説明

三次元搬送台車用片荷防止装置

【課題】 返却や事前準備の必要がなく、また紛失のおそれがないコンテナに固定された片荷防止手段によってコンテナ内で積載物が片荷状態にならないように保持することができ、これにより台車上でコンテナを常に水平状態を維持することができるようにした三次元搬送台車用の片荷防止装置を提供すること。
【解決手段】 建物内部に水平及び垂直に敷設されたレール10上を走行する台車30にジャイロ機構31を介して揺動可能に支持された搬送物A,Bを収納するコンテナ20を備えた三次元搬送台車において、前記コンテナ20の内部に、前記ジャイロ機構31の揺動軸33を挟みかつコンテナ20内の前後付近に位置付けた前記揺動軸33と平行な支持軸に支持させて起伏可能にした一対の荷物位置決め手段41を設け、該位置決め手段41を、互いに対面させる第一の位置と、コンテナ20内の前後端面又はコンテナ20底面に対面する第二の位置との間で回転させるようにしたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばビルディングなどの建物の複数階にわたり、天井に水平に、壁に垂直に敷設したレールに沿ってコンテナを備えた台車を搬送体を走行させ、レールに沿って配置されたステーションに書類、部品などの積載物をコンテナから降ろしたり、該コンテナに搭載する搬送システムにおいて、搬送物がコンテナ内で走行中に片荷状態にならないようにするために当該コンテナ内に設けた片荷防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような三次元搬送システムは、オフィス内での文書、郵便物、文具など、或は、病院内でのカルテ、医薬品など、又は、工場内での部品、製品などの搬送物を目的場所まで自動搬送することができることから広く利用されている。
【0003】
上記搬送システムは、建物内部に水平及び垂直に敷設されたレールと、レール上を走行する複数の搬送体と、搬送体の走行を制御するコンピュータ等から構成されており、搬送体はレールに沿って走行する台車が搬送物を搭載するコンテナを備えて形成されている。ここで、コンテナは、ジャイロ機構によって台車に揺動可能に支持されており、従って、レールが垂直の区間を走行するとき、ジャイロ機構の作用で台車上で揺動(回転)し、当該コンテナが常に水平状態を維持できるようになっている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
上記のようなジャイロ機構で支持したコンテナを備えた台車が用いられる搬送システムでは、搬送物がコンテナ内に均等に収容されていると、台車が水平区間を走行するときは、コンテナがレールと平行な水平姿勢を保持し、また、当該台車が垂直区間を走行するときでも、コンテナはジャイロ機構の揺動軸を中心に揺動して垂直なレールに対して直角な水平姿勢になるので、搬送物を常に水平状態に維持することができる。
【0005】
しかしながら、搬送物が揺動中心の片側に集中してコンテナに搭載されていると、コンテナは水平区間及び垂直区間の双方でジャイロ機構の揺動中心に関して傾いた状態のまま走行する。その結果、搬送物がコンテナ内で散乱したり、同載された他の搬送物などに接触や衝突したりして傷ついたりするおそれがある。とくに、搬送物が試薬や検体である場合において搬送中にコンテナが水平状態を維持できないと、試験管などのガラス容器がラック等から抜け出して破損したり、内容物をこぼしてしまうおそれがある。
【0006】
従来、この対策としてコンテナ内に詰め物をしたり仕切り板を後から入れたりして搬送物が片側に寄らないようにしていたが、搬送物を受け取った後、送信元へ仕切り板を返却したり、詰め物を予め準備するなどの必要があって、煩雑の手間が不可欠であった。また、仕切り板の紛失も生じ易く合理的とはえいない面がある。
【特許文献1】特開平2005−047369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のようなジャイロ機構を有する三次元搬送台車の現状に鑑み、返却や事前準備の必要がなく、また紛失のおそれがないコンテナに固定された片荷防止手段によってコンテナ内で積載物が片荷状態にならないように保持することができ、これにより台車上でコンテナを常に水平状態を維持することができるようにした三次元搬送台車用の片荷防止装置を提供することを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決することを目的としてなされた本発明片荷防止装置の構成は、建物内部に水平及び垂直に敷設されたレール上を走行する台車にジャイロ機構を介して揺動可能に支持された搬送物を収納するコンテナを備えた三次元搬送台車において、前記コンテナの内部に、前記ジャイロ機構の揺動軸を挟みかつコンテナ内の前後付近に位置付けた前記揺動軸と平行な支持軸に支持させて起伏可能にした一対の荷物位置決め手段を設け、該位置決め手段を、互いに対面させる第一の位置と、コンテナ内の前後端面又はコンテナ底面に対面する第二の位置との間で回転させるようにしたことを特徴とするものである。
【0009】
本発明片荷防止装置においては、上記構成の位置決め手段を支持した支持軸が、コンテナ内の側面に平行配置された平面板状の立脚部に設けられる構成とすることができる。また、各位置決め手段は、各立脚部の間に配置された平面板状の荷押さえ部と、該押さえ部の両端からコンテナの前後端面に向かって延び自由端を立脚部に支持軸により回転可能に連結された平面板状のアーム部とからなる構成としても良い。
【0010】
本発明においては、荷の位置決め手段は、コンテナの底を横切るように配置し、その下端縁を回転可能にしてコンテナの底に取り付けた押さえ部を備えると共に、この押え部の自由端が、コンテナ前後端面にスプリングを介して起立側に付勢されて設けられた回転可能な支持手段の前端部に連繋支持させた構成とすることもできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明片荷防止装置は、建物内部に水平及び垂直に敷設されたレール上を走行する台車にジャイロ機構を介して揺動可能に支持された搬送物を収納するコンテナを備えた三次元搬送台車において、前記コンテナの内部に、前記ジャイロ機構の揺動軸を挟みかつコンテナ内の前後付近に位置付けた前記揺動軸と平行な支持軸に支持させて起伏可能にした一対の荷物位置決め手段を設け、該位置決め手段を、互いに対面させる第一の位置と、コンテナ内の前後端面又はコンテナ底面に対面する第二の位置との間で回転させるようにしたから、小さな荷物でもコンテナのジャイロ機構の軸に関して前後平衡に積載することができ、従って、荷の片寄りが生じないのでコンテナ常に水平状態に維持することができる。
【0012】
即ち、搬送物のサイズが小さいときに、位置決め手段を第一の位置に回転させることによって、搬送物をコンテナ内の中央に保持し、コンテナが片荷状態ならないようにしたため、コンテナが台車上でスムーズに揺動(回転)し、水平区間ではレールと平行状態に、垂直区間ではレールと直角状態を保持することができ、搬送物を水平な搭載姿勢のままで搬送することができる。この結果、搬送物が、搬送中に、コンテナ内で動きばらばらになったり、変形したり、傷んだりするのを防止することができる。また、搬送物のサイズが大きいときには、位置決め手段を第二位置に回転させることによって、コンテナの搬送物収納空間を本来の大きさに戻し、コンテナ一杯に搬送物を搭載することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明片荷防止装置の実施の形態例について説明する。添付図において、図1は本発明片荷防止装置を備えるコンテナの第一の実施例を示す一部を破断した側面図、図2は図1の2−2線に沿う断面図、図3は図1の3−3線に沿う縦断面図、図4は図1に示す片荷防止装置の斜視図、図5は図1に示すコンテナを含む搬送システムの全体構成を説明するための斜視図、図6は本発明片荷防止装置を備えるコンテナの第二の実施例を示す一部を破断した側面図、図7は図6の7−7線に沿う断面図、図8は図6に示す片荷防止装置の斜視図、図9は第二の実施例の使用状態の一例を示す側面図、図10は第二の実施例の片荷防止装置が積載物で折畳まれた状態を示す側面図である。
【0014】
本発明片荷防止装置を適用する三次元搬送台車を用いた搬送システムは、図5に例示するように、レール10とそのレール10に沿って自走する搬送体12を備えている。この搬送体12は、本発明でいう三次元搬送台車の一例である。前記のレール10は、一例としてビルディングの内部に、床から壁を伝って天井にはわされ、そして天井の一部にある通路を通じて階上に延びるように敷設されている。
【0015】
三次元搬送台車たる搬送体12はコンテナ20及び台車30からなり、コンテナ20は、図1〜図4に示した例では、コンテナ本体21及びコンテナ蓋22を有している。
【0016】
図5に示すように、コンテナ20は、コンテナ本体21の長手方向外側面を台車30に支持されている。台車30は、例えば特開平2005−047369号公報に記載されているように、レール10を転動する車輪を備え、台車上の電動機がレール10の間に敷設されたラックギアにかみ合うピニオンギアを回転させることで、自走することができる。
【0017】
また、図5に示すようにコンテナ20は、台車30にジャイロ機構31を介して支持されており、台車30がどの区間を走行しても、常に水平姿勢を維持している。そしてジャイロ機構31は、例えば特開平2005−047369号公報に記載されているように、コンテナ20を揺動(回転)可能に支持する支持台32、該支持台32を昇降させるねじ軸、ねじ軸を回転させる電動機などを含んでいる。ここでは、コンテナ20は揺動軸33によって前記支持台32に自由回転可能に保持されている。
【0018】
従って、コンテナ20は、図5に示すように、垂直区間などにおいて、支持台32を上昇され、揺動軸33を中心にして前後に揺動し、水平状態を維持することができる。なお、台車30の走行用電動機やジャイロ機構31の電動機などに対する給電は、図は省略するが、一例としてレール10に沿って架設された電線からなされる。
【0019】
上記のコンテナ本体21は、上方が開放された箱状のもので、走行方向(前後方向)の両端部付近の内部に本発明片荷防止装置40が組み込まれている。コンテナ蓋22は、下面側が開放された浅い箱形のもので、コンテナ本体21の上方開口を覆うように、コンテナ本体21の四周側壁の上端縁に嵌め込まれ、コンテナ本体21を密閉している。このコンテナ蓋22は、例えば、長手方向端部をヒンジ23によりコンテナ本体21に連結し、中央凹所に配置した把手24を引き上げることによって、コンテナ本体21を開放することができる。
【0020】
本発明片荷防止装置40は、コンテナ20の内部に、中間の揺動軸33を挟んで互いに間隔を置いて配置された前後一対の位置決め手段41と、この位置決め手段41とコンテナ前後の内端面との間に配置され、互いに対面する第一の位置およびコンテナ本体21の内端面にほぼ平行な第二の位置との間の揺動を位置決め手段41によって行う支持手段42とからなっている。
【0021】
図4に例示するように、各位置決め手段41は、コンテナ本体21内に横断して配置された平面板からなる押さえ部43と、押さえ部43の左右両端から直角に後方へ延びた平面板からなる左右のアーム部44とを備えた、略コ字状断面又はチャネル断面を有する部材で形成されている。ここでの押さえ部43は左右のアーム部44と一緒に平面板をプレス成形することによって形成したものである。なお、押さえ部43の中央には、図3,図4に示すように、手掛かり用の開口45が形成されている。
【0022】
一方の、前後の各支持手段42は、コンテナ本体21内部の前後面と平行に配置された、平面板からなる左右で一対の立脚部46を有している。各立脚部46は浅い箱形の底部47に結合された形で当該底部47の左右側端に立設されている。各支持手段42のコンテナ本体21への固定は、底部47の下面に設けたねじ座47aに、コンテナ本体21の外側からねじなどをねじ込んでなされている。
【0023】
押さえ部43は、立脚部46の間に配置されていると共に、アーム部44の自由端にある軸部48が立脚部46に回転可能に保持され、軸部48を中心にして押さえ部43に第一の位置と第二の位置との間の回転を行えるようにしている。支持手段42の立脚部46の外側面には、アームレスト46aが取付けられており、アーム部44は、押さえ部43が第一の位置(図4の実線で示した位置)に回転されたとき、アームレスト46aによって支持されるようになっている。
【0024】
図5に例示した搬送システムでは、複数の搬送体12をレール10に沿って自走させ、レール10の水平区間などに沿って配置されたステーションにおいてコンテナ20の内部に搬送物Aを荷積みあるいは荷降ろしするようにしている。各ステーションでの停止、各ステーションに向かっての自走などはコンピュータ装置によってコントロールされる。
【0025】
いま、搬送体12が或るステーションに停車すると、作業者はコンテナ蓋22を外し、コンテナ本体21に搬送物Aを搭載する。このとき、搭載する搬送物Aのサイズに応じて、押さえ部43の回転位置を定め、搬送物Aがコンテナ本体21の中央に位置するように配置する。例えば、搬送物Aが小さいサイズの場合には、図1の右半側に実線で示すように、双方の押さえ部43を回転させ、押さえ部43を平行に対面させることによって、コンテナ本体21の中央に搬送物Aを前後から押さえ部43で挟むように支持した状態で搭載することができる。
【0026】
一方、搬送物が検体ケースのような、コンテナ本体一杯のサイズをもつ搬送物B(図10参照)であれば、図1に一点鎖線で示すように、双方の押さえ部43を夫々に後方へ回転させて退避させ、押さえ部43をコンテナ本体21の前後に位置した内側面に近接乃至当接するように位置付けると、左右の両立脚部46が平行な平面板から構成され、厚みが小さいことと相俟って、コンテナ本体21の内部がほぼ元のフルサイズに拡がり、内容積が大きくなるので、確実に収容することができる。そして、図1に二点鎖線で示すように、押さえ部43をこれらの途中の位置に回転させることによって、任意の前後幅を有する搬送物収容空間をコンテナ本体21の内部に形成することができる。
【0027】
図1に例示した態様で搬送物Aを収容した後、コンテナ蓋22をコンテナ本体21にかぶせ、目的搬送ステーションがどこかをコンピュータ装置に指令することによって、搬送体12はコンピュータ装置にコントロールされ、目的ステーションまで当該搬送物Aを搬送する。搬送に際して、搬送体12がレール10の垂直区間にさしかかると、図5に示すように、支持台32が進出(上昇)してコンテナ本体21を上昇させ、台車30から離間させる。これによってコンテナ本体21は揺動軸33を中心にレール10と直角な姿勢になるように揺動し、コンテナ本体21は水平状態を保持してレール10の垂直区間を通過する。また、搬送体12がレール10の水平区間に戻ると、コンテナ本体21は再び回転して水平状態となると共に、支持台32の後退(降下)によって台車30に向かって下がり、低重心状態で水平走行する。
【0028】
本発明による片荷防止装置は、上記のようなコンテナ本体21が水平姿勢保持のため回転するが、小さい搬送物Aは、押さえ部43によってコンテナ本体21の中央に保持固定されている。つまり、コンテナ20が片荷状態になっていないので、揺動軸33を中心にして円滑にかつ確実に回転して、水平状態を維持することできる。また、搬送物のサイズが大きければ、一対の押さえ部43を互に後方へ向けて回転させることにより折畳み、押さえ部43をコンテナ本体21の前後壁内面と平行に位置付けてコンテナ本体21の内部容積を大きくする(ほぼ元の大きさに戻す)ので、搬送物が大きい場合でもコンテナ本体21に簡単に収容することができる。
【0029】
次に、図6〜図10により本発明片荷防止装置140の他の実施例について説明する。
図6〜図10に例示した片荷防止装置は、先の実施例と同様に小さいサイズの搬送物を偏位させることなくコンテナに搭載することができることは勿論であるが、この実施例では、大きいサイズの搬送物をコンテナに搭載するとき、押さえ手段を自動的に回転させて、コンテナの内部空間を拡張することができるように構成している。
【0030】
本発明片荷防止装置の別例は、図6〜図8に参照符号140で示され、コンテナ本体21の前後方向(進行方向)の両端に一対が配置されている。
【0031】
図6〜図8の各片荷防止装置140は、位置決め手段141と、この位置決め手段141に連繋された支持手段142を備えている。各位置決め手段141は、平面板で略L字状断面に形成され、押さえ部143を有している。押さえ部143は、略直角に曲げた端部を上にしてコンテナ本体21を横切って配置されていると共に、下端縁が一対の枢支部151を介してコンテナ本体21の内部底面に連結されている。各枢支部151は、コンテナ本体21の内部底面に固定された静止部151aと、押さえ部143の背面に固定された可動部151bとからヒンジを形成している。即ち、可動部151bには軸部151cが固定され、軸部151cにおける可動部151bの両端から延びている両端は静止部151aに回転可能に保持されている。
【0032】
上記の位置決めの手段141に連繋された前後の支持手段142は、平面板で薄いコ字状断面乃至チャネル状断面に形成した本体の左右にアーム部146を有し、このアーム部146が前記押さえ部143の左右両側に位置付けられてコンテナ本体21内部の前後部に配置されている。左右のアーム部146の間に位置した支持手段142におけるコンテナ本体21の内部前後壁に対向した端縁は、2つのスプリング蝶番152を介してコンテナ本体21の内部前後壁に連結されている。
【0033】
スプリング蝶番152は、コンテナ本体21の内部壁面に固定された静止部152aと、支持手段142における左右のアーム部146に挟まれた部位の下面に固定された可動部152bを備え、両部152aと152bを連結する軸部152cに、この支持手段142を起立方向に付勢するスプリング(図に表れず)を設けたことにより、可動部152bがこの軸部152cにより起立方向の力を受けつつ回転可能の保持されている(図8参照)。
【0034】
各位置決め手段141の押さえ部143の上縁と各支持手段142の自由端(前端部)は、連繋部153によって関連的に結合されている。連繋部153は、左右の軸受け部153bに支持された軸部153aと、該軸部153aに上から被さるように配置された押さえ部143の後端に形成した側面から見てほぼ逆L字状をなす係止部143aとから形成されている。
【0035】
上記構成によって、例えば、図6の左側にある片荷防止装置140のアーム部146の自由端にある軸受け部153bの上端或は押さえ部143の係止部143aの部位が下方に向かって押されると、図6の左側のアーム部146は軸部のスプリング力に抗して時計方向に回転し、係止部143aで関連した押さえ部143は軸部151cを中心に反時計方向に回転して、図6に仮想線で示すように押さえ部143がコンテナ本体21の底面に、アーム部146がコンテナ本体21の内壁面に当接した形の折畳み形態となる。図6の右側にある片荷防止装置140も、上記の左側の片荷防止装置140と同様の態様(但し、対称的)で、押さえ部143がコンテナ本体21の底面に、アーム部146がコンテナ本体21の端内壁に当接して折畳み形態となる。図6の実線は押さえ部143とアーム部146が第一の位置にある状態を、二点鎖線は押さえ部143とアーム部146が第二の位置にある状態を示している
【0036】
図6以降に示したコンテナ20も、先の実施例の場合と同様にコンテナ本体21の長手方向における中間部位の外側面をジャイロ装置を介して台車に支持され、搬送物がコンテナ本体21の内部に搭載される。
【0037】
また、図6以降に示したコンテナ20は、搬送物Aのサイズが小さい場合、図9に示すように、押さえ部143が第一の位置にあって、搬送物Aを間にする位置に配置される。これによって、搬送物Aはコンテナ本体21の中央に搭載される。一方、図10に示すように、搬送物のサイズが、例えば、ほぼコンテナ本体21の内部と同程度あるほど大きい場合、この搬送物Bをアーム部146の上端に載せるようにコンテナ内に収容すると、そのアーム部146と一体の支持部142が搬送物Aの積み込みによってスプリング蝶番152のスプリング力に抗して前後壁に沿う方向に回転し、第二の位置に到達すると共に、連繋部153の軸部153aに係止部143aで関連した押さえ部143がコンテナ本体21の内底面に当接するまで追従回転する結果、アーム部146を含む支持部142がコンテナ本体21内部の前後壁面に当接し、押さえ部143は底に当って折畳まれるので、大きな搬送物Bをコンテナに偏らせることなく、収納することができる。
【0038】
搬送物A又はBを収容したらコンテナ蓋22をコンテナ本体21に被せ、目的搬送ステーションをコンピュータ装置に指令することによって、目的ステーションまで搬送物A又はBを搬送する。搬送に際して、コンテナ20がレール10の垂直区間にさしかかると、コンテナ20が上昇し、台車30から離間すると共に、軸33を中心にレール10と直角に回転して、コンテナ20が水平状態になってレールの垂直区間を通過する。又、コンテナ20がレール10の水平区間の走行に戻ると、コンテナ20が再び回転して水平状態となると共に、ジャイロ機構によって台車33に向かって下降し、低重心状態で水平走行する。
【0039】
上述した本発明片荷防止装置の別例においても、搬送物Aのサイズが小さければ、押さえ部143によって搬送物Aをコンテナ本体21の中央に位置させることができるので、コンテナが片荷状態にならず、従って、揺動軸33を中心にしてコンテナが常に水平状態を維持することできる。一方、サイズが大きい搬送物Bでは、押さえ部143とアーム部146を含む支持部142が搬送物Aの積み込みによって半自動的に折畳まれて、コンテナ本体21の内部壁面と底に当接状態で収納されるので、大きな搬送物Bであってもコンテナ本体21に簡単に収容することができる。
【0040】
なお、以上説明した実施の形態において、押さえ部43,143の表面はフラットに構成されているが、搬送物に応じて、曲面等に構成しても良い。
又、図6〜図10の実施の形態において、押さえ部143及びアーム部146を含む支持手段142は手動によって第二の位置から第一の位置への間の回転を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明片荷防止装置を備えるコンテナの第一の実施例を示す一部を破断した側面図。
【図2】図1の2−2線に沿う断面図。
【図3】図1の3−3線に沿う縦断面図。
【図4】図1に示す片荷防止装置の斜視図。
【図5】図1に示すコンテナを含む搬送システムの全体構成を説明するための斜視図。
【図6】本発明片荷防止装置を備えるコンテナの第二の実施例を示す一部を破断した側面図。
【図7】図6の7−7線に沿う断面図。
【図8】図6に示す片荷防止装置の斜視図。
【図9】第二の実施例の使用状態の一例を示す側面図。
【図10】第二の実施例の片荷防止装置が積載物で折畳まれた状態を示す側面図。
【符号の説明】
【0042】
10 レール
20 コンテナ
21 コンテナ本体
22 コンテナ蓋
23 ヒンジ
24 把手
30 台車
31 ジャイロ機構
32 支持台
33 揺動軸
40 片荷防止装置
41 各位置決め手段
42 支持手段
43 押さえ部
44 アーム部
45 開口
46 立脚部
46a アームレスト
47 底部
47a ねじ座
48 軸
140 片荷防止装置
141 位置決め手段
142 支持手段
143 押さえ部
146 アーム部
151 枢支部
151a 静止部
151b 可動部
151c 軸部
152 枢支部
152a 静止部
152b 可動部
152c 軸部
153 スプリング蝶番
153a 軸部
153b 可動部
A,B 搬送物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内部に水平及び垂直に敷設されたレール上を走行する台車にジャイロ機構を介して揺動可能に支持された搬送物を収納するコンテナを備えた三次元搬送台車において、前記コンテナの内部に、前記ジャイロ機構の揺動軸を挟みかつコンテナ内の前後付近に位置付けた前記揺動軸と平行な支持軸に支持させて起伏可能にした一対の荷物位置決め手段を設け、該位置決め手段を、互いに対面させる第一の位置と、コンテナ内の前後端面又はコンテナ底面に対面する第二の位置との間で回転させるようにしたことを特徴とする搬送システムのコンテナ用片荷防止装置。
【請求項2】
各位置決め手段は、各立脚部の間に配置された平面板状の荷押さえ部と、該押さえ部の両端からコンテナの前後端面に向かって延び自由端を立脚部に支持軸により回転可能に連結された平面板状のアーム部とからなる請求項1に記載の片荷防止装置。
【請求項3】
前記押さえ部が把手となる開口を備えている請求項2に記載の片荷防止装置。
【請求項4】
荷の位置決め手段は、コンテナの底を横切るように配置し、その下端縁を回転可能にしてコンテナの底に取り付けた押さえ部を備えると共に、この押え部の自由端が、コンテナ前後端面にスプリングを介して起立側に付勢されて設けられた回転可能な支持手段の前端部に連繋支持させた請求項1に記載の片荷防止装置。
【請求項5】
前記支持手段は、搬送物の接触によって折畳み側に回転させられると共に、押さえ部を折畳み側に追従動作させる前記押さえ部との連繋支持部を備えた請求項4に記載の片荷防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−203872(P2007−203872A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−24715(P2006−24715)
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【出願人】(506429606)株式会社S&Sエンジニアリング (5)
【Fターム(参考)】