説明

三次元回転機構及びそれを備えたボールミル及び混練装置

【課題】応用範囲の広い三次元回転機構を提供する。
【解決手段】第1枠体3と、当該第1枠体の枠内に配した第2枠体9の回転に加え、当該第2枠体の枠内に配した被回転体15を、当該第2枠体の回転に従動して、第3回転軸の回りで回転させることによって3軸三次元回転機構を構成する。第2枠体は第1枠体の回転に従動させる。被回転体には3軸回転による遠心力が作用するので、被回転体とその収容物が一体回転する、いわゆる供回りを抑制することができるので、ボールミルに好適である等応用範囲が広い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元回転機構及びそれを備えたボールミル及び混練装置に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元回転機構を備えた装置として、特許文献1に記載されたクリノスタット装置がある。このクリノスタット装置が備える三次元回転機構(以下、「従来の回転機構」という)は、第1枠体と、当該第1枠体を第1回転軸の回りで回転させる第1枠体用駆動機構と、当該第1枠体の枠内に配した第2枠体と、当該第2枠体を、当該第1枠体の回転に従動して、当該第1回転軸と直交する第2回転軸の回りで回転させる第1従動機構と、によって構成されている。すなわち、従来の回転機構は、第1の回転軸と第2の回転軸の2軸回転するように構成されている。上記以外のクリノスタット装置も、同じく2軸回転するように構成されている(特許文献2,3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2008−273276号公報
【特許文献2】 特開2003−70458号公報
【特許文献3】 特開平11−264716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、2軸回転の三次元回転機構では、特に、高速回転を必要とする場合に問題が生じる。発明者は、三次元回転機構を、ボールミルに応用して、次の実験を行った。すなわち、前掲の背景技術の欄で述べた第2枠体とミルポットを一体化させ、第1枠体の回転とともに第2枠体の回転によってミルポットが三次元回転するように構成した上で、ミルポットの中の様子を観察した。実験に使用したミルポットは、透明ポリエチレン製の球体容器で半径120mmのものを用いた。球体ミルポットの中には、直径が2、3、5、8mmの合成樹脂製ビーズ(ビーズ群)を混入した。ミルポットに対するビーズの占有比率は40%前後とした。ビーズは多色とした。多色とすることによりミルポット内部ビーズ様子を見やすくするためである。
【0005】
上記ミルポットの回転数が徐々に上がるにつれて、底部に滞留していたビーズ群が回転の中で内壁に沿って徐々に上昇し、やがて落下することが繰り返されるようになった。回転数が100rpmを超えたあたりから、ビーズ群の落下が鈍くなり(上昇した状態で留まる)、150rpmを過ぎると全く落下しなくなった。すなわち、ミルポット内壁にへばり付いて、ミルポットとともに回転してしまう状態が形成された。この状態は、ミルポット内壁とビーズ群とが供回り状態にあり、両者間の移動がないことを示す。これは、ミルポットの回転によってビーズ群に加わる遠心力が、重力と同じ若しくはそれを上回ったためである。供回り状態では、ビーズ群の落下や衝突が起きないので、効率よい粉砕は不可能である。遠心力は、回転軸からの距離に比例するから、容量を増やすためにミルポットの直径をより大きくすれば、被粉砕物(ビーズ群)が回転軸から遠のき、遠のいた分だけ遠心力が大きくなる。重力の大きさは変わらないから、直径を大きくしたなら、その分、回転数を落とさなければ供回り減少が生じてしまう。上記実験は、あくまでもボールミルを想定して行ったものではあるが、供回り現象の抑制は、三次元回転機構を応用する他の装置、たとえば、混練装置、脱泡装置、撹拌装置、等にとっても重要な課題である。この課題を解決すれば、三次元回転機構の応用範囲の大幅な拡大を図ることができる。すなわち、供回り問題を解消することにより、三次元回転機構の応用範囲を拡大することが、本発明が解決しようとする課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために発明者は、実験を行った結果、既存の2軸回転を前提とし、これに、もう1軸加えて3軸回転とすることにより、供回り現象を抑制することに成功した。その詳しい内容については、項を改めて説明する。なお、いずれかの請求項に係る発明を説明するに当って行う用語の定義等は、記載順は発明のカテゴリーの違い等に関わりなく、その性質上可能な範囲において他の請求項記載に発明にも適用されるものとする。
【0007】
(請求項1記載の発明の特徴)
請求項1記載の発明に係る三次元回転機構(以下、適宜「請求項1の回転機構」という)は、第1枠体と、当該第1枠体を第1回転軸の回りで回転させる第1枠体用駆動機構と、当該第1枠体の枠内に配した第2枠体と、当該第2枠体を、当該第1枠体の回転に従動して、当該第1回転軸と直交する第2回転軸の回りで回転させる第1従動機構と、当該第2枠体の枠内に配した被回転体と、当該被回転体を、当該第2枠体の回転に従動して、第3回転軸の回りで回転させる第2従動機構と、を含めて構成してある。ここで、「回転軸」とは、回転の中心軸となる直線のことをいう(以下、同じ)。
【0008】
請求項1の回転機構によれば、第1枠体用駆動機構の働きによって、第1回転軸の回りを第1枠体が回転する。回転方向は問わず、時計回り方向でもよいし反時計回り方向でもよい。第1枠体の回転は、第1従動機構を介して第2枠体を回転させる。第2枠体の回転は第2回転軸の回りで行われる。第2枠体の回転方向は問わない。第2枠体の回転は、被回転体を回転させる。被回転体の回転は、第3回転軸の回りで行われる。被回転体の回転方向は問わない。第1回転体と第2回転体の回転という2軸回転までは、従来の三次元回転機構のそれと変わりないが、それに、第3回転軸を加えた3軸回転となっているので、被回転体に加わる遠心力の総和が重力と釣り合いにくくなる。この結果、請求項1の回転機構の応用範囲を拡大することができる。
【0009】
請求項2記載の発明に係る三次元回転機構(以下、適宜「請求項2の回転機構」という)は、請求項1の回転機構の構成を前提とし、その好ましい態様として、次のように構成した。すなわち、前記第1従動機構が、前記第1枠体の枠内かつ前記第2枠体の枠外(すなわち、第1枠体と第2枠体の間)で前記第1枠体と同軸一体回転する第1固定軸と、当該第1固定軸の先端に当該第1固定軸に対して回転不能に同軸固定した第1固定原車と、前記第2枠体と同軸一体回転するように前記第2枠体枠外に固定した第1回転従車と、を含めて構成してある。ここで、当該第1回転従車が、前記第2枠体の回転半径よりも大径に構成してあり、当該第1固定原車と当該第1回転従車とが、噛み合った歯車同士又は摩擦接触し合った摩擦車同士によって構成してあり、前記第1枠体の回転による当該第1固定原車の回転が、歯車伝達又は摩擦伝達によって当該第1回転従車を従動回転させるように構成してある。
【0010】
請求項2の回転機構によれば、請求項1の回転機構の作用効果に加え、次の作用効果を奏する。すなわち、まず、第1枠体の回転が、第1固定軸を介して第1固定原車を従動回転させる。第1固定原車は、歯車同士の噛み合わせ若しくは摩擦車同士の摩擦接触によって第1回転従車を従動回転させる。第1回転従車は第2枠体と同軸一体回転するように構成してあるので、この第1回転従車の回転によって第2枠体が回転する。このように第2枠体は、第1枠体に従動し、第1枠体は、第1枠体用駆動機構によって駆動される。換言すれば、第2枠体を駆動するための駆動機構を設けなくても、第2枠体を回転させることができる。第2枠体用駆動機構を設けたとしたら、それ自体を第2枠体とともに回転させ、かつ、同機構に電源を供給することも必要になるが、請求項2の回転機構によれば、そのような必要はない。つまり、第2枠体ひいては装置全体のシンプル化かつ小型化をはかることができる。
【0011】
(請求項3記載の発明の特徴)
請求項3記載の発明に係る三次元回転機構(以下、適宜「請求項3の回転機構」という)は、請求項は2の回転機構の構成を前提とし、その好ましい態様として、次のように構成した。すなわち、前記第2従動機構が、第2枠体主軸受け機構と、第2枠体副軸受け機構と、第2固定軸と、第2固定原車と、第2回転従車と、を含めて構成してある。当該第2枠体主軸受け機構が、前記第1枠体と前記第2枠体のうちいずれか一方に対して回転不能に固定し他方に対して回転自在に固定した中空軸と、当該中空軸内を通過させた当該第2固定軸に対して回転自在とする中空軸内軸受けと、を含めて構成してあり、当該第2枠体副軸受け機構が、当該第2枠体主軸受け機構と協働して前記第2枠体を前記第1枠体に対して回転自在とするように構成してある。当該第2固定軸が、前記第2回転軸と同軸であって、当該第2固定軸の一端が前記第2枠体の枠内に突き出し、他端が前記第1枠体に回転不能に固定してあり、当該第2固定原車が、当該第2固定軸一端に回転不能に同軸固定してある。当該第2回転従車が、前記第1回転軸と同軸であって、前記第2枠体に対して第2枠体従車軸受けを介して回転自在に固定かつ前記被回転体に対して回転不能に固定してあり、当該第2回転従車には、前記被回転体を一体回転するように固定してある。当該第2固定原車と当該第2回転従車とが、噛み合った歯車同士又は摩擦接触し合った摩擦車同士によって構成してあり、前記第2枠体の回転によって当該第2回転従車が当該第2固定原車周縁を周回する際に受ける歯車伝達又は摩擦伝達によって当該第2回転従車を従動回転させるように構成してある。
【0012】
請求項3の回転機構によれば、請求項2の回転機構の作用効果に加え、次の作用効果を奏する。すなわち、第2枠体主軸受け機構及び当該第2枠体副軸受け機構の協働が、第2枠体を前記第1枠体に対する回転を許容する。中空軸及び中空軸内軸受けは、第2固定軸(第1枠体に対して回転不能)に対する第2枠体の回転を許容する。中空軸は、第1枠体にそれを固定したなら第2枠体に対するそれの回転を許容し、逆に、第2枠体にそれを固定したなら第1枠体に対するそれの回転を許容する。一方、第2固定軸と一体の第2固定原車は、第1枠体とともに回転する。この回転は、第2固定原車がその円周方向に回転するのではなく(第2固定軸は第1枠体と第2固定原車に固定されている)、第1枠体の回転中心となる第1回転軸の回りを回る回転である。第2固定原車の回転は、歯車伝達又は摩擦伝達によって、第2回転従車を回転させる。第2回転従車の回転は、第2回転従車が第2枠体従車軸受けを介して第2枠体に対して回転自在に固定されていることから可能になる。第2回転従車の回転は、それと一体の被回転体を回転させる。被回転体には、3軸回転による遠心力が作用する。このように被回転体は、第2枠体に従動し、第2枠体は、第1枠体を介して第1枠体用駆動機構によって駆動される。換言すれば、被回転体を駆動するための駆動機構を設けなくても、被回転体を回転させることができる。被回転体用駆動機構を設けたとしたら、それ自体を被回転体とともに回転させ、かつ、同機構に電源を供給することも必要になるが、請求項3の回転機構によれば、そのような必要はない。つまり、被回転体ひいては装置全体のシンプル化かつ小型化をはかることができる。被回転体の小型化をさらに換言すれば、装置全体の大きさを変えずに被回転体を大型化することができることになる。
【0013】
(請求項4記載の発明の特徴)
請求項4記載の発明に係る三次元回転機構(以下、適宜「請求項4の回転機構」という)は、請求項2の回転機構の構成を前提とし、その好ましい態様として、次のように構成した。すなわち、前記第2従動機構が、第2枠体主軸受け機構と、第2枠体副軸受け機構と、第2固定軸と、固定補助軸受けと、第2固定原車と、第2回転従車少なくとも1個と、を含めて構成してある。当該第2枠体主軸受け機構が、前記第1枠体と前記第2枠体のうちいずれか一方に対して回転不能に固定し他方に対して回転自在に固定した中空軸と、当該中空軸内を通過させた当該第2固定軸に対して回転自在とする中空軸内軸受けと、を含めて構成してあり、当該第2枠体副軸受け機構が、当該第2枠体主軸受け機構と協働して前記第2枠体を前記第1枠体に対して回転自在とするように構成してある。当該第2固定軸が、前記第2回転軸と同軸であって、当該第2固定軸の一端が前記第2枠体の枠内に突き出し、他端が前記第1枠体に回転不能に固定してあり、当該第2固定軸の一端が、当該第2固定軸に対して前記第2枠体が回転自在となるように固定補助軸受けを介して前記第2枠体に固定してある。当該第2固定原車が、当該第2固定軸途中に回転不能に同軸固定してあり、当該第2回転従車が、前記第2回転軸と平行軸であって、前記第2枠体に対して第2枠体従車軸受けを介して回転自在に固定かつ前記被回転体に対して回転不能に固定してある。当該第2固定原車と当該第2回転従車とが、噛み合った歯車同士又は摩擦接触し合った摩擦車同士によって構成してあり、前記第2枠体の回転によって当該第2回転従車が当該第2固定原車周縁を周回する際に受ける歯車伝達又は摩擦伝達によって当該第2回転従車を従動回転させるように構成してある。
【0014】
請求項4の回転機構によれば、請求項2の回転機構の作用効果に加え、次の作用効果を奏する。すなわち、第2枠体主軸受け機構及び当該第2枠体副軸受け機構の協働が、第2枠体を前記第1枠体に対する回転を許容する。中空軸、中空軸内軸受け及び固定補助軸受けは、第2固定軸(第1枠体に対して回転不能)に対する第2枠体の回転を許容する。中空軸は、第1枠体にそれを固定したなら第2枠体に対するそれの回転を許容し、逆に、第2枠体にそれを固定したなら第1枠体に対するそれの回転を許容する。一方、第2固定軸と一体の第2固定原車は、第1枠体とともに回転する。この回転は、第2固定原車がその円周方向に回転するのではなく(第2固定軸は第1枠体と第2固定原車に固定されている)、第1枠体の回転中心となる第1回転軸の回りを回る回転である。ここで、第2固定原車に対する第2枠体の関係に着目する。第2枠体は第2固定原車の回りを回転することになるが、第2枠体の回転は、第2固定原車から歯車伝達又は摩擦伝達を受ける第2回転従車を回転させる。第2回転従車の回転は、第2回転従車が第2枠体従車軸受けを介して第2枠体に対して回転自在に固定されていることから可能になる。第2回転従車の回転は、それと一体の被回転体を回転させる。被回転体には、3軸回転による遠心力が作用する。被回転体は第2回転原車の回りを回ることになるので、その分、第2固定軸(第2回転軸)から離れることになり、離れた分だけより大きな遠心力を受ける。このように被回転体は、第2枠体に従動し、第2枠体は、第1枠体を介して第1枠体用駆動機構によって駆動される。換言すれば、被回転体を駆動するための駆動機構を設けなくても、被回転体を回転させることができる。被回転体用駆動機構を設けたとしたら、それ自体を被回転体とともに回転させ、かつ、同機構に電源を供給することも必要になるが、請求項3の回転機構によれば、そのような必要はない。つまり、被回転体ひいては装置全体のシンプル化かつ小型化をはかることができる。被回転体の小型化をさらに換言すれば、装置全体の大きさを変えずに被回転体を大型化することができることになる。
【0015】
(請求項5記載の発明の特徴)
請求項5記載の発明に係る三次元回転機構(以下、適宜「請求項5の回転機構」という)は、第1枠体と、当該第1枠体を第1回転軸の回りで回転させる第1枠体用駆動機構と、当該第1枠体の枠内に配した第2枠体と、当該第2枠体を、当該第1回転軸と直交する第2回転軸の回りで回転させる第2枠体用駆動機構と、当該第2枠体の枠内に配した被回転体と、当該被回転体を、当該第2枠体の回転に従動して、第3回転軸の回りで回転させる被回転体従動機構と、を含めて構成してある。
【0016】
請求項5の回転機構によれば、第1枠体用駆動機構の働きによって、第1回転軸の回りを第1枠体が回転する。回転方向は問わず、時計回り方向でもよいし反時計回り方向でもよい。第2枠体の回転は、第2枠体用駆動機構が、これを行わせる。回転方向に制限はない。第2枠体の回転は、被回転体を従動回転させる。被回転体の回転は、第3回転軸の回りで行われる。被回転体の回転方向は問わない。第1回転体と第2回転体の回転という2軸回転までは、従来の三次元回転機構のそれと変わりないが、それに、第3回転軸を加えた3軸回転となっているので、被回転体に加わる遠心力の総和が重力と釣り合いにくくなる。この結果、請求項1の回転機構の応用範囲を拡大することができる。
【0017】
(請求項6記載の発明の特徴)
請求項6記載の発明に係る三次元回転機構(以下、適宜「請求項6の回転機構」という)は、請求項2の回転機構の構成を前提とし、その好ましい態様として、次のように構成した。すなわち、前記第2枠体用駆動機構が、前記第1枠体と同軸回転自在となるように第1回転軸軸受けを介して前記第1枠体に固定した第1回転軸と、当該第1回転軸を回転させる可変可逆モータと、当該第1回転軸の先端に当該第1回転軸に対して回転不能に同軸固定した第1固定原車と、前記第2枠体と同軸一体回転するように前記第2枠体枠外に固定した第1回転従車と、を含めて構成してあり、当該第1回転従車が、前記第2枠体の回転半径よりも大径に構成してあり、当該第1固定原車と当該第1回転従車とが、噛み合った歯車同士又は摩擦接触し合った摩擦車同士によって構成してある。ここで、当該可変可逆モータの回転による当該第1固定原車の回転が、歯車伝達又は摩擦伝達によって当該第1回転従車を従動回転させるように構成してある。
【0018】
請求項6の回転機構によれば、請求項2の回転機構の作用効果に加え、次の作用効果を奏する。すなわち、まず、第1枠体の回転が、第1固定軸を介して第1固定原車を従動回転させる。第1固定原車は、歯車同士の噛み合わせ若しくは摩擦車同士の摩擦接触によって第1回転従車を従動回転させようとする。第1回転従車は第2枠体と同軸一体回転するように構成してあるので、この第1回転従車の回転によって第2枠体が回転する。このように第2枠体は、第1枠体に従動し、第1枠体は、第1枠体用駆動機構によって駆動される。一方、可変可逆モータの回転方向を、第1固定原車が第2枠体と同方向に回転するように定めれば、第1従動機構と可変可逆モータの協働により第2枠体を回転させることになる。他方、可変可逆モータの回転方向を、第1固定原車が第2枠体と逆方向に回転するように定めると、上記逆方向に第2枠体を回転させることができる。第2枠体の逆方向回転が許容されるのは、第2枠体主軸受け機構および第2枠体副軸受け機構の働きにより第2枠体が第1枠体に対して回転可能であり、かつ、第2回転従車が第2枠体に対して回転可能に構成してあるからである。
【0019】
(請求項7記載の発明の特徴)
請求項7記載の発明に係る三次元回転機構(以下、適宜「請求項7の回転機構」という)は、請求項6の回転機構の構成を前提とし、その好ましい態様として、次のように構成した。すなわち、前記回転体従動機構が、第2枠体主軸受け機構と、第2枠体副軸受け機構と、第1枠体固定軸と、第1枠体固定原車と、第1枠体回転従車と、を含めて構成してある。当該第2枠体主軸受け機構が、前記第1枠体と前記第2枠体のうちいずれか一方に対して回転不能に固定し他方に対して回転自在に固定した中空軸と、当該中空軸内を通過させた当該第1枠体固定軸に対して回転自在とする中空軸内軸受けと、を含めて構成してあり、当該第2枠体副軸受け機構が、当該第2枠体主軸受け機構と協働して前記第2枠体を前記第1枠体に対して回転自在とするように構成してある。当該第1枠体固定軸が、前記第2回転軸と同軸であって、当該第2固定軸の一端が前記第2枠体の枠内に突き出し、他端が前記第1枠体に回転不能に固定してあり、当該第1枠体固定原車が、当該第1枠体固定軸一端に回転不能に同軸固定してある。当該第1枠体回転従車が、前記第1回転軸と同軸であって、前記第2枠体に対して第2枠体従車軸受けを介して回転自在に固定かつ前記被回転体に対して回転不能に固定してあり、当該第1枠体固定原車と当該第1枠体回転従車とが、噛み合った歯車同士又は摩擦接触し合った摩擦車同士によって構成してある。前記第2枠体の回転によって当該第1枠体回転従車が当該第1枠体固定原車周縁を周回する際に受ける歯車伝達又は摩擦伝達によって当該第1枠体回転従車を従動回転させるように構成してある。
【0020】
請求項7の回転機構によれば、請求項6の回転機構の作用効果に加え、次の作用効果を奏する。すなわち、第2枠体主軸受け機構及び当該第2枠体副軸受け機構の協働が、第2枠体を前記第1枠体に対する回転を許容する。中空軸及び中空軸内軸受けは、第2固定軸(第1枠体に対して回転不能)に対する第2枠体の回転を許容する。中空軸は、第1枠体にそれを固定したなら第2枠体に対するそれの回転を許容し、逆に、第2枠体にそれを固定したなら第1枠体に対するそれの回転を許容する。一方、第2固定軸と一体の第2固定原車は、第1枠体とともに回転する。この回転は、第2固定原車がその円周方向に回転するのではなく(第2固定軸は第1枠体と第2固定原車に固定されている)、第1枠体の回転中心となる第1回転軸の回りを回る回転である。第2固定原車の回転は、歯車伝達又は摩擦伝達によって、第2回転従車を回転させる。第2回転従車の回転は、第2回転従車が第2枠体従車軸受けを介して第2枠体に対して回転自在に固定されていることから可能になる。第2回転従車の回転は、それと一体の被回転体を回転させる。被回転体には、3軸回転による遠心力が作用する。このように被回転体は、第2枠体に従動し、第2枠体は、第1枠体を介して第1枠体用駆動機構によって駆動される。換言すれば、被回転体を駆動するための駆動機構を設けなくても、被回転体を回転させることができる。被回転体用駆動機構を設けたとしたら、それ自体を被回転体とともに回転させ、かつ、同機構に電源を供給することも必要になるが、請求項3の回転機構によれば、そのような必要はない。つまり、被回転体ひいては装置全体のシンプル化かつ小型化をはかることができる。被回転体の小型化をさらに換言すれば、装置全体の大きさを変えずに被回転体を大型化することができることになる。
【0021】
(請求項8記載の発明の特徴)
請求項8記載の発明に係る三次元回転機構(以下、適宜「請求項8の回転機構」という)は、請求項6の回転機構の構成を前提とし、その好ましい態様として、次のように構成した。すなわち、前記第2従動機構が、第2枠体主軸受け機構と、第2枠体副軸受け機構と、第2固定軸と、固定補助軸受けと、第2固定原車と、第2回転従車少なくとも1個と、を含めて構成してある。当該第1中空軸内軸受け構造が、前記第1枠体と前記第2枠体のうちいずれか一方に対して回転不能に固定し他方に対して回転自在に固定した中空軸と、当該中空軸内を通過させた当該第2固定軸に対して回転自在とする中空軸内軸受けと、を含めて構成してあり、当該第2枠体副軸受け機構が、当該第2枠体主軸受け機構と協働して前記第2枠体を前記第1枠体に対して回転自在とするように構成してある。当該第2固定軸が、前記第2回転軸と同軸であって、当該第2固定軸の一端が前記第2枠体の枠内に突き出し、他端が前記第1枠体に回転不能に固定してあり、当該第2固定軸の一端が、当該第2固定軸に対して前記第2枠体が回転自在となるように固定補助軸受けを介して前記第2枠体に固定してある。当該第2固定原車が、当該第2固定軸途中に回転不能に同軸固定してあり、当該第2回転従車が、前記第2回転軸と平行軸であって、前記第2枠体に対して第2枠体従車軸受けを介して回転自在に固定かつ前記被回転体に対して回転不能に固定してある。当該第2固定原車と当該第2回転従車とが、噛み合った歯車同士又は摩擦接触し合った摩擦車同士によって構成してあり、前記第2枠体の回転によって当該第2回転従車が当該第2固定原車周縁を周回する際に受ける歯車伝達又は摩擦伝達によって当該第2回転従車を従動回転させるように構成してある。
【0022】
請求項8の回転機構によれば、請求項6の回転機構の作用効果に加え、次の作用効果を奏する。すなわち、第2枠体主軸受け機構及び当該第2枠体副軸受け機構の協働が、第2枠体を前記第1枠体に対する回転を許容する。中空軸、中空軸内軸受け及び固定補助軸受けは、第2固定軸(第1枠体に対して回転不能)に対する第2枠体の回転を許容する。中空軸は、第1枠体にそれを固定したなら第2枠体に対するそれの回転を許容し、逆に、第2枠体にそれを固定したなら第1枠体に対するそれの回転を許容する。一方、第2固定軸と一体の第2固定原車は、第1枠体とともに回転する。この回転は、第2固定原車がその円周方向に回転するのではなく(第2固定軸は第1枠体と第2固定原車に固定されている)、第1枠体の回転中心となる第1回転軸の回りを回る回転である。ここで、第2固定原車に対する第2枠体の関係に着目する。第2枠体は第2固定原車の回りを回転することになるが、第2枠体の回転は、第2固定原車から歯車伝達又は摩擦伝達を受ける第2回転従車を回転させる。第2回転従車の回転は、第2回転従車が第2枠体従車軸受けを介して第2枠体に対して回転自在に固定されていることから可能になる。第2回転従車の回転は、それと一体の被回転体を回転させる。被回転体には、3軸回転による遠心力が作用する。被回転体は第2回転原車の回りを回ることになるので、その分、第2固定軸(第2回転軸)から離れることになり、離れた分だけより大きな遠心力を受ける。このように被回転体は、第2枠体に従動し、第2枠体は、第1枠体を介して第1枠体用駆動機構によって駆動される。換言すれば、被回転体を駆動するための駆動機構を設けなくても、被回転体を回転させることができる。被回転体用駆動機構を設けたとしたら、それ自体を被回転体とともに回転させ、かつ、同機構に電源を供給することも必要になるが、請求項3の回転機構によれば、そのような必要はない。つまり、被回転体ひいては装置全体のシンプル化かつ小型化をはかることができる。被回転体の小型化をさらに換言すれば、装置全体の大きさを変えずに被回転体を大型化することができることになる。
【0023】
(請求項9記載の発明の特徴)
請求項9記載の発明に係るミルポット(以下、適宜「請求項9のミルポット」という)は、請求項1ないし8いずれか記載の三次元回転機構を備え、前記三次元回転機構の被回転体が、内部にボールを有するミルポットを含めて構成してある。
【0024】
請求項9のミルポットによれば、請求項1ないし8いずれかの三次元回転機構を備えているため、被回転体であるミルポットに3軸回転による遠心力が働く。このため、高速回転させたときにミルポット内部に収納した被粉砕物がミルポット内壁と供回りすることが有効抑制され、これによって、効率的な粉砕が可能になる。
【0025】
(請求項10記載の発明の特徴)
請求項10記載の発明に係る混練装置(以下、適宜「請求項10の混練装置」という)は、請求項1ないし8いずれか記載の三次元回転機構を備え、前記三次元回転機構の被回転体が、内部に被混練体を収容可能な収容容器を含めて構成してある。
【0026】
請求項10の混練装置によれば、請求項1ないし8いずれかの三次元回転機構を備えているため、被回転体である収容陽気に3軸回転による遠心力が働く。このため、高速回転させたときであっても収容容器内に収納した被混練体が収容容器内壁と供回りすることが有効抑制され、これによって、効率的な混練が可能になる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、被回転体が回転するときにその収容物の供回り問題を解消することができる。これにより、低速はもとより高速回転が可能となるので、三次元回転機構の応用範囲を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】 本実施形態に係る三次元回転機構の正面図である。
【図2】 図1に示す三次元回転機構の平面図である。
【図3】 図1に示す三次元回転機構の変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(三次元回転機構の概略構造)
図1及び2を参照しながら、本実施形態に係る三次元回転機構の概略構造について説明する。三次元回転機構1は、矩形の第1枠体3と、第1枠体3を第1回転軸(回転の中心軸となる直線)5の回りで回転させる第1枠体用駆動機構7(モータ7)と、第1枠体3の枠内に配した(すなわち、第1枠体3よりも小型の)矩形の第2枠体9と、第2枠体9を、第1枠体3の回転に従動して、当該第1回転軸5と直交する第2回転軸11の回りで回転させる第1従動機構13と、第2枠体9の枠内に配した被回転体15と、被回転体15を、第2枠体9の回転に従動して、第3回転軸(本実施形態では第1回転軸と一致)の回りで回転させる第2従動機構17と、を含めて構成してある。第1枠体3及び第2枠体9の姿勢は、本実施形態では両者とも起立させてある(第1回転軸が水平)が、これに限る必要はなく、これを横にしたり斜めにしたりすることもできる。両者をモータ7の回転方向は時計方向、反時計方向のいずれでもよい。モータ7の回転方向を定めることにより、第1枠体3の回転方向が定まり、さらに、これに従動する第2枠体9の回転方向が定まる。本実施形態では、図1の右側から見て反時計回りに回転するように構成した。したがって、第1枠体3も、時計回りに回転する。なお、符号2は、装置全体の基礎となるベース部を示す。
【0030】
(第1従動機構の構造)
引き続き図1及び2を参照しながら、説明を続ける。第1従動機構13は、第1枠体3の枠内で第1枠体3と同軸一体回転する第1固定軸19と、第1固定軸19の先端に第1固定軸19に対して回転不能に同軸固定した第1固定原車21と、第2枠体9と同軸一体回転するように第2枠体9の枠外に固定した第1回転従車23と、を含めて構成してある。ここで、図1に示す第1固定軸19は、モータ61により回転可能ではあるが、ここでは、モータ61を回転させないことを前提としている。つまり、第1固定軸19には、ブレーキ(図示を省略)を掛けてある。モータ61を省略して第1固定軸19を第1枠体3に対して固定するように構成してもよい。第1回転従車23は、第2枠体9の回転半径よりも大径に構成してある。これにより、平面視したときに第2枠体よりも第1回転従車23が放射方向に径が大きい分だけはみ出ることになる。第1固定原車21と第1回転従車23は、両者ともに摩擦車であり、第1固定原車21の周端面と第1回転従車23(の第2枠体からはみ出した部分)の上面周縁とが互いに垂直に接触するようになっている。ここで、第1枠体3が回転するとこれと一体に第1固定原車21が回転する。第1固定原車21の回転は、これと摩擦接触する第1回転従車23を従動回転させる。第1回転従車23の回転は、それと一体の第2枠体9を回転させる。この回転を自転とすれば、第2枠体9は、自転しながら第1枠体3とともに公転することになる。第1固定原車21と第1回転従車23は、上述したように互いに摩擦接触する摩擦車同士であるが、その代わりに互いに噛み合う歯車同士によって構成することもできる。以上の構成によれば、モータ7が第1枠体3を回転させ、第1枠体3の回転に伴う第1固定原車21の回転が、摩擦伝達によって第1回転従車23及びそれと一体の第2枠体9を従動回転させる。
【0031】
(第2従動機構の構造)
図1及び2に示すように第2従動機構17は、第2枠体主軸受け機構25と、第2枠体副軸受け機構27と、第2固定軸29と、第2固定原車33と、第2回転従車35と、を含めて構成してある。第2枠体主軸受け機構25及び第2枠体副軸受け機構27は、協働によって、第2枠体9を第1枠体3に対して第2回転軸11の回りで回転自在とするように構成してある。第2固定軸29は、第2回転軸11と同軸であって、第2固定軸29の一端は第2枠体9の枠内に突き出し、他端は第1枠体3に回転不能に固定してある。第2枠体主軸受け機構25は、第1枠体3と第2枠体9のうちいずれか一方に対して回転不能に固定し他方に対して回転自在に固定(本実施形態では第2枠体9に対して固定、第1枠体3に対して回転自在、逆でもよい)した中空軸37と、中空軸37内を通過させた第2固定軸29に対して回転自在とする中空軸内軸受け31と、を含めて構成してある。第2枠体9の枠内にある第2固定軸29の一端には、第2固定原車33を回転不能に同軸固定してある。第2固定軸29は、第2固定原車33の半径と垂直をなす。第2固定軸29は第1枠体3に対して回転しないので、第2固定原車33も第1枠体3に対して回転しない。
【0032】
第2回転従車35は、第1回転軸5と同軸であって、第2枠体9に対して第2枠体従車軸受け39を介して回転自在に固定かつ被回転体15に対して回転不能に固定してある。すなわち、被回転体15は、第2回転従車35と一体回転するようになっている。第2固定原車33と第2回転従車35は、両者とも互いに垂直に摩擦接触する摩擦車によって構成してある。両者を、互いに噛み合う歯車同士によって構成してもよいことは、第1従動機構13の場合と異ならない。上記構成において第2枠体9の回転によって第2回転従車35の周端面が第2固定原車33の下面周縁を接触しながら周回し、その際に受ける摩擦伝達によって第2回転従車35が従動回転するようになっている。第2回転従車35が回転すれば、これと一体の被回転体35も回転する。被回転体15には、3軸回転による遠心力が作用するので、2軸回転に比べてこれらの遠心力が重力と同じかそれ以上になり難い。
【0033】
ここで、モータ61に説明を戻す。モータ61は、回転方向と回転速度を変えることのできる可逆可変モータである。先の説明ではモータ61は回転しないことを前提としたが、その前提を解除してこれを回転させるようにすると次のようになる。モータ61の回転方向を、第1固定原車21が第2枠体9と同方向に回転するように定めれば、第1従動機構13とモータ61の協働により第2枠体9を回転させることになる。すなわち、図1の右から見たモータ7を反時計方向に回転させると、第1枠体3とともに第1固定原車21が右方向から見て同じく反時計方向に回転する。第1固定原車21の反時計方向の回転は、第1回転従車23を平面視時計方向に回転させる。ここで、モータ61を、上記と同方向、すなわち、右から見た反時計方向に回転させれば、モータ7の回転方向に対して順方向の回転であるから、両者が協働関係を形成する。他方、モータ61の回転方向を、第1固定原車21が第2枠体9と逆方向(右から見て時計方向)に回転するように定めると、上記逆方向(平面視反時計方向)に第2枠体9を回転させることができる。第2枠体9の(モータ7の回転方向に対する)逆方向回転が許容されるのは、第2枠体主軸受け機構25および第2枠体副軸受け機構27の働きにより第2枠体9が第1枠体3に対して回転可能(第2枠体9の回転が第1枠体3に影響を与えない)であり、かつ、第2回転従車35が第2枠体9に対して回転可能に構成してあるからである。なお、この場合の枠体3は、モータ7により、原則どおり、図1の右から見て反時計方向に回転する
【0034】
(本実施形態の変形例)
図3を参照しながら、本実施形態の変形例について説明する。先に説明した本実施形態と本実施形態の変形例(以下、「本変形例」という)の違いは、第2従動機構と被回転体のみである。したがって、ここでは、上記部位を中心に説明を行い、両者共通する部位については図1及び2で用いた符号と同じ符号を図3に用いるに止めそれらの説明は可能な範囲で省略する。
【0035】
本変形例に係る第2従動機構47は、第2枠体主軸受け機構25と、第2枠体副軸受け機構27と、第2固定軸49と、固定補助軸受け51と、第2固定原車53と、第2回転従車55(ここでは2個だが、少なくとも1個あればよい)と、を含めて構成してある。第2枠体主軸受け機構25及び第2枠体副軸受け機構27は、協働して、第2枠体9を第1枠体3に対して回転自在とするように構成してある。この点は、本実施形態と異ならない。第2固定軸49は、第2回転軸11と同軸であって、第2固定軸49の一端は第2枠体9の枠内に一端を突き出し、他端は第1枠体3に回転不能に固定してある。第2枠体主軸受け機構25は、本実施形態におけるそれと同じ構造である。第2固定軸49の一端は、第2固定軸49に対して第2枠体9が回転自在となるように固定補助軸受け51を介して第2枠体9の第2枠体主軸受け機構25と対向する部位に固定してある。第2固定原車53は、第2固定軸49の長さ方向途中(本変形例では第2枠体9のほぼ中央)に回転不能に同軸固定してある。第2回転従車55は、第2回転軸11と平行軸であって、第2枠体9に対して第2枠体従車軸受け57を介して回転自在に固定かつ被回転体59,59に対して回転不能に固定してある。第2固定原車53と第2回転従車55とは、互いに噛み合う歯車同士である。互いに摩擦接触する摩擦車同士によって構成してもよい。ここで、第2枠体9の回転によって第2回転従車55が第2固定原車53の周縁を周回する際に受ける歯車伝達によって第2回転従車55を従動回転させ、これによって被回転体59,59も回転する。被回転体59,59には、3軸回転による遠心力が作用する。被回転体59,59は第2回転原車53の回りを回ることになるので、その分、第2固定軸(第2回転軸)から離れる(第2枠体9の中心領域に存在しない)ことになり、離れた分だけより大きな遠心力を受ける。
【0036】
(三次元回転機構の応用例)
三次元回転機構1は、様々な用途に応用することができる。たとえば、3軸のクリノスタットがその典型例である。さらに、たとえば、これをボールミルに応用して上述した被回転体15をボールを入れたミルポットにすれば、供回り現状が有効に抑えられるので高速回転が可能となり、それにより効率のよい粉砕を期待することができる。コンクリートミキサー車が搭載する混練装置、攪拌装置等にも好適に応用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1・・・三次元回転装置、2・・・ベース部、3・・・第1枠体、5・・・第1回転軸、7・・・第1枠体用駆動機構(モータ)、9・・・第2枠体、11・・・第2回転軸、13・・・第1従動機構、15・・・被回転体、17・・・第2従動機構、19・・・第1固定軸、20・・・第1固定軸受け、21・・・第1固定原車、23・・・第1回転従車、25・・・第2枠体主軸受け機構、27・・・第2枠体副軸受け機構、29・・・第2固定軸、31・・・中空軸内軸受け、33・・・第2固定原車、35・・・第2回転従車、37・・・中空軸、39・・・第2枠体従車軸受け、47・・・第2従動機構、49・・・第2固定軸、53・・・第2固定原車、55・・・第2回転従車、57・・・第2枠体従車軸受け、59・・・被回転体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1枠体と、
当該第1枠体を第1回転軸の回りで回転させる第1枠体用駆動機構と、
当該第1枠体の枠内に配した第2枠体と、
当該第2枠体を、当該第1枠体の回転に従動して、当該第1回転軸と直交する第2回転軸の回りで回転させる第1従動機構と、
当該第2枠体の枠内に配した被回転体と、
当該被回転体を、当該第2枠体の回転に従動して、第3回転軸の回りで回転させる第2従動機構と、
を含めて構成してある
ことを特徴とする三次元回転機構。
【請求項2】
前記第1従動機構が、前記第1枠体の枠内かつ前記第2枠体の枠外で前記第1枠体と同軸一体回転する第1固定軸と、当該第1固定軸の先端に当該第1固定軸に対して回転不能に同軸固定した第1固定原車と、前記第2枠体と同軸一体回転するように前記第2枠体枠外に固定した第1回転従車と、を含めて構成してあり、
当該第1回転従車が、前記第2枠体の回転半径よりも大径に構成してあり、
当該第1固定原車と当該第1回転従車とが、噛み合った歯車同士又は摩擦接触し合った摩擦車同士によって構成してあり、
前記第1枠体の回転による当該第1固定原車の回転が、歯車伝達又は摩擦伝達によって当該第1回転従車を従動回転させるように構成してある
ことを特徴とすることを特徴とする請求項1記載の三次元回転機構。
【請求項3】
前記第2従動機構が、第2枠体主軸受け機構と、第2枠体副軸受け機構と、第2固定軸と、第2固定原車と、第2回転従車と、を含めて構成してあり、
当該第2枠体主軸受け機構が、前記第1枠体と前記第2枠体のうちいずれか一方に対して回転不能に固定し他方に対して回転自在に固定した中空軸と、当該中空軸内を通過させた当該第2固定軸に対して回転自在とする中空軸内軸受けと、を含めて構成してあり、
当該第2枠体副軸受け機構が、当該第2枠体主軸受け機構と協働して前記第2枠体を前記第1枠体に対して回転自在とするように構成してあり、
当該第2固定軸が、前記第2回転軸と同軸であって、当該第2固定軸の一端が前記第2枠体の枠内に突き出し、他端が前記第1枠体に回転不能に固定してあり、
当該第2固定原車が、当該第2固定軸一端に回転不能に同軸固定してあり、
当該第2回転従車が、前記第1回転軸と同軸であって、前記第2枠体に対して第2枠体従車軸受けを介して回転自在に固定かつ前記被回転体に対して回転不能に固定してあり、
当該第2回転従車には、前記被回転体を一体回転するように固定してあり、
当該第2固定原車と当該第2回転従車とが、噛み合った歯車同士又は摩擦接触し合った摩擦車同士によって構成してあり、
前記第2枠体の回転によって当該第2回転従車が当該第2固定原車周縁を周回する際に受ける歯車伝達又は摩擦伝達によって当該第2回転従車を従動回転させるように構成してある
ことを特徴とすることを特徴とする請求項2記載の三次元回転機構。
【請求項4】
前記第2従動機構が、第2枠体主軸受け機構と、第2枠体副軸受け機構と、第2固定軸と、固定補助軸受けと、第2固定原車と、第2回転従車少なくとも1個と、を含めて構成してあり、
当該第2枠体主軸受け機構が、前記第1枠体と前記第2枠体のうちいずれか一方に対して回転不能に固定し他方に対して回転自在に固定した中空軸と、当該中空軸内を通過させた当該第2固定軸に対して回転自在とする中空軸内軸受けと、を含めて構成してあり、
当該第2枠体副軸受け機構が、当該第2枠体主軸受け機構と協働して前記第2枠体を前記第1枠体に対して回転自在とするように構成してあり、
当該第2固定軸が、前記第2回転軸と同軸であって、当該第2固定軸の一端が前記第2枠体の枠内に突き出し、他端が前記第1枠体に回転不能に固定してあり、
当該第2固定軸の一端が、当該第2固定軸に対して前記第2枠体が回転自在となるように固定補助軸受けを介して前記第2枠体に固定してあり、
当該第2固定原車が、当該第2固定軸途中に回転不能に同軸固定してあり、
当該第2回転従車が、前記第2回転軸と平行軸であって、前記第2枠体に対して第2枠体従車軸受けを介して回転自在に固定かつ前記被回転体に対して回転不能に固定してあり、
当該第2固定原車と当該第2回転従車とが、噛み合った歯車同士又は摩擦接触し合った摩擦車同士によって構成してあり、
前記第2枠体の回転によって当該第2回転従車が当該第2固定原車周縁を周回する際に受ける歯車伝達又は摩擦伝達によって当該第2回転従車を従動回転させるように構成してある
ことを特徴とすることを特徴とする請求項2記載の三次元回転機構。
【請求項5】
第1枠体と、
当該第1枠体を第1回転軸の回りで回転させる第1枠体用駆動機構と、
当該第1枠体の枠内に配した第2枠体と、
当該第2枠体を、当該第1回転軸と直交する第2回転軸の回りで回転させる第2枠体用駆動機構と、
当該第2枠体の枠内に配した被回転体と、
当該被回転体を、当該第2枠体の回転に従動して、第3回転軸の回りで回転させる被回転体従動機構と、
を含めて構成してある
ことを特徴とする三次元回転機構。
【請求項6】
前記第2枠体用駆動機構が、前記第1枠体と同軸回転自在となるように第1回転軸軸受けを介して前記第1枠体に固定した第1回転軸と、当該第1回転軸を回転させる可変可逆モータと、当該第1回転軸の先端に当該第1回転軸に対して回転不能に同軸固定した第1固定原車と、前記第2枠体と同軸一体回転するように前記第2枠体枠外に固定した第1回転従車と、を含めて構成してあり、
当該第1回転従車が、前記第2枠体の回転半径よりも大径に構成してあり、
当該第1固定原車と当該第1回転従車とが、噛み合った歯車同士又は摩擦接触し合った摩擦車同士によって構成してあり、
当該可変可逆モータの回転による当該第1固定原車の回転が、歯車伝達又は摩擦伝達によって当該第1回転従車を従動回転させるように構成してある
ことを特徴とすることを特徴とする請求項2記載の三次元回転機構。
【請求項7】
前記回転体従動機構が、第2枠体主軸受け機構と、第2枠体副軸受け機構と、第1枠体固定軸と、第1枠体固定原車と、第1枠体回転従車と、を含めて構成してあり、
当該第2枠体主軸受け機構が、前記第1枠体と前記第2枠体のうちいずれか一方に対して回転不能に固定し他方に対して回転自在に固定した中空軸と、当該中空軸内を通過させた当該第1枠体固定軸に対して回転自在とする中空軸内軸受けと、を含めて構成してあり、
当該第2枠体副軸受け機構が、当該第2枠体主軸受け機構と協働して前記第2枠体を前記第1枠体に対して回転自在とするように構成してあり、
当該第1枠体固定軸が、前記第2回転軸と同軸であって、当該第2固定軸の一端が前記第2枠体の枠内に突き出し、他端が前記第1枠体に回転不能に固定してあり、
当該第1枠体固定原車が、当該第1枠体固定軸一端に回転不能に同軸固定してあり、
当該第1枠体回転従車が、前記第1回転軸と同軸であって、前記第2枠体に対して第2枠体従車軸受けを介して回転自在に固定かつ前記被回転体に対して回転不能に固定してあり、
当該第1枠体固定原車と当該第1枠体回転従車とが、噛み合った歯車同士又は摩擦接触し合った摩擦車同士によって構成してあり、
前記第2枠体の回転によって当該第1枠体回転従車が当該第1枠体固定原車周縁を周回する際に受ける歯車伝達又は摩擦伝達によって当該第1枠体回転従車を従動回転させるように構成してある
ことを特徴とすることを特徴とする請求項1又は2記載の三次元回転機構。
【請求項8】
前記第2従動機構が、第2枠体主軸受け機構と、第2枠体副軸受け機構と、第2固定軸と、固定補助軸受けと、第2固定原車と、第2回転従車少なくとも1個と、を含めて構成してあり、
当該第1中空軸内軸受け構造が、前記第1枠体と前記第2枠体のうちいずれか一方に対して回転不能に固定し他方に対して回転自在に固定した中空軸と、当該中空軸内を通過させた当該第2固定軸に対して回転自在とする中空軸内軸受けと、を含めて構成してあり、
当該第2枠体副軸受け機構が、当該第2枠体主軸受け機構と協働して前記第2枠体を前記第1枠体に対して回転自在とするように構成してあり、
当該第2固定軸が、前記第2回転軸と同軸であって、当該第2固定軸の一端が前記第2枠体の枠内に突き出し、他端が前記第1枠体に回転不能に固定してあり、
当該第2固定軸の一端が、当該第2固定軸に対して前記第2枠体が回転自在となるように固定補助軸受けを介して前記第2枠体に固定してあり、
当該第2固定原車が、当該第2固定軸途中に回転不能に同軸固定してあり、
当該第2回転従車が、前記第2回転軸と平行軸であって、前記第2枠体に対して第2枠体従車軸受けを介して回転自在に固定かつ前記被回転体に対して回転不能に固定してあり、
当該第2固定原車と当該第2回転従車とが、噛み合った歯車同士又は摩擦接触し合った摩擦車同士によって構成してあり、
前記第2枠体の回転によって当該第2回転従車が当該第2固定原車周縁を周回する際に受ける歯車伝達又は摩擦伝達によって当該第2回転従車を従動回転させるように構成してある
ことを特徴とすることを特徴とする請求項1又は2記載の三次元回転機構。
【請求項9】
請求項1ないし8いずれか記載の三次元回転機構を備え、
前記三次元回転機構の被回転体が、内部にボールを有するミルポットを含めて構成してある
ことを特徴とするボールミル。
【請求項10】
請求項1ないし8いずれか記載の三次元回転機構を備え、
前記三次元回転機構の被回転体が、内部に被混練体を収容可能な収容容器を含めて構成してある
ことを特徴とする混練装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−176331(P2012−176331A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169511(P2009−169511)
【出願日】平成21年6月27日(2009.6.27)
【出願人】(596096320)株式会社ナガオシステム (7)
【Fターム(参考)】