説明

三角スケールの製造方法

【課題】 頂部を利用してきれいな線を引くことができるとともに、カッタによる切断の際にも刃による損傷がほとんど生じることがない三角スケールの製造方法を提供すること。
【解決手段】 アルミニウム又はアルミニウム合金から三角スケール本体を形成するスケール本体形成工程S1と、三角スケール本体の表面に電解着色被膜を形成する着色被膜形成工程S2と、三角スケール本体の電解着色被膜にレーザ光を照射して三角スケール本体の素地を露出させて目盛りを形成する目盛り形成工程S4と、を含む三角スケールの製造方法。着色被膜形成工程S2は、三角スケール本体の表面に直接的に着色被膜を形成する一次電解発色被膜形成工程から構成してもよく、或いは三角スケール本体の表面に陽極酸化被膜を形成する陽極酸化被膜形成工程と、三角スケール本体の陽極酸化被膜に着色成分の金属を析出させる二次電解着色工程とから構成してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の目盛りが施された三角スケールを製造する三角スケールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築関係などにおいては、寸法を計測するのに三角スケールが用いられている。この三角スケールは三角スケール本体を備え、この三角スケール本体の3側面に例えば6種類の目盛りが施されている。三角スケールは竹材を用いて形成されていたが、近年においては合成樹脂から形成されたものも存在し、最近においてはその芯体としてアルミニウムを用いたものも出現している(例えば、特許文献1参照)。この三角スケールは、中空のアルミニウムから形成された三角スケール本体を備え、この三角スケール本体の3つの各頂部に合成樹脂製の目盛り部材を接着し、この目盛り部材の表面に目盛りが施されている。
【0003】
【特許文献1】意匠登録第1157406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、アルミニウム製の三角スケール本体を備えた三角スケールにおいては、次の通りの解決すべき問題がある。第1に、この種の三角スケールにおいては、各頂部を利用して例えば紙面に線を引くことが多々あり、このような場合、各頂部の先端が尖っている方が紙面により近づき、きれいな線を引くことができるが、上述したように各頂部に合成樹脂製の目盛り部材を接着したものでは、各頂部の先端を尖らそうとしても限度があり、この三角スケールを紙面に押し当てたときに頂部の先端が紙面から幾分上方に浮いた状態となっていた。
【0005】
第2に、この種の三角スケールにおいては、各頂部に沿ってカッタの刃を移動させて例えば紙を切断することが多々あり、このような場合、切断中にカッタの刃が頂部に作用し、頂部の一部を損傷するおそれがある。
【0006】
第3に、三角スケール本体の3つの頂部に目盛り部材を接着剤によって接着しているので、これらの目盛り部材の剥がれなどが生じないように製造上の品質管理を充分に行う必要がある。
【0007】
本発明の目的は、頂部を利用してきれいな線を引くことができるとともに、カッタによる切断の際にも刃による損傷がほとんど生じることがない三角スケールの製造方法を提供することである。
【0008】
また、本発明の他の目的は、長期にわたって使用しても目盛りの一部が消えることがない三角スケールの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に記載の三角スケールの製造方法は、アルミニウム又はアルミニウム合金から三角スケール本体を形成するスケール本体形成工程と、前記三角スケール本体の表面に電解着色被膜を形成する着色被膜形成工程と、前記三角スケール本体の前記電解着色被膜にレーザ光を照射して前記三角スケール本体の素地を露出させて目盛りを形成する目盛り形成工程と、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2に記載の三角スケールの製造方法は、アルミニウム又はアルミニウム合金から三角スケール素材を形成するスケール素材形成工程と、前記三角スケール素材の表面に電解着色被膜を形成する着色被膜形成工程と、前記電解着色被膜が施された前記三角スケール素材を所定長さに切断して三角スケール本体を形成するスケール本体形成工程と、前記三角スケール本体の前記電解着色被膜にレーザ光を照射して前記三角スケール本体の素地を露出させて目盛りを形成する目盛り形成工程と、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項3に記載の三角スケールの製造方法では、前記着色被膜形成工程は、前記三角スケール本体の表面に直接的に着色被膜を形成する一次電解発色被膜形成工程からなる、或いは前記三角スケール本体の表面に陽極酸化被膜を形成する陽極酸化被膜形成工程と、前記三角スケール本体の前記陽極酸化被膜に着色成分の金属を析出させる二次電解着色工程とからなることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項4に記載の三角スケールの製造方法では、前記着色被膜形成工程と前記目盛り刻印工程との間に、前記三角スケール本体の前記電解着色被膜の表面に透明樹脂被膜を形成する樹脂被膜形成工程を行うことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項5に記載の三角スケールの製造方法では、前記三角スケール本体のスケール部には縮尺表示及び簡易表示が施されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1及び2に記載の三角スケールの製造方法によれば、アルミニウム又はアルミニウム合金から三角スケール本体を形成するので、三角スケール本体の頂部の先端部を尖らしても破損などの問題が生じず、またカッタの刃が作用してもほとんど損傷が生じることがなく、従来のものに比して頂部の尖った三角スケールを製作することができ、頂部を利用してきれいな直線を引くことができる。また、三角スケール本体の表面の電解着色被膜にレーザ光を照射して三角スケール本体の素地を露出させて目盛りを形成するので、この目盛りは擦ったりしても消えることがなく、長期にわたって安心して用いることができる。この三角スケール本体については、請求項1の発明では、例えば細長い三角スケール素材を切断して三角スケール本体を形成し、この三角スケール本体の表面に電解着色被膜を形成するが、請求項2の発明では、細長い三角スケール素材の表面に電解着色被膜を形成し、電解着色被膜で覆われた三角スケール素材を切断して三角スケール本体を形成している。
【0015】
また、本発明の請求項3に記載の三角スケールの製造方法によれば、一次電解発色方法によって三角スケール本体の表面に直接的に着色被膜を形成することができる。また、このような方法に代えて、三角スケール本体の表面に陽極酸化を形成し、その後二次電解着色方法によって三角スケール本体の陽極酸化被膜に着色成分の金属を析出させて着色被膜を形成することもできる。
【0016】
また、本発明の請求項4に記載の三角スケールの製造方法によれば、三角スケール本体の電解着色被膜の表面に透明樹脂被膜を形成するので、三角スケールの表面をこの透明樹脂被膜によって保護することができ、また三角スケールの表面を光沢のあるものにすることができる。
【0017】
また、本発明の請求項5に記載の三角スケールの製造方法によれば、三角スケール本体のスケール部に縮尺表示及び簡易表示が施され、縮尺の簡易表示においては簡易的な表示である故に、従来の縮尺表示に比して大きく見やすく表示することができ、この簡易表示を見ることによってスケール部の目盛りを容易に認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う三角スケールの製造方法の一実施例について説明する。図1は、本発明に従って製造された三角スケールの一部を示す部分拡大斜視図であり、図2は、図1のII−II線による拡大断面図であり、図3は、図1の三角スケールの一部を拡大して示す部分拡大断面図であり、図4(A)〜(C)は、図1の三角スケールの表面に施された表示内容を示す図であり、図5は、図1の三角スケールを製造するための製造工程を示す工程図であり、図6(A)〜(C)は、製造工程における三角スケール本体の一部の状態を示す部分拡大断面図であり、図7は、目盛り形成工程に用いる目盛り形成装置を簡略的に示す図である。
【0019】
図1及び図2において、図示の三角スケールは略三角柱状に細長い三角スケール本体2を備え、この三角スケール本体2はアルミニウム又はアルミニウム合金から形成されている。この三角スケールは30cmの長さのものであり、三角スケール本体2の三つの側面4,6,8の幅方向中央部には円弧状の凹部10,12,14が設けられ、かかる円弧状凹部10,12,14は、三角スケール本体2の一端(図1及び図4(a)〜(c)において左端)から他端まで直線状に延びている。
【0020】
図4(a)〜(c)をも参照して、この実施形態では、三角スケール本体2の第1の側面4には、円弧状凹部10を境にしてその上側に第1スケール部16が設けられ、その下側に第2スケール部18が設けられている。第1スケール部16には縮尺1/100の目盛り20が施され、また第2スケール部18には縮尺1/200の目盛り22が施されている。三角スケール本体2の第2の側面6には、円弧状凹部12を境にしてその上側に第3スケール部24が設けられ、その下側に第4スケール部26が設けられている。第3スケール部24には縮尺1/300の目盛り28が施され、また第4スケール部26には縮尺1/400の目盛り30が施されている。更に、第3の側面8には、円弧状凹部14を境にしてその上側に第5スケール部30が設けられ、その下側に第6スケール部32が設けられている。第5スケール部30には縮尺1/500の目盛り34が施され、また第6スケール部32には縮尺1/600の目盛り36が施されている。
【0021】
第1〜第6スケール部16,18,24,26,30,32には、施された目盛り20,22,28,30,34,36に関連して、この目盛り20,22,28,30,34,36の一端側(各目盛りの表示「0」側)に縮尺表示38〜48が施され、それらの反対側(各目盛りの「0」と反対側)に簡易表示50〜60が施されている。縮尺表示38〜48は実際の縮尺を表示し、第1(又は第2〜第6)スケール部16(又は18,24,26,30,32)の縮尺表示38(又は40,42,44,46,48)として「1;100」(又は「1:200」、「1:300」、「1:400」、「1:500」、「1:600」)が施されている。また、簡易表示50〜60は縮尺を簡易的に表示し、第1(又は第2〜第6)スケール部16(又は18,24,26,30,32)の簡易表示50(又は52,54,56,58,50)として、縮尺1/100における分母の数字「100」の百の位の数字「1」(又は「2」、「3」、「4」、「5」、「6」)を用いて表示している。この簡易表示50〜60は、縮尺を簡易的に表示するので大きく見やすく表示することができる。尚、第1〜第6スケール部16,18,24,26,30,32の目盛り20,22,28,30,34,36については、上述した縮尺の目盛りに限定さず、適当な縮尺の目盛りを施すことができる。
【0022】
尚、この実施形態では、第1〜第6スケール部16,18,24,26,30,32の目盛り20,22,28,30,34,36の一端側に縮尺表示38〜48を施し、それらの反対側に簡易表示50〜60を施しているが、これとは反対に、これら目盛り20,22,28,30,34,36の一端側に簡易表示50〜60を施し、それらの他端側に縮尺表示38〜48を施すようにしてもよい。
【0023】
この三角スケールにおいては、第1〜第6スケール部16,18,24,26,30,32の目盛り20,22,28,30,34,36、縮尺表示38〜48及び簡易表示50〜60は、図3に示すように施されている。図3において、この実施形態では、三角スケール本体2の表面に電着着色被膜72が設けられ、この電着着色被膜72の表面に透明樹脂被膜74が設けられている。そして、電着着色被膜72及び透明樹脂被膜74の一部を後述するようにしてレーザ光で消失させて三角スケール本体2の素地を露出させ、この素地の白色でもって目盛り、縮尺表示及び簡易表示としている。このように電着着色被覆72と三角スケール本体2のアルミニウム(又はアルミニウム合金)素地とにより目視可能な目盛り、縮尺表示及び簡易表示としているので、三角スケール本体2から剥がれて目盛り、縮尺表示及び簡易表示が消えたりすることがなく、長期にわたって使用することができる。また、電着着色被膜72の表面に透明樹脂被膜74が設けられているので、電着着色被膜72を保護することができるとともに、三角スケールの表面を光沢のあるものにすることができ、デザイン性の優れたものを提供することができる。
【0024】
尚、透明樹脂被膜74は必ず設けなければならないものではなく、電着着色被膜72自体を好む場合などにおいては、この透明樹脂被膜74を省略することもできる。
上述した三角スケールは、例えば、次のようにして製作することができる。主として図5及び図6を参照して、まず、アルミニウム材(又はアルミニウム合金材)に加工を施して三角スケール本体2を形成する(スケール本体形成工程S1)。アルミニウム材に例えば引出し加工などを施して中間材を形成し、この中間材を所要長さに切断して三角スケール本体2を形成する。この三角スケール本体2は、図1及び図2に示すように、その表面部の肉厚が0.7〜1.5mm程度に、例えば1.0mm程度になり、その内部が中空となるように形成され、このときの表面状態は、図6(a)に示す通りとなる。
【0025】
次に、形成した三角スケール本体2の表面に電着着色被膜72を形成する(着色被膜形成工程S2)。この電着着色被膜72の形成は、三角スケール本体2の表面に直接的に着色被膜を形成するようにしてもよく、この場合、一次電解発色方法を用いて電解処理することによって電着着色被膜72を形成することができる(一次電解発色被膜形成工程)。一次電解発色法(スミトーン法)とは、特殊な電解液を用い、アルミニウムに含まれる合金成分と所望の電解条件の組合せにより発色させるものであり、例えば、アンバー、ブロンズなどの色に着色することができる。
【0026】
この電着着色被膜72の形成は、三角スケール本体2の表面に陽極酸化被膜を形成し、その後陽極酸化被膜に着色成分の金属を析出させるようにしてもよく、この場合、三角スケール本体2を陽極として電解処理することによって、その表面に陽極酸化被膜を形成することができる(陽極酸化被膜形成工程)。その後、陽極酸化処理された三角スケール本体2を金属塩(例えば、Ni、Cu、Mn、Snなどの金属塩)を含む電解液にて電解処理することによって、陽極酸化被膜の微細な孔中に、添加した金属塩の金属を析出させることができる(二次電解着色工程)。このように表面の陽極酸化被膜に金属塩の金属を析出させることによって陽極酸化被膜が着色されたようになり、析出させる金属の種類によって、アンバー、ブロンズ、ブラック、ゴールドなどの色に着色することができる。
【0027】
尚、着色被膜形成工程S2においては、三角スケール本体2の全体を電解液に浸漬させて電解処理を行うので、図6(b)で示すように、三角スケール本体2の外側及び内側の双方の表面に電解着色被膜72が形成される。
【0028】
次いで、三角スケール本体2の電解着色被膜72の表面に透明樹脂被膜74を形成する(樹脂被膜形成工程S3)。この透明樹脂被膜74の形成は、例えば、アクリル樹脂系塗料、ポリウレタン樹脂系塗料などを用い、焼付け塗装、吹付け塗装などによって行うことができ、このように透明樹脂被膜74を形成すると、図6(c)で示す状態となる。尚、電解着色被膜72のみを設ける場合、この樹脂被膜形成工程S3を省略することができる。
【0029】
その後、三角スケール本体2の各側面4,6,8に上述した第1〜第6スケール部16,18,24,26,30,32の目盛り20,22,28,30,34,36、縮尺表示38〜48及び簡易表示50〜60をレーザ光を利用して形成する(目盛り形成工程S4)。この目盛り形成工程S4においては、例えば図7に示す目盛り形成装置82を用いて目盛りなどを施す。この目盛り形成装置82は、作業テーブルなどに設置される装置ハウジング84を備え、この装置ハウジング84の上部にレーザ光投射器86が取り付けられ、このレーザ光投射器86からのレーザ光が目盛り形成域88に向けて投射される。また、装置ハウジング84の底部には支持脚90を介して支持台92が設けられ、この支持台92の上面に往復動機構(図示せず)を介して移動テーブル93がX方向(図7において左右方向)に往復移動自在に支持されている。移動テーブル93の一端部(図7において左端部)には左取付台94が取り付けられ、この左取付台94に駆動モータ95が取り付けられ、駆動モータ95の出力軸にチャック手段96が装着されている。また、移動テーブル93の他端部には右取付台97が取り付けられ、この右取付台97に取り付けられた支持部材98の先端部に受け部材99が装着されている。目盛りなどを刻印すべき三角スケール本体2は先端側が右取付台97側の受け部材99に受け入れられ、その基部側が左取付台94側のチャック手段96にチャック保持される。
【0030】
目盛りなどを形成するときには、移動テーブル93がX軸方向に移動され、これによって三角スケール本体2は目盛り形成域88を通して移動されるとともに、レーザ光投射器86からのレーザ光が目盛り形成域88に向けて所要の通りに投射される。このように投射されるので、目盛り形成域88においては、レーザ光が三角スケール本体2の例えば第1の側面4の第1スケール部16を先端から基部に向けて順次投射し、これによって、第1スケール部16の透明樹脂被膜74及び電解着色被膜72の一部が熱によって消失して三角スケール本体2の白色の素地が露出し、このようにして第1スケール部16の電解着色被膜72に白色の目盛り20、縮尺表示38及び簡易表示50が付与される。
【0031】
レーザ光投射器86としてはYAGレーザを好都合に用いることができ、このYAGレーザの出力を調整することによって、透明樹脂被膜74及び電解着色被膜72を消失させて三角スケール本体2の白色の素地をきれいに露出させることができる。
【0032】
第1の側面4の第1スケール部16への目盛り20等の付与が終了すると、電動モータ95を付勢して三角スケール本体2を120度回動させ、次いで例えば第2の側面6の第3スケール部24に対して上述したと同様にしてレーザ光投射器86からのレーザ光を投射し、 第3スケール部24の電解着色被膜72に白色の目盛り28、縮尺表示42及び簡易表示54を施す。次に、電動モータ95を付勢して三角スケール本体2を更に120度回動させ、例えば第3の側面8の第5スケール部30に対して上述したと同様にしてレーザ光投射器86からのレーザ光を投射し、 第5スケール部30の電解着色被膜72に白色の目盛り34、縮尺表示46及び簡易表示58を施す。
【0033】
三角スケール本体2の第1、第3及び第5スケール部16,24,30に目盛り20,28,34などを施した後、この三角スケール本体2をチャック手段96及び受け部材99から取り外し、先端側と基部側とを反対にしてチャック手段96及び受け部材99に再び取り付ける。そして、上述したと同様にして、例えば第1の側面4の第2スケール部18に対して上述したと同様にしてレーザ光投射器86からのレーザ光を投射し、第2スケール部18の電解着色被膜72に白色の目盛り22、縮尺表示40及び簡易表示52を施し、次いで、電動モータ95により三角スケール本体2を120度回動させ、例えば第2の側面6の第4スケール部26に対して上述したと同様にしてその電解着色被膜72に白色の目盛り30、縮尺表示44及び簡易表示56を施し、次に、電動モータ95により三角スケール本体2を更に120度回動させ、例えば第3の側面8の第6スケール部32に対して上述したと同様にしてその電解着色被膜72に白色の目盛り36、縮尺表示48及び簡易表示60を施す。このようにして、三角スケール本体2の第1〜第6スケール部16,18,24,26,30,32に所望の通りに目盛り20,22,28,30,34,36などを施すことができる。
【0034】
上述した目盛り形成工程S4の後に、三角スケール本体2の両端の3つの頂部に研削加工を施し、図4(a)〜(c)に示すように、両端の各頂部の角部を取り除く(頂部研削加工工程(S5)。このように研削加工を施すことによって、鋭利な部位がなくなり、三角スケールを安全に使用することができる。尚、安全上特に問題がない場合、この頂部研削加工工程S5を省略することもできる。
【0035】
以上、本発明に従う三角スケールの製造方法の一実施例について説明した、本発明はかかる実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0036】
例えば、上述した実施例では、三角スケール本体2の側面4(又は6、8)に2つのスケール部16,18(又は24,26、30,32)を設けているが、このような構成に限定されず、各側面4(又は6.8)に一つのスケール部を設けるようにしてもよく、或いはこのようなスケール部を第1〜第3の側面の6つの部位における任意の部位に1つ又は2つ設けるようにしてもよい。
【0037】
また、例えば、上述した実施例では、三角スケール本体2の第1〜第6スケール部16,18,24,26,30,32の目盛り20,22,28,30,34,36は一端を基準に(換言すると、この一端に目盛り「0」がある)、この一端から他端に向けて目盛りが施されているが、このような目盛りに限定されず、これらのスケール部16,18,24,26,30,32の少なくとも一つの目盛りを中央を基準に(換言すると、この中央に目盛り「0」がある)、この中央から両側に目盛りを施すようにすることもできる。
【0038】
また、例えば、上述した例では、所定長さの三角粗ケール本体を形成し(例えば、細長い三角スケール素材を切断加工して形成する)、この表面に電解着色被膜を形成しているが、このような方法に限定されず、アルミニウム又はアルミニウム合金から形成された三角スケール素材に着色被膜形成工程を施してこの三角スケール素材の表面に電解着色被膜を形成し(透明樹脂被膜を設けるときには、更に、電着着色被膜を施した三角スケール素材の表面に樹脂被膜形成工程によって透明樹脂被膜を形成する)、その後この三角スケール素材を所定の長さに切断して電解着色被膜に覆われた(更には、透明樹脂被膜に覆われた)三角スケール本体を形成するようにしてもよく、この場合においても、上述したと同様にして目盛り形成構成及び頂部研削加工工程が行われる。
【0039】
また、例えば、上述した実施例では、三角スケールを30cmの長さのものに適用して説明したが、このような長さに限定されず、例えばより小さい15cmのもの、20cmのものなどにも同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に従って製造された三角スケールの一部を示す部分拡大斜視図。
【図2】図1のII−II線による拡大断面図。
【図3】図1の三角スケールの一部を拡大して示す部分拡大断面図。
【図4】図4(A)〜(C)は、図1の三角スケールの表面に施された表示内容を示す図。
【図5】図1の三角スケールを製造するための製造工程を示す工程図。
【図6】図6(A)〜(C)は、製造工程における三角スケール本体の一部の状態を示す部分拡大断面図。
【図7】目盛り形成工程に用いる目盛り形成装置を簡略的に示す図。
【符号の説明】
【0041】
2 三角スケール本体
4,6,8 側面
16,18,24,26,30,32 スケール部
20,22,28,30,34,36 目盛り
38,40,42,44,46,48 縮尺表示
50,52,54,56,58,60 簡易表示
82 目盛り形成装置
86 レーザ光投射器
93 移動テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム又はアルミニウム合金から三角スケール本体を形成するスケール本体形成工程と、前記三角スケール本体の表面に電解着色被膜を形成する着色被膜形成工程と、前記三角スケール本体の前記電解着色被膜にレーザ光を照射して前記三角スケール本体の素地を露出させて目盛りを形成する目盛り形成工程と、を含むことを特徴とする三角スケールの製造方法。
【請求項2】
アルミニウム又はアルミニウム合金から三角スケール素材を形成するスケール素材形成工程と、前記三角スケール素材の表面に電解着色被膜を形成する着色被膜形成工程と、前記電解着色被膜が施された前記三角スケール素材を所定長さに切断して三角スケール本体を形成するスケール本体形成工程と、前記三角スケール本体の前記電解着色被膜にレーザ光を照射して前記三角スケール本体の素地を露出させて目盛りを形成する目盛り形成工程と、を含むことを特徴とする三角スケールの製造方法。
【請求項3】
前記着色被膜形成工程は、前記三角スケール本体の表面に直接的に着色被膜を形成する一次電解発色被膜形成工程からなる、或いは前記三角スケール本体の表面に陽極酸化被膜を形成する陽極酸化被膜形成工程と、前記三角スケール本体の前記陽極酸化被膜に着色成分の金属を析出させる二次電解着色工程とからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の三角スケールの製造方法。
【請求項4】
前記着色被膜形成工程と前記目盛り刻印工程との間に、前記三角スケール本体の前記電解着色被膜の表面に透明樹脂被膜を形成する樹脂被膜形成工程を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の三角スケールの製造方法。
【請求項5】
前記三角スケール本体のスケール部には縮尺表示及び簡易表示が施されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の三角スケールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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