説明

一段おきの床にバイパスラインを有し、バイパス流体の流量を調節する、擬似移動床分離のための方法および装置

【課題】分離効率の改良された擬似移動床分離方法を提供する。
【解決手段】SMB機器における擬似移動床吸着によるフィードFの分離方法であって、該機器は、プレートをフラッシュするために2つの連続するプレートP、Pi+1(添字iは、偶数または(前述とは排他的な形で)奇数のいずれか)を、カラムの長さ全体に沿って直接結合する外部バイパスラインLi/i+1を含み、バイパスラインLi/i+1のそれぞれは、バイパスライン中の流量を制御するための自動化手段を含み、前記制御手段の開口度は、3つの規則:a)ゾーン1の開のバイパスラインの全てにおいて15〜30%の範囲の過同期性に対応する流量を確立する;b)ゾーン2および3の開のバイパスラインの全てにおいて±8%の範囲内の同期性に対応する流量を確立する;c)ゾーン4の開のバイパスラインにおいて20〜40%の範囲の過同期性に対応する流量を確立するによって規定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸留によって分離することが困難な化学産物、天然物、または合成産物の分離の分野に関する。一連の方法および関連する機器が使用されており、擬似向流モードまたは擬似並流モードのいずれにおいても擬似移動床法または分離機器と呼ばれているが、本明細書では以後それらを一般名称の「SMB」と呼ぶこととする。したがって、本明細書においては以後、SMB方法若しくは機器、またはSMB分離、またはSMB装置と呼ばれることになる。
【0002】
関連する分野としては次のものが特に挙げられるが、これらに限定される訳ではない:
・分枝状パラフィン、ナフテンおよび芳香族化合物からの直鎖状パラフィンの分離;
・オレフィン/パラフィンの分離;
・他の芳香族C8異性体からのパラキシレンの分離;
・他の芳香族C8異性体からのメタキシレンの分離;
・他の芳香族C8異性体からのエチルベンゼンの分離。
【0003】
製油所や石油化学コンビナート以外にも多くの他の用途が存在し、たとえば以下のような用途が挙げられる;グルコース/フルクトースの分離、クレゾールの位置異性体の分離、光学異性体の分離など。
【背景技術】
【0004】
SMB分離は従来技術において周知である。一般的に言って、擬似移動床モードで運転されるカラムには、少なくとも三つの操作ゾーン、場合によっては四つまたは五つの操作ゾーンが含まれ、前記ゾーンのそれぞれは、いくつかの連続した床で構成され、それぞれのゾーンは、供給ポイントと抜取ポイントとの間にある位置によって画定されている。典型的には、SMBカラムには、分別されるべき少なくとも1種のフィードFおよび脱着剤D(溶出剤と呼ばれることもある)が供給され、少なくとも1種のラフィネートRおよび抽出液Eが前記カラムから抜き取られる。
【0005】
供給ポイントおよび抜取ポイントは、同一の方向に、かつ相対的な位置関係を維持しながら、一つの床に相当する値により、時間の経過とともに定期的にシフトされる。供給ポイントおよび抜取ポイントの連続2回のシフトの間の区切りとなる時間間隔を、「周期(period)」と呼ぶ。
【0006】
定義として、それぞれの操作ゾーンに番号をつける;
・ゾーン1=抽出液の中の化合物を脱着させるためのゾーンであって、脱着剤Dの注入と、抽出液Eの抜出しとの間に含まれる;
・ゾーン2=ラフィネートの中の化合物を脱着させるためのゾーンであって、抽出液Eの抜出しと、分別すべきフィードFの注入との間に含まれる;
・ゾーン3=抽出液中に化合物を吸着させるためのゾーンであって、フィードの注入と、ラフィネートRの抜出しとの間に含まれる;
・ならびに好ましくは、ラフィネートの抜出しと脱着剤の注入との間に位置するゾーン4。
【0007】
擬似移動床フィードの分離を実施するための、各種の機器および方法が、従来技術において詳細に記載されている。
【0008】
以下の特許を特に挙げることができる:特許文献1〜8。これらの特許には、SMBの機能も詳しく記載されている。
【0009】
SMB機器は、典型的には、少なくとも1本(多くの場合、2本)のカラムを含み、該カラムは、数段の連続した吸着剤床Aに分割され、前記床はプレートPによって分離されており、そのそれぞれのプレートPは、一つ、二つ、または四つの室を含み、これらの室は、フィードの供給または脱着剤の注入、ならびにラフィネートもしくは抽出液の抽出の連続操作を実施することができる。
【0010】
本発明は、単一室機器のカテゴリーに区分される。すなわち、各種の流れの供給と抜出しの両方を前記室を使用して実施することが可能である。
【0011】
以下においてより詳しく説明されることになるが、プレートは通常、分割されて複数のパネルとなり、それぞれのパネルに、流れの供給および抜出しをするための室が含まれる。
【0012】
それぞれのプレートPは、典型的には、分配/抽出ラインまたは系を介して供給される、「DMEプレート」と呼ばれる複数の分配器−混合器−抽出器(distributor-mixer-extractor)パネルを含む。それらのプレートは、いかなるタイプであっても、またいかなる形状であってもよい。
【0013】
前記パネルは、そのカラムのセクションの中の隣接するセクターに相当していて、たとえば、角度のあるセクターを有するパネル、たとえば特許文献9に記載されているようなものや、平行なセクターを有するパネル、たとえば特許文献10に記載されているようなものである。
【0014】
本発明は、1枚のプレートを複数のパネルにどのようなタイプで分割しても矛盾することはない。
【0015】
本発明の分離カラムが、平行セクターと、二対称性の供給(di-symmetrical supplies)とを有するタイプのDMEプレートを含んでいるのが好ましい。
【0016】
それぞれの床の上への分配では、先行する床から得られる主要な流れを集めること、補助的な流体もしくは二次的な流体を、それら二つの流体を可能な限り混合しながら、注入することが可能であることを必要とされるか、または、集められた流体の一部を除去したり、抽出したりして機器の外部へと送り出したりすることが可能であるべきであり、さらに流体が、次の床で再分配させられることが可能であるべきである、ということが必要とされる。
【0017】
すべてのSMB機器の場合に共通する問題点は、SMBの操作の際に供給および抜出しポイントの改変の間にプレートに流体を供給およびプレートから流体を抜き出すための単数または複数の種々のゾーンにおいて見出される液体によって生じる汚染を最小限とすることについてのものである。
【0018】
操作シーケンスの間に、プレートPのためのライン、室または供給ゾーンが、プロセス流体によってもはやフラッシュされなくなった場合、それは、液体が停滞するデッドゾーンになり、それは、別のプロセス流体がもう一度その内部に移動する場合にのみ再度移動される。SMBの操作は、これが、考慮対象のライン中に停滞している流体とは異なるプロセス流体であることを意味している。
【0019】
短い時間間隔の間に実質的に異なった組成を有する流体を混合または移動させるということによって理想的な操作に比較して、考慮の対象となっているゾーンの濃度プロファイルに摂動がもたらされ、このことに対して組成的な不連続性は回避されるべきである。
【0020】
別の問題点は、プレートの種々のゾーンの間の非常に小さい圧力差に起因する、同一プレートの種々ゾーンの間の、より一般的には、同一プレートの分配/抽出システムの全体にわたる場合による再循環にあり、これにより、理想的な操作と比較してさらなる摂動がもたらされる。
【0021】
再循環およびデッドゾーンに起因する問題点を克服するために従来技術においては各種の解決法が知られている:
a)脱着剤または比較的純粋な所望の製品を使用して、所与のプレートの分配/抽出系をフラッシュすることがすでに提案されている。この方法は、所望の製品を抽出している間に、それが汚染されることを防止している。しかしながら、そのフラッシング用の液体が、それが置換する液体とは極めて異なった組成を有しているために、それによって組成的な不連続性がもたらされ、理想的な操作にとっては不利となる。この第一のフラッシングの変形例は、典型的には、高い濃度勾配で、短時間のフラッシュを実施した。そのようなフラッシュは、組成的な不連続性への影響を限定するために、厳密に短時間のものである。
【0022】
b)特許文献11および特許文献12に記載されているように、別の解決方法は、主要な流れの大部分をカラムの内側に通し、その流れの小部分(典型的には主要な流れの1〜20%)を、連続しているプレートの間の外部バイパスラインを介して外側に通すことからなっている。このように、上のプレートから導入される流れによって、一つのプレートにおいて分配/抽出系をフラッシュすることは、典型的には、連続的に実施され、それによって、その分配/抽出系のラインおよびゾーンが、もはや「デッド」とはならず、常にフラッシュされる。
【0023】
バイパスラインを介する連続フラッシングを用いたそのような系は、特許文献13に開示されている。一般的にはそのバイパスラインの径は小さく、ラインは、小経バルブを含み、これは、系のコストを低減させる。
【0024】
特許文献11および12の教示に従えば、所与のプレートの分配/抽出系は、置換される液体(分配系の中に存在するか、プレート上を移動している液体)の組成に極めて近い組成を有する液体を用いてフラッシュされるようになっている。したがって、組成の異なる流体を混合することは最小限となり、組成的な不連続性が抑制される。
【0025】
この目的のために、特許文献11および12では、それぞれのバイパスラインの中の通過速度が、SMBの主要な流れ中の濃度勾配の上昇速度と実質的に同じとなるようなバイパスライン中のフラッシュ流量を使用することが推奨されていた。したがって、これを、「同期的(synchronous)」フラッシングまたは「同期的流量」フラッシングと称される。したがって、各種のラインおよび容積物を、その中にある液体の組成と実質的に同一の組成を有する流体によってフラッシュし、バイパスライン中を移動する液体を、主要な流れの組成が実質的に同じとなるポイントで再導入する。
【0026】
そのようにすることで、そのフラッシュが同期的となり、濃度勾配が低いか、ゼロとなる。
【0027】
先に引用した特許の教示に従えば、一つのプレートPから次のプレートPi+1へのフラッシュ流量QSi/i+1がV/STに等しい場合に、フラッシュが「同期的」であると称される(ここで、Vは、プレートP(すなわち、V)とPi+1(すなわち、Vi+1)の分配系の容積と、前記二つのプレートの間のバイパスラインの容積(すなわち、VLi/i+1)との累積容積であり、STは、供給/抽出の二つの連続する切替の間のSMBの切替時間である)。
【0028】
その結果、次のようになる:
同期的流量=QSi/i+1=(V+Vi+1+VLi/i+1)/ST、
ここで:
・QSi/i+1=プレートPから次の(典型的には下側の)プレートPi+1までのフラッシュの流量;
・V=流出側のプレートPの分配/抽出系の容積;
・Vi+1=流入側のプレートPi+1の分配/抽出系の容積;
・VLi/i+1=PとPi+1との間のバイパスラインの容積;
・ST=切替時間。
【0029】
同期的フラッシングは、典型的には、それぞれのゾーンに合わせて、前記ゾーンの同期的流量の50〜150%、理想的にはその同期的流量の100%に速度を調節して実施される。SMBの4つのゾーンのバイパスラインにおける流量は、それぞれのバイパスライン中の制御手段によって調節される。一例を挙げれば、当業者ならば、それらのゾーンのすべてにおいて、同期的流量の90%、または110%の流量、さらには同期的流量の100%に近い任意の他の値を使用することができるであろう。しかしながら、制御手段が存在していると仮定すると、当業者は、当然のことながら、先に引用した特許の教示に従って、ぴったり同期的流量に相当する(同期的流量の100%)ように、それらの4つのゾーンにおける流量を調節する選択を行うであろう。
【0030】
工業的に極めて重要なSMB分離機器の一例は、商業的純度、典型的には少なくとも99.7重量%のパラキシレンと、エチルベンゼン、オルトキシレンおよびメタキシレンに富むラフィネートとを製造することを目的とした芳香族C8留分の分離に関わるものである。
【0031】
先に引用した二つの実施態様は、商業的純度の目的を達成することが可能である。しかしながら、特許文献11および12の「同期的フラッシュ」の教示が、従来技術に対して明白な改良を構成してはいるものの、驚くべきことには、バイパスラインの種々の流量を規定する規則を洗練することによって、擬似移動床分離プロセスの操作と性能をさらに改良することが可能であるということを本願出願人は見出した。
【0032】
最終的には、特許出願08/04637には、バイパスライン機器であって、プレートP、Pi+1のすべてを接続するラインが、添字iの偶奇性(parity)の区別をすること無く、それぞれのラインに適用されるべき流量に関する規則を有しているが、その規則は、考慮の対象となっているゾーン上に少なくとも一つの閉じたバイパスラインが存在しているか、あるいは全てのバイパスラインが開いているかによって異なってくる、ものが記載されている。
【0033】
本発明は、それぞれのバイパスラインに適用されるべき流量規則を、カラムの種々の操作ゾーンのそれぞれに対して規定する限りにおいては、上述の出願に対する改良性を構成しているものとみなされ得る。
【0034】
さらに、本発明は、特許文献14および15に記載されているように、二つの連続するプレートであって、第一のプレートは、偶数の添字を有するか、または(排他的な形で)奇数の添字を有する、プレートを接続するバイパスラインの構成に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0035】
【特許文献1】米国特許第2,985,589号明細書
【特許文献2】米国特許第3,214,247号明細書
【特許文献3】米国特許第3,268,605号明細書
【特許文献4】米国特許第3,592,612号明細書
【特許文献5】米国特許第4,614,204号明細書
【特許文献6】米国特許第4,378,292号明細書
【特許文献7】米国特許第5,200,075号明細書
【特許文献8】米国特許第5,316,821号明細書
【特許文献9】米国特許第6,537,451号明細書
【特許文献10】米国特許6,797,175号明細書
【特許文献11】米国特許第5,972,224号明細書
【特許文献12】米国特許第6,110,364号明細書
【特許文献13】仏国特許発明第2,772,634号明細書
【特許文献14】仏国特許発明第2,904,776号明細書
【特許文献15】仏国特許発明第2,913,345号明細書
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】擬似移動床(SMB)カラムの一部を形成する、ひとつながりの4つのベッドPi−1、P、Pi+1、Pi+2を示す。バイパスラインLi−1/iとLi+1/i+2は、プレートPi−1とPとの間、およびプレートPi+1とPi+2との間に位置している。
【図2】脱着剤流量、フィード流量、生じたパラキシレン純度および切替時間を固定し、各ゾーンについての閉じていないバイパスラインの全ての同期性の関数とし、他のゾーンの閉じていないバイパスラインの全てに対して100%の同期性を維持して、PX収率について測定されるSMBの性能の変動を示す。
【0037】
ゾーン1は、ダイヤモンド形(◆)の曲線で示されている。
【0038】
ゾーン2は、四角形(■)の曲線で示されている。
【0039】
ゾーン3は、三角形(▲)の曲線で示されている。
【0040】
ゾーン4は、円形(●)の曲線で示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0041】
本発明は、改良された擬似移動床分離機器(SMB機器と呼ばれる)に関する。
【0042】
より正確には、本発明は、各種の流体の分配または抽出のための単一の室を有するSMB装置を背景として、それぞれのプレートが数個のパネルに分割されており、それぞれのパネルに流体分配および抽出のための室が備わっている。
【0043】
さらに、本発明が関わるSMB装置は、その中のバイパスラインが二つの連続するプレート、すなわちPとPi+1とを接続している装置であるが、ここで、その添字iは、カラム全体を通して偶数であるか、または(前述とは排他的な形で)カラム全体を通して奇数であるかのいずれかである。
【0044】
驚くべきことに、バイパスラインの理想的な操作は、SMB操作ゾーン全体にわたって厳密な同期的流れに対応するわけではなく、分化した速度が、SMBゾーンに応じ、場合によっては、程度の大小はあるが過同期性を呈し得るということが発見された。
【0045】
より正確には、本発明は、少なくとも1本のカラムを有するSMB機器におけるフィードFの擬似移動床(SMB)分離方法であって、前記カラムは、にプレートPiよって分離された複数の吸着剤床からなり、各プレートPiは、少なくとも1つの分配/抽出システムを含み、フィードFおよび脱着剤Dが供給され、少なくとも1つの抽出液Eおよび少なくとも1つのラフィネートRが抜き出され、供給および抜き出しポイントは、時間の経過と共に、1つの吸着剤床に対応する値だけ切替時間STによりシフトされ、SMBの複数の操作ゾーン、特に以下の4つの主要なゾーン:
・ゾーン1:抽出液中に引き出される化合物を脱着させるためのゾーンであって、脱着剤Dの供給と抽出液Eの抜出しとの間に含まれる;
・ゾーン2:ラフィネートR中に引き出された化合物を脱着させるためのゾーンであって、抽出液Eの抜出しとフィードFの供給との間に含まれる;
・ゾーン3:抽出液Eの中に引き出された化合物を吸着させるためのゾーンであって、フィードFの供給とラフィネートRの抜出しとの間に含まれる;
・ゾーン4:ラフィネートRの抜出しと脱着剤Dの供給との間に位置するゾーン;
を決定し、
該装置は、さらに、二つの連続するプレートPとPi+1とを直接結合する外部バイパスラインLi/i+1(ここで、添字iは、カラム全体を通して偶数であるか、または(前述とは排他的な形で)カラム全体を通して奇数であるかのいずれかである)含み、前記プレートをフラッシュすることを可能とし、該機器において、バイパス導管Li/i+1のそれぞれは、バイパスライン中の流量を制御するための自動化手段を含み、前記制御手段の開口度は、3つの規則:
a)ゾーン1の開のバイパスラインのすべてにおいて、15〜30%の範囲に入る過同期性に相当する流量を確立する;
b)ゾーン2および3の開のバイパスラインのすべてにおいて、±8%以内の同期性に相当する流量を確立する;
c)ゾーン4の開のバイパスラインのすべてにおいて、20〜40%の範囲に入る過同期性に相当する流量を確立する
によって規定されている、方法として定義され得る。
【0046】
同期性流量は、(V+Vi+1+VLi/i+1)/ST
(式中:
は、流出側のプレートPの分配/抽出系の容積を表し;
i+1は、流入側のプレートPi+1の分配/抽出系の容積を表し;
VLi/i+1は、PとPi+1との間のバイパスラインの容積を表し;
STは、切替時間を表す)
によって定義される。
【0047】
過同期性は次式によって定義される:
過同期性=(考慮の対象となっているバイパスライン中の実際の流量/同期性流量)−1
本発明の方法の特定の場合において、同一のゾーンに属する開のバイパスラインのすべては、±2%以内の同程度の同期性を有している。
【0048】
本発明はまた、擬似移動床法のバイパスライン中の流量を調節する方法であって、
・ゾーン1:抽出液中に引き出された化合物を脱着させるためのゾーンであって、脱着剤Dの供給と抽出液Eの抜出しとの間に含まれる;
・ゾーン2:ラフィネート中に引き出された化合物を脱着させるためのゾーンであって、抽出液Eの抜出しとフィードFの供給との間に含まれる;
・ゾーン3:抽出液の中に引き出された化合物を吸着させるためのゾーンであって、フィードFの供給とラフィネートRの抜出しとの間に含まれる;
・ゾーン4:ラフィネートRの抜出しと脱着剤Dの供給との間に位置するゾーン;
によって定義される少なくとも4つの操作ゾーンを含む方法であって、
1)所与のゾーン全体にわたる最適な同期性を、他のゾーンの閉じていないバイパスラインの全部における同期性を100%に固定することによって求め;
2)先行する工程において得られた最適な同期性を、それぞれのゾーンに属させる
方法に関する
本発明は特に、芳香族C8炭化水素の混合物からパラキシレンを分離するための擬似移動床分離方法に適用することが可能である。
【0049】
本発明は特に、芳香族C8炭化水素の混合物からメタキシレンを分離するための擬似移動床分離方法に適用され得る。
【発明を実施するための形態】
【0050】
(発明の詳細な説明)
本発明は、擬似移動床分離のための改良された機器(SMB機器として知られている)に関する。
【0051】
より正確には、本発明は、各種の流体の分配または抽出のための単一の室を有するSMB装置であって、それぞれのプレートが数個のパネルに分割されており、それぞれのパネルに流体の分配および抽出のための一つの室が備わっている、装置のカテゴリーに属する。
【0052】
さらに、本発明が関わるSMB装置は、バイパスラインが二つの連続するプレート、すなわちPとPi+1とを接続している装置であるが、ここで、その添字iは、偶数であるか、または(前述とは排他的に)奇数であるかのいずれかであり、このことはカラム全体にあてはまる。
【0053】
一例として、バイパスラインの一つの構成は、導管を、プレート1と2、次いで3と4、次いで5と6と次々に、そのカラムの最後のプレートにまで接続するが、好ましくはその最後のプレートが偶数添字を有しているようにするべきである。
【0054】
バイパスラインの別の構成は、プレート2と3、次いで4と5、次いで6と7と次々に、そのカラムの最後のプレートにまで接続していくが、好ましくはその最後のプレートが奇数添字を有しているようにするべきである。
【0055】
驚くべきことに、バイパスラインの理想的な操作は、SMBの操作ゾーン全体にわたる厳密な同期流に対応するわけではなく、SMBのゾーンに応じて分化させた流量に対応し、このことは場合によっては、多少なりとも顕著な過同期性を有することもあり得るということが発見された。
【0056】
「過同期性(oversynchronicity)」という用語は、同期性に相当する数値から少なくとも8%を超えた数値を意味していて、前記同期性を超える百分率として表現され得る。
【0057】
より正確には、本発明は、SMB装置の所定のゾーンにわたって、考慮の対象となっているゾーンにおける所定程度の特定の過同期性も含めて、バイパスラインの流量の範囲を規定している。
【0058】
その結果として、一連のバイパスライン流量における複雑な最適値が得られるが、それは、考慮の対象となっているSMBのゾーンに依存する。この技術的な課題は、従来技術の教示には全く欠けているものであって、SMBタイプのプロセスにおける知見および専門的技術の面における進歩となっている。
【0059】
したがって、本発明は、少なくとも1本のカラムを有するSMB機器におけるフィードFの擬似移動床(SMB)分離のための方法であって、前記カラムは、プレートPによって分離された複数の吸着剤床からなり、該プレートPのそれぞれは、少なくとも1つの分配/抽出系を含み、フィードFと脱着剤Dとが供給され、少なくとも1つの抽出液Eと少なくとも1つのラフィネートRが抜き出され、供給ポイントおよび抜出しポイントは、時間の経過と共に、切替時間STを有する一つの吸着剤床に対応する値だけシフトされ、SMBの複数の操作ゾーン、特に4つの主要なゾーン:
・ゾーン1:抽出液中に引き出された化合物を脱着させるためのゾーンであって、脱着剤Dの供給と抽出液Eの抜出しとの間に含まれる;
・ゾーン2:ラフィネート中に引き出された化合物を脱着させるためのゾーンであって、抽出液Eの抜出しとフィードFの供給との間に含まれる;
・ゾーン3:抽出液Eの中に引き出された化合物を吸着させるためのゾーンであって、フィードFの供給とラフィネートRの抜出しとの間に含まれる;
・ゾーン4:ラフィネートRの抜出しと脱着剤Dの供給との間に位置するゾーン;
を決定し、
該機器はさらに、二つの連続するプレートPとPi+1とを直接結合する外部バイパスラインLi/i+1(添字iは、カラム全体を通して偶数であるか、または(排他的な形で)カラム全体を通して奇数であるかのいずれかである)を含み、前記プレートをフラッシュすることを可能とし、バイパスラインLi/i+1のそれぞれには、そのフラッシュ流量を制御するための自動化手段が含まれていて、前記制御手段の開口度は、3つの規則:
a)ゾーン1の開のバイパスラインのすべてにおいて15〜30%の範囲に入る過同期性に相当する流量を確立すること;
b)ゾーン2および3の開のバイパスラインのすべてにおいて±8%以内の同期性に相当する流量を確立すること;
c)ゾーン4の開のバイパスラインのすべてにおいて20〜40%の範囲に入る過同期性に相当する流量を確立すること
によって規定されている、方法に関する。
【0060】
同期性の流量は、(V+Vi+1+VLi/i+1)/ST
(式中
・Vは、流出側のプレートPの分配/抽出系の容積を表し;
・Vi+1は、流入側のプレートPi+1の分配/抽出系の容積を表し;
・VLi/i+1は、PとPi+1との間のバイパスラインの容積を表し;
・STは、切替時間を表す)
によって定義される。
【0061】
過同期性は次式で定義される:
過同期性=(考慮の対象となっているバイパスライン中の実際の流量/同期性流量)−1
本発明の擬似移動床(SMB)分離方法の特定の場合、同一のゾーンに属する開のバイパス導管のすべては、±2%以内の同程度の同期性を有している。
【0062】
本発明の方法において、添字iを有する上流側のプレートと添字i+1を有する下流側のプレートとを結合するバイパスラインによって構成される床iは、いかなるバイパスラインによっても構成されていないベッドi+1と交互に出現する。これら2つのタイプの床(すなわち、バイパスラインによって構成された床をタイプBの床と名付け、バイパスラインによって構成されていない床をタイプAの床と名付けることとする)の容積に差を付けることが特に有利であることが観察された。
【0063】
タイプAの床の容積(V)は、好ましくは、タイプBの床の容積(V)以上であり、濃度プロファイルの移行時間は、両方のタイプの床に同じであるようにされる。
【0064】
QVおよびQVをそれぞれ、床A中および床B中でのサイクルの間の平均容積流量とする。
【0065】
Jと称される床におけるサイクルの間の平均流量は、次式に従って計算され得る:
【0066】
【数1】

【0067】
式中、Qνstepiは、工程iの間の床Jにおける容積流量であり、ここで、Nstepはそのサイクルの工程の数である。
【0068】
同様にして、バイパスラインにおける平均流量は次式に従って計算され得る;
【0069】
【数2】

【0070】
式中、QLDJstepiは、工程iの間のバイパスラインLJ/J+1中の容積流量であり;
バイパスラインLJ/J+1が閉じている場合には、QLDJstepiはゼロである。
【0071】
床AとBとでその吸着剤が同一であるような場合、次式が得られる:
QV=QV+QLDB
容積Vは、好ましくは、次の不等式によって求められることになる:
【0072】
【数3】

【0073】
床Aと床Bとの間の間隙率を変化させることによって(例えば、吸着剤床の表面と、上流側のプレートとの間のフリーなスペースの容積を変化させることによって)、床Aを構成するバイパスラインが存在していないことを補償することも可能である。従って、間隙率εは、好ましくは、次の不等式によって求められることになる:
【0074】
【数4】

【0075】
タイプAの床とタイプBの床で異なった吸着剤(吸着剤の多孔度、または吸着容量における違い)を選択することによって、床Aを構成するバイパスラインが存在していないことを補償することも可能である。
【0076】
それらの異なった補償態様を組み合わせることも可能である。
【0077】
本発明はまた、SMBカラムを構成するそれぞれの操作ゾーンのためのバイパスライン中の流量を調節するための方法であって、
1)所与のゾーンについての最適な同期性を、他のゾーンの閉じていないバイパスラインの全部の同期性を100%に固定することによって求める;
2)先行するステップにおいて得られた最適な同期性を、それぞれのゾーンに属させる
ようにして規定され得る、方法に関する。
【0078】
最後に、本発明の方法は、より特定的には、芳香族C8炭化水素の混合物中のパラキシレンまたはメタキシレンの分離に適用することが可能である。
【0079】
これら2つの適用例は決して限定的なものではなく、その他の適用、特にノルマルパラフィンとイソパラフィンの分離またはノルマルオレフィンとイソオレフィンの分離の分野においても可能である。
【0080】
(実施例)
以下の実施例により、本発明をより良く理解することができるであろう。
【0081】
(実施例1)
長さ1.1m、内部半径3.5mの24床によって構成され、フィードの注入、脱着剤(溶出剤または溶媒と呼ぶこともできる)の注入、抽出液の抜出し、およびラフィネートの抜出しを備えたSMB装置を考慮対象とした。それらのプレートは、単一室化されていた。
【0082】
全容積(V+Vi+1+VLi/i+1)(ここで、VLi/i+1は、プレートPi+1へ向かうプレートPのバイパスラインの容積であり、Vは、プレートPの分配/抽出系の容積である)は、プレートPとプレートPi+1との間に含まれる床の容積の3%を表していた。
【0083】
それらのバイパスラインは、偶数番号のプレートを奇数番号のプレートに接続していた(したがって、偶数番号の吸着剤床の上流および下流に位置するプレートを接続していた)。
【0084】
それらのベッドは、5/9/7/3の構成に分配させられた。すなわち床の分配は以下の通りである:
・ゾーン1に5床
・ゾーン2に9床;
・ゾーン3に7床;
・ゾーン4に3床。
【0085】
使用された吸着剤は、タイプBaXのゼオライトであり、溶出剤はパラジエチルベンゼンであった。
【0086】
温度は175℃であり、圧力は15バール(1バール=10パスカル)であった。
【0087】
フィードは、20%パラキシレン、24%オルトキシレン、51%メタキシレンおよび5%エチルベンゼンからなっていた。用いられた切替時間は、70.8秒であった。
【0088】
フィードおよび脱着剤を注入するための液体流量は次の通りであった:
・フィード;6.81m・min−1
・脱着剤;7.48m・min−1
すなわち、溶媒比S/Fは1.1であった。
【0089】
開のバイパスライン全部についてその同期性を100%に調節した場合、シミュレーションからは、パラキシレン純度が99.76%、パラキシレン収率が95.80%となった。
【0090】
脱着剤流量、フィード流量、生じたパラキシレンの純度および切替時間を固定した時の、ゾーンの閉じられていないバイパスラインの全ての同期性に応じた、PXの収率に関して測定される、SMBの性能変動が、ゾーンのそれぞれについて計算され、他のゾーンの閉じられていないバイパスラインの全てについて100%の同期性が維持された。
【0091】
SMBの性能におけるこの変動を、各種のゾーンそれぞれについて図2に示す。PXの収率は、抽出液中のPXの抜出し量と、注入されたPXの量との間の比である。
【0092】
ゾーン1は、ダイヤモンド形を有する曲線で示されている。
【0093】
ゾーン2は、四角形を有する曲線で示されている。
【0094】
ゾーン3は、三角形を有する曲線で示されている。
【0095】
ゾーン4は、円形を有する曲線で示されている。
【0096】
イソ純度、フィード流量、切替時間および溶媒比を固定したときの、それぞれのゾーンにおいて得られた最適同期性の場合の収率を、次の表に示す。
【0097】
【表1】

【0098】
ゾーンごとの最適を求めた後に、同期性についての4つの最適値、すなわち、ゾーン1においては120%、ゾーン2においては100%、ゾーン3においては100%、そしてゾーン4においては130%を同時に適用した。
【0099】
イソ純度、フィード流量、切替時間および溶媒比を固定すると、96.50%の収率が得られたが、これは、1つのゾーンだけ同期性を調節して得られた収率より高かった。
【0100】
ゾーンにより区別された同期性を使用することによって、開のバイパスラインのすべてで100%の同期性を与えた場合と比較して、実質的に改良された収率が得られるということは、明らかである。
【0101】
(実施例2)
内部半径3.5mの24床によって構成され、フィードの注入、脱着剤(溶出剤または溶媒と呼ぶこともできる)の注入、抽出液の抜出し、およびラフィネートの抜出しを備えたSMB装置を考慮対象とした。それらのプレートは、単一室化されていた。
【0102】
全容積(V+Vi+1+VLi/i+1)(ここで、VLi/i+1は、プレートPi+1に向かうプレートPのバイパスラインの容積であり、Vは、プレートPの分配/抽出系の容積である)は、プレートPとプレートPi+1との間に含まれる床の容積の3%を表していた。
【0103】
それらのバイパスラインは、偶数番号のプレートを奇数番号のプレートに接続していた(したがって、偶数番号の吸着剤床の上流および下流に位置するプレートを接続していた)。
【0104】
短路運転(short-circuited)をする床と短路運転をしない床との間の流量の差を補償するために、偶数番号の床の長さを1.08mとし、それに対して奇数番号の床の長さを1.11mとした。
【0105】
それらのベッドは、5/9/7/3の構成に分配させられた。すなわち、床の分配は以下の通りであった:
・ゾーン1に5床;
・ゾーン2に9床;
・ゾーン3に7床;
・ゾーン4に3床。
【0106】
使用された吸着剤はタイプBaXのゼオライトであり、溶出剤はパラジエチルベンゼンであった。
【0107】
温度は175℃であり、圧力は15バール(1バール=10パスカル)であった。
【0108】
フィードは、20%パラキシレン、24%オルトキシレン、51%メタキシレンおよび5%エチルベンゼンからなっていた。用いられた切替時間は、70.8秒であった。
【0109】
フィードおよび脱着剤の注入の液体流量は次の通りであった:
・フィード;6.81m・min−1
・脱着剤;7.48m・min−1
すなわち、溶媒比S/Fは1.1であった。
【0110】
開のバイパスライン全部についてその同期性を100%に調節した場合、シミュレーションによって、99.76%のパラキシレン純度および95.98%のパラキシレン収率が得られた。
【0111】
脱着剤流量、フィード流量、生じたパラキシレンの純度および切替時間を固定し、ゾーンの閉じられていないバイパスラインすべての同期性に応じたPXの収率について測定された、SMBの性能における変動をそれぞれのゾーンについて計算し、他のゾーンの閉じられていないバイパスラインの全てについて100%の同期性が維持された。
【0112】
SMBの性能におけるこの変動を、各種のゾーンそれぞれについて図2に示す。PXの収率は、抽出液中のPXの抜出し量と、注入されたPXの量との間に比である。
【0113】
ゾーン1は、ダイヤモンド形の曲線によって示されている。
【0114】
ゾーン2は、四角形の曲線によって示されている。
【0115】
ゾーン3は、三角形の曲線によって示されている。
【0116】
ゾーン4は、円形の曲線によって示されている。
【0117】
99.76%イソ純度、フィード流量、切替時間および溶媒比を固定したときの各ゾーンについて得られた最適な同期性における収率が、下記表に与えられる。
【0118】
【表2】

【0119】
ゾーンごとの最適を求めた後に、同期性についての4つの最適値、すなわち、ゾーン1における120%、ゾーン2における100%、ゾーン3における100%、そしてゾーン4における130%を同時に適用した。
【0120】
イソ純度、フィード流量、切替時間および溶媒比を固定すると、96.70%の収率が得られたが、これは、1つのゾーンにおいてのみ同期性を調節した時に得られた収率より高かった。
【0121】
ゾーンに応じて変化させた同期性を使用すると共に、バイパスラインの容積を補償することによって、同期性は変化させるが容積の補償を行わなかった場合に比較して、さらに収率が改良されることが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1本のカラムを有するSMB機器におけるフィードFの擬似移動床(SMB)分離方法であって、前記カラムは、プレートPによって分離された複数の吸着剤床からなり、それぞれのプレートPは、少なくとも1つの分配/抽出系を含み、フィードFと脱着剤Dとが供給され、少なくとも1つの抽出液Eと少なくとも1つのラフィネートRとが抜き出され、供給ポイントおよび抜出しポイントは、時間の経過とともに、切替時間STを有する1つの吸着剤床に対応する値だけシフトされ、SMBの複数の操作ゾーン、特に、4つの主要なゾーン:
・ゾーン1:抽出液中に引き出された化合物を脱着させるためのゾーンであって、脱着剤Dの供給と抽出液Eの抜出しとの間に含まれる;
・ゾーン2:ラフィネート中に引き出された化合物を脱着させるためのゾーンであって、抽出液Eの抜出しとフィードFの供給との間に含まれる;
・ゾーン3:抽出液の中に引き出された化合物を吸着させるためのゾーンであって、フィードFの供給とラフィネートRの抜出しとの間に含まれる;
・ゾーン4:ラフィネートRの抜出しと脱着剤Dの供給との間に位置するゾーン;
を決定し、
前記機器はさらに、2つの連続するプレートPとPi+1とを直接結合する外部バイパスラインLi/i+1(添字iは、カラム全体を通して偶数であるか、または前述とは排他的な形でカラム全体を通して奇数であるかのいずれかである)を含み、前記プレートをフラッシュすることを可能とし、バイパスラインLi/i+1のそれぞれは、バイパスライン中の流量を制御するための自動化手段を含み、前記制御手段の開口度は、3つの規則:
a)ゾーン1の開のバイパスラインのすべてにおいて15〜30%の範囲に入る過同期性に相当する流量を確立する;
b)ゾーン2および3の開のバイパスラインのすべてにおいて±8%以内の同期性に相当する流量を確立する;
c)ゾーン4の開のバイパスラインのすべてにおいて20〜40%の範囲に入る過同期性に相当する流量を確立する;
によって規定されており:
同期性流量は、(V+Vi+1+VLi/i+1)/ST
(式中、
は、流出側のプレートPの分配/抽出系の容積を表し;
i+1は、流入側のプレートPi+1の分配/抽出系の容積を表し;
VLi/i+1は、PとPi+1との間のバイパスラインの容積を表し;
STは、切替時間を表す)
によって規定され;
過同期性は、式:
過同期性=(考慮の対象となっているバイパスライン中の実際の流量/同期性流量)−1
によって規定される、方法。
【請求項2】
同一のゾーンに属する開のバイパス導管のすべては、±2%の範囲内の同じ程度の同期性を有する、請求項1に記載の擬似移動床分離方法。
【請求項3】
床の下流側のプレートと上流側のプレートとを結合するバイパスラインを有していない、タイプAの床と称される床は、バイパスラインを有している、タイプBの床と称される床の容積(V)以上である容積(V)を有し、関係式:
【数1】

(式中、Qνはサイクルの間の床B中の平均容積流量であり、QLDBはサイクルの間のタイプBの床を構成するバイパスライン中での平均容積流量である)
に従う、請求項1または2に記載の擬似移動床分離方法。
【請求項4】
前記床の下流側のプレートと上流側のプレートとを結合するバイパスラインを有していない、タイプAの床と称される床は、間隙率(ε)を有し、該間隙率(ε)は、バイパスラインを有する、タイプBの床と称される床の間隙率(ε)以上であり、関係式:
【数2】

(式中、VLDは、タイプBの床を構成するバイパスラインの容積であり、Vbedは、1つの床の容積である)
に従う、請求項1〜3のいずれか1つに記載の擬似移動床分離方法。
【請求項5】
前記ベッドの下流側のプレートと上流側のプレートとを結合するバイパスラインを有していない、タイプAの床と称される床は、粒子内多孔度および/または吸着剤容量を有する吸着剤を充填され、該粒子内多孔度および/または吸着剤容量は、バイパスラインを有する、タイプBの床と称される床の粒子内多孔度および/または吸着剤容量より大きく、前記濃度プロファイルの移行時間は、両方の床のタイプにおいて同じである、請求項1〜4のいずれか1つに記載の擬似移動床分離方法。
【請求項6】
請求項1に記載の擬似移動床方法における操作ゾーン当たりのバイパスライン中の流量を制御する方法であって、
・ゾーン1:抽出液中に引き出された化合物を脱着させるためのゾーンであって、脱着剤Dの供給と抽出液Eの抜出しとの間に含まれる;
・ゾーン2:ラフィネート中に引き出された化合物を脱着させるためのゾーンであって、抽出液Eの抜出しとフィードFの供給との間に含まれる;
・ゾーン3:抽出液中に引き出された化合物を吸着させるためのゾーンであって、フィードFの供給とラフィネートRの抜出しとの間に含まれる;
・ゾーン4:ラフィネートRの抜出しと脱着剤Dの供給との間に位置するゾーン;
によって規定される少なくとも4つの操作ゾーンを含み、
1)所与のゾーン全体にわたっての最適な同期性を、他のゾーンの閉じられていないバイパス導管の全部における同期性を100%に固定することによって、求め;
2)先行する工程において得られた最適な同期性を、それぞれのゾーンに属させる、
方法。
【請求項7】
芳香族C8炭化水素の混合物中のパラキシレンまたはメタキシレンを分離するための、請求項1〜5のいずれかに記載の擬似移動床分離方法、または請求項6に記載の方法の使用。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−247153(P2010−247153A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−89975(P2010−89975)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(591007826)イエフペ エネルジ ヌヴェル (261)
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
【Fターム(参考)】