説明

中性子検出器

【課題】中性子の幅広いエネルギーに対して、特に高エネルギーに対して、高精細かつ高効率で検出することのできる中性子検出器を提供する。
【解決手段】中性子の入射方向に沿って延在し、光を反射する反射層としての作用を有する金属膜と、金属膜上に形成され、中性子の入射方向に沿って延在し、中性子と反応して放射線を放出する第1の蒸着膜と、中性子の入射方向に沿って延在し、かつ、第1の蒸着膜に隣接して配設され、光を反射する反射材料からなる第2の蒸着膜と、中性子の入射方向に沿って延在し、かつ、第2の蒸着膜に隣接して配設され、第1の蒸着膜にて発生した放射線から光を発生させるシンチレータ層と、を有する積層構造を、複数段積層させた多段積層構造を有し、シンチレータ層で発生させた光を、金属膜と第2の蒸着膜で反射させつつシンチレータ層内を伝搬させて外部に導出するよう構成した検出部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、中性子検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、中性子透過撮影、中性子イメージング、中性子散乱実験などに用いる各種の中性子検出器(中性子2次元検出器)が提案されている。また、現在、世界各国において、各種の物質の物性研究や原子核に関する基礎実験のために、新しい大強度パルス中性子源の建設が進行中である。
【0003】
一般的に、中性子の検出器としては、検出効率の高い検出器としてHe(ヘリウム)の同位体He(以下He−3と記載する。)ガスを用いたHe−3ガス検出器や中性子と直接または2次的に反応して発光するシンチレータを用いたシンチレーション検出器が知られている。
【0004】
ここで、中性子は電荷を持っていないため、中性子を検出するためには、中性子と反応し荷電粒子あるいはガンマ線などに変換するコンバータが必要となる。中性子コンバータとしては、中性子吸収断面積の大きなHe−3、Li−6、B−10、Cd−113、Gd−155、Gd−157が知られているが、現在は、ガンマ線に対して低感度であるという理由から、He−3ガスを用いた中性子検出器であるHe−3ガス検出器が用いられている。
【0005】
さらに、エネルギーの高い高速中性子や熱外中性子(別名エピサーマル)を効率良く検出するために、中性子検出器の周りにポリエチレンなど中性子減速材で覆う構成も検討されている。
【0006】
一方、シンチレーション検出器は高い計数能力を有するものの、固体のため密度が大きくなり、ガンマ線に対する感度が高くなってしまう。中性子を高計数率で検出するには、蛍光寿命が短い中性子検出用シンチレータを用いることが不可欠である。このため、Li単結晶からなるシンチレータを、中性子検出に用い、その蛍光特性と光電子増倍管と組み合わせた中性子検出器が開発されている。また、特に中性子検出あるいは中性子イメージングに不可欠なガンマ線による影響の軽減に関しては、軽元素から構成されるシンチレータが好ましいが、Li、B及びOとも軽元素であるため、この点についても、Li単結晶からなるシンチレータは、要求を満足している。
【0007】
更に、従来の中性子シンチレータに比べてより薄く構成することができ、かつ、従来のLiベースシンチレータに比べてガンマ線感度や位置分解能の点で優れた中性子シンチレータが開発されている。これは、BおよびLiを主構成要素として構成した酸化物にCeを添加してガラスにした中性子シンチレータを出発原料として、LiとCeOとを混合した後に、少なくとも950℃以上の温度で加熱して1時間以上保持した後に、800〜400℃の温度の間を150℃/sec以上の速度で冷却して製造するものである。
【0008】
これらガンマ線感度が低いと見積もられる軽元素のみで構成されたLiBOならびにLi化合物は、中性子による発光が極めて小さい。さらに、これらにCeを添加した単結晶では、結晶中に固溶するCeは極めて少量であり、中性子による発光が小さく、中性子イメージング用または中性子ラジオグラフィ用の2次元検出器として使用することは難しい。
【0009】
一方、LiならびにBは、中性子検出に数MeVの荷電粒子生成反応を用いるため、ガンマ線感度に関係なく、シンチレータ素材を選別することができる。特に、Bは、同量のLiに対して約4倍の中性子検出効率が期待できるため、より薄いシンチレータを作成することが可能になる。このためガンマ線感度や位置分解能の点で非常に有利になるので、理想的な中性子コンバータということができる。しかしながら、Bは、生成される荷電粒子エネルギーが市販のLiガラス(Li−Glass)の半分程度であり、発光出力の点では不利とみなされており、従来の中性子シンチレータの殆どは、Liをコンバータとして用いている。
【0010】
ここで、現在実用化されている中性子シンチレータの代表としては、例えば、LiF/ZnSがある。この中性子シンチレータは、高い発光量を持ち、取り扱いにも優れているものの、不透明で検出効率や計数能力に限界がある。
【0011】
特に、高精細なイメージングを行う場合の分解能は、反応体とシンチレータを合わせて発光する際の広がりや、その光をイメージングする光学系や撮像素子の分解能に依存する。最近では、撮像系に用いられるCCDやCMOS素子は飛躍的に高画素化されているため、主に反応膜とシンチレータの構成が分解能を決めていると考えられる。すなわち、反応膜で中性子と反応して荷電粒子が発生し、その荷電粒子とシンチレータが反応して発光する場合、荷電粒子の飛ぶ距離(飛程)とシンチレータで発光した光の拡散距離が、分解能に関わるボケとなる。
【0012】
このため、分解能を向上させるには、反応膜を薄くし、発生する2次荷電粒子の飛程を短くする必要がある。LiF/ZnSの場合、Liが中性子と反応し、アルファ(α)線を出し、そのα線でZnS蛍光体を発光させる。実際の構成は、LiF/ZnSが粒状性の粉末であり、多くの場合、基板となるAl板上にLiF/ZnS粉末を有機バインダーで塗布して固めた構成となっている。
【0013】
中性子と反応するLiは、反応効率を上げるために通常濃縮された同位体Li−6が用いられるが、バインダーなど含め全体に占める原子数密度が少ないため、塗布された厚さは数百μm程度となっている。そのため、分解能はこの塗布された厚さで決まり、高くはない。特に中性子のエネルギーが高くなるとLi−6との反応割合は更に少なくなり、効率も悪くなる。反応割合を高くするために厚さを厚くすることが考えられるが、LiF/ZnSは不透明で発光した光がLiF/ZnSで散乱して透過しないため厚くしても効率が上がらない。
【0014】
これらを解決する方法として、厚さ方向に貫通する複数の開口部を有し、これら複数の開口部内に中性子と反応する液体シンチレータを充填したキャピラリープレートと、イメージング検出器とから中性子検出器を構成し、シンチレーション光を計測する2次元検出器が提案されている。しかし、キャピラリープレート部分は反応せず、この部分は中性子が抜けてしまうため、高精細で高効率な2次元検出器とはならない。また、全てのキャピラリープレートの穴の中に均一にシンチレータを保持することは製作上も難しく未だ実用化には至っていない。
【0015】
一方、高精細を実現し、感度を高めるために反応膜とシンチレータを組み合わせ、シンチレータの光を光電変換膜で電子にかえ、電子増幅するイメージインテンシファイア(または電子増倍管)も開発されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この構造は、高精細にするため、反応膜が5μm程度しかなく、中性子との反応効率がB−10の場合で約10%程度であり、残りの90%の中性子は透過して利用されない。更に中性子のエネルギーが高くなると反応効率は更に小さくなる。このため、高精細ではあるが反応効率が悪く、中性子発生数が少ない(フラックスが小さい)場合には、時間をかけて積算しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】再公表特許WO2008/132849
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上述したように、中性子を用い、物質や構造内部の状況を透過して非破壊で高精細、かつ高感度にイメージングしたり、散乱中性子を2次元で検出したりするための中性子検出器においては、特に高エネルギーの中性子領域迄、高精細かつ高効率で検出することのできる中性子検出器の開発が望まれていた。
【0018】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みなされたもので、その目的は、中性子の幅広いエネルギーに対して、特に高エネルギーに対して、高精細かつ高効率で検出することのできる中性子検出器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
実施形態の中性子検出器は、中性子の入射方向に沿って延在し、光を反射する反射層としての作用を有する金属膜と、前記金属膜上に形成され、中性子の入射方向に沿って延在し、中性子と反応して放射線を放出する第1の蒸着膜と、中性子の入射方向に沿って延在し、かつ、前記第1の蒸着膜に隣接して配設され、光を反射する反射材料からなる第2の蒸着膜と、中性子の入射方向に沿って延在し、かつ、前記第2の蒸着膜に隣接して配設され、前記第1の蒸着膜にて発生した前記放射線から光を発生させるシンチレータ層と、を有する積層構造を、複数段積層させた多段積層構造を有し、前記シンチレータ層で発生させた光を、前記金属膜と前記第2の蒸着膜で反射させつつ前記シンチレータ層内を伝搬させて外部に導出するよう構成した検出部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、中性子の幅広いエネルギーに対して、特に高エネルギーに対して、高精細かつ高効率で検出することのできる中性子検出器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】一実施形態に係る中性子検出器の要部概略構成を示す図。
【図2】図1の中性子検出器の要部概略構成を拡大して示す図。
【図3】他の実施形態に係る中性子検出器の要部概略構成を拡大して示す図。
【図4】他の実施形態に係る中性子検出器の要部概略構成を拡大して示す図。
【図5】中性子エネルギーと中性子吸収断面積との関係を示すグラフ。
【図6】厚さと熱中性子の透過率との関係を示すグラフ。
【図7】一実施形態に係る中性子検出器の全体構成を示す図。
【図8】他の実施形態に係る中性子検出器の全体構成を示す図。
【図9】他の実施形態に係る中性子検出器の全体構成を示す図。
【図10】他の実施形態に係る中性子検出器の全体構成を示す図。
【図11】他の実施形態に係る中性子検出器の全体構成を示す図。
【図12】従来の中性子検出器の要部概略構成を示す図。
【図13】従来の中性子検出器の要部概略構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る中性子検出器の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る中性子検出器の要部断面概略構成を示す図である。また、図12、図13は、従来の中性子検出器の要部断面概略構成を示す図である。
【0024】
図12に示す従来の中性子検出器は、粒状シンチレータ4(例えばLiF/ZnS蛍光体)を使用したものである。一般的に粒状シンチレータ4は、構造体となるアルミニウム(中性子の透過しやすい材料)からなるアルミ基板3に、粒状シンチレータ4を固定するためと発光した光5を効率良く透過させるために、透明なバインダー6を用いている。そして、このバインダー6によって、粒状シンチレータ4をアルミ基板3に固定して中性子検出器が構成されている。
【0025】
基本的な中性子検出のメカニズムは、以下のとおりである。中性子(n)1が、アルミ基板3を透過して、粒状シンチレータ4のLiと反応する。Liは、厳密にはLi−6の同位体であり、このLi−6と中性子(n)1が反応してアルファ(α)線2が放出される。この反応を(n,α)と記載する。放出されたα線2は、粒状シンチレータ4のZnS蛍光体で発光し光5となる。
【0026】
α線2は、粒状シンチレータ4内で四方八方に放出され、約5μmから10μm程度の飛程(放射線の飛ぶ距離)を持つ。粒状シンチレータ4の粒径は、このα線2の飛程と略同じ大きさであり、粒状シンチレータ4の内部で発光した光5は、粒状シンチレータ4内で吸収され減衰しながら、粒状シンチレータ4の外に出てくる。この光5は、他の粒状シンチレータ4内を透過したり、粒状シンチレータ4で反射し、また、バインダー6内を透過し、中性子検出器の外に出てくる。中性子と反応するLi−6原子は、粒状シンチレータ4全体の中で占める原子数割合がLiF/ZnSとすると1/4であり、バインダー6の原子数を考えると全体での反応効率は悪くなる。
【0027】
従って、効率を上げるためには、粒状シンチレータ4を塗布する厚さを厚くする必要がある。但し、中性子1の入射した側で発光した光5は、粒状シンチレータ4内を透過したり、粒状シンチレータ4で反射し、また、バインダー6内を透過して中性子検出器の外に出てくるため、光の透過率が悪くなり、更に拡散して透過するために解像度も悪くなる。
【0028】
実際イメージングに用いられているこの構成のシンチレータは、数百μm程度の厚さである。中性子のエネルギーが高い高速中性子では、Li−6との反応断面積が熱中性子と比べて更に桁で小さくなる。そのため、反応効率を上げるためには更に厚さを増さなければならないため、益々解像度が悪くなる。
【0029】
解像度を上げて輝度の明るいイメージ画像を得る方法として、図13に示す方法が実用化されている。この方法では、中性子との反応体にはLi−6(熱中性子断面積:940バーン)と比べて熱中性子断面積が4倍大きいB−10(熱中性子断面積:3838バーン)を用いている。また、反応する原子数割合も10C蒸着膜7では、4/5であり、さらに、バインダー無しで、蒸着で製作できるため、単位体積中に存在するB−10の割合も多く、厚さが薄くても効率を高めることができる。
【0030】
しかしながら、B−10も、Li−6同様に(n,α)反応で放出されるα線2の飛程は約4〜5μm程度であるため、5μmより厚くすると、中性子1との反応によって入射側で放出されたα線2は、10C蒸着膜7内を通りぬけてCsI蛍光体8にまで至ることができない。10C蒸着膜7の厚さが5μmの場合、総合的に見ると熱中性子では約80%が透過してしまい、約20%程度しか有効に利用されていない。但し、図12の構成の場合と比べて反応面での単位体積当たりの原子数密度は高く、反応膜が5μm程度であることから高精細なイメージングを可能にしている。
【0031】
しかも、反応したα線2は、透明度の高い針状のCsI蛍光体8で発光し、光5となり、さらに、光電変換膜9で電子10となり、この電子を増幅する構成とすることで、変換と伝達効率が高くなり、図12に示した構成として撮像素子で撮影する場合と比べて約100倍以上の感度を得ることができる。但し、縦軸を中性子吸収断面積、横軸を中性子エネルギーとした図5のグラフに示すように、高エネルギーの中性子(高速中性子)の場合には、熱中性子と比較して中性子吸収断面積が2桁小さくなるため、反応割合が極端に小さくなってしまう。
【0032】
次に、図1,2を参照して、本発明の一実施形態にかかる中性子検出器の構成について説明する。
【0033】
図1,2は、本発明の第1実施形態にかかる中性子検出器の検出部の要部構成を拡大して示すものである。図1に示すように、本発明の一実施形態にかかる中性子検出器は、中性子1の入射側に位置するように、アルミニウムから構成されたアルミ基板3を具備している。このアルミ基板3に隣接して、中性子1の入射方向に沿って各層が延在する多段積層構造が構成されている。
【0034】
第1実施形態においてこの多段積層構造は、Al(アルミニウム)膜12と、第1の蒸着膜としての10C(ボロン10同位体を濃縮した濃縮ボロンカーバイト)蒸着膜7と、第2の蒸着膜としてのAl(アルミニウム)蒸着膜13と、シンチレータ11とからなる積層構造を、繰り返し多段(例えば、数百〜数千段)に積層させた多段積層構造を有している。この多段積層構造は、中性子1の入射面側から見た時に、井桁状(グリッド状)に、積層方向が90°異なるように交互に配設されており、これによって、二次元的に拡がった中性子入射面を有する中性子検出器の検出部(2次元中性子反応シンチレータ)が構成されている。
【0035】
Al膜12は、厚さ(図1,2における上下方向の長さ)が5μm以上とされており、中性子1の入射方向に沿って延在し、光を反射する反射層として作用する。10C蒸着膜7は、このAl膜12上に蒸着により形成されており、中性子1の入射方向に沿って延在している。この10C蒸着膜7は、厚さ(図1,2における上下方向の長さ)が、例えば4〜5μm程度とされている。10C蒸着膜7中では、ボロン10が中性子1と反応し、放射線(α線2)を放出する。
【0036】
Al蒸着膜13は、厚さ(図1,2における上下方向の長さ)が0.1μm〜0.5μm程度とされており、10C蒸着膜7上に、10C蒸着膜7と隣接するように、蒸着によって形成されている。したがって、このAl蒸着膜13も中性子1の入射方向に沿って延在した構成となっている。このAl蒸着膜13は、光を反射する反射膜として作用する。
【0037】
シンチレータ11は、プラスチックシンチレータ等からなり、Al蒸着膜13に隣接して、中性子1の入射方向に沿って延在するように配設されている。このシンチレータ11は、厚さ(図1,2における上下方向の長さ)が5μm以上、例えば数10μmから100μm程度とされている。シンチレータ11は、10C蒸着膜7内で放出されたα線2によって発光し、光5を発生させる。
【0038】
そして、上記の積層構造が、さらに多数積層されて、中性子検出器の検出部が構成されている。また、本実施形態では、上記の積層構造において、10C蒸着膜7等の各層は、中性子1の入射方向に対して、積層方向に傾斜を有する構成、つまり、図1,2において、後端側(図中右側)が上側に向かって上がった構成となっている。
【0039】
上記のように、本実施形態の中性子検出器では、シンチレータ11は、Al蒸着膜13とAl膜12とによって挟まれており、また、10C蒸着膜7も、Al蒸着膜13とAl膜12とによって挟まれた構成となっている。
【0040】
10C蒸着膜7は、黒色で光の反射率が低いので、10C蒸着膜7とシンチレータ層11とを直接積層させると、シンチレータ層11内で発生した光5を効率良く伝送することができない。これに対して、本実施形態のようにシンチレータ層11を、Al蒸着膜13とAl膜12とによって挟まれたサンドイッチ構造とすることによって、Al蒸着膜13とAl膜12による反射を利用してシンチレータ層11内で発生した光5を効率良く伝送することができ、外部に取り出すことができる。
【0041】
すなわち、10C蒸着膜7内の各点で(n,α)反応により放出されるα線2は、中性子1に対してほぼ垂直方向(4〜5μmの厚さ方向)に放出される成分が、シンチレータ11で発光し光5となる。この発光した光5は、透明度の高いシンチレータ11(プラスチックシンチレータ)内を、Al蒸着膜13及びAl膜12によって反射しながら進み、外部に取り出すことができる。
【0042】
また、厚さ5μm以上のAl膜12は、図1,2中10C蒸着膜7内において下向きに出たα線2を吸収し、下側のシンチレータ11での発光を阻止する。これによって、位置分解能を向上させている。
【0043】
さらに、本実施形態では、上記のように中性子1の入射方向に沿って10C蒸着膜7が延在するように形成されている。そして、中性子1が、この10C蒸着膜7に対して垂直ではなく、水平に近く、かつ、傾きを持って配設された10C蒸着膜7内を、対角線上を移動するように進むため反応効率を大幅に向上させることができる。
【0044】
以上のとおり、本実施形態に係る中性子検出器では、中性子の利用効率を大幅に向上させることができるとともに、発光した光5の伝播を効率良くかつ光を拡散させずに行うことができる。これによって、効率良く高精細にイメージングできる中性子に対する2次元検出器を得ることができる。
【0045】
縦軸を透過率、横軸を厚さとした図6のグラフに反応材質の厚さと熱中性子の透過率の関係を示す。図6に示されるとおり、10Cの場合、厚さが50μmで90%程度の熱中性子が反応することになる。したがって、10C蒸着膜7の長さ(図1,2における左右方向の長さ)を50μm程度とすることによって、90%程度の熱中性子と反応させることができる。
【0046】
次に、図3を参照して第2実施形態にかかる中性子検出器ついて説明する。この第2実施形態の中性子検出器では、中性子入射側(図3中左側)に、中性子入射面に沿って延在するように、厚さが5μm以上とされたAl膜12と、10C蒸着膜7と、光の反射用として厚さが0.1μm〜0.5μm程度とされたAl蒸着膜13とを配設した構成となっている。なお、他の部分については、図1,2に示した第1実施形態と同様に構成されているので、対応する部分には同一の符号を付して重複した説明は省略する。
【0047】
この第2実施形態の中性子検出器では、第1実施形態の中性子検出器における作用、効果に加えて、中性子入力面における中性子1との反応効率を上げることができる。これによって、中性子検出器の中性子が透過する方向(図3における左右方向)のサイズを短くコンパクトにすることができる。
【0048】
次に、図4を参照して、高速中性子の測定に好適な第3実施形態にかかる中性子検出器ついて説明する。この第3実施形態の中性子検出器では、10C蒸着膜7と、厚さ(図4における上下方向の長さ)が5μm以上とされたAl膜12との間に、熱中性子を吸収するためのGd蒸着膜14(厚さ5μm以上)を挿入した構成とされている。
【0049】
また、シンチレータとして第3実施形態ではプラスチックシンチレータ16を使用しており、中性子1の入射側(図4中左側)に、中性子1の入射面に沿って延在するように、厚さが5μm以上とされたAl膜12と、10C蒸着膜7と、厚さが0.1μm〜0.5μm程度とされたAl蒸着膜13とを配設した構成となっている。なお、他の部分については、図1,2に示した第1実施形態と同様に構成されているので、対応する部分には同一の符号を付して重複した説明は省略する。
【0050】
上記構成の第3実施形態にかかる中性子検出器では、高エネルギー成分の中性子である高速中性子9は、10C蒸着膜7内で反応して、α線2を放出し、このα線2がプラスチックシンチレータ16内で反応して発光し、光5となる。但し、10C蒸着膜7内での(n,α)反応は、中性子のエネルギーが高くなると、縦軸を中性子吸収断面積、横軸を中性子エネルギーとした図5のグラフに示す濃縮硼素の中性子吸収断面積の線のように吸収断面積が桁のオーダーで減衰する。すなわち、反応確率(効率)が悪くなる。このため、10C蒸着膜7の長さ(図3における左右方向の長さ)を熱中性子の場合より桁のオーダーで長くする必要が生じる。
【0051】
そこで、中性子との反応で特に中性子エネルギーに対してほぼ一定の割合で散乱する水素に着目し、第3実施形態では、プラスチックシンチレータ16(または、水素を含まないガラスシンチレータや結晶シンチレータの場合には水素を含む樹脂でシンチレータを覆ったもの)を使用し、高速中性子9を水素で減速させる。減速された中性子15は、プラスチックシンチレータ16から等方向に拡散する。プラスチックシンチレータ16の下側の10C蒸着膜7で減速された中性子15が反応し、α線2が放出され、このα線2がプラスチックシンチレータ16と反応して光5が発生する。
【0052】
一方、プラスチックシンチレータ16の上側の10C蒸着膜7で、減速された中性子15が反応してしまうと、上下のプラスチックシンチレータ16で発光が起き光5を出すために分解能が悪くなる。そこで、プラスチックシンチレータ16の上側の10C蒸着膜7と反応しないように、上側の10C蒸着膜7の下に熱中性子領域で吸収断面積が大きいガドリニウム(Gd)を含むGd蒸着膜14を設けることで、下側の中性子の周り込みを防ぐこととができる。
【0053】
以上説明したとおり第3実施形態では、特に高エネルギーの中性子の場合には、10C蒸着膜7との反応距離が長くなるため、プラスチックシンチレータ16の水素原子で高速中性子9を減速された中性子15に変換し、10C蒸着膜7と反応させる。減速された中性子15の飛程は数センチ以上あり拡散してしまうため、Gd蒸着膜14(厚さ5μmから数10μm程度)を10C蒸着膜7の一方の側(図4中下側)に形成することで、拡散する減速された中性子15を吸収させる。これによって、検出効率を上げながら検出器の分解能を向上させることができる。
【0054】
次に、上記構成の検出部を有する中性子検出器の全体構成について説明する。
【0055】
中性子の幅広いエネルギーに対して、特に高エネルギーに対して高精細で高効率の2次元検出器としてイメージングできる中性子検出器を提供するためには、上記した構成の検出部である2次元中性子反応シンチレータで発光した光のイメージを、光学レンズ等で調整して撮像カメラのCCDやCMOS等の撮像素子でイメージングする必要がある。特に中性子でイメージングするためには、2次元中性子反応シンチレータの光を効率よく撮像する必要があり、中性子強度が弱いと発光する光も弱く、できるだけ光学ロスを少なくする必要がある。そのためには、2次元中性子反応シンチレータで発光した光を増幅してロスを少なく検出効率を高める工夫が必要となる。
【0056】
図7に示す光イメージインテンシファイア管103は、口径の大きなイメージ増幅管として有効である。また、中性子が撮像カメラ106に直接あたると撮像素子にダメージを与える可能性があり、撮像素子を中性子照射ライン上から遠ざける工夫が必要である。そのため、図7に示す実施形態では、光イメージインテンシファイア管103の出力蛍光体103cにて発光したイメージ像を、光学反射鏡104にて中性子照射ラインから直角な方向に反射させた後、光学レンズ105を通して撮像カメラ106で2次元検出する構成となっている。
【0057】
図7に示す実施形態では、前述した構成の検出部である2次元中性子反応シンチレータ101で発光した光のイメージを、効率良く撮像素子に導入し、かつ撮像素子に対する中性子やガンマ線等の放射線による損傷をできるだけ少なくするように、光学レンズ102、光イメージインテンシファイア管103、光学反射鏡104、光学レンズ105、撮像カメラ106を組み合わせてノイズの少ない2次元検出器イメージングを実現している。
【0058】
2次元中性子反応シンチレータ101では、図1、図3に示したように、中性子は、中性子と反応が少ないシンチレータ構成基板であるアルミ基板3及びAl膜12を通過し、厚さ4〜5μm程度の10C蒸着膜7と反応する。この10C蒸着膜7はAl膜12と厚さ0.1〜0.5μm程度のAl蒸着膜13でサンドイッチした構造となっている。10C蒸着膜7と中性子が反応するとアルファ線が放出され、シンチレータ11と反応して発光する。多くは、青色から緑色で発光する。
【0059】
2次元中性子反応シンチレータ101で発光した2次元のイメージ画像を、光学レンズ102で光イメージインテンシファイア管103の光電変換膜103aに結像する。この光イメージインテンシファイア管103の入力面はガラスでできている。また、光イメージインテンシファイア管103の入力面サイズは、4インチから最大20インチの口径まであり、口径が大きいほど]2次元中性子反応シンチレータ101の発光を幾何学的に効率よく光電変換膜103に結像することができる。特に光学レンズ102の径よりも2次元中性子反応シンチレータ101の径(大きさ)が小さいほど効率は上がる。
【0060】
光電変換膜103aで電子に変換され、電子レンズ103bで出力蛍光体103cに結像され、再度イメージ画像として発光する。光イメージインテンシファイア管103内で、電子は電極間にかけられた高電圧により電子増幅され、微小なイメージ像も明るく出力される。この出力画像を撮像カメラ106にて光学レンズ105でピント調整して撮影する。但し、一般に使われている撮像カメラ106の撮像素子は、CCDやCMOSといったものが多く、これらは、中性子やガンマ線など放射線でダメージを受けて画像にノイズを残してしまう。そこで、照射される中性子のビームラインから離して撮像カメラ106を設置するように光学反射鏡104を用いる。これによって、撮像カメラ106に直接放射線が照射されることを防止することができ、撮像カメラ106に対するダメージを少なくすることができる。
【0061】
2次元中性子反応シンチレータ101で発光する光量は、照射する中性子の強度により異なるが、一般的には肉眼で確認できるほど明るくない。そこで、光イメージインテンシファイア管103を用い、特に2次元中性子反応シンチレータ101で発光する波長にマッチングして変換能率の高い光電変換膜103aを用いて電子に変換し、電子増幅させて出力蛍光体103cで発光させることで肉眼でも確認できるくらいに光増幅される。この画像を中性子やガンマ線の照射ラインよりずらして設置した撮像カメラ106で撮影することで撮像素子へのダメージを極力少なくすることができ、放射線によるノイズの少ない2次元イメージ画像を撮影することができる。なお、撮像カメラ106の周りに中性子やガンマ線に対して遮蔽できる構造を設けることで、この効果を更に向上させることができる。
【0062】
次に、図8を参照して他の実施形態について説明する。この実施形態では、図7における2次元中性子反応シンチレータ101に相当する2次元中性子反応シンチレータ111が、中性子イメージインテンシファイア管113内の中性子入力反応面に形成されている。このため、図7の光イメージインテンシファイア管103の入力面は光を通す目的で透明なガラス製であったのに対して、図8に示す中性子イメージインテンシファイア管113の場合は、中性子が透過しやすいアルミ製となっている。中性子イメージインテンシファイア管113の内部に配設した2次元中性子反応シンチレータ111には、光電変換膜113aが直接コーティングして形成されている。これによって、2次元中性子反応シンチレータ111からの発光をより効率よく電子に変換して電子レンズ113bで増幅し、出力蛍光体113cに結像させることができる。
【0063】
上記構成の中性子検出器によれば、2次元中性子反応シンチレータ111からの発光を光学レンズによる幾何学的なロスなく効率よく利用できるだけでなく、部品点数の削減と調整時間の短縮を図れるとともに、調整ミスを少なくすることができる。
【0064】
次に、図9を参照して他の実施形態について説明する。この実施形態では、電子レンズによるイメージインテンシファイアの増幅ではなく、マイクロチャネルタイプイメージインテンシファイア123を光の増幅に用いている。
【0065】
2次元中性子反応シンチレータ101からの発光を、光学レンズにてマイクロチャネルタイプイメージインテンシファイア123の入力面に結蔵して使用することも可能であるが、図9に示す実施形態では、光学部品が少なく、かつ調整の少ないテーパーファイバー112を用いて、マイクロチャネルタイプイメージインテンシファイア123の入力面と結合させている。なお、図9において、123aは光電変換膜を示している。
【0066】
図9に示す実施形態では、マイクロチャネルタイプイメージインテンシファイア123の入力面よりも2次元中性子反応シンチレータ101のサイズが大きいため、テーパーファイバー112を用いているが、逆に2次元中性子反応シンチレータ101のサイズが小さい場合には、逆のテーパーファイバー又はストレートなバンドル型ファイバーを用いる。また、図9に示す実施形態では、マイクロチャネルタイプイメージインテンシファイア123の出力蛍光面123cを、光学レンズ105と撮像カメラ106を組み合わせて撮像する構成としているが、マイクロチャネルタイプイメージインテンシファイア123の出力蛍光面123cに、バンドル型ファイバーあるいはテーパーファイバーを介してCCD素子やCMOS素子を直接結合してもよい。
【0067】
上記構成の中性子検出器によれば、2次元中性子反応シンチレータ101からの発光を、テーパーファイバー112(或いはバンドル型ファイバー)で幾何学的なロスなく効率よくマイクロチャネルタイプイメージインテンシファイア123の入力面に結像できるだけでなく、部品点数の削減と調整時間の短縮を図れ、かつ、調整ミスを少なくすることができる。また、マイクロチャネルタイプイメージインテンシファイア123を使うことで全体をコンパクトにすることができる。但し、マイクロチャネルタイプイメージインテンシファイア123のチャネル間隔で分解能が決まるため、分解能については制限がある。
【0068】
次に、図10を参照して他の実施形態について説明する。この実施形態では、図9に示したマイクロチャネルタイプイメージインテンシファイア123による増幅ではなく、高感度撮像カメラ116を用いている。高感度撮像カメラ116は、その撮像機構の光電変換膜に、電子増幅機能のあるHARP(High-gain Avalanche Rushing amorphous Photoconductor)光電変換膜107を用い、更に冷陰極電子源にHEED(High-efficiency Electron Emission Device)冷陰極電子源108を用いている。
【0069】
上記構成の中性子検出器によれば、2次元中性子反応シンチレータ101からの発光を、テーパーファイバー112(或いはバンドル型ファイバー)で幾何学的なロスなく効率よくHARP光電変換膜107の入力面に結像できるだけでなく、撮像系が一体となり、部品点数の削減と調整時間の短縮を図れ、かつ、調整ミスを少なくすることができる。また、光イメージインテンシファイア管103、中性子イメージインテンシファイア管113、マイクロチャネルタイプイメージインテンシファイア123等を用いた場合に比べて更に、全体の大きさがコンパクトになる。但し、感度の点はイメージインテンシファイアによる増幅機能が少なくなる分低下する。
【0070】
次に、図11を参照して他の実施形態について説明する。この実施形態は、マイクロチャネルタイプイメージインテンシファイアによる増幅ではなく、中性子イメージインテンシファイア管113を用いたものであるが、電子増幅機能のあるHARP光電変換膜107とHEED冷陰極電子源108を出力蛍光体113cの直後(中性子入射方向に対して)に設置し撮像機能を持たせたものである。このような構成を採用することによって、電子増幅機能を高め、高精細に撮像が可能になる。
【0071】
HARP光電変換膜107とHEED冷陰極電子源108は共に真空容器内に配置する必要があり、中性子イメージインテンシファイア管113も真空容器となっているため、その内部に設置することが可能である。但し、電位の関係でHARP光電変換膜107とHEED冷陰極電子源108は更にガラス封入してから中性子イメージインテンシファイア管113の内部に設置する方がよい場合がある。
【0072】
上記構成の実施形態によれば、中性子イメージインテンシファイア管113内部に配設した2次元中性子反応シンチレータ101からの発光を、より効率よく電子に変換し増幅して利用することができる。また、テーパーファイバーあるいはバンドル型ファイバーによる光学ロスもないので、高感度になり、量子ノイズの少ない画像が得られる。さらに、マイクロチャネルタイプイメージインテンシファイアと比べてマイクロチャネル間隔の制限がなく高精細な検出が可能になる。また、撮像系が一体となり、部品点数の削減と調整時間の短縮を図ることができるとともに、調整ミスを少なくすることができ、製作初期にピント調整を行えば、そのまま使用が可能になる。
【0073】
なお、HARP光電変換膜107とHEED冷陰極電子源108を配設する換わりに、同じ真空管のHARP撮像管を真空容器内に組み合わせて使用することも可能である。この実施形態では、真空内での製作が多くなる点で製作が複雑になるが、外部に光学部分の調整がなくなり、シンプルな撮像管となり、組み立て調整後にピントがずれる心配が無い。
【0074】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
1……中性子、2……α線、5……光、6……アルミ基板、7……10C蒸着膜、11……シンチレータ、12……Al膜、13……Al蒸着膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中性子の入射方向に沿って延在し、光を反射する反射層としての作用を有する金属膜と、
前記金属膜上に形成され、中性子の入射方向に沿って延在し、中性子と反応して放射線を放出する第1の蒸着膜と、
中性子の入射方向に沿って延在し、かつ、前記第1の蒸着膜に隣接して配設され、光を反射する反射材料からなる第2の蒸着膜と、
中性子の入射方向に沿って延在し、かつ、前記第2の蒸着膜に隣接して配設され、前記第1の蒸着膜にて発生した前記放射線から光を発生させるシンチレータ層と、
を有する積層構造を、複数段積層させた多段積層構造を有し、
前記シンチレータ層で発生させた光を、前記金属膜と前記第2の蒸着膜で反射させつつ前記シンチレータ層内を伝搬させて外部に導出するよう構成した検出部を有することを特徴とする中性子検出器。
【請求項2】
請求項1記載の中性子検出器であって、
前記検出部が、前記多段積層構造を、井桁状に組み合わせた構成を有することを特徴とする中性子検出器。
【請求項3】
請求項1又は2項記載の中性子検出器であって、
前記検出部の中性子入射側に、中性子入射面に沿って延在し、中性子と反応して放射線を放出する入射側中性子反応層と、
前記検出部の中性子入射側に、かつ、前記入射側中性子反応層の内側に隣接して配設され、中性子入射面に沿って延在し、光を反射する反射材料からなる入射側反射層と
を具備したことを特徴とする中性子検出器。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか1項記載の中性子検出器であって、
前記検出部の多段積層構造は、中性子の入射方向に対して、積層方向に傾きを持って配設されていることを特徴とする中性子検出器。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか1項記載の中性子検出器であって、
前記第1の蒸着膜は、ボロン10同位体を濃縮した濃縮ボロンカーバイト(10C)から構成され、前記第2の蒸着膜は、アルミニウムから構成されていることを特徴とする中性子検出器。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか1項記載の中性子検出器であって、
前記検出部の前記金属膜と、前記第1の蒸着膜との間に、中性子の入射方向に沿って延在し、熱中性子を吸収する第3の蒸着膜が形成されていることを特徴とする中性子検出器。
【請求項7】
請求項6記載の中性子検出器であって、
前記第3の蒸着膜が、酸化ガドリニウム(Gd)から構成されていることを特徴とする中性子検出器。
【請求項8】
請求項6又は7記載の中性子検出器であって、
前記シンチレータ層が、水素原子を含むプラスチックシンチレータ、水素原子を含む樹脂層で挟まれたガラスシンチレータ又は結晶シンチレータのいずれかから構成されていることを特徴とする中性子検出器。
【請求項9】
請求項1〜8いずれか1項記載の中性子検出器であって、
前記検出部の発光像を光学レンズで光イメージインテンシファイア管に結像し、光電変換して増幅するとともに、前記光イメージインテンシファイア管の画像を撮像する撮像カメラを中性子照射ラインからずらして設置したことを特徴とする中性子検出器。
【請求項10】
請求項1〜8いずれか1項記載の中性子検出器であって、
前記検出部をイメージインテンシファイア管の入力面に形成するとともに、前記検出部の内側の真空雰囲気中に光電変換膜を形成した中性子イメージインテンシファイア管によって、前記検出部の発光像を光電変換して増幅するとともに、前記中性子イメージインテンシファイア管の画像を撮像する撮像カメラを中性子照射ラインからずらして設置したことを特徴とする中性子検出器。
【請求項11】
請求項1〜8いずれか1項記載の中性子検出器であって、
前記検出部の光出力面から、バンドル型の光ファイバー又はテーパーファイバーを介して発光像をマイクロチャネルタイプイメージインテンシファイアに導入して光増幅し、前記マイクロチャネルタイプイメージインテンシファイアの出力画像を撮像カメラで撮影することを特徴とする中性子検出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−225680(P2012−225680A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91268(P2011−91268)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】