説明

中央潤滑システムに関連する装置

本発明は中央潤滑システムに関連した装置に関し、該装置は潤滑剤用容器と、ポンプユニットと、制御装置と、配管システムと、圧力モニタ装置と、配管システム/潤滑すべき対象物に存在する潤滑剤の圧力の作用によって動く少なくとも1個のピストン(5)を備えた少なくとも1個のフィーダと、該フィーダの作動をモニタする動作モニタ装置とを含む。本発明は、前記動作モニタ装置が磁化可能性の小さい材料から作られたニップル(4)に装着されたセンサ部分(3)を含むことを特徴とする。そのニップル(4)では、磁界を発生させるための永久磁石(2)と、前記ピストン(5)の動きを検出するセンサ(4)と、該センサ(4)から受信され、前記センサ部分(3)に対する前記ピストン(5)の動きによって発生した磁界の変化の結果発生した信号を処理し、この処理された信号を制御装置まで伝送する電子装置部分(13)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲の請求項1の前提部に記載の中央潤滑システムに関連した装置(arrangement in connection with central lubrication system)であって、潤滑剤用容器と、ポンプユニットと、制御装置と、配管システムと、圧力モニタ装置と、前記配管システムあるいは潤滑すべき対象物に存在する潤滑剤の圧力の作用によって動く少なくとも1個のピストンを備えた少なくとも1個のフィーダと、潤滑剤が配管システムに沿って潤滑剤用容器から前記フィーダまでそしてさらに潤滑すべき対象物まで圧送されるよう配置されている、中央潤滑システムの作動をモニタするための各フィーダ用動作モニタ装置(movement monitor unit)と、加圧された空間の外部において前記動作モニタ装置に位置した接合部分とを含む装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
典型的には、当該技術分野において既知の従来の中央潤滑システムは潤滑剤用容器と、ポンプユニットと、電気制御装置と、配管システムと、潤滑剤フィーダと、動作モニタ装置とを含む。動作モニタ装置はフィーダのピストンの動き(movement)をモニタし、中央潤滑システムの作動を制御するために従来から使用されている。ピストンの動きを検出するために、動作モニタ装置はスイッチを含む。従来技術においては、前記スイッチは所定の磁界強度において切り替え、あるいは解除する磁気スイッチであり、切り替え点と解除点とにおける磁界強度は大きさが異なり、すなわちスイッチはヒステリシス(hysteresis)を伴う。フィーダの本体は磁性の(亜鉛めっきした)材料と非磁性の(耐酸性)材料との双方から作られ、そのため前記本体はピストンによって発生する磁界変化に、したがって前述した作動点において変化に作用する。良好に作用させるには、前記の方法は、磁界の十分な変化を得るためにピストンに永久磁石を装着させる必要がある。しかしながら、ピストンの動きが小さい場合、スイッチのヒステリシスは小さい線量(small dose)においてはそのような方法におけるセンサの使用を制限する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述の装置に関わる問題は、(典型的には0から250×10Pa(250bar)までの)大きな圧力変動の発生する空間においてピストンが動くことであり、更に該ピストンの直径が小さい(典型的には4から8ミリメートル)ため、ピストンの小さい動きであっても検出することができるようにすべきことである。しかしながら、この従来の構造ではピストンの小さい動作長さにおいて十分な精度でピストンの動きを検出することは可能ではない。
【0004】
従って、本発明の目的は、前述の問題が解決できるように、特許請求の範囲請求項1の特徴部に記載の方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、接合部分が磁化可能性の小さい材料から作られ、磁界を発生させるための永久磁石と磁化可能なピストンの動きを検出するセンサとを含むセンサ部分と、該センサから受信され、前記センサ部分に対するピストンの動きによって生じた磁界の変化の結果として提供された信号を処理し、この処理された信号を制御装置まで送る電子装置部分とを含むことを特徴とする装置によって達成される。
【0006】
本発明の好適実施例が特許請求の範囲の従属項に記載されている。
【0007】
本発明は、永久磁石によって発生した磁界の変動によってフィーダのピストンの動きを検出するために、動作モニタ装置の磁化可能性の小さいニップルに永久磁石とセンサとを装着することによってフィーダのピストンの動きを検出することに基づいている。磁界の変動の結果として、センサは動作モニタ装置の電子装置部分に信号を伝送し、該電子装置部分がその信号を処理し、それを制御装置まで送る。
【0008】
本発明による方法と装置の利点は、ピストンの小さい移動長さであっても依然として検出できるようにセンサが加圧された空間の外側に装着しうるということである。
【0009】
本発明の好適実施例においては、センサはホールセンサ(Hall sensor)である。
【0010】
本発明の別の好適実施例においては、ピストンの検出モードがメモリに残留するように動作モニタ装置の出力はロックされている。
【0011】
動作モニタ装置のロックされた検出モードは所定時間センサの作動電圧を遮断することによって解除することができる。
【0012】
更には、本発明による装置の実施例においては、動作モニタ装置はその全体がフィーダの加圧された空間の外側に位置している。
【0013】
更に、別の実施例においては、電子装置部分は電圧調整器、電圧の極性検出のための検出器、マイクロ制御装置、出力回路、インジケータLEDならびに、差動増幅器回路およびローパスフィルタを含む増幅器部分を含む。
【0014】
好適実施例においては、出力回路はポテンシャルフリーのリレー接点(potential−free relay contact)であり、中央潤滑システムの複数の動作モニタ装置が直列に結合されている。
【0015】
本発明を好適実施例に関連して、かつ添付図面を参照して以下により詳細に説明する。
【実施例】
【0016】
本発明による中央潤滑システムは潤滑剤容器と、ポンプユニットと、制御装置と、配管システムと、少なくとも1個のピストン5を備えたフィーダとを含む。図1は本発明の好適実施例を示すものであって、フィーダに接続された動作モニタ装置を示しており、該動作モニタ装置は接合部分4と電子装置部分13とを含む。接合部分すなわちニップル4は更にセンサ部分3を含み、該センサ部分3の方は、永久磁石2とセンサ1とを含み、該センサは本実施例ではホールセンサ、好ましくはアナログホールセンサであるが、本発明に適した別のタイプのセンサであってもよい。動作モニタ装置は図1に示すようにフィーダと関連して配置されており、一方ニップル4は、潤滑剤フィーダのフィーダピストン5の走行用溝の近傍において、但しフィーダの加圧された空間の外側における、その作動領域に配置されている。ピストン5とセンサ部分3との間には、通常金属から作られている壁が設けられている。ピストン5は磁性材料から作られており、一方ニップル4は磁化可能性の小さいあるいは非磁性材料から作られている。図1においては、センサ1は可及的にピストン5に近接するようにニップル4に装着されており、永久磁石2が適当な距離を置いてその後ろに装着されている。中央潤滑システムは前述したフィーダを複数含むことがよくあり、各フィーダにはそれ自体の動作モニタ装置を具備している。前述した部分の他に、中央潤滑システムは当該システムの圧力をモニタするために圧力モニタ装置を含むことが可能であり、その圧力モニタ装置は圧力スイッチあるいは圧力トランスミッタでよい。
【0017】
ニップル4、従ってセンサ部分3も、磁性材料からつくられ、かつ配管システムあるいは潤滑すべき対象に存在する潤滑剤の圧力の作用によって動くピストン5の動きがセンサ部分3に近接時永久磁石によって発生された磁界を変化させるように、装着されている。センサ1は磁界のこの変化を検出し、その変化に関して得られた信号を圧力モニタ装置の電子装置部分13に伝送する役割を果たす。センサ1によって電子装置に伝送された信号Aが図2に示されている。図2に示す方法においては、ピストンは前後に移動することが好ましく、移動するためには十分な差圧を必要とする。フィーダの本体は磁性材料あるいは非磁性材料からつくってもよい。
【0018】
図2によれば、電子装置部分13は電圧調整器6と、電圧の極性を検出する検出器7と、出力回路9と、インジケータLED10、ならびに差動増幅器回路(differential amplifier circuit)11とローパスフィルタ12とからなる増幅器部分とを含む。センサ1から、信号は電子装置部分13の差動増幅器回路11まで伝送され、そこから更にローパスフィルタ12まで伝送される。ローパスフィルタの出力はセンサから取得された信号の平均である。このように、差動増幅器11から取得された出力は、図2に文字Bに示されている、信号とその平均との増幅された差である。
【0019】
次に、信号はマイクロ制御装置8まで進み、該制御装置は増幅器11から受信した信号をデジタル形式に変換する。電子装置部分の出力信号についての最終的な決定は信号のレベルと持続時間に基づいて行われる。出力回路9は、電子装置部分13から出力された信号を選択された作動モードに従って出力するポテンシャルフリーのリレー接点である。このパルス状の出力信号は図2において文字Cに示されている。本発明によれば、作動モードはパルス状のものあるいはロックされているものでよい。
【0020】
図2に示す電圧調整器6は供給電圧(24V)を電子装置に適合するように変換する。電圧の極性を検出するための検出器7によって、動作モニタ装置は供給電圧の極性に応じて、二種類の作動モードで作動するようにされている。電子装置部分に含まれているインジケータLEDの役割は出力回路のリレー9のモードを示すことである。この目的に対して、他のインジケータ装置を使用してもよい。センサによって提供されたパルスを処理し、それを選択された作動モードに従って変換することができる限りは電子装置部分13全体を異なる構成としてもよい。
【0021】
従来技術によれば、中央潤滑システムはモニタ用センサによってモニタすべき複数のフィーダを含んでいる。従って、問題はフィーダから作動をモニタするセンタまでセンサワイヤが多数あることである。更に、各センサはモニタセンタにおいてそれ自体のためのI/O入力(I/O input)を必要とする。従来技術においては、最終の出力は全てのセンサによる方法においてパルス形状であり、そのため検出すべき対象物が検出距離に入ると出力はそのモードを変更し、さらに前記対象物が検出領域を出ていくとそのモードを他のモードに戻す。中央潤滑システムにおける全てのフィーダの作動の瞬間および作動方向は必ずしも同じではないので、配線を低減するために異なるフィーダのセンサを並列あるいは直列に結合することができない。
【0022】
しかしながら、本特許出願においては、動作モニタ装置の出力は第二の作動モードにおいてロックされて、すなわちピストン5の検出モードはメモリが解除されるまでメモリに残っている。この原理は、ペテンシャルフリー出力と相俟って動作モニタ装置の出力を直列に結合できるようにする。直列結合によって配線とモニタセンタ(monitoring center)における必要なI/O入力の数を減らす。そのため、このセンタでは潤滑サイクルが終了すると、直列結合のループのモードを読み取り、ループのモードに応じてメモリを解除し、かつ警報を発する。センサはまたフィーダのサイズや材質とは無関係に正確な作動点に対して自動的に起動する。更に、温度やその他の要因によって生じる出力のゆっくりとした変化が動作モニタ装置の作動に影響を与えることはない。
【0023】
前述した好適実施例は特許請求の範囲内において修正可能である。前述の動作モニタ装置は多様な方法でフィーダに関連して装着可能であり、センサ部分3もまた、但し、好ましくはフィーダの加圧された空間の外部において、フィーダの動くピストン5に対して色々な要領で位置させることも可能である。このようにすることによって従来のピストン5も使用できるようにしうる。
【0024】
当該技術分野の専門家には、技術の進歩に伴い、本発明の基本概念を多様な方法で実行しうることが明らかである。このように、本発明並びにその実施例は前述した例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内において変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】動作モニタ装置によってピストンの動きを検出するための本発明による装置を示す。
【図2】本発明による装置の機能線図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央潤滑システムに関連した装置であって、潤滑剤用容器と、ポンプユニットと、制御装置と、配管システムと、圧力モニタ装置と、前記配管システム/潤滑すべき対象物に存在する潤滑剤の圧力の作用によって動く少なくとも1個のピストン(5)を備えた少なくとも1個のフィーダと、前記潤滑剤が前記潤滑剤用容器から前記配管システムに沿って前記フィーダまでそして更に潤滑すべき対象物まで圧送するようにされている中央潤滑システムの作動をモニタするための各フィーダの動作モニタ装置と、加圧された空間の外側において前記動作モニタ装置に位置している接合部分(4)とを含む装置において、前記接合部分(4)が磁化可能性の小さい材料からつくられ、磁界を発生させるための固定された永久磁石(2)と磁性ピストン(5)の動きを検出するセンサ(1)とを含むセンサ部分(3)と、前記センサから受信され、前記センサ部分(3)に対する前記ピストン(5)の動きによって発生した磁界の変化の結果発生した信号を処理し、この処理された信号を前記制御装置まで伝送する電子装置部分(13)とを含むことを特徴とする、中央潤滑システムに関連した装置。
【請求項2】
前記センサ(1)はホールセンサであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記センサ(1)はアナログのホールセンサであることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記動作モニタ装置の出力(9)は、前記ピストンの検出モードがメモリに残るようにロックされることを特徴とする請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記動作モニタ装置の出力(9)のロックされた検出モードは所定時間前記センサ(1)の作動電圧を遮断することによって解除できることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記動作モニタ装置はその全体が前記フィーダの加圧された空間の外側に位置されることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記電子装置部分(13)は電圧調整器(6)と、電圧の極性を検出するための検出器(7)と、マイクロ制御装置(8)と、出力回路(9)と、インジケータLED(10)、並びに差動増幅器回路(11)とローパスフィルタ(12)とを含む増幅器部分とを含むことを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記出力回路(9)がポテンシャルフリーのリレー接点であることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記中央潤滑システムの複数の動作モニタ装置が直列で結合されていることを特徴とする請求項1から8までのいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−525621(P2007−525621A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518247(P2006−518247)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【国際出願番号】PCT/FI2004/000393
【国際公開番号】WO2005/003620
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(504345311)
【Fターム(参考)】