説明

下地用断熱桟木及び桟木用断熱材と桟木の断熱構造

【課題】桟木が占める微小面積による局所的な断熱性能の低下を確実に回避できるようにする。
【解決手段】下地用の桟木1と、その裏面に配置した真空断熱材2との間に、前記桟木に打ち込まれたビス又は釘による真空断熱材の損傷を防止するための金属製保護板4を設けて下地用断熱桟木Aを構成する。真空断熱材と、その表面を覆う金属製保護板とを備え、金属製保護板には、その両側方へ面一状に突出した複数の釘孔付き突片11が連設され、金属製保護板の上に下地用の桟木を固定可能に構成し、桟木に打ち込まれたビス又は釘による真空断熱材の損傷を金属製保護板で防止するようにした桟木用断熱材Bを構成する。これらの下地用断熱桟木A又は桟木用断熱材Bを用いて桟木の下に真空断熱材が配置された桟木の断熱構造を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の躯体コンクリートに、例えば、石膏ボード用の木軸(胴縁や間柱)、サッシュ周りに配置される膳板やカーテンボックスといった各種の建物内装用部材を取り付けるための下地用桟木の断熱対策に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、建物の躯体コンクリートを石膏ボード、膳板、カーテンボックス等の内装用部材で仕上げる場合、図26に示すように、吹付け断熱材(硬質ウレタンフォーム)6による吹付け断熱層の上に桟木1を配置している。このようにすると、桟木1を躯体コンクリート5から吹付け断熱材層の厚み分浮かせた状態に支持する必要があるので、躯体コンクリート5に対する桟木1の取付け構造が複雑化する上、吹付け断熱材(硬質ウレタンフォーム)6の吹付け断熱工事も煩雑化し、しかも、吹付け断熱材層の厚み分、桟木1が室内側に位置することになって、室内空間が狭くなる等、他の様々な問題が生じる。
【0003】
この室内空間が狭くなるという問題等を解決するために、図25に示すように、桟木1を躯体コンクリート部分に先行して取り付け、躯体コンクリートの吹付け断熱工事を後施工にて行う場合は、桟木1の直下に吹付け断熱材(硬質ウレタンフォーム)6が配置されないことになり、桟木1にも、それなりの断熱性能はあり、断熱面全体での断熱性能は確保できているものの、例えば、吹付け断熱工事に用いられる硬質ウレタンフォームと熱伝導率に関して比較した場合、桟木(3種)の熱伝導率は、0.19W/m・kであり、硬質
ウレタンフォームの熱伝導率0.026W/m・kに対し、桟木は約7.3倍の熱伝導率を
有することとなり、その断熱性能は非常に低いと思われる。
【0004】
以上の2点は、建物全体の断熱性能にさほど影響がないが、桟木が占める微小面積による局所的な断熱性能の低下とは言え、性能的に好ましいものではない。
【0005】
ところで、主に冷蔵庫用として普及している真空断熱材(樹脂フィルムやアルミ箔などのガスバリア性フィルムで形成した密閉容器の内部を減圧した断熱材)は、吹付け断熱材に比して断熱性能が遥かに高く、5mm程度の厚みでも、硬質ウレタンフォーム50mmに匹敵する断熱性能を有する。
【0006】
従って、厚さ5mm程度の真空断熱材を桟木の直下に配置することによって、桟木が占める微小面積による局所的な断熱性能の低下を回避することが可能であると思われる。しかし、真空断熱材を桟木の直下に配置した場合、桟木に、石膏ボード用の木軸(胴縁や間
柱)、サッシュ周りに配置される膳板やカーテンボックスといった各種の建物内装用部材
を釘やビスで固定する際、真空断熱材のガスバリア性フィルムをビスや釘で損傷する可能性がある。
【0007】
尚、真空断熱材を建築物用断熱材として使用する場合、釘打ちや切断加工を行っても断熱パネル全体としての断熱性能の劣化を小さく抑制できるようにする技術は、特許文献1によって既に知られている。
【0008】
しかしながら、この公知技術は、平坦な基部フィルム上の複数箇所に断熱材とそれを覆うカバーフィルムを配し、各断熱材を配した領域を減圧すると共にその周縁でカバーフィルムを基部フィルムに固着した構造の一定高さの真空断熱部を備えた第一真空断熱材と、真空断熱部の配置及び形状、寸法を、該真空断熱部が前記第一真空断熱材に形成している複数の真空断熱部の間の凹部に嵌めこまれるように設定した同様な構成の第二真空断熱材
とを向かい合わせ、第一真空断熱材の真空断熱部の間に第二真空断熱材の真空断熱部を嵌め込む形態に組み合わせ、第一真空断熱材と第二真空断熱材を互いに固定してパネル形態としたものであり、個々の真空断熱部が30〜200mm角程度、或いは、10〜400cm程度の面積とされている。
【0009】
従って、釘を打ち込んだ際、断熱パネル全体としての断熱性能の劣化を小さく抑制できるとは言え、幅がせいぜい50mm程度である桟木の直下に配置して、桟木が占める微小面積による局所的な断熱性能の低下を回避する真空断熱材としての使用には全く不向きである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−56547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述した諸点に留意してなされたものであって、桟木が占める微小面積による局所的な断熱性能の低下を確実に回避できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明が講じた技術手段は、次の通りである。即ち、請求項1に記載の発明は、下地用の桟木と、その裏面に配置した真空断熱材との間に、前記桟木に打ち込まれたビス又は釘による真空断熱材の損傷を防止するための金属製保護板が設けられて成る下地用断熱桟木を特徴としている。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の下地用断熱桟木であって、金属製保護板の両側辺に、裏面側へ略直角に折れ曲った第一板部とその先端から略直角に折り返された釘孔付きの第二板部とから成る支持板が折曲連設されていることを特徴としている。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の下地用断熱桟木であって、金属製保護板が、真空断熱材を収容した断面長方形の金属製の角筒状ケースの表面側板部によって形成され、角筒状ケースの裏面側板部の両側辺に、当該裏面側板部と面一状に突出した釘孔付き突片が連設されていることを特徴としている。
【0015】
請求項4に記載の発明は、真空断熱材と、その表面を覆う金属製保護板とを備え、金属製保護板には、その両側方へ面一状に突出した複数の釘孔付き突片が連設され、金属製保護板の上に下地用の桟木を固定可能に構成し、桟木に打ち込まれたビス又は釘による真空断熱材の損傷を金属製保護板で防止するように構成した桟木用断熱材を特徴としている。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の桟木用断熱材であって、金属製保護板が、真空断熱材を収容した断面長方形の金属製の角筒状ケースの表面側板部によって形成されていることを特徴としている。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の桟木用断熱材であって、角筒状ケースの表面側板部の両側辺に、当該表面側板部と面一状に突出した複数の袋ナットが連設されていることを特徴としている。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の下地用断熱桟木を用いた桟木の断熱構造であって、請求項1〜3の何れかに記載の下地用断熱桟木が建物の躯体コンクリートの表面に桟木を外向きにした状態に固定され、躯体コンクリートの表面に吹付け断
熱材が桟木の表面を吹付け断熱材層から露出させた状態に施工され、桟木に木軸、膳板、カーテンボックス等の建物内装用部材がビス又は釘で固定されていることを特徴としている。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項4又は5に記載の桟木用断熱材を用いた桟木の断熱構造であって、請求項4又は5に記載の桟木用断熱材が建物の躯体コンクリートに金属製保護板を躯体コンクリートの表面に露出させた状態に埋設され、桟木が金属製保護板の上に載った状態に接着剤によって固定され、躯体コンクリートの表面に吹付け断熱材が桟木の表面を吹付け断熱材層から露出させた状態に施工され、桟木に木軸、膳板、カーテンボックス等の建物内装用部材がビス又は釘で固定されていることを特徴としている
【0020】
請求項9に記載の発明は、請求項6に記載の桟木用断熱材を用いた桟木の断熱構造であって、請求項6に記載の桟木用断熱材が建物の躯体コンクリートに金属製保護板を躯体コンクリートの表面に露出させた状態に埋設され、袋ナットと、袋ナットにビス止めした桟木取付け用のL型金具との間に断熱シートが介装され、相対向するL型金具の立上り片間に配置した桟木が、それらを貫通するボルトとそれに螺合するナットによって金属製保護板の上に載った状態に固定され、躯体コンクリートの表面に吹付け断熱材が桟木の表面を吹付け断熱材層から露出させた状態に施工され、桟木に木軸、膳板、カーテンボックス等の建物内装用部材がビス又は釘で固定されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の発明による下地用断熱桟木は、下地用の桟木と、その裏面に配置した真空断熱材との間に、前記桟木に打ち込まれたビス又は釘による真空断熱材の損傷を防止するための金属製保護板が設けられて成るものであるから、従来の下地用桟木と同様な取扱いが可能であり、それでいて、下地用断熱桟木を躯体コンクリートに接着した後、桟木の上に、石膏ボード用の木軸(胴縁や間柱)、サッシュ周りの膳板、カーテンボックス等の建物内装用部材をビス止め・釘止めする際、ビスや釘をうっかりして真空断熱材まで打ち込んでしまう虞がない。従って、従来通り、躯体コンクリートに対する桟木の固定後、吹付け断熱工事を行っても、桟木の下に配置された真空断熱材による断熱効果が確実に発揮されることになり、桟木が占める微小面積による局所的な断熱性能の低下を確実に回避することができる。
【0022】
請求項2に記載の発明による下地用断熱桟木は、金属製保護板の両側辺に、裏面側へ略直角に折れ曲った第一板部とその先端から略直角に折り返された釘孔付きの第二板部とから成る支持板が折曲連設されているので、何らかの原因によって、下地用断熱桟木に桟木を躯体コンクリートの表面に押し付ける方向の外力が作用しても、支持板の第一板部から躯体コンクリートへと力が伝達されることになり、桟木に加えられた荷重を支持板で支えることができるので、真空断熱材が押し潰されず、真空断熱材の厚みを一定に保ち得る。
【0023】
また、躯体コンクリートが壁面や梁側面のような垂直面である場合でも、第二板部を垂直面にコンクリート釘で固定することにより、建物内装用下地材を確実に固定でき、建物内装用下地材に引張力が作用しても、建物内装用下地材が躯体コンクリートから剥がれる虞がない。従って、桟木にビスや釘で固定される建物内装用部材が、カーテンを開け閉めする都度、引張力が作用するカーテンボックスである場合に好適である。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、真空断熱材が断面長方形の金属製の角筒状ケースに収容されているので、何らかの原因によって、下地用断熱桟木に桟木を躯体コンクリートの表面に押し付ける方向の外力が作用しても、角筒状ケースから躯体コンクリートへと力が伝達されることになり、桟木に加えられた荷重を角筒状ケースで支えることができるので、真空断熱材が押し潰されず、真空断熱材の厚みを一定に保ち得る。
【0025】
また、金属製の角筒状ケースの表面側板部が桟木に打ち込まれたビス又は釘による真空断熱材の損傷を防止するための金属製保護板として機能するので、建物内装用部材を桟木にビス又は釘で固定する際、うっかりと、ビス又は釘を真空断熱材まで打ち込んでしまう虞がなく、真空断熱材本来の断熱効果を確実に発揮させることができ、桟木が占める微小面積による局所的な断熱性能の低下を確実に回避し得るのである。
【0026】
しかも、角筒状ケースの裏面側板部の両側辺に、当該裏面側板部と面一状に突出した釘孔付き突片が連設されているので、躯体コンクリートの表面が壁面や梁側面のような垂直面である場合でも、釘孔付き突片をコンクリート釘で躯体コンクリートの表面に固定しておくことにより、下地用断熱桟木に引張力が作用しても、下地用断熱桟木が躯体コンクリートから剥がれる虞がない。
【0027】
請求項4に記載の発明によれば、桟木用断熱材を躯体コンクリートに真空断熱材の金属製保護板が躯体コンクリートと面一になるように埋め込んで、金属製保護板に下地用の桟木を接着剤等により固定することになるので、桟木用断熱材の厚み分、桟木の厚みを薄くしなくても、室内空間が狭くなることがない。
【0028】
また、桟木の固定後、吹付け断熱工事を行うことになるので、桟木の直下に吹付け断熱材(硬質ウレタンフォーム)を施工できないが、桟木と躯体コンクリートとの間には、硬質ウレタンフォームよりも断熱性能が遥かに高い真空断熱材が配置されているので、桟木の両側に形成された吹付け断熱材層以上の断熱効果が発揮されることになる。しかも、釘孔付き突片の上には、吹付け断熱工事により必要とする厚さの吹付け断熱材層を形成できるので、釘孔付き突片がヒートブリッジの要因にならない。
【0029】
殊に、桟木と真空断熱材の間には、ビスや釘が貫通し難い金属製保護板が配置されているので、建物内装用部材を桟木にビス又は釘で固定する際、うっかりと、ビス又は釘を真空断熱材まで打ち込んでしまう虞がなく、真空断熱材本来の断熱効果を確実に発揮させることができ、桟木が占める微小面積による局所的な断熱性能の低下を確実に回避し得るのである。
【0030】
請求項5に記載の発明によれば、上記の効果に加え、断面長方形の金属製の角筒状ケースに真空断熱材を収容して、角筒状ケースの表面側板部を真空断熱材の金属製保護板とした桟木用断熱材であるため、真空断熱材を金属製保護板に接着する必要がなく、桟木用断熱材の製造が容易であるという効果がある。
【0031】
請求項6に記載の発明によれば、上記の効果に加え、袋ナットにL型金具をビス止めすることにより、相対向するL型金具の立上り片間に桟木を配置して、ボルト・ナットで固定することができるので、現場で接着剤を使用する必要がないという効果がある。
【0032】
請求項7に記載の発明によれば、下地用断熱桟木を躯体コンクリートの表面に接着した後、吹付け断熱工事を行うので、桟木の直下に吹付け断熱材を施工できないが、桟木と躯体コンクリートとの間には、吹付け断熱材よりも断熱性能が遥かに高い真空断熱材が配置されているので、桟木の両側に形成された吹付け断熱材層以上の断熱効果が発揮されることになる。
【0033】
しかも、桟木と真空断熱材の間には、ビスや釘が貫通し難い金属製保護板が配置されているので、建物内装用部材を桟木にビス又は釘で固定する際、うっかりと、ビス又は釘を真空断熱材まで打ち込んでしまう虞がなく、真空断熱材本来の断熱効果を確実に発揮させることができ、桟木が占める微小面積による局所的な断熱性能の低下を確実に回避し得る
のである。
【0034】
請求項8に記載の発明によれば、桟木用断熱材を躯体コンクリートに真空断熱材の金属製保護板が躯体コンクリートと面一になるように埋め込んで、金属製保護板に下地用の桟木を接着剤等により固定することになるので、桟木用断熱材の厚み分、桟木の厚みを薄くしなくても、室内空間が狭くなることがない。
【0035】
また、躯体コンクリートに埋設された桟木用断熱材の金属製保護板に下地用の桟木を接着剤等により固定した後、吹付け断熱工事を行うことになるので、桟木の直下に吹付け断熱材を施工できないが、桟木と躯体コンクリートとの間には、吹付け断熱材よりも断熱性能が遥かに高い真空断熱材が配置されているので、桟木の両側に形成された吹付け断熱材層以上の断熱効果が発揮されることになる。しかも、釘孔付き突片の上には、吹付け断熱工事により必要とする厚さの吹付け断熱材層を形成できるので、釘孔付き突片がヒートブリッジの要因にならない。
【0036】
殊に、桟木と真空断熱材の間には、ビスや釘が貫通し難い金属製保護板が配置されているので、建物内装用部材を桟木にビス又は釘で固定する際、うっかりと、ビス又は釘を真空断熱材2まで打ち込んでしまう虞がなく、真空断熱材2本来の断熱効果を確実に発揮させることができ、桟木が占める微小面積による局所的な断熱性能の低下を確実に回避し得るのである。
【0037】
請求項9に記載の発明によれば、上記の効果に加え、袋ナットにビス止めしたL型金具の立上り片間に桟木を配置して、ボルト・ナットで固定するので、現場で接着剤を使用する必要がないという効果がある。また、袋ナットにビス止めしたL型金具に桟木をボルト・ナットで固定しているにもかかわらず、袋ナットとL型金具の間に断熱シートを介装させたので、L型金具がヒートブリッジの要因にならない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る下地用断熱桟木を例示する断面図である。
【図2】図1の下地用断熱桟木を用いた桟木の断熱構造の断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態を示す下地用断熱桟木の断面図である。
【図4】図3の下地用断熱桟木を用いた桟木の断熱構造の断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態を示す下地用断熱桟木の断面図である。
【図6】図5の下地用断熱桟木を用いた桟木の断熱構造の断面図である。
【図7】本発明に係る桟木用断熱材の分解斜視図である。
【図8】図7の桟木用断熱材を用いた桟木の断熱構造の施工手順を説明する断面図である。
【図9】図8に続く施工手順を説明する断面図である。
【図10】図9に続く施工手順を説明する断面図である。
【図11】図10に続く施工手順を説明する断面図である。
【図12】図7の桟木用断熱材を用いた桟木の断熱構造の断面図である。
【図13】本発明の他の実施形態を示す桟木用断熱材の斜視図である。
【図14】図13の桟木用断熱材を用いた桟木の断熱構造の施工手順を説明する断面図である。
【図15】図14に続く施工手順を説明する断面図である。
【図16】図13の桟木用断熱材を用いた桟木の断熱構造の断面図である。
【図17】本発明の他の実施形態を示す桟木用断熱材の斜視図である。
【図18】図17の桟木用断熱材を用いた桟木の断熱構造の施工手順を説明する断面図である。
【図19】図18に続く施工手順を説明する断面図である。
【図20】図19に続く施工手順を説明する断面図である。
【図21】図20に続く施工手順を説明する断面図である。
【図22】図17の桟木用断熱材を用いた桟木の断熱構造の断面図である。
【図23】本発明の他の実施形態を示す桟木用断熱材の斜視図である。
【図24】本発明の他の実施形態を示す桟木用断熱材の斜視図である。
【図25】従来例を説明する断面図である。
【図26】他の従来例を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は本発明に係る下地用断熱桟木Aを示し、図2はその下地用断熱桟木Aを用いた桟木1の断熱構造を示す。前記下地用断熱桟木Aは、下地用の桟木1と、その裏面に配置した真空断熱材2との間に、前記桟木1に打ち込まれたビス又は釘3による真空断熱材2の損傷を防止するための金属製保護板4が設けられて成る複合材である。
【0040】
下地用の桟木1としては、多くの場合、適当な太さ、例えば、厚さ20〜30mm程度(好ましくは20mm程度)、幅30〜60mm程度(好ましくは50mm程度)の無垢材(角材)が用いられるが、材質としては、ビスや釘3が効くものであれば、無垢材に限らず、例えば、集成材、LVL単板積層材、合板などの木質材料であってもよい。金属製保護板4としては、ビスや釘が貫通し難い硬度を有する金属であれば足り、鉄板、鋼板などでもよいが、発錆の虞がない点で、ステンレス鋼板であることが望ましい。金属製保護板4の厚さは、その材質にもよるが、2mm程度が望ましい。余り薄いと、ビスや釘3が貫通し易く、余りに厚いと重量が増し、不経済であるからである。
【0041】
真空断熱材2は、樹脂フィルムやアルミ箔などのガスバリア性フィルムで形成した密閉容器の内部を減圧した既知構造の断熱材であり、厚さ5mm程度に設定することが、硬質ウレタンフォーム50mmに匹敵する断熱性能を確保できる点で、好ましい。
【0042】
上記の下地用断熱桟木Aは、図1に示すように、躯体コンクリート5の表面に桟木1を外向きにした状態に接着した後、図2に示すように、吹付け断熱工事により躯体コンクリート5の表面に、吹付け断熱材(硬質ウレタンフォーム)6による厚さ25mm程度の吹付け断熱材層を、桟木1の表面が吹付け断熱材層から露出した状態に形成し、桟木1に建物内装用部材をビス又は釘3で固定して、桟木1の断熱構造を構成すべく使用される。建物内装用部材としては、例えば、石膏ボード用の木軸(胴縁や間柱)、サッシュ周りに配置される膳板やカーテンボックスなど各種の部材が使用されるが、図示の例では、石膏ボード7を取り付ける木軸8である。
【0043】
上記の構成によれば、下地用断熱桟木Aを躯体コンクリート5の表面に接着した後、吹付け断熱工事を行うので、桟木1の直下に吹付け断熱材(硬質ウレタンフォーム)6を施工できないが、桟木1と躯体コンクリート5との間には、硬質ウレタンフォームよりも断熱性能が遥かに高い真空断熱材2が配置されているので、桟木1の両側に形成された吹付け断熱材層以上の断熱効果が発揮されることになる。
【0044】
しかも、桟木1と真空断熱材2の間には、ビスや釘3が貫通し難い金属製保護板4が配置されているので、建物内装用部材を桟木1にビス又は釘3で固定する際、うっかりと、ビス又は釘3を真空断熱材2まで打ち込んでしまう虞がなく、真空断熱材2本来の断熱効果を確実に発揮させることができ、桟木1が占める微小面積による局所的な断熱性能の低下を確実に回避し得るのである。
【0045】
図3は本発明に係る下地用断熱桟木Aの他の実施形態を示し、図4はその下地用断熱桟木Aを用いた桟木1の断熱構造を示す。この実施形態における下地用断熱桟木Aは、下地
用の桟木1と、その裏面に配置した真空断熱材2との間に設けられた金属製保護板4の両側辺に、裏面側へ略直角に折れ曲った第一板部9aとその先端から略直角に折り返された釘孔付きの第二板部9bとから成る支持板9を折曲連設した点に特徴がある。
【0046】
上記の構成によれば、何らかの原因によって、下地用断熱桟木Aに桟木1を躯体コンクリート5の表面に押し付ける方向の外力が作用しても、支持板9の第一板部9aから躯体コンクリート5へと力が伝達されることになり、桟木1に加えられた荷重を支持板9で支えることができるので、真空断熱材2が押し潰されず、真空断熱材2の厚みを一定に保ち得る。
【0047】
また、躯体コンクリート5の表面が壁面や梁側面のような垂直面である場合、図3、図4に仮想線で示すように、支持板9の第二板部9bをコンクリート釘10で躯体コンクリート5の表面に固定しておくことにより、下地用断熱桟木Aに引張力が作用しても、下地用断熱桟木Aが躯体コンクリート5から剥がれる虞がない。
【0048】
従って、桟木1にビスや釘3で固定される建物内装用部材が、カーテンを開け閉めする都度、引張力が作用するカーテンボックスである場合に好適である。支持板9は金属製保護板4の両側辺の全長にわたり連続して設けてもよく、金属製保護板4の両側辺の長手方向に間隔をあけて局部的に設けてもよい。その他の構成、作用は、図1、図2の実施形態と同じであるため、同一構成部材に同一符号を付し、説明を省略する。
【0049】
図5は本発明に係る下地用断熱桟木Aの他の実施形態を示し、図6はその下地用断熱桟木Aを用いた桟木1の断熱構造を示す。この実施形態における下地用断熱桟木Aは、金属製保護板4が、真空断熱材2を収容した断面長方形の金属製の角筒状ケース40の表面側板部40aによって形成され、角筒状ケース40の裏面側板部40bの両側辺に、当該裏面側板部40bと面一状に突出した釘孔付き突片11が連設されていることを特徴としている。
【0050】
上記の構成によれば、真空断熱材2が断面長方形の金属製の角筒状ケース40に収容されているので、何らかの原因によって、下地用断熱桟木Aに桟木1を躯体コンクリート5の表面に押し付ける方向の外力が作用しても、角筒状ケース40から躯体コンクリート5へと力が伝達されることになり、桟木1に加えられた荷重を角筒状ケース40で支えることができるので、真空断熱材2が押し潰されず、真空断熱材2の厚みを一定に保ち得る。
【0051】
また、金属製の角筒状ケース40の表面側板部40aが桟木1に打ち込まれたビス又は釘3による真空断熱材2の損傷を防止するための金属製保護板4として機能するので、建物内装用部材を桟木1にビス又は釘3で固定する際、うっかりと、ビス又は釘3を真空断熱材2まで打ち込んでしまう虞がなく、真空断熱材2本来の断熱効果を確実に発揮させることができ、桟木1が占める微小面積による局所的な断熱性能の低下を確実に回避し得るのである。
【0052】
しかも、角筒状ケース40の裏面側板部40bの両側辺に、当該裏面側板部40bと面一状に突出した釘孔付き突片11が連設されているので、躯体コンクリート5の表面が壁面や梁側面のような垂直面である場合、図5、図6に仮想線で示すように、釘孔付き突片11をコンクリート釘10で躯体コンクリート5の表面に固定しておくことにより、下地用断熱桟木Aに引張力が作用しても、下地用断熱桟木Aが躯体コンクリート5から剥がれる虞がない。
【0053】
従って、桟木1にビスや釘3で固定される建物内装用部材が、カーテンを開け閉めする都度、引張力が作用するカーテンボックスである場合に好適である。釘孔付き突片11は
、角筒状ケース40の裏面側板部40bの両側辺に長手方向適当間隔おきに複数個設けられているが、裏面側板部40bの両側辺の全長にわたり連続して設けてもよい。その他の構成、作用は、図1、図2の実施形態と同じであるため、同一構成部材に同一符号を付し、説明を省略する。
【0054】
図7は本発明に係る桟木用断熱材Bを示し、図8〜図12はその桟木用断熱材Bを用いて構成した桟木1の断熱構造を示す。前記桟木用断熱材Bは、真空断熱材2と、その表面を覆う金属製保護板4とを備え、金属製保護板4には、その両側方へ面一状に突出した複数の釘孔付き突片11と、裏面側へ突出した複数のアンカー用突出部12とが連設され、図10に示すように、金属製保護板4の上に下地用の桟木1を接着剤により固定可能に構成され、図12に示すように、桟木1に打ち込まれたビス又は釘3による真空断熱材2の損傷を金属製保護板4で防止するように構成されている点に特徴がある。
【0055】
図示の例では、アンカー用突出部12は、金属製保護板4の両側辺から裏面側へ直角に折れ曲った板部とその先端から直角に折り返された板部とで構成されているが、アンカー用突出部12の形状、構造は適宜設計変更できる。金属製保護板4と真空断熱材2は接着剤によって互いに固定されているが、接着剤の代わりに、アンカー用突出部12で真空断熱材2の両側辺を挟持して固定したり、さらには、アンカー用突出部12の一部を真空断熱材2の裏面側に折り曲げて、その折曲部と金属製保護板4で真空断熱材2を挟持することにより、金属製保護板4と真空断熱材2を一体化してもよい。
【0056】
上記の桟木用断熱材Bを用いて構成した桟木1の断熱構造と、その施工手順を説明すると次の通りである。先ず、図8に示すように、躯体コンクリート打設用型枠13の内面に桟木用断熱材Bを釘孔付き突片11に打ち込んだ釘やビス等の止め金具14で固定する。
【0057】
この状態で、型枠13内にコンクリートを打設し、養生硬化後、脱型して、図9に示すように、桟木用断熱材Bを躯体コンクリート5に、金属製保護板4が躯体コンクリート5の表面と面一状に露出された状態に埋設する。止め金具14の先端は、図示の通り、切り取っておくことが望ましい。
【0058】
次に、図10に示すように、金属製保護板4の上に下地用の桟木1を接着剤により固定した後、図11に示すように、吹付け断熱工事により躯体コンクリート5の表面に、吹付け断熱材(硬質ウレタンフォーム)6による厚さ25mm程度の吹付け断熱材層を、桟木1の表面が吹付け断熱材層から露出した状態に形成する。
【0059】
しかる後、図12に示すように、桟木1に建物内装用部材をビス又は釘3で固定して、桟木1の断熱構造を完成するのである。建物内装用部材としては、例えば、石膏ボード用の木軸(胴縁や間柱)、サッシュ周りに配置される膳板やカーテンボックスなど各種の部材が使用される。
【0060】
上記の構成によれば、桟木用断熱材Bを躯体コンクリート5に真空断熱材2の金属製保護板4が躯体コンクリート5と面一になるように埋め込んで、金属製保護板4に下地用の桟木1を接着剤により固定することになるので、桟木用断熱材Bの厚み分、桟木1の厚みを薄くしなくても、室内空間が狭くなることがない。
【0061】
躯体コンクリート5に埋設された桟木用断熱材Bの金属製保護板4に下地用の桟木1を接着剤により固定した後、吹付け断熱工事を行うので、桟木1の直下に吹付け断熱材(硬質ウレタンフォーム)6を施工できないが、桟木1と躯体コンクリート5との間には、硬質ウレタンフォームよりも断熱性能が遥かに高い真空断熱材2が配置されているので、桟木1の両側に形成された吹付け断熱材層以上の断熱効果が発揮されることになる。また、
釘孔付き突片11の上には、吹付け断熱工事により必要とする厚さの吹付け断熱材層を形成できるので、釘孔付き突片11がヒートブリッジの要因にならない。
【0062】
しかも、桟木1と真空断熱材2の間には、ビスや釘3が貫通し難い金属製保護板4が配置されているので、建物内装用部材を桟木1にビス又は釘3で固定する際、うっかりと、ビス又は釘3を真空断熱材2まで打ち込んでしまう虞がなく、真空断熱材2本来の断熱効果を確実に発揮させることができ、桟木1が占める微小面積による局所的な断熱性能の低下を確実に回避し得るのである。
【0063】
図13は本発明に係る桟木用断熱材Bの他の実施形態を示し、図14〜図16はその桟木用断熱材Bを用いて構成した桟木1の断熱構造を示す。この実施形態における桟木用断熱材Bは、真空断熱材2の金属製保護板4が、真空断熱材2を収容した断面長方形の金属製の角筒状ケース40の表面側板部40aによって形成されている点に特徴がある。
【0064】
角筒状ケース40の両側板部には、表面側板部(金属製保護板4)40aと面一状に両側へ突出した複数の釘孔付き突片11が連設され、裏面側板部40bには、裏面側へ突出した複数のアンカー用突出部12が連設されている。アンカー用突出部12はスタッドボルトによって構成されているが、後述する実施形態のように、裏面側板部4bに溶接した屈曲形状の板片(図23参照)や、裏面側板部40bの一部を切り起こした屈曲形状の板片(図24参照)でアンカー用突出部12を構成してもよい。
【0065】
上記の桟木用断熱材Bを用いて構成した桟木1の断熱構造と、その施工手順を説明すると、先ず、図14に示すように、躯体コンクリート打設用の型枠13の内面に桟木用断熱材Bを釘孔付き突片11に打ち込んだ釘やビス等の止め金具14で固定する。
【0066】
この状態で、型枠13内にコンクリートを打設し、養生硬化後、脱型して、図15に示すように、桟木用断熱材Bを躯体コンクリート5に、角筒状ケース40の表面側板部40aによって形成された金属製保護板4が躯体コンクリート5と面一状に露出された状態に埋設する。次いで、図15に示すように、金属製保護板(表面側板部40a)4の上に下地用の桟木1を接着剤により固定する。止め金具14の先端は切り取っておくことが望ましい。
【0067】
しかる後、図16に示すように、吹付け断熱工事により躯体コンクリート5の表面に、吹付け断熱材(硬質ウレタンフォーム)6による厚さ25mm程度の吹付け断熱材層を、桟木1の表面が吹付け断熱材層から露出した状態に形成する。そして、桟木1に石膏ボード用の木軸(胴縁や間柱)、サッシュ周りに配置される膳板やカーテンボックスなど各種の建物内装用部材をビス又は釘3で固定して、桟木1の断熱構造を完成するのである。
【0068】
上記の構成によれば、断面長方形の金属製の角筒状ケース40に真空断熱材2を収容して、角筒状ケース40の表面側板部40aを真空断熱材2の金属製保護板4とした桟木用断熱材Bであるため、真空断熱材2を金属製保護板4に接着する必要がなく、桟木用断熱材Bの製造が容易である。その他の構成、作用は、図7〜図12の実施形態と同じであるため、同一構成部材に同一符号を付し、説明を省略する。
【0069】
図17は本発明に係る桟木用断熱材Bの他の実施形態を示し、図18〜図22はその桟木用断熱材Bを用いて構成した桟木1の断熱構造を示す。この実施形態における桟木用断熱材Bは、角筒状ケース40の両側板部に、角筒状ケース40の表面側板部40aと面一状に両側方へ突出した複数の袋ナット15を連設した点に特徴がある。
【0070】
角筒状ケース40の両側板部には、表面側板部(金属製保護板4)40aと面一状に両
側へ突出した複数の釘孔付き突片11が連設され、裏面側板部40bには、裏面側へ突出した複数のアンカー用突出部12が連設されている。アンカー用突出部12はスタッドボルトによって構成されているが、図23に示した実施形態のように、裏面側板部40bに溶接した屈曲形状の板片でアンカー用突出部12を構成してもよく、図24に示した実施形態のように、裏面側板部40bの一部を切り起こした屈曲形状の板片でアンカー用突出部12を構成してもよい。
【0071】
上記の桟木用断熱材Bを用いて構成した桟木1の断熱構造と、その施工手順を説明すると、先ず、図18に示すように、躯体コンクリート打設用の型枠13の内面に桟木用断熱材Bを釘孔付き突片11に打ち込んだ釘やビス等の止め金具14で固定する。
【0072】
この状態で、型枠13内にコンクリートを打設し、養生硬化後、脱型して、図19に示すように、桟木用断熱材Bを躯体コンクリート5に、角筒状ケース40の表面側板部4aによって形成された金属製保護板4及び袋ナット15が躯体コンクリート5と面一状に露出された状態に埋設する。止め金具14の先端は切り取っておくことが望ましい。
【0073】
次に、図20に示すように、桟木取付け用のL型金具16を袋ナット15に断熱シート17を介装させた状態にビス18止めし、相対向するL型金具16の立上り片間に桟木1を配置して、それらを貫通するボルト19とそれに螺合するナット20によって桟木1を角筒状ケース40の表面側板部(金属製保護板4)40aの上に載った状態に固定する。また、貫通するボルト19に代えて、ボルト19の位置に釘やビス等の接合金物を嵌合して桟木1を固定してもよい。
【0074】
しかる後、図21に示すように、吹付け断熱工事により躯体コンクリート5の表面に、吹付け断熱材(硬質ウレタンフォーム)6による厚さ25mm程度の吹付け断熱材層を、桟木1の表面が吹付け断熱材層から露出した状態に形成し、L型金具16の立上り片は吹付け断熱材層に埋没させる。
【0075】
次に、図22に示すように、桟木1に石膏ボード用の木軸(胴縁や間柱)、サッシュ周りに配置される膳板やカーテンボックスなど各種の建物内装用部材をビス又は釘3で固定して、桟木1の断熱構造を完成するのである。
【0076】
上記の構成によれば、袋ナット15にビス18止めしたL型金具16の立上り片間に桟木1を配置して、ボルト19・ナット20で固定するように構成したので、現場で接着剤を使用する必要がない。それでいて、袋ナット15とL型金具16の間に断熱シート17を介装させたので、L型金具16がヒートブリッジの要因にならない。その他の構成、作用は、図13〜図16の実施形態と同じであるため、同一構成部材に同一符号を付し、説明を省略する。
【0077】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の下地用断熱桟木及び桟木用断熱材と桟木の断熱構造は、主に、集合住宅や事務所ビルのような鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の多層建築物に用いられるが、戸建住宅にも利用できる。
【符号の説明】
【0079】
A 下地用断熱桟木
B 桟木用断熱材
1 桟木
2 真空断熱材
3 ビス又は釘
4 金属製保護板
5 躯体コンクリート
6 吹付け断熱材
7 石膏ボード
8 木軸
9 支持板
9a 第一板部
9b 第二板部
10 コンクリート釘
11 釘孔付き突片
12 アンカー用突出部
13 型枠
14 止め金具
15 袋ナット
16 L型金具
17 断熱シート
18 ビス
19 ボルト
20 ナット
40 角筒状ケース
40a 表面側板部(金属製保護板)
40b 裏面側板部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地用の桟木と、その裏面に配置した真空断熱材との間に、前記桟木に打ち込まれたビス又は釘による真空断熱材の損傷を防止するための金属製保護板が設けられて成る下地用断熱桟木。
【請求項2】
金属製保護板の両側辺に、裏面側へ略直角に折れ曲った第一板部とその先端から略直角に折り返された釘孔付きの第二板部とから成る支持板が折曲連設されていることを特徴とする請求項1に記載の下地用断熱桟木。
【請求項3】
金属製保護板が、真空断熱材を収容した断面長方形の金属製の角筒状ケースの表面側板部によって形成され、角筒状ケースの裏面側板部の両側辺に、当該裏面側板部と面一状に突出した釘孔付き突片が連設されていることを特徴とする請求項1に記載の下地用断熱桟木。
【請求項4】
真空断熱材と、その表面を覆う金属製保護板とを備え、金属製保護板には、その両側方へ面一状に突出した複数の釘孔付き突片が連設され、金属製保護板の上に下地用の桟木を固定可能に構成し、桟木に打ち込まれたビス又は釘による真空断熱材の損傷を金属製保護板で防止するように構成してあることを特徴とする桟木用断熱材。
【請求項5】
金属製保護板が、真空断熱材を収容した断面長方形の金属製の角筒状ケースの表面側板部によって形成されていることを特徴とする請求項4に記載の桟木用断熱材。
【請求項6】
角筒状ケースの表面側板部の両側辺に、当該表面側板部と面一状に突出した複数の袋ナットが連設されていることを特徴とする請求項5に記載の桟木用断熱材。
【請求項7】
請求項1〜3の何れかに記載の下地用断熱桟木が建物の躯体コンクリートの表面に桟木を外向きにした状態に固定され、躯体コンクリートの表面に吹付け断熱材が桟木の表面を吹付け断熱材層から露出させた状態に施工され、桟木に木軸、膳板、カーテンボックス等の建物内装用部材がビス又は釘で固定されていることを特徴とする桟木の断熱構造。
【請求項8】
請求項4又は5に記載の桟木用断熱材が建物の躯体コンクリートに金属製保護板を躯体コンクリートの表面に露出させた状態に埋設され、桟木が金属製保護板の上に載った状態に接着剤によって固定され、躯体コンクリートの表面に吹付け断熱材が桟木の表面を吹付け断熱材層から露出させた状態に施工され、桟木に木軸、膳板、カーテンボックス等の建物内装用部材がビス又は釘で固定されていることを特徴とする桟木の断熱構造。
【請求項9】
請求項6に記載の桟木用断熱材が建物の躯体コンクリートに金属製保護板を躯体コンクリートの表面に露出させた状態に埋設され、袋ナットと、袋ナットにビス止めした桟木取付け用のL型金具との間に断熱シートが介装され、相対向するL型金具の立上り片間に配置した桟木が、それらを貫通するボルトとそれに螺合するナットによって金属製保護板の上に載った状態に固定され、躯体コンクリートの表面に吹付け断熱材が桟木の表面を吹付け断熱材層から露出させた状態に施工され、桟木に木軸、膳板、カーテンボックス等の建物内装用部材がビス又は釘で固定されていることを特徴とする桟木の断熱構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2011−153406(P2011−153406A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13911(P2010−13911)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】