説明

両面加熱調理器、及び調理対象物の厚み認識方法

【課題】調理対象物の正確な厚みを算出することを目的とする。
【解決手段】前記支持アームと前記上側調理部との相対的な距離を相対距離Fと定義したときに、前記支持アームを、前記上側調理部が前記第一調理面上に置かれた調理対象物に乗り上げる乗り上げ位置から、予め設定された基準位置まで下降させたときに、前記調理対象物の厚みに応じて変化する前記相対距離Fの変位量又は、前記支持アームを前記基準位置から上昇させて前記調理対象物に乗り上げた前記上側調理部を吊り上げたときに、前記調理対象物の厚みに応じて変化する前記相対距離Fの変位量を計測する変位量計測手段と、を備え、前記変位量計測手段の計測する計測値に基づいて前記調理対象物の調理前の厚みを認識する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面加熱調理器、及び調理対象物の厚み認識方法に関する。
【背景技術】
【0002】
調理の仕上がりを最適なものにするには、調理時間などの調理条件を、調理対象物の厚みに応じて変更することが好ましい。下記特許文献には、調理対象物の厚みを機械的に検出するようにしたものがある。具体的には、第一プレート上に置かれた調理対象物に対して第二プレートが接触するタイミングを、センサにより、検出するようにしている。そして、センサの送出する信号から、調理対象物に接触するまでに第二プレートが移動した移動距離を算出し、それに基づいて調理対象物の厚みを計算している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2007−535340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の厚みの計算方法は、調理対象物に接触した瞬間の両プレート間の距離dを求めている。そのため、例えば、図35の(a)に示すように、調理対象物に反りがある場合には、計測値は反りの誤差を含んでしまうので、調理対象物の正しい厚みを正確に算出できない。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、調理対象物の正確な厚みを算出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、加熱可能な第一調理面を有する下側調理部と、支持アームと、前記支持アームに形成された貫通孔を上下動可能な状態で貫通し、かつ上端部に抜け止め用のストッパ部を有する固定具と、前記支持アームに対して前記固定具によって上下動可能な状態で取り付けられると共に、加熱可能な第二調理面を有する上側調理部と、前記支持アームを上下移動させることにより前記上側調理部の第二調理面を前記下側調理部の第一調理面に対して離間、又は接近させる開閉装置と、を備え、前記下側調理部の第一調理面上に置かれた調理対象物を前記上側調理部の第二調理面にて上から挟んで両面加熱する両面加熱調理装置であって、前記支持アームと前記上側調理部との相対的な距離を相対距離Fと定義したときに、前記支持アームを、前記上側調理部が前記第一調理面上に置かれた調理対象物に乗り上げる乗り上げ位置から、予め設定された基準位置まで下降させたときに、前記調理対象物の厚みに応じて変化する前記相対距離Fの変位量又は、前記支持アームを前記基準位置から上昇させて前記調理対象物に乗り上げた前記上側調理部を吊り上げたときに、前記調理対象物の厚みに応じて変化する前記相対距離Fの変位量を計測する変位量計測手段と、を備え、前記変位量計測手段の計測する計測値に基づいて前記調理対象物の調理前の厚みを認識する。
【0006】
本発明では、乗り上げ位置から基準位置まで支持アームが下降する間、上側調理部を調理対象物上に乗り上げさせており、上側調理部の自重により調理対象物は加圧される。従って、調理対象物に反りがあったとしても、支持アームを基準位置まで下降させる間に、それを矯正することが出来るので、調理対象物の調理前の厚みを正確に認識できる。
【0007】
この発明の実施態様として、以下の構成とすることが好ましい。
・前記基準位置は、前記上側調理部の第二調理面を前記下側調理部の第一調理面と同じ高さまで下降させる位置である。このように設定しておけば、支持アームを、乗り上げ位置から予め設定された基準位置まで下降させたときに、支持アームと上側調理部との相対距離Fが、調理対象物の厚みと同じ寸法だけ変位するので、調理対象物の厚みを簡単に求めることが出来る。また、支持アームを基準位置から上昇させて調理対象物に乗り上げた上側調理部を吊り上げたときも、支持アームと上側調理部との相対距離Fが調理対象物の厚みと同じ寸法だけ変位するので、調理対象物の厚みを簡単に求めることが出来る。
【0008】
・前記変位量計測手段は、前記基準位置より上昇を始めた前記支持アームが、前記第一調理面上に置かれた調理対象物に乗り上げた前記上側調理部を、吊り上げる吊り上げ時を検出する検出手段と、前記基準位置より上昇を始めてから、前記第一調理面上に置かれた調理対象物に乗り上げた前記上側調理部を吊り上げるまでの前記支持アームの上昇距離を算出する算出手段を含み、前記上昇距離を算出することにより前記相対距離Fの変位量を求める。
【0009】
このようにしておけば、支持アームと上側調理部の相対距離Fの変位量を、比較的簡単な構成で計測することができる。すなわち、検出手段それ自体は必要なものの、それ以外はソフトウエア的な処理で実現できる。
【0010】
尚、検出手段には近接センサ、光電センサ、マイクロスイッチ、圧力センサなどを適用することが可能である。例えば、検出手段に近接センサを用いる場合、上側調理部又は支持アームのいずれか一方側の部材に近接センサを取り付けておき、支持アームが上側調理部を吊り上げたときに他方側の部材に接近して検出信号を出力するようにしておけば、近接センサにより吊り上げ時を検出することができる。
【0011】
また、検出手段に光電センサを用いる場合、上側調理部又は支持アームのいずれか一方側の部材に前記光電センサを取り付け、他方側の部材に遮光板を取り付けるようにしておく。そして、支持アームが上側調理部を吊り上げたときに、光電センサの検出光軸が遮光状態から入光状態に切り換わって、光電センサが検出信号を出力するようにしておく。このようにしておけば、光電センサにより、吊り上げ時を検出することができる。
【0012】
また、検出手段に圧力センサを用いる場合には、支持アームが第一調理面上に置かれた調理対象物に乗り上げた上側調理部を吊り上げたときに、圧力の変化を起きる場所に圧力センサを取り付けおき、センサの出力する圧力値の変動を検出してやれば、吊り上げ時を検出することができる。
【0013】
・前記変位量計測手段を、前記相対距離Fの変位量を計測する変位計とする。このようにしておけば、支持アームを乗り上げ位置から基準位置まで下降させた段階で、相対距離Fの変位量の計測を完了できる。従って、その後、調理条件の選択を行うなど、次の段階に移ることが可能となる。従って、変位計を用いた方式では、検出手段を設けて支持アームの上昇距離を算出することにより相対距離Fの変位量を計測する方式に比べて、調理の実行に至るまでに無駄な動作がない。
【0014】
尚、変位計としては、相対距離Fを機械的手法、光学的手法、音響的手法などにより計測するものが適用可能である。具体的には、支持アーム又は上側調理部のいずれか一方に変位計を取り付けておき、相手側の部材に対する距離の変化を、機械的手法、光学的手法、音響的手法などにより計測するようにすればよい。
【0015】
・前記開閉装置は前記支持アームを独立して上下動させることが可能な2つの装置を含む。
・前記2つの装置のうち一つは、前記支持アームを前記基準位置に位置決めする位置決め機能と前記支持アームを前記基準位置から上昇させる機能とを有する位置決め装置である。
【0016】
・認識した調理対象物の調理前の厚みに応じて、調理条件を自動選択する自動選択手段を備える。このようにしておけば、オペレータの操作の手間が省ける。また、調理条件の選択をオペレータに任せる場合に比して調理条件の選択ミスを少なく出来る。
【0017】
本発明は、両面加熱調理装置における調理対象物の厚み認識方法であって、前記両面加熱調理装置は、加熱可能な第一調理面を有する下側調理部と、支持アームと、前記支持アームに形成された貫通孔を上下動可能な状態で貫通し、かつ上端部に抜け止め用のストッパ部を有する固定具と、前記支持アームに対して前記固定具によって上下動可能な状態で取り付けられると共に、加熱可能な第二調理面を有する上側調理部と、前記支持アームを上下移動させることにより前記上側調理部の第二調理面を前記下側調理部の第一調理面に対して離間、又は接近させる開閉装置と、を備えてなる構成であると共に、
前記支持アームと前記上側調理部との相対的な距離を相対距離Fと定義したときに、前記支持アームを、前記上側調理部が前記第一調理面上に置かれた調理対象物に乗り上げる乗り上げ位置から、予め設定された基準位置まで下降させたときに、前記調理対象物の厚みに応じて変化する前記相対距離Fの変位量又は、前記支持アームを前記基準位置から上昇させて前記調理対象物に乗り上げた前記上側調理部を吊り上げたときに、前記調理対象物の厚みに応じて変化する前記相対距離Fの変位量を計測し、前記変位量の計測値に基づいて前記調理対象物の調理前の厚みを認識する。
【0018】
本発明では、乗り上げ位置から基準位置まで支持アームが下降する間、上側調理部を調理対象物上に乗り上げさせており、上側調理部の自重により調理対象物は加圧される。従って、調理対象物に反りがあったとしても、支持アームを基準位置まで下降させる間に、それを矯正することが出来るので、調理対象物の調理前の厚みを正確に認識できる。
【0019】
この発明の実施態様として、以下の構成とすることが好ましい。
・前記基準位置は、前記上側調理部の第二調理面を前記下側調理部の第一調理面と同じ高さまで下降させる位置である。このように設定しておけば、支持アームを、乗り上げ位置から予め設定された基準位置まで下降させたときに、支持アームと上側調理部との相対距離Fが、調理対象物の厚みと同じ寸法だけ変位するので、調理対象物の厚みを簡単に求めることが出来る。また、支持アームを基準位置から上昇させて調理対象物に乗り上げた上側調理部を吊り上げたときも、支持アームと上側調理部との相対距離Fが調理対象物の厚みと同じ寸法だけ変位するので、調理対象物の厚みを簡単に求めることが出来る。
【0020】
・前記基準位置より上昇を始めてから、前記第一調理面上に置かれた調理対象物に乗り上げた前記上側調理部を吊り上げるまでの前記支持アームの上昇距離を算出することにより、前記相対距離Fの変位量を求める。
【0021】
このようにしておけば、支持アームと上側調理部の相対距離Fの変位量を、比較的簡単な構成で計測することができる。すなわち、検出手段それ自体は必要なものの、それ以外はソフトウエア的な処理で実現できる。
【0022】
・前記支持アームを、前記上側調理部が前記第一調理面上に置かれた調理対象物に乗り上げる乗り上げ位置から、予め設定された基準位置まで下降させるときに、前記相対距離Fの変位量を変位計により計測する。このようにしておけば、支持アームを乗り上げ位置から基準位置まで下降させた段階で、相対距離Fの変位量の計測を完了できる。従って、その後、調理条件の選択を行うなど、次の段階に移ることが可能となる。従って、変位計を用いた方式では、検出手段を設けて支持アームの上昇距離を算出することにより相対距離Fの変位量を計測する方式に比べて、調理の実行に至るまでに無駄な動作がない。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、調理対象物の正確な厚みを算出できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態1に適用された両面加熱調理器の斜視図
【図2】両面加熱調理器の要部側面図
【図3】上側加熱器具の支持構造を示す図
【図4】開閉装置の斜視図(主として昇降装置を示す)
【図5】開閉装置の斜視図(主として昇降装置を示す)
【図6】位置決め装置の斜視図(第二昇降盤の上昇時を示す)
【図7】位置決め装置の斜視図(第二昇降盤の基準位置を示す)
【図8】(a)上側加熱器具が吊り上げられているときの、支持アームと上側加熱器具の相対距離Fを示す図 (b)ハンバーグ上に上側加熱器具が乗り上げた状態の、支持アームと上側加熱器具の相対距離Fを示す図
【図9】(a)ハンバーグ上に上側加熱器具が乗り上げた状態の、支持アームと上側加熱器具の相対距離Fを示す図 (b)ハンバーグ上に乗り上げた上側加熱器具を支持アームが吊り上げるときの、支持アームと上側加熱器具の相対距離Fを示す図
【図10】エンコ−ダの出力するパルス信号を示す図
【図11】両面加熱調理器の電気的構成を示すブロック図
【図12】調理条件の詳細をまとめた図表
【図13】両面加熱調理器の動作の流れを示すフローチャート図
【図14】ハンバーグの厚み認識処理の流れを示すフローチャート図
【図15】上グリドルをオープン状態にしたときの両面加熱調理器の要部側面図
【図16】第二昇降盤を原点位置に位置合わせした状態を示す両面加熱調理器の要部側面図
【図17】上グリドルの下降動作を示す図
【図18】支持アームを基準位置に停止させた状態を示す両面加熱調理器の要部側面図(第一動作完了段階)
【図19】ハンバーグ上に乗り上げた上側加熱器具を支持アームが吊り上げる瞬間の状態を示す両面加熱調理器の要部側面図(第二動作完了段階)
【図20】(a)実施形態2における、吊り上げ時の検出動作を示す図(吊り上げ前) (b)実施形態2における、吊り上げ時の検出動作を示す図(吊り上げ時)
【図21】(a)実施形態3において、吊り上げ時の検出動作を示す図(吊り上げ前) (b)実施形態3において、吊り上げ時の検出動作を示す図(吊り上げ時)
【図22】実施形態4において、支持アームの乗り上げ位置を示す側面図
【図23】支持アームの基準位置を示す側面図
【図24】両面加熱調理器の電気的構成を示すブロック図
【図25】ハンバーグの厚み認識処理の流れを示すフローチャート図
【図26】実施形態5において、支持アームの乗り上げ位置を示す側面図
【図27】支持アームの基準位置を示す側面図
【図28】両面加熱調理器の電気的構成を示すブロック図
【図29】実施形態6において、支持アームの乗り上げ位置を示す側面図
【図30】支持アームの基準位置を示す側面図
【図31】両面加熱調理器の電気的構成を示すブロック図
【図32】実施形態7において、支持アームの乗り上げ位置を示す側面図
【図33】支持アームの基準位置を示す側面図
【図34】両面加熱調理器の電気的構成を示すブロック図
【図35】課題を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0025】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図19によって説明する。
1.装置全体の説明
図1は両面加熱調理器10の全体を示す斜視図である。本両面加熱調理器10は下グリドル(本発明の下側調理部に相当)20と、装置の幅方向に横並び状に配置された3つの上グリドル30と、上グリドル30を開閉する開閉装置Uとを備えている。
【0026】
本両面加熱調理器10は、下グリドル20の第一調理面23上におかれた調理対象物(具体的には、ハンバーグS)を、上グリドル30の第二調理面33によって上方から挟んでハンバーグSを両面加熱調理するものである。尚、以下の説明において幅方向、奥行き方向とは、図1に示す向きを指すものとする。
【0027】
下グリドル20は略直方体の筐体状に形成されており、下面の四隅には車輪15が設けられている。この下グリドル20の上面のうち、奥端部25を除く全面は、平坦な第一調理面23となっている。下グリドル20の内部には、下側加熱器具(例えば、ガスバーナ)21が幅方向に分かれて備えられている。各下側加熱器具21は3つの上グリドル30の位置に合わせて設置されており、第一調理面23のうち、各上グリドル30に対応する各領域を別々に加熱することができる。尚、図1において、下側加熱器具21は省略されている。
【0028】
そして、下グリドル上面の奥端部25は一段高く形成されている。この奥端部25の下方部には、上グリドル30を開閉する開閉装置が内蔵されている。ここで開閉装置の説明に先立って、まず上グリドル30の構成について、図1に示す右手前側の上グリドル30を例にとって説明する。
【0029】
上グリドル30は、左右一対の支持アーム41、上側加熱器具(例えば、電熱加熱器)31、ケース30Aを主体に構成されている。支持アーム41は金属製であって、左右のものが装置の前後方向に平行に延びている。各支持アーム41の後部は、後述する昇降軸61の上端部に設けられた結合部65に対してヒンジにより回動可能な状態で結合されている。
【0030】
また、各支持アーム41は前端同士を連結部材49によって連結しており、更に、前後の2箇所に貫通孔42が設けられている。貫通孔42は支持アーム41を上下に貫通している。各貫通孔42には、吊りボルト(本発明の固定具に相当する)45が一定のクリアランスを持った状態で挿通(上下動可能に挿通)されている。この吊りボルト45の頭部46はストッパになっており、支持アーム41に形成された貫通孔42の孔縁に当接して吊りボルト45を抜け止めする。
【0031】
上側加熱器具31は、下面が第二調理面33とされた調理盤32と、調理盤32の上部に設けられた電熱加熱部35とからなる。上側加熱器具31の上部には、上部板37がブラケット37Aを介して固定されている。この上部板37は例えば枠型をしており、コーナの4隅には螺子孔(図略)が形成されている。そして、各螺子孔に対して、貫通孔42に挿通された各吊りボルト45が螺合している。尚、図3に示す符号47のナットは、緩み止めを行うものである。
【0032】
上記の上グリドル30は金属製のケース30Aを備えている。金属ケース30Aは下面が開口する箱型をしており、後述する第一近接センサ50、支持アーム41を含む上側加熱器具31の全体を内部に収容するように調理盤32の上側に被せ付けられた状態で固定されている。
【0033】
開閉装置Uは支持体80と、昇降軸61と、昇降装置100と、位置決め装置120を主体に構成されている。図4に示すように、支持体80はロアベース81、アッパベース85、左右一対の側部プレート87からなる。ロアベース81とアッパベース85は共に平板状をなしており、上下に向かい合っている。側部プレート87は断面コの字型をしており、両ベース81、85の端部同士を連結している。
【0034】
アッパベース85の下面とロアベース81の上面には、それぞれ円筒型の軸受け部82、86が左右一対設けられている。軸受け部82、87は上下のものが向かい合っており、そこを左右一対の昇降軸61が貫通している。これら左右の昇降軸61は高さ方向の中間地点を連結部材62により連結してあり、同期した状態で上下移動する構成となっている。
【0035】
上記支持体80は図1に示すように、下グリドル20の奥端部25の下方に取り付けられている。そして、両昇降軸61は下グリドル20の奥端部25に形成される挿通孔を通じて、先端部を下グリドル20の上方に引き出している。
【0036】
両昇降軸61の先端部には、図2に示すようにそれぞれ結合部65が設けられている。両結合部65は外壁面が結合面となっており、そこには支持アーム41の基端部がヒンジHにより固定してある。このように、左右の支持アーム41は昇降軸61の上端部に結合され、ヒンジHを軸として回転できる構成となっている。
【0037】
また、結合部65の外壁面には、規制突部66がヒンジHの上方に位置して設けられている。規制突部66は装置の幅方向に突出する形状をしており、その下面後部は水平な水平規制面66Aとなっている。この水平規制面66Aは、支持アーム41の上面に当接して、支持アーム41を水平な姿勢に規制する機能を担っている。
【0038】
そして、支持アーム41の後部には、ヒンジHの後方に水平に延びる作用部43が形成されている。一方、下グリドル上面の奥端部25には、一対のストッパピン26A、26Bがブラケット27によって固定されている。このストッパピン26A、26Bは、支持アーム41が図2に示す基準位置にあるとき、作用部43から一定距離隔てて対向する位置関係にある。
【0039】
以上のことから、昇降軸61を上昇させてゆくと、作用部43がストッパピン26Aに当接するまでの間、支持アーム41は基準位置から水平な姿勢を保ちつつ上昇し、それ以降は、ストッパピン26Aにより作用部43が下方に押し下げられる結果、支持アーム41はヒンジHを軸にR矢印方向に回転する構成となっている。尚、図3に示すように、水平規制面66Aの前側は傾斜しながら装置前方に立ち上がっており(傾斜面66B)、水平姿勢にある支持アーム41が、先端を持ち上げる方向(図2のR矢印方向)に回転するとき、干渉しない構成となっている。
【0040】
図4に戻って説明を続けると、左右の昇降軸61を連結する連結部材62の下面中央部には、受け板63が固定されている。受け板63は5角形状をしており、突き出た先端部64を装置奥側に向けた状態で固定されている。そして、ロアベース81の上面には昇降装置100と位置決め装置120が前後に向かい合うようにして配置されている。
【0041】
昇降装置100は第一昇降盤103、減速装置105、第一モータ110などを備える。減速装置105はロアベース81の上面に固定されており、上下方向に延びるボール螺子軸107を備えている。このボール螺子軸107の軸中心は、左右の昇降軸61を連結する連結部材62の真下に位置している。尚、連結部材62、受け板63にはボール螺子軸107に対する干渉を避けるため、逃がし孔が形成されている。
【0042】
第一昇降盤103は円盤状をなし、中央部にはボール螺子軸107に螺合するボールナット(不図示)を備えている。そして、減速装置105には第一モータ110のモータ軸が連結しており、第一モータ110を回転させることでボール螺子軸107を減速回転できる。以上のことから、第一モータ110を回転させると、ボール螺子軸107に沿ってボールナットが上下動する結果、第一昇降盤103を昇降操作させることができる。
【0043】
図2に示すように、第一昇降盤103は、連結部材62の下面に固定された受け板63に対してその下方において離接可能な関係にある。そのため、第一昇降盤103を上昇させることで、第一昇降盤103によって受け板63、連結部材62、引いては昇降軸61を押し上げることが出来る。そして、昇降軸61を押し上げると、支持アーム41及び上グリドル30は上昇しつつ開き方向に回転するので、下グリドル20の第一調理面23を開放することが出来る。
【0044】
また、昇降盤103を下降させると、受け板63、連結部材62、昇降軸61は第一昇降盤103と共に一体的に下降する。このとき、支持アーム41及び上グリドル30は閉じ方向に回転しながら下降するので、上グリドル30は下グリドル20に被さるように閉じてゆく。
【0045】
そして、所定の位置まで下降すると、位置決め装置120の位置決め部材135の上面に当接して、受け板63はその位置で停止する。これにより、連結部材62、昇降軸61はそこで下降を止め、支持アーム41、上グリドル30もその位置で停止する。このように、本実施形態のものは、上グリドル30を下グリドル20に対して開閉させるといった大まかな動きについては昇降装置100にて行い、上グリドル30を如何様の停止位置にて停止させるかについては位置決め装置120にて行う構成となっている。
【0046】
図2、図6に示すように、位置決め装置120は、底板123上に立設された4本の支柱125によって天井板127を支えた支持体121、平板状をなす第二昇降盤133、第二モータ(パルスモータ)140、エンコーダ150、第二近接センサ155などを備える。第二昇降盤133は四隅を各支柱125に挿通させており、支柱125に沿って上下移動可能となっている。そして、第二昇降盤133の上面には、棒状の位置決め部材135が縦向きに取り付けられている。この位置決め部材135は、図2に示すように、受け板63の下方に位置しており、上端面が受け板63の先端部64の下面に当接可能な位置関係となっている。
【0047】
そして、支持体121の天井板127には、第二モータ140がモータ軸を下に向けて取り付けられている。一方、支持体121の底板123には、上下に延びる第二ボール螺子軸124が軸受け部材によって軸受けされている。この第二ボール螺子軸124は第二昇降盤133を上下に貫通しており、軸上端部が第二モータ140のモータ軸にギヤ(不図示)を介して連結されている。
【0048】
そして、この第二ボール螺子軸124に対して第二昇降盤133の裏面に取り付けられた第二ボールナット136が螺合している。以上のことから、第二モータ140を回転させると、第二ボールナット136が第二ボール螺子軸124に沿って上下動する結果、第二昇降盤133及びその上面に取り付けられた位置決め部材135を昇降操作することができる。
【0049】
このように位置決め装置120は、第二モータ140の駆動により位置決め部材135の位置を調整することが出来、昇降軸61の停止位置、引いては支持アーム41の停止位置(下グリドル20に対する上グリドル30の間隔)を任意に設定することが出来る。
【0050】
また、図6に示す符号155は第二近接センサである。第二近接センサ155は、底板123に取り付けられた支持フレーム161に対して、検出面156を第二昇降盤133に向けて取り付けられている。この近接センサ155は、第二昇降盤133が、図7に示す原点位置まで下降すると、検出信号Szを出力する構成となっている。
【0051】
尚、この原点位置は、支持アーム41の基準位置(図2に示す位置)に対応しており、第二昇降盤133をこの原点位置にて停止させると、位置決め部材135によって、支持アーム41を基準位置に位置決めすることが出来る。
【0052】
2.ハンバーグの厚み認識
(a)原理
今、支持アーム41の上下方向の位置について、図8の(a)に示すように上側加熱器具31の第二調理面33を、第一調理面23上に置かれたハンバーグSに、乗り上げさせる位置を乗り上げ位置とする。また、図2に示すように、第一調理面23上にハンバーグSが置かれていない状況であれば、上側加熱器具31の第二調理面33が下グリドル20の第一調理面23と同じ高さになって、第一調理面23上に第二調理面33がぴったり重なる位置を基準位置(この実施例では、第一調理面23から高さF0の位置であり、図8の(b)も支持アーム41の基準位置を示す)とする。
【0053】
そして、支持アーム41を、図8の(a)に示す乗り上げ位置から、図8の(b)に示す基準位置まで下降させたときの、支持アーム41と上側加熱器具31との相対距離Fの変位量について考える。尚、ここで言う相対距離Fとは、支持アーム41の上面41Aから上側加熱器具31の第二調理面33までの距離のことである。
【0054】
さて、支持アーム41が乗り上げ位置にあるときの、支持アーム41と上側加熱器具31の相対距離Fは、上側加熱器具31が支持アーム41に吊られているときの相対距離Fと同じ値「F0」となる。
【0055】
次に、支持アーム41を乗り上げ位置から下降させてゆくと、上側加熱器具31はハンバーグSに乗り上げたその高さで静止した状態を保つので、下降動作が進むに連れ、支持アーム41と上側加熱器具31の相対距離Fは乗り上げ位置における相対距離「F0」から次第に狭くなってゆく。
【0056】
そして、支持アーム41が基準位置まで下降したとき、支持アーム41と上側加熱器具31の相対距離は「F1」となる。この相対距離Fの変位量「F0−F1」はハンバーグSの厚みHに等しい。よって、支持アーム41を、図8の(a)に示す乗り上げ位置から、図8の(b)に示す基準位置まで下降させたときの、相対距離Fの変位量「F0−F1」を計測することで、ハンバーグSの厚みHが算出できる。
【0057】
また、図9に示すように、支持アーム41を基準位置から上昇させ、ハンバーグSに乗り上げた上側加熱器具31を吊り上げたときの相対距離Fの変位量を計測しても、ハンバーグSの厚みHを求めることが可能である。というのも、支持アーム41を、図9の(a)に示す基準位置から上昇させてゆくと、支持アーム41と上側加熱器具31と相対距離Fが、動作前の相対距離「F1」から次第に広がってゆく。
【0058】
やがて、図9の(b)に示すように、支持アーム41が上側加熱器具31を吊り上げ、支持アーム41と上側加熱器具31の相対距離Fは「F0」に戻る。このように、支持アーム41を基準位置から上昇させ、ハンバーグSに乗り上げた上側加熱器具31を吊り上げた場合も、支持アーム41を乗り上げ位置から基準位置まで下降させたときと同じだけ相対距離Fが変化する。
【0059】
よって、支持アーム41を基準位置から上昇させハンバーグSに乗り上げた上側加熱器具31を吊り上げたときの相対距離Fの変位量「F1−F0」を計測しても、ハンバーグSの厚みHを求めることが可能である。
【0060】
そして、上記の計測手法を用いることで、以下の効果を奏することが可能となる。一般に、調理対象のハンバーグSの形状は、一部に反りがある場合があり、必ずしも厚さが均一となっていない。従って、反りの誤差を含んでしまい、実際の厚みより、計測値が大きな数値となり勝ちである。
【0061】
特に、本実施形態の両面加熱調理器10はいわゆる冷凍もののハンバーグSを調理対象とおり、反りを矯正させるには、ある程度の力で、ハンバーグSを加圧する必要がある。この点、本実施形態では、乗り上げ位置から基準位置まで支持アーム41が下降する間、第一調理面23上に置かれたハンバーグSに上側加熱器具31を乗り上げさせており、上側加熱器具31の自重が第二調理面33を通じて、第一調理面23上に置かれた計測対象のハンバーグSに均等に加わる。
【0062】
従って、ハンバーグSに反りがあったとしても、支持アーム41が乗り上げ位置から基準位置まで下がる間に、その反りを矯正できる。このように、ハンバーグSの厚みを計測する動作を行うと、その過程で、ハンバーグSの反りを自然に矯正できる。そのため、ハンバーグSの厚みを正確に求めることが可能となる。
【0063】
また、ハンバーグSを加圧する際、両グリドル20、30を予備加熱(氷を溶かす程度の温度に暖めておくこと)するようにしておけば、ハンバーグSの反りを矯正し易くなるし、ハンバーグSの表裏両面に付着する着氷も溶解できる。よって、ハンバーグSの厚さを一層正確に求めることが可能となる。
【0064】
(b)相対距離Fの変位量の具体的算出方法
支持アーム41を基準位置から上昇させハンバーグSに乗り上げた上側加熱器具31を吊り上げるまでの間、上側加熱器具31は静止したままである。従って、相対距離Fの変位量「F1−F0」は、基準位置より上昇を始めた支持アーム41が、第一調理面23上に置かれたハンバーグSに乗り上げた上側加熱器具31を、吊り上げるまでの上昇距離Yに等しい。そこで、本実施形態では、支持アーム41の上昇距離Yを求めることにより、相対距離Fの変位量「F1−F0」を算出している。
【0065】
具体的に説明すると、本実施形態では、基準位置より上昇を始めた支持アーム41が、第一調理面23上に置かれたハンバーグSに乗り上げた上側加熱器具31を吊り上げる吊り上げ時を検出することを目的として、第一近接センサ(本発明の「検出手段」に相当)50を設けている。
【0066】
第一近接センサ50は、図9に示すように、支持アーム41の上面41A側に、検出面51を下に向けて配置されている。この第一近接センサ50は、支持アーム41の上面41Aから突出する吊りボルト45の頭部46に不図示のブラケットにより固定されており、上側加熱器具31と共に上下する。
【0067】
そして、図9の(a)にて示すように、上側加熱器具31がハンバーグSに乗り上げて、支持アーム41と上側加熱器具31の相対距離Fが「F0」より狭くなる状態では、検出面51と支持アーム41との距離が広がり、支持アーム41が近接センサ50の検出範囲外に位置するので、第一近接センサ50は非検出状態(検出信号Srを出力しない状態)となる。
【0068】
一方、図9の(a)の位置から支持アーム41が上昇すると、検出面51と支持アーム41との距離は縮まる。そして、図9の(b)に示すように、支持アーム41がハンバーグS上に乗り上げた上側加熱器具31を吊り上げる瞬間(アーム上面41Aが吊りボルト45の頭部46に接する瞬間)には、支持アーム41が近接センサ50の検出範囲内に入って、第一近接センサ50は検出状態(検出信号Srを出力)となる。
【0069】
以上のことから、支持アーム41が、第一調理面23上に置かれたハンバーグSに乗り上げた上側加熱器具31を吊り上げる吊り上げ時を第一近接センサ50により検出できる。尚、この実施形態では、上側加熱器具31の4隅それぞれに第一近接センサ50を取り付けており、4つの近接センサ50と4つの吊りボルトが1対1の関係で対応している。
【0070】
また、本実施形態では、支持アーム41を基準位置から上昇させる機能を位置決め装置120に負担させており、位置決め装置120の備える第二モータ140にエンコーダ150を設けている。このエンコーダ150は第二モータ140の回転数に応じた数、パルス信号を出力する。
【0071】
以上のことから、図10に示すように、上昇開始時刻t1から吊り上げ時t2までに、エンコーダ150から出力されるパルス信号のパルス数をカウントしておけば、そのカウント数から、上昇開始時刻t1から吊り上げ時t2までの間に第二モータ140がどれだけ回転したか求めることが出来る。
【0072】
従って、あとは、求めた第二モータ140の回転数から支持アーム41の上昇距離Yを求めることが出来、得られた上昇距離Yが支持アーム41を基準位置から上昇させ第一調理面23に置かれたハンバーグSに乗り上げた上側加熱器具31を吊り上げる動作を行ったときの相対距離Fの変位量「F1−F0」、すなわちハンバーグSの厚みHである。
【0073】
尚、図11に示すように、両面加熱調理器10はCPU200、ROM210を備えており、上記した上昇距離Yの算出は、CPU200が行うようになっている。ROM210にはCPU200が、上記した必要な演算を行うための計算値データ、例えば、(1)エンコーダ150の出力するパルス信号を第二モータ140の回転数に変換する変換データ、(2)第二モータ140の回転数を支持アーム41の上昇距離Yに換算するための換算データが予め記憶されている。
【0074】
そして、CPU200はハンバーグSの厚みHを算出して認識する機能に加え、認識したハンバーグSの厚みHに対応する調理条件を自動選択する選択機能を担っている。
【0075】
3.調理条件の自動選択
本両面加熱調理器10では、厚さがAサイズの厚型ハンバーグと、厚さがBサイズの薄型ハンバーグの2種のハンバーグが調理対象となっており、ROM210には、これらハンバーグの厚さのデータ(A±α、B±α)と、Aサイズのハンバーグを調理するための調理条件Aのデータ、Bサイズのハンバーグを調理するための調理条件Bのデータが記憶されている。尚、「α」は誤差量であり、厚さのデータはA、Bをそれぞれ中央値とする範囲のデータとして記憶されている。
【0076】
そして、CPU200は、調理対象のハンバーグSの厚みHを認識すると、認識した厚みHをROM210に記憶した厚さのデータと比較する処理を行い、認識した調理対象のハンバーグSの厚みHが、Aサイズ、Bサイズのいずれのサイズであるかを判別し、調理条件A、調理条件Bのいずれかを自動選択する。このようにすることで、ハンバーグSをそのサイズに適した調理条件で調理できるので、焼き過ぎたり、半焼けにすることがなく、最適な仕上がりに調理できる。
【0077】
尚、図12に示すように、調理条件にはギャップ寸法、調理時間などが含まれている。ギャップ寸法とは、ハンバーグを加熱調理する際に両調理面23、33間の隙間を如何様の値に設定するか、その数値設定を意味しており、厚型であるAサイズのハンバーグのギャップ寸法Gaは広く設定してあり、薄型であるBサイズのハンバーグのギャップ寸法Gbは狭く設定してある。また、調理時間とは、ハンバーグを加熱調理する時間のことであり、厚型であるAサイズのハンバーグの調理時間Taは長く設定してあり、薄型であるBサイズのハンバーグの調理時間Tbは短く設定してある。
【0078】
4.両面加熱調理器10の電気的構成
両面加熱調理器10の電気的構成は図11に示す通りであり、CPU200に対して両面加熱調理器10を構成する各種装置が電気的に連なっている。具体的には、熱系の装置として下側加熱器具21、上側加熱器具31が連なっており、CPU200は、これら両加熱器具21、31を予備加熱状態(調理面を暖める程度の温度に加熱する状態)、本加熱状態(調理面を調理温度まで加熱した状態)の両状態に制御できる。尚、この加熱調理器10では電源を投入すると、その後、予備加熱状態に自動的に移行する構成となっている。
【0079】
また、CPU200には、上グリドル30を開閉、位置決めさせる駆動系の装置として第一モータ110を制御する第一モータドライバ240、第二モータ140を制御する第二モータドライバ250が電気的に連なっている。また、センサ類として第一近接センサ50、エンコーダ150、第二近接センサ155の出力ラインが電気的に接続されており、これら各センサ50、150、155の出力する信号がCPU200に取り込まれる構成となっている。
【0080】
また、CPU200には、オペレータが操作するスイッチ類として、装置の電源を投入するための電源スイッチ(図略)、原点出しを行うための原点スイッチ231、調理を開始するための実行スイッチ235が接続されている。
【0081】
また、ROM210には、動作プログラムが記憶されている。動作プログラムとは、両面加熱調理器に図13に示す動作フローを実行させるためのプログラムであり、CPU200により実行される。
【0082】
5.本両面加熱調理器10の動作手順(調理手順)
以下、図13に示す動作フロー(メインフロー)に沿って、両面加熱調理器10の動作手順を説明してゆく。尚、ここでは、両面加熱調理器10は既に電源が投入された状態にあって、上下の加熱器具21、31はいずれも予備加熱状態にあり、また図15に示すように上グリドル30は下グリドル20の第一調理面23を開放するオープン状態にあって、第二昇降盤133は原点位置より上側の位置にあるものとして説明を始める。
【0083】
さて、両面加熱調理器10を作動させるに当たり、オペレータはまず、原点スイッチ231の操作を行う。スイッチ231が操作されると、CPU200がスイッチ操作の入力を受け付け、S10の原点出し処理が実行される。具体的には、CPU200が第二モータドライバ250を通じて第二モータ140を通電する。これにより、第二モータ140が例えば、正転方向に回転し、その動力によって第二ボール螺子軸124を正転方向に回転させる。その結果、螺子の作用により、第二昇降盤133が第二ボール螺子軸124に沿って下降する。
【0084】
そして、下降する第二昇降盤133が原点位置に達すると、第二近接センサ155が検出信号Szを出力する。この検出信号Szの出力を条件に、CPU200は第二モータ140への通電を停止する。これにて、第二昇降盤133が、図16に示す原点位置に位置合わせされる。その後、両面加熱調理器10は調理開始を指示する実行スイッチ235の入力を待つ、待機状態となる。
【0085】
調理対象となるハンバーグSを並べる作業は手動作業になっており、オペレータは調理を開始するにあたり、下側グリドル20の第一調理面23に、ハンバーグSを並べる作業を行う必要がある。尚、調理対象のハンバーグSは冷凍されたものであり、表面には着氷がある。また、形状も必ずしも均一となっておらず、一部には反りがあるものもある。
【0086】
オペレータはハンバーグSを、第一調理面23上に必要数(例えば、4個)並べる作業を完了させたら、次に、実行スイッチ235を操作してやればよく、これを行うと、CPU200の制御により、以下説明するS20〜S50の処理が順に実行される。図13に示すS20の厚み認識処理は、図14に示すサブルーチンとして定義されており、処理がS20に移行されると、図14に示すS21からS25の処理が順に行われることとなる。
【0087】
まず、S21では、支持アーム41を基準位置に下降させる第一動作が実行される。具体的には、CPU200により、第一モータドライバ240を通じて第一モータ110が通電される。これにより、第一モータ110が例えば、正転方向に回転し、その動力によって第一ボール螺子軸107を正転方向に回転させる。その結果、螺子の作用により、第一昇降盤103が第一ボール螺子軸107に沿って下降する。すると、第一昇降盤103と共に受け板63が下降する結果、昇降軸61、引いては支持アーム41もそれと一体的に下降してゆく。
【0088】
そして、下降する支持アーム41は、下降動作に複合して閉じ方向に回転する。そして、ほぼ水平な姿勢になるまで回転すると、水平規制面66Aに上面41Aの基端部が当接し、そこで、支持アーム41は回転を規制された状態となる。この状態では、下グリドル20の第一調理面23に対して上グリドル30の第二調理面33が向かい合った状態となる。
【0089】
それ以降、図17に示すように、支持アーム41及び上グリドル30は水平な姿勢を保ったまま下降を続け、次第に下グリドル20の第一調理面23上に置かれた調理前のハンバーグSに対して上グリドル30の第二調理面33が接近してゆく。
【0090】
やがて、支持アーム41は図8の(a)に示す乗り上げ位置に達し、上グリドル30の上側加熱器具31の第二調理面33が下グリドル20の第一調理面23上に置かれた調理前のハンバーグSに対して乗り上げる。これにより、ハンバーグSの上面に乗り上げた上側加熱器具31はその位置で静止し、それ以降は、第一支持アーム41及び昇降軸61だけが下降してゆく。
【0091】
以上のことから、上側加熱器具31がハンバーグSの上面に乗り上げた以降、上側加熱器具31と支持アーム41との間に相対的な変位が生じ、相対距離Fは、下降動作前の相対距離「F0」から次第に狭くなってゆく。
【0092】
その後、第一支持アーム41及び昇降軸61は更に下降を続け、原点位置にある第二昇降盤133の位置決め部材135に、受け板64が当接する。これにより、支持アーム41は、図18に示す基準位置に位置決めされる。尚、支持アーム41が基準位置に位置決めされた後も、第一昇降盤103は下降を続け、CPU200が第一モータ110への通電を停止すると、そこで、停止する。
【0093】
そして、支持アーム41が乗り上げ位置から基準位置まで下がる間に、上側加熱器具31の自重が第二調理面33を通じてハンバーグSに均等に加わる。そのため、第一調理面23上に並べられたハンバーグSの一部に反りがあったとしても、そうした反りは、支持アーム41が基準位置に達するまでに矯正される。加えて、両グリドル20、30は予備加熱されているので、ハンバーグSの表面に付着した着氷を溶解できる。よって、この段階で、第一調理面23上に並べられたハンバーグSは厚さ一定の平らな形状になる。
【0094】
尚、第一動作の完了時には、支持アーム41と上側加熱器具31の相対距離Fは、図18に示すように、下降動作前の相対距離「F0」に比べて、ハンバーグSの厚みHだけ狭い「F1」となる。
【0095】
続く、S23では、支持アーム41を基準位置から上昇させハンバーグSに乗り上げた上側加熱器具31を吊り上げる第二動作が実行される。具体的に説明すると、CPU200は第二モータドライバ250を通じて第二モータ140を通電する。これにより、第二モータ140が例えば、逆転方向に回転し、その動力により、第二ボール螺子軸124が逆転方向に回転する。その結果、螺子の作用により、原点位置にある第二昇降盤133が第二ボール螺子軸124に沿って上昇する。そのため、第二昇降盤133と共に位置決め部材135が上昇し、基準位置にある支持アーム41を持ち上げてゆく。これにより、支持アーム41と上側加熱器具31との相対距離Fが、上昇動作前の相対距離「F1」から次第に広がってゆく。
【0096】
また、CPU200は通電の開始と共に、第二モータ140に設けられたエンコーダ150から出力されるパルス信号を、カウントするカウント動作を開始する。
【0097】
やがて、支持アーム41が基準位置からハンバーグSの厚み分持ち上がると、支持アーム41の上面41Aが吊りボルト45の頭部46の首に接する。この瞬間に、支持アーム41がハンバーグS上に乗り上げた上側加熱器具31を吊り上げ(吊り上げ時t2)、それと同時に調理対象となるハンバーグSの上面から上側加熱器具31の第二調理面33が離間する。
【0098】
そして、支持アーム41がハンバーグS上に乗り上げた上側加熱器具31を吊り上げる吊り上げ時t2には、支持アーム41の上面41Aが第一近接センサ50の検出面51に対して接近状態となる結果、第一近接センサ50は、非検出状態から検出状態に切り換わり、検出信号Srを出力する。出力された検出信号SrはCPU200に入力される。
【0099】
そして、CPU200は検出信号Srの入力を条件に、パルス信号のカウント動作をそこで終了させ、また第二モータ140への通電を停止する。これにより、第二昇降盤133はその位置にて停止する(第二動作完了)。
【0100】
その後、処理はS25に移行して、基準位置より上昇を始めてから、第一調理面23上に置かれたハンバーグSに乗り上げた上側加熱器具31を吊り上げるまでの支持アーム41の上昇距離Yが算出される。
【0101】
具体的に説明すると、CPU200は、ROM210から計算値データを読み出して、カウントしたパルス信号のパルス数から、時刻t1から時刻t2までの第二モータ140の回転数を算出する。その後、算出した第二モータ140の回転量から、時刻t1から時刻t2までの第二昇降盤133の上昇距離Y、すなわち支持アーム41の上昇距離Yが算出される。
【0102】
かくして、支持アーム41の上昇距離Y、すなわち調理対象となるハンバーグSの厚みHが算出される。これにて、S20の厚み認識処理は完了する。その後、CPU200の処理は、図13に示す動作フローに戻り、S30の調理条件自動選択処理が実行される。
【0103】
具体的に説明すると、このS30の処理では、CPU200によって、ROM210から調理対象となるハンバーグの厚さのデータ(A±α、B±α)が読み出される。そして、CPU200は、S20にて認識した調理対象のハンバーグSの厚みHのデータを、読み出したハンバーグの厚さHのデータと比較する処理を行い、S20にて認識した調理対象のハンバーグSの厚みHが、Aサイズ、Bサイズのいずれのサイズであるかを判別する。
【0104】
すなわち、S20にて認識した調理対象のハンバーグの厚みHが、A±αの範囲内にあればAサイズであると判定され、B±αの範囲内にあればBサイズであると判定される。そして、Aサイズであると判定された場合には、CPU200により、調理条件Aが自動選択され、Bサイズであると判定された場合には、CPU200により、調理条件Bが自動選択される。ここでは、調理条件Aが自動選択されたものとして説明を続ける。尚、CPU200により実行されるS30の調理条件自動選択処理により、本発明の自動選択手段の機能が実現されている。
【0105】
S30にて調理条件が選択されると、次にS40に移行する。S40では、S30にて選択された調理条件に従って、調理が実行される。ここでは、調理条件Aが選択されているので、CPU200により、ROM210からギャップ寸法Gaのデータが読み出される。そして、CPU200は、位置決め装置120を用いて、第一調理面23と第二調理面33のギャップ寸法が「Ga」になるように、第二昇降盤133を上昇又は下降させ、支持アーム41の高さ位置を微調整する。
【0106】
ギャップ寸法が「Ga」に調整されると、次にCPU200は、ROM210から調理時間Taのデータを読み出すと共に、上グリドル30の上側加熱器具31、下グリドル20の下側加熱器具21をそれぞれ予備加熱状態から本加熱状態に移行させ、上下の両グリドル20、30にてハンバーグSを両面加熱する。
【0107】
これにて、ハンバーグSは上下両面が均等に加熱され中までしっかり火が通される。そして、加熱時間が調理時間Taに達すると、ハンバーグSは焼き上がり、これにて調理完了する。そして、調理完了と共に、CPU200は上側加熱器具31、下グリドル20の下側加熱器具21をそれぞれ本加熱状態から予備加熱状態に戻す処理を行い、また、昇降装置100を作動させ、上グリドル30をオープン状態に移行させる。
【0108】
これにより、下グリドル20の第二調理面33が開放された状態となり、オペレータは、焼きあがったハンバーグSを回収できる。かくして、一連の処理は全て完了し、両面加熱調理器10は調理前の状態に戻る。
【0109】
次のハンバーグSを調理するには、先に説明したのと同様の手順に従って作業を進めればよい。すなわち、まず、オペレータは、原点スイッチ231を操作する。すると、S10にて位置決め装置120の原点出しが行われ、第二昇降盤133が原点位置に位置合わせされる。その後、オペレータは調理対象のハンバーグSを下グリドル20の第一調理面23上に並べる作業を行い、作業が完了したら、実行スイッチ235を操作してやる。
【0110】
すると、S20にて並べられたハンバーグSの厚みHが自動的に認識され、続くS30では、認識された厚みHに基づいて、調理対象のハンバーグがAサイズ、Bサイズいずれのサイズであるか判別され、その結果に基づいて調理条件が自動選択される。その後、処理はS40に移行して、選択された調理条件に従って、ハンバーグSが調理される。
【0111】
以上説明したように、本両面加熱調理器10は、調理面上に置かれた調理前のハンバーグSの厚さを自動認識する自動認識機能(S20)と、認識結果に基づいて調理条件を自動選択する調理条件自動選択機能(S30)を備えている。そのため、ハンバーグSをそのサイズに適した調理条件で調理できるので、焼き過ぎたり、半焼けにすることがなく、最適な仕上がりに調理できる。
【0112】
また、本実施形態のものは、基準位置から上昇を始めた支持アーム41が、ハンバーグSに乗り上げた上側加熱器具31を吊り上げるまでの上昇距離Yを算出することによって、ハンバーグSの厚みを求めている。
【0113】
このような計測方法の場合、支持アーム41を基準位置に正確に位置決め出来ないと、計測に誤差が出来、ハンバーグSの厚みを正確に求められない。この点、本実施形態のものは、位置決め装置120を専用に設けているので、支持アーム41を基準位置に正確に位置決めすることが可能であり、ハンバーグSの厚みを正確に計測できる。
【0114】
加えて、本実施形態のものは昇降装置100と位置決め装置120とを独立して設けているので、支持アーム41を昇降装置100によりオープン状態にしたまま、位置決め装置120の原点出し(位置決め部材135を原点位置に合わす作業)作業を行うことが出来る。従って、位置決め装置120の原点出し作業と並行して、調理対象のハンバーグSを第一調理面23上に並べる作業を行うことが可能であり、ハンバーグSの調理効率がよい。
【0115】
尚、装置を側面方向から見た図2、図15〜図19によると、ボール螺子軸107が昇降軸61より装置前側(図中左側)に位置しているが、側面方向から見たとき、ボール螺子軸107は昇降軸61と重なる関係となっている。ボール螺子軸107と昇降軸61を別べつに示した方が構造を理解の助けとなるため、これら図中では、昇降装置100の全体を装置前側にずらした図となっており、ボール螺子軸107が昇降軸61より装置前側(図中左側)に位置している。
【0116】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図20によって説明する。
実施形態1では、基準位置より上昇を始めた支持アーム41が、第一調理面23上に置かれたハンバーグSに乗り上げた上側加熱器具31を吊り上げる吊り上げ時を検出する検出手段として、第一近接センサ50を用いた。実施形態2のものは、第一近接センサ50に替えて、光電センサ300により、吊り上げ時t2を検出するようにしたものである。
【0117】
実施形態2において、両面加熱調理器を構成するその他の部品は、実施形態1のものと同様であり、同一部品には同一符号を付す。また、電気的構成も、第一近接センサ50が光電センサ300に変わる点を除いて、同じである。
【0118】
さて、光電センサ300にて吊り上げ時t2を検出するには、支持アーム41と上側加熱器具(吊りボルト45を含む)31のいずれか一方に、光電センサ300を配置する一方、他方側に遮光板330を取り付けておく。
【0119】
そして、支持アーム41がハンバーグS上に乗り上げた上側加熱器具31を吊り上げる前後で、光電センサ300の形成する検出光軸Lの入遮光が切り換わるように設定しておけばよい。
【0120】
この実施形態では、光電センサ300を支持アーム41に取り付ける一方、遮光板330を吊りボルト45の頭部46に縦向きに取り付けている。そして、支持アーム41がハンバーグS上に乗り上げた上側加熱器具31を吊り上げるときに、光電センサ300の検出光軸Lが遮光状態から入光状態に切り換わる構成となっている。
【0121】
具体的に説明すると、光電センサ300は、検出光を出射する投光部310と、検出光を受光する受光部320とを備えている。投光部310と受光部320は、支持アーム41の先端側と基端側に分かれて配置されており、両間に2つの吊りボルト45が位置している。投光部310と受光部320は、図20に示すように向かい合っており、支持アーム41の上面41Aから一定の高さに検出光軸Lを設定している。
【0122】
そして、上側加熱器具31がハンバーグSに乗り上げた状態(支持アーム41と上側加熱器具31との相対距離Fが「F0」より狭い状態)では、図20の(a)に示すように、遮光板330が検出光軸Lを横切る状態となり、検出光軸Lは遮光状態になる。従って、このとき、光電センサ300は非検出状態となる。
【0123】
一方、図20の(a)の状態から支持アーム41を持ち上げてゆくと、やがて、支持アーム41の上面41Aが吊りボルト45の頭部46に接し、ハンバーグ上に乗り上げた上側加熱器具31を吊り上げる。このとき、図20の(b)に示すように、検出光軸Lが遮光板330の上側に位置する。そのため、検出光軸Lの遮光が解かれ、入光状態となる。従って、このとき、光電センサ300は非検出状態から検出状態に切り換わる。
【0124】
以上のことから、基準位置より上昇を始めた支持アーム41が、第一調理面23上に置かれたハンバーグSに乗り上げた上側加熱器具31を吊り上げる吊り上げ時t2を、光電センサ300により検出することが可能となる。
【0125】
また、光電センサ300にはファイバセンサを用いることが好ましい。ファイバセンサは、検出光を光ファイバを使用してセンサ本体部との間にて伝送させるものである。ファイバセンサを使用すれば、センサ本体自体を支持アーム41上に必ずしも配置する必要はなく、例えば、センサ本体を、温度がそれほど高くならない場所に配置できる。よって、温度の影響を受け難くなり、センサが故障し難くなる。また、センサが誤動作しないので、吊り上げ時t2についても、正確に検出することが可能となる。
【0126】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を図21によって説明する。
実施形態1では、基準位置より上昇を始めた支持アーム41が、第一調理面23上に置かれたハンバーグSに乗り上げた上側加熱器具31を吊り上げる吊り上げ時を検出する検出手段として、第一近接センサ50を用いた。実施形態2のものは、第一近接センサ50に替えて、圧力センサ350により、吊り上げ時t2を検出するようにしたものである。
【0127】
具体的には、図21に示すように、支持アーム41に形成される貫通孔42の上部に収容部を設けて、圧力センサ350を嵌めこんでいる。そして、圧力センサ350は中央に軸孔が形成してあり、そこに、吊りボルト45が通されている。
【0128】
このようにしておけば、上側加熱器具31がハンバーグSに乗り上げた状態では、図21の(a)に示すように、吊りボルト45の頭部46は圧力センサ350から浮いた状態となり、圧力センサ350は加圧されない。
【0129】
一方、図21の(a)の状態から支持アーム41を持ち上げてゆくと、やがて、支持アーム41の上面41Aが吊りボルト45の頭部46に接し、ハンバーグS上に乗り上げた上側加熱器具31を吊り上げる。このとき、図21の(b)に示すように、吊りボルト45の頭部46が圧力センサ350の上面に乗り上げ、圧力センサ350は強く加圧される。
【0130】
以上のことから、圧力センサ350の出力する検出信号から、圧力変動の起きるタイミングを読み取ることで、第一調理面23上に置かれたハンバーグSに乗り上げた上側加熱器具31を吊り上げる吊り上げ時t2を検出することが可能となる。
【0131】
尚、実施形態3において、両面加熱調理器を構成するその他の部品は、実施形態1のものと同様であり、同一部品には同一符号を付してある。また、電気的構成も、第一近接センサ50が圧力センサ350に変わる点を除いて同じである。
【0132】
<実施形態4>
次に、本発明の実施形態4を図22〜図25によって説明する。
実施形態1〜実施形態3では、ハンバーグSに乗り上げた上側調理器具31を支持アーム41が吊り上げる吊り上げ時を、近接センサ50、光電センサ300、圧力センサ350によって検出した。そして、これらセンサ50、300、350の出力する検出信号Srを基に支持アーム41の上昇距離Yを算出して、相対距離Fの変位量を求めた。
【0133】
これに対して、実施形態4では、相対距離Fの変位量を、ダイヤルゲージ式変位計400により、計測するようにしたものである。ダイヤルゲージ式変位計400は円盤状をなす変位計本体410と、棒状をなすスピンドル420とを備えている。スピンドル420は変位計本体410に対して出没可能な状態で取り付けられており、不図示のバネにより突出方向に付勢されている。そして、変位計本体410には指針430が設けられており、変位計本体410に対するスピンドル420の突出量の変化を指針の回転角によって表示する構成となっている。
【0134】
図22、図23に示すように、ダイヤルゲージ式変位計400は、各吊りボルト45の頭部46にスピンドル420の先端が接触するように、吊りボルト45の上方位置において、スピンドル420を真っ直ぐ下に向けた状態で支持アーム41に取り付けられている。具体的には、支持アーム41の上面にはT字型をなす取り付け部44が設けられており、その両端部44A、44Bに取り付けられている。
【0135】
そのため、各ダイヤルゲージ式変位計400にて、支持アーム41の上面41Aに対する各吊りボルト45の飛び出し量Cの変位量を計測することが可能となる。尚、飛び出し量Cの基準値は、支持アーム41が図22に示す乗り上げ位置にあるときの飛び出し量C0となっている。
【0136】
そして、支持アーム41と上側加熱器具31の相対距離Fが変化すると、それに等しいだけ、飛び出し量Cが変化するので、支持アーム41を図22に示す乗り上げ位置から図23に示す基準位置まで下降させたときの、飛び出し量Cの変位量(C1−C0)をダイヤルゲージ式変位計400にて計測することで、相対距離Fの変位量(F0−F1)が得られる。
【0137】
また、このダイヤルゲージ式変位計400はデータ処理回路(不図示)を有しており、計測された飛び出し量Cの変位量のデータは出力ラインを通じて出力される構成となっている。そして、図24に示すように、ダイヤルゲージ式変位計400の出力ラインはCPU200に連なっており、計測された飛び出し量Cの変位量(C1−C0)のデータは、CPU200に取り込まれる構成となっている。
【0138】
次に、上記したダイヤルゲージ式変位計400を用いてハンバーグSの厚みを如何様に認識するか説明する。尚、この実施形態4のものも、実施形態1と同様に、図13に示す動作フロー(メインフロー)に沿って、両面加熱調理器10の動作が進められることは何ら変わるところがない。
【0139】
ここでは、第二昇降盤133を原点位置に位置合わせする作業(S10の処理)が既に完了し、その後、オペレータにより、調理対象のハンバーグSを下グリドル20の第一調理面23上に並べる作業が行われた状態にあるものとする。
【0140】
オペレータはハンバーグSを、第一調理面23上に必要数(例えば、4個)並べる作業を完了させたら、次に、実行スイッチ235を操作してやればよく、これを行うと、CPU200の制御により、図13に示すS20の厚み認識処理が実行される。実施形態4の厚み認識処理は、図25に示すようにS21とS27の2つのステップから構成されている。
【0141】
具体的に説明すると、S21では、CPU200により、第一モータドライバ240を通じて第一モータ110が通電される。これにより、昇降装置100の第一モータ110が例えば、正転方向に回転し、その動力によって第一ボール螺子軸107を正転方向に回転させる。その結果、螺子の作用により、第一昇降盤103が第一ボール螺子軸107に沿って下降する。すると、第一昇降盤103と共に受け板63が下降する結果、昇降軸61、引いては支持アーム41もそれと一体的に下降してゆく。
【0142】
そして、下降する支持アーム41は、下降動作に複合して閉じ方向に回転する。そして、ほぼ水平な姿勢になるまで回転すると、水平規制面66Aに上面41Aの基端部が当接し、そこで、支持アーム41は回転を規制された状態となる。この状態では、下グリドル20の第一調理面23に対して上グリドル30の第二調理面33が向かい合った状態となる。
【0143】
それ以降、支持アーム41及び上グリドル30は水平な姿勢を保ったまま下降を続け、次第に下グリドル20の第一調理面23上に置かれた調理前のハンバーグSに対して上グリドル30の第二調理面33が接近してゆく。
【0144】
そして、支持アーム41が下降を開始してから、次の乗り上げ位置に達するまでは、上側加熱器具31は支持アーム41に吊られた状態にあるので、吊りボルト45の飛び出し量Cは一定値「C0」となる。よって、このとき、ダイヤルゲージ式変位計400の出力値はゼロになる。
【0145】
やがて、支持アーム41は図22に示す乗り上げ位置に達し、上グリドル30の上側加熱器具31の第二調理面33が下グリドル20の第一調理面23上に置かれた調理前のハンバーグSに対して乗り上げる。これにより、ハンバーグSの上面に乗り上げた上側加熱器具31はその位置で静止する。
【0146】
それ以降は、第一支持アーム41及び昇降軸61だけが下降してゆく。以上のことから、上側加熱器具31がハンバーグSの上面に乗り上げた以降、上側加熱器具31と支持アーム41との間の相対距離Fは、ハンバーグSに上側加熱器具31が乗り上げる前の相対距離「F0」から次第に狭くなってゆく。よって、このときには、支持アーム41の上面41Aに対する吊りボルト45の飛び出し量Cがその分増加してゆく。
【0147】
その後、第一支持アーム41及び昇降軸61は更に下降を続け、原点位置にある第二昇降盤133の位置決め部材135に、受け板64が当接する。これにより、支持アーム41は、図23に示す基準位置に位置決めされる。このとき、吊りボルト45の飛び出し量は「C1」となる。
【0148】
尚、支持アーム41が基準位置に位置決めされた後も、第一昇降盤103は下降を続け、CPU200が第一モータ110への通電を停止すると、そこで停止する。かくして、支持アーム41を基準位置に位置決めする第一動作が完了する。そして、この第一動作が完了すると、次にS27に移行する。S27では、ダイヤルゲージ式変位計400の出力値、すなわち吊りボルト45の飛び出し量Cの変位量(C1−C0)を読み取る処理が行われる。
【0149】
かくして読み取られた吊りボルト45の飛び出し量Cの変位量(C1−C0)は、支持アーム41を乗り上げ位置から基準位置に下降させたときの、支持アーム41と上側加熱器具31の相対距離Fの変位量(F0−F1)に他ならない。以上のことから、CPU200により、相対距離Fの変位量(F0−F1)のデータ、すなわち第一調理面23上に置かれたハンバーグSの厚みが認識される。
【0150】
その後、CPU200の処理は、図13に示す動作フローに戻り、S30の調理条件自動選択処理が実行される。具体的に説明すると、このS30の処理では、CPU200によって、ROM210から調理対象となるハンバーグの厚さのデータ(A±α、B±α)が読み出される。そして、CPU200は、S20にて認識した調理対象のハンバーグSの厚みHのデータを、読み出したハンバーグの厚さHのデータと比較する処理を行い、S20にて認識した調理対象のハンバーグSの厚みHが、Aサイズ、Bサイズのいずれのサイズであるかを判別する。そして、CPU200は、判別結果に従って、調理条件を自動選択する。
【0151】
S30にて調理条件が選択されると、次にS40に移行する。S40では、S30にて選択された調理条件に従って、調理が実行される。例えば、調理条件Aが選択された場合であれば、CPU200により、ROM210からギャップ寸法Gaのデータが読み出される。そして、CPU200は、位置決め装置120を用いて、第一調理面23と第二調理面33のギャップ寸法が「Ga」になるように、第二昇降盤133を上昇又は下降させ、支持アーム41の高さ位置を微調整する。
【0152】
ギャップ寸法が「Ga」に調整されると、次にCPU200は、ROM210から調理時間Taのデータを読み出すと共に、上グリドル30の上側加熱器具31、下グリドル20の下側加熱器具21をそれぞれ予備加熱状態から本加熱状態に移行させ、上下の両グリドル20、30にてハンバーグSを両面加熱する。
【0153】
これにて、ハンバーグSは上下両面が均等に加熱され中までしっかり火が通される。そして、加熱時間が調理時間Taに達すると、ハンバーグSは焼き上がり、これにて調理完了する。そして、調理完了と共に、CPU200は上側加熱器具31、下グリドル20の下側加熱器具21をそれぞれ本加熱状態から予備加熱状態に戻す処理を行い、また、昇降装置100を作動させ、上グリドル30をオープン状態に移行させる。
【0154】
これにより、下グリドル20の第二調理面33が開放された状態となり、オペレータは、焼きあがったハンバーグSを回収できる。かくして、一連の処理は全て完了し、両面加熱調理器10は調理前の状態に戻る。
【0155】
以上説明したように、本両面加熱調理器10は、調理面上に置かれた調理前のハンバーグSの厚さを自動認識する自動認識機能(S20)と、認識結果に基づいて調理条件を自動選択する調理条件自動選択機能(S30)を備えている。そのため、実施形態1〜3のものと同じく、ハンバーグSをそのサイズに適した調理条件で調理できるので、焼き過ぎたり、半焼けにすることがなく、最適な仕上がりに調理できる。
【0156】
また、この実施形態では、支持アーム41と上側加熱器具31の相対距離Fの変位量を、ダイヤルゲージ式変位計400により直接計測する構成をとっている。このようにしておけば、支持アーム41を乗り上げ位置から基準位置まで下降させた段階で、相対距離Fの変位量の計測を完了できる。従って、計測完了後に、調理条件の選択など、次の段階に、ただちに移ることが可能となるので無駄な動作がなく、調理実行までの準備段階の動作を簡素化できる。実施形態1との比較で言えば、実施形態1では必須であったS23、S25の処理を廃止できるという点で簡素化できる。
【0157】
尚、この実施形態のものも、実施形態1と同様に、支持アーム41が乗り上げ位置から基準位置まで下がる間に、上側加熱器具31の自重が第二調理面33を通じてハンバーグSに均等に加わる。そのため、第一調理面23上に並べられたハンバーグSの一部に反りがあったとしても、そうした反りは、支持アーム41が基準位置に達するまでに矯正される。加えて、両グリドル20、30は予備加熱されているので、ハンバーグSの表面に付着した着氷を溶解できる。
【0158】
よって、誤差の要因(反り、着氷)を取り除いた状態でハンバーグSの厚みが計測されるから、実施形態1〜3の場合と同様に、ハンバーグSの厚みを正確に計測できる。
【0159】
尚、実施形態4において両面加熱調理器を構成するその他の部品は実施形態1のものと同様であり、同一部品には同一符号を付してある。
【0160】
<実施形態5>
次に、本発明の実施形態5を図26〜図28によって説明する。
実施形態4では、相対距離Fの変位量をダイヤルゲージ式変位計400により計測するものを例示した。これに対して、実施形態5のものは、相対距離Fの変位量を超音波式変位計450により計測するものである。超音波式変位計450は、金属製のケーシング460内に、電気的振動と機械的振動を相互に変換する圧電セラミック振動子470を収容したものである。
【0161】
係る圧電セラミック振動子470は超音波を送波する送波器としての機能と、超音波を受波する受波器の機能を兼用しており、高い周波数の電圧を印加すると圧電効果により超音波を送波し、その反射波を受波する。そして、測定対象物までの距離が変化すると、超音波を送波してから反射波を受信するまでの受信時間Tもそれに比例して変化するから、受信時間Tの変化量を計測することで、測定対象物の変位量を計測することが出来る。
【0162】
この実施形態のものは、図26、図27に示すように、上記した超音波式変位計450を、検出面480を下に向けた状態で、吊りボルト45の上方位置に取り付けている。具体的には、支持アーム41の上面にT字型をなす取り付け部44を設け、その両端部44A、44Bに超音波式変位計450を取り付けている。
【0163】
そのため、圧電セラミック振動子470を発振させて超音波を送波すると、送波された超音波は吊りボルト45の頭部46にて反射し、その後、圧電セラミック振動子470にて受波される。従って、超音波式変位計450の内部回路にて、受信時間Tの変化量を計測することで、検出面480から吊りボルト45の頭部46までの距離Dの変位量が計測できる。
【0164】
尚、超音波式変位計450には、受信時間Tの基準値として、図26に示す距離D0に対応する受信時間Tが記憶されており、距離Dの変位量は、図26に示す距離D0を基準とした変位量が計測される構成となっている。
【0165】
そして、この距離Dの変位量は、支持アーム41と上側加熱器具31の相対距離Fの変位量そのものであるから、支持アーム41を乗り上げ位置から基準位置まで下降させた段階で、超音波式変位計450により計測を行えば、支持アーム41を乗り上げ位置から基準位置まで下降させたの、相対距離Fの変位量F0−F1が得られる。
【0166】
また、上記超音波式変位計450の出力ラインは、図28に示すようにCPU200に連なっており、超音波式変位計450の出力するデータ(すなわち、相対距離Fの変位量F0−F1のデータ)は、CPU200に取り込まれる構成となっている。これにより、CPU200は、超音波式変位計450の出力するデータから調理対象となるハンバーグSの厚みを認識することが出来る。
【0167】
このように、超音波式変位計450を用いた場合も、ダイヤルゲージ式変位計400を用いた場合と同様に、支持アーム41と上側加熱器具31の相対距離Fの変位量を直接計測できる。そのため、支持アーム41を乗り上げ位置から基準位置まで下降させた段階で、相対距離Fの変位量の計測を完了できる。従って、計測完了後に、調理条件の選択など、次の段階に、ただちに移ることが可能となるので無駄な動作がなく、調理実行までの準備段階の動作を簡素化できる。
【0168】
<実施形態6>
次に、本発明の実施形態6を図29〜図31によって説明する。
実施形態4では、相対距離Fの変位量をダイヤルゲージ式変位計400により計測するものを例示した。これに対して、実施形態6のものは、相対距離Fの変位量をレーザ式変位計500により計測するものである。レーザ式変位計500は、センサヘッド510内にレーザ光源(図略)と受光素子(図略)とを収容したものである。
【0169】
係るレーザ式変位計500はいわゆる3角法の原理に基づいて、測定対象物まで距離の変位を計測するものである。計測原理について簡単に説明すると、まず、センサヘッド510のレーザ光源からレーザ光を出射する。出射されたレーザ光は測定対象物で反射した後、受光素子にて受光される。このとき、レーザ光を受光して出来る受光スポットの位置は、センサヘッド510から測定対象物までの距離に比例して変化するので、受光スポットの位置の変位量を計測することで、測定対象物の変位量を計測することが出来る。
【0170】
この実施形態のものは、図29、図30に示すように、上記したセンサヘッド510を、検出面520を下に向けた状態で、吊りボルト45の上方位置に取り付けている。具体的には、支持アーム41の上面にT字型をなす取り付け部44を設け、その両端部44A、44Bにレーザ式変位計400を取り付けている。
【0171】
そのため、レーザ光源を発振させてレーザ光を出射すると、レーザ光は吊りボルト45の頭部46にて反射し、その後、受光素子にて受光される。従って、レーザ式変位計500の内部回路にて、受光スポットの位置の変位量を計測することで、検出面480から吊りボルト45の頭部46までの距離Dの変位量が計測できる。
【0172】
尚、レーザ式変位計500には、受光スポットの位置の基準値として、図26に示す距離D0に対応する受光スポットの位置が記憶されており、距離Dの変位量は、図26に示す距離D0を基準とした変位量が計測される構成となっている。
【0173】
そして、この距離Dの変位量は、支持アーム41と上側加熱器具31の相対距離Fの変位量そのものであるから、支持アーム41を乗り上げ位置から基準位置まで下降させた段階で、レーザ式変位計500により計測を行えば、支持アーム41を乗り上げ位置から基準位置まで下降させたの、相対距離Fの変位量(F0−F1)が得られる。
【0174】
また、上記レーザ式変位計500の出力ラインは、図31に示すようにCPU200に連なっており、レーザ式変位計500の出力するデータ(すなわち、相対距離Fの変位量F0−F1のデータ)は、CPU200に取り込まれる構成となっている。これにより、CPU200は、レーザ式変位計500の出力するデータから調理対象となるハンバーグSの厚みを認識することが出来る。
【0175】
このように、レーザ式変位計500を用いた場合も、ダイヤルゲージ式変位計400を用いた場合と同様に、支持アーム41と上側加熱器具31の相対距離Fの変位量を直接計測できる。そのため、支持アーム41を乗り上げ位置から基準位置まで下降させた段階で、相対距離Fの変位量の計測を完了できる。従って、計測完了後に、調理条件の選択など、次の段階に、ただちに移ることが可能となるので無駄な動作がなく、調理実行までの準備段階の動作を簡素化できる。
【0176】
<実施形態7>
次に、本発明の実施形態7を図32〜図34によって説明する。実施形態4では、相対距離Fの変位量をダイヤルゲージ式変位計400により計測するものを例示した。これに対して、実施形態7のものは、相対距離Fの変位量をワイヤ式変位計550により計測するものである。
【0177】
ワイヤ式変位計550は、検出用ワイヤ560の引出量を、ワイヤ式変位計550の内部に設けた読み取り装置(図略)にて読み取るものである。図32、図33に示すように、ワイヤ式変位計550は支持アーム41に取り付けられている。そして、ワイヤ式変位計550から水平に引き出された検出ワイヤ560は、プーリ570によって方向転換されて、吊りボルト45の頭部46に先端を固定させている。
【0178】
そして、支持アーム41が図32に示す乗り上げ位置から図33に示す基準位置に下降して、相対距離FがFOからF1に変化すると、吊りボルト45は、相対距離Fの変位量だけ、支持アーム41の上面41Aから浮き上がるような変位を示す。このとき、吊りボルト45の変位動作によってワイヤ560が引き出され、その引き出し量が変位計550内の読み取り部にて読み取られる。よって、相対距離Fの変位量(F0−F1)を、ワイヤ式変位計550にて計測できる。
【0179】
また、上記ワイヤ式変位計550の出力ラインは、図34に示すようにCPU200に連なっており、ワイヤ式変位計550の出力するデータ(すなわち、相対距離Fの変位量F0−F1のデータ)は、CPU200に取り込まれる構成となっている。これにより、CPU200は、ワイヤ式変位計550の出力するデータから調理対象となるハンバーグSの厚みを認識することが出来る。
【0180】
このように、ワイヤ式変位計550を用いた場合も、ダイヤルゲージ式変位計400を用いた場合と同様に、支持アーム41と上側加熱器具31の相対距離Fの変位量を直接計測できる。そのため、支持アーム41を乗り上げ位置から基準位置まで下降させた段階で、相対距離Fの変位量の計測を完了できる。従って、計測完了後に、調理条件の選択など、次の段階に、ただちに移ることが可能となるので無駄な動作がなく、調理実行までの準備段階の動作を簡素化できる。
【0181】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0182】
(1)実施形態1〜7では、いずれも、調理対象物の一例としてハンバーグSを例示したが、調理対象物はハンバーグに限定されるものではなく、ステーキなど厚さが一定のものであれば適用可能である。
【0183】
(2)実施形態1〜7では、調理対象となるハンバーグSの厚みHを認識した後、CPUが調理条件を自動的に選択するものを例示したが、必ずしも、調理条件を自動選択させる必要はなく、例えば、ハンバーグSの厚みHを表示して、調理条件の選択はオペレータに任せてもよい。
【0184】
(3)実施形態1〜7では、いずれも、支持アーム41の基準位置を、図2の位置、すなわち第一調理面23上にハンバーグSが置かれていない状況であれば、上側加熱器具31の第二調理面33が下グリドル20の第一調理面23と同じ高さになって、第一調理面23上に第二調理面33がぴったり重なる位置とした。基準位置の設定は、これに限定されたものではなく、少なくとも乗り上げ位置より下の位置であればよい。
【0185】
(4)実施形態1〜7では、いずれも、昇降装置100とは別に位置決め装置120を設けたものを例示したが、昇降装置100を位置制御する制御系を構築すれば、位置決め装置120については廃止することも可能である。
【0186】
(5)実施形態1では、基準位置より上昇を始めた支持アーム41が、第一調理面23上に置かれたハンバーグSに乗り上げた上側加熱器具31を吊り上げる吊り上げ時を、第一近接センサ50によって検出する例を示したが、第一近接センサ50に替えて、マイクロスイッチを用いることが出来る。
【0187】
(6)実施形態1〜7では、両面加熱調理器10の一例として、装置の幅方向に3つの上グリドル30を横並び状に配置したものを例示したが、下グリドル20と上グリドル30が上下対を形成するものであれば適用可能であり、例えば、上グリドル30の個数を1つ、又は2つにしてもよい。
【符号の説明】
【0188】
10…両面加熱調理器
20…下グリドル
23…第一調理面
30…上グリドル
31…上側加熱器具(本発明の「上側調理部」に相当)
33…第二調理面
41…支持アーム
42…貫通孔
45…吊りボルト(本発明の「固定部」に相当)
46…頭(本発明の「ストッパ部」に相当)
50…第一近接センサ(本発明の「検出手段」の一例)
61…昇降軸
100…昇降装置(本発明の「2つの装置」に相当)
110…第一モータ
120…位置決め装置(本発明の「2つの装置」に相当)
135…位置決め部材
140…第二モータ
150…エンコーダ
200…CPU(本発明の「算出手段」、「自動選択手段」に相当する)
210…ROM
300…光電センサ(本発明の「検出手段」の一例)
350…圧力センサ(本発明の「検出手段」の一例)
400…ダイヤルゲージ式変位計(本発明の「変位計」の一例)
450…超音波式変位計(本発明の「変位計」の一例)
500…レーザ式変位計(本発明の「変位計」の一例)
550…ワイヤ式変位計(本発明の「変位計」の一例)
U…開閉装置
F…相対距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱可能な第一調理面を有する下側調理部と、
支持アームと、
前記支持アームに形成された貫通孔を上下動可能な状態で貫通し、かつ上端部に抜け止め用のストッパ部を有する固定具と、
前記支持アームに対して前記固定具によって上下動可能な状態で取り付けられると共に、加熱可能な第二調理面を有する上側調理部と、
前記支持アームを上下移動させることにより前記上側調理部の第二調理面を前記下側調理部の第一調理面に対して離間、又は接近させる開閉装置と、を備え、前記下側調理部の第一調理面上に置かれた調理対象物を前記上側調理部の第二調理面にて上から挟んで両面加熱する両面加熱調理装置であって、
前記支持アームと前記上側調理部との相対的な距離を相対距離Fと定義したときに、
前記支持アームを、前記上側調理部が前記第一調理面上に置かれた調理対象物に乗り上げる乗り上げ位置から、予め設定された基準位置まで下降させたときに、前記調理対象物の厚みに応じて変化する前記相対距離Fの変位量又は、
前記支持アームを前記基準位置から上昇させて前記調理対象物に乗り上げた前記上側調理部を吊り上げたときに、前記調理対象物の厚みに応じて変化する前記相対距離Fの変位量を計測する変位量計測手段と、を備え、
前記変位量計測手段の計測する計測値に基づいて前記調理対象物の調理前の厚みを認識することを特徴とする両面加熱調理器。
【請求項2】
前記基準位置は、前記上側調理部の第二調理面を前記下側調理部の第一調理面と同じ高さまで下降させる位置であることを特徴とする請求項1に記載の両面加熱調理器。
【請求項3】
前記変位量計測手段は、
前記基準位置より上昇を始めた前記支持アームが、前記第一調理面上に置かれた調理対象物に乗り上げた前記上側調理部を、吊り上げる吊り上げ時を検出する検出手段と、
前記基準位置より上昇を始めてから、前記第一調理面上に置かれた調理対象物に乗り上げた前記上側調理部を吊り上げるまでの前記支持アームの上昇距離を算出する算出手段を含み、前記上昇距離を算出することにより前記相対距離Fの変位量を求めることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の両面加熱調理器。
【請求項4】
前記変位量計測手段は前記相対距離Fの変位量を計測する変位計であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の両面加熱調理器。
【請求項5】
前記開閉装置は前記支持アームを独立して上下動させることが可能な2つの装置を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の両面加熱調理器。
【請求項6】
前記2つの装置のうち一つは、前記支持アームを前記基準位置に位置決めする位置決め機能と前記支持アームを前記基準位置から上昇させる機能とを有する位置決め装置であることを特徴とする請求項5に記載の両面加熱調理器。
【請求項7】
前記認識された調理対象物の調理前の厚みに応じて、調理条件を自動選択する自動選択手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の両面加熱調理器。
【請求項8】
両面加熱調理装置における調理対象物の厚み認識方法であって、
前記両面加熱調理装置は、加熱可能な第一調理面を有する下側調理部と、支持アームと、前記支持アームに形成された貫通孔を上下動可能な状態で貫通し、かつ上端部に抜け止め用のストッパ部を有する固定具と、前記支持アームに対して前記固定具によって上下動可能な状態で取り付けられると共に、加熱可能な第二調理面を有する上側調理部と、前記支持アームを上下移動させることにより前記上側調理部の第二調理面を前記下側調理部の第一調理面に対して離間、又は接近させる開閉装置と、を備えてなる構成であると共に、
前記支持アームと前記上側調理部との相対的な距離を相対距離Fと定義したときに、
前記支持アームを、前記上側調理部が前記第一調理面上に置かれた調理対象物に乗り上げる乗り上げ位置から、予め設定された基準位置まで下降させたときに、前記調理対象物の厚みに応じて変化する前記相対距離Fの変位量又は、
前記支持アームを前記基準位置から上昇させて前記調理対象物に乗り上げた前記上側調理部を吊り上げたときに、前記調理対象物の厚みに応じて変化する前記相対距離Fの変位量を計測し、
前記変位量の計測値に基づいて前記調理対象物の調理前の厚みを認識することを特徴とする調理対象物の厚み認識方法。
【請求項9】
前記基準位置は、前記上側調理部の第二調理面を前記下側調理部の第一調理面と同じ高さまで下降させる位置であることを特徴とする請求項8に記載の調理対象物の厚み認識方法。
【請求項10】
前記基準位置より上昇を始めてから、前記第一調理面上に置かれた調理対象物に乗り上げた前記上側調理部を吊り上げるまでの前記支持アームの上昇距離を算出することにより、前記相対距離Fの変位量を求めることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の調理対象物の厚み認識方法。
【請求項11】
前記支持アームを、前記上側調理部が前記第一調理面上に置かれた調理対象物に乗り上げる乗り上げ位置から、予め設定された基準位置まで下降させるときに、前記相対距離Fの変位量を変位計により計測することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の調理対象物の厚み認識方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2013−90821(P2013−90821A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234955(P2011−234955)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000130307)株式会社コメットカトウ (9)
【Fターム(参考)】