説明

不飽和脂肪酸及びそのエステルを含むエマルション

【課題】 共役リノール酸及びその誘導体を飲料及び乳製品に簡単かつ安価に配合することができる、物理化学的に安定な処方により、CLA 及び CLA 誘導体を供給する。
【解決手段】 エマルションの総重量に基づいて、a)共役リノール酸又は共役リノール酸誘導体 0.1〜50 重量%、b)植物性レシチン混合物 0.1〜30 重量%、c)共乳化剤 0〜20 重量%、d)ポリオール 0〜70 重量%、e)炭水化物 0〜70 重量%、f)酸化防止剤 0〜1 重量%、g)水相 20〜99 重量%を含むエマルションであって、成分 a)、b)及び/又は任意に存在してもよい c)のトリグリセリド以外に、油及び脂肪を含まないエマルション。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に食品に関し、とりわけ共役リノール酸及びその誘導体を含有するエマルション、そのエマルションの製造方法、並びにそのエマルションを含む食品、特に飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
共役リノール酸(CLA)及びその誘導体の食品及び医薬品製剤への使用は、長年にわたって知られている。CLA 及びその誘導体は、粉末状又はカプセル状で栄養補助食品として主に市販されている。次第に、栄養を直接食品に混合するようにさえなってきている。従って、CLA 及び CLA 化合物を飲料及び乳製品に配合することが望まれており、水含有食品ベースへの配合に適しているであろう親油性化合物の加工状態に対する探求が行われている。
【0003】
医薬品製剤において、エマルション及びローションは、しばしば、身体に不飽和脂肪酸又はその誘導体を供給するための賦形剤の役割をする。例えば、CLA、アミノ酸及び水を含むエマルションは、国際特許公開第 2004/045506 号公報から知られている。付加的にオメガ三系脂肪酸及びビタミンを含む経口用途向けの CLA 含有エマルションは、米国特許公開第 2004/0037892 号公報に記載されている。国際特許公開第 2002/070014 号公報は、共役リノール酸、その異性体又は誘導体を含み、ヒト及び動物に対する、非経口、経口又は局所投与に使用され得る、水中油型エマルションを開示している。高純度リン脂質を、しばしば医薬品用乳化剤として使用するが、コスト面の理由から、食品への使用は避けられている。動物性乳化剤の食品への使用は、しばしば倫理的な理由で避けられている。レシチン及びクエン酸塩からなる特定の抗酸化系を含むエマルションは、含油エマルションを高濃度不飽和脂肪酸で安定化させ、食品分野から知られている(欧州特許第 0884 952 号明細書)。国際特許出願第 2000/21379 号明細書は食品分野から出されており、CLA のモノ-、ジ-及びトリグリセリドを含む乳製品ベース水中油型エマルションを請求している。
【特許文献1】国際特許公開第 2004/045506 号公報
【特許文献2】米国特許公開第 2004/0037892 号公報
【特許文献3】国際特許公開第 2002/070014 号公報
【特許文献4】欧州特許第 0884 952 号明細書
【特許文献5】国際特許出願第 2000/21379 号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、共役リノール酸及びその誘導体を飲料及び乳製品に簡単かつ安価に配合することができる、物理化学的に安定な処方により、CLA 及び CLA 誘導体を供給することである。CLA 組成物の添加は、CLA-強化飲料及び乳製品の貯蔵寿命又は官能特性に悪影響を及ぼさないであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、エマルションの総重量に基づいて、
a)共役リノール酸又は共役リノール酸誘導体 0.1〜50 重量%、
b)植物性レシチン混合物 0.1〜30 重量%、
c)共乳化剤 0〜20 重量%、
d)ポリオール 0〜70 重量%、
e)炭水化物 0〜70 重量%、
f)酸化防止剤 0〜1 重量%、
g)水相 20〜99 重量%
を含むエマルションであって、成分 a)、b)及び/又は任意に存在してもよい c)のトリグリセリド以外に、油及び脂肪を含まないエマルションに関する。
【0006】
上記組成を有するエマルションは、果汁、果汁混合物、果汁飲料、野菜ジュース、炭酸飲料及び非炭酸飲料、豆乳飲料又は高タンパク液状食品代替飲料、並びに牛乳、発酵乳製品、ヨーグルト、ドリンクヨーグルト又はチーズ製品のような乳製品に混合することが意図されている。
【0007】
意外にも、エマルションは、優れた貯蔵安定性を有し、飲料及び乳製品に、CLA-含有生成物の分離(即ち、クリーミング、沈降又は環形成)が生じることなく容易に配合し得る。エマルションのより親油的な部分は、ほぼ CLA 及び/又はその誘導体のみからなるので、エマルションは水ベースの飲料への配合に非常に適しており、飲料の長期貯蔵後も、見栄えが悪く風味を台無しにする油成分の浮遊を生じることなく、良好な分散状態で存在する。更なる長所は、エマルションの製造において、水相として飲料を直接使用できることである。
【0008】
従って、本発明はまた、上記組成のエマルションを含む飲料及び乳製品にも関する。有利には、飲料又は乳製品は、CLA-含有食品の重量に基づいて、0.1〜20 重量%、好ましくは 0.5〜10 重量%、より好ましくは 1〜5 重量%の量のエマルションを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
製造
レシチン及び任意に共乳化剤を、撹拌しながら 20〜70 ℃で水相に溶解又は予備分散する。次いで、共役脂肪酸/脂肪酸誘導体以外の組成物成分を、水相に溶解又は分散する。その後、CLA 又は CLA 誘導体を添加し、任意に高速ミキサー又はローター/ステーターホモジナイザー(好ましくは Ultra-Turrax)を用いて予備均一化する。続いて、エマルションを、次の処理段階で、別の高性能ホモジナイザーを用いて均一化し得る。この処理段階を数回行うこともできる。エネルギー導入量は、約 1×105 〜 2×108 J/m3 である。
【0010】
適当なホモジナイザーは、例えば、平弁又は鋸歯状弁付き遠心ディフューザー、例えばマイクロフルイダイザーのようなカウンタージェット分散機、ジェット分散機又はオリフィス装置のような高圧分散装置である。他の適当な分散装置は、ローター/ステーターシステム、超音波装置、ボールミル又は膜である。例えばコロイドミル又はギアーリング分散装置のようなローター/ステーターシステムを、好ましくは予備分散のために用いる。
【0011】
この方法により、CLA 及び/又は CLA 誘導体を含む乳化剤及び任意に共乳化剤を、ローター/ステーターシステムを用いて、水相としての飲料又は低濃度液体乳製品に直接予備乳化し、続く段階で、例えば高圧乳化することもできる。従って、使用する出発物質の濃度に依存して、CLA 含有飲料濃縮液又は CLA 含有最終製品さえも製造できる。
【0012】
エマルションの短期間及び長期間安定性を決定する乳化小滴の特定粒度分布につながるので、使用する成分、とりわけ乳化剤の他に、分散工程は、エマルションの物理化学的安定性のために非常に重要である。
【0013】
粒度決定
エマルションは、内部相の粒度に依存して、高度界面、従って高界面エネルギーを有するので、熱力学的に不安定である。それにも関わらず、その分散度が貯蔵時間の経過と共に又は応力条件下で著しく変化しない場合は、エマルションは安定であると見なされる。食品分野で使用される経口用途エマルションの場合、非経口の医薬品分野より、はるかに大きい粒度が容認されている。それにも関わらず、比較的小さい初期粒度を有するエマルションが、はるかに高い最終安定性を有し、最大許容粒度に到達するのに要する時間、及びクリーミングが起こるまでの時間、従って貯蔵時間が著しく伸びることが見出された。更に、非常に小さい粒度分布を有するエマルションは、凍結融解サイクル、圧力負荷又は機械的負荷、例えば超遠心分離のような、応力試験にはるかによく耐える。従って、製造直後及び一定時間間隔で、エマルションの粒度分布を測定することが、安定性を測定するためには必要である。
【0014】
粒度分布は、取扱説明書(1994 年)に従って、(14.08.01 に)含まれている光学モデルエマルション rfd PIDS を用いるベックマン・コールター LS 230 により測定した。水を測定媒体として使用した。分散体の製造直後に粒度測定を行った。選択した分散体について、貯蔵試験を実施した(実施例参照)。
【0015】
共役リノール酸及び共役リノール酸誘導体
用語「共役リノール酸」(CLA)は、リノール酸又は 2 個の共役炭素二重結合を有するオクタデカジエン酸の全ての位置異性体及び構造異性体、即ち、2,4-オクタデカジエン酸、4,6-オクタデカジエン酸、6,8-オクタデカジエン酸、7,9-オクタデカジエン酸、8,10-オクタデカジエン酸、9,11-オクタデカジエン酸、10,12-オクタデカジエン酸及び 11,13-オクタデカジエン酸の全てのシス異性体及びトランス異性体(「E/Z 異性体」)、並びにこれら異性体の 2 つ以上の混合物を含む。
【0016】
とりわけ、生物学的に最も活性な異性体である C18:2 シス-9,トランス-11 及び C18:2 トランス-10,シス-12 異性体が特に重要である。
【0017】
純粋な CLA は、しばしば、リノール酸含有油の鹸化によって得られる。異性体の含有量をうまく調整することによって、対応するエステルも出発物質として使用され得る。これに関する従来技術は、脂肪酸のメタノール又はエタノールでのエステル化による対応エステルの製造である。特許文献によれば、特に、リノール酸メチルエステル及びリノール酸エチルエステルが、穏やかな共役のために適当な出発物質である(WO 99/47135)。
【0018】
異性化において、リノール酸は、注意深く反応を制御することによって、主に c9,t11 及び t10,c12 異性体に転位し、異性体の 90 %までに達する。有利には、異性体の 1 %未満が 11,13 異性体として、1 %未満が 8,10 異性体として、1 %未満がトランス-トランス異性体(t9,t11 及び t10,t12 異性体)として、及び 1 %未満が未同定化合物として存在する。ドイツ国特許出願第 102 36086 号明細書に記載されているような方法では、主な異性体であるシス-9,トランス-11 及びトランス-10,シス-12 の比はほぼ等しく、約 1:1.2〜1.2:1 になる。
【0019】
共役リノール酸アルコールの他に、共役リノール酸誘導体は、好ましくはエステルを含む。共役リノール酸のアシル基及び直鎖又は分枝 C1〜5 アルキル鎖を有するリノール酸低級アルキルエステルが知られている。共役リノール酸メチルエステル及び/又は共役リノール酸エチルエステルが特に使用されている。これらのエステルは、有利には、国際特許出願第 03/022964 号明細書に記載の方法によって製造され得る。
【0020】
グリセロールと CLA とのエステル、例えば共役リノール酸のモノ-、ジ-及びとりわけトリグリセリドが特に好ましい。とりわけ好ましいトリグリセリドは、Tonalin TG 80(Cognis Deutschland GmbH & Co. KG 製)の商品名でも知られている。CLA トリグリセリドは、ドイツ国特許第 197 18245 号明細書及び国際特許出願第 03/022964 号明細書に記載の方法によって製造され得る。
【0021】
共役リノール酸及び/又はその誘導体は、エマルション中に、エマルションの総重量に基づいて、0.1〜50 重量%、好ましくは 0.5〜30 重量%、より好ましくは 1〜25 重量%、最も好ましくは 3〜20 重量%の量で使用される。
【0022】
植物性レシチン混合物
化学的には、用語「レシチン」は、ホスファチジルコリン(PC)に使用されている。しかしながら、一般的には、用語「レシチン」は、実際の活性成分としてのリン脂質(例えば、ホスホグリセリド、スフィンゴミエリン)以外に、例えば油、ステロール又は炭水化物を含む、物質の混合物に使用されている(Hiroyuki Tanno 著、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、2002 年、インターネットオンライン参照)。市販レシチンは、例えば、精製され、脱油され、水素化され、加水分解され又は(ある種の活性成分で)強化された/精製された製品として販売されている。リン脂質は、全ての生物の細胞膜の成分であり、卵黄細胞、脳細胞及び植物種子細胞に多く含まれている。
【0023】
以下に、リン脂質の構造を示す。
【化1】

ここで、R1 及び R2 は、11〜22 個、好ましくは 15〜18 個の炭素原子及び 0〜4 個のシス二重結合を有する直鎖脂肪族基であり、X は、特にホスファチジル成分、ここではホスファチジルコリンに相当する。例えば、エタノールアミン、イノシトール及びセリンが典型的である。
【0024】
脂肪酸基 R1 及び R2 の種類により、多数の異なったリン脂質が生じる。生物学的物質からの抽出は常に、医薬品製剤への使用のために更なる精製を要する混合物を生じる。従って、大豆からの画分もまた、パルミチン酸、ステアリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸を含む。大豆レシチンの組成は、非常に広範に変化する。大豆レシチンは、例えば、ホスファチジルコリン 15〜50 %、ホスファチジルエタノールアミン 8〜20 %、ホスファチジルイノシトール約 5〜21 %、ホスファチジルセリン、ステロール、脂肪酸、炭水化物及び脂肪 1〜2 %からなる。対照的に、卵黄から得られるレシチンは、ホスファチジルコリンから本質的になる。大豆及び種子から得られるレシチン、並びに医薬品製剤用に主として卵黄から得られるレシチンは、食品産業、即ちマーガリン、チョコレート、菓子類及び(菓子用)コーティングにおいて、主に乳化剤として使用されている。
【0025】
高含有率のホスファチジルコリン及び化学的高純度の単離リン脂質を有する、卵レシチン、ホスファチジルコリン又はリン脂質を使用する、既知の CLA-含有エマルション(WO 02/070014)とは対照的に、本発明では、植物性レシチン混合物のみをレシチンとして使用する。これらのレシチン混合物は、脱油され、水素化され、加水分解されるか、或いはホスファチジルコリン又はホスファチジルイノシトールで強化され得る。これらの混合物は主に大豆油から得られるが、本発明に関する限り、それに限定されない。意外にも、高純度レシチンとは対照的に、異なったレシチンの混合物を使用することによって、より安定なエマルションが製造できる。更に、レシチン混合物の使用は、食品分野において、比較的安価な製品を提供する。
【0026】
好ましく使用されるレシチンは、80 %未満、より好ましくは最大 75 %のホスファチジルコリン含有率(リゾホスファチジルコリンを含む)を有する。植物性レシチン混合物は、エマルション中に、0.1〜30 重量%、好ましくは 0.2〜20 重量%、より好ましくは 0.5〜10 重量%の量で使用される。
【0027】
適当な市販製品の例を以下に示す。
Premium(登録商標)IPM 新商品名 Leciprime(登録商標)1800 IP
Lipoid(登録商標)S 75 約 75 %ホスファチジルコリン
Phospholipon(登録商標)80 約 76 %ホスファチジルコリン
Emultop(登録商標)HL 50 脱油、酵素加水分解レシチン、約 14 %ホスファチジ
ルコリン
Lipotin(登録商標)NE 加水分解レシチン
【0028】
共乳化剤
適当な共乳化剤は、レシチン混合物と組み合わせて使用され得る、毒物学的に安全な、食品用乳化剤である。好ましい共乳化剤は、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル(Tween)、ソルビタン脂肪酸エステル(Span)、グリセリド、スクロースエステル及びポロクサマー(Pluronic)であり、中でもポリソルベートとしても知られているポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル及びスクロースエステルが特に好ましい。例えば、ポリソルベート 80 及びポリソルベート 60 のようなポリソルベートがとりわけ適当である。
【0029】
植物性レシチン混合物を使用することによって、飲料に苦みを与える、過剰な高含有率のポリソルベートを回避できる。そのためには、レシチン混合物とポリソルベートとの組み合わせが特に効果的であった。
【0030】
共乳化剤は、組成物中に存在しなくても良い。共乳化剤は、エマルション中、エマルションに基づいて 0〜20 重量%、好ましくは 0.05〜15 重量%、より好ましくは 0.5〜10 重量%の量で使用される。
【0031】
ポリオール
任意に使用されるポリオールもまた、毒物学的に安全で、食品への使用に適当でなくてはならない。例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、D-マンニトール又はキシリトールのようなポリオールが使用され得、グリセロール及びソルビトールが特に好ましいポリオールである。適量は、エマルションの総重量に基づいて、0〜70 重量%である。10〜70 重量%の量が好ましく、30〜60 重量%の量が特に好ましい。意外にも、少なくとも 10 重量%のポリオール含有率によって、より小さい粒度分布が実現され、エマルションの安定性にプラスに作用することが見出された。
【0032】
炭水化物
炭水化物として任意に使用される化合物は、例えば、グルコース、スクロース、フルクトース、トレハロース、マルトース又はラクトースのような全ての食品用の糖を含む。グルコース及びスクロースを、好ましくはエマルションに添加する。炭水化物は、組成物中に、エマルションに基づいて、0〜70 重量%、好ましくは 10〜70 重量%、より好ましくは 30〜60 重量%の量で存在し得る。
ポリオールと同様に、意外にも、少なくとも 10 重量%の量で炭水化物を使用することによって、より小さい粒度分布及び改善された安定性が実現されることが見出された。
【0033】
酸化防止剤
エマルションの総重量に基づいて 0〜1 重量%のトコフェロール、トコフェロール誘導体及び/又はアスコルビン酸を、酸化防止剤として、即ち、酸素に対してエマルションを安定化させるためにエマルションに添加し得る。
【0034】
水相
水相は、通常、任意に食品用の塩及び他の水溶性添加物を含み得る精製水によって形成される。しかしながら、製造方法に関して既に記載したように、果汁又は野菜ジュース、果汁飲料、牛乳、混合牛乳飲料、スポーツ飲料は、直接水相としても使用され得る。水相を、好ましくは、乳化前に 7 未満の pH、より好ましくは 4 未満の pH に調整する。特に果汁では、酸性 pH に調整することにより、最終組成物の安定性が向上する。pH は、例えば、希塩酸又は希クエン酸のような一般的な食品用の酸で調整できる。最終エマルションは、8 未満の pH、好ましくは 6.5 未満の pH を有する。
【0035】
エマルション組成物
以下のエマルション組成物は、飲料又は乳製品において、向上した長期安定性及び加工可能性の故に好ましい。
A)a)共役リノール酸又は共役リノール酸誘導体 0.5〜40 重量%、
b)植物性レシチン混合物 0.2〜20 重量%、
c)共乳化剤 0〜20 重量%、
d)ポリオール 0〜70 重量%、
e)炭水化物 0〜70 重量%、
f)酸化防止剤 0〜1 重量%、
g)水相 20〜99 重量%
を含むエマルションであって、成分 a)、b)及び/又は任意に存在してもよい c)のトリグリセリド以外に油及び脂肪を含まないエマルション。
【0036】
B)a)共役リノール酸又は共役リノール酸誘導体 0.5〜40 重量%、
b)植物性レシチン混合物 0.2〜20 重量%、
c)共乳化剤 0〜20 重量%、
d)ポリオール 10〜70 重量%、
e)炭水化物 0〜70 重量%、
f)酸化防止剤 0〜1 重量%、
g)水相 20〜89 重量%
を含むエマルションであって、成分 a)、b)及び/又は任意に存在してもよい c)のトリグリセリド以外に油及び脂肪を含まないエマルション。
【0037】
C)a)共役リノール酸又は共役リノール酸誘導体 0.5〜40 重量%、
b)植物性レシチン混合物 0.2〜20 重量%、
c)共乳化剤 0〜20 重量%、
d)ポリオール 0〜70 重量%、
e)炭水化物 10〜70 重量%、
f)酸化防止剤 0〜1 重量%、
g)水相 20〜89 重量%
を含むエマルションであって、成分 a)、b)及び/又は任意に存在してもよい c)のトリグリセリド以外に油及び脂肪を含まないエマルション。
【0038】
D)a)共役リノール酸又は共役リノール酸誘導体 0.5〜40 重量%、
b)植物性レシチン混合物 0.2〜20 重量%、
c)共乳化剤 0.1〜15 重量%、
d)ポリオール 0〜70 重量%、
e)炭水化物 0〜70 重量%、
f)酸化防止剤 0〜1 重量%、
g)水相 20〜99 重量%
を含むエマルションであって、成分 a)、b)及び/又は任意に存在してもよい c)のトリグリセリド以外に油及び脂肪を含まないエマルション。
【0039】
E)a)共役リノール酸又は共役リノール酸誘導体 0.5〜40 重量%、
b)植物性レシチン混合物 0.2〜20 重量%、
c)共乳化剤 0.1〜15 重量%、
d)ポリオール 10〜70 重量%、
e)炭水化物 0〜70 重量%、
f)酸化防止剤 0〜1 重量%、
g)水相 20〜89 重量%
を含むエマルションであって、成分 a)、b)及び/又は任意に存在してもよい c)のトリグリセリド以外に油及び脂肪を含まないエマルション。
【0040】
F)a)共役リノール酸又は共役リノール酸誘導体 0.5〜40 重量%、
b)植物性レシチン混合物 0.2〜20 重量%、
c)共乳化剤 0.1〜15 重量%、
d)ポリオール 0〜70 重量%、
e)炭水化物 10〜70 重量%、
f)酸化防止剤 0〜1 重量%、
g)水相 20〜89 重量%
を含むエマルションであって、成分 a)、b)及び/又は任意に存在してもよい c)のトリグリセリド以外に油及び脂肪を含まないエマルション。
【0041】
以下の組成を有するエマルションが特に好ましい。
G)a)共役リノール酸又は共役リノール酸誘導体 1〜30 重量%、
b)植物性レシチン混合物 0.5〜10 重量%、
c)共乳化剤 0〜15 重量%、
d)ポリオール 0〜70 重量%、
e)炭水化物 0〜70 重量%、
f)酸化防止剤 0〜1 重量%、
g)水相 20〜98 重量%
を含むエマルションであって、成分 a)、b)及び/又は任意に存在してもよい c)のトリグリセリド以外に油及び脂肪を含まないエマルション。
【0042】
H)a)共役リノール酸又は共役リノール酸誘導体 1〜30 重量%、
b)植物性レシチン混合物 0.5〜10 重量%、
c)共乳化剤 0〜15 重量%、
d)ポリオール 10〜70 重量%、
e)炭水化物 0〜70 重量%、
f)酸化防止剤 0〜1 重量%、
g)水相 20〜88 重量%
を含むエマルションであって、成分 a)、b)及び/又は任意に存在してもよい c)のトリグリセリド以外に油及び脂肪を含まないエマルション。
【0043】
I)a)共役リノール酸又は共役リノール酸誘導体 1〜30 重量%、
b)植物性レシチン混合物 0.5〜10 重量%、
c)共乳化剤 0〜15 重量%、
d)ポリオール 0〜70 重量%、
e)炭水化物 10〜70 重量%、
f)酸化防止剤 0〜1 重量%、
g)水相 20〜88 重量%
を含むエマルションであって、成分 a)、b)及び/又は任意に存在してもよい c)のトリグリセリド以外に油及び脂肪を含まないエマルション。
【0044】
J)a)共役リノール酸又は共役リノール酸誘導体 1〜30 重量%、
b)植物性レシチン混合物 0.5〜10 重量%、
c)共乳化剤 0.1〜15 重量%、
d)ポリオール 0〜70 重量%、
e)炭水化物 0〜70 重量%、
f)酸化防止剤 0〜1 重量%、
g)水相 20〜98 重量%
を含むエマルションであって、成分 a)、b)及び/又は任意に存在してもよい c)のトリグリセリド以外に油及び脂肪を含まないエマルション。
【0045】
K)a)共役リノール酸又は共役リノール酸誘導体 1〜30 重量%、
b)植物性レシチン混合物 0.5〜10 重量%、
c)共乳化剤 0.5〜10 重量%、
d)ポリオール 10〜70 重量%、
e)炭水化物 0〜70 重量%、
f)酸化防止剤 0〜1 重量%、
g)水相 20〜88 重量%
を含むエマルションであって、成分 a)、b)及び/又は任意に存在してもよい c)のトリグリセリド以外に油及び脂肪を含まないエマルション。
【0046】
以下の組成を有するエマルションがとりわけ好ましい。
L)a)共役リノール酸又は共役リノール酸誘導体 3〜25 重量%、
b)植物性レシチン混合物 0.5〜10 重量%、
c)共乳化剤 0〜10 重量%、
d)ポリオール 0〜70 重量%、
e)炭水化物 0〜70 重量%、
f)酸化防止剤 0〜1 重量%、
g)水相 20〜96 重量%
を含むエマルションであって、成分 a)、b)及び/又は任意に存在してもよい c)のトリグリセリド以外に油及び脂肪を含まないエマルション。
【0047】
M)a)共役リノール酸又は共役リノール酸誘導体 3〜25 重量%、
b)植物性レシチン混合物 0.5〜10 重量%、
c)共乳化剤 0.1〜10 重量%、
d)ポリオール 0〜70 重量%、
e)炭水化物 0〜70 重量%、
f)酸化防止剤 0〜1 重量%、
g)水相 20〜96 重量%
を含むエマルションであって、成分 a)、b)及び/又は任意に存在してもよい c)のトリグリセリド以外に油及び脂肪を含まないエマルション。
【0048】
N)a)共役リノール酸又は共役リノール酸誘導体 3〜25 重量%、
b)植物性レシチン混合物 0.5〜10 重量%、
c)共乳化剤 0.5〜10 重量%、
d)ポリオール 30〜60 重量%、
e)炭水化物 0〜70 重量%、
f)酸化防止剤 0〜1 重量%、
g)水相 20〜66 重量%
を含むエマルションであって、成分 a)、b)及び/又は任意に存在してもよい c)のトリグリセリド以外に油及び脂肪を含まないエマルション。
【0049】
O)a)共役リノール酸又は共役リノール酸誘導体 3〜25 重量%、
b)植物性レシチン混合物 0.5〜10 重量%、
c)共乳化剤 0.5〜10 重量%、
d)ポリオール 0〜70 重量%、
e)炭水化物 30〜60 重量%、
f)酸化防止剤 0〜1 重量%、
g)水相 20〜66 重量%
を含むエマルションであって、成分 a)、b)及び/又は任意に存在してもよい c)のトリグリセリド以外に油及び脂肪を含まないエマルション。
【0050】
P)a)共役リノール酸のトリグリセリド 3〜25 重量%、
b)植物性レシチン混合物 0.5〜10 重量%、
c)共乳化剤 0〜10 重量%、
d)ポリオール 30〜60 重量%、
e)炭水化物 0〜70 重量%、
f)酸化防止剤 0〜1 重量%、
g)水相 20〜66 重量%
を含むエマルションであって、成分 a)、b)及び/又は任意に存在してもよい c)のトリグリセリド以外に油及び脂肪を含まないエマルション。
【実施例】
【0051】
一般的製造方法(パラメーターは表 1 を参照)
共乳化剤を組成物中に含む場合、共乳化剤を、水相全体に撹拌しながら 50 ℃で、任意にポリオール及び/又は炭水化物と共に、溶解又は予備分散する。次いで、この暖かい(50 ℃)相に、レシチンを撹拌しながら溶解又は分散する。
続いて、CLA トリグリセリド又は遊離 CLA を添加し、Ultra Turrax(IKA 型 50;シャフトジェネレーター S50N-G40G)を用いて、5200 r.p.m. で 2 分間予備均一化する。その後、このプレエマルションを、高圧ホモジナイザー(APV 社製 LAB 1000 又は LAB 60)を用いたもう 1 つの均一化段階において、概して 750 bar で均一化する(表 1 参照)。この処理段階を、合計で 10 回まで繰り返す(表 1 参照)。
【0052】
使用した市販品:
Premium(登録商標)IPM: Cargill 社製レシチン
Emultop(登録商標)HL 50: Degussa 社製レシチン
Lipoid(登録商標)S75: Lipoid GmbH 製レシチン
Phospholipon(登録商標)80: Phospholipid GmbH 製レシチン
Lipotin(登録商標)NE: Lucas Meyer 社製レシチン
Sisterna(登録商標)SP 70: Sisterna 社製スクロースエステル
Tonalin(登録商標)TG 80: Cognis 社製共役リノール酸のトリグリセリド
Tonalin(登録商標)FFA 80: Cognis 社製遊離共役リノール酸
Copherol(登録商標)1250: Cognis 社製トコフェロールアセテート
【0053】
【表1a】

【0054】
【表1b】

【0055】
【表1c】

【0056】
その後の特性評価
遠心力載荷試験
新たに調製したエマルションを、1 重量%の CLA 濃度に蒸留水で希釈し、5,000 r.p.m. で 5 分間、遠心力載荷試験を行った(Heraeus Sepatech 社製 Labofuge A 遠心機)。次いで、エマルションの物理的安定性を、相分布の視覚的モニタリングによって評価した(表 2)。
【0057】
粒度測定
粒度分布は、取扱説明書(1994 年)に従って、(14.08.01 に)含まれている光学モデルエマルション rfd PIDS を用いるベックマン・コールター LS 230 により測定した。水を測定媒体として使用した。分散体の製造直後に粒度測定を行った。1 重量%の CLA 濃度を有する希釈エマルションを調製した。即ち、濃縮 CLA エマルションの相当量を、蒸留水に加えて撹拌した(表 1)。
【0058】
貯蔵試験
選択した分散体について、貯蔵試験を実施した。
貯蔵安定性を調べるため、蒸留水で 1 重量%溶液状態にした CLA エマルションを、3 つの異なる条件下で 3 週間保管し、相分布を目視評価した(表 3)。
1. 室温
2. 乾燥保管庫(約 40 ℃)
3. 冷蔵庫(約 8 ℃)
【0059】
結果
遠心力載荷試験
【表2】

【0060】
貯蔵試験
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エマルションの総重量に基づいて、
a)共役リノール酸又は共役リノール酸誘導体 0.1〜50 重量%、
b)植物性レシチン混合物 0.1〜30 重量%、
c)共乳化剤 0〜20 重量%、
d)ポリオール 0〜70 重量%、
e)炭水化物 0〜70 重量%、
f)酸化防止剤 0〜1 重量%、
g)水相 20〜99 重量%
を含むエマルションであって、成分 a)、b)及び/又は任意に存在してもよい c)のトリグリセリド以外に、油及び脂肪を含まないエマルション。
【請求項2】
共役リノール酸のトリグリセリドを成分 a)として使用することを特徴とする請求項1に記載のエマルション。
【請求項3】
少なくとも 10 重量%のポリオール及び/又は少なくとも 10 重量%の炭水化物を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のエマルション。
【請求項4】
共乳化剤としてポリソルベートを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエマルション。
【請求項5】
ポリオールとしてグリセロール及び/又はソルビトールを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエマルション。
【請求項6】
炭水化物としてグルコース及び/又はスクロースを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のエマルション。
【請求項7】
請求項1に記載のエマルションを含む飲料及び乳製品。
【請求項8】
共役リノール酸含有食品の総重量に基づいて、0.1〜20 重量%の請求項1に記載のエマルションを含む飲料及び乳製品。
【請求項9】
a)共役リノール酸及び/又は共役リノール酸誘導体含有乳化剤を、ローター/ステーター原理によって、水相としての飲料中に直接予備均一化し、
b)続いて、高圧均一化を行う
共役リノール酸含有飲料の製造方法。
【請求項10】
乳化剤として植物性レシチン混合物及び任意に共乳化剤を使用することを特徴とする、請求項9に記載の方法。

【公開番号】特開2006−75164(P2006−75164A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−260472(P2005−260472)
【出願日】平成17年9月8日(2005.9.8)
【出願人】(505066718)コグニス・アイピー・マネージメント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (191)
【氏名又は名称原語表記】Cognis IP Management GmbH
【Fターム(参考)】