説明

不織シート、接着剤物品およびその製造方法

【課題】好ましい接着剤物品の提供。
【解決手段】ファイバー、好ましくは伸張非破断性ステープルファイバー、バインダーファイバーで作成され、内部結合、平滑ロールカレンダ加工およびパターンエンボス化技術の組み合わせから形成された不織シート材料およびそれから形成された接着剤物品が提供される。これらのシート材料は、交差ウェブおよびダウンウェブ方向に指で引裂き可能なテープバッキングとして特に有用であり、また、例えば、許容される引張り強さおよび向上したオーバーテーピングをはじめとする数多くのその他の所望の特性も有している。不織シート材料およびそれを含む接着剤物品は、ダウンウェブおよび交差ウェブ方向の両方において引裂き特性を向上させるために、様々な不連続構成のエンボス加工されたパターンを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織シートおよびそれから作られた接着剤物品、特に、引裂き特性の向上した不織シート材料および接着剤物品に関する。
【背景技術】
【0002】
不織シート材料は、テープのバッキングやウェブ成分等として用いられることが多い。これらのテープは、包帯、管類およびバッキングのような様々な物品を固定するのに、そして応急手当の包帯や島形包帯のような予備作成包帯の材料を固定するのにヘルスケア業界で一般的に使われている。また、それらは、診断電極、外科用研削板およびモニタリング電極のようなある種の製品への材料の固定にも一般的に使われている。
【0003】
不織シート材料から形成されたテープは必要な性能に基づいて2つの一般的なカテゴリに分類される。カテゴリIには、交差機械または交差ウェブ方向に引裂くことのできるシート材料およびそれから作成されたテープが含まれる。しかしながら、これらの材料はきれいに引裂くことができないことが多く、従って、引裂かれた端部が平らでなかったり不規則になったりする。一方、カテゴリIIには、実際的な目的のために、ダウンウェブ方向か、交差ウェブ方向のいずれかに引裂くことのできないシート材料およびテープが含まれる。
【0004】
一般に、カテゴリIの不織材料は、主としてセルロースファイバーから構成されており、ダウンウェブ方向対交差ウェブ方向の引張り強さ比が2.5対1未満である。セルロースファイバーは、本質的に非破断性である多くの合成、ポリマーファイバーとは異なり、本質的に破断性(応力をかけると容易に壊れる)である。
【0005】
カテゴリIのシート材料に用いられるセルロースファイバーは、ファイバーを固定または部分的に固定する化学バインダーにより結合される。さらに、化学バインダーは、シート材料の密度を増大し、向上した引張り強さ、破断時伸び、ハンド(馴染み易さ)、毛羽立ちの減少、上述した特別な引裂き特性のようなその他の利点を与える。しかしながら、これらの利点のある特性は、シート材料が濡れる、特に水やその他の水系流体で飽和すると、急速に損なわれる。
【0006】
カテゴリIIの材料は、本質的に非破断性の合成ファイバーから形成されることが最も多く、熱的、機械的または化学的のいずれかにより結合されてシート材料に構造上の完全性を与える。これらの材料は、特定の構造に応じて異なるが、向上した引張り強さ、伸び、ハンドを示す。例えば、機械的に結合されたカテゴリIIの材料は、より硬く毛羽立ち難い傾向のある化学的に結合された材料に比べて一般により柔らかくより毛羽立つ。しかしながら、カテゴリIIのシート材料は、実質的に全ての場合において、交差ウェブ方向に引裂くことが本質的にできないため、ヘルスケア業界に求められる固定の要件を満たすものではない。
【0007】
カテゴリIおよびIIの不織シート材料およびテープは両者とも、ヘルスケアの実施される傷の治療や医療装具の固定にかなり広範囲に用いられる。しかしながら、いずれのタイプの材料も、本質的な限界があるために、ヘルスケア市場のより広い領域で大幅な進歩は遂げていない。
【0008】
カテゴリIの材料には耐水性がなく、柔軟性、ハンドおよび/または妥当な引裂き特性を維持しながら十分な強度を与えることができない。強度は、引裂き性を犠牲にして、繊維のダウンウェブ方向対交差ウェブ方向の配向比を変えることにより、改善することができる。さらに、強度はまた、ハンドおよび引裂き性を犠牲にして、基本ファイバー含量および重量を増大することにより改善することもできる。
【0009】
合成ポリマーファイバーでできたカテゴリIIのシート材料の特徴を変えるにはさらに制限がある。かなり良好な引裂き性は、シート材料および得られるテープを非常に硬くさせるファイバーを用いることによってのみ得られる。そのようにすると、ファイバーとファイバーの結合は実質的に固定されて、布地の馴染み易さが減じ、引裂きが非常に困難となり、端部が整っていない、真っ直ぐに引裂けないという点で満足いくものでなくなる。
【0010】
近年、カテゴリIおよびIIの材料の特性を改善する、またはカテゴリIおよびIIの両方の材料の望ましい特性を備えた不織シート材料およびテープを提供するために多くの試みがなされている。不織シート材料の異なるファイバーの種類、含量および重量が試されている。さらに、化学サイジング剤による結合、ウェブの物理的交絡(ヒドロエンタングルメント)および、熱エンボス加工によるようなサーマルボンディングをはじめとする様々な結合技術が用いられている。米国特許第4,973,513号(LABによる化学ボンディング)、米国特許第4,341,213号(強度および可燃度を増大するための化学ボンディング、米国特許第4,772,499号(ヒドロエンタングルメントおよび部分化学ボンディング)、米国特許第3,737,368号および米国特許第3,507,943号(彫刻のあるローラによる熱エンボス加工)を参照のこと。
【0011】
例えば、米国特許第3,121,021号は、非粘着疎水性のゴム状ファイバーサイジングポリマーでコートされたレーヨンステープルファイバーの組織バッキングから形成された外科用接着テープを開示している。ポリマー結合バッキングを、乾燥後マイクロポーラスな構造を示す感圧接着剤の薄層でコートする。疎水性ゴム状繊維サイジングポリマーを組み込むと、撥水性およびこのカテゴリIの材料の湿潤強さを増大させる役割を果たす。同様に、米国特許第4,112,177号は、米国特許第3,121,021号と同様の不織バッキングを本質的に提供するものであるが、多層の接着剤層をバッキングに適用して、それから形成されたテープの全体の接着特性を改善するものである。ポーラスな二重コート接着テープについての更なる例は米国特許第4,844,973号に開示されている。
【0012】
米国特許第4,292,360号は、感圧接着テープを作成するのに用いることのできる多層不織シート材料を開示している。シート材料は、重ねられ、再湿潤可能な化学バインダーにより結合される2枚の不織ウェブから構成されている。不織ウェブは、いずれの種類またはステープルファイバーの組み合わせ、単一またはバインダーファイバーとの組み合わせから形成することができる。化学バインダーに加えて、シート材料はまた任意でカレンダ加工またはエンボス加工することができる。
【0013】
米国特許第3,908,650号は、片側が感圧接着剤のポーラス層で、もう一方の側がポーラスな熱可塑性フィルムでコートされた不織ウェブから形成されたマイクロポーラスなテープを開示している。熱可塑性層に近接するファイバーは、少なくともある程度撥水性である。任意で、繊維状ウェブは、熱的に結合またはサイジング剤で化学的に結合されていてもよい。熱可塑性層の使用により、テープ全体の耐摩耗性および防汚性が増大する。
【0014】
米国特許第4,772,499号は、交差ウェブ方向に容易に引裂かれる不織ウェブを開示している。ウェブの引裂き性は、ウェブの一部をボンディング剤によりパターン結合することにより向上する。乾燥後、ウェブは、ウェブの非結合部分に沿って交差ウェブ方向に容易に引裂き可能であると言える。同様に、米国特許第4,303,724号は、引裂き特性を改善するために、不織布の仕上げにおいて組織化または仮より糸を使用することが開示されている。
【0015】
ドイツ特許DE第1 595 300号は、10重量%〜40重量%の残渣水分を残した、ホットカレンダ加工された含水ウェブから形成された不織布を開示している。これらのウェブは、非伸張ポリエステルバインダーファイバーから構成されており、任意で、伸張ポリエステルファイバー、ポリアクリルアミドファイバーおよび/またはポリアミドイミドファイバーを含むことができる。強化不織材料の主たる手段としてのサーマルボンディングの更なる例はまた米国特許第4,731,277号、第4,639,390号、第4,511,615号、第4,490,427号および第4,083,913号にもある。さらに、サーマルボンディングは、加熱された彫刻のあるローラを用いてかかるシート材料をエンボス加工することにより行うことができる。例えば、米国特許第3,737,368号および第3,507,943号を参照のこと。
【0016】
米国特許第4,490,425号は、ステープルファイバー、エンドレスファイバーまたは両方をサーマルボンディングし、布地の片側または両側をニードル穿孔(タッキング)して、毛羽立った表面を形成することにより形成された柔らかく毛羽立った不織布を開示している。その後、1つの側またはそれ以上を、熱接着剤でコートして、様々な衣類の芯地として有用な布地を与える。同様の芯地材料およびその作成方法はまた米国特許第4,451,314号および第4,148,958号に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
前述したシート材料またはテープのいずれにも、欠点を排除しながら、カテゴリIおよびIIの材料の利点をうまく組み合わせられたものはない。実際、単一の不織シート材料またはそれから作成されたテープで、妥当なハンド値を維持しながら、向上した強度、向上したオーバーテーピングおよびいずれの方向にも引裂きしやすいものはこれまでのところ得られていない。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、ファイバー、好ましくは伸張非破断性ステープルファイバーとバインダーファイバーで作成され、内部結合、平滑ロールカレンダ加工およびパターンエンボス化技術の組み合わせから形成された不織シート材料およびそれから形成されたテープを提供する。これらのシート材料は、使用者の要件に見合った交差ウェブおよびダウンウェブ方向に指で引裂き可能なテープバッキングとして特に有用であり、また、例えば、許容される引張り強さおよび向上したオーバーテーピングをはじめとする数多くの所望の特性も有している。
【0019】
本発明の一態様は、第1の表面と第2の表面を有し、第1の繊維状ウェブにエンボス加工されたパターンを有する不織バッキングと、バッキングの第1の表面にコートされた感圧接着剤とを含む感圧接着剤物品を提供するものである。本発明によれば、エンボス加工されたパターンは、第2の方向の複数の凹部の縦列を形成するように並んだ、第1の方向の複数の凹部の少なくとも2つの横列からなる群より選択され、1つの縦列における2つの凹部間の距離が、第2の縦列における2つの凹部の間の距離、および第2の方向の複数の縦列の凹部を形成するように並んだ、第1の方向の複数の凹部の少なくとも2つの横列における2つの凹部の間の距離とは異なり、少なくとも1つの縦列における2つの凹部間の距離が第1の方向に沿って異なる。本発明による感圧接着剤物品はまた、バッキングの第2の表面にコートされた低接着バックサイズおよび/またはバッキングの第1の表面にコートされた感圧接着剤に剥離ライナとを含むことができる。一般に、感圧接着剤は、ゴム系接着剤、水系接着剤、溶剤系接着剤、ホットメルト接着剤およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。本発明による感圧接着剤物品はまた、さらに、好ましくは第1の不織ウェブにラミネートされた第2の不織ウェブを含むバッキングも含むことができる。
【0020】
本発明の他の態様は、 第2の方向の複数の凹部の縦列を形成するように並んだ、第1の方向の複数の凹部の少なくとも2つの横列からなる群より選択される繊維状ウェブにエンボス加工されたパターンを有する不織シート物品であって、1つの縦列における2つの凹部間の距離が、第2の縦列における2つの凹部の間の距離、および第2の方向の複数の縦列の凹部を形成するように並んだ、第1の方向の複数の凹部の少なくとも2つの横列における2つの凹部の間の距離とは異なり、少なくとも1つの縦列における2つの凹部間の距離が第1の方向に沿って異なる不織シート物品を提供するものである。
【0021】
本発明による物品において、繊維状ウェブは、非破断性ステープルファイバー、バインダーファイバーおよび結合剤を含む。
【0022】
好ましくは、複数の凹部はバッキングの総表面積の約28%までである。
【0023】
複数の凹部の各々は、ダイアモンド、矩形、円、楕円、三角、「+」符号、「<」符号、「>」符号およびこれらの組み合わせからなる群より選択される形状とすることができる。好ましくは、第1の方向における2つの連続した凹部間の距離は約0.51mm〜約0.36mmであり、第2の方向における2つの連続した凹部間の距離は約0.51mm〜約3.6mmである。好ましくは、第1の方向と第2の方向は互いに実質的に法線である。
【0024】
一実施形態において、横列における複数の凹部の各々は、交互の「+」符号および「−」符号からなる群より選択される形状である。他の実施形態において、複数の凹部の各々は「+」符号であり、複数の凹部はバッキングの総表面積の約15%〜約22%である。さらに他の実施形態において、複数の凹部が「+」符号と「−」符号との組み合わせであり、複数の凹部がバッキングの総表面積の約15%〜約20%である。更なる実施形態において、複数の凹部が「−」符号と「|」との組み合わせであり、複数の凹部がバッキングの総表面積の約15%〜約22%である。更なる実施形態において、複数の凹部が「+」符号と「−」符号の組み合わせであり、複数の凹部がバッキングの総表面積の約15%〜約20%である。
【0025】
本発明の更なる態様は、伸張非破断性ステープルファイバーとバインダーファイバーの不規則に交錯した繊維状ウェブを形成する工程と、第2の方向の複数の凹部の縦列を形成するように並んだ、第1の方向の複数の凹部の少なくとも2つの横列からなる群より選択されるパターンで繊維状ウェブをパターンエンボス加工する工程と、パターンエンボス加工に続いて、繊維状ウェブに平滑なロールカンダ加工を施す工程と、平滑ロールカレンダ加工に続いて、化学結合剤を用いて繊維状ウェブ全体を均一に内部結合する工程とを含み、1つの縦列における2つの凹部間の距離が、第2の縦列における2つの凹部の間の距離、および第2の方向の複数の縦列の凹部を形成するように並んだ、第1の方向の複数の凹部の少なくとも2つの横列における2つの凹部の間の距離とは異なり、少なくとも1つの縦列における2つの凹部間の距離が第1の方向に沿って異なる不織シート材料の製造方法を提供するものである。
【0026】
本発明の更なる態様は、伸張非破断性ステープルファイバーとバインダーファイバーの不規則に交錯した繊維状ウェブを形成する工程と、繊維状ウェブに第1の平滑なロールカレンダ加工を施す工程と、第2の方向の複数の凹部の縦列を形成するように並んだ、第1の方向の複数の凹部の少なくとも2つの横列からなる群より選択されるパターンで繊維状ウェブをパターンエンボス加工する工程と、化学結合剤を用いて繊維状ウェブ全体を均一に内部結合する工程とを含み、1つの縦列における2つの凹部間の距離が、第2の縦列における2つの凹部の間の距離、および第2の方向の複数の縦列の凹部を形成するように並んだ、第1の方向の複数の凹部の少なくとも2つの横列における2つの凹部の間の距離とは異なり、少なくとも1つの縦列における2つの凹部間の距離が第1の方向に沿って異なり、平滑ロールカレンダ加工がパターンエンボス加工または均一な内部結合工程の前に実施される不織シート材料の製造方法を提供するものである。一実施形態において、均一な内部結合はパターンエンボス加工の前に実施される。他の実施形態において、パターンエンボス加工は均一な内部結合の前に実施される。
【0027】
好ましくは、内部結合工程は、水系化学結合剤を繊維状ウェブに注入する工程を含む。
【0028】
本発明による方法はまた、水系化学ボンディング剤が注入された繊維状ウェブを実質的に全ての水が除去されるまで乾燥する工程をさらに含むことができる。
【0029】
本発明による方法に含められる他の工程は、エンボス加工されたパターンのウェブの第1の表面に感圧接着剤の層をコートする工程と、エンボス加工されたパターンのウェブの第2の表面に低接着組成物をコートする工程と、エンボス加工されたパターンのウェブの第1の表面の感圧接着剤が、エンボス加工されたパターンのウェブの第2の表面の低接着バックサイズと接触するようにエンボス加工されたパターンのウェブをロールに巻き付ける工程とこれらの組み合わせを含む。
【0030】
本発明の更なる他の態様は、第1の不規則に交錯した繊維状ウェブを形成する工程と、繊維状ウェブに平滑なロールカレンダ加工を施す工程と、繊維状ウェブをパターンエンボス加工して、第1の方向と第2の方向に複数の不連続の凹部を有するエンボス加工パターンを形成する工程と、化学ボンディング剤を用いて繊維状ウェブ全体を均一に内部結合する工程と、感圧接着剤を繊維状ウェブの第1の表面にコートする工程とを含む感圧接着剤物品の製造方法であって、感圧接着剤物品のオーバーテーピング値が約76mm未満である感圧接着剤物品の製造方法を提供するものである。本方法にはまた、第2の繊維状ウェブを第1の繊維状ウェブにラミネートしたり、繊維状ウェブの第2の表面に低接着バックサイズをコートするような他の工程も含まれる。
【0031】
一実施形態において、繊維状ウェブのパターンエンボス加工が、繊維状ウェブの平滑ロールカレンダ加工および繊維状ウェブの均一な内部結合より前に生じる。他の実施形態において、繊維状ウェブの平滑ロールカレンダ加工が、繊維状ウェブのパターンエンボス加工および繊維状ウェブの均一な内部結合より前に生じる。さらに他の実施形態において、繊維状ウェブの均一な内部結合が、繊維状ウェブのパターンエンボス加工より前に生じる。
【0032】
「機械方向」および「ダウンウェブ方向」という用語は同じ意味で用いられ、ウェブの縦方向のことを指す。不織シート材料を含むファイバーは、不織シート材料のダウンウェブ方向に主として配置されている。「交差機械方向」および「交差ウェブ方向」という用語は同じ意味で用いられ、不織シート材料のダウンウェブ方向にほぼ垂直な方向のことを指す。
【0033】
本明細書において、「エンボス加工されたパターン」および「カレンダ加工されたパターン」は同じ意味で用いられ、ウェブ表面の凹部の所定の構成のことを指す。エンボス加工されたパターンは、ウェブの全厚さを通過する孔の所定の構成を指す「穿孔された」パターンとは区別されるものである。このように、本発明によるウェブ/テープバッキングにエンボス加工されたパターンは、ウェブ表面の非穿孔パターンの凹部であり、このパターンは、ダウンウェブと交差ウェブの両方向について不連続であるのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明によるエンボス加工されたバッキング材料の一実施形態の概略図。
【図2】本発明によるエンボス加工されたバッキング材料の他の実施形態の概略図。
【図3】本発明によるエンボス加工されたバッキング材料の更なる実施形態の概略図。
【図4】本発明によるエンボス加工されたバッキング材料のさらに他の実施形態の概略図。
【図5】本発明によるエンボス加工されたバッキング材料の他の実施形態の概略図。
【図6】材料の交差ウェブ方向に沿って一連の不連続ラインを含むエンボス加工されたバッキング材料の概略図。
【図7】材料の交差ウェブおよびダウンウェブの両方向に沿って一連の交差する連続ラインを含むエンボス加工されたバッキング材料の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
不織シート材料
本発明による不織シート材料およびテープの繊維状ウェブ成分は、湿式法、エアレイヤリングやカーディングのような乾式法およびスパンボンディングやメルトブローイングのような連続繊維のための直接式法をはじめとする業界に公知の従来の方法に従って作成される。いくつかの方法の例は米国特許第3,121,021号(Copeland)、第3,575,782号(Hansen)、第3,825,379号、第3,849,241号および第5,382,400号に開示されている。
【0036】
繊維状ウェブ成分の好適な例としては、本発明の不織シート材料およびテープの繊維状ウェブ成分の形成に用いられる伸張非破断性ステープルファイバーおよびバインダーファイバーが挙げられ、米国特許第5,496,603号、第5,631,073号および第5,679,190号(全てRiedelら)に記載されている。本明細書において、「伸張非破断性ステープルファイバー」とは、合成ポリマーから形成されたステープルファイバーのことを言い、ポリマー鎖がファイバーの機械方向またはダウンウェブ方向に実質的に配向するように、そして、中程度の破壊力がかかったときに容易に破断しないよう、製造中に延伸される。これらのステープルファイバーを制御して配向することにより、高度に規則的な結晶性(一般に、約45%を超える結晶性)がファイバーを含むポリマー鎖に与えられる。通常、本発明の伸張非破断性ステープルファイバーは、少なくとも3.5g/デニールの破壊力がかからなければ破断しない。
【0037】
本発明による好適な伸張非破断性ステープルファイバーとしては、ポリエステルステープルファイバー、ポリオレフィンステープルファイバー、ポリアミドステープルファイバー、ポリアクリレートステープルファイバー、ポリカーボネートステープルファイバー、ポリスルホンステープルファイバーまたはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限られるものではない。本発明によれば、少量、好ましくは50重量%未満のレーヨンステープルファイバー、アクリルステープルファイバー、セルロースステープルファイバー、綿ステープルファイバー等といった破断性ステープルファイバー。
【0038】
好ましくは、伸張非破断性ステープルファイバーは、配向ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリブチレンステープルファイバーのような配向ポリオレフィンステープルファイバー、ポリエチレンテレフタレート(PET)のような配向ポリエステルステープルファイバーまたはこれらの組み合わせを含む。これらの配向ステープルファイバーは、長さ約1cm〜約10cm、より好ましくは2cm〜5cmで、約0.1デニール〜約20デニール、より好ましくは約0.5デニール〜約5デニール、最も好ましくは約0.7デニール〜約2デニールの繊度を示す。
【0039】
特に好ましい実施形態において、伸張非破断性ステープルファイバーは、0.95デニールのポリエステル(PET)ステープルファイバーや標準ポリエステルステープルファイバー(PET)、1.2デニールのポリエステルステープルファイバーおよび/または2.0デニールの標準ポリエステルステープルファイバー(PET)のような配向ポリエステルステープルファイバーを含む。
【0040】
破断したり、伸張非破断性ステープルファイバーを実質的に脆弱化させることなく、繊維状ウェブの伸張非破断性ステープルファイバーにメルトボンディングすることができれば、何れの種類のバインダーファイバーも本発明の繊維状ウェブを形成するのに用いることができる。これに関して、バインダーファイバーは、本発明の不織シート材料およびテープに用いられる伸張非破断性ステープルファイバーとメルトボンディング可能な1種類以上の人工熱可塑性ポリマーから形成されるのが好ましい。さらに、バインダーファイバーは、これらに限られるものではないが、完全に溶融可能なバインダーファイバー、並列バインダーファイバー、二成分バインダーファイバー、楕円コア−シースバインダーファイバー、同心円コア−シースバインダーファイバーまたはこれらの組み合わせをはじめとする業界に周知の様々なバインダーファイバー構成を含むことができる。
【0041】
好適なバインダーファイバーとしては、ポリエステルバインダーファイバー、熱可塑性ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリブチレンバインダーファイバーのようなポリオレフィンバインダーファイバー、ポリアミドバインダーファイバー、またはこれらの組み合わせが例示されるがこれらに限られるものではない。これらのバインダーファイバーは、長さ約1cm〜約20cm、より好ましくは2cm〜10cmで、約0.1デニール〜約20デニール、より好ましくは約0.2デニール〜約10デニール、最も好ましくは約0.5デニール〜約6デニールの繊度を示す。
【0042】
特に好ましい実施形態において、バインダーファイバーは、例えば、溶融可能なポリエステルまたはポリオレフィン樹脂の外側シースに囲まれた配向ポリエステルまたはポリオレフィンファイバーコアを含むコア−シースバインダーファイバーを含む。本発明の繊維状ウェブに用いるのに好適なコア−シースバインダーファイバーの具体例としては、1.5デニール、38mm、結晶ポリプロピレンコアおよび溶融可能なポリエチレンシース、および2デニール、38mm、配向ポリエステルコアおよび溶融可能なポリエステルシースが挙げられる。
【0043】
繊維状ウェブ中の伸張非破断性ステープルファイバー対バインダーファイバーの重量比は、本発明の不織シート材料またはテープの用途により異なる。多くの場合、本発明の不織シート材料およびテープの所定の強度、引張り性およびその他要件は、適正なバインディング、最終的には繊維状ウェブの構造上の完全性を確実にするのに必要な熱可塑性バインダーファイバーの量に対して、高強度の伸張非破断性ステープルファイバーの量の釣合いを取ることにより得られる。
【0044】
通常、約95重量%〜約50重量%、好ましくは約90重量%〜約60重量%の繊維状ウェブが、1種類以上の伸張非破断性ステープルファイバーを含み、約50重量%〜約5重量%、好ましくは約40重量%〜約10重量%の繊維状ウェブがバインダーファイバーである。好ましい態様において、伸張非破断性ステープルファイバー対バインダーファイバーの重量比は、約10:1〜約1:10、より好ましくは約5:1〜約1:1、最も好ましくは約4:1〜約2:1である。
【0045】
本発明による不織シート材料の厚さは所望の用途に大きく依存している。通常、不織シートの厚さは約0.04mm〜約0.5mmである。不織シート材料の所望の最終用途が医療テープのバッキングであるときは、好ましい厚さは約0.1mm〜約0.4mmである。さらに、不織シートの重量は約10g/m2〜約100g/m2、好ましくは約15g/m2〜約70g/m2である。
【0046】
好ましい一実施形態において、繊維状ウェブは、約20重量%の約2デニール、長さ5cmのポリエステルバインダーファイバーおよび約20重量%の平均総ファイバー重量約30g/m2の約1.5デニール、長さ4cmのレーヨンファイバーと結合された約60重量%の約0.95デニール、長さ4cmの配向ポリエステルステープルファイバーを含む。
【0047】
第2の好ましい実施形態において、繊維状ウェブは、第1の実施形態と本質的に同じ材料を含むが、レーヨンファイバーの代わりに、約20重量%の平均総ファイバー重量が約30g/m2の約2.2デニール、長さ4cmのポリプロピレンファイバーを含む。
【0048】
本発明の原理によれば、繊維状ウェブは、化学ボンディング剤、物理的交絡またはその両方により内部結合されて、パターンエンボス加工されて、本発明の不織シート材料となる。
【0049】
繊維状ウェブを内部結合する一つの方法は、ウェブ形成後、業界に周知の従来の手段により繊維を物理的に交絡するものである。例えば、繊維状ウェブは、米国特許第5,016,331号に記載されているようにニードルタックすることができる。これに代わる好ましい方法において、繊維状ウェブは、米国特許第3,485,706号に記載されているようにヒドロエンタングルすることができる。ヒドロエンタングリングの一つの方法は、ステンレス鋼メッシュスクリーン(例えば、100メッシュのスクリーン、ナショナルワイヤファブリック、スターシティ、アーカンサス州)間で積層された繊維状ウェブを所定の速度(例えば、約23m/分)で高圧ウォータジェット(例えば、約3MPa〜約10MPa)に通過させて、ウェブの両側を衝突させるものである。その後、ヒドロエンタングルされたウェブを乾燥し、本明細書に記載された通り、パターンエンボス加工および化学バインダー飽和を施す。
【0050】
本発明による不織シート材料は全て、米国特許第2,464,301号、第3,507,943号および第3,737,368号に記載されたような業界に周知の手順に従ってパターンエンボス加工される。通常、繊維状ウェブは、凹凸領域のあるパターン化された(彫刻のある)金属ロールおよび金属またはゴムで形成された固体バックアップロールに通過させる。しかしながら、繊維状ウェブは、対応または交互の彫刻のある領域を示す2つのパターン化されたローラ間に供給することもできる。いずれの場合においても、繊維状ウェブがパターン接触点に沿って熱的に結合されるよう1つ以上のローラに熱を供給するのが一般的である。
【0051】
好ましい実施形態において、本発明による繊維状ウェブは、パターンロールおよび固体バックアップロールにより熱的にエンボス加工される。エンボス加工中、パターンロールの温度を慎重に制御することが重要である。通常、ステープルファイバーを破断したり(ステープルファイバーを穿孔したり)、使用できる強度レベルより低く繊維状ウェブをひどく脆弱化させることなく、伸張非破断性ステープルファイバーとバインダーファイバーが接触点で熱的に溶融するような温度としなければならない。これに関して、パターンロールの温度を約70℃〜220℃、より好ましくは約85℃〜180℃に維持するのが好ましい。さらに、パターンロールは、約30N/mm〜約120N/mm、好ましくは約35N/mm〜約70N/mmの圧力で不織シート材料と接触させなければならない。
【0052】
エンボス加工ロールに刻まれた特定のパターンは、得られる不織シート材料およびテープの目的とする用途に応じて異なる。当業者であれば、エンボス加工後、不連続エンボス加工パターンが材料/テープバッキングに作成される限りにおいて、様々なパターン形状によりパターン化された領域(結合領域)が得られることが分かるであろう。本発明によれば、材料/テープバッキングの得られるエンボス加工パターンの結合領域は材料/テープバッキングの総表面積の約28%までであるのが好ましい。さらに好ましくは、パターン化された領域は、材料/テープバッキングの総表面積の約15%〜約21%となるのが望ましい。
【0053】
特定の理論に拘束されることは望むところではないが、エンボス加工パターンの凹部は、パターン化されたエンボス加工ロールの凸領域のパターンにおいて繊維状ウェブが局所的に溶解することにより形成されるものと考えられる。繊維状ウェブはプロセスにより破壊されず、その代わりに完全性を維持する。エンボス加工凹部の物理的な寸法および各凹部間の非凹部領域の物理的な寸法(「ランドスペース」とも呼ばれる)は、本発明の重要な態様である。凹部と各凹部間のランドスペースは分離ラインを形成する。分離ラインは交差ウェブ方向およびダウンウェブ方向とすることができる。交差ウェブ方向とダウンウェブ方向の両方について単一の分離ラインに沿って容易に、かつ一定して確実に分離するために、早期の分離(引裂き)と引張り強さの十分な減少を防ぐために適正な引張り強さの競合する利害関係の間で、許容される釣り合いが取れなければならない。意外なことに、材料/テープバッキングのエンボス加工パターンが、材料/テープバッキングの総表面積の約28%までだと、交差ウェブとダウンウェブの両方向についてこの釣合いが取れることを見出した。
【0054】
さらに、性能を定義するのに必要な分離ラインのパラメータは、凹部寸法(長さおよび幅)、ランドスペース寸法(一般に、2つの連続した凹部の間の非凹部領域の長さ)および凹部寸法対ランドスペース寸法の比率である。材料/テープバッキングの性能をもたらすこれらの変数の相互依存性および協同の仕方を併せて考慮する必要がある。当業者であれは、エンボス加工パターンの各凹部が様々な形状を有し、それでも交差ウェブとダウンウェブの両方向について単一の分離ラインに沿って容易に、かつ一定して分離することが容易に理解されよう。かかる形状としては、ダイアモンド、四角形、矩形、三角、円、楕円、文字形(例えば、「V」、「X」、「A」といった字、「+」、「−」、「<」、「>」等といった符号)およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0055】
本明細書に規定したプロトコルに従って測定した、ダウンウェブ方向の材料/テープバッキングのエンボス加工パターンの引張り強さは、少なくとも約8N/cm幅、好ましくは少なくとも約10N/cm幅であるのが望ましい。本明細書に規定したプロトコルに従って測定した、交差ウェブ方向の材料/テープバッキングのエンボス加工パターンの引張り強さは、少なくとも約4N/cm幅、好ましくは少なくとも約6N/cm幅であるのが望ましい。
【0056】
本発明によれば、エンボス加工パターンは、第1の方向および第2の方向においてランドスペースにより分離される複数の凹部を含むのが好ましい。第1の方向の複数の凹部の配列は、縦列が第2の方向の連続した凹部により形成されるように配列された少なくとも2つの横列であるのが好ましい。好ましい一構成において、少なくとも1つの縦列について2つの凹部間の距離は第1の方向に沿って変わる。他の好ましい構成において、一つの縦列における2つの凹部間の距離は、第2の縦列の2つの凹部間の距離とは異なる。
【0057】
本発明の他の実施形態において、多層(2つ以上の層)のラミネートを形成することができる。ラミネートは本発明の不織シートを含む。好ましい実施形態において、ラミネートは、タイ層により結合された2層の不織シート材料からなる。タイ層は、不織シート材料の層間に強固な結合を与える物質であれば何れであっても構わない。テープ構造体として用いたときに、不織シート材料の層が剥離せず、手で剥せないよう十分な強度で結合されていなければならない。好ましいタイ層としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニルおよびこれらのブレンドが挙げられるがこれらに限られるものではない。好適なタイ層は、例えば、コンソリデーテッドフィルム(ウィスコンシン州、Chippewa Falls)製の0.4mmのブローXBP−486.0のようなフィルムおよびエクソンケミカル社(テキサス州、ヒューストン)製エクソン3445ポリプロピレンペレットから押出されたフィルムの形態のポリプロピレンである。
【0058】
添加剤を、不織シート材料、化学結合剤、タイ層、LABおよび接着剤のうち1つ以上に組み込むことができる。好適な添加剤としては、ほんの2,3例を挙げると、着色剤(例えば、顔料および染料)、処理助剤(例えば、界面活性剤および発泡剤)および展伸剤(例えば、フィラーおよび光沢付与剤)がある。
【0059】
図1に、エンボス加工パターン11の一実施形態を材料/テープバッキング10で示す。エンボス加工パターン11には「+」符号の形状の複数の凹部12が含まれる。ダウンウェブ方向13と交差ウェブ方向15の両方について各凹部12を分離しているのはランドスペース14である。第1の方向(交差ウェブ方向)の複数の凹部12の配列は、縦列18が第2の方向(ダウンウェブ方向13)の連続した凹部12により形成されるように配列された少なくとも2つの横列17であるのが好ましい。好ましくは、各横列17と各縦列18は互いに実質的に法線である。ランドスペース14により分離された連続凹部12は、ダウンウェブ分離ライン16(凹部12の縦列18に沿って)および交差ウェブ分離ライン16’(凹部12の横列17に沿って)を形成する。引裂き力を与えると、材料/テープバッキングは、ダウンウェブ分離ライン16および交差ウェブ分離ライン16’に沿って所望のサイズ10’に引裂くことができる。上述した通り、交差ウェブとダウンウェブの両方向について単一の分離ラインに沿って容易に、かつ一貫して分離する凹部12の寸法とランドスペース14の間には協同関係がある。例えば、図1において各凹部12の「+」符号は、高さ合計約0.91mm、幅合計約0.51mmの寸法を有しており、「+」の各セグメントの厚さは、ダウンウェブおよび交差ウェブの両方向について約0.20mmである。さらに、ダウンウェブ方向の各凹部間のランドスペースは約0.36mm、交差ウェブ方向については約0.76mmである。このエンボス加工パターン11の総パターン化領域は、材料/テープバッキングの総表面積の約15.4%となる。このように、この構成において、少なくとも1つの縦列における2つの凹部間の距離は第1の方向に沿って変わる。
【0060】
図2に、エンボス加工パターン20の他の実施形態を示す。エンボス加工されたパターン20には、ダウンウェブ方向23から交差ウェブ方向25まで異なる長さに沿って配向された「−」符号の形状の複数の凹部22および22’が含まれる。ダウンウェブ方向23と交差ウェブ方向25の両方について各凹部22を分離しているのはランドスペース24である。第1の方向(交差ウェブ方向25)の複数の凹部22の配列は、縦列28が第2の方向(ダウンウェブ方向23)の連続した凹部22により形成されるように配列された少なくとも2つの横列27であるのが好ましい。好ましくは、各横列27と各縦列28は互いに実質的に法線である。図2において、各凹部22の「−」符号の交差ウェブ方向の最長寸法は約0.71mm、交差ウェブ方向の最短寸法は約0.20mm(ダウンウェブ方向に沿ってみたとき凹部の「−」の配向となる)である。各凹部22’の「|」符号のダウンウェブ方向の最長寸法は約0.76mm、ダウンウェブ方向の最短寸法は約0.20mm(ダウンウェブ方向に沿ってみたとき凹部の「|」の配向となる)である。さらに、ダウンウェブ方向の各凹部22’間のランドスペースは約0.51mm、各凹部22については約1.07mmである。各凹部22’および22は、交差ウェブ方向について約0.18mmの距離離れている。このエンボス加工パターン20の総パターン化領域は、材料/テープバッキングの総表面積の約18.6%となる。このように、この構成において、一つの縦列における2つの凹部間の距離は、第2の縦列の2つの凹部間の距離とは異なる。
【0061】
図3に、エンボス加工パターン30のさらに他の実施形態を示す。エンボス加工パターン30には「+」符号の形状の複数の凹部32が含まれる。ダウンウェブ方向33と交差ウェブ方向35の両方について各凹部32を分離しているのはランドスペース34である。図3において、各凹部32の「+」符号は、合計高さ及び巾約0.91mm、「+」の各セグメントの厚さは、ダウンウェブおよび交差ウェブの両方向について約0.20mmである。さらに、ダウンウェブ方向および交差ウェブ方向の各凹部間のランドスペースは約0.36mmである。このエンボス加工パターン30の総パターン化領域は、材料/テープバッキングの総表面積の約20.5%となる。
【0062】
図4に、エンボス加工パターン40の更なる実施形態を示す。エンボス加工パターン40には、交差ウェブ方向に交互のパターンで「+」符号および「−」符号形状の複数の凹部42が含まれる。同じ符号がダウンウェブ方向に配列されているのが好ましい。ダウンウェブ方向43と交差ウェブ方向45の両方について各凹部42を分離しているのはランドスペース44である。図4において、エンボス加工パターン40の「+」符号は、合計高さ及び巾約0.91mm、「+」の各セグメントの厚さは、ダウンウェブおよび交差ウェブの両方向について約0.20mmである。エンボス加工パターン40の「−」符号は、最長寸法が約0.91mm、最短寸法が約0.20mmである。さらに、ダウンウェブ方向および交差ウェブ方向の各凹部間のランドスペースは約0.36mmである。このエンボス加工パターン40の総パターン化領域は、材料/テープバッキングの総表面積の約16.0%となる。
【0063】
図5に、エンボス加工パターンの更なる実施形態を示す。このエンボス加工パターン50は、図4に示したのと同様のパターンで、ランド領域54により分離された「+」と「−」の凹部52の組み合わせであり、図4に関して上述した寸法をそれぞれ有している。しかしながら、エンボス加工パターン50は、交差方向55から約30°の角度57で回転させてある。30°の回転で示してあるが、どのパターンも交差ウェブ方向から約90°未満の角度で回転させることができる。
【0064】
本発明によれば、繊維状ウェブは、平滑ロールを用いてカレンダ加工するのが好ましく、この平滑ロールは他の平滑ロールとニップを形成している。このように、好ましい実施形態において、本発明による繊維状ウェブは、上述したパターンエンボス加工に加えて、平滑ロールおよび固体バックアップロール(例えば、金属、ゴムまたは綿布でカバーされた金属)により熱的にカレンダ加工される。カレンダ加工中、平滑ロールの温度および圧力を慎重に制御することが重要である。通常、ファイバーは、許容できない剛性および/またはオーバーテーピング不良といった繊維状ウェブに望ましくない特性を与えることなく接触点で熱的に溶融する。これに関して、平滑ロールの温度を約70℃〜220℃、より好ましくは約85℃〜180℃に維持するのが好ましい。さらに、平滑ロールは、約10N/mm〜約90N/mm、より好ましくは約20N/mm〜約50N/mmの圧力で繊維状ウェブと接触させなければならない。
【0065】
特定の理論に拘束されることは望むところではないが、平滑ロールカレンダ加工により、さらに、繊維状ウェブに引張り強さが与えられ、オーバーテーピングをはじめとする様々な材料/テープバッキング特性が向上するものと考えられる。医療テープ環境において、テープの裏側への結合(ここではまた「オーバーテーピング」とも呼ばれる)、テープを皮膚に付けた後のテープ端部の丸まり(馴染み易さの関数)等のような様々な因子が重要である。平滑ロールカレンダ加工工程を含んだ方法から作成されたテープバッキングは、引き裂いたときにダウンウェブと交差ウェブの両方向について非常に直線の分離を示し、オーバーテーピング性能が増大したことは意外であった。
【0066】
上述した通り、繊維状ウェブは、結合剤(ここでは「樹脂ボンディング」とも呼ばれる)により適用されるのが好ましい。本発明によれば、業界に認められたプロセスにより、様々な化学結合剤を繊維状ウェブに適用することができる。有用な化学結合剤としては、アクリル、ビニルアクリル、アセテート/エチレン、ポリビニルアセテート、ポリウレタン等が挙げられるがこれらに限られるものではない。化学バインダーを用いるときは常に、伸張非破断性ステープルファイバーおよび/または繊維状ウェブを含むバインダーファイバーに親和性があり、容易に結合されるものでなければならない。
【0067】
化学結合剤は、アクリルを組み込んだラテックス、スチレン/ブタジエンゴム、酢酸ビニル/エチレン、酢酸ビニル/アクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、酢酸ビニル、アクリル/酢酸ビニル、スチレン/アクリル等を含む水系化学バインダーが挙げられるがこれらに限られるものではない。これらの水系化学バインダーは、巻き線ロッド、リバースロール、エアナイフ、直接およびオフセットグラビア、従動ブレード、印刷ボンド、フォームおよびスプレーコーティング方法をはじめとする好適なコーティング方法を用いて、約20%〜約50%固体で繊維状ウェブに適用されるのが一般的である。
【0068】
本発明による化学結合剤の具体例としては、ローム&ハース(ペンシルバニア州、フィラデルフィア)製の商品名RHOPLEX E−3636およびE−3522(それぞれ約50%固体のスチレン/アクリルラテックスバインダー)、PHOPLEX E−2559(約52%固体のアクリルラテックスバインダー)、Mallard Creekポリマー(ノースカロライナ州、シャーロット)の型番4402(約50%固体のスチレン/ブタジエンゴムラテックス)およびナショナルスターチ(ニュージャージー州、ブリッジウォーター)製ナショナルスターチNo.78−6283(約45%固体のアクリル/酢酸ビニルコポリマーラテックス)(ナショナルスターチNo.78−6283)が挙げられるがこれらに限られるものではない。
【0069】
化学結合剤は、本発明の不織シート材料やテープにより示されるような引張り強さや引裂き特性のような所望の特性を与えるのに十分な量で適用される。しかしながら、化学結合剤の量は、使用目的に応じて変えることができる。例えば、不織シート材料の強度を増大するためにはより多くの化学結合剤を適用し、材料のハンドを低くする(すなわち、馴染み易さを改善する)ためにはバインダーを少なく用いる。
【0070】
通常、繊維状ウェブを化学結合剤で飽和して、本発明の不織シート材料およびテープを形成するときは、繊維状ウェブにおける乾燥後の化学結合剤の量は約10g/m2〜約50g/m2、好ましくは約15g/m2〜約40g/m2である。これに関して、繊維状ウェブを含むファイバー対繊維状ウェブに組み込まれる化学結合剤の重量比は約5:1〜約1:5、より好ましくは約3:1〜約1:3、最も好ましくは約2:1〜1:2であるのが好ましい。
【0071】
上述した通り、本発明による材料/テープバッキングの製造方法には、繊維状ウェブの樹脂ボンディング、パターンエンボス加工および平滑ロールカレンダ加工が含まれる。一実施形態において、これらの工程の好ましい順序は、パターンエンボス加工、平滑ロールカレンダ加工および樹脂ボンディングである。本発明のさらに別の実施形態において、平滑ロールカレンダ加工工程は最初に実施される。次に、パターンエンボス加工工程または樹脂ボンディングが平滑ロールカレンダ加工工程に続く。意外なことに、これらの好ましい手順の工程により、直線の交差ウェブおよびダウンウェブの引裂きを犠牲とすることなく、引張り強さおよびオーバーテーピングの改善された材料/テープバッキングが得られることが分かった。例えば、パターンエンボス加工、樹脂ボンディングおよび平滑ロールカレンダ加工という順序の方法、あるいは、パターンエンボス加工と樹脂ボンディングのみの方法に比べて上記の順序の工程のうち一つを用いてもこれらの特性は全て改善されることが意外にも分かった。
【0072】
本発明による繊維状ウェブはまた任意で、低接着バックサイズ(LAB)のような水系剥離コーティングを、化学結合剤と本質的に同時に、または化学結合剤をウェブに組み込んだ後に組み込むことができる。好ましい使用可能なLABは、米国特許第4,973,513号に挙げられたようなものであり、同特許に記載された方法により適用される。化学結合剤および任意でLABを適用した後、接触乾燥、空気循環オーブン、衝突オーブン、空気流通オーブン等のような適正な乾燥手段を用いて繊維状ウェブを乾燥する。
【0073】
テープ
繊維状ウェブを樹脂ボンドし、平滑ロールカレンダ加工し、パターンエンボス加工して、本発明の不織シート材料形成後、シート材料を搬送のためにロールに巻き付けるか、後に接着剤、または標準医療テープ、マスキングテープ等のようなテープを形成するのに用いるその他の適切なコーティングを適用するために多層ラミネートとする。この代わりに、不織シート材料は直接接着剤コーターに運んで、個々のテープロールにスリットを入れてもよい。
【0074】
好ましくは、不織シート材料に感圧接着剤層をコートして、本発明によるテープを形成する。これに関して、不織シート材料に適用される感圧接着剤は、溶剤系、水系またはホットメルト接着剤としてよい。好適な接着剤および適用方法は、例えば、米国特許第2,708,192号(フェノール硬化ゴム系接着剤)、米国再発行特許第24,906号(水系および溶剤系接着剤)および米国特許第4,833,179号(ホットメルト接着剤)に記載されている。
【0075】
一実施形態において、本発明の不織シート材料に、水分感受性がなく、接着剤を蓄積させることなく、高いコンプライアンスおよび高剪断力のような接着剤特性の優れたバランスを示す高固体ラテックス感圧接着剤をコートする。例えば、これらのタイプの接着剤の通常の調製方法については、米国特許第5,521,229号および第5,624,973号(両方ともLuら)および欧州特許第554 832 B号(Crandallら)を参照のこと。好ましい感圧接着剤の特徴および利点は、少なくともその一部は、ラテックス処方に存在する重合性界面活性剤と低分子量の疎水性ポリマーによるものである。
【0076】
本発明の不織シート材料にコートされる好ましいラテックス感圧接着剤は、水、アクリレートおよびビニルモノマーと、イオン性共重合性界面活性剤、任意の連鎖移動剤、任意の架橋剤および疎水性ポリマーの混合物を乳化することにより生成される。このエマルジョンを窒素雰囲気下で攪拌しながら加熱し、一部を開始剤で処理して温度制御を維持する。反応混合物を加熱し、反応が完了するまで攪拌する。得られるアクリルラテックスを、当業者に知られた様々な通常の方法に従ってコートする。
【0077】
ラテックス感圧接着剤のアクリレートモノマー成分はC4〜C12のアルキルエステルアクリレートモノマーを含むのが好ましい。好適なアルキルエステルアクリレートモノマーとしては、n−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレートおよびこれらの混合物が挙げられるがこれらに限られるものではない。
【0078】
さらに、アクリレートモノマーと結合されるビニルモノマーは、好ましくは、1)ビニルエステル(ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート等を包含するが、これらに限られるものではない)、2)(メソ)アクリル酸のC1〜C4のアルキルエステル(メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート等を包含するが、これらに限られるものではない)、3)スチレンおよびこれらの混合物を含む。
【0079】
有用な共重合性親水性酸性モノマーとしては、エチレン化不飽和カルボン酸、エチレン化不飽和スルホン酸、エチレン化不飽和リン酸およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限られるものではない。かかる化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、マレイン酸、β−カルボキシエチルアクリレート、2−スルホエチルメタクリレート、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルホスホン酸等が例示されるが、これらに限られるものではない。所望であれば、これらのモノマーの様々な組み合わせを用いることができる。強化(メソ)アクリレート感圧接着剤における利用可能性および有効性からして、好ましい親水性酸性モノマーはエチレン化不飽和カルボン酸、最も好ましくはアクリル酸である。
【0080】
好ましいラテックス感圧接着剤において有用な共重合性イオン性界面活性剤としては、WO第89/12618号に記載されたようなものが例示されるが、これらに限られるものではない。そこに記載された界面活性剤は、アルファ−ベータエチレン不飽和基を含有する疎水性部分と、ポリ(アルキレンオキシ)セグメントおよびイオン性セグメントを含有する親水性部分とを有している。好ましい共重合性界面活性剤は、MAZON SAM−211界面活性剤(PPGインダストリー、エチレンポリアルコキシアンモニウムサルフェート、アルコキシ基の数が約5〜約25、代表的なものは約15〜約20個のエトキシ基を有している)である。
【0081】
ラテックス感圧接着剤は任意でさらに、これらに限られるものではないが、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、ポリ(ブタジエン)ジアクリレート、ポリウレタンジアクリレートおよびトリメチロールプロパントリアクリレートといったジアクリレート、トリアクリレートおよびテトラアクリレートのような多官能性アクリレート;4−アクリルオキシベンゾフェノン;ジビニルベンゼン;およびこれらの混合物をはじめとする架橋剤を含む。また、四臭化炭素、メルカプタン、アルコールおよびこれらの混合物のような任意の連鎖移動剤を含めてもよい。
【0082】
上述した通り、好ましいラテックス感圧接着剤は低分子量疎水性ポリマーを含む。本明細書で用いる「疎水性ポリマー」という用語は、水不溶性のポリマーのことをいう。有用な疎水性ポリマーの平均分子量は約400〜約50,000、好ましくは約500〜約20,000、最も好ましくは約600〜約10,000である。有用な低分子量非共重合性疎水性ポリマーとしては、ハーキュレスケミカルズより入手可能なPICCOLASTIC A75、D125およびD150のようなポリスチレン樹脂;ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)樹脂;ポリブタジエン;ポリ(アルファ−メチルスチレン);ブタジエン−ブチレンブロックコポリマー;およびハーキュレスより入手可能なFORAL85および105のようなロジンエステルおよびこれらの混合物からなる群より選択されるものが例示されるが、これらに限られるものではない。
【0083】
本発明の接着剤のコートされたテープは、ロールを使い易いようテープの巻き付けを促すために、テープの接着剤の付いていない側にコートされた低接着バックサイズ(LAB)のような、接着剤層をカバーする剥離可能なライナまたは剥離コーティングも用いるのが好ましい。テキスタイル業界における通常のコーティング方法を用いてLABコーティングをテープの接着剤の付いていない側に適用するのが好ましい。
【0084】
LABは水系組成物を含むのが好ましいが、ポリビニルカーバメートのような溶剤系材料もまた有用である。水系LABの好適な成分としては、ポリエチレン、フルオロケミカル、アクリレート、シリコーン、ビニルコポリマーおよびこれらのポリマーとその他のポリマーの組み合わせが挙げられるが、これらに限られるものではない。例えば、本発明のテープに有用な許容されるLABは、米国特許第4,728,571号、米国特許第4,973,513号に記載されている水系LABである。
【0085】
出願人は、シートまたはテープの交差ウェブ方向に容易に引裂き可能(破断可能)で、使用に際しては馴染み易い、本質的に非破断性のファイバーを含む不織シート材料およびそれから形成されたテープを発明した。さらに、これらの材料およびテープは、向上した引張り強さ、引裂き性、向上したオーバーテーピングおよびダウンウェブ方向と交差ウェブ方向の両方について均一な強度をはじめとする数多くのその他の利点のある特性も示す。
【0086】
一般に、不織シート材料またはテープはある特性を他の特性のために犠牲にしなければならない。例えば、交差ウェブ方向に引裂き可能なテープ(カテゴリIのテープ)を得るためには、特に、全体のテープ強度を妥協しなければならない。同様に、良好な引張り強さを有するテープ(カテゴリIIのテープ)を得るためには、引裂き性が、そして多くの場合馴染み易さも失われる。このように、カテゴリIおよびIIのテープはその用途が限定されることが多い。これに対して、本発明の不織シート材料およびテープは、強固で馴染みやすく、容易に引裂き可能なテープが必要とされるヘルスケア分野およびその他分野に広く用いられる。特に、本発明の不織シート材料およびテープは、代表的なカテゴリIIの材料のハンドによる(すなわち馴染み易さ)ダウンウェブと交差ウェブ方向の引張り強さの利点と、代表的なカテゴリIの材料のダウンおよび交差ウェブ方向の引裂きの利点とを組み合わせて、ヘルスケア分野、運動競技およびその他分野において、広い適応性を備えた材料を与えるものである。
【0087】
本発明の不織シート材料またはテープの特別な引裂き特性は、以下の実施例に詳述した試験手順により評価される。
【実施例】
【0088】
本発明を、以下の実施例によりさらに例証する。ただし、これは本発明の範囲を限定することを意図するものではない。実施例における部、比率、パーセンテージは全て、特に断らない限り、重量基準である。
【0089】
試験プロトコル
引張り強さ
Thwing−Albert(ペンシルバニア州、フィラデルフィア)よりTHWING−ALBERT試験機型番EJA/2000という商品名で市販されているメータ、幅2.54cmの試料、ゲージ長12.7cmおよびクロスヘッド速度12.7cm/分を用いて、ASTM試験方法No.D3759−83を実施した。試験した各試料について記録されたのは、破断時の引張り値を得るための試験試料に与えた最大の力である。
【0090】
ハンド
不織シート材料試料のグラムでの合計ハンド測定により、試料のドレープ/馴染み易さの尺度とする。比較的高いハンド値の材料は剛性で馴染みやすくない。逆に、比較的低いハンド値は柔らかく馴染み易い材料である。本発明の試料について記録されたハンド値は、THWING−ALBERT HANDLE−O−METER型番No.211−300(Thwing−Albertインスツルメント(ペンシルバニア州、フィラデルフィア))を用いて、型番No.211−300に添付の説明書に記載された手順に従って得られた。ハンド測定の全てを、約20cm平方のシート材料で実施した。
【0091】
オーバーテーピング
5.08−cm×25.4−cmの一連の「ボトム」接着テープ片を、接着剤側を下にして、この片を10−kgのローラにより1回前後に転がしながら清浄なPlexiglas水平台に結合した。2.54−cm×25.4−cmの一連の「トップ」接着テープ片(「ボトム」と同じロットの試料から取った)を、接着剤側を下にして、テープ片の一連の「ボトム」の上部に配置した。トップ片を、ボトム片から2.54cm超えるようにしてボトム片の幅にかかるようにして並べて中心に配置した。3グラムの重りを、トップ片の延びた各端部に取り付けて、ローラにより片を1回前後に転がした。ボトムテープ片の裏側から剥離ラインがPlexiglas台のゼロのマークに到達するまで、各トップテープ片の秤量した端部を引っ張った。台を、40℃/75%の相対湿度の一定温度および湿度の部屋に移し、重りが自由に吊り下げられるよう垂直から20度上げて配置した。1時間後、固定された「ボトム」テープ片から剥された「トップ」テープ片の距離を、接着テープ試料についての「オーバーテーピング」値として記録した。
【0092】
引裂き性
交差方向引裂き試験
7.6−cm(交差方向)×10.2−cm(機械方向)のバッキングまたはテープ試料を1.3cm以下の間隔で各手の親指と人差し指で長さ10.2−cmの中心に保持した。手を互いに逆の方向に、そして試料の交差方向平面に垂直に動かして、試料の端部まで伝搬するまで試料を引裂いた。引裂きの伝搬速度は1秒当たり約7.6cmと考えられた。メートル定規を用いて直線から逸れた引裂きの最大距離を(ミリメートルで)測定した。
【0093】
機械方向引裂き試験
7.6−cm(交差方向)×30.5−cm(機械方向)のバッキングまたはテープ試料を1.3cm以下の間隔で各手の親指と人差し指で長さ7.6−cmの中心に保持した。手を互いに逆の方向に、そして試料の機械方向平面に垂直に動かして、試料の端部まで伝搬するまで試料を引裂いた。引裂きの伝搬速度は1秒当たり約7.6cmと考えられた。メートル定規を用いて直線から逸れた引裂きの最大距離を(ミリメートルで)測定した。
【0094】
カード不織ウェブ(ウェブA)
以下の実施例において出発材料として用いられたカード不織ウェブを、Hergeth−Hollingsworth(ドイツ、Duelman)よりHERGETH RANDOM−CARDという商品名で市販されている機械で通常の不織ウェブ形成技術を用いて作成した。ファイバーブレンドは次のものを含んでいた。
60%ポリエチレンテレフタレート(PET)ステープルファイバー(0.95デニール×3.8cm、L−70、ヘキストセラニーズ、サウスカロライナ州、Spartannburg)、
20%レーヨンステープルファイバー(1.5デニール×4.0cm、Merge8649、Lenzing、ノースカロライナ州、シャーロット)、および
20%二成分PETサーマルボンディングファイバー(2.0デニール×3.8cm、T−254、ヘキストセラニーズ、サウスカロライナ州、Spartannburg)。
得られたカード不織ウェブのファイバー秤量は30g/m2であり、以下の実施例では「ウェブA」と呼ばれるものである。
【0095】
カード不織ウェブ(ウェブB)
以下の実施例において出発材料として用いられた他のカード不織ウェブを、Hergeth Random−Cardマシン(Hergeth−Hollingsworth(ドイツ、Duelman))で通常の不織ウェブ形成技術を用いて作成した。ファイバーブレンドは次のものからなっていた。
60%ポリエチレンテレフタレート(PET)ステープルファイバー(0.95デニール×3.8cm、L−70、ヘキストセラニーズ、サウスカロライナ州、Spartannburg)、
20%ポリプロピレンステープルファイバー(2.2デニール×4.0cm、ハーキュレスT−196、デラウェア州、ウィルミントン)、および
20%二成分PETサーマルボンディングファイバー(2.0デニール×3.8cm、T−254、ヘキストセラニーズ、サウスカロライナ州、Spartannburg)。
得られたカード不織ウェブのファイバー秤量は30g/m2であり、以下の実施例では「ウェブB」と呼ばれるものである。
【0096】
カード不織ウェブ(ウェブC)
以下の実施例において出発材料として用いられた他のカード不織ウェブを、Hergeth−Hollingsworth(ドイツ、Duelman)よりHERGETH RANDOM−CARDという商品名で市販されている機械で通常の不織ウェブ形成技術を用いて作成した。ファイバーブレンドは次のものを含んでいた。
78%ポリエチレンテレフタレート(PET)ステープルファイバー(1.0デニール×3.8cm、T−121、ヘキストセラニーズ、サウスカロライナ州、Spartannburg)、および
22%二成分PETサーマルボンディングファイバー(2.0デニール×5.1cm、K−52、Konamatsu
得られたカード不織ウェブのファイバー秤量は23g/m2であり、以下の実施例では「ウェブC」と呼ばれるものである。
【0097】
比較例A(プロセスシーケンスPR、彫刻パターンA)
約12.2m/分の速度で2本ロール加熱カレンダステーション(エネルギーソリューションズ、ミネソタ州、セントポール製)に搬送され、表1の処理条件を用いてパターンエンボス加工された(プロセス工程−P)不織カードウェブAを用いて比較例A(C.A)を作成した。カレンダステーションは、直径25.4−cm×幅55.9−cmの平滑鋼ロールを下方に配置し、彫刻のあるパターン(パターンA)を有する直径25.4−cm×幅55.9−cmの鋼ロールを上方に配置するようにしてセットアップした。彫刻のあるパターンA(図6に示したパターン60)のボンド領域は11.5%で、交差方向に0.356mm、機械方向に1.067mm離れた0.914−mm(交差方向65)×0.203−mm(機械方向63)の矩形形状の凹部62からなっていた。
【0098】
パターンエンボス加工したウェブを続いて、約12.1m/分の速度および約0.41N/mm2のニップ圧力でグラビアコーティングステーションに通過させることにより、1%の消泡剤(消泡Bシリコーンエマルジョン、ダウコーニング、ミシガン州、ミッドランド)を含有する37.5%固体のアクリルビニルアセテートコポリマーラテックス(製品番号78−6283、ナショナルスターチ、ニュージャージー州、ブリッジウォーター;水道水で希釈された45%固体)で樹脂ボンド(プロセス工程R)した。グラビアコーターは、直径20.3−cm×幅61−cmのスレッデッドゴムロールを上方に配置し、直径20.3−cm×幅61−cmの16ライン/cmの三重螺旋パターン鋼ロール(ノーザンエングレービング、ウィスコンシン州、グリーンベイ)を下方に配置するようにしてセットアップした。得られた不織シート材料を、約12.3m/分の速度で188℃のオーブンに通過させることにより乾燥し、7.62−cmの厚紙芯に集めた。
【0099】
比較例B(プロセスシーケンスPRS、彫刻パターンA)
不織カードウェブAを、表1に挙げたパターンエンボス加工条件を用い、比較例Aに記載された通りに、パターンエンボス加工し、樹脂ボンドした。乾燥した不織シート材料を、表1に挙げたプロセス条件を用いて、平滑ロールカレンダ加工(プロセス工程−S)した。カレンダステーションを、上方に配置された彫刻のあるロールの代わりに、綿布で覆われた平滑鋼ロールでセットアップした以外は、比較例Aに記載したパターンエンボス加工工程と同様に平滑ロールカレンダ加工プロセス工程を行った。得られた不織シート材料を7.62−cmの厚紙芯に集めた。
【0100】
実施例1および2(プロセスシーケンスPSR、彫刻パターンA)
不織カードウェブAを、表1に挙げた処理条件を用いて、比較例Aに記載された通りパターンエンボス加工し、次に、表1に挙げた処理条件を用いて比較例Bに記載されたように平滑ロールカレンダ加工した。得られた不織シート材料を、比較例Aに記載した通りに、樹脂ボンドし、オーブン中で乾燥し、7.62−cmの厚紙芯に集めた。他の不織シート材料を実施例2に示したのと同じやり方で作成した。
【0101】
実施例3(プロセスシーケンスSPR、彫刻パターンA)
不織カードウェブAを、表1に挙げた処理条件を用いて、比較例Bに記載された通り平滑ロールカレンダ加工し、次に、表1に挙げた処理条件を用いて比較例Aに記載されたようにパターンエンボス加工した。得られた不織シート材料を、比較例Bに記載した通りに、樹脂ボンドし、オーブン中で乾燥し、7.62−cmの厚紙芯に集めた。
【0102】
実施例4(プロセスシーケンスSRP、彫刻パターンA)
不織カードウェブAを、表1に挙げた処理条件を用いて、比較例Bに記載された通り平滑ロールカレンダ加工し、次に、比較例Aに記載されたように樹脂ボンドし、オーブン中で乾燥した。得られた不織シート材料を、表1に挙げた処理条件を用いて比較例Aに記載した通りにパターンエンボス加工し、7.62−cmの厚紙芯に集めた。
【0103】
比較例C(プロセスシーケンスPR、彫刻パターンA)
表1に挙げたパターンエンボス加工条件を用い、比較例Aに記載された通りに、パターンエンボス加工し、樹脂ボンドした不織カードウェブAを用いて、比較例C(C.C)を作成した。得られた不織シート材料を7.62−cmの厚紙芯に集めた。
【0104】
比較例D(プロセスシーケンスPR、彫刻パターンB)
彫刻パターンAの代わりに彫刻パターンB(図7に示すパターン70)を用いた以外は、表1に挙げたパターンエンボス加工条件を用い、比較例Aに記載された通りに、パターンエンボス加工し、樹脂ボンドした不織カードウェブCを用いて、比較例D(C.D)を作成した。彫刻パターンBのボンド領域は29.4%で、交差方向75と機械方向73のそれぞれについて互いに直角を成す一連の隆起した連続ライン要素72および72’からなっていた。このいわゆる「ボックスパターン」については米国特許第5,496,603号(Riedelら)に記載されている。得られた不織シート材料を7.62−cmの厚紙芯に集めた。
【0105】
比較例E(プロセスシーケンスPRS、彫刻パターンA)
不織カードウェブAを、ゴム製の材料の代わりに綿布で覆われた平滑鋼ロールを用いた以外は、表1に挙げた処理条件を用いて、比較例Bに記載された通りに、パターンエンボス加工、樹脂ボンドおよび平滑ロールカレンダ加工した。得られた不織シート材料をオーブン中で乾燥し、7.62−cmの厚紙芯に集めた。
【0106】
実施例5(プロセスシーケンスRSR、彫刻パターンA)
不織カードウェブAを、ゴム製の材料の代わりに綿布で覆われた平滑鋼ロールを用いた以外は、表1に挙げた処理条件を用いて、実施例2に記載された通りに、パターンエンボス加工、平滑ロールカレンダ加工および樹脂ボンドした。得られた不織シート材料をオーブン中で乾燥し、7.62−cmの厚紙芯に集めた。
【0107】
実施例6(プロセスシーケンスSPR、彫刻パターンA)
不織カードウェブAを、ゴム製の材料の代わりに綿布で覆われた平滑鋼ロールを用いた以外は、表1に挙げた処理条件を用いて、実施例3に記載された通りに、平滑ロールカレンダ加工、パターンエンボス加工および樹脂ボンドした。得られた不織シート材料をオーブン中で乾燥し、7.62−cmの厚紙芯に集めた。
【0108】
実施例7(プロセスシーケンスSRP、彫刻パターンA)
不織カードウェブAを、ゴム製の材料の代わりに綿布で覆われた平滑鋼ロールを用いた以外は、表1に挙げた処理条件を用いて、実施例4に記載された通りに、平滑ロールカレンダ加工、パターンエンボス加工および樹脂ボンドした。得られた不織シート材料をオーブン中で乾燥し、7.62−cmの厚紙芯に集めた。
【0109】
実施例8(プロセスシーケンスSPR、彫刻パターンC)
不織カードウェブAを、彫刻パターンAの代わりに彫刻パターンC(上述した通り、図2に示す)を用い、ゴム製の材料の代わりに綿布で覆われた平滑鋼ロールを用いた以外は、表1に挙げた処理条件を用いて、実施例3に記載された通りに、平滑ロールカレンダ加工、パターンエンボス加工および樹脂ボンドした。彫刻パターンCのボンド領域は18.6%であり、交差方向と機械方向の両方に配列された矩形形状の凹部からなっていた。得られた不織シート材料をオーブン中で乾燥し、7.62−cmの厚紙芯に集めた。
【0110】
実施例9(プロセスシーケンスSPR、彫刻パターンD)
不織カードウェブAを、彫刻パターンAの代わりに彫刻パターンD(上述した通り、図3に示す)を用い、ゴム製の材料の代わりに綿布で覆われた平滑鋼ロールを用いた以外は、表1に挙げた処理条件を用いて、実施例3に記載された通りに、平滑ロールカレンダ加工、パターンエンボス加工および樹脂ボンドした。彫刻パターンDのボンド領域は20.5%であり、交差方向横列と機械方向縦列に配列されたプラス形状の凹部からなっていた。得られた不織シート材料をオーブン中で乾燥し、7.62−cmの厚紙芯に集めた。
【0111】
実施例10(プロセスシーケンスSPR、彫刻パターンE)
不織カードウェブAを、彫刻パターンAの代わりに彫刻パターンE(上述した通り、図1に示す)を用いた以外は、表1に挙げた処理条件を用いて、実施例3に記載された通りに、平滑ロールカレンダ加工、パターンエンボス加工および樹脂ボンドした。彫刻パターンEのボンド領域は15.4%であり、交差方向横列と機械方向縦列に配列された細長いクロス形状の凹部からなっていた。得られた不織シート材料をオーブン中で乾燥し、7.62−cmの厚紙芯に集めた。
【0112】
実施例11(プロセスシーケンスSPR、彫刻パターンF)
不織カードウェブAを、彫刻パターンAの代わりに彫刻パターンF(上述した通り、図4に示す)を用い、ゴム製の材料の代わりに綿布で覆われた平滑鋼ロールを用いた以外は、表1に挙げた処理条件を用いて、実施例3に記載された通りに、平滑ロールカレンダ加工、パターンエンボス加工および樹脂ボンドした。彫刻パターンFのボンド領域は16.0%であり、交差方向横列と機械方向縦列に配列された交互の矩形形状およびプラス形状の凹部からなっていた。得られた不織シート材料をオーブン中で乾燥し、7.62−cmの厚紙芯に集めた。
【0113】
実施例12(プロセスシーケンスSRP、彫刻パターンF)
不織カードウェブAを、彫刻パターンAの代わりに彫刻パターンF(実施例12に記載、図4に示す)を用い、ゴム製の材料の代わりに綿布で覆われた平滑鋼ロールを用いた以外は、表1に挙げた処理条件を用いて、実施例4に記載された通りに、平滑ロールカレンダ加工、樹脂ボンドおよびパターンエンボス加工した。また、アクリルビニルアセテートコポリマーラテックスバインダー(製品No.78−6283)を、アクリルスチレンコポリマーラテックスバインダー(製品No.E−3636、ローム&ハース、ペンシルバニア州、フィラデルフィア;水で希釈された50%固体)の代わりに用いた。得られた不織シート材料をオーブン中で乾燥し、7.62−cmの厚紙芯に集めた。
【0114】
【表1】

【0115】
比較例FおよびGおよび実施例13〜16
接着テープ
比較例AおよびBおよび実施例1〜4に記載した不織シート材料をそれぞれ比較例FおよびGおよび実施例13〜16の接着テープに変換した。不織シート材料の平滑な側を、ポリマーイソオクチルアクリレート/酢酸ビニル/アクリル酸/D−125ポリスチレン樹脂(ハーキュレスケミカルズ))(89/6/3/2)から構成されたエマルジョン感圧接着剤(PSA)28g/m2でコートした。この接着剤の調製については欧州特許第554 832 B号に記載されている。シート材料のパターンエンボス加工側を、ポリビニルアルコールおよびオクタデシルイソシアネート(米国特許第3,121,021号に記載)の反応生成物から構成されたウレタン低接着バックサイド(LAB)2g/m2でコートした。
【0116】
評価
実施例1〜4および比較例AおよびB
比較例AおよびBおよび実施例1〜4に記載した不織シート材料を適正な試料サイズに切断し、破断時引張り強さおよびハンドについて評価した(機械方向および交差方向)。結果を表2に示してある。これらの例の不織シート試料は全て、手で引裂き可能で、ほつれが最小で交差ウェブ方向およびダウンウェブ方向にきれいな直線で引裂かれたのが観察された。
【0117】
【表2】

【0118】
実施例5〜12および比較例C、DおよびE
比較例C、DおよびEおよび実施例5〜12に記載した不織シート材料を適正な試料サイズに切断し、破断時引張り強さおよび引裂き性(機械方向および交差方向)について評価した(機械方向および交差方向)。結果を表3に示してある。
【0119】
【表3】

【0120】
実施例13〜16および比較例FおよびG
比較例FおよびGおよび実施例13〜16に記載した接着テープを適正な試料サイズに切断し、オーバーテーピングについて評価した。結果を表4に示してある。これらの例の接着テープ試料は全て、手で引裂き可能で、ほつれが最小で交差ウェブ方向にきれいな直線で引裂かれたのが観察された。
【0121】
【表4】

【0122】
結論
表2、3および4の試験結果から、本発明の手で引裂き可能な不織シート材料および接着テープ(全て樹脂ボンディング、パターンエンボス加工および平滑ロールカレンダ加工プロセス工程により作成されたもの)は、平滑ロールカレンダプロセス工程またはPRSプロセスシーケンスなしで作成された対応の材料(比較例A〜G)と比較したとき、改善された引張り強さおよび/またはオーバーテーピング特性を有していると結論できる。例えば、表2から、SRPおよびPSRプロセスシーケンスから作成されたシート材料が最も高い引張り強さを有していることが分かる。表4からは、SRP、SPRおよびPSRプロセスシーケンスを用いて作成されたシート材料からできた接着テープが全て優れたオーバーテーピング特性を有していることが分かる。
【0123】
表3の試験結果から、本発明の手で引裂き可能な不織シート材料および接着テープが交差方向、機械方向または両方向に非常に真っ直ぐに引き裂かれるように彫刻の付いたパターンをデザインできると結論できる。さらに、ボンディング工程のシーケンスを変えると、平滑ロールカレンダ加工プロセス工程なしで作成した対応の材料(比較例CおよびD)と比較したとき改善された引張り強さ特性を与えることができる。例えば、彫刻パターンAの不織シート材料(表3)を、SRPプロセスシーケンスで作成したシート材料と比べると、最も高い引張り強さを有していた。
【0124】
比較例H(プロセスシーケンスPR、彫刻パターンG)
不織カードウェブAを、約13m/分の速度で2本ロール加熱カレンダステーション(エネルギーソリューションズ、ミネソタ州、セントポール製)に搬送し、表5の処理条件を用いてパターンエンボス加工した(プロセス工程−P)。カレンダステーションは、直径25.4−cm×幅55.9−cmの平滑鋼ロールを下方に配置し、彫刻のあるパターン(パターンG)を有する直径25.4−cm×幅55.9−cmの鋼ロールを上方に配置するようにしてセットアップした。彫刻のあるパターンG(図6に示した)のボンド領域は12%で、交差方向に0.5mm、機械方向に1mm離れた0.8−mm(交差方向)×0.5−mm(機械方向)の矩形形状の凹部からなっていた。パターンエンボス加工したウェブを続いて、表5に挙げた条件でグラビアコーティングステーションに通過させることにより、0.5%の消泡剤(消泡Bシリコーンエマルジョン、ダウコーニング、ミシガン州、ミッドランド)および0.5%の界面活性剤(TRITON GR−5、ユニオンカーバイド、コネチカット州、Canbury)を含有する25%固体のアクリルビニルアセテートコポリマーラテックス(製品番号78−6283、ナショナルスターチ、ニュージャージー州、ブリッジウォーター;水道水で希釈された45%固体)で樹脂ボンド(プロセス工程R)した。グラビアコーターは、直径20.3−cm×幅61−cmのスレッデッドゴムロールを上方に配置し、直径20.3−cm×幅61−cmの16ライン/cmの三重螺旋パターン鋼ロール(ノーザンエングレービング、ウィスコンシン州、グリーンベイ)を下方に配置するようにしてセットアップした。得られた不織シート材料を、表5に挙げた条件でオーブンに通過させて乾燥し、7.62−cmの厚紙芯に集めた。
【0125】
実施例17(プロセスシーケンスSPR、彫刻パターンG)
不織カードウェブAを、約13m/分の速度で2本ロール加熱カレンダステーション(エネルギーソリューションズ、ミネソタ州、セントポール製)に搬送し、表5の処理条件を用いて平滑ロールカレンダ加工した(プロセス工程−S)。カレンダステーションを、上方に配置された彫刻のあるロールの代わりに、平滑鋼ロール(直径25.4cm×幅55.9cm)でセットアップした以外は、比較例Hに記載したパターンエンボス加工工程と同様にこの工程を行った。得られた不織シート材料を、表5に挙げたパターンエンボス加工条件を用い、比較例Fに記載された通りに、パターンエンボス加工し、樹脂ボンドした。得られた不織シート材料を7.62−cmの厚紙芯に集めた。
【0126】
比較例I(プロセスシーケンスPR、彫刻パターンA)
不織カードウェブBを、約13m/分の速度で2本ロール加熱カレンダステーション(エネルギーソリューションズ、ミネソタ州、セントポール製)に搬送し、表5の処理条件を用いてパターンエンボス加工した(プロセス工程−P)。カレンダステーションは、直径25.4−cm×幅55.9−cmの平滑鋼ロールを下方に配置し、彫刻のあるパターン(パターンA)を有する直径25.4−cm×幅55.9−cmの鋼ロールを上方に配置するようにしてセットアップした。彫刻のあるパターンA(図6に示した)のボンド領域は11.5%で、交差方向に0.35mm、機械方向に1.067mm離れた0.91−mm(交差方向)×0.203−mm(機械方向)の矩形形状の凹部からなっていた。パターンエンボス加工したウェブを、続いて、表5に挙げた条件で、比較例Hに記載された通りに樹脂ボンドした。グラビアコーターは、直径20.3−cm×幅61−cmのスレッデッドゴムロールを上方に配置し、直径20.3−cm×幅61−cmの16ライン/cmの三重螺旋パターン鋼ロール(ノーザンエングレービング、ウィスコンシン州、グリーンベイ)を下方に配置するようにしてセットアップした。得られた不織シート材料を、表5に挙げた条件でオーブンに通過させて乾燥し、7.62−cmの厚紙芯に集めた。
【0127】
実施例18(プロセスシーケンスSPR、彫刻パターンA)
不織カードウェブAを、表5に挙げた条件を用い、実施例17に記載された通りに平滑ロールカレンダ加工した。このウェブを、続いて、表5に挙げた条件を用い、比較例Iに記載された通りにパターンエンボス加工した。得られた不織シート材料を7.62−cmの厚紙芯に集めた。
【0128】
実施例19(プロセスシーケンスSPR、彫刻パターンA)
不織カードウェブBを、表5に挙げた条件を用い、実施例17に記載された通りに平滑ロールカレンダ加工した。このウェブを、続いて、表5に挙げた条件を用い、比較例Iに記載された通りにパターンエンボス加工した。次に、カレンダエンボス加工したウェブを続いて、表5に挙げた条件でグラビアコーティングステーションに通過させることにより、0.5%の消泡剤(消泡Bシリコーンエマルジョン、ダウコーニング、ミシガン州、ミッドランド)および0.5%の界面活性剤(Triton GR−5、ユニオンカーバイド、コネチカット州、Canbury)を含有する25%固体のアクリルポリマー溶液(E−3522、ローム・アンド・ハース、ペンシルバニア州、フィラデルフィア;脱イオン水で希釈された52%固体)で樹脂ボンド(プロセス工程R)した。グラビアコーターは、直径20.3−cm×幅61−cmのスレッデッドゴムロールを上方に配置し、直径20.3−cm×幅61−cmの16ライン/cmの三重螺旋パターン鋼ロール(ノーザンエングレービング、ウィスコンシン州、グリーンベイ)を下方に配置するようにしてセットアップした。得られた不織シート材料を7.62−cmの厚紙芯に集めた。
【0129】
実施例20(プロセスシーケンスSRP、彫刻パターンA)
不織カードウェブBを、表5に挙げた処理条件を用いて、実施例17に記載された通り平滑ロールカレンダ加工し、次に、実施例19に記載されたように樹脂ボンドし、比較例Iに記載されたようにパターンエンボス加工した。得られた不織シート材料を7.62−cmの厚紙芯に集めた。
【0130】
【表5】

【0131】
比較例JおよびKおよび実施例21〜24
比較例JおよびKおよび実施例21〜24の多層ラミネートを、比較例HおよびIおよび実施例17〜20の不織シート材料から作成して、それぞれ比較例JおよびKおよび実施例21〜24とした。各多層ラミネートは、2枚の不織シート間にポリプロピレンフィルムを挟むことにより作成し、不織シート/タイ層/不織シートの配列とした。この3層試料を予熱されたCarverプレス(機械No.2824−1;Fred S.Carver、ウィスコンシン州、Menomonee Falls)のプラテン(15.2cm×15.2cm)の間に0.6MPaで30秒間、182℃で置いた。ポリプロピレンフィルム(0.4mmブローXBP−486.0;コンソリデーティッドフィルム(ウィスコンシン州、Chippewa Falls)より入手)は、2枚の不織シートをボンドするタイ層として機能した。
【0132】
評価
比較例JおよびKおよび実施例21〜24に記載した多層ラミネートを適正な試料サイズに切断し、破断時引張り強さおよび引裂き伝搬速度について評価した(機械方向および交差方向)。
【0133】
型番2511−105(実寸大範囲のアセンブリA40−41A)の45N荷重セルを備えた型番1122のインストロン引張り試験機(インストロン社、マサチューセッツ州、Canton)を用いて、引張り強さを測定した。全ての試験について、クロスヘッドスピード12.7m/分および5cmの空隙を用いた。12.7cm×1.27cmの試料を、コンディショニング環境で試験する前、少なくとも4時間一定温度(20℃)および湿度(50%)の条件でコンディショニングした。
【0134】
エルメンドルフ試験機(Thwing Albertインスツルメント、型番60−200)を用い、ASTM D1922に従ってMDとCDの両方向において引裂き試験を行った。6.35cm×6.35cmに切断した試料を、引張り強さ測定で記載した通りコンディショニングし、試験機のジョーに置いて、留めた。ペンデュラムを離す前に、初期のスリットを作成した。試験により、初期の切断より6.4mmを超えて引き裂かれないという要件で真っ直ぐな引き裂きを伝播させるのに必要な力を測定した。
【0135】
結果を表6に示してある。試料は全て、手で引裂き可能で、ほつれが最小で交差ウェブ方向にかなりきれいな直線で引裂かれたのが観察された。試料は全てマスキングテープのバッキングとして好適であった。剥がれたり、引き裂かれたりすることなく、乾燥した塗料から引き剥がすことのできる、十分な引張り強度を試料は有しており、塗料溶剤がバッキングを貫いて接着剤に浸透するのを防ぐために、十分ノンポーラスであった。
【0136】
【表6】

【0137】
結論
表6に示した試験結果によれば、本発明の手で引裂き可能な多層ラミネート(全て樹脂ボンディング、パターンエンボス加工および平滑ロールカレンダ加工プロセス工程により作成されたもの)は、平滑ロールカレンダプロセス工程なしで作成された対応のラミネート(比較例JおよびK)と比較したとき、改善された引張り強さを有していたことがわかる。例えば、実施例21は、CD方向に良好な手による引裂き性を維持しつつ、MD引張りにおいて比較例Jよりも20%増大を示した。
【0138】
これらの例から、カード不織ウェブファイバー、バインダー、接着剤の化学的性質およびコーティングの重量、そして特定の最終用途の目的に合わせた処理条件(ウェブ形成、カレンダ加工温度、カレンダロール材料およびパターン等)を適合させることにより広範囲な望ましい物理特性が得られるということが分かる。
【0139】
全ての特許、特許出願および公報の全ての開示内容は、それぞれ参考文献としてここに組み込まれる。上記の説明は例証のためであり、限定のためではないものと考えられる。
【0140】
本発明の様々な修正および変更は、本発明の範囲および技術思想から逸脱することなく前述の説明により当業者に明白であろう。本発明は本明細書に規定した例示のための実施形態に不当に限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面と第2の表面を有する不織バッキングと、前記バッキングの前記第1の表面にコートされた感圧接着剤とを含む感圧接着剤物品であって、
前記バッキングが繊維状ウェブにエンボス加工されたパターンを有し、前記エンボス加工されたパターンが、第2の方向の複数の凹部の縦列を形成するように並んだ、第1の方向の複数の凹部の少なくとも2つの横列からなる群より選択され、1つの縦列における2つの凹部間の距離が、第2の縦列における2つの凹部の間の距離、および第2の方向の複数の縦列の凹部を形成するように並んだ、第1の方向の複数の凹部の少なくとも2つの横列における2つの凹部の間の距離とは異なり、少なくとも1つの縦列における2つの凹部間の距離が前記第1の方向に沿って異なる感圧接着剤物品。
【請求項2】
第2の方向の複数の凹部の縦列を形成するように並んだ、第1の方向の複数の凹部の少なくとも2つの横列からなる群より選択される繊維状ウェブにエンボス加工されたパターンを有する不織シート物品であって、
1つの縦列における2つの凹部間の距離が、第2の縦列における2つの凹部の間の距離、および第2の方向の複数の縦列の凹部を形成するように並んだ、第1の方向の複数の凹部の少なくとも2つの横列における2つの凹部の間の距離とは異なり、少なくとも1つの縦列における2つの凹部間の距離が第1の方向に沿って異なる不織シート物品。
【請求項3】
前記繊維状ウェブが非破断性ステープルファイバー、バインダーファイバーおよび結合剤を含む、請求項1または2記載の物品。
【請求項4】
前記複数の凹部が前記バッキングの総表面積の約28%までである、請求項1または2記載の物品。
【請求項5】
前記バッキングの前記第2の表面にコートされた低接着バックサイズ組成物をさらに含む、請求項1記載の物品。
【請求項6】
前記バッキングの前記第1の表面にコートされた前記感圧接着剤に剥離ライナをさらに含む、請求項1記載の物品。
【請求項7】
前記複数の凹部の各々が、ダイアモンド、矩形、円、楕円、三角、「+」符号、「<」符号、「>」符号およびこれらの組み合わせからなる群より選択される形状である、請求項1または2記載の物品。
【請求項8】
第1の方向における2つの連続した凹部間の距離は約0.51mm〜約0.36mmであり、第2の方向における2つの連続した凹部間の距離は約0.51mm〜約0.36mmである、請求項1または2記載の物品。
【請求項9】
前記第1の方向および前記第2の方向はそれぞれ互いに実質的に法線である、請求項1または2記載の物品。
【請求項10】
横列における前記複数の凹部の各々が、交互の「+」符号と「−」符号とからなる群より選択される形状である、請求項1または2記載の物品。
【請求項11】
前記感圧接着剤が、ゴム系接着剤、水系接着剤、溶剤系接着剤、ホットメルト接着剤およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1記載の物品。
【請求項12】
前記複数の凹部の各々が「+」符号であり、前記複数の凹部が前記バッキングの総表面積の約15%〜約22%である、請求項1または2記載の物品。
【請求項13】
前記複数の凹部が「+」符号と「−」符号との組み合わせであり、前記複数の凹部が前記バッキングの総表面積の約15%〜約20%である請求項1または2記載の物品。
【請求項14】
前記複数の凹部が「−」符号と「|」符号との組み合わせであり、前記複数の凹部が前記バッキングの総表面積の約15%〜約22%である、請求項1または2記載の物品。
【請求項15】
前記複数の凹部が前記バッキングの総表面積の約15%〜約20%であるように、前記複数の凹部が「+」符号と「−」符号との組み合わせである、請求項1または2記載の物品。
【請求項16】
前記バッキングが第2の不織ウェブをさらに含む、請求項1記載の物品。
【請求項17】
伸張非破断性ステープルファイバーとバインダーファイバーの不規則に交錯した繊維状ウェブを形成する工程と、
第2の方向の複数の凹部の縦列を形成するように並んだ、第1の方向の複数の凹部の少なくとも2つの横列からなる群より選択されるパターンで前記繊維状ウェブをパターンエンボス加工する工程と、
前記パターンエンボス加工に続いて、前記繊維状ウェブに平滑なロールカンダ加工を施す工程と、
前記平滑ロールカレンダ加工に続いて、化学結合剤を用いて前記繊維状ウェブ全体を均一に内部結合する工程とを含み、
1つの縦列における2つの凹部間の距離が、第2の縦列における2つの凹部の間の距離、および第2の方向の複数の縦列の凹部を形成するように並んだ、第1の方向の複数の凹部の少なくとも2つの横列における2つの凹部の間の距離とは異なり、少なくとも1つの縦列における2つの凹部間の距離が前記第1の方向に沿って異なる不織シート材料の製造方法。
【請求項18】
伸張非破断性ステープルファイバーとバインダーファイバーの不規則に交錯した繊維状ウェブを形成する工程と、
前記繊維状ウェブに第1の平滑なロールカレンダ加工を施す工程と、
第2の方向の複数の凹部の縦列を形成するように並んだ、第1の方向の複数の凹部の少なくとも2つの横列からなる群より選択されるパターンで前記繊維状ウェブをパターンエンボス加工する工程と、
化学結合剤を用いて前記繊維状ウェブ全体を均一に内部結合する工程とを含み、
1つの縦列における2つの凹部間の距離が、第2の縦列における2つの凹部の間の距離、および第2の方向の複数の縦列の凹部を形成するように並んだ、第1の方向の複数の凹部の少なくとも2つの横列における2つの凹部の間の距離とは異なり、少なくとも1つの縦列における2つの凹部間の距離が前記第1の方向に沿って異なり、平滑ロールカレンダ加工がパターンエンボス加工または均一な内部結合工程の前に実施される不織シート材料の製造方法。
【請求項19】
前記内部結合工程が、前記繊維状ウェブに水系化学結合剤を注入する工程を含む請求項17および18記載の方法。
【請求項20】
前記水系化学結合剤が注入された前記繊維状ウェブを実質的に全ての水が除去されるまで乾燥する工程をさらに含む、請求項17および18記載の方法。
【請求項21】
前記繊維状ウェブの第1の表面に感圧接着剤層をコートする工程をさらに含む、請求項17および18記載の方法。
【請求項22】
前記繊維状ウェブの第2の表面に低接着バックサイズをコートする工程をさらに含む、請求項17および18記載の方法。
【請求項23】
前記繊維状ウェブの前記第1の表面の前記感圧接着剤が、前記繊維状ウェブの前記第2の表面の低接着バックサイズと接触するように前記繊維状ウェブをロールに巻き付ける工程をさらに含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
パターンエンボス加工の前に均一な内部結合を実施する、請求項18記載の方法。
【請求項25】
均一な内部結合の前にパターンエンボス加工を実施する、請求項18記載の方法。
【請求項26】
第1の不規則に交錯した繊維状ウェブを形成する工程と、
前記繊維状ウェブに平滑なロールカレンダ加工を施す工程と、
前記繊維状ウェブをパターンエンボス加工して、第1の方向と第2の方向とに複数の不連続の凹部を有するエンボス加工パターンを形成する工程と、
化学ボンディング剤を用いて前記繊維状ウェブ全体を均一に内部結合する工程と、感圧接着剤を前記繊維状ウェブの第1の表面にコートする工程とを含む感圧接着剤物品の製造方法であって、
前記感圧接着剤物品のオーバーテーピング値が約76mm未満である感圧接着剤物品の製造方法。
【請求項27】
第2の繊維状ウェブを前記第1の繊維状ウェブにラミネートする工程をさらに含む、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記繊維状ウェブの第2の表面に低接着バックサイズをコートする工程をさらに含む、請求項26記載の方法。
【請求項29】
前記繊維状ウェブのパターンエンボス加工が、前記繊維状ウェブの平滑ロールカレンダ加工および前記繊維状ウェブの均一な内部結合より前に生じる、請求項26記載の方法。
【請求項30】
前記繊維状ウェブの平滑ロールカレンダ加工が、前記繊維状ウェブのパターンエンボス加工および前記繊維状ウェブの均一な内部結合より前に生じる、請求項26記載の方法。
【請求項31】
前記繊維状ウェブの均一な内部結合が、前記繊維状ウェブのパターンエンボス加工より前に生じる、請求項29記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−32484(P2011−32484A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−232395(P2010−232395)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【分割の表示】特願2001−505633(P2001−505633)の分割
【原出願日】平成11年6月18日(1999.6.18)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】