説明

不織布

【課題】インナー素材として好適な高透湿性及び防風性を兼ね備え、かつ用途に応じストレッチ性、吸水性等を備えた、極細繊維からなる不織布、及び、該不織布を用いた機能性インナーを提供する。
【解決手段】ポリアミド系エラストマー(PAE)及びポリウレタン系エラストマー(PUE)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む溶液を電界紡糸することによって得られる繊維の平均直径が50〜1500nmの極細繊維からなる不織布、並びにその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来にはなかった高透湿性、防風性等を合わせ持った極細繊維からなる不織布、該不織布を用いたインナー、およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的にポリアミド系エラストマーは、耐熱性、耐寒性、耐油性、親水性に優れた性質を有しているが、衣料として用いるには、ストレッチ性に乏しい。一方、ポリウレタン系エラストマーは十分なストレッチ性を有しているが、吸水性・透湿性に乏しい。
【0003】
従来の二軸混練機によるポリマーブレンド法では、上記2種による均一なポリマーアロイが不可能であり、両特性を制御した不織布を作ることは不可能であった。つまり、用途に応じて、ストレッチ性と透湿性・吸水性をバランスよく合わせもったポリマーを容易に得ることができず、衣料素材としての用途展開の幅が限られていた。
【0004】
現行の実用的な不織布インナーとしては、コットンとレーヨンによるジェット水流により交絡したペーパー肌着等が知られている。しかし、これは伸びを全く持たないものであり、さらにその使用においても手もみ洗いで2〜3回という使い捨てを目的としたライフサイクルの短いものであった。
【0005】
他には、ポリプロピレンの不織布の間に粒状シリカゲルを充填したシート状物からなるインナー衣料が報告されている(特許文献1)。これは粒状シリカゲルを充填することで吸湿、吸水、放湿機能を向上させるものであり、ストレッチ性、フィット性を勘案したものではない。
【0006】
インナー用不織布に関しては各種製法が提案されている。インナー用として好適な細繊維径を得るにはメルトブロー方式が挙げられる。しかしながら、ナノサイズの繊維径を得ることは不可能である。また、溶融紡糸法においては、海島繊維を用いることにより、ナノサイズの繊維径を得る方法が提案されている。しかし、その生産工程において、新しく海成分の除去工程を要するうえに、ポリアミド系エラストマーとポリウレタン系エラストマーのブレンドポリマーの分子レベルでの均一分散が困難であり、さらに開繊して均一な不織布にする工程が必要になる。
【0007】
繊維径の小さい繊維構造体を製造する方法として、電解紡糸(エレクトロスピニング)が知られている。これは、繊維形成物質を含有する溶液等を電場内に導入し、これにより溶液を電極に向かって曳かせ、溶液中の繊維形成物質を繊維状構造体へと形成させる方法である。一般に、繊維形成物質は溶液から曳き出される間に硬化する。硬化は、例えば、冷却、化学的硬化、溶媒の蒸発等により行われる。そして得られる繊維状構造体は、適宜に配置したコレクタ(受容体)上に捕集される。
【0008】
この電解紡糸(エレクトロスピニング)をもちいて、極細繊維(ナノファイバー)からなるシート乃至不織布を作製する技術としては、例えば特許文献2〜5等に報告されている。
【0009】
特許文献2には、絹フィブロイン及び/又は絹様材料をヘキサフルロロアセトン水和物又はそれを主成分とする溶剤に溶解した溶液からエレクトロスピニングして絹又は絹様繊維を製造する方法が記載されている。
【0010】
特許文献3には、電荷誘電紡糸法を用いた高分子化合物からなる繊維構造体を堆積した不織布の製造方法が記載されている。
【0011】
特許文献4には、コラーゲン、水及びヘキサフルオロイソプロパノールを含有するコラーゲン溶液をエレクトロスピニングによりμmオーダーのコラーゲン繊維とする方法が記載されている。
【0012】
特許文献5には、エレクトロスピニングにより得られる数平均直径が1〜500nmの熱可塑性ポリマー繊維からなる成形体をプレスしたシートが記載されている。
【0013】
しかし、高透湿性及び防風性を兼ね備え、かつ用途に応じストレッチ性、吸水性等を備えた高機能性インナー部材として好適な不織布素材については記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2005−154945号公報
【特許文献2】特許第3972092号明細書
【特許文献3】特開2005−293067号公報
【特許文献4】特開2007−138364号公報
【特許文献5】特開2007−191849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、インナー素材として好適な高透湿性及び防風性を兼ね備え、かつ用途に応じストレッチ性、吸水性等を備えた、極細繊維からなる不織布を提供することを目的とする。また、該不織布を用いた機能性インナーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ポリウレタン系エラストマー及び/又はポリアミド系エラストマーを溶媒に溶解した溶液を電界紡糸(エレクトロスピニング)により繊維の平均直径が1〜1500nmの極細繊維からなる不織布を製造し、これがインナー素材として好適な高透湿性及び防風性を兼ね備えていることを見いだした。また、ポリウレタン系エラストマー及びポリアミド系エラストマーを所定の割合で含む極細繊維からなる不織布が、用途に応じストレッチ性、吸水性等の特性も備えることができることを見いだした。かかる知見に基づき、さらに研究を重ねて本発明を完成するに至った。
【0017】
即ち、本発明は下記の不織布及びインナーを提供する。
【0018】
項1. ポリアミド系エラストマー(PAE)及びポリウレタン系エラストマー(PUE)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む溶液を電界紡糸することによって得られる繊維の平均直径が50〜1500nmの極細繊維からなる不織布。
【0019】
項2. 厚みが10〜250μmである項1に記載の不織布。
【0020】
項3. JIS L 1099 A−2法による透湿性試験において、透湿量3000cm/24h・m以上である項1又は2に記載の不織布。
【0021】
項4. KES−F8−AP1による通気抵抗が0.2kPa・s/m以上である項1〜3のいずれかに記載の不織布。
【0022】
項5. JIS L 1018による引張試験において、破断伸び率が110〜400%である項1〜3のいずれかに記載の不織布。
【0023】
項6. 20℃、湿度65%の条件下における31時間後の平衡水分率が1〜10%であり、バイレック法による吸水性が0〜50mmである項1〜5のいずれかに記載の不織布。
【0024】
項7. ポリアミド系エラストマー(PAE)とポリウレタン系エラストマー(PUE)の混合重量比が100/0〜40/60である項1〜6のいずれかに記載の不織布。
【0025】
項8. ポリアミド系エラストマー(PAE)とポリウレタン系エラストマー(PUE)の混合重量比が40/60〜0/100である項1〜6のいずれかに記載の不織布。
【0026】
項9. 項1〜8のいずれかに記載の不織布を含む衣料。
【0027】
項10. ポリアミド系エラストマー(PAE)及びポリウレタン系エラストマー(PUE)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む溶液を電界紡糸して、繊維直径が1〜1500nmの極細繊維からなる不織布を製造する方法。
【発明の効果】
【0028】
本発明の不織布は、ポリアミド系エラストマー(PAE)及びポリウレタン系エラストマー(PUE)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む溶液を電界紡糸(エレクトロスピニング)することによって得られる極細繊維からなる不織布である。そのため、インナー素材として好適な高透湿性及び防風性を兼ね備え、かつ用途に応じストレッチ性、吸水性等を備えるという特徴を有している。また、アンダーウェア全般(肌着・ソックス(パンスト)・かつらの人工肌地等)、一部アウター等としても好適である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】エレクトロスピニング装置の一例を模式的に示した図である。
【図2】ノズルの動きとX−Y方向を模式的に示した図である。
【図3】試験例1における通気性試験の結果を示した図である。
【図4】試験例2における透湿率試験の結果を示した図である。
【図5】試験例2における透湿量試験の結果を示した図である。
【図6】試験例3における接触角試験の結果を示した図である。
【図7】試験例4における吸水性試験の結果を示した図である。
【図8】試験例6における破断伸び試験の結果を示した図である。
【図9】試験例6における破断強度(破断応力)試験の結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
1.極細繊維からなる不織布
本発明の不織布は、ポリアミド系エラストマー(PAE)及びポリウレタン系エラストマー(PUE)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む溶液を電界紡糸することによって得られる繊維の平均直径が50〜1500nmの極細繊維からなることを特徴とする。
【0031】
(1)ポリウレタン系エラストマー(PUE)
極細繊維の材料であるポリウレタン系エラストマーは、一般に、高分子ポリオール、ジイソシアネート、低分子ジオールを反応させて得ることができる。また、単官能性活性水素原子を有する末端停止剤を反応させてもよい。
【0032】
高分子ポリオールとしては、実質的に線状のホモ又は共重合体からなる各種ジオール、例えば、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルアミドジオール、ポリアクリルジオール、ポリチオエステルジオール、ポリチオエーテルジオール、又はこれらの混合物又はこれらの共重合物等が挙げられる。ポリエーテルグリコールとしては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリオキシペンタメチレングリコール、テトラメチレン基と2,2−ジメチルプロピレン基から成る共重合ポリエーテルグリコール、テトラメチレン基と3−メチルテトラメチレン基から成る共重合ポリエーテルグリコール又はこれらの混合物等である。ポリエステルジオールとしては、アジピン酸、フタル酸等の二塩基酸とエチレングリコール、1,4−ブタンジオール等のグリコール類との縮合脱水反応によるアジペート系ポリエステルジオール、ε−カプロラクトンの開環重合によるポリカプロラクトンジオール、ポリカーボネートジオール等である。高分子ポリオールは、数平均分子量として500〜2,500のものが好ましい。より好ましくは、600〜2,200であり、特に好ましくは、800〜1,800である。
【0033】
ジイソシアネートとしては、脂肪族、脂環族、芳香族のジイソシアネートが挙げられる。例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−及び2,6−トリレンジイソシアネート、m−及びp−キシリレンジイシシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルジイソシアネート、1,3−及び1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、3−(α−イソシアナートエチル)フェニルイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート又はこれらの混合物又はこれらの共重合物等が挙げられる。好ましくは、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートである。
【0034】
鎖延長剤として用いるジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、1,10−デカンジオール、1,3−ジメチロールシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン等を用いることができる。好ましくは、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールである。
【0035】
単官能性活性水素原子を有する末端停止剤としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、3−メチル−1−ブタノール等のモノアルコールや、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、t−ブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン等のモノアルキルアミンや、ジエチルアミン、ジメチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、ジイソプロピルアミン等のジアルキルアミンが挙げられる。これらは単独で、又は混合して用いてもよい。
【0036】
本発明に用いるポリウレタン系エラストマーを製造する方法に関しては、公知のポリウレタン化反応の技術を用いることができる。例えば、ポリアルキレンエーテルグリコールとジイソシアネートをジイソシアネート過剰の条件下で反応させ、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを合成し、次いで、このウレタンプレポリマーをジオールで鎖伸長反応を行い、ポリウレタンを得ることができる。ポリウレタン化反応の操作に関しては、ウレタンプレポリマー合成時やウレタンプレポリマーとジオールとの反応時に、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド等のアミド系極性溶媒を用いることができる。好ましくはジメチルアセトアミドである。
【0037】
本発明で用いられるポリウレタン系エラストマーの具体例としては、例えば、pandex1185(大日本インキ化学工業(株)製)、レザミンPS22470(大日精化工業(株)製)、pandexT−8175N(大日本インキ化学工業(株)製)等が例示される。
【0038】
(2)ポリアミド系エラストマー(PAE)
ポリアミド系エラストマー(PAE)としては、ポリアミドに由来する構造単位と、脂肪族ポリエーテルに由来する構造単位とを有する重合体が挙げられる。例えば、(a)ポリアミド形成成分と(b)ポリ(アルキレンオキシド)グリコールとの反応によって得られる、ブロックまたはグラフト共重合体が挙げられる。
【0039】
(a)ポリアミド形成成分の具体例としては、ω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノペルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸、カプロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタム、ラウロラクタム等のラクタム、ヘキサメチレンジアミン−アジピン酸塩、ヘキサメチレンジアミン−セバシン酸塩、ヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸塩等のジアミン−ジカルボン酸の塩等が挙げられ、特に、カプロラクタム、12−アミノドデカン酸、ヘキサメチレンジアミン−アジピン酸塩が好ましく用いられる。
【0040】
(b)ポリ(アルキレンオキシド)グリコールの具体例としては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(1,2−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、あるいはエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックまたはランダム共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランのブロックまたはランダム共重合体等が挙げられる。本発明において、この(b)ポリ(アルキレンオキシド)グリコールの数平均分子量は、200〜6000、特に400〜4000の範囲であるのが好ましい。
【0041】
さらに、(b)ポリ(アルキレンオキシド)グリコールと組み合わせて、下記ジオール化合物を用いることができる。具体例としては、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物、ビスフェノールSのエチレンオキシド付加物、ビスフェノールSのプロピレンオキシド付加物、臭素化ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、臭素化ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物等のビスフェノール類のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド付加物、ジヒドロキシナフタレンのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド付加物、ならびにそれらのブロック(共)重合体、4,4’−(ヒドロキシ)ビフェニルのエチレンオキシド付加物、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィドのエチレンオキシド付加物、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィドのプロピレンオキシド付加物、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシドのエチレンオキシド付加物、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシドのプロピレンオキシド付加物、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンのエチレンオキシド付加物、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンのプロピレンオキシド付加物、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテルのエチレンオキシド付加物、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテルのプロピレンオキシド付加物、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アミンのエチレンオキシド付加物、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アミンのプロピレンオキシド付加物、2,2−ヒス(4−ヒドロキシフェニル)エタンのエチレンオキシド付加物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンのプロピレンオキシド付加物、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノンのエチレンオキシド付加物、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのエチレンオキシド付加物、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサンのプロピレンオキシド付加物等のビスフェノール類等を挙げることができる。
【0042】
好ましいジオール化合物としては、ハイドロキノンのエチレンオキシド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、臭素化ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、ビスフェノールSのエチレンオキシド付加物、ジヒドロキシナフタレンのエチレンオキシド付加物およびそのブロック重合体であり、特に、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物およびそのブロック重合体が好ましい。また、臭素化ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、臭素化ビスフェノールSのエチレンオキシド付加物等を用いることにより、透湿性フィルム層の難燃性を向上させることができる。これらのポリ(アルキレンオキシド)グリコールとジオール化合物は、1種もしくは必要に応じて2種以上用いることができる。
【0043】
本発明で用いられるポリアミド系エラストマーとしては、pebaxMV1041(アルケマ(株)製)、ダイアミドPAE E62(ダイセル・ヒュルス)等が例示される。
【0044】
(3)不織布
不織布を構成する極細繊維の材料は、ポリアミド系エラストマー(PAE)及びポリウレタン系エラストマー(PUE)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む。即ち、ポリアミド系エラストマー(PAE)とポリウレタン系エラストマー(PUE)の配合比(重量比)は、100:0〜0:100であり、好ましくは5:95〜95:5であり、より好ましくは25:75〜75:25である。
【0045】
電界紡糸法を用いると、ナノオーダーの均一な繊維径を有する極細繊維からなる不織布を得ることができる。繊維の平均直径は、通常50〜1500nm程度であり、好ましくは200〜1000nm、より好ましくは300〜900nmである。なお、繊維の平均直径は、10000〜50000倍の倍率でSEM(Scanning Electron Microscope)にて撮影し、無作為に選んだ繊維の太さ(繊維軸に直交方向の長さ)を30点測定し、その平均値によって表される。
【0046】
電界紡糸法で得られる不織布は、上記PAE及びPUEのいずれの配合比でも良好な透湿性を有し、かつ、高い通気抵抗(即ち、防風性)を有している。
【0047】
本発明の不織布は、通常厚みが10〜250μmであり、好ましくは30〜200μmであり、より好ましくは70〜150μmである。かかる厚みであれば、例えば衣料として好適である。
【0048】
ここで、不織布の厚みは、マイクロゲージを用いて、各生地について3箇所の測定を行い、その平均値を厚みとした。
【0049】
本発明の不織布は、上記の繊維の平均直径からなる極細繊維からなり、上記の範囲の厚みを有する場合には、その厚みに関係なく一定の良好な透湿性が保持される。例えば、JIS L 1099 A−2法による透湿性試験において、透湿量が3000cm/24h・m以上であることが好ましく、4000cm/24h・m以上がより好ましく、4500〜6500cm/24h・mがさらに好ましく、4700〜5500cm/24h・mが特に好ましい。このように、本発明の不織布は、従来の不織布に対して、高い透湿性を有している。これは、水蒸気が該極細繊維を透過する際に水蒸気がスリップ流を起こすため、良好な透湿性が保持されると考えられる。
【0050】
また、以下に示すG式透湿性試験における透湿率が、40%以上であることが好ましく、40.5〜42%であることがより好ましい。
【0051】
<G式透湿性試験>
G式透湿性試験は、以下の方法により実施することができる。
【0052】
具体的方法としては、117.7cmの容積を有する容器(開放部面積19.62cm)に40℃の水を60mL入れて、15cm×15cmの大きさの不織布が容器の淵にしっかり密着するように容器開放部にセットして密閉することで、試験体とする。ここで、密閉とは、容器の上端に両面テープを貼り、該両面テープにより不織布を固定し、かつ容器上部を不織布上から輪ゴムで止めることで密閉する。また、同様のカップに同量の水を入れて、不織布をセットせずに容器上部を開放状態にしたブランク試験体を準備する。これらの試験体の重量を予め測定しておく(ブランク試験体:a、試験体:b)。これらの試験体を20℃、65%の試験環境下で、45℃の均一な熱板の上に6時間置き、6時間経過後すぐに試験体の重量を測定する(ブランク試験体:a’、試験体:b’)。下記の式により透過率を求める。
【0053】
【数1】

【0054】
本発明の不織布は、上記の繊維の平均直径からなる極細繊維からなり、上記の範囲の厚みを有する場合には、その厚みに関係なく一定の高い通気抵抗(防風性)を有している。例えば、KES通気抵抗試験(KES−F8−AP1通気性試験機、カトーテック(株)製)において、0.2kPa・s/m以上、さらに0.2〜10kPa・s/mである。これは、穴径が極めて微細であるため通気性が遮断されるためと考えられ、これにより保温性が保持される。
【0055】
防風性に関しては、上記の様な通気抵抗値で表す以外に単位時間当たりの通気量でも表すことができる。例えば、フラジール法(JIS L 1096)による通気量試験において、通気量は60cm/cm/sec以下、さらに50cm/cm/sec以下である。なお、上記のKES通気抵抗試験の測定値は、フラジール法(JIS L 1096)による通気量値と相関がある。
【0056】
また、本発明の不織布は、さらに、ポリアミド系エラストマー(PAE)及びポリウレタン系エラストマー(PUE)の所定の配合比(重量比)にすることにより、吸水性、平衡水分率、伸び(ストレッチ性)に制御し、良好なナノファイバー不織布とすることができる。
【0057】
例えば、本発明の不織布の各サンプルを、絶乾後、20℃、湿度65%の条件下において31時間放置した後の平衡水分率は0.5〜15%、さらに1〜10%であり、バイレック法による吸水性(JIS L 1907)は0〜50mm、さらに0.5〜45mmである。通常、ポリアミド系エラストマー(PAE)の混合重量比が大きくなると、平衡水分率及び吸水性が向上する傾向にある。
【0058】
本発明の不織布の各サンプルを、JIS L 1018により引張試験したとき、破断伸び率は130〜400%、さらに200〜300%であり、破断強度は5.5MPa〜16.0MPaであることが好ましい。通常、ポリウレタン系エラストマー(PUE)の混合重量比が大きくなると、破断応力及び破断伸度が向上する傾向にある。
【0059】
本発明の不織布の各サンプルについて接触角を測定すると、通常、0〜130°程度、さらに0〜122°程度となる。通常、ポリウレタン系エラストマー(PUE)の混合重量比が大きくなると、接触角が大きくなり撥水性が向上する傾向にある。
【0060】
本発明の不織布は高い防風性を有することから、例えば、寒冷地等で用いられるインナー衣料の素材として用いることができる。この場合、人体の肌上に粒状の汗をかき、素早く汗を吸収する必要がある場合には、ポリアミド系エラストマー(PAE)とポリウレタン系エラストマー(PUE)の混合重量比を100/0〜25/75、さらに100/0〜40/60とすることが好ましい。この範囲であれば、十分な吸水性が得られるからである。一方、静的運動が主であり、人体の肌上に粒状の汗をかかず、汗を吸収する必要がない場合には、PAEとPUEの混合重量比を60/40〜100/0、さらに75/25〜100/0とすることが好ましい。この範囲であれば、吸水性は小さいものの良好なストレッチ性が得られるからである。
【0061】
さらに、本発明の不織布は人体に追随するストレッチ性と吸水特性さらに高透湿性・防風性を備えた機能性インナー用不織布素材となり得る。例えば、ポリアミド系エラストマー(PAE)とポリウレタン系エラストマー(PUE)の混合重量比を90/10〜10/90、好ましくは80/20〜20/80、より好ましくは70/30〜30/70、特に好ましくは60/40〜40/60とする。
【0062】
本発明の不織布をインナー素材として用いる場合、極細繊維の平均直径は、50〜1500nmであり、好ましくは500〜1000nmである。また、不織布の厚みは10〜250μm、好ましくは20〜50μmである。かかる範囲であれば、インナー素材として好適な高透湿性、防風性、ストレッチ性、吸水性等を備えることとなる。
【0063】
2.不織布の製法
本発明の不織布の製法は、ポリアミド系エラストマー(PAE)及びポリウレタン系エラストマー(PUE)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む溶液を電界紡糸して、繊維直径が1〜1500nmの極細繊維からなる不織布を製造する。本発明の製法では、上記した不織布を簡易に製造することができる。
【0064】
ポリアミド系エラストマー(PAE)及びポリウレタン系エラストマー(PUE)からなる群より選ばれる少なくとも1種を溶解する溶媒としては、フッ素系溶媒が挙げられ、具体的には、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、トリフルオロ酢酸(TFA)等が例示される。なかでも、HFIPが生成性・生成した不織布の物性の点で好適である。
【0065】
前記溶液におけるポリアミド系エラストマー(PAE)及び/又はポリウレタン系エラストマー(PUE)の濃度は、例えば、1〜20重量%が好ましく、より好ましくは3〜15重量%、さらに好ましくは5〜10重量%である。濃度が1重量%未満では、ナノファイバーの生成効率が極めて低くなり、さらにビーズと呼ばれる膨らみが繊維上に発生する傾向がある。一方、20重量%を超えると繊維径が太くなり、ナノサイズ化特性(例えば、高透湿性、比表面積の増大による高い吸水性、高いはっ水性等)が十分得られなくなる傾向があり、好ましくない。
【0066】
電解紡糸の紡糸工程では内径0.005〜2.0mm、好ましくは0.1〜0.8mmのノズルより、ポリウレタンポリマー溶液乃至ブレンドポリマー溶液をコレクタに向けて吐出させる。紡糸工程における印加電圧は、電極間の印加電圧の差が|1|kV以上|70|kV以下、好ましくは|15|kV以上|55|kV以下であることが好ましい。
【0067】
電解紡糸は市販の装置を用いることができる(例えば、図1を参照)。電解紡糸装置1は、通常密閉容器内に設けられ、溶液を含むシリンジ3に金属製ノズル2が装着され、該ノズル2には高圧電源6が接続されている。この金属ノズル2の先端から溶液が排出(吐出)される。その下部に金属製コレクタ4を備えている。金属製コレクタ4には、アース5が接続されている。
【0068】
ここで、高圧電源6をONにすると、金属ノズル2に高電圧が印加される。このとき、金属製ノズル2内を流れるポリアミド系エラストマー及びポリウレタン系エラストマーの混合溶液に電荷が誘発、蓄積される。金属製ノズル2から噴出された後、該混合溶液は、プラスに帯電するために互いに反発する。
【0069】
この反発力は、該混合溶液の表面張力に対抗し、荷電臨界を超えると(表面張力を超えると)、該混合溶液は帯電ミストとなる。この帯電ミストの表面積は、体積に対して非常に大きいため、溶媒であるHFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)が効率よく蒸発する。さらに体積の減少により電荷密度が高くなるため、該混合溶液は帯電微小ミストへと分裂していく。
【0070】
金属製ノズル2は高電圧を印加されているが、金属製コレクタ4はアース5に接続されているので、金属製ノズル2と金属製コレクタ4の間には、強い電界が形成されている。帯電微小ミストは互いに反発しながら、形成された電界により金属製コレクタ4に向かって進行するが、途中で溶媒であるHFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)が揮発し、繊維化し、不織布として金属製コレクタ4に捕集される。このとき金属製ノズル2に付与された荷電と反対の符号を有する荷電を金属製コレクタ4に付与してもよい。
【0071】
なお、金属製ノズル2からの該混合溶液の吐出量は、テイラーコーンの形状によって、この吐出速度は、密閉容器内を加圧するコンプレッサーの出力を制御することにより、調整することが可能である。
【0072】
なお、ここでは、ノズル2およびコレクタ4をすべて金属製としたが、金属製に限らず導電性材料であればよい。また、密閉容器を用いずに、開放系で該混合溶液を電解紡糸してもよい。
【0073】
上記の様にして電解紡糸により得られた不織布は、単独で用いることもできるが、ニット生地と複合化等してインナー衣料にすることができる。該肌着は、上記の所定の範囲で、優れたストレッチ特性、透湿性、水分特性、防風性等を付与することができる。
【実施例】
【0074】
以下に本発明の実施形態について便宜図面を参照しながら説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0075】
本発明のストレッチ性ナノファイバー不織布の生成方法において使用するエレクトロスピニング装置の一例を、図1に示す。装置は市販エレクトロスピニング装置(フューエンス社製、ES−2300)を用いた。また、不織布の生地厚みは、マイクロゲージを用いて、各生地について3箇所の測定を行い、その平均値を厚みとした。
【0076】
[実施例1]
電解紡糸法により高透湿性ストレッチ不織布を生成した。
(1)調製工程
まず、ポリウレタン系エラストマー(PUE)(大日本インキ化学工業(株)製、pandex1185)とポリアミド系エラストマー(PAE)(アルケマ(株)製、pebax MV1041)を準備し、ブレンドポリマーのブレンド重量比率が、PUE(pandex1185):PAE(pebax MV1041)=100:0、75:25、50:50、25:75、0:100となるように、5サンプルを調製した。
【0077】
次に、各サンプルを、ヘキサフルオロイソプロパノール(シグマアルドリッチ製、HFIP)に5重量%となるように完全溶解し、5つのポリマー溶液を得た。
(2)紡糸工程
上記調製工程で作製したブレンドポリマー溶液を、図1に示すエレクトロスピニング装置1を用いて繊維化し、高透湿性ストレッチ不織布を生成した。ここでは金属製ノズル2として武蔵エンジニアリング製22G(内径0.41mm)ノズルを使用し、金属製ノズル2の下端から金属製コレクタ4までの距離を15cmとした。また、ノズル2に可変電圧(高圧電源6)を接続し、50kVの直流電圧を印加した。ノズルから吐出する各ポリマー液に電界を作用させて極細繊維化し、コレクタ4上に連続して極細繊維を集積させて不織布を得た。このときノズルは、図2に示すようにY方向にスクロールし、その動きをX方向にずれながら繰り返す動作を行った。その結果、金属製コレクタ4上には繊維径がおよそ900nmのファイバーからなる均一な不織布が生成された。
【0078】
厚みが30μmでPAE:PUEの比率が100:0、75:25、50:50、25:75、0:100の不織布を、それぞれサンプル1、2、3、4及び5とした。厚みが100μmでPAE:PUEの比率が0:100の不織布をサンプル6とした。サンプル1〜6の物性を表1に示す。
【0079】
[比較例1]
ポリウレタン系エラストマー(PUE)(大日本インキ化学工業(株)製、pandex1185)とポリアミド系エラストマー(PAE)(アルケマ(株)製、pebax MV1041)を、重量比75/25〜25/75の範囲で二軸混練機を用いてブレンドし、溶融紡糸を行ったが、いずれも均一なブレンドファイバーが得られず、不織布を得ることができなかった。
【0080】
[比較例2]
サンプル7として市販の厚み100μmのポリウレタン不織布(KBセーレン社製、エスパンシオーネUEO25)を用いた。サンプル7の物性を表1に示す。
【0081】
【表1】

【0082】
得られた不織布のサンプル1〜7の通気性(防風性)、水分特性(透湿性、接触角、吸水性、平衡水分率)及びストレッチ性(破断伸び、破断応力)の試験結果を以下に示す。
【0083】
[試験例1](通気性)
通気抵抗値は、KES−F8−AP1通気性試験機にて、レンジL、ピストン速度2cm/secで空気を各サンプル(サイズ:50mm×50mm)に送り、該サンプルを通して大気中へ放出、吸引する方法により、1サイクル10秒内の圧力損失を半導体差圧ゲージを用いて測定した。サンプル1〜7のそれぞれについて各5個測定しその平均値を求めた。その結果を表2及び図3に示す。
【0084】
【表2】

【0085】
これによれば、サンプル1〜6では、いずれも通気抵抗値は0.2kPa・s/m以上と高い値を示し、通気性が遮断されていることが分かった(なお、通気抵抗:通常、普通のニット生地で、0.01〜0.1(kPa・s/m)程度である。)。また、通気抵抗値は、PUEの混合割合が大きくなるに従い(サンプル1から5になるに従い)大きくなる、即ち通気量が小さくなることが分かった。サンプル7は通気抵抗が0.0023と低く、防風性と透湿性を兼ね備えることができないことが分かった。
【0086】
[試験例2](透湿率及び透湿量)
JIS L 1099 A−2法を用いて、各サンプルの透湿量を測定した。また、前述のG式透湿性試験法により、透湿率を測定した。その結果を表3、及び図4、5に示す。
【0087】
【表3】

【0088】
いずれのサンプルでもおいても高い透湿性をもっており、サンプル3では低下するものの、PUEの混合割合が大きいサンプル4及び5では、透湿性は高くなる傾向にあることが分かった。
【0089】
[試験例3](接触角)
自動接触角計(協和界面科学(株)製、FACE CA−Z2)を用いて、下記の条件で各サンプルの接触角を測定した。測定方法は滴下法を用い、使用液体は純水を用いた。上記、装置、方法により、液的落下後4(s)時点の接触角を計測した。なお、サンプル数は3点測定し、その平均値を接触角値とした。その結果を図6に示す。
【0090】
図6より、ポリウレタン系エラストマー(PUE)の混合割合が増加するほど、接触角が大きくなり撥水性が増加した。ポリアミド系エラストマー(PAE)の混合割合が大きくなるにつれて、接触角が小さくなり濡れ性が増加することが確認できた。つまり、混合割合を変えることにより、濡れ性の制御が可能である。また、ナノ繊維化することで、フィルムと比較して、ブレンドによる接触角の制御範囲が増大している。
【0091】
[試験例4](吸水性)
吸水速度測定装置を用いて、バイレック法(JIS L 1907)により各サンプルの吸水性を測定した。各サンプルの大きさは、20×2.5cmとした。測定結果を表4及び図7に示す。これより、PAEの混合割合が大きくなるにつれて、段階的に吸水性が高くなることが分かる。
【0092】
【表4】

【0093】
[試験例5](平衡水分率)
サンプル1、3及び5について、温度20℃、相対湿度65%の条件で平衡水分重量を測定し、これをそれぞれのサンプルの乾燥重量で除して平衡水分率を求めた。なお、用いたサンプルは、表1に示すものであり、サンプルの大きさは10×10cmであった。
【0094】
平衡水分率とは、物質の平衡水分率のことであり、一般的には平衡含水率とも呼ばれ、絶乾させた生地の、温度20℃、相対湿度65%RHの環境下での素材の水分率を指す。つまり、該条件下で生地がどれだけ水蒸気を素材内に吸収したかを評価する。具体的には次式による。
【0095】
平衡水分率(%)={(W−W)/W}×100
(但し、Wは試料の20℃×65%RH環境下での質量(g)、Wは絶乾質量(g)をそれぞれ示す。)
28時間後から31時間後で、各サンプルの平衡水分率が変化していなかったため、31時間で平衡状態に達していると判断した。表5より、PUEの混合割合が大きくなるにつれて、段階的に平衡水分率が低下している。
【0096】
【表5】

【0097】
[試験例6](破断伸び及び破断強度(破断応力))
JIS L 1018による引張試験を用いて、各サンプルのX方向(ノズルのずれていく方向(図2参照))の破断伸び(%)及び破断強度(MPa)を測定した。サンプル厚み:30μm、サンプルサイズ:1cm×10cm、つかみ具間距離:4cm、試験速度:300mm/minとした。破断伸びの結果を図8に、破断強度の結果を図9に示す。
【0098】
図8より、PUEの混合割合によって破断伸びの制御が可能であり、PUEの混合割合が50%以下のものでは、著しく伸びが抑制された。図9より、PUEの混合割合によって破断強度の制御が可能であり、25%割合のときに著しい強度低下を起こした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド系エラストマー(PAE)及びポリウレタン系エラストマー(PUE)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む溶液を電界紡糸することによって得られる繊維の平均直径が50〜1500nmの極細繊維からなる不織布。
【請求項2】
厚みが10〜250μmである請求項1に記載の不織布。
【請求項3】
JIS L 1099 A−2法による透湿性試験において、透湿量3000cm/24h・m以上である請求項1又は2に記載の不織布。
【請求項4】
KES−F8−AP1による通気抵抗が0.2kPa・s/m以上である請求項1〜3のいずれかに記載の不織布。
【請求項5】
JIS L 1018による引張試験において、破断伸び率が110〜400%である請求項1〜3のいずれかに記載の不織布。
【請求項6】
20℃、湿度65%の条件下における31時間後の平衡水分率が1〜10%であり、バイレック法による吸水性が0〜50mmである請求項1〜5のいずれかに記載の不織布。
【請求項7】
ポリアミド系エラストマー(PAE)とポリウレタン系エラストマー(PUE)の混合重量比が100/0〜40/60である請求項1〜6のいずれかに記載の不織布。
【請求項8】
ポリアミド系エラストマー(PAE)とポリウレタン系エラストマー(PUE)の混合重量比が40/60〜0/100である請求項1〜6のいずれかに記載の不織布。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の不織布を含む衣料。
【請求項10】
ポリアミド系エラストマー(PAE)及びポリウレタン系エラストマー(PUE)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む溶液を電界紡糸して、繊維直径が1〜1500nmの極細繊維からなる不織布を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−256864(P2009−256864A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72445(P2009−72445)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】