説明

一部品型の圧搾可能な容器

本発明は、壁によって形成された本体と閉鎖手段とを備え、前記本体が、そのより大きい部分に寸法d1を有しているとともに内径d2の首部を有しており、壁の厚さが30〜500μmであり、半結晶性PETから作られており、本体のPETのグラムに対する容器における本体の容積の比が20〜100である、チルド製品あるいは冷凍製品のための一部品型圧搾可能容器に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チルド製品および冷凍製品のための一部品型の圧搾可能な容器に関するものであり、ここで、前記製品の消費はいかなるスプーンも使用することなく行われる。
【背景技術】
【0002】
中に収容された製品の消費のために圧搾することのできる柔軟性バッグが備わった充填容器は、市場において既に知られている。このような型の容器、特にリンゴ砂糖煮のために使用される容器についての問題は、その充填容器それ自体に、1つあるいは2つの蛇腹のあるバッグが備わっていること、出口側に、その充填容器の完全に一部品であってその首部に溶接された蓋システム付き取付物が備わっていることである。この型の容器には、互いに密封しなければならない2つの部品が備わっている。このことは、第1に2つの部品があるために、また、第2に前記容器の製造のラインがより複雑であるために、製造価格がより高いという事実によって、短所である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、一部品だけからなる圧搾可能容器を手に入れることである。本発明の容器は、液体からペースト状食感までのチルド製品および冷凍製品のために特に有用であるが、化粧分野におけるようないかなるペースト状クリームの定量供給のためにも使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、壁によって形成された本体と閉鎖手段とを備え、前記本体が、そのより大きい部分に寸法d1を有しているとともに内径d2の首部を有しており、壁の厚さが30〜500μmであり、半結晶性PETから作られており、本体のPETのグラムに対する容器における本体の容積の比が20〜100である、チルド製品あるいは冷凍製品のための一部品型圧搾可能容器に関するものである。この容積はミリリットルで与えられている。
【0005】
上記の比は、本発明によれば、PETのグラム当り20〜100ミリリットルを満たすことができる、ということを意味している。本体の下方には、この容器に首部はないことがわかる。市場における150センチリットルボトルのようなボトルに関する壁の重量の、底部の重量に対する比については、その比は31.5g:10.5g(3)であり、50センチリットルボトルに関しては、その比は12.2:3.3(3.5)であり、最後に1リットルボトルに関しては、その比は25.70:6.80(3.78)である。
【0006】
本明細書において半結晶性PETとは、10〜60%の結晶度のあるPETを意味している。この結晶度は、より好ましくは20〜40%である。
【0007】
1つの壁あるいは複数の壁を形成するために使用されたプラスチックは、PET(ポリエチレンテレフタレート)である。PETの延伸によって、得られた容器の防水壁特性に関する悪影響が及ばないこと、およそ30μmおよびそれよりも薄い厚さによって、優れた圧搾性を維持しながら容器それ自体および保存の良好な安全性が保証されることがわかった。
【0008】
上記変形のために必要な柔軟性と充分な機械的性質とを保証するために、本発明による容器は、容器の本体を形成する壁の厚さが、予測された製品に左右されるものの、30μm〜500μm、好ましくは50μm〜200μmである、ことをさらに特徴とする。壁の厚さは、充填される製品の粘度に左右される。ペースト状製品の場合には、その厚さは30〜100μmの範囲にあるのが好ましく、また、液体の場合には、その厚さは300〜500μmの範囲にあるのが好ましい。
【0009】
既に述べたように、壁における厚さがより厚い小区域あるいは小部分を、前記容器の本体に、具体的には首部および/または底部の近傍に、これらの部分を局部的に補強するとともに良好な消費手段が可能になるように、設けることもできる。このような補強は、前記容器の充填を促進するために、あるいは保存の間にそれらの安定性を増大させるために、特に有用である。
【0010】
ごく少ない容積、例えば0.6センチリットル程度の容積の容器が使用されるときには、プラスチック材料の量は1.5〜2.5g程度である。この型の容器によって、約100kgを超える垂直荷重が支持される。容器によって垂直荷重あるいは横向き荷重が支持されるということは、加えられた重量によって充填容器の完全性が悪化しないことを、すなわち前記容器の破損の恐れが引き起こされないことを意味している。
【0011】
この容器は、指の圧力での圧搾性あるいは製品の吸引によって消費者による消費が最適化されるように設計された卵形あるいは実質的に卵形の全体形状をしている。この技術においても、上端あるいは底部について相当異なった寸法が考慮されている、まっすぐでない側部が備わった任意の種類の形状が可能である。予備設計として、細いかつ/または逆さまの形状をしたイチゴ形が、充填容器に関して等しく得られた。
【0012】
本発明によれば、好ましいものとして、容器の本体は実質的に、それが表わす果物あるいは野菜の形状をしている。色付きプラスチックを使用することによって、果物の特徴および類似性が著しく強調される。
【0013】
特に有利な態様では、本発明による容器には、円形あるいは実質的に円形の断面がある。
【0014】
本発明による容器は、本体に平坦なあるいはほぼ平坦な部分を呈する底部があることを特徴とするものであってもよい。この部分は、合成容器の製造の分野において慣習的に行われるすべての方法を用いて製造することができる(補強用リブが備わっているかあるいは備わっていない平坦な底部、花弁状の底部など)。
【0015】
一実施形態によれば、容器にはその底部に、底部と一体である足があってもよい。3本の足が存在していることは、製品が充填されて閉鎖されたときに直立する充填容器についての良好な解決法であるが、開けられたときに良好な圧搾性が可能であるように設計しなければならない。
【0016】
本発明の好ましい特徴構成では、d2のd1に対する比は1:3〜1:10である。
【0017】
チルド製品は、ミルクをベースにした製品、果物をベースにした製品、および野菜をベースにした製品からなる群から選択されたものである。さらに具体的に言えば、チルド製品は、ヨーグルト、生チーズ、クリームデザート、果物砂糖煮、ジャム、および他のあらゆるペースト状あるいは半液体状の製品からなる群から選択されたものである。
【0018】
冷凍製品は、アイスクリーム、冷凍野菜、冷凍果物砂糖煮、冷凍果物ピューレ、および他のあらゆる冷凍製品からなる群から選択されたものである。
【0019】
別の特徴構成によれば、化粧分野あるいは香水分野におけるあらゆる種類の製品を充填することも可能である。
【0020】
この容器の容積は、重要ではない。本発明の好ましい実施形態では、容器の本体には5〜250ミリリットルの容積がある。
【0021】
本発明の目的は、容易に圧搾することができ、それによって、消費者が、いかなるスプーンも使用することなく、また、どこでも、一日のうちいつでも、消費したいときに、内側の製品を食べられる容器を手に入れることである。容器の中の製品には2000〜50000センチポイズの粘度があるのが好ましい。
【0022】
容器にはそれ自体、薄い壁があるが、内側に製品が入れられて閉鎖されると、それには、輸送に対する良好な抵抗性が可能になる垂直荷重および/または横方向荷重に対する高い抵抗性がある。
【0023】
本発明の特徴構成によれば、容器には果物痩果をまねた浮き彫りが備わっている。これらの浮き彫りには、商標あるいは会社ロゴを施すこともできる。
【0024】
閉鎖の手段はキャップかあるいは密封膜かのいずれかである。両手段は、消費者がその唇を付けるであろう区域の衛生的保護ができるので、消費者によるそれらの消費に特に適用される。キャップは首部の開口における任意の直径に対して使用することができ、それゆえ、高さのある構成片(25mm未満のパルプ片から果物片まで)が備わった製品を考慮することができる。密封膜は、子供がキャップを飲み込むのを防止するためには、例えば10mmの区域に首部よりも小さい直径があるのが好ましい。
【0025】
本発明による容器を製造するための方法は、ストレッチブロー成形である。
【0026】
この事例では、本体は、プリフォームの古典的ストレッチングに比べて高いストレッチ指数があるPETプリフォームのブロー成形によって得られた。プラスチックボトルのブローイングに比べて、ここでは、ブローイング圧力は30〜40バールであり、本発明のプロセスによれば、それは、およそ3〜4倍少ない圧力でブロー成形するためには充分である。これによって、プロセスのコストが削減され、また、使用される機械のコストも削減される。ストレッチ指数に関しては、それは最終容器の容積に左右される。例えば、100センチリットルよりも少ない容積がある容器の場合には、そのストレッチ指数は100〜300cmである。500〜1000センチリットルの容積がある容器の場合には、そのストレッチ指数は500〜700cmである。2000センチリットル以上の容積がある容器の場合には、そのストレッチ指数はおよそ1000cmかそれよりも大きい。
【0027】
本発明の他の特徴構成および利点は、例として与えられ、かつ、添付図面を参照する以下の説明から明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
説明されかつ描写された第1の実施形態では、ヨーグルトのようなチルド乳製品のための容器3は、本体1と1つの首部2とから基本的に構成され、イチゴの形態をしている。この事例では、容器にはイチゴヨーグルトが充填されている。容器の壁4は、70ミクロンの厚さがあり、PETから作られている。容器の閉鎖具は膜5である。容器の容積は60ミリリットルである。この事例では、首部の内径d2の、より大きい部分における直径d1に対する比は、1:4.5である。容器の外側には、イチゴからの痩果をまねた浮き彫り6が存在している。この容器は、極めて良好な圧搾性を有し、また、ペースト状製品の良好な取出性が可能になる。それは、使用のために極めて便利なものである。
【0029】
第2の実施形態もまた、図1のようなイチゴであるが、逆さまの形状にある。ヨーグルトのようなチルド乳製品のための容器10は、本体11と1つの首部12とから基本的に構成され、イチゴの形態をしている。この事例では、容器にはイチゴヨーグルトが充填されている。容器の壁14は、70ミクロンの厚さがあり、PETから作られている。容器の閉鎖具は膜15である。容器の容積は60ミリリットルである。この事例では、首部の内径の、より大きい部分における直径d1に対する比d2は、1:4.5である。容器の外側には、イチゴからの痩果をまねた浮き彫り16が存在している。この容器は、極めて良好な圧搾性を有し、また、製品の良好な取出性が可能になる。それは、使用のために極めて便利なものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の容器に係る一実施形態の側面および直径における概略図である。
【図2】本発明の容器に係る第2の実施形態の側面および直径における概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁によって形成された本体と閉鎖手段とを備える、チルド製品あるいは冷凍製品のための一部品型の圧搾可能な容器であって、
前記本体が、そのより大きい部分に寸法d1を有しているとともに、内径d2の首部を有しており、
前記壁の厚さが30〜500μmであり、半結晶性PETから作られており、
前記本体のPETのグラムに対する当該容器における前記本体の容積の比が20〜100である、容器。
【請求項2】
前記本体が実質的に、果物あるいは野菜の形状を表している、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記本体の前記壁が、50〜200μmの厚さを有している、請求項1または2に記載の容器。
【請求項4】
前記d2の前記d1に対する比が1:3〜1:10である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の容器。
【請求項5】
前記チルド製品が、ミルクをベースにした製品、果物をベースにした製品、および野菜をベースにした製品からなる群から選択されたものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の容器。
【請求項6】
前記チルド製品が、ヨーグルト、生チーズ、クリームデザート、果物砂糖煮、ジャム、および他のあらゆるペースト状あるいは半液体状の製品からなる群から選択されたものである、請求項5に記載の容器。
【請求項7】
前記冷凍製品が、アイスクリーム、冷凍野菜、冷凍果物砂糖煮、冷凍果物ピューレ、および他のあらゆる冷凍製品からなる群から選択されたものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の容器。
【請求項8】
前記本体が、5〜250ミリリットルの容積を有している、請求項1〜7のいずれか一項に記載の容器。
【請求項9】
前記チルド製品あるいは前記冷凍製品が、2000〜50000センチポイズの粘度を有している製品の形態にある、請求項1〜8のいずれか一項に記載の容器。
【請求項10】
前記容器が、閉鎖されると、輸送に対する良好な抵抗性が可能になる垂直荷重および/または横方向荷重に対する高い抵抗性を有している、請求項1〜9のいずれか一項に記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−506594(P2008−506594A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520760(P2007−520760)
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【国際出願番号】PCT/EP2005/007658
【国際公開番号】WO2006/005615
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】