説明

一酸化窒素の送達のための組成物および方法

血中ガスO送達のための向上した、又は最適な速度論的及び熱力学的な特性を示すようにH−NOX蛋白を変異させる。操作されたH−NOX蛋白は対応する野生型H−NOXドメインと相対比較して改変されたO又はNOリガンド結合を付与する変異を含む。本発明は又Oの送達が有益である何れかの状態の治療のための野生型又は変異体のH−NOX蛋白を使用する医薬組成物、キット及び方法を提供する。本発明の一つの実施形態においては、本発明は対応する野生型H−NOX蛋白のものと比較してO解離定数又はNO反応性を改変する少なくとも1つの変異を有する単離されたH−NOX蛋白を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、「Engineering H−NOX Proteins for Therapeutic Nitric Oxide and Oxygen Delivery」(UC Case No.B06−084)という表題の、Michael A.Marletta,Stephen P.L.Cary,Elizabeth M.Boonによる、2006年5月22日に出願された米国仮特許出願第60/921,505号の利益を請求する。この仮特許は、2006年5月22日に出願された米国特許出願第11/440,588号から、2007年5月1日における仮特許出願に変更され、その開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(政府支援の研究または開発に関する陳述)
本研究は、助成金番号DE−AC03−76SFに支援された。米国政府は、本出願にかかる任意の特許に権利を有し得る。
【0003】
(技術分野)
本出願はH−NOX蛋白、及び酸素を送達するためにそれらを使用する方法に関する。H−NOX蛋白はヒトに対して、そして獣医科用途に関しては、動物に対してOを送達するための新しい治療ツールを与える。
【背景技術】
【0004】
(発明の背景)
現在の血液銀行システムは固有の危険性及び重篤な制限事項を有する。血液型判別の誤り、免疫原性、細菌物質の伝播、及びHIV−1及び肝炎等のウィルス感染が輸液患者に対して致命的な危険をもたらしている。更に又、ドナーの限定された入手性、特定の血液型の必要性、赤血球の短いシェルフライフ、及び冷蔵保存の必要性はすべて、患者に対する輸液の使用し易さを制限している。安定な血液代替物の開発は現在の血液銀行システムの危険性を排除し、そして大部分の環境において患者に対する輸液の使用し易さを向上させると考えられる。即ち、失血又は低酸素に起因する症状を軽減するための臓器及び組織への酸素(O)の送達は主要な治療上の目標である。
【0005】
ヘモグロビン系の治療は合衆国においてはヒトにおける使用に関しては認可されていない。潜在的な治療法としては種々のO担体が挙げられる非特許文献1において考察されている)。しかしながら一部の潜在的な血液代替物、例えばヘモグロビン系の血液代替物は酸化窒素(NO)とのそれらの反応性のために限定されている。特にNOはインビボの多くの重要なプロセス、例えば神経伝達、炎症、血小板凝集、及び胃腸及び血管の平滑筋の調節等の制御において化学的メッセンジャーとして作用する。NOはヘモグロビンに結合するOと直接反応してメトヘモグロビン及びニトレートを形成する。ヘム鉄及びNOの両方が結合酸素原子により酸化され、そして、NOによるOの置き換えが観察されないほど急速に反応が起こる(例えば特許文献1参照)。
【0006】
NOは連続的に生産され消費されるため、インビボではNOは天然にターンオーバーされる。無細胞ヘモグロビンを投与すると、NOの生産と消費の均衡は無細胞ヘモグロビンとの反応により改変される。NOとヘモグロビンに結合しているOとの間の酸化反応は不可逆であり、NO、O及びヘモグロビンの分解をもたらす。O結合非存在下のヘモグロビンへのNOの結合は、ニトロシルヘモグロビンの解離半減期が5〜6時間であることから、生理学的な時間枠においては実効的に不可逆であり、従って無細胞O担体としてのヘモグロビンを実効的に不活性化してしまう。
【0007】
NO分子がヘモグロビンと反応すると、それはシグナル分子のプールからは排除され、これにより特定の有害状態がもたらされる。例えば、ヘモグロビンへのNOの結合(O結合の存在下又は非存在下)は血管の弛緩を防止することができ、そして潜在的には低血圧をもたらし、これは特定の細胞外ヘモグロビン溶液の投与後に観察される場合がある。
【0008】
NOは又、特定の炎症応答を媒介するためにも必要である。例えば内皮により生産されたNOは血小板凝集を抑制する。その結果、NOが無細胞ヘモグロビンにより結合されるに従って(O結合の存在下又は非存在下)、血小板凝集も増大する場合がある。血小板が凝集するに従って、それらはトロンボキサンチンA2及びセロトニンのような強力な血管収縮化合物を放出する。これらの化合物はヘモグロビン枯渇により生じた低減されたNOレベルと相乗作用的に作用して顕著な血管収縮をもたらす場合がある。血小板凝集を抑制することの他に、NOは、結果的に細胞壁の損傷をもたらす細胞壁への好中球の結合を抑制する。内皮細胞壁損傷は特定のヘモグロビン溶液の注入によっても観察されている。
【0009】
ヘモグロビン系血液代替物の別の主要な難点はその高いO親和性である。この高親和性は所望の位置(例えば末梢組織)において臨床的に有用な速度で酸素を放出するヘモグロビンの能力を制限する。或いは、微小血管床に到達する前の動脈内の低親和性ヘモグロビン系血液代替物によるOの放出は高酸素血管収縮応答に起因する血管収縮を誘発する場合がある(Winslow仮説)。更に又、ヘモグロビン系血液代替物は血漿から細胞非含有ヘモグロビンを除去するヘモグロビンに対する受容体の存在に起因する血漿からの無細胞ヘモグロビンの急速なクリアランスにより妨害される。無細胞ヘモグロビンは又、
恐らくは糸球体におけるNOの枯渇に起因して腎毒性をもたらす場合があり、これにより収縮及びその後の機能不全をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許6,455,676号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Spahn,D.R.等(2005)“Artificial O2 carriers:status in 2005,”Curr.Pharm.Des.11(31):4099−4114
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
現在の血液代替物の限界及び献血血液の慢性的な不足に起因して、酸素を送達するための追加的又は代替的な療法への多大な関心及び必要性がなお存在している。特により低値のNO反応性及び/又はより長い血漿中の滞留時間を有する血液代替物が望ましい。特定の臨床上又は産業上の用途に対して適切であるO結合に関する解離定数又はオフ速度を有する酸素担体も必要である。O担体が望まれる産業上の用途の例は、細胞に到達するOの量により制限される場合が多い培地中の細胞の生育を包含する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の要旨)
本発明は野生型及び変異体のH−NOX蛋白がヘモグロビンよりも遥かに低値のNO反応性を有し、そしてこのため望ましいO担体であることを意外にも発見したことに部分的には基づいている。所望により、H−NOX蛋白内に変異を導入してそのO及びNOリガンド結合を改変することによりO担体としてのH−NOX蛋白の使用を更に最適化することができる。
【0014】
1つの特徴において、本発明は変異体H−NOX蛋白を特徴とする。従って、一部の実施形態においては、本発明は対応する野生型H−NOX蛋白のものと比較してO解離定数又はNO反応性を改変する少なくとも1つの変異を有する単離されたH−NOX蛋白を提供する。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白のO解離定数はヘモグロビンのものの2桁内であり、そして変異体H−NOX蛋白のNO反応性はヘモグロビンのものより少なくとも10倍低値である。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白のO解離定数は20℃で約2nM〜約50μM、20℃で約50nM〜約10μM、20℃で約20nM〜約2μM、20℃で約100nM〜約1.9μM、20℃で約150nM〜約1μM、又は20℃で約100nM〜約255nMである。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白のO解離定数は20℃で約80nM未満、例えば20℃で約20nM〜約75nMである。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白のNO反応性はヘモグロビンのものより少なくとも100倍低値、例えばヘモグロビンのものより少なくとも1000倍低値である。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満、例えば20℃で約600s−1、500s−1、400s−1、300s−1、200s−1、100s−1、75s−1、50s−1、25s−1、20s−1、10s−1、50s−1、3s−1、2s−1、1.8s−1、1.5s−1、1.2s−1、1.0s−1、0.8s−1、0.7s−1、又は0.6s−1未満である。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白の酸素に関するkoffは20℃で約0.01〜約200s−1、例えば約1.0s−1〜約16.0s−1である。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白のO解離定数は20℃で約100nM〜約1.9μMであり、変異体H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.35s−1〜約14.5s−1である。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満である。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.35s−1〜約14.5s−1であり、そして、変異体H−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満である。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.35s−1〜約14.5s−1であり、そして、変異体H−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満(例えば20℃で約600s−1、500s−1、100s−1、20s−1、又は1.8s−1未満)である。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満であり、そして、変異体H−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満(例えば20℃で約600s−1、500s−1、100s−1、20s−1、又は1.8s−1未満)である。
【0015】
一部の実施形態においては、本発明は対応する野生型H−NOX蛋白のものと比較して酸素に関するkoff又はNO反応性を改変する少なくとも1つの変異を有する単離されたH−NOX蛋白を特徴とする。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白の酸素に関するkoffは20℃で約0.01〜約200s−1であり、そして変異体H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものよりも少なくとも10倍低値である。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白は20℃で約0.65s−1以下(例えば20℃で約0.21s−1〜約0.65s−1)の酸素に関するkoffを有する。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白はT.tengcongensis蛋白から誘導され、そして20℃で約1.35s−1〜約18s−1の酸素に関するkoffを有する。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白のNO反応性はヘモグロビンのものよりも少なくとも100倍低値、例えばヘモグロビンのものよりも少なくとも1000倍低値である。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満、例えば20℃で約600s−1、500s−1、400s−1、300s−1、200s−1、100s−1、75s−1、50s−1、25s−1、20s−1、10s−1、50s−1、3s−1、2s−1、1.8s−1、1.5s−1、1.2s−1、1.0s−1、0.8s−1、0.7s−1、又は0.6s−1未満である。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白のO解離定数は20℃で約1nM〜約1mM、20℃で約2nM〜約50μM、20℃で約50nM〜約10μM、又は20℃で約100nM〜約1.9μMである。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白のヘム自動酸化は速度が37℃で約1h−1未満である。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白のO解離定数は20℃で約100nM〜約1.9μMであり、変異体H−NOX蛋白のヘム自動酸化は速度が37℃で約1h−1未満である。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白のO解離定数は20℃で約100nM〜約1.9μMであり、そして変異体H−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満(例えば20℃で約600s−1、500s−1、100s−1、20s−1、又は1.8s−1未満)である。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白のヘム自動酸化は速度が37℃で約1h−1未満であり、そして変異体H−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満(例えば20℃で約600s−1、500s−1、100s−1、20s−1、又は1.8s−1未満)である。
【0016】
種々の実施形態において、野生型の蛋白のものと比較して、O解離定数又はNO反応性を改変する少なくとも1つの変異を含む単離されたH−NOX蛋白を特徴とする。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白のO解離定数はヘモグロビンのものの2桁内であり、そして変異体H−NOX蛋白のNO反応性はヘモグロビンのものより少なくとも10倍低値である。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白のO解離定数は20℃で約100nM〜約255nMである。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白のO解離定数は20℃で約80nM未満、例えば20℃で約20nM〜約75nMである。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白のNO反応性はヘモグロビンのものより少なくとも100倍低値、例えばヘモグロビンのものより少なくとも1000倍低値である。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白は20℃で約0.65s−1以下(例えば20℃で約0.21s−1〜約0.65s−1)の酸素に関するkoffを有する。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白の酸素に関するkoffは20℃で約1.35s−1〜約2.9s−1である。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白の酸素に関するkoffは20℃で約5.8s−1〜約19s−1である。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白は空気中4℃で安定である。
【0017】
一部の実施形態において、本発明は対応する野生型H−NOX蛋白のものと比較して酸素に関するkoff又はNO反応性を改変する少なくとも1つの変異を有する単離されたH−NOX蛋白を特徴とする。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白の酸素に関するkoffは20℃で約0.65s−1以下であり、そして変異体H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものよりも少なくとも10倍低値である。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白の酸素に関するkoffは20℃で約0.21s−1〜約0.65s−1である。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白のNO反応性はヘモグロビンのものより少なくとも100倍低値、例えばヘモグロビンのものより少なくとも1000倍低値である。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満、例えば20℃で約600s−1、500s−1、400s−1、300s−1、200s−1、100s−1、75s−1、50s−1、25s−1、20s−1、10s−1、50s−1、3s−1、2s−1、1.8s−1、1.5s−1、1.2s−1、1.0s−1、0.8s−1、0.7s−1、又は0.6s−1未満である。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白のO解離定数は20℃で約100nM〜約1.9μMである。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満である。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白のO解離定数は20℃で約100nM〜約1.9μMであり、そして変異体H−NOX蛋白のヘム自動酸化は速度が37℃で約1h−1未満である。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白のO解離定数は20℃で約100nM〜約1.9μMであり、そして変異体H−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満(例えば20℃で約600s−1、500s−1、100s−1、20s−1、又は1.8s−1又は0.7未満)である。一部の実施形態においては、変異体H−NOX蛋白のヘム自動酸化は速度が37℃で約1h−1未満であり、そして変異体H−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満(例えば20℃で約600s−1、500s−1、100s−1、20s−1、又は1.8s−1又は0.7未満)である。
【0018】
種々の実施形態において、本発明は
【0019】
【化1】

【0020】
【化2】

よりなる群から選択される単離されたH−NOX蛋白を特徴とする。一部の実施形態においては、β1又はβ2蛋白はR.norvegicus又はH.sapiensのβ1又はβ2蛋白由来である。
【0021】
種々の実施形態において、本発明は
【0022】
【化3】

よりなる群から選択される単離されたH−NOX蛋白を特徴とする。一部の実施形態においては、β1又はβ2蛋白はR.norvegicus又はH.sapiensのβ1又はβ2蛋白由来である。
【0023】
単離されたH−NOX蛋白の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白のO解離定数はHomo sapiensヘモグロビンアルファのものの2桁内、例えばHomo sapiensヘモグロビンアルファのものの0.1〜10倍又は0.5〜2倍のO解離定数である。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白のNO反応性はHomo sapiensヘモグロビンアルファのものより少なくとも10倍低値、例えばHomo sapiensヘモグロビンアルファのものより少なくとも100倍又は1000倍低値である。単離されたH−NOX蛋白の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はその誘導元のH−NOX蛋白と比較して1以上の変異(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10変異)を含有する。単離されたH−NOX蛋白の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はその誘導元のH−NOX蛋白と比較して20、15、12、10、9、8、7、6、5、4、3、又は2未満の変異を含有する。単離されたH−NOX蛋白の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白は少なくとも1つの遠位ポケット変異を有する。単離されたH−NOX蛋白の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白は遠位ポケットにはない少なくとも1つの変異を有する。単離されたH−NOX蛋白の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はT.tengcongensisH−NOXのIle5、Trp9、Asn74、Pro115、又はArg135又はβ1(1−385)のI145に対応する残基が何れかの他のアミノ酸で置き換えられている少なくとも1つの変異を有する。単離されたH−NOX蛋白の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白は少なくとも2つの変異を有し、ここで変異の少なくとも1つがT.tengcongensisH−NOXのIle5、Trp9、Asn74、Pro115、又はArg135又はβ1(1−385)のI145に対応する残基の何れかの他のアミノ酸による置き換えである。単離されたH−NOX蛋白の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白における変異はT.tengcongensisのI5A変異、I5L変異、W9F変異、Y140−F変異、Y140H変異、W9FW140H二重変異、又はF78YY140F二重変異又はβ1のI145Y変異に相当する。単離されたH−NOX蛋白の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白における変異はT.tengcongensisのW9Y変異、W9H変異、W9N変異、N74H変異、N74E変異、N74A変異、P115A変異、R135Q変異、I5LP115A二重変異、N74AY140H二重変異、又はW9FN74A二重変異に対応する。単離されたH−NOX蛋白の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白のC末端アミノ酸の少なくとも1つ(例えば少なくとも約50連続C末端アミノ酸又は約25〜約200連続C末端アミノ酸)は対応する野生型蛋白と比較して除去されている。
【0024】
単離されたH−NOX蛋白の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白は哺乳類蛋白(例えばヒト蛋白、例えばβ1)由来である。単離されたH−NOX蛋白の種々の実施形態において、H−NOX蛋白は細菌蛋白(例えばT.tengcongensis蛋白)由来である。単離されたH−NOX蛋白の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はポリエチレングリコールのような別の分子又は部分に共有結合している。ヘムはH−NOX蛋白に結合してもしなくてもよい。単離されたH−NOX蛋白の一部の実施形態においては、酸素がH−NOX蛋白に結合する。単離されたH−NOX蛋白の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はH−NOXドメインおよびアルブミン(例えばヒト血清アルブミン)のような別の蛋白の部分又は全てを包含する融合蛋白である。
【0025】
単離されたH−NOX蛋白の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はT.tengcongensisH−NOXY40L、T.tengcongensisH−NOXF78Y/Y140L、野生型T.tengcongensisH−NOX、又はL.pneumophilia2H−NOXF142Yではない。単離されたH−NOX蛋白の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はR.norvegicusβ2(1−217)、R.norvegicusβ1(1−194)、R.norvegicusβ1(1−385)、又はR.norvegicusβ1(1−385)I145Yではない。単離されたH−NOX蛋白の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はT.tengcongensisH−NOXW9F、T.tengcongensisH−NOXY140F、又はH.sapiensβ1H−NOX(1−385)I145Yではない。単離されたH−NOX蛋白の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はT.tengcongensisH−NOXI140H、H.sapiensβ1I140Y、又はH.sapiensβ1I145Yではない。単離されたH−NOX蛋白の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はT.tengcongensisH−NOXY140F、野生型L.pneumophilia2H−NOX、H.sapiensβ1H−NOXI140Y、野生型H.sapiensβ1H−NOX、R.norvegicussGCβ1H−NOX(1−385)、R.norvegicussGCβ1H−NOX(1−385)I145Y、R.norvegicussGCβ1H−NOXH105G、R.norvegicussGCβ1H−NOXH105F、R.norvegicussGCβ1H−NOXI145Y、野生型R.norvegicusβ1H−NOX、野生型D.melangasterβ1H−NOX、野生型D.melangasterCG14885−PAH−NOX、野生型C.elegansGCY−35H−NOX、野生型N.punctiformeH−NOX、野生型C.crescentusH−NOX、野生型S.oneidensisH−NOX又は野生型C.acetobutylicumH−NOXではない。単離されたH−NOX蛋白の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はT.tengcongensisH−NOXY40L、T.tengcongensisH−NOXF78Y/Y140L、T.tengcongensisH−NOXW9F、T.tengcongensisH−NOXY140F、野生型T.tengcongensisH−NOX、L.pneumophilia2H−NOXF142Y、野生型L.pneumophilia2H−NOX、H.sapiensβ1H−NOXI140Y、H.sapiensβ1I145Y、野生型H.sapiensH−NOX、R.norvegicussGCβ1H−NOX(1−385)、R.norvegicussGCβ1H−NOX(1−385)I145Y、R.norvegicussGCβ1H−NOXH105G、R.norvegicussGCβ1H−NOXH105F、R.norvegicussGCβ1H−NOXI145Y、野生型R.norvegicusβ1H−NOX、野生型D.melangasterβ1H−NOX、野生型D.melangasterCG14885−PAH−NOX、野生型C.elegansGCY−35H−NOX、野生型N.punctiformeH−NOX、野生型C.crescentusH−NOX、野生型S.oneidensisH−NOX又は野生型C.acetobutylicumH−NOXではない。単離されたH−NOX蛋白の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白は、自身の遺伝子名及びそれにひき続くそれらの種の略記及びゲンバンク識別子により列挙される以下のH−NOX蛋白(例えば2006年5月21日;2006年5月22日;2007年5月21日;又は2007年5月22日のものとして入手可能な以下の蛋白配列):
【0026】
【化4】

の何れでもない(Lakshminarayan等(2003)、“Ancient conserved domains shared by animal soluble guanylyl cyclases and bacterial signaling proteins,”BMG Genomics4:5−13)。種の名称において使用するそれらの略記法は、Ana−Anabaena Sp;Ccr−Caulobacter crescentus;Cac−Clostridium acetobutylicum;Dde−Desulfovibrio desulfuricans;Mcsp−Magnetococcus sp;Mde−Microbulbifer degradans;Npu−Nostoc punctiforme;Rhsp−Rhodobacter sphaeroides;Sone−Shewanalla oneidensis;Tte−Thermoanaerobacter tengcongensis;Vch−Vibrio cholerae;Ce−Caenorhabditis elegans;Dm−Drosophila melanogaster;Hpul−Hemicentrotus pulcherrimus;Hs−Homo sapiensを包含する。単離されたH−NOX蛋白の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白は、自身の生物名及びPfamデータベースアクセッション番号により列挙される以下のH−NOX蛋白(例えば2006年5月21日;2006年5月22日;2007年5月17日;2007年5月21日;又は2007年5月22日のものとして入手可能な以下の蛋白配列):
【0027】
【化5】

【0028】
【化6】

【0029】
【化7】

の何れでもない。単離されたH−NOX蛋白の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はR.norvegicus sGCβ1H−NOX C78S又はR.norvegicus sGCβ1H−NOX C78Eではない。単離されたH−NOX蛋白の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白は、ヒトH−NOXのTyr135、Ser137、及びArg139を包含するY−S−Rモチーフにおける変異を有さない。
【0030】
1つの特徴において、本発明は本明細書に記載する変異体H−NOX蛋白の何れか1つ以上をコードする組み換え核酸を特徴とする。特定の実施形態においては、核酸は図2−4D又は8A−8DDに示す核酸の何れかの核酸配列のセグメント又は全体を包含する。一部の実施形態においては、核酸はH−NOXドメイン及びアルブミンのような別の蛋白の部分又は全てを包含する融合蛋白をコードする。一部の実施形態においては、核酸はH−NOX核酸由来の少なくとも約50、100、150、200、300、400、500、600、700、800、又はそれより多い隣接したヌクレオチドを包含し、そしてその誘導元であるH−NOX核酸と比較して1つ以上の変異(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10変異)を含有する。種々の実施形態において、変異体H−NOX核酸はその誘導元であるH−NOX核酸と比較して概ね20、15、12、10、9、8、7、6、5、4、3、又は2の何れかより少ない変異を含有する。本発明は又変異体H−NOX蛋白をコードする何れかの核酸の編成変異体を特徴とする。
【0031】
更に別の特徴において、本発明は、本明細書に記載する変異体H−NOX核酸の何れか1つ以上を包含するベクターを提供する。別の特徴において、本発明は、本明細書に記載する変異体H−NOX核酸の何れか1つ以上を包含する細胞を提供する。1つの特徴において、本発明は、本明細書に記載する何れかのベクターを包含する細胞を特徴とする。
【0032】
1つの特徴において、本発明はH−NOX蛋白を産生する方法を特徴とする。この方法は変異体H−NOX蛋白の産生に適する条件下で本明細書に記載する変異体H−NOX蛋白何れか1つ以上をコードする核酸を有する細胞を培養することを包含する。一部の実施形態においては、本発明は更に変異体H−NOX蛋白を精製する工程を包含する。
【0033】
1つの特徴において、本発明は本明細書に記載した野生型又は変異体のH−NOX蛋白の何れかのようなH−NOX蛋白1つ以上を包含する医薬組成物を特徴とする。一部の実施形態においては、医薬組成物は本明細書に記載する製薬上許容しうる量のH−NOX蛋白及び製薬上許容しうる担体を包含する。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白のO解離定数は20℃で約1nM〜約1mMであり、そしてH−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満(例えば20℃で約600s−1、500s−1、100s−1、20s−1、又は1.8s−1未満)である。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白のO解離定数は20℃で約20nM〜約2μMであり、そしてH−NOX蛋白の酸素に関するkoffは20℃で約1.0s−1〜約16.0s−1である。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白のO解離定数は20℃で約20nM〜約2μMであり、そしてH−NOX蛋白のヘム自動酸化は速度が37℃で約1h−1未満である。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白のO解離定数は20℃で約20nM〜約2μMであり、そしてH−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満(例えば20℃で約600s−1、500s−1、100s−1、20s−1、又は1.8s−1未満)である。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白の酸素に関するkoffは20℃で約1.0s−1〜約16.0s−1であり、そしてH−NOX蛋白のヘム自動酸化は速度が37℃で約1h−1未満である。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白の酸素に関するkoffは20℃で約1.0s−1〜約16.0s−1であり、そしてH−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満(例えば20℃で約600s−1、500s−1、100s−1、20s−1、又は1.8s−1未満)である。
【0034】
一部の実施形態においては、本発明は製薬上許容しうる量のH−NOX蛋白及び製薬上許容しうる担体を包含する医薬組成物を提供する。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白のO解離定数はヘモグロビンのものの2桁内であり、そしてここでH−NOX蛋白のNO反応性はヘモグロビンのものより少なくとも10倍低値である。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白の酸素に関するkoffは20℃で約0.01s−1〜約200s−1であり、そしてH−NOX蛋白のNO反応性はヘモグロビンのものより少なくとも10倍低値である。
【0035】
医薬組成物の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白のO解離定数はHomo sapiensヘモグロビンアルファのものの2桁内、例えばHomo sapiensヘモグロビンアルファのものの0.1〜10倍又は0.5〜2倍のO解離定数である。医薬組成物の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白のNO反応性はHomo sapiensヘモグロビンアルファのものより少なくとも10倍低値、例えばHomo sapiensヘモグロビンアルファのものより少なくとも100倍又は1000倍低値である。医薬組成物の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白は野生型蛋白である。医薬組成物の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白は本明細書に記載した変異体蛋白である。医薬組成物の種々の実施形態において、H−NOX蛋白は対応する野生型の蛋白のものと比較して、O解離定数、酸素に関するkoff、ヘム自動酸化の速度、NO反応性、NO安定性、又は上記のものの何れかの2つ以上を改変する少なくとも1つの変異を有する。医薬組成物の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白は野生型T.tengcongensisH−NOX、T.tengcongensisH−NOXI5A、T.tengcongensisH−NOXI5L、T.tengcongensisH−NOXI5L−P115A、T.tengcongensisH−NOXW9F、T.tengcongensisH−NOXW9F−Y140L、T.tengcongensisH−NOXW9F−Y140H、T.tengcongensisH−NOXW9F−N74A、T.tengcongensisH−NOXW9Y、T.tengcongensisH−NOXW9N、T.tengcongensisH−NOXW9H、T.tengcongensisH−NOXN74E、T.tengcongensisH−NOXN74A、T.tengcongensisH−NOXN74H、T.tengcongensisH−NOXN74A−Y140H、T.tengcongensisH−NOXF78Y−Y140F、T.tengcongensisH−NOXF78Y/Y140L、T.tengcongensisH−NOXP115A、T.tengcongensisH−NOXR135Q、T.tengcongensisH−NOXY140F、T.tengcongensisH−NOXY40L、T.tengcongensisH−NOXY140H、T.tengcongensisH−NOXY140A、T.tengcongensisI75F−His6、T.tengcongensisI75F、T.tengcongensisL144F−His6、T.tengcongensisL144F、L.pneumophilia2H−NOXF142Y、野生型L.pneumophilia1H−NOX、野生型L.pneumophilia2H−NOX、L.pneumophilia2F9W−F142Y、野生型D.desulfuricansH−NOX、D.desulfuricansH−NOX(728−899)、D.desulfuricansH−NOXY139L、野生型H.sapiensβ1H−NOX、H.sapiensβ1I145Y、H.sapiensβ1(1−385)、H.sapiensβ1(1−385)I145Y、H.sapiensβ1(1−385)I145H、H.sapiensβ1(1−194)、H.sapiensβ1(1−194)I145Y、H.sapiensβ1(1−194)L9W−I145Y、H.sapiensβ2(1−217)、H.sapiensβ2(1−217)I142Y、H.sapiensβ1H−NOXH105G、H.sapiensβ1H−NOXH105F、野生型R.norvegicusβ1H−NOX、R.norvegicusβ1(1−385)、R.norvegicusβ1(1−385)I145Y、R.norvegicusβ1(1−385)I145H、R.norvegicusβ1(1−194)、R.norvegicusβ1(1−194)I145Y、R.norvegicusβ1(1−194)L9W−I145Y、R.norvegicusβ2(1−217)、R.norvegicusβ2(1−217)I142Y、R.norvegicusβ1H−NOXH105G、R.norvegicusβ1H−NOXH105F、C.botulinumH−NOX(1−175)、C.botulinumH−NOX(1−186)、野生型C.acetobutylicumH−NOX、C.acetobutylicumH−NOX(1−197)、C.acetobutylicumH−NOX(1−183)、野生型C.elegansGCY−35H−NOX、C.elegansH−NOXGCY−35(1−252)、野生型D.melangasterβ1H−NOX、野生型D.melangasterCG14885−PA、野生型D.melangasterCG14886、野生型D.melangasterCG4154、野生型N.punctiformeH−NOX、野生型C.crescentusH−NOX、野生型S.oneidensisH−NOX、野生型M.musculusH−NOX、野生型C.familiarisH−NOX、野生型B.TaurusH−NOX、野生型R.norvegicus;野生型X.laevisH−NOX、野生型O.latipesH−NOX、野生型O.curivatusH−NOX、野生型F.rubripesH−NOX、野生型A.gambiaeH−NOX、野生型M.sextaH−NOX、野生型C.elegansgcy−31、C.elegansgcy−32、野生型C.elegansgcy−33、野生型C.elegansgcy−34、野生型C.elegansgcy−35、野生型C.elegansgcy−36、野生型C.elegansgcy−37、野生型V.choleraH−NOX、野生型V.fischeriiH−NOX、及び野生型N.punctiformeH−NOXよりなる群から選択される。医薬組成物の一部の実施形態においては、医薬組成物はH−NOX蛋白を包含又はカプセル化する1つ以上のリポソーム又はナノ粒子を包含する。
【0036】
医薬組成物の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はT.tengcongensisH−NOXY140Hではない。医薬組成物の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はT.tengcongensisH−NOXY40L、T.tengcongensisH−NOXF78Y/Y140L、野生型T.tengcongensisH−NOX、又はL.pneumophilia2H−NOXF142Yではない。医薬組成物の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はR.norvegicusβ2(1−217)、R.norvegicusβ1(1−194)、R.norvegicusβ1(1−385)、又はR.norvegicusβ1(1−385)I145Yではない。医薬組成物の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はT.tengcongensisH−NOXW9F、T.tengcongensisH−NOXY140F、又はH.sapiensβ1H−NOX(1−385)I145Yではない。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はT.tengcongensisH−NOXI140H、H.sapiensβ1I140Y、又はH.sapiensβ1I145Yではない。医薬組成物の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はT.tengcongensisH−NOXY140F、野生型L.pneumophilia2H−NOX、H.sapiensβ1H−NOXI140Y、野生型H.sapiensβ1H−NOX、R.norvegicussGCβ1H−NOX(1−385)、R.norvegicussGCβ1H−NOX(1−385)I145Y、R.norvegicussGCβ1H−NOXH105G、R.norvegicussGCβ1H−NOXH105F、R.norvegicussGCβ1H−NOXI145Y、野生型R.norvegicusβ1H−NOX、野生型D.melangasterβ1H−NOX、野生型D.melangasterCG14885−PAH−NOX、野生型C.elegansGCY−35H−NOX、野生型N.punctiformeH−NOX、野生型C.crescentusH−NOX、野生型S.oneidensisH−NOX又は野生型C.acetobutylicumH−NOXではない。医薬組成物の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はT.tengcongensisH−NOXY40L、T.tengcongensisH−NOXF78Y/Y140L、T.tengcongensisH−NOXW9F、T.tengcongensisH−NOXY140F、野生型T.tengcongensisH−NOX、L.pneumophilia2H−NOXF142Y、野生型L.pneumophilia2H−NOX、H.sapiensβ1H−NOXI140Y、H.sapiensβ1I145Y、野生型H.sapiensH−NOX、R.norvegicussGCβ1H−NOX(1−385)、R.norvegicussGCβ1H−NOX(1−385)I145Y、R.norvegicussGCβ1H−NOXH105G、R.norvegicussGCβ1H−NOXH105F、R.norvegicussGCβ1H−NOXI145Y、野生型R.norvegicusβ1H−NOX、野生型D.melangasterβ1H−NOX、野生型D.melangasterCG14885−PAH−NOX、野生型C.elegansGCY−35H−NOX、野生型N.punctiformeH−NOX、野生型C.crescentusH−NOX、野生型S.oneidensisH−NOX又は野生型C.acetobutylicumH−NOXではない。医薬組成物の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白は、自身の遺伝子名及びそれにひき続くそれらの種の略記及びゲンバンク識別子により列挙される以下のH−NOX蛋白(例えば2006年5月21日;2006年5月22日;2007年5月21日;又は2007年5月22日のものとして入手可能な以下の蛋白配列):
【0037】
【化8】

の何れでもない(Lakshminarayan等(2003)、“Ancient conserved domains shared by animal soluble guanylyl cyclases and bacterial signaling proteins,”BMG Genomics4:5−13)。種の名称において使用するそれらの略記法は、Ana−Anabaena Sp;Ccr−Caulobacter crescentus;Cac−Clostridium acetobutylicum;Dde−Desulfovibrio desulfuricans;Mcsp−Magnetococcus sp.;Mde−Microbulbifer degradans;Npu−Nostoc punctiforme;Rhsp−Rhodobacter sphaeroides;Sone−Shewanalla oneidensis;Tte−Thermoanaerobacter tengcongensis;Vch−Vibrio cholerae;Ce−Caenorhabditis elegans;Dm−Drosophila melanogaster;Hpul−Hemicentrotus pulcherrimus;Hs−Homo sapiensを包含する。医薬組成物の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はR.norvegicus sGCβ1H−NOX C78S又はR.norvegicus sGCβ1H−NOX C78Eではない。医薬組成物の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白は、自身の生物名及びPfamデータベースアクセッション番号により列挙される以下のH−NOX蛋白(例えば2006年5月21日;2006年5月22日;2007年5月17日;2007年5月21日;又は2007年5月22日のものとして入手可能な以下の蛋白配列):
【0038】
【化9】

【0039】
【化10】

【0040】
【化11】

の何れでもない。医薬組成物の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白は、ヒトH−NOXのTyr135、Ser137、及びArg139を包含するY−S−Rモチーフにおける変異を有さない。
【0041】
特段の記載が無い限り、又は文脈により推測されない限り、本明細書に記載した全ての野生型及び変異体のH−NOX蛋白を本明細書に記載する医薬組成物の何れかにおいて使用してよい。H−NOX蛋白はヘム及び/又は酸素を結合状態で有していてもいなくてもよく、そしてポリエチレングリコールのような他の分子又は部分に共有結合していてもしていなくてもよい。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はH−NOXドメインおよびアルブミン(例えばヒト血清アルブミン)のような別の蛋白の部分又は全てを包含する融合蛋白である。
【0042】
1つの特徴において、本発明はH−NOX蛋白を用いながら個体(例えば哺乳類、例えば霊長類(例えば、ヒト、サル、ゴリラ、類人猿、キツネザル等)、ウシ、ウマ、ブタ、イヌ、又はネコ)に酸素を送達する方法を提供する。一部の実施形態においては、個体は心臓血管疾患、神経学的疾患、腫瘍低酸素、失血、又は創傷に罹患しているかその危険性を有する。例示される心臓血管の適応症は心筋梗塞(例えばST部分上昇心筋梗塞)、心臓麻痺、鎌状赤血球貧血、周術期の虚血、末梢血管閉塞、及び血管形成を包含する。例示される神経学的適応症は虚血性卒中、外傷性脳傷害、及び脊髄傷害を包含する。腫瘍低酸素の治療のためには、H−NOX蛋白は例えば固形腫瘍(例えば不良な転移前予後を有する個体)における放射線療法アジュバントとして、又は、表面腫瘍(例えば結腸、肺、又は皮膚癌、又は他の接触可能な表面又は位置における癌)におけるPDT療法アジュバントとして使用できる。輸血代替物としてのH−NOX蛋白の適用は、外傷(例えば戦地、災害救援、又は事故)、外科処置(例えば腹部動脈瘤手術、整形外科的手術、例えば腰骨置換手術、又は大量の失血をもたらす何れかの他の手術)、出血、出血性ショック、血液希釈、及び血液延長使用(例えば補給自己献血)を包含する。創傷修復用途の例は、放射線後の創傷の修復(例えば高圧酸素作用)、術後修復、糖尿病性潰瘍修復、及び熱傷を包含する。
【0043】
従って、一部の実施形態においては、本発明は個体(例えばヒト)に酸素の有効量を送達するために十分な量のH−NOX蛋白を酸素送達の必要な個体に投与することによる個体に酸素を送達する方法を提供する。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白のO解離定数は20℃で約1nM〜約1mMであり、そしてH−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満(例えば20℃で約600s−1、500s−1、100s−1、20s−1、又は1.8s−1未満)である。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白のO解離定数はヘモグロビンのものの2桁内であり、そしてここでH−NOX蛋白のNO反応性はヘモグロビンのものより少なくとも10倍低値である。
【0044】
方法の一部の実施形態においては、個体へのH−NOX蛋白の投与の前に酸素がH−NOX蛋白に結合する。方法の一部の実施形態においては、個体へのH−NOX蛋白の投与の前には酸素はH−NOX蛋白に結合せず、そしてH−NOX蛋白は個体内の1つの箇所から個体内の別の箇所に酸素を輸送する。方法の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白は個体の血液に投与される。方法の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白は個体の血液、創傷、腫瘍、低酸素組織、又は低酸素臓器に投与される。方法の一部の実施形態においては、個体は失血に罹患しているか、その危険性を有する。方法のl一部の実施形態においては、H−NOX蛋白は少なくとも2回個体に投与される。
【0045】
方法の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白のO解離定数はHomo sapiensヘモグロビンアルファのものの2桁内、例えばHomo sapiensヘモグロビンアルファのものの0.1〜10倍又は0.5〜2倍のO解離定数である。方法の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白のNO反応性はHomo sapiensヘモグロビンアルファのものより少なくとも10倍低値、例えばHomo sapiensヘモグロビンアルファのものより少なくとも100倍又は1000倍低値である。方法の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白は野生型蛋白である。方法の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白は本明細書に記載した変異体蛋白である。方法の種々の実施形態において、H−NOX蛋白は対応する野生型の蛋白のものと比較して、O解離定数、酸素に関するkoff、ヘム自動酸化の速度、NO反応性、又は上記のものの何れかの2つ以上を改変する少なくとも1つの変異を有する。方法の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白は野生型T.tengcongensisH−NOX、T.tengcongensisH−NOXI5A、T.tengcongensisH−NOXI5L、T.tengcongensisH−NOXI5L−P115A、T.tengcongensisH−NOXW9F、T.tengcongensisH−NOXW9F−Y140L、T.tengcongensisH−NOXW9F−Y140H、T.tengcongensisH−NOXW9F−N74A、T.tengcongensisH−NOXW9Y、T.tengcongensisH−NOXW9N、T.tengcongensisH−NOXW9H、T.tengcongensisH−NOXN74E、T.tengcongensisH−NOXN74A、T.tengcongensisH−NOXN74H、T.tengcongensisH−NOXN74A−Y140H、T.tengcongensisH−NOXF78Y−Y140F、T.tengcongensisH−NOXF78Y/Y140L、T.tengcongensisH−NOXP115A、T.tengcongensisH−NOXR135Q、T.tengcongensisH−NOXY140F、T.tengcongensisH−NOXY40L、T.tengcongensisH−NOXY140H、T.tengcongensisH−NOXY140A、T.tengcongensisI75F−His6、T.tengcongensisI75F、T.tengcongensisL144F−His6、T.tengcongensisL144F、L.pneumophilia2H−NOXF142Y、野生型L.pneumophilia1H−NOX、野生型L.pneumophilia2H−NOX、L.pneumophilia2F9W−F142Y、野生型D.desulfuricansH−NOX、D.desulfuricansH−NOX(728−899)、D.desulfuricansH−NOXY139L、野生型H.sapiensβ1H−NOX、H.sapiensβ1I145Y、H.sapiensβ1(1−385)、H.sapiensβ1(1−385)I145Y、H.sapiensβ1(1−385)I145H、H.sapiensβ1(1−194)、H.sapiensβ1(1−194)I145Y、H.sapiensβ1(1−194)L9W−I145Y、H.sapiensβ2(1−217)、H.sapiensβ2(1−217)I142Y、H.sapiensβ1H−NOXH105G、H.sapiensβ1H−NOXH105F、野生型R.norvegicusβ1H−NOX、R.norvegicusβ1(1−385)、R.norvegicusβ1(1−385)I145Y、R.norvegicusβ1(1−385)I145H、R.norvegicusβ1(1−194)、R.norvegicusβ1(1−194)I145Y、R.norvegicusβ1(1−194)L9W−I145Y、R.norvegicusβ2(1−217)、R.norvegicusβ2(1−217)I142Y、R.norvegicusβ1H−NOXH105G、R.norvegicusβ1H−NOXH105F、C.botulinumH−NOX(1−175)、C.botulinumH−NOX(1−186)、野生型C.acetobutylicumH−NOX、C.acetobutylicumH−NOX(1−197)、C.acetobutylicumH−NOX(1−183)、野生型C.elegansGCY−35H−NOX、C.elegansH−NOXGCY−35(1−252)、野生型D.melangasterβ1H−NOX、野生型D.melangasterCG14885−PA、野生型D.melangasterCG14886、野生型D.melangasterCG4154、野生型N.punctiformeH−NOX、野生型C.crescentusH−NOX、野生型S.oneidensisH−NOX、野生型M.musculusH−NOX、野生型C.familiarisH−NOX、野生型B.TaurusH−NOX、野生型R.norvegicus;野生型X.laevisH−NOX、野生型O.latipesH−NOX、野生型O.curivatusH−NOX、野生型F.rubripesH−NOX、野生型A.gambiaeH−NOX、野生型M.sextaH−NOX、野生型C.elegansgcy−31、C.elegansgcy−32、野生型C.elegansgcy−33、野生型C.elegansgcy−34、野生型C.elegansgcy−35、野生型C.elegansgcy−36、野生型C.elegansgcy−37、野生型V.choleraH−NOX、野生型V.fischeriiH−NOX、及び野生型N.punctiformeH−NOXよりなる群から選択される。方法の一部の実施形態においては、1つ以上のリポソーム又はナノ粒子がH−NOX蛋白を包含又はカプセル化する。
【0046】
方法の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はT.tengcongensisH−NOXY140Hではない。方法の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はT.tengcongensisH−NOXY40L、T.tengcongensisH−NOXF78Y/Y140L、野生型T.tengcongensisH−NOX、又はL.pneumophilia2H−NOXF142Yではない。方法の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はR.norvegicusβ2(1−217)、R.norvegicusβ1(1−194)、R.norvegicusβ1(1−385)、又はR.norvegicusβ1(1−385)I145Yではない。方法の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はT.tengcongensisH−NOXW9F、T.tengcongensisH−NOXY140F、又はH.sapiensβ1H−NOX(1−385)I145Yではない。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はT.tengcongensisH−NOXI140H、H.sapiensβ1I140Y、又はH.sapiensβ1I145Yではない。方法の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はT.tengcongensisH−NOXY140F、野生型L.pneumophilia2H−NOX、H.sapiensβ1H−NOXI140Y、野生型H.sapiensβ1H−NOX、R.norvegicussGCβ1H−NOX(1−385)、R.norvegicussGCβ1H−NOX(1−385)I145Y、R.norvegicussGCβ1H−NOXH105G、R.norvegicussGCβ1H−NOXH105F、R.norvegicussGCβ1H−NOXI145Y、野生型R.norvegicusβ1H−NOX、野生型D.melangasterβ1H−NOX、野生型D.melangasterCG14885−PAH−NOX、野生型C.elegansGCY−35H−NOX、野生型N.punctiformeH−NOX、野生型C.crescentusH−NOX、野生型S.oneidensisH−NOX又は野生型C.acetobutylicumH−NOXではない。方法の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はT.tengcongensisH−NOXY40L、T.tengcongensisH−NOXF78Y/Y140L、T.tengcongensisH−NOXW9F、T.tengcongensisH−NOXY140F、野生型T.tengcongensisH−NOX、L.pneumophilia2H−NOXF142Y、野生型L.pneumophilia2H−NOX、H.sapiensβ1H−NOXI140Y、H.sapiensβ1I145Y、野生型H.sapiensH−NOX、R.norvegicussGCβ1H−NOX(1−385)、R.norvegicussGCβ1H−NOX(1−385)I145Y、R.norvegicussGCβ1H−NOXH105G、R.norvegicussGCβ1H−NOXH105F、R.norvegicussGCβ1H−NOXI145Y、野生型R.norvegicusβ1H−NOX、野生型D.melangasterβ1H−NOX、野生型D.melangasterCG14885−PAH−NOX、野生型C.elegansGCY−35H−NOX、野生型N.punctiformeH−NOX、野生型C.crescentusH−NOX、野生型S.oneidensisH−NOX又は野生型C.acetobutylicumH−NOXではない。方法の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白は、自身の遺伝子名及びそれにひき続くそれらの種の略記及びゲンバンク識別子により列挙される以下のH−NOX蛋白(例えば2006年5月21日;2006年5月22日;2007年5月21日;又は2007年5月22日のものとして入手可能な以下の蛋白配列):
【0047】
【化12】

の何れでもない(Lakshminarayan等(2003)、“Ancient conserved domains shared by animal soluble guanylyl cyclases and bacterial signaling proteins,”BMG Genomics4:5−13)。種の名称において使用するそれらの略記法は、Ana−Anabaena Sp;Cer−Caulobacter crescentus;Cac−Clostridium acetobutylicum;Dde−Desulfovibrio desulfuricans;Mcsp−Magnetococcus sp;Mde−Microbulbifer degradans;Npu−Nostoc punctiforme;Rhsp−Rhodobacter sphaeroides;Sone−Shewanalla oneidensis;Tte−Thermoanaerobacter tengcongensis;Vch−Vibrio cholerae;Ce−Caenorhabditis elegans;Dm−Drosophila melanogaster;Hpul−Hemicentrotus pulcherrimus;Hs−Homo sapiensを包含する。方法の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白は、自身の生物名及びPfamデータベースアクセッション番号により列挙される以下のH−NOX蛋白(例えば2006年5月21日;2006年5月22日;2007年5月17日;2007年5月21日;又は2007年5月22日のものとして入手可能な以下の蛋白配列):
【0048】
【化13】

【0049】
【化14】

ではない。方法の一部の実施形態においては、H−NOX蛋白は、ヒトH−NOXのTyr135、Ser137、及びArg139を包含するY−S−Rモチーフにおける変異を有さない。
【0050】
特段の記載が無い限り、又は文脈により推測されない限り、本明細書に記載した全ての野生型及び変異体の蛋白及び全ての医薬組成物は本明細書に記載する酸素を送達する方法の何れかにおいて使用してよい。H−NOX蛋白はヘム及び/又は酸素を結合状態で有していてもいなくてもよく、そしてポリエチレングリコールのような他の分子又は部分に共有結合していてもしていなくてもよい。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はH−NOXドメインおよびアルブミン(例えばヒト血清アルブミン)のような別の蛋白の部分又は全てを包含する融合蛋白である。
【0051】
1つの特徴において、本発明はH−NOX蛋白1つ以上を包含するキットを特徴とする。一部の実施形態においては、本発明はH−NOX蛋白及び個体に酸素を送達するためにキットを使用するための説明書を包含するキットを提供する。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白のO解離定数は20℃で約1nM〜約1mMであり、そしてH−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満(例えば20℃で約600s−1、500s−1、100s−1、20s−1、又は1.8s−1未満)である。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白のO解離定数はH−NOX蛋白のO解離定数はヘモグロビンのものの2桁内であり、そしてH−NOX蛋白のNO反応性はヘモグロビンのものより少なくとも10倍低値である。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白のO解離定数は20℃で約1nM〜約1mMであり、そしてH−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満(例えば20℃で約600s−1、500s−1、100s−1、20s−1、又は1.8s−1未満)である。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はT.tengcongensisH−NOXY140Hではない。特段の記載が無い限り、又は文脈により推測されない限り、本明細書に記載した全ての野生型及び変異体の蛋白及び全ての医薬組成物は本明細書に記載するキットの何れかにおいて使用してよい。H−NOX蛋白はヘム及び/又は酸素を結合状態で有していてもいなくてもよく、そしてポリエチレングリコールのような他の分子又は部分に共有結合していてもしていなくてもよい。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はH−NOXドメインおよびアルブミン(例えばヒト血清アルブミン)のような別の蛋白の部分又は全てを包含する融合蛋白である。
【0052】
1つの特徴において、本発明は医薬として使用するためのH−NOX蛋白(例えば本明細書に記載した野生型又は変異体の蛋白の何れか)を特徴とする。一部の実施形態においては、本発明は個体に酸素を送達する方法において使用するためのH−NOX蛋白を特徴とする。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はOの送達が有利である何れかの状態、例えば心臓血管疾患、神経学的疾患、腫瘍低酸素、失血又は創傷を治療するために使用される。
【0053】
一部の実施形態においては本発明は個体に酸素を送達するための医薬のような医薬の産生のためのH−NOX蛋白(例えば本明細書に記載した野生型又は変異体の蛋白の何れか)の使用を特徴とする。一部の実施形態においては、本発明は個体に酸素を送達するためのH−NOX蛋白の使用を特徴とする。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はOの送達が有利である何れかの状態、例えば心臓血管疾患、神経学的疾患、腫瘍低酸素、失血又は創傷を治療するために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1A】図1AはNO結合及びO結合H−NOX蛋白の遠位ポケット残基の三次元構造の写真である(ヘム上)。NO結合及びO結合H−NOX蛋白のヘム配位残基も示す(ヘム下)。図1AはPellicena,P.等(2004年8月31日)、“Crystal Structure of An Oxygen−Binding Heme Domain Related to Soluble Guanylate Cyclase,”Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(35):12854−12859により報告されたT.tengcongensisH−NOX蛋白の三次元構造に基づいている。
【図1B】図1BはH−NOX蛋白の構造的特徴を示すT.tengcongensisH−NOXの三次元構造の立体側面図である。蛋白の折り畳みはリボンダイヤグラムで示す。ヘム、2酸素リガンド、及び近位のヒスチジンはボールアンドスティックモデルとして示す。α−へリックスは図5Bに示す命名法に従ってA−G標記する。β鎖は1−4標示する。図1BはPellicena,P.等(2004年8月31日)、“Crystal Structure of An Oxygen−Binding Heme Domain Related to Soluble Guanylate Cyclase,”Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(35):12854−12859によるものである。
【図1C】図1CはT.tengcongensisH−NOX中の例示される遠位ポケット残基を示すT.tengcongensisH−NOXの三次元構造の図である。図1C〜1Hに示す以下の残基がH−NOX遠位ポケットを含む主要な残基、即ち:Thr4、Ile5、Thr8、Trp9、Trp67、Asn74、Ile75、Phe78、Phe82、Tyr140、及びLeu144であり、これらはヘリックスA、D、E及びG内に含有される。図1C〜1HはPYMOL(DeLano Scientific,LLP)を用いて作成した。
【図1D】図1CはT.tengcongensisH−NOX中の例示される遠位ポケット残基を示すT.tengcongensisH−NOXの三次元構造の図である。図1C〜1Hに示す以下の残基がH−NOX遠位ポケットを含む主要な残基、即ち:Thr4、Ile5、Thr8、Trp9、Trp67、Asn74、Ile75、Phe78、Phe82、Tyr140、及びLeu144であり、これらはヘリックスA、D、E及びG内に含有される。図1C〜1HはPYMOL(DeLano Scientific,LLP)を用いて作成した。
【図1E】図1CはT.tengcongensisH−NOX中の例示される遠位ポケット残基を示すT.tengcongensisH−NOXの三次元構造の図である。図1C〜1Hに示す以下の残基がH−NOX遠位ポケットを含む主要な残基、即ち:Thr4、Ile5、Thr8、Trp9、Trp67、Asn74、Ile75、Phe78、Phe82、Tyr140、及びLeu144であり、これらはヘリックスA、D、E及びG内に含有される。図1C〜1HはPYMOL(DeLano Scientific,LLP)を用いて作成した。
【図1F】図1CはT.tengcongensisH−NOX中の例示される遠位ポケット残基を示すT.tengcongensisH−NOXの三次元構造の図である。図1C〜1Hに示す以下の残基がH−NOX遠位ポケットを含む主要な残基、即ち:Thr4、Ile5、Thr8、Trp9、Trp67、Asn74、Ile75、Phe78、Phe82、Tyr140、及びLeu144であり、これらはヘリックスA、D、E及びG内に含有される。図1C〜1HはPYMOL(DeLano Scientific,LLP)を用いて作成した。
【図1G】図1CはT.tengcongensisH−NOX中の例示される遠位ポケット残基を示すT.tengcongensisH−NOXの三次元構造の図である。図1C〜1Hに示す以下の残基がH−NOX遠位ポケットを含む主要な残基、即ち:Thr4、Ile5、Thr8、Trp9、Trp67、Asn74、Ile75、Phe78、Phe82、Tyr140、及びLeu144であり、これらはヘリックスA、D、E及びG内に含有される。図1C〜1HはPYMOL(DeLano Scientific,LLP)を用いて作成した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)製薬上許容しうる量のH−NOX蛋白であって、ここでH−NOX蛋白のO解離定数はヘモグロビンのものの2桁内であり、そしてここでH−NOX蛋白のNO反応性はヘモグロビンのものより少なくとも10倍低値である、H−NOX蛋白、及び(ii)製薬上許容しうる担体を含む医薬組成物。
【請求項2】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約100nM〜約255nMである請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約80nM未満である請求項1および2の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項4】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約20nM〜約75nMである請求項3記載の医薬組成物。
【請求項5】
H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものよりも少なくとも100倍低値である請求項1〜4の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものよりも少なくとも1000倍低値である請求項5記載の医薬組成物。
【請求項7】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約0.65s−1以下である請求項1〜6の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約0.21s−1〜約0.65s−1である請求項7記載の医薬組成物。
【請求項9】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.35s−1〜約2.9s−1である請求項1〜6の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
H−NOX蛋白が空気中4℃で安定である請求項1〜9の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
H−NOX蛋白が変異体蛋白である請求項1〜10の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
H−NOX蛋白が少なくとも1つの遠位ポケット変異を含む請求項1〜11の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
H−NOX蛋白が遠位ポケットにはない少なくとも1つの変異を含む請求項1〜12の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
H−NOX蛋白が対応する野生型の蛋白と比較して、O解離定数、酸素に関するkoff、ヘム自動酸化の速度、及び/又はNO反応性を改変する少なくとも1つの変異を含む請求項1〜13の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
H−NOX蛋白が
【数1】

【数2】

よりなる群から選択される請求項1〜14の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
H−NOX蛋白が哺乳類蛋白であるか、又は哺乳類蛋白由来である請求項1〜15の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
H−NOX蛋白がヒト蛋白であるか、又はヒト蛋白由来である請求項16記載の医薬組成物。
【請求項18】
ヒト蛋白がβ1又はβ1由来である請求項17記載の医薬組成物。
【請求項19】
H−NOX蛋白が細菌蛋白又は細菌蛋白由来である請求項1〜15の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
H−NOX蛋白がT.tengcongensis蛋白又はT.tengcongensis蛋白由来である請求項19記載の医薬組成物。
【請求項21】
酸素がH−NOX蛋白に結合する請求項1〜20の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
H−NOX蛋白を含む1つ以上のリポソーム又はナノ粒子を含む請求項1〜21の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
H−NOX蛋白が請求項279〜397の何れか1項に記載の変異体H−NOX蛋白である請求項1〜22の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
(i)製薬上許容しうる量のH−NOX蛋白であって、ここでH−NOX蛋白のO解離定数は20℃において約1nM〜約1mMであり、そしてここでH−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満である、H−NOX蛋白、及び(ii)製薬上許容しうる担体を含む医薬組成物。
【請求項25】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約2nM〜約50μMである請求項24記載の医薬組成物。
【請求項26】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約50nM〜約10μMである請求項25記載の医薬組成物。
【請求項27】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約20nM〜2μMである請求項25記載の医薬組成物。
【請求項28】
H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものよりも少なくとも10倍低値である請求項24〜27の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項29】
H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものよりも少なくとも100倍低値である請求項28記載の医薬組成物。
【請求項30】
H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものよりも少なくとも1000倍低値である請求項29記載の医薬組成物。
【請求項31】
H−NOX蛋白のNO反応性が約1.0s−1未満である請求項24〜30の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項32】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.0s−1〜約16.0s−1である請求項24〜32の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項33】
蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約0.65s−1以下である請求項24〜31の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項34】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約0.21s−1〜約0.65s−1である請求項33記載の医薬組成物。
【請求項35】
H−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満である請求項24〜34の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項36】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約20nM〜2μMであり、そしてH−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.0s−1〜約16.0s−1である請求項24〜35の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項37】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約20nM〜2μMであり、そしてH−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満である請求項24〜36の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項38】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約20nM〜2μMであり、そしてH−NOX蛋白のNO反応性が20℃で約700s−1未満である請求項24〜37の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項39】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.0s−1〜約16.0s−1であり、そしてH−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満である請求項24〜38の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項40】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.0s−1〜約16.0s−1であり、そしてH−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満である請求項24〜39の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項41】
H−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満であり、そしてH−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満である請求項24〜40の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項42】
ヘムがH−NOX蛋白に結合する請求項24〜41の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項43】
H−NOX蛋白が変異体蛋白である請求項24〜42の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項44】
H−NOX蛋白が少なくとも1つの遠位ポケット変異を含む請求項43記載の医薬組成物。
【請求項45】
H−NOX蛋白が遠位ポケットにはない少なくとも1つの変異を含む請求項43及び44の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項46】
H−NOX蛋白が対応する野生型の蛋白と比較して、O解離定数、酸素に関するkoff、ヘム自動酸化の速度、及び/又はNO安定性を改変する少なくとも1つの変異を含む請求項24〜45の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項47】
H−NOX蛋白が対応する野生型の蛋白と比較して、NO反応性を改変する少なくとも1つの変異を含む請求項24〜46の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項48】
H−NOX蛋白が
【数3】

【数4】

よりなる群から選択される請求項24〜47の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項49】
H−NOX蛋白が哺乳類蛋白であるか、又は哺乳類蛋白由来である請求項24〜48の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項50】
H−NOX蛋白がヒト蛋白であるか、又はヒト蛋白由来である請求項49記載の医薬組成物。
【請求項51】
ヒト蛋白がβ1又はβ1由来である請求項50記載の医薬組成物。
【請求項52】
H−NOX蛋白が細菌蛋白又は細菌蛋白由来である請求項24〜48の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項53】
H−NOX蛋白がT.tengcongensis蛋白又はT.tengcongensis蛋白由来である請求項52記載の医薬組成物。
【請求項54】
酸素がH−NOX蛋白に結合する請求項24〜53の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項55】
H−NOX蛋白を含む1つ以上のリポソーム又はナノ粒子を含む請求項24〜54の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項56】
H−NOX蛋白が請求項279〜397の何れか1項に記載の変異体H−NOX蛋白である請求項24〜55の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項57】
(i)製薬上許容しうる量のH−NOX蛋白であって、ここでH−NOX蛋白のO解離定数は20℃において約1nM〜約1mMであり、そしてここでH−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満であり、そしてここでH−NOX蛋白はT.tengcongensisH−NOXY140Hではない、H−NOX蛋白、及び(ii)製薬上許容しうる担体を含む医薬組成物。
【請求項58】
H−NOX蛋白がH.sapiensβ1I140Yではない請求項57記載の医薬組成物。
【請求項59】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約2nM〜約50μMである請求項57及び58記載の医薬組成物。
【請求項60】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約50nM〜約10μMである請求項59記載の医薬組成物。
【請求項61】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約20nM〜2μMである請求項59記載の医薬組成物。
【請求項62】
H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものよりも少なくとも10倍低値である請求項57〜61の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項63】
H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものよりも少なくとも100倍低値である請求項62記載の医薬組成物。
【請求項64】
H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものよりも少なくとも1000倍低値である請求項63記載の医薬組成物。
【請求項65】
H−NOX蛋白のNO反応性が約1.0s−1未満である請求項57〜64の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項66】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.0s−1〜約16.0s−1である請求項57〜65の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項67】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約0.65s−1以下である請求項57〜66の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項68】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約0.21s−1〜約0.65s−1である請求項67記載の医薬組成物。
【請求項69】
H−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満である請求項57〜68の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項70】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約20nM〜2μMであり、そしてH−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.0s−1〜約16.0s−1である請求項57〜69の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項71】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約20nM〜2μMであり、そしてH−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満である請求項57〜70の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項72】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約20nM〜2μMであり、そしてH−NOX蛋白のNO反応性が20℃で約700s−1未満である請求項57〜71の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項73】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.0s−1〜約16.0s−1であり、そしてH−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満である請求項57〜72の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項74】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.0s−1〜約16.0s−1であり、そしてH−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満である請求項57〜73の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項75】
H−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満であり、そしてH−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満である請求項57〜74の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項76】
ヘムがH−NOX蛋白に結合する請求項57〜75の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項77】
H−NOX蛋白が変異体蛋白である請求項57〜76の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項78】
H−NOX蛋白が少なくとも1つの遠位ポケット変異を含む請求項77記載の医薬組成物。
【請求項79】
H−NOX蛋白が遠位ポケットにはない少なくとも1つの変異を含む請求項77及び78の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項80】
H−NOX蛋白が対応する野生型の蛋白と比較して、O解離定数、酸素に関するkoff、ヘム自動酸化の速度、及び/又はNO安定性を改変する少なくとも1つの変異を含む請求項57〜79の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項81】
H−NOX蛋白が対応する野生型の蛋白と比較して、NO反応性を改変する少なくとも1つの変異を含む請求項57〜80の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項82】
H−NOX蛋白が
【数5】

【数6】

よりなる群から選択される請求項57〜81の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項83】
H−NOX蛋白が哺乳類蛋白であるか、又は哺乳類蛋白由来である請求項57〜82の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項84】
H−NOX蛋白がヒト蛋白であるか、又はヒト蛋白由来である請求項83記載の医薬組成物。
【請求項85】
ヒト蛋白がβ1又はβ1由来である請求項84記載の医薬組成物。
【請求項86】
H−NOX蛋白が細菌蛋白又は細菌蛋白由来である請求項57〜82の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項87】
H−NOX蛋白がT.tengcongensis蛋白又はT.tengcongensis蛋白由来である請求項86記載の医薬組成物。
【請求項88】
酸素がH−NOX蛋白に結合する請求項57〜87の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項89】
H−NOX蛋白を含む1つ以上のリポソーム又はナノ粒子を含む請求項57〜88の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項90】
H−NOX蛋白が請求項279〜397の何れか1項に記載の変異体H−NOX蛋白である請求項57〜89の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項91】
個体に酸素の有効量を送達するために十分な量で、H−NOX蛋白を酸素送達の必要な個体に投与することを含む個体に酸素を送達する方法であって、ここでH−NOX蛋白のO解離定数はヘモグロビンのものの2桁内であり、そしてここでH−NOX蛋白のNO反応性はヘモグロビンのものより少なくとも10倍低値である、方法。
【請求項92】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約100nM〜約255nMである請求項91記載の方法。
【請求項93】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約80nM未満である請求項91記載の方法。
【請求項94】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約20nM〜約75nMである請求項93記載の方法。
【請求項95】
H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものよりも少なくとも100倍低値である請求項91〜94の何れか1項に記載の方法。
【請求項96】
H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものよりも少なくとも1000倍低値である請求項95記載の方法。
【請求項97】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約0.65s−1以下である請求項91〜96の何れか1項に記載の方法。
【請求項98】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約0.21s−1〜約0.65s−1である請求項97記載の方法。
【請求項99】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.35s−1〜約2.9s−1である請求項91〜96の何れか1項に記載の方法。
【請求項100】
H−NOX蛋白が空気中4℃で安定である請求項91〜99の何れか1項に記載の方法。
【請求項101】
H−NOX蛋白が野生型H−NOX蛋白である請求項91〜100の何れか1項に記載の方法。
【請求項102】
H−NOX蛋白が変異体蛋白である請求項91〜100の何れか1項に記載の方法。
【請求項103】
H−NOX蛋白が少なくとも1つの遠位ポケット変異を含む請求項102記載の方法。
【請求項104】
H−NOX蛋白が遠位ポケットにはない少なくとも1つの変異を含む請求項102及び103の何れか1項に記載の方法。
【請求項105】
H−NOX蛋白が対応する野生型の蛋白と比較して、O解離定数、酸素に関するkoff、ヘム自動酸化の速度、及び/又はNO反応性を改変する少なくとも1つの変異を含む請求項91〜104の何れか1項に記載の方法。
【請求項106】
H−NOX蛋白が
【数7】

【数8】

よりなる群から選択される請求項91〜105の何れか1項に記載の方法。
【請求項107】
H−NOX蛋白が哺乳類蛋白であるか、又は哺乳類蛋白由来である請求項91〜106の何れか1項に記載の方法。
【請求項108】
H−NOX蛋白がヒト蛋白であるか、又はヒト蛋白由来である請求項107記載の方法。
【請求項109】
ヒト蛋白がβ1又はβ1由来である請求項108記載の方法。
【請求項110】
H−NOX蛋白が細菌蛋白又は細菌蛋白由来である請求項91〜106の何れか1項に記載の方法。
【請求項111】
H−NOX蛋白がT.tengcongensis蛋白又はT.tengcongensis蛋白由来である請求項110記載の方法。
【請求項112】
H−NOX蛋白が個体の血液に投与される請求項91〜111の何れか1項に記載の方法。
【請求項113】
個体がヒトである請求項91〜112の何れか1項に記載の方法。
【請求項114】
個体が失血に罹患している、又はその危険性がある請求項91〜113の何れか1項に記載の方法。
【請求項115】
H−NOX蛋白が少なくとも2回個体に投与される請求項91〜114の何れか1項に記載の方法。
【請求項116】
H−NOX蛋白が請求項279〜397の何れか1項に記載の変異体H−NOX蛋白である請求項91〜115の何れか1項に記載の方法。
【請求項117】
個体に酸素の有効量を送達するために十分な量でH−NOX蛋白を酸素送達の必要な個体に投与することを含む個体に酸素を送達する方法であって、ここでH−NOX蛋白のO解離定数は20℃において約1nM〜約1mMであり、そしてここでH−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満である、方法。
【請求項118】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約2nM〜約50μMである請求項117記載の方法。
【請求項119】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約50nM〜約10μMである請求項118記載の方法。
【請求項120】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約20nM〜約2μMである請求項118記載の方法。
【請求項121】
H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものよりも少なくとも10倍低値である請求項117〜120の何れか1項に記載の方法。
【請求項122】
H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものよりも少なくとも100倍低値である請求項121記載の方法。
【請求項123】
H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものよりも少なくとも1000倍低値である請求項122記載の方法。
【請求項124】
H−NOX蛋白のNO反応性が約1.0s−1未満である請求項117〜123の何れか1項に記載の方法。
【請求項125】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.0s−1〜約16.0s−1である請求項117〜123の何れか1項に記載の方法。
【請求項126】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約0.65s−1以下である請求項117〜125の何れか1項に記載の方法。
【請求項127】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約0.21s−1〜約0.65s−1である請求項126記載の方法。
【請求項128】
H−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満である請求項117〜127の何れか1項に記載の方法。
【請求項129】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約20nM〜2μMであり、そしてH−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.0s−1〜約16.0s−1である請求項117〜128の何れか1項に記載の方法。
【請求項130】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約20nM〜2μMであり、そしてH−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満である請求項117〜129の何れか1項に記載の方法。
【請求項131】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約20nM〜2μMであり、そしてH−NOX蛋白のNO反応性が20℃で約700s−1未満である請求項117〜130の何れか1項に記載の方法。
【請求項132】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.0s−1〜約16.0s−1であり、そしてH−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満である請求項117〜131の何れか1項に記載の方法。
【請求項133】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.0s−1〜約16.0s−1であり、そしてH−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満である請求項117〜132の何れか1項に記載の方法。
【請求項134】
H−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満であり、そしてH−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満である請求項117〜133の何れか1項に記載の方法。
【請求項135】
ヘムがH−NOX蛋白に結合する請求項117〜134の何れか1項に記載の方法。
【請求項136】
H−NOX蛋白が変異体蛋白である請求項117〜135の何れか1項に記載の方法。
【請求項137】
H−NOX蛋白が少なくとも1つの遠位ポケット変異を含む請求項136記載の方法。
【請求項138】
H−NOX蛋白が遠位ポケットにはない少なくとも1つの変異を含む請求項135及び136の何れか1項に記載の方法。
【請求項139】
H−NOX蛋白が対応する野生型の蛋白と比較して、O解離定数、酸素に関するkoff、ヘム自動酸化の速度、NO反応性、及び/又はNO安定性を改変する少なくとも1つの変異を含む請求項117〜138の何れか1項に記載の方法。
【請求項140】
H−NOX蛋白が
【数9】

【数10】

よりなる群から選択される請求項117〜139の何れか1項に記載の方法。
【請求項141】
H−NOX蛋白が哺乳類蛋白であるか、又は哺乳類蛋白由来である請求項117〜140の何れか1項に記載の方法。
【請求項142】
H−NOX蛋白がヒト蛋白であるか、又はヒト蛋白由来である請求項141記載の方法。
【請求項143】
ヒト蛋白がβ1又はβ1由来である請求項142記載の方法。
【請求項144】
H−NOX蛋白が細菌蛋白又は細菌蛋白由来である請求項117〜143の何れか1項に記載の方法。
【請求項145】
H−NOX蛋白がT.tengcongensis蛋白又はT.tengcongensis蛋白由来である請求項144記載の方法。
【請求項146】
個体にH−NOX蛋白を投与する前にH−NOX蛋白に酸素が結合する請求項117〜145の何れか1項に記載の方法。
【請求項147】
個体にH−NOX蛋白を投与する前にH−NOX蛋白に酸素が結合せず、そしてH−NOX蛋白が個体内の1つの箇所から個体内の別の箇所に酸素を輸送する請求項117〜145の何れか1項に記載の方法。
【請求項148】
H−NOX蛋白が個体の血液、低酸素組織又は低酸素臓器に投与される請求項117〜147の何れか1項に記載の方法。
【請求項149】
個体がヒトである請求項117〜148の何れか1項に記載の方法。
【請求項150】
個体が心臓血管疾患、出血性ショック、血液希釈又は失血に罹患しているかその危険性のある請求項117〜149の何れか1項に記載の方法。
【請求項151】
H−NOX蛋白が少なくとも2回個体に投与される請求項117〜150の何れか1項に記載の方法。
【請求項152】
H−NOX蛋白が請求項279〜397の何れか1項に記載の変異体H−NOX蛋白である請求項117〜151の何れか1項に記載の方法。
【請求項153】
個体に酸素の有効量を送達するために十分な量でH−NOX蛋白を酸素送達の必要な個体に投与することを含む個体に酸素を送達する方法であって、ここでH−NOX蛋白のO解離定数は20℃において約1nM〜約1mMであり、そしてここでH−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満であり、そしてH−NOX蛋白はT.tengcongensisH−NOXY140Hではない、方法。
【請求項154】
H−NOX蛋白がH.sapiensβ1I140Yではない請求項153記載の方法。
【請求項155】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約2nM〜約50μMである請求項153及び154記載の方法。
【請求項156】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約50nM〜約10μMである請求項155記載の方法。
【請求項157】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約20nM〜約2μMである請求項155記載の方法。
【請求項158】
H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものよりも少なくとも10倍低値である請求項153〜157の何れか1項に記載の方法。
【請求項159】
H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものよりも少なくとも100倍低値である請求項158記載の方法。
【請求項160】
H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものよりも少なくとも1000倍低値である請求項159記載の方法。
【請求項161】
H−NOX蛋白のNO反応性が約1.0s−1未満である請求項153〜160の何れか1項に記載の方法。
【請求項162】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.0s−1〜約16.0s−1である請求項153〜161の何れか1項に記載の方法。
【請求項163】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約0.65s−1以下である請求項153〜161の何れか1項に記載の方法。
【請求項164】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約0.21s−1〜約0.65s−1である請求項163記載の方法。
【請求項165】
H−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満である請求項153〜164の何れか1項に記載の方法。
【請求項166】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約20nM〜2μMであり、そしてH−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.0s−1〜約16.0s−1である請求項153〜165の何れか1項に記載の方法。
【請求項167】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約20nM〜2μMであり、そしてH−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満である請求項153〜166の何れか1項に記載の方法。
【請求項168】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約20nM〜2μMであり、そしてH−NOX蛋白のNO反応性が20℃で約700s−1未満である請求項153〜167の何れか1項に記載の方法。
【請求項169】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.0s−1〜約16.0s−1であり、そしてH−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満である請求項153〜168の何れか1項に記載の方法。
【請求項170】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.0s−1〜約16.0s−1であり、そしてH−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満である請求項153〜169の何れか1項に記載の方法。
【請求項171】
H−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満であり、そしてH−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満である請求項153〜170の何れか1項に記載の方法。
【請求項172】
ヘムがH−NOX蛋白に結合する請求項153〜171の何れか1項に記載の方法。
【請求項173】
H−NOX蛋白が変異体蛋白である請求項153〜172の何れか1項に記載の方法。
【請求項174】
H−NOX蛋白が少なくとも1つの遠位ポケット変異を含む請求項173記載の方法。
【請求項175】
H−NOX蛋白が遠位ポケットにはない少なくとも1つの変異を含む請求項173及び174の何れか1項に記載の方法。
【請求項176】
H−NOX蛋白が対応する野生型の蛋白と比較して、O解離定数、酸素に関するkoff、ヘム自動酸化の速度、及び/又はNO安定性を改変する少なくとも1つの変異を含む請求項153〜175の何れか1項に記載の方法。
【請求項177】
H−NOX蛋白が対応する野生型蛋白と比較してNO反応性を改変する少なくとも1つの変異を含む請求項153〜176の何れか1項に記載の方法。
【請求項178】
H−NOX蛋白が
【数11】

【数12】

よりなる群から選択される請求項153〜177の何れか1項に記載の方法。
【請求項179】
H−NOX蛋白が哺乳類蛋白であるか、又は哺乳類蛋白由来である請求項153〜178の何れか1項に記載の方法。
【請求項180】
H−NOX蛋白がヒト蛋白であるか、又はヒト蛋白由来である請求項179記載の方法。
【請求項181】
ヒト蛋白がβ1又はβ1由来である請求項180記載の方法。
【請求項182】
H−NOX蛋白が細菌蛋白又は細菌蛋白由来である請求項153〜178の何れか1項に記載の方法。
【請求項183】
H−NOX蛋白がT.tengcongensis蛋白又はT.tengcongensis蛋白由来である請求項182記載の方法。
【請求項184】
個体にH−NOX蛋白を投与する前にH−NOX蛋白に酸素が結合する請求項153〜183の何れか1項に記載の方法。
【請求項185】
個体にH−NOX蛋白を投与する前にH−NOX蛋白に酸素が結合せず、そしてH−NOX蛋白が個体内の1つの箇所から個体内の別の箇所に酸素を輸送する請求項153〜183の何れか1項に記載の方法。
【請求項186】
H−NOX蛋白が個体の血液、低酸素組織又は低酸素臓器に投与される請求項153〜185の何れか1項に記載の方法。
【請求項187】
個体がヒトである請求項153〜186の何れか1項に記載の方法。
【請求項188】
個体が心臓血管疾患、出血性ショック、血液希釈又は失血に罹患しているかその危険性のある請求項153〜187の何れか1項に記載の方法。
【請求項189】
H−NOX蛋白が少なくとも2回個体に投与される請求項153〜188の何れか1項に記載の方法。
【請求項190】
H−NOX蛋白が請求項279〜397の何れか1項に記載の変異体H−NOX蛋白である請求項153〜189の何れか1項に記載の方法。
【請求項191】
(i)製薬上許容しうる量のH−NOX蛋白であって、ここでH−NOX蛋白のO解離定数はヘモグロビンのものの2桁内であり、そしてここでH−NOX蛋白のNO反応性はヘモグロビンのものより少なくとも10倍低値である、H−NOX蛋白、及び(ii)製薬上許容しうる担体を含むキット。
【請求項192】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約100nM〜約255nMである請求項191記載のキット。
【請求項193】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約80nM未満である請求項191記載のキット。
【請求項194】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約20nM〜約75nMである請求項193記載のキット。
【請求項195】
H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものよりも少なくとも100倍低値である請求項191〜195記載の何れか1項に記載のキット。
【請求項196】
H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものよりも少なくとも1000倍低値である請求項195記載のキット。
【請求項197】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約0.65s−1以下である請求項193〜196の何れか1項に記載のキット。
【請求項198】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約0.21s−1〜約0.65s−1である請求項197記載のキット。
【請求項199】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.35s−1〜約2.9s−1である請求項191〜196の何れか1項に記載のキット。
【請求項200】
H−NOX蛋白が空気中4℃で安定である請求項191〜199の何れか1項に記載のキット。
【請求項201】
H−NOX蛋白が野生型H−NOX蛋白である請求項191〜200の何れか1項に記載のキット。
【請求項202】
H−NOX蛋白が変異体蛋白である請求項191〜200の何れか1項に記載のキット。
【請求項203】
H−NOX蛋白が少なくとも1つの遠位ポケット変異を含む請求項202記載のキット。
【請求項204】
H−NOX蛋白が遠位ポケットにはない少なくとも1つの変異を含む請求項202及び203の何れか1項に記載のキット。
【請求項205】
H−NOX蛋白が対応する野生型の蛋白と比較して、O解離定数、酸素に関するkoff、ヘム自動酸化の速度、及び/又はNO反応性を改変する少なくとも1つの変異を含む請求項191〜204の何れか1項に記載のキット。
【請求項206】
H−NOX蛋白が
【数13】

【数14】

よりなる群から選択される請求項191〜205の何れか1項に記載のキット。
【請求項207】
H−NOX蛋白が哺乳類蛋白であるか、又は哺乳類蛋白由来である請求項191〜206の何れか1項に記載のキット。
【請求項208】
H−NOX蛋白がヒト蛋白であるか、又はヒト蛋白由来である請求項207記載のキット。
【請求項209】
ヒト蛋白がβ1又はβ1由来である請求項208記載のキット。
【請求項210】
H−NOX蛋白が細菌蛋白又は細菌蛋白由来である請求項191〜206の何れか1項に記載のキット。
【請求項211】
H−NOX蛋白がT.tengcongensis蛋白又はT.tengcongensis蛋白由来である請求項210記載のキット。
【請求項212】
酸素がH−NOX蛋白に結合する請求項191〜211の何れか1項に記載のキット。
【請求項213】
H−NOX蛋白が請求項279〜397の何れか1項に記載の変異体H−NOX蛋白である請求項191〜212の何れか1項に記載のキット。
【請求項214】
(i)H−NOX蛋白であって、ここでH−NOX蛋白のO解離定数は20℃において約1nM〜約1mMであり、そしてここでH−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満であるH−NOX蛋白、及び(ii)個体に酸素を送達するためのキットを使用するための説明書を含むキット。
【請求項215】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約2nM〜約50μMである請求項214記載のキット。
【請求項216】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約50nM〜約10μMである請求項215記載のキット。
【請求項217】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約20nM〜約2μMである請求項214記載のキット。
【請求項218】
H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものよりも少なくとも10倍低値である請求項214〜217の何れか1項に記載のキット。
【請求項219】
H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものよりも少なくとも100倍低値である請求項218記載のキット。
【請求項220】
H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものよりも少なくとも1000倍低値である請求項219記載のキット。
【請求項221】
H−NOX蛋白のNO反応性が約1.0s−1未満である請求項214〜220の何れか1項に記載のキット。
【請求項222】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.0s−1〜約16.0s−1である請求項214〜221の何れか1項に記載のキット。
【請求項223】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約0.65s−1以下である請求項214〜222の何れか1項に記載のキット。
【請求項224】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約0.21s−1〜約0.65s−1である請求項223記載のキット。
【請求項225】
H−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満である請求項214〜224の何れか1項に記載のキット。
【請求項226】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約20nM〜2μMであり、そしてH−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.0s−1〜約16.0s−1である請求項214〜225の何れか1項に記載のキット。
【請求項227】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約20nM〜2μMであり、そしてH−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満である請求項214〜226の何れか1項に記載のキット。
【請求項228】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約20nM〜2μMであり、そしてH−NOX蛋白のNO反応性が20℃で約700s−1未満である請求項214〜227の何れか1項に記載のキット。
【請求項229】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.0s−1〜約16.0s−1であり、そしてH−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満である請求項214〜228の何れか1項に記載のキット。
【請求項230】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.0s−1〜約16.0s−1であり、そしてH−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満である請求項214〜229の何れか1項に記載のキット。
【請求項231】
H−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満であり、そしてH−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満である請求項214〜230の何れか1項に記載のキット。
【請求項232】
ヘムがH−NOX蛋白に結合する請求項214〜231の何れか1項に記載のキット。
【請求項233】
H−NOX蛋白が変異体蛋白である請求項214〜232の何れか1項に記載のキット。
【請求項234】
H−NOX蛋白が少なくとも1つの遠位ポケット変異を含む請求項233記載のキット。
【請求項235】
H−NOX蛋白が遠位ポケットにはない少なくとも1つの変異を含む請求項233及び234の何れか1項に記載のキット。
【請求項236】
H−NOX蛋白が対応する野生型の蛋白と比較して、O解離定数、酸素に関するkoff、ヘム自動酸化の速度、NO反応性、及び/又はNO安定性を改変する少なくとも1つの変異を含む請求項214〜235の何れか1項に記載のキット。
【請求項237】
H−NOX蛋白が対応する野生型の蛋白と比較してNO反応性を改変する少なくとも1つの変異を含む請求項214〜236の何れか1項に記載のキット。
【請求項238】
H−NOX蛋白が
【数15】

【数16】

りなる群から選択される請求項214〜237の何れか1項に記載のキット。
【請求項239】
H−NOX蛋白が哺乳類蛋白であるか、又は哺乳類蛋白由来である請求項214〜238の何れか1項に記載のキット。
【請求項240】
H−NOX蛋白がヒト蛋白であるか、又はヒト蛋白由来である請求項239記載のキット。
【請求項241】
ヒト蛋白がβ1又はβ1由来である請求項240記載のキット。
【請求項242】
H−NOX蛋白が細菌蛋白又は細菌蛋白由来である請求項214〜238の何れか1項に記載のキット。
【請求項243】
H−NOX蛋白がT.tengcongensis蛋白又はT.tengcongensis蛋白由来である請求項242記載のキット。
【請求項244】
H−NOX蛋白に酸素が結合する請求項214〜243の何れか1項に記載のキット。
【請求項245】
H−NOX蛋白が請求項279〜397の何れか1項に記載の変異体H−NOX蛋白である請求項214〜244の何れか1項に記載のキット。
【請求項246】
(i)H−NOX蛋白であって、ここでH−NOX蛋白のO解離定数は20℃において約1nM〜約1mMであり、そしてここでH−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満であり、そしてH−NOX蛋白はT.tengcongensisH−NOXY140HではないH−NOX蛋白、及び(ii)個体に酸素を送達するためのキットを使用するための説明書を含むキット。
【請求項247】
H−NOX蛋白がH.sapiensβ1I140Yではない請求項246記載のキット。
【請求項248】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約2nM〜約50μMである請求項246及び247記載のキット。
【請求項249】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約50nM〜約10μMである請求項248記載のキット。
【請求項250】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約20nM〜約2μMである請求項248記載のキット。
【請求項251】
H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものよりも少なくとも10倍低値である請求項246〜250の何れか1項に記載のキット。
【請求項252】
H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものよりも少なくとも100倍低値である請求項251記載のキット。
【請求項253】
H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものよりも少なくとも1000倍低値である請求項252記載のキット。
【請求項254】
H−NOX蛋白のNO反応性が約1.0s−1未満である請求項246〜253の何れか1項に記載のキット。
【請求項255】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.0s−1〜約16.0s−1である請求項246〜254の何れか1項に記載のキット。
【請求項256】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約0.65s−1以下である請求項246〜254の何れか1項に記載のキット。
【請求項257】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約0.21s−1〜約0.65s−1である請求項256記載のキット。
【請求項258】
H−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満である請求項246〜257の何れか1項に記載のキット。
【請求項259】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約20nM〜2μMであり、そしてH−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.0s−1〜約16.0s−1である請求項246〜258の何れか1項に記載のキット。
【請求項260】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約20nM〜2μMであり、そしてH−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満である請求項246〜259の何れか1項に記載のキット。
【請求項261】
H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約20nM〜2μMであり、そしてH−NOX蛋白のNO反応性が20℃で約700s−1未満である請求項246〜260の何れか1項に記載のキット。
【請求項262】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.0s−1〜約16.0s−1であり、そしてH−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満である請求項246〜261の何れか1項に記載のキット。
【請求項263】
H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.0s−1〜約16.0s−1であり、そしてH−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満である請求項246〜262の何れか1項に記載のキット。
【請求項264】
H−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満であり、そしてH−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約1.8s−1未満である請求項246〜263の何れか1項に記載のキット。
【請求項265】
ヘムがH−NOX蛋白に結合する請求項246〜264の何れか1項に記載のキット。
【請求項266】
H−NOX蛋白が変異体蛋白である請求項246〜265の何れか1項に記載のキット。
【請求項267】
H−NOX蛋白が少なくとも1つの遠位ポケット変異を含む請求項266記載のキット。
【請求項268】
H−NOX蛋白が遠位ポケットにはない少なくとも1つの変異を含む請求項266及び267の何れか1項に記載のキット。
【請求項269】
H−NOX蛋白が対応する野生型の蛋白と比較して、O解離定数、酸素に関するkoff、ヘム自動酸化の速度、及び/又はNO安定性を改変する少なくとも1つの変異を含む請求項246〜268の何れか1項に記載のキット。
【請求項270】
H−NOX蛋白が対応する野生型蛋白と比較してNO反応性を改変する少なくとも1つの変異を含む請求項246〜269の何れか1項に記載のキット。
【請求項271】
H−NOX蛋白が
【数17】

【数18】

よりなる群から選択される請求項246〜270の何れか1項に記載のキット。
【請求項272】
H−NOX蛋白が哺乳類蛋白であるか、又は哺乳類蛋白由来である請求項246〜271の何れか1項に記載のキット。
【請求項273】
H−NOX蛋白がヒト蛋白であるか、又はヒト蛋白由来である請求項272記載のキット。
【請求項274】
ヒト蛋白がβ1又はβ1由来である請求項273記載のキット。
【請求項275】
H−NOX蛋白が細菌蛋白又は細菌蛋白由来である請求項246〜271の何れか1項に記載のキット。
【請求項276】
H−NOX蛋白がT.tengcongensis蛋白又はT.tengcongensis蛋白由来である請求項275記載のキット。
【請求項277】
酸素がH−NOX蛋白に結合する請求項246〜276の何れか1項に記載のキット。
【請求項278】
H−NOX蛋白が請求項279〜397の何れか1項に記載の変異体H−NOX蛋白である請求項246〜277の何れか1項に記載のキット。
【請求項279】
対応する野生型H−NOX蛋白と比較してO解離定数又はNO反応性を改変する少なくとも1つの変異を含む単離されたH−NOX蛋白であって、変異体H−NOX蛋白のO解離定数はヘモグロビンのものの2桁内であり、そしてここで変異体H−NOX蛋白のNO反応性はヘモグロビンのものより少なくとも10倍低値であり、そして変異体H−NOX蛋白はT.tengcongensisH−NOXY40L、T.tengcongensisH−NOXF78Y/Y140L、野生型T.tengcongensisH−NOX、又はL.pneumophilia2H−NOXF142Yではない、単離されたH−NOX蛋白。
【請求項280】
変異体H−NOX蛋白が野生型L.pneumophilia2H−NOX、野生型H.sapiensβ1H−NOX、野生型R.norvegicusβ1H−NOX、野生型D.melangasterβ1H−NOX、野生型D.melangasterCG14885−PAH−NOX、野生型C.elegansGCY−35H−NOX、野生型N.punctiformeH−NOX、野生型C.crescentusH−NOX、野生型S.oneidensisH−NOX又は野生型C.acetobutylicumH−NOXではない請求項279記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項281】
変異体H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約2nM〜約50μMである請求項279及び280の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項282】
変異体H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約50nM〜約10μMである請求項281記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項283】
変異体H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約100nM〜約1.9μMである請求項282記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項284】
変異体H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約150nM〜約1μMである請求項283記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項285】
変異体H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約100nM〜約255nμMである請求項279〜283の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項286】
変異体H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約80nM未満である請求項279〜283の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項287】
変異体H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約20nM〜約75nMである請求項286記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項288】
変異体H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものよりも少なくとも100倍低値である請求項279〜287の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項289】
変異体H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものよりも少なくとも1000倍低値である請求項288記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項290】
変異体H−NOX蛋白のNO反応性が20℃で約700s−1未満である請求項279〜289の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項291】
変異体H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約0.01〜約200s−1である請求項279〜290の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項292】
変異体H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約100nM〜約1.9μMであり、そして変異体H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.35s−1〜約14.5s−1である請求項279〜291の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項293】
変異体H−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満である請求項279〜292の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項294】
変異体H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.35s−1〜約14.5s−1であり、そして変異体H−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満である請求項279〜293の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項295】
変異体H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.35s−1〜約14.5s−1であり、そして変異体H−NOX蛋白のNO反応性が20℃で約700s−1未満である請求項279〜294の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項296】
変異体H−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満であり、そして変異体H−NOX蛋白のNO反応性が20℃で約700s−1未満である請求項279〜295の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項297】
少なくとも1つの遠位ポケット変異を含む請求項279〜296の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項298】
遠位ポケットにはない少なくとも1つの変異を含む請求項279〜297の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項299】
T.tengcongensisH−NOXのIle5、Trp9、Asn74、Pro115、又はArg135に対応する残基が何れかの他のアミノ酸で置き換えられている少なくとも1つの変異を含む請求項279〜298の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項300】
少なくとも1つの変異はT.tengcongensisH−NOXのIle5、Trp9、Asn74、Pro115、又はArg135に対応する残基の何れかの他のアミノ酸による置き換えである、少なくとも2つの変異を含む請求項279〜299の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項301】
変異がT.tengcongensisのI5A変異、I5L変異、W9F変異、Y140H変異、又はF78YY140F二重変異に対応する請求項279〜300の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項302】
変異がT.tengcongensisのW9Y変異、W9H変異、W9N変異、N74H変異、N74A変異、P115A変異、R135Q然変異、I5LP115A二重変異、又はW9FN74A二重変異に対応する請求項279〜301の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項303】
対応する野生型H−NOX蛋白が哺乳類蛋白である請求項279〜302の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項304】
対応する野生型H−NOX蛋白がヒト蛋白である請求項303記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項305】
対応する野生型H−NOX蛋白がβ1である請求項304記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項306】
対応する野生型H−NOX蛋白が細菌蛋白である請求項279〜302の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項307】
対応する野生型H−NOX蛋白がT.tengcongensis蛋白である請求項306記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項308】
変異体H−NOX蛋白がT.tengcongensisH−NOXW9F、T.tengcongensisH−NOXY140F、又はH.sapiensβ1H−NOX(1−385)I145Yではない請求項279〜307の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項309】
変異体H−NOX蛋白がT.tengcongensisH−NOXY140H又はH.sapiensβ1I140Yではない請求項279〜308の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項310】
変異体H−NOX蛋白が別の分子又は部分に共有結合している請求項279〜309の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項311】
変異体H−NOX蛋白がポリエチレングリコールに共有結合している請求項310記載の単離されたH−NOX。
【請求項312】
対応する野生型H−NOX蛋白と比較してO解離定数又はNO反応性を改変する少なくとも1つの変異を含む単離されたH−NOX蛋白であって、変異体H−NOX蛋白のO解離定数はヘモグロビンのものの2桁内であり、そしてここで変異体H−NOX蛋白のNO反応性はヘモグロビンのものより少なくとも10倍低値であり、そして変異体H−NOX蛋白はT.tengcongensisH−NOXY40L、T.tengcongensisH−NOXF78Y/Y140L、T.tengcongensisH−NOXW9F、野生型T.tengcongensisH−NOX、又はL.pneumophilia2H−NOXF142Yではない、単離されたH−NOX蛋白。
【請求項313】
変異体H−NOX蛋白がT.tengcongensisH−NOXY140F、野生型L.pneumophilia2H−NOX、H.sapiensβ1H−NOXI140Y、野生型H.sapiensβ1H−NOX、R.norvegicussGCβ1H−NOX(1−385)、R.norvegicussGCβ1H−NOX(1−385)I145Y、R.norvegicussGCβ1H−NOXH105G、R.norvegicussGCβ1H−NOXH105F、R.norvegicussGCβ1H−NOXI145Y、野生型R.norvegicusβ1H−NOX、野生型D.melangasterβ1H−NOX、野生型D.melangasterCG14885−PAH−NOX、野生型C.elegansGCY−35H−NOX、野生型N.punctiformeH−NOX、野生型C.crescentusH−NOX、野生型S.oneidensisH−NOX又は野生型C.acetobutylicumH−NOXではない請求項312記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項314】
変異体H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約100nM〜約255nμMである請求項312及び313の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項315】
変異体H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約80nM未満である請求項312及び313の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項316】
変異体H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約20nM〜約75nMである請求項315記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項317】
変異体H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものよりも少なくとも100倍低値である請求項312〜316の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項318】
変異体H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものよりも少なくとも1000倍低値である請求項317記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項319】
変異体H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約0.65s−1以下である請求項312〜318の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項320】
変異体H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約0.21s−1〜約0.65s−1である請求項319記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項321】
変異体H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.35s−1〜約2.9s−1である請求項312〜318の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項322】
変異体H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約5.8s−1〜約19s−1である請求項312〜318の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項323】
変異体H−NOX蛋白が空気中4℃で安定である請求項312〜322の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項324】
少なくとも1つの遠位ポケット変異を含む請求項312〜323の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項325】
遠位ポケットにはない少なくとも1つの変異を含む請求項312〜324の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項326】
T.tengcongensisH−NOXのIle5、Asn74、Pro115、又はArg135に対応する残基が何れかの他のアミノ酸で置き換えられている少なくとも1つの変異を含む請求項312〜325の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項327】
少なくとも1つの変異はT.tengcongensisH−NOXのIle5、Trp9、Asn74、Phe78、Pro115、又はArg135に対応する残基の何れかの他のアミノ酸による置き換えである、少なくとも2つの変異を含む請求項312〜326の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項328】
変異がT.tengcongensisのI5A変異、I5L変異、Y140H変異、又はF78YY140F二重変異に対応する請求項312〜327の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項329】
変異がT.tengcongensisのW9Y変異、W9H変異、W9N変異、N74H変異、N74A変異、P115A変異、R135Q然変異、I5LP115A二重変異、又はW9FN74A二重変異に対応する請求項312〜328の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項330】
対応する野生型H−NOX蛋白が哺乳類蛋白である請求項312〜329の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項331】
対応する野生型H−NOX蛋白がヒト蛋白である請求項330記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項332】
対応する野生型H−NOX蛋白がβ1である請求項331記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項333】
対応する野生型H−NOX蛋白が細菌蛋白である請求項312〜332の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項334】
対応する野生型H−NOX蛋白がT.tengcongensis蛋白である請求項333記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項335】
変異体H−NOX蛋白がT.tengcongensisH−NOXY140H又はH.sapiensβ1I140Yではない請求項312〜334の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項336】
変異体H−NOX蛋白が別の分子又は部分に共有結合している請求項312〜335の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項337】
変異体H−NOX蛋白がポリエチレングリコールに共有結合している請求項336記載の単離されたH−NOX。
【請求項338】
対応する野生型H−NOX蛋白と比較して酸素に関するkoff又はNO反応性を改変する少なくとも1つの変異を含む単離されたH−NOX蛋白であって、変異体H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約0.01〜約200s−1であり、そしてここで変異体H−NOX蛋白のNO反応性はヘモグロビンのものより少なくとも10倍低値であり、そして変異体H−NOX蛋白はT.tengcongensisH−NOXY40L、T.tengcongensisH−NOXF78Y/Y140L、野生型T.tengcongensisH−NOX、又はL.pneumophilia2H−NOXF142Yではない、単離されたH−NOX蛋白。
【請求項339】
変異体H−NOX蛋白が野生型L.pneumophilia2H−NOX、野生型H.sapiensβ1H−NOX、野生型R.norvegicusβ1H−NOX、野生型D.melangasterβ1H−NOX、野生型D.melangasterCG14885−PAH−NOX、野生型C.elegansGCY−35H−NOX、野生型N.punctiformeH−NOX、野生型C.crescentusH−NOX、野生型S.oneidensisH−NOX又は野生型C.acetobutylicumH−NOXではない請求項338記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項340】
変異体H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約0.65s−1以下である請求項338及び339の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項341】
変異体H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約0.21s−1〜約0.65s−1である請求項340記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項342】
変異体H−NOX蛋白のO解離定数が20℃において約1nM〜約1mMである請求項338〜341の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項343】
変異体H−NOX蛋白のO解離定数が20℃において約2nM〜約50μMである請求項338〜342の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項344】
変異体H−NOX蛋白のO解離定数が20℃において約50nM〜約10μMである請求項338〜343の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項345】
変異体H−NOX蛋白のO解離定数が20℃において約100nM〜約1.9μMである請求項338〜344の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項346】
変異体H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものよりも少なくとも100倍低値である請求項338〜345の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項347】
変異体H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものよりも少なくとも1000倍低値である請求項346記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項348】
変異体H−NOX蛋白のNO反応性が20℃で約700s−1未満である請求項338〜347の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項349】
変異体H−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満である請求項338〜348の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項350】
変異体H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約100nM〜約1.9μMであり、そして変異体H−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満である請求項338〜349の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項351】
変異体H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約100nM〜約1.9μMであり、そして変異体H−NOX蛋白のNO反応性が20℃で約700s−1未満である請求項338〜350の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項352】
変異体H−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満であり、そして変異体H−NOX蛋白のNO反応性が20℃で約700s−1未満である請求項338〜351の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項353】
少なくとも1つの遠位ポケット変異を含む請求項338〜352の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項354】
遠位ポケットにはない少なくとも1つの変異を含む請求項338〜353の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項355】
T.tengcongensisH−NOXのIle5、Trp9、Asn74、Pro115、又はArg135又はβ1(1−385)のI145に対応する残基が何れかの他のアミノ酸で置き換えられている少なくとも1つの変異を含む請求項338〜354の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項356】
少なくとも1つの変異がT.tengcongensisH−NOXのIle5、Trp9、Asn74、Pro115、又はArg135又はβ1(1−385)のI145に対応する残基の何れかの他のアミノ酸による置き換えである、少なくとも2つの変異を含む請求項338〜355の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項357】
T.tengcongensisのI5A変異、I5L変異、W9F変異、Y140−F変異、Y140H変異、W9FW140H二重変異、又はF78YY140F二重変異又はβ1のI145Y変異に対応する変異を含む請求項338〜356の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項358】
T.tengcongensisのW9Y変異、W9H変異、W9N変異、N74H変異、N74E変異、N74A変異、P115A変異、R135Q変異、I5LP115A二重変異、N74AY140H二重変異、又はW9FN74A二重変異に対応する変異を含む請求項338〜357の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項359】
対応する野生型H−NOX蛋白が哺乳類蛋白である請求項338〜358の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項360】
対応する野生型H−NOX蛋白がヒト蛋白である請求項359記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項361】
対応する野生型H−NOX蛋白がβ1である請求項360記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項362】
対応する野生型H−NOX蛋白が細菌蛋白である請求項338〜361の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項363】
対応する野生型H−NOX蛋白がT.tengcongensis蛋白である請求項362記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項364】
変異体H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約1.35s−1〜約18s−1である請求項338〜363記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項365】
変異体H−NOX蛋白がT.tengcongensisH−NOXW9F、T.tengcongensisH−NOXY140F、又はH.sapiensβ1H−NOX(1−385)I145Yではない請求項338〜364記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項366】
変異体H−NOX蛋白がT.tengcongensisH−NOXY140H又はH.sapiensβ1I140Yではない請求項338〜365記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項367】
変異体H−NOX蛋白が別の分子又は部分に共有結合している請求項338〜366記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項368】
変異体H−NOX蛋白がポリエチレングリコールに共有結合している請求項367記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項369】
対応する野生型H−NOX蛋白と比較して酸素に関するkoff又はNO反応性を改変する少なくとも1つの変異を含む単離されたH−NOX蛋白であって、変異体H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約0.65s−1以下であり、そして変異体H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものより少なくとも10倍低値である、単離されたH−NOX蛋白。
【請求項370】
変異体H−NOX蛋白がT.tengcongensisH−NOXY40L、T.tengcongensisH−NOXF78Y/Y140L、T.tengcongensisH−NOXW9F、T.tengcongensisH−NOXY140F、野生型T.tengcongensisH−NOX、L.pneumophilia2H−NOXF142Y、野生型L.pneumophilia2H−NOX、H.sapiensβ1H−NOXI140Y、野生型H.sapiensH−NOX、R.norvegicussGCβ1H−NOX(1−385)、R.norvegicussGCβ1H−NOX(1−385)I145Y、R.norvegicussGCβ1H−NOXH105G、R.norvegicussGCβ1H−NOXH105F、R.norvegicussGCβ1H−NOXI145Y、野生型R.norvegicusβ1H−NOX、野生型D.melangasterβ1H−NOX、野生型D.melangasterCG14885−PAH−NOX、野生型C.elegansGCY−35H−NOX、野生型N.punctiformeH−NOX、野生型C.crescentusH−NOX、野生型S.oneidensisH−NOX又は野生型C.acetobutylicumH−NOXではない請求項369の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項371】
変異体H−NOX蛋白の酸素に関するkoffが20℃で約0.21s−1〜約0.65s−1である請求項369及び370の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項372】
変異体H−NOX蛋白のO解離定数が20℃において約100nM〜約1.9μMである請求項369〜371の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項373】
変異体H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものよりも少なくとも100倍低値である請求項369〜372の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項374】
変異体H−NOX蛋白のNO反応性がヘモグロビンのものよりも少なくとも1000倍低値である請求項373記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項375】
変異体H−NOX蛋白のNO反応性が20℃で約700s−1未満である請求項369〜374の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項376】
変異体H−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満である請求項369〜375の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項377】
変異体H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約100nM〜約1.9μMであり、そして変異体H−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満である請求項369〜376の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項378】
変異体H−NOX蛋白のO解離定数が20℃で約100nM〜約1.9μMであり、そして変異体H−NOX蛋白のNO反応性が0.7s−1未満である請求項369〜377の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項379】
変異体H−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度が37℃で約1h−1未満であり、そして変異体H−NOX蛋白のNO反応性が20℃で約700s−1未満である請求項369〜378の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項380】
少なくとも1つの遠位ポケット変異を含む請求項369〜379の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項381】
遠位ポケットにはない少なくとも1つの変異を含む請求項369〜380の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項382】
T.tengcongensisH−NOXのIle5、Asn74、Pro115、又はArg135に対応する残基が何れかの他のアミノ酸で置き換えられている少なくとも1つの変異を含む請求項369〜381の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項383】
少なくとも1つの変異はT.tengcongensisH−NOXのIle5、Trp9、Asn74、Phe78、Pro115、又はArg135に対応する残基の何れかの他のアミノ酸による置き換えである、少なくとも2つの変異を含む請求項369〜382の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項384】
T.tengcongensisH−NOXのI5A変異に対応する変異を含む請求項369〜383の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項385】
T.tengcongensisH−NOXのN74H変異、M74E変異、N74A変異、P115A変異、又はI5L変異に対応する変異を含む請求項369〜384の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項386】
対応する野生型H−NOX蛋白が哺乳類蛋白である請求項369〜385の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項387】
対応する野生型H−NOX蛋白がヒト蛋白である請求項386記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項388】
対応する野生型H−NOX蛋白がβ1である請求項387記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項389】
対応する野生型H−NOX蛋白が細菌蛋白である請求項369〜388の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項390】
対応する野生型H−NOX蛋白がT.tengcongensis蛋白である請求項389記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項391】
変異体H−NOX蛋白がT.tengcongensisH−NOXY140H又はH.sapiensβ1I140Yではない請求項369〜390の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項392】
変異体H−NOX蛋白が別の分子又は部分に共有結合している請求項369〜391の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項393】
変異体H−NOX蛋白がポリエチレングリコールに共有結合している請求項392記載の単離されたH−NOX。
【請求項394】
【数19】

よりなる群から選択される単離されたH−NOX蛋白。
【請求項395】
【数20】

よりなる群から選択される単離されたH−NOX蛋白。
【請求項396】
H−NOX蛋白のO解離定数がHomo sapiensヘモグロビンアルファ
のものの2桁内である請求項279〜395の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項397】
H−NOX蛋白のNO反応性がHomo sapiensヘモグロビンアルファのものより少なくとも10倍低値である請求項279〜396の何れか1項に記載の単離されたH−NOX蛋白。
【請求項398】
請求項279〜397の何れか1項に記載のH−NOX蛋白をコードする組み換え核酸。
【請求項399】
請求項398の核酸を含むベクター。
【請求項400】
請求項398の核酸を含む細胞。
【請求項401】
請求項399のベクターを含む細胞。
【請求項402】
蛋白の産生のために適する条件下において請求項279〜397の何れか1項に記載ののH−NOX蛋白をコードする核酸を含む細胞を培養することを含むH−NOX蛋白の産生方法。
【請求項403】
H−NOX蛋白を精製する工程を更に含む請求項402の方法。

【図1C】図1CはT.tengcongensisH−NOX中の例示される遠位ポケット残基を示すT.tengcongensisH−NOXの三次元構造の図である。図1C〜1Hに示す以下の残基がH−NOX遠位ポケットを含む主要な残基、即ち:Thr4、Ile5、Thr8、Trp9、Trp67、Asn74、Ile75、Phe78、Phe82、Tyr140、及びLeu144であり、これらはヘリックスA、D、E及びG内に含有される。図1C〜1HはPYMOL(DeLano Scientific,LLP)を用いて作成した。
【図1H】図1CはT.tengcongensisH−NOX中の例示される遠位ポケット残基を示すT.tengcongensisH−NOXの三次元構造の図である。図1C〜1Hに示す以下の残基がH−NOX遠位ポケットを含む主要な残基、即ち:Thr4、Ile5、Thr8、Trp9、Trp67、Asn74、Ile75、Phe78、Phe82、Tyr140、及びLeu144であり、これらはヘリックスA、D、E及びG内に含有される。図1C〜1HはPYMOL(DeLano Scientific,LLP)を用いて作成した。
【図2】図2はO及びNOに結合するか、結合することが予測される以下のH−NOX蛋白の配列アライメント、即ち:主要部(配列番号1);Ce.gcy−31(配列番号2);Ce.gcy−33(配列番号3);Ce.gcy−35(配列番号4);Dm.CG14885HNOX(配列番号5);Dm.CG4154HNOX(配列番号6);Ms.Beta3HNOX(配列番号7):TtHNOX(配列番号8);及びCaHNOX(配列番号9)である。これらのH−NOX蛋白はT.tengcongensisH−NOXのY140に相当する位置においてチロシンを有することから、O及びNOに結合すると予測される。図2中で使用するアミノ酸のナンバリングは残基番号1としてH−NOXドメイン又は完全長蛋白中の第1のアミノ酸から開始する。このアライメントはプログラムMegAlign中のデフォルトパラメーターを用いて形成した。図2中で使用した略記法は図4A〜4Dに関して以下に記載する通りである。
【図3A】図3A〜3DはO及びNOに結合するか、結合することが予測される以下のH−NOX蛋白の配列アライメント、即ち:主要部(配列番号10);Dm.sGCベータ1蛋白(配列番号11);sGCベータ1蛋白(配列番号12);hs.sGCベータ1蛋白(配列番号13);hs.ベータ2蛋白(配列番号14);Ms.sGCベータ1蛋白(配列番号15);Mm.sGCベータ1蛋白(配列番号16);Np.ベータ1HD様(配列番号17);Tr.sGCベータ1蛋白(配列番号18);Anopheles_gambiae|XP_310919(配列番号19);Apis_mellifera|NP_001011632(配列番号20);Bt.sGCベータ1蛋白(配列番号21);Chlamydomonas_reinhardtii|AAR02(配列番号22);Oryzias_curvinotus|BAC98396(配列番号23);Oryzias_latipes|BAA76691(配列番号24);Strongylocentrotus_purpuratus|X(配列番号25);及びSus scrofaベータ1|NP_001018042+(配列番号26)である。アライメントはプログラムMegAlign中のデフォルトパラメーターを用いて形成した。図3A〜3D中で使用した略記法は図4に関して以下に記載する通りである。
【図3B】図3A〜3DはO及びNOに結合するか、結合することが予測される以下のH−NOX蛋白の配列アライメント、即ち:主要部(配列番号10);Dm.sGCベータ1蛋白(配列番号11);sGCベータ1蛋白(配列番号12);hs.sGCベータ1蛋白(配列番号13);hs.ベータ2蛋白(配列番号14);Ms.sGCベータ1蛋白(配列番号15);Mm.sGCベータ1蛋白(配列番号16);Np.ベータ1HD様(配列番号17);Tr.sGCベータ1蛋白(配列番号18);Anopheles_gambiae|XP_310919(配列番号19);Apis_mellifera|NP_001011632(配列番号20);Bt.sGCベータ1蛋白(配列番号21);Chlamydomonas_reinhardtii|AAR02(配列番号22);Oryzias_curvinotus|BAC98396(配列番号23);Oryzias_latipes|BAA76691(配列番号24);Strongylocentrotus_purpuratus|X(配列番号25);及びSus scrofaベータ1|NP_001018042+(配列番号26)である。アライメントはプログラムMegAlign中のデフォルトパラメーターを用いて形成した。図3A〜3D中で使用した略記法は図4に関して以下に記載する通りである。
【図3C】図3A〜3DはO及びNOに結合するか、結合することが予測される以下のH−NOX蛋白の配列アライメント、即ち:主要部(配列番号10);Dm.sGCベータ1蛋白(配列番号11);sGCベータ1蛋白(配列番号12);hs.sGCベータ1蛋白(配列番号13);hs.ベータ2蛋白(配列番号14);Ms.sGCベータ1蛋白(配列番号15);Mm.sGCベータ1蛋白(配列番号16);Np.ベータ1HD様(配列番号17);Tr.sGCベータ1蛋白(配列番号18);Anopheles_gambiae|XP_310919(配列番号19);Apis_mellifera|NP_001011632(配列番号20);Bt.sGCベータ1蛋白(配列番号21);Chlamydomonas_reinhardtii|AAR02(配列番号22);Oryzias_curvinotus|BAC98396(配列番号23);Oryzias_latipes|BAA76691(配列番号24);Strongylocentrotus_purpuratus|X(配列番号25);及びSus scrofaベータ1|NP_001018042+(配列番号26)である。アライメントはプログラムMegAlign中のデフォルトパラメーターを用いて形成した。図3A〜3D中で使用した略記法は図4に関して以下に記載する通りである。
【図3D】図3A〜3DはO及びNOに結合するか、結合することが予測される以下のH−NOX蛋白の配列アライメント、即ち:主要部(配列番号10);Dm.sGCベータ1蛋白(配列番号11);sGCベータ1蛋白(配列番号12);hs.sGCベータ1蛋白(配列番号13);hs.ベータ2蛋白(配列番号14);Ms.sGCベータ1蛋白(配列番号15);Mm.sGCベータ1蛋白(配列番号16);Np.ベータ1HD様(配列番号17);Tr.sGCベータ1蛋白(配列番号18);Anopheles_gambiae|XP_310919(配列番号19);Apis_mellifera|NP_001011632(配列番号20);Bt.sGCベータ1蛋白(配列番号21);Chlamydomonas_reinhardtii|AAR02(配列番号22);Oryzias_curvinotus|BAC98396(配列番号23);Oryzias_latipes|BAA76691(配列番号24);Strongylocentrotus_purpuratus|X(配列番号25);及びSus scrofaベータ1|NP_001018042+(配列番号26)である。アライメントはプログラムMegAlign中のデフォルトパラメーターを用いて形成した。図3A〜3D中で使用した略記法は図4に関して以下に記載する通りである。
【図4A】図4A〜4Dは図2及び3A〜3DのH−NOX蛋白の配列アライメント、即ち:主要部(配列番号10);Dm.sGCベータ1蛋白(配列番号11);sGCベータ1蛋白(配列番号12);hs.sGCベータ1蛋白(配列番号13);hs.ベータ2蛋白(配列番号14);Mm.sGCベータ1蛋白(配列番号16);Np.sGCベータ1HD様(配列番号17);Tr.sGCベータ1蛋白(配列番号18);Chlamydomonas_reinhardtii|AAR02(配列番号22);Oryzias_curvinotus|BAC98396(配列番号23);Strongylocentrotus_purpuratus|X(配列番号25);Sus scrofaベータ1|NP_001018042(配列番号26);gcy−31(配列番号2);gcy−33(配列番号3);Ca.HNOX(配列番号9);T.ベータ1HD様(配列番号8);Ms.sGcベータ3蛋白(配列番号7):CG14885(配列番号5);及びDm.sGC短鎖変異体(配列番号6)である。アライメントはプログラムMegAlign中のデフォルトパラメーターを用いて形成した。図2〜4D中、「Dm.sGCベータ1蛋白」とはDrosophila melanogasterβ1H−NOXを指し;「sGCベータ1蛋白」とはRattus norvegicusβ1H−NOXを指し;「hs.sGCベータ1蛋白」とはHomo sapiensβ1H−NOXを指し;「hs.ベータ2蛋白」とはHomo sapiensβ2H−NOXを指し;「Mm.sGCベータ1蛋白」とはMus musculusβ1H−NOXを指し;「Np.ベータ1HD様」とはNostoc punctiformeH−NOXを指し;「Tr.sGCベータ1蛋白」とはTakifugu rubripesβ1H−NOXを指し;「Anopheles_gambiae|XP_310919」とはAnopheles gambiaeβ1H−NOXを指し;「Apis_mellifera|NP_001011632」とはApis melliferaβ1H−NOXを指し;「Bt.sGCベータ1蛋白」とはBos taurusβ1H−NOXを指し;「Chlamydomonas_reinhardtii|AAR02」とはChlamydomonas reinhardtiiβ1H−NOXを指し;「Oryzias_curvinotus|BAC98396」とはOryzias curvinotusβ1H−NOXを指し;「Oryzias_latipes|BAA76691」とはOryzias latipesβ1H−NOXを指し;「Strongylocentrotus_purpuratus|X」とはStrongylocentrotus purpuratusβ1H−NOXを指し;「Sus scrofaベータ1|NP_001018042+」とはSus scrofaβ1H−NOXを指し;「gcy−31a」とはCaenorhabditis elegansGcy−31aH−NOXを指し;「gcy−33」とはCaenorhabditis elegansGcy−33H−NOXを指し;「gcy−35」とはCaenorhabditis elegansGcy−35H−NOXを指し;「Ca.HNOX」とはClostridium acetobutylicumH−NOXを指し;「T.ベータ1HD様」とはThermoanaerobacter tengcongensisH−NOXを指し;「Ms.sGcベータ3蛋白」とはManduca sextaβ3H−NOXを指し;「CG14885」とはDrosophila melanogasterCG14885H−NOXを指し;「Dm.sGC短鎖変異体」とはDrosophila melanogasterGcy−88−E−SH−NOXを指し;そして「Dm.CG4154HNOX」とはDrosophila melanogasterCG4154H−NOXを指す。
【図4B】図4A〜4Dは図2及び3A〜3DのH−NOX蛋白の配列アライメント、即ち:主要部(配列番号10);Dm.sGCベータ1蛋白(配列番号11);sGCベータ1蛋白(配列番号12);hs.sGCベータ1蛋白(配列番号13);hs.ベータ2蛋白(配列番号14);Mm.sGCベータ1蛋白(配列番号16);Np.sGCベータ1HD様(配列番号17);Tr.sGCベータ1蛋白(配列番号18);Chlamydomonas_reinhardtii|AAR02(配列番号22);Oryzias_curvinotus|BAC98396(配列番号23);Strongylocentrotus_purpuratus|X(配列番号25);Sus scrofaベータ1|NP_001018042(配列番号26);gcy−31(配列番号2);gcy−33(配列番号3);Ca.HNOX(配列番号9);T.ベータ1HD様(配列番号8);Ms.sGcベータ3蛋白(配列番号7):CG14885(配列番号5);及びDm.sGC短鎖変異体(配列番号6)である。アライメントはプログラムMegAlign中のデフォルトパラメーターを用いて形成した。図2〜4D中、「Dm.sGCベータ1蛋白」とはDrosophila melanogasterβ1H−NOXを指し;「sGCベータ1蛋白」とはRattus norvegicusβ1H−NOXを指し;「hs.sGCベータ1蛋白」とはHomo sapiensβ1H−NOXを指し;「hs.ベータ2蛋白」とはHomo sapiensβ2H−NOXを指し;「Mm.sGCベータ1蛋白」とはMus musculusβ1H−NOXを指し;「Np.ベータ1HD様」とはNostoc punctiformeH−NOXを指し;「Tr.sGCベータ1蛋白」とはTakifugu rubripesβ1H−NOXを指し;「Anopheles_gambiae|XP_310919」とはAnopheles gambiaeβ1H−NOXを指し;「Apis_mellifera|NP_001011632」とはApis melliferaβ1H−NOXを指し;「Bt.sGCベータ1蛋白」とはBos taurusβ1H−NOXを指し;「Chlamydomonas_reinhardtii|AAR02」とはChlamydomonas reinhardtiiβ1H−NOXを指し;「Oryzias_curvinotus|BAC98396」とはOryzias curvinotusβ1H−NOXを指し;「Oryzias_latipes|BAA76691」とはOryzias latipesβ1H−NOXを指し;「Strongylocentrotus_purpuratus|X」とはStrongylocentrotus purpuratusβ1H−NOXを指し;「Sus scrofaベータ1|NP_001018042+」とはSus scrofaβ1H−NOXを指し;「gcy−31a」とはCaenorhabditis elegansGcy−31aH−NOXを指し;「gcy−33」とはCaenorhabditis elegansGcy−33H−NOXを指し;「gcy−35」とはCaenorhabditis elegansGcy−35H−NOXを指し;「Ca.HNOX」とはClostridium acetobutylicumH−NOXを指し;「T.ベータ1HD様」とはThermoanaerobacter tengcongensisH−NOXを指し;「Ms.sGcベータ3蛋白」とはManduca sextaβ3H−NOXを指し;「CG14885」とはDrosophila melanogasterCG14885H−NOXを指し;「Dm.sGC短鎖変異体」とはDrosophila melanogasterGcy−88−E−SH−NOXを指し;そして「Dm.CG4154HNOX」とはDrosophila melanogasterCG4154H−NOXを指す。
【図4C】図4A〜4Dは図2及び3A〜3DのH−NOX蛋白の配列アライメント、即ち:主要部(配列番号10);Dm.sGCベータ1蛋白(配列番号11);sGCベータ1蛋白(配列番号12);hs.sGCベータ1蛋白(配列番号13);hs.ベータ2蛋白(配列番号14);Mm.sGCベータ1蛋白(配列番号16);Np.sGCベータ1HD様(配列番号17);Tr.sGCベータ1蛋白(配列番号18);Chlamydomonas_reinhardtii|AAR02(配列番号22);Oryzias_curvinotus|BAC98396(配列番号23);Strongylocentrotus_purpuratus|X(配列番号25);Sus scrofaベータ1|NP_001018042(配列番号26);gcy−31(配列番号2);gcy−33(配列番号3);Ca.HNOX(配列番号9);T.ベータ1HD様(配列番号8);Ms.sGcベータ3蛋白(配列番号7):CG14885(配列番号5);及びDm.sGC短鎖変異体(配列番号6)である。アライメントはプログラムMegAlign中のデフォルトパラメーターを用いて形成した。図2〜4D中、「Dm.sGCベータ1蛋白」とはDrosophila melanogasterβ1H−NOXを指し;「sGCベータ1蛋白」とはRattus norvegicusβ1H−NOXを指し;「hs.sGCベータ1蛋白」とはHomo sapiensβ1H−NOXを指し;「hs.ベータ2蛋白」とはHomo sapiensβ2H−NOXを指し;「Mm.sGCベータ1蛋白」とはMus musculusβ1H−NOXを指し;「Np.ベータ1HD様」とはNostoc punctiformeH−NOXを指し;「Tr.sGCベータ1蛋白」とはTakifugu rubripesβ1H−NOXを指し;「Anopheles_gambiae|XP_310919」とはAnopheles gambiaeβ1H−NOXを指し;「Apis_mellifera|NP_001011632」とはApis melliferaβ1H−NOXを指し;「Bt.sGCベータ1蛋白」とはBos taurusβ1H−NOXを指し;「Chlamydomonas_reinhardtii|AAR02」とはChlamydomonas reinhardtiiβ1H−NOXを指し;「Oryzias_curvinotus|BAC98396」とはOryzias curvinotusβ1H−NOXを指し;「Oryzias_latipes|BAA76691」とはOryzias latipesβ1H−NOXを指し;「Strongylocentrotus_purpuratus|X」とはStrongylocentrotus purpuratusβ1H−NOXを指し;「Sus scrofaベータ1|NP_001018042+」とはSus scrofaβ1H−NOXを指し;「gcy−31a」とはCaenorhabditis elegansGcy−31aH−NOXを指し;「gcy−33」とはCaenorhabditis elegansGcy−33H−NOXを指し;「gcy−35」とはCaenorhabditis elegansGcy−35H−NOXを指し;「Ca.HNOX」とはClostridium acetobutylicumH−NOXを指し;「T.ベータ1HD様」とはThermoanaerobacter tengcongensisH−NOXを指し;「Ms.sGcベータ3蛋白」とはManduca sextaβ3H−NOXを指し;「CG14885」とはDrosophila melanogasterCG14885H−NOXを指し;「Dm.sGC短鎖変異体」とはDrosophila melanogasterGcy−88−E−SH−NOXを指し;そして「Dm.CG4154HNOX」とはDrosophila melanogasterCG4154H−NOXを指す。
【図4D】図4A〜4Dは図2及び3A〜3DのH−NOX蛋白の配列アライメント、即ち:主要部(配列番号10);Dm.sGCベータ1蛋白(配列番号11);sGCベータ1蛋白(配列番号12);hs.sGCベータ1蛋白(配列番号13);hs.ベータ2蛋白(配列番号14);Mm.sGCベータ1蛋白(配列番号16);Np.sGCベータ1HD様(配列番号17);Tr.sGCベータ1蛋白(配列番号18);Chlamydomonas_reinhardtii|AAR02(配列番号22);Oryzias_curvinotus|BAC98396(配列番号23);Strongylocentrotus_purpuratus|X(配列番号25);Sus scrofaベータ1|NP_001018042(配列番号26);gcy−31(配列番号2);gcy−33(配列番号3);Ca.HNOX(配列番号9);T.ベータ1HD様(配列番号8);Ms.sGcベータ3蛋白(配列番号7):CG14885(配列番号5);及びDm.sGC短鎖変異体(配列番号6)である。アライメントはプログラムMegAlign中のデフォルトパラメーターを用いて形成した。図2〜4D中、「Dm.sGCベータ1蛋白」とはDrosophila melanogasterβ1H−NOXを指し;「sGCベータ1蛋白」とはRattus norvegicusβ1H−NOXを指し;「hs.sGCベータ1蛋白」とはHomo sapiensβ1H−NOXを指し;「hs.ベータ2蛋白」とはHomo sapiensβ2H−NOXを指し;「Mm.sGCベータ1蛋白」とはMus musculusβ1H−NOXを指し;「Np.ベータ1HD様」とはNostoc punctiformeH−NOXを指し;「Tr.sGCベータ1蛋白」とはTakifugu rubripesβ1H−NOXを指し;「Anopheles_gambiae|XP_310919」とはAnopheles gambiaeβ1H−NOXを指し;「Apis_mellifera|NP_001011632」とはApis melliferaβ1H−NOXを指し;「Bt.sGCベータ1蛋白」とはBos taurusβ1H−NOXを指し;「Chlamydomonas_reinhardtii|AAR02」とはChlamydomonas reinhardtiiβ1H−NOXを指し;「Oryzias_curvinotus|BAC98396」とはOryzias curvinotusβ1H−NOXを指し;「Oryzias_latipes|BAA76691」とはOryzias latipesβ1H−NOXを指し;「Strongylocentrotus_purpuratus|X」とはStrongylocentrotus purpuratusβ1H−NOXを指し;「Sus scrofaベータ1|NP_001018042+」とはSus scrofaβ1H−NOXを指し;「gcy−31a」とはCaenorhabditis elegansGcy−31aH−NOXを指し;「gcy−33」とはCaenorhabditis elegansGcy−33H−NOXを指し;「gcy−35」とはCaenorhabditis elegansGcy−35H−NOXを指し;「Ca.HNOX」とはClostridium acetobutylicumH−NOXを指し;「T.ベータ1HD様」とはThermoanaerobacter tengcongensisH−NOXを指し;「Ms.sGcベータ3蛋白」とはManduca sextaβ3H−NOXを指し;「CG14885」とはDrosophila melanogasterCG14885H−NOXを指し;「Dm.sGC短鎖変異体」とはDrosophila melanogasterGcy−88−E−SH−NOXを指し;そして「Dm.CG4154HNOX」とはDrosophila melanogasterCG4154H−NOXを指す。
【図5A】図5AはH−NOXファミリーのメンバーの配列アライメントである。配列のナンバリングはT.tengcongensisH−NOXのものである。非変異の残基は「V」で示し、極めて高度に保存された残基は「s」で示す。T.tengcongensisH−NOXのY140は「H」で示す。他のH−NOX蛋白におけるFeII−O複合体を安定化させる場合がある予測される遠位ポケットチロシン残基は、Thermoanaerobacter tengcongensisに従ってナンバリングすれば、Caenorhabditis elegansGCY−35については70位;Drosophila melanogasterCG14885−PAについては140位;Caenorhabditis elegansGCY−35については138位;Clostridium acetobutylicumに関しては140位である。アクセッション番号は、Homo sapiensβ1[gi:2746083](配列番号28)、Rattus norvegicusβ1[gi:27127318](配列番号29)、Drosophila melanogasterβ1[gi:861203](配列番号30)、Drosophila melanogasterCG1488−PA[gi:23171476](配列番号31)、Caenorhabditis elegansGCY−35[gi:52782806](配列番号32)、Nostoc punctiforme[gi:23129606](配列番号33)、Caulobacter crescentus[gi:16127222](配列番号34)、Shewanalla oneidensis[gi:24373702](配列番号35)、Legionella pneumophilia(ORF2)[CUCGC_272624](配列番号36)、Clostridium acetobutylicum[gi:15896488](配列番号37)、及びThermoanaerobacter tengcongensis[gi:20807169](配列番号38)である。アライメントはプログラムMegAlign、Lasergene,DNA Starを用いて形成した(www.dnastar.com/products/megalign.php参照)。
【図5B】図5Bは例示されるH−NOXドメインの配列アライメントである。二次構造のアノテーション及びアライメント上端上のナンバリングはT.tengcongensisのH−NOXドメインに相当する。αへリックスはらせんにより、そしてβ鎖は矢印で示す。遠位ポケットはαへリックス、αA、αD、αE及びαGにより定義される。Pubmed/NCBIアクセッション番号は以下の通り、即ち:Ther_tengcongensis gi|20807169|(配列番号39)、Clos_acetobutylicum gi|15896488|(配列番号40)、Clos_tetaniGI:75543266(配列番号41)、Desu_desulfuricans gi|23475919|(配列番号42|、Vibr_vulnificus gi|27361734|(配列番号43)、Caul_crescentus gi|16127222|(配列番号44)、Micr_degradans gi|23027521|(配列番号45)、Vibr_cholerae gi|15601476|(配列番号46)、Shew_oneidensis gi|24373702|(配列番号47)、Rat_ベータ1_sGC gi|27127318|(配列番号48)、Rat_ベータ2_sGC gi|21956635|(配列番号49)、Nost_punctiforme gi|23129606|(配列番号50)、及びNost_sp.gi|17229770|(配列番号51)である。コンセンサス配列は図5Bの下に示す(配列番号52)。アライメントはプログラムMULTALIN(Corpet,F.(1988)Nucleic Acids Res.16:10881−10980)を用いて形成し、そして図5BはプログラムESPRIPT(Gouet,P.等(1999)Bioinformatics15:305−308)を用いて作成した。
【図6】図6A及び6BはT.tengcongensisH−NOXドメインのヘム環境の三次元構造の図である。図6A及び6BはPellicena,P.等(2004年8月31日)、“Crystal Structure of An Oxygen−Binding Heme Domain Related to Soluble Guanylate Cyclase,”Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(35):12854−12859による。
【図7】図7A〜7FはTtH−NOX(図7A)、TtY140L(図7B)、TtW9F−Y140L(図7C)、TtF78Y−Y140L(図7D)、L2H−NOX及びL2F142Y(図7E)、及びβ1(1−385)及びβ1(1−385)I145Y(図7F)に関する空気への曝露の前後(FeII−O複合体;各グラフの下端の線)の嫌気的還元後(FeII未ライゲーション複合体;各グラフの上端の線)のH−NOX蛋白のUV可視光スペクトル測定のグラフである。L2F142Y及びβ1(1−385)I145YのFeII及びFeII−O複合体の他に、還元及び空気への曝露後の野生型L2H−NOX及びβ1−(1−385)H−NOXのスペクトルをそれぞれ図7E及び7Fの中央の線に示すことにより、これらの蛋白が遠位ポケットチロシンの添加前にはOに結合しないことを明らかにしている。各パネルの上左端に記載した2又は3つの数字はグラフ中の線のピークに関する波長を示す。数は相当する線がグラフ中に垂直に現れる順序で垂直に記載している。例えば、図7Aにおける430nmの値はグラフにおける上端線(FeII未ライゲーション複合体を示す)に対する波長のピークを示し、そして図7Aにおける416nmの値はグラフにおける下端線(FeII−O複合体を示す)に対する波長のピークを示す。空気の存在下における波長のシフトは蛋白がOに結合することを示す。空気存在下における500〜600nmの二重ピークの形成もまたO結合を示す。図7A〜7FはBoon,E.M.等(2005)、“Molecular Basis For NO Selectivity in Soluble Guanylate Cyclase,”Nature Chem.Biol.1:53−59による。
【図8A】図8A〜8DDには、H−NOX蛋白をコードする例示的な核酸のポリヌクレオチド配列と、対応するH−NOX蛋白のアミノ酸配列を含めた(配列番号53〜162)。
【図8B】図8A〜8DDには、H−NOX蛋白をコードする例示的な核酸のポリヌクレオチド配列と、対応するH−NOX蛋白のアミノ酸配列を含めた(配列番号53〜162)。
【図8C】図8A〜8DDには、H−NOX蛋白をコードする例示的な核酸のポリヌクレオチド配列と、対応するH−NOX蛋白のアミノ酸配列を含めた(配列番号53〜162)。
【図8D】図8A〜8DDには、H−NOX蛋白をコードする例示的な核酸のポリヌクレオチド配列と、対応するH−NOX蛋白のアミノ酸配列を含めた(配列番号53〜162)。
【図8E】図8A〜8DDには、H−NOX蛋白をコードする例示的な核酸のポリヌクレオチド配列と、対応するH−NOX蛋白のアミノ酸配列を含めた(配列番号53〜162)。
【図8F】図8A〜8DDには、H−NOX蛋白をコードする例示的な核酸のポリヌクレオチド配列と、対応するH−NOX蛋白のアミノ酸配列を含めた(配列番号53〜162)。
【図8G】図8A〜8DDには、H−NOX蛋白をコードする例示的な核酸のポリヌクレオチド配列と、対応するH−NOX蛋白のアミノ酸配列を含めた(配列番号53〜162)。
【図8H】図8A〜8DDには、H−NOX蛋白をコードする例示的な核酸のポリヌクレオチド配列と、対応するH−NOX蛋白のアミノ酸配列を含めた(配列番号53〜162)。
【図8I】図8A〜8DDには、H−NOX蛋白をコードする例示的な核酸のポリヌクレオチド配列と、対応するH−NOX蛋白のアミノ酸配列を含めた(配列番号53〜162)。
【図8J】図8A〜8DDには、H−NOX蛋白をコードする例示的な核酸のポリヌクレオチド配列と、対応するH−NOX蛋白のアミノ酸配列を含めた(配列番号53〜162)。
【図8K】図8A〜8DDには、H−NOX蛋白をコードする例示的な核酸のポリヌクレオチド配列と、対応するH−NOX蛋白のアミノ酸配列を含めた(配列番号53〜162)。
【図8L】図8A〜8DDには、H−NOX蛋白をコードする例示的な核酸のポリヌクレオチド配列と、対応するH−NOX蛋白のアミノ酸配列を含めた(配列番号53〜162)。
【図8M】図8A〜8DDには、H−NOX蛋白をコードする例示的な核酸のポリヌクレオチド配列と、対応するH−NOX蛋白のアミノ酸配列を含めた(配列番号53〜162)。
【図8N】図8A〜8DDには、H−NOX蛋白をコードする例示的な核酸のポリヌクレオチド配列と、対応するH−NOX蛋白のアミノ酸配列を含めた(配列番号53〜162)。
【図8O】図8A〜8DDには、H−NOX蛋白をコードする例示的な核酸のポリヌクレオチド配列と、対応するH−NOX蛋白のアミノ酸配列を含めた(配列番号53〜162)。
【図8P】図8A〜8DDには、H−NOX蛋白をコードする例示的な核酸のポリヌクレオチド配列と、対応するH−NOX蛋白のアミノ酸配列を含めた(配列番号53〜162)。
【図8Q】図8A〜8DDには、H−NOX蛋白をコードする例示的な核酸のポリヌクレオチド配列と、対応するH−NOX蛋白のアミノ酸配列を含めた(配列番号53〜162)。
【図8R】図8A〜8DDには、H−NOX蛋白をコードする例示的な核酸のポリヌクレオチド配列と、対応するH−NOX蛋白のアミノ酸配列を含めた(配列番号53〜162)。
【図8S】図8A〜8DDには、H−NOX蛋白をコードする例示的な核酸のポリヌクレオチド配列と、対応するH−NOX蛋白のアミノ酸配列を含めた(配列番号53〜162)。
【図8T】図8A〜8DDには、H−NOX蛋白をコードする例示的な核酸のポリヌクレオチド配列と、対応するH−NOX蛋白のアミノ酸配列を含めた(配列番号53〜162)。
【図8U】図8A〜8DDには、H−NOX蛋白をコードする例示的な核酸のポリヌクレオチド配列と、対応するH−NOX蛋白のアミノ酸配列を含めた(配列番号53〜162)。
【図8V】図8A〜8DDには、H−NOX蛋白をコードする例示的な核酸のポリヌクレオチド配列と、対応するH−NOX蛋白のアミノ酸配列を含めた(配列番号53〜162)。
【図8W】図8A〜8DDには、H−NOX蛋白をコードする例示的な核酸のポリヌクレオチド配列と、対応するH−NOX蛋白のアミノ酸配列を含めた(配列番号53〜162)。
【図8X】図8A〜8DDには、H−NOX蛋白をコードする例示的な核酸のポリヌクレオチド配列と、対応するH−NOX蛋白のアミノ酸配列を含めた(配列番号53〜162)。
【図8Y】図8A〜8DDには、H−NOX蛋白をコードする例示的な核酸のポリヌクレオチド配列と、対応するH−NOX蛋白のアミノ酸配列を含めた(配列番号53〜162)。
【図8Z】図8A〜8DDには、H−NOX蛋白をコードする例示的な核酸のポリヌクレオチド配列と、対応するH−NOX蛋白のアミノ酸配列を含めた(配列番号53〜162)。
【図8AA】図8A〜8DDには、H−NOX蛋白をコードする例示的な核酸のポリヌクレオチド配列と、対応するH−NOX蛋白のアミノ酸配列を含めた(配列番号53〜162)。
【図8BB】図8A〜8DDには、H−NOX蛋白をコードする例示的な核酸のポリヌクレオチド配列と、対応するH−NOX蛋白のアミノ酸配列を含めた(配列番号53〜162)。
【図8CC】図8A〜8DDには、H−NOX蛋白をコードする例示的な核酸のポリヌクレオチド配列と、対応するH−NOX蛋白のアミノ酸配列を含めた(配列番号53〜162)。
【図8DD】図8A〜8DDには、H−NOX蛋白をコードする例示的な核酸のポリヌクレオチド配列と、対応するH−NOX蛋白のアミノ酸配列を含めた(配列番号53〜162)。
【発明を実施するための形態】
【0055】
(発明の詳細な説明)
H−NOX蛋白がヘモグロビンよりもはるかに低値のNO反応性を有するという意外な発見に部分的には基づいている。この固有の低NO反応性(及び高いNO安定性)は、内因性NOによるH−NOX蛋白の不活性化の確率がより低値であり、そしてH−NOX蛋白による内因性NOの捕獲の確率がより低値であるという理由から、野生型及び変異体のH−NOX蛋白を血液代替物として望ましいものにしている。重要な点は、一部のH−NOX蛋白における遠位ポケットチロシンの存在(Pellicena,P.等(2004年8月31日)、“Crystal Structure of An Oxygen−Binding Heme Domain Related to Soluble Guanylate Cyclase,”Proc Natl.Acad Sci USA 101(35):12854−12859)は望ましくない高値のNO反応性を示唆しており、血液代替物としての使用を禁忌としている。例えば類推すれば、構造的に類似の遠位ポケットチロシンを有するMycobacterium tuberculosisのヘモグロビン蛋白はNOと極めて急速に反応し、そして感染宿主により生成された防御性NOを効果的に捕獲してこれを回避するためにMycobacteriumにより使用される(Ouellet,H.等(2002年4月30日)、“Trancated Hemoglobin HbN Protects Mycobacterium Bovis From Nitric Oxide,”Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99(9):5902−5907)。しかしながら、本発明者等は意外にも、H−NOX蛋白は実際には、血液代替物としてのその使用を可能にするような、ヘモグロビンのものよりも遙かに低値のNO反応性を有することを発見した。
【0056】
更に又NOには結合するがOには結合しないH−NOX蛋白が単一のアミノ酸変異の導入によりNOとOの両方に結合するH−NOX蛋白に変換され得ることを意外にも発見した。即ち、OとNOに対するH−NOX蛋白の親和性及びOとNOリガンドの間で判別を行うH−NOX蛋白の能力はアミノ酸変異1つ以上の導入により改変することができ、これによりH−NOX蛋白を所望の親和性でOとNOに結合するように適応させることができる。O及び/又はNOに対する親和性をさらに改変するために追加的な変異を導入できる。従ってH−NOX蛋白ファミリーはO送達のために向上した、又は最適な速度論的及び熱力学的な特性を示すように操作することができる。例えば、種々の臨床的及び工業的な用途に対するH−NOX蛋白の有用性を向上させるようにO結合に関する解離定数及び/又はオフ速度が改変された変異体H−NOX蛋白が形成されている。Oに結合してこれを送達するH−NOX蛋白の能力は、現在のO担体の中心的な難点に着目してこれを克服する治療の道筋である。従って、本発明は酸素の送達のための蛋白、組成物、キット及び方法を提供する。
【0057】
送達のためにH−NOX蛋白を使用することの利点は多い。外傷及び手術の後の輸血の基本的役割はOの送達である。理想的な血液代替物は従来の血液の課題であるウィルス汚染、血液型分類の必要性、限定されたシェルフライフ、及び限定された利用性を回避する。ヘモグロビン系の血液代替物の主要な制約事項はOに対する高い親和性及びそれらのNOとの反応傾向である。上記した通り極めて低レベルのNOの破壊であっても血管及び臓器の緊張静止状態に対して重篤な作用をもたらす場合があり、高血圧及び胃腸窮迫をもたらす。更に又、NOとの反応のプロセスにおいて、ヘモグロビンは臨床的に該当する時間枠においてOを送達するその能力を喪失する。分子内又は分子間交差結合を包含する第1世代のヘモグロビン系酸素担体(HBOC)の毒性を最小限にするための種々の試みがなされてきた(“Blood Substitutes,”R.Winslow編、Academic Press,2006)。これらの修飾はヘモグロビンの浸出に関連する高度な毒性の問題点の一部を克服しているが、高いNO反応性に起因する酸素結合の破壊はなお残っている。これらの第2世代のHBOCは低減された酸素親和性を示し、p50値は赤血球のp50値に接近しているが、なお、臨床治験においては功を奏していない。Winslow等により提案された別の仮説は、適切な粘度及びコロイド状の浸透圧を有する低p50HBOCは高p50HBOCよりも無細胞酸素送達のためにより適切であるとしている(Tsai,A.G.等(2003)、“Tarheted O2 Delivery by low−P50 hemoglobin:A New Basis for O Therapeutics,”Am.J.Physiol.Heart Circ.Physiol.285:H1411−H1419;Winslow(2007),“Red Cell Substitutes,”Seminars in Hematology44:51−59)。そのようなHBOCのNO反応性が臨床治験において問題となるかどうかは今後判明する。最小限のNO反応性でOに結合してこれを送達するようにH−NOX蛋白を操作することは、H−NOX蛋白がNOを捕獲することなく、そしてNOによりO担体として不活性化されることなくOを送達する血液代替物において使用するための新しい血液ガスO担体を提供するものである。このようなH−NOX蛋白、組成物、キット及び方法を本明細書において更に記載する。
【0058】
H−NOX蛋白
H−NOX蛋白ファミリーの概説
特段の記載が無い限り、何れの野生型又は変異体のH−NOX蛋白も本明細書に記載する組成物、キット及び方法において使用できる。本明細書においては、「H−NOX蛋白」とはH−NOXドメインを有する蛋白を意味する(Heme−Nitric−oxide及びOXygen結合ドメインにちなんで命名)。H−NOX蛋白はH−NOXドメイン以外に他のドメイン1つ以上を含有してもしなくてもよい。H−NOX蛋白はヘモ蛋白の高度に保存された十分特性化されたファミリーのメンバーである(Iyer,L.M.等(2003年2月3日)、“Ancient Conserved Domains Shared by Animal Soluble Guanylyl Cyclases And Bacterial Signaling Proteins,”BMG Genomics4(1):5;Karow,D.S.等(2004年8月10日)、“Spectroscopic Characterization of the Soluble Guanylate Cyclase−Like Heme Domains From Vibrio Cholerae And Thermoanaerobacter Tengcongensis,”Biochemistry43(31):10203−10211;Boon,E.M.等(2005)、“Molecular Basis For NO Selectivity in Soluble Guanylate Cyclase,”Nature Chem.Biol.1:53−59;Boon,E.M.等(2005年10月)、“Ligand Discrimination in Soluble Guanylate Cyclase and the H−NOX Family of Heme Sensor Protein,”Curr.Opin.Chem.Biol.9(5):441−446;Boon,E.M.等(2005)、“Ligand Specificity of H−NOX Domains:From sGC to Bacterial NO Sensors,”J.Inorg.Biochem.99(4):892−902))。H−NOX蛋白は又、Pfam07700蛋白又はHNOB蛋白とも称される(Pfam−蛋白ドメインファミリーアライメント及びHidden Markov Modelのデータベース、Copyright(C)1996−2006The Pfam Consortium;GNULGPL Free Software Foundation,Inc.,59Temple Place−Suite330,Boston,MA02111−1307、USA)。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白は6つのアルファへリックスとそれに続く2つのベータ鎖、それに続く1つのアルファへリックス、それに続く2つのベータ鎖を包含する二次構造を有する、又は有すると推測されている。H−NOX蛋白はヘム結合によりヘム又はホロ蛋白と結合することができるアポ蛋白であることができる。H−NOX蛋白はヘム基に共有結合的又は非共有結合的に結合できる。一部のH−NOX蛋白はNOには結合するがOには結合せず、他のものはNOとOの両方に結合する。単離されている通性の好気性菌はNOには結合するがOには結合しない。偏性好気性原核生物C.elegans及びD.melanogasterに由来するH−NOX蛋白はNOとOに結合する。哺乳類は2つのH−NOX蛋白:β1及びβ2を有する。マウス、ラット、ウシ及びヒトのH−NOX配列のアライメントによれば、これらの種は>99%の同一性を共有していることがわかる。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白のH−NOXドメイン又は前H−NOX蛋白は天然に存在するThermoanaerobacter tengcongensisH−NOX蛋白又は天然に存在するsGC蛋白(例えば天然に存在するsGCβ1蛋白)の相当する領域のものに対して少なくとも概ね10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、95、97、98、99又は99.5%何れかにおいて同一である。本明細書において更に考察する通り、H−NOX蛋白は場合により相当する天然に存在するH−NOX蛋白と相対比較して変異1つ以上を含有してよい。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はH−NOXドメインの他にドメイン1つ以上を包含する。特定の実施形態においては、H−NOX蛋白は別の蛋白由来の1つ以上のドメイン又は全配列を包含する。例えばH−NOX蛋白はH−NOXドメインおよびアルブミン(例えばヒト血清アルブミン)のような別の蛋白の部分又は全てを包含する融合蛋白であってよい。一部の実施形態においては、H−NOXドメインのみが存在する。
【0059】
Thermoanaerobacter tengcongensis由来の原核生物O2結合H−NOXの結晶構造(“Femtomolar Sensitivity of a NO Sensot From Clostridium Botulinum,”Science306(5701):1550−1553;Pellicena,P.等(2004年8月31日)、“Crystal Structure of An Oxygen−Binding Heme Domain Related to Soluble Guanylate Cyclase,”Proc Natl.Acad Sci USA 101(35):12854−12859)はチロシン側鎖ヒドロキシル基が臨界水素結合をFeII−O部分とすることを示している。主にY140を含むこの遠位ポケット水素結合ネットワークがFeII−O複合体を安定化させている(図6B)。このチロシンは、Oとは区別してNOのみに結合するH−NOX蛋白中には存在しない。例えば、この水素結合ネットワークはsGCおよび好気性原核生物由来のH−NOX蛋白には非存在であることが推測されており、これは、このようなヘム蛋白により提示されるOを区別する顕著なリガンド選択制における重要な分子因子として示唆されている。図7A〜7Gは、NOには結合するがOには結合しない野生型H−NOX蛋白の遠位ポケットにおけるチロシンの付加は、変異体H−NOX蛋白をO結合可能とすることができることを明確に示している。即ち、H−NOXヘム折り畳み部の遠位ヘムポケットにおけるチロシンはO結合のオンオフの切り替えスイッチとして作用している。
【0060】
図6A及び6Bに示す通り、ポルフィリンの構造は高度に歪んでいる。図6Aに示す通り、保存されたY−S−Rモチーフはヘム基のプロピオン酸側鎖との水素結合相互作用を生じさせている。図6Bでは保存されたH102がヘムに対する近位のリガンドである(図6B)。
【0061】
本明細書においては、「蛋白」とは、天然の原料から単離されているか、組み換え手法により産生されているか、又は化学合成されているかに関わらず、蛋白及び蛋白フラグメントを包含する。蛋白は1つ以上の修飾、例えば翻訳語の修飾(例えばグリコシル化)又は何れかの他の修飾(例えばPEG化等)を有してよい。蛋白は1つ以上の非天然存在のアミノ酸(例えば側鎖修飾を有するアミノ酸)を含有してよい。種々の実施形態において、H−NOX蛋白は少なくとも約50、100、150、181、200、250、300、350、400又はそれより多いアミノ酸を有する。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白は約50〜約600アミノ酸、例えば約100〜約500アミノ酸、約150〜約400アミノ酸、約150〜約300アミノ酸、又は約175〜約200アミノ酸を包含してよい。
【0062】
H−NOX蛋白の原料
何れかの属又は種に由来するH−NOX蛋白を本明細書に記載する組成物、キット及び方法において使用できる。種々の実施形態において、H−NOX蛋白は哺乳類(例えば霊長類(例えば、ヒト、サル、ゴリラ、類人猿、キツネザル等)、ウシ、ウマ、ブタ、イヌ、又はネコ)、昆虫、酵母、又は細菌由来の蛋白であるか、又はそのような蛋白由来である。例示される哺乳類H−NOX蛋白は野生型のヒト又はラットの可溶性グアニレートサイクラーゼ(例えばβ1サブユニット)を包含する。H−NOX蛋白の例は野生型哺乳類H−NOX蛋白、例えばH.sapiens、M.musculus、C.familiaris、B.taurus及びR.norvegicus;及び野生型非哺乳類脊椎動物H−NOX蛋白、例えばX.laevis、O.latipes、O.curivatus及びF.rubripesを包含する。非哺乳類野生型NO結合H−NOX蛋白の例はD.melanogaster、A.gambiae及びM.sextaの野生型H−NOX蛋白を包含し;非哺乳類野生型O結合H−NOX蛋白の例はC.elegansのgcy−31、gcy−32、gcy−33、gcy−34、gcy−35、gcy−36、及びgcy−37;D.melanogasterCG14885、CG14886、及びCG4154;及びM.sextaベータ3の野生型H−NOX蛋白を包含し;原核生物野生型H−NOX蛋白の例はT.tengcongensis、V.cholera、V.fischerii、N.punctiforme、D.desulfuricans、L.pneumophila1、L.pneumophila2、及びC.acetobutylicumを包含する。
【0063】
例示されるH−NOX蛋白のNCBIアクセッション番号は以下、即ちHomo sapiensβ1[gi:2746083]、Rattus norvegicusβ1[gi:27127318]、Drosophila melanogasterβ1[gi:861203]、Drosophila melanogasterCG14885−PA[gi:23171476]、Caenorhabditis elegansGCY−35[gi:52782806]、Nostoc punctiforme[gi:23129606]、Caulobacter crescentus[gi:16127222]、Shewanella oneidensis[gi:24373702]、Legionella pneumophila(ORF2)[CUCGC_272624]、Clostridium acetobutylicum[gi:15896488]、及びThermoanaerobacter tengcongensis[gi:20807169]を包含する。
【0064】
例示されるH−NOX蛋白は又、自身の遺伝子名及びそれにひき続くそれらの種の略記及びゲンバンク識別子により列挙される以下のH−NOX蛋白(例えば参照により全体が本明細書に組み込まれる2006年5月21日;2006年5月22日;2007年5月21日;又は2007年5月22日のものとして入手可能な以下の蛋白配列):
【0065】
【化16】
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を包含する(Lakshminarayan等(2003)、“Ancient conserved domains shared by animal soluble guanylyl cyclases and bacterial signaling proteins,”BMG Genomics4:5−13)。種の名称において使用するそれらの略記法は、Ana−Anabaena Sp;Ccr−Caulobacter crescentus;Cac−Clostridium acetobutylicum;Dde−Desulfovibrio desulfuricans;Mcsp−Magnetococcus sp;Mde−Microbulbifer degradans;Npu−Nostoc punctiforme;Rhsp−Rhodobacter sphaeroides;Sone−Shewanalla oneidensis;Tte−Thermoanaerobacter tengcongensis;Vch−Vibrio cholerae;Ce−Caenorhabditis elegans;Dm−Drosophila melanogaster;Hpul−Hemicentrotus pulcherrimus;Hs−Homo sapiensを包含する。
【0066】
その他の例示されるH−NOX蛋白は、自身の生物名及びPfamデータベースアクセッション番号により列挙される以下のH−NOX蛋白(例えば参照により全体が本明細書に組み込まれる2006年5月21日;2006年5月22日;2007年5月17日;2007年5月21日;又は2007年5月22日のものとして入手可能な以下の蛋白配列):
【0067】
【化17】
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【0068】
【化18】
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を包含する。配列は本明細書に記載する通りPfamデータベースを用いてH−NOX蛋白ファミリーに帰属するものとしたこれらの蛋白の識別に基づいてH−NOX蛋白をコードしていると予測される。
【0069】
本明細書に記載する医薬組成物及び方法における使用に適する場合があるその他のH−NOX蛋白及び核酸は標準的な方法を用いて発見することができる。例えば、標準的な配列アライメント及び/又は構造の予測のプログラムを使用することにより、別のH−NOX蛋白及び核酸を、それらの一次及び/又は予測蛋白二次構造の既知H−NOX蛋白及び核酸のものとの同様性に基づいて、識別することができる。例えばPfamデータベースは定義されたアライメントアルゴリズム及びHidden Markov Model(例えばPfam21.0)を用いることにより蛋白をファミリー、例えばH−NOX蛋白ファミリーにカテゴリ化している(Pfam−蛋白ドメインファミリーアライメント及びHidden Markov Modelのデータベース、Copyright(C)1996−2006 The Pfam Consortium;GNULGPL Free Software Foundation,Inc.,59Temple Place−Suite330,Boston,MA02111−1307、USA)。標準的なデータベース、例えばswissport−tremblデータベース(www.expasy.org,Swiss Institute of Bioinformatics Swiss−Port group CMU−1 rue Michel Servet CH−1211 Geneva4,Switzerland)もまたH−NOX蛋白ファミリーのメンバーを発見するために使用できる。H−NOX蛋白の二次及び/又は三次構造は標準的な構造予測プログラム、例えばPredictProtein(630West,168 Street,BB217,New York,N.Y.10032,USA)のデフォルトセッティングを用いながら予測することができる。或いは、H−NOX蛋白の実際の二次及び/又は三次構造を標準的方法を用いて決定できる。
【0070】
一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はT.tengcongensisH−NOXにおける以下の遠位ポケット残基、即ちThr4、Ile5、Thr8、Trp9、Trp67、Asn74、Ile75、Phe78、Phe82、Tyr140、及びLeu144の何れかと同じ対応位置におけるアミノ酸を有する。一部の実施形態においては、そのアミノ酸配列の配列アライメントに基づけば、H−NOX蛋白は、T.tengcongensisH−NOXのそれぞれPro115又はArg135に対応する位置にプロリン又はアルギニンを有する。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はR.norvegicusβ1H−NOXのHis105に相当するヒスチジンを有する。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白は6つのアルファへリックスとそれに続く2つのベータ鎖、それに続く1つのアルファへリックス、それに続く2つのベータ鎖を包含する二次構造を有する、又は有すると推測されている。この二次構造はH−NOX蛋白に関して報告されている。
【0071】
所望により、新たに発見されたH−NOX蛋白を、それがヘムに結合するかどうかを調べるために、標準的な方法を用いて試験することができる。H−NOX蛋白がO担体として機能する能力は本明細書に記載したもののような標準的な方法を用いてH−NOX蛋白がOに結合するかどうかを測定することにより試験できる。所望により、本明細書に記載した変異1つ以上をH−NOX蛋白に導入することによりO担体としてのその特性を最適化することができる。例えば1つ以上の変異は、そのO解離定数、酸素に関するkoff、ヘム自動酸化の速度、NO反応性、NO安定性又はこれらの2つ以上の何れかの組み合わせを改変するために導入できる。本明細書に記載したもののような標準的な手法を用いてこれらのパラメーターを測定できる。
【0072】
本明細書において考察する通り、変異体H−NOX蛋白(例えば後述するようなクラスI及びクラスIIの変異体)はこれら又は他の天然の野生型原料配列(例えば図2〜4D又は8A〜8DDに記載する配列、又は本明細書に記載した他の配列)からの変異誘発により誘導してよい。本明細書においては、「〜から誘導する」とは変異1つ以上を導入する蛋白の原料をさす。例えば「哺乳類蛋白から誘導された」蛋白とは、野生型の哺乳類蛋白の配列(即ち天然に存在する配列)内への変異1つ以上の導入に起因する目的の蛋白を指す。
【0073】
変異体H−NOX蛋白
本明細書において考察する通り、H−NOX蛋白は対応する野生型蛋白と比較してそのO解離定数、酸素に関するkoff、ヘム自動酸化の速度、NO反応性、NO安定性又はこれらの2つ以上の何れかの組み合わせ改変する変異のような変異1つ以上を含有してよい。操作されたH−NOX蛋白のパネルは、本明細書に記載した、及び追加的には当該分野で知られた手法を用いて本明細書の教示を鑑みながら、ランダム変異誘発、その後、必要な、又は望ましい解離定数、解離速度、NO反応性、安定性、生理学的適合性、又はこれらの2つ以上の何れかの組み合わせに関して実験的にスクリーニングすることにより、形成してよい。或いは、変異誘発は、特定の領域、又はH−NOX蛋白の実験的に決定された、又は予測された三次元構造から明らかになる遠位ポケット残基のような残基(本明細書の図1A;及び例えば、特に野生型及び変異体のH−NOX蛋白の配列に関して参照により全体が本明細書に組み込まれるBoon,E.M.等(2005)、“Molecular Basis For NO Selectivity in Soluble Guanylate Cyclase,”Nature Chemical Biology 1:53−59を参照できる)又は配列アライメントから識別される進化的に保存されている残基(本明細書の図2〜4;及び例えば、特に野生型及び変異体のH−NOX蛋白の配列に関して参照により全体が本明細書に組み込まれるBoon,E.M.等(2005)、“Molecular Basis For NO Selectivity in Soluble Guanylate Cyclase,”Nature Chemical Biology 1:53−59を参照できる)に対して選択的にターゲティングできる。
【0074】
本明細書においては、「変異体蛋白」とは、天然に存在する蛋白と比較して変異1つ以上を有する蛋白を意味する。1つの実施形態において、変異体蛋白は天然に存在するすべての蛋白のものとは異なる配列を有する。種々の実施形態において、変異体蛋白のアミノ酸配列は天然に存在する蛋白の相当する領域のものに対して少なくとも概ね10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、95、97、98、99又は99.5%の何れかにおいて同一である。一部の実施形態においては、変異体蛋白は完全長蛋白の少なくとも概ね25、50、75、100、150、200、300、又は400の何れかの隣接アミノ酸を含有する蛋白フラグメントである。配列同一性は例えば配列分析ソフトウエア(例えばウイスコンシン大学(1710 University Avenue,Madison,WI53705)バイオテクノロジーセンターの遺伝子コンピューターグループの配列分析ソフトウエアパッケージ)を使用しながら、そこに特定されているデフォルトパラメーターを用いて求めることができる。このソフトウエアプログラムは種々のアミノ酸の置き換え、欠失及び他の修飾に対して相同性の程度を割りつけることにより、同様の配列をマッチさせる。
【0075】
本明細書においては、「変異」とは天然に存在するレファレンス核酸又はアミノ酸の配列における改変を意味する。例示される核酸変異は挿入、欠失、フレームシフト変異、サイレント変異、ナンセンス変異、又はミスセンス変異を包含する。一部の実施形態においては、核酸変異はサイレント変異ではない。例示される蛋白変異は1つ以上のアミノ酸の挿入(例えば2、3、4、5、6、7、8、9、又は10アミノ酸の挿入)、1つ以上のアミノ酸の欠失(例えばN末端、C末端、及び/又は内部の残基の欠失、例えば少なくとも概ね5、10、15、25、50、75、100、150、200、300の何れか、又はそれより多いアミノ酸の欠失、又は、概ね5、10、15、25、50、75、100、150、200、300、又は400の何れかのアミノ酸の欠失)、1つ以上のアミノ酸の置き換え(例えば2、3、4、5、6、7、8、9、又は10アミノ酸の置き換え)又はこれらの2つ以上の何れかの組み合わせを包含する。H−NOX蛋白の例示される機能的トランケーションはβ1配列の残基1〜385を包含する。一部の実施形態においては、変異体の蛋白は天然に存在する蛋白と比較して少なくとも1つのアミノ酸改変を有する。一部の実施形態においては、変異体核酸配列は天然に存在する蛋白と比較して少なくとも1つのアミノ酸改変を有する蛋白をコードする。一部の実施形態においては、核酸は、天然に存在する蛋白と同一のアミノ酸配列を有する蛋白をコードする天然に存在する核酸の変性型ではない。特定のアミノ酸変異に言及する場合に使用する命名法は、先ず野生型アミノ酸、次いで残基番号、そして最後に置換アミノ酸を特定する。例えばY140Lとは、残基番号140においてロイシンによりチロシンが置き換えられていることを意味する。
【0076】
「進化的に保存された変異」とはある蛋白におけるアミノ酸の、同じ蛋白ファミリーにおける別の蛋白の相当する位置におけるアミノ酸による置き換えである。例示される進化的に保存された変異(クラスI変異とも称する)は表1Aに示す通りである。表1Aにおいて、変異はヒトβ1H−NOXの配列に従ってナンバリング/アノテーションしているが、全てのH−NOX配列に関して類似している。即ち、何れかの他のH−NOX蛋白における相当する位置は、指定した残基に変異することができる。例えば、ヒトβ1H−NOXのPhe4は、他のH−NOX蛋白がこの位置にチロシンを有するため、チロシンに変異させることができる。相当するフェニルアラニン残基は何れかの他のH−NOX蛋白におけるチロシンに変異できる。特定の実施形態においては、変異1つ以上は進化的に保存された残基に制約される。一部の実施形態においては、変異1つ以上は少なくとも1つの進化的に保存された変異及び少なくとも1つの非進化的保存変変異を包含してよい。所望により、これらの変異H−NOX蛋白は、本明細書の教示を鑑みながら、NO/O解離定数、NO反応性、安定性、及び生理学的低合成に関して実験的なスクリーニングに付される。
【0077】
表1A.進化的に保存された残基をターゲティングする例示されるクラスIのH−NOX変異
【0078】
【表1A】
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一部の実施形態においては、変異はアルファへリックスA、D、E、又はGにおける残基の変異のような遠位ポケット変異である(Pellicena,P.等(2004年8月31日)、“Crystal Structure of An Oxygen−Binding Heme Domain Related to Soluble Guanylate Cyclase,”Proc Natl.Acad Sci USA 101(35):12854−12859)。例示される遠位ポケット変異(クラスII変異とも称する)は表1Bに示す通りである。表1Bにおいて、変異はヒトβ1H−NOXの配列に従ってナンバリング/アノテーションしているが、全てのH−NOX配列に関して類似している。数種の置換は列挙された各残基において活動性の変異をもたらすため、各指定位置における残基は何れかの他の天然に存在する又は非天然存在のアミノ酸(「X」と示す)に変更することができる。そのような変異は種々の所望の親和性、安定性、及び反応性の特性を有するH−NOX蛋白を産生することができる。
【0079】
表1B.遠位ポケット残基をターゲティングする例示されるクラスIIのH−NOX変異
【0080】
【表1B】
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特定の実施形態において、変異はヘム遠位ポケット変異である。本明細書に記載する通り、H−NOXファミリーのNO結合メンバーにおけるO結合を防止する重要な分子決定要因はヘムの遠位ポケットにH結合ドナーが欠如していることである。従って、一部の実施形態においては、変異はH−NOXドメインと遠位ポケット内のリガンドとの間のH結合を改変する。一部の実施形態においては、変異は遠位ポケットのH結合ドナーを破壊及び/又は対応する野生型H−NOXドメインと相対比較して低減されたOリガンド結合を与える。例示される遠位ポケット残基はT.tengcongensisH−NOXのThr4、Ile5、Thr8、Trp9、Trp67、Asn74、Ile75、Phe78、Phe82、Tyr140、及びLeu144、及びいずれかの他のH−NOX蛋白における対応する残基を包含する。
【0081】
遠位ポケット内にはない残基もまたヘム基の三次元構造に影響する場合があり;この構造が次にヘム基内の鉄へのO及びNOの結合に影響する。従って一部の実施形態においては、H−NOX蛋白は遠位ポケット外にも変異1つ以上を有する。変異することができるが遠位ポケット内にはない残基の例は、T.tengcongensisH−NOXのPro115及びArg135を包含する。一部の実施形態においては、ヘム鉄にライゲーションする残基としてHis105を包含する近位のポケット内に変異がある。
【0082】
2つ以上の変異が存在する一部の実施形態においては;少なくとも1つの変異は遠位ポケットにあり、そして少なくとも1つの変異は遠位ポケット外にある(例えば近位ポケット内の変異)。一部の実施形態においては、全ての変異は遠位ポケット内にある。
【0083】
一部の実施形態においては、H−NOX蛋白のアミノ酸配列は自然界の生物により産生される蛋白の配列と同一ではない。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白のアミノ酸配列は2006年5月21日又は2006年5月22日の何れかのデータベース中に存在する配列(例えばH−NOXの核酸又はアミノ酸配列であることが予測又は知られている全ての既知配列)と同一ではない。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白のアミノ酸配列は2007年5月21日又は2007年5月22日の何れかのデータベース中に存在する配列(例えばH−NOXの核酸又はアミノ酸配列であることが予測又は知られている全ての既知配列)と同一ではない。
【0084】
ヒト以外の原料から誘導されたH−NOX蛋白の免疫原性を低減するためには、H−NOX蛋白中のアミノ酸をヒトH−NOX中の相当するアミノ酸に変異させることができる。例えば、非ヒトH−NOX蛋白の三次構造の表面上のアミノ酸1つ以上をヒトH−NOX蛋白中の相当するアミノ酸に変異させることができる。一部の変異においては、表面アミノ酸1つ以上の変異は遠位ポケット残基1つ以上の変異、遠位ポケット外の残基1つ以上の変異(例えば近位ポケット内の変異)又は上記の2つ以上の組み合わせと組み合わせてよい。
【0085】
例示される変異は表2に示す通りである。更に又表2に記載する残基の何れかを何れかの他のアミノ酸に変異させることもできる。本発明は又、2重、3重、又はより高い多重度の変異のような本明細書に記載した変異の何れかの組み合わせに関する。例えば、本明細書に記載した変異の何れかの組み合わせは同じH−NOX蛋白内で行うことができる。他の哺乳類又は非哺乳類のH−NOX蛋白における等しい位置の変異も又、本発明の範囲に包含されるものとする。所望により表2において言及したもの以外の残基も変異させることができる。例示される変異体H−NOX蛋白は対応する野生型のH−NOXドメインと相対比較して改変されたO又はNOリガンド結合を付与する変異1つ以上を含み、そして、生理学的に適合した哺乳類O血液ガス担体として作動可能である。
【0086】
表2及び全てのその後の表において、変異に関する残基番号は記載している特定のH−NOX蛋白の配列における位置を示す。例えばT.tengcongensisI5AはT.tengcongensisH−NOXの5番目の位置におけるアラニンによるイソロイシンの置き換えを指す。同じイソロイシンからアラニンへの変異は、何れかの他のH−NOX蛋白における対応する残基において行うこともできる(この残基は他のH−NOX蛋白の配列における5番目の残基であってもなくてもよい)。哺乳類β1H−NOX止めのアミノ酸配列は最大でも2つのアミノ酸の分だけ異なるため、野生型ラットβ1H−NOX蛋白内に導入した場合に所望の変異体H−NOX蛋白を生成する変異は又、ヒトのような他の哺乳類に由来する野生型β1H−NOX蛋白内に導入した場合も所望の変異体H−NOX蛋白を生成することが予測される。
【0087】
【表2−1】
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【0088】
【表2−2】
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H−NOX蛋白への修飾
野生型又は変異体のH−NOX蛋白の何れかを標準的な方法を用いて修飾及び/又は製剤化することにより、治療上又は産業情の用途を拡張することができる。例えば、そして特に非相同操作H−NOX蛋白に適用される場合、交差結合、PEG化、炭水化物デコレーション等を包含する免疫サーベイランスからそのような物質を絶縁するための種々の方法(例えばRohlfs,R.J.等(1998年5月15日)、“Arterial Blood Pressure Responses to Cell−Free Hemoglobin Solutions And The Reaction With Nitric Oxide,”J.Biol.Chem.273(20):12128−12134;Migita,R.等(1997年6月)、“Blood Volume And Cardiac Index in Rats After Exchange Transfusion With Hemoglobin−Based Oxygen Carriers,”J.Appl.Physiol.82(6):1995−2002;Vandegriff,K.D.等(2004年8月15日)、“Kinetics of NO and O Binding to a Maleimide Poly(ethylene glycol)−Conjugated Human Haemoglobin,”Biochem J.382(Pt1):183−189、これらは各々、特に蛋白の修飾に関して参照により全体が本明細書に組み込まれる)が当該分野で知られており、他の手法も当業者が知る通りである。ヒト血清アルブミンのようなヒト蛋白にH−NOX蛋白を融合させることは、血清中の半減期、粘度、及びコロイド浸透圧を増大させることができる。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はその合成の最中又は後に修飾することによりその免疫原性を低下及び/又はその血漿中保持時間を延長することができる。H−NOX蛋白は又カプセル化することもできる(リポソーム又はナノ粒子内へのカプセル化等)。
【0089】
野生型及び変異体H−NOX蛋白の特性
本明細書に記載する通り、広範なNO及びO解離定数、Oに関するkoff、NO反応性及び安定性を提供する多数の多様なH−NOX変異体蛋白が形成されている。作動可能な血液ガス担体を提供するために、H−NOX蛋白はヘモグロビンのような内因性O担体を機能的に置き換えるか、補充するために使用してよい。従って、一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はヘモグロビンのような内因性O2担体と比較して、同様の、又は向上したO会合速度、O解離速度、O結合に関する解離定数、NO安定性、NO反応性、自動酸化速度、血漿中保持時間、又はこれらの2つ以上の何れかの組み合わせを有する。
【0090】
本明細書においては、「ヘモグロビン」とは赤血球中の鉄含有O輸送金属蛋白であるヘモグロビンの十分特性化されたファミリーに由来する蛋白又はその変異体を意味する。精製された支質非含有のヒトヘモグロビンは約200〜500nMのOに対する速度論的KDを有する。この値はサブユニット依存性である。
【0091】
本明細書においては、「koff」とは蛋白からのO又はNOの放出の速度のような、解離速度を意味する。より小さい数字の低値のkoffは解離のより緩徐な速度を示す。種々の実施形態においてH−NOX蛋白のOに関するkoffは20℃で約0.01〜約200s−1、例えば約0.1〜約200s−1、約0.1〜約100s−1、約1.0〜約16.0s−1、約1.35〜約23.4s−1、約1.34〜約18s−1、約1.35〜約14.5s−1、約0.21〜約23.4s−1、約1.35約2.9s−1、約2〜約3s−1、約5〜約15s−1、又は約0.1〜約1s−1である。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白は20℃において約0.65−1以下(例えば20℃において約0.21s−1〜約0.65s−1)の酸素に関するkoff値を有する。
【0092】
「kon」とはO又はNOの蛋白への結合の速度のような会合速度を意味する。より小さい数字の低値のkonは会合のより緩徐な速度を示す。種々の実施形態においてH−NOX蛋白のOに関するkonは20℃で約0.14〜約60μM−1−1、例えば約6〜約60μM−1−1、約6〜約12μM−1−1、約15〜約60μM−1−1、約5〜約18μM−1−1、又は約6〜約15μM−1−1である。
【0093】
「解離定数」とは「速度論的解離定数」又は「計算された解離定数」を意味する。「速度論的解離定数」又は「K」とは速度論的オフ速度(koff)の速度論的オン速度(kon)の比、例えば当該分野で知られた及び/又は本明細書に記載した方法を包含する標準的な方法(例えば標準的なスペクトル分析、ストップドフロー、又はフラッシュフォトリシス法)を用いて絶対値として求められるK値を意味する。「計算された解離定数」又は「計算されたK」とは測定されたkoffに基づいた速度論的解離定数の近似値を指す。konに関する値は本明細書に記載した速度論的K及びkoffの間の相関を介して誘導される。
【0094】
種々の実施形態において、H−NOX蛋白によるO結合に関する速度論的又は計算されたKは20℃において約1nM〜1mM、例えば2nM〜約2μM、約2μM〜約1mM、約100nM〜約1μM、約9μM〜約50μM、約100μM〜約1mM、約50nM〜約10μM、約2nM〜50μM、約100nM〜約1.9μM、約150nM〜約1μM、又は約100nM〜約255nM、約20nM〜約2μM、20nM〜約75nM、約1μM〜約2μM、約2μM〜約10μM、約2μM〜約9μM、又は約100nM〜500nMである。一部の実施形態においては、O結合に関する速度論的又は計算されたKは20℃において概ね100nM、80nM、50nM、30nM、25nM、20nM、又は10nMの何れか未満である。
【0095】
種々の実施形態において、H−NOX蛋白によるO結合に関する速度論的又は計算されたKは同じ条件下(例えば20℃)におけるヘモグロビンのものの約0.01〜約100倍以内、例えば同じ条件下(例えば20℃)におけるヘモグロビンのものの約0.1〜約10倍、又は約0.5〜約2倍である。種々の実施形態において、H−NOX蛋白によるNO結合に関する速度論的又は計算されたKは同じ条件下(例えば20℃)におけるヘモグロビンのものの約0.01〜約100倍以内、例えば同じ条件下(例えば20℃)におけるヘモグロビンのものの約0.1〜約10倍、又は約0.5〜約2倍である。
【0096】
本明細書においては、「酸素親和性」とは蛋白のヘム部分に結合する酸素の強度を指す定性的用語である。この親和性は酸素に関するkoff及びkonの両方により影響される。数値的により低値の酸素K値はより高値の親和性を意味する。「NO親和性」とは蛋白に結合(例えばヘム基への、又は蛋白に会合しているヘム基に結合した酸素への結合)するNOの強度を指す定性的用語である。この親和性はNOに関するkoff及びkonの両方により影響される。数値的により低値のNOK値がより高値の親和性を意味する。
【0097】
本明細書においては、「NO安定性」とは酸素の存在下におけるNOによる酸化に対する蛋白の安定性又は耐性を指す。例えば、酸素の存在下にNOに結合した場合に蛋白が参加されない能力は、蛋白のNO安定性の指標である。一部の実施形態においてはH−NOX蛋白の概ね50、40、30、20、10又は5%の何れか未満が20℃において約1、2、4、6、8、10、15、又は20時間の何れかのインキュベーションの後に酸化される。
【0098】
本明細書においては、「NO反応性」とはヘム結合蛋白のヘム中の鉄が2μM蛋白の濃度において酸素存在下にNOにより酸化される速度を指す。s−1の単位におけるNO反応性に関するより低い数値がより低いNO反応性を指す。種々の実施形態において、H−NOX蛋白のNO反応性は20℃において約700s−1未満、例えば20℃において約600s−1、500s−1、400s−1、300s−1、200s−1、100s−1、75s−1、50s−1、25s−1、20s−1、10s−1、50s−1、3s−1、2s−1、1.8s−1、1.5s−1、1.2s−1、1.0s−1、0.8s−1、0.7s−1、又は0.6s−1未満である。種々の実施形態において、H−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約0.1〜約600s−1、例えば20℃で約0.5〜約400s−1、約0.5〜約100s−1、約0.5〜約50s−1、約0.5〜約10s−1、約1〜約5s−1、又は約0.5〜約2.1s−1である。種々の実施形態において、H−NOX蛋白の反応性は同じ条件下、例えば20℃において、ヘモグロビンのものの少なくとも約10、100、1000又は10000倍低値である。
【0099】
本明細書においては、「自動酸化速度」とは、ヘム結合蛋白のヘム中の鉄が自動酸化する速度を指す。s−1の単位におけるより低い数値の自動酸化速度がより低い自動酸化速度を指す。種々の実施形態において、H−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度は、37℃で約1.0h−1未満、例えば37℃で約0.9h−1、0.8h−1、0.7h−1、0.6h−1、0.5h−1、0.4h−1、0.3h−1、0.2h−1、0.1h−1、又は0.05h−1の何れか未満である。種々の実施形態において、H−NOX蛋白のヘム自動酸化の速度は、37℃で約0.006〜約5.0h−1、例えば37℃において約0.006〜約1.0h−1、0.006〜約0.9h−1、又は約0.06〜約0.5h−1である。
【0100】
種々の実施形態において、変異体H−NOX蛋白は(a)ヘモグロビンのものの2桁内のO又はNO解離定数、会合速度(O又はNOに関するkon)、又は解離速度(O又はNOに関するkoff)、(b)それぞれsGCβ1のものより弱い(例えば少なくとも約10倍、100倍、又は1000倍弱い)NO親和性、(c)ヘモグロビンのものより少なくとも1000倍低値の結合Oに対するNO反応性、(d)ヘモグロビンのものより少なくとも2、10、100又は1000倍高値のインビボ血漿中保持時間、又は(e)これらの2つ以上の何れかの組み合わせを有する。
【0101】
例示される適当なO担体は、ヘモグロビンのものの2桁内、即ちヘモグロビンのものの約0.01〜100倍、例えば約0.1〜10倍、又は約0.5〜2倍の解離定数を与える。本明細書に記載した手法のような種々の確立された手法(Boon,E.M.等(2005)、“Molecular Basis For NO Selectivity in Soluble Guanylate Cyclase,”Nature Chem.Biol.1:53−59;Boon,E.M.等(2005年10月)、“Ligand Discrimination in Soluble Guanylate Cyclase and the H−NOX Family of Heme Sensor Protein,”Curr.Opin.Chem.Biol.9(5):441−446;Boon,E.M.等(2005)、“Ligand Specificity of H−NOX Domains:From sGC to Bacterial NO Sensors,”J.Inorg.Biochem.99(4):892−902)、Vandegriff,K.D.等(2004年8月15日)、“Kinetics of NO and O Binding to a Maleimide Poly(ethylene glycol)−Conjugated Human Haemoglobin,”Biochem J.382(Pt1):183−189、これらはおのおの、特に解離定数の測定に関して、参照により全体が本明細書に組み込まれる)並びに当該分野で知られたものを用いて解離定数を定量してよい。例示されるO担体は結合OとのH−NOX蛋白の低い、又は最低限のNO反応性、例えばヘモグロビンより低値のNO反応性を与える。一部の実施形態においてはNO反応性は遙かに低値、例えばヘモグロビンのものの少なくとも約10、100、1000又は10000倍低値となる。NO反応性の定量のためには種々の確立された方法(Boon,E.M.等(2005)、“Molecular Basis For NO Selectivity in Soluble Guanylate Cyclase,”Nature Chem.Biol.1:53−59;Boon,E.M.等(2005年10月)、“Ligand Discrimination in Soluble Guanylate Cyclase and the H−NOX Family of Heme Sensor Protein,”Curr.Opin.Chem.Biol.9(5):441−446;Boon,E.M.等(2005)、“Ligand Specificity of H−NOX Domains:From sGC to Bacterial NO Sensors,”J.Inorg.Biochem.99(4):892−902)、Vandegriff,K.D.等(2004年8月15日)、“Kinetics of NO and O2 Binding to a Maleimide Poly(ethylene glycol)−Conjugated Human Haemoglobin,”Biochem J.382(Pt1):183−189、これらは各々、特に解離定数の測定に関して、参照により全体が本明細書に組み込まれる)並びに当該分野で知られたものを使用してよい。野生型T.tengcongensisH−NOX蛋白はこのように低値のNO反応性を有しているため、他の野生型H−NOX蛋白及び変異体H−NOX蛋白も同様に低値のNO反応性を有する場合がある。例えばT.tengcongensisH−NOXY140Hは野生型T.tengcongensisH−NOXのものと同様のNO反応性を有する。
【0102】
更に又、安定なO担体は高い、又は最大限とされた安定性、特にインビボの安定性を与える。種々の安定性の尺度、例えば酸化安定性(例えば自動酸化又はNOによる酸化に対する安定性)、温度安定性、及びインビボの安定性を使用してよい。本明細書に記載した手法のような種々の確立された手法(Boon,E.M.等(2005)、“Molecular Basis For NO Selectivity in Soluble Guanylate Cyclase,”Nature Chem.Biol.1:53−59;Boon,E.M.等(2005年10月)、“Ligand Discrimination in Soluble Guanylate Cyclase and the H−NOX Family of Heme Sensor Protein,”Curr.Opin.Chem.Biol.9(5):441−446;Boon,E.M.等(2005)、“Ligand Specificity of H−NOX Domains:From sGC to Bacterial NO Sensors,”J.Inorg.Biochem.99(4):892−902))並びに当該分野で知られたものを用いて安定性を定量してよい。血漿、血液、又は組織中のインビボの安定性に関しては、例示される安定性尺度は保持時間、クリアランス速度、及び半減期を包含する。好熱性生物由来のH−NOX蛋白は高温で安定であることが期待される。種々の実施形態において、血漿中保持時間はヘモグロビンのものの少なくとも約2、10、100又は1000倍高値である(例えばBobofchak,K.M.等(2003年8月)、“A Recombinant Polymeric Hemoglobin With Conformational,Functiona, And Physiological characteristics of an in vivo O2 transporter,”Am.J.Physiol.Heart Circ.Physiol.285(2):H549−H561)。当業者の知る通り、ヘモグロビン系の血液代替物は、血漿から無細胞ヘモグロビンを除去するヘモグロビンに対する受容体の存在のために、血漿からの無細胞ヘモグロビンの急速なクリアランスにより制限されている。血漿中にはH−NOX蛋白に対する受容体が無いため、野生型及び変異体のH−NOX蛋白はヘモグロビンのものよりも長い血漿中保持時間を有すると期待される。所望により、血漿中保持時間はH−NOX蛋白をPEG化又は交差結合するか、又はH−NOX蛋白を他の蛋白と融合させることにより、標準的な方法(例えば本明細書に記載したもの及び当該分野で知られたもの)を用いて増大させることができる。
【0103】
種々の実施形態において、H−NOX蛋白は20℃で約1nM〜約1mMのO解離定数、及び同じ条件下でヘモグロビンのものよりも少なくとも約10倍低値のNO反応性
を有する。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白は20℃で約1nM〜約1mMのO解離定数、及び20℃で約700s−1未満(例えば20℃で約600s−1、500s−1、100s−1、20s−1、又は1.8s−1未満)のNO反応性を有する。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はヘモグロビンのものの2桁内のO解離定数、及び同じ条件下、例えば20℃においてヘモグロビンのものよりも少なくとも約10倍低値のNO反応性を有する。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白は20℃で約0.01〜約200s−1の酸素に関するkoff、及び同じ条件下、例えば20℃においてヘモグロビンのものよりも少なくとも約10倍低値のNO反応性を有する。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白は20℃で約0.65s−1未満の酸素に関するkoff(例えば20℃において約0.21s−1〜約0.64s−1)、及び同じ条件下、例えば20℃においてヘモグロビンのものよりも少なくとも約10倍低値のNO反応性を有する。特定の実施形態においては、H−NOX蛋白のO解離定数は20℃において約2nM〜約50μM、約50nM〜約10μM、約100nM〜約1.9μM、約150nM〜約1μM、又は約100nM〜約255nMである。種々の実施形態において、H−NOX蛋白のO解離定数は20℃において約80nM未満、例えば20℃において約20nM〜約75nMである。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白のNO反応性は同じ条件下、例えば20℃においてヘモグロビンのものよりも少なくとも約100倍低値、又は約1000倍低値である。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満、例えば20℃で約600s−1、500s−1、400s−1、300s−1、200s−1、100s−1、75s−1、50s−1、25s−1、20s−1、10s−1、50s−1、3s−1、2s−1、1.8s−1、1.5s−1、1.2s−1、1.0s−1、0.8s−1、0.7s−1、又は0.6s−1未満である。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白の酸素に関するkoffは20℃で約0.01〜約200s−1、例えば約0.1〜約200s−1、約0.1〜100s−1、約1.35〜約23.4s−1、約1.34〜約18s−1、約1.35〜約14.5s−1、約0.21〜約23.4s−1、約2〜約3s−1、約5〜約15s−1、又は約0.1〜約1s−1である。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白のO解離定数は20℃で約100nM〜約1.9μMであり、H−NOX蛋白の酸素に関するkoffは20℃で約1.35s−1〜約14.5s−1である。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白のヘム自動酸化速度は37℃で約1h−1未満、例えば0.9h−1、0.8h−1、0.7h−1、0.6h−1、0.5h−1、0.4h−1、0.3h−1、0.2h−1、又は0.1h−1である。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白の酸素に関するkoffは20℃で約1.35s−1〜約14.5s−1であり、そして、H−NOX蛋白のヘム自動酸化速度は37℃で約1h−1未満である。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白の酸素に関するkoffは20℃で約1.35s−1〜約14.5s−1であり、そしてH−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満(例えば20℃で約600s−1、500s−1、100s−1、20s−1、又は1.8s−1未満)である。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白のヘム自動酸化速度は37℃で約1h−1未満であり、そしてH−NOX蛋白のNO反応性は20℃で約700s−1未満(例えば20℃で約600s−1、500s−1、100s−1、20s−1、又は1.8s−1未満)である。
【0104】
一部の実施形態においては、H−NOX蛋白溶液の粘度は1〜4センチポアズ(cP)である。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白溶液のコロイド浸透圧は20〜50mmHgである。
【0105】
表3は野生型及び変異体のH−NOX蛋白に関する例示される大きさ、酸素親和性、自動酸化安定性、NO反応速度、及び修飾を示す。表3において、ビヒクルの大きさは修飾された(例えばPEG化された)又は未修飾のH−NOX蛋白の分子量を指す。
【0106】
表3.H−NOX蛋白の例示される実施形態
【0107】
【表3】
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特定の変異体に関する例示されるデータを表4〜12に示す。表4〜12において、β1及びB2はラットH−NOX蛋白から誘導された蛋白を指す。哺乳類β1H−NOXドメインのアミノ酸配列は最大でも2アミノ酸の分だけ異なっているため、同様の結果が他の哺乳類のβ1H−NOX蛋白、例えばヒトβ1における相当する変異に関して期待される。表4に示す通り、野生型H−NOX蛋白内への変異1つ以上の導入により、自動酸化速度及びO解離速度が改変できる。所望により、表4に示す一重又は二重の変異の何れかを組み合わせることにより、又は、本明細書に記載した通りH−NOX蛋白内に追加的変異1つ以上を導入することにより、自動酸化速度又はO解離速度を更に改変できる。
【0108】
表4.自動酸化に対する安定性、O結合特性(例えばO解離速度)及び遠位ポケットH結合残基を野生型及びクラスII変異体のH−NOX蛋白に関して記載する。
【0109】
【表4−1】
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【0110】
【表4−2】
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a:構築物は酸化(自動酸化速度、37℃におけるkox[h−1]により評価)及び/又はヘム損失に対して安定である。b:O結合活性は20℃におけるヘムからのO解離速度により評価した(s−1)。c:37℃24時間の後、自動酸化の兆候はなお存在しない。d:蛋白の僅かな部分のみがOと複合体を形成し、報告された速度はこの集団に関する速度論的特徴を表している。e:蛋白はOに結合するが、koffは測定しなかった。f:相対的には安定であるが、この蛋白は酸化するに従って沈殿し、koxの測定は困難であった。g:不安定性又は急速な酸化のため、適用不能。h:「安定ではない構築物」とは試験条件下で即座に蛋白が酸化することを意味する。i:「僅かにより安定」とは蛋白が数分〜数時間の期間に渡って酸化するが、試験条件下で24時間を超えて安定のまま残存することはないことを意味する。
【0111】
表5は変異1つ以上の導入によるH−NOX蛋白におけるO会合速度(kon)、O解離速度(koff)、O解離定数(k)、及び自動酸化速度(kox)の改変を示す。一部の実施形態においては、表5に示す一重又は二重の変異の何れかを別の変異(例えば表5の他の変異又は本明細書に記載する他の変異)と組み合わせることにより、O会合速度、O解離速度、O解離定数、自動酸化速度、又はこれらの2つ以上の何れかの組み合わせが更に改変される。
【0112】
表5.ヒスチジルライゲーションFeIIヘム蛋白に関するO結合速度定数、(1)蛋白
【0113】
【表5】
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a:20℃における解離定数(nM);b:20℃におけるヘムへのO会合の速度(μM−1−1);c:20℃におけるヘムからのO解離の速度(s−1);d:37℃におけるヘム自動酸化の速度[h−1];e:37℃24時間の後、自動酸化の兆候はなお存在しない。f:蛋白の僅かな部分のみがOと複合体を形成したが、この集団に関する速度論的特徴は測定できなかった。i:Boon,E.M.等(2005年6月)、“Molecular Basis For NO Selectivity in Soluble Guanylate Cyclase,”Nature Chem.Biol.1(1):53−59;j:未公表データ;k:Springer,B.A.等(1994)、“Family Physicians Key Partners in Preventing Suicide Among Youth,”Chem.Rev.94:699−714;l:Gilles−Gonzalez等(1994)、“Heme−Based Sensors,Exemplified bythe Kinase FixI.,are a New Class of Heme Protein with Distinctive Ligand Binding and Autoxidation,”Biochemistry33:8067−8077;m:Aono,S.等(2002)“Resonance Raman and Ligand Binding Studies of the Oxygen−Sensing Signal Transducer Protein HemAT from Bacillus Subtills,”J.Biol.Chem.277:13528−13538,n:Antonini,E.等(1971)、“Hemoglobin and Myoglobin in Their Reaction with Ligands,”North−Holland Publ.,Amsterdam。
【0114】
表6はH−NOX蛋白のO会合速度、O解離速度、O、自動酸化速度、NO反応性、及びFeII複合体の安定性が変異1つ以上の導入により改変される場合があることを示している。一部の実施形態においては、表6に示す一重又は二重の変異の何れかを別の変異(例えば表6の他の変異又は本明細書に記載する他の変異)と組み合わせることにより、H−NOX蛋白のO会合速度、O解離速度、O、自動酸化速度、NO反応性、又はFeIIO複合体の安定性が更に改変される。当業者の知る通り、本明細書に記載するもののような追加的変異1つ以上の導入を用いてこれらの数値を更に改変してよい。
【0115】
表6.H−NOX蛋白のO会合速度、O解離速度、O、自動酸化速度、NO反応性、及びFeII複合体の安定性
【0116】
【表6】
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a:20℃におけるヘムへのO会合の速度(μM−1−1);b:20℃におけるヘムからのO解離の速度(s−1);c:37℃におけるヘム自動酸化の速度(h−1);d:NO反応性の測定用:20℃において、精製蛋白(TtWTHNOX、TtY140HHNOX、Homo Sapiensヘモグロビン(HsHb))は2μMにおいて緩衝液A中に生成し、そして酸化窒素(NO)は200μMにおいて緩衝液A中に生成した(緩衝液A:50mMHepes,pH7.5、50mMNaCl)。ストップドフロースペクトル分析を用いながら、蛋白を急速にNOと1:1の比で混合し、組み込み時間は0.00125秒とした。最大変化の波長を片指数にフィットさせ、NOによる酸化の律速段階を本質的に測定した。反応の最終生成物はHNOX蛋白については第2鉄NO化物、HsHbについては第2鉄の水和物であった。e:HsHbについては、NOとの蛋白の反応は実験のデッドタイム内に反応が終了するほど高速であった(0.001秒)。ヘモグロビンに関するNO反応性はEich,R.F.等(1996)“Mechanism of NO−Induced Oxidation of Myoglobin and Hemoglobin,”Biochemistry35:6976−6983に基づけば20℃において約7,000s−1である。
【0117】
表7はH−NOX蛋白における残基1つ以上を変異させることによりO結合に関する解離定数を有意に変化させることができることを示している。これらの例示されるH−NOX蛋白の速度論的K値は20℃で21.20nM〜1000000.00nMの範囲である。所望により、表7に示す一重又は二重の変異の何れかを組み合わせることにより、又は、本明細書に記載した通りH−NOX蛋白内に追加的変異1つ以上を導入することにより、O結合に関する解離定数を更に改変できる。
【0118】
表7.O結合に関する解離定数の値により配置させた野生型及び変異体のH−NOX蛋白及びレファレンス蛋白
【0119】
【表7】
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表8はH−NOX蛋白における残基1つ以上を変異させることによりO結合に関する解離速度を有意に変化させることができることを示している。これらの例示されるH−NOX蛋白に関する解離速度は20℃で0.21s−1〜23.4s−1の範囲である。所望により、表8に示す一重又は二重の変異の何れかを組み合わせることにより、又は、本明細書に記載した通りH−NOX蛋白内に追加的変異1つ以上を導入することにより、O結合に関する解離速度を更に改変できる。
【0120】
表8.O結合に関する解離速度の値により配置させた野生型及び変異体のH−NOX蛋白及びレファレンス蛋白
【0121】
【表8】
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表9はH−NOX蛋白における残基1つ以上を変異させることによりO結合に関する会合速度を有意に変化させることができることを示している。これらの例示されるH−NOX蛋白に関する会合速度は20℃で60μM−1−1〜0.14μM−1−1の範囲である。所望により、表9に示す一重又は二重の変異の何れかを組み合わせることにより、又は、本明細書に記載した通りH−NOX蛋白内に追加的変異1つ以上を導入することにより、O結合に関する会合速度を更に改変できる。
【0122】
表9.O結合に関する会合速度の値により配置させた野生型及び変異体のH−NOX蛋白及びレファレンス蛋白
【0123】
【表9】
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a:「極めて緩徐」とはヘモグロビンより緩徐、例えばヘモグロビンより約1〜2桁緩徐であることを意味する。
【0124】
表10はO及びNO結合に対する例示されるH−NOX変異の作用を示している。Fe未ライゲーション型に関して表10に列挙した各数は単一のピークに関するものである(これはβとαのコラムの間に記載)。O又はNOが結合する場合、この単一のピークは2つのピークβ及びαに分割する(これはそれぞれβ及びαのコラムの下部に示す)。所望により、表10に示す一重又は二重の変異の何れかを組み合わせることにより、又は、本明細書に記載した通りH−NOX蛋白内に追加的変異1つ以上を導入することにより、O又はNO結合を更に改変できる。
【0125】
表10.一部のヒスチジルライゲーションFeIIヘム蛋白複合体に関するUV可視光ピーク位置
【0126】
【表10−1】
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【0127】
【表10−2】
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表11は一部のFe(II)、Fe(III)、Fe(II)−NO、及びFe(II)−O複合体に関するUV可視光ピーク位置を含む。ヘモグロビン又はH−NOX蛋白が嫌気的である場合、それは〜431nmにおいてソレーピークを有し、そしてそれは未ライゲーション状態である。H−NOX蛋白がOに結合しなければ、ソレーピークはOを添加しても変化しない。H−NOX蛋白がOに結合すれば、ソレーピークはOを添加時に414nm〜418nmにシフトし、これは、ヘムに結合したOを示すヘモグロビンにおいて生じるシフトと同じである。酸化されたH−NOX(Fe(III))又はH−NOXがNOに6配位状態で結合したものに対するソレーピークは保存又は使用ののちのH−NOX蛋白の状態に該当すると考えられる。H−NOX蛋白がNOに結合しなければ、ソレーピークはNOを添加しても変化しない。H−NOX蛋白がNOに結合し、6配位の第1鉄−ニトロシル複合体を形成すれば、ソレーピークはNO添加時に420nm〜424nmにシフトする。H−NOX蛋白がNOに結合して5配位の第1鉄−ニトロシル複合体を形成すれば、ソレーピークは〜399nmにシフトする。所望により、表11に示す一重又は二重の変異の何れかを組み合わせることにより、又は、本明細書に記載した通りH−NOX蛋白内に追加的変異1つ以上を導入することにより、O又はNO結合を更に改変できる。
【0128】
表11.一部のFe(II)、Fe(III)、Fe(II)−NO、及びFe(II)−O複合体に関するUV可視光ピーク位置
【0129】
【表11−1】
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【0130】
【表11−2】
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表12は例示されるT.tengcongensisH−NOX蛋白に関する自動酸化速度を含む。所望により、表12に示す変異の何れかを組み合わせることにより、又は、本明細書に記載した通りH−NOX蛋白内に追加的変異1つ以上を導入することにより、自動酸化速度を更に改変できる。表12中段における2nm及び3nmの値は観察期間に渡って2〜3nmUV−Visソレーピークのシフトを指し;この極めて小さな変化は自動酸化に起因する可能性がある。
【0131】
表12.T.tengcongensis(Tt)H−NOX蛋白に関する自動酸化速度
【0132】
【表12】
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「安定」とは少なくとも24時間後にヘム酸化が無いことを指す。「RT」が室温を指す。
【0133】
H−NOX核酸
本発明は更に本明細書に記載する変異体H−NOX蛋白の何れかをコードする核酸を特徴とする。本明細書においては、「核酸」とは、1本鎖又は2本鎖の何れかの形態における2つ以上のデオキシリボヌクレオチド及び/又はリボヌクレオチドを指し、そして特段の記載が無い限り、天然に存在するヌクレオチドと同様の態様において核酸にハイブリダイズする天然に存在するヌクレオチドの既知類縁体を包含する。一部の実施形態においては核酸は組み換え核酸である。「組み換え核酸」とは、目的の核酸の由来元の生物の天然に存在するゲノム内において目的の核酸にフランキングしている核酸(例えば遺伝子)1つ以上を含まない目的の核酸を意味する。一部の実施形態においてH−NOX核酸は、組み換え核酸がH−NOX蛋白(例えばH−NOX蛋白に由来する別のドメインを有するか有さないH−NOXドメイン)及びヒト血清アルブミンのような別の蛋白の全て又は部分を包含する融合蛋白をコードするように別の蛋白の全て又は一部分をコードする別の核酸に作動可能に連結している。従って用語は、例えばベクター内に、自律複製プラスミド又はウィルス内に、又は原核生物又は親核生物のゲノムDNA内に組み込まれた、又は他の配列から独立して別個の分子(例えばPCR又は制限エンドヌクレアーゼ消化により作成されたcDNA、ゲノムDNAフラグメント、又はcDNAフラグメント)として存在する組み換えDNAを包含する。
【0134】
本発明は更に本明細書に記載する変異体H−NOX蛋白の何れかをコードする核酸1つ以上を有するベクターを特徴とする。本明細書においては、「ベクター」とは、宿主細胞内に目的の核酸1つ以上を送達し、そして場合により発現することができる構築物を意味する。ベクターの例は限定しないがプラスミド、ウィルスベクター、DNA又はRNA発現ベクター、コスミド、及びファージベクターを包含する。一部の実施形態においてはベクターは発現制御配列の制御下にある核酸を含有する。「発現制御配列」とは、目的の核酸の転写を指向する核酸配列を意味する。発現制御配列はプロモーター、例えば構成又は誘導プロモーター、又はエンハンサーであることができる。発現制御配列は転写すべき核酸セグメントに作動可能に連結している。
【0135】
特定の実施形態においては、核酸は図2〜4D又は8A〜8DDに示す核酸の何れかの核酸配列のセグメント又は全体を包含する。一部の実施形態においては、核酸はH−NOX核酸の少なくとも約(50、100、150、200、300、400、500、600、700、800又はそれより多い)隣接ヌクレオチドを包含し、そしてその誘導元のH−NOX核酸と比較して変異1つ以上(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10変異)を含有する。種々の実施形態において、変異体H−NOX核酸はその誘導元のH−NOX核酸と比較して、約20、15、12、10、9、8、7、6、5、4、3、又は2つ未満の変異を含有する。本発明は又、変異体H−NOX蛋白をコードする何れかの核酸の変性変異体を特徴とする。
【0136】
本発明は更に本明細書に記載する変異体H−NOX蛋白をコードする核酸少なくとも1つを含有する細胞又は細胞集団を包含する。例示される細胞は、昆虫、植物、酵母、細菌、及び哺乳類細胞を包含する。これらの細胞は本明細書に記載する物のような標準的な方法を用いた変異体H−NOX蛋白の産生のために有用である。
【0137】
H−NOX蛋白の製剤
本明細書に記載する野生型又は変異体H−NOX蛋白は医薬組成物又は非医薬組成物の製剤のために使用してよい。後に考察する通りこれらの製剤は種々の治療及び産業上の用途において有用である。
【0138】
一部の実施形態においては、医薬組成物は1つ以上の野生型又は変異体のH−NOX蛋白(例えば本明細書に記載するH−NOXの野生型又は変異体の蛋白の何れか)及び製薬上許容しうる担体を包含する。種々の実施形態において、H−NOX蛋白は単離又は精製された蛋白である。「製薬上許容しうる担体」とは、活性成分と組み合わされた場合に、専門家の見地から、その成分が生物学的に活性を保持し、そして許容できない免疫応答(例えば重度のアレルギー又はアナフィラキシーショック)を誘発しない何れかの物質を指す。例としては、限定しないが、いずれかの標準的な薬学的担体、例えばリン酸塩緩衝食塩溶液、水、エマルジョン、例えば水中油エマルジョン、及び種々の型の水和剤を包含する。エアロゾル又は非経腸投与用の例示される希釈剤は、リン酸塩緩衝食塩水又は規定度(0.9%)の食塩水である。そのような担体を含む組成物はよく知られた従来の方法により製剤される(例えば特に製剤に関して参照により全体が本明細書に組み込まれるRemington’s Pharmaceutical Sciences,第18版A.Gennaro編Mack Publishing Co.,Easton,PA,1990;及びRemington,The Science and Practice of Pharmacy第20版Mack Publishing,2000を参照)。
【0139】

当該分野で知られた何れかの適当な担体を本発明の医薬組成物において使用してよいが、担体の型は投与の様式により変動することになる。組成物は例えば静脈内、動脈内、膀胱内、吸入、腹腔内、肺内、筋肉内、皮下、気管内、経粘膜、眼内、髄腔内、又は経皮投与を包含する何れかの適切な投与方法のために製剤できる。皮下注射のような非経腸投与のためには、担体は例えば水、食塩水、アルコール、油脂、ワックス、又は緩衝液を包含してよい。経口投与のためには上記した担体の何れか、又は固体担体、例えばマンニトール、乳糖、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、スクロース、又は炭酸マグネシウムを使用してよい。生体分解性の微小球(例えばポリラクテートポリグリコレート)もまた担体として使用してよい。
【0140】
一部の実施形態においては、医薬組成物又は非医薬組成物は緩衝液(例えば中性緩衝食塩水、リン酸塩緩衝食塩水等)、炭水化物(例えばグルコース、マンノース、スクロース、デキストラン等)、抗酸化剤、キレート形成剤(例えばEDTA、グルタチオン等)、保存料、酸素の結合及び/又は輸送のために有用なその他の化合物、不活性成分(例えば安定化剤、充填剤等)、又はこれらの2つ以上の何れかの組み合わせを包含する。一部の実施形態においては、組成物は凍結乾燥物として製剤される。H−NOX蛋白は又良く知られた技術を用いてリポソーム又はナノ粒子内にカプセル化してよい。H−NOX蛋白のために使用できる他の例示される製剤は例えば特に蛋白の製剤に関して参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許6,974,795及び6,432,918に記載されている。
【0141】
本明細書に記載した組成物は除放性製剤の部分として投与してよい(例えば投与後に化合物の緩徐な放出をもたらすカプセル又はスポンジのような製剤)。そのような製剤は一般的に良く知られた技術を用いて製造してよく、そして例えば経口、直腸、又は皮下移植により、又は所望の標的部位への移植により投与してよい。除放性製剤は担体マトリックス内に分散及び/又は速度制御膜により包囲されたリザーバ内に収容されたH−NOX蛋白を含有してよい。そのような製剤内において使用するための担体は生体適合性であり、そして生体分解性であってもよい。一部の実施形態においては、製剤は比較的一定のレベルのH−NOX蛋白の放出をもたらす。除放性製剤内に含有されるH−NOX蛋白の量は移植部位、放出の速度及び予測される持続時間、及び治療又は防止すべき状態の性質に応じたものとなる。
【0142】
一部の実施形態においては、医薬組成物は野生型又は変異体のH−NOX蛋白の有効量を含有する。「有効量」という用語は薬効及び毒性のそのパラメーターとの組み合わせにおいて専門家の見地から所定の治療形態において有効であるべき量を意図している。当該分野で知られる通り、有効量は1つ以上の用量であることができる。臨床分野において理解されている通り、医薬組成物の有効用量は別の薬剤、化合物、又は医薬組成物と組み合わせて達成されてもよく、されなくてもよい。即ち、有効量は治療薬1つ以上を投与するという文脈において考えることができ、そして、単一の薬剤は、1つ以上の多剤と組み合わせれば所望又は有利な結果が達成される場合には、有効量で与えられていると考えることができる。
【0143】
血液代替物としてのヘモグロビンの例示される用量は、患者体重キログラム当たり細胞外ヘモグロビン約10mg〜約5グラム以上である。即ち、一部の実施形態においては、ヒトへの投与のためのH−NOX蛋白の有効量は数グラムから約350グラム超である。H−NOX蛋白の他の例示される用量は、例えば約0.5ml/分のような適切な注入速度において約4.4、5、10、又は13G/DL(G/DLは循環系中への注入の前のH−NOX蛋白溶液の濃度である)のいずれかを包含する(例えばWinslow,R.Chapter12,Blood Substitute参照)。当然ながら、必要な有効量は複数の投与の複合的作用により達成できるものであるから、各剤型の個々の用量中に含有される活性成分の単位含有量はそれ自体が有効量を構成しなくてもよい。医薬組成物に包含させるH−NOX蛋白の量の選択は使用する剤型、治療すべき状態、及び当業者の決定に従って達成すべき特定の目的に応じたものとなる。
【0144】
例示される組成物は遺伝子的に操作された組み換えH−NOX蛋白を包含し、これは単離又は精製されてよく、対応する野生型H−NOX蛋白と相対比較して改変されたO2又はNOリガンド結合を包括的に付与する1つ以上の変異を含み、そして生理学的に適合性のある哺乳類血液ガス担体として作動可能っであってよい。例えば、変異体H−NOX蛋白は本明細書に記載する物である。
【0145】
本発明は又野生型又は変異体のH−NOX蛋白1つ以上を含むか、これより本質的になる血液代替物を提供する。血液代替物を製剤するための適当な緩衝剤および他の成分は当業者の知る通りである。
【0146】
医薬組成物を投与されるヒト対象における免疫応答を低減又は防止するためには、ヒトH−NOX蛋白(野生型ヒト蛋白又は変異1つ以上が導入されているヒト蛋白)又は他の非抗原性H−NOX蛋白(例えば哺乳類H−NOX蛋白)を使用できる。ヒト以外の原料から誘導されたH−NOX蛋白の免疫原性を低減又は排除するためには、H−NOX蛋白内のアミノ酸をヒトH−NOX内の相当するアミノ酸に変異させることができる。例えば、非ヒトH−NOX蛋白の3次構造の表面上のアミノ酸1つ以上をヒトH−NOX蛋白内の相当するアミノ酸に変異させることができる。
【0147】
H−NOX蛋白の治療用途
本明細書に記載する野生型又は変異体のH−NOX蛋白の何れか(例えば単離又は精製されたH−NOX蛋白)又は医薬組成物を治療用途に使用してよい。このような用途のために、特定のH−NOX蛋白を、治療すべき特定の適応症に対して所望のO会合速度、O解離速度、O結合に関する解離定数、NO安定性、NO反応性、自動酸化速度、血漿中保持時間、又はこれらの2つ以上の何れかの組み合わせに基づいて選択することができる。H−NOX蛋白は心臓血管疾患、神経学的疾患、腫瘍低酸素、失血、又は創傷を治療するために使用できる。例えばO結合H−NOX蛋白は赤血球又は血漿エキスパンダーが現在使用されている大部分の状況において使用できる。特定すれば、H−NOX蛋白は外傷(例えば戦地、災害救援、又は事故)、出血、出血性ショック、外科処置(例えば腹部動脈瘤手術、整形外科的手術、例えば腰骨置換手術、又は大量の失血をもたらす何れかの他の手術)、血液希釈、及び血液延長使用(例えば補給自己献血)、及び血液のぼる量が損失しているか、O運搬能力が低減している何れかの他の状況の治療のために赤血球代替物として使用できる。創傷修復用途の例は、放射線後の創傷の修復(例えば高圧酸素作用)、術後修復、糖尿病性潰瘍修復、及び熱傷を包含する。
【0148】
酸素結合H−NOXはまた、個体へ自己由来血液を戻す前の自己由来血液の事前献血の最中又は後にO送達を一時的に強化するために(例えば個体の血液を摘出し、手術終了時又は回復中に再注入するために温存しておく外科的処置中に取り出される血液の置き換えとして)使用できる。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白は大型のH−NOX蛋白分子の存在に起因するコロイド浸透圧を与える単純な体積膨張剤としても機能する。
【0149】
細胞外H−NOX蛋白の欠陥における分布は赤血球の大きさにより制限されないため、補のH−NOX蛋白は赤血球が進入できない区域にまでOを送達するために使用できる。これらの区域は赤血球の流動に対する閉塞部の下流に位置する何れかの組織の区域、例えば1つ以上の血栓、鎌状赤血球閉塞部、動脈閉塞部、末梢血管閉塞部、血管形成術用バルーン、外科的器具、酸素飢餓にり患しているか、低酸素である組織等の下流のエリアを包含できる。更に又、組織虚血の全ての型をH−NOX蛋白で治療できる。そのような組織虚血は、例えば手術前後の虚血、卒中、顕現性卒中、一過性虚血発作、心筋の撹乱及び休止、急性又は不安定狭心症、顕現性狭心症、及び心筋梗塞(例えばST部分上昇心筋梗塞)を包含する。H−NOX蛋白を用いて治療できる他の例示される心臓血管の適応症は心臓麻痺及び鎌状赤血球貧血を包含する。例示される標的適応症は機能的ヘモグロビン不全の状態、例えば失血、低酸素等を包含する血液代替物又はO2担体の適応症とされる場合を包含する。
【0150】
H−NOX蛋白は又、癌の治療のための放射線又は化学療法への補助として使用できる。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白は固形腫瘍における放射線療法の補助として(例えば不良な転移前予後を有する個体)、又は表面腫瘍におけるPDT療法の補助として(例えば結腸、肺、又は皮膚の癌、又は他の接触可能な表面の位置の癌)使用される。
【0151】
H−NOX蛋白は貧血に罹患している患者において追加的酸素担持能力を提供することにより貧血を治療するために使用できる。例示される神経学的適応症は虚血発作、外傷性脳傷害、及び脊髄傷害を包含する。方法及び組成物は急性(組織又は特定部位への急速な酸素供給、例えば急性心筋梗塞、急性局所又は全身組織酸素付与、又は輸血)及び慢性の状況(例えば心筋梗塞からの急性期の回復の後)の両方に対して適用される。
【0152】
種々の実施形態において、本発明は個体(例えば哺乳類、例えば霊長類(例えば、ヒト、サル、ゴリラ、類人猿、キツネザル等)、ウシ、ウマ、ブタ、イヌ、又はネコ)にOを送達するために十分な量の野生型又は変異体のH−NOX蛋白を、それを必要とする個体に投与することによる、個体にOを送達する方法を特徴とする。一部の実施形態においては、本発明はH−NOX組成物1つ以上を個体(例えば哺乳類)の血液に送達する工程(例えば輸血など)を含む哺乳類のような個体に血液ガスを担持又は送達する方法を提供する。O担体を血液又は組織(例えば哺乳類の血液又は組織)に送達するための方法は当該分野で知られている。種々の実施形態においてH−NOX蛋白はヘムを結合できるアポ蛋白であるか、又は結合ヘムを有するホロ蛋白である。H−NOX蛋白は個体へのH−NOX蛋白の投与の前に結合ヘムを有していてもいなくてもよい。一部の実施形態においては、Oはそれが個体に送達される前にH−NOX蛋白に結合する。他の実施形態において、Oは個体へのH−NOX蛋白の投与前には蛋白に結合せず、そして、H−NOX蛋白は個体のある位置から個体の別の位置にOを輸送する。
【0153】
本発明の方法は何れかの個体を治療するために使用できる。本明細書における使用のためには、明確に特段の記載が無い限り、「個体」とは、本明細書においては、哺乳類、例えば限定しないが霊長類(例えば、ヒト、サル、ゴリラ、類人猿、キツネザル等)、ウシ、ウマ、ブタ、イヌ、又はネコを意図している。即ち、本発明は人間の医薬品及び農業用の動物及び家庭用愛玩動物における使用を包含する獣医科の範囲の両方において使用される。個体は心臓血管疾患、神経学的疾患、低酸素症(例えば腫瘍低酸素)、失血、又は創傷のような適応症を有するか、有することが疑われるか、又は発症の危険があると診断されていてよい。個体は適応症に関連する症状1つ以上を呈してよい。個体は遺伝子的に、又は別様にそのような状態を発症する素因を有することができる。
【0154】
本明細書においては、「〜の必要のある」とは、状態又は疾患(例えば心臓血管疾患、神経学的疾患、低酸素症、例えば腫瘍低酸素、失血、又は創傷)を有するか、状態又は疾患の「危険性がある」個体を包含する。本明細書においては、「危険性がある」とは、神経学的疾患、低酸素症(例えば腫瘍低酸素)、失血、又は創傷のような状態を発症する危険性がある個体である。「危険性がある」個体は検出可能な疾患又は状態を有していてもいなくてもよく、そして本明細書に記載した治療方法よりも前に検出可能な疾患を呈していてもいなくてもよい。「危険性がある」とは、疾患又は状態の発症と相関し、そして当該分野で知られた測定可能なパラメーターであるいわゆる危険因子1つ以上を個体が有することを指す。これらの危険因子1つ以上を有する個体はこれらの危険因子を有さない個体よりも疾患又は状態を発症するより高値の確率を有している。これらの危険因子は、限定しないが、年齢、性別、人種、食餌、病歴、前駆疾患の存在、遺伝子的(即ち遺伝的)な問題、及び環境への曝露を包含する。手術、軍事又は戦争の地域内又は近傍における存在、又は個体を失血し易くする状態(例えば血友病)が例示される失血危険因子である。
【0155】
これらの方法はOの送達が有利であるいずれかの状態を治療又は遅延させるために使用できる。「治療」又は「治療する」とは、臨床的結果を包含する有利又は所望の結果を得るための方策を意味する。本発明の目的のためには、有利又は所望の結果とは、限定しないが、状態(例えば限定しないが心臓血管疾患、神経学的疾患、低酸素症、例えば腫瘍低酸素、失血、又は創傷)に関連する症状の軽減、状態に関連する症状の範囲の減衰、又は状態に関連する症状の悪化の防止を包含する。一部の実施形態においては、本明細書に開示した蛋白1つ以上を用いた治療の副作用は全く無いか、又は現在使用できる治療法に伴うものよりも少ない。
【0156】
本明細書においては、疾患又は状態の発症を「遅延させる」とは、心臓血管疾患、神経学的疾患、低酸素症(例えば腫瘍低酸素)、失血、又は創傷のような疾患又は状態の発症を変化、遮蔽、緩徐化、遅延、安定化及び/又は延期させることを意味する。この遅延は治療すべき疾患及び/又は個体の履歴に応じて、種々の長さの時間であることができる。当該分野で知られる通り、十分又は顕著な遅延都は、実際には個体が疾患又は状態を発症しない場合である防止も包含する。例えば、方法は方法を使用しない場合と比較して、所定の時間枠における疾患の発症の確率を低減及び/又は所定の時間枠における疾患の範囲を低減してよい。一部の実施形態においては、そのような比較は統計学的に有意な数の対象を用いた臨床試験に基づく。疾患の発症は標準的な臨床手法を用いて検出できる。発症は又、初期には検出不可能である場合がある疾患の進行も指してよく、そして、存在、再発、及び発現を包含する。
【0157】
相対的に低値のOに対するK(例えば約80nM未満、又は約50nM未満)を有する野生型又は変異体のH−NOX蛋白は、低酸素張力を有する組織(例えば腫瘍、一部の創傷、又は酸素張力が極めて低値、例えば1mmHg未満のp50であるような他の区域)を治療するために特に有用であることが期待される。Oに対するそのようなH−NOX蛋白の高い親和性は、OがH−NOX蛋白に結合した状態で残存する時間の長さを増大させ、それにより、治療すべき組織にH−NOX蛋白が到達する前に放出されるOの良を低減する。
【0158】
特定の理論に制約されないが、無細胞赤血球代替物の蘇生液としての利用はO担体のp50の影響を受けると考えられる。例えばMP4と称されるPEG化ヘモグロビン系O担体は一部の低親和性ヘモグロビン系O担体よりも効率的に微小血管にOを送達すると考えられる。MP4は〜5mmHg(おそらくは100〜200nmK)のp50を有すると報告されており、そして、支質非含有のヘモグロビンp50は14mmHg(〜400nmK)である。MP4は組織中の酸素送達が可能であるため(PO〜5から10mmHg)、ビヒクルが低酸素組織にOを送達するための適切なO親和性は約5mmHg未満、そして恐らくは約2mmHg未満であり、これは約80nm未満のKに相当する。これらの値はMP4がネイティブのヘモグロビンよりも高値のO親和性(低値のp50)で操作されていることを示している。平衡の見地から、このことは高親和性O2結合蛋白は末梢血管のような低いO張力の区域に対してより良好にOを送達することを示唆している。
【0159】
身体内の特定部位(例えば組織、臓器、創傷、又は腫瘍)への結合Oを有するH−NOX蛋白の直接の送達に関する一部の実施形態においては、Oは既に蛋白に結合しており(konの重要性を低下させる)、そして酸素は身体内の特定の部位又はその近傍において放出される必要があるため、OのkoffはK値より重要である。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白が循環系中の赤血球の存在下にある場合にもkoffが重要となるが、この場合、それらは赤血球からのOの拡散を促進し、そして恐らくは血管中のより遠い地点までOを輸送する希釈赤血球の能力を延長させると考えられる。
【0160】
個体の血流中を循環するH−NOX蛋白の送達に関する一部の実施形態においては、H−NOX蛋白は肺内のOに結合し、そして身体内の別の部位1つ以上においてOを放出する。これらの用途の一部については、O結合がほぼ平衡となっているためkoffよりもK値が重要である。極端な血液希釈に関する一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はそれが循環系を通過して移動する際に連続的にOに結合し、それを放出することになるため、H−NOX蛋白が主要なO担体である場合にはK値はkoffより重要となる。ヘモグロビンは14mmHgのp50を有しているため、赤血球(キャパシタのように作用する)は〜30mmHgのp50を融資、そしてHBOCは5mmHg〜90mmHgの範囲のものが開発されており、従ってH−NOX蛋白の最適KD範囲は一部の用途においては〜2mmHgから〜100mmHgとなる場合がある。
【0161】
H−NOX蛋白は又、画像化にも使用できる。特に光画像化(例えば光学的コヒーレンス断層撮影;例えば特に光学的コヒーレンス断層撮影に関して参照により全体が本明細書に組み込まれるVillard,J.W.(2002)“Use of a Blood Substitute to Determine Instantaneous Murine Right Ventricular Thickening with Optical Coherence Tomography,”Circulation 105:1843−1849参照)は赤血球により陰影化される。H−NOX蛋白は赤血球よりはるかに小さいため、H−NOX溶液を用いた灌流により循環系及び血管壁のより鮮明な画像が得られる。
【0162】
本発明のH−NOX蛋白及び医薬組成物は何れかの従来の手段、例えば経口、眼内、髄腔内、肺内、気管内、又はエアロゾル投与により;経皮又は粘膜吸着により;又は注射(例えば皮下、静脈内、動脈内、膀胱内、又は筋肉内注射)により個体に投与できる。H−NOX蛋白は又、血液代替物としての使用のための大量の非経腸溶液中に包含させることができる。例示される実施形態においては、H−NOX蛋白は血液(例えば静脈、動脈、又は毛細血管のような血管への投与)、創傷、腫瘍、低酸素組織、又は低酸素臓器に投与される。
【0163】
一部の実施形態においては、組成物の除放性持続放出製剤を使用する。H−NOX蛋白の投与は例えば投与の目的に応じて数秒〜数時間の期間において行うことができる。例えば、血液送達ビヒクルとして、投与の例示される時間経過は可能な限り急速である。他の例示される時間経過は約10、20、30、40、60、90、又は120分のいずれかを包含する。血液代替物としてのH−NOX溶液の例示される注入速度は約30mL/時間〜約13,260mL/時間、例えば約100mL/時間〜約3,000mL/時間である。H−NOX蛋白の例示される総用量は13,260mL/時間において20分間に渡り投与される約900mg/kgである。ブタに対するH−NOX蛋白の例示される総用量は約18.9グラムである。
【0164】
例示される投薬頻度は、限定しないが一週間に少なくとも1、2、3、4、5、6、又は7回(即ち毎日)を包含する。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白は一日に少なくとも2、3、4又は6回投与する。H−NOX蛋白は例えば数日間又は数週間の期間に渡って投与できる。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白はより長期間、例えば数カ月又は数年間投与される。組成物の投薬頻度は担当医の判断に基づいて治療の過程に渡って調節される。
【0165】
上記した通りH−NOX蛋白の投薬量の選択は、利用する剤型、投与の頻度及び回数、治療すべき状態、及び当業者の判断による達成すべき特定の目的に応じたものとなる。一部の実施形態においては、ヒトへの投与のためのH−NOX蛋白の有効量は数グラム〜350グラム超となる。
【0166】
一部の実施形態においては、2種以上の異なるH−NOX蛋白を同時、逐次的、又は併用的に投与する。一部の実施形態においては、Oの送達のために有用な別の化合物又は治療薬をH−NOX蛋白1つ以上の投与と同時、逐次的、又は併用的に投与する。
【0167】
H−NOX蛋白を使用できる1つの例示される治療用途は、例えば特にO担体の治療用途に関して参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許6,974,795及び6,432,918に記載されている。
【0168】
H−NOX蛋白の産業上の用途
本明細書に記載したH−NOX蛋白及び組成物は又、多くのインビトロ又は産業上の用途のために使用できる(特にインビトロ又は産業上の用途に関して参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許6,455,676参照)。このような用途に対して、特定のH−NOX蛋白は、上記した用途のために望ましいO会合速度、O解離速度、O結合に関する解離定数、NO安定性、NO反応性、自動酸化速度、半減期、又はこれらの2つ以上の何れかの組み合わせに基づいて選択することができる。産業上の用途の種々の実施形態においてH−NOX蛋白はヘムに結合できるアポ蛋白、又は結合したヘムを有するホロ蛋白である。
【0169】
H−NOX蛋白は例えばレファレンス標準物質として、そのようなレファレンス標準物質を必要とする分析用計器類のために使用できる。H−NOX蛋白によるOの送達はインビトロにおけるOレベルを維持または上昇させることにより、細胞培養物中の細胞の生育を増強させるために使用できる。これらの用途のためには、H−NOX蛋白は培地に(そして培地中の細胞に)Oを送達するために細胞培養用培地に添加することができる。一部の実施形態においては、Oはそれが細胞培養用培地に添加される前にH−NOX蛋白に結合する。別の実施形態においては、Oはそれが細胞培養用培地に添加される前にはH−NOX蛋白に結合せず、そしてH−NOX蛋白は培地中のある位置から培地中の別の位置にOを輸送する。
【0170】
或いは、細胞を遺伝子的に修飾することによりH−NOX蛋白をコードさせ、これにより、細胞により得られるOの量を増大させることができる。例えば目的の化合物(例えば医薬品用途において有用な小分子又は蛋白)を発現する細胞を遺伝子的に修飾することにより、特に低O条件下で細胞の生育を促進するH−NOX蛋白を生産することもできる(Sullivan等(2006)、“Targeted Oxygen Delivery within Hepatic Hollow Fiber Bioreactors via Supplementation of Hemoglobin−Based Oxygen Carriers,”Biotechnol.Prog.22:1374−87;Frey等(2001)、“Dissection of Central Carbon Metabolism of Hemoglobin−Expressing Escherichia Coli by 13C Nuclear Magnetic Resonance Flux Distribution Analysis in Microaerobic Bioprocesses,”Applied and Environmental Biology67(2):680−687)。更に又、H−NOX蛋白はOの除去を必要とする溶液からのOを除去するために使用できる。
【0171】
H−NOX蛋白を有するキット
本明細書に記載したH−NOX蛋白の何れか及び適当なパッケージを包含する製造物品及びキットも提供される。一部の実施形態においては、本発明は(i)H−NOX蛋白(例えば本明細書に記載した野生型又は変異体H−NOX蛋白又は本明細書に記載したその製剤)及び(ii)個体にOを送達するためにキットを使用するための説明書を伴ったキットを包含する。種々の実施形態において、本発明は(i)H−NOX蛋白(例えば本明細書に記載した野生型又は変異体H−NOX蛋白又は本明細書に記載したその製剤)及び(ii)本明細書に記載した産業上の使用の何れかのためにキットを使用する(例えばレファレンス標準物質としてのそのようなレファレンス標準物質を必要とする分析用計器類のためのH−NOX蛋白の使用、インビトロにおけるOレベルを維持または上昇させることによる細胞培養物中の細胞生育の増強、溶液へのOの添加、又は溶液からのOの除去)ための説明書を伴ったキットを特徴とする。
【0172】
本明細書に記載した組成物のための適当なパッケージは当該分野で知られており、そして例えばバイアル(例えば密封バイアル)、チューブ、アンプル、ボトル、ジャー、フレキシブルパッケージ(例えば密封Mylar又はプラスチックバッグ)等を包含する。これらの製造物品は更に滅菌及び/又は密封してよい。本明細書に記載した組成物を含む単位剤型も提供される。これらの単位剤型は、単一又は多数の単位投薬として適当なパッケージ中に保存することができ、そしてやはり更に滅菌及び密封してよい。本発明のキットにおいて供給される説明書は典型的にはラベル又はパッケージインサート(例えばキットに包含される用紙)上の書面による説明書であるが、機械読み取り式の説明書(例えば磁気又は光学的保存ディスク上に保持されている説明書)も許容される。H−NOX蛋白の使用に関する説明書は一般的に、意図する治療のため、又は産業上の使用のための用量、投薬日程、及び投与経路に関する情報を包含する。キットは更に治療に適する個体を選択することに関する説明も含んでよい。
【0173】
容器は又単位用量、バルクパッケージ(例えば多用量パッケージ)又はサブ単位用量であってよい。例えば、キットは1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月又はそれより長期の長期間に個体に対して有効な治療をもたらすための本明細書に開示したH−NOX蛋白の十分な量を含有する物として提供してよい。キットは又H−NOX蛋白の多重単位用量及び使用のための説明書を包含し、そして、薬局、例えば病院薬局及び調剤薬局における保存及び使用のために十分な量でパッケージしてよい。一部の実施形態においては、キットは、再建、再懸濁、又は水和させることにより一般的にH−NOX蛋白の安定な水性懸濁液を形成することができる乾燥(例えば凍結乾燥)組成物を包含する。
【0174】
H−NOX蛋白の産生のための例示される方法
本発明は又本明細書に記載した変異体H−NOX蛋白の何れかの産生のための方法を提供する。一部の実施形態においては、方法は変異体H−NOX蛋白の産生に適する条件下に変異体H−NOX蛋白をコードする核酸を有する細胞を培養することを包含する。種々の実施形態において、変異体H−NOXはまた精製される(例えば細胞又は培養用培地からのH−NOX蛋白の精製)。
【0175】
上記した通り、数種の野生型H−NOX蛋白及び核酸の配列は知られており、そして本発明の変異体H−NOX蛋白及び核酸を形成するために使用できる。組み換えH−NOX蛋白の変異、発現、及び精製のための手法は、例えば特に組み換えH−NOX蛋白の変異、発現、及び精製に関して参照により全体が本明細書に組み込まれるBoon,E.M.等(2005)、“Molecular Basis For NO Selectivity in Soluble Guanylate Cyclase,”Nature Chemical Biology1:53−59及びKarow,D.S.等(2004年8月10日)、“Spectroscopic Characterization of the Soluble Guanylate Cyclase−Like Heme Domains From Vibrio Cholerae And Thermoanaerobacter Tengcongensis,”Biochemistry43(31):10203−10211により記載されている。これらの手法及び他の標準的手法を何れかの変異体H−NOX蛋白の形成のために使用することができる。
【0176】
特に、本明細書に記載した変異体H−NOX蛋白は当該分野で知られており、多くの方法により形成できる。変異はアミノ酸の化学修飾によりアミノ酸レベルにおいて、又は、所定のアミノ酸に対してコードするヌクレオチド配列の改変によりコドンレベルにおいて、生じることができる。蛋白中の何れかの所定位置におけるアミノ酸の置換はそのアミノ酸に対してコードするコドンを改変することにより達成することができる。これは
例えば(i)Taylor,J.W.等(1985年12月20日)、“The Use of Phosphorothioate−Modified DNA in Restriction Enzyme Reaction to Prepare Nicked DNA”、Nucleic Acids Res.13(24):849−8764;Taylor,J.W.等(1985年12月20日)、“The Rapid Generation of Oligonucleotide−Directed Mutations at High Frequency Using Phosphorothioate−Modified DNA”、Nucleic Acids Res.13(24):8765−8785;Nakamaye,K.L.等(1986年12月22日)、“Inhibition of Restriction Endonuclease NciI Cleavage by Phosphorothioate Group and its Application to Oligonucleotide−Directed Mutagenesis”,Nucleic Acids Res.14(24):9679−9698;及びDente等(1985)、DNA Cloning Glover,Ed.,IRL Press,p.791−802の方法に基づいたAmershamの手法(Amersham変異誘発キット、Amersham,Inc.,Cleveland,Ohio)、(ii)Promegaキット(Promega Inc.,Madison,Wis.)、又は(iii)Kunkel,T.A.(1985年1月)、“Rapid and Efficient Site−Specific Mutagenesis Without Phenotypic Selection”,Proc.Natl.Acad.Sci.USA82(2):488−492;Kunkel,T.A.(1987)、“Rapid and Efficient Site−Specific Mutagenesis Without Phenotypic Selection”,Methods Enzymol.154:367−382;Kunkel米国特許4,873,192の方法に基づいたBioradキット(Biorad Inc.,Richmond,Calif.)を用いた部位指向性変異誘発により達成でき、これらの各々は特に蛋白の変異誘発に関して参照により全体が本明細書に組み込まれる。変異誘発は又、他の市販の、又は非市販の手段、例えば変異体オリゴヌクレオチドとともに部位指向性変異誘発を利用するものによっても達成できる。
【0177】
部位指向性変異誘発は又、特に蛋白の変異誘発に関して各々が参照により全体が本明細書に組み込まれるZengbin等(1992)、p.205−207、PCR Methods and Applications,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York;Jones,D.H.等(1990年2月)“A Rapid Method For Site−Specific Mutagenesis And Directional Subcloning by Using the Polymerase Chain Reaction to Generate Recombinant Circles”,Biotechniques8(2):178−183;Jones,D.H.等(1991年1月)、“A Rapid Method For Recombination And Site−Speficie Mutagenesis by Placing Homologous Ends on DNA Using Polymerase Chain Reaction,”Biotechniques 10(1):62−66に記載されているようなPCR系変異誘発を用いて達成することもできる。部位指向性変異誘発は又当該分野で知られた手法とともにカセット変異誘発を用いながら達成することもできる。
【0178】
変異体H−NOX核酸は標準的な手法を用いて発現ベクターのようなベクター内に取り込むことができる。例えば制限酵素を使用することにより変異体H−NOX核酸とベクターを切断することができる。次に、切断した変異体H−NOX核酸と切断したベクターの適合する末端をライゲーションすることができる。形成したベクターはコードされたH−NOX蛋白の発現のための標準的な手法(例えばエレクトロポレーション)を用いて細胞(例えば昆虫細胞、植物細胞、酵母細胞、又は細菌細胞)内に挿入できる。
【0179】
特に、非相同蛋白は昆虫細胞、植物細胞、酵母細胞、及び細菌細胞のような多くの生物発現系において発現されている。即ち、何れかの適当な生物蛋白発現系を利用することにより大量の組み換えH−NOX蛋白を産生できる。一部の実施形態においては、H−NOX蛋白(例えば変異体又は野生型のH−NOX蛋白)は単離された蛋白である。本明細書においては、「単離された蛋白」とは、例えば核酸、脂質、及び他の蛋白を包含する自然界において蛋白が天然に会合している化合物1つ以上から分離されている蛋白を意味する。単離された蛋白とは又、例えば異なる蛋白2、5、10、20、50又はそれより多くのライブラリのような蛋白のライブラリ中には存在しない。単離された蛋白は例えば蛋白をコードする組み換え核酸の発現により、又は、蛋白の化学合成により、得ることができる。
【0180】
所望によりH−NOX蛋白は標準的な手法を用いて精製することができる。本明細書においては、「精製された蛋白」とは、蛋白が生成された時点において存在する化合物1つ以上から分離されている蛋白(例えば変異体又は野生型のH−NOX蛋白)を意味する。一部の実施形態においては、蛋白は蛋白が生成された時点に存在する他の成分を少なくとも約60重量%含有しない。種々の実施形態において、蛋白は少なくとも約75重量%、90重量%、又は99重量%純粋である。精製された蛋白は例えば天然原料、組み換え発現系、又は化学合成用の反応混合物からの精製(例えば抽出)により得ることができる。精製の例示される方法は免疫沈降、カラムクロマトグラフィー、例えば免疫アフィニティークロマトグラフィー、磁気ビーズ免疫アフィニティー精製、及びプレート結合抗体を用いたパニング、並びに当該分野で知られた他の手法を包含する。純度は何れかの適切な方法、例えばカラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、又はHPLC分析により試験できる。一部の実施形態においては、精製された蛋白は本発明の医薬組成物に配合されるか、又は本発明の方法において使用される。本発明の医薬組成物は精製された蛋白の外に添加剤、担体、又は他の成分を有してよい。
【実施例】
【0181】
本発明の純粋な例示であることを意図し、本発明を如何様にも限定するものとみなしてはならない実施例も又、上記考察した本発明の特徴及び実施形態を説明及び詳述する。実施例は後述する実験が実施した実験の全て又はこれらに限定されることを示す意図はない。特段の記載が無い限り、温度は摂氏で示し、圧力は概ね大気圧である。
【0182】
実施例1:野生型及び変異体のH−NOX蛋白の産生
野生型及び変異体のH−NOX蛋白は本質的に、特にH−NOX蛋白の変異誘発、発現、及び精製に関して参照により全体が本明細書に組み込まれるBoon,E.M.等(2005)、“Molecular Basis For NO Selectivity in Soluble Guanylate Cyclase,”Nature Chemical Biology1:53−59、及びKarow,D.S.等(2004年8月10日)、“Spectroscopic Characterization of the Soluble Guanylate Cyclase−Like Heme Domains From Vibrio Cholerae And Thermoanaerobacter Tengcongensis,”Biochemistry 43(31):10203−10211により記載される通り、標準的な方法を用いて産生、発現、及び精製した。変異誘発はStratagene(La Jolla,CA)より入手したQuickChange(登録商標)プロトコルをもちいて実施した。細胞培養物中の蛋白の発現及びその後の蛋白の精製はKarow,D.S.等(2004年8月10日)、“Spectroscopic Characterization of the Soluble Guanylate Cyclase−Like Heme Domains From Vibrio Cholerae And Thermoanaerobacter Tengcongensis,”Biochemistry43(31):10203−10211により記載される通り実施した。
【0183】
実施例2:変異体H−NOX蛋白の酸素送達ビヒクルとしての特性化
速度論的K:koffのkonに対する比
速度論的K値は本質的に、特にO会合速度、O解離速度、O結合に関する解離定数、自動酸化速度、及びNO解離速度に関して参照により全体が本明細書に組み込まれるBoon,E.M.等(2005)、“Molecular Basis For NO Selectivity in Soluble Guanylate Cyclase,”Nature Chemical Biology1:53−59による記載の通り野生型及び変異体のH−NOX蛋白に関して測定した。
【0184】
on(O会合速度)
ヘムへのO会合は20℃においてフラッシュフォトリシスを用いて測定した。極めて高速の重複組み換え動態の結果としてFeII複合体をフラッシュオフすることは不可能であり;即ちFeII複合体を560nmにおけるレーザー(Hewlett−Packard,Palo Alto,CA)を用いたフラッシュフォトリシスに付すことにより、5−配位のFeII中間体を生成し、これに分子状Oの結合を種々の波長において行った。蛋白試料は10mMジチオナイトを用いた嫌気的還元、その後のPD−10カラム(Millipore,Inc.,Billerica,MA)上の脱塩により行った。次に試料をサイズ100μL〜1mL及びパス長1cmの制御大気圧石英キュベット中50mMTEA、50mMNaCl、pH7.5緩衝液中で20μMヘムまで希釈した。COガスを10分間このキュベットのヘッドスペース上に流すことによりFeIICO複合体を形成し、その形成はUV可視光スペクトル分析(ソレー最大423nm)により確認した。次にこの試料は、なおCOガス1気圧下にある時点でフラッシュフォトリシス後にCO再結合動態を測定するために使用するか、又は、開封して空気中30分間攪拌することにより緩衝液に完全に酸素付与した後にフラッシュフォトリシスを行うことによりO再結合事象を観察した。ヘムへのO会合は時間に対して多数の波長においてモニタリングした。これらの軌跡をIgor Proソフトウエア(Wavemetrics,Inc.,Oswego,OR;最新2005バージョン)を用いて片指数にフィットさせた。この速度は観察波長とは独立していたが、O濃度には依存しており、UV可視光スペクトル分析を常時使用することにより全ての複合体及び中間体を確認した(Cary 3K,Varian,Inc.,Palo Alto,CA)。一過性吸収データを特に計器類に関して参照により全体が本明細書に組み込まれるDmochowski,I.J.等(2000年8月31日)、“Enantioimeric Discrimination of Ru−Substrates by Cytochrome P450cam,”J Inorg Biochem.81(3):221−228に記載の機材を用いて収集した。機器は応答時間20nsであり、データは200メガサンプルs−1においてデジタル化した。
【0185】
off(O解離速度)
offを測定するために、嫌気的50mMTEA、50mMNaCl、pH7.5緩衝液中に希釈した蛋白のFeII複合体(5μMヘム)を種々の濃度のジチオナイト及び/又は飽和COガスを含有する同じ緩衝液(嫌気的)等容量と急速に混合した。データは20℃にセットしたNeslab RTE−100恒温槽を装着したHI−TECH Scientific SF−61ストップドフロー分光光度計上で獲得した(TGK Scientific LTD.,Bradford On Avon,United Kingdom)。ヘムからのOの解離は437nm、即ちFeII−FeII−O差スペクトル、又は425nm、即ちFeII−FeII−CO差スペクトルにおける吸光度の増分としてモニタリングした。最終軌跡を機器の一部であるソフトウエアを用いながら片指数にフィットさせた。各実験は最低6回実施し、得られた速度を平均した。測定した解離速度はジチオナイト濃度(100、50、25、10及び2.5mMジチオナイトを試験した)から独立しており、そして10mMジチオナイト存在下及び非存在下の両方において還元された物質種のためのトラップとしての飽和COからも独立していた。
【0186】
速度論的K
速度論的Kは上記したkoffおよびkonの測定を用いてkonに対するkoffの比を計算することにより求める。
計算されたK
計算されたKを求めるために、上記の通り得られたkoff及び速度論的Kの値をグラフ化した。koff及び速度論的Kの間の直線関係は等式(y=mx+b)により定義した。次にkoff値を直線に外挿し、Excel:MAC2004(Microsoft,Redmond,WA)を用いながら計算されたKを誘導した。測定されたkoffがない場合は、この外挿はKにkoffを関連付ける方法を与える。
【0187】
自動酸化速度
自動酸化速度を測定するために、蛋白試料を嫌気的に還元し、次に好気的な50mMTEA、50mMNaCl、pH7.5緩衝液中5μMヘムとなるまで希釈した。次にこれらの試料を37℃にセットしたNeslabRTE−100恒温槽を装着したCary3E分光光度計中でインキュベートし、周期的にスキャンした(Cary 3E、Varian,Inc.,Palo Alto,CA)。自動酸化速度は時間に対してプロットし、Excel:MAC2004(Microsoft,Redmond,WA)を用いながらフィットさせたFeIII−FeII差スペクトルにおける最大と最小の間及びの差から求めた。
【0188】
NOとの反応の速度
NO反応性は緩衝液A中に2μMに産生された精製蛋白(TtWTHNOX、TtY140HHNOX及びHomo sapiensヘモグロビン(HsHb))及びBufferA(BufferA:50mM Hepes、pH7.5、50mM NaCl)中200μMに産生されたNOを用いて測定した。データは20℃にセットしたNeslabRTE−100恒温槽を装着したHI−TECHScientificSF−61ストップドフロー分光光度計上で獲得した(TGKScientific LTD.,Bradford On Avon,United Kingdom)。蛋白は迅速にNOと1:1比で混合し、その組み込み時間は0.00125秒とした。最大変化の波長を分光光度計の部分であるソフトウエアを用いて片指数にフィットさせ、NOによる酸化の律速段階を本質的に測定した。反応の最終生成物はHNOX蛋白については第2鉄−NOであり、HsHbについては第2鉄水和物であった
p50測定
所望により変異体又は野生型のH−NOX蛋白のp50値を、特にp50値測定に関して参照により全体が本明細書に組み込まれるGuarnone,R.等(1995年9月/10月)“Performance Characteristics of Hemox−Analyzer for Assessment of The Hemoglobin Dissociation Curve”、Haematologica80(5):426−430の記載の通り測定することができる。p50値はHemOx分析器を用いて求める。測定チャンバーは0%酸素において指導させ、そして緩徐に100%酸素となるまで漸次上昇させる。チャンバー内の酸素プローブが酸素飽和%を測定する。第2のプローブ(UV−Vis光)はヘモ蛋白(例えばヘムと複合体化しているH−NOXのような蛋白)のUV−Visスペクトルのアルファ及びベータピークに調節してある吸収の2波長を測定する。これらの吸収ピークはヘモ蛋白が酸素と結合するに従って直線的に増大する。次に未結合から100%結合までのパーセント変化を%酸素値に対してプロットすることにより曲線を作成する。p50はヘモグロビンの50%が酸素に結合する曲線上の点である。
【0189】
特記すれば、Hemox−Analyzer(TCS Scientific Corporation,New Hope,PA)は血液又はヘモ蛋白50μLを酸素の漸増分圧に曝露し、そして窒素ガスによりそれを脱酸素化することによりオキシヘモ蛋白解離曲線(ODC)を求める。Clark酸素電極が酸素張力の変化を検出し、これはx−yレコーダーのx軸上に記録される。生じた酸化ヘモ蛋白画分の増分は560nm及び576nmにおいて二波長分光光度計により同時にモニタリングされ、y軸上に表示される。血液試料は前中静脈から採取し、ヘパリンで抗凝固処理し、そして試験時まで湿潤氷上4℃に維持する。全血50μLを7.4±0.01の値に溶液のpHを維持する製造元提供の緩衝液であるHemox溶液5μL中に希釈する。試料緩衝液をHemox−Analyzerの部分であるキュベット内に導入し、混合物の温度を平衡化させ、37℃とし;次に試料を空気で100%まで酸素付与する。pO値を調節した後、試料を窒素で脱酸素化し;脱酸素化のプロセス中は曲線をグラフ紙上に記録する。Hemox−Analyzerの部分であるソフトウエアを用いながらO飽和が50%となる点としてx軸上にp50値を外挿する。記録を終了するために必要な時間は約30分である。
【0190】
H−NOX蛋白の何れかに関するp50値は、Oに対するH−NOX蛋白のヘモグロビンと比較した場合の相対的親和性の指標としてのヘモグロビンに関するその値と比較することができる。表13はヘモグロビンに関する以前に報告されているp50値を示す。
【0191】
表13.ヘモグロビンの変異体及びその報告された酸素親和性
【0192】
【表13−1】
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【0193】
【表13−2】
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粘度の測定
所望により、剪断速度200/sでCPE−40コーンスピンドルとともにコーン/プレートレオメーター(DV−III型、Brookfield;Middleboro,MA)を用いながらH−NOX溶液の粘度を測定することができる。血液希釈酸素送達実験において投与した1〜4センチポアズ(cP)の粘度を有する溶液は安全であることが報告されている(特に粘度の測定に関して参照により全体が本明細書に組み込まれるWinslow,R.M.等(2004年10月)、“Comparison of PEG−Modified Albumin And Hemoglobin in Extreme Hemodilution in the Rat,”J Appl Physiol.97(4):1527−1534、米国特許6,974,795及び6,432,918)。従って、一部の実施形態においては、H−NOX蛋白溶液の年度は1〜4cPである。
【0194】
コロイド浸透圧測定
所望により、コロイド浸透圧をコロイド浸透圧計を用いながら製造元の説明書に従って測定することができる(4420型、Wescor店Logan,UT)。コロイド浸透圧を測定するための例示される方法は特にコロイド浸透圧の測定に関して参照により全体が本明細書に組み込まれるVandegriff,K.D.等(1997年11月)、“Colloid Osmotic Properties of Modified Hemoglobins:Chemically Cross−Linked Verses Polyethylene Glycol Surface−Conjugated,”Biophys.Chem.69(1):23−30、www:anaeshesiamcq.com/FluidBook/fl2_4.php;米国特許6,974,795及び6,432,918に記載されている。血液希釈酸素送達実験において投与された20〜50mmHgのコロイド浸透圧を有する溶液は安全であることが報告されている(Winslow,R.M.等(2004年10月)、“Comparison of PEG−Modified Albumin And Hemoglobin in Extreme Hemodilution in the Rat,”J.Appl.Physiol.97(4):1527−1534)。従って、一部の実施形態においては、H−NOX蛋白溶液のコロイド浸透圧は20〜50mmHgである。
【0195】
実施例3:O担体H−NOX変異体に関する外科処置モデル:ラット極限的血液希釈におけるO担体H−NOX変異体のパネルとH−NOXの比較
H−NOX変異が外科処置モデルにおいてOを輸送する能力を評価するために、確立されたプロトコル(特に外科処置モデルに関して参照により全体が本明細書に組み込まれるWinslow,R.M.等(2004年10月)、“Comparison of PEG−Modified Albumin And Hemoglobin in Extreme Hemodilution in the Rat,”J.Appl.Physiol.97(4):1527−1534)の適合をラットにおける連続交換輸血を用いながら実施することができる。
【0196】
馴化させた雄性Sprague−Dawleyラットをケタミン(40mg/kg)、アセプロマジン(0.75mg/kg)及びキシラジン(3mg/kg)の混合物を含有するげっ歯類カクテルの筋肉内注射により麻酔する。ポリエチレンチューブ製のカテーテル(Clay Adams PE−50及びPE−10)を両方の大腿動脈及び片方の大腿静脈内に移植する。カテーテルを尾部の基部において外在化させ、保護と将来の接触のために尾部シースにより被覆する。手術創を閉鎖した後、動物を自身のケージに戻し、覚醒させ、24時間回復させた後に実験を開始する。動物には回復中は飼料及び水を自由摂取させる。血液力学的測定のために、大腿動脈カテーテルをストップコック及び23ゲージ針を介して圧力トランスデューサーに連結し、動脈圧を100Hzにおいて連続的にサンプリングする。
【0197】
動脈pH、PCO、及びPOを血液の100μlヘパリン処理試料を用いながらBayer248型血液ガス分析機において測定する。乳酸はYSIラクテート分析機(Yellow Springs Institute,Yellow Springs,OH)を用いながら大腿動脈血液において測定する。総CO、標準重炭酸(HCO)、及び塩基過剰(BE)をPCO、pH、及びHb濃度から計算する。
【0198】
完全覚醒動物(各投与群につきn=5)をプレクシガラス拘束器中に入れる。動脈及び静脈カニューレをそれぞれ200及び100μlのヘパリン加食塩水(100U/ml)でフラッシュする。動脈及び静脈カテーテルを注入ポンプ(Labconco4262000型、Kansas City,MO)に連結し、交換輸血を100分間0.5ml/フンの速度で実施する。即ち、交換される溶液の総容量は50ml又は2.5血液容量とする。被験物質の注入と厳密に同じ速度で血液が除去されるように蠕動ポンプを作動させる。被験溶液は、注入前にウォーターバスで37℃まで加温し、注入の間は加熱パッドにより温かい状態を維持する。100分の交換期間の終了時に、生存動物は更に70分間モニタリングした後に安楽死させる。血液試料(0.3ml)を10分ごとに採取して血液学的及び血液ガス分析に付する。
【0199】
投与群はNO又はOの解離定数、NO反応性、安定性、生理学的適合性、又はこれらの2つ以上の何れかの組み合わせに関してあらかじめ試験されているH−NOX蛋白1つ以上を投与される動物を包含する。赤血球H−NOX及びペンタスターチ投与群をそれぞれ陽性及び陰性対照群として設ける。
【0200】
客観的終点は生存及び酸−塩基の混乱及び乳酸の蓄積を合図とする嫌気的代謝の開始を包含する。対照群と比較した場合に生存率を上昇させる(例えば生存率の統計学的に有意な上昇をもたらす)H−NOX蛋白は、極限的血液希釈において組織に酸素付与するために有用である。そのようなH−NOX蛋白はOの送達が有利である他の適応症を治療するためにも有用であることが期待される。
【0201】
実施例4:O担体H−NOX変異体に対する外傷モデル:出血性ショックのラットモデルにおける血圧、腸血流、及び腸酸素付与に対するO担体H−NOX変異体及び組み換えヘモグロビン溶液の作用の比較
外傷モデルにおいてOを輸送するH−NOX蛋白の能力を評価するために、確立されたプロトコル(特に外傷の動物モデルに関して参照により全体が本明細書に組み込まれるRaat,N.J.等(2005年1月)、“Effects of Recombinant−Hemoglobin Solution rHb2.0 and rHb1.1 on Blood Pressure,Intestinal Blood Flow,And Gut Oxygenation in a Rat Model of Hemorrhagic Shock,”J Lab Clin Med.145(1):21−32)の適合を出血性ショック及び蘇生の固定圧力(40mmHg)ラットモデルにおいて実施することができる。
【0202】
Wistarラットを90mg/kgケタミン、0.5mg/kgメデトミジン、及び0.005mg/kgアトロピンスルフェートの混合物の腹腔内注射により麻酔する。各ラットの体温はラットの直腸に設置した温度プローブにより温度制御される加熱パッドの使用により36.5℃〜37.5℃に維持する。更に又、ラット上方40〜50cmに配置したセラミック加熱ランプの使用により熱損失を補償する。機械的換気のために、気管切開を実施し、気管内0.5cmに長さ3.5cmの6Fポリ塩化ビニルチューブを設置し、縫合固定する。改造した小児用換気装置を用いて動物を換気する。換気による体液の損失を最小限にするために、換気チューブの前に湿度フィルターを設置する。このフィルターの側方ポートを使用してカプノグラフを使用しながら呼吸終期のCOをモニタリングする。ベースライン血液試料を採取することにより確認した場合に外科処置中は35〜45mmHgの動脈PCO値が維持されるように呼吸相(0.25〜0.35)及び呼吸速度(50〜75呼吸/分)のような換気パラメーターを調節する。実験終了時までそれ以外の調節は行わない。
【0203】
血管は0.5x0.9mmのポリエチレン静脈カテーテルを用いながら挿管する。カテーテルにはヘパリン25IUを添加した0.9%NaCl溶液を充填する。右頸動脈カテーテルは20cmまで短縮化し、平均動脈圧(MAP)及び心拍数の連続モニタリングのために圧力トランスデューサーに連結する。MAPは以下の式、即ち:(収縮期血圧−拡張期血圧)/3+拡張期血圧を用いて計算する。更に又、15mL/kg/時のリンゲルラクテート及び5mL/kg/時の維持麻酔剤(リンゲルラクテート中ケタミン50mg/kg/時)で補助的輸液を行うために頸静脈に挿管する。大腿動脈は血液撤去及び動脈血試料採取のために挿管する。大腿静脈は蘇生液の注入及び静脈血ガス試料採取のために挿管する。
【0204】
腹部正中切開を各ラットにつき実施し;腹部をサランラップで被覆することにより体液の蒸発を防止する。サランラップを穿刺して小孔を開け、微小循環PO測定のための光ファイバーが接触できるようにする。腸間膜静脈血試料採取のために回盲静脈も0.8mmのポリエチレンカテーテルで挿管する。
【0205】
腸の微小血管POはパラジウム−ポルフィリンりん光の酸素依存性クエンチングの以前に記載された手法を用いて測定する。2.5〜3時間の外科処置の後、HSA溶液にカップリングしたパラジウム(II)メソ−テトラ(4−カルボキシフェニル)ポルフィン(4%アルブミン溶液10mL中50mg、4ミリモル/Lパラジウム−ポルフィリン溶液、pHはHClで7.4に調整)を15分間9.6mL/kg/時の速度で12mg/kg体重の用量で注入する。
【0206】
光パルスによるパラジウム−ポルフィリンの励起により時間崩壊を伴ったりん光の発射が起こり、これは酸素濃度と定量的に関連している(Vanderkooi,J.M.等(1987年4月25日)、“An Optical Method for Measurement of Dioxygen Concentration Based Upon Quenching of Phosphorescence,”J.Biol.Chem.262(12):5476−5482)。微小血管PO測定は回腸の近位部分の上方に位置させた光ファイバーを用いて行う。パラジウム−ポルフィリンの注入の前にフラッシュランプを記録し、逆重畳アルゴリズムを用いて酸素濃度を計算する。パラジウム−ポルフィリン用液の注入及び45分間の安定化の後、ベースラインの血液試料(0.2mL/試料)を大腿動脈、大腿静脈、及び腸間膜静脈から採取し、血液ガス測定に付す。血液試料は血液ガス分析器及びヘモキシメーターで測定する。
【0207】
MAPがほぼ40mmHgとなるまで数分間約1mL/分の速度でヘパリンを含有する(25IU/mL血液)3mLシリンジ中に大腿動脈から血液を採取することにより出血性ショックを誘導する。MAPは45分間、更に採血又は輸血することによりこのレベルに維持する。蘇生直前、血液試料(0.2mL/試料)を大腿動脈、大腿静脈、及び腸間膜静脈から採取し、血液ガス測定に付し、同量のラット血液(出血性ショックの間に収集したもの)を再注入する。ショック期間後、動物達はランダムに8つの異なる蘇生グループの1つに割り当てられる。蘇生は野生型及び変異体のH−NOX蛋白を用いるか、又は別のO担体、例えば組み換えヘモグロビン溶液rHb1.1(Baxter)、rHb2.0(Baxter)、血清非含有ヘモグロビン(標準溶液)、MP4(Sangart)、ヘモピュア(Biopure)、又はポリヘム(Northfield Labs)(Raat,N.J.等(2005年1月)、J Lab Clin Med.145(1):21−32;保存溶液濃度100mg/mL)を用い、全て20mL/kg(2g/kg)の用量において、60mL/kg/時の速度で注入する。同じ用量(20mL/kg)及び速度で注入するHSA(13.4%アルブミン溶液)を蘇生中の圧力及び流動に対する容量の作用に関する対照として使用する。蘇生完了時、0.2mLの血液試料を30、60、90及び120分後に大腿動脈、大腿静脈、及び腸間膜静脈から採取し、各時点において同量のラット血液を戻す。
【0208】
別のO担体(例えばrHb1.1、rHb2.0、血清非含有ヘモグロビン、MP4、ヘモスパン、又はポリヘム)により、又はコロイド浸透圧的に適合したHASにより誘発されるものと比較して同じか低値の(例えば実質的に、又は有意に低値の)全身血管収縮、同じか低値のMAP上昇、又は同じか低値の腸間膜血管抵抗(MVR)増大を蘇生後に誘発するH−NOXは、出血性ショックを治療するために有用である。そのようなH−NOX蛋白はO送達が有利である他の適応症を治療するためにも有用であることが期待される。
【0209】
上記した例及び詳細な説明は例示によるものであり、限定するものではない。本明細書において引用した全ての公開物、特許出願及び特許はそれらの公開物、特許出願又は特許が特定的及び個別に参照により組み込まれるがごとく、参照により本明細書に組み込まれる。上記した発明は例示により、そして例えば理解の明確化の目的のために一部詳細に説明したが、本発明の教示に鑑みれば特定の変更又は改変を添付請求項の精神又は範囲から外れることなく行えることは当業者の知る通りである。
【0210】
特段の記載が無い限り、本明細書において使用した全ての技術的及び科学的な用語の意味は本出願属する分野の当業者が共通して理解するものである。当業者の知る通り、当然ながら、本明細書に記載したものと同様又は等価である何れの方法及び材料も本発明の実施又は試験のための使用できる。
【0211】
本明細書において使用する場合、特段の明確な記載が無い限り、単数表記は複数も意味する。
【0212】
数値又はパラメーターに「約」と言及する場合は本明細書においてはその数値又はパラメーター自身を指向する実施形態を包含(そして説明)する。例えば、「約X」と言及している記載は、「X」の記載を包含する。
【0213】
本明細書に記載する本発明の特徴及び実施形態は、特徴及び実施形態を「含む」、「これよりなる」、そして「本質的にこれよりなる」ことを包含する。
【図1A】
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【図1B】
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【図1C−1H】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図8G】
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【図8H】
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【図8I】
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【図8J】
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【図8K】
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【図8L】
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【図8M】
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【図8N】
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【図8O】
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【図8P】
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【図8Q】
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【図8R】
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【図8S】
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【図8T】
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【図8U】
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【図8V】
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【図8W】
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【図8X】
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【図8Y】
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【図8Z】
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【図8AA】
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【図8BB】
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【図8CC】
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【図8DD】
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【公表番号】特表2009−538134(P2009−538134A)
【公表日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512107(P2009−512107)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/012184
【国際公開番号】WO2007/139791
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.サランラップ
【出願人】(592130699)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (364)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of The University of California
【Fターム(参考)】