説明

三つ又クリップロック

【課題】ロックされているとき高い固定力を有し、大きな横力により外殻が壊れたりロックできなるなるのを防ぐことができる三つ又クリップロックを提供する。
【解決手段】本発明は、外殻(1)と三つ又クリップリード(2)と偏心輪(3)とを備える三つ又クリップロックであり、前記三つ又クリップリード(2)は、前記外殻(1)内に配置され、前記偏心輪(3)に合致する孔部(12)を有し、前記孔部(12)内の偏心輪(3)が回転すると、前記三つ又クリップリード(2)は前後に動き、前記外殻(1)には前記三つ又クリップリード(2)を支持するための凸部(7)が備えられ、前記偏心輪は扇形偏心輪(3)であり、前記孔部(12)は、長方形と円形とが組み合わされた半円形孔部で前記扇形偏心輪(3)と合致する三つ又クリップロック、及び支持する前記凸部(7)の内側端部は上向きに傾斜する斜面であり、前記三つ又クリップリードが延びる方向は前進方向である請求項1に記載の三つ又クリップロックを提案する。この改良された三つ又クリップロックでは、偏心輪が180度回転し、その部分をロックするとき、扇形偏心輪の側面は、三つ又クリップリードの半円形孔部のもう一つの長方形端部の線状側面に堅く接触する。その固定力は、従来と同様な円形偏心輪と固定凸部を備える偏心輪の場合に比べ大きく、その側面固定トルクに対する抵抗力は効果的に改善されて、不具合の可能性は低減している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は溝部を備える簡易な接続ロック、特に三つ又クリップリードを有する三つ又クリップロックに関する。
【背景技術】
【0002】
市販されている三つ又クリップロックは外殻と三つ又クリップリード(reed)と偏心輪とを備える。その外殻は一体(ワンピース)の中空構造であり、その前端部は溝部とリード誘導凸部と共に位置するつまみ部を備え、その後端部は偏心輪取り付け孔部とリード支持凸部を備える。三つ又クリップリードの前端部は、そのリードを幅の異なる3つの部分に分ける二つの対称な溝部を備える。
【0003】
180度上方へ婉曲している両側が前方固定棒部であり、180度下方へ婉曲している真ん中が後方固定棒部であり、リードの中間部には下方へ婉曲している小固定棒部を有し、偏心輪と合致する円形孔部はリードの後ろ側にある。偏心輪の上部は輪形スパナ孔部である。上部円筒部と下部円筒部は同心であり外殻と合致し、その中間部は三つ又クリップリードの円形孔部と合致する偏心輪であり、上部円筒部と下部円筒部とに対して偏心性を有し、偏心輪の動きに従いリードは前後に動き、外殻の誘導凸部に沿ってその部分を固定する。
【0004】
欧州特許EP0166794では、偏心輪によりリードは前後に動いて、偏心輪が180度以上回転するのを防ぐ。この両機能は、偏心輪と停止凸部により実行される。偏心輪が時計回りに180度回転したとき、偏心輪はリードを後方に押し、それにより停止凸部は三つ又クリップリードの偏心輪孔部の側面にしっかり接触し、偏心輪が180度以上回転するのを防ぐ。
【0005】
この構造には、以下の欠点がある。a.このリードの製造は非常に複雑である。リードの後尾部が90度上方向に婉曲しており、上方および下方固定棒部の固定寸法を確保することが難しい。b.この偏心輪の製造は非常に複雑である。リードの動く距離を確保するために、偏心輪は非常に大きく、偏心輪の邪魔にならないように外殻に穴を開けなければならないため、外殻の強度が低下する。c.構造的に大きさに限りがあるため、固定凸部の大きさが限られ、よってその固定力は非常に弱く、ロックするトルクが非常に大きい場合、外殻が壊れ、ロックできなくなる。
【0006】
中国特許ZL98226976.5もまた三つ又クリップロックを提案しているが、その偏心輪は従来の円形構造である。偏心輪によりリードが前後に動き、偏心輪が180度以上回転するのを防ぐ。この両機能は、円形偏心輪により実行される。偏心輪が時計回りに回転するとき、リードの長円形孔部と共に偏心輪はリードを後方に押し、それが180度以上回転するとき、偏心輪は三つ又クリップリードの長円形孔部の側面にしっかり接触し、偏心輪が180度以上回転するのを防ぐ。
【0007】
その欠点は以下のとおりである。a.この偏心輪の偏心部は従来の円形構造であるため、ロックされているとき、この固定力が弱くその偏心率に等しい程度にすぎないため、偏心輪が180度以上回転するとき、その横力は倍増し、外殻が壊れロックできなくなるということが起こる。b.偏心輪が外れて180度以上回転するとき、そのセルフロック角度が小さいため、セルフロック問題が起こり、そのため、偏心輪が取り付け不可能となり、ロックの組み立てと分解が影響を受けてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の全ての技術的問題を解決するためにある。ロックされているとき高い固定力を有し、大きな横力により外殻が壊れたりロックできなくなることを防ぐことができる三つ又クリップロックを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の技術的問題を解決するために、本発明は以下の解決方法を用いる。それは、外殻(1)と三つ又クリップリード(2)と偏心輪(3)とを備える三つ又クリップロックであり、前記三つ又クリップリード(2)は、前記外殻(1)内に配置され、前記偏心輪(3)に合致する孔部(12)を持ち、前記孔部(12)内の偏心輪(3)が回転すると、前記三つ又クリップリード(2)は前後に動き、前記外殻(1)には前記三つ又クリップリード(2)を支持するための凸部(7)が備えられ、前記偏心輪は扇形偏心輪(3)であり、前記孔部(12)は、長方形と円形とが組み合わされた半円形孔部で前記扇形偏心輪(3)と合致する。
【0010】
支持する前記凸部(7)の内側端部は上向きに傾斜する斜面であり、前記三つ又クリップリードが延びる方向は前進方向である請求項1に記載の三つ又クリップロック。
【0011】
従来の技術と比較し、本発明は以下の利点がある。
【0012】
1.この改良された三つ又クリップロックは、偏心輪が180度回転してその部分をロックするとき、扇形偏心輪の側面は、三つ又クリップリードの半円形孔部のもう一つの長方形端部の線状側面にしっかり接触するため、その固定力は、従来の同様な円形偏心輪と固定凸部を備える偏心輪のロックに比べ大きく、その側面固定トルクに対する抵抗力は効果的に改善されている。固定力が大きくなるとセルフロック角度が大きくなるため、偏心輪が外れて180度以上回転するとき、セルフロックの問題は起こらず、偏心輪は容易に取り付け可能であり、このロックは容易に組み立てられ分解されることができる。
【0013】
2.外殻の後部にあるリードの誘導支持凸部が、直線状の端部から傾斜のある端部へと変化した後、間違った操作などでリードが下方に動くとき、リードはその傾斜のある端部にそって元の位置に戻ることができ、それにより、信頼性が確保され、外殻の強度が向上される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】三つ又クリップロックの構造図である。
【図2】三つ又クリップロック外殻の構造図である。
【図3】図2の上面図である。
【図4】三つ又クリップロックの三つ又クリップリードの構造図である。
【図5】図4の上面図である。
【図6】三つ又クリップロック偏心輪の構造図である。
【図7】三つ又クリップロックの動作状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
解説図面と共に、本発明の詳細を以下に説明する。図1に示すように、それは主に外殻1と三つ又クリップリード2と扇形偏心輪3とで構成される。外殻1は一体(ワンピース)の中空構造である。図2、図3に示すように、その前端部には溝部とリード誘導凸部5と共に位置するつまみ4を備え、その後端部は偏心輪3のための取り付け孔部6と傾斜のあるリード支持凸部7を備える。
【0016】
図4、図5に示すように、三つ又クリップリード2の前端部は、そのリードを異なる幅で3つの部分に分ける二つの対称な溝部を備える。両側の180度上方に婉曲しているのが前方固定棒部9であり、真ん中の180度下方に婉曲しているのが後方固定棒部10である。三つ又クリップリード2の中間部は下方に傾斜している小固定棒部11を備える。半円形孔部12が、長方形と円形とが組み合わされた扇形偏心輪3と合致して三つ又クリップリード2の後方に位置する。
【0017】
図6に示すように、偏心輪の上部には輪形スパナ孔部13がある。上部円筒部14と下部円筒部15は同心であり、外殻1と合致する。その中間部は扇形偏心輪16であり、三つ又クリップリード2の半円形孔部12と合致し、離心率hを有する。扇形偏心輪16の弧に対応する弦は上部円筒部14の直径以下だけでなく以上でもよく、弧の両端から上部円筒部14への接線間の傾斜角bは120度以下であるほうがよい。
【0018】
使用するときはまず、偏心輪を外殻1とぴったり重ねて押さえ、そしてそれを偏心輪孔部の部分に垂直に挿入する。図7に示すように、三つ又クリップリード2の小固定棒部11の弾性力により、偏心輪はその部分から押し出される。接続された部分の側面溝部へロックと組み立てられた部分を挿入し、輪形スパナと共に偏心輪を時計周りに回転させる。三つ又クリップリードの半円形孔部12と扇状偏心部3により三つ又クリップリード2は後方に動く。
【0019】
偏心輪が180度回転したとき、扇形偏心輪3の側面は三つ又クリップリード半円形孔部12の線状側面に堅く接触し、偏心輪が180度以上回転しロックできなくなることを防ぐ。一方、外殻1の誘導凸部5の機能により、三つ又クリップリード2の前方および後方固定棒部9,10は溝部分の内側に開いて引っ掛かり、両方の部分を互いにロックさせる。そのとき、図5に示すように、三つ又クリップリード2の後尾部は外殻1の支持凸部7の上にあり、偏心輪が下方に動くことを防ぐ。
【0020】
図5に示すように、偏心輪が180度時計回りに回転してその部分をロックしたとき、扇形偏心輪3の側面が三つ又クリップリード半円形孔部12の線状側面にしっかり接触する。そのとき、その固定力nは従来と同様な円形偏心輪と固定凸部を有する偏心輪を備える場合より大きく、その側面固定トルクに対する抵抗力が効果的に向上する。固定力が大きくなるとセルフロック角度aが大きくなるため、偏心輪が外れて180度以上回転するとき、セルフロックの問題は起こらず、偏心輪は取り付け可能であり、このロックはより容易に組み立てられ分解される。
【符号の説明】
【0021】
1 外殻
2 三つ又クリップリード
3 扇形偏心輪
4 つまみ
5 リード誘導凸部
6 取り付け孔部
7 リード支持凸部
8 溝部
9 前方固定棒部
10 後方固定棒部
11 小固定棒部
12 半円形孔部
13 輪形スパナ孔部
14 上部円筒部
15 下部円筒部
16 扇形偏心輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外殻(1)と三つ又クリップリード(2)と偏心輪(3)とを備える三つ又クリップロックであり、前記三つ又クリップリード(2)は、前記外殻(1)内に配置され、前記偏心輪(3)に合致する孔部(12)を有し、前記孔部(12)内の偏心輪(3)が回転すると、前記三つ又クリップリード(2)は前後に動き、前記外殻(1)には前記三つ又クリップリード(2)を支持するための凸部(7)が備えられ、前記偏心輪は扇形偏心輪(3)であり、前記孔部(12)は、長方形と円形とが組み合わされた半円形孔部で前記扇形偏心輪(3)と合致する三つ又クリップロック。
【請求項2】
支持する前記凸部(7)の内側端部は上向きに傾斜する斜面であり、前記三つ又クリップリードが延びる方向は前進方向である請求項1に記載の三つ又クリップロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−531416(P2010−531416A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513615(P2010−513615)
【出願日】平成20年2月2日(2008.2.2)
【国際出願番号】PCT/CN2008/000277
【国際公開番号】WO2009/000135
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(506229718)チャンゾウ リントン エキジビション プロダクツ カンパニー リミテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】Changzhou lingtong exhibition products Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.63 Linjin Road, Yaoguan, Changzhou, Jiangsu, 213011, P.R.China
【Fターム(参考)】