不織布研磨ロール及びその製造方法
【課題】研磨痕の発生を抑制でき、均一な研磨が可能な不織布研磨ロールを提供すること。
【解決手段】研磨機の回転軸が挿入される貫通孔を有し、当該貫通孔の内面と回転軸とが嵌合して回転軸のトルクが伝達される不織布研磨ロール100であって、貫通孔をなす開口を中央部にそれぞれ有する複数の円形不織布1と、貫通孔をなす開口を中央部にそれぞれ有し、円形不織布の外径より小さい外径を有する複数の円板2と、を備え、複数の円形不織布及び複数の円板は、円板が1枚又は2枚以上の円形不織布の開口側を挟むように積層され、積層方向に押圧された状態で接着剤により相互に接着されており、円板は、積層方向と垂直な方向からの圧力に対する圧縮変形率が円形不織布より小さい、不織布研磨ロール。
【解決手段】研磨機の回転軸が挿入される貫通孔を有し、当該貫通孔の内面と回転軸とが嵌合して回転軸のトルクが伝達される不織布研磨ロール100であって、貫通孔をなす開口を中央部にそれぞれ有する複数の円形不織布1と、貫通孔をなす開口を中央部にそれぞれ有し、円形不織布の外径より小さい外径を有する複数の円板2と、を備え、複数の円形不織布及び複数の円板は、円板が1枚又は2枚以上の円形不織布の開口側を挟むように積層され、積層方向に押圧された状態で接着剤により相互に接着されており、円板は、積層方向と垂直な方向からの圧力に対する圧縮変形率が円形不織布より小さい、不織布研磨ロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織布研磨ロール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属条材等の表面を研磨するための研磨ロールとして、回転工具の回転軸(スピンドル)が挿入される貫通孔が形成された円筒状の研磨ロールが用いられている(例えば、特許文献1)。このような研磨ロールとしては、例えば、特許文献1の図5に記載されているようなラミネート形式、フラップ形式、渦巻き形式等の研磨ロールが知られている。
【0003】
特許文献1に記載の研磨ロールは、主としてラミネート形式の研磨ロールであり、ディスクシートの積層体を積層方向に圧縮し、接着剤で硬化した構造を有している(特許文献1の図4等を参照)。そして、特許文献1には、特定の製造方法によって、ブラシ基材が均一密度になっている圧縮固化物の研磨ディスクブラシを製造することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−201232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来、特許文献1に記載のような研磨ロールを用いて金属条材等の表面を研磨すると、ブラシ基材は均一密度の圧縮固化物であるにも関わらず、チャターマークのような周期的な研磨痕が生じてしまう場合があった。
【0006】
本発明は、上記のような研磨痕の発生を抑制でき、高度に均一な研磨が可能な不織布研磨ロール及びその製造方法を提供することを目的とする。また本発明は、上記不織布研磨ロールを備える研磨機及び上記不織布研磨ロールを用いた研磨製品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
特許文献1に記載のような研磨ロールには、通常、回転工具の回転軸に設けられたキーと嵌合するキー溝が、回転軸が挿入される貫通孔に設けられている。本発明者らは、研磨ロールの外周から貫通孔までの距離(すなわち、不織布の厚み)が、当該キー溝が設けられた部分とキー溝が設けられていない部分とで異なることが、上記研磨痕が発生する要因であることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は、研磨機の回転軸が挿入される貫通孔を有し、当該貫通孔の内面と上記回転軸とが嵌合して上記回転軸のトルクが伝達される不織布研磨ロールであって、上記貫通孔をなす開口を中央部にそれぞれ有する複数の円形不織布と、上記貫通孔をなす開口を中央部にそれぞれ有し、上記円形不織布の外径より小さい外径を有する複数の円板と、を備え、上記複数の円形不織布及び上記複数の円板は、上記円板が1枚又は2枚以上の上記円形不織布の開口側を挟むように積層され、積層方向に押圧された状態で接着剤により相互に接着されており、上記円板は、上記積層方向と垂直な方向からの圧力に対する圧縮変形率が上記円形不織布より小さい、不織布研磨ロールを提供する。
【0009】
従来の研磨ロールでは、上述のように貫通孔の形状が外周部での研磨性能に影響して研磨痕が発生するが、本発明の不織布研磨ロールでは、積層方向と垂直な方向からの圧力に対する圧縮変形率が小さい円板が円形不織布の開口側を挟むように積層されているため、外周部での研磨性能は、貫通孔の形状ではなく円板の形状からの影響を受けるようになる。そして、外周部をなす円形不織布及びその開口側に積層された円板は、いずれも貫通孔をなす開口を中央部に有する円形の形状であるため、外周部における円板の形状からの影響は十分に均一なものとなる。そのため、本発明によれば、チャターマークのような周期的な研磨痕の発生を十分に抑制でき、均一な研磨を行うことができる。
【0010】
また、本発明の不織布研磨ロールは、円形不織布及び円板が、積層方向に押圧された状態で接着剤により相互に接着されているため、高硬度の被研磨物に対して、高研磨負荷にて研磨を行うことができる。
【0011】
本発明の不織布研磨ロールにおいて、上記積層方向の長さ1mあたりに積層された上記円板の総厚みは、10〜60cmとすることができる。これにより、外周部での研磨性能に対する貫通孔の形状の影響を一層低減することができるため、研磨痕の発生を一層低減でき、一層均一な研磨が可能となる。
【0012】
本発明の不織布研磨ロールにおいて、上記円板は、略等間隔に積層することができる。このような不織布研磨ロールは、積層方向における研磨性能にムラが生じることを十分に抑制することができる。なお、ここで上記円板は、不織布研磨ロールの積層方向における被研磨物と接触する範囲において略等間隔に積層されていればよく、必ずしも不織布研磨ロールの全体にわたって等間隔に積層される必要はない。
【0013】
本発明の不織布研磨ロールにおいて、上記円板の開口から上記円板の外周までの距離は、5mm以上とすることができる。このような円板によれば、後述する円筒状の低変形率構造がより確実に形成されるため、研磨痕の発生を一層低減でき、一層均一な研磨が可能となる。
【0014】
本発明はまた、研磨機の回転軸が挿入される貫通孔を有し、当該貫通孔の内面と上記回転軸とが嵌合して上記回転軸のトルクが伝達される不織布研磨ロールの製造方法であって、上記貫通孔をなす開口を中央部にそれぞれ有する複数の円形不織布と上記貫通孔をなす開口を中央部にそれぞれ有する複数の円板を、上記円板が1枚又は2枚以上の上記円形不織布の開口側を挟むように積層する積層工程と、上記積層工程で積層された上記円形不織布及び上記円板を、積層方向に押圧した状態で接着剤により相互に接着する接着工程と、を備え、上記円板は、上記円形不織布の外径より小さい外径を有し、上記積層方向と垂直な方向からの圧力に対する圧縮変形率が上記接着工程を経た上記円形不織布より小さい、不織布研磨ロールの製造方法を提供する。
【0015】
本発明の不織布研磨ロールの製造方法によれば、上記本発明の不織布研磨ロールを容易に製造することができる。
【0016】
本発明の不織布研磨ロールの製造方法は、上記積層工程の前に、上記円形不織布に接着剤を含浸させる含浸工程を更に備えていてもよい。このような製造方法によれば、円形不織布に均一に接着剤が含浸されるため、接着工程で接着したとき接着剤の硬化物が均等に分布するようになる。そのため、このような製造方法により製造された不織布研磨ロールは、研磨性能に一層優れるものとなる。
【0017】
本発明はまた、上記本発明の不織布研磨ロールを備える研磨機を提供する。このような研磨機は、本発明の不織布研磨ロールを備えるため、チャターマークのような研磨痕の発生を十分に抑制し、被研磨物を高度に均一に研磨することができる。
【0018】
本発明はさらに、上記本発明の不織布研磨ロールを用いて被研磨物を研磨する工程を備える、研磨製品の製造方法を提供する。このような製造方法によれば、チャターマークのような研磨痕の発生が十分に抑制され、均一に研磨された研磨製品を製造することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、研磨痕の発生を抑制でき、高度に均一な研磨が可能な不織布研磨ロール及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る不織布研磨ロールに回転軸が挿入された組立を示す図である。
【図2】本発明に係る不織布研磨ロールに回転軸が挿入された組立を示す図である。
【図3】本発明に係る円形不織布を例示する模式図である。
【図4】本発明に係る円板を例示する模式図である。
【図5】本発明に係る不織布研磨ロールの製造工程の一実施形態を示す模式図である。
【図6】本発明に係る不織布研磨ロールの製造工程の一実施形態を示す模式図である。
【図7】圧縮変形率T1の測定方法を示す模式図である。
【図8】確認試験で用いた研磨ロールサンプルを示す模式断面図である。
【図9】確認試験で行った圧縮テストの概要を示す模式図である。
【図10】確認試験で行った金属板の研磨の概要を示す模式図である。
【図11】確認試験9における圧縮ひずみと圧縮荷重の関係を示す図である。
【図12】確認試験10における圧縮ひずみと圧縮荷重の関係を示す図である。
【図13】確認試験11における圧縮ひずみと圧縮荷重の関係を示す図である。
【図14】確認試験12及び13における圧縮ひずみと圧縮荷重の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0022】
図1及び図2は、本発明に係る不織布研磨ロール100に回転軸6が挿入された状態を示す図である。図1及び図2において、不織布研磨ロール100は、研磨機の回転軸6が挿入される貫通孔を有している。回転軸6は、そのトルクを不織布研磨ロール100に伝達するためのキー突起3を有し、不織布研磨ロール100の貫通孔は、キー突起3を含む回転軸6と嵌合する形状を有している。
【0023】
不織布研磨ロール100は、中央部に開口を有する円形不織布1と円板2とが積層した円筒構造を有し、円形不織布1と円板2とがそれぞれ有する開口により、貫通孔が形成されている。円板2は、円形不織布1より小さい外径を有しており、二枚の円板2が、二枚の円形不織布1の開口側を挟むように積層されている。そして、円形不織布1及び円板2は、積層方向に押圧された状態で接着剤により相互に接着され、一体的に固定化されている。
【0024】
ここで、不織布研磨ロール100においては、二枚の円板2が二枚の円形不織布1を挟むように積層されているが、積層態様はこれに限定されない。例えば、円板2は、一枚の円形不織布1を挟むように積層されていてもよく、三枚以上の円形不織布1を挟むように積層されていてもよい。
【0025】
不織布研磨ロール100の積層方向の長さ1mあたりに含まれる円板2の総厚みは、好ましくは10〜60cmであり、より好ましくは25〜45cmである。このような割合で円板を積層することで、外周部での研磨性能に対する貫通孔の形状の影響を一層低減することができるため、研磨痕の発生を一層低減でき、一層均一な研磨が可能となる。このような総厚みとするため、円板2の積層枚数は、例えば、上記積層方向の長さ1mあたり50〜300枚とすることができる。
【0026】
不織布研磨ロール100においては、円板2は略等間隔に積層されている。ここで、円板2は必ずしも等間隔に積層される必要はなく、例えば、一枚の円形不織布1を挟むように積層した箇所と、2枚以上の円形不織布1を挟むように積層した箇所と、があってもよい。積層方向の研磨性能が一層均一になることから、円板2は、略等間隔に積層されていることが好ましい。ここで略等間隔とは、例えば、複数の円板2が、それぞれ同じ枚数の円形不織布1を挟むように積層されている状態をいう。
【0027】
不織布研磨ロール100は、円形不織布1と円板2とが積層した円筒構造の両端において、フランジ4及びロックナット5により回転軸6と平行な方向へのずれが生じないよう固定されている。
【0028】
円板2の外径は、フランジ4の外径より小さいことが好ましい。不織布研磨ロール100の使用限界径は、円板2の外径又はフランジ4の外径のいずれか大きい方に依存する。このとき円板2の外径がフランジ4の外径より大きいと、外観から使用限界径を確認することが困難となる。一方、円板2の外径がフランジ4の外径より小さいと、フランジ4の外径に基づき、外観から使用限界径を確認することができる。
【0029】
不織布研磨ロール100において、円板2の積層方向と垂直な方向からの圧力に対する圧縮変形率T2は、円形不織布1の積層方向と垂直な方向からの圧力に対する圧縮変形率T1より小さい。ここで、圧縮変形率T1及びT2は、積層方向に押圧され、接着剤により固化された状態における圧縮変形率であり、後述する圧縮変形率の測定方法により求められる値である。
【0030】
従来の研磨ロールでは、上述のように貫通孔の形状が外周部での研磨性能に影響して研磨痕が発生するおそれがあるが、不織布研磨ロール100では、積層方向と垂直な方向からの圧力に対する圧縮変形率が小さい円板2が円形不織布1の開口側を挟むように積層されているため、外周部での研磨性能は、貫通孔の形状ではなく円板2の形状からの影響を受けるようになる。そして、外周部をなす円形不織布1及びその開口側に積層された円板2は、いずれも中央部に開口を有する円形の形状であるため、外周部における円板2の形状からの影響は、十分に均一なものとなる。そのため、不織布研磨ロール100によれば、チャターマークのような周期的な研磨痕の発生を十分に抑制でき、高度に均一な研磨を行うことができる。
【0031】
なお、円板2が複数枚の円形不織布1を挟むように積層されている場合(円板2が一定の間隔をあけて積層されている場合)であっても上記効果は奏される。この理由は、以下のように考えられる。すなわち、円形不織布1の内周部(円板2に挟まれた部分)は、外周部より圧縮された状態となり、外周部より圧縮変形率が小さくなると考えられる。そのため、不織布研磨ロール100の内周部には、円板2と高圧縮の円形不織布1とからなる、円筒状の低変形率構造が形成され、これが外周部の研磨性能への影響の主要因となってキー等の貫通孔の形状による影響が低減されると考えられる。
【0032】
また、不織布研磨ロール100は、円形不織布1及び円板2が、積層方向に押圧された状態で接着剤により相互に接着されているため、高硬度の被研磨物に対して、高研磨負荷にて研磨を行うことができる。
【0033】
不織布研磨ロール100の外周部における不職布密度は、0.1〜1.0g/cm3であることが好ましく、0.3〜0.8g/cm3であることがより好ましい。不織布密度が上記範囲であると、一層高研磨負荷での研磨が可能となる。なお、不織布密度は、単位体積当たりの重量を測定して求めることができる。
【0034】
不織布研磨ロール100においては、円板2が積層方向全体にわたって積層されているため、不織布研磨ロール100のいずれの位置で被研磨物を研磨しても、上記の効果が奏される。なお、被研磨物が、不織布研磨ロール100の一部としか接触しない場合においては、円板2は必ずしも不織布研磨ロール100の積層方向全体にわたって積層されている必要はなく、被研磨物と接触する範囲において積層されていればよい。
【0035】
(圧縮変形率T1の測定方法)
図7は、圧縮変形率T1の測定方法を示す模式図である。圧縮変形率T1の測定においては、まず図7(a)に示すような高さH1、幅W、長さLの試験ブロック200を用意する。試験ブロック200は、円形不織布1と同素材の矩形不織布41が複数積層されたものであり、試験ブロック200において矩形不織布41は、円形不織布1と同様に、積層方向に押圧された状態で接着剤により相互に接着されている。なお、試験ブロック200は、不織布研磨ロール100の外周部の不織布密度と同じ不織布密度になるよう、押圧及び接着される。
【0036】
次いで、図7(b)に示すように、試験ブロック200を設置台51上に設置し、押圧器52で高さ方向に圧縮荷重1N/mm2で押圧し、押圧後の高さH2を測定する。そして、押圧前の高さH1及び押圧後の高さH2から、下記式(I)により、圧縮変形率T1を求める。
T1=(H1−H2)×100/H1 (I)
【0037】
(圧縮変形率T2の測定方法)
圧縮変形率T2は、上記試験ブロック200にかえて、円板2と同素材の複数の矩形板を、積層及び接着して、高さH3、幅W、長さLの試験ブロックを用意する。なお、該試験ブロックは、通常、上記圧縮変形率T1の測定方法における試験ブロック200と同条件で押圧及び接着されるが、円板2が積層方向による押圧によって圧縮しない素材からなる場合(積層方向への押圧の有無によって圧縮変形率T2が変化しないと考えられる場合)には、単に上記矩形板を積層及び接着して試験ブロックを作製してもよい。
【0038】
次いで、圧縮変形率T1の測定方法と同様に設置台51上に試験ブロックを設置し、押圧器52で高さ方向に圧縮荷重1N/mm2で押圧し、押圧後の高さH4を測定する。そして、押圧前の高さH3及び押圧後の高さH4から、下記式(II)により圧縮変形率T2を求める。
T2=(H3−H4)×100/H3 (II)
【0039】
圧縮変形率T1は、不織布密度が高いほど小さくなる。圧縮変形率T2は、圧縮変形率T1より小さいことが必要であり、好ましくは2%以下、より好ましくは1.8%以下、さらに好ましくは1.6%以下である。
【0040】
図3は、本発明に係る円形不織布を例示する模式図であり、図4は、本発明に係る円板を例示する模式図である。
【0041】
図3(a)の円形不織布11は、図4(a)の円板21と組合せて用いられる。円形不織布11は、中央部に開口14aを有している。また、円板21は、中央部に開口24aを有している。開口14aと開口24aとは略同一形状であって、円形不織布11と円板21とが積層された際には、該開口14a及び開口24aにより研磨機の回転軸が挿入される貫通孔が形成される。すなわち、開口14a及び開口24aは、研磨機の回転軸の断面形状と略同一形状であって、それぞれ回転軸のキー突起と嵌合するキー溝を有している。
【0042】
図3(b)の円形不織布12は、図4(b)の円板22と組合せて用いられる。円形不織布12は、中央部に開口14bを有している。また、円板22は、中央部に開口24bを有している。開口14bと開口24bとは略同一形状であって、円形不織布12と円板22とが積層された際には、該開口14b及び開口24bにより研磨機の回転軸が挿入される貫通孔が形成される。すなわち、開口14b及び開口24bは、研磨機の回転軸の断面形状と略同一形状であって、円形不織布12及び円板22においては、それぞれ回転軸のキー溝と嵌合するキー突起が設けられている。
【0043】
図3(c)の円形不織布13は、図4(c)の円板23と組合せて用いられる。円形不織布13は、中央部に開口14cを有している。また、円板23は、中央部に開口24cを有している。開口14cと開口24cとは略同一形状であって、円形不織布13と円板23とが積層された際には、該開口14c及び開口24cにより研磨機の回転軸が挿入される貫通孔が形成される。すなわち、開口14c及び開口24cは、研磨機の回転軸の断面形状と略同一形状である。円形不織布13及び円板23においては、開口14c及び開口24cは六角形状であり、このような円形不織布13及び円板23は、断面形状が六角形である回転軸を備える研磨機に設置するための、不織布研磨ロールを製造するために用いられる。
【0044】
円形不織布の開口及び円板の開口の形状は、図3及び図4に示す形状に限定されず、例えば、三角形、四角形等であってもよく、キー突起を一つ又は二つ以上有する回転軸と嵌合するような形状であってもよく、キー溝を一つ又は二つ以上有する回転軸と嵌合するような形状であってもよい。開口がどのような形状であっても、上述した本発明の効果は有効に奏される。
【0045】
円板の外径は、円形不織布の外径より小さければ特に限定されないが、例えば、円板の開口から円板の外周までの最短距離L2を5mm以上とすることができる。最短距離L2を5mm以上とすることで、上述した円筒状の低変形率構造がより確実に形成されるため、研磨痕の発生を一層低減でき、一層均一な研磨が可能となる。最短距離L2を5mm以上であれば、後述するいずれの素材であっても円板の強度が十分に得られる。
【0046】
最短距離L2は、5〜100mmとすることもできる。不織布研磨ロール100は、研磨に用いると円形不織布1のみで構成された外周部が徐々に磨耗していくが、円形不織布1と円板2とが積層された内周部に達する直前まで使用することができる。そのため、上記最短距離L2を100mm以下とすることで、使用可能な外周部が少なくすることができ、使用限界径を小さくすることができる。
【0047】
また、円板の厚さは、1〜5mmとすることができる。円板の厚さを上記範囲とすることで、不織布研磨ロールの外周部における円形不織布の密度が十分に高くなるとともに、円板の強度が十分に高くなるため、高硬度の被研磨物を高研磨負荷で研磨するためにより好適な不織布研磨ロールが得られる。
【0048】
本実施形態における円形不織布は、例えば、不織布基材と該不織布基材に担持された研磨材とを備えるものである。不織布基材としては、例えば、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6,6等)、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート等)、ポリカーボネート、等の樹脂からなる有機繊維から構成された不織布が挙げられる。有機繊維の太さは、例えば、直径19〜250μmとすることができる。
【0049】
研磨材としては、例えば、SiC、Al2O3、Cr2O5等からなるセラミック砥粒が挙げられるが、これに限定されず、被研磨物に応じて適宜変更することができる。なお、セラミック砥粒の直径は、例えば、0.1〜1000μmとすることができる。
【0050】
円形不織布は、例えば、不織布基材に、研磨材を含有する研磨組成物を含浸させ、乾燥及び/又は硬化させることによって製造することができる。研磨組成物の例としては、研磨材と、エポキシ樹脂やフェノール樹脂等のバインダーポリマーと、キシレンやカルビトール等のバインダーポリマーを溶解する溶剤と、を含むものが挙げられ、必要に応じてさらに硬化剤を含んでいてもよい。
【0051】
このような研磨組成物を不織布基材に含浸させた後、例えば、加熱炉にて溶剤を除去するとともにバインダーポリマーを硬化させて、研磨材を不織布基材に担持することができる。
【0052】
円形不織布は、例えば、シート状の不織布基材に研磨材を担持させた後、該シート状の不織布基材を図3に記載の形状等に打ち抜き加工して、個片化することによって得ることができる。また、図3に記載の形状等に加工した不織布基材に、研磨材を担持させて得ることもできる。
【0053】
本実施形態における円板は、上記圧縮変形率T2が圧縮変形率T1より小さくなるようなものであれば特に限定されないが、例えば、高圧縮紙、ハードボード、プラスチックボード、紙にフェノール樹脂を含浸させ、必要に応じて積層して硬化したもの(紙フェノール基板、ベークライト板)、繊維強化プラスチック(FRP)、ベニア板、パーティクルボード、金属板、等を、図4に記載の形状に成形したものを用いることができる。
【0054】
不織布研磨ロールを使用する際、例えば被研磨物の表面に水を流しながら研磨する場合があるため、円板としては耐水性を有するものが好ましい。
【0055】
円形不織布1と円板2とは、接着剤により相互に接着され、一体的に固定化されている。ここで、接着剤としては、例えば、硬化性樹脂と硬化剤とを含有する接着剤が挙げられる。
【0056】
硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。これらのうち、エポキシ樹脂としては、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ナフタレン系エポキシ樹脂、フルオレンエポキシ樹脂、グリシジルアミン化合物等が挙げられる。
【0057】
硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド(DICY)、酸ヒドラジド、ボラントリフロライド錯体、イミダゾール化合物、アミンイミド、鉛塩等が挙げられ、これらのうちジシアンジアミドが特に好適に用いられる。
【0058】
接着剤は、例えば、積層前の円形不織布に含浸されたものであってもよく、積層後の円形不織布に含浸したものであってもよい。円形不織布への含浸は、例えば、接着剤と溶剤とからなる接着剤組成物を円形不織布に塗布し、必要に応じて乾燥等をすることによって行うことができる。
【0059】
図5及び図6は、本発明に係る不織布研磨ロールの製造工程の一実施形態を示す模式断面図である。なお、図5及び図6においては、図3(a)及び図(4)で示した円形不織布11と円板21とを用いた不織布研磨ロールの製造方法を示す。
【0060】
本実施形態に係る製造方法では、まず、図5(a)に示すように、円形不織布11と円板21とを、円板21が円形不織布11の開口側を挟むように積層する。ここで、円形不織布11と円板21とは、それぞれが有する開口14a及び開口24aが、図1に示すように回転軸6と嵌合する貫通孔を形成するように積層される必要がある。そのため、回転軸6そのもの、又は回転軸6と同形状のダミーシャフト7に嵌めこむようにして、円形不織布11と円板21とを積層する。
【0061】
ダミーシャフト7を軸として積層された円形不織布11と円板21は、保持具32によって積層方向の両端部を保持される。ここで、保持具32には、中央部にダミーシャフト7が貫通する貫通孔が設けられており、積層方向(ダミーシャフト7の軸方向)に自在に移動可能となっている。
【0062】
次いで、円形不織布11と円板21は、保持具32の一方に設置された押圧手段31によって、保持具32を介して積層方向に押圧される。押圧された円形不織布及び円板21は、図5(b)に示すようにボルト33によって保持具32とともに固定される。
【0063】
次いで、図6(a)に示すようにダミーシャフト7を離脱し、保持具32によって積層方向に押圧された状態を維持したまま、接着剤により円形不織布11と円板21とを相互に接着する。積層前の円形不織布11に接着剤が含浸されている場合には、保持具32によって保持された図6(a)に示す状態で、加熱炉に供され、乾燥・硬化することができる。また、積層前の円形不織布11に接着剤を含浸していない場合には、保持具32によって保持された図6(a)の状態で、接着剤組成物を円形不織布11に含浸させた後、乾燥・硬化することができる。
【0064】
上記のように接着剤により接着された円形不織布1及び円板2は、一体的に固定化されているため、図6(b)に示すように保持具32から離脱させることができる。このようにして得られた不織布研磨ロールは、貫通孔8を有しており、図6(c)に示すように、研磨機の回転軸6を貫通孔8に挿入して用いることができる。
【0065】
本実施形態に係る研磨機は、上記不織布研磨ロールを備えるものであり、不織布研磨ロール以外の構成は、従来の研磨ロールを備える研磨機と同様のものとすることができる。
【0066】
また、本実施形態によれば、上記不織布研磨ロールを用いて被研磨物を研磨する工程を備える製造方法によって、研磨製品を製造することができる。被研磨物としては特に限定されないが、本実施形態に係る不織布研磨ロールが高硬度の被研磨物の研磨に好適に用いることができることから、例えば、金属条材等が挙げられる。
【0067】
なお、金属条材の研磨においては、従来の研磨ロールを用いた場合に上記研磨痕が生じやすい。このような点からも、金属条材の研磨には、本実施形態に係る不織布研磨ロールを好適に用いることができる。
【0068】
金属条材としては、例えば、銅、鉄、アルミニウム、及びこれらの合金等の条材が挙げられる。
【0069】
[確認試験]
下記の確認試験1〜8に示すとおり、圧縮変形率を測定した。次いで、下記確認試験9〜13に示すとおり、研磨ロールサンプルの圧縮テストを行った。そして、確認試験14〜16に示すとおり、研磨ロールサンプルを用いた研磨テストを行った。
【0070】
(確認試験1〜4)
矩形不織布として、不織布基材が繊維太さ40μmのナイロン6,6であり、研磨材が粒子径75〜250ミクロンの酸化アルミニウム粒子であり、バインダーポリマーがフェノール樹脂である矩形不織布A(縦20mm、横25mm)を用意した。
【0071】
次いで、この矩形不織布Aを用いて高さ(H1)20mm、幅(W)25mm、長さ(L)25mmの試験ブロック1〜4を作製し、それぞれの試験ブロックについて上記の測定方法に従い圧縮変形率T1を測定した。なお、試験ブロック1〜4は、不織布密度がそれぞれ0.5g/cm3、0.6g/cm3、0.7g/cm3.0.8g/cm3となるように作製した。測定された圧縮変形率を、表1に示す。
【0072】
(確認試験5)
矩形板として、厚さ2.5mmの高圧縮紙からなる矩形板B1(縦20mm、横25mm)を用意した。次いで、この矩形板B1を用いて高さ(H1)20mm、幅(W)25mm、長さ(L)25mmの試験ブロック5を作製し、上記の測定方法に従い圧縮変形率T2を測定した。測定された圧縮変形率を、表1に示す。
【0073】
(確認試験6)
矩形板として、厚さ2mmのベークライト板からなる矩形板B2(縦20mm、横25mm)を用意した。次いで、この矩形板B2を用いて高さ(H1)20mm、幅(W)25mm、長さ(L)25mmの試験ブロック6を作製し、上記の測定方法に従い圧縮変形率T2を測定した。測定された圧縮変形率を、表1に示す。
【0074】
(確認試験7)
矩形不織布Aと矩形板B1とを、2:1の割合で交互に積層し、矩形板B1に挟まれた矩形不織布Aの不織布密度が0.8g/cm3となるように積層方向に押圧して接着剤により接着し、高さ(H1)20mm、幅(W)25mm、長さ(L)25mmの試験ブロック7を作製した。なお、作製された試験ブロック7において、矩形板B1は、積層方向の1mあたり160枚の割合で積層されていた。この試験ブロック7について、確認試験1〜6と同様に圧縮変形率を測定した。測定された圧縮変形率を表1に示す。
【0075】
(確認試験8)
短径不織布Aと矩形板B2とを、2:1の割合で交互に積層し、矩形板B2に挟まれた矩形不織布Aの不織布密度が0.7g/cm3となるように積層方向に押圧して接着剤により接着し、高さ(H1)20mm、幅(W)25mm、長さ(L)25mmの試験ブロック8を作製した。なお、作製された試験ブロック8において、矩形板B2は、積層方向の1mあたり160枚の割合で積層されていた。この試験ブロック8について、確認試験1〜6と同様に圧縮変形率を測定した。測定された圧縮変形率を表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
(確認試験9〜11)
図8(a)は、確認試験9で用いる小型の研磨ロールサンプルの模式断面図である。研磨ロールサンプル300には円形不織布1のみが積層されており、研磨ロールサンプル300において円形不織布1は、不織布密度が0.5g/cm3となるように積層方向に押圧された状態で接着剤により相互に接着されている。なお、円形不織布1としては、確認試験1〜4の矩形不織布Aと同素材のものを用いた。
【0078】
図8(b)は、確認試験10及び11で用いる小型の研磨ロールサンプルの模式断面図である。研磨ロールサンプル310には円形不織布1及び円板2が、2:1の割合で交互に積層されており、円形不織布1及び円板2は、研磨ロールサンプル310の外周部の不織布密度が0.5g/cm3となるように、積層方向に押圧された状態で接着剤により相互に接着されている。なお、円形不織布1としては確認試験1〜4の矩形不織布Aと同素材のものを用いた。また、円板2としては、確認試験10では矩形板B1と同じ高圧縮紙からなる円板を用い、確認試験11では矩形板B2と同じベークライト板からなる円板を用いた。以下、確認試験10の研磨ロールサンプルを「研磨ロールサンプル311」といい、確認試験11の研磨ロールサンプルを「研磨ロールサンプル312」という。
【0079】
研磨ロールサンプル300、研磨ロールサンプル311及び研磨ロールサンプル312は、それぞれ、直径aが147mm、対向するキー突起3を含めた長さbが170である回転軸6が挿入される貫通孔を有し、外径cが230mmとなるよう設計した。また、研磨ロールサンプル311及び研磨ロールサンプル312の円板2の外径dは、210mmとした。なお、各研磨ロールサンプルはいずれも100mm幅とした。
【0080】
上記の各研磨ロールサンプルについて、図9(a)に示すように圧縮テストを行った。圧縮テストにおいては、保持具61に研磨ロールサンプルを設置し、押圧器62で所定の圧縮荷重で押圧した。圧縮荷重を3N〜1000Nまで変更して、各圧縮荷重における圧縮ひずみをそれぞれ測定した。なお、研磨ロールサンプルは、回転軸からのびるシャフト9において保持具61に保持されている。
【0081】
このような圧縮テストを、図9(b)に示すように、キーが存在する方向(キー方向)D1及びキーが存在しない方向(キー間方向)D2の二方向で実施し、圧縮される方向による圧縮ひずみの違いを比較した。研磨ロールサンプル310の各方向での圧縮ひずみを表2に示し、研磨ロールサンプル311の各方向での圧縮ひずみを表3に示し、研磨ロールサンプル312の各方向での圧縮ひずみを表4に示す。
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】
【表4】
【0085】
図11〜13は、各研磨ロールサンプルの圧縮ひずみと圧縮荷重との関係を示すグラフである。図11に示すように、円板を有しない研磨ロールサンプル300では、キー方向とキー間方向で圧縮ひずみに差が生じた。また、この差は、圧縮荷重が高いほど大きくなった。一方、図12及び図13に示すように、円板を有する研磨ロールサンプル311及び312では、キー方向とキー間方向との圧縮ひずみの差はほとんど生じなかった。
【0086】
(確認試験12)
確認試験9の研磨ロールサンプル300と同様の研磨ロールサンプルを水に12時間浸漬したものを、研磨ロールサンプル301とした。研磨ロールサンプル301について、上記と同様の圧縮テストを行い、キー方向とキー間方向の圧縮ひずみの差を比較した。結果を表5に示す。
【0087】
(確認試験13)
確認試験11の研磨ロールサンプル312と同様の研磨ロールサンプルを水に12時間浸漬したものを、研磨ロールサンプル313とした。研磨ロールサンプル303について、上記と同様の圧縮テストを行い、キー方向とキー間方向の圧縮ひずみの差を比較した。結果を表6に示す。
【0088】
【表5】
【0089】
【表6】
【0090】
図14は、研磨ロールサンプル301及び313の圧縮ひずみと圧縮荷重との関係を示すグラフである。図14に示すように、円板を有しない研磨ロールサンプル303では、キー方向とキー間方向で圧縮ひずみに差が生じた。また、この差は、圧縮荷重が高いほど大きくなった。一方、円板を有する研磨ロールサンプル313では、水浸漬後でもキー方向とキー間方向との圧縮ひずみの差はほとんど生じなかった。
【0091】
(確認試験14〜16)
確認試験9〜11で作製した研磨ロールサンプルを用いて、金属板の研磨を行った。まず、図10に示すように研磨ロールサンプル300を用いて金属板400を研磨した。研磨ロールサンプル300は回転軸を介して平面研磨機に設置されており、図10中の矢印で示す方向に回転して金属板400を研磨する。金属板400は、平面研磨機のピンチロール72により一定の搬送速度で搬送されるとともに、研磨ロールサンプル300と対向する位置に設置されたバックアップロール71で支持されている。また、研磨ロールサンプル300と金属板400とが接する箇所には、潤滑材73が噴き付けられている。なお、金属板の研磨は、下記に示す条件で行った。
【0092】
<研磨条件>
研磨機 :平面研磨機
回転数 :1700rpm
搬送速度:60m/min
研磨荷重:100mm幅あたり、600N
研磨回数:1回
潤滑材 :水
金属板 :ステンレス板(材質:SUS304、サイズ:150×700×1mm)
【0093】
次いで、研磨ロールサンプル300を、研磨ロール311及び312に変更し、同様にして金属板の研磨を行った。各研磨ロールで研磨した金属板について、それぞれチャターマーク等の研磨痕の有無を確認した。結果を表7に示す。
【0094】
【表7】
【0095】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明によれば、研磨痕の発生を抑制でき、均一な研磨が可能な不織布研磨ロール及びその製造方法を提供することができるとともに、上記不織布研磨ロールを備える研磨機及び上記不織布研磨ロールを用いた研磨製品の製造方法を提供することができ、産業上有用である。
【符号の説明】
【0097】
1…円形不織布、2…円板、3…キー突起、4…フランジ、5…ロックナット、6…回転軸、7…ダミーシャフト、8…貫通孔、11、12、13…円形不織布、14a、14b、14c…開口、21、22、23…円板、24a、24b、24c…開口、31…押圧手段、32…保持具、33…ボルト、41…矩形不織布、51…設置台、52…押圧器、61…保持具、62…押圧器、71…バックアップロール、72…ピンチロール、73…潤滑材、300…研磨ロールサンプル、400…金属板。
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織布研磨ロール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属条材等の表面を研磨するための研磨ロールとして、回転工具の回転軸(スピンドル)が挿入される貫通孔が形成された円筒状の研磨ロールが用いられている(例えば、特許文献1)。このような研磨ロールとしては、例えば、特許文献1の図5に記載されているようなラミネート形式、フラップ形式、渦巻き形式等の研磨ロールが知られている。
【0003】
特許文献1に記載の研磨ロールは、主としてラミネート形式の研磨ロールであり、ディスクシートの積層体を積層方向に圧縮し、接着剤で硬化した構造を有している(特許文献1の図4等を参照)。そして、特許文献1には、特定の製造方法によって、ブラシ基材が均一密度になっている圧縮固化物の研磨ディスクブラシを製造することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−201232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来、特許文献1に記載のような研磨ロールを用いて金属条材等の表面を研磨すると、ブラシ基材は均一密度の圧縮固化物であるにも関わらず、チャターマークのような周期的な研磨痕が生じてしまう場合があった。
【0006】
本発明は、上記のような研磨痕の発生を抑制でき、高度に均一な研磨が可能な不織布研磨ロール及びその製造方法を提供することを目的とする。また本発明は、上記不織布研磨ロールを備える研磨機及び上記不織布研磨ロールを用いた研磨製品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
特許文献1に記載のような研磨ロールには、通常、回転工具の回転軸に設けられたキーと嵌合するキー溝が、回転軸が挿入される貫通孔に設けられている。本発明者らは、研磨ロールの外周から貫通孔までの距離(すなわち、不織布の厚み)が、当該キー溝が設けられた部分とキー溝が設けられていない部分とで異なることが、上記研磨痕が発生する要因であることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は、研磨機の回転軸が挿入される貫通孔を有し、当該貫通孔の内面と上記回転軸とが嵌合して上記回転軸のトルクが伝達される不織布研磨ロールであって、上記貫通孔をなす開口を中央部にそれぞれ有する複数の円形不織布と、上記貫通孔をなす開口を中央部にそれぞれ有し、上記円形不織布の外径より小さい外径を有する複数の円板と、を備え、上記複数の円形不織布及び上記複数の円板は、上記円板が1枚又は2枚以上の上記円形不織布の開口側を挟むように積層され、積層方向に押圧された状態で接着剤により相互に接着されており、上記円板は、上記積層方向と垂直な方向からの圧力に対する圧縮変形率が上記円形不織布より小さい、不織布研磨ロールを提供する。
【0009】
従来の研磨ロールでは、上述のように貫通孔の形状が外周部での研磨性能に影響して研磨痕が発生するが、本発明の不織布研磨ロールでは、積層方向と垂直な方向からの圧力に対する圧縮変形率が小さい円板が円形不織布の開口側を挟むように積層されているため、外周部での研磨性能は、貫通孔の形状ではなく円板の形状からの影響を受けるようになる。そして、外周部をなす円形不織布及びその開口側に積層された円板は、いずれも貫通孔をなす開口を中央部に有する円形の形状であるため、外周部における円板の形状からの影響は十分に均一なものとなる。そのため、本発明によれば、チャターマークのような周期的な研磨痕の発生を十分に抑制でき、均一な研磨を行うことができる。
【0010】
また、本発明の不織布研磨ロールは、円形不織布及び円板が、積層方向に押圧された状態で接着剤により相互に接着されているため、高硬度の被研磨物に対して、高研磨負荷にて研磨を行うことができる。
【0011】
本発明の不織布研磨ロールにおいて、上記積層方向の長さ1mあたりに積層された上記円板の総厚みは、10〜60cmとすることができる。これにより、外周部での研磨性能に対する貫通孔の形状の影響を一層低減することができるため、研磨痕の発生を一層低減でき、一層均一な研磨が可能となる。
【0012】
本発明の不織布研磨ロールにおいて、上記円板は、略等間隔に積層することができる。このような不織布研磨ロールは、積層方向における研磨性能にムラが生じることを十分に抑制することができる。なお、ここで上記円板は、不織布研磨ロールの積層方向における被研磨物と接触する範囲において略等間隔に積層されていればよく、必ずしも不織布研磨ロールの全体にわたって等間隔に積層される必要はない。
【0013】
本発明の不織布研磨ロールにおいて、上記円板の開口から上記円板の外周までの距離は、5mm以上とすることができる。このような円板によれば、後述する円筒状の低変形率構造がより確実に形成されるため、研磨痕の発生を一層低減でき、一層均一な研磨が可能となる。
【0014】
本発明はまた、研磨機の回転軸が挿入される貫通孔を有し、当該貫通孔の内面と上記回転軸とが嵌合して上記回転軸のトルクが伝達される不織布研磨ロールの製造方法であって、上記貫通孔をなす開口を中央部にそれぞれ有する複数の円形不織布と上記貫通孔をなす開口を中央部にそれぞれ有する複数の円板を、上記円板が1枚又は2枚以上の上記円形不織布の開口側を挟むように積層する積層工程と、上記積層工程で積層された上記円形不織布及び上記円板を、積層方向に押圧した状態で接着剤により相互に接着する接着工程と、を備え、上記円板は、上記円形不織布の外径より小さい外径を有し、上記積層方向と垂直な方向からの圧力に対する圧縮変形率が上記接着工程を経た上記円形不織布より小さい、不織布研磨ロールの製造方法を提供する。
【0015】
本発明の不織布研磨ロールの製造方法によれば、上記本発明の不織布研磨ロールを容易に製造することができる。
【0016】
本発明の不織布研磨ロールの製造方法は、上記積層工程の前に、上記円形不織布に接着剤を含浸させる含浸工程を更に備えていてもよい。このような製造方法によれば、円形不織布に均一に接着剤が含浸されるため、接着工程で接着したとき接着剤の硬化物が均等に分布するようになる。そのため、このような製造方法により製造された不織布研磨ロールは、研磨性能に一層優れるものとなる。
【0017】
本発明はまた、上記本発明の不織布研磨ロールを備える研磨機を提供する。このような研磨機は、本発明の不織布研磨ロールを備えるため、チャターマークのような研磨痕の発生を十分に抑制し、被研磨物を高度に均一に研磨することができる。
【0018】
本発明はさらに、上記本発明の不織布研磨ロールを用いて被研磨物を研磨する工程を備える、研磨製品の製造方法を提供する。このような製造方法によれば、チャターマークのような研磨痕の発生が十分に抑制され、均一に研磨された研磨製品を製造することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、研磨痕の発生を抑制でき、高度に均一な研磨が可能な不織布研磨ロール及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る不織布研磨ロールに回転軸が挿入された組立を示す図である。
【図2】本発明に係る不織布研磨ロールに回転軸が挿入された組立を示す図である。
【図3】本発明に係る円形不織布を例示する模式図である。
【図4】本発明に係る円板を例示する模式図である。
【図5】本発明に係る不織布研磨ロールの製造工程の一実施形態を示す模式図である。
【図6】本発明に係る不織布研磨ロールの製造工程の一実施形態を示す模式図である。
【図7】圧縮変形率T1の測定方法を示す模式図である。
【図8】確認試験で用いた研磨ロールサンプルを示す模式断面図である。
【図9】確認試験で行った圧縮テストの概要を示す模式図である。
【図10】確認試験で行った金属板の研磨の概要を示す模式図である。
【図11】確認試験9における圧縮ひずみと圧縮荷重の関係を示す図である。
【図12】確認試験10における圧縮ひずみと圧縮荷重の関係を示す図である。
【図13】確認試験11における圧縮ひずみと圧縮荷重の関係を示す図である。
【図14】確認試験12及び13における圧縮ひずみと圧縮荷重の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0022】
図1及び図2は、本発明に係る不織布研磨ロール100に回転軸6が挿入された状態を示す図である。図1及び図2において、不織布研磨ロール100は、研磨機の回転軸6が挿入される貫通孔を有している。回転軸6は、そのトルクを不織布研磨ロール100に伝達するためのキー突起3を有し、不織布研磨ロール100の貫通孔は、キー突起3を含む回転軸6と嵌合する形状を有している。
【0023】
不織布研磨ロール100は、中央部に開口を有する円形不織布1と円板2とが積層した円筒構造を有し、円形不織布1と円板2とがそれぞれ有する開口により、貫通孔が形成されている。円板2は、円形不織布1より小さい外径を有しており、二枚の円板2が、二枚の円形不織布1の開口側を挟むように積層されている。そして、円形不織布1及び円板2は、積層方向に押圧された状態で接着剤により相互に接着され、一体的に固定化されている。
【0024】
ここで、不織布研磨ロール100においては、二枚の円板2が二枚の円形不織布1を挟むように積層されているが、積層態様はこれに限定されない。例えば、円板2は、一枚の円形不織布1を挟むように積層されていてもよく、三枚以上の円形不織布1を挟むように積層されていてもよい。
【0025】
不織布研磨ロール100の積層方向の長さ1mあたりに含まれる円板2の総厚みは、好ましくは10〜60cmであり、より好ましくは25〜45cmである。このような割合で円板を積層することで、外周部での研磨性能に対する貫通孔の形状の影響を一層低減することができるため、研磨痕の発生を一層低減でき、一層均一な研磨が可能となる。このような総厚みとするため、円板2の積層枚数は、例えば、上記積層方向の長さ1mあたり50〜300枚とすることができる。
【0026】
不織布研磨ロール100においては、円板2は略等間隔に積層されている。ここで、円板2は必ずしも等間隔に積層される必要はなく、例えば、一枚の円形不織布1を挟むように積層した箇所と、2枚以上の円形不織布1を挟むように積層した箇所と、があってもよい。積層方向の研磨性能が一層均一になることから、円板2は、略等間隔に積層されていることが好ましい。ここで略等間隔とは、例えば、複数の円板2が、それぞれ同じ枚数の円形不織布1を挟むように積層されている状態をいう。
【0027】
不織布研磨ロール100は、円形不織布1と円板2とが積層した円筒構造の両端において、フランジ4及びロックナット5により回転軸6と平行な方向へのずれが生じないよう固定されている。
【0028】
円板2の外径は、フランジ4の外径より小さいことが好ましい。不織布研磨ロール100の使用限界径は、円板2の外径又はフランジ4の外径のいずれか大きい方に依存する。このとき円板2の外径がフランジ4の外径より大きいと、外観から使用限界径を確認することが困難となる。一方、円板2の外径がフランジ4の外径より小さいと、フランジ4の外径に基づき、外観から使用限界径を確認することができる。
【0029】
不織布研磨ロール100において、円板2の積層方向と垂直な方向からの圧力に対する圧縮変形率T2は、円形不織布1の積層方向と垂直な方向からの圧力に対する圧縮変形率T1より小さい。ここで、圧縮変形率T1及びT2は、積層方向に押圧され、接着剤により固化された状態における圧縮変形率であり、後述する圧縮変形率の測定方法により求められる値である。
【0030】
従来の研磨ロールでは、上述のように貫通孔の形状が外周部での研磨性能に影響して研磨痕が発生するおそれがあるが、不織布研磨ロール100では、積層方向と垂直な方向からの圧力に対する圧縮変形率が小さい円板2が円形不織布1の開口側を挟むように積層されているため、外周部での研磨性能は、貫通孔の形状ではなく円板2の形状からの影響を受けるようになる。そして、外周部をなす円形不織布1及びその開口側に積層された円板2は、いずれも中央部に開口を有する円形の形状であるため、外周部における円板2の形状からの影響は、十分に均一なものとなる。そのため、不織布研磨ロール100によれば、チャターマークのような周期的な研磨痕の発生を十分に抑制でき、高度に均一な研磨を行うことができる。
【0031】
なお、円板2が複数枚の円形不織布1を挟むように積層されている場合(円板2が一定の間隔をあけて積層されている場合)であっても上記効果は奏される。この理由は、以下のように考えられる。すなわち、円形不織布1の内周部(円板2に挟まれた部分)は、外周部より圧縮された状態となり、外周部より圧縮変形率が小さくなると考えられる。そのため、不織布研磨ロール100の内周部には、円板2と高圧縮の円形不織布1とからなる、円筒状の低変形率構造が形成され、これが外周部の研磨性能への影響の主要因となってキー等の貫通孔の形状による影響が低減されると考えられる。
【0032】
また、不織布研磨ロール100は、円形不織布1及び円板2が、積層方向に押圧された状態で接着剤により相互に接着されているため、高硬度の被研磨物に対して、高研磨負荷にて研磨を行うことができる。
【0033】
不織布研磨ロール100の外周部における不職布密度は、0.1〜1.0g/cm3であることが好ましく、0.3〜0.8g/cm3であることがより好ましい。不織布密度が上記範囲であると、一層高研磨負荷での研磨が可能となる。なお、不織布密度は、単位体積当たりの重量を測定して求めることができる。
【0034】
不織布研磨ロール100においては、円板2が積層方向全体にわたって積層されているため、不織布研磨ロール100のいずれの位置で被研磨物を研磨しても、上記の効果が奏される。なお、被研磨物が、不織布研磨ロール100の一部としか接触しない場合においては、円板2は必ずしも不織布研磨ロール100の積層方向全体にわたって積層されている必要はなく、被研磨物と接触する範囲において積層されていればよい。
【0035】
(圧縮変形率T1の測定方法)
図7は、圧縮変形率T1の測定方法を示す模式図である。圧縮変形率T1の測定においては、まず図7(a)に示すような高さH1、幅W、長さLの試験ブロック200を用意する。試験ブロック200は、円形不織布1と同素材の矩形不織布41が複数積層されたものであり、試験ブロック200において矩形不織布41は、円形不織布1と同様に、積層方向に押圧された状態で接着剤により相互に接着されている。なお、試験ブロック200は、不織布研磨ロール100の外周部の不織布密度と同じ不織布密度になるよう、押圧及び接着される。
【0036】
次いで、図7(b)に示すように、試験ブロック200を設置台51上に設置し、押圧器52で高さ方向に圧縮荷重1N/mm2で押圧し、押圧後の高さH2を測定する。そして、押圧前の高さH1及び押圧後の高さH2から、下記式(I)により、圧縮変形率T1を求める。
T1=(H1−H2)×100/H1 (I)
【0037】
(圧縮変形率T2の測定方法)
圧縮変形率T2は、上記試験ブロック200にかえて、円板2と同素材の複数の矩形板を、積層及び接着して、高さH3、幅W、長さLの試験ブロックを用意する。なお、該試験ブロックは、通常、上記圧縮変形率T1の測定方法における試験ブロック200と同条件で押圧及び接着されるが、円板2が積層方向による押圧によって圧縮しない素材からなる場合(積層方向への押圧の有無によって圧縮変形率T2が変化しないと考えられる場合)には、単に上記矩形板を積層及び接着して試験ブロックを作製してもよい。
【0038】
次いで、圧縮変形率T1の測定方法と同様に設置台51上に試験ブロックを設置し、押圧器52で高さ方向に圧縮荷重1N/mm2で押圧し、押圧後の高さH4を測定する。そして、押圧前の高さH3及び押圧後の高さH4から、下記式(II)により圧縮変形率T2を求める。
T2=(H3−H4)×100/H3 (II)
【0039】
圧縮変形率T1は、不織布密度が高いほど小さくなる。圧縮変形率T2は、圧縮変形率T1より小さいことが必要であり、好ましくは2%以下、より好ましくは1.8%以下、さらに好ましくは1.6%以下である。
【0040】
図3は、本発明に係る円形不織布を例示する模式図であり、図4は、本発明に係る円板を例示する模式図である。
【0041】
図3(a)の円形不織布11は、図4(a)の円板21と組合せて用いられる。円形不織布11は、中央部に開口14aを有している。また、円板21は、中央部に開口24aを有している。開口14aと開口24aとは略同一形状であって、円形不織布11と円板21とが積層された際には、該開口14a及び開口24aにより研磨機の回転軸が挿入される貫通孔が形成される。すなわち、開口14a及び開口24aは、研磨機の回転軸の断面形状と略同一形状であって、それぞれ回転軸のキー突起と嵌合するキー溝を有している。
【0042】
図3(b)の円形不織布12は、図4(b)の円板22と組合せて用いられる。円形不織布12は、中央部に開口14bを有している。また、円板22は、中央部に開口24bを有している。開口14bと開口24bとは略同一形状であって、円形不織布12と円板22とが積層された際には、該開口14b及び開口24bにより研磨機の回転軸が挿入される貫通孔が形成される。すなわち、開口14b及び開口24bは、研磨機の回転軸の断面形状と略同一形状であって、円形不織布12及び円板22においては、それぞれ回転軸のキー溝と嵌合するキー突起が設けられている。
【0043】
図3(c)の円形不織布13は、図4(c)の円板23と組合せて用いられる。円形不織布13は、中央部に開口14cを有している。また、円板23は、中央部に開口24cを有している。開口14cと開口24cとは略同一形状であって、円形不織布13と円板23とが積層された際には、該開口14c及び開口24cにより研磨機の回転軸が挿入される貫通孔が形成される。すなわち、開口14c及び開口24cは、研磨機の回転軸の断面形状と略同一形状である。円形不織布13及び円板23においては、開口14c及び開口24cは六角形状であり、このような円形不織布13及び円板23は、断面形状が六角形である回転軸を備える研磨機に設置するための、不織布研磨ロールを製造するために用いられる。
【0044】
円形不織布の開口及び円板の開口の形状は、図3及び図4に示す形状に限定されず、例えば、三角形、四角形等であってもよく、キー突起を一つ又は二つ以上有する回転軸と嵌合するような形状であってもよく、キー溝を一つ又は二つ以上有する回転軸と嵌合するような形状であってもよい。開口がどのような形状であっても、上述した本発明の効果は有効に奏される。
【0045】
円板の外径は、円形不織布の外径より小さければ特に限定されないが、例えば、円板の開口から円板の外周までの最短距離L2を5mm以上とすることができる。最短距離L2を5mm以上とすることで、上述した円筒状の低変形率構造がより確実に形成されるため、研磨痕の発生を一層低減でき、一層均一な研磨が可能となる。最短距離L2を5mm以上であれば、後述するいずれの素材であっても円板の強度が十分に得られる。
【0046】
最短距離L2は、5〜100mmとすることもできる。不織布研磨ロール100は、研磨に用いると円形不織布1のみで構成された外周部が徐々に磨耗していくが、円形不織布1と円板2とが積層された内周部に達する直前まで使用することができる。そのため、上記最短距離L2を100mm以下とすることで、使用可能な外周部が少なくすることができ、使用限界径を小さくすることができる。
【0047】
また、円板の厚さは、1〜5mmとすることができる。円板の厚さを上記範囲とすることで、不織布研磨ロールの外周部における円形不織布の密度が十分に高くなるとともに、円板の強度が十分に高くなるため、高硬度の被研磨物を高研磨負荷で研磨するためにより好適な不織布研磨ロールが得られる。
【0048】
本実施形態における円形不織布は、例えば、不織布基材と該不織布基材に担持された研磨材とを備えるものである。不織布基材としては、例えば、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6,6等)、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート等)、ポリカーボネート、等の樹脂からなる有機繊維から構成された不織布が挙げられる。有機繊維の太さは、例えば、直径19〜250μmとすることができる。
【0049】
研磨材としては、例えば、SiC、Al2O3、Cr2O5等からなるセラミック砥粒が挙げられるが、これに限定されず、被研磨物に応じて適宜変更することができる。なお、セラミック砥粒の直径は、例えば、0.1〜1000μmとすることができる。
【0050】
円形不織布は、例えば、不織布基材に、研磨材を含有する研磨組成物を含浸させ、乾燥及び/又は硬化させることによって製造することができる。研磨組成物の例としては、研磨材と、エポキシ樹脂やフェノール樹脂等のバインダーポリマーと、キシレンやカルビトール等のバインダーポリマーを溶解する溶剤と、を含むものが挙げられ、必要に応じてさらに硬化剤を含んでいてもよい。
【0051】
このような研磨組成物を不織布基材に含浸させた後、例えば、加熱炉にて溶剤を除去するとともにバインダーポリマーを硬化させて、研磨材を不織布基材に担持することができる。
【0052】
円形不織布は、例えば、シート状の不織布基材に研磨材を担持させた後、該シート状の不織布基材を図3に記載の形状等に打ち抜き加工して、個片化することによって得ることができる。また、図3に記載の形状等に加工した不織布基材に、研磨材を担持させて得ることもできる。
【0053】
本実施形態における円板は、上記圧縮変形率T2が圧縮変形率T1より小さくなるようなものであれば特に限定されないが、例えば、高圧縮紙、ハードボード、プラスチックボード、紙にフェノール樹脂を含浸させ、必要に応じて積層して硬化したもの(紙フェノール基板、ベークライト板)、繊維強化プラスチック(FRP)、ベニア板、パーティクルボード、金属板、等を、図4に記載の形状に成形したものを用いることができる。
【0054】
不織布研磨ロールを使用する際、例えば被研磨物の表面に水を流しながら研磨する場合があるため、円板としては耐水性を有するものが好ましい。
【0055】
円形不織布1と円板2とは、接着剤により相互に接着され、一体的に固定化されている。ここで、接着剤としては、例えば、硬化性樹脂と硬化剤とを含有する接着剤が挙げられる。
【0056】
硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。これらのうち、エポキシ樹脂としては、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ナフタレン系エポキシ樹脂、フルオレンエポキシ樹脂、グリシジルアミン化合物等が挙げられる。
【0057】
硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド(DICY)、酸ヒドラジド、ボラントリフロライド錯体、イミダゾール化合物、アミンイミド、鉛塩等が挙げられ、これらのうちジシアンジアミドが特に好適に用いられる。
【0058】
接着剤は、例えば、積層前の円形不織布に含浸されたものであってもよく、積層後の円形不織布に含浸したものであってもよい。円形不織布への含浸は、例えば、接着剤と溶剤とからなる接着剤組成物を円形不織布に塗布し、必要に応じて乾燥等をすることによって行うことができる。
【0059】
図5及び図6は、本発明に係る不織布研磨ロールの製造工程の一実施形態を示す模式断面図である。なお、図5及び図6においては、図3(a)及び図(4)で示した円形不織布11と円板21とを用いた不織布研磨ロールの製造方法を示す。
【0060】
本実施形態に係る製造方法では、まず、図5(a)に示すように、円形不織布11と円板21とを、円板21が円形不織布11の開口側を挟むように積層する。ここで、円形不織布11と円板21とは、それぞれが有する開口14a及び開口24aが、図1に示すように回転軸6と嵌合する貫通孔を形成するように積層される必要がある。そのため、回転軸6そのもの、又は回転軸6と同形状のダミーシャフト7に嵌めこむようにして、円形不織布11と円板21とを積層する。
【0061】
ダミーシャフト7を軸として積層された円形不織布11と円板21は、保持具32によって積層方向の両端部を保持される。ここで、保持具32には、中央部にダミーシャフト7が貫通する貫通孔が設けられており、積層方向(ダミーシャフト7の軸方向)に自在に移動可能となっている。
【0062】
次いで、円形不織布11と円板21は、保持具32の一方に設置された押圧手段31によって、保持具32を介して積層方向に押圧される。押圧された円形不織布及び円板21は、図5(b)に示すようにボルト33によって保持具32とともに固定される。
【0063】
次いで、図6(a)に示すようにダミーシャフト7を離脱し、保持具32によって積層方向に押圧された状態を維持したまま、接着剤により円形不織布11と円板21とを相互に接着する。積層前の円形不織布11に接着剤が含浸されている場合には、保持具32によって保持された図6(a)に示す状態で、加熱炉に供され、乾燥・硬化することができる。また、積層前の円形不織布11に接着剤を含浸していない場合には、保持具32によって保持された図6(a)の状態で、接着剤組成物を円形不織布11に含浸させた後、乾燥・硬化することができる。
【0064】
上記のように接着剤により接着された円形不織布1及び円板2は、一体的に固定化されているため、図6(b)に示すように保持具32から離脱させることができる。このようにして得られた不織布研磨ロールは、貫通孔8を有しており、図6(c)に示すように、研磨機の回転軸6を貫通孔8に挿入して用いることができる。
【0065】
本実施形態に係る研磨機は、上記不織布研磨ロールを備えるものであり、不織布研磨ロール以外の構成は、従来の研磨ロールを備える研磨機と同様のものとすることができる。
【0066】
また、本実施形態によれば、上記不織布研磨ロールを用いて被研磨物を研磨する工程を備える製造方法によって、研磨製品を製造することができる。被研磨物としては特に限定されないが、本実施形態に係る不織布研磨ロールが高硬度の被研磨物の研磨に好適に用いることができることから、例えば、金属条材等が挙げられる。
【0067】
なお、金属条材の研磨においては、従来の研磨ロールを用いた場合に上記研磨痕が生じやすい。このような点からも、金属条材の研磨には、本実施形態に係る不織布研磨ロールを好適に用いることができる。
【0068】
金属条材としては、例えば、銅、鉄、アルミニウム、及びこれらの合金等の条材が挙げられる。
【0069】
[確認試験]
下記の確認試験1〜8に示すとおり、圧縮変形率を測定した。次いで、下記確認試験9〜13に示すとおり、研磨ロールサンプルの圧縮テストを行った。そして、確認試験14〜16に示すとおり、研磨ロールサンプルを用いた研磨テストを行った。
【0070】
(確認試験1〜4)
矩形不織布として、不織布基材が繊維太さ40μmのナイロン6,6であり、研磨材が粒子径75〜250ミクロンの酸化アルミニウム粒子であり、バインダーポリマーがフェノール樹脂である矩形不織布A(縦20mm、横25mm)を用意した。
【0071】
次いで、この矩形不織布Aを用いて高さ(H1)20mm、幅(W)25mm、長さ(L)25mmの試験ブロック1〜4を作製し、それぞれの試験ブロックについて上記の測定方法に従い圧縮変形率T1を測定した。なお、試験ブロック1〜4は、不織布密度がそれぞれ0.5g/cm3、0.6g/cm3、0.7g/cm3.0.8g/cm3となるように作製した。測定された圧縮変形率を、表1に示す。
【0072】
(確認試験5)
矩形板として、厚さ2.5mmの高圧縮紙からなる矩形板B1(縦20mm、横25mm)を用意した。次いで、この矩形板B1を用いて高さ(H1)20mm、幅(W)25mm、長さ(L)25mmの試験ブロック5を作製し、上記の測定方法に従い圧縮変形率T2を測定した。測定された圧縮変形率を、表1に示す。
【0073】
(確認試験6)
矩形板として、厚さ2mmのベークライト板からなる矩形板B2(縦20mm、横25mm)を用意した。次いで、この矩形板B2を用いて高さ(H1)20mm、幅(W)25mm、長さ(L)25mmの試験ブロック6を作製し、上記の測定方法に従い圧縮変形率T2を測定した。測定された圧縮変形率を、表1に示す。
【0074】
(確認試験7)
矩形不織布Aと矩形板B1とを、2:1の割合で交互に積層し、矩形板B1に挟まれた矩形不織布Aの不織布密度が0.8g/cm3となるように積層方向に押圧して接着剤により接着し、高さ(H1)20mm、幅(W)25mm、長さ(L)25mmの試験ブロック7を作製した。なお、作製された試験ブロック7において、矩形板B1は、積層方向の1mあたり160枚の割合で積層されていた。この試験ブロック7について、確認試験1〜6と同様に圧縮変形率を測定した。測定された圧縮変形率を表1に示す。
【0075】
(確認試験8)
短径不織布Aと矩形板B2とを、2:1の割合で交互に積層し、矩形板B2に挟まれた矩形不織布Aの不織布密度が0.7g/cm3となるように積層方向に押圧して接着剤により接着し、高さ(H1)20mm、幅(W)25mm、長さ(L)25mmの試験ブロック8を作製した。なお、作製された試験ブロック8において、矩形板B2は、積層方向の1mあたり160枚の割合で積層されていた。この試験ブロック8について、確認試験1〜6と同様に圧縮変形率を測定した。測定された圧縮変形率を表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
(確認試験9〜11)
図8(a)は、確認試験9で用いる小型の研磨ロールサンプルの模式断面図である。研磨ロールサンプル300には円形不織布1のみが積層されており、研磨ロールサンプル300において円形不織布1は、不織布密度が0.5g/cm3となるように積層方向に押圧された状態で接着剤により相互に接着されている。なお、円形不織布1としては、確認試験1〜4の矩形不織布Aと同素材のものを用いた。
【0078】
図8(b)は、確認試験10及び11で用いる小型の研磨ロールサンプルの模式断面図である。研磨ロールサンプル310には円形不織布1及び円板2が、2:1の割合で交互に積層されており、円形不織布1及び円板2は、研磨ロールサンプル310の外周部の不織布密度が0.5g/cm3となるように、積層方向に押圧された状態で接着剤により相互に接着されている。なお、円形不織布1としては確認試験1〜4の矩形不織布Aと同素材のものを用いた。また、円板2としては、確認試験10では矩形板B1と同じ高圧縮紙からなる円板を用い、確認試験11では矩形板B2と同じベークライト板からなる円板を用いた。以下、確認試験10の研磨ロールサンプルを「研磨ロールサンプル311」といい、確認試験11の研磨ロールサンプルを「研磨ロールサンプル312」という。
【0079】
研磨ロールサンプル300、研磨ロールサンプル311及び研磨ロールサンプル312は、それぞれ、直径aが147mm、対向するキー突起3を含めた長さbが170である回転軸6が挿入される貫通孔を有し、外径cが230mmとなるよう設計した。また、研磨ロールサンプル311及び研磨ロールサンプル312の円板2の外径dは、210mmとした。なお、各研磨ロールサンプルはいずれも100mm幅とした。
【0080】
上記の各研磨ロールサンプルについて、図9(a)に示すように圧縮テストを行った。圧縮テストにおいては、保持具61に研磨ロールサンプルを設置し、押圧器62で所定の圧縮荷重で押圧した。圧縮荷重を3N〜1000Nまで変更して、各圧縮荷重における圧縮ひずみをそれぞれ測定した。なお、研磨ロールサンプルは、回転軸からのびるシャフト9において保持具61に保持されている。
【0081】
このような圧縮テストを、図9(b)に示すように、キーが存在する方向(キー方向)D1及びキーが存在しない方向(キー間方向)D2の二方向で実施し、圧縮される方向による圧縮ひずみの違いを比較した。研磨ロールサンプル310の各方向での圧縮ひずみを表2に示し、研磨ロールサンプル311の各方向での圧縮ひずみを表3に示し、研磨ロールサンプル312の各方向での圧縮ひずみを表4に示す。
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】
【表4】
【0085】
図11〜13は、各研磨ロールサンプルの圧縮ひずみと圧縮荷重との関係を示すグラフである。図11に示すように、円板を有しない研磨ロールサンプル300では、キー方向とキー間方向で圧縮ひずみに差が生じた。また、この差は、圧縮荷重が高いほど大きくなった。一方、図12及び図13に示すように、円板を有する研磨ロールサンプル311及び312では、キー方向とキー間方向との圧縮ひずみの差はほとんど生じなかった。
【0086】
(確認試験12)
確認試験9の研磨ロールサンプル300と同様の研磨ロールサンプルを水に12時間浸漬したものを、研磨ロールサンプル301とした。研磨ロールサンプル301について、上記と同様の圧縮テストを行い、キー方向とキー間方向の圧縮ひずみの差を比較した。結果を表5に示す。
【0087】
(確認試験13)
確認試験11の研磨ロールサンプル312と同様の研磨ロールサンプルを水に12時間浸漬したものを、研磨ロールサンプル313とした。研磨ロールサンプル303について、上記と同様の圧縮テストを行い、キー方向とキー間方向の圧縮ひずみの差を比較した。結果を表6に示す。
【0088】
【表5】
【0089】
【表6】
【0090】
図14は、研磨ロールサンプル301及び313の圧縮ひずみと圧縮荷重との関係を示すグラフである。図14に示すように、円板を有しない研磨ロールサンプル303では、キー方向とキー間方向で圧縮ひずみに差が生じた。また、この差は、圧縮荷重が高いほど大きくなった。一方、円板を有する研磨ロールサンプル313では、水浸漬後でもキー方向とキー間方向との圧縮ひずみの差はほとんど生じなかった。
【0091】
(確認試験14〜16)
確認試験9〜11で作製した研磨ロールサンプルを用いて、金属板の研磨を行った。まず、図10に示すように研磨ロールサンプル300を用いて金属板400を研磨した。研磨ロールサンプル300は回転軸を介して平面研磨機に設置されており、図10中の矢印で示す方向に回転して金属板400を研磨する。金属板400は、平面研磨機のピンチロール72により一定の搬送速度で搬送されるとともに、研磨ロールサンプル300と対向する位置に設置されたバックアップロール71で支持されている。また、研磨ロールサンプル300と金属板400とが接する箇所には、潤滑材73が噴き付けられている。なお、金属板の研磨は、下記に示す条件で行った。
【0092】
<研磨条件>
研磨機 :平面研磨機
回転数 :1700rpm
搬送速度:60m/min
研磨荷重:100mm幅あたり、600N
研磨回数:1回
潤滑材 :水
金属板 :ステンレス板(材質:SUS304、サイズ:150×700×1mm)
【0093】
次いで、研磨ロールサンプル300を、研磨ロール311及び312に変更し、同様にして金属板の研磨を行った。各研磨ロールで研磨した金属板について、それぞれチャターマーク等の研磨痕の有無を確認した。結果を表7に示す。
【0094】
【表7】
【0095】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明によれば、研磨痕の発生を抑制でき、均一な研磨が可能な不織布研磨ロール及びその製造方法を提供することができるとともに、上記不織布研磨ロールを備える研磨機及び上記不織布研磨ロールを用いた研磨製品の製造方法を提供することができ、産業上有用である。
【符号の説明】
【0097】
1…円形不織布、2…円板、3…キー突起、4…フランジ、5…ロックナット、6…回転軸、7…ダミーシャフト、8…貫通孔、11、12、13…円形不織布、14a、14b、14c…開口、21、22、23…円板、24a、24b、24c…開口、31…押圧手段、32…保持具、33…ボルト、41…矩形不織布、51…設置台、52…押圧器、61…保持具、62…押圧器、71…バックアップロール、72…ピンチロール、73…潤滑材、300…研磨ロールサンプル、400…金属板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨機の回転軸が挿入される貫通孔を有し、当該貫通孔の内面と前記回転軸とが嵌合して前記回転軸のトルクが伝達される不織布研磨ロールであって、
前記貫通孔をなす開口を中央部にそれぞれ有する複数の円形不織布と、
前記貫通孔をなす開口を中央部にそれぞれ有し、前記円形不織布の外径より小さい外径を有する複数の円板と、
を備え、
前記複数の円形不織布及び前記複数の円板は、前記円板が1枚又は2枚以上の前記円形不織布の開口側を挟むように積層され、積層方向に押圧された状態で接着剤により相互に接着されており、
前記円板は、前記積層方向と垂直な方向からの圧力に対する圧縮変形率が前記円形不織布より小さい、不織布研磨ロール。
【請求項2】
前記積層方向の長さ1mあたりに積層された前記円板の総厚みは、10〜60cmである、請求項1に記載の不織布研磨ロール。
【請求項3】
前記円板は、略等間隔に積層されている、請求項1又は2に記載の不織布研磨ロール。
【請求項4】
前記円板の開口から前記円板の外周までの最短距離は、5mm以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の不織布研磨ロール。
【請求項5】
研磨機の回転軸が挿入される貫通孔を有し、当該貫通孔の内面と前記回転軸とが嵌合して前記回転軸のトルクが伝達される不織布研磨ロールの製造方法であって、
前記貫通孔をなす開口を中央部にそれぞれ有する複数の円形不織布と前記貫通孔をなす開口を中央部にそれぞれ有する複数の円板を、前記円板が1枚又は2枚以上の前記円形不織布の開口側を挟むように積層する積層工程と、
前記積層工程で積層された前記円形不織布及び前記円板を、積層方向に押圧した状態で接着剤により相互に接着する接着工程と、
を備え、
前記円板は、前記円形不織布の外径より小さい外径を有し、前記積層方向と垂直な方向からの圧力に対する圧縮変形率が前記接着工程を経た前記円形不織布より小さい、不織布研磨ロールの製造方法。
【請求項1】
研磨機の回転軸が挿入される貫通孔を有し、当該貫通孔の内面と前記回転軸とが嵌合して前記回転軸のトルクが伝達される不織布研磨ロールであって、
前記貫通孔をなす開口を中央部にそれぞれ有する複数の円形不織布と、
前記貫通孔をなす開口を中央部にそれぞれ有し、前記円形不織布の外径より小さい外径を有する複数の円板と、
を備え、
前記複数の円形不織布及び前記複数の円板は、前記円板が1枚又は2枚以上の前記円形不織布の開口側を挟むように積層され、積層方向に押圧された状態で接着剤により相互に接着されており、
前記円板は、前記積層方向と垂直な方向からの圧力に対する圧縮変形率が前記円形不織布より小さい、不織布研磨ロール。
【請求項2】
前記積層方向の長さ1mあたりに積層された前記円板の総厚みは、10〜60cmである、請求項1に記載の不織布研磨ロール。
【請求項3】
前記円板は、略等間隔に積層されている、請求項1又は2に記載の不織布研磨ロール。
【請求項4】
前記円板の開口から前記円板の外周までの最短距離は、5mm以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の不織布研磨ロール。
【請求項5】
研磨機の回転軸が挿入される貫通孔を有し、当該貫通孔の内面と前記回転軸とが嵌合して前記回転軸のトルクが伝達される不織布研磨ロールの製造方法であって、
前記貫通孔をなす開口を中央部にそれぞれ有する複数の円形不織布と前記貫通孔をなす開口を中央部にそれぞれ有する複数の円板を、前記円板が1枚又は2枚以上の前記円形不織布の開口側を挟むように積層する積層工程と、
前記積層工程で積層された前記円形不織布及び前記円板を、積層方向に押圧した状態で接着剤により相互に接着する接着工程と、
を備え、
前記円板は、前記円形不織布の外径より小さい外径を有し、前記積層方向と垂直な方向からの圧力に対する圧縮変形率が前記接着工程を経た前記円形不織布より小さい、不織布研磨ロールの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
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【図4】
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【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−157944(P2012−157944A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19976(P2011−19976)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
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