説明

両面を覆うウエブを備えた鉱物ウールパネル

空気導管、特に空調用空気導管に用いられるタイプの構造強度が増大した鉱物ウールパネルに関する。両面が被膜で被覆された、鉱物ウール、特にガラスウールでできた中央コアで構成され、コアの面の両者には被膜が配置されている。更にコアは得られる導管の内面に配置されたウエブを包含する。本パネルの特徴は、コア(1)の2つの表面、即ち内面及び外面のそれぞれが面全体に亙って延びたウエブ(2)を包含し、2つのウエブ(2)は熱の作用で硬化できる結合剤によってコア(1)の表面に接合されていることである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉱物ウールに基づく絶縁材料の分野、特に換気用又は空調用空気の分配のための自己支持性導管製造用の材料に関する。
【本発明の対象】
【0002】
本発明は、本質的に革新的な特性を示し、従来技術における類似の目的に用いられる既知の手段に比較して顕著な利点を示す、両面を覆うウエブを備えた鉱物ウールパネルに関する。
【0003】
特に、本発明は、鉱物ウール、好ましくは、限定するものではないが、ガラスウールでできたパネル調節空気の分配用の自己支持性導管の製造に用いられるタイプのパネルの開発を提供する。このパネルは、両面を覆うウエブを備えており、該ウエブは、後にパネル用の任意の他の被膜を接着によって受けて製造され、両面を覆うウエブは得られるパネルの構造強度を実質的に均一に増大させ、その結果正圧及び負圧の両者に対して導管の挙動を改善する。
【0004】
本発明の応用分野は、勿論、空気、特に調整空気の導管装置用の部品の製造のための工業用途にある。
【本発明の背景及び概要】
【0005】
従来知られているように、鉱物ウール、特にガラスウールを用いる、調整空気の分配用自己支持性導管、パネルの製造は一般に広く実施されている。
【0006】
スペインのRITE(ビルディングの熱絶縁用規則)は、ITE04.4条で金属板及びガラスウールで製造された自己支持性空気分配導管を取扱っている。
【0007】
導管製造用の鉱物ウールパネル、一般にガラスウール製のものは、熱硬化結合剤で集積されたガラス由来の繊維を包含する鉱物ウールコアからなり、両面の一方が被覆されている(パネルの端は必ずしも被覆されない)。パネルの「面」は大きい広がりの主要面を意味するとして説明する。
【0008】
一般に、これらのパネルに用いられる被膜は次の通りである。
【0009】
a)導管の内面: 通常この表面は、互いに接合されたアルミニウムフィルム及びクラフト紙で形成された「コンプレックス」と呼ばれる集合体で被覆されている。その配置及び組成又は層の順序は変更可能である。市場で入手可能な既知のある製品においては、ガラスウエブ(不織ガラス繊維ファブリック)は、パネルの製造過程で、導管の内部となる面でパネルのコアに合体され、次いでウエブはコンプレックスで被覆される。市場には、使用されるのは少ないが、内部表面被膜が被覆コンプレックスを加えないで該ウエブのみからなる製品もある。
【0010】
各種形態の全てにおける被膜の機能は導管内における空気の循環によって繊維が引き裂かれるのを防ぐことである。
【0011】
b)導管の外面: この表面も金属層又はアルミニウム層、クラフト紙及びガラス繊維メッシュで形成された「コンプレックス」と呼ばれる集合体(配置、組成又は層の順序は変更可能である。)で被覆されている。
【0012】
実際、このタイプのパネルでは、その面の一方のみにガラス繊維ウエブが合体されることができ、その面は、一旦形成された後、導管の内部表面に対応する部分におかれている。このウエブは導管の内部に未被覆で留まっているか、被覆されることもある。
【0013】
現在まで、鉱物ウールコアに、外部コンプレックス又は被膜が直接付着できるように、ガラス繊維又は有機重合体のウエブを外部表面で合体したパネルは市場では知られていない。
【0014】
導管建造用のガラスウールパネルは、切断され、空気分配導管のネットワークを作るために集められる。
【0015】
実際には、これらのパネルで形成された導管の内部の空気は予め定められた静圧及び動圧で移送される。従って、導管内部の空気で与えられる圧力により、導管は変形及びそれによりもたらされる劣化を防ぐために予め定められた強度を有しなければならない。変形がないことを確保する面から、導管を建設するパネルは導管に沿って配置される強化要素とは無関係に一定の屈曲強度を有しなければならない。
【0016】
導管の製造の特定の用途へのこれらの導管の使用は、正圧(導管の膨張)及び負圧(導管の内部断面の収縮又は減少)に対して作用する屈曲強度、又は変形に対する抵抗性を必要とする。実際、パネルは両方向に、屈曲強度を示さなければならない。
【0017】
知られているように、このタイプの導管の強度は、パネルのヤング係数及び慣性モーメントの関数として測定できる。同様に、パネルの屈曲強度は自重下及び荷重下にあるときの変形から測定できる。
【0018】
強度の望ましいレベルは、一般にパネルのコア(通常は鉱物ウール、一般にガラスウール、及びそれを集積する合成樹脂からなる)に行われる改良によって得られる。これらの改良は、なかんずく、ガラス繊維及びそれを結合する結合剤のタイプの処理及び改良並びにパネルコアの要素で形成される集合体の密度の増大からなる。
【0019】
パネルのコアに適用される各種の被膜層はパネルの強化に理論的には有利であるが、強度の増大は重要ではないか或はパネルに高い強度のクラスのパネルを与えるには少なくとも実際上不充分である。導管の内部において圧力が働く方向に依存する不均一な挙動のためである。
【0020】
本発明の主な目的は、実質的に改良された構造強度特性を有する鉱物ウール、好ましくはガラスウール、パネルを提案することである。この目的は、明細書の対象を形成する鉱物ウールパネルによって完全に達成でき、その主な特徴は請求項1の前文に記載されている。
【0021】
本発明は、本発明のパネルがコアの両面に合体されたウエブで被覆されているという特定の特徴を有する点で同種のパネルの他の既知のパネルとは基本的に区別されるパネルの形成を本質的に提案する。
【0022】
事実、内部に被膜用の単一ウエブを合体させたパネルについては、導管の一面にのみウエブが存在するために強度が均一でないようにみえる。
【0023】
パネルの構造強度の所望の増大は、本発明により表面強度及び両面におけるウエブによって与えられる引張り強度の増大によって達成され、これによって正圧及び負圧の両者に対する大きな抵抗性を有する導管(パルス及び戻り又は吸引導管)を得ることが可能になる。
【0024】
本発明によれば、ウエブはパネルコアの面又は表面のそれぞれにおかれ、ガラス繊維又は有機重合体繊維をベースとすることができ、或はポリエステル繊維及びガラス繊維の混合物を含むことができ、これらは共に織られているか不織であり、及び合成結合剤又は合成樹脂によって互いに結合され、場合によってヤーンで形成された強化を合体することができる。このようにして構造強度が大きく高度に強化されたパネルが得られ、空気調節装置用の導管の建設に用いられる場合に正圧又は負圧に対する挙動が実質的に改良される。
【0025】
本発明の対象は、空気導管の製造に用いられるタイプの鉱物ウールパネルの強度を増大する方法でもある。
【実施例】
【0026】
本発明のこれらの特徴及び利点並びに他の点は詳細な説明から一層明らかになるであろう。好ましい態様及び図面は例示のためのみであって限定のためではなく示されるものである。
【0027】
上述したように、本発明のパネルの好ましい態様の説明は添付図面を利用して行う。その関係で本発明のパネルの透視図を単一図で模式的に示す。ここに鉱物ウールパネル1が示され、本発明によって、その内面及び外面の両者においてウエブ2を受けることができ、該表面につながれ、該ウエブはそれぞれの表面全体に広がり、外表面に所望の被膜3、4を適用することが可能である。
【0028】
パネルのコアの内及び外表面に合体されたウエブ2のそれぞれは、織られた又は不織のガラス繊維又は有機重合体繊維の複数からなる。このウエブ2を製造する材料も、重合体(特にポリエステル)繊維及びガラス繊維の混合物を包含するのが有利である。
【0029】
説明のために、本発明によって有用なウエブの坪量(grammage)は、ほぼ30〜50g/m2、好ましくは35〜40g/m2である。
【0030】
ガラス繊維である場合には、ガラスフィラメントストランドのガス流中での細化によって得られる鉱物ウール繊維又はチョップド織物ガラスであることができる。
【0031】
一般に、ウエブ特に不織ウエブは、合成結合剤又は合成樹脂によって互いに結合された繊維を包含することができる。
【0032】
ウエブを作り上げる繊維は、織物であるか不織物であるかを問わず、、天然又は合成のヤーン、特に重合体ヤーンであり得る強化ヤーン、又はガラスフィラメントの細化/巻上げで得られるガラスストランドを包含することができる。
【0033】
ウエブ2の鉱物ウール(好ましくはガラスウール)コア1への固定は、硬化炉を合成結合剤が通過する前に、コアの実際の製造工程中に行われ、この結合剤は鉱物ウールのガラス繊維と混合して用いられる。ウエブ2のコア1への付着は、鉱物ウールでつくられた繊維を集積する同種の合成結合剤を用いて行うのが通常である。このようにして、未硬化の合成結合剤を含んで鉱物ウールは記載したタイプのウエブの2つの表面の間に、サンドイッチ状におかれる。この鉱物ウールサンドイッチは、各側にウエブ2を含んで、炉に導入され、そこで熱の作用で結合剤が硬化し、このサンドイッチの部分を一緒に結合して硬いパネルの形態の集合体を形成する。ウエブ2を鉱物ウールコア1に合体するこの方法は、これらの要素を緊密に互いに結合することを確実にし、コア1の強度を増大する利点を提供する。この利点は、同一のウエブが別の方法で結合される場合より極めて大きい。
【0034】
従って、本発明のパネルは、これらのパネルで製造された導管内の流動空気と接触する最内面から始まって次の順序で最終的に配置される。
【0035】
−内部被膜3: これは複合多層で形成され、最も一般的ではあるが制限的ではない、その配置はアルミニウムフィルム及びクラフト紙の合体を含む。
【0036】
パネルのコア1: これは所定の密度の鉱物ウール、特にガラスウールで形成されたボディを構成する。その外部及び外面にはガラス繊維又は有機重合体をベースとした、又は両者の組合せをベースとしたウエブ2を合体している。
【0037】
外部被膜4: これは複合多層で形成され、最も一般的であるが制限的ではない、その形状はアルミニウムフィルム、ガラスストランドメッシュ及びクラフト紙の使用を含む。
【0038】
本発明の提案するパネルの構成は、空調導管の建設に用いる観点から、特に屈曲抵抗性に関して、特にこの種のパネルに求められる特性に影響する改良の達成を可能にする。強度の増大は2つの基本的利点、即ち改良されたパネルで製造された導管の膨張又は変形に対する抵抗性、及び導管の取扱及び大量生産前の移送の間における大きいパネル(長さが約3メートル及び厚さが2.5cm)の屈曲強度を提供する。パネルを2つに曲げるリスクの減少は、屈曲領域におけるパネルの使用を防ぎ(材料の浪費)、取扱及び設備コストの両者の観点から重要な利点をも構成する。
【0039】
更に、通常パネルの硬度を増大するために、パネルのコア1の密度又は合成結合剤の含量を増大するのが通常の実務であることのために、パネルのコア1の両面にウエブ2を合体することは、同様の結果さらには一層高い効率を得るためにこれらの基準を低下するのに役立つ。この密度の減少は、5%を超えるパ−セント価に達し、或は提案された改良を含まない同等のパネルに用いられる価に対して2%ポイント以上減少した結合剤含量の減少を可能にする(例えば結合剤含量12%から10%未満の含量)。この減少は製造工程のコストの減少をもたらす。このように、2つのパネル、即ち両面にウエブを合体しない従来のタイプの第1のパネル及び本発明による第2のパネル、換言すれば両面にウエブを備えたものを比較すると、得られる結果は、同一の構造強度について、本発明のパネルは、第1のパネルの密度の約95%の密度を有する。
【0040】
次の表に、本発明によるパネル及び比較のためにウエブのないパネルについてEN13403標準によるたわみ測定の結果を示す。本発明によって著しく減少した密度で同等の強度が観察される。
【表1】

【0041】
更に、本発明によってパネルのコア1の外面にウエブ2を合体したことは、この面に被覆したときパネルの穴あけ抵抗性を向上させる。この利点は、それが受ける応力が全体の集合体の機械的強度へのウエブ2の貢献によって低下する程度に応じて、後にコア1に接着される被膜又は複合体3、4を減少するのに用いることができる。これらの集合体に適用される減少の部分は、従ってそれが含む有機要素の坪量に影響し、外部被膜及び製品全体の火災に対する挙動の改良をもたらす。
【0042】
本発明において、ウエブ2をパネルのコア1の外面に用いる場合、円滑な表面が得られ、その後被膜(複合体)をより少ない粘着剤又は接着剤を用いて接着することを可能にし、火災時における製品及び被膜の挙動の改良が得られ、これは独立試験所で行われるこの特性のテストでそうである。
【0043】
本発明の範囲及びもたらされる利点を当業者が理解し、及び本発明を実施するためにこれ以上説明する必要はないと思われる。
【0044】
本発明を好ましい態様について説明したが、本発明の基本を損なうことなく変形することが可能であり、特に形態、大きさ或は集合体の製造の材料又はその構成部分を変形できることが明白に理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、本発明の教示に従って建設される鉱物ウールパネルの部分を示す模式的透視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気導管、特に空調導管の製造に用いるタイプの構造強度が増加した鉱物ウールパネルであって、両面が被膜で被覆され、鉱物ウール、特にガラスウールでできた中央コアで構成され、該コアは得られた導管の内側に位置する面にウエブを合体しているものにおいて、コア(1)を包含し、その表面、内面及び外面の両者のそれぞれに、該面の全体に広がったウエブ(2)がそれぞれ合体し、2つのウエブ(2)は熱の作用で硬化できる結合剤によってコア(1)の表面に結合されていることを特徴とするパネル。
【請求項2】
コア(1)の各面を覆うウエブ(2)がガラス繊維又は有機重合体繊維で構成され、合成結合剤又は合成樹脂又は適切な場合は重合体繊維及びガラス繊維の混合物によってともに結合されていることを特徴とする請求項1に記載の鉱物ウール。
【請求項3】
ウエブ(2)をつくる繊維が織物繊維及び/又は不織繊維を包含することを特徴とする請求項2に記載の鉱物ウールパネル。
【請求項4】
織物及び/又は不織ウエブをつくる繊維が強化ヤーンを含むことを特徴とする請求項2及び3のいずれかに記載の鉱物ウールパネル。
【請求項5】
同一構造強度の従来のパネルに比較して5%以上の密度減少を特徴とする請求項1〜4のいずれか又はそれ以上に記載の鉱物ウールパネル。
【請求項6】
1面だけが被覆されたパネルに比較して空気導管の膨張又は変形に対する抵抗性の増大及び穴あけ抵抗性の実質的な増大を特徴とする請求項1〜5のいずれか又はそれ以上に記載の鉱物ウールパネル。
【請求項7】
コアの表面のそれぞれに表面全体に広がったウエブを合体させ、熱の作用で硬化できる結合剤によってコア(1)表面に2つのウエブが結合される工程を包含する、両面が被膜で被覆され、鉱物ウール、特にガラスウールでできた中央コアで構成された、空気導管、特に空調導管の製造に用いるタイプの鉱物ウールパネルの強度を増強する方法。

【図1】
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【公表番号】特表2006−517006(P2006−517006A)
【公表日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502132(P2006−502132)
【出願日】平成16年2月4日(2004.2.4)
【国際出願番号】PCT/FR2004/000269
【国際公開番号】WO2004/072393
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(501085706)サン−ゴバン・イソベール (46)
【Fターム(参考)】