並列光伝送装置
【課題】光モジュール外部のインターフェース設計/構成を簡単にし、光モジュール外部の電気基板の製造コストを低減し、かつ光モジュールの小型化を図れる並列光伝送装置を提供する。
【解決手段】モジュール基板33の最下層パターン面において、各組の信号入出力端子p1〜p12は、モジュール基板33の外周端部に配置されている。各組の信号入出力端子p1〜p12は、モジュール基板33の最下層パターン面において、コの字に配置されている。モジュール基板33において各組の信号入出力端子より外周端部側にはグランド端子が無いので、1チャネルあたりの電気端子数が減る。また、光モジュール30が実装される電気基板において、各組の信号入出力端子から高周波の差動信号を入出力させる高周波信号線外周部に容易に引き出すことができる。
【解決手段】モジュール基板33の最下層パターン面において、各組の信号入出力端子p1〜p12は、モジュール基板33の外周端部に配置されている。各組の信号入出力端子p1〜p12は、モジュール基板33の最下層パターン面において、コの字に配置されている。モジュール基板33において各組の信号入出力端子より外周端部側にはグランド端子が無いので、1チャネルあたりの電気端子数が減る。また、光モジュール30が実装される電気基板において、各組の信号入出力端子から高周波の差動信号を入出力させる高周波信号線外周部に容易に引き出すことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光信号を並列伝送する並列光伝送装置に関し、特に高周波の差動信号を入出力させる複数組の信号入出力端子のレイアウトを改善した並列光伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スーパーコンピュータ等のハイエンドなシステム装置においては、複数のCPU(中央処理装置)の並列動作により情報通信の大容量化と高速化を実現する傾向にあり、このシステム装置内のポートおよびシステム装置間では、大容量で高速高密度な情報信号伝送が要求されている。
情報信号を電気信号で伝送する電気伝送方式だけでは、伝送速度や伝送損失等の観点から限界を迎えつつあるために、光伝送を利用した光インターコネクション方式による信号伝送が実用化されている。光インターコネクション方式は、電気伝送方式に比較してはるかに広帯域な信号伝送を行うことが可能であるとともに、小型かつ低消費電力の光モジュールを使用した信号伝送システムを構築できるという利点がある。
【0003】
この光インターコネクション方式では、複数の光素子と電子素子を有する光モジュールがプリント配線基板(PCB)に実装されており、例えばPCBから入力された電気信号が光モジュールにより光信号に変換されて、光ファイバに出力される。光素子としては、例えばVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:面発光型半導体レーザ素子)アレイが使用される(非特許文献1参照)。
【0004】
この非特許文献1には、1チャネル当たり10Gbpsで12チャネル伝送(10Gbps/1ch×12ch伝送)を行う並列光伝送モジュールが開示されている。この光モジュールの基板上には、MEG-Array(登録商標)コネクタと接続される側の面に、VCSELアレイを駆動するドライバICへ高周波の差動信号を入力する信号線で、2本の信号線を1組とする12組の高周波信号線にそれぞれ接続された12組の信号入出力端子が設けられている(図11(A),(B)参照)。図11(A)には、12組の信号入出力端子のうち、一つのチャネル(ch)の信号入出力端子s1,s2とこのchに隣接するchの信号入出力端子s3,s4のみを示している。また、2つの端子を1組とする各chの信号入出力端子、例えば信号入出力端子s1,s2は、図11(A),(B)に示すように10個のグランド端子Gで囲まれている。そして、このような配置を有する各chの信号入出力端子が、光モジュールの基板の一面上に2次元的に配置されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】C. Schuster, C. W. Baks, D. M. Kuchta, Y. H. Kwark, and L. Graham,“Electrical interconnect design and optimization for 120 Gbps parallel optical transmitter module and test station,”in Proc. 7th IEEE Workshop Signal Propagation on Interconnects, 2003, pp. 133-136.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記非特許文献1に開示された従来技術では、図11(A),(B)に示すような基本構成をそれぞれ有する各chの信号入出力端子が、チャネル数だけ光モジュールの基板の一面上に2次元的に配置されているので、光モジュールの基板に配置する電気端子数、特に各chの信号入出力端子を囲むグランド端子の数が多い。これと共に、光モジュールの基板が実装される電気基板において、各chの信号入出力端子から高周波の差動信号を入出力させる各chの高周波信号線を外周部に引き出す際に、外側にあるグランド端子が邪魔になり、電気基板において、各chの高周波信号線を容易に引き出すのが難しい。これらの問題は、チャネル数を増やしマルチチャネルにした場合に顕著になる。
【0007】
このように上記従来技術では、光モジュール外部のインターフェース設計/構成が複雑になる。例えば、光モジュールが実装される電気基板(プリント配線基板)の多層化が必要になり、製造コストが増大する。高周波信号線などの配線の細線化が必要になり、そのために高価な特定材料(プリント配線板用積層材料)を基板作製に用いる必要があり、これによっても製造コストが増大する。
【0008】
本発明は、このような従来の問題点に着目して為されたもので、光モジュール外部のインターフェース設計/構成を簡単にし、光モジュール外部の電気基板の製造コストを低減し、かつ光モジュールの小型化を図れる並列光伝送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解消するために、本発明の第1の態様は、複数の電気端子を備える電気基板と、前記電気基板上に位置決めされて固定され、複数の接続端子部を備える電気プラガブルソケットと、前記電気プラガブルソケットに収納される光モジュールと、前記光モジュールを収納した状態で前記電気プラガブルソケットの上部に固定される押さえ板と、を備え、光信号を並列伝送する並列光伝送装置であって、前記光モジュールは、複数の光素子と、前記複数の光素子と電気的に接続された電子素子と、前記複数の光素子および前記電子素子が一方の面に実装されたモジュール基板と、を備え、前記モジュール基板の他方の面には、前記電子素子へ高周波の差動信号を入力し或いは電子素子から前記差動信号を出力する信号線で、2本の信号線を1組とする複数組の高周波信号線にそれぞれ接続された2つの端子を1組とする複数組の信号入出力端子が設けられており、前記複数組の信号入出力端子は、各組の前記信号入出力端子が前記モジュール基板の外周端部に位置しかつ該外周端部に沿って並ぶように配置され、前記各組の信号入出力端子は、前記2つの端子の一方である第1の端子が前記モジュール基板の外周端部側に位置し、かつ前記2つの端子の他方である第2の端子が前記一方の端子よりも内側に位置するように配置され、前記各組の信号入出力端子の周囲には、第1の端子と第2の端子を結ぶ直線上であって、前記第2の端子よりもさらに内側に配置された1つと、前記第1の端子の両側に前記モジュール基板の外周端部に沿って並ぶように配置された2つの計3つのグランド端子のみが配置されており、前記押さえ板を前記電気プラガブルソケットに固定することにより、前記光モジュールの他方の面に備えられた前記信号入出力端子および前記グランド端子と前記電気基板に備えられた前記複数の電気端子とが、前記電気プラガブルソケットに備えられた複数の前記接続端子部を介して電気的に接続され、前記複数の接続端子部は、所定の押圧力を受けるとコイル状のバネ部が収縮して上部コンタクトピンと下部コンタクトピンとが電気的に接続されるように構成されたバネ状の端子であることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、各組の信号入出力端子をモジュール基板の外周端部に位置させかつ該外周端部に沿って並ぶように配置したので、モジュール基板において各組の信号入出力端子より外周端部側にはグランド端子が無くなる。このため、モジュール基板において1チャネルあたりの電気端子数、つまり、1チャネルの信号入出力端子(2つの信号入出力端子)に対して配置するグランド端子数が減るので、チャネル数を増やしマルチチャネルにした場合でも、光モジュールを小型化できる。これと共に、光モジュールが実装される外部の電気基板側に形成する複数組の信号入出力端子は、モジュール基板側の複数組の信号入出力端子と同様の配置になり、電気基板において各組の信号入出力端子より外周端部側にはグランド端子が無くなるので、電気基板において各組の信号入出力端子から高周波の差動信号を入出力させる高周波信号線を外周部に容易に引き出すことができる。
従って、チャネル数を増やしマルチチャネルにした場合でも、光モジュールを小型化でき、光モジュール外部のインターフェース設計/構成が簡単になると共に、光モジュール外部の電気基板の製造コストを低減することができる。
【0011】
また、前記各組の信号入出力端子は、前記2つの端子の一方が前記モジュール基板の外周端部側に位置し、かつ前記2つの端子の他方が前記一方の端子よりも内側に位置するように配置されているため、モジュール基板の外周端部に、各組の信号入出力端子の第1の端子がその外周端部に沿って並ぶ形態になるので、通常矩形の形態を有するモジュール基板の各辺の寸法を小さくすることができる。これにより、モジュール基板が小さくなり、並列光伝送装置を更に小型化することができる。
【0012】
本発明の他の態様に係る並列光伝送装置は、前記各組の信号入出力端子の周囲には、少なくとも3つのグランド端子がコの字に配置されていることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、光モジュールを、電気プラガブルソケットを介して電気基板に実装する場合には、電気プラガブルソケットに設けられ、押圧力を受けると電気的に接続状態になるばね状の端子で、光モジュール側の電気端子と電気基板側の電気端子を電気的に接続する複数の接続端子に均等な押圧力を付与することができ、信頼性の高い電気的接続を得ることができる。また、光モジュールを電気基板上に直接半田実装する場合でも、安定した半田付けが可能になり、半田付け作業でのエラーリスクが起きにくい。
【0014】
本発明の他の態様に係る並列光伝送装置は、前記各組の信号入出力端子が、モジュール基板の中心線に関して対称に配置されていることを特徴とする。
【0015】
本発明の他の態様に係る並列光伝送装置は、前記押さえた板は、前記電気プラガブルソケットにねじで固定されることを特徴とする。
【0016】
本発明の他の態様に係る並列光伝送装置は、前記電気プラガブルソケットは、前記光モジュールを収容するモジュール収容凹部を有し、前記光モジュールは前記モジュール収容凹部に収容されることを特徴とする。
【0017】
本発明の他の態様に係る並列光伝送装置は、電気基板は、単層からなることを特徴とする。
【0018】
本発明の他の態様に係る並列光伝送装置は、前記光モジュールにはテープファイバを備える光コネクタが接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、光モジュール外部のインターフェース設計/構成を簡単にし、光モジュール外部の電気基板の製造コストを低減し、かつ光モジュールの小型化を図れる並列光伝送装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る並列光伝送装置の概略構成を示す分解斜視図。
【図2】(A)はモジュール基板を示す斜視図、(B)はモジュール基板にモジュールカバーが装着された状態を示す斜視図。
【図3】ドライバICとVCSELアレイが実装されたモジュール基板を透視的に示す斜視図。
【図4】(A)はモジュール基板の最下層パターン面に形成された12組の信号入出力端子のうち、1組の信号入出力端子の配置を示す説明図、(B)は1組の信号入出力端子とグランド端子を示す模式図。
【図5】モジュール基板の最下層パターン面に形成された12組の信号入出力端子のうち、2組の信号入出力端子の配置を示す説明図。
【図6】モジュール基板の最下層パターン面に形成された端子レイアウトの全体構成を示す平面図。
【図7】電気基板の配線パターンおよび端子レイアウトを示す平面図。
【図8】一実施形態により得られる伝送特性を示すグラフ。
【図9】(A)は光モジュールにおける信号入出力端子のレイアウトの別例を示す説明図、(B)は1組の信号入出力端子とグランド端子を示す模式図。
【図10】図9に示す別例における12組の信号入出力端子のうち、2組の信号入出力端子の配置を示す説明図。
【図11】(A)は従来技術における信号入出力端子のレイアウトを示す説明図、(B)は1組の信号入出力端子とグランド端子を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明を具体化した実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、本発明の一実施形態に係る並列光伝送装置1の概略構成を図1に基づいて説明する。
【0022】
(一実施形態に係る並列光伝送装置)
並列光伝送装置1は、図1に示すように、電気基板10と、電気プラガブルソケット20と、光モジュール30と、押さえ板40と、光コネクタ50と、光学部品60とを備えている。この並列光伝送装置1は、一例として、電気信号を光信号に変換し、その光信号を複数のチャネル、例えば12チャネル(12ch)で12本の光ファイバを介して並列伝送(10Gbps/1ch×12ch伝送)する送信用の並列光伝送装置である。
【0023】
そのため、この並列光伝送装置1の光モジュール30は、図2(A),(B)および図3に示すように、複数(本例では12個)の面発光型半導体レーザ素子(VCSEL)からなるVCSELアレイ(複数の光素子)31と、VCSELアレイ31の各VCSELを駆動するドライバIC(電子素子)32と、VCSELアレイ31およびドライバIC32が一方の面(上面)に実装されたモジュール基板33と、モジュールカバー34とを備えている。モジュール基板33上には、ノイズ除去用のコンデンサ35が実装されている。
【0024】
VCSELアレイ31は、図2(A)に示すように、モジュール基板33の凹部33a内に配置されている。ドライバIC32は、モジュール基板33の一方の面上に、フリップチップボンディング(FCB:Flip Chip Bonding)により或いはワイヤボンディングにより実装されている。VCSELアレイ31とドライバIC32は、2本の信号線を1組とする複数組(本例では12組、24本)の高周波信号線(図示省略)により電気的に接続されており、各組の高周波信号線を介してドライバIC32からVCSELアレイ31の各VCSELへ差動信号が供給されるようになっている。
【0025】
電気基板10の表面および裏面には、複数の電気端子と、各電気端子と接続された配線パターン(図示省略)とが形成されている。配線パターンには、外部からドライバIC32へ差動信号を供給するための信号線で、2本の信号線を1組とする複数組(12組)の高周波信号線と、ドライバIC32を制御するための複数の制御信号線と、複数のモニタ信号線とが形成されている。また、複数の電気端子として、12組の高周波信号線にそれぞれ接続された端子で、2つの端子を1組とする12組の信号入出力端子、複数の制御信号線に接続された複数の端子、および複数のモニタ信号線に接続された複数の端子が形成されている。
【0026】
光モジュール30は、電気基板10上に位置決めされてネジで固定される電気プラガブルソケット20のモジュール収容凹部21(図1参照)内に装着される。光モジュール30をモジュール収容凹部21内に装着し、モジュールカバー34の上から押さえた板40を電気プラガブルソケット20にねじで固定すると、光モジュール30の各電気端子と電気基板10の各電気端子とが、電気プラガブルソケット20の複数の接続端子部22を介して電気的に接続されるようになっている。複数の接続端子部22は、所定の押圧力を受けるとコイル状のバネ部(図示省略)が収縮して上部コンタクトピンと下部コンタクトピンとが電気的に接続されるように構成されたバネ状の端子である。
【0027】
光コネクタ50は、図1に示すように、複数本(本例では12本)の光ファイバが一列に配置されたテープファイバ51と、複数本の光ファイバを保持したコネクタ部(フェルール)52と、VCSEL31の各VCSELからそれぞれ垂直な方向に出射される光(光信号)を90度曲げた後複数本の光ファイバの各端面に光結合させる光学部品60とを有する。コネクタ部52は、多心用のフェルール型コネクタ(MTコネクタ)である。テープファイバ51は、別の光コネクタ53に接続され、光モジュール30との間で光信号を並列に伝送する。
【0028】
(光モジュール30における信号入出力端子のレイアウト)次に、上記並列光伝送装置1の光モジュール30における、高周波の差動信号を入出力させる複数組(12組)の信号入出力端子のレイアウトについて説明する。
まず、光モジュール30のドライバIC32とこれに接続された12組の高周波信号線との接続関係を、図3に基づいて説明する。図3は、ドライバIC32とVCSELアレイ31が一方の面上に実装された光モジュール30のモジュール基板33を透視的に示している。このモジュール基板33は、アルミナ(Al2O3)等のセラミックスからなる7つの層と、各層の両面に形成された8つのパターン面とを有する多層基板で構成されている。
【0029】
図3に示すように、ドライバIC32は、VCSELアレイ31における12個のVCSELと12チャネル(12組、24本)の高周波信号線2により電気的に接続されており、各チャネル(ch)の2本の高周波信号線2、2を介してドライバIC32からVCSELアレイ31の各VCSELへ差動信号が供給されるようになっている。
【0030】
ドライバIC32は、モジュール基板33の最上層パターン面上にワイヤボンディングにより実装されている。その最上層パターン面には、複数の電気端子と、各電気端子と接続された配線パターンとが形成されている。この配線パターンには、12ch(12組、24本)の高周波信号線と、ドライバIC32を制御するための複数の制御信号線と、複数のモニタ信号線とが形成される。図3では、12chの高周波信号線のうち、ch1、ch5およびch6の各高周波信号線71,72のみを示している。ドライバIC32は、ch1、ch5およびch6の各高周波信号線71,72とワイヤボンディングにより電気的に接続されている。ドライバIC32は、他のchの各高周波信号線にもch1、ch5およびch6の各高周波信号線71,72と同様に接続されている。
【0031】
一方、モジュール基板33の他方の面(裏面)、つまり最下層パターン面には、図3および図6に示すように、12chの高周波信号線71,72にそれぞれ接続された12chの信号入出力端子p1(A,B)〜p12(A,B)が設けられている。図3には、ch1、ch5およびch6の各高周波信号線71,72に接続されたch1の信号入出力端子p1(A,B)、ch5の信号入出力端子p5(A,B)およびch6の信号入出力端子p6(A,B)のみを示している。そして、図3において、ch1、ch5およびch6の各高周波信号線71,72は、それぞれモジュール基板33内部を異なる経路を通って延び、信号入出力端子p1(A,B)、p5(A,B)および信号入出力端子p6(A,B)と電気的に接続されている。他のchの各高周波信号線71,72も、ch1、ch5およびch6の各高周波信号線71,72と同様に、それぞれモジュール基板33内部を異なる経路を通って延び、対応する信号入出力端子と電気的に接続されている。
【0032】
図4(A)は、モジュール基板33の最下層パターン面に形成された12組の信号入出力端子のうち、1組(ch5)の信号入出力端子p5(A,B)のみを示している。図5は、最下層パターン面に形成された12組の信号入出力端子のうち、2組(ch5とch6)の信号入出力端子p5(A,B),p6(A,B)のみを示している。そして、図6は、最下層パターン面に形成された端子レイアウトの全体構成を示している。
【0033】
モジュール基板33の最下層パターン面において、各組の信号入出力端子p1〜p12は、図4(A)に示すように、モジュール基板33の外周端部に配置されている。また、各組の信号入出力端子p1〜p12は、図5および図6に示すように、モジュール基板33の外周端部に沿って並ぶように配置されている。具体的には、ch1〜ch4の信号入出力端子p1(A,B)〜p4(A,B)は、図6に示すように、矩形のモジュール基板33の一辺33aの近くに(外周端部)に配置され、かつ一辺33aに沿って(外周端部に沿って)並ぶように配置されている。ch5〜ch8の信号入出力端子p5(A,B)〜p8(A,B)は、図6に示すように、矩形のモジュール基板33の一辺33bの近くに(外周端部)に配置され、かつ一辺33bに沿って(外周端部に沿って)並ぶように配置されている。また、ch9〜ch12の信号入出力端子p9(A,B)〜p12(A,B)は、図6に示すように、矩形のモジュール基板33の一辺33cの近くに(外周端部)に配置され、かつ一辺33cに沿って(外周端部に沿って)並ぶように配置されている。このように、各組の信号入出力端子p1〜p12は、モジュール基板33の最下層パターン面において、コの字に配置されている(図6参照)。
【0034】
また、各組の信号入出力端子p1(A,B)〜p12(A,B)は、図4乃至図6に示すように、2つの端子A,Bの一方(第1の端子A)がモジュール基板33の外周端部側に位置し、かつ2つの端子A,Bの他方(第2の端子B)が第1の端子Aよりも内側に位置するように配置されている。
また、図4(A),(B)、図5および図6に示すように、各組の信号入出力端子p1(A,B)〜p12(A,B)の周囲で、モジュール基板33の外周端部側を除く領域に複数のグランド端子Gがコの字状に(同軸ライクに)配置されている。つまり、各組の信号入出力端子p1(A,B)〜p12(A,B)の第1の端子Aより外周端部側にはグランド端子が無い構成になっている。
【0035】
また、各組の信号入出力端子p1(A,B)〜p12(A,B)の周囲には、図4(A),(B)に示すように、3つのグランド端子Gがコの字状に配置されている。つまり、各組の信号入出力端子(A,B)において、第1の端子Aの両側にグランド端子Gが一つずつ配置され、第2の端子Bの外側にもう一つのグランド端子Gが配置されている。
そして、図6に示すように、12chの信号入出力端子p1(A,B)〜p12(A,B)は、矩形のモジュール基板33の中心線C1に関して対称に形成されている。
さらに、モジュール基板33の最下層パターン面には、図6に示すように、上述した複数の制御信号線に接続された複数の制御用端子36、および上述した複数のモニタ信号線に接続された複数のモニタ用端子37等が形成されている。
【0036】
次に、電気基板10の一方の面、つまり、電気プラガブルソケット20が装着される側の面で、モジュール基板33の最下層パターン面と電気プラガブルソケット20を介して対向する面に形成される配線パターンと複数の端子について、図7を参照して説明する。
【0037】
電気基板10の一方の面には、図7に示すように、モジュール基板33の最下層パターン面に形成された12chの信号入出力端子p1(A,B)〜p12(A,B)とそれぞれ対向する位置に、12chの信号入出力端子p101(A,B)〜p112(A,B)が形成されている。図7では、12chの信号入出力端子p101(A,B)〜p112(A,B)のうち、ch3の信号入出力端子p103(A,B)、ch4の信号入出力端子p104(A,B)、ch11の信号入出力端子p111(A,B)およびch12の信号入出力端子p112(A,B)のみを拡大して示してある。
【0038】
12chの信号入出力端子p101(A,B)〜p112(A,B)は、モジュール基板33の最下層パターン面に形成された各chの信号入出力端子p1(A,B)〜p12(A,B)と同様に、2つの端子A,Bの一方(第1の端子A)が電気基板10の外周端部側に位置し、かつ2つの端子A,Bの他方(第2の端子B)が第1の端子Aよりも内側に位置するように配置されている。
【0039】
12chの信号入出力端子p101(A,B)〜p112(A,B)からは、12ch(12組、24本)の高周波信号線73,74が外周部側へ引き出されている。図7の領域75は、12ch(12組、24本)の高周波信号線73,74が形成されている領域を示している。
また、電気基板10の一方の面には、図7に示すように、12chの信号入出力端子p101(A,B)〜p112(A,B)および12chの高周波信号線73,74の他、複数の制御信号線およびモニタ信号線が領域76に、これらの信号線に接続された複数の端子が中央の領域77にそれぞれ形成されている。
【0040】
上記構成を有する並列光伝送装置1では、光モジュール30が実装される電気基板(PCB)10側に形成された12chの高周波信号線73,74からそれぞれ入力された高周波の差動信号(電気信号)は、信号入出力端子p101(A,B)〜p112(A,B)、電気プラガブルソケット20の複数の接続端子部22、モジュール基板33における12chの信号入出力端子p1(A,B)〜p12(A,B)および12chの高周波信号線71,72を介してドライバIC32に入力される。ドライバIC32からVCSELアレイ31の各VCSELには、各VCSELを変調するための差動信号が入力される。これにより、各VCSELは電気信号を光信号に変換し、各VCSELから出力される光(光信号)が、テープファイバ51における12本の光ファイバで並列に伝送され、さらに、光コネクタ53を介して他の光モジュールへ伝送される。
【0041】
このような構成を有する一実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
・各組の信号入出力端子p1(A,B)〜p12(A,B)をモジュール基板33の外周端部に位置させかつ外周端部に沿って並ぶように配置したので、モジュール基板33において各組の信号入出力端子より外周端部側にはグランド端子が無くなる(図6参照)。
このため、モジュール基板33において1チャネルあたりの電気端子数、つまり、1チャネルの信号入出力端子(2つの信号入出力端子)に対して配置するグランド端子Gの数が減るので、チャネル数を増やしマルチチャネルにした場合でも、光モジュール30自体を小型化できる。
【0042】
・光モジュール30が実装される外部の電気基板10側に形成する12chの信号入出力端子p101(A,B)〜p112(A,B)は、モジュール基板33側の12chの信号入出力端子p1(A,B)〜p12(A,B)と同様の配置になり、電気基板10において各組の信号入出力端子より外周端部側にはグランド端子が無くなる(図7参照)。このため、電気基板10において各組の信号入出力端子から高周波の差動信号を入出力せる高周波信号線73,74を外周部に容易に引き出すことができる。
【0043】
・チャネル数を増やしマルチチャネルにした場合でも、光モジュール自体を小型化でき、光モジュール外部のインターフェース設計/構成が簡単になると共に、光モジュール外部の電気基板10の製造コストを低減することができる。
・光モジュール外部のインターフェース設計/構成が簡単になるので、電気基板10の多層化が不要になり電気基板10の製造コストを低減できる。また、電気基板10において配線の細線化が不要になるので、一般の低コストなFR4(プリント配線板用材料)で電気基板10の作製が可能になり、電気基板10の製造コストを低減できる。
【0044】
・光モジュール外部のインターフェース設計/構成が簡単になるので、設計時間を短縮することができる。
・電気基板10の多層化が不要になるので、配線パターン幅のバラツキや、配線層の違いに起因するチャネル間の特性バラツキを低減することができる。
・電気基板10の多層化が不要になるので、特性インピーダンス(例えば100Ω)のマッチングが容易になる。
・電気基板10の多層化が不要になるので、チャネル間の伝送特性バラツキを低減することができる。
【0045】
・各組の信号入出力端子p1(A,B)〜p12(A,B)をモジュール基板33の外周端部に位置させかつ外周端部に沿って並ぶように配置したので、各chの信号入出力端子を光モジュールの基板の一面上に2次元的に配置した上記従来技術と比べて、モジュール基板33において各組の信号入出力端子の内側、つまり中央部に空きスペースができ、このスペースに他の端子等を配置することができる。これにより、光モジュール外部の電気基板10の設計自由度が増え、光モジュール外部のインターフェース設計/構成が更に簡単になる。
【0046】
・各組の信号入出力端子p1(A,B)〜p12(A,B)の周囲には、図4(A),(B)に示すように、3つのグランド端子Gがコの字状に配置されている。このように、各組の信号入出力端子p1(A,B)〜p12(A,B)の周囲で、モジュール基板33の外周端部側を除く領域に3つのグランド端子Gをコの字状に(同軸ライクに)配置した構成により、図8のグラフにおける曲線80で示すような伝送特性が得られる。図8のグラフから、−1dBで10.7GHz、−3dBで13.4GHzと十分な帯域があり、10Gbpsでの並列伝送に十分対応できることが分かる。
【0047】
・図6に示すように、12chの信号入出力端子p1(A,B)〜p12(A,B)は、矩形のモジュール基板33の中心線C1に関して対称に形成されている。この構成により、モジュール基板33の外周端部に、各組の信号入出力端子の第1の端子Aがその外周端部に沿って並ぶ形態になるので、通常矩形の形態を有するモジュール基板33の各辺の寸法を小さくすることができる。これにより、モジュール基板33が小さくなり、光モジュール自体を更に小型化することができる。
【0048】
(光モジュール30における信号入出力端子のレイアウトの別例)
図9(A),(B)、および図10は、光モジュール30における信号入出力端子のレイアウトの別例を示している。図9(A),(B)は、モジュール基板33の最下層パターン面に形成された12組の信号入出力端子のうち、1組(ch5)の信号入出力端子p5(A,B)のみを示している。また、図10は、12組の信号入出力端子のうち、ch5の信号入出力端子p5(A,B)とch6の信号入出力端子p6(A,B)のみを示している。本例では、各組の信号入出力端子p1(A,B)〜p12(A,B)の周囲には、図9(A),(B)、および図10に示すように、7つのグランド端子Gがコの字状に配置されている。
【0049】
このようにモジュール基板33の外周端部側を除く領域に7つのグランド端子Gをコの字状に(同軸ライクに)配置した構成により、上記一実施形態で得られる伝送特性(図8のグラフ参照)よりも優れた伝送特性が得られ、10Gbps以上の並列伝送に十分対応できる。
【0050】
なお、この発明は以下のように変更して具体化することもできる。
上記一実施形態では、電気信号を光信号に変換する機能を有する送信用の光モジュール30を用いているが、光信号を電気信号に変換する機能を有する受信用の光モジュールを用いた並列光伝送装置にも本発明は適用可能である。この構成では、複数の光素子として複数のフォトダイオードを有するフォトダイオードアレイを用い、電子素子としてドライバIC33に代えて、各フォトダイオードの出力電流を電圧に変換して増幅するTIA(Transimpedance Amplifier)機能を備えた増幅用ICを用いる。
【符号の説明】
【0051】
1:並列光伝送装置、2:高周波信号線、10:電気基板、30:光モジュール、31:VCSELアレイ(複数の光素子)、32:ドライバIC(電子素子)、
33:モジュール基板、71,72:高周波信号線、
p1(A,B)〜p12(A,B):信号入出力端子、
A:一方の端子(第1の端子)、B:他方の端子(第2の端子)、
G:グランド端子、C1:中心線、
p101(A,B)〜p112(A,B):電気基板側の信号入出力端子
【技術分野】
【0001】
本発明は、光信号を並列伝送する並列光伝送装置に関し、特に高周波の差動信号を入出力させる複数組の信号入出力端子のレイアウトを改善した並列光伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スーパーコンピュータ等のハイエンドなシステム装置においては、複数のCPU(中央処理装置)の並列動作により情報通信の大容量化と高速化を実現する傾向にあり、このシステム装置内のポートおよびシステム装置間では、大容量で高速高密度な情報信号伝送が要求されている。
情報信号を電気信号で伝送する電気伝送方式だけでは、伝送速度や伝送損失等の観点から限界を迎えつつあるために、光伝送を利用した光インターコネクション方式による信号伝送が実用化されている。光インターコネクション方式は、電気伝送方式に比較してはるかに広帯域な信号伝送を行うことが可能であるとともに、小型かつ低消費電力の光モジュールを使用した信号伝送システムを構築できるという利点がある。
【0003】
この光インターコネクション方式では、複数の光素子と電子素子を有する光モジュールがプリント配線基板(PCB)に実装されており、例えばPCBから入力された電気信号が光モジュールにより光信号に変換されて、光ファイバに出力される。光素子としては、例えばVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:面発光型半導体レーザ素子)アレイが使用される(非特許文献1参照)。
【0004】
この非特許文献1には、1チャネル当たり10Gbpsで12チャネル伝送(10Gbps/1ch×12ch伝送)を行う並列光伝送モジュールが開示されている。この光モジュールの基板上には、MEG-Array(登録商標)コネクタと接続される側の面に、VCSELアレイを駆動するドライバICへ高周波の差動信号を入力する信号線で、2本の信号線を1組とする12組の高周波信号線にそれぞれ接続された12組の信号入出力端子が設けられている(図11(A),(B)参照)。図11(A)には、12組の信号入出力端子のうち、一つのチャネル(ch)の信号入出力端子s1,s2とこのchに隣接するchの信号入出力端子s3,s4のみを示している。また、2つの端子を1組とする各chの信号入出力端子、例えば信号入出力端子s1,s2は、図11(A),(B)に示すように10個のグランド端子Gで囲まれている。そして、このような配置を有する各chの信号入出力端子が、光モジュールの基板の一面上に2次元的に配置されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】C. Schuster, C. W. Baks, D. M. Kuchta, Y. H. Kwark, and L. Graham,“Electrical interconnect design and optimization for 120 Gbps parallel optical transmitter module and test station,”in Proc. 7th IEEE Workshop Signal Propagation on Interconnects, 2003, pp. 133-136.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記非特許文献1に開示された従来技術では、図11(A),(B)に示すような基本構成をそれぞれ有する各chの信号入出力端子が、チャネル数だけ光モジュールの基板の一面上に2次元的に配置されているので、光モジュールの基板に配置する電気端子数、特に各chの信号入出力端子を囲むグランド端子の数が多い。これと共に、光モジュールの基板が実装される電気基板において、各chの信号入出力端子から高周波の差動信号を入出力させる各chの高周波信号線を外周部に引き出す際に、外側にあるグランド端子が邪魔になり、電気基板において、各chの高周波信号線を容易に引き出すのが難しい。これらの問題は、チャネル数を増やしマルチチャネルにした場合に顕著になる。
【0007】
このように上記従来技術では、光モジュール外部のインターフェース設計/構成が複雑になる。例えば、光モジュールが実装される電気基板(プリント配線基板)の多層化が必要になり、製造コストが増大する。高周波信号線などの配線の細線化が必要になり、そのために高価な特定材料(プリント配線板用積層材料)を基板作製に用いる必要があり、これによっても製造コストが増大する。
【0008】
本発明は、このような従来の問題点に着目して為されたもので、光モジュール外部のインターフェース設計/構成を簡単にし、光モジュール外部の電気基板の製造コストを低減し、かつ光モジュールの小型化を図れる並列光伝送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解消するために、本発明の第1の態様は、複数の電気端子を備える電気基板と、前記電気基板上に位置決めされて固定され、複数の接続端子部を備える電気プラガブルソケットと、前記電気プラガブルソケットに収納される光モジュールと、前記光モジュールを収納した状態で前記電気プラガブルソケットの上部に固定される押さえ板と、を備え、光信号を並列伝送する並列光伝送装置であって、前記光モジュールは、複数の光素子と、前記複数の光素子と電気的に接続された電子素子と、前記複数の光素子および前記電子素子が一方の面に実装されたモジュール基板と、を備え、前記モジュール基板の他方の面には、前記電子素子へ高周波の差動信号を入力し或いは電子素子から前記差動信号を出力する信号線で、2本の信号線を1組とする複数組の高周波信号線にそれぞれ接続された2つの端子を1組とする複数組の信号入出力端子が設けられており、前記複数組の信号入出力端子は、各組の前記信号入出力端子が前記モジュール基板の外周端部に位置しかつ該外周端部に沿って並ぶように配置され、前記各組の信号入出力端子は、前記2つの端子の一方である第1の端子が前記モジュール基板の外周端部側に位置し、かつ前記2つの端子の他方である第2の端子が前記一方の端子よりも内側に位置するように配置され、前記各組の信号入出力端子の周囲には、第1の端子と第2の端子を結ぶ直線上であって、前記第2の端子よりもさらに内側に配置された1つと、前記第1の端子の両側に前記モジュール基板の外周端部に沿って並ぶように配置された2つの計3つのグランド端子のみが配置されており、前記押さえ板を前記電気プラガブルソケットに固定することにより、前記光モジュールの他方の面に備えられた前記信号入出力端子および前記グランド端子と前記電気基板に備えられた前記複数の電気端子とが、前記電気プラガブルソケットに備えられた複数の前記接続端子部を介して電気的に接続され、前記複数の接続端子部は、所定の押圧力を受けるとコイル状のバネ部が収縮して上部コンタクトピンと下部コンタクトピンとが電気的に接続されるように構成されたバネ状の端子であることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、各組の信号入出力端子をモジュール基板の外周端部に位置させかつ該外周端部に沿って並ぶように配置したので、モジュール基板において各組の信号入出力端子より外周端部側にはグランド端子が無くなる。このため、モジュール基板において1チャネルあたりの電気端子数、つまり、1チャネルの信号入出力端子(2つの信号入出力端子)に対して配置するグランド端子数が減るので、チャネル数を増やしマルチチャネルにした場合でも、光モジュールを小型化できる。これと共に、光モジュールが実装される外部の電気基板側に形成する複数組の信号入出力端子は、モジュール基板側の複数組の信号入出力端子と同様の配置になり、電気基板において各組の信号入出力端子より外周端部側にはグランド端子が無くなるので、電気基板において各組の信号入出力端子から高周波の差動信号を入出力させる高周波信号線を外周部に容易に引き出すことができる。
従って、チャネル数を増やしマルチチャネルにした場合でも、光モジュールを小型化でき、光モジュール外部のインターフェース設計/構成が簡単になると共に、光モジュール外部の電気基板の製造コストを低減することができる。
【0011】
また、前記各組の信号入出力端子は、前記2つの端子の一方が前記モジュール基板の外周端部側に位置し、かつ前記2つの端子の他方が前記一方の端子よりも内側に位置するように配置されているため、モジュール基板の外周端部に、各組の信号入出力端子の第1の端子がその外周端部に沿って並ぶ形態になるので、通常矩形の形態を有するモジュール基板の各辺の寸法を小さくすることができる。これにより、モジュール基板が小さくなり、並列光伝送装置を更に小型化することができる。
【0012】
本発明の他の態様に係る並列光伝送装置は、前記各組の信号入出力端子の周囲には、少なくとも3つのグランド端子がコの字に配置されていることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、光モジュールを、電気プラガブルソケットを介して電気基板に実装する場合には、電気プラガブルソケットに設けられ、押圧力を受けると電気的に接続状態になるばね状の端子で、光モジュール側の電気端子と電気基板側の電気端子を電気的に接続する複数の接続端子に均等な押圧力を付与することができ、信頼性の高い電気的接続を得ることができる。また、光モジュールを電気基板上に直接半田実装する場合でも、安定した半田付けが可能になり、半田付け作業でのエラーリスクが起きにくい。
【0014】
本発明の他の態様に係る並列光伝送装置は、前記各組の信号入出力端子が、モジュール基板の中心線に関して対称に配置されていることを特徴とする。
【0015】
本発明の他の態様に係る並列光伝送装置は、前記押さえた板は、前記電気プラガブルソケットにねじで固定されることを特徴とする。
【0016】
本発明の他の態様に係る並列光伝送装置は、前記電気プラガブルソケットは、前記光モジュールを収容するモジュール収容凹部を有し、前記光モジュールは前記モジュール収容凹部に収容されることを特徴とする。
【0017】
本発明の他の態様に係る並列光伝送装置は、電気基板は、単層からなることを特徴とする。
【0018】
本発明の他の態様に係る並列光伝送装置は、前記光モジュールにはテープファイバを備える光コネクタが接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、光モジュール外部のインターフェース設計/構成を簡単にし、光モジュール外部の電気基板の製造コストを低減し、かつ光モジュールの小型化を図れる並列光伝送装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る並列光伝送装置の概略構成を示す分解斜視図。
【図2】(A)はモジュール基板を示す斜視図、(B)はモジュール基板にモジュールカバーが装着された状態を示す斜視図。
【図3】ドライバICとVCSELアレイが実装されたモジュール基板を透視的に示す斜視図。
【図4】(A)はモジュール基板の最下層パターン面に形成された12組の信号入出力端子のうち、1組の信号入出力端子の配置を示す説明図、(B)は1組の信号入出力端子とグランド端子を示す模式図。
【図5】モジュール基板の最下層パターン面に形成された12組の信号入出力端子のうち、2組の信号入出力端子の配置を示す説明図。
【図6】モジュール基板の最下層パターン面に形成された端子レイアウトの全体構成を示す平面図。
【図7】電気基板の配線パターンおよび端子レイアウトを示す平面図。
【図8】一実施形態により得られる伝送特性を示すグラフ。
【図9】(A)は光モジュールにおける信号入出力端子のレイアウトの別例を示す説明図、(B)は1組の信号入出力端子とグランド端子を示す模式図。
【図10】図9に示す別例における12組の信号入出力端子のうち、2組の信号入出力端子の配置を示す説明図。
【図11】(A)は従来技術における信号入出力端子のレイアウトを示す説明図、(B)は1組の信号入出力端子とグランド端子を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明を具体化した実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、本発明の一実施形態に係る並列光伝送装置1の概略構成を図1に基づいて説明する。
【0022】
(一実施形態に係る並列光伝送装置)
並列光伝送装置1は、図1に示すように、電気基板10と、電気プラガブルソケット20と、光モジュール30と、押さえ板40と、光コネクタ50と、光学部品60とを備えている。この並列光伝送装置1は、一例として、電気信号を光信号に変換し、その光信号を複数のチャネル、例えば12チャネル(12ch)で12本の光ファイバを介して並列伝送(10Gbps/1ch×12ch伝送)する送信用の並列光伝送装置である。
【0023】
そのため、この並列光伝送装置1の光モジュール30は、図2(A),(B)および図3に示すように、複数(本例では12個)の面発光型半導体レーザ素子(VCSEL)からなるVCSELアレイ(複数の光素子)31と、VCSELアレイ31の各VCSELを駆動するドライバIC(電子素子)32と、VCSELアレイ31およびドライバIC32が一方の面(上面)に実装されたモジュール基板33と、モジュールカバー34とを備えている。モジュール基板33上には、ノイズ除去用のコンデンサ35が実装されている。
【0024】
VCSELアレイ31は、図2(A)に示すように、モジュール基板33の凹部33a内に配置されている。ドライバIC32は、モジュール基板33の一方の面上に、フリップチップボンディング(FCB:Flip Chip Bonding)により或いはワイヤボンディングにより実装されている。VCSELアレイ31とドライバIC32は、2本の信号線を1組とする複数組(本例では12組、24本)の高周波信号線(図示省略)により電気的に接続されており、各組の高周波信号線を介してドライバIC32からVCSELアレイ31の各VCSELへ差動信号が供給されるようになっている。
【0025】
電気基板10の表面および裏面には、複数の電気端子と、各電気端子と接続された配線パターン(図示省略)とが形成されている。配線パターンには、外部からドライバIC32へ差動信号を供給するための信号線で、2本の信号線を1組とする複数組(12組)の高周波信号線と、ドライバIC32を制御するための複数の制御信号線と、複数のモニタ信号線とが形成されている。また、複数の電気端子として、12組の高周波信号線にそれぞれ接続された端子で、2つの端子を1組とする12組の信号入出力端子、複数の制御信号線に接続された複数の端子、および複数のモニタ信号線に接続された複数の端子が形成されている。
【0026】
光モジュール30は、電気基板10上に位置決めされてネジで固定される電気プラガブルソケット20のモジュール収容凹部21(図1参照)内に装着される。光モジュール30をモジュール収容凹部21内に装着し、モジュールカバー34の上から押さえた板40を電気プラガブルソケット20にねじで固定すると、光モジュール30の各電気端子と電気基板10の各電気端子とが、電気プラガブルソケット20の複数の接続端子部22を介して電気的に接続されるようになっている。複数の接続端子部22は、所定の押圧力を受けるとコイル状のバネ部(図示省略)が収縮して上部コンタクトピンと下部コンタクトピンとが電気的に接続されるように構成されたバネ状の端子である。
【0027】
光コネクタ50は、図1に示すように、複数本(本例では12本)の光ファイバが一列に配置されたテープファイバ51と、複数本の光ファイバを保持したコネクタ部(フェルール)52と、VCSEL31の各VCSELからそれぞれ垂直な方向に出射される光(光信号)を90度曲げた後複数本の光ファイバの各端面に光結合させる光学部品60とを有する。コネクタ部52は、多心用のフェルール型コネクタ(MTコネクタ)である。テープファイバ51は、別の光コネクタ53に接続され、光モジュール30との間で光信号を並列に伝送する。
【0028】
(光モジュール30における信号入出力端子のレイアウト)次に、上記並列光伝送装置1の光モジュール30における、高周波の差動信号を入出力させる複数組(12組)の信号入出力端子のレイアウトについて説明する。
まず、光モジュール30のドライバIC32とこれに接続された12組の高周波信号線との接続関係を、図3に基づいて説明する。図3は、ドライバIC32とVCSELアレイ31が一方の面上に実装された光モジュール30のモジュール基板33を透視的に示している。このモジュール基板33は、アルミナ(Al2O3)等のセラミックスからなる7つの層と、各層の両面に形成された8つのパターン面とを有する多層基板で構成されている。
【0029】
図3に示すように、ドライバIC32は、VCSELアレイ31における12個のVCSELと12チャネル(12組、24本)の高周波信号線2により電気的に接続されており、各チャネル(ch)の2本の高周波信号線2、2を介してドライバIC32からVCSELアレイ31の各VCSELへ差動信号が供給されるようになっている。
【0030】
ドライバIC32は、モジュール基板33の最上層パターン面上にワイヤボンディングにより実装されている。その最上層パターン面には、複数の電気端子と、各電気端子と接続された配線パターンとが形成されている。この配線パターンには、12ch(12組、24本)の高周波信号線と、ドライバIC32を制御するための複数の制御信号線と、複数のモニタ信号線とが形成される。図3では、12chの高周波信号線のうち、ch1、ch5およびch6の各高周波信号線71,72のみを示している。ドライバIC32は、ch1、ch5およびch6の各高周波信号線71,72とワイヤボンディングにより電気的に接続されている。ドライバIC32は、他のchの各高周波信号線にもch1、ch5およびch6の各高周波信号線71,72と同様に接続されている。
【0031】
一方、モジュール基板33の他方の面(裏面)、つまり最下層パターン面には、図3および図6に示すように、12chの高周波信号線71,72にそれぞれ接続された12chの信号入出力端子p1(A,B)〜p12(A,B)が設けられている。図3には、ch1、ch5およびch6の各高周波信号線71,72に接続されたch1の信号入出力端子p1(A,B)、ch5の信号入出力端子p5(A,B)およびch6の信号入出力端子p6(A,B)のみを示している。そして、図3において、ch1、ch5およびch6の各高周波信号線71,72は、それぞれモジュール基板33内部を異なる経路を通って延び、信号入出力端子p1(A,B)、p5(A,B)および信号入出力端子p6(A,B)と電気的に接続されている。他のchの各高周波信号線71,72も、ch1、ch5およびch6の各高周波信号線71,72と同様に、それぞれモジュール基板33内部を異なる経路を通って延び、対応する信号入出力端子と電気的に接続されている。
【0032】
図4(A)は、モジュール基板33の最下層パターン面に形成された12組の信号入出力端子のうち、1組(ch5)の信号入出力端子p5(A,B)のみを示している。図5は、最下層パターン面に形成された12組の信号入出力端子のうち、2組(ch5とch6)の信号入出力端子p5(A,B),p6(A,B)のみを示している。そして、図6は、最下層パターン面に形成された端子レイアウトの全体構成を示している。
【0033】
モジュール基板33の最下層パターン面において、各組の信号入出力端子p1〜p12は、図4(A)に示すように、モジュール基板33の外周端部に配置されている。また、各組の信号入出力端子p1〜p12は、図5および図6に示すように、モジュール基板33の外周端部に沿って並ぶように配置されている。具体的には、ch1〜ch4の信号入出力端子p1(A,B)〜p4(A,B)は、図6に示すように、矩形のモジュール基板33の一辺33aの近くに(外周端部)に配置され、かつ一辺33aに沿って(外周端部に沿って)並ぶように配置されている。ch5〜ch8の信号入出力端子p5(A,B)〜p8(A,B)は、図6に示すように、矩形のモジュール基板33の一辺33bの近くに(外周端部)に配置され、かつ一辺33bに沿って(外周端部に沿って)並ぶように配置されている。また、ch9〜ch12の信号入出力端子p9(A,B)〜p12(A,B)は、図6に示すように、矩形のモジュール基板33の一辺33cの近くに(外周端部)に配置され、かつ一辺33cに沿って(外周端部に沿って)並ぶように配置されている。このように、各組の信号入出力端子p1〜p12は、モジュール基板33の最下層パターン面において、コの字に配置されている(図6参照)。
【0034】
また、各組の信号入出力端子p1(A,B)〜p12(A,B)は、図4乃至図6に示すように、2つの端子A,Bの一方(第1の端子A)がモジュール基板33の外周端部側に位置し、かつ2つの端子A,Bの他方(第2の端子B)が第1の端子Aよりも内側に位置するように配置されている。
また、図4(A),(B)、図5および図6に示すように、各組の信号入出力端子p1(A,B)〜p12(A,B)の周囲で、モジュール基板33の外周端部側を除く領域に複数のグランド端子Gがコの字状に(同軸ライクに)配置されている。つまり、各組の信号入出力端子p1(A,B)〜p12(A,B)の第1の端子Aより外周端部側にはグランド端子が無い構成になっている。
【0035】
また、各組の信号入出力端子p1(A,B)〜p12(A,B)の周囲には、図4(A),(B)に示すように、3つのグランド端子Gがコの字状に配置されている。つまり、各組の信号入出力端子(A,B)において、第1の端子Aの両側にグランド端子Gが一つずつ配置され、第2の端子Bの外側にもう一つのグランド端子Gが配置されている。
そして、図6に示すように、12chの信号入出力端子p1(A,B)〜p12(A,B)は、矩形のモジュール基板33の中心線C1に関して対称に形成されている。
さらに、モジュール基板33の最下層パターン面には、図6に示すように、上述した複数の制御信号線に接続された複数の制御用端子36、および上述した複数のモニタ信号線に接続された複数のモニタ用端子37等が形成されている。
【0036】
次に、電気基板10の一方の面、つまり、電気プラガブルソケット20が装着される側の面で、モジュール基板33の最下層パターン面と電気プラガブルソケット20を介して対向する面に形成される配線パターンと複数の端子について、図7を参照して説明する。
【0037】
電気基板10の一方の面には、図7に示すように、モジュール基板33の最下層パターン面に形成された12chの信号入出力端子p1(A,B)〜p12(A,B)とそれぞれ対向する位置に、12chの信号入出力端子p101(A,B)〜p112(A,B)が形成されている。図7では、12chの信号入出力端子p101(A,B)〜p112(A,B)のうち、ch3の信号入出力端子p103(A,B)、ch4の信号入出力端子p104(A,B)、ch11の信号入出力端子p111(A,B)およびch12の信号入出力端子p112(A,B)のみを拡大して示してある。
【0038】
12chの信号入出力端子p101(A,B)〜p112(A,B)は、モジュール基板33の最下層パターン面に形成された各chの信号入出力端子p1(A,B)〜p12(A,B)と同様に、2つの端子A,Bの一方(第1の端子A)が電気基板10の外周端部側に位置し、かつ2つの端子A,Bの他方(第2の端子B)が第1の端子Aよりも内側に位置するように配置されている。
【0039】
12chの信号入出力端子p101(A,B)〜p112(A,B)からは、12ch(12組、24本)の高周波信号線73,74が外周部側へ引き出されている。図7の領域75は、12ch(12組、24本)の高周波信号線73,74が形成されている領域を示している。
また、電気基板10の一方の面には、図7に示すように、12chの信号入出力端子p101(A,B)〜p112(A,B)および12chの高周波信号線73,74の他、複数の制御信号線およびモニタ信号線が領域76に、これらの信号線に接続された複数の端子が中央の領域77にそれぞれ形成されている。
【0040】
上記構成を有する並列光伝送装置1では、光モジュール30が実装される電気基板(PCB)10側に形成された12chの高周波信号線73,74からそれぞれ入力された高周波の差動信号(電気信号)は、信号入出力端子p101(A,B)〜p112(A,B)、電気プラガブルソケット20の複数の接続端子部22、モジュール基板33における12chの信号入出力端子p1(A,B)〜p12(A,B)および12chの高周波信号線71,72を介してドライバIC32に入力される。ドライバIC32からVCSELアレイ31の各VCSELには、各VCSELを変調するための差動信号が入力される。これにより、各VCSELは電気信号を光信号に変換し、各VCSELから出力される光(光信号)が、テープファイバ51における12本の光ファイバで並列に伝送され、さらに、光コネクタ53を介して他の光モジュールへ伝送される。
【0041】
このような構成を有する一実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
・各組の信号入出力端子p1(A,B)〜p12(A,B)をモジュール基板33の外周端部に位置させかつ外周端部に沿って並ぶように配置したので、モジュール基板33において各組の信号入出力端子より外周端部側にはグランド端子が無くなる(図6参照)。
このため、モジュール基板33において1チャネルあたりの電気端子数、つまり、1チャネルの信号入出力端子(2つの信号入出力端子)に対して配置するグランド端子Gの数が減るので、チャネル数を増やしマルチチャネルにした場合でも、光モジュール30自体を小型化できる。
【0042】
・光モジュール30が実装される外部の電気基板10側に形成する12chの信号入出力端子p101(A,B)〜p112(A,B)は、モジュール基板33側の12chの信号入出力端子p1(A,B)〜p12(A,B)と同様の配置になり、電気基板10において各組の信号入出力端子より外周端部側にはグランド端子が無くなる(図7参照)。このため、電気基板10において各組の信号入出力端子から高周波の差動信号を入出力せる高周波信号線73,74を外周部に容易に引き出すことができる。
【0043】
・チャネル数を増やしマルチチャネルにした場合でも、光モジュール自体を小型化でき、光モジュール外部のインターフェース設計/構成が簡単になると共に、光モジュール外部の電気基板10の製造コストを低減することができる。
・光モジュール外部のインターフェース設計/構成が簡単になるので、電気基板10の多層化が不要になり電気基板10の製造コストを低減できる。また、電気基板10において配線の細線化が不要になるので、一般の低コストなFR4(プリント配線板用材料)で電気基板10の作製が可能になり、電気基板10の製造コストを低減できる。
【0044】
・光モジュール外部のインターフェース設計/構成が簡単になるので、設計時間を短縮することができる。
・電気基板10の多層化が不要になるので、配線パターン幅のバラツキや、配線層の違いに起因するチャネル間の特性バラツキを低減することができる。
・電気基板10の多層化が不要になるので、特性インピーダンス(例えば100Ω)のマッチングが容易になる。
・電気基板10の多層化が不要になるので、チャネル間の伝送特性バラツキを低減することができる。
【0045】
・各組の信号入出力端子p1(A,B)〜p12(A,B)をモジュール基板33の外周端部に位置させかつ外周端部に沿って並ぶように配置したので、各chの信号入出力端子を光モジュールの基板の一面上に2次元的に配置した上記従来技術と比べて、モジュール基板33において各組の信号入出力端子の内側、つまり中央部に空きスペースができ、このスペースに他の端子等を配置することができる。これにより、光モジュール外部の電気基板10の設計自由度が増え、光モジュール外部のインターフェース設計/構成が更に簡単になる。
【0046】
・各組の信号入出力端子p1(A,B)〜p12(A,B)の周囲には、図4(A),(B)に示すように、3つのグランド端子Gがコの字状に配置されている。このように、各組の信号入出力端子p1(A,B)〜p12(A,B)の周囲で、モジュール基板33の外周端部側を除く領域に3つのグランド端子Gをコの字状に(同軸ライクに)配置した構成により、図8のグラフにおける曲線80で示すような伝送特性が得られる。図8のグラフから、−1dBで10.7GHz、−3dBで13.4GHzと十分な帯域があり、10Gbpsでの並列伝送に十分対応できることが分かる。
【0047】
・図6に示すように、12chの信号入出力端子p1(A,B)〜p12(A,B)は、矩形のモジュール基板33の中心線C1に関して対称に形成されている。この構成により、モジュール基板33の外周端部に、各組の信号入出力端子の第1の端子Aがその外周端部に沿って並ぶ形態になるので、通常矩形の形態を有するモジュール基板33の各辺の寸法を小さくすることができる。これにより、モジュール基板33が小さくなり、光モジュール自体を更に小型化することができる。
【0048】
(光モジュール30における信号入出力端子のレイアウトの別例)
図9(A),(B)、および図10は、光モジュール30における信号入出力端子のレイアウトの別例を示している。図9(A),(B)は、モジュール基板33の最下層パターン面に形成された12組の信号入出力端子のうち、1組(ch5)の信号入出力端子p5(A,B)のみを示している。また、図10は、12組の信号入出力端子のうち、ch5の信号入出力端子p5(A,B)とch6の信号入出力端子p6(A,B)のみを示している。本例では、各組の信号入出力端子p1(A,B)〜p12(A,B)の周囲には、図9(A),(B)、および図10に示すように、7つのグランド端子Gがコの字状に配置されている。
【0049】
このようにモジュール基板33の外周端部側を除く領域に7つのグランド端子Gをコの字状に(同軸ライクに)配置した構成により、上記一実施形態で得られる伝送特性(図8のグラフ参照)よりも優れた伝送特性が得られ、10Gbps以上の並列伝送に十分対応できる。
【0050】
なお、この発明は以下のように変更して具体化することもできる。
上記一実施形態では、電気信号を光信号に変換する機能を有する送信用の光モジュール30を用いているが、光信号を電気信号に変換する機能を有する受信用の光モジュールを用いた並列光伝送装置にも本発明は適用可能である。この構成では、複数の光素子として複数のフォトダイオードを有するフォトダイオードアレイを用い、電子素子としてドライバIC33に代えて、各フォトダイオードの出力電流を電圧に変換して増幅するTIA(Transimpedance Amplifier)機能を備えた増幅用ICを用いる。
【符号の説明】
【0051】
1:並列光伝送装置、2:高周波信号線、10:電気基板、30:光モジュール、31:VCSELアレイ(複数の光素子)、32:ドライバIC(電子素子)、
33:モジュール基板、71,72:高周波信号線、
p1(A,B)〜p12(A,B):信号入出力端子、
A:一方の端子(第1の端子)、B:他方の端子(第2の端子)、
G:グランド端子、C1:中心線、
p101(A,B)〜p112(A,B):電気基板側の信号入出力端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電気端子を備える電気基板と、前記電気基板上に位置決めされて固定され、複数の接続端子部を備える電気プラガブルソケットと、前記電気プラガブルソケットに収納される光モジュールと、前記光モジュールを収納した状態で前記電気プラガブルソケットの上部に固定される押さえ板と、を備え、光信号を並列伝送する並列光伝送装置であって、
前記光モジュールは、複数の光素子と、前記複数の光素子と電気的に接続された電子素子と、前記複数の光素子および前記電子素子が一方の面に実装されたモジュール基板と、を備え、
前記モジュール基板の他方の面には、前記電子素子へ高周波の差動信号を入力し或いは電子素子から前記差動信号を出力する信号線で、2本の信号線を1組とする複数組の高周波信号線にそれぞれ接続された2つの端子を1組とする複数組の信号入出力端子が設けられており、
前記複数組の信号入出力端子は、各組の前記信号入出力端子が前記モジュール基板の外周端部に位置しかつ該外周端部に沿って並ぶように配置され、
前記各組の信号入出力端子は、前記2つの端子の一方である第1の端子が前記モジュール基板の外周端部側に位置し、かつ前記2つの端子の他方である第2の端子が前記一方の端子よりも内側に位置するように配置され、
前記各組の信号入出力端子の周囲には、第1の端子と第2の端子を結ぶ直線上であって、前記第2の端子よりもさらに内側に配置された1つと、前記第1の端子の両側に前記モジュール基板の外周端部に沿って並ぶように配置された2つの計3つのグランド端子のみが配置されており、
前記押さえ板を前記電気プラガブルソケットに固定することにより、前記光モジュールの他方の面に備えられた前記信号入出力端子および前記グランド端子と前記電気基板に備えられた前記複数の電気端子とが、前記電気プラガブルソケットに備えられた複数の前記接続端子部を介して電気的に接続され、
前記複数の接続端子部は、所定の押圧力を受けるとコイル状のバネ部が収縮して上部コンタクトピンと下部コンタクトピンとが電気的に接続されるように構成されたバネ状の端子であることを特徴とする並列光伝送装置。
【請求項2】
前記各組の信号入出力端子は、モジュール基板の中心線に関して対称に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の並列光伝送装置。
【請求項3】
前記押さえた板は、前記電気プラガブルソケットにねじで固定されることを特徴とする請求項1または2に記載の並列光伝送装置。
【請求項4】
前記電気プラガブルソケットは、前記光モジュールを収容するモジュール収容凹部を有し、前記光モジュールは前記モジュール収容凹部に収容されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の並列光伝送装置。
【請求項5】
電気基板は、単層からなることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の並列光伝送装置。
【請求項6】
前記光モジュールにはテープファイバを備える光コネクタが接続されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の並列光伝送装置。
【請求項1】
複数の電気端子を備える電気基板と、前記電気基板上に位置決めされて固定され、複数の接続端子部を備える電気プラガブルソケットと、前記電気プラガブルソケットに収納される光モジュールと、前記光モジュールを収納した状態で前記電気プラガブルソケットの上部に固定される押さえ板と、を備え、光信号を並列伝送する並列光伝送装置であって、
前記光モジュールは、複数の光素子と、前記複数の光素子と電気的に接続された電子素子と、前記複数の光素子および前記電子素子が一方の面に実装されたモジュール基板と、を備え、
前記モジュール基板の他方の面には、前記電子素子へ高周波の差動信号を入力し或いは電子素子から前記差動信号を出力する信号線で、2本の信号線を1組とする複数組の高周波信号線にそれぞれ接続された2つの端子を1組とする複数組の信号入出力端子が設けられており、
前記複数組の信号入出力端子は、各組の前記信号入出力端子が前記モジュール基板の外周端部に位置しかつ該外周端部に沿って並ぶように配置され、
前記各組の信号入出力端子は、前記2つの端子の一方である第1の端子が前記モジュール基板の外周端部側に位置し、かつ前記2つの端子の他方である第2の端子が前記一方の端子よりも内側に位置するように配置され、
前記各組の信号入出力端子の周囲には、第1の端子と第2の端子を結ぶ直線上であって、前記第2の端子よりもさらに内側に配置された1つと、前記第1の端子の両側に前記モジュール基板の外周端部に沿って並ぶように配置された2つの計3つのグランド端子のみが配置されており、
前記押さえ板を前記電気プラガブルソケットに固定することにより、前記光モジュールの他方の面に備えられた前記信号入出力端子および前記グランド端子と前記電気基板に備えられた前記複数の電気端子とが、前記電気プラガブルソケットに備えられた複数の前記接続端子部を介して電気的に接続され、
前記複数の接続端子部は、所定の押圧力を受けるとコイル状のバネ部が収縮して上部コンタクトピンと下部コンタクトピンとが電気的に接続されるように構成されたバネ状の端子であることを特徴とする並列光伝送装置。
【請求項2】
前記各組の信号入出力端子は、モジュール基板の中心線に関して対称に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の並列光伝送装置。
【請求項3】
前記押さえた板は、前記電気プラガブルソケットにねじで固定されることを特徴とする請求項1または2に記載の並列光伝送装置。
【請求項4】
前記電気プラガブルソケットは、前記光モジュールを収容するモジュール収容凹部を有し、前記光モジュールは前記モジュール収容凹部に収容されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の並列光伝送装置。
【請求項5】
電気基板は、単層からなることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の並列光伝送装置。
【請求項6】
前記光モジュールにはテープファイバを備える光コネクタが接続されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の並列光伝送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−51448(P2013−51448A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−270205(P2012−270205)
【出願日】平成24年12月11日(2012.12.11)
【分割の表示】特願2009−20706(P2009−20706)の分割
【原出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年12月11日(2012.12.11)
【分割の表示】特願2009−20706(P2009−20706)の分割
【原出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】
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