説明

不定形文書のスキャン

スキャナ(30)は文書(12)を移動させるための搬送機構(6)と、文書の前縁(31)および後縁(32)を検出するためのセンサ(2)とを含む。カメラ(16,17)は、文書をスキャンして文書の前縁および後縁を検出する。コントローラ(10)は、カメラがカメラのフィールド内で文書を検出するとカメラから信号を受信し、センサがセンサのフィールド内で文書を検出するとセンサから信号を受信する。コントローラは、文書の前縁が検出されると画像の取り込みを開始し、文書の後縁が検出されると画像の取り込みを停止する。駆動機構(5)は、文書の前縁が検出されると停止され、文書の後縁が検出されると起動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロダクションスキャナの自動文書送り装置(自動文書フィーダ)を用いて、穴、欠け、穿孔、および同様の異常をもつ文書をスキャンする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の自動文書フィーダ付きプロダクションスキャナは、正しく給紙および画像形成可能な文書の種類に制約がある。例えば文書に穴や破損があると、紙詰まりや1つの画像を所望するのに複数の画像を形成する場合がある。また文書に欠けがありL字型の文書になっていると、現在のプロダクションスキャナでは、次の文書を早く送りすぎて、画像中に文書の切除部分が生じるか、または現在の画像中に次の文書の一部が含まれてしまうことが多い。他の例では、特に文書の端に穿孔のある文書は、センサおよびプロセッサのアルゴリズムを混乱させ、紙詰まり状態を発生しうる。また、文書が極端な角度で給紙されると、通常、角部が切り取られる等、文書の一部が欠けた画像が形成されてしまう。文書が三角形または折り畳まれている場合も同様の結果を生じうる。このような類の文書給紙の問題は自動文書スキャナの誤動作を引き起こす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の問題に対する先行技術の解決策として、スキャナを通過する文書の前縁および後縁を複数のセンサを用いて検出する方法がある。これらのセンサは直線状に配置され、いずれかのセンサが文書の端を検出すると、文書が傾斜している場合でもスキャナ用のコントローラが画像の取り込みを開始し、搬送給紙機構を停止させる。だが、複数のセンサの使用はスキャナのコストを増加させる。文書の検出に使用するセンサの数を最小限に抑えると同時に、上述した文書の欠け、穴、およびその他の問題を補うことが有利と考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
簡潔に述べると、本発明の一態様によれば、スキャナは、文書を移動させるための搬送機構と、文書の前縁および後縁を検出するためのセンサとを含む。カメラは、文書をスキャンして文書の前縁および後縁を検出する。コントローラは、カメラがカメラのフィールド内で文書を検出するとカメラからディジタル信号を受信し、センサがセンサのフィールド内で文書を検出するとセンサからディジタル信号を受信する。コントローラは、文書の前縁がセンサまたはカメラによって検出されると画像の取り込みを開始し、文書の後縁がセンサまたはカメラによって検出されると画像の取り込みを停止する。駆動機構は、文書の前縁がセンサまたはカメラによって検出されると停止され、文書の後縁がセンサまたはカメラによって検出されると起動される。
【0005】
一実施形態では、穴、欠け、端部のしわ、極端な傾き、中心のずれ等の異常な特徴をもつ文書の給紙およびスキャンは、文書検出用の1つのセンサとカメラとを用いて行う。カメラとともに超音波用紙センサを使用し、用紙経路の幅全体にわたってページの開始および終端を検出する。これは搬送部の幅にわたって複数のセンサを用いるのと似ている。ページの搬送(給紙)が可能であれば、ページのスキャンが可能である。
【0006】
本発明は、例えばページの中央に穴のある文書の問題を解決する。通常、スキャナはこのような文書を2つの文書として、または紙詰まり状態として処理する。カメラによるページ検出を用いることにより、画像を1つの画像として捕捉できる。これは、文書の給紙および搬送が続行される限りは、文書中に何個の穴があっても処理可能である。
【0007】
解決する他の問題は、45°の角度で給紙される小切手である。通常、スキャナは、小切手が超音波用紙センサ下のどこを通過するかによって、画像の角部を切り取ってしまう。本発明では、カメラが用紙経路の幅全体を検出するため、文書全体を欠けなく捕捉できる。
【0008】
本発明が解決する他の問題は、保証カードが取り除かれた文書等の切り取り部分のあるページである。スキャナは、1つの超音波用紙センサ下を通過する最初の切除点以降の画像を切り捨てる場合が多い。本発明によれば、カメラがこの超過部分を検出して捕捉できる。
【発明の効果】
【0009】
従って、本発明によれば、文書の給紙および搬送が可能ならば、ほぼどのような文書も捕捉できる。これには、円形、楕円形、菱形、および動物または人間等の形状に切り抜かれた用紙も含まれる。
【0010】
本発明およびその目的ならびに利点は、以下に説明する好適な実施形態の詳細な説明によってより明白になると考える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、特に本発明による装置の一部を構成する、または装置とより直接的に協働する要素群に関する。以下の説明において、特に図示または説明しない要素は、当該技術分野で周知の様々な形式をとりうると理解されたい。
【0012】
まず図1を参照すると、コントローラ10は、センサ2と、文書12(図2に示す)の給紙、搬送、および取り込みを制御する入力用のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)26とを使用する。FGPA26は、フロントエンドコントローラ(FEC)としてプログラムされ機能する。または、FPGA26は、FECとしてプログラムされた特定用途向け集積回路(ASIC)で代用してもよい。FECは、上カメラ17または下カメラ16、または両方のカメラを入力用に使用する。FECは、カメラおよびセンサからの入力データを操作して、画像取り込み制御およびページ検出をマイクロプロセッサ3に与える。駆動機構5は、搬送機構6がモータ制御を用いて文書12を安定的にカメラの前を通過させるように、フィーダクラッチを用いて給紙トレイ11(図6に示す)から文書12を給紙する。
【0013】
特殊ページ検出では、ユーザがスキャナを特定のモードにすることが必要である。カメラをページ検出センサとして使用する場合、カメラはFECのエッジ検出信号を用いて、ページが給紙される直前に駆動される。超音波用紙センサ2は第2のセンサとして用いられ、常時駆動される。
【0014】
図5および図6を参照すると、文書12の前縁を検出するには、コントローラ10が搬送機構6を起動し、その後、駆動機構5を起動して、文書12をスキャナ30(図6に示す)中に給紙する。超音波用紙スキャナ2は文書12の進行を認識するためのみに用いられ、駆動機構5を停止させる。FECはカメラを用いて文書12の前縁を検出し、文書12がカメラ位置に達すると、FEC内部からの適正な光の閾値をもつ十分な数の画素を検出することによって画像形成を開始する機能を与える。FECは、カメラセンサゾーン20内で前縁または後縁が検出されるごとに、コントローラ10に割り込みを行う。両面スキャンでは、上カメラ17および下カメラ16が独立して用いられ、カメラセンサゾーン中で文書12の前縁および後縁を検出する。片面スキャンでは、1つのカメラだけが用いられる。
【0015】
次に図3を参照すると、本発明では、小切手サイズの文書14等の文書の角部が完全に取り込まれる。この画像取り込みは、傾斜角度が大きくても、センサ経路22にかかっていなくても、行うことができる。このモードがなければ、前縁に切り取り部分21ができてしまう。文書12の後縁の検出は、文書12がカメラ位置を完全に通過すると、センサとして機能するカメラが、FEC内部からの適正な光の閾値をもつ十分な数の画素がないことを検出することによりなされ、これが画像取り込みを停止する機能を与える。小切手サイズ文書14等の文書の角部21は完全に取り込まれる。従って、給紙経路中の小切手の傾斜角度および単独のセンターラインセンサによって見逃される小切手の角部に関係なく、小切手14の画像全体が取り込まれる。
【0016】
次に図4を参照すると、本発明によれば、切り取り部分のある文書15が完全に取り込まれる。カメラをセンサおよび画像取り込み装置の両方として使用しない先行技術のスキャナは、後縁の画像の欠け部分21を見逃す場合がある。単独のセンターラインセンサのみに依存する従来のスキャナは、後縁32がセンサ2を通過すると画像取り込みを停止する場合がある。
【0017】
センサとして機能するカメラは、FEC内部からカメラで「動き」を検出するように機能が向上している。画像が変化し動いているように見える場合、カメラは有効画像の取り込みを続行する。これは紙詰まりの検出の改善に使用される。画像が短時間の間動いていない場合は、紙詰まりと判断される。無地色の文書の場合でも、カメラは少量の動きを検出する。紙詰まりの見逃しと、誤った紙詰まりとのバランスをとるため、感度の選択が必要である。
【0018】
次に図2を参照すると、超音波用紙センサ2は、文書12がカメラによって検出されカメラの視界内にあると考えられる場合は無視される。カメラセンサ20で動きがある間に新たな前縁31または後縁32が検出される場合は、図2に示すように文書12中の1つ以上の穴13を無視するために、超音波用紙センサ2は無視される。
【0019】
超音波用紙センサ2は、最大長の紙詰まり検出のために使用され、すなわちセンサ2またはカメラセンサ20が文書12の許容可能な最大長よりも長い間ブロックされれば、スキャナが紙詰まりと判断する。ただし、用紙移動方向の実際の長さを求めて文書の紙詰まりを判断する主たる手段はカメラである。
【0020】
センサ2およびカメラを通過すると、図7に示す第2の文書34が給紙される。これによって文書12の重複を防止するが、このモードにある間は文書間に、より大きなギャップ36が与えられる。
【0021】
文書12が文書12の幅全体にわたって黒い線38をもつ場合、カメラはこの線を用紙の端として検知する場合がある。この場合、超音波用紙センサ2を第2のセンサとして用いてカメラの有効性を確認し、文書12が複数の画像に分割されることを回避する。
【0022】
図5は、上カメラ17およびセンサ2の大まかな位置を含むスキャナ30の上面図である。用紙は図示するように右側から左側へ進む。視界幅25は、前縁および後縁を検出可能なゾーン20に対応する。文書の画像の取り込みに用いられる電荷結合素子(CCD)は、実際には視界幅25より広い。カメラセンサの視界領域25とセンサゾーンとは、本実施形態では同一である。だが他の実施形態では、センサゾーン20は図5に示すカメラセンサの視界領域25よりも狭い場合もあり、画像取得領域とも呼ばれる。
【0023】
次に図6は、上カメラ17と下カメラ16とセンサ2との大まかな位置を含むスキャナの側面図を示す。下カメラ16と上カメラ17との距離をAで示す。センサ2と上カメラ17との距離をCで示す。用紙は図面右側から左側へ、給紙トレイ11から排紙トレイ28へ進む。各端はセンサ2に達し、その後、各カメラセンサに達する。スキャナ30が片面スキャン用に用いられる場合は、センサ2と上カメラ17との間で文書の後縁を検出する設定が必要である。スキャナ30が両面または二重スキャン用に用いられる場合は、センサ2と上カメラ17と下カメラ16との間で、文書の両面の画像を取り込むように設定が必要である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明によるコントローラおよびインターフェース装置のブロック図である。
【図2】穴のある文書を示す図である。
【図3】斜めの文書を示す図であり、先行技術のスキャナでは切り捨てられうる箇所を示す図である。
【図4】切り取り部分のある文書を示す図である。
【図5】上カメラおよび超音波用紙センサを含むスキャナの上面図である。
【図6】カメラと超音波用紙センサとの相対的な位置を含むスキャナの側面図である。
【図7】給紙経路中の2つの文書を示す図である。
【符号の説明】
【0025】
2 センサ、3 マイクロプロセッサ、5 駆動機構、6 搬送機構、10 コントローラ、11 給紙トレイ、12 文書、13 穴、14 小切手サイズの傾斜した文書、15 切り取りのある文書、16 下カメラ、17 上カメラ、20 センサゾーン、21 切り取られた画像部分、22 センサ経路、25 カメラセンサの視界領域、26 フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、28 排紙トレイ、30 スキャナ、31 前縁、32 後縁、34 第2の文書、36 ギャップ、38 黒線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャナであって、
文書を移動させる搬送機構と、
前記文書の前縁および後縁を検出するセンサと、
前記文書をスキャンし、前記文書の前縁を検出し、かつ前記文書の後縁を検出するカメラと、
1)前記カメラが前記カメラのフィールド内で前記文書を検出すると、前記カメラからディジタル信号を受信し、
2)前記センサが前記センサのフィールド内で前記文書を検出すると、前記センサからディジタル信号を受信するコントローラとを含み、前記コントローラは、
1)前記センサまたは前記カメラのいずれかによって前記文書の前縁が検出されると画像の取り込みを開始し、前記センサまたは前記カメラのいずれかによって前記文書の後縁が検出されると画像の取り込みを停止し、
2)前記センサまたは前記カメラのいずれかによって前記文書の前縁が検出されると駆動機構を停止させ、前記センサおよび前記カメラの両方によって前記文書の後縁が検出されると前記駆動機構を起動させるスキャナ。
【請求項2】
請求項1に記載のスキャナにおいて、前記画像の取り込みは、前記カメラが所定の光レベルを超える特定範囲の画素を検出すると開始されるスキャナ。
【請求項3】
請求項1に記載のスキャナにおいて、前記画像の取り込みは、前記カメラが所定の光レベル未満の特定範囲の画素を検出すると終了するスキャナ。
【請求項4】
請求項1に記載のスキャナにおいて、前記コントローラはマイクロプロセッサを含むスキャナ。
【請求項5】
請求項1に記載のスキャナにおいて、前記コントローラはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含むスキャナ。
【請求項6】
請求項1に記載のスキャナにおいて、前記コントローラは特定用途向け集積回路(ASIC)を含むスキャナ。
【請求項7】
請求項1に記載のスキャナにおいて、前記コントローラと前記カメラとは1つのユニットであるスキャナ。
【請求項8】
請求項1に記載のスキャナにおいて、前記コントローラは、前記文書が前記第1のカメラのフィールド内にある間のみ画像の取り込みを起動するスキャナ。
【請求項9】
請求項1に記載のスキャナにおいて、前記スキャナは自動文書フィーダを含むスキャナ。
【請求項10】
文書スキャン方法であって、
前記文書をセンサおよびカメラの前を通過して搬送するステップと、
前記センサまたは前記カメラのいずれかにおいて、前記文書の前縁を検出するステップと、
前記文書の前縁が検出されると駆動機構を停止させるステップと、
前記文書を前記カメラでスキャンするステップと、
前記センサまたは前記カメラのいずれかにおいて、前記文書の後縁を検出するステップと、
前記文書の後縁が検出されると前記駆動機構を起動させるステップとを含む方法。
【請求項11】
請求項10に記載の文書スキャン方法において、前記駆動機構は、前記センサおよび前記カメラによって前記文書の後縁が検出されると起動される方法。
【請求項12】
文書の画像取り込み用スキャナであって、
前記文書を移動させる搬送機構と、
前記文書の前縁および後縁を検出するセンサと、
前記文書の第1の面をスキャンして、前記文書の前縁を検出し、かつ前記文書の後縁を検出する第1のカメラと、
1)前記第1のカメラが前記第1のカメラのフィールド内で前記文書を検出すると、前記第1のカメラからディジタル信号を受信し、
2)前記センサが前記センサのフィールド内で前記文書を検出すると、前記センサからディジタル信号を受信するコントローラとを含み、前記コントローラは、
1)前記センサまたは前記第1のカメラのいずれかによって前記文書の前縁が検出されると、前記第1のカメラによって前記文書の前記第1の面の画像の取り込みを開始し、前記センサまたは前記第1のカメラのいずれかによって前記文書の後縁が検出されると、前記文書の前記第1の面の画像の取り込みを停止し、
2)前記センサまたは前記第1のカメラのいずれかによって前記文書の前縁が検出されると駆動機構を停止させ、前記センサまたは前記第1のカメラの両方によって前記文書の後縁が検出されると前記駆動機構を起動させるスキャナ。
【請求項13】
請求項12に記載のスキャナにおいて、
前記文書の第2の面をスキャンして、前記文書の前縁を検出し、かつ前記文書の後縁を検出する第2のカメラを含み、前記コントローラは、
1)前記第2のカメラが前記第2のカメラのフィールド内で前記文書を検出すると、前記第2のカメラからディジタル信号を受信し、
2)前記センサまたは前記第2のカメラのいずれかによって前記文書の前縁が検出されると、前記第2のカメラによって前記文書の前記第2の面の画像の取り込みを開始し、前記センサおよび前記第2のカメラの両方によって前記文書の後縁が検出されると、前記文書の前記第2の面の画像の取り込みを停止するスキャナ。
【請求項14】
文書スキャン方法であって、
前記文書をセンサの前を通過して搬送するステップと、
前記センサ、前記第1のカメラ、または前記第2のカメラのいずれかにおいて、前記文書の前縁を検出するステップと、
前記センサ、前記第1のカメラ、または前記第2のカメラのいずれかによって前記文書の前縁が検出されると、駆動機構を停止させるステップと、
前記第1のカメラで前記文書の第1の面をスキャンするステップと、
前記文書が前記第1のカメラの前にある時に、前記文書の前記第1の面の画像を取り込むステップと、
前記文書が前記第2のカメラの前にある時に、前記文書の前記第2の面の画像を取り込むステップと、
前記センサ、前記第1のカメラ、または前記第2のカメラのいずれかによって前記文書の後縁を検出するステップと、
前記センサ、前記第1のカメラ、および前記第2のカメラによって前記文書の後縁が検出されると、前記駆動機構を起動させるステップとを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−501565(P2007−501565A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522586(P2006−522586)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/023390
【国際公開番号】WO2005/018220
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】