説明

三次元多目的素子システムおよび三次元多目的素子を生成するための方法

【課題】移動および他の素子との連結、他の素子からの分離をコンピューターによって制御することのできる単一の一体型素子を備えた三次元多目的素子システムを提供する。
【解決手段】システムの単一素子は壁部(6)から作成されるケーシングから構成され、単一素子のケーシング壁部の相互位置を変化させるエレクトロプラスチック作動装置(3)により互いにリンクされる。壁部の相互位置は、プログラム可能な集積回路(1)から伝送される励起信号により変化が起こる。熱エミッタ(14)はシステム装置から余剰熱を運び去る。単一素子内には、各単一素子を連結するためのインターロック(7)と磁気コイル(8)とが設けられ、さらに集積回路(1)と、インターロックと、磁気コイルと、エレクトロプラスチック作動装置とに電圧を供給する電圧源(5)が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律的に独立した一体型素子を利用して、非常に様々な形態、色および素材、機械的特性、運動学的特性、機能的特性を有する三次元構造体を作成するために用いられる三次元多目的素子システムに関する。
【0002】
本発明によれば、三次元多目的素子システムは、オリジナルの機能的コピーを作ることによって様々な技術に適用されてもよく、それらの技術には例えば、宇宙技術、家具産業、装飾および建設業、玩具および娯楽産業、整形外科、三次携帯電話、産業用、救助および家事用ロボットの製造、そして最終的には、研究用シミュレーションシステムの創成、特に遺伝学、結晶学および化学などがあげられる。
【背景技術】
【0003】
国際特許出願PCT/GB95/00460(公開番号WO95/23676)において、モノマーと呼ばれる一組の六角形の塊を構成するいくつかのプログラム可能な素材が開示されている。モノマーはコンピューター制御モードで互いに接近し、構造体および機械装置(mechanisms)を作成することができる。モノマーはまた、他のモノマーと結合したり、分離されることなく互いに接近したりすることができる。あるモノマーが破損した場合には、破損せずに残ったモノマーが破損したモノマーを除去し、状態の良いクローンと交換される。モノマー運動は、全構造体の合成において必要なそれぞれのモノマー運動の個々の経路を指定するために、流れ(streams)、ゲート(gates)、幹線(trunk lines)および容器に系統的に分割される。特殊モノマーには、指定され(intended)そして合成された構造体とともに、指定(intended)の装置を形成するツール類が設けられている。モノマーは、側壁の垂直対称軸に溝を有しており、またモノマー内部には、滑動するくさびが設けられた突出したインターロックを有している。隣接するモノマーは互いに結合し閉鎖(blocked)されるか、あるいは接続上のこれらの相互移動が歯状棒および歯車またはその他を介して可能であるような方法でリンクされてもよい。それぞれのモノマーは、電磁石またはリニアモーターのいずれかにより制御されるラッチシステムによって互いに配置されてもよい。第2モノマー形状は、各壁に4つの対称的な溝が設けられており、溝は壁部対称軸に対して45度の角度で配置されている。これらの溝は、隣接するモノマーが相互に連結することを防ぐ挿入素子として機能する。第3モノマー形状は、6つの壁部すべての前面素子に設けられており、これらの素子には各素子の対称軸に設置されたT字型の区間溝が備えられている。
【0004】
溝にラッチ・ユニットが設置されていることで、リンクされたモノマーの相互位置を調整することができる。ラッチ・ユニットは、モノマーの前面素子の外表面へ垂直に設置されたギア伝動装置(gear transmissions)により制御される。電磁石を備えたリニアモーターは、モノマーの移動を確実なものにする。静止モノマーのリニアモーターは、移動されるべきモノマーを平行移動させる。一連の静止モノマーのリニアモーターを正確に調整することにより、この一連のモノマーに沿った高速移動が可能になる。電気が供給され、隣接するモノマーを介して中央の源(central source)から制御データの伝送が起こる。3Dセルフアセンブリング法および静電式微細構造の操作というタイトルの論文が2001年8月発行の「IEEE TRANSACTION ON ELECTRON DEVICES」誌の48巻、第8号に掲載されているが、この論文では三次元のセルフアセンブリング法および静電式微細構造の開始方法が開示されている。微細構造の目的は、光学装置、特に広い反射角を有するマイクロミラーマトリックス用に、専用制御素子を完成させることである。最初の平坦な構造体は1つのポリシリコン構造層内部に形成される。可動構造体は、薄い弾性支柱を介して2本の主な支援用の梁と連結される回転プレートを含む。4つの統合された最終制御ユニットSDAの組み合わせにより支援用の梁が決定される。電気信号が振動すると、SDA素子は移動し、最初平坦であった構造層が最終的には湾曲する。
【0005】
構造体が要求通りの形状になると、それぞれの素子は機械的に閉鎖される。
【0006】
さらに「セルフアセンブラ」(LOSALAMITOSのIEEECOMP.SOC.PRESS社により発行された1994年5月8日より5月13日に米国SanDiegoで行なわれた米国ロボット工学および自動化に関する国際会議議事録)により、2次元装置を作成するための同様な素子から構成されるセルフアセンブリング装置が開示された。それぞれの素子は3つの層より構成され、可動部分を有しない。頂部層および底部層は同じ形状であり、それぞれの層は対称に配置された3つの磁石を含み、これらの磁石のN極は底部層に設置されている。
【0007】
中間層は頂部層および底部層と同じ形状であるが、これらの層に対して60度の角度で向いており、磁石の代わりに3つの電磁石を含む。
【0008】
電磁石は印加された電圧が分極するにしたがって後退または押出された磁石を有し、磁界になんら影響を及ぼすことなく2つの磁石間で回転してもよい。各素子は他の6個以下の素子にリンクされてもよい。各素子間の連絡は赤外線光学システムにより確保される。中継器と受信器は、磁石と電磁石との中間にある孔部に配置される。連絡部では、非同期式直列化プロトコルが適用される。8ビットプロセッサは受信された情報に応じて電磁石の分極を決定する。各素子が配置されるプレートが供給端子として用いられるワイヤレスシステム内に電気が与えられる。プレートは複数の領域に分割されて、前記領域の2つずつが供給電圧に接続され、接続されていない領域は接地されている。各素子への供給は4つの接点および1つの整流器からなされる。それぞれの素子は近接する素子との局所的な接続に関する情報のみを有している。全体的な構造体の形状は各素子間の局所的なリンクに基づいて説明される。
【特許文献1】国際特許出願PCT/GB95/00460(公開番号WO95/23676)
【非特許文献1】「3‐D Self‐Assembling and Actuation of Electrostatic Microstructure」,IEEE TRANSACTION ON ELECTRON DEVICES 第48号 No.8,2001年8月
【非特許文献2】「Self‐Assembling Machine」,THE INTERNATIONAL CONFERENCE ON ROBOTICS AND AUTOMATION議事録、IEEE COMP.SOC.PRESS,1994年 5月8日〜13日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明にしたがうと、三次元多目的素子システムは、移動ならびに他の素子との連結および他の素子からの分離が可能な単一の一体型素子から構成され、プログラム可能な集積回路と、それぞれの単一素子と電磁石とをリンクするためのインターロックとを含んでおり、システムの単一素子のケーシング壁部は、形成時に実際の構造体内部に、単一素子のプログラムされた位置に応じた磁気分極を起こす。単一素子のアクティブ状態では、システムの単一素子のケーシング壁部は、異なる磁気分極を有する。これに対して、単一素子がアクティブ状態ではない場合には、システムの単一素子のケーシング壁部は、同じような磁気分極を起こす。
【課題を解決するための手段】
【0010】
アクティブ状態のシステムの単一素子を、アクティブ状態ではないシステムの単一素子に接続する場合には、仮想オブジェクトに関する情報と、非アクティブ状態のシステムの単一素子の実際の構造における連続的な稼動番号(running number)に関する情報とは連結されて、アクティブ状態のシステムの単一素子から、アクティブ状態ではないシステムの単一素子の集積回路の記憶装置に伝送される。システムのある単一素子のケーシング壁部の複数組の座標は、システムの単一素子の稼動番号に割り当てられる。これらのデータセットは、システムの各単一素子の集積回路内のプログラムに転送され、この一方で集積回路内のプログラムは、システムの単一素子の各壁部の活性化または不活性化の決定および、連続的にリンクされるシステムの単一素子への適切な稼動番号の割り当てに基づいて行なわれる。
【0011】
システムの単一素子のケーシング壁部内の磁気分極は、システムの単一素子内に設置された電磁石によって生成される。システムの単一素子のケーシング壁部は、これらの相互位置を変更することができるように互いに接続される。システムの単一素子のケーシング壁部は、エレクトロプラスチック作動装置(actuator)によって互いに連結され、プログラム可能な集積回路から送信された励起信号にしたがって壁部の相互位置を制御する。
【0012】
システムの単一素子は、集積回路、インターロック、電磁石およびエレクトロプラスチック作動装置に電圧を供給する電圧源を有する。
【0013】
電圧源は太陽電池からの供給により再生可能である。太陽電池への光は光パイプの内部を通って運ばれるが、この光パイプはまた、オブジェクトに関する情報および集積回路へのプログラム指示の両方をさらに伝える。オブジェクトの実際の構造は、システムの単一素子のケーシング壁部全体が不活性化されること、ならびに集積回路への情報送信の結果としてすべてのインターロックを分離することにより、システムの単一素子の初期状態に分散されてもよい。
【0014】
本発明によればシステムは、まず前の構造体を破壊して新しい構造をつくるためにシステムの同様の単一素子を複合的に用いることが可能である。システムの単一素子の各々は設計された実際の構造体を再構築するのに必要な1組の情報を有する。
【0015】
システムの単一素子の任意の量から、要望どおりに設計され、様々な形状、色および素材を有し、機械的特性、運動学的特性、および動的な(dynamic)特性を有する構造体および構築物を作ることができる。
【発明の実施の形態】
【0016】
三次元多目的素子システムの単一素子は、エレクトロプラスチック作動装置3によって互いにリンクされた壁部6から構成されたケーシングを含み、このケーシングは、引っ張られたり緩んだりすることによって三次元多目的素子システムの単一素子のケーシング壁部6の相互位置を変更することができる。プログラム可能な集積回路1から送信された励起信号によって壁部6の相互位置には変化が生じる。熱エミッタ14は、単一素子のケーシング壁部6の相互位置が変化する過程で生成された余剰な熱、および他のシステム装置からの熱の双方を運び去る。単一素子内には、各単一素子を連結するためのインターロック7と、磁気コイル8とが設けられ、さらに、集積回路1と、インターロック7と、磁気コイル8と、エレクトロプラスチック作動装置3とに電圧を供給する電圧DC源5が設けられている。
【0017】
電圧源5は太陽電池4からの供給により再生可能である。太陽電池への光は光パイプ2の内部を通って運ばれるが、この光パイプはまた、オブジェクト10に関する情報および集積回路1へのプログラム指示12の両方をさらに伝える。
【0018】
非アクティブな状態においては、三次元多目的素子システムの単一素子が有するケーシング壁部は全て、同一の磁極(マイナスまたはプラス)に分極している。アクティブ状態では、単一素子のケーシング壁部6は、それぞれ異なる磁極で分極されてもよい。システムの単一素子のケーシングのそれぞれの壁部6の分極は、集積回路1内でプログラムされたオブジェクト10の仮想構造体に応じて、生成部9での実際の構造体内のシステムのある素子の位置に依存する。同じ磁極である非アクティブ単一素子の組は容器11(図7)内に設置され、制御下で一定の運動に従う。システムのアクティブな単一素子が、システムの非アクティブな単一素子の組の内部に現われるとすぐに、システムに最も近い非アクティブ素子がシステムのアクティブ素子に接続される。システムの最初のアクティブな単一素子は、1と記されたオブジェクト10の仮想構造体(the virtualstructure of the object 10, marked 1)の最初の数13を有しており、生成(図6)下(under creation)で実際の構造体9内における同じ数に対応する。
【0019】
アクティブ状態のシステムの単一素子を、非アクティブ状態のシステムの単一素子に接続する場合には、仮想オブジェクト10に関する情報と、アクティブ状態ではないシステムの単一素子の実際の構造9における連続的な稼動番号13に関する情報とが連結されて、アクティブ状態のシステムの単一素子から、アクティブ状態ではないシステムの単一素子の集積回路1の記憶装置に伝送される。システムのある単一素子のケーシング壁部6の複数組の座標は、システムの単一素子の稼動番号13に割り当てられる。これらのデータセットは、システムの各単一素子の集積回路1内のプログラム12に転送される。仮想オブジェクト10に関して伝送されるデータにしたがうと、集積回路1内のプログラム12は、システムの単一素子のそれぞれの壁部6の活性化または不活性化、および連続的にリンクされるシステムの単一素子に適切な稼動番号13の割り当てを決定する。システムの連続的な単一素子がシステムの以前の単一素子にリンクされる場合、任意のタイプのインターロック7により接続が阻まれる。システムのそれぞれの単一素子をリンクするとともにアクティブ化して、オブジェクト9の実際の構造体を作る手続きは、集積回路1内の仮想オブジェクト10において利用可能な、すべての稼動番号13の範囲内で、システムのすべての単一素子が接続されるまで、過程の途中である。システムの単一素子間の連結をすべて終了すると、仮想オブジェクト10に対応する実際の構造体9が現れる。オブジェクトの実際の構造体9は、システムの単一素子の初期の状態、すなわちシステムの非アクティブな単一素子の緩く結合された初期の組に分散されてもよい。このことは、システムの単一素子のケーシングの全ての壁部6の不活性化ならびに、実際の構造体9のすべての集積回路1に適切な情報を転送した結果、すべてのインターロック7が分離したことにより発生する。このような不活性化が起こったあとには、三次元の多目的素子システムの単一素子はすべて、任意の所望の目的を達成するために新しい三次元構造体作成用に再度使用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
三次元多目的素子のシステムおよびその機能の詳細を、変種を例示して以下に説明する。
【図1】システムのアクティブ素子の概略構造を示す図である。
【図2】システムの非アクティブ素子の概略構造を示す図である。
【図3】システムの単一アクティブ素子の実行中における、システムの非アクティブ素子との連結の初期段階を示す図である。
【図4】システムのアクティブ単一素子と、システムの非アクティブ単一素子との連結の最終段階を示す図である。
【図5】実際の構造体を作成するためのシステムの5つの単一素子との恒久的な連結を概略的に示す図である。
【図6】システムの5つの単一素子から構成された三次元の実際の構造体を示す図である。
【図7】システムの単一素子が内部に設けられた携帯容器の簡略図を示す。
【符号の説明】
【0021】
1 集積回路
2 光パイプ
3 エレクトロプラスチック作動部
4 太陽電池
5 電圧源
6 ケーシング壁部
7 インターロック
8 磁気コイル
9 生成部
10 仮想オブジェクト
11 容器
12 プログラム
13 稼動番号
14 熱エミッタ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律的に独立した一体型素子を利用して、極めて広大な範囲の形式、色および材料、機械的特性、運動学的特性、機能的特性の莫大な範囲を有する3次元構造を作成するために用いられる3次元多目的素子システムおよび3次元多目的素子を生成するための方法に関する。
【0002】
本発明によれば、3次元多機能素子システムはオリジナルの機能的コピーを作ることによって様々な技術に適用されてもよく、それらの技術には例えば、宇宙技術、家具産業、装飾および建築業、玩具および娯楽産業、整形外科、三次携帯電話、製造業、救助および家事ロボット、ならびに最終的には、特に遺伝学、結晶学および化学の研究シミュレーションシステム創成などがあげられる。
【背景技術】
【0003】
国際特許出願PCT/GB95/00460(公開番号WO95/23676)において、モノマーという名の一組の六角形の塊を構成するいくつかのプログラム可能な材料が開示されている。モノマーはコンピューター制御モードで互いに接近しあい、構造およびメカニズムを作成することができる。モノマーはまた、他のモノマーと結合したり、分離されることなく互いに接近したりすることができる。あるモノマーが破損された場合には、まだ存在中のモノマーが破損されたモノマーを除去し、良好のクローンと交換する。モノマー運動は、全構造体の合成において必要なそれぞれのモノマー運動の個々の経路を指定するために、流れ、ゲート、幹線および容器に系統的に分割される。特殊モノマーには、所期の合成された構造体とともに所期の装置を形成するツール類が設けられている。モノマーは、側壁の垂直対称軸に溝を有しており、またモノマー内部には、滑動するくさびを設けられた突出インターロックを有している。近隣するモノマーは互いに結合し閉鎖されるか、あるいは接続上のこれらの相互移動が歯状棒および歯車またはその他を介して可能であるようにリンクされてもよい。それぞれのモノマーは、電磁石またはリニア誘導モーターのいずれかにより制御されるラッチシステムによって互い配置されてもよい。第2のモノマー形には各壁に4つの対称的な溝が設けられており、溝は壁部対称軸に対して45度の角度で配置されている。これらの溝は、近隣するモノマーが相互に連結することを防ぐ挿入素子として機能する。第3のモノマー形は、6つの壁部すべての前面素子に設けられており、これらの素子には各素子の対称軸に載置されたT字型の区間溝が備えられている。
溝にはラッチ・ユニットが載置されて、リンクされたモノマーが相互位置に整列することを可能にする。ラッチ・ユニットは、モノマーの前面素子の外表面へ垂直に整列されたギヤー伝動装置により制御される。電磁石を備えたリニア誘導モーターは、モノマーの移動を確実なものにする。静止モノマーのリニア誘導モーターは、移動されるモノマーを平行移動させる。一連の静止モノマーのリニア誘導モーターを正確に調整することにより、この一連のモノマーに沿った高い移動速度への達を可能にする。電気が供給され、近隣するモノマーを介して中央の源から制御データの伝送が起こる。3Dセルフアセンブリング法および静電式微細構造の操作というタイトルの論文が2001年8月発行の「IEEE TRANSACTION ON ELECTRON DEVICES」誌の48巻、第8号に掲載されているが、この論文では3次元のセルフアセンブリング法および静電式微細構造の開始方法が開示されている。微細構造の目的は、光学装置、特に広い反射角を有する微細ミラーマトリックス用に、専用制御素子を完成させることである。最初の平坦な構造体は1つのポリシリコン構造層内部で行なわれる。可動構造体は、薄い弾性支柱を介して2本の主な支援用の梁と連結される回転プレートを含む。4つの統合された最終的な制御装置SDAの組み合わせにより支援用の梁が決定される。振動する電気信号を介して、SDA素子は移動するとともに、最初の平坦な構造層を最終的に曲げる。構造に求められる形状に達すると、それぞれの素子は機械的に閉鎖される。
【0004】
さらに「セルフアセンブラ」(LOS ALAMITOSのIEEE COMP. SOC.PRESS社により発行された1994年5月8日より5月13日に米国San Diegoで行なわれた米国ロボット光学および自動化に関する国際会議議事録)により、2次元装置を作成するための同様な装置から構成されるセルフアセンブラが開示された。それぞれの素子は3つの層より構成され、可動部分を有しない。頂部層および底部層は同じ形状であり、それぞれの層は対照的に配置された3つの磁石を含み、これらの磁石の北極は底部層に載置されている。中間層は頂部層および底部層と同じ形状であるが、これらの層に対して60度の角度で向いており、磁石の代わりに3つの電磁石を含む。
【0005】
電磁石は印加された電圧の分極化にしたがって後退または押出された磁石を有し、次回になんら影響を及ぼすことなく2つの磁石間を回転してもよい。各素子は他の6以下の素子にリンクされてもよい。各素子間の連絡は赤外線光学システムにより確保される。中継器と受信器は、磁石と電磁石との中間にある孔部に配置される。連絡部では、非同期式直列化プロトコルが適用される。8ビットプロセッサは受け取った情報と合致する電磁石の分極化について決定する。各素子が配置される極板が供給端子として用いられるワイヤレスシステム内に電気が与えられる。極板は複数の領域に分割されて、供給電圧に毎秒連結される。また一方で、残る極板は接地される。各素子への供給は4つの接点および1つの整流器からなされる。それぞれの素子は近接する素子との局部的な接続に関する情報のみを有している。全体的な構造体の形状は各素子間の局部的なリンクに基づいて説明される。
【発明の開示】
【0006】
本発明にしたがうと、3次元多目的素子システムにおいて、移動ならびに他の素子との連結および他の素子からの分離が可能な単一の一体型素子から構成され、プログラム可能な集積回路と、それぞれの単一素子と電磁石とをリンクするためのインターロックとを含み、システムの単一素子のケーシング壁部は、形成時に実際の構造内の単一素子のプログラムされた位置に依存する磁気分極化を有する。単一素子のアクティブ状態では、システムの単一素子のケーシングの壁部は、異なる磁気分極化を有する。これに対して、単一素子がアクティブ状態ではない場合には、システムの単一素子のケーシングの壁部は、同じ磁気分極化を有する。アクティブ状態のシステムの単一素子を、アクティブ状態ではないシステムの単一素子に接続する場合には、仮想オブジェクトに関する情報と、非アクティブ状態のシステムの単一素子の実際の構造における連続的な稼動中の番号に関する情報とは連結されて、アクティブ状態のシステムの単一素子から、アクティブ状態ではないシステムの単一素子の集積回路の記憶装置に伝送される。システムの所与の単一素子のケーシング壁部の複数組の座標は、システムの単一素子の稼動中の番号に割り当てられる。これらのデータセットは、システムの各単一素子の集積回路内のプログラムに転送され、この一方で集積回路内のプログラムは、システムの単一素子のそれぞれの壁部の活性化または非活性化の双方を決定するとともに、連続的にリンクされるシステムの単一素子に適切な稼動中の番号を割り当てる。
【0007】
システムの単一素子のケーシング壁部内の磁気分極化は、システムの単一素子内部の電磁石によって生成される。システムの単一素子のケーシングの壁は、これらの相互位置を変更することができるように互いに接続される。システムの単一素子のケーシングの壁は、エレクトロプラスチック作動装置によって互いに連結され、プログラム可能な集積回路から送信された励起信号にしたがって壁部の相互位置を制御する。
0−9
システムの単一素子は、集積回路、インターロック、電磁石およびエレクトロプラスチック作動装置に供給する電圧源を有する。
【0008】
電圧源は太陽電池からの供給により再生可能である。太陽電池への光は光パイプの内部を通って運ばれるが、この光パイプはまた、オブジェクトに関する情報および集積回路へのプログラム指示の両方をさらに伝える。オブジェクトの実際の構造は、単一のシステム素子のすべてのケーシング壁部が非活性化されることならびに集積回路への情報送信の結果としてすべてのインターロックが分離されることを介して、システムの単一素子の初期状態に分散されてもよい。
【0009】
本発明によればシステムは、まず前の構造体を破壊して新しい構造をつくるためにシステムの同様の単一素子を複合的に用いることを可能にする。システムの単一素子の各々は設計された実際の構造体の再構築に必要な1組の情報を有する。システムの単一素子の任意の量から、要望どおりに設計され、広範囲の形状、色および材料を有し、機械的特性、運動学的特性、動的な特性を有する構造体および構築物を作ることができる。
【最良の実施態様】
【0010】
3次元多機能素子システムの単一素子は、エレクトロプラスチック作動装置3によって互いにリンクされた壁部6から構成されたケーシングを含み、このエレクトロプラスチック作動装置3は、引っ張られたり緩んだりすることによって3次元多機能素子システムの単一素子のケーシングの壁部6の相互位置を変更することができる。プログラム可能な集積回路1から送信された励起信号によって壁部6の相互位置には変化が生じる。熱エミッタ14は、単一素子のケーシングの壁部6の相互位置が変化する過程で生成された余剰な熱、および他のシステム装置からの熱の双方を運び去る。単一素子内には、各単一素子を連結するためのインターロック7と、磁気コイル8とが設けられ、さらに、集積回路1と、インターロック7と、磁気コイル8と、エレクトロプラスチック作動装置3とに電圧を供給する電圧DC源5が設けられている。
【0011】
電圧源5は太陽電池4からの供給により再生可能である。太陽電池への光は光パイプ2の内部を通って運ばれるが、この光パイプはまた、オブジェクト10に関する情報および集積回路1へのプログラム指示12の両方をさらに伝える。
【0012】
非アクティブな状態においては、3次元多機能素子システムの単一素子はケーシングの全ての壁部(6)が同様のマイナスまたはプラスの磁極を有する。アクティブ状態では、単一素子のケーシングのそれぞれの壁部6は、異なる磁極で分極化されてもよい。システムの単一素子のケーシングのそれぞれの壁部6の分極化は、集積回路1内でプログラムされたオブジェクト10の仮想構造体にしたがって、生成部9での実際の構造体内のシステムの所与の素子の位置に依存する。同じ磁極である非アクティブ単一素子の組は容器11(図7)内に載置され、制御下で一定の運動に従う。システムのアクティブな単一素子が、システムの非アクティブな単一素子の組の内部に現われるとすぐに、システムに最も近い非アクティブ素子がシステムのアクティブ素子に接続される。システムの最初のアクティブな単一素子は、1と記されたオブジェクト10の仮想構造体の最初の数13を有しており、生成(図6)下で実際の構造体9内における同じ数に対応する。
【0013】
アクティブ状態のシステムの単一素子を、非アクティブ状態のシステムの単一素子に接続する場合には、仮想オブジェクト10に関する情報と、アクティブ状態ではないシステムの単一素子の実際の構造9における連続的な稼動中の番号13に関する情報とは連結されて、アクティブ状態のシステムの単一素子から、アクティブ状態ではないシステムの単一素子の集積回路1の記憶装置に伝送される。システムの所与の単一素子のケーシング壁部6の複数組の座標は、システムの単一素子の稼動中の番号13に割り当てられる。これらのデータセットは、システムの各単一素子の集積回路1内のプログラム12に転送される。仮想オブジェクト10に関して伝送されるデータにしたがうと、集積回路1内のプログラム12は、システムの単一素子のそれぞれの壁部6の活性化または非活性化の双方を決定するとともに、連続的にリンクされるシステムの単一素子に適切な稼動中の番号13を割り当てる。システムの連続的な素子がシステムの前の単一素子にリンクされる場合、任意のタイプのインターロック7により接続が阻まれる。システムのそれぞれの単一素子をリンクするとともにアクティブ化して、オブジェクト9の実際の構造体を作る手続きは、集積回路1内の仮想オブジェクト10において利用可能な、すべての継続番号13の範囲内で、システムのすべての単一素子が接続されるまで、過程の途中である。システムの単一素子間の連結をすべて終了すると、仮想オブジェクト10に対応する実際の構造体9が現れる。オブジェクトの実際の構造体9は、システムの単一素子の初期の状態、すなわちシステムの非アクティブな単一素子の緩く結合された初期の組に分散されてもよい。このことは、システムの単一素子のケーシングの全ての壁部6の非活性化ならびに、実際の構造体9のすべての集積回路1に適切な情報を転送した結果、すべてのインターロック7が分離したことを通して発生する。このような非活性化が起こったあとには、三次元の多目的素子システムの単一素子はすべて、任意の所望の目的を達成するために新しい三次元構造体作成用に再度使用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
3次元多目的素子のシステムおよびその機能の詳細を、変種を例に以下に説明する。
【図1】システムのアクティブ素子の概略構造を示す図である。
【図2】システムの非アクティブ素子の概略構造を示す図である。
【図3】システムの単一アクティブ素子の実行中における、システムの非アクティブ素子との連結の初期段階を示す図である。
【図4】システムのアクティブ単一素子と、システムの非アクティブ単一素子との連結の最終段階を示す図である。
【図5】実際の構造体を作成するためのシステムの5つの単一素子との恒久的な連結を概略的に示す図である。
【図6】システムの5つの単一素子から構成された3次元の実際の構造体を示す図である。
【図7】システムの単一素子が内部に設けられた携帯容器の簡略図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の一体型素子を備え、前記素子は移動したり、素子を他の素子に連結したり、他の素子から分離したりすることができ、プログラム可能な集積回路と、それぞれの単一素子と電磁石とをリンクするためのインターロックと、を含み、前記システムはシステムの単一素子のケーシング壁部(6)が、形成部(9)下で実際の構造体における単一素子のプラグラムされた位置に依存した磁性に分極し、また同時に、単一素子のアクティブ状態において、システムの単一素子のケーシング壁部(6)は異なる磁性に分極しており、一方、単一素子の非アクティブな状態では、システムの単一素子のケーシング壁部(6)は同じ磁性に分極しており、システムのアクティブな単一素子をシステムの非アクティブな単一素子に接続する場合には、仮想オブジェクト(10)に関する情報と、システムの非アクティブな単一素子の実際の構造体(9)における連続的な稼動番号(13)に関する情報とは連結されて、アクティブなシステムの単一素子から、非アクティブなシステムの単一素子の集積回路(1)の記憶装置に伝送され、システムのある単一素子のケーシング壁部(6)の複数組の座標は、システムの単一素子の稼動番号(13)に割り当てられるが、これらのデータセットは、システムの各単一素子の集積回路(1)内のプログラム(12)に転送され、集積回路(1)内のプログラム(12)は、システムの単一素子のそれぞれの壁部(6)の活性化または不活性化を決定するとともに、連続的にリンクされるシステムの単一素子に適切な稼動番号(13)を割り当てる三次元多目的素子システム。
【請求項2】
前記システムの単一素子のケーシング壁部(6)内の磁性分極は、システムの単一素子内部に設置された電磁石により生成されることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
システムの単一素子のケーシング壁部(6)は、それらの相互位置を変更することができるように互いに接続されていることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項4】
システムの単一素子のケーシング壁部(6)は、エレクトロプラスチック作動装置(3)によって互いに連結され、前記作動装置はプログラム可能な集積回路(1)から送信された励起信号にしたがって壁部(6)の相互位置を制御することを特徴とする請求項3記載のシステム。
【請求項5】
システムの単一素子は、集積回路(1)と、インターロック(7)と、電磁石(8)と、エレクトロプラスチック作動装置(3)とに電圧を供給する電圧源(5)を有することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項6】
電圧源(5)は太陽電池(4)からの供給により再生可能であることを特徴とする請求項5記載のシステム。
【請求項7】
太陽電池(4)への光は光パイプ(2)内を運搬されることを特徴とする請求項6記載のシステム。
【請求項8】
光パイプ(2)は集積回路(1)にオブジェクト(10)に関する情報とプログラム指示(12)との双方を搬送することを特徴とする請求項1または7記載のシステム。
【請求項9】
稼動番号(13)に、システムの単一素子の壁部(6)の複数組の座標が割り当てられ、これらのデータの複数組は、システムの各単一素子の集積回路(1)内のプログラム(12)に転送されることを特徴とする請求項3記載のシステム。
【請求項10】
オブジェクトの実際の構造体(9)は、システムの単一素子の全ケーシング壁部(6)の不活性化、および集積回路(1)に適切な情報を転送することで起こる全インターロック(7)の分離により、システムの単一素子の初期状態に分散されてもよいことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元多目的素子のシステムであって、
単一の一体型素子を備え、この素子は移動したり、素子を他の素子に連結したり、他の素子から分離したりすることができ、
プログラム可能な集積回路と、インターロックと、電磁石とを含み、
前記システムの単一の素子は全て可変磁性分極化を有するケーシング壁部(6)を有し、
前記素子は電圧源(5)を内部に有し、
前記システムの単一の素子は全てプログラム指示を含むことを特徴とする3次元多目的素子のシステム。
【請求項2】
前記ケーシングの壁部(6)が、それらの相互位置を変更することができるように互いに接続されていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ケーシングの壁部(6)が、エレクトロプラスチック作動装置(3)によって互いに連結され、前記作動装置はプログラム可能な集積回路(1)に連結されたことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記電圧源(5)が再生可能源であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記再生可能電圧源(5)は太陽電池(4)からの供給により再生可能であることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
太陽電池(4)への光が光パイプ内(2)で運搬されることを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
3次元構成を生成するための方法であって、
単一の多目的素子の相対的位置はケーシングの壁部(6)の電磁性分極化の変化の結果であることを特徴とする、相対的位置の結果としての3次元多目的素子を連結したり分離したりすることからなり、
前記変化は前記システムの単一素子の活性化または非活性化により実現され、
仮想オブジェクトに関する情報と、連結される非アクティブな単一素子の実際の構造体における連続的な稼動中の番号に関する情報とは、システムのアクティブなシステムの単一素子から、システムの非アクティブな単一素子の集積回路(1)の記憶装置に伝送され、
集積回路(1)は、連続的にリンクされるシステムの単一素子のそれぞれの壁部(6)の活性化または非活性化を決定する3次元多目的素子のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−512964(P2006−512964A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−566354(P2004−566354)
【出願日】平成15年11月12日(2003.11.12)
【国際出願番号】PCT/PL2003/000117
【国際公開番号】WO2004/062759
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(505243560)
【Fターム(参考)】