閉状態で、第1室357内の液圧が高くなると、開状態となり、第1室357から第2室359への液体の流れを許容し、第2室359内の液圧が高くなっても、閉状態を保持するバルブである。又、第2一方向バルブ383は、通常は閉状態で、第2室359内の液圧が高くなると、開状態となり、第2室359から第1室357への液体の流れを許容し、第1室357内の液圧が高くなっても、閉状態を保持するバルブである。
【0039】
ここで、第1一方向バルブ381、第2一方向バルブ383を説明する。尚、第1一方向バルブ381と、第2一方向バルブ383との構造は同一なので、図3、図4、図9を用いて、第1一方向バルブ381を説明し、第2一方向バルブ383の説明は省略する。図3は図2の第1一方向バルブの拡大図、図4は図3の弁体の上面図、図9は図2の蓋の取り付けを説明する図である。
【0040】
図3に示すように、第1管路371は、第1室357側の小径部371aと、第2室359側の穴411dと、小径部371aと穴411dとをつなぐ大径部371bとからなっている。大径部371bには、この大径部371bに移動可能に係合し、小径部371aと大径部371bとの間の段部371dに形成された開口(穴部)371cを塞ぐことにより、第1一方向バルブ381が閉状態となる弁体391と、弁体391を開口(穴部)371cを塞ぐ方向に付勢する付勢手段401と、大径部371bの第2室359に臨んだ開口を塞ぐように設けられる蓋411とが設けられている。
【0041】
弁体391は、小径部371a側に底部391aが形成された有底円筒状である。底部391aの中央部には、開口371c(小径部371a)に挿入可能な突起391bが形成されている。
【0042】
又、図3、図4に示すように、底部391aの段部371dとの対向面(以下、底部391aの外面という)には、突起391bを中心として環状の溝(収容凹部)391cが形成され、この溝391cには、段部371dに当接することにより、小径部371aと大径部371bとの間のシールを行なうOリング(環状シール)393が挿入されている。尚、Oリング393は、開口(穴部)371cの周縁と弁体391の溝391cとの間を進退可能に設けられている。又、図4に示すように、底部391aの外面には、溝391cの周縁に連通する連通凹部が形成されている。本形態例の連通凹部は、溝391cの周縁から放射状に延び、等ピッチ間隔(本形態例では90°ピッチ)で設けられた4本の連通溝392である。
【0043】
弁体391の底部391aには、弁体391の移動方向に延びる液体流路394が形成され、液体流路394の一端は、連通溝392に開口している。
図9に示すように、フラップ361には、蓋411が嵌合する蓋嵌合部361aが形成されている。この蓋嵌合部361aには、蓋411の周囲に形成されたつば部411eが係合可能な溝361bが形成されている。
【0044】
そして、蓋411の取り付け方向は、図9に示すように、第1一方向バルブ381の液体が流れる方向(図9において、矢印X方向)と交差する方向(図9において、矢印VI方向)に設定されている。
【0045】
図3に戻って、蓋411の大径部371bと対向する面(以下、蓋411の内面という)には、突部411aが形成されている。この突部411aの先端側には、弁体391の移動方向に対して交差する第1面411bが形成され、突部411aの基端側には、弁体391の移動方向に対して交差し、第1面411bより弁体391の移動方向に対する傾きがゆるい第2面411cが形成されている。更に、蓋411には、液体が流れる穴411dが形成されている。尚、本形態例では、弁体391の4つの液体流路394の開口面積の和より、蓋411の穴411dの開口面積を狭くした。
【0046】
付勢手段401は、薄板を折り曲げて形成された略Ω状で、弁体391の底部391aの段部371dとの対向面と反対側の面(以下、底部391aの内面という)に押接する弁体当接部401aと、突部411aの第1面411b、第2面411cを挟むように押接する2つの突部押接部401bとからなっている。
【0047】
突部411aの第1面411b、第2面411cは、付勢手段401を介して、弁体391に開口371cを塞ぐ方向の分力を発生させように形成されている。更に、第2面411cは、第1面411bと異なる傾斜であるので、付勢手段401が第2面411cを押圧する際には、第1面411bを押圧する際に比べて、開口371cを塞ぐ方向の分力が小さくなる。即ち、弁体391が開口(穴部)371cに近づくに従って、開口371cを塞ぐ方向の分力が大きくなるようになっている。
【0048】
次に、図3−図8を用いて、第1一方向バルブ381の作動を説明する。
通常、図3に示すように、付勢手段401の突部押接部401bは、突部411aの第1面411bを押接し、弁体391は開口371cを塞ぐ、バルブ閉状態となっている。
【0049】
ドアを回転させると、フラップ(シャフト355)361が早く回転して、第1室357側(弁体391の上流側)の液体の圧力が高くなる。
(1) ドアをゆっくり回転させ、第1室357側の液体の圧力がやっと弁体391を動かす程度の圧力である場合、図5、図6に示すように、弁体391は、開口(穴部)371cから大きく離れないので、付勢手段401の突部押接部401bは、突部411aの第1面411bにとどまる。
【0050】
この時、溝391c内に収容されるOリング393は、図5、図6に示すように、溝391c内で、溝391cの底部から浮いた状態となる。更に、Oリング393の連通溝392と対向する部分は、図5に示すように連通溝392方向に拡径される。よって、液体は、Oリング393の拡径された領域から連通溝392、液体流路394を介して下流に連続して流れる。
【0051】
(2) ドアを早く回転させ、第1室357側の液体の圧力が弁体391を大きく動かす圧力である場合、付勢手段401の付勢力に抗して、弁体391が開口371cから離れる方向に移動し、付勢手段401の突部押接部401bは、突部411aの第1面411b(図5参照)を介して第2面411cである図7に示すバルブ開状態となる。すると、付勢手段401の突部押接部401bが押接する箇所が突部411aの第2面411cであるので、開口371cを塞ぐ方向の分力が小さくなり、小さな液圧の液体でも、バルブ開状態が保持される。
【0052】
更に、弁体391が開口371cから離れる方向に移動すると、図8に示すように、付勢手段401の突部押接部401bの先端が蓋411の内面に当接し(底付き状態)、弁体391のそれ以上の移動が禁止される。
【0053】
この時、図7、図8に示すように、液体は、弁体391の液体流路394を介して下流に連続的に流れる。
ドアを回転する操作力の変化を図12、図13、図14に示す。図12は上記(1)の場合で、ドアをゆっくり回転させ、第1室357側の液体の圧力がやっと弁体391を動かす程度の圧力である場合である。図13は上記(2)の場合で、ドアを早く回転させ、第1室357側の液体の圧力が弁体391を大きく動かす圧力である場合である。図14は、最初は、ドアをゆっくり回転させ、途中からドアを早く回転させた場合を示している。
【0054】
上記構成によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)Oリング393を収容するために、弁体391に凹設される溝391cと、溝391cの周縁に連通する連通溝392と、を有し、Oリング393は、溝391c内で、開口(穴部)371cの周縁と弁体391との間を進退可能であることにより、弁体391より上流の液体の圧力がやっと弁体391を動かす程度の圧力である場合、溝391c内に収容されるOリング393は、溝391c内で、溝391cの底部から浮いた状態となり、更に、Oリング393の連通溝392と対向する部分は、連通溝392内に拡径され、液体はOリング393の拡径された領域を通って連通溝392に連続して流れ、一方向バルブ381、383の作動が安定する。
【0055】
又、図12に示すように、ドアのゆっくりとした動きに対し、ドアチェック装置351は、一定操作力を維持したまま安定した作動が可能となるので、ドアを少しだけ開閉する場合によい。
(2)開口371c(小径部371a)に挿入可能な突起391bを弁体391に設けたことにより、Oリング393の径方向のずれを防止できる。
(3)連通溝392は、溝391cの周縁から放射状に延び、等ピッチ間隔で設けられた4本の溝状であることにより、弁体391より上流の液体の圧力がやっと弁体391を動かす程度の圧力である場合でも、一方向バルブ381、383の弁体391の移動が安定する。
(4)弁体391の移動方向に延びる液体流路を弁体391に設け、液体流路の一端を連通溝392に開口させることにより、弁体391より上流の液体の圧力がやっと弁体391を動かす程度の圧力である場合でも、一方向バルブ381、383の液体の流れがスムーズとなる。
(5)付勢手段401は、弁体391側に設けられ、第1管路371、第2管路373には、弁体391の移動方向に対して交差し、付勢手段401の付勢力が作用すると、弁体391に開口(穴部)371cを塞ぐ方向の分力が発生する第1面411bと、開口371cを塞ぐ方向の分力が第1面411bより小さな分力が発生する第2面411cとが形成され、第1面411bに付勢力が作用する場合には、弁体391は、開口371cを塞ぐことが可能で、更に、第1管路371、第2管路373に液体が流れる時、Oリング393は、溝391cに拘束されつつ拡径され、液体はOリング393の拡径された領域を通って連通溝392に流れることにより、弁体391より上流の液体の圧力が、やっと弁体391を動かす程度の圧力である場合、弁体391は穴部から大きく離れないので、付勢手段401に作用する箇所は第1面411bにとどまる。そして、液体は、Oリング393の拡径された領域から連通溝392、弁体391の液体流路394を介して下流に連続して流れ、作動が安定し、又、ドアチェック装置351のドア開閉時の操作感が良い。
【0056】
次に、弁体391より上流の圧力が大きな場合、弁体391は開口371cから大きく離れ、付勢手段401の付勢力の作用する箇所が第1面411bから第2面411cに移動し、Oリング393の挙動に拘わらず、液体は、開口371cから弁体391の液体流路394を介して下流に連続的に流れる。更に、付勢手段401の付勢力の作用する箇所が第1面411bから第2面411cに移動した時点で、開口371cを塞ぐ方向の分力が第1面411bの時より小さな分力となる。
【0057】
よって、ドアの速い回転に対し、ドアチェック装置のチェック力を急低下することができ、ドア開閉の操作力が小さくて済むようになるので、ドアを速く回転する場合によい。
又、付勢手段401の付勢力の作用する箇所が第1面411bから第2面411cに移動した後で、弁体391より上流の液体の圧力が低下しても、弁体391は開口371c方向に移動しないので液体は流れる。
【0058】
尚、本発明は上記形態例に限定するものではない。上記形態例では、Oリング393と、このOリング393を収容する溝391cと、溝391cの周縁から放射状に延びる連通溝392とを弁体391側に設けたが、第1管路371、第2管路373の段部371dに設けても良い。又、第1面411b、第2面411cは、蓋411、即ち、第1管路371、第2管路373側に設けたが、弁体391側に設け、付勢手段401の弁体当接部401aを蓋411に当接させてもよい。
【0059】
連通溝としては、図15に示すように、溝391cの周縁から放射状に延びる複数の連通溝592と、これら連通溝592の先端同士連絡する環状の連通溝593とからなる連通溝であってもよい。又、図16に示すように、溝391cの周縁から放射状に延び、弁体391の外縁まで延出する連通溝692であってもよい。更に、図17に示すように、溝391cの周縁から放射状に延びる1つの連通溝722であってもよい。又、液体流路394は、連通溝722以外の箇所に形成する。
【0060】
又、Oリングを収容する溝、この溝の周縁に連通する連通溝の代わりに、図18、図19に示すような構成であってもよい。弁体391の底部391aの外面に、円筒状の突起701を形成し、この突起701の内周側を収容凹部としてOリング393を配設する。そして、突起701の周壁に等ピッチ間隔(図においては、90°ピッチ)でスリット701aを形成し、このスリット701aを収容凹部の周縁に連通する連通凹部とする。
【実施例】
【0061】
本願発明者は、本発明の効果を確認するべく、図1−図9に示すような形態例のドアチェック装置と、比較例として図1−図9に示すような形態例のドアチェック装置において、連通溝392がないドアチェック装置とで、4.4,7.1,8.8deg/sの一定角速度でフラップを回転させた際の変位と荷重との関係を計測した。尚、フラップの寸法は、図9に示すR=23mm,r=10mm,h=50mmのものを用いた。
【0062】
この結果を図20に示す。図20に示すように、比較例のほうは、荷重が波打ち、操作感が悪いことが、又、形態例のほうは、荷重が略一定となり、操作感がよいことを確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】図10の切断線I−Iでの断面図である。
【図2】図1の切断線II−IIでの断面図である。
【図3】図2の第1一方向バルブの拡大図である。
【図4】図4は図3の弁体の上面図である。
【図5】図3の第1一方向バルブの作動を説明する図である。
【図6】図4の切断線VI−VIでの断面図である。
【図7】図3の第1一方向バルブの作動を説明する図である。
【図8】図3の第1一方向バルブの作動を説明する図である。
【図9】図2の蓋の取り付けを説明する図である。
【図10】ドアチェック装置が設けられたドア周りの分解斜視図である。
【図11】図10のアッパヒンジ部分を拡大した図である。
【図12】ドアを回転する操作力の変化を示す図である。
【図13】ドアを回転する操作力の変化を示す図である。
【図14】ドアを回転する操作力の変化を示す図である。
【図15】連通溝の他の形態例を説明する図である。
【図16】連通溝の他の形態例を説明する図である。
【図17】連通溝の他の形態例を説明する図である。
【図18】Oリングを収容する溝、連通溝の他の形態例を説明する図である。
【図19】図18の正面図である。
【図20】実施例を説明する図である。
【図21】従来のドアチェック装置を説明する図である。
【図22】図21の作動を説明する図である。
【図23】図21の作動を説明する図である。
【符号の説明】
【0064】
371 第1管路(管路)
371c 開口(穴部)
381 第1一方向バルブ
391 弁体
391c 溝(収容凹部)
392 連通溝(連通凹部)
393 Oリング(環状シール)
401 付勢手段
411d 穴(出口)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が流れる管路と、
該管路内を進退移動する弁体と、
前記管路内であって、前記弁体より上流側に設けられ、前記弁体に塞がれることによって閉状態となる穴部と、
該穴部を塞ぐ方向に前記弁体を付勢する付勢手段と、
前記管路内の液体の流れを遮断するように、前記穴部の周縁と前記弁体との間に配置される環状シールと、
該環状シールを収容するために、前記穴部の周縁、前記弁体のうちのどちらかに凹設される収容凹部と、
該収容凹部の周縁に連通する連通凹部と、
を有し、
前記環状シールは、前記収容凹部内で、前記穴部の周縁と前記弁体との間を進退可能であることを特徴とする一方向バルブ。
【請求項2】
前記管路内に液体が流れる時、前記環状シールは、前記収容凹部に拘束されつつ拡径され、前記液体は前記環状シールの拡径された領域を通って前記連通凹部に流れることを特徴とする請求項1記載の一方向バルブ。
【請求項3】
前記穴部内に挿入される突起を前記弁体に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の一方向バルブ。
【請求項4】
前記連通凹部は、前記収容凹部の周縁から放射状に延び、等ピッチ間隔で設けられた3つ以上の溝よりなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の一方向バルブ。
【請求項5】
前記弁体の移動方向に延びる液体流路を前記弁体に設け、前記液体流路の一端を前記連通凹部に開口させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の一方向バルブ。
【請求項6】
前記付勢手段は、前記管路側、前記弁体側のうちのいずれか一方の側に設けられ、
前記管路側、前記弁体側のうちのいずれか他方の側には、前記弁体の移動方向に対して交差し、前記付勢手段の付勢力が作用すると、前記弁体に前記穴部を塞ぐ方向の分力が発生する第1面と、前記穴部を塞ぐ方向の分力が前記第1面より小さな分力が発生する第2面とが形成され、
前記第1面に付勢力が作用する場合には、前記弁体は、前記穴部を塞ぐことが可能で、更に、前記管路内に液体が流れる時、前記環状シールは、前記収容凹部に拘束されつつ拡径され、前記液体は前記環状シールの拡径された領域を通って前記連通凹部に流れることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の一方向バルブ。
【請求項7】
液体が充填されるケーシングと、
該ケーシング内に配置され、前記ケーシングに回転可能に支持されたシャフトと、
該シャフトの周面に設けられ、前記ケーシング内を第1室、第2室に分けるフラップと、
一方の開口が前記第1室に、他方の開口が前記第2室に臨むように、前記フラップにそれぞれ設けられた第1管路、第2管路と、
前記第1管路内に設けられる第1一方向バルブであって、前記第1室から前記第2室への液体の流れを許容し、前記第2室から前記第1室への液体の流れを阻止する第1一方向バルブと、
前記第2管路内に設けられる第2一方向バルブであって、前記第2室から前記第1室への液体の流れを許容し、前記第1室から前記第2室への液体の流れを阻止する第2一方向バルブと、
からなるドアチェック装置において、
前記第1一方向バルブ、前記第2一方向バルブは、請求項1乃至6のいずれかに記載の一方向バルブであることを特徴とするドアチェック装置。
【請求項1】
液体が流れる管路と、
該管路内を進退移動する弁体と、
前記管路内であって、前記弁体より上流側に設けられ、前記弁体に塞がれることによって閉状態となる穴部と、
該穴部を塞ぐ方向に前記弁体を付勢する付勢手段と、
前記管路内の液体の流れを遮断するように、前記穴部の周縁と前記弁体との間に配置される環状シールと、
該環状シールを収容するために、前記穴部の周縁、前記弁体のうちのどちらかに凹設される収容凹部と、
該収容凹部の周縁に連通する連通凹部と、
を有し、
前記環状シールは、前記収容凹部内で、前記穴部の周縁と前記弁体との間を進退可能であることを特徴とする一方向バルブ。
【請求項2】
前記管路内に液体が流れる時、前記環状シールは、前記収容凹部に拘束されつつ拡径され、前記液体は前記環状シールの拡径された領域を通って前記連通凹部に流れることを特徴とする請求項1記載の一方向バルブ。
【請求項3】
前記穴部内に挿入される突起を前記弁体に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の一方向バルブ。
【請求項4】
前記連通凹部は、前記収容凹部の周縁から放射状に延び、等ピッチ間隔で設けられた3つ以上の溝よりなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の一方向バルブ。
【請求項5】
前記弁体の移動方向に延びる液体流路を前記弁体に設け、前記液体流路の一端を前記連通凹部に開口させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の一方向バルブ。
【請求項6】
前記付勢手段は、前記管路側、前記弁体側のうちのいずれか一方の側に設けられ、
前記管路側、前記弁体側のうちのいずれか他方の側には、前記弁体の移動方向に対して交差し、前記付勢手段の付勢力が作用すると、前記弁体に前記穴部を塞ぐ方向の分力が発生する第1面と、前記穴部を塞ぐ方向の分力が前記第1面より小さな分力が発生する第2面とが形成され、
前記第1面に付勢力が作用する場合には、前記弁体は、前記穴部を塞ぐことが可能で、更に、前記管路内に液体が流れる時、前記環状シールは、前記収容凹部に拘束されつつ拡径され、前記液体は前記環状シールの拡径された領域を通って前記連通凹部に流れることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の一方向バルブ。
【請求項7】
液体が充填されるケーシングと、
該ケーシング内に配置され、前記ケーシングに回転可能に支持されたシャフトと、
該シャフトの周面に設けられ、前記ケーシング内を第1室、第2室に分けるフラップと、
一方の開口が前記第1室に、他方の開口が前記第2室に臨むように、前記フラップにそれぞれ設けられた第1管路、第2管路と、
前記第1管路内に設けられる第1一方向バルブであって、前記第1室から前記第2室への液体の流れを許容し、前記第2室から前記第1室への液体の流れを阻止する第1一方向バルブと、
前記第2管路内に設けられる第2一方向バルブであって、前記第2室から前記第1室への液体の流れを許容し、前記第1室から前記第2室への液体の流れを阻止する第2一方向バルブと、
からなるドアチェック装置において、
前記第1一方向バルブ、前記第2一方向バルブは、請求項1乃至6のいずれかに記載の一方向バルブであることを特徴とするドアチェック装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2009−197890(P2009−197890A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−39869(P2008−39869)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(590001164)シロキ工業株式会社 (610)
【出願人】(000103644)オイレス工業株式会社 (384)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(590001164)シロキ工業株式会社 (610)
【出願人】(000103644)オイレス工業株式会社 (384)
【Fターム(参考)】
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