上水用タンクの屋根改修構造、および上水用タンクの屋根改修方法
【課題】 作業性に優れた、上水用タンクの屋根改修構造を提供する。
【解決手段】 屋根改修構造3は、コンクリート製のドーム屋根21と、そのドーム屋根21とタンク1内との間を遮断する遮断膜4と、その遮断膜4を支持する複数の支持材5、5とを備える。そして、支持材5、5が、ドーム屋根21に設けた複数の貫通孔6、6の各々を通じて、ドーム屋根21の上面21a側と遮断膜4との間に渡され、かつ、それら支持材5、5の一方部5a、5aが、遮断膜4に固定され、また、他方部5b、5bが、ドーム屋根21の上面21aに設けた固定部7に固定されて、遮断膜4がドーム屋根21の下方に配設されている。
【解決手段】 屋根改修構造3は、コンクリート製のドーム屋根21と、そのドーム屋根21とタンク1内との間を遮断する遮断膜4と、その遮断膜4を支持する複数の支持材5、5とを備える。そして、支持材5、5が、ドーム屋根21に設けた複数の貫通孔6、6の各々を通じて、ドーム屋根21の上面21a側と遮断膜4との間に渡され、かつ、それら支持材5、5の一方部5a、5aが、遮断膜4に固定され、また、他方部5b、5bが、ドーム屋根21の上面21aに設けた固定部7に固定されて、遮断膜4がドーム屋根21の下方に配設されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、上水用タンクの屋根改修構造、および上水用タンクの屋根改修方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上水が貯留される上水用のタンクにおいて、そのタンクのコンクリート製の屋根が、上水に含まれる塩素イオンによって劣化することあるいは劣化が進むことを防止するために、塩素イオンに対する耐久性のある遮断膜を屋根の下方に配設して、塩素イオンを遮断する工法が知られている。ここで、屋根の下方に遮断膜を配設する工法として、例えば、図18に示すものがあった(特許文献1参照)。この工法にあっては、タンク内の底壁101上に配備した移動足場102を使用して、屋根103の内側面103aに取付部104、104を固着し、それら取付部104、104の先端に滑車105、105を取り付けて、吊り上げ用の索条106、106を懸架していた。そして、それら索条106、106を、膜骨及び膜材からなる遮断膜107に接続し、さらに、ウインチなどの巻取機108、108によって巻き取って、遮断膜107を吊り上げていた。その後、移動足場102を使用して、吊り上げられた遮断膜107を取付部104、104に取り付け、こうして、屋根103の下方に遮断膜107が配設された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−128190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の工法にあっては、屋根103の内側面103aに取付部104、104を固着する作業、取付部104、104の先端に滑車105、105を取り付けて索条106、106を懸架する作業、および、吊り上げられた遮断膜107を取付部104、104に取り付ける作業を、移動足場102を使用して行っていたため、それらの作業を行う際には、その都度、各取付部104、104の位置に合わせて、移動足場102を移動させる必要があり、作業性が悪かった。また、遮断膜107を取り付ける取付部104、104を、屋根103の内側面103aに固着していたため、屋根103の内側面103aの劣化の状況によっては、遮断膜107の取付工事が困難である場合があった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、作業性に優れた、上水用タンクの屋根改修構造、および上水用タンクの屋根改修方法を提供することにある。また、他の目的は、屋根の内側面の劣化が進んだ状態であっても、遮断膜の取付工事を行うことができる、上水用タンクの屋根改修構造、および上水用タンクの屋根改修方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る上水用タンクの屋根改修構造、および上水用タンクの屋根改修方法は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る上水用タンクの屋根改修構造は、コンクリート製の屋根を備える既設の上水用タンクの屋根改修構造である。この改修構造は、前記屋根と、その屋根と前記タンク内との間を遮断する遮断膜と、その遮断膜を支持する複数の支持材とを備える。そして、前記支持材が、前記屋根に設けた複数の貫通孔の各々を通じて、前記屋根の上面側と前記遮断膜との間に渡され、かつ、それら支持材の一方部が、前記遮断膜に固定され、また、他方部が、前記屋根の上面に設けた固定部に固定されて、前記遮断膜が前記屋根の下方に配設されている。
【0007】
この改修構造にあっては、遮断膜を支持する複数の支持材が、屋根に設けた複数の貫通孔の各々を通じて、屋根の上面側と遮断膜との間に渡され、かつ、それら支持材は、一方部が、遮断膜に固定され、また、他方部が、屋根の上面に設けた固定部に固定される。したがって、支持材の他方部を固定部に固定する作業を、貫通孔を通じて、屋根上で行うことができ、作業性に優れる。また、支持材の他方部が固定される固定部が、屋根の上面に設けられることから、屋根の内側面の劣化が進んだ状態であっても、遮断膜の取付工事を行うことができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る上水用タンクの屋根改修構造のように、請求項1に記載の改修構造において、前記支持材が、前記貫通孔の各々を通じて、前記貫通孔から下方に直状に延びるようにして、前記屋根の上面側と前記遮断膜との間に渡されていてもよい。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る上水用タンクの屋根改修構造のように、請求項1または2に記載の改修構造において、前記固定部は、前記貫通孔を覆うように前記屋根の上面に配備された孔付きのプレート部材と、そのプレート部材に覆い被さるように前記屋根の上面に配備された覆い部材とを備え、かつ、前記支持材の他方部は、前記プレート部材の孔に挿通されるとともに、前記覆い部材内に収まるようにして、前記プレート部材に固定されていてもよい。こうすることで、支持材の他方部およびその他方部が固定されたプレート部材を、風雨などから保護することができる。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係る上水用タンクの屋根改修構造のように、請求項1または2に記載の改修構造において、前記固定部は、前記貫通孔に臨むように前記屋根の上面に配備された棒状部材を備え、かつ、前記棒状部材と、その棒状部材に固定された前記支持材の他方部とに、コンクリートが巻き立てられていてもよい。こうすることで、支持材の他方部およびその他方部が固定された棒状部材を、風雨などから保護するとともに、それら支持材の他方部と棒状部材とをより強固に固定することができる。
【0011】
また、請求項5に記載の発明に係る上水用タンクの屋根改修方法は、コンクリート製の屋根を備える既設の上水用タンクの屋根改修方法である。この改修方法にあっては、前記タンク内に、前記屋根と前記タンク内との間を遮断する遮断膜を搬入する。次に、前記遮断膜を支持する支持材を一端側に形成するまたは備える複数の長材を、前記屋根に設けた複数の貫通孔の各々を通じて、前記屋根の上面側から前記タンク内に垂下させるとともに、前記支持材の一方部を、前記タンク内に搬入した前記遮断膜に固定する。その後、前記長材の前記一端側を、前記貫通孔の各々を通じて引き上げることで、前記遮断膜を吊り上げるとともに、前記支持材を、前記貫通孔の各々を通じて、前記屋根の上面側と前記遮断膜との間に渡す。そして、それら支持材の他方部を、前記屋根の上面に設けた固定部に固定して、前記遮断膜を前記屋根の下方に配設する。
【0012】
この改修方法にあっては、遮断膜を支持する支持材を一端側に形成するまたは備える複数の長材を、屋根に設けた複数の貫通孔の各々を通じて、屋根の上面側からタンク内に垂下させるとともに、前記支持材の一方部を、タンク内に搬入した遮断膜に固定する。その後、それら長材の一端側を、複数の貫通孔の各々を通じて引き上げることで、遮断膜を吊り上げるとともに、支持材を、複数の貫通孔の各々を通じて、屋根の上面側と遮断膜との間に渡す。さらに、それら支持材の他方部を、屋根の上面に設けた固定部に固定する。したがって、支持材の他方部を固定部に固定する作業を、貫通孔を通じて、屋根上で行うことができ、作業性に優れる。また、支持材の他方部が固定される固定部が、屋根の上面に設けられることから、屋根の内側面の劣化が進んだ状態であっても、遮断膜の取付工事を行うことができる。
【0013】
また、請求項6に記載の発明に係る上水用タンクの屋根改修方法は、コンクリート製の屋根を備える既設の上水用タンクの屋根改修方法である。この改修方法にあっては、前記タンク内に、前記屋根と前記タンク内との間を遮断する遮断膜を搬入する。次に、複数の長材を、前記屋根に設けた複数の貫通孔の各々を通じて、前記屋根の上面側から前記タンク内に垂下させるとともに、それら長材の一端側と、前記タンク内に搬入した前記遮断膜に一方部が固定された、前記遮断膜を支持する支持材とをつなぐ。その後、前記長材の前記一端側を、前記貫通孔の各々を通じて引き上げることで、前記遮断膜を吊り上げるとともに、前記支持材を、前記貫通孔の各々を通じて、前記屋根の上面側と前記遮断膜との間に渡す。そして、それら支持材の他方部を、前記屋根の上面に設けた固定部に固定して、前記遮断膜を前記屋根の下方に配設する。
【0014】
この改修方法にあっては、複数の長材を、屋根に設けた複数の貫通孔の各々を通じて、屋根の上面側からタンク内に垂下させるとともに、それら長材の一端側と、タンク内に搬入した遮断膜に一方部が固定された、遮断膜を支持する支持材とをつなぐ。その後、それら長材の一端側を、複数の貫通孔の各々を通じて引き上げることで、遮断膜を吊り上げるとともに、支持材を、複数の貫通孔の各々を通じて、屋根の上面側と遮断膜との間に渡す。さらに、それら支持材の他方部を、屋根の上面に設けた固定部に固定する。したがって、支持材の他方部を固定部に固定する作業を、貫通孔を通じて、屋根上で行うことができ、作業性に優れる。また、支持材の他方部が固定される固定部が、屋根の上面に設けられることから、屋根の内側面の劣化が進んだ状態であっても、遮断膜の取付工事を行うことができる。
【0015】
また、請求項7に記載の発明に係る上水用タンクの屋根改修方法のように、請求項5または6に記載の改修方法において、前記遮断膜を配設するにあたって、前記支持材を、前記貫通孔の各々を通じて、前記貫通孔から下方に直状に延びるようにして、前記屋根の上面側と前記遮断膜との間に渡してもよい。
【発明の効果】
【0016】
この発明に係る上水用タンクの屋根改修構造、および上水用タンクの屋根改修方法によれば、遮断膜を支持する支持材の他方部を固定部に固定する作業を、貫通孔を通じて、屋根上で行うことができ、作業性に優れる。また、支持材の他方部が固定される固定部が、屋根の上面に設けられることから、屋根の内側面の劣化が進んだ状態であっても、遮断膜の取付工事を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の第一の実施の形態の、屋根改修構造を示す模式図である。
【図2】同じく、要部拡大図である。
【図3】同じく、模式的な縮小平面図である。
【図4】同じく、支持材および固定部を示す模式的な一部破断拡大斜視図である。
【図5】同じく、図2におけるA部拡大図である。
【図6】同じく、図2におけるB部拡大図である。
【図7】同じく、屋根改修方法において、タンク内に遮断膜を搬入した状態を示す模式図である。
【図8】同じく、複数の長材をタンク内に垂下させた状態を示す模式図である。
【図9】同じく、遮断膜を吊り上げた状態を示す模式図である。
【図10】この発明の第二の実施の形態の、図4相当図である。
【図11】この発明の第三の実施の形態の、図4相当図である。
【図12】この発明の第四の実施の形態の、図4相当図である。
【図13】この発明の第五の実施の形態の、図4相当図である。
【図14】同じく、図8相当図である。
【図15】この発明の第六の実施の形態の、図4相当図である。
【図16】この発明の第七の実施の形態の、図4相当図である。
【図17】遮断膜の周端部分の取付固定に係る変形例を示す、図5相当図である。
【図18】従来の屋根改修構造および屋根改修方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明に係る上水用タンクの屋根改修構造、および上水用タンクの屋根改修方法を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1〜図9は、本発明の第一の実施の形態を示す。図中符号1は、既設の上水用タンクを示し、同上水用タンク1は、コンクリート製の屋根2を備える。3は、タンク1の屋根改修構造を示す。なお、図1、図2および図7〜図9においては、便宜上、ハッチングを省略してある。
【0020】
この屋根改修構造3は、前記屋根2としてのドーム屋根21と、そのドーム屋根21とタンク1内との間を遮断する遮断膜4と、その遮断膜4を支持する複数の支持材5、5とを備える。そして、支持材5、5が、ドーム屋根21に設けた複数の貫通孔6、6の各々を通じて、ドーム屋根21の上面21a側と遮断膜4との間に渡され、かつ、それら支持材5、5の一方部5a、5aが、遮断膜4に固定され、また、他方部5b、5bが、ドーム屋根21の上面21aに設けた固定部7に固定されて、遮断膜4がドーム屋根21の下方に配設されている。図示実施の形態においては、支持材5、5が、貫通孔6、6の各々を通じて、貫通孔6、6から下方に直状に延びるようにして、ドーム屋根21の上面21a側と遮断膜4との間に渡されている。
【0021】
具体的には、固定部7は、貫通孔6を覆うようにドーム屋根21の上面21aに配備された孔付きのプレート部材7aと、そのプレート部材7aに覆い被さるようにドーム屋根21の上面21aに配備された、覆い部材としての保護キャップ7bとを備える(図4参照)。そして、支持材5の他方部5bは、貫通孔6およびプレート部材7aの孔7cに挿通されるとともに、保護キャップ7b内に収まるようにして、プレート部材7aに固定されている。詳細には、支持材5は、例えば、紐あるいはロープからなり、その他方部5bには、幾重に絡まるようにして、結び玉5cが形成されている。そして、この結び玉5cが、接着剤等によって固められるようにして、プレート部材7aの上面7dに固着され、さらに、そのプレート部材7aが、接着剤等によって、ドーム屋根21の上面21aに固着されている。また、保護キャップ7bの下端部周囲には、その保護キャップ7bとドーム屋根21の上面21aとの境目の隙間を塞ぐように、コーキング7e処理されている。
【0022】
また、図示実施の形態においては、ドーム屋根21には、環状に並ぶ貫通孔6、6群が、同心円状に複数列設けられている。そして、それら貫通孔6、6の各々に対応するように、環状に並ぶ支持材5、5群および固定部7、7群(図示実施の形態においては、プレート部材7a、7a群および保護キャップ7b、7b群)が同心円状に複数列配置され(図3参照)、ならびに、後述する遮断膜4の取付固定部4a、4a群(図示実施の形態においては、固定タブ4b、4b群)も同様に、前記貫通孔6、6の各々に対応するように、同心円状に複数列配置されることになる。また、ドーム屋根21の中心部には、タンク1内に通じる通気孔21bが備えられている。なお、符号21dは、ドーム屋根21と遮断膜4との間に、万が一、結露水が溜まったり雨水が浸入した場合に、その水を排出するための、水抜きパイプである。
【0023】
遮断膜4は、例えば、塩化ビニル樹脂等の樹脂材料によりコーティングされた膜材等からなり、塩素イオンに対する耐久性を有している。図示実施の形態においては、遮断膜4は、ドーム屋根21の内側面21eを覆うことができるように略円形状に形成されており、その中心部分には、ドーム屋根21の通気孔21bに対応するようにして、抜き孔(図示せず)が形成されている。また、遮断膜4には、支持材5の一方部5aが取付固定される取付固定部4aが設けられている(図4参照)。具体的には、取付固定部4aは、遮断膜4の、ドーム屋根21の内側面21eと対向する面(図示実施の形態においては、上面)に設けられた固定タブ4bからなる。この固定タブ4bは、遮断膜4の、ドーム屋根21の内側面21eと対向する面(図示実施の形態においては、上面)に、ミシン縫いあるいは溶着によって固着されている。そして、支持材5の一方部5aは、固定タブ4bに結び止められ、さらに、接着剤等によって固められるようにして、固定タブ4bに取付固定されている。また、図示実施の形態においては、固定タブ4b(取付固定部4a)は、貫通孔6の鉛直下に位置している(図1、図2および図4参照)。すなわち、支持材5は、貫通孔6を通じて、その貫通孔6から鉛直下方に直状に延びるようにして、ドーム屋根21の上面21a側と遮断膜4との間に渡されている。
【0024】
また、遮断膜4の周端部分4cは、ドーム屋根21の内側面21eの周縁部21fに固定されている(図2および図5参照)。図示実施の形態においては、遮断膜4の周端部分4cと、ドーム屋根21の内側面21eの周縁部21fとの間には、気密性を確保するために、例えばスポンジゴム等の弾性材からなるシール材22を介在させている。そして、遮断膜4の周端部分4cおよびシール材22は、プレート23を介してボルト24等の固着具によって、前記周縁部21fに取付固定されている。同様に、遮断膜4の前記抜き孔の周縁部分4dは、ドーム屋根21の内側面21eの通気孔周縁部21gに固定されている(図2および図6参照)。図示実施の形態においては、遮断膜4の抜き孔の周縁部分4dと、ドーム屋根21の内側面21eの通気孔周縁部21gとの間には、気密性を確保するために、例えばスポンジゴム等の弾性材からなるシール材22aを介在させている。そして、遮断膜4の抜き孔の周縁部分4dおよびシール材22aは、プレート23aを介してボルト24a等の固着具によって、前記通気孔周縁部21gに取付固定されている。
【0025】
また、図示実施の形態においては、遮断膜4は、ドーム屋根21の内側面21eとの間に所要の間隔をおいて、その内側面21eに沿うように、しかも、垂れ気味の状態、すなわち、緊張されない状態で(詳細には、取付固定部4a、4a間、ならびに、取付固定部4aと遮断膜4の周端部分4c側および抜き孔の周縁部分4d側との間において、垂れ気味の状態、すなわち、緊張されない状態で)、ドーム屋根21の下方に配設されている。
【0026】
次に、タンク1の屋根改修方法を説明する。この改修方法にあっては、タンク1内に前記遮断膜4を搬入する。次に、前記支持材5を一端10a側に形成するまたは備える(図示実施の形態においては、一端10a側に形成する)複数の長材10、10を、前記複数の貫通孔6、6の各々を通じて、ドーム屋根21の上面21a側からタンク1内に垂下させるとともに、支持材5、5の一方部5a、5aを、タンク1内に搬入した遮断膜4に固定する。その後、長材10、10の一端10a、10a側を、貫通孔6、6の各々を通じて引き上げることで、遮断膜4を吊り上げるとともに、支持材5、5を、貫通孔6、6の各々を通じて、ドーム屋根21の上面21a側と遮断膜4との間に渡す。そして、それら支持材5、5の他方部5b、5bを、前記固定部7、7に固定して、遮断膜4をドーム屋根21の下方に配設する。図示実施の形態においては、遮断膜4を配設するにあたって、支持材5、5を、貫通孔6、6の各々を通じて、貫通孔6、6から下方に直状に延びるようにして、ドーム屋根21の上面21a側と遮断膜4との間に渡す。
【0027】
詳細には、まず、ドーム屋根21に、複数の貫通孔6、6を形成する(図示実施の形態においては、環状に並ぶ貫通孔6、6群を、同心円状に複数列形成する)。貫通孔6、6の形成後、遮断膜4を、ドーム屋根21の通気孔21b、あるいはドーム屋根21に設けられた、タンク1内を点検するための人孔(図示せず)から、タンク1内に搬入する。その後、搬入した遮断膜4を、タンク1内で展開する(図7参照)。遮断膜4が、通気孔21bあるいは前記人孔からの搬入が難しい程の大きさである場合には、例えば、ドーム屋根21に新たに開口部(例えば、2.0m×2.0m程度の開口部)を設け、その開口部から遮断膜4をタンク1内に搬入してもよい。この場合、遮断膜4の搬入後に、その開口部の開口を塞ぐように蓋が配備されることとなる。また、前記開口部は、ドーム屋根21の通気孔21bの周囲を拡開するようにして形成しても構わない。
【0028】
続いて、前記長材10、10を、形成した貫通孔6、6の各々を通じてタンク1内に垂下させる(図8参照)。図示実施の形態においては、この長材10は、前記紐あるいはロープからなる。すなわち、長材10における一端10a側の一部分が、そのまま前記支持材5となる。そこで、各長材10、10の他端10b、10b側を、ドーム屋根21の上面21aに配備した、例えば、ウインチなどの巻き上げ手段11、11に取り付けるとともに、それら長材10、10の一端10a、10a側から、貫通孔6、6の各々を通じてタンク1内に垂下させる。その後、タンク1内に垂下させた長材10、10における支持材5、5の一方部5a、5aを、遮断膜4の取付固定部4a、4aに取付固定する(詳細には、遮断膜4に設けられた固定タブ4b、4bに、支持材5、5の一方部5a、5aを結び止め、さらに、接着剤等によって固める)。
【0029】
その後、各長材10、10を、ドーム屋根21の上面21aに配備した巻き上げ手段11、11によって巻き上げることで、長材10、10の一端10a、10a側を、貫通孔6、6の各々を通じて引き上げる(図9参照)。このとき、例えば、同心円状に複数列設けられた貫通孔6、6群のうちの、最外周に位置する貫通孔6、6群、最内周に位置する貫通孔6、6群、その他の貫通孔6、6群の順に、対応する長材10、10を巻き上げるのが望ましいが、必ずしもこの順番に巻き上げる必要はない。こうして、各長材10、10の一端10a、10a側が引き上げられることによって、遮断膜4が、ドーム屋根21の内側面21eに沿うように、しかも、垂れ気味の状態、すなわち、緊張されない状態で(詳細には、取付固定部4a、4a間において、垂れ気味の状態、すなわち、緊張されない状態で)、吊り上げられるとともに、それら長材10、10における支持材5、5が、貫通孔6、6の各々を通じて、ドーム屋根21の上面21a側と遮断膜4との間に渡されることとなる。
【0030】
そして、ドーム屋根21の上面21a側と遮断膜4との間に渡された支持材5、5の、他方部5b、5bを、固定部7、7に固定する。詳細には、長材10、10の一端10a、10a側を引き上げた後、それら長材10、10の、支持材5、5を除いた部分を切断除去するとともに、プレート部材7a、7aを、それらの孔7c、7cに支持材5、5の他方部5b、5bを通すようにして、ドーム屋根21の上面21aに配備する。そして、それら支持材5、5の他方部5b、5bに、幾重に絡めるようにして結び玉5c、5cを形成し、それら結び玉5c、5cを、接着剤等によって固めるようにして、各プレート部材7a,7aの上面7d、7dに固着する。また、プレート部材7a、7aを、接着剤等によって、ドーム屋根21の上面21aに固着する。その後、固着したプレート部材7a、7aに覆い被さるように保護キャップ7b、7bを設置し、それら保護キャップ7b、7bの下端部とドーム屋根21の上面21aとの境目の隙間を塞ぐように、コーキング7e、7e処理する。なお、必要に応じて、貫通孔6、6内をシールしたり、また、保護キャップ7b内に、例えば、モルタルや樹脂等の充填剤を注入したりしても構わない。
【0031】
また、図示実施の形態においては、遮断膜4の周端部分4cおよび抜き孔の周縁部分4dを、それぞれドーム屋根21の内側面21eに固定する。詳細には、ドーム屋根21の内側面21eの周縁部21fに、シール材22を張り付ける。そして、遮断膜4が、取付固定部4aと周端部分4c側との間において、垂れ気味の状態、すなわち、緊張されない状態で、その周端部分4cをシール材22に宛がい、さらに、それら周端部分4cおよびシール材22を貫通するようにして、プレート23を介してボルト24を締め付ける。同様に、ドーム屋根21の内側面21eの通気孔周縁部21gに、シール材22aを張り付ける。そして、遮断膜4が、取付固定部4aと抜き孔の周縁部分4d側との間において、垂れ気味の状態、すなわち、緊張されない状態で、その抜き孔の周縁部分4dをシール材22aに宛がい、さらに、それら抜き孔の周縁部分4dおよびシール材22aを貫通するようにして、プレート23aを介してボルト24aを締め付ける。こうして、遮断膜4が、ドーム屋根21の内側面21eとの間に所要の間隔をおいて、その内側面21eに沿うように、しかも、垂れ気味の状態、すなわち、緊張されない状態で(詳細には、取付固定部4a、4a間、ならびに、取付固定部4aと遮断膜4の周端部分4c側および抜き孔の周縁部分4d側との間において、垂れ気味の状態、すなわち、緊張されない状態で)、ドーム屋根21の下方に配設される。(図1、図2参照)。
【0032】
なお、この改修方法にあっては、タンク1内に上水が貯留していない場合はもちろん、上水が貯留している場合であっても、その改修作業に支障が生じないのであれば、実施してもよい。
【0033】
次に、以上の構成からなる屋根改修構造3、および屋根改修方法の作用効果について説明する。この改修構造3にあっては、遮断膜4を支持する複数の支持材5、5が、ドーム屋根21に設けた複数の貫通孔6、6の各々を通じて、ドーム屋根21の上面21a側と遮断膜4との間に渡され、かつ、それら支持材5、5は、一方部5a、5aが、遮断膜4(詳細には、取付固定部4a、4a)に固定され、また、他方部5b、5bが、ドーム屋根21の上面21aに設けた固定部7、7(詳細には、プレート部材7a、7a)に固定される。したがって、支持材5、5の他方部5b、5bを固定部7、7(詳細には、プレート部材7a、7a)に固定する作業を、貫通孔6、6を通じて、ドーム屋根21上で行うことができ、作業性に優れる。また、支持材5、5の他方部5b、5bが固定される固定部7、7(詳細には、プレート部材7a、7a)が、ドーム屋根21の上面21aに設けられることから、ドーム屋根21の内側面21eの劣化が進んだ状態であっても、遮断膜4の取付工事を行うことができる。
【0034】
また、支持材5は、他方部5bが、プレート部材7aの孔7cに挿通されるとともに、プレート部材7aに覆い被さるようにドーム屋根21の上面21aに配備された、覆い部材としての保護キャップ7b内に収まるようにして、プレート部材7aに固定されているため、支持材5の他方部5bおよびその他方部5bが固定されたプレート部材7aを、風雨などから保護することができる。
【0035】
また、この改修方法にあっては、遮断膜4を支持する支持材5を一端10a側に形成するまたは備える(図示実施の形態においては、一端10a側に形成する)複数の長材10、10を、ドーム屋根21に設けた複数の貫通孔6、6の各々を通じて、ドーム屋根21の上面21a側からタンク1内に垂下させるとともに、支持材5、5の一方部5a、5aを、タンク1内に搬入した遮断膜4(詳細には、取付固定部4a、4a)に固定する。その後、それら長材10、10の一端10a、10a側を、複数の貫通孔6、6の各々を通じて引き上げることで、遮断膜4を吊り上げるとともに、支持材5、5を、複数の貫通孔6、6の各々を通じて、ドーム屋根21の上面21a側と遮断膜4との間に渡す。さらに、それら支持材5、5の他方部5b、5bを、ドーム屋根21の上面21aに設けた固定部7、7(詳細には、プレート部材7a、7a)に固定する。したがって、支持材5、5の他方部5b、5bを固定部7、7(詳細には、プレート部材7a、7a)に固定する作業を、貫通孔6、6を通じて、ドーム屋根21上で行うことができ、作業性に優れる。また、支持材5、5の他方部5b、5bが固定される固定部7、7(詳細には、プレート部材7a、7a)が、ドーム屋根21の上面21aに設けられることから、ドーム屋根21の内側面21eの劣化が進んだ状態であっても、遮断膜4の取付工事を行うことができる。
【0036】
また、長材10、10の一端10a、10a側を引き上げた後、それら長材10、10の、支持材5、5を除いた部分を切断除去するため、改修後のドーム屋根21上が、長材10、10によって煩雑になることを回避あるいは低減することができる。
【0037】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、屋根2は、ドーム屋根でなくても、平面状の屋根、あるいは、錐状の屋根等の、その他の屋根であってもよい。
【0038】
また、ドーム屋根21には、必ずしも環状に並ぶ貫通孔6、6群が、同心円状に複数列設けられていなくてもよく、それ以外の所望の配置で、複数の貫通孔6、6が設けられても構わない。
【0039】
また、支持材5は、紐あるいはロープからならなくてもよく、例えば、図10に示す第二の実施の形態のように、ワイヤーからなってもよい。この第二の実施の形態においては、ワイヤーからなる支持材5の他方部5bは、プレート部材7aの孔(図示せず)に挿通されるとともに、そのプレート部材7aの上方にて、例えば、ワイヤークリップ等の挟持具12によって挟持されて、プレート部材7aに固定されている。また、支持材5の一方部5aは、固定タブ4b(取付固定部4a)を通って折り返されるとともに、折り返された先端側にて、ワイヤークリップ等の挟持具12aによって挟持されて、その固定タブ4b(取付固定部4a)に固定されている。
【0040】
そして、この第二の実施の形態における改修方法にあっては、ワイヤーからなる複数の長材10、10を、前述した第一の実施の形態と同様に、一端10a、10a側から、貫通孔6、6の各々を通じてタンク1内に垂下させる。その後、タンク1内に垂下させた長材10、10における支持材5、5を、遮断膜4の取付固定部4a、4aに取付固定する(詳細には、支持材5、5の一方部5a,5aを、遮断膜4の固定タブ4b、4bに通して折り返すとともに、折り返した先端側にて、挟持具12aにより挟持させる)。さらに、前述した第一の実施の形態と同様に、長材10、10の一端10a、10a側を引き上げて、支持材5、5を、貫通孔6、6の各々を通じて、ドーム屋根21の上面21a側と遮断膜4との間に渡す。
【0041】
その後、プレート部材7a、7aの上方にて、挟持具12によって支持材5、5の他方部5b、5bを挟持させて、それら支持材5、5の他方部5b、5bをプレート部材7a、7aに固定する。また、プレート部材7a、7aを、接着剤等によって、ドーム屋根21の上面21aに固着する。さらに、長材10、10の、支持材5、5を除いた部分を切断除去する。その後、前述した第一の実施の形態と同様に、保護キャップ7b、7bを設置し、コーキング7e、7e処理する。
【0042】
また、固定部7は、プレート部材7aと保護キャップ7bとを備える構成でなくてもよく、例えば、図11に示す第三の実施の形態、および図12に示す第四の実施の形態のように、固定部7は、貫通孔6に臨むようにドーム屋根21の上面21aに配備された鉄棒等の金属製の棒状部材7fを備える構成であってもよい。そして、棒状部材7fと、その棒状部材7fに固定された支持材5の他方部5bとに、コンクリートCが巻き立てられていてもよい。この場合、棒状部材7fとして、鉄筋を利用しても構わない。なお、図11および図12においては、説明の便宜上、コンクリートCを想像線にて表している。
【0043】
第三の実施の形態においては、ドーム屋根21の上面21aに、複数の貫通孔6、6の上方を通るようにして、複数の棒状部材7f、7fが配備されている。そして、紐あるいはロープからなる支持材5の、他方部5bが、貫通孔6の上方で棒状部材7fに結び止められ、さらに、接着剤等によって固められるようにして、その棒状部材7fに固定されている。さらに、貫通孔6は、その上端側が、例えば、モルタルやコンクリート等の詰め材Pによって詰められている。また、支持材5の一方部5aは、前述した第一の実施の形態と同様に、固定タブ4b(取付固定部4a)に結び止められ、さらに、接着剤等によって固められるようにして、固定タブ4b(取付固定部4a)に取付固定されている。
【0044】
また、第三の実施の形態における改修方法にあっては、紐あるいはロープからなる長材10、10の一端10a、10a側を引き上げた後、それら長材10、10の、支持材5、5を除いた部分を切断除去するとともに、支持材5、5の他方部5b、5bを、貫通孔6、6の上方で棒状部材7f、7fに結び止め、さらに、接着剤等によって固める。その後、貫通孔6の上端側に詰め材Pを詰めるとともに、棒状部材7f、7fおよび支持材5、5の他方部5b、5bにコンクリートCを巻き立てる。
【0045】
第四の実施の形態においては、前述した第三の実施の形態と同様に、ドーム屋根21の上面21aに、複数の貫通孔6、6の上方を通るようにして、複数の棒状部材7f、7fが配備されている。そして、ワイヤーからなる支持材5の、他方部5bが、棒状部材7fの上方を通って折り返されるとともに、折り返された先端側にて、ワイヤークリップ等の挟持具12によって挟持されて、その棒状部材7fに固定されている。さらに、貫通孔6は、その上端側が、例えば、モルタルやコンクリート等の詰め材Pによって詰められている。また、支持材5の一方部5aは、前述した第二の実施の形態と同様に、固定タブ4b(取付固定部4a)を通って折り返されるとともに、折り返された先端側にて、ワイヤークリップ等の挟持具12aによって挟持されて、その固定タブ4b(取付固定部4a)に固定されている。
【0046】
また、第四の実施の形態における改修方法にあっては、ワイヤーからなる長材10、10の一端10a、10a側を引き上げた後、それら長材10、10の、支持材5、5を除いた部分を切断除去する。そして、支持材5、5の他方部5b、5bを、棒状部材7fの上方を通して折り返すとともに、折り返した先端側にて、挟持具12によって挟持させて、支持材5、5の他方部5b、5bを棒状部材7f、7fに固定する。その後、貫通孔6の上端側に詰め材Pを詰めるとともに、棒状部材7f、7fおよび支持材5、5の他方部5b、5bにコンクリートCを巻き立てる。
【0047】
そして、これら第三の実施の形態および第四の実施の形態における改修構造にあっては、固定部7が、貫通孔6に臨むようにドーム屋根21の上面21aに配備された棒状部材7fを備え、かつ、棒状部材7fと、その棒状部材7fに固定された支持材5の他方部5bとに、コンクリートCが巻き立てられているため、支持材5の他方部5bおよびその他方部5bが固定された棒状部材7fを、風雨などから保護するとともに、それら支持材5の他方部5bと棒状部材7fとをより強固に固定することができる。
【0048】
また、複数の長材10、10は、一端10a、10a側に、支持材5、5を形成していなくてもよく、支持材5、5を備えていてもよい。すなわち、紐あるいはロープとか、ワイヤー等からなる複数の長材10、10は、一端10a、10a側に、それら長材10、10とは別体に形成された、紐あるいはロープとか、ワイヤー等からなる支持材5、5を、取り外し可能に備えていてもよい。この場合にあっては、長材10、10の一端10a、10a側を引き上げた後、それら長材10、10の、支持材5、5を除いた部分を取り除くのが望ましい。なお、長材10と支持材5とは、必ずしも同一の素材からならなくてもよく、異なる素材からなってもよい。
【0049】
ここで、前述した第一〜第四の実施の形態にあっては、支持材5を一端10a側に形成するまたは備える複数の長材10、10を用いて、遮断膜4を配設していたが、必ずしもこのような構成である必要はなく、例えば、図13および図14に示す第五の実施の形態のように、予め複数の支持材5、5が固定されてなる遮断膜4と、複数の長材10、10とを用いて、遮断膜4を配設してもよい。
【0050】
この第五の実施の形態においては、支持材5は、例えば鉄棒等の金属製の棒部材からなり、その他方部5bは、プレート部材7aの孔(図示せず)に挿通されるとともに、ナット部材13が締め付けられて、プレート部材7aに固定されている(図13参照)。また、支持材5の一方部5aには、プレート体13aが取り付けられており、このプレート体13aが、例えば、接着剤等によって、遮断膜4の、ドーム屋根21の内側面21eと対向する面(図示実施の形態においては、上面)に固着されている。
【0051】
また、この第五の実施の形態における改修方法は、次のとおりである。タンク1内に、ドーム屋根21とタンク1内との間を遮断する遮断膜4を搬入する。次に、複数の長材10、10を、前記貫通孔6、6の各々を通じて、ドーム屋根21の上面21a側からタンク1内に垂下させるとともに、それら長材10、10の一端10a、10a側と、タンク1内に搬入した遮断膜4に一方部5a、5aが固定された、遮断膜4を支持する支持材5、5とをつなぐ。その後、長材10、10の一端10a、10a側を、貫通孔6、6の各々を通じて引き上げることで、遮断膜4を吊り上げるとともに、支持材5、5を、貫通孔6、6の各々を通じて、ドーム屋根21の上面21a側と遮断膜4との間に渡す。そして、それら支持材5、5の他方部5b、5bを、前記固定部7、7に固定して、遮断膜4をドーム屋根21の下方に配設する。
【0052】
詳細には、貫通孔6、6の形成後、棒部材からなる複数の支持材5、5が予め固定されてなる遮断膜4を、タンク1内に搬入する。そして、紐あるいはロープとかワイヤー等からなる長材10、10を、形成した貫通孔6、6の各々を通じてタンク1内に垂下させるとともに、それら長材10、10の一端10a、10a側を、タンク1内に搬入した遮断膜4の支持材5、5につなぐ(図14参照)。その後、前述した第一〜第四の実施の形態と同様に、各長材10、10を、ドーム屋根21の上面21aに配備した巻き上げ手段11、11によって巻き上げることで、長材10、10の一端10a、10a側を、貫通孔6、6の各々を通じて引き上げる。こうして、各長材10、10の一端10a、10a側が引き上げられることによって、遮断膜4が吊り上げられるとともに、それら長材10、10につながれた支持材5、5が、貫通孔6、6の各々を通じて、ドーム屋根21の上面21a側と遮断膜4との間に渡されることとなる。そして、長材10、10の一端10a、10a側を引き上げた後、それら長材10、10を、支持材5、5から取り除くとともに、プレート部材7a、7aを、それらの孔(図示せず)に支持材5、5の他方部5b、5bを通すようにして、ドーム屋根21の上面21aに配備する。そして、支持材5、5の他方部5b、5bに、ナット部材13を締め付けて、支持材5、5の他方部5b、5bをプレート部材7a,7aに固定する。また、前述した第一の実施の形態および第二の実施の形態と同様に、プレート部材7a、7aを、接着剤等によって、ドーム屋根21の上面21aに固着し、さらに、保護キャップ7b、7bを設置し、コーキング7e、7e処理する。
【0053】
そして、この第五の実施の形態においても、前述した第一〜第四の実施の形態と同様に、支持材5、5の他方部5b、5bを固定部7、7(詳細には、プレート部材7a、7a)に固定する作業を、貫通孔6、6を通じて、ドーム屋根21上で行うことができ、作業性に優れる。また、ドーム屋根21の内側面21eの劣化が進んだ状態であっても、遮断膜4の取付工事を行うことができる。また、長材10、10の一端10a、10a側を引き上げた後、それら長材10、10を、支持材5、5から取り除くため、改修後のドーム屋根21上が、長材10、10によって煩雑になることを回避あるいは低減することができる。
【0054】
また、第五の実施の形態にあっては、支持材5の一方部5aに取り付けられたプレート体13aが、例えば、接着剤等によって、遮断膜4に固着されることによって、支持材5が遮断膜4に固定されているが、必ずしもこのような構成である必要はなく、例えば、図15に示す第六の実施の形態のように、支持材5の一方部5aには、挟持部材としての複数のプレート体13a、13aが取り付けられており、これらプレート体13a、13aで遮断膜4を挟み込むようにして、支持材5が遮断膜4に固定されていてもよい。
【0055】
また、このように、予め複数の支持材5、5が固定されてなる遮断膜4と、複数の長材10、10とを用いて、遮断膜4を配設する場合においても、前述した第三の実施の形態および第四の実施の形態と同様に、固定部7が、貫通孔6に臨むようにドーム屋根21の上面21aに配備された棒状部材7fを備え、かつ、棒状部材7fと、その棒状部材7fに固定された支持材5の他方部5bとに、コンクリートCが巻き立てられていてもよい。ここで、図16に示す第七の実施の形態においては、第三の実施の形態および第四の実施の形態と同様に、ドーム屋根21の上面21aに、複数の貫通孔6、6の上方を通るようにして、複数の、鉄製の棒状部材7f、7fが配備されている。そして、鉄製の棒部材からなる支持材5の、他方部5bが、例えば、溶接等によって、鉄製の棒状部材7fに固定されている。さらに、貫通孔6は、その上端側が、例えば、モルタルやコンクリート等の詰め材Pによって詰められている。
【0056】
また、第七の実施の形態における改修方法にあっては、前述した第五の実施の形態および第六の実施の形態と同様に、鉄製の棒部材からなる複数の支持材5、5が予め固定されてなる遮断膜4を、タンク1内に搬入する。そして、紐あるいはロープとかワイヤー等からなる長材10、10を、形成した貫通孔6、6の各々を通じてタンク1内に垂下させるとともに、それら長材10、10の一端10a、10a側を、タンク1内に搬入した遮断膜4の支持材5、5につなぐ。そして、長材10、10の一端10a、10a側を引き上げた後、それら長材10、10を、支持材5、5から取り除くとともに、支持材5、5の他方部5b、5bを、例えば、溶接等によって、鉄製の棒状部材7fに固定する。さらに、貫通孔6の上端側に詰め材Pを詰めるとともに、棒状部材7f、7fおよび支持材5、5の他方部5b、5bにコンクリートCを巻き立てる。
【0057】
そして、この第七の実施の形態における改修構造においても、前述した第三の実施の形態および第四の実施の形態と同様に、支持材5の他方部5bおよびその他方部5bが固定された棒状部材7fを、風雨などから保護するとともに、それら支持材5の他方部5bと棒状部材7fとをより強固に固定することができる。
【0058】
また、第五の実施の形態および第六の実施の形態において、棒部材からなる支持材5は、鉄棒等の金属製でなくてもよく、合成樹脂製であっても構わない。また第三の実施の形態および第四の実施の形態において、棒状部材7fは、鉄棒等の金属製でなくてもよく、合成樹脂製であってもよい。
【0059】
また、予め複数の支持材5、5が固定されてなる遮断膜4と、複数の長材10、10とを用いて、遮断膜4を配設する場合において、それら複数の支持材5、5は、棒部材からならなくてもよく、紐あるいはロープとか、ワイヤー等からなってもよい。一方、支持材5を一端10a側に形成するまたは備える複数の長材10、10を用いて、遮断膜4を配設する場合(前述した第一〜第四の実施の形態の場合)において、それら支持材5、5が、例えば、鉄棒等の金属製、あるいは、合成樹脂製の棒部材からなってもよい。
【0060】
また、支持材5、5は、貫通孔6、6の各々を通じて、貫通孔6、6から鉛直下方に直状に延びるようにして、ドーム屋根21の上面21a側と遮断膜4との間に渡されていなくてもよく、例えば、貫通孔6、6から斜め下方に直状に延びるようにして、あるいは、貫通孔6、6から湾曲あるいは屈曲するようにして、ドーム屋根21の上面21a側と遮断膜4との間に渡されていてもよい。
【0061】
また、遮断膜4の周端部分4cは、ドーム屋根21の内側面21eの周縁部21fに固定されていなくてもよく、例えば、図17に示すように、タンク1の側壁1aの内側面1b、例えば、内側面1bの上端部に固定されていてもよい。図示実施の形態においては、遮断膜4の周端部分4cと、タンク1の側壁1aの内側面1bの上端部との間には、気密性を確保するために、例えばスポンジゴム等の弾性材からなるシール材22を介在させている。そして、遮断膜4の周端部分4cおよびシール材22は、プレート23を介してボルト24等の固着具によって、側壁1aの内側面1bの上端部に取付固定されている。
【0062】
また、タンク1の屋根改修方法において、必ずしも貫通孔6、6の形成後に、遮断膜4をタンク1内に搬入しなくてもよく、遮断膜4をタンク1内に搬入した後に、貫通孔6、6を形成しても構わない。
【0063】
また、本発明に係る上水用タンクの屋根改修構造および上水用タンクの屋根改修方法として、既述した各種の実施の形態に示される構成要素を適宜組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 上水用タンク
2 屋根
21 ドーム屋根
21a ドーム屋根の上面
3 屋根改修構造
4 遮断膜
5 支持材
5a 支持材の一方部
5b 支持材の他方部
6 貫通孔
7 固定部
7a プレート部材
7b 保護キャップ(覆い部材)
7c プレート部材の孔
7f 棒状部材
10 長材
10a 長材の一端
C コンクリート
【技術分野】
【0001】
この発明は、上水用タンクの屋根改修構造、および上水用タンクの屋根改修方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上水が貯留される上水用のタンクにおいて、そのタンクのコンクリート製の屋根が、上水に含まれる塩素イオンによって劣化することあるいは劣化が進むことを防止するために、塩素イオンに対する耐久性のある遮断膜を屋根の下方に配設して、塩素イオンを遮断する工法が知られている。ここで、屋根の下方に遮断膜を配設する工法として、例えば、図18に示すものがあった(特許文献1参照)。この工法にあっては、タンク内の底壁101上に配備した移動足場102を使用して、屋根103の内側面103aに取付部104、104を固着し、それら取付部104、104の先端に滑車105、105を取り付けて、吊り上げ用の索条106、106を懸架していた。そして、それら索条106、106を、膜骨及び膜材からなる遮断膜107に接続し、さらに、ウインチなどの巻取機108、108によって巻き取って、遮断膜107を吊り上げていた。その後、移動足場102を使用して、吊り上げられた遮断膜107を取付部104、104に取り付け、こうして、屋根103の下方に遮断膜107が配設された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−128190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の工法にあっては、屋根103の内側面103aに取付部104、104を固着する作業、取付部104、104の先端に滑車105、105を取り付けて索条106、106を懸架する作業、および、吊り上げられた遮断膜107を取付部104、104に取り付ける作業を、移動足場102を使用して行っていたため、それらの作業を行う際には、その都度、各取付部104、104の位置に合わせて、移動足場102を移動させる必要があり、作業性が悪かった。また、遮断膜107を取り付ける取付部104、104を、屋根103の内側面103aに固着していたため、屋根103の内側面103aの劣化の状況によっては、遮断膜107の取付工事が困難である場合があった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、作業性に優れた、上水用タンクの屋根改修構造、および上水用タンクの屋根改修方法を提供することにある。また、他の目的は、屋根の内側面の劣化が進んだ状態であっても、遮断膜の取付工事を行うことができる、上水用タンクの屋根改修構造、および上水用タンクの屋根改修方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る上水用タンクの屋根改修構造、および上水用タンクの屋根改修方法は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る上水用タンクの屋根改修構造は、コンクリート製の屋根を備える既設の上水用タンクの屋根改修構造である。この改修構造は、前記屋根と、その屋根と前記タンク内との間を遮断する遮断膜と、その遮断膜を支持する複数の支持材とを備える。そして、前記支持材が、前記屋根に設けた複数の貫通孔の各々を通じて、前記屋根の上面側と前記遮断膜との間に渡され、かつ、それら支持材の一方部が、前記遮断膜に固定され、また、他方部が、前記屋根の上面に設けた固定部に固定されて、前記遮断膜が前記屋根の下方に配設されている。
【0007】
この改修構造にあっては、遮断膜を支持する複数の支持材が、屋根に設けた複数の貫通孔の各々を通じて、屋根の上面側と遮断膜との間に渡され、かつ、それら支持材は、一方部が、遮断膜に固定され、また、他方部が、屋根の上面に設けた固定部に固定される。したがって、支持材の他方部を固定部に固定する作業を、貫通孔を通じて、屋根上で行うことができ、作業性に優れる。また、支持材の他方部が固定される固定部が、屋根の上面に設けられることから、屋根の内側面の劣化が進んだ状態であっても、遮断膜の取付工事を行うことができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る上水用タンクの屋根改修構造のように、請求項1に記載の改修構造において、前記支持材が、前記貫通孔の各々を通じて、前記貫通孔から下方に直状に延びるようにして、前記屋根の上面側と前記遮断膜との間に渡されていてもよい。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る上水用タンクの屋根改修構造のように、請求項1または2に記載の改修構造において、前記固定部は、前記貫通孔を覆うように前記屋根の上面に配備された孔付きのプレート部材と、そのプレート部材に覆い被さるように前記屋根の上面に配備された覆い部材とを備え、かつ、前記支持材の他方部は、前記プレート部材の孔に挿通されるとともに、前記覆い部材内に収まるようにして、前記プレート部材に固定されていてもよい。こうすることで、支持材の他方部およびその他方部が固定されたプレート部材を、風雨などから保護することができる。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係る上水用タンクの屋根改修構造のように、請求項1または2に記載の改修構造において、前記固定部は、前記貫通孔に臨むように前記屋根の上面に配備された棒状部材を備え、かつ、前記棒状部材と、その棒状部材に固定された前記支持材の他方部とに、コンクリートが巻き立てられていてもよい。こうすることで、支持材の他方部およびその他方部が固定された棒状部材を、風雨などから保護するとともに、それら支持材の他方部と棒状部材とをより強固に固定することができる。
【0011】
また、請求項5に記載の発明に係る上水用タンクの屋根改修方法は、コンクリート製の屋根を備える既設の上水用タンクの屋根改修方法である。この改修方法にあっては、前記タンク内に、前記屋根と前記タンク内との間を遮断する遮断膜を搬入する。次に、前記遮断膜を支持する支持材を一端側に形成するまたは備える複数の長材を、前記屋根に設けた複数の貫通孔の各々を通じて、前記屋根の上面側から前記タンク内に垂下させるとともに、前記支持材の一方部を、前記タンク内に搬入した前記遮断膜に固定する。その後、前記長材の前記一端側を、前記貫通孔の各々を通じて引き上げることで、前記遮断膜を吊り上げるとともに、前記支持材を、前記貫通孔の各々を通じて、前記屋根の上面側と前記遮断膜との間に渡す。そして、それら支持材の他方部を、前記屋根の上面に設けた固定部に固定して、前記遮断膜を前記屋根の下方に配設する。
【0012】
この改修方法にあっては、遮断膜を支持する支持材を一端側に形成するまたは備える複数の長材を、屋根に設けた複数の貫通孔の各々を通じて、屋根の上面側からタンク内に垂下させるとともに、前記支持材の一方部を、タンク内に搬入した遮断膜に固定する。その後、それら長材の一端側を、複数の貫通孔の各々を通じて引き上げることで、遮断膜を吊り上げるとともに、支持材を、複数の貫通孔の各々を通じて、屋根の上面側と遮断膜との間に渡す。さらに、それら支持材の他方部を、屋根の上面に設けた固定部に固定する。したがって、支持材の他方部を固定部に固定する作業を、貫通孔を通じて、屋根上で行うことができ、作業性に優れる。また、支持材の他方部が固定される固定部が、屋根の上面に設けられることから、屋根の内側面の劣化が進んだ状態であっても、遮断膜の取付工事を行うことができる。
【0013】
また、請求項6に記載の発明に係る上水用タンクの屋根改修方法は、コンクリート製の屋根を備える既設の上水用タンクの屋根改修方法である。この改修方法にあっては、前記タンク内に、前記屋根と前記タンク内との間を遮断する遮断膜を搬入する。次に、複数の長材を、前記屋根に設けた複数の貫通孔の各々を通じて、前記屋根の上面側から前記タンク内に垂下させるとともに、それら長材の一端側と、前記タンク内に搬入した前記遮断膜に一方部が固定された、前記遮断膜を支持する支持材とをつなぐ。その後、前記長材の前記一端側を、前記貫通孔の各々を通じて引き上げることで、前記遮断膜を吊り上げるとともに、前記支持材を、前記貫通孔の各々を通じて、前記屋根の上面側と前記遮断膜との間に渡す。そして、それら支持材の他方部を、前記屋根の上面に設けた固定部に固定して、前記遮断膜を前記屋根の下方に配設する。
【0014】
この改修方法にあっては、複数の長材を、屋根に設けた複数の貫通孔の各々を通じて、屋根の上面側からタンク内に垂下させるとともに、それら長材の一端側と、タンク内に搬入した遮断膜に一方部が固定された、遮断膜を支持する支持材とをつなぐ。その後、それら長材の一端側を、複数の貫通孔の各々を通じて引き上げることで、遮断膜を吊り上げるとともに、支持材を、複数の貫通孔の各々を通じて、屋根の上面側と遮断膜との間に渡す。さらに、それら支持材の他方部を、屋根の上面に設けた固定部に固定する。したがって、支持材の他方部を固定部に固定する作業を、貫通孔を通じて、屋根上で行うことができ、作業性に優れる。また、支持材の他方部が固定される固定部が、屋根の上面に設けられることから、屋根の内側面の劣化が進んだ状態であっても、遮断膜の取付工事を行うことができる。
【0015】
また、請求項7に記載の発明に係る上水用タンクの屋根改修方法のように、請求項5または6に記載の改修方法において、前記遮断膜を配設するにあたって、前記支持材を、前記貫通孔の各々を通じて、前記貫通孔から下方に直状に延びるようにして、前記屋根の上面側と前記遮断膜との間に渡してもよい。
【発明の効果】
【0016】
この発明に係る上水用タンクの屋根改修構造、および上水用タンクの屋根改修方法によれば、遮断膜を支持する支持材の他方部を固定部に固定する作業を、貫通孔を通じて、屋根上で行うことができ、作業性に優れる。また、支持材の他方部が固定される固定部が、屋根の上面に設けられることから、屋根の内側面の劣化が進んだ状態であっても、遮断膜の取付工事を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の第一の実施の形態の、屋根改修構造を示す模式図である。
【図2】同じく、要部拡大図である。
【図3】同じく、模式的な縮小平面図である。
【図4】同じく、支持材および固定部を示す模式的な一部破断拡大斜視図である。
【図5】同じく、図2におけるA部拡大図である。
【図6】同じく、図2におけるB部拡大図である。
【図7】同じく、屋根改修方法において、タンク内に遮断膜を搬入した状態を示す模式図である。
【図8】同じく、複数の長材をタンク内に垂下させた状態を示す模式図である。
【図9】同じく、遮断膜を吊り上げた状態を示す模式図である。
【図10】この発明の第二の実施の形態の、図4相当図である。
【図11】この発明の第三の実施の形態の、図4相当図である。
【図12】この発明の第四の実施の形態の、図4相当図である。
【図13】この発明の第五の実施の形態の、図4相当図である。
【図14】同じく、図8相当図である。
【図15】この発明の第六の実施の形態の、図4相当図である。
【図16】この発明の第七の実施の形態の、図4相当図である。
【図17】遮断膜の周端部分の取付固定に係る変形例を示す、図5相当図である。
【図18】従来の屋根改修構造および屋根改修方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明に係る上水用タンクの屋根改修構造、および上水用タンクの屋根改修方法を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1〜図9は、本発明の第一の実施の形態を示す。図中符号1は、既設の上水用タンクを示し、同上水用タンク1は、コンクリート製の屋根2を備える。3は、タンク1の屋根改修構造を示す。なお、図1、図2および図7〜図9においては、便宜上、ハッチングを省略してある。
【0020】
この屋根改修構造3は、前記屋根2としてのドーム屋根21と、そのドーム屋根21とタンク1内との間を遮断する遮断膜4と、その遮断膜4を支持する複数の支持材5、5とを備える。そして、支持材5、5が、ドーム屋根21に設けた複数の貫通孔6、6の各々を通じて、ドーム屋根21の上面21a側と遮断膜4との間に渡され、かつ、それら支持材5、5の一方部5a、5aが、遮断膜4に固定され、また、他方部5b、5bが、ドーム屋根21の上面21aに設けた固定部7に固定されて、遮断膜4がドーム屋根21の下方に配設されている。図示実施の形態においては、支持材5、5が、貫通孔6、6の各々を通じて、貫通孔6、6から下方に直状に延びるようにして、ドーム屋根21の上面21a側と遮断膜4との間に渡されている。
【0021】
具体的には、固定部7は、貫通孔6を覆うようにドーム屋根21の上面21aに配備された孔付きのプレート部材7aと、そのプレート部材7aに覆い被さるようにドーム屋根21の上面21aに配備された、覆い部材としての保護キャップ7bとを備える(図4参照)。そして、支持材5の他方部5bは、貫通孔6およびプレート部材7aの孔7cに挿通されるとともに、保護キャップ7b内に収まるようにして、プレート部材7aに固定されている。詳細には、支持材5は、例えば、紐あるいはロープからなり、その他方部5bには、幾重に絡まるようにして、結び玉5cが形成されている。そして、この結び玉5cが、接着剤等によって固められるようにして、プレート部材7aの上面7dに固着され、さらに、そのプレート部材7aが、接着剤等によって、ドーム屋根21の上面21aに固着されている。また、保護キャップ7bの下端部周囲には、その保護キャップ7bとドーム屋根21の上面21aとの境目の隙間を塞ぐように、コーキング7e処理されている。
【0022】
また、図示実施の形態においては、ドーム屋根21には、環状に並ぶ貫通孔6、6群が、同心円状に複数列設けられている。そして、それら貫通孔6、6の各々に対応するように、環状に並ぶ支持材5、5群および固定部7、7群(図示実施の形態においては、プレート部材7a、7a群および保護キャップ7b、7b群)が同心円状に複数列配置され(図3参照)、ならびに、後述する遮断膜4の取付固定部4a、4a群(図示実施の形態においては、固定タブ4b、4b群)も同様に、前記貫通孔6、6の各々に対応するように、同心円状に複数列配置されることになる。また、ドーム屋根21の中心部には、タンク1内に通じる通気孔21bが備えられている。なお、符号21dは、ドーム屋根21と遮断膜4との間に、万が一、結露水が溜まったり雨水が浸入した場合に、その水を排出するための、水抜きパイプである。
【0023】
遮断膜4は、例えば、塩化ビニル樹脂等の樹脂材料によりコーティングされた膜材等からなり、塩素イオンに対する耐久性を有している。図示実施の形態においては、遮断膜4は、ドーム屋根21の内側面21eを覆うことができるように略円形状に形成されており、その中心部分には、ドーム屋根21の通気孔21bに対応するようにして、抜き孔(図示せず)が形成されている。また、遮断膜4には、支持材5の一方部5aが取付固定される取付固定部4aが設けられている(図4参照)。具体的には、取付固定部4aは、遮断膜4の、ドーム屋根21の内側面21eと対向する面(図示実施の形態においては、上面)に設けられた固定タブ4bからなる。この固定タブ4bは、遮断膜4の、ドーム屋根21の内側面21eと対向する面(図示実施の形態においては、上面)に、ミシン縫いあるいは溶着によって固着されている。そして、支持材5の一方部5aは、固定タブ4bに結び止められ、さらに、接着剤等によって固められるようにして、固定タブ4bに取付固定されている。また、図示実施の形態においては、固定タブ4b(取付固定部4a)は、貫通孔6の鉛直下に位置している(図1、図2および図4参照)。すなわち、支持材5は、貫通孔6を通じて、その貫通孔6から鉛直下方に直状に延びるようにして、ドーム屋根21の上面21a側と遮断膜4との間に渡されている。
【0024】
また、遮断膜4の周端部分4cは、ドーム屋根21の内側面21eの周縁部21fに固定されている(図2および図5参照)。図示実施の形態においては、遮断膜4の周端部分4cと、ドーム屋根21の内側面21eの周縁部21fとの間には、気密性を確保するために、例えばスポンジゴム等の弾性材からなるシール材22を介在させている。そして、遮断膜4の周端部分4cおよびシール材22は、プレート23を介してボルト24等の固着具によって、前記周縁部21fに取付固定されている。同様に、遮断膜4の前記抜き孔の周縁部分4dは、ドーム屋根21の内側面21eの通気孔周縁部21gに固定されている(図2および図6参照)。図示実施の形態においては、遮断膜4の抜き孔の周縁部分4dと、ドーム屋根21の内側面21eの通気孔周縁部21gとの間には、気密性を確保するために、例えばスポンジゴム等の弾性材からなるシール材22aを介在させている。そして、遮断膜4の抜き孔の周縁部分4dおよびシール材22aは、プレート23aを介してボルト24a等の固着具によって、前記通気孔周縁部21gに取付固定されている。
【0025】
また、図示実施の形態においては、遮断膜4は、ドーム屋根21の内側面21eとの間に所要の間隔をおいて、その内側面21eに沿うように、しかも、垂れ気味の状態、すなわち、緊張されない状態で(詳細には、取付固定部4a、4a間、ならびに、取付固定部4aと遮断膜4の周端部分4c側および抜き孔の周縁部分4d側との間において、垂れ気味の状態、すなわち、緊張されない状態で)、ドーム屋根21の下方に配設されている。
【0026】
次に、タンク1の屋根改修方法を説明する。この改修方法にあっては、タンク1内に前記遮断膜4を搬入する。次に、前記支持材5を一端10a側に形成するまたは備える(図示実施の形態においては、一端10a側に形成する)複数の長材10、10を、前記複数の貫通孔6、6の各々を通じて、ドーム屋根21の上面21a側からタンク1内に垂下させるとともに、支持材5、5の一方部5a、5aを、タンク1内に搬入した遮断膜4に固定する。その後、長材10、10の一端10a、10a側を、貫通孔6、6の各々を通じて引き上げることで、遮断膜4を吊り上げるとともに、支持材5、5を、貫通孔6、6の各々を通じて、ドーム屋根21の上面21a側と遮断膜4との間に渡す。そして、それら支持材5、5の他方部5b、5bを、前記固定部7、7に固定して、遮断膜4をドーム屋根21の下方に配設する。図示実施の形態においては、遮断膜4を配設するにあたって、支持材5、5を、貫通孔6、6の各々を通じて、貫通孔6、6から下方に直状に延びるようにして、ドーム屋根21の上面21a側と遮断膜4との間に渡す。
【0027】
詳細には、まず、ドーム屋根21に、複数の貫通孔6、6を形成する(図示実施の形態においては、環状に並ぶ貫通孔6、6群を、同心円状に複数列形成する)。貫通孔6、6の形成後、遮断膜4を、ドーム屋根21の通気孔21b、あるいはドーム屋根21に設けられた、タンク1内を点検するための人孔(図示せず)から、タンク1内に搬入する。その後、搬入した遮断膜4を、タンク1内で展開する(図7参照)。遮断膜4が、通気孔21bあるいは前記人孔からの搬入が難しい程の大きさである場合には、例えば、ドーム屋根21に新たに開口部(例えば、2.0m×2.0m程度の開口部)を設け、その開口部から遮断膜4をタンク1内に搬入してもよい。この場合、遮断膜4の搬入後に、その開口部の開口を塞ぐように蓋が配備されることとなる。また、前記開口部は、ドーム屋根21の通気孔21bの周囲を拡開するようにして形成しても構わない。
【0028】
続いて、前記長材10、10を、形成した貫通孔6、6の各々を通じてタンク1内に垂下させる(図8参照)。図示実施の形態においては、この長材10は、前記紐あるいはロープからなる。すなわち、長材10における一端10a側の一部分が、そのまま前記支持材5となる。そこで、各長材10、10の他端10b、10b側を、ドーム屋根21の上面21aに配備した、例えば、ウインチなどの巻き上げ手段11、11に取り付けるとともに、それら長材10、10の一端10a、10a側から、貫通孔6、6の各々を通じてタンク1内に垂下させる。その後、タンク1内に垂下させた長材10、10における支持材5、5の一方部5a、5aを、遮断膜4の取付固定部4a、4aに取付固定する(詳細には、遮断膜4に設けられた固定タブ4b、4bに、支持材5、5の一方部5a、5aを結び止め、さらに、接着剤等によって固める)。
【0029】
その後、各長材10、10を、ドーム屋根21の上面21aに配備した巻き上げ手段11、11によって巻き上げることで、長材10、10の一端10a、10a側を、貫通孔6、6の各々を通じて引き上げる(図9参照)。このとき、例えば、同心円状に複数列設けられた貫通孔6、6群のうちの、最外周に位置する貫通孔6、6群、最内周に位置する貫通孔6、6群、その他の貫通孔6、6群の順に、対応する長材10、10を巻き上げるのが望ましいが、必ずしもこの順番に巻き上げる必要はない。こうして、各長材10、10の一端10a、10a側が引き上げられることによって、遮断膜4が、ドーム屋根21の内側面21eに沿うように、しかも、垂れ気味の状態、すなわち、緊張されない状態で(詳細には、取付固定部4a、4a間において、垂れ気味の状態、すなわち、緊張されない状態で)、吊り上げられるとともに、それら長材10、10における支持材5、5が、貫通孔6、6の各々を通じて、ドーム屋根21の上面21a側と遮断膜4との間に渡されることとなる。
【0030】
そして、ドーム屋根21の上面21a側と遮断膜4との間に渡された支持材5、5の、他方部5b、5bを、固定部7、7に固定する。詳細には、長材10、10の一端10a、10a側を引き上げた後、それら長材10、10の、支持材5、5を除いた部分を切断除去するとともに、プレート部材7a、7aを、それらの孔7c、7cに支持材5、5の他方部5b、5bを通すようにして、ドーム屋根21の上面21aに配備する。そして、それら支持材5、5の他方部5b、5bに、幾重に絡めるようにして結び玉5c、5cを形成し、それら結び玉5c、5cを、接着剤等によって固めるようにして、各プレート部材7a,7aの上面7d、7dに固着する。また、プレート部材7a、7aを、接着剤等によって、ドーム屋根21の上面21aに固着する。その後、固着したプレート部材7a、7aに覆い被さるように保護キャップ7b、7bを設置し、それら保護キャップ7b、7bの下端部とドーム屋根21の上面21aとの境目の隙間を塞ぐように、コーキング7e、7e処理する。なお、必要に応じて、貫通孔6、6内をシールしたり、また、保護キャップ7b内に、例えば、モルタルや樹脂等の充填剤を注入したりしても構わない。
【0031】
また、図示実施の形態においては、遮断膜4の周端部分4cおよび抜き孔の周縁部分4dを、それぞれドーム屋根21の内側面21eに固定する。詳細には、ドーム屋根21の内側面21eの周縁部21fに、シール材22を張り付ける。そして、遮断膜4が、取付固定部4aと周端部分4c側との間において、垂れ気味の状態、すなわち、緊張されない状態で、その周端部分4cをシール材22に宛がい、さらに、それら周端部分4cおよびシール材22を貫通するようにして、プレート23を介してボルト24を締め付ける。同様に、ドーム屋根21の内側面21eの通気孔周縁部21gに、シール材22aを張り付ける。そして、遮断膜4が、取付固定部4aと抜き孔の周縁部分4d側との間において、垂れ気味の状態、すなわち、緊張されない状態で、その抜き孔の周縁部分4dをシール材22aに宛がい、さらに、それら抜き孔の周縁部分4dおよびシール材22aを貫通するようにして、プレート23aを介してボルト24aを締め付ける。こうして、遮断膜4が、ドーム屋根21の内側面21eとの間に所要の間隔をおいて、その内側面21eに沿うように、しかも、垂れ気味の状態、すなわち、緊張されない状態で(詳細には、取付固定部4a、4a間、ならびに、取付固定部4aと遮断膜4の周端部分4c側および抜き孔の周縁部分4d側との間において、垂れ気味の状態、すなわち、緊張されない状態で)、ドーム屋根21の下方に配設される。(図1、図2参照)。
【0032】
なお、この改修方法にあっては、タンク1内に上水が貯留していない場合はもちろん、上水が貯留している場合であっても、その改修作業に支障が生じないのであれば、実施してもよい。
【0033】
次に、以上の構成からなる屋根改修構造3、および屋根改修方法の作用効果について説明する。この改修構造3にあっては、遮断膜4を支持する複数の支持材5、5が、ドーム屋根21に設けた複数の貫通孔6、6の各々を通じて、ドーム屋根21の上面21a側と遮断膜4との間に渡され、かつ、それら支持材5、5は、一方部5a、5aが、遮断膜4(詳細には、取付固定部4a、4a)に固定され、また、他方部5b、5bが、ドーム屋根21の上面21aに設けた固定部7、7(詳細には、プレート部材7a、7a)に固定される。したがって、支持材5、5の他方部5b、5bを固定部7、7(詳細には、プレート部材7a、7a)に固定する作業を、貫通孔6、6を通じて、ドーム屋根21上で行うことができ、作業性に優れる。また、支持材5、5の他方部5b、5bが固定される固定部7、7(詳細には、プレート部材7a、7a)が、ドーム屋根21の上面21aに設けられることから、ドーム屋根21の内側面21eの劣化が進んだ状態であっても、遮断膜4の取付工事を行うことができる。
【0034】
また、支持材5は、他方部5bが、プレート部材7aの孔7cに挿通されるとともに、プレート部材7aに覆い被さるようにドーム屋根21の上面21aに配備された、覆い部材としての保護キャップ7b内に収まるようにして、プレート部材7aに固定されているため、支持材5の他方部5bおよびその他方部5bが固定されたプレート部材7aを、風雨などから保護することができる。
【0035】
また、この改修方法にあっては、遮断膜4を支持する支持材5を一端10a側に形成するまたは備える(図示実施の形態においては、一端10a側に形成する)複数の長材10、10を、ドーム屋根21に設けた複数の貫通孔6、6の各々を通じて、ドーム屋根21の上面21a側からタンク1内に垂下させるとともに、支持材5、5の一方部5a、5aを、タンク1内に搬入した遮断膜4(詳細には、取付固定部4a、4a)に固定する。その後、それら長材10、10の一端10a、10a側を、複数の貫通孔6、6の各々を通じて引き上げることで、遮断膜4を吊り上げるとともに、支持材5、5を、複数の貫通孔6、6の各々を通じて、ドーム屋根21の上面21a側と遮断膜4との間に渡す。さらに、それら支持材5、5の他方部5b、5bを、ドーム屋根21の上面21aに設けた固定部7、7(詳細には、プレート部材7a、7a)に固定する。したがって、支持材5、5の他方部5b、5bを固定部7、7(詳細には、プレート部材7a、7a)に固定する作業を、貫通孔6、6を通じて、ドーム屋根21上で行うことができ、作業性に優れる。また、支持材5、5の他方部5b、5bが固定される固定部7、7(詳細には、プレート部材7a、7a)が、ドーム屋根21の上面21aに設けられることから、ドーム屋根21の内側面21eの劣化が進んだ状態であっても、遮断膜4の取付工事を行うことができる。
【0036】
また、長材10、10の一端10a、10a側を引き上げた後、それら長材10、10の、支持材5、5を除いた部分を切断除去するため、改修後のドーム屋根21上が、長材10、10によって煩雑になることを回避あるいは低減することができる。
【0037】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、屋根2は、ドーム屋根でなくても、平面状の屋根、あるいは、錐状の屋根等の、その他の屋根であってもよい。
【0038】
また、ドーム屋根21には、必ずしも環状に並ぶ貫通孔6、6群が、同心円状に複数列設けられていなくてもよく、それ以外の所望の配置で、複数の貫通孔6、6が設けられても構わない。
【0039】
また、支持材5は、紐あるいはロープからならなくてもよく、例えば、図10に示す第二の実施の形態のように、ワイヤーからなってもよい。この第二の実施の形態においては、ワイヤーからなる支持材5の他方部5bは、プレート部材7aの孔(図示せず)に挿通されるとともに、そのプレート部材7aの上方にて、例えば、ワイヤークリップ等の挟持具12によって挟持されて、プレート部材7aに固定されている。また、支持材5の一方部5aは、固定タブ4b(取付固定部4a)を通って折り返されるとともに、折り返された先端側にて、ワイヤークリップ等の挟持具12aによって挟持されて、その固定タブ4b(取付固定部4a)に固定されている。
【0040】
そして、この第二の実施の形態における改修方法にあっては、ワイヤーからなる複数の長材10、10を、前述した第一の実施の形態と同様に、一端10a、10a側から、貫通孔6、6の各々を通じてタンク1内に垂下させる。その後、タンク1内に垂下させた長材10、10における支持材5、5を、遮断膜4の取付固定部4a、4aに取付固定する(詳細には、支持材5、5の一方部5a,5aを、遮断膜4の固定タブ4b、4bに通して折り返すとともに、折り返した先端側にて、挟持具12aにより挟持させる)。さらに、前述した第一の実施の形態と同様に、長材10、10の一端10a、10a側を引き上げて、支持材5、5を、貫通孔6、6の各々を通じて、ドーム屋根21の上面21a側と遮断膜4との間に渡す。
【0041】
その後、プレート部材7a、7aの上方にて、挟持具12によって支持材5、5の他方部5b、5bを挟持させて、それら支持材5、5の他方部5b、5bをプレート部材7a、7aに固定する。また、プレート部材7a、7aを、接着剤等によって、ドーム屋根21の上面21aに固着する。さらに、長材10、10の、支持材5、5を除いた部分を切断除去する。その後、前述した第一の実施の形態と同様に、保護キャップ7b、7bを設置し、コーキング7e、7e処理する。
【0042】
また、固定部7は、プレート部材7aと保護キャップ7bとを備える構成でなくてもよく、例えば、図11に示す第三の実施の形態、および図12に示す第四の実施の形態のように、固定部7は、貫通孔6に臨むようにドーム屋根21の上面21aに配備された鉄棒等の金属製の棒状部材7fを備える構成であってもよい。そして、棒状部材7fと、その棒状部材7fに固定された支持材5の他方部5bとに、コンクリートCが巻き立てられていてもよい。この場合、棒状部材7fとして、鉄筋を利用しても構わない。なお、図11および図12においては、説明の便宜上、コンクリートCを想像線にて表している。
【0043】
第三の実施の形態においては、ドーム屋根21の上面21aに、複数の貫通孔6、6の上方を通るようにして、複数の棒状部材7f、7fが配備されている。そして、紐あるいはロープからなる支持材5の、他方部5bが、貫通孔6の上方で棒状部材7fに結び止められ、さらに、接着剤等によって固められるようにして、その棒状部材7fに固定されている。さらに、貫通孔6は、その上端側が、例えば、モルタルやコンクリート等の詰め材Pによって詰められている。また、支持材5の一方部5aは、前述した第一の実施の形態と同様に、固定タブ4b(取付固定部4a)に結び止められ、さらに、接着剤等によって固められるようにして、固定タブ4b(取付固定部4a)に取付固定されている。
【0044】
また、第三の実施の形態における改修方法にあっては、紐あるいはロープからなる長材10、10の一端10a、10a側を引き上げた後、それら長材10、10の、支持材5、5を除いた部分を切断除去するとともに、支持材5、5の他方部5b、5bを、貫通孔6、6の上方で棒状部材7f、7fに結び止め、さらに、接着剤等によって固める。その後、貫通孔6の上端側に詰め材Pを詰めるとともに、棒状部材7f、7fおよび支持材5、5の他方部5b、5bにコンクリートCを巻き立てる。
【0045】
第四の実施の形態においては、前述した第三の実施の形態と同様に、ドーム屋根21の上面21aに、複数の貫通孔6、6の上方を通るようにして、複数の棒状部材7f、7fが配備されている。そして、ワイヤーからなる支持材5の、他方部5bが、棒状部材7fの上方を通って折り返されるとともに、折り返された先端側にて、ワイヤークリップ等の挟持具12によって挟持されて、その棒状部材7fに固定されている。さらに、貫通孔6は、その上端側が、例えば、モルタルやコンクリート等の詰め材Pによって詰められている。また、支持材5の一方部5aは、前述した第二の実施の形態と同様に、固定タブ4b(取付固定部4a)を通って折り返されるとともに、折り返された先端側にて、ワイヤークリップ等の挟持具12aによって挟持されて、その固定タブ4b(取付固定部4a)に固定されている。
【0046】
また、第四の実施の形態における改修方法にあっては、ワイヤーからなる長材10、10の一端10a、10a側を引き上げた後、それら長材10、10の、支持材5、5を除いた部分を切断除去する。そして、支持材5、5の他方部5b、5bを、棒状部材7fの上方を通して折り返すとともに、折り返した先端側にて、挟持具12によって挟持させて、支持材5、5の他方部5b、5bを棒状部材7f、7fに固定する。その後、貫通孔6の上端側に詰め材Pを詰めるとともに、棒状部材7f、7fおよび支持材5、5の他方部5b、5bにコンクリートCを巻き立てる。
【0047】
そして、これら第三の実施の形態および第四の実施の形態における改修構造にあっては、固定部7が、貫通孔6に臨むようにドーム屋根21の上面21aに配備された棒状部材7fを備え、かつ、棒状部材7fと、その棒状部材7fに固定された支持材5の他方部5bとに、コンクリートCが巻き立てられているため、支持材5の他方部5bおよびその他方部5bが固定された棒状部材7fを、風雨などから保護するとともに、それら支持材5の他方部5bと棒状部材7fとをより強固に固定することができる。
【0048】
また、複数の長材10、10は、一端10a、10a側に、支持材5、5を形成していなくてもよく、支持材5、5を備えていてもよい。すなわち、紐あるいはロープとか、ワイヤー等からなる複数の長材10、10は、一端10a、10a側に、それら長材10、10とは別体に形成された、紐あるいはロープとか、ワイヤー等からなる支持材5、5を、取り外し可能に備えていてもよい。この場合にあっては、長材10、10の一端10a、10a側を引き上げた後、それら長材10、10の、支持材5、5を除いた部分を取り除くのが望ましい。なお、長材10と支持材5とは、必ずしも同一の素材からならなくてもよく、異なる素材からなってもよい。
【0049】
ここで、前述した第一〜第四の実施の形態にあっては、支持材5を一端10a側に形成するまたは備える複数の長材10、10を用いて、遮断膜4を配設していたが、必ずしもこのような構成である必要はなく、例えば、図13および図14に示す第五の実施の形態のように、予め複数の支持材5、5が固定されてなる遮断膜4と、複数の長材10、10とを用いて、遮断膜4を配設してもよい。
【0050】
この第五の実施の形態においては、支持材5は、例えば鉄棒等の金属製の棒部材からなり、その他方部5bは、プレート部材7aの孔(図示せず)に挿通されるとともに、ナット部材13が締め付けられて、プレート部材7aに固定されている(図13参照)。また、支持材5の一方部5aには、プレート体13aが取り付けられており、このプレート体13aが、例えば、接着剤等によって、遮断膜4の、ドーム屋根21の内側面21eと対向する面(図示実施の形態においては、上面)に固着されている。
【0051】
また、この第五の実施の形態における改修方法は、次のとおりである。タンク1内に、ドーム屋根21とタンク1内との間を遮断する遮断膜4を搬入する。次に、複数の長材10、10を、前記貫通孔6、6の各々を通じて、ドーム屋根21の上面21a側からタンク1内に垂下させるとともに、それら長材10、10の一端10a、10a側と、タンク1内に搬入した遮断膜4に一方部5a、5aが固定された、遮断膜4を支持する支持材5、5とをつなぐ。その後、長材10、10の一端10a、10a側を、貫通孔6、6の各々を通じて引き上げることで、遮断膜4を吊り上げるとともに、支持材5、5を、貫通孔6、6の各々を通じて、ドーム屋根21の上面21a側と遮断膜4との間に渡す。そして、それら支持材5、5の他方部5b、5bを、前記固定部7、7に固定して、遮断膜4をドーム屋根21の下方に配設する。
【0052】
詳細には、貫通孔6、6の形成後、棒部材からなる複数の支持材5、5が予め固定されてなる遮断膜4を、タンク1内に搬入する。そして、紐あるいはロープとかワイヤー等からなる長材10、10を、形成した貫通孔6、6の各々を通じてタンク1内に垂下させるとともに、それら長材10、10の一端10a、10a側を、タンク1内に搬入した遮断膜4の支持材5、5につなぐ(図14参照)。その後、前述した第一〜第四の実施の形態と同様に、各長材10、10を、ドーム屋根21の上面21aに配備した巻き上げ手段11、11によって巻き上げることで、長材10、10の一端10a、10a側を、貫通孔6、6の各々を通じて引き上げる。こうして、各長材10、10の一端10a、10a側が引き上げられることによって、遮断膜4が吊り上げられるとともに、それら長材10、10につながれた支持材5、5が、貫通孔6、6の各々を通じて、ドーム屋根21の上面21a側と遮断膜4との間に渡されることとなる。そして、長材10、10の一端10a、10a側を引き上げた後、それら長材10、10を、支持材5、5から取り除くとともに、プレート部材7a、7aを、それらの孔(図示せず)に支持材5、5の他方部5b、5bを通すようにして、ドーム屋根21の上面21aに配備する。そして、支持材5、5の他方部5b、5bに、ナット部材13を締め付けて、支持材5、5の他方部5b、5bをプレート部材7a,7aに固定する。また、前述した第一の実施の形態および第二の実施の形態と同様に、プレート部材7a、7aを、接着剤等によって、ドーム屋根21の上面21aに固着し、さらに、保護キャップ7b、7bを設置し、コーキング7e、7e処理する。
【0053】
そして、この第五の実施の形態においても、前述した第一〜第四の実施の形態と同様に、支持材5、5の他方部5b、5bを固定部7、7(詳細には、プレート部材7a、7a)に固定する作業を、貫通孔6、6を通じて、ドーム屋根21上で行うことができ、作業性に優れる。また、ドーム屋根21の内側面21eの劣化が進んだ状態であっても、遮断膜4の取付工事を行うことができる。また、長材10、10の一端10a、10a側を引き上げた後、それら長材10、10を、支持材5、5から取り除くため、改修後のドーム屋根21上が、長材10、10によって煩雑になることを回避あるいは低減することができる。
【0054】
また、第五の実施の形態にあっては、支持材5の一方部5aに取り付けられたプレート体13aが、例えば、接着剤等によって、遮断膜4に固着されることによって、支持材5が遮断膜4に固定されているが、必ずしもこのような構成である必要はなく、例えば、図15に示す第六の実施の形態のように、支持材5の一方部5aには、挟持部材としての複数のプレート体13a、13aが取り付けられており、これらプレート体13a、13aで遮断膜4を挟み込むようにして、支持材5が遮断膜4に固定されていてもよい。
【0055】
また、このように、予め複数の支持材5、5が固定されてなる遮断膜4と、複数の長材10、10とを用いて、遮断膜4を配設する場合においても、前述した第三の実施の形態および第四の実施の形態と同様に、固定部7が、貫通孔6に臨むようにドーム屋根21の上面21aに配備された棒状部材7fを備え、かつ、棒状部材7fと、その棒状部材7fに固定された支持材5の他方部5bとに、コンクリートCが巻き立てられていてもよい。ここで、図16に示す第七の実施の形態においては、第三の実施の形態および第四の実施の形態と同様に、ドーム屋根21の上面21aに、複数の貫通孔6、6の上方を通るようにして、複数の、鉄製の棒状部材7f、7fが配備されている。そして、鉄製の棒部材からなる支持材5の、他方部5bが、例えば、溶接等によって、鉄製の棒状部材7fに固定されている。さらに、貫通孔6は、その上端側が、例えば、モルタルやコンクリート等の詰め材Pによって詰められている。
【0056】
また、第七の実施の形態における改修方法にあっては、前述した第五の実施の形態および第六の実施の形態と同様に、鉄製の棒部材からなる複数の支持材5、5が予め固定されてなる遮断膜4を、タンク1内に搬入する。そして、紐あるいはロープとかワイヤー等からなる長材10、10を、形成した貫通孔6、6の各々を通じてタンク1内に垂下させるとともに、それら長材10、10の一端10a、10a側を、タンク1内に搬入した遮断膜4の支持材5、5につなぐ。そして、長材10、10の一端10a、10a側を引き上げた後、それら長材10、10を、支持材5、5から取り除くとともに、支持材5、5の他方部5b、5bを、例えば、溶接等によって、鉄製の棒状部材7fに固定する。さらに、貫通孔6の上端側に詰め材Pを詰めるとともに、棒状部材7f、7fおよび支持材5、5の他方部5b、5bにコンクリートCを巻き立てる。
【0057】
そして、この第七の実施の形態における改修構造においても、前述した第三の実施の形態および第四の実施の形態と同様に、支持材5の他方部5bおよびその他方部5bが固定された棒状部材7fを、風雨などから保護するとともに、それら支持材5の他方部5bと棒状部材7fとをより強固に固定することができる。
【0058】
また、第五の実施の形態および第六の実施の形態において、棒部材からなる支持材5は、鉄棒等の金属製でなくてもよく、合成樹脂製であっても構わない。また第三の実施の形態および第四の実施の形態において、棒状部材7fは、鉄棒等の金属製でなくてもよく、合成樹脂製であってもよい。
【0059】
また、予め複数の支持材5、5が固定されてなる遮断膜4と、複数の長材10、10とを用いて、遮断膜4を配設する場合において、それら複数の支持材5、5は、棒部材からならなくてもよく、紐あるいはロープとか、ワイヤー等からなってもよい。一方、支持材5を一端10a側に形成するまたは備える複数の長材10、10を用いて、遮断膜4を配設する場合(前述した第一〜第四の実施の形態の場合)において、それら支持材5、5が、例えば、鉄棒等の金属製、あるいは、合成樹脂製の棒部材からなってもよい。
【0060】
また、支持材5、5は、貫通孔6、6の各々を通じて、貫通孔6、6から鉛直下方に直状に延びるようにして、ドーム屋根21の上面21a側と遮断膜4との間に渡されていなくてもよく、例えば、貫通孔6、6から斜め下方に直状に延びるようにして、あるいは、貫通孔6、6から湾曲あるいは屈曲するようにして、ドーム屋根21の上面21a側と遮断膜4との間に渡されていてもよい。
【0061】
また、遮断膜4の周端部分4cは、ドーム屋根21の内側面21eの周縁部21fに固定されていなくてもよく、例えば、図17に示すように、タンク1の側壁1aの内側面1b、例えば、内側面1bの上端部に固定されていてもよい。図示実施の形態においては、遮断膜4の周端部分4cと、タンク1の側壁1aの内側面1bの上端部との間には、気密性を確保するために、例えばスポンジゴム等の弾性材からなるシール材22を介在させている。そして、遮断膜4の周端部分4cおよびシール材22は、プレート23を介してボルト24等の固着具によって、側壁1aの内側面1bの上端部に取付固定されている。
【0062】
また、タンク1の屋根改修方法において、必ずしも貫通孔6、6の形成後に、遮断膜4をタンク1内に搬入しなくてもよく、遮断膜4をタンク1内に搬入した後に、貫通孔6、6を形成しても構わない。
【0063】
また、本発明に係る上水用タンクの屋根改修構造および上水用タンクの屋根改修方法として、既述した各種の実施の形態に示される構成要素を適宜組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 上水用タンク
2 屋根
21 ドーム屋根
21a ドーム屋根の上面
3 屋根改修構造
4 遮断膜
5 支持材
5a 支持材の一方部
5b 支持材の他方部
6 貫通孔
7 固定部
7a プレート部材
7b 保護キャップ(覆い部材)
7c プレート部材の孔
7f 棒状部材
10 長材
10a 長材の一端
C コンクリート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート製の屋根を備える既設の上水用タンクの屋根改修構造であって、
前記屋根と、その屋根と前記タンク内との間を遮断する遮断膜と、その遮断膜を支持する複数の支持材とを備え、
前記支持材が、前記屋根に設けた複数の貫通孔の各々を通じて、前記屋根の上面側と前記遮断膜との間に渡され、かつ、それら支持材の一方部が、前記遮断膜に固定され、また、他方部が、前記屋根の上面に設けた固定部に固定されて、前記遮断膜が前記屋根の下方に配設されていることを特徴とする、上水用タンクの屋根改修構造。
【請求項2】
前記支持材が、前記貫通孔の各々を通じて、前記貫通孔から下方に直状に延びるようにして、前記屋根の上面側と前記遮断膜との間に渡されていることを特徴とする、請求項1に記載の上水用タンクの屋根改修構造。
【請求項3】
前記固定部は、前記貫通孔を覆うように前記屋根の上面に配備された孔付きのプレート部材と、そのプレート部材に覆い被さるように前記屋根の上面に配備された覆い部材とを備え、かつ、
前記支持材の他方部は、前記プレート部材の孔に挿通されるとともに、前記覆い部材内に収まるようにして、前記プレート部材に固定されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の上水用タンクの屋根改修構造。
【請求項4】
前記固定部は、前記貫通孔に臨むように前記屋根の上面に配備された棒状部材を備え、かつ、
前記棒状部材と、その棒状部材に固定された前記支持材の他方部とに、コンクリートが巻き立てられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の上水用タンクの屋根改修構造。
【請求項5】
コンクリート製の屋根を備える既設の上水用タンクの屋根改修方法であって、
前記タンク内に、前記屋根と前記タンク内との間を遮断する遮断膜を搬入し、
前記遮断膜を支持する支持材を一端側に形成するまたは備える複数の長材を、前記屋根に設けた複数の貫通孔の各々を通じて、前記屋根の上面側から前記タンク内に垂下させるとともに、前記支持材の一方部を、前記タンク内に搬入した前記遮断膜に固定し、
前記長材の前記一端側を、前記貫通孔の各々を通じて引き上げることで、前記遮断膜を吊り上げるとともに、前記支持材を、前記貫通孔の各々を通じて、前記屋根の上面側と前記遮断膜との間に渡し、かつ、
それら支持材の他方部を、前記屋根の上面に設けた固定部に固定して、前記遮断膜を前記屋根の下方に配設することを特徴とする、上水用タンクの屋根改修方法。
【請求項6】
コンクリート製の屋根を備える既設の上水用タンクの屋根改修方法であって、
前記タンク内に、前記屋根と前記タンク内との間を遮断する遮断膜を搬入し、
複数の長材を、前記屋根に設けた複数の貫通孔の各々を通じて、前記屋根の上面側から前記タンク内に垂下させるとともに、それら長材の一端側と、前記タンク内に搬入した前記遮断膜に一方部が固定された、前記遮断膜を支持する支持材とをつなぎ、
前記長材の前記一端側を、前記貫通孔の各々を通じて引き上げることで、前記遮断膜を吊り上げるとともに、前記支持材を、前記貫通孔の各々を通じて、前記屋根の上面側と前記遮断膜との間に渡し、かつ、
それら支持材の他方部を、前記屋根の上面に設けた固定部に固定して、前記遮断膜を前記屋根の下方に配設することを特徴とする、上水用タンクの屋根改修方法。
【請求項7】
前記遮断膜を配設するにあたって、前記支持材を、前記貫通孔の各々を通じて、前記貫通孔から下方に直状に延びるようにして、前記屋根の上面側と前記遮断膜との間に渡すことを特徴とする、請求項5または6に記載の上水用タンクの屋根改修方法。
【請求項1】
コンクリート製の屋根を備える既設の上水用タンクの屋根改修構造であって、
前記屋根と、その屋根と前記タンク内との間を遮断する遮断膜と、その遮断膜を支持する複数の支持材とを備え、
前記支持材が、前記屋根に設けた複数の貫通孔の各々を通じて、前記屋根の上面側と前記遮断膜との間に渡され、かつ、それら支持材の一方部が、前記遮断膜に固定され、また、他方部が、前記屋根の上面に設けた固定部に固定されて、前記遮断膜が前記屋根の下方に配設されていることを特徴とする、上水用タンクの屋根改修構造。
【請求項2】
前記支持材が、前記貫通孔の各々を通じて、前記貫通孔から下方に直状に延びるようにして、前記屋根の上面側と前記遮断膜との間に渡されていることを特徴とする、請求項1に記載の上水用タンクの屋根改修構造。
【請求項3】
前記固定部は、前記貫通孔を覆うように前記屋根の上面に配備された孔付きのプレート部材と、そのプレート部材に覆い被さるように前記屋根の上面に配備された覆い部材とを備え、かつ、
前記支持材の他方部は、前記プレート部材の孔に挿通されるとともに、前記覆い部材内に収まるようにして、前記プレート部材に固定されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の上水用タンクの屋根改修構造。
【請求項4】
前記固定部は、前記貫通孔に臨むように前記屋根の上面に配備された棒状部材を備え、かつ、
前記棒状部材と、その棒状部材に固定された前記支持材の他方部とに、コンクリートが巻き立てられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の上水用タンクの屋根改修構造。
【請求項5】
コンクリート製の屋根を備える既設の上水用タンクの屋根改修方法であって、
前記タンク内に、前記屋根と前記タンク内との間を遮断する遮断膜を搬入し、
前記遮断膜を支持する支持材を一端側に形成するまたは備える複数の長材を、前記屋根に設けた複数の貫通孔の各々を通じて、前記屋根の上面側から前記タンク内に垂下させるとともに、前記支持材の一方部を、前記タンク内に搬入した前記遮断膜に固定し、
前記長材の前記一端側を、前記貫通孔の各々を通じて引き上げることで、前記遮断膜を吊り上げるとともに、前記支持材を、前記貫通孔の各々を通じて、前記屋根の上面側と前記遮断膜との間に渡し、かつ、
それら支持材の他方部を、前記屋根の上面に設けた固定部に固定して、前記遮断膜を前記屋根の下方に配設することを特徴とする、上水用タンクの屋根改修方法。
【請求項6】
コンクリート製の屋根を備える既設の上水用タンクの屋根改修方法であって、
前記タンク内に、前記屋根と前記タンク内との間を遮断する遮断膜を搬入し、
複数の長材を、前記屋根に設けた複数の貫通孔の各々を通じて、前記屋根の上面側から前記タンク内に垂下させるとともに、それら長材の一端側と、前記タンク内に搬入した前記遮断膜に一方部が固定された、前記遮断膜を支持する支持材とをつなぎ、
前記長材の前記一端側を、前記貫通孔の各々を通じて引き上げることで、前記遮断膜を吊り上げるとともに、前記支持材を、前記貫通孔の各々を通じて、前記屋根の上面側と前記遮断膜との間に渡し、かつ、
それら支持材の他方部を、前記屋根の上面に設けた固定部に固定して、前記遮断膜を前記屋根の下方に配設することを特徴とする、上水用タンクの屋根改修方法。
【請求項7】
前記遮断膜を配設するにあたって、前記支持材を、前記貫通孔の各々を通じて、前記貫通孔から下方に直状に延びるようにして、前記屋根の上面側と前記遮断膜との間に渡すことを特徴とする、請求項5または6に記載の上水用タンクの屋根改修方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−236634(P2011−236634A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108595(P2010−108595)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(591121111)株式会社安部日鋼工業 (38)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(591121111)株式会社安部日鋼工業 (38)
【Fターム(参考)】
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