説明

下降流触媒反応器の流れ分配装置

本発明は、粒状固体触媒材料の少なくとも1つの触媒塔の上方で、少なくとも1つのガス相と少なくとも1つの液相を有する下方に流れる多相混合物の分配を改善するために、流れ分配導管または煙突と連結する流体分配装置である。液体とガスの相を受容するための流体分配装置は、ガス相が流入できる、1つ以上の開口を、その高さ方向の頂部および・または上部に有し、混合キャビティに開口するガス導管を装置内に有している。流体分配装置は、液体進入のための、1つ以上の側部開口を備えている。側部開口は、液体が、内部混合キャビティに開口する液体導管に入ることを可能にする。混合キャビティは、液体とガスの相の間の密接な接触を可能にする。したがって、本発明の流れ分配装置は、平らでないトレイのための改良された公差を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下降流多塔式触媒反応器の流れ分配装置に関する。この型の反応器は、触媒脱ろう、水素化処理、水素化仕上げ、水素化分解のような様々な反応を起こす化学および石油精製産業において用いられている。本流れ分配装置は、液体と蒸気の間の混合相反応を起こすのに特に有用である。より詳しくは、本発明は、分配を改善し、連続する触媒塔の頂部上の分配板を出て行くガスと液体を混合する装置に関する。分配装置は、ガス・液体混合物が固体触媒粒子の塔を通過するような触媒反応器、特に、油精製作用において水素化処理および水素化分解に使われる下降流触媒反応器に適している。
【背景技術】
【0002】
一連の分離触媒塔を有する反応器では、多くの触媒過程が行われる。特定の固体の詰まった搭の上の液体や混合相の液体・蒸気混合物を通過させるための化学、石油精製およびその他の産業で使われる反応器が、様々な異なる過程のために用いられる。石油精製産業におけるそのような過程の典型的なものは、触媒脱ろう、水素化処理、水素脱硫、水素化仕上げおよび水素化分解である。これらの過程においては、液体相は、典型的には、下降流反応器の詰まった塔に維持される特定の触媒上を通過されるガスまたは蒸気相および混合物と混合される。
【0003】
下降流反応器においては、ガスと液体は、適切に混合され、触媒塔に入る前に反応器の水平断面を通って均一に分配されることが必要である。均一な分配は、触媒の効率的な利用を保証し、触媒頂部層の消耗を減らし、歩留まりを改善し、生産品質を改善し、連続運転時間を長くする助けとなる。一般に、多塔下降流触媒反応器では、複数の触媒塔が反応器内に設けられ、ガスと液体の適切な混合のための分配装置が、2つの続く触媒塔の間の領域に配置される。この領域は、通常は、触媒塔の下のガス圧入ラインを備えており、これによって、追加のガスが、前の触媒塔で既に使われてしまったガスを補充するために圧入される。圧入されるガスは、焼き入れガスとして作用する。一般に、圧入ガスは、水素であるか、または水素を含む。上部にある触媒塔から落下する液体は、収集トレイ上に蓄積される。焼き入れガスと液体は、液体の渦運動が提供される混合チャンバに入る。これにより、液体の良好な混合が可能となり、これにより、液体の均一な温度条件が可能となる。ガス・液体混合は、混合チャンバ内でも生じる。混合チャンバからの流体は、偏向板または緩衝板に落下し、これにより、流れは、液体の通過のためのたくさんの下降流開口を有する第1分配トレイに向けなおされる。断面的な液体流分配のために、下降流開口は、1つ以上の導管または煙突を備えることが出来る。煙突は、ガス相が入ってくる、1つの開口頂部と、高さ方向の上部の1つ以上の開口とを備えた円筒状構成である。ガス相は、煙突筒部の長さに沿って下方に移動する。煙突の下部は、液相が煙突の筒部構造に入りガス相と接触することができるようにする液体流のための1つ以上の側部開口を有することが出来る。液体が分配トレイに蓄積すると、煙突の側部開口を覆う高さに上昇して、ガスの通過が妨げられ、液体が側部開口を通って筒部構造内に入ってしまう。ガスと液体は、煙突の底部の開口を介して、分配トレイを通って、下にある触媒塔へ出ていく。液体流のまわりの低乱流のために、筒状構造には、2つの相間の制限された混合だけが、生じる。
【0004】
良好な流れ分配装置は、以下の4つの基本要件を満たしている。すなわち、ガスと液体の割合の範囲を超えて触媒塔への供給の均一な分配を提供すること、分配トレイの所定の平面度外への耐性があること、良好なガス・液体混合と熱交換を提供すること、および下にある触媒塔を充分に湿潤する最小触媒塔高さを必要とすること、である。煙突内への液体流の駆動力は、トレイ上の静止液体高さであるので、標準的な煙突は、分配器トレイの平面度からの偏差のための低公差によりこれら判定基準に適合するのに不充分でありうる。これは、下にある触媒塔への流体の部分最適スプレー排出の損害をこうむる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この分配器設計の重要な検討の一つは、装置からの液体とガスの排出パターンである。標準煙突分配器は、触媒塔をほんのいくつかの点で接触するのみである。その結果、触媒表面を適切に湿潤し、望ましい触媒反応を起こすような所定の塔高さを取る。より均一で矛盾しないスプレーパターンと、短距離の触媒塔におけるより均一な触媒湿潤が望まれる。本発明の目的は、触媒塔の頂部上での持続したスプレーとしての均一な流体分配を達成することである。本発明の別の目的は、平らでない分配器トレイの流れ分配器設計の公差を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
多塔触媒反応器の動作を最大限にするためには、ガスと液体の優れた混合を可能にし、ガス・液体混合物を下方にある触媒塔に均一に分配する煙突が重要である。実施例では、本発明は、ガス導管の半径よりも大きな半径を有する混合キャビティにガス相を導入する少なくとも1つのガス導管を有する、多相流体を粒状固体に分配するための流れ分配装置であって、当該ガス導管は、ガス入口開口から下方のガス導管開口を通って混合キャビティに延び、当該ガス導管開口は、混合キャビティへと液体相を導入するための液体導管の下方範囲よりも低くないように位置決めされ、流れ分配装置からの液体・ガス相を加速し分散させる多相ノズルを備え、当該ノズルが、混合キャビティと連結され同軸整合されるノズル入口を有している、流れ分配装置を提供する。
【0007】
他の実施例では、本発明は、粒状固体触媒材料の少なくとも1つの触媒塔上に、少なくとも1つのガス相と少なくとも1つの液相を有する下方流多相混合物を分配するための、少なくとも1つの煙突を有する分配トレイであって、当該煙突は、煙突に後から取り付けられる1つの流れ分配装置を有し、当該流れ分配装置は、ガス導管の半径よりも大きな半径を有する混合キャビティにガス相を導入する少なくとも1つのガス導管を有し、当該ガス導管は、ガス入口開口から下方のガス導管開口を通って混合キャビティに延び、当該ガス導管開口は、混合キャビティへと液体相を導入するための液体導管の下方範囲よりも低くないように位置決めされ、流れ分配装置からの液体・ガス相を加速し分散させる多相ノズルを備え、当該ノズルが、混合キャビティと連結され同軸整合されるノズル入口を有している、分配トレイを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の流れ分配装置の実施例の概略側断面図である。
【図2】反応器容器における、本発明の流れ分配装置の概略斜視側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施例は、粒状固体触媒材料の少なくとも1つの触媒塔上に、少なくとも1つのガス相と少なくとも1つの液相を有する下方に流れる多相混合物を分配するための流体分配装置である。液体とガスの相を受容するための流体分配装置は、高さ方向の頂部および・または上部にガス相が流入することの出来る1つ以上の開口を有し、装置内で混合キャビティに開口するガス導管を有している。流体分配装置は更に、液体進入用の1つ以上の側部開口を有している。側部開口は、内部混合キャビティに開口する液体導管に液体が入ることを可能にする。混合キャビティは、液体とガス相関の密接を可能にしている。ガス入口管は、混合キャビティよりも狭く、これにより、ベンチュリ管効果を生じ、流体分配装置の内部に低い圧力を生じる。圧力差は、液体導管を通って混合キャビティへの液相を「引く」ことを助ける。このようにして、トレイ上での静的液体高さよりも、側部開口を通る液体流量が、比較的狭いガス導管のベンチュリ効果によって、少なくともある程度は決定される。したがって、本発明の流れ分配装置は、従来技術の煙突よりもトレイの平面度のための公差を大きなものとすることが可能である。流体(混合されたガスと液体の相)は、狭くなり傾斜するベンチュリ出口を介して、幅のあるスプレーパターンとして、流体分配装置から出て行く。流体分配装置の圧力降下は、省エネルギや、頂部塔層での摩擦を減らすために最小にされる。
【0010】
本発明の流体分配装置は、下降流触媒反応器において使用されうる。下降流触媒反応器において、本発明の流れ分配装置は、ガス相と液相が混合することを可能にし、流体をよく分散されたスプレーとして、例えば、下方にある触媒塔に分配する。このように使われると、ガス、液体、およびその組合せは、「流体」として言及される。
【0011】
本発明の流れ分配装置は、分配トレイ装置における既存の煙突に挿入されうる。そのような後から取り付ける応用においては、既存の煙突に挿入されうる流れ分配装置は、煙突インサートとして言及される。新たな反応器の設計においては、流れ分配装置は、煙突の代りに分配トレイに直接挿入されることも出来る。一般に、本発明の流れ分配装置は、直径約1インチ(2.54cm)から直径約4インチ(10.16cm)の大きさにされるが、より大きな直径やより小さな直径を適用することも可能である。そのような実施例においては、本発明の流れ分配装置は、直径約1.5インチ(3.81cm)から直径約3インチ(7.62cm)の大きさにされうる。下降流触媒反応器に使われる本発明の流れ分配装置の数は、変更可能であり、所望の流量やその他の下降流触媒反応器における所望の条件によって選択される。本発明の流れ分配装置の数を選択する過程は、下降流触媒反応器における標準の煙突の数を決定する従来の選択過程と類似している。
【0012】
実施例では、流れ分配装置は、後から取り付けるように使われうる。既存の煙突が、使われ、流れ分配装置が既存の煙突に挿入される。例えば、図1は、流れ分配装置1がインサートとしてどのように用いられるかを示しており、装置の直径は、分配装置トレイ85における既存の煙突に挿入して、煙突壁4と実質的に密接な流体シールを形成するようになっている。図2は、分配装置トレイに流れ分配装置1を有している、煙突の配置を示している。実施例では、流体分配装置は、煙突65の底部から上方に延び、煙突65の底部と煙突70の頂部の間の距離よりも50%より大きいまたは75%より大きい高さにまで延びている。本発明は、後から取り付けるために異なる大きさの既存の煙突に適合するように、その大きさを変更することができる。既存の煙突の内径を測定することによって大きさ決めを達成することができ、本発明の流れ分配装置の外径の大きさは、既存の煙突の内径よりも小さくする。実施例では、装置の外径は、約1.5インチ(3.81cm)から約3インチ(7.62cm)の範囲であるが、より小さなまたはより大きな直径が除かれるわけではなく、適用に応じて変更できる。他の実施例では、本発明は、独立系の流体分配装置として用いられる。
【0013】
後から取り付けるようになった実施例でもそうでない実施例でも、外壁5は、円筒構造を形成している。頂部蓋部分6は、外壁5によって形成される円筒構造の蓋をし、円筒外壁と流体密接合される。頂部蓋部分6は、少なくとも1つのガス入口開口10を有している。実施例では、ガス入口開口は、約0.1インチ(0.254cm)から約1.0インチ(2.54cm)の直径の範囲にあるが、より小さな直径やより大きな直径が除外されるわけではなく、適用に依存する。そのような実施例では、ガス入口開口は、約0.3インチ(0.762cm)から約0.7インチ(1.778cm)の直径の範囲である。実施例において、頂部蓋部分6は、単一の中央配置のガス入口開口10を備えている。ガス入口開口10は、ガス流のために軸方向ガス導管15に開口している。ガス導管15は、混合キャビティ25に開口する下部ガス導管開口20を有している。実施例では、ガス導管15は、混合キャビティ25と同軸である。実施例では、ガス導管は、垂直方向である。ガスがガス導管を通って流れるので、圧力差が、混合キャビティ25の圧力とガス入口開口10の圧力の間に生じる。流れ分配装置の内部の低い相対圧力と、流れ分配装置の外部の高い相対圧力間のこの圧力差は、液体を1つ以上の側部開口35を通って流れ分配装置の内部に駆動する助けになる。上記した圧力差による少なくともある程度の液体流が生じるので、平らでないトレイは、液体流の影響を受けにくくなる。例えば、側部液体開口が液面60よりも低い限り、平らでないトレイによる液体流の差が、最小にされる。これは、液体流の主要部が、平らでないトレイによる液体レベルの変化に帰属する何らの圧力差に対抗するものとして、ガス流によって生じる圧力差によって決定される。
【0014】
実施例では、液体導管35は、混合キャビティ25へのガス導管開口20が、液体導管35の下方限度75と少なくとも同じ高さ(垂直方向)の水平面上にあるように位置決めされる。実施例では、ガス導管開口20は、液体導管35の下方限度75と上方限度80の間の水平面にある。実施例では、ガス導管開口20は、液体導管35の上方限度80と一致する水平面上にある。実施例では、ガス導管開口20は、液体導管35の上方限度80よりも低くない水平面にある。
【0015】
液体導管の下方限度と少なくとも同じ高さの、水平液体導管35と垂直ガス導管20の組合せは、液体流のための既存の側部孔30を有する、既存の煙突における後から取り付ける適用として用いられる流れ分配装置を提供する。
【0016】
側部開口の数は、所望の流量に依存して変わる。図1の実施例は、液体流のための1つの側部開口を示している。他の実施例では、液体流のための少なくとも1つの開口が用いられる。実施例では、多くの側部開口が、相互に同じ水平面上にある。実施例では、側部開口は、約0.2インチ(0.508cm)から約0.75インチ(1.905cm)の範囲でありうるが、より小さなまたはより大きな直径が除かれるわけではなく、適用に依存する。そのような実施例においては、側部液体入口は、0.25インチ(0.635cm)から0.60インチ(1.524cm)の直径を有している。実施例においては、液相用の側部開口30は、円形で、円筒形液体通路35の開口を形成している。そのような実施例では、円筒形液体導管の軸は、水平方向にある。そのような実施例では、側部開口の軸は、ガス導管に放射状であり、すなわち、ガス導管に直角である。円筒形液体導管35は、混合キャビティ25に開口する円形出口開口40を有している。実施例では、液体は、ガス導管のガスの流れに直角な方向に液体導管を流れる。そのような実施例では、液体導管から流れる液体の少なくとも一部が、ガス導管から流れるガスに垂直方向に接触する。一般に、混合キャビティ25は、円筒形ガス導管15の半径Aよりも大きく、液体導管35の半径Cよりも大きい、半径Bを有している。混合キャビティの形状は、混合キャビティが流体の出る前に、入ってくるガスと液体相の混合を可能にする充分な体積を有するならば、変わることができる。液体キャビティ25の基部と側部液体開口30の下には、傾斜しただんだん狭くなる多相出口ノズル46がある。この多相ノズル46は、混合キャビティ25の半径Bよりも小さな半径Dを有している。実施例では、多相ノズル46のノズル入口45は、混合キャビティ25にしっかりと連結され、同軸に整合されている。そのような実施例では、ノズル入口は、ガス導管に同軸に整合されている。ノズル入口45は、混合キャビティの基部に中心配置され、円筒形外壁5に同軸にされている。ノズルの形状は、混合チャンバからの液体とガスの相を加速し分散することによって流体を外に出すベンチュリ効果をする。実施例では、ノズルの傾斜は、5度から85度の間であり、この傾斜の角度は、多相ノズル46を2分し、頂部蓋部に平行な平面から測定される。実施例においては、傾斜は、30度から60度の間であり、例えば、45度である。
【0017】
流体は、多相ノズル46を流れ、底壁55の中央に配置された底部開口50を通って分配装置に出て行く。底部開口50の半径Eは、多相ノズル(図のD)の最も制限された部分の半径よりも大きい。流体は、下方にある触媒塔(図示せず)の均一な湿潤を保証するように底部開口を通って分配装置に出て行く高度に分配されたスプレーパターンを有している。実施例では、多相ノズルは、内壁49を備えている。実施例では、内壁49は傾斜している。実施例においては、内壁の傾斜は、ノズル開口を2分する平面から測定して、5度から85度の間である。実施例においては、内壁の傾斜は、30度から60度あり、例えば、45度である。
【0018】
他の実施例では、内壁は、平坦でありうる。平坦ということは、内壁は、底壁55に平行であり、および・または側壁5に垂直であるということである。実施例では、底部開口は、底壁の半径よりも小さい半径Eを有している。別の実施例では、底部開口は、底壁の半径Fと等しい半径Eを有しており、すなわち、底部開口は、分配装置の基礎部分全体に渡っている。
【0019】
本発明の分配装置は、従来技術の煙突よりも平らでないトレイへの公差を大きくすることが出来る。加えて、本発明の流れ分配装置は、後から取り付けるように使うことが出来、追加の経済的利益と設計の自由度を提供することが出来る。ノズルの設計と分岐するノズルのために、均一で、分配器の下方の触媒表面を完全に湿らせるスプレーパターンが得られる。
【0020】
(例)
例1(比較例):トレイが平らでないことをシミュレートするために、2つの同一の煙突AとBが11インチ(27.94cm)径のテストセルに取り付けられ、煙突Aは煙突Bよりもほぼ0.25インチ(0.635cm)低くなっている。煙突は、ほぼ6インチ(15.24cm)離されている。各煙突の径は2.5インチ(6.35cm)である。0.5インチ(1.27cm)径の2つの側部開口が煙突AとBのそれぞれの底部から1.0インチ(2.54cm)上方に設けられる。各煙突の高さは、6.5インチ(16.51cm)である。1分あたり2.6ガロン(GPM)の流量の水と、1分あたり8標準立方フィートの流量の空気が、下降流触媒反応器における条件をシミュレートするために使われる。水は、側部開口を通って煙突に入り、ガスは、頂部開口を通って入ってくる。液体の流量は、煙突の各々を通って測定される。煙突Aは、58.5%の流量を有し、煙突Bは、41.5%の流量を有する。
【0021】
例2(本発明):例1で概略説明した実験が、各煙突AとBに挿入された本発明の流れ分配装置で繰り返される。流量は、各煙突で測定される。煙突Aは、49.3%の流量を有し、煙突Bは、50.7%の流量を有する。
【0022】
上記の例は、本発明の流れ分配装置が、後から取り付けるタイプの適用(例2)で煙突インサートとして使われた時に、インサートのない煙突(例1)よりも平面度からのトレイの公差が高くなることを示している。加えて、ガス・液体混合は、例1に比べて例2で改善され、例2のスプレーパターンは、例1のスプレーパターンよりも幅広く均一になる。このようにして、本発明の流体分配装置は、従来の煙突と比較して、流体分配装置として使われるための特性が改善されることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多相流体を粒状固体に分配するための流れ分配装置において、
ガス導管の半径よりも大きな半径を有する混合キャビティにガス相を導入する少なくとも1つのガス導管であって、当該ガス導管は、ガス入口開口から下方のガス導管開口を通って混合キャビティに延び、当該ガス導管開口は、混合キャビティへと液体相を導入するための液体導管の下方範囲よりも低くないように位置決めされる、ガス導管と、
流れ分配装置からの液体・ガス相を加速し分散させる多相ノズルであって、当該ノズルが、混合キャビティと連結され同軸整合されるノズル入口を有している、ノズルとを備えた、流れ分配装置。
【請求項2】
前記ガス導管が円筒形である、請求項1に記載の流れ分配装置。
【請求項3】
前記ガス導管が垂直方向に向いている、請求項1に記載の流れ分配装置。
【請求項4】
前記ガス導管の開口が、液体導管の下限と上限の間で水平面上にある、請求項1に記載の流れ分配装置。
【請求項5】
前記ガス導管の開口が、液体導管の上限よりも低くない水平面上にある、請求項1に記載の流れ分配装置。
【請求項6】
前記多相ノズルが、底部出口を更に含む、請求項1に記載の流れ分配装置。
【請求項7】
円筒形外壁と密接に流体連結する頂部蓋部と、少なくとも1つのガス入口とを有する、請求項1に記載の流れ分配装置。
【請求項8】
前記多相ノズルが、前記混合キャビティを流体連結するノズル入口を有している、請求項1に記載の流れ分配装置。
【請求項9】
前記底部開口の直径が、前記多相ノズルの直径よりも大きい、請求項6に記載の流れ分配装置。
【請求項10】
前記多相ノズルの傾斜が、該多相ノズルの開口を2分する平面から測定した時に30度から60度の間である、請求項8に記載の流れ分配装置。
【請求項11】
前記多相ノズルが、傾斜した内壁を有している、請求項1に記載の流れ分配装置。
【請求項12】
前記内壁の傾斜が、該多相ノズルの開口を2分する平面から測定した時に30度から60度の間である、請求項11に記載の流れ分配装置。
【請求項13】
煙突を更に備える、請求項1に記載の流れ分配装置。
【請求項14】
粒状固体触媒材料の少なくとも1つの触媒塔上に、少なくとも1つのガス相と少なくとも1つの液相を有する下方流多相混合物を分配するための、少なくとも1つの煙突を有する分配トレイであって、当該煙突は、煙突に後から取り付けられる1つの流れ分配装置を有する、分配トレイにおいて、
当該流れ分配装置は、ガス導管の半径よりも大きな半径を有する混合キャビティにガス相を導入する少なくとも1つのガス導管であって、当該ガス導管は、ガス入口開口から下方のガス導管開口を通って混合キャビティに延び、当該ガス導管開口は、混合キャビティへと液体相を導入するための液体導管の下方範囲よりも低くないように位置決めされる、ガス導管と、
流れ分配装置からの液体・ガス相を加速し分散させる多相ノズルであって、当該ノズルが、混合キャビティと連結され同軸整合されるノズル入口を有している、ノズルとを備えた、分配トレイ。
【請求項15】
前記煙突が、前記液体導管と同軸の液体流のための側部開口を有している、請求項14に記載の分配トレイ。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−507239(P2013−507239A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533269(P2012−533269)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/051583
【国際公開番号】WO2011/044201
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(503148834)シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド (258)
【Fターム(参考)】