説明

並列橋及びその設計方法

【課題】並列橋の配置によって橋梁の耐風安定性を確保することのできる並列橋を提供することを目的とする。
【解決手段】風向きの上流側に配置された上流側橋梁と、該上流側橋梁の下流側に並列に配置された下流側橋梁とを備えた並列橋であって、前記上流側橋梁の橋軸方向に略直交する上部構造の横断面の外形状を包絡する包絡四角形の幅をB、高さをDとし、前記上流側橋梁の上部構造の幅方向における中心と前記下流側橋梁の上部構造の幅方向における中心との距離である中心間隔をWとした場合に、W/Bが1以上1.5以下とされ、かつ、B/Dが2以上とされている並列橋であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、並列して配置された2本の橋梁を有する並列橋及びその設計方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、橋梁の低コスト化に対する社会的ニーズの高さから、まず幅員の狭い橋梁を建設し、交通量が増加した際には並列して新たな橋梁を建設するケースが増加している。しかし、並列橋では、風向きの上流側に配置された上流側橋梁からの剥離流によって、該上流側橋梁の下流側に並列に配置された下流側橋梁に風と直角方向に振動する風速限定的なたわみ振動、発散的なたわみ振動等が発生することが知られている。
【0003】
この並列橋特有の振動の対策として、並列橋梁間に防振板を設けて並列橋梁を一体構造物とすることにより防振を図る方法(例えば特許文献1参照)、上流側橋梁の高欄をポストタイプとすることにより下流側橋梁への空力振動の振幅を低減させる方法(例えば特許文献2参照)、橋梁の断面形状の変更、チューンドマスダンパーの設置、耐風付加部材の設置等が講じられる。
【特許文献1】特公昭60−47405号公報
【特許文献2】特開2001−172912号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、昨今の橋梁は長支間化、狭幅員化される傾向があり、前記対策だけでは、並列橋の制振対策として橋梁の耐風性を確保することが困難な場合がある。
また、昨今の公共事業費の縮小傾向から、橋梁建設に係るコストの縮減は必須課題であり、既設の橋梁に対して新たに制振対策を講じるだけの予算確保が困難な傾向にある。
上記の理由から、既設の橋梁に対して新たに制振対策を講じる必要がないよう、当初の設計段階から耐風安定性を確保した並列橋の計画が必要となる。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、並列橋の配置や上部構造の横断面形状によって橋梁の耐風安定性を確保することのできる並列橋及びその設計方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる並列橋は、風向きの上流側に配置された上流側橋梁と、該上流側橋梁の下流側に並列に配置された下流側橋梁とを備えた並列橋であって、前記上流側橋梁の橋軸方向に略直交する上部構造の横断面の外形状を包絡する包絡四角形の幅をB、高さをDとし、前記上流側橋梁の上部構造の幅方向における中心と前記下流側橋梁の上部構造の幅方向における中心との距離である中心間隔をWとした場合に、W/Bが1以上1.5以下とされ、かつ、B/Dが2以上とされていることを特徴とする。
【0007】
本発明者等は、鋭意検討した結果、幅B、高さDを有する上流側橋梁と下流側橋梁とが中心間隔Wをおいて配置された並列橋について、上流側橋梁からの剥離流によるウェイクの影響を避けるように下流側橋梁を上流側橋梁に近づけてW/Bを1以上1.5以下としても、上流側橋梁の横断面形状によっては風速限定的なたわみ振動を防止することができないことを見出した。そして、これに対して、上流側橋梁の上部構造の横断面の縦横比であるB/Dを2以上とすることによって、風速限定的なたわみ振動を防止することが可能であることを見出した。
また、本発明のような形状および配置とすることにより、下流側橋梁の発散的なたわみ振動をも防止することができる。
このように、2本の橋梁の形状および配置によって耐風安定性を確保することにより、耐風付加部材の設置等の新たな制振対策をすることを必要とせず、コストの縮減を図ることが可能である。
なお、下流側橋梁の上部構造の横断面形状は、上流側橋梁と同一であることが好ましいが、異なっていてもよい。
【0008】
また、本発明にかかる並列橋は、風向きの上流側に配置された上流側橋梁と、該上流側橋梁の下流側に並列に配置された下流側橋梁とを備えた並列橋であって、前記上流側橋梁の橋軸方向に略直交する上部構造の横断面の外形状を包絡する包絡四角形の幅をB、高さをDとし、前記上流側橋梁の上部構造の幅方向における中心と前記下流側橋梁の上部構造の幅方向における中心との距離である中心間隔をWとした場合に、W/Bが3.5以上とされていることを特徴とする。
【0009】
本発明者等は、鋭意検討した結果、横断面の幅がB、高さがDとされた橋桁を有する上流側橋梁と下流側橋梁とが中心間隔Wをおいて配置された並列橋について、上流側橋梁からの剥離流によるウェイクの影響を避けるように下流側橋梁と上流側橋梁との間隔に関するパラメータであるW/Bを3.5以上とすることにより、風速限定的なたわみ振動を防止することが可能であることを見出した。
また、本発明のような配置とすることにより、下流側橋梁の発散的なたわみ振動をも防止することができる。
このように、2本の橋梁の配置によって耐風安定性を確保することにより、耐風付加部材の設置等の新たな制振対策をすることを必要とせず、コストの縮減を図ることが可能である。
【0010】
さらに、上記の本発明にかかる各並列橋では、前記上流側橋梁の上部構造および前記下流側橋梁の上部構造は、二主桁断面またはボックス桁断面を有することを特徴とする。
【0011】
二主桁断面またはボックス桁断面を有する上部構造を採用することにより、さらにコストの縮減を図ることができる。なお、二主桁のみならず、例えば、三主桁あるいは四主桁等の少数桁断面においても同様の作用効果を奏することができる。
【0012】
さらに、上記の本発明にかかる各並列橋では、前記下流側橋梁の橋脚の中心と該橋脚に隣接する橋脚の中心との距離である支間長のうち少なくとも1つが、60m以上とされていることを特徴とする。
【0013】
一般的に支間長が大きくなると橋梁に生じるたわみ振動の発生風速が低下し、設計風速内での発生が問題となる可能性があるが、本発明の構成を有することにより、下流側橋梁の支間長を60m以上とした場合においても該下流側橋梁に生じる発散的なたわみ振動を防止し、風速限定的なたわみ振動の振幅を小さくすることができる。
【0014】
本発明にかかる並列橋の設計方法は、風向きの上流側に配置された上流側橋梁と、該上流側橋梁の下流側に並列に配置された下流側橋梁とを備えた並列橋の設計方法において、該並列橋の配置条件を仮定する第1のステップと、前記上流側橋梁の橋軸方向に略直交する上部構造の横断面の外形状を包絡する包絡四角形の幅をB、高さをDとし、前記上流側橋梁の上部構造の幅方向における中心と前記下流側橋梁の上部構造の幅方向における中心との距離である中心間隔をWとした場合に、W/Bが1.5以下を満足するか否かについての判断を行う第2のステップと、W/Bが1.5以下を満足しない場合には、風洞試験により制振対策を検討する第3のステップと、耐風安定性を確保できたか否かについての判定を行う第4のステップと、耐風安定性を確保できなかった場合には前記第1のステップへ戻るとともに、耐風安定性を確保できた場合には前記上流側橋梁および前記下流側橋梁の詳細設計を行う第5のステップとを有することを特徴とする。
このようにすることで、風速限定的なたわみ振動および発散的なたわみ振動を抑制した橋梁を設計することができる。
【発明の効果】
【0015】
上流側橋梁と下流側橋梁の配置や横断面形状の変更によって耐風安定性を確保することにより、耐風付加部材の設置等の新たな制振対策をすることを必要とせず、コストの縮減を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[第1の実施形態]
以下に、本発明に係る並列橋の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る並列橋の橋桁の概略構成を示した横断面図である。
並列橋は、風向きの上流側に配置された上流側橋梁1と、この上流側橋梁1の下流側に並列に配置された下流側橋梁2とを備えている。上流側橋梁1と下流側橋梁2とは、上流側橋梁1の上部構造の幅方向(図において水平方向)における中心と下流側橋梁2の上部構造の幅方向における中心との距離である中心間隔Wをおいて配置されている。
各橋梁1,2は、例えば、図示しない複数の橋脚によって支持されている。
【0017】
上流側橋梁1は、橋軸方向に延在して並列に配置された2つの主桁11と、これら主桁11によって下方から支持される床版12とを備えている。主桁11及び床版12によって構成される上流側橋梁1の橋軸方向に略直交する上部構造の横断面の外形状を包絡する包絡四角形の幅はB、高さはDである。
このように、上流側橋梁1は、橋軸方向(紙面垂直方向)に延在する2つの主桁を有した二主桁断面を有している。
【0018】
下流側橋梁2は、上流側橋梁1と同様に、橋軸方向に延在して並列に配置された2つの主桁21と、これら主桁21によって下方から支持される床版22とを備えており、2主桁断面を有している。
【0019】
本実施形態にかかる並列橋は、上述のように上流側橋梁1の上部構造の包絡四角形の幅をB、高さをDとし、また上流側橋梁1と下流側橋梁2との中心間隔をWとした場合に、W/Bが1以上1.5以下とされ、かつ、B/Dが2以上とされている。B/Dは設計条件により、自ずと上限が定まり、例えば、8程度である。
【0020】
図2には、上記構成の並列橋について、風速限定的なたわみ振動の風洞試験結果が示されている。
同図の横軸はW/Bを、縦軸はB/Dを表す。
プロットした点の大きさは、下流側橋梁2の上流側に上流側橋梁1を配置した場合にどの程度風速限定的なたわみ振動が増大するかを示している。具体的には、上流側橋梁1と下流側橋梁2を並列して配置した場合に下流側橋梁2に生じる風速限定的なたわみ振動の振幅を、同様の横断面形状の上部構造を有する橋梁を単独で配置した場合に橋梁に生じる風速限定的なたわみ振動の振幅で除した値がプロットした点の大きさとして表されている。つまり、プロットした点が大きくなるほど、橋梁を単独で配置した場合と比べて、2本の橋梁を並列して配置した場合に下流側橋梁2に生じる風速限定的なたわみ振動の振幅が大きくなることを表している。
【0021】
同図において、W/Bが1以上1.5以下の領域では、上流側橋梁1からの剥離流によるウェイクの中に下流側橋梁2が入ることとなり、ウェイクの影響は小さく抑えられ、下流側橋梁2に生じる風速限定的なたわみ振動の振幅は小さくなることがわかる。この状態が図4(a)に示されている。ここで、図4は、並列橋において上流側橋梁1と下流側橋梁2との中心間隔を変化させた場合における流線を示した図である。
そして、さらに各橋梁1,2間の距離が大きくなると、図4(b)及び(c)のようになり、図2のW/Bが1.5より大きく、3.5より小さな領域を参照すれば明らかなように、下流側橋梁2は、上流側橋梁1からの剥離流によるウェイクの影響を強く受けて、風速限定的なたわみ振動の振幅が大きくなることがわかる。
したがって、W/Bは1以上1.5以下とすることが好ましい。
【0022】
さらに本発明者等が検討したところ、図2に示すように、W/Bが1以上1.5以下であっても、B/Dが2未満であれば、プロットした点が大きくなり、風速限定的なたわみ振動の振幅が単独橋の場合に比べて大きくなってしまうことを見出した。つまり、上流側橋梁1からの剥離流によるウェイクの影響を避けるように下流側橋梁2を上流側橋梁1に近づけて、W/Bを1以上1.5以下としても、上流側橋梁1の横断面形状によっては風速限定的なたわみ振動を防止することができないことがわかった。そこで、本実施形態では、上流側橋梁1のB/Dを2以上とすることによって、風速限定的なたわみ振動を防止している。
【0023】
また、図3には、風洞試験により得られた、発散的なたわみ振動の発生有無についての試験結果が示されている。同図の横軸はW/Bを、縦軸はB/Dを表す。同図からわかるように、W/Bを1以上1.5以下とした場合に発散的なたわみ振動を防止できることが示されている。
【0024】
また、図5から図8には、並列橋のパターン毎に、それぞれ下流側橋梁2に発生するたわみ振動を風洞試験により求めた結果が示されている。
図5から図8において、支間長Lは、下流側橋梁2の橋脚の中心と該橋脚に隣接する橋脚の中心との距離のうち最大の距離を示しており、図5は支間長Lが60mの場合、図6は支間長Lが80mの場合、図7は支間長Lが100mの場合、図8は支間長Lが120mの場合を示している。
【0025】
また、図5から図8は、粗度区分により(a)から(d)の4パターンにそれぞれ細分化されている。ここで、粗度区分は、例えば、社団法人日本道路協会編道路橋耐風設計便覧に示されるように、建築物の密集度等の地表状況に基づいた区分のことであり、具体的には、海上や海岸等を示す区分a、農地や田園等を示す区分b、樹木や低層建築物が密集した地域等を示す区分c、中高層建築物が密集した地域等を示す区分dに分けられている。
【0026】
図5から図8に示す各グラフにおいて、横軸はW/Bを、縦軸はB/Dを表し、棒グラフ中の「限定」とは風速限定的なたわみ振動を、「発散」とは発散的なたわみ振動を示している。なお、風洞試験の前提条件として、図5(e)に示すように、B/Dが2.3(断面X)または3.6(断面Y)である場合において、W/Bを1.11または1.07、1.25、1.50、2.00、3.00、4.00と変化させた際に下流側橋梁2に生じるたわみ振動を測定している。また、実際の橋梁への換算にあたり、例えば、社団法人日本道路協会編道路橋耐風設計便覧に示される算定式に従って、たわみ固有振動数を100/L、基本風速を35m/sと仮定しており、自然風の乱れの影響は無視することとした。
【0027】
また、図5(f)に示す領域Aから領域Eは、下流側橋梁2の上流側に上流側橋梁1を配置した場合にどの程度たわみ振動が増大するかを示している。つまり、風速限定的なたわみ振動の場合、上流側橋梁1と下流側橋梁2とを並列して配置した場合に下流側橋梁2に生じる風速限定的なたわみ振動の振幅を、同様の横断面形状の上部構造を有する橋梁を単独で配置した場合に橋梁に生じる風速限定的なたわみ振動の振幅で除した値が、限定振動振幅比として示されている。また、領域Aから領域Eの順序に従って、発散的なたわみ振動を生じさせる風速が、橋梁を単独で配置した場合よりも低いことを示している。
【0028】
図5から図8に示す各グラフを比較すると、粗度区分aから粗度区分dの順序に従って振動は小さく、また、図5から図8の順序、すなわち、支間長Lが大きくなるに従って振動は大きくなることがわかる。さらに、いずれのグラフにおいても、W/Bが1以上1.5以下の領域では、発散的なたわみ振動が防止されているとともに、風速限定的なたわみ振動の振幅が小さく抑えられていることがわかる。
なお、図5から図8には、B/Dが2.3または3.6の場合における風洞試験の結果を示したが、B/Dが2から4までの値をとる場合のたわみ振動についても、当該結果より内挿して求めることができる。
【0029】
以上の通り、本実施形態によれば2本の橋梁の形状および配置によって耐風安定性を確保することにより、耐風付加部材の設置等の新たな制振対策をすることを必要とせず、コストの縮減を図ることが可能である。
また、一般的に支間長が大きくなると橋梁に生じるたわみ振動の発生風速が低下し、設計風速内での発生が問題となる可能性があるが、本実施形態に係る並列橋によれば、下流側橋梁2の支間長Lを60m以上とした場合においても下流側橋梁2に生じる発散的なたわみ振動を防止し、風速限定的なたわみ振動の振幅を小さくすることができる。
【0030】
なお、上記の並列橋を所定の手順に従って設計することにより、風速限定的なたわみ振動および発散的なたわみ振動を抑制した橋梁を設計することができる。すなわち、図9のフローチャートに示すように、まず並列橋の配置条件を仮定し(S1)、該並列橋についてW/Bが1.5以下を満足するか否かについての判断を行う(S2)。このとき、W/Bが1.5以下を満足しない場合には、風洞試験により制振対策を検討する(S3)。そして、耐風安定性を確保できたか否かについての判定を行い(S5)、確保できた場合には詳細設計へ進み(S6)、確保できなかった場合には並列橋の線形条件の再検討を行う(S1)。
【0031】
〔第2の実施形態〕
次に本発明の第2の実施形態について、図1を用いて説明する。
本実施形態にかかる並列橋が第1の実施形態と異なる点は、上流側橋梁1からの剥離流によるウェイクの影響を避けるように、下流側橋梁2を上流側橋梁1からさらに離して配置している点である。
本実施形態にかかる並列橋は、上流側橋梁1の橋桁の幅をB、高さをDとし、上流側橋梁1と下流側橋梁2との中心間隔をWとした場合に、W/Bが3.5以上とされている。なお、W/Bの値として、並列橋として考えられる上限値としては、例えば、10程度である。
【0032】
上記構成の並列橋によれば、図2に示すように、W/Bが3.5以上とされた場合に、プロットした点が小さくなることが示されている。つまり上流側橋梁1からの剥離流によるウェイクの影響を避けるように、下流側橋梁2を上流側橋梁1より離してW/Bを3.5以上とすることによって、風速限定的なたわみ振動を防止することが可能であることを示している。
【0033】
図4(d)には、W/Bが3.5以上とされた状態が示されており、上流側橋梁1からの剥離流によるウェイクの外に下流側橋梁2を配置することにより、ウェイクの影響は受けず、下流側橋梁2に生じる風速限定的なたわみ振動の振幅は小さく抑えられることがわかる。
【0034】
また、図3より、本実施形態のような配置とすることにより、下流側橋梁2の発散的なたわみ振動をも防止することができる。
【0035】
このように、本実施形態によれば、2本の橋梁の配置によって耐風安定性を確保することにより、耐風付加部材の設置等の新たな制振対策をすることを必要とせず、コストの縮減を図ることが可能である。
【0036】
なお、上記各実施形態において、下流側橋梁の上部構造の横断面形状は、上流側橋梁と同一であるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上流側橋梁に対して下流側橋梁の横断面形状が異なっていてもよい。
また、上記各実施形態において、二主桁断面を有する橋梁について説明したが、矩形断面を有するボックス桁とされた橋梁であっても同様の作用効果を奏することができる。また、二主桁のみならず、例えば、三主桁あるいは四主桁等の少数桁断面においても同様の作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態に係る並列橋の概略構成を示した横断面図である。
【図2】図1の並列橋の下流側橋梁に生じる風速限定的なたわみ振動を表した図である。
【図3】図1の並列橋の下流側橋梁に生じる発散的なたわみ振動を表した図である。
【図4】図1の並列橋の流線図である。
【図5】支間長が60mの並列橋の風洞試験を表した図であって、(a)は粗度区分aの場合、(b)は粗度区分bの場合、(c)は粗度区分cの場合、(d)は粗度区分dの場合、(e)は前提条件、(f)は限定振動振幅比をを表した図である。
【図6】支間長が80mの並列橋の風洞試験を表した図であって、(a)は粗度区分aの場合、(b)は粗度区分bの場合、(c)は粗度区分cの場合、(d)は粗度区分dの場合、(e)は前提条件、(f)は限定振動振幅比をを表した図である。
【図7】支間長が100mの並列橋の風洞試験を表した図であって、(a)は粗度区分aの場合、(b)は粗度区分bの場合、(c)は粗度区分cの場合、(d)は粗度区分dの場合、(e)は前提条件、(f)は限定振動振幅比をを表した図である。
【図8】支間長が120mの並列橋の風洞試験を表した図であって、(a)は粗度区分aの場合、(b)は粗度区分bの場合、(c)は粗度区分cの場合、(d)は粗度区分dの場合、(e)は前提条件、(f)は限定振動振幅比をを表した図である。
【図9】図1に示す橋梁について、たわみ振動を抑制するための設計手順を表したフローチャートである。
【符号の説明】
【0038】
1 上流側橋梁
2 下流側橋梁
11 上流側橋梁の主桁
12 上流側橋梁の床版
21 下流側橋梁の主桁
22 下流側橋梁の床版


【特許請求の範囲】
【請求項1】
風向きの上流側に配置された上流側橋梁と、該上流側橋梁の下流側に並列に配置された下流側橋梁とを備えた並列橋であって、
前記上流側橋梁の橋軸方向に略直交する上部構造の横断面の外形状を包絡する包絡四角形の幅をB、高さをDとし、前記上流側橋梁の上部構造の幅方向における中心と前記下流側橋梁の上部構造の幅方向における中心との距離である中心間隔をWとした場合に、
W/Bが1以上1.5以下とされ、かつ、
/Dが2以上とされている並列橋。
【請求項2】
風向きの上流側に配置された上流側橋梁と、該上流側橋梁の下流側に並列に配置された下流側橋梁とを備えた並列橋であって、
前記上流側橋梁の橋軸方向に略直交する上部構造の横断面の外形状を包絡する包絡四角形の幅をB、高さをDとし、前記上流側橋梁の上部構造の幅方向における中心と前記下流側橋梁の上部構造の幅方向における中心との距離である中心間隔をWとした場合に、
W/Bが3.5以上とされている並列橋。
【請求項3】
前記上流側橋梁の上部構造および前記下流側橋梁の上部構造は、二主桁断面またはボックス桁断面を有する請求項1または請求項2記載の並列橋。
【請求項4】
前記下流側橋梁の橋脚の中心と該橋脚に隣接する橋脚の中心との距離である支間長のうち少なくとも1つが、60m以上とされている請求項1から請求項3のいずれかに記載の並列橋。
【請求項5】
風向きの上流側に配置された上流側橋梁と、該上流側橋梁の下流側に並列に配置された下流側橋梁とを備えた並列橋の設計方法において、
該並列橋の配置条件を仮定する第1のステップと、
前記上流側橋梁の橋軸方向に略直交する上部構造の横断面の外形状を包絡する包絡四角形の幅をB、高さをDとし、前記上流側橋梁の上部構造の幅方向における中心と前記下流側橋梁の上部構造の幅方向における中心との距離である中心間隔をWとした場合に、W/Bが1.5以下を満足するか否かについての判断を行う第2のステップと、
W/Bが1.5以下を満足しない場合には、風洞試験により制振対策を検討する第3のステップと、
耐風安定性を確保できたか否かについての判定を行う第4のステップと、
耐風安定性を確保できなかった場合には前記第1のステップへ戻るとともに、耐風安定性を確保できた場合には前記上流側橋梁および前記下流側橋梁の詳細設計を行う第5のステップとを有する並列橋の設計方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−184892(P2008−184892A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337066(P2007−337066)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(506122246)三菱重工鉄構エンジニアリング株式会社 (111)
【Fターム(参考)】