説明

下枠および建具

【課題】レールの高さ調整を容易に行うことができ、かつ、レール上に入り込んだ水を容易に排水できる下枠および建具を提供する。
【解決手段】下枠22は、下枠本体220およびレール部材31,32を備える。下枠本体220は、レール部材31が配置される凹溝部22Aを備える。レール部材31は、障子41を案内する突条部314と、突条部314の外側および内側にそれぞれ形成された調整孔315とを備える。凹溝部22Aには、各調整孔315の位置に合わせて調整ねじ33が配置され、レール部材31は、調整ねじ33の上面に載置される。調整ねじ33は、調整孔315からの操作で高さ位置調整可能とされ、調整孔315は、レール部材31上の水を排水する排水孔を兼用している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レールを有する下枠と、この下枠を有する建具に関する。
【背景技術】
【0002】
障子を案内するレールを有する下枠として、支持部材と、レールが形成された引戸受材との2つの部材に分けて構成したものが知られている(特許文献1の図3参照)。
特許文献1では、引戸受材に形成したネジ孔に、高さ調整ネジをねじ込み、引戸受材の高さ調整を行っていた。ここで、高さ調整ネジは、全長にわたって同径でかつ全長にネジ山が切削されている。そして、高さ調整ネジの上端面は、前記ネジ孔の上面よりも下方に位置するように、高さ調整ネジはネジ孔内に挿入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−173965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、レールが形成された引戸受材の上面に雨水などが入り込んだ場合、その水を排水する構成が無い。特に、ネジ孔内に高さ調整ネジが埋没しているので、ネジ孔部分に水が溜まってしまい、この水を排水することができないという不都合がある。
また、特許文献1では、引戸受材の高さを低くした場合、高さ調整ネジの頭部が引戸受材の上面から突出するという不都合がある。高さ調整ネジが突出すると、戸車に干渉して障子の移動を阻害したり、戸車を傷つけてしまうことになる。
【0005】
本発明の目的は、レールの高さ調整を容易に行うことができ、レール上に入り込んだ水を容易に排水でき、調整部材がレール上に突出しない下枠および建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の下枠は、下枠本体およびレール部材を備えて障子を案内する下枠であって、前記下枠本体は、前記レール部材が配置される凹溝部を備え、前記レール部材は、レール部材の長手方向に沿って延長されて障子を案内する突条部と、この突条部の外側および内側にそれぞれ形成された調整孔とを備え、前記下枠本体の凹溝部には、前記各調整孔の位置に合わせて調整部材が配置され、前記レール部材は、前記調整部材の上面に載置され、前記調整部材は、前記調整孔からの操作で高さ位置調整可能とされ、前記調整孔は、レール部材上の水を排水する排水孔を兼用していることを特徴とする。
【0007】
以上の本発明によれば、レール部材は、前記下枠本体の凹溝部内に配置され、前記調整部材の上面に載置される。このため、レール部材は、凹溝部にガイドされているだけであり、ねじ等で固定されていないため、障子を取り外せば、下枠本体から容易に取り外したり、取り付けることができる。このため、障子の種類などに応じて、レールを交換しなければならない場合や、レールが破損したなどで新しいレールに交換する場合に、レール部材を容易に交換できる。
また、レール部材は調整部材の上面に載置されているので、調整部材の高さ位置を調整することで適切な高さに調整できる。特に、本発明では、調整孔の位置に合わせて調整部材を配置し、調整孔からたとえばドライバーなどを用いて操作することで調整部材の高さ位置を調整できるため、各調整部材の高さ位置を容易に調整できる。その上、調整部材を突条部の内側および外側にそれぞれ設けているので、レール部材の傾きも調整できる。このため、レール部材上に障子を正しい向きで配置できる。なお、突条部の外側とは障子の外側つまり障子が室内外を区画する場合には室外側を意味し、内側とは障子の内側つまり室内側を意味する。
さらに、調整部材の高さ位置調整を調整孔からの操作で実行できるため、障子を取り外すことなくレール部材の高さ位置の調整作業を行うことができる。このため、障子の建て付けが悪くなっても、障子を外すことなく容易に調整できる。
その上、本発明では、調整孔は調整部材の高さ位置調整用だけでなく、排水孔を兼務しているので、レール部材上に入り込んだ水を調整孔から下枠本体の凹溝部に排出できる。下枠本体では、たとえばレール部材の長手方向の両端部に排水孔を形成しておくことで、建具の外部に排水できる。このため、ねじ穴に水が溜まって排水できなくなる問題を防止できる。
また、調整部材上にレール部材が載置されるため、調整部材がレール部材の上面から突出することがない。このため、調整部材が障子の移動を阻害することを防止でき、障子を常にスムーズに移動できる。
【0008】
この際、本発明の下枠では、前記下枠本体の凹溝部は、底面部と、底面部の室外側に形成された室外側壁部と、底面部の室内側に形成された室内側壁部とを備えて構成され、前記調整部材は、前記底面部に対してねじ込まれた調整ねじで構成され、前記調整孔は、前記調整ねじの頭部の直径よりも幅寸法が小さく、かつ、長さ寸法がこの幅寸法よりも大きい長孔で構成され、前記調整ねじの頭部の溝が前記調整孔に露出していることが好ましい。
【0009】
調整部材を下枠本体の底面部にねじ込まれた調整ねじで構成すれば、調整ねじの頭部に形成された十字溝などにドライバーを差し込んで回すだけで、調整ねじの高さ位置を容易に調整できる。また、調整部材を調整ねじで構成すれば、調整部材の構成をシンプルにでき、コストも安価にできる。
さらに、調整孔を長孔で構成すれば、長孔の長さ寸法を、例えば調整ねじの頭部の直径以上とするだけで、ねじ頭部と調整孔間に隙間を形成できる。このため、調整孔を排水孔として兼用させるための構成もシンプルにでき、コストも安価にできる。
【0010】
また、本発明の下枠では、前記下枠本体とレール部材とは異なる材質の部材で構成され、前記下枠本体は、前記レール部材に比べて溶融温度が高い部材で構成されていることが好ましい。
たとえば、下枠本体をスチール材で構成し、レール部材をアルミ材で構成すればよい。このように構成すれば、火災によりアルミ製のレール部材が損傷しても、レール部材よりも溶融温度が高い下枠本体が残っているので、障子は下枠本体の凹溝部で支持される。このため、火災時に障子が脱落してしまうことを防止できる。
一方、レール部材をアルミ材などで構成すれば、断面形状が複雑なレール部材を、スチール材で構成する場合に比べて容易に製造できる。
【0011】
また、本発明の下枠では、前記レール部材は、板状の水平面部と、この水平面部の室外側または室内側の一方の端縁から上方に立ち上がる立上り部とを少なくとも備え、前記水平面部の上面に前記突条部が形成されていることが好ましい。
レール部材として、板状の水平面部と、立上り部とを備えていれば、断面略L字状などに形成できる。このため、レール部材を水平面部のみで構成した場合に比べて、レール部材の剛性を高めることができる。
なお、レール部材としては、水平面部の室内外の各端縁から立上り部を設けて、断面略コ字状に形成してもよい。さらに、立上り部の下端側を前記水平面部よりも下側まで突出させてもよい。
【0012】
本発明の建具は、前述の下枠と、上枠と、左右の縦枠とで構成された建具枠と、前記建具枠の上下枠に沿って移動して開閉される一対の突合せ障子とを備えた建具であって、前記調整部材は、前記障子を閉めた際の突合せ部に少なくとも設けられていることが好ましい。
本発明によれば、調整部材が、少なくとも障子の突合せ部に設けられているため、互いに突き合わされる障子同士が障子の移動方向(見付け方向)に傾いたり、障子の室内外方向(見込み方向)に傾くことを直すことができる。このため、障子の突合せ部に隙間が生じることを防止でき、水密性能や防火性能が低下することを防止できる。
【0013】
本発明の建具では、前記一方の突合せ障子の突合せ部には凹部が形成され、他方の突合せ障子の突合せ部には凸部が形成され、前記障子を閉めた際に前記凹部内に凸部が挿入されることが好ましい。
本発明によれば、障子の突合せ部を凹凸嵌合構造としたので、火災時に障子が反っても突合せ部に隙間が生じることがなく、防火性を確保できる。
【0014】
本発明の建具では、前記障子は、外側パネルおよび内側パネルで構成され、前記各パネルは鋼板で構成され、内側パネルの厚さ寸法は外側パネルの厚さ寸法よりも大きくされ、前記内側パネルの幅方向の両端縁はコ字状に折曲され、内側パネル表面に対して直交する縦框部と、縦框部に対して直交するパネル受け部とを備え、前記外側パネルは、内側パネルのパネル受け部に固定されていることが好ましい。
本発明によれば、内側パネルの厚さ寸法を外側パネルよりも大きくしているので、障子に必要な剛性が内側パネルのみで得られるように構成できる。このため、別途、縦骨を設けてパネルに固定する必要が無く、障子の製造も容易になる。
その上、内側パネルは両端縁をコ字状に折曲するだけでよく、その製造も容易に行うことができる。さらに、内側パネルに外側パネルを固定するパネル受け部が一体に構成されているので、内側パネルおよび外側パネルの固定も容易に行うことができる。
また、外側パネルは内側パネルよりも厚さ寸法が小さいため、意匠性を高めるための溝などを容易に加工できる。このため、外観のデザイン性の高い障子とすることができる。
【0015】
本発明の建具では、前記下枠は、建具が取り付けられる建物の壁側に開口された開口部を備え、建物の壁には、前記下枠の開口部内に挿入されて下枠を支持可能な先付けブラケットが固定されていることが好ましい。
本発明によれば、建物の壁に固定された先付けブラケットに、下枠の開口部を差し込んで支持させることができるので、建具枠を壁に仮固定することができる。このため、建具枠を壁に固定ねじなどで固定する作業時に、取付作業性を向上できる。さらに、先付けブラケットが下枠内に納まっているので、下枠の強度を向上できる。特に、障子の重量の一部を先付けブラケットでも支持できるため、下枠が障子の荷重で垂れることもなく、障子の支持強度も向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の建具である防火戸を開いた状態を示す正面図である。
【図2】前記防火戸を閉めた状態を示す正面図である。
【図3】建物の窓および防火戸を示す縦断面図である。
【図4】建物の窓および防火戸を示す横断面図である。
【図5】前記防火戸の建具枠および先付けブラケットを示す斜視図である。
【図6】前記防火戸の下枠を示す縦断面図である。
【図7】前記下枠の要部を示す縦断面図である。
【図8】前記下枠の外レール部材の要部を示す斜視図である。
【図9】前記下枠の外レール部材の要部を示す平面図である。
【図10】前記防火戸の内障子を示す横断面図である。
【図11】前記防火戸の外障子を示す横断面図である。
【図12】前記外障子の召合せ部を示す横断面図である。
【図13】変形例の防火戸を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜5に示すように、本実施形態に係る建具は、建物の外壁1の開口部に設置される窓2の屋外側に設けられる防火戸10である。
窓2は、建物の開口部に固定される窓枠3と、窓枠3に支持される一対の障子4と、一対の障子4よりも屋外側にて窓枠3に支持される網戸5とを備えた一般的な引き違い窓である。なお、図1では網戸5を省略している。
【0018】
防火戸10は、前記窓2の室外側に配置される。この防火戸10は、所定の耐火性能を確保するとともに、シャッターや雨戸と同様に強風時の飛来物によって窓2のガラスが破損することを防止できる。
この防火戸10は、建物の外壁1に固定される建具枠20と、この建具枠20に支持される四枚建ての障子とを備える。障子としては、防火戸10の見付け方向中央部で互いに突き合わされる2枚の外障子(突合せ障子)41と、外障子41の内側に配置される2枚の内障子42とで構成される。
【0019】
建具枠20は、図5にも示すように、スチール製の上枠21、下枠22および左右の縦枠23を枠組みして構成されている。縦枠23は、上枠21、下枠22の両端部から所定寸法内側の位置で上枠21、下枠22間に配置されている。すなわち、上枠21および下枠22の両端側は、縦枠23よりも所定寸法突出している。この縦枠23から上枠21、下枠22の両端部分までの見付け寸法は、後述するように、防火戸10を開いた際に各障子41,42が納まる寸法とされている。
また、上枠21、下枠22と、縦枠23は、図3,4に示すように、L形ブラケット24にそれぞれボルト止めされて連結されている。すなわち、L形ブラケット24の垂直面部に縦枠23がねじ止めされている。このねじの先端には袋ナットが取り付けられている。また、L形ブラケット24の水平面部は縦枠23の上下両端に形成された切欠に配置され、この水平面部に裏板を用いて上枠21、下枠22がねじ止めされている。
【0020】
[下枠の構成]
下枠22は、図6にも示すように、下枠本体220と、レール部材31,32とを備えて構成されている。
下枠本体220は、主に2枚のスチール板221、222によって構成されている。スチール板221、222は、厚さ寸法がt0.8〜t1.5の鋼板であり、防火設備(防火戸)として求められる構造規定を満たすものである。
スチール板221は、外壁1に固定される固定部221Aと、この固定部221Aから水平方向に折曲されて下枠22の下面を構成する平面部221Bと、この平面部221Bの室外側端縁から上側に折曲され、さらに上端側で折り返された外面部221Cとを備えている。
スチール板222は、外壁1に固定される固定部222Aと、この固定部222Aから水平方向に折曲されて下枠22の上面を構成する平面部222Bと、この平面部222Bの室外側端縁から垂直方向下側に折曲された垂直壁部222Cと、垂直壁部222Cの下端から水平方向室外側に折曲された底面部222Dと、底面部222Dの室外側端縁から垂直方向下側に折曲された外面部222Eと、外面部222Eの下端から室内側に折曲された固定部222Fとを備えている。
【0021】
そして、スチール板221,222は、外面部221Cに外面部222Eを当接させた状態で、平面部221Bの上に固定部222Fを載置し、平面部221Bおよび固定部222Fを貫通して裏板223にねじ込まれた固定ねじ224で固定されている。
また、下枠22の長手方向端面には、図5に示すように、端部キャップ25が取り付けられている。この端部キャップ25には、図示しないが平面部222Bに固定される固定片と、平面部221Bに固定される固定片を備えている。従って、各スチール板221,222は、端部キャップ25を介しても連結されている。
【0022】
下枠22は、外壁1側つまり室内側に開口された開口部226を備えている。この開口部226は、2枚のスチール板221,222間の空間で構成されており、固定部221A,222A間に開口されている。
一方、窓2の下側の外壁1には、図5に示すように、平面コ字状の先付けブラケット26が固定されている。先付けブラケット26は、スチール板を折り曲げて構成され、外壁1に固定される固定部261と、固定部261に連続する支持部262とを備えている。
下枠22は、先付けブラケット26を開口部226に挿入した状態で外壁1に固定される。この際、先付けブラケット26は、支持部262が垂直面となる向きに固定されており、下枠22の支持強度を高めている。
下枠22は、図6にも示すように、固定部221A,222Aに所定間隔で形成された長孔227から固定ねじ27をねじ込むことで外壁1に固定される。なお、固定ねじ27の頭部はカバー材271で被覆されて外部に露出しない。
【0023】
下枠22の底面部222Dには、図7にも示すように、断面L字状のアングル材28が固定ねじで取り付けられている。このアングル材28もスチール材で構成されている。
これにより、下枠22の上面には、2つの凹溝部22A,22Bが形成されている。外側の凹溝部22Aは、室外側壁部としての外面部221C、底面部222D、室内側壁部としてのアングル材28で構成される。また、内側の凹溝部22Bは、室外側壁部としてのアングル材28、底面部222D、室内側壁部としての垂直壁部222Cで構成される。なお、アングル材28の両端は、端部キャップ25まで延長されておらず、端部キャップ25との間に排水用の隙間が形成されている。
【0024】
これらの凹溝部22A,22Bには、障子41,42を案内するレール部材31,32が配置されている。
レール部材31は外障子41を案内する外レール部材であり、レール部材32は内障子42を案内する内レール部材である。
外レール部材31は、凹溝部22Aに配置される。外レール部材31は、断面略コ字状のアルミ形材であり、底面部222Dに対向する水平面部311と、水平面部311の室外側端縁から連続する第1の立上り部312と、水平面部311の室内側端縁に連続する第2の立上り部313とを備える。
水平面部311の上面には、突条部314が形成されている。突条部314は、外障子41の戸車等を案内するレールである。
【0025】
外レール部材31の水平面部311の所定箇所には、図7,8に示すように、突条部314の外側および内側(外障子41の外側および内側)に、調整孔315がそれぞれ形成されている。本実施形態では、少なくとも、外障子41を閉めた際の突合せ位置から左右方向(外レール部材31の長手方向)に、それぞれ60mm離れた位置に形成されている。すなわち、外障子41の突合せ部に合わせて、少なくとも4つの調整孔315が形成されている。
調整孔315は、図9にも示すように、外レール部材31の長手方向に延長された長孔であり、水平面部311を貫通して形成されている。
【0026】
調整孔315の位置に合わせて、調整部材である調整ねじ33が設けられている。調整ねじ33は、頭部の表面が球面状に湾曲されて十字溝が形成された一般的なねじである。
この調整ねじ33の頭部の直径は、前記調整孔315の長手方向の寸法以下であり、かつ、長手方向に直交する幅寸法よりも大きく設定されている。従って、調整ねじ33の頭部は、十字穴が形成された頂部側が前記調整孔315に係合するとともに、調整孔315の長手方向の両端部側では、調整ねじ33との間に隙間が形成されている。このため、調整孔315に水が入り込んだ場合、その水は前記隙間を通して凹溝部22Aの底面部222D上に流れる。凹溝部22Aの長手方向(見付け方向)の両端部には、凹溝部22A内の水を下枠22の外部に排水する図示略の排水孔があり、前記調整孔315から凹溝部22Aに流れ込んだ水は排水孔から下枠22の外部に排水される。
なお、水平面部311には、前記調整孔315に連通するV溝が形成され、水平面部311上に入った水をスムーズに調整孔315に流すことができる。
【0027】
前記調整ねじ33は、底面部222Dを貫通し、底面部222Dの裏面に取り付けられた裏板34にねじ込まれている。この裏板34は、固定用のねじ341で底面部222Dに固定されている。
調整ねじ33の十字溝は、前記調整孔315に露出している。このため、調整ねじ33は、図8に示すように、ドライバー35で回すことで、高さ位置を調整できる。この調整ねじ33の高さ位置を調整すれば、調整ねじ33に載置されている外レール部材31の高さ位置も調整できる。すなわち、室内外の各調整ねじ33の高さを調整することで、外レール部材31の室内外方向の傾きを調整できる。また、外障子41の突合せ部を挟んで設けられた各調整ねじ33の高さを調整することで、外レール部材31の長手方向の傾きを調整できる。これにより、後述するように、外障子41を正しく立てることができ、外障子41の突合せ部分に隙間が生じることを防止できる。
【0028】
なお、外レール部材31の各立上り部312,313は、水平面部311から下方にも延長されており、外レール部材31を底面部222Dに載置した際に、水平面部311および底面部222D間に所定寸法の隙間が形成される。この隙間に、前記各調整ねじ33、固定用のねじ341の頭部が配置されている。このため、調整ねじ33を最も低い位置に設定した場合でも、前記水平面部311および底面部222D間に隙間が形成されることになる。
【0029】
内レール部材32は、凹溝部22Bに配置される。内レール部材32は、断面略コ字状のアルミ形材であり、底面部222Dに対向する水平面部321と、水平面部321の室外側端縁から連続する第1の立上り部322と、水平面部321の室内側端縁に連続する第2の立上り部323とを備える。
水平面部321の上面には、突条部324が形成されている。突条部324は、内障子42の戸車等を案内するレールである。
立上り部322はアングル材28に沿って配置される。立上り部322の上端には、室外側に延長されて前記外レール部材31に当接するカバー部325が形成されている。
【0030】
[上枠の構成]
上枠21は、図3に示すように、2枚のスチール板211、212によって構成されている。スチール板211、212は、厚さ寸法がt0.8〜t1.5の鋼板であり、防火設備として求められる構造規定を満たすものである。
スチール板211は、上枠21の上面を構成するとともに、前記スチール板212との間に外障子41の上端部を案内する凹溝部21Aを構成している。
スチール板212は、上枠21の下面を構成するとともに、凹溝状に折曲されて内障子42の上端部を案内する凹溝部21Bを構成している。
これらのスチール板211,212は、凹溝部21B部分で上下に重なっており、この部分で固定ねじを用いて互いに固定されている。
【0031】
上枠21の長手方向の端面には、図5に示すように、下枠22と同様の端部キャップ25が取り付けられ、スチール板211,212はこの端部キャップ25によっても連結されている。
また、上枠21は、図3に示すように、スチール板211に所定間隔で形成された長孔217から固定ねじ27をねじ込むことで外壁1に固定される。固定ねじ27の頭部はカバー材271で被覆されている。
【0032】
[縦枠の構成]
縦枠23は、図4、5にも示すように、断面略コ字状のスチール材で構成されている。縦枠23は、厚さ寸法がt0.8〜t1.5の鋼板であり、防火設備として求められる構造規定を満たすものである。
この縦枠23は、外壁1に固定される固定部23Aと、固定部23Aから直交方向に折曲されて見込み方向に延びる縦枠本体部23Bと、縦枠本体部23Bの室外側端部から折曲された係合部23Cとを備える。
固定部23Aの見付け寸法は、係合部23Cよりも長くされており、固定部23Aから固定ねじ27をねじ込むことで、縦枠23は外壁1に固定されている。
【0033】
[障子の構成]
次に、障子の構成について説明する。障子は、2枚の外障子41および2枚の内障子42からなる四枚建ての障子である。
各障子41,42は、図10、11に示すように、スチール製(鋼板製)の外側パネル43および内側パネル44で構成されている。内側パネル44の厚さ寸法は、防火設備としての構造規定を満たす厚さ寸法に設定されている。一方、外側パネル43の厚さ寸法は、構造規定を満たす必要がないため、加工性や意匠性を重視した厚さ寸法とされている。このため、内側パネル44の厚さ寸法は、外側パネル43の厚さ寸法よりも大きくされている。たとえば、内側パネル44の厚さ寸法は防火設備として構造規定にあるt0.8〜t1.5の範囲で設定され、たとえば本実施形態では厚さ寸法が1.0mmである。一方、外側パネル43の厚さ寸法は0.4mmである。
内側パネル44の幅方向の両端縁はコ字状に折曲され、内側パネル44の平面部441に対して直交する縦框部442と、縦框部442に対して直交するパネル受け部443とを備える。内側パネル44は、厚さ寸法が大きいため、この内側パネル44を折曲して構成した縦框部442を縦骨とすることができ、障子41,42として必要な剛性を確保している。このため、縦骨を内側パネル44に一体化でき、別途、縦骨を設ける必要がない。
また、図3に示すように、内側パネル44の上部および下部には、鋼板製の上骨45、下骨46が内側パネル44に固定されている。さらに、内側パネル44の幅寸法が大きくなった場合など、必要に応じて、内側パネル44の幅方向の中央部などに中骨47が配置される。これらの上骨45、下骨46、中骨47も、厚さ寸法は内側パネル44と同様の寸法のスチール材であり、骨材として必要な剛性を確保している。
【0034】
下骨46には、図3,6に示すように、レール部材31,32の突条部314,324上を移動する戸車48が取り付けられている。戸車48は、ステンレス製の一般的な戸車であるため、説明を省略し、図面においても概略で示している。なお、戸車48の代わりに、摺動金具の表面にフッ素樹脂シートを接着して突条部314,324上を摺動可能に構成したものを利用してもよい。
【0035】
外側パネル43は、内側パネル44よりも薄い鋼板で構成され、内側パネル44のパネル受け部443にリベットで固定されている。外側パネル43は、障子41,42の意匠性を高めるために溝付きの木彫鋼板とされている。
なお、本実施形態では上記構成としたが、逆に、外側パネル43を防火設備としての構造規定を満たす厚さ寸法の鋼板として両端縁をコ字状に折曲し、内側パネル44を加工性や意匠性を重視して厚さ寸法が小さい鋼板で構成してもよい。
【0036】
内障子42は、図4,10に示すように、外障子41、内障子42を閉めた際に、建具枠20の縦枠23に係合する補強材51と、外障子41に係合する補強材52とを備えている。これらの補強材51,52は、断面L字状に折曲された厚さ寸法がt1.0の鋼板で構成されている。
これらの補強材51,52の表面は、カバー材511,521で覆われている。この補強材51,52およびカバー材511,521は、内側パネル44にリベットで固定されている。
カバー材511,521は、外側パネル43と同じ鋼板で形成され、外側パネル43を固定するリベットなどを被覆している。
【0037】
外障子41は、図4,11に示すように、内障子42の補強材52に係合する補強材55およびカバー材551を備えている。この補強材55、カバー材551は、内障子42の補強材51、カバー材511と同じ部材である。
一方、外障子41の突合せ部は、図12に示すように、一方の外障子41に凸部を形成する補強材56を設け、他方の外障子41に凹部を形成する補強材57を設け、これらの凸部および凹部が嵌合するように構成している。
【0038】
すなわち、一方の外障子41の突合せ部側の縦框部442には、外側パネル43の固定部をカバーするカバー材541と、内側パネル44の突合せ部側の端部をカバーするカバー材542とが固定されている。
さらに、内側パネル44の縦框部442には、断面コ字状に折曲されたスチール製の補強材56が固定ねじ562で固定され、補強材56はカバー材561で被覆されている。
【0039】
他方の外障子41の突合せ部側の縦框部442には、断面コ字状に折曲されたスチール製の補強材57およびこの補強材57の表面を被覆するカバー材571が、開口側が一方の外障子41側に向く方向に設けられてリベットで固定されている。
従って、外障子41を閉めて突合せた際に、凹部となる補強材57の開口内に、凸部となる補強材56が挿入して配置される。このため、外障子41の突合せ部は、外障子41の外観側から内観側につながる空間が、ジグザク状の迷路形状となる。このため、火災等で外障子41に熱が加わって反っても、補強材56が補強材57から外れることがなく、各外障子41間に貫通口が発生することがない。このため、防火性能を確保できる。
なお、外障子41と内障子42の召合せ部も前記補強材52,55が煙返しとなり、内障子42と縦枠23の召合せ部も前記補強材51や係合部23Cが煙返しとなり、障子41,42の外観側から内観側につながる空間がジグザク状の迷路形状となる。このため、これらの召合せ部にも貫通口が発生せず、防火性能を確保できる。
【0040】
なお、2枚の外障子41間の突合せ部と、外障子41および内障子42の召合せ部と、内障子42の縦枠23に係合する係合部には、それぞれ熱膨張耐火材60が貼られている。この熱膨張耐火材60は、熱が加わると膨張する耐火材である。火災時には、熱膨張耐火材60が膨張し、各外障子41、内障子42間の隙間などを塞ぐことで、防火戸10は必要な防火性能を確保できる。
【0041】
外障子41の突合せ側の縦框部442の高さ方向の略中央部には、図12に示すように、錠61および錠受62がそれぞれ取り付けられている。一方の外障子41に設けられた錠61は、錠を操作することで鎌状のデッドボルト611が出没する。他方の外障子41に設けられた錠受62は、前記デッドボルト611が挿入される受穴621が形成されている。
この錠61を閉めることで、各外障子41は互いに離れる方向に移動できないように拘束される。また、デッドボルト611が受穴621に挿入されているため、各外障子41は互いに防火戸10の外観側や内観側に移動できないように拘束されている。
【0042】
外障子41の内側パネル44には、図4,11に示すように、ピース状のアングル材65が取り付けられている。このアングル材65は、外障子41を所定位置まで開いた際に内障子42に取り付けられた当接材66に当接し、内障子42を外障子41とともに移動するために用いられる。この当接材66は、内側パネル44よりも内観側に突出しており、縦枠23に当接可能とされている。
【0043】
[防火戸の開閉操作]
外障子41を開いた場合には、最初は外障子41のみが移動し、アングル材65が当接材66に当接すると、外障子41の移動に連動して内障子42も移動する。そして、当接材66が縦枠23に当接すると、外障子41および内障子42は停止する。この停止位置が障子41,42の全開位置であり、この際、外障子41および内障子42は内外方向に重なって配置される。また、この全開位置は、窓2のガラス部分が完全に露出する位置とされ、室内からの眺めを遮ることがないようにされている。
一方、外障子41を全開位置から閉めると、最初は外障子41のみが移動し、外障子41の召合せ部の補強材57が、内障子42の召合せ部の補強材56に係合すると、外障子41の移動に連動して内障子42も移動する。そして、内障子42の戸先側の補強材が縦枠23に当接すると、外障子41および内障子42は停止する。この停止位置が障子41,42の全閉位置である。
【0044】
このような本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
下枠22を、下枠本体220およびレール部材31,32で構成し、外レール部材31は、下枠本体220の凹溝部22A内に配置され、調整ねじ33の上面に載置される。このため、外レール部材31は、凹溝部22Aにガイドされているだけであり、ねじ等で下枠本体220に固定されていない。このため、外障子41を取り外せば、下枠本体220に対して容易に着脱できる。
さらに、内レール部材32も凹溝部22B内に載置されるだけであるため、内レール部材32も容易に着脱できる。
従って、障子の種類などに応じてレール部材31,32を交換しなければならない場合や、レール部材31,32が破損した場合に、レール部材31,32を容易に交換できる。さらに、レール部材31,32を取り外して凹溝部22A、22Bを容易に清掃することができる。
【0045】
外レール部材31は調整ねじ33の上面に載置されているので、調整ねじ33の高さ位置を調整することで適切な高さに調整できる。この際、調整ねじ33を調整孔315の位置に合わせて配置しているので、調整孔315からドライバー35を用いて操作することで調整ねじ33の高さ位置を調整できる。このため、外障子41を取り外すことなく外レール部材31の高さ位置の調整作業を行うことができる。従って、障子の建て付けが悪くなっても、障子を外すことなく容易に調整でき、メンテナンス性を向上できる。
また、調整ねじ33を突条部314の内側および外側にそれぞれ設けているので、外レール部材31の傾きも調整できる。このため、外レール部材31上に外障子41を正しく立てることができる。
さらに、調整ねじ33が、外障子41の突合せ部に設けられているため、互いに突き合わされる外障子41同士が見付け方向に傾いたり、見込み方向に傾くことを直すことができる。このため、外障子41の突合せ部に隙間が生じることを防止でき、水密性能や防火性能が低下することを防止できる。
【0046】
調整孔315は調整ねじ33の高さ位置調整用だけでなく、排水孔を兼ねているので、外レール部材31上に入り込んだ水を調整孔315から凹溝部22Aに排出でき、凹溝部22Aから下枠22の外部に排水できる。このため、ねじ穴に水が溜まって排水できなくなる問題を防止できる。
また、外レール部材31の立上り部312,313は、水平面部311よりも下方に突出しているので、調整ねじ33を最も低い位置に調整した場合でも、水平面部311および底面部222D間に隙間を確保でき、排水性が低下することを防止できる。
その上、調整ねじ33上にレール部材31,32が載置されるため、調整ねじ33はレール部材31,32の上面から突出しない。このため、調整ねじ33が障子41の移動を阻害することを防止でき、障子41をスムーズに移動できる。
【0047】
調整部材を調整ねじ33で構成し、調整孔315を長孔で構成しているので、ねじ頭部と調整孔315間に排水用の隙間を確実に形成できる。本実施形態では、調整ねじ33の頭部が球面状とされているので、調整孔315の長手方向の寸法を幅寸法よりも大きくすれば、調整孔315の長手方向の両端部側に調整ねじ33との隙間を形成できる。特に、調整孔315の長さ寸法を調整ねじ33の頭部の直径以上とすれば、ねじ頭部と調整孔315間に排水用の隙間を確実に形成できる。このため、調整孔315を排水孔に兼用させるための構成もシンプルにでき、コストも安価にできる。
また、調整ねじ33をドライバー35で回すだけで高さ調整が行えるので、調整部材の構成も簡易にでき、コストをより低減できる。その上、調整ねじ33はドライバー35による回転数によってその高さを微調整できるため、外レール部材31の高さ位置も微妙に調整でき、調整作業性も向上できる。
【0048】
下枠本体220をスチール材で構成しているので、火災によりアルミ製のレール部材31,32が損傷しても、レール部材31,32よりも溶融温度が高い下枠本体220で障子41,42を支持できる。このため、火災時に障子41,42が脱落してしまうことを防止できる。
【0049】
また、レール部材31,32をアルミ材で構成しているので、突条部314,324などを有する断面形状が複雑なレール部材31,32を、スチール材で構成する場合に比べて容易に製造できる。
さらに、レール部材31,32を断面コ字状に形成しているので、長尺なレール部材31,32の剛性を確保できて、レールの歪みや撓みを無くすことができる。さらに、レール部材31,32を凹溝部22A、22Bの室内側壁部や室外側壁部に当接させることができるので、レール部材31,32をねじ等で固定していなくても、凹溝部22A、22B内でレール部材31,32が移動したり、がたつくことがなく、障子41,42を安定して移動することができる。
【0050】
建具枠20の上枠21、下枠本体220、縦枠23と、障子41,42の内側パネル44、補強材51、52、55、56、57を防火設備として求められる構造規定を満たす厚さ寸法の鋼板で構成し、さらにこれらの部材の係合部に熱膨張耐火材60を設けたので、防火ラインを確実に構成でき、防火戸10として十分な防火性能を確保できる。特に、外障子41の突合せ部を、補強材55、56によって凹凸嵌合構造としたので、火災時に外障子41が反っても突合せ部に隙間が生じることがなく、防火性を確保できる。
【0051】
外壁1に先付けブラケット26を取り付けているので、下枠22の開口部226を差し込んで支持させることができる。このため、建具枠20を外壁1に仮固定することができ、建具枠20の取付作業性を向上できる。
また、先付けブラケット26は下枠22内に納まるため、外部に露出せず、意匠性も向上できる。
さらに、先付けブラケット26が下枠22内に納まっているので、下枠22の強度を向上できる。特に、障子41,42の重量の一部を先付けブラケット26でも支持できるため、下枠22が障子41,42の荷重で垂れることもなく、障子41,42の支持強度も向上できる。
【0052】
障子41,42を、外側パネル43および内側パネル44と、上骨45、下骨46で構成しているので、縦骨を不要にでき、障子41,42の組立性を向上できる。
【0053】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態においては、防火戸10として、四枚建ての障子41,42で構成していたが、図13に示すように、2枚の外障子41のみで構成した防火戸10Aとしてもよい。すなわち、窓2の開口寸法が小さい場合には、2枚の外障子41のみを有する防火戸10Aを設ければよい。この場合、上枠21、下枠22には、1つの凹溝部21A,22Aを設ければよい。このため、スチール板212、スチール板222の形状を、凹溝部21A,22Aが1つ形成されるように設計すればよい。また、窓2の開口寸法が大きい場合には、5枚以上の障子を設けて構成してもよい。
【0054】
前記実施形態では、外障子41の突合せ部のみに調整孔315、調整ねじ33からなる高さ調整機構を設けていたが、外レール部材31に所定間隔で複数の調整孔315を形成し、下枠本体220側にそれらの調整孔315に対応して複数の調整ねじ33を設けてもよい。この場合、外レール部材31の全体の高さ位置を自由に調整できる。
また、前記実施形態では、外障子41のみに高さ調整機構を設けていたが、内障子42にも設けてもよい。特に、内障子42と外障子41や縦枠23との召合せ部に高さ調整機構を設ければ、召合せ部における各障子間や縦枠との間隔を一定にでき、内障子42を正しい向きに設置できる。ただし、召合せ部は、見込み方向に障子41,42や縦枠23が重なるため、召合せ部において障子41,42が多少傾いていても、耐火性に影響するような隙間が生じるおそれがない。従って、前記実施形態のように、少なくとも外障子41の突合せ部に高さ調整機構を設ければよい。
【0055】
レール部材31,32は、断面略コ字状に形成されたものに限定されない。例えば、断面L字状に形成されたものでも良いし、水平面部311,321のみを備える板状のものでもよい。
また、下枠本体220とレール部材31,32は、スチール材とアルミ材との異なる材質の部材で構成されていたが、ともにスチール材で構成してもよいし、アルミ材で構成してもよい。例えば、耐火性を求められない建具の場合には、下枠本体220およびレール部材31,32をアルミ製としてもよい。これらの構成でも、レール部材31,32を容易に交換できる利点がある。
【0056】
レール部材31,32の高さを調整する調整部材としては、調整孔315からの操作で高さ調整できるものであれば、前記調整ねじ33に限定されない。また、調整ねじ33としても前記実施形態で用いたバインドねじに限らず、皿ねじ等でもよく、レール部材31,32を載置できてその高さを調整できるものであればよい。
また、前記実施形態では、先付けブラケット26は、下枠22を支持する位置に設けていたが、上枠21の開口部に挿入されて上枠21を支持する位置に設けてもよい。この場合も、建具枠20を先付けブラケット26で仮固定できて作業性を向上でき、かつ、防火戸10の支持強度も向上できる。
さらに、上枠21および下枠22の両方を先付けブラケット26で支持してもよい。この場合は、防火戸10の支持強度をより一層向上できる。
【0057】
障子41,42としては、前記鋼板製の外側パネル43、内側パネル44で構成されたものに限らない。例えば、スチール製の枠材に耐熱強化ガラスを嵌め込んだ障子を用いてもよい。
さらに、本発明の建具としては、防火戸10に限らない。例えば、防火性能を有さない雨戸やシャッターとして用いてもよい。さらに、建物の窓2の外側に装着されるものに限らず、建物の開口部に設けられる窓や戸として利用してもよい。すなわち、引き違い窓や引戸に本発明を適用してもよい。
【0058】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0059】
2…窓、10、10A…防火戸、20…建具枠、21…上枠、22…下枠、22A、22B…凹溝部、23…縦枠、25…端部キャップ、26…先付けブラケット、28…アングル材、31…外レール部材、32…内レール部材、33…調整ねじ、35…ドライバー、41…外障子、42…内障子、43…外側パネル、44…内側パネル、48…戸車、51、52、55、56、57…補強材、60…熱膨張耐火材、61…錠、62…錠受、211,212,221,222…スチール板、220…下枠本体、226…開口部、311,321…水平面部、314,324…突条部、315…調整孔、441…平面部、442…縦框部、443…パネル受け部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下枠本体およびレール部材を備えて障子を案内する下枠であって、
前記下枠本体は、前記レール部材が配置される凹溝部を備え、
前記レール部材は、レール部材の長手方向に沿って延長されて前記障子を案内する突条部と、この突条部の外側および内側にそれぞれ形成された調整孔とを備え、
前記下枠本体の凹溝部には、前記各調整孔の位置に合わせて調整部材が配置され、
前記レール部材は、前記調整部材の上面に載置され、
前記調整部材は、前記調整孔からの操作で高さ位置調整可能とされ、
前記調整孔は、レール部材上の水を排水する排水孔を兼用している
ことを特徴とする下枠。
【請求項2】
前記下枠本体の凹溝部は、底面部と、底面部の室外側に形成された室外側壁部と、底面部の室内側に形成された室内側壁部とを備えて構成され、
前記調整部材は、前記底面部に対してねじ込まれた調整ねじで構成され、
前記調整孔は、前記調整ねじの頭部の直径よりも幅寸法が小さく、かつ、長さ寸法がこの幅寸法よりも大きい長孔で構成され、前記調整ねじの頭部の溝が前記調整孔に露出している
ことを特徴とする請求項1に記載の下枠。
【請求項3】
前記下枠本体とレール部材とは異なる材質の部材で構成され、
前記下枠本体は、前記レール部材に比べて溶融温度が高い部材で構成されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の下枠。
【請求項4】
前記レール部材は、板状の水平面部と、この水平面部の室外側または室内側の一方の端縁から上方に立ち上がる立上り部とを少なくとも備え、前記水平面部の上面に前記突条部が形成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の下枠。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の下枠と、上枠と、左右の縦枠とで構成された建具枠と、
前記建具枠の上下枠に沿って移動して開閉される一対の突合せ障子とを備えた建具であって、
前記調整部材は、前記障子を閉めた際の突合せ部に少なくとも設けられている
ことを特徴とする建具。
【請求項6】
前記一方の突合せ障子の突合せ部には凹部が形成され、他方の突合せ障子の突合せ部には凸部が形成され、前記障子を閉めた際に前記凹部内に凸部が挿入される
ことを特徴とする請求項5に記載の建具。
【請求項7】
前記障子は、外側パネルおよび内側パネルで構成され、
前記各パネルは鋼板で構成され、内側パネルの厚さ寸法は外側パネルの厚さ寸法よりも大きくされ、
前記内側パネルの幅方向の両端縁はコ字状に折曲され、内側パネル表面に対して直交する縦框部と、縦框部に対して直交するパネル受け部とを備え、
前記外側パネルは、内側パネルのパネル受け部に固定されている
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の建具。
【請求項8】
前記下枠は、建具が取り付けられる建物の壁側に開口された開口部を備え、
建物の壁には、前記下枠の開口部内に挿入されて下枠を支持可能な先付けブラケットが固定されている
ことを特徴とする請求項5から請求項7のいずれかに記載の建具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−23948(P2013−23948A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161089(P2011−161089)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】