一次元配列3−D位置感受性イオン化検出器
本発明は、改良されたガンマ線検出モジュール(300)、および検出器(304)内のガンマ線相互作用の位置(340)をより正確に決定するために、検出モジュール(300)を操作する方法を提供する。検出モジュール(300)は、検出器(304)内に適用された他の配列に対してオフセット角度に設けられた誘導配列(311)を含む。このとき、誘導配列(311)およびコレクタ、または陽極(310)によるイオン化電子(306)の検出の相対時間は、イオン化電子(360)が生成される相互作用(340)の位置に対応する、少なくとも1つの座標を示す。この2次的位置決定装置および方法は、正確性を向上する、または検出装置の複雑さを減少させることによって、従来の位置決定装置または方法を補う、またはこれに置き換わる。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔優先権主張〕
本発明は、合衆国法典35巻119条(e)の下、米国仮特許出願No.60/554,346(2004年3月19日出願)に基づく優先権を主張し、その内容は、参照として、完全に、かつすべての目的のために、ここに組み込まれている。
【0002】
〔発明の背景〕
(技術分野)
本発明は、一般に、ガンマ線検出器に関する。より具体的には、本発明は、スキャニングした対象物の画像を生成するための検出器内部における、ガンマ線相互作用の位置決定を、より精密に行い得るように改良したガンマ線検出器に関する。
【0003】
(背景技術)
ガンマ線検出器は、広く様々な装置および処理技術に用いられている。このような装置および処理技術には、例えば、陽電子放出断層撮影法(PET)、シングルフォトンエミッションCT(SPECT)、密輸爆薬探知機等が含まれる。そのようなすべての装置には、所定レベルの精度において、ガンマ線と検出器の構成要素との間の相互作用の位置を決定し得る検出器を組み込んでいる。このような多数の相互作用に一致する位置測定データを累積することによって、ガンマ線が放出されている対象物のスキャニング画像が生成され得る。これらの技術は、当該分野において公知であるため、ここで詳述しない。
【0004】
これらの検出器が遭遇する難点は、十分な解像度で、対象物を効率よくスキャニングするために、これらの検出器の多様性が必要である点である。検出器のガンマ線の相互作用の位置を決定するために、そのような決定の多様性(典型的には何百万)を有する十分なデータが、スキャンされた対象物の累積画像を生成するために得られる。各検出器は、検出器内で生じるガンマ線相互作用のために、位置データが生成可能でなければならないので、後の編集および画像生成(例えばコンピュータによる)と同様に、位置データの取得に用いるのに便利な装置は、大きくかつ高価な器具が要求される傾向にある。
【0005】
典型的には、そのような検出器による検出データの収集は、検出器内部に備え付けられ、光を生成するシンチレーター材料を用いたガンマ線の相互作用により開始される。光を放出する複数の検出器のデータ、および光の放出により誘発された検出器内部の位置を決定することによって、スキャンされた対象物内のポジトロン消滅事象に推定的に一致する位置データが収集される。そのような多様な検出器を、少なくともスキャンする対象物の周囲に配置することによって、多数の位置データを収集し得、検出器により収集されたデータに一致する画像を生成するためにコンピュータにより続いて処理され得る。
【0006】
上記のようなガンマ線スキャニング装置において用いられた従来のガンマ線検出器は、典型的に、高価なシンチレーター結晶材料(例えばセリウムが添加されたルテチウムoxyorthosilicate(LSO)および/またはビスマス成長(BGO))を含む。これらの材料は、ガンマ線により誘発されたとき、光を放出する。このような検出器のX−Y位置の分解能は、20mm2のオーダーであり、検出器配列を交差する解像度において、一様ではないいくつかのレベルに並べられる傾向にある。結果として、そのような検出器は、相互作用が生じたときに、正確な位置に関して(例えば、X−Y座標において)不正確な固有のレベルを有する。加えて、相互作用の深さ(例えば、Z座標)は、一般に決定されない、または決定されても不十分である。これは、いわゆる視差エラーの結果であり、かつ位置データから生成される図面の正確さがさらに減少する。
【0007】
モジュール式の光信号を誘発する装置は、ブライマン(Bryman)の米国特許No.6,100,532(発明の名称:ガンマ線検出器“Bryman1”)に開示されている。これを、参照のために、ここにその全てを組み込む。Bryman1は、ガンマ線相互作用の位置を決定するためのガンマ線検出器を開示している。この検出器は、少なくとも1つのモジュールを有し、各モジュールは、ガンマ線を荷電粒子に変換するための変換器を有している。シンチレーター材料は、変換器により生成される荷電粒子と共に、相互作用に応じて光を放出するために、検出器に備えられている。光検出器は、シンチレーターから光が放出されたときを決定する。2つの座標位置検出器は、検出された光が生成される相互作用のX、Y、およびZ座標を決定するために、備えられている。
【0008】
制御機構および信号装置は、光検出器内に放出された光の検出を信号化するため、および位置検出器を作動させるために、検出器に連結されている。Bryman1に開示されたシステムは、従来の検出器の欠陥のいくつかに取り組み、安価に製造し得るガンマ線検出器を備えていた。この装置において、要求された位置データを得るために必要な監視手段は少なくてよい。そして、ガンマ線相互作用のX、Y、およびZ座標をより正確に決定し得る。
【0009】
材料(キセノン(Xe)、クリプトン(Kr)、およびその他の希ガスのような不活性液体を含む)中のガンマ線の変換と、そのような材料内でのシンチレーション光、および荷電産物(電子およびポジトロン)の生成とは、当該分野において公知である。さらに、ソフトウエア手段は、ガンマ線の相互作用、および検出体を伴う荷電粒子のシミュレーションのために、当該分野において容易に用いられる。不活性の液体イオン化チャンバ、時間投影チャンバ(TPC)、および光検出配列のような荷電粒子のための位置感受性検出器は、以下により詳細に開示する装置により得られるものと同様の、位置およびエネルギー分解能を有した機器が一般に用いられる。
【0010】
それらの全てを参照としてここに組み込んだ、K.Masudaらによる、A Liquid Xenon Position Sensitive Gamma−Ray Detector for Positron Annihilation Experiments, Nucl.Instr.Meth.188(1981)629−38、およびK.Masudaらによる、Test of a Dual−Type Gridded Ionization Chamber Using Liquid Zenon, Nucl.Instr.Meth.174 (1980) 439−46のそれぞれに示されているように、格子を有する液体Xe位置感受性イオン化検出器は、低エネルギーガンマ線のための、1ミリメートル未満の位置分解を提供するために設置されていてもよい。ゲート時間投影イオン化チャンバ(気体堆積装置)が報告されている。コロンビア大学は、例えば液体Xe TPCを公表している(参照としてここに組み込んだE.Aprileらの、The Liquid Xenon Gamma−Ray Imaging Telescope(LXeGRIT)for Medium Energy Astrophysics, Proceedings−SPIE The International Society For Optical Engineering, SPIE Vol.2806, pp.337−48)。
【0011】
1mm位置分解、および1MeVエネルギーを示すガンマ線に対して5.9%のエネルギー分解を達成する液体Xeイオン化TPCの開示された形態の1つもまた報告されている。加えて、Lopesらは、報告によれば1mmの軸横断位置分解、5mmの相互作用分解の深さ、1.3nsの同期分解、17%の511keVにおけるエネルギー分解、および60%の効率の能力を有する液体Xeイオン化検出器を組み立てている(M Lopesらの、Positron Emission Tomography Instrumentation: Development of a Detector Based on Liquid Xenon, Proc.Calorimetry in High Energy Physics, pages675−80(1999)参照のこと)。ここにそのすべてを参照として組み込む。
【0012】
これら、および他の論文は、荷電粒子軌道の測定の問題のために加えられたパッドおよびワイヤ、ゲート格子、ならびにシンチレーター誘発を用いてイオン化信号を収集するための機器の様々な構成について述べる。これらの機器は、適切な相互作用が起こる最初の指標として、主としてシンチレーション光を用いる傾向にあるが、相互作用の位置を明確に特定するものではない。
【0013】
KAMIOKANDE(K.S.HirataらのExperimetal Study of the Atmospheric Neutrino Flux, PHYSICS LETTERS B, Vol.205, number2,3, p.416−20(1988)に示されている)および他の検出器において、光放出液体および/または個体からなる表面において提供される光検出器の配列は、ガンマ線および荷電粒子の相互作用の位置を特定するために用いられている。L.BarkovらのSearch for μ+→e+γ down to 10−14 branching ratio, Paul Scherer Institute proposal R−99−05.1(1999)において、少量の周りに光増幅管配列を有する液体シンチレーション検出器を用いて研究されたlepton−flavor−violating decay μ+→e+γは、1MeVガンマ線のための8mm full width half maximum(fwhm)位置分解を提供することが論証された。
【0014】
〔発明の開示〕
本発明は、検出器モジュールにおいて使用される個々の構成要素を示すために上述した従来の検出器のいくつかの機能を組み合わせ、改良した検出器に関するものである。これらの構成要素は、低エネルギーガンマ線検出の向上を提供するための特別な検出モジュールおよび配列の広い多様性に適用され得る。
【0015】
従って、本発明の例示形態は、検出器内部のガンマ線相互作用の位置をより正確に決定し得る改良されたガンマ線検出モジュールを含み、その方法は、ガンマ線と媒体との間の相互作用に応じて、媒体において光を放出する工程と、複数の光検出器を用いて媒体から光が放出された時点、および相互作用の3次元位置を決定する工程と、コレクタとの相互作用により生じるイオン化電子をもたらすドリフト領域を形成する工程と、コレクタ中のイオン化電子の位置に基づいて、コレクタ中の相互作用の2次元位置を特定することによって、相互作用の正確な3次元位置を決定する工程と、光が検出されたときと比較したイオン化電子の到着時間に基づいて、厚さを決定する工程とを含む。
【0016】
本発明の他の例示形態は、ガンマ線相互作用の位置を決定するための、改良されたガンマ線検出器を提供する。この本発明のガンマ線検出器は、ガンマ線と媒体との間の相互作用に応じて光およびイオン化電子を放出するための媒体を含む活性領域と、媒体から光が放出された時点、および相互作用の3次元位置を決定するための複数の光検出器と、コレクタ中のイオン化電子の位置に基づいてコレクタ中の相互作用の2次元位置を特定することよる相互作用の正確な3次元位置の決定と、光が検出されたときと比較したイオン化電子の到着時間に基づいた厚さの決定とを行うために用いられるコレクタとを備え、このコレクタは、イオン化電子の動作、およびコレクタに対する相互作用の結果生じるイオン化電子をもたらす媒体においてドリフト領域を形成するための複数のフィールドワイヤに対して鋭角に設置されている。
【0017】
本発明を更なる適用範囲は、以下に示す詳細な説明から明らかになるだろう。
【0018】
しかしながら、詳細な説明および特有の実施形態は、本発明の例示形態として開示する一方で、単に一例として提供され、本発明の目的および範囲内における様々な変更および修正は、以下に示す詳細な説明から、当業者に明らかになるだろう。
【0019】
本発明は、添付図面を参照した詳細な例示形態の説明により、より明確になるだろう。これらの図面は、以下により詳細に説明する、本発明の例示形態の理解を補助するために提供されるものであり、本発明を不当に制限するように解釈されるべきでない。特に、図面に示した様々な構成要素の相対的な間隔、位置、大きさ、および寸法は、一定の比率で描かれていない。これらは、明確に改良する目的で、拡大、または縮小され、あるいはその他の修正が加えられてもよい。
【0020】
〔例示形態の説明〕
本発明のもう1つの態様は、広範なガンマ線エネルギーに合わせるため、および適用にさらすために用いられる材料、寸法、および検出器の型を提供する。不活性液体材料および他の材料におけるシンチレーション光信号の高速、および素早い位置感受性誘発選択感度は、他の検出モジュールにおいて発生する同期信号を含む高速度応用に適している。
【0021】
本発明の上述した態様および他の新規態様を、さらに後述する。公知の構成要素、装置および処理は、当業者は、非本質的な情報の解釈を選択することなく発明を容易に理解するため、後述する説明においては詳細に説明しない。
【0022】
エネルギー、3次元相互作用の位置、および低エネルギーガンマ線放出角度を測定のきっかけとなる検出器をここに示す。この検出器は、ガンマ線がイオン化されるイオン化チャンバを含み、複数の相互作用を含む、3次元のイオン化位置が測定される。一式の格子または電気シャッターを含む開閉システムは、制限された時間の間、制限された空間範囲を超えて、イオン電子がドリフトするのを許容するために提供される。そのようなシステムは、開閉システムなしに操作されてもよい。この開閉システムにおいては、データが実質的に継続して記録され、適切なデータ関連性の選択は、オフライン解析により行なわれる。シンチレーション光信号に基づいて誘発されるシステムは、イオン化検出器を誘発するため、およびガンマ線相互作用により堆積される総エネルギーを測定するために、相互作用時の位置検出とイオン化エネルギーの堆積とを可能にする。位置検出情報は、オフライン解析において、光信号とイオン化信号とを相互に関係させるために使用されてもよい。
【0023】
イオン化検出器材料は、例えばキセノン(Xe)、クリプトン(Kr)、またはアルゴン(Ar)のような液体または気体を含んでいてもよい。これらの材料においては、イオン化されたとき、敏速に検出可能なシンチレーション光が生成される。また、コレクタに電極を集めるためのわずかな減衰および妨害を伴う、印加された電気領域下において、イオン電子がドリフトする。光検出器の位置感受性配列は、イオン化検出器を完全に調査する。また、光検出器の位置感受性配列は、光イオン化検出器のための誘発システムを供給する。この誘発システムは、空間および時間に関して選択的に光イオン化検出器を活性化し、相互作用エネルギーのさらなる測定を可能にする。すべての3次元相互作用位置は、比較可能な分解能を伴い、同時に測定されるので、相互作用の正確な位置が測定され(例えば、全ての3次元位置に関して約1mmまたはそれ以下)、視差エラーは大部分において存在しない。
【0024】
ガンマ線は、検出器媒体または材料において、荷電粒子に変換される(対生成またはコンプトン散乱)。そして、相互作用は、光検出器によって最初に検出される。誘発システム(例えば論理配列)は、パターンおよび刺激された光検出器の信号サイズを選択的に採用する。さらに、誘発システムは、イオン化が起こる開閉領域においてのみ開口し、イオン化電子の発現に要すると予測される時間のみ開口している。2次元的に集められた電極の配列は、イオン化の位置を正確に特定する。
【0025】
3次元位置は、シンチレーション信号時間と比較したイオン化発現の正確な時間により決定される(例えば、光信号が光検出器を活性化するとき)。集められたイオン化信号は、ガンマ線相互作用により堆積されたエネルギーを決定する。エネルギー堆積におけるさらなる情報は、集められた光信号のサイズにより与えられる。上述した処理により、収集電極配列の小領域のみが、限定された時間に限って活性化される。それゆえに、検出器のサイズに関わらず、検出器の完全な位置感受性配列には、読出し要素1セットのみが要求される。他の相互作用信号の蓄積は、誘発選択領域において、シャッター開口時期に限定される。それゆえに、他の検出器における広範囲な相互作用、および関連すする信号の同時発生に対して、動作効率を低下させることなく適用させることができる。
【0026】
ガンマ線の単一相互作用の位置およびエネルギーの検出に加えて、コンプトン散乱を含むように、複合的に起こる相互作用を、個々のガンマ線の方向を得るために用いることができる。この方式において、複合的な同時誘発は、検出器の一領域以上を活性化するために用いられる。この事象の完全なヒストリーは、ガンマ線角度を復元することにより、記録され得る。
【0027】
図1Aおよび図1Bは、初期のガンマ線検出器の設計による検出器モジュール100を示す。光検出器102a、102bの配列から得られる位置感受性信号に対する出入口のある(例えば、シャッターを開閉することによって)、時間投影イオン化チャンバが示されている。ガンマ線150は、活性領域104に含まれる媒体(例えば、液体キセノン)と相互に作用する。本実施形態において、媒体は、少なくとも活性変換器、光伝送媒体、およびイオン化ドリフト媒体として機能する。
【0028】
活性領域には、これらの要求にあう他の液体または気体媒体が含まれ得ることを、当業者は理解するだろう。相互作用140からのシンチレーション光は、少なくともいくつかの側面においてイオン化チャンバの周囲に設けられる光検出器102a、102bの配列(例えば、光電子増倍管)によって検出される。光検出器102a、102bは、光信号(例えば、放出光170)に比例した相互作用140のエネルギーを測定する(事象選択のため)。相互作用140の大まかな3次元位置は、配列内の光信号の分布により決定される。
【0029】
別の方法において、相互作用140から放出される光が、複数の光検出器102a、102b(向かい合うように配された光検出器および/または1つの側面において隣接するように配された光検出器)に達する時間の差が、相互作用140の3次元位置を決定するために用いられ得る。複数の光検出器102a、102bそれぞれに対する光の到着時間の差は、光自身の分布を調べるために比較可能な精度を伴う相互作用140の3次元位置を得るために用いられ得る。例えば、液体Xeにおいて、光は、1.9×10−10cm/sの比較的遅い速度で移動するので、0.1nsの時間分解能は、2cmの位置分解能を得るために十分である。
【0030】
さらに、上記2つの方法の組み合わせが、複数の光検出器102a、102bにより、放出光の分布を検出するために用いられ得ることを当業者は理解する。また、別々の光検出器が測定した光の到着時間の差は、検出光を放出する相互作用140の大まかな3次元位置を決定するために用いられ得ることを当業者は理解する。大きなシンチレーター検出器における到着時間およびエネルギーの両方の必要条件を有するシステムの例は、ここに参照としてその全てを組み込んだ、A.Aguilarの、LSND Collaboration, Evidence for neutrino oscillations from the observation of ..., Phys. Rev. D, Vol.64(11):112007(2001)により提供される。
【0031】
シンチレーション光(例えば、放出光)の生成に加えて、ガンマ線150の変換中に材料中において生成される電子ポジトロン対(またはコンプトン電子)は、媒体の一部をイオン化し、それによって自由イオン化電子を生成する。これらのイオン化電子は、イオン化チャンバ上に置かれた、印加された電気領域下において、コレクタアセンブリ110に対して、所望する方向にドリフトするように促される。ドリフト領域は、光信号から光検出器を遮蔽するどんな部材も制限するような大きさに形成され、かつ配置される一組のドリフト領域ワイヤ106a、106bにより組み付けられ得る。例えば、約1kV/cmの液体キセノン中のドリフト領域は、0.2cm/psの速度でイオン化電子をドリフトさせる。このドリフト速度において、10cmのドリフト距離は、検出チャンバにおける約50μsの記憶時間に一致する。
【0032】
ドリフト領域は、シンチレーション光の出力に影響し得るので、ドリフト領域の大きさおよび方向は、特定の用途に合わせて、より良く調節されることが好ましい。上述した例は、説明の目的のためのものであり、これに制限されないことを当業者は理解するだろう。それに応じて、ドリフト領域の強度、用いられる媒体、およびチャンバの大きさの、他の組み合わせは、特定の設計により提供される記憶時間を変更することが可能であり、かつ通常、この記憶時間は変更される。
【0033】
コレクタ110に達する前に、イオン化電子は、開閉システム112(例えば、ゲートワイヤの2つの直行配列)を通過する。開閉システム112は通常、イオン化電子のコレクタへの経路を遮断するように偏っている。ガンマ線150が、媒体と相互作用し光を放出したとき、光検出器102は刺激され、誘発システムは、相互作用140の位置を特定する。シンチレーション光を集中させる、開閉システム112の関連する開閉領域は、ガンマ線の方向に交差する2次元の相互作用位置を特定する(例えば、XおよびY)。この領域は、予め定められた時間間隔で、遮断状態から伝送状態に変わる(例えば、イオン化電子の経路を許容するもの)。この時間間隔は、ガンマ線150方向(例えば、Z方向)に沿った座標の特定に依存する。この方法において、所望の領域における開閉システム112のシャッターは、制限時間に限って開く(例えば、ドリフト速度以上の約5μs、および1cmの仮定Z位置特定間隔)。これにより、望まない信号が偶然蓄積される可能性を制限する。
【0034】
コレクタ110(例えば、電極の集合配列/コレクタパッド)は、ガンマ線方向に交差するガンマ線相互作用Pの両座標を決定するために用いられる。コレクタ110は、イオン化が直接検出できる、所望の位置分解能に一致する大きさのコレクタパッドの配列を含むことが好ましい。当該分野において公知であるように、それぞれのパッドは、増幅器(図示せず)、および収集されるエネルギーを継続して調べる電子回路に接続され得る。例えば、単一パッド、または1つのパッドよりもさらにイオン化が検出される複合パッドの場合に用いて、寸法1mm.時間.1mmのパッドは、1mm(fwhm)より小さい位置分解能を与える。
【0035】
それに応じて、X−Y位置は、格子シャッターとコレクタ110との間に位置する、直交ワイヤの配列に誘導される電荷によって決定され得る。当該分野において周知なように、誘導信号がいくつかのワイヤ上に広がる、例えば3mmのワイヤ空間が、質量中心を決定するための信号サイズの改ざんを用いて、1mmより小さい分解能を得るために期待される。さらに、他の類似技術は共通に使用され、適用されても良いことを当業者は理解する。
【0036】
周知なようにドリフト速度が一定であるため、コレクタ110における信号到着時間、または誘発時間に関連する単一ワイヤは、垂直位置(Z)またはガンマ線の相互作用の深さを提供する。上述したように、ドリフト速度は、特定の媒体およびモジュールの大きさに要求された通りに決定され得る。また、ドリフト速度は、ドリフト領域ワイヤ106により制御される。
【0037】
コレクタ110(例えば、コレクタパッドまたは信号ワイヤ)は、動作および費用の要求次第でいくつかの様式の機器を備えていてもよい。例えば、第1様式において、アナログパルス高情報は、アナログ・デジタル変換器(ADCs)を用いて得られる。他の様式において、規定のしきい値より上の衝突パターンは、刺激された素子の位置(address)を供給するための弁別装置を用いて得られる。機器に関するさらに他の提案は、分離時間セグメントにおいて信号を読み出すために、フラッシュADCs、電荷結合素子(CCDs)、または交換蓄電器配列を用いることである。これは、個々の信号を読み出すことによって、すべての3つの座標を同時に提供する。
【0038】
シャッターが、イオン化の大まかな位置、およびイオン化到着時間に対してのみ選択的に開くので、どんな個々の事象においても、検出器の小部分のみが本質的に活性化される。このため、イオン化信号素子に要求される電子機器チャネル数を、思い切って減少させることができる。例えば、30cm×30cm領域に範囲を定める検出器に対して、約105パッドを要求するためには、上述したコレクタパッドの場合、100パッド/cm2になる。しかしながら、X−Y領域、例えば2cm×2cm内のシンチレーション光の位置特定のために、すべての検出器が400電子機器チャネルしか有さずに動作することを可能である。この例において、XおよびY方向における20コレクションパッド毎に、共通の一式の電子機器チャネルがあることになる。このため、誘発システムの分解能内において、通常これらの1つのみが信号を有し、これらは、わずかに干渉することになる。
【0039】
図2は、本発明による誘発システムを示すブロック図である。誘発システム200は、明確化のために、上述の実施形態に関して説明する。しかしながら、当業者は、同様の機能目的に達する多くの同等の変形を認識するだろう。図2を参照して、信号210は、ガンマ線と媒体との相互作用(例えば、液体キセノンのシンチレーション)から放出された光である。光検出器(例えば、光増幅器(PMT)/電源)220は、光信号210を検出する。光増幅器(PMT)/電源220は、光信号210を電子信号に変換し、この電子信号を増幅器230に供給する。増幅器230において増幅された信号は、ADC240、アナログ加算器250、および選別器260に供給される。アナログ加算器250は、さらに隣接する光検出器からの入力235を受け付ける。
【0040】
アナログ加算器250の出力は、他の選別器270に供給される。ADC240の出力、および選別器260、270からの信号は、論理回路280に送られる。論理回路280は、それから開閉システムの適切な領域に開または閉信号を生成するために、出力信号290を送る。加えて、論理回路280は、活性化する開閉システムの適切な領域の決定に用いられる、他の誘発システムからの信号265を受け付ける(例えば、上述したように、分布、到着時間、またはその両方)。特定の上述した誘発システム200の様々な変形が、容易に認識されることを、当業者は理解するだろう。
【0041】
例えば、アナログからデジタルへの変換後に、検出光信号に関して活性化すべきシャッターを決定するために、デジタル信号は、エイシック(ASIC)、プログラマブルゲートアレイ(PGA)、または他のプロセッサに供給され得る。上述した誘発システムの簡単なブロック図は、構成要素、配置、または機能システムの複雑さのすべてを反映していないことは、理解されるだろう。このようなシステムのより詳細な説明は、ここに参照としてその全てを組み込んだ、Brymanらの、Gated Grid System Used with a Time Projection Chamber, Nuc. Instr. Meth. In Physics Res. A234, pp42−46, (1985) に与えられている。
【0042】
位置感受性検出器の固有の分解能は、拡散と信号の増幅として影響を与えることに加えて、Z座標(ドリフト)方向に対する読出し電子(時間分解能)およびセグメンテーションにおける読出し電子に依存し、さらに水平X−Y方向に対する読出し方法にも依存する。液体の不活性材料からなる検出器は、ドリフト時間(例えば、0.2cm/μs)が比較的遅いことに比べて時間分解能が早い(典型的には1ns)ことが知られているので、上記に示唆した固有の時間分解能の要求は、簡単に満たされ得る。さらに、拡散効果が小さくなることが知られている。例えば、特定の用途に対して、1cm分解能のように、精度が低い位置分解能で十分である場合、必須の読出しチャネルの数を減らす、または放出光信号のみを用いて相互作用位置を特定することによってシステムを単純化することができる。一方、セグメンテーションの程度、および分解能の初期限界が拡散効果である点を監視する読み出しチャネルの数を増加させることによって、改善された1ミリメートル未満の分解能は、達し得る。
【0043】
検出器の能率は、活性イオン化層厚の作用でもある。例えば、511keVガンマ線に対して、層厚約10cmの液体Xeからなる活性イオン化層では、約95%の変換効率が得られる。
【0044】
加えて、上記の説明において開示したガンマ線相互作用の位置を決定する方法は、当業者に理解される。ガンマ線相互作用の位置を決定する方法は、媒体中においてガンマ線と媒体との間の相互作用に応じて光を放出させる工程を含む。複数の光検出器が、媒体から光が放出された時、および相互作用の最初の(例えば、大まかな)3次元位置決定するために用いられる。ドリフト領域は、相互作用の結果生じるイオン化電子を。コレクタに導く媒体中に形成される。最後に、相互作用の第2の(正確な)3次元位置は、コレクタに収集されるイオン化電子の位置に基づく、コレクタ内における相互作用の2つの座標位置を特定すること、および光が検出された時点に比例したイオン化電子の到着時間に基づく3つ目の座標位置を決定することにより、決定される。
【0045】
上述したように、開閉システムの一部は、相互作用に一致する適切な時間開口され得る。例えば、図1Aおよび1Bに示すように、コレクタX−Y平面における相互作用140の位置の投影によって、開閉システムの一部が定義されることは、当業者に理解されるだろう。シャッターは、イオン化電子のコレクタへの経路を選択的に遮断し、そして許容する。また、最初の3次元位置が決定されるので、イオン化電子のコレクタへの到着時間もまた、大まかに決定され得る。これにより、相互作用140に関係するイオン化電子160の到着が予想される時間の間のみ、開閉システムの開口が許容される。それゆえに、コレクタから相互作用までの距離は、光170が、コレクタ110に電子160が到着したときに検出された時点からの経過時間の作用として決定され得る。また、シャッターを用いずに、データをオフラインで分析する工程が、選択され得る。
【0046】
用いられる材料および寸法の選択は、それぞれの用途に適するように決定され得る。変換器および検出器材料として、液体または気体のキセノンまたはクリプトン以外の材料が用いられ得る。位置感受性検出器の他の手段は、信号コレクタ(例えば、気体ゲインを備えるものを含む)、複合ワイヤ比例検出器(multi−wire proportional detectors)を含むイオン化装置(例えば、個々のワイヤ読出し、カソードストリップまたはパッド読出し、および遅延線読出しを有する)、マイクロストリップまたはマイクロギャップチャンバ、時間投影チャンバ、micromegas、および同様の手段のいずれの型を含んでいてもよい。
【0047】
さらに、光増幅器、位置感受性光増幅器、フォトダイオード、電子なだれフォトダイオード、ハイブリッドフォトダイオード、可視光検出器(例えば、VLPC)、および同様の手段のような、何れの型の光検出器でも、位置感受性誘発情報を提供するために用いられ得る。
【0048】
加えて、図3に示すように、システムは、オフライン状態で動作するように構成され得る。この特定の組み合わせにおいて、開閉システムの使用は必要ではない。それゆえに、製造費用および個々の検出モジュール294の複雑さは、減少する。しかしながら、検出モジュールからのデータ296における、ガンマ線と媒体との相互作用の正確な3次元位置を決定するための必要な演算を行うために、プロセッサ298が用いられる。開閉システムなしに、コレクタにより収集されたデータが有する誤差データの量がかなり増加することを、当業者は理解するだろう。それゆえに、複数の光検出器およびコレクタから収集されるデータが、光検出器により検出された相互作用の正確な3次元位置を決定するために、オフライン処理される。
【0049】
オフライン処理は、好ましくは、コレクタによって収集された、無関係のデータを数学的に排除するための、フィルタリング処理する、および他の演算をする工程を含む。光検出器からのデータを用いて、所望の信号(例えば、相互作用により生成されるイオン化電子)がコレクタに到着する時間、および位置を含む窓が決定され得ることを、当業者は理解するだろう。それから、当業者に理解されるように、この窓は、正確な位置(例えば、XおよびY位置)およびコレクタへの到着時間を決定するために、伝統的な処理技術を用いて精製され得る。第3次元(例えば、Z位置)は、それから、伝統的な方法において、光検出器により検出される相互作用時間と、コレクタへの到着時間との差、および媒体中でのイオン化電子のドリフト速度により決定される。
【0050】
さらに、図3に示すように、データ296は、複数の検出器294から収集され、共通処理装置298において処理され得る。また、さらに処理装置は、上述したようにデータの処理を行うのに適したどんな装置であってもよいことを、当業者は理解するだろう。例えば、処理装置298は、一般使用目的のコンピュータ、用途特異的な装置、画像化システムが集積したハードウエア/ソフトウエア、分布処理システム、および同様の装置であり得る。
【0051】
図4Aおよび4Bは、光センサ302a、302bの配列から得られる位置感受性信号により制御される時間投影イオン化チャンバ(TPC)を有する改良された検出器モジュール300の例示形態を示す。この検出器は、発明者らによるU.S.特許出願番号2002/0007670(“Bryman2”)に開示された検出モジュール、および図1Aおよび1Bに関連して上述した検出モジュールにいくつかの点において類似している。図4Aおよび4Bに示すように、ガンマ線350は、検出器304内に含まれる、液体キセノンのような材料において変換される。選択された材料は、完全な活性変換器、光伝達媒体、およびイオン化ドリフト媒体として提供される。相互作用340からのシンチレーション光370は、イオン化検出器のいくつかの表面の周りに配置された光検出器302a、302b(例えば、光電子増倍管)の配列により検出される。光検出器は、検出された光信号370に比例するとして見積もられるために、(事象選択のために)相互作用のエネルギーを許容する。相互作用340の位置は、また、配列内に設けられた様々な光検出器に達する光の相対時間を評価することによって決定され得る。
【0052】
シンチレーション光を生成することに加えて、ガンマ線相互作用340は、検出器内の液体キセノンのような材料をイオン化する。これにより、自由電子360を生成する。材料中に電子ドリフト領域を形成することによって、自由電子は、イオン化チャンバの収集領域310に進まされ得る。ドリフト領域は、シンチレーション光の大半が電極を通過し、光検出器302a、302bに達することを可能にするように設計され、かつ配置された電極306a、306bの一式により提供される。液体キセノン中の例えば、1kV/cmのドリフト領域は、イオン化電子を約0.2cm/μsの速度でドリフトさせるだろう。さらに、10cmに深さを有する検出チャンバは、約50μsの最大記憶時間を供給するだろう。Bryman2に一般的に示されているように、収集領域310に達する前に、イオン化電子360は、遮蔽格子および開閉システム312を通過してもよい。
【0053】
参照としてそのすべてをここに組み込む、E.AprileらがSPIE,2806:337 et seq.(1996)(Aprile1)に基づくBryman2に示されているように、上述した同様のイオン化検出器の実行において、遮蔽格子および/または開閉システムまたは配列を通過した後、イオン化電子は、2つの座標測定を可能にする、直行する誘導格子対を通過するだろう。図4Aおよび4Bに示すように、しかしながら、本発明の例示形態において、遮蔽格子312を通過した後、イオン化電子は、実質的な平面に対して小さい角度であり、遮蔽格子の平行位置および、誘導格子の反対に設けられたコレクタ陽極310との間に位置する単一の誘導格子311により、検出される。液体キセノン検出器の使用におけるさらなる背景は、参照としてここにその全てが組み込まれた、Aprileらの、ALiquid Xenon Imaging Telescope for 1−30MeV Gamma−Ray Astrophysics,SPIE,1159:295−305(1989)(“Aprile2”)に示されている。
【0054】
単一配列311は、X−Z平面に平行に配置され、ドリフト方向(Z)(図1の上方向)を横切るガンマ線相互作用の2つの座標を正確に決定するために用いられる。ドリフトするイオンのY方向(ワイヤ方向に直行する)は、配列311の素子上において誘導される電荷の分布により決定される。遮蔽格子312および陽極310は、(ドリフト方向Zに対して直行するX−Y平面において)互いに平行である一方で、誘導格子311の素子は、それらの間で、(X−Z平面において)平行から小さい角度オフセットされるように設けられる。例えば、誘導信号が少なくとも2つのワイヤにより共有される3mm間隔のワイヤは、電荷の重心を決定するための信号サイズの改ざんを用いて、1mm以下のX空間分解能を生むことが予測される。この方法は、Aprile 1において、より詳細に議論されている。
【0055】
誘導格子311から遮蔽格子312、および遮蔽格子から陽極配列310までの距離は、Z方向に沿って変化するため、誘導格子および陽極において決定されるイオン化電子信号間の時間差もまた、変化するだろう。この時間の多様性は、高い空間分解能を伴う特定のX位置(誘導ワイヤの方向に沿って)に相関する。例えば、誘導格子311および陽極配列310間の0.01ラジアン(r)の傾きは、10cmの距離以上の200nsのドリフト経路時間差の結果となる。それゆえに、2nsオーダーにおける時間差分解能は、約1mmの位置分解能提供するだろう。
【0056】
加えて、誘導パルスの形状および振幅は、イオン化のX位置を交互に測定することによって与えられるX位置に伴って変化する。それゆえに、単一の1次元誘導配列311は、2次元における改良された2次元空間分解能を提供するために利用され得る。誘引時間(一致する光信号の光検出器による検出から得られる)に関連する、イオン化電子信号360が陽極または誘導ワイヤに到着する時間taは(適切な測定後の)、垂直位置(Z)またはガンマ線相互作用のシンチレーション材料中の深さに変換される。これは、賦課されたドリフト領域下でのドリフト速度が知られている、または決定され得るからである。
【0057】
図5A〜5Cは、検出器が、改良されたイオン化検出器の概念の、実質的に円筒形状の装置を示す、変更可能な例示形態を示す。この例において、単一の陽極ワイヤ410は、例えば自身が遮蔽配列412により取り囲まれた、複数の誘導ワイヤ411により取り囲まれている。陰極配列406は、遮蔽配列412を取り囲み、陰極配列と遮蔽配列との間に、活性ドリフト領域を伴うドリフト領域を形成するために用いられ得る。図4Aおよび4Bに関連して上述した例のTPCにおいて、陽極ワイヤ410は、好ましくは、遮蔽配列412に対して平行であり、かつこの例においては中心である。誘導配列411を含むワイヤは、しかしながら、扇形、または陽極および遮蔽の両配列コンダクタの位置に対して、角度をなして設けられる。図5AのそれぞれB−B線およびC−C線における断面図を示す、図5Bおよび5Cに示すように、このオフセット位置は、検出器400の円筒軸に沿う、誘導配列411のワイヤと、陽極コンダクタとの間の放射分離を変化させる。
【0058】
図5Aから5Cに示す例示形態において、相互作用のラジアル座標(r)に一致するドリフト時間(シンチレーション信号と、電子の陽極ワイヤへの到着との間)、および誘導ワイヤ上で測定される誘導電荷分布は、角度φ(円筒座標内において)を与える。誘導ワイヤにおける検出と、陽極における検出との間の差における多様性は、ワイヤに沿った(円筒座標におけるZ)イオン化の相互作用位置に一致する。ドリフト領域における多様性の結果である細かい修正は、容易に適応され得る。上述したTPCにおいて、誘導パルスの形状および振幅は、相互作用のZ位置とともに変化するだろう。それゆえに、Z位置を決定するための代替機構が提供される。
【0059】
図6Aに示すように、小さい検出モジュール501の配列500は、この例においては六角形であるが、約1またはより標準的な図形状に配置され得る。図6Aに示すように、それぞれの検出モジュール501は、例えば複数の誘導ワイヤ511に囲まれた、単一の陽極コンダクタ510を、典型的に含む。この誘導ワイヤ511は、それ自身が遮蔽配列512によって囲まれている。陰極配列506は、遮蔽配列512に囲まれ、陰極配列と遮蔽配列との間に活性ドリフト領域を伴うドリフト領域を形成する。検出モジュール501の減少した寸法により供給される複数事象の減少した衝突、および減少した待ち時間を維持する一方で、複数のこれら小さい検出モジュールは、比較的大きい領域および/または量を集合的に監視するために、図6Aに提案されているように、配列に集合させられ得る。同様に、図6Bに示すように、図5Aから5Cに示す例示形態に一致する、複数の一般的な円筒検出モジュール601は、この例においては六角形であるが、より大きな配列600に集合させられ得る。複数のより大きな配列600は、順にさらに大きな配列(図示せず)を形成するのに用いられ得る。
【0060】
図5Aから5Cに示す例示形態のために、例えば、好ましい構成は、2.6cmオーダーにおける総セルまたは検出器の直径である約6mmの直径を有する中心領域を、陽極410と遮蔽配列との間に含んでいてもよい。図1Aおよび1Bに示すように、上述した検出器の構成において用いられたと同様の強度のドリフト領域下において、そのような構成は、約6.5μsの最大ドリフト時間を生み出し得る。この構成、または同様のドリフト時間を生み出すことが可能な他の構成は、それゆえに、約1mmより小さい3次元空間分解能を維持する一方で、放射線暴露の増加した速度に適応可能である。
【0061】
図5Aから5Cに示された小さいセルの検出器の円筒形状構成は、特に、陽電子放出断層撮影法(PET)に主に用いられているように、高速に一致する測定に適している。装置の誘発に用いられる素早いシンチレーション光信号もまた、ガンマ線の正確な消滅対を選択するために用いられる、一致する窓がせまい。それゆえに、ふぞろいの選択または偶然の事象が減少する。Bryman2に記載された光感知器の配列から得られる位置依存性光信号は、ガンマ線相互作用事象を検出器内で検出し、位置決定し得る全体的な正確性を向上させるための位置感受性3Dイオン化データに関連し得る。それゆえに、雑音を減少し、続いてスキャニングした対象の画像を生成するために用いられるデータの正確さを向上させる。
【0062】
本発明の例示形態は、相互作用のエネルギー、相互作用の3次元位置、および低エネルギーガンマ線のようなエネルギー粒子による相互作用中に生成されるイオン化電子の放出角度を測定するために、誘導される検出器を含む。基本的な検出器は、ガンマ線および/または他の電荷粒子をイオン化するイオン化チャンバを含む。このイオン化チャンバは、1次元ワイヤ配列のみを用いて、複合的な相互作用を含むイオン化事象の3次元位置を測定し得る。
【0063】
イオン化検出器は、典型的には液体または気体のキセノンまたはクリプトンのように、材料中におけるエネルギー粒子の相互作用によるイオン化電子の組み合わせにより、検出可能なシンチレーション光を生成する流体材料を組み込む。イオン化検出器は、また、イオン化電子を、好ましくは少しの希釈または障害を伴い、ワイヤのような電極の集合に向かってドリフトさせるための電子ドリフト領域を材料内に形成するために、構成され、偏るように配置されたコンダクタを含む。相互作用位置の全ての3次元位置は、約1mmまたはそれ以下の、比較可能な分解能と共に、同時に測定される。それゆえに、異なる軸に沿った分解能の変化の結果として起こる視差エラーを減少、または省く。
【0064】
ガンマ線は、検出材料中において、電荷粒子(光電気効果、対生成、またはコンプトン散乱)に変換される。この変換もまた、イオン化チャンバの周囲に設けられた光検出器により検出される光エネルギーを放出する。1次元集合電極配列は、3次元の大きさの示唆を提供するシンチレーション信号時間に関連する、イオン化電子の到着時間の多様性を伴う、イオン化相互作用の2次元位置を特定するために用いられてもよい。収集された全イオン化信号は、収集された光信号の振幅により提供されるエネルギー蓄積上の追加情報を有し、ガンマ線相互作用により蓄積されたエネルギーを決定する。
【0065】
ガンマ線の単一相互作用位置、およびエネルギーを検出することに加えて、コンプトン散乱を含むような複合した相互作用事象は、個々のガンマ線の方向を得るために用いられ得る。この状況において、複合的な同時誘発は、検出器の1つ以上の領域を活性化するために用いられ得る。このため、事象の完全なヒストリーは、ガンマ線角度の再現結果として記録され得る。
【0066】
上述のイオン化検出器の空間分解能は、イオン化量、ドリフト速度、ドリフト方向座標のための読出し電子(時間分解能)、誘引配列の傾き角度、分割、および読出し方法に依存する。1mmより小さいオーダーにおいて典型的に要求される分解能を、達成し得る。なぜならば、0.2cm/μsのオーダーにおけるドリフト速度の結果起こる、液体不活性材料検出器からの光信号は、誘導信号の時間と比較して、相対的に早いからである(典型的には1ns)。さらに、拡散効果が比較的小さいことが知られているからである。同様に、非ドリフト方向における1mmの空間分解能が、主に採用される技術により達成されることも知られている。
【0067】
陽極集合ワイヤまたは誘導ワイヤに沿ってイオン化の空間座標を供給するためのいくつの他の技術が知られている。これらの技術は、抵抗ワイヤを用いた端と端とをつなぐ(end to end)振幅測定、および端と端とをつなぐ(end to end)時間差測定を含む。時間技術は、高い信号伝達速度のために、一般的に低い空間分解能(数cm)に制限される。振幅技術は、ワイヤ長の数パーセントの分解能を有し得るが、空間分解能は、絶対的な信号の大きさに高い感受性がある。数mmの分解能は、気体複合ワイヤ比較(gas multi−wire proportional)、または十分に高い出力割合(gain)を有するドリフトチャンバに対して達成される。
【0068】
公知の技術および検出器の構成では適用されそうもなかったが、上述した本発明は、低エネルギーガンマ線またはX線からのイオン化を検出するための、改良された3次元情報を得るための陽極に関する角度に設けられた、誘導ワイヤの1次元配列に適用し得る。本発明は、改良された位置分解能、およびより均一な検出反応を提供し得る。本発明による例示検出器の処理は、減少したワイヤ長依存性を示し、実質的にはワイヤ長から独立さえし得る。そして、さらに活性交点の減少した数において、正確かつ明白に、ガンマ線相互作用の3つの空間座標を決定することを可能にする。すなわち、活性交点は、単一端読出し信号を伴う本質的な1次元配列として構成され得る。
【0069】
これらのモジュールは、高分解能、高検出効果、および実質的に1次元配列を採用することによる控えめな費用を提供する一方で、非常に大きな領域、および量を網羅するように設計かつ構成され得る。さらに、例示形態に示した、材料、次元、角度、誘導配列の位置、および用いられた検出器型を含む検出器の組み立ては、これに制限されない。すなわち、イオン化検出器の大きな範囲に適用するために仕立てられ得る検出器を組み立てる一方で、例示形態に加わる様々な材料および構成の組み合わせは、本発明の範囲から離れることなく、製造され、かつ適用されることを当業者は理解するだろう。
【0070】
特定の用途に適した本発明に一致する材料、次元、および形状の選択は、一般に当該分野の1つの可能性内であるだろう。例えば、液体または気体のキセノン、クリプトンまたはアルゴンの他の材料を含む変換器および検出器材料を、適用してもよい。高い明確性を有する3次元空間情報を得るための1次元配列を作るのに用いられる他の多くの形状もまた、採用しえる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1A】図1Aは、初期のガンマ線検出器の構造を示す投影図である。
【図1B】図1Bは、初期のガンマ線検出器の構造を示す断面図である。
【図2】図2は、多数の検出要素が組み込まれた装置の機能の概要を示す図である。
【図3】図3は、複数の検出モジュールから検出データを収集するためのシステムの例示構成の第2の概要を示す図である。
【図4A】図4Aは、本発明の例示形態を示す図である。
【図4B】図4Bは、本発明の例示形態を示す図である。
【図5A】図5Aは、本発明の第2の例示形態を示す図である。
【図5B】図5Bは、本発明の第2の例示形態を示す図である。
【図5C】図5Cは、本発明の第2の例示形態を示す図である。
【図6A】図6Aは、第2の例示形態による複数の検出器の例示配列を示す図である。
【図6B】図6Bは、第2の例示形態による複数の検出器の例示配列を示す図である。
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔優先権主張〕
本発明は、合衆国法典35巻119条(e)の下、米国仮特許出願No.60/554,346(2004年3月19日出願)に基づく優先権を主張し、その内容は、参照として、完全に、かつすべての目的のために、ここに組み込まれている。
【0002】
〔発明の背景〕
(技術分野)
本発明は、一般に、ガンマ線検出器に関する。より具体的には、本発明は、スキャニングした対象物の画像を生成するための検出器内部における、ガンマ線相互作用の位置決定を、より精密に行い得るように改良したガンマ線検出器に関する。
【0003】
(背景技術)
ガンマ線検出器は、広く様々な装置および処理技術に用いられている。このような装置および処理技術には、例えば、陽電子放出断層撮影法(PET)、シングルフォトンエミッションCT(SPECT)、密輸爆薬探知機等が含まれる。そのようなすべての装置には、所定レベルの精度において、ガンマ線と検出器の構成要素との間の相互作用の位置を決定し得る検出器を組み込んでいる。このような多数の相互作用に一致する位置測定データを累積することによって、ガンマ線が放出されている対象物のスキャニング画像が生成され得る。これらの技術は、当該分野において公知であるため、ここで詳述しない。
【0004】
これらの検出器が遭遇する難点は、十分な解像度で、対象物を効率よくスキャニングするために、これらの検出器の多様性が必要である点である。検出器のガンマ線の相互作用の位置を決定するために、そのような決定の多様性(典型的には何百万)を有する十分なデータが、スキャンされた対象物の累積画像を生成するために得られる。各検出器は、検出器内で生じるガンマ線相互作用のために、位置データが生成可能でなければならないので、後の編集および画像生成(例えばコンピュータによる)と同様に、位置データの取得に用いるのに便利な装置は、大きくかつ高価な器具が要求される傾向にある。
【0005】
典型的には、そのような検出器による検出データの収集は、検出器内部に備え付けられ、光を生成するシンチレーター材料を用いたガンマ線の相互作用により開始される。光を放出する複数の検出器のデータ、および光の放出により誘発された検出器内部の位置を決定することによって、スキャンされた対象物内のポジトロン消滅事象に推定的に一致する位置データが収集される。そのような多様な検出器を、少なくともスキャンする対象物の周囲に配置することによって、多数の位置データを収集し得、検出器により収集されたデータに一致する画像を生成するためにコンピュータにより続いて処理され得る。
【0006】
上記のようなガンマ線スキャニング装置において用いられた従来のガンマ線検出器は、典型的に、高価なシンチレーター結晶材料(例えばセリウムが添加されたルテチウムoxyorthosilicate(LSO)および/またはビスマス成長(BGO))を含む。これらの材料は、ガンマ線により誘発されたとき、光を放出する。このような検出器のX−Y位置の分解能は、20mm2のオーダーであり、検出器配列を交差する解像度において、一様ではないいくつかのレベルに並べられる傾向にある。結果として、そのような検出器は、相互作用が生じたときに、正確な位置に関して(例えば、X−Y座標において)不正確な固有のレベルを有する。加えて、相互作用の深さ(例えば、Z座標)は、一般に決定されない、または決定されても不十分である。これは、いわゆる視差エラーの結果であり、かつ位置データから生成される図面の正確さがさらに減少する。
【0007】
モジュール式の光信号を誘発する装置は、ブライマン(Bryman)の米国特許No.6,100,532(発明の名称:ガンマ線検出器“Bryman1”)に開示されている。これを、参照のために、ここにその全てを組み込む。Bryman1は、ガンマ線相互作用の位置を決定するためのガンマ線検出器を開示している。この検出器は、少なくとも1つのモジュールを有し、各モジュールは、ガンマ線を荷電粒子に変換するための変換器を有している。シンチレーター材料は、変換器により生成される荷電粒子と共に、相互作用に応じて光を放出するために、検出器に備えられている。光検出器は、シンチレーターから光が放出されたときを決定する。2つの座標位置検出器は、検出された光が生成される相互作用のX、Y、およびZ座標を決定するために、備えられている。
【0008】
制御機構および信号装置は、光検出器内に放出された光の検出を信号化するため、および位置検出器を作動させるために、検出器に連結されている。Bryman1に開示されたシステムは、従来の検出器の欠陥のいくつかに取り組み、安価に製造し得るガンマ線検出器を備えていた。この装置において、要求された位置データを得るために必要な監視手段は少なくてよい。そして、ガンマ線相互作用のX、Y、およびZ座標をより正確に決定し得る。
【0009】
材料(キセノン(Xe)、クリプトン(Kr)、およびその他の希ガスのような不活性液体を含む)中のガンマ線の変換と、そのような材料内でのシンチレーション光、および荷電産物(電子およびポジトロン)の生成とは、当該分野において公知である。さらに、ソフトウエア手段は、ガンマ線の相互作用、および検出体を伴う荷電粒子のシミュレーションのために、当該分野において容易に用いられる。不活性の液体イオン化チャンバ、時間投影チャンバ(TPC)、および光検出配列のような荷電粒子のための位置感受性検出器は、以下により詳細に開示する装置により得られるものと同様の、位置およびエネルギー分解能を有した機器が一般に用いられる。
【0010】
それらの全てを参照としてここに組み込んだ、K.Masudaらによる、A Liquid Xenon Position Sensitive Gamma−Ray Detector for Positron Annihilation Experiments, Nucl.Instr.Meth.188(1981)629−38、およびK.Masudaらによる、Test of a Dual−Type Gridded Ionization Chamber Using Liquid Zenon, Nucl.Instr.Meth.174 (1980) 439−46のそれぞれに示されているように、格子を有する液体Xe位置感受性イオン化検出器は、低エネルギーガンマ線のための、1ミリメートル未満の位置分解を提供するために設置されていてもよい。ゲート時間投影イオン化チャンバ(気体堆積装置)が報告されている。コロンビア大学は、例えば液体Xe TPCを公表している(参照としてここに組み込んだE.Aprileらの、The Liquid Xenon Gamma−Ray Imaging Telescope(LXeGRIT)for Medium Energy Astrophysics, Proceedings−SPIE The International Society For Optical Engineering, SPIE Vol.2806, pp.337−48)。
【0011】
1mm位置分解、および1MeVエネルギーを示すガンマ線に対して5.9%のエネルギー分解を達成する液体Xeイオン化TPCの開示された形態の1つもまた報告されている。加えて、Lopesらは、報告によれば1mmの軸横断位置分解、5mmの相互作用分解の深さ、1.3nsの同期分解、17%の511keVにおけるエネルギー分解、および60%の効率の能力を有する液体Xeイオン化検出器を組み立てている(M Lopesらの、Positron Emission Tomography Instrumentation: Development of a Detector Based on Liquid Xenon, Proc.Calorimetry in High Energy Physics, pages675−80(1999)参照のこと)。ここにそのすべてを参照として組み込む。
【0012】
これら、および他の論文は、荷電粒子軌道の測定の問題のために加えられたパッドおよびワイヤ、ゲート格子、ならびにシンチレーター誘発を用いてイオン化信号を収集するための機器の様々な構成について述べる。これらの機器は、適切な相互作用が起こる最初の指標として、主としてシンチレーション光を用いる傾向にあるが、相互作用の位置を明確に特定するものではない。
【0013】
KAMIOKANDE(K.S.HirataらのExperimetal Study of the Atmospheric Neutrino Flux, PHYSICS LETTERS B, Vol.205, number2,3, p.416−20(1988)に示されている)および他の検出器において、光放出液体および/または個体からなる表面において提供される光検出器の配列は、ガンマ線および荷電粒子の相互作用の位置を特定するために用いられている。L.BarkovらのSearch for μ+→e+γ down to 10−14 branching ratio, Paul Scherer Institute proposal R−99−05.1(1999)において、少量の周りに光増幅管配列を有する液体シンチレーション検出器を用いて研究されたlepton−flavor−violating decay μ+→e+γは、1MeVガンマ線のための8mm full width half maximum(fwhm)位置分解を提供することが論証された。
【0014】
〔発明の開示〕
本発明は、検出器モジュールにおいて使用される個々の構成要素を示すために上述した従来の検出器のいくつかの機能を組み合わせ、改良した検出器に関するものである。これらの構成要素は、低エネルギーガンマ線検出の向上を提供するための特別な検出モジュールおよび配列の広い多様性に適用され得る。
【0015】
従って、本発明の例示形態は、検出器内部のガンマ線相互作用の位置をより正確に決定し得る改良されたガンマ線検出モジュールを含み、その方法は、ガンマ線と媒体との間の相互作用に応じて、媒体において光を放出する工程と、複数の光検出器を用いて媒体から光が放出された時点、および相互作用の3次元位置を決定する工程と、コレクタとの相互作用により生じるイオン化電子をもたらすドリフト領域を形成する工程と、コレクタ中のイオン化電子の位置に基づいて、コレクタ中の相互作用の2次元位置を特定することによって、相互作用の正確な3次元位置を決定する工程と、光が検出されたときと比較したイオン化電子の到着時間に基づいて、厚さを決定する工程とを含む。
【0016】
本発明の他の例示形態は、ガンマ線相互作用の位置を決定するための、改良されたガンマ線検出器を提供する。この本発明のガンマ線検出器は、ガンマ線と媒体との間の相互作用に応じて光およびイオン化電子を放出するための媒体を含む活性領域と、媒体から光が放出された時点、および相互作用の3次元位置を決定するための複数の光検出器と、コレクタ中のイオン化電子の位置に基づいてコレクタ中の相互作用の2次元位置を特定することよる相互作用の正確な3次元位置の決定と、光が検出されたときと比較したイオン化電子の到着時間に基づいた厚さの決定とを行うために用いられるコレクタとを備え、このコレクタは、イオン化電子の動作、およびコレクタに対する相互作用の結果生じるイオン化電子をもたらす媒体においてドリフト領域を形成するための複数のフィールドワイヤに対して鋭角に設置されている。
【0017】
本発明を更なる適用範囲は、以下に示す詳細な説明から明らかになるだろう。
【0018】
しかしながら、詳細な説明および特有の実施形態は、本発明の例示形態として開示する一方で、単に一例として提供され、本発明の目的および範囲内における様々な変更および修正は、以下に示す詳細な説明から、当業者に明らかになるだろう。
【0019】
本発明は、添付図面を参照した詳細な例示形態の説明により、より明確になるだろう。これらの図面は、以下により詳細に説明する、本発明の例示形態の理解を補助するために提供されるものであり、本発明を不当に制限するように解釈されるべきでない。特に、図面に示した様々な構成要素の相対的な間隔、位置、大きさ、および寸法は、一定の比率で描かれていない。これらは、明確に改良する目的で、拡大、または縮小され、あるいはその他の修正が加えられてもよい。
【0020】
〔例示形態の説明〕
本発明のもう1つの態様は、広範なガンマ線エネルギーに合わせるため、および適用にさらすために用いられる材料、寸法、および検出器の型を提供する。不活性液体材料および他の材料におけるシンチレーション光信号の高速、および素早い位置感受性誘発選択感度は、他の検出モジュールにおいて発生する同期信号を含む高速度応用に適している。
【0021】
本発明の上述した態様および他の新規態様を、さらに後述する。公知の構成要素、装置および処理は、当業者は、非本質的な情報の解釈を選択することなく発明を容易に理解するため、後述する説明においては詳細に説明しない。
【0022】
エネルギー、3次元相互作用の位置、および低エネルギーガンマ線放出角度を測定のきっかけとなる検出器をここに示す。この検出器は、ガンマ線がイオン化されるイオン化チャンバを含み、複数の相互作用を含む、3次元のイオン化位置が測定される。一式の格子または電気シャッターを含む開閉システムは、制限された時間の間、制限された空間範囲を超えて、イオン電子がドリフトするのを許容するために提供される。そのようなシステムは、開閉システムなしに操作されてもよい。この開閉システムにおいては、データが実質的に継続して記録され、適切なデータ関連性の選択は、オフライン解析により行なわれる。シンチレーション光信号に基づいて誘発されるシステムは、イオン化検出器を誘発するため、およびガンマ線相互作用により堆積される総エネルギーを測定するために、相互作用時の位置検出とイオン化エネルギーの堆積とを可能にする。位置検出情報は、オフライン解析において、光信号とイオン化信号とを相互に関係させるために使用されてもよい。
【0023】
イオン化検出器材料は、例えばキセノン(Xe)、クリプトン(Kr)、またはアルゴン(Ar)のような液体または気体を含んでいてもよい。これらの材料においては、イオン化されたとき、敏速に検出可能なシンチレーション光が生成される。また、コレクタに電極を集めるためのわずかな減衰および妨害を伴う、印加された電気領域下において、イオン電子がドリフトする。光検出器の位置感受性配列は、イオン化検出器を完全に調査する。また、光検出器の位置感受性配列は、光イオン化検出器のための誘発システムを供給する。この誘発システムは、空間および時間に関して選択的に光イオン化検出器を活性化し、相互作用エネルギーのさらなる測定を可能にする。すべての3次元相互作用位置は、比較可能な分解能を伴い、同時に測定されるので、相互作用の正確な位置が測定され(例えば、全ての3次元位置に関して約1mmまたはそれ以下)、視差エラーは大部分において存在しない。
【0024】
ガンマ線は、検出器媒体または材料において、荷電粒子に変換される(対生成またはコンプトン散乱)。そして、相互作用は、光検出器によって最初に検出される。誘発システム(例えば論理配列)は、パターンおよび刺激された光検出器の信号サイズを選択的に採用する。さらに、誘発システムは、イオン化が起こる開閉領域においてのみ開口し、イオン化電子の発現に要すると予測される時間のみ開口している。2次元的に集められた電極の配列は、イオン化の位置を正確に特定する。
【0025】
3次元位置は、シンチレーション信号時間と比較したイオン化発現の正確な時間により決定される(例えば、光信号が光検出器を活性化するとき)。集められたイオン化信号は、ガンマ線相互作用により堆積されたエネルギーを決定する。エネルギー堆積におけるさらなる情報は、集められた光信号のサイズにより与えられる。上述した処理により、収集電極配列の小領域のみが、限定された時間に限って活性化される。それゆえに、検出器のサイズに関わらず、検出器の完全な位置感受性配列には、読出し要素1セットのみが要求される。他の相互作用信号の蓄積は、誘発選択領域において、シャッター開口時期に限定される。それゆえに、他の検出器における広範囲な相互作用、および関連すする信号の同時発生に対して、動作効率を低下させることなく適用させることができる。
【0026】
ガンマ線の単一相互作用の位置およびエネルギーの検出に加えて、コンプトン散乱を含むように、複合的に起こる相互作用を、個々のガンマ線の方向を得るために用いることができる。この方式において、複合的な同時誘発は、検出器の一領域以上を活性化するために用いられる。この事象の完全なヒストリーは、ガンマ線角度を復元することにより、記録され得る。
【0027】
図1Aおよび図1Bは、初期のガンマ線検出器の設計による検出器モジュール100を示す。光検出器102a、102bの配列から得られる位置感受性信号に対する出入口のある(例えば、シャッターを開閉することによって)、時間投影イオン化チャンバが示されている。ガンマ線150は、活性領域104に含まれる媒体(例えば、液体キセノン)と相互に作用する。本実施形態において、媒体は、少なくとも活性変換器、光伝送媒体、およびイオン化ドリフト媒体として機能する。
【0028】
活性領域には、これらの要求にあう他の液体または気体媒体が含まれ得ることを、当業者は理解するだろう。相互作用140からのシンチレーション光は、少なくともいくつかの側面においてイオン化チャンバの周囲に設けられる光検出器102a、102bの配列(例えば、光電子増倍管)によって検出される。光検出器102a、102bは、光信号(例えば、放出光170)に比例した相互作用140のエネルギーを測定する(事象選択のため)。相互作用140の大まかな3次元位置は、配列内の光信号の分布により決定される。
【0029】
別の方法において、相互作用140から放出される光が、複数の光検出器102a、102b(向かい合うように配された光検出器および/または1つの側面において隣接するように配された光検出器)に達する時間の差が、相互作用140の3次元位置を決定するために用いられ得る。複数の光検出器102a、102bそれぞれに対する光の到着時間の差は、光自身の分布を調べるために比較可能な精度を伴う相互作用140の3次元位置を得るために用いられ得る。例えば、液体Xeにおいて、光は、1.9×10−10cm/sの比較的遅い速度で移動するので、0.1nsの時間分解能は、2cmの位置分解能を得るために十分である。
【0030】
さらに、上記2つの方法の組み合わせが、複数の光検出器102a、102bにより、放出光の分布を検出するために用いられ得ることを当業者は理解する。また、別々の光検出器が測定した光の到着時間の差は、検出光を放出する相互作用140の大まかな3次元位置を決定するために用いられ得ることを当業者は理解する。大きなシンチレーター検出器における到着時間およびエネルギーの両方の必要条件を有するシステムの例は、ここに参照としてその全てを組み込んだ、A.Aguilarの、LSND Collaboration, Evidence for neutrino oscillations from the observation of ..., Phys. Rev. D, Vol.64(11):112007(2001)により提供される。
【0031】
シンチレーション光(例えば、放出光)の生成に加えて、ガンマ線150の変換中に材料中において生成される電子ポジトロン対(またはコンプトン電子)は、媒体の一部をイオン化し、それによって自由イオン化電子を生成する。これらのイオン化電子は、イオン化チャンバ上に置かれた、印加された電気領域下において、コレクタアセンブリ110に対して、所望する方向にドリフトするように促される。ドリフト領域は、光信号から光検出器を遮蔽するどんな部材も制限するような大きさに形成され、かつ配置される一組のドリフト領域ワイヤ106a、106bにより組み付けられ得る。例えば、約1kV/cmの液体キセノン中のドリフト領域は、0.2cm/psの速度でイオン化電子をドリフトさせる。このドリフト速度において、10cmのドリフト距離は、検出チャンバにおける約50μsの記憶時間に一致する。
【0032】
ドリフト領域は、シンチレーション光の出力に影響し得るので、ドリフト領域の大きさおよび方向は、特定の用途に合わせて、より良く調節されることが好ましい。上述した例は、説明の目的のためのものであり、これに制限されないことを当業者は理解するだろう。それに応じて、ドリフト領域の強度、用いられる媒体、およびチャンバの大きさの、他の組み合わせは、特定の設計により提供される記憶時間を変更することが可能であり、かつ通常、この記憶時間は変更される。
【0033】
コレクタ110に達する前に、イオン化電子は、開閉システム112(例えば、ゲートワイヤの2つの直行配列)を通過する。開閉システム112は通常、イオン化電子のコレクタへの経路を遮断するように偏っている。ガンマ線150が、媒体と相互作用し光を放出したとき、光検出器102は刺激され、誘発システムは、相互作用140の位置を特定する。シンチレーション光を集中させる、開閉システム112の関連する開閉領域は、ガンマ線の方向に交差する2次元の相互作用位置を特定する(例えば、XおよびY)。この領域は、予め定められた時間間隔で、遮断状態から伝送状態に変わる(例えば、イオン化電子の経路を許容するもの)。この時間間隔は、ガンマ線150方向(例えば、Z方向)に沿った座標の特定に依存する。この方法において、所望の領域における開閉システム112のシャッターは、制限時間に限って開く(例えば、ドリフト速度以上の約5μs、および1cmの仮定Z位置特定間隔)。これにより、望まない信号が偶然蓄積される可能性を制限する。
【0034】
コレクタ110(例えば、電極の集合配列/コレクタパッド)は、ガンマ線方向に交差するガンマ線相互作用Pの両座標を決定するために用いられる。コレクタ110は、イオン化が直接検出できる、所望の位置分解能に一致する大きさのコレクタパッドの配列を含むことが好ましい。当該分野において公知であるように、それぞれのパッドは、増幅器(図示せず)、および収集されるエネルギーを継続して調べる電子回路に接続され得る。例えば、単一パッド、または1つのパッドよりもさらにイオン化が検出される複合パッドの場合に用いて、寸法1mm.時間.1mmのパッドは、1mm(fwhm)より小さい位置分解能を与える。
【0035】
それに応じて、X−Y位置は、格子シャッターとコレクタ110との間に位置する、直交ワイヤの配列に誘導される電荷によって決定され得る。当該分野において周知なように、誘導信号がいくつかのワイヤ上に広がる、例えば3mmのワイヤ空間が、質量中心を決定するための信号サイズの改ざんを用いて、1mmより小さい分解能を得るために期待される。さらに、他の類似技術は共通に使用され、適用されても良いことを当業者は理解する。
【0036】
周知なようにドリフト速度が一定であるため、コレクタ110における信号到着時間、または誘発時間に関連する単一ワイヤは、垂直位置(Z)またはガンマ線の相互作用の深さを提供する。上述したように、ドリフト速度は、特定の媒体およびモジュールの大きさに要求された通りに決定され得る。また、ドリフト速度は、ドリフト領域ワイヤ106により制御される。
【0037】
コレクタ110(例えば、コレクタパッドまたは信号ワイヤ)は、動作および費用の要求次第でいくつかの様式の機器を備えていてもよい。例えば、第1様式において、アナログパルス高情報は、アナログ・デジタル変換器(ADCs)を用いて得られる。他の様式において、規定のしきい値より上の衝突パターンは、刺激された素子の位置(address)を供給するための弁別装置を用いて得られる。機器に関するさらに他の提案は、分離時間セグメントにおいて信号を読み出すために、フラッシュADCs、電荷結合素子(CCDs)、または交換蓄電器配列を用いることである。これは、個々の信号を読み出すことによって、すべての3つの座標を同時に提供する。
【0038】
シャッターが、イオン化の大まかな位置、およびイオン化到着時間に対してのみ選択的に開くので、どんな個々の事象においても、検出器の小部分のみが本質的に活性化される。このため、イオン化信号素子に要求される電子機器チャネル数を、思い切って減少させることができる。例えば、30cm×30cm領域に範囲を定める検出器に対して、約105パッドを要求するためには、上述したコレクタパッドの場合、100パッド/cm2になる。しかしながら、X−Y領域、例えば2cm×2cm内のシンチレーション光の位置特定のために、すべての検出器が400電子機器チャネルしか有さずに動作することを可能である。この例において、XおよびY方向における20コレクションパッド毎に、共通の一式の電子機器チャネルがあることになる。このため、誘発システムの分解能内において、通常これらの1つのみが信号を有し、これらは、わずかに干渉することになる。
【0039】
図2は、本発明による誘発システムを示すブロック図である。誘発システム200は、明確化のために、上述の実施形態に関して説明する。しかしながら、当業者は、同様の機能目的に達する多くの同等の変形を認識するだろう。図2を参照して、信号210は、ガンマ線と媒体との相互作用(例えば、液体キセノンのシンチレーション)から放出された光である。光検出器(例えば、光増幅器(PMT)/電源)220は、光信号210を検出する。光増幅器(PMT)/電源220は、光信号210を電子信号に変換し、この電子信号を増幅器230に供給する。増幅器230において増幅された信号は、ADC240、アナログ加算器250、および選別器260に供給される。アナログ加算器250は、さらに隣接する光検出器からの入力235を受け付ける。
【0040】
アナログ加算器250の出力は、他の選別器270に供給される。ADC240の出力、および選別器260、270からの信号は、論理回路280に送られる。論理回路280は、それから開閉システムの適切な領域に開または閉信号を生成するために、出力信号290を送る。加えて、論理回路280は、活性化する開閉システムの適切な領域の決定に用いられる、他の誘発システムからの信号265を受け付ける(例えば、上述したように、分布、到着時間、またはその両方)。特定の上述した誘発システム200の様々な変形が、容易に認識されることを、当業者は理解するだろう。
【0041】
例えば、アナログからデジタルへの変換後に、検出光信号に関して活性化すべきシャッターを決定するために、デジタル信号は、エイシック(ASIC)、プログラマブルゲートアレイ(PGA)、または他のプロセッサに供給され得る。上述した誘発システムの簡単なブロック図は、構成要素、配置、または機能システムの複雑さのすべてを反映していないことは、理解されるだろう。このようなシステムのより詳細な説明は、ここに参照としてその全てを組み込んだ、Brymanらの、Gated Grid System Used with a Time Projection Chamber, Nuc. Instr. Meth. In Physics Res. A234, pp42−46, (1985) に与えられている。
【0042】
位置感受性検出器の固有の分解能は、拡散と信号の増幅として影響を与えることに加えて、Z座標(ドリフト)方向に対する読出し電子(時間分解能)およびセグメンテーションにおける読出し電子に依存し、さらに水平X−Y方向に対する読出し方法にも依存する。液体の不活性材料からなる検出器は、ドリフト時間(例えば、0.2cm/μs)が比較的遅いことに比べて時間分解能が早い(典型的には1ns)ことが知られているので、上記に示唆した固有の時間分解能の要求は、簡単に満たされ得る。さらに、拡散効果が小さくなることが知られている。例えば、特定の用途に対して、1cm分解能のように、精度が低い位置分解能で十分である場合、必須の読出しチャネルの数を減らす、または放出光信号のみを用いて相互作用位置を特定することによってシステムを単純化することができる。一方、セグメンテーションの程度、および分解能の初期限界が拡散効果である点を監視する読み出しチャネルの数を増加させることによって、改善された1ミリメートル未満の分解能は、達し得る。
【0043】
検出器の能率は、活性イオン化層厚の作用でもある。例えば、511keVガンマ線に対して、層厚約10cmの液体Xeからなる活性イオン化層では、約95%の変換効率が得られる。
【0044】
加えて、上記の説明において開示したガンマ線相互作用の位置を決定する方法は、当業者に理解される。ガンマ線相互作用の位置を決定する方法は、媒体中においてガンマ線と媒体との間の相互作用に応じて光を放出させる工程を含む。複数の光検出器が、媒体から光が放出された時、および相互作用の最初の(例えば、大まかな)3次元位置決定するために用いられる。ドリフト領域は、相互作用の結果生じるイオン化電子を。コレクタに導く媒体中に形成される。最後に、相互作用の第2の(正確な)3次元位置は、コレクタに収集されるイオン化電子の位置に基づく、コレクタ内における相互作用の2つの座標位置を特定すること、および光が検出された時点に比例したイオン化電子の到着時間に基づく3つ目の座標位置を決定することにより、決定される。
【0045】
上述したように、開閉システムの一部は、相互作用に一致する適切な時間開口され得る。例えば、図1Aおよび1Bに示すように、コレクタX−Y平面における相互作用140の位置の投影によって、開閉システムの一部が定義されることは、当業者に理解されるだろう。シャッターは、イオン化電子のコレクタへの経路を選択的に遮断し、そして許容する。また、最初の3次元位置が決定されるので、イオン化電子のコレクタへの到着時間もまた、大まかに決定され得る。これにより、相互作用140に関係するイオン化電子160の到着が予想される時間の間のみ、開閉システムの開口が許容される。それゆえに、コレクタから相互作用までの距離は、光170が、コレクタ110に電子160が到着したときに検出された時点からの経過時間の作用として決定され得る。また、シャッターを用いずに、データをオフラインで分析する工程が、選択され得る。
【0046】
用いられる材料および寸法の選択は、それぞれの用途に適するように決定され得る。変換器および検出器材料として、液体または気体のキセノンまたはクリプトン以外の材料が用いられ得る。位置感受性検出器の他の手段は、信号コレクタ(例えば、気体ゲインを備えるものを含む)、複合ワイヤ比例検出器(multi−wire proportional detectors)を含むイオン化装置(例えば、個々のワイヤ読出し、カソードストリップまたはパッド読出し、および遅延線読出しを有する)、マイクロストリップまたはマイクロギャップチャンバ、時間投影チャンバ、micromegas、および同様の手段のいずれの型を含んでいてもよい。
【0047】
さらに、光増幅器、位置感受性光増幅器、フォトダイオード、電子なだれフォトダイオード、ハイブリッドフォトダイオード、可視光検出器(例えば、VLPC)、および同様の手段のような、何れの型の光検出器でも、位置感受性誘発情報を提供するために用いられ得る。
【0048】
加えて、図3に示すように、システムは、オフライン状態で動作するように構成され得る。この特定の組み合わせにおいて、開閉システムの使用は必要ではない。それゆえに、製造費用および個々の検出モジュール294の複雑さは、減少する。しかしながら、検出モジュールからのデータ296における、ガンマ線と媒体との相互作用の正確な3次元位置を決定するための必要な演算を行うために、プロセッサ298が用いられる。開閉システムなしに、コレクタにより収集されたデータが有する誤差データの量がかなり増加することを、当業者は理解するだろう。それゆえに、複数の光検出器およびコレクタから収集されるデータが、光検出器により検出された相互作用の正確な3次元位置を決定するために、オフライン処理される。
【0049】
オフライン処理は、好ましくは、コレクタによって収集された、無関係のデータを数学的に排除するための、フィルタリング処理する、および他の演算をする工程を含む。光検出器からのデータを用いて、所望の信号(例えば、相互作用により生成されるイオン化電子)がコレクタに到着する時間、および位置を含む窓が決定され得ることを、当業者は理解するだろう。それから、当業者に理解されるように、この窓は、正確な位置(例えば、XおよびY位置)およびコレクタへの到着時間を決定するために、伝統的な処理技術を用いて精製され得る。第3次元(例えば、Z位置)は、それから、伝統的な方法において、光検出器により検出される相互作用時間と、コレクタへの到着時間との差、および媒体中でのイオン化電子のドリフト速度により決定される。
【0050】
さらに、図3に示すように、データ296は、複数の検出器294から収集され、共通処理装置298において処理され得る。また、さらに処理装置は、上述したようにデータの処理を行うのに適したどんな装置であってもよいことを、当業者は理解するだろう。例えば、処理装置298は、一般使用目的のコンピュータ、用途特異的な装置、画像化システムが集積したハードウエア/ソフトウエア、分布処理システム、および同様の装置であり得る。
【0051】
図4Aおよび4Bは、光センサ302a、302bの配列から得られる位置感受性信号により制御される時間投影イオン化チャンバ(TPC)を有する改良された検出器モジュール300の例示形態を示す。この検出器は、発明者らによるU.S.特許出願番号2002/0007670(“Bryman2”)に開示された検出モジュール、および図1Aおよび1Bに関連して上述した検出モジュールにいくつかの点において類似している。図4Aおよび4Bに示すように、ガンマ線350は、検出器304内に含まれる、液体キセノンのような材料において変換される。選択された材料は、完全な活性変換器、光伝達媒体、およびイオン化ドリフト媒体として提供される。相互作用340からのシンチレーション光370は、イオン化検出器のいくつかの表面の周りに配置された光検出器302a、302b(例えば、光電子増倍管)の配列により検出される。光検出器は、検出された光信号370に比例するとして見積もられるために、(事象選択のために)相互作用のエネルギーを許容する。相互作用340の位置は、また、配列内に設けられた様々な光検出器に達する光の相対時間を評価することによって決定され得る。
【0052】
シンチレーション光を生成することに加えて、ガンマ線相互作用340は、検出器内の液体キセノンのような材料をイオン化する。これにより、自由電子360を生成する。材料中に電子ドリフト領域を形成することによって、自由電子は、イオン化チャンバの収集領域310に進まされ得る。ドリフト領域は、シンチレーション光の大半が電極を通過し、光検出器302a、302bに達することを可能にするように設計され、かつ配置された電極306a、306bの一式により提供される。液体キセノン中の例えば、1kV/cmのドリフト領域は、イオン化電子を約0.2cm/μsの速度でドリフトさせるだろう。さらに、10cmに深さを有する検出チャンバは、約50μsの最大記憶時間を供給するだろう。Bryman2に一般的に示されているように、収集領域310に達する前に、イオン化電子360は、遮蔽格子および開閉システム312を通過してもよい。
【0053】
参照としてそのすべてをここに組み込む、E.AprileらがSPIE,2806:337 et seq.(1996)(Aprile1)に基づくBryman2に示されているように、上述した同様のイオン化検出器の実行において、遮蔽格子および/または開閉システムまたは配列を通過した後、イオン化電子は、2つの座標測定を可能にする、直行する誘導格子対を通過するだろう。図4Aおよび4Bに示すように、しかしながら、本発明の例示形態において、遮蔽格子312を通過した後、イオン化電子は、実質的な平面に対して小さい角度であり、遮蔽格子の平行位置および、誘導格子の反対に設けられたコレクタ陽極310との間に位置する単一の誘導格子311により、検出される。液体キセノン検出器の使用におけるさらなる背景は、参照としてここにその全てが組み込まれた、Aprileらの、ALiquid Xenon Imaging Telescope for 1−30MeV Gamma−Ray Astrophysics,SPIE,1159:295−305(1989)(“Aprile2”)に示されている。
【0054】
単一配列311は、X−Z平面に平行に配置され、ドリフト方向(Z)(図1の上方向)を横切るガンマ線相互作用の2つの座標を正確に決定するために用いられる。ドリフトするイオンのY方向(ワイヤ方向に直行する)は、配列311の素子上において誘導される電荷の分布により決定される。遮蔽格子312および陽極310は、(ドリフト方向Zに対して直行するX−Y平面において)互いに平行である一方で、誘導格子311の素子は、それらの間で、(X−Z平面において)平行から小さい角度オフセットされるように設けられる。例えば、誘導信号が少なくとも2つのワイヤにより共有される3mm間隔のワイヤは、電荷の重心を決定するための信号サイズの改ざんを用いて、1mm以下のX空間分解能を生むことが予測される。この方法は、Aprile 1において、より詳細に議論されている。
【0055】
誘導格子311から遮蔽格子312、および遮蔽格子から陽極配列310までの距離は、Z方向に沿って変化するため、誘導格子および陽極において決定されるイオン化電子信号間の時間差もまた、変化するだろう。この時間の多様性は、高い空間分解能を伴う特定のX位置(誘導ワイヤの方向に沿って)に相関する。例えば、誘導格子311および陽極配列310間の0.01ラジアン(r)の傾きは、10cmの距離以上の200nsのドリフト経路時間差の結果となる。それゆえに、2nsオーダーにおける時間差分解能は、約1mmの位置分解能提供するだろう。
【0056】
加えて、誘導パルスの形状および振幅は、イオン化のX位置を交互に測定することによって与えられるX位置に伴って変化する。それゆえに、単一の1次元誘導配列311は、2次元における改良された2次元空間分解能を提供するために利用され得る。誘引時間(一致する光信号の光検出器による検出から得られる)に関連する、イオン化電子信号360が陽極または誘導ワイヤに到着する時間taは(適切な測定後の)、垂直位置(Z)またはガンマ線相互作用のシンチレーション材料中の深さに変換される。これは、賦課されたドリフト領域下でのドリフト速度が知られている、または決定され得るからである。
【0057】
図5A〜5Cは、検出器が、改良されたイオン化検出器の概念の、実質的に円筒形状の装置を示す、変更可能な例示形態を示す。この例において、単一の陽極ワイヤ410は、例えば自身が遮蔽配列412により取り囲まれた、複数の誘導ワイヤ411により取り囲まれている。陰極配列406は、遮蔽配列412を取り囲み、陰極配列と遮蔽配列との間に、活性ドリフト領域を伴うドリフト領域を形成するために用いられ得る。図4Aおよび4Bに関連して上述した例のTPCにおいて、陽極ワイヤ410は、好ましくは、遮蔽配列412に対して平行であり、かつこの例においては中心である。誘導配列411を含むワイヤは、しかしながら、扇形、または陽極および遮蔽の両配列コンダクタの位置に対して、角度をなして設けられる。図5AのそれぞれB−B線およびC−C線における断面図を示す、図5Bおよび5Cに示すように、このオフセット位置は、検出器400の円筒軸に沿う、誘導配列411のワイヤと、陽極コンダクタとの間の放射分離を変化させる。
【0058】
図5Aから5Cに示す例示形態において、相互作用のラジアル座標(r)に一致するドリフト時間(シンチレーション信号と、電子の陽極ワイヤへの到着との間)、および誘導ワイヤ上で測定される誘導電荷分布は、角度φ(円筒座標内において)を与える。誘導ワイヤにおける検出と、陽極における検出との間の差における多様性は、ワイヤに沿った(円筒座標におけるZ)イオン化の相互作用位置に一致する。ドリフト領域における多様性の結果である細かい修正は、容易に適応され得る。上述したTPCにおいて、誘導パルスの形状および振幅は、相互作用のZ位置とともに変化するだろう。それゆえに、Z位置を決定するための代替機構が提供される。
【0059】
図6Aに示すように、小さい検出モジュール501の配列500は、この例においては六角形であるが、約1またはより標準的な図形状に配置され得る。図6Aに示すように、それぞれの検出モジュール501は、例えば複数の誘導ワイヤ511に囲まれた、単一の陽極コンダクタ510を、典型的に含む。この誘導ワイヤ511は、それ自身が遮蔽配列512によって囲まれている。陰極配列506は、遮蔽配列512に囲まれ、陰極配列と遮蔽配列との間に活性ドリフト領域を伴うドリフト領域を形成する。検出モジュール501の減少した寸法により供給される複数事象の減少した衝突、および減少した待ち時間を維持する一方で、複数のこれら小さい検出モジュールは、比較的大きい領域および/または量を集合的に監視するために、図6Aに提案されているように、配列に集合させられ得る。同様に、図6Bに示すように、図5Aから5Cに示す例示形態に一致する、複数の一般的な円筒検出モジュール601は、この例においては六角形であるが、より大きな配列600に集合させられ得る。複数のより大きな配列600は、順にさらに大きな配列(図示せず)を形成するのに用いられ得る。
【0060】
図5Aから5Cに示す例示形態のために、例えば、好ましい構成は、2.6cmオーダーにおける総セルまたは検出器の直径である約6mmの直径を有する中心領域を、陽極410と遮蔽配列との間に含んでいてもよい。図1Aおよび1Bに示すように、上述した検出器の構成において用いられたと同様の強度のドリフト領域下において、そのような構成は、約6.5μsの最大ドリフト時間を生み出し得る。この構成、または同様のドリフト時間を生み出すことが可能な他の構成は、それゆえに、約1mmより小さい3次元空間分解能を維持する一方で、放射線暴露の増加した速度に適応可能である。
【0061】
図5Aから5Cに示された小さいセルの検出器の円筒形状構成は、特に、陽電子放出断層撮影法(PET)に主に用いられているように、高速に一致する測定に適している。装置の誘発に用いられる素早いシンチレーション光信号もまた、ガンマ線の正確な消滅対を選択するために用いられる、一致する窓がせまい。それゆえに、ふぞろいの選択または偶然の事象が減少する。Bryman2に記載された光感知器の配列から得られる位置依存性光信号は、ガンマ線相互作用事象を検出器内で検出し、位置決定し得る全体的な正確性を向上させるための位置感受性3Dイオン化データに関連し得る。それゆえに、雑音を減少し、続いてスキャニングした対象の画像を生成するために用いられるデータの正確さを向上させる。
【0062】
本発明の例示形態は、相互作用のエネルギー、相互作用の3次元位置、および低エネルギーガンマ線のようなエネルギー粒子による相互作用中に生成されるイオン化電子の放出角度を測定するために、誘導される検出器を含む。基本的な検出器は、ガンマ線および/または他の電荷粒子をイオン化するイオン化チャンバを含む。このイオン化チャンバは、1次元ワイヤ配列のみを用いて、複合的な相互作用を含むイオン化事象の3次元位置を測定し得る。
【0063】
イオン化検出器は、典型的には液体または気体のキセノンまたはクリプトンのように、材料中におけるエネルギー粒子の相互作用によるイオン化電子の組み合わせにより、検出可能なシンチレーション光を生成する流体材料を組み込む。イオン化検出器は、また、イオン化電子を、好ましくは少しの希釈または障害を伴い、ワイヤのような電極の集合に向かってドリフトさせるための電子ドリフト領域を材料内に形成するために、構成され、偏るように配置されたコンダクタを含む。相互作用位置の全ての3次元位置は、約1mmまたはそれ以下の、比較可能な分解能と共に、同時に測定される。それゆえに、異なる軸に沿った分解能の変化の結果として起こる視差エラーを減少、または省く。
【0064】
ガンマ線は、検出材料中において、電荷粒子(光電気効果、対生成、またはコンプトン散乱)に変換される。この変換もまた、イオン化チャンバの周囲に設けられた光検出器により検出される光エネルギーを放出する。1次元集合電極配列は、3次元の大きさの示唆を提供するシンチレーション信号時間に関連する、イオン化電子の到着時間の多様性を伴う、イオン化相互作用の2次元位置を特定するために用いられてもよい。収集された全イオン化信号は、収集された光信号の振幅により提供されるエネルギー蓄積上の追加情報を有し、ガンマ線相互作用により蓄積されたエネルギーを決定する。
【0065】
ガンマ線の単一相互作用位置、およびエネルギーを検出することに加えて、コンプトン散乱を含むような複合した相互作用事象は、個々のガンマ線の方向を得るために用いられ得る。この状況において、複合的な同時誘発は、検出器の1つ以上の領域を活性化するために用いられ得る。このため、事象の完全なヒストリーは、ガンマ線角度の再現結果として記録され得る。
【0066】
上述のイオン化検出器の空間分解能は、イオン化量、ドリフト速度、ドリフト方向座標のための読出し電子(時間分解能)、誘引配列の傾き角度、分割、および読出し方法に依存する。1mmより小さいオーダーにおいて典型的に要求される分解能を、達成し得る。なぜならば、0.2cm/μsのオーダーにおけるドリフト速度の結果起こる、液体不活性材料検出器からの光信号は、誘導信号の時間と比較して、相対的に早いからである(典型的には1ns)。さらに、拡散効果が比較的小さいことが知られているからである。同様に、非ドリフト方向における1mmの空間分解能が、主に採用される技術により達成されることも知られている。
【0067】
陽極集合ワイヤまたは誘導ワイヤに沿ってイオン化の空間座標を供給するためのいくつの他の技術が知られている。これらの技術は、抵抗ワイヤを用いた端と端とをつなぐ(end to end)振幅測定、および端と端とをつなぐ(end to end)時間差測定を含む。時間技術は、高い信号伝達速度のために、一般的に低い空間分解能(数cm)に制限される。振幅技術は、ワイヤ長の数パーセントの分解能を有し得るが、空間分解能は、絶対的な信号の大きさに高い感受性がある。数mmの分解能は、気体複合ワイヤ比較(gas multi−wire proportional)、または十分に高い出力割合(gain)を有するドリフトチャンバに対して達成される。
【0068】
公知の技術および検出器の構成では適用されそうもなかったが、上述した本発明は、低エネルギーガンマ線またはX線からのイオン化を検出するための、改良された3次元情報を得るための陽極に関する角度に設けられた、誘導ワイヤの1次元配列に適用し得る。本発明は、改良された位置分解能、およびより均一な検出反応を提供し得る。本発明による例示検出器の処理は、減少したワイヤ長依存性を示し、実質的にはワイヤ長から独立さえし得る。そして、さらに活性交点の減少した数において、正確かつ明白に、ガンマ線相互作用の3つの空間座標を決定することを可能にする。すなわち、活性交点は、単一端読出し信号を伴う本質的な1次元配列として構成され得る。
【0069】
これらのモジュールは、高分解能、高検出効果、および実質的に1次元配列を採用することによる控えめな費用を提供する一方で、非常に大きな領域、および量を網羅するように設計かつ構成され得る。さらに、例示形態に示した、材料、次元、角度、誘導配列の位置、および用いられた検出器型を含む検出器の組み立ては、これに制限されない。すなわち、イオン化検出器の大きな範囲に適用するために仕立てられ得る検出器を組み立てる一方で、例示形態に加わる様々な材料および構成の組み合わせは、本発明の範囲から離れることなく、製造され、かつ適用されることを当業者は理解するだろう。
【0070】
特定の用途に適した本発明に一致する材料、次元、および形状の選択は、一般に当該分野の1つの可能性内であるだろう。例えば、液体または気体のキセノン、クリプトンまたはアルゴンの他の材料を含む変換器および検出器材料を、適用してもよい。高い明確性を有する3次元空間情報を得るための1次元配列を作るのに用いられる他の多くの形状もまた、採用しえる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1A】図1Aは、初期のガンマ線検出器の構造を示す投影図である。
【図1B】図1Bは、初期のガンマ線検出器の構造を示す断面図である。
【図2】図2は、多数の検出要素が組み込まれた装置の機能の概要を示す図である。
【図3】図3は、複数の検出モジュールから検出データを収集するためのシステムの例示構成の第2の概要を示す図である。
【図4A】図4Aは、本発明の例示形態を示す図である。
【図4B】図4Bは、本発明の例示形態を示す図である。
【図5A】図5Aは、本発明の第2の例示形態を示す図である。
【図5B】図5Bは、本発明の第2の例示形態を示す図である。
【図5C】図5Cは、本発明の第2の例示形態を示す図である。
【図6A】図6Aは、第2の例示形態による複数の検出器の例示配列を示す図である。
【図6B】図6Bは、第2の例示形態による複数の検出器の例示配列を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出器内におけるエネルギー粒子相互作用の位置を検出するための方法であって、
前記検出器内にドリフト媒体を用意する工程と、
エネルギー粒子と前記ドリフト媒体とを相互作用させることによって、相互作用位置にイオン化電子を生成する工程と、
前記エネルギー粒子と前記ドリフト媒体との間に起こる相互作用を示す相互作用信号を生成する工程と、
前記ドリフト媒体内に、前記イオン化電子が誘導配列およびコレクタに向けられるドリフト領域を形成する工程と、
前記相互作用位置に対応する少なくとも1つの座標を決定するために、前記誘導配列において前記イオン化電子を検出する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ドリフト媒体は、シンチレートする液体であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ドリフト媒体は、液体キセノン(Xe)、液体クリプトン(Kr)、および液体アルゴン(Ar)の少なくとも1つであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ドリフト媒体は、希ガスであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記コレクタは、2次元収集電極配列を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ドリフト領域は、ドリフト媒体を介して、ドリフト速度におけるイオン化電子の動きを誘導することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ドリフト媒体は、液体キセノンであり、かつ前記ドリフト領域は、約1kV/cmであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ドリフト媒体は、液体キセノンであり、かつ前記ドリフト領域は、イオン化電子に対して約0.2cm/μsのドリフト速度を生み出すことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ドリフト媒体は、シンチレーション媒体であり、前記エネルギー粒子と前記ドリフト媒体との間の前記相互作用は、シンチレーション光を放出し、前記シンチレーション光は、前記相互作用信号を生成するために、ドリフト媒体の周りに供給される光検出器によって検出され、
さらに、前記光検出器は、光電子増倍管、位置感受性光電子増倍管、フォトダイオード、電子なだれフォトダイオード、ハイブリッドフォトダイオード、および可視光検出器から成る群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記相互作用位置と前記誘導配列との間の遮蔽配列を用意する工程と、
第1の複数の座標に応じて、イオン化電子が前記遮蔽配列に達すると予想される時間、前記遮蔽配列システムの一部を開くことによって、前記イオン化電子が、前記遮蔽配列を通過し、誘導配列の一部に向かって移動することを選択的に許容する工程とをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記遮蔽配列の一部は、前記相互作用信号から決定される、前記イオン化電子が前記コレクタに到着する予想時間に基づいて開かれることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記光検出器および前記コレクタからデータを収集する工程と、
前記相互作用の3次元概算値を算出するために、前記収集されたデータをオフライン処理する工程とをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項13】
ガンマ線相互作用の位置を決定するためのガンマ線検出器であって、
相互作用位置において、ドリフト媒体とガンマ線との間の相互作用に対応してイオン化電子を放出するドリフト媒体を含む活性領域と、
相互作用に対応する初期時間を評価するための相互作用を検出するための装置と、
前記ドリフト媒体を介して、選択的な遮蔽配列、前記遮蔽配列およびコレクタに対してオフセット整列するように設置された誘導配列、および前記コレクタに向けて前記イオン化電子をドリフト速度で動かすために、前記イオン化電子を誘導するのに十分な、前記ドリフト媒体におけるドリフト領域に前記イオン化電子を誘導するエネルギー配列と、
遮蔽配列によるイオン化電子の検出に基づく相互作用位置の少なくとも1つの座標を算出するための処理装置を含むことを特徴とするガンマ線検出器。
【請求項14】
前記ドリフト媒体は、不活性の液体であることを特徴とする請求項13に記載のガンマ線検出器。
【請求項15】
前記ドリフト媒体は、少なくとも0.1cm/μsのドリフト速度で移動させるために誘導し得る気体であることを特徴とする請求項13に記載のガンマ線検出器。
【請求項16】
前記エネルギー配列は、実質的に安定したドリフト速度で、前記ドリフト媒体を介して前記イオン化電子を移動させるのに十分な前記ドリフト領域に誘導するために、偏っていることを特徴とする請求項13に記載のガンマ線検出器。
【請求項17】
前記媒体は、液体キセノンであり、前記ドリフト速度は、約0.2cm/μsであることを特徴とする請求項14に記載のガンマ線検出器。
【請求項18】
前記ドリフト媒体は、シンチレーション媒体であり、前記相互作用を検出するための前記装置は、前記ドリフト媒体の周りに設けられた複数の光検出器を含み、前記光検出器は、光電子増倍管、位置感受性光電子増倍管、フォトダイオード、電子なだれフォトダイオード、ハイブリッドフォトダイオード、および可視光検出器から成る群から選択されることを特徴とする請求項13に記載のガンマ線検出器。
【請求項19】
前記相互作用の検出に基づいて算出される第1の相互作用位置、および前記イオン化電子の誘導されるドリフト速度に基づいて、前記遮蔽配列の一部を選択的に停止させることによって、前記イオン化電子の前記遮蔽配列の通過を許容する作動システムをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載のガンマ線検出器。
【請求項20】
前記エネルギー配列は、前記遮蔽配列を取り囲み、
前記遮蔽配列は、前記コレクタ、前記エネルギー配列、遮蔽配列、および実質的に平行で、かつ同軸位置に配置された前記コレクタを取り囲み、
前記活性領域は、前記エネルギー配列と前記遮蔽配列との間の感情領域であり、
前記誘導配列は、前記遮蔽配列と前記コレクタとの間に配置され、前記誘導配列の素子は、前記コレクタに対してオフセットされた角度であり、前記誘導配列の素子と前記コレクタとの間の距離が、前記コレクタに沿ったZ軸位置の線形機能によって表される位置に配置されることを特徴とする請求項13に記載のガンマ線検出器。
【請求項21】
ガンマ線モジュール内に配列するように配置される、請求項20に記載の複数のガンマ線検出器と、
ガンマ線検出モジュールに対して目標物の位置決定をするように設計され、かつ配置される標的領域の周りに所定のパターンで、配置される複数のガンマ線検出器モジュールとを含むガンマ線検出システム。
【請求項1】
検出器内におけるエネルギー粒子相互作用の位置を検出するための方法であって、
前記検出器内にドリフト媒体を用意する工程と、
エネルギー粒子と前記ドリフト媒体とを相互作用させることによって、相互作用位置にイオン化電子を生成する工程と、
前記エネルギー粒子と前記ドリフト媒体との間に起こる相互作用を示す相互作用信号を生成する工程と、
前記ドリフト媒体内に、前記イオン化電子が誘導配列およびコレクタに向けられるドリフト領域を形成する工程と、
前記相互作用位置に対応する少なくとも1つの座標を決定するために、前記誘導配列において前記イオン化電子を検出する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ドリフト媒体は、シンチレートする液体であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ドリフト媒体は、液体キセノン(Xe)、液体クリプトン(Kr)、および液体アルゴン(Ar)の少なくとも1つであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ドリフト媒体は、希ガスであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記コレクタは、2次元収集電極配列を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ドリフト領域は、ドリフト媒体を介して、ドリフト速度におけるイオン化電子の動きを誘導することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ドリフト媒体は、液体キセノンであり、かつ前記ドリフト領域は、約1kV/cmであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ドリフト媒体は、液体キセノンであり、かつ前記ドリフト領域は、イオン化電子に対して約0.2cm/μsのドリフト速度を生み出すことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ドリフト媒体は、シンチレーション媒体であり、前記エネルギー粒子と前記ドリフト媒体との間の前記相互作用は、シンチレーション光を放出し、前記シンチレーション光は、前記相互作用信号を生成するために、ドリフト媒体の周りに供給される光検出器によって検出され、
さらに、前記光検出器は、光電子増倍管、位置感受性光電子増倍管、フォトダイオード、電子なだれフォトダイオード、ハイブリッドフォトダイオード、および可視光検出器から成る群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記相互作用位置と前記誘導配列との間の遮蔽配列を用意する工程と、
第1の複数の座標に応じて、イオン化電子が前記遮蔽配列に達すると予想される時間、前記遮蔽配列システムの一部を開くことによって、前記イオン化電子が、前記遮蔽配列を通過し、誘導配列の一部に向かって移動することを選択的に許容する工程とをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記遮蔽配列の一部は、前記相互作用信号から決定される、前記イオン化電子が前記コレクタに到着する予想時間に基づいて開かれることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記光検出器および前記コレクタからデータを収集する工程と、
前記相互作用の3次元概算値を算出するために、前記収集されたデータをオフライン処理する工程とをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項13】
ガンマ線相互作用の位置を決定するためのガンマ線検出器であって、
相互作用位置において、ドリフト媒体とガンマ線との間の相互作用に対応してイオン化電子を放出するドリフト媒体を含む活性領域と、
相互作用に対応する初期時間を評価するための相互作用を検出するための装置と、
前記ドリフト媒体を介して、選択的な遮蔽配列、前記遮蔽配列およびコレクタに対してオフセット整列するように設置された誘導配列、および前記コレクタに向けて前記イオン化電子をドリフト速度で動かすために、前記イオン化電子を誘導するのに十分な、前記ドリフト媒体におけるドリフト領域に前記イオン化電子を誘導するエネルギー配列と、
遮蔽配列によるイオン化電子の検出に基づく相互作用位置の少なくとも1つの座標を算出するための処理装置を含むことを特徴とするガンマ線検出器。
【請求項14】
前記ドリフト媒体は、不活性の液体であることを特徴とする請求項13に記載のガンマ線検出器。
【請求項15】
前記ドリフト媒体は、少なくとも0.1cm/μsのドリフト速度で移動させるために誘導し得る気体であることを特徴とする請求項13に記載のガンマ線検出器。
【請求項16】
前記エネルギー配列は、実質的に安定したドリフト速度で、前記ドリフト媒体を介して前記イオン化電子を移動させるのに十分な前記ドリフト領域に誘導するために、偏っていることを特徴とする請求項13に記載のガンマ線検出器。
【請求項17】
前記媒体は、液体キセノンであり、前記ドリフト速度は、約0.2cm/μsであることを特徴とする請求項14に記載のガンマ線検出器。
【請求項18】
前記ドリフト媒体は、シンチレーション媒体であり、前記相互作用を検出するための前記装置は、前記ドリフト媒体の周りに設けられた複数の光検出器を含み、前記光検出器は、光電子増倍管、位置感受性光電子増倍管、フォトダイオード、電子なだれフォトダイオード、ハイブリッドフォトダイオード、および可視光検出器から成る群から選択されることを特徴とする請求項13に記載のガンマ線検出器。
【請求項19】
前記相互作用の検出に基づいて算出される第1の相互作用位置、および前記イオン化電子の誘導されるドリフト速度に基づいて、前記遮蔽配列の一部を選択的に停止させることによって、前記イオン化電子の前記遮蔽配列の通過を許容する作動システムをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載のガンマ線検出器。
【請求項20】
前記エネルギー配列は、前記遮蔽配列を取り囲み、
前記遮蔽配列は、前記コレクタ、前記エネルギー配列、遮蔽配列、および実質的に平行で、かつ同軸位置に配置された前記コレクタを取り囲み、
前記活性領域は、前記エネルギー配列と前記遮蔽配列との間の感情領域であり、
前記誘導配列は、前記遮蔽配列と前記コレクタとの間に配置され、前記誘導配列の素子は、前記コレクタに対してオフセットされた角度であり、前記誘導配列の素子と前記コレクタとの間の距離が、前記コレクタに沿ったZ軸位置の線形機能によって表される位置に配置されることを特徴とする請求項13に記載のガンマ線検出器。
【請求項21】
ガンマ線モジュール内に配列するように配置される、請求項20に記載の複数のガンマ線検出器と、
ガンマ線検出モジュールに対して目標物の位置決定をするように設計され、かつ配置される標的領域の周りに所定のパターンで、配置される複数のガンマ線検出器モジュールとを含むガンマ線検出システム。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【公表番号】特表2007−529751(P2007−529751A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504123(P2007−504123)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/008965
【国際公開番号】WO2005/093458
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(506315697)トライアンフ,オペレーティング アズ ア ジョイント ヴェンチャー バイ ザ ガバナーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ アルバータ,ザ ユニバーシティ オブ ブリティッシュ コロンビア,カールトン (8)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/008965
【国際公開番号】WO2005/093458
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(506315697)トライアンフ,オペレーティング アズ ア ジョイント ヴェンチャー バイ ザ ガバナーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ アルバータ,ザ ユニバーシティ オブ ブリティッシュ コロンビア,カールトン (8)
【Fターム(参考)】
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