説明

中性子線照射システム

【課題】作業効率を高めることができる中性子線照射システムを提供する。
【解決手段】中性子線照射システム1は、荷電粒子線Pが照射されて中性子線Nを発生させるターゲットTと、減速体108を少なくとも含みターゲットTを収容する収容部102と、被照射体へ照射する中性子線Nを収束させる収束部104と、被照射体を載置する治療台32と、を備えている。また、中性子線照射システム1は、ターゲットT、収容部102及び収束部104に対して治療台32を接近及び離間するように相対移動させる相対移動手段として、レール114、摺動部116及び駆動部117を備えている。よって、例えば中性子線Nの照射直後においても、放射化したターゲットT、収容部102及び収束部104に対して治療台32を離間させることで、放射化の悪影響を受けずに治療台32に医師等が近寄ることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中性子線照射システムに関する。
【背景技術】
【0002】
がん治療等における放射線治療の1つとして、中性子線の照射によりがん治療を行う硼素中性子捕捉療法(BNCT:BoronNCT)がある。従来、この硼素中性子捕捉療法を行うための中性子線照射システム(BNCTシステム)が開発されており、例えば特許文献1には、荷電粒子線が照射されて中性子線を発生させる中性子線発生部(ターゲット)と、照射する中性子線を収束させる中性子線収束部と、患者等の被照射体を載置する載置台と、を備えたものが開示されている。この特許文献1に記載された中性子線照射システムでは、中性子線発生部で発生させた中性子線を、中性子線収束部を介して載置台上の被照射体へと照射することが図られている。また、この中性子線照射システムでは、減速体を含む収容部によって中性子線発生部が収容されて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−189725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記中性子線照射システムを用いて被照射体へ中性子線を照射する場合、例えば中性子線の照射直後においては,中性子線発生部、収容部、及び中性子線収束部が比較的放射化していることが多く、載置台に医師等が近寄るためには、かかる放射化が減衰するのを待つ必要がある。よって、上記中性子線照射システムでは、作業効率が低くなってしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、作業効率を高めることができる中性子線照射システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る中性子線照射システムは、被照射体へ中性子線を照射する中性子線照射システムであって、荷電粒子線が照射されて中性子線を発生させる中性子線発生部と、減速体を少なくとも含み、中性子線発生部を収容する収容部と、被照射体へ照射する中性子線を収束させる中性子線収束部と、被照射体を載置する載置台と、中性子線発生部、収容部及び中性子線収束部に対して載置台を接近及び離間するように相対移動させる相対移動手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の中性子線照射システムでは、例えば中性子線の照射直後においても、放射化した中性子線発生部、収容部及び中性子線収束部に対して載置台を離間させることで、放射化の悪影響を受けずに載置台に医師等が近寄ることが可能となり、放射化が減衰するのを待つ必要性を低減することができる。よって、本発明によれば、作業効率を高めることが可能となる。
【0008】
また、中性子線発生部と載置台とを中性子線の照射時における位置関係に対して互いに離間させた状態にて中性子線発生部と載置台との間に配置される第1放射線遮蔽扉を備えたことが好ましい。これにより、中性子線発生部と載置台との間で、放射線を効果的に遮蔽することができる。
【0009】
また、相対移動手段は、中性子線発生部と中性子線収束部とを互いに接近及び離間するように相対移動させることが好ましい。この場合、例えば中性子線発生部から載置台上の被照射体を離した状態で、被照射体と中性子線収束部との位置合わせを行うことができる。
【0010】
このとき、中性子線発生部と中性子線収束部とを中性子線の照射時における位置関係に対して互いに離間させた状態にて中性子線発生部と中性子線収束部との間に配置される第2放射線遮蔽扉を備えたことが好ましい。これにより、中性子線発生部と載置台との間で、放射線を効果的に遮蔽することができる。
【0011】
また、上記作用効果を好適に奏する構成として、具体的には、相対移動手段は、レールを含む構成が挙げられる。
【0012】
また、収容部を埋め込むように収容する放射線遮蔽壁を備えたことが好ましい。この場合、中性子線発生部からの意図しない放射線が被照射体側に及ばないように放射線を効果的に遮蔽することができる。
【0013】
また、相対移動手段は、中性子線発生部と収容部とを互いに接近及び離間するように相対移動させることが好ましい。この場合、メンテナンスの際、相対移動手段によって中性子線発生部と収容部とを互いに離間するよう相対移動させることで、中性子線発生部及び収容部に容易にアクセスすることが可能となり、例えば周辺部位や機器を取り外すことなく簡便に収容部の保守又は交換等を行うことができる。よって、中性子線照射システムのメンテナンスを容易に行うことが可能となる。
【0014】
このとき、中性子線発生部は、設置床に固定されており、相対移動手段は、収容部を設置床に対し移動させることで、中性子線発生部と収容部とを相対移動させることが好ましい。この場合、中性子線発生部に照射される荷電粒子線のビーム長を縮小させてシステムを小型化させることが容易になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、作業効率を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る中性子線照射システムの構成を示す図である。
【図2】図1の中性子線照射システムにおける中性子線生成ユニット及び治療台を示す断面斜視図ある。
【図3】(a)は図1の中性子線照射システムのメンテナンス時を示す図、(b)は図3(a)の続きを示す図である。
【図4】(a)は図1の中性子線照射システムの動作を説明するための図、(b)は図4(a)の続きを示す図である。
【図5】(a)は図4(b)の続きを示す図、(b)は図5(a)の続きを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、「上流」「下流」の語は、出射する荷電粒子線及び中性子線の上流(サイクロトロン側)、下流(被照射体側)をそれぞれ意味している。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る中性子線照射システムの構成を示す図である。図1に示すように、中性子線照射システム1は、例えば、中性子捕捉療法を用いたがん治療などを行うために用いられる装置であり、患者等の被照射体34へ中性子線Nを照射する。
【0019】
この中性子線照射システム1は、サイクロトロン10を備え、サイクロトロン10は、陽子等の荷電粒子を加速して、陽子線(陽子ビーム)を荷電粒子線Pとして作り出す。ここでのサイクロトロン10は、例えば、ビーム半径40mm、60kW(=30MeV×2mA)の荷電粒子線Pを生成する能力を有している。
【0020】
サイクロトロン10から取り出された荷電粒子線Pは、水平型ステアリング12、4方向スリット14、水平垂直型ステアリング16、四重極電磁石18,19,20、90度偏向電磁石22、四重極電磁石24、水平垂直型ステアリング26、四重極電磁石28、4方向スリット30を順次に通過し、中性子線生成ユニット100に導かれる。この荷電粒子線Pは、中性子線生成ユニット100においてターゲット(中性子線発生部)Tに照射され、これにより、中性子線Nが発生される。そして、中性子線Nは、治療台(載置台)32上の被照射体34へ照射される(図5参照)。
【0021】
水平型ステアリング12、水平垂直型ステアリング16,26は、例えば電磁石を用いて荷電粒子線Pのビームの軸調整を行うものである。同様に、四重極電磁石18,19,20,24,28は、例えば電磁石を用いて荷電粒子線Pのビームの発散を抑制するものである。4方向スリット14,30は、端のビームを切ることにより、荷電粒子線Pのビームの位置を検出するものである。
【0022】
90度偏向電磁石22は、荷電粒子線Pの進行方向を90度偏向するものである。なお、90度偏向電磁石22には、切替部36が設けられており、切替部36によって荷電粒子線Pを正規の軌道から外してビームダンプ38に導くことが可能になっている。ビームダンプ38は、治療前などにおいて荷電粒子線Pの出力確認を行う。
【0023】
図2は図1の中性子線照射システムにおける中性子線生成ユニット及び治療台を示す断面斜視図、図3は図1の中性子線照射システムのメンテナンス時を示すフロー図、図4,5は図1の中性子線照射システムの動作を説明するためのフロー図である。図2に示すように、中性子線生成ユニット100は、荷電粒子線Pが照射されて中性子線Nを発生させるターゲットTと、ターゲットTを収容する収容部102と、中性子線Nを収束させる収束部(中性子線収束部)104と、を備えている。
【0024】
ターゲットTは、例えば、ベリリウム(Be)により形成され、直径160mmの円板状を成している。このターゲットTは、荷電粒子線Pを通すビームダクト106の下流端部に配設されている。ビームダクト106は、中性子線生成ユニット100を設置する設置床Fに固定され、設置床Fに対し相対移動不能に構成されている。つまり、ターゲットTについても、設置床Fに対し相対移動不能で固定されている。
【0025】
収容部102は、減速体108及び遮蔽材110を含んで構成されている。減速体108は、ターゲットTで発生された中性子線Nを減速させるものであり、例えば異なる複数の材料から成る積層構造とされている。遮蔽材110は、減速体108を覆うよう設けられており、中性子線N及び該中性子線Nの発生に伴って生じたガンマ線等の放射線(以下、単に「放射線」という)を、外部へ放出されないよう反射/吸収して遮蔽する。
【0026】
この収容部102では、上述したように、ターゲットTが内部に収容されている。具体的には、収容部102にて上流側に開口する開口102aが形成され、この開口102a内にビームダクト106の下流端部が配置されることで、収容部102にターゲットTが囲まれるよう収容されている。
【0027】
収束部104は、照射する中性子線Nを収束させて当該中性子線Nの照射範囲を調整するものであり、中性子線Nのビーム路において収容部102よりも下流側に配置されている。この収束部104は、コリメータ104xを含んで構成されている。治療台32は、被照射体34(図5参照)を載置するものであり、中性子線Nのビーム路において収束部104よりも下流側に配置されている。
【0028】
ここで、本実施形態の収容部102、収束部104及び治療台32は、設置床Fに敷設された複数のレール114に沿って、それぞれ移動可能に構成されている。すなわち、収容部102、収束部104及び治療台32それぞれの下端部に設けられた車輪やスライダ等の摺動部116が、中性子線Nの照射方向(ビーム軸方向)に沿って延びるレール114に係合されている。そして、例えばモータ等の駆動部117によって摺動部116が駆動され、収容部102、収束部104及び治療台32がレール114上をそれぞれ移動可能とされている。これにより、収容部102、収束部104及び治療台32は、レール114に沿って設置床F上を独立して移動可能とされている。
【0029】
その結果、収容部102、収束部104及び治療台32は、ターゲットTに対して、中性子線Nの照射方向に沿って接近及び離間するように相対移動可能とされている。すなわち、治療台32にあっては、ターゲットT、収容部102及び収束部104に対して、中性子線Nの照射方向に沿って接近及び離間可能となっている。また、ここでは、収容部102、収束部104及び治療台32は、上記のように独立して移動可能であることから、中性子線Nの照射方向に沿って互いに接近及び離間するように相対移動可能となっている。
【0030】
よって、中性子線照射システム1のメンテナンスの際、図3(a),(b)に示すように、収容部102をターゲットTに対し離間するようレール114に沿って相対移動させることで、ターゲットT(ビームダクト106)を収容部102に非収容の状態にし、ターゲットT及び収容部102に容易にアクセスすることが可能となる。従って、例えば周辺部位や周辺機器を取り外すことなく簡便に収容部102の保守又は交換等を行うことができ、中性子線照射システム1のメンテナンスを容易に行うことが可能となる。
【0031】
特に、本実施形態では、上述したように、収束部104及び治療台32についてもターゲットTに対して相対移動可能とされている。よって、メンテナンスの際、収束部104及び治療台32もターゲットTに対し離間するよう相対移動させることで、ターゲットT及び収容部102に一層容易にアクセスすることが可能となり、かかるメンテナンスを一層容易に行うことができる。
【0032】
図2に戻り、中性子線照射システム1は、放射線を遮蔽するためのものとして、放射線遮蔽壁112と、第1及び第2放射線遮蔽扉118,120(図4参照)と、を備えている。放射線遮蔽壁112は、その内部に収容部102を埋め込むよう収容する。具体的には、放射線遮蔽壁112における収容部102の外形に沿った形状の貫通孔112x内に、収容部102の全体を嵌め込むようにして配置し収容する。
【0033】
図5(b)に示すように、第1放射線遮蔽扉118は、ターゲットTと治療台32とを中性子線Nの照射時における位置関係(図4(a)参照)に対し互いに離間させた状態において、これらの間に配置されるよう開閉される。また、図4(b)に示すように、第2放射線遮蔽扉120は、ターゲットTと収束部104とを中性子線Nの照射時における位置関係(図4(a)参照)に対し互いに離間させた状態において、これらの間に配置されるよう開閉される。ここでの第1及び第2放射線遮蔽扉118,120は、鉛(Pb)等で形成されている。
【0034】
次に、中性子線照射システム1の動作について説明する。例えば図4(a)に示す初期状態の中性子線照射システム1にて、まず、図4(b)に示すように、収束部104及び治療台32を、ターゲットTに対し所定距離以上離間するようにレール114に沿って相対移動させる。そして、第1放射線遮蔽扉120を閉とすると共に、被照射体34を治療台32上に載せ、その後、収束部104と被照射体34との間の位置合わせを行う。なお、上記所定距離は、例えばターゲットT周辺の放射線の影響が極めて小さくなるような距離としている(以下の所定距離について同様)。
【0035】
続いて、図5(a)に示すように、第1放射線遮蔽扉120を開とすると共に、収束部104及び治療台32を、上記位置合わせの状態を保持したままターゲットTに対し接近するようにレール114に沿って相対移動させる。これにより、ターゲットT、収束部104及び治療台32を、被照射体34に中性子線Nが適正に照射される位置関係とする。そして、サイクロトロン10(図1参照)を作動させて荷電粒子線PをターゲットTに照射することにより中性子線Nを発生させ、この中性子線Nを収束部104を介して被照射体34へ照射する。
【0036】
続いて、中性子線Nの照射後、図5(b)に示すように、治療台32をターゲットT、収容部102及び収束部104に対し所定距離以上離間するようにレール114に沿って相対移動させる。そして、第2放射線遮蔽扉118を閉とする。以上により、中性子線照射システム1の動作が終了することとなる。
【0037】
以上、本実施形態の中性子線照射システム1では、中性子線Nの照射後にて治療台32をターゲットT、収容部102及び収束部104に対して所定距離以上離間させている。よって、中性子線Nの照射後、放射化の悪影響を受けずに治療台32の下に医師や作業員等(以下、「医師等」という)が直ちに近寄ることが可能となり、かかる放射化が減衰するのを待つ必要性を低減することができる。その結果、本実施形態によれば、中性子線照射システム1の作業効率(治療効率)を高めることが可能となる。また、このように照射後に治療台32を離間させることで、ターゲットT周辺の残留放射線の影響が被照射体34に及ぶのも抑制することができる。
【0038】
そして、この中性子線Nの照射後には、第1放射線遮蔽扉118が閉じられてターゲットT及び治療台32間に配置されることから(図5(b)参照)、ターゲットTと治療台32との間で放射線を効果的に遮蔽し、ターゲットT周辺の残留放射線の影響が被照射体34に及ぶのを一層抑制することができる。
【0039】
また、本実施形態では、上述したように、ターゲットTと収束部104とについても互いに接近及び離間するように相対移動可能であり、中性子線Nの照射前にてターゲットTから被照射体34を離した状態で、被照射体34(治療台32)と収束部104との位置合わせが行われている。よって、かかる位置合わせの際、ターゲットT周辺の残留放射線の影響が被照射体34に及ぶのを抑制することができる。
【0040】
そして、この中性子線Nの照射前には、第2放射線遮蔽扉120が閉じられてターゲットT及び収束部104間に配置されることから(図4(b)参照)、ターゲットTと収束部104との間で放射線を効果的に遮蔽し、ターゲットT周辺の残留放射線の影響が被照射体34に及ぶのを一層抑制することができる。
【0041】
また、本実施形態では、上述したように、収容部102が埋め込まれるように放射線遮蔽壁112によって収容されている。よって、ターゲットTからの意図しない放射線が被照射体34側に及ばないように当該放射線を効果的に遮蔽することができる。例えば、開口102aから下流側へ向かって収容部102外へ放出された放射線が、回り込むように上流側へと進行して被照射体34に及ぶのを抑制することが可能となる。
【0042】
また、本実施形態では、上述したように、ターゲットTと収容部102とを互いに接近及び離間するように相対移動させる相対移動手段として、レール114、摺動部116及び駆動部117を有している。よって、メンテナンスの際、ターゲットTと収容部102とを互いに離間するよう相対移動することでターゲットT及び収容部102に容易にアクセスすることができる。その結果、中性子線照射システム1のメンテナンス容易化が実現可能となり、作業時間の短縮化が可能となる。さらに、例えば収容部102に医師等がアクセスする場合、ターゲットTから離れることになるため、ターゲットT周辺の残留放射線が医師等に及ぶのを抑制することができる。
【0043】
また、本実施形態では、上述したように、ターゲットTが設置床Fに固定されており、収容部102を設置床Fに対し移動させてターゲットTと収容部102とを相対移動させている。よって、例えばサイクロトロン10の配置上の制約又はメンテナンスの際の制約を低減でき、ターゲットTに照射される荷電粒子線Pのビーム長を縮小させることが容易になる。その結果、中性子線照射システム1を容易に小型化させることが可能となる。
【0044】
以上において、レール114、摺動部116及び駆動部117が相対移動手段を構成する。
【0045】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0046】
例えば、上記実施形態では、ターゲットTを固定し当該ターゲットTに対して収容部102を移動させているが、収容部102を固定し当該収容部102に対してターゲットTを移動させてもよい。同様に、収束部104を固定し当該収束部104に対してターゲットTを移動させてもよく、治療台32を固定し当該治療台32に対してターゲットTを移動させてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、相対移動手段がレール114、摺動部116及び駆動部117を含んで構成されているが、これに限定されるものではなく、相対移動手段としては、種々のものを採用することできる。
【0048】
また、上記実施形態では、第1及び第2放射線遮蔽扉118,120を備えているが、これに代えて、第1及び第2放射線遮蔽扉118,120双方の機能を合わせ持つような1つの放射線遮蔽扉を備えてもよい。また、ターゲットTとしては、ベリリウムに限定されず、リチウム(Li)、タンタル(Ta)やタングステン(W)等を用いてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、ターゲットT、収容部102及び収束部104についても互いに相対移動可能に構成されているが、これらが互いに相対移動しない場合もあり、要は、ターゲットT、収容部102及び収束部104に対し治療台32を相対移動させればよい。
【符号の説明】
【0050】
1…中性子線照射システム、32…治療台(載置台)、34…被照射体、102…収容部、104…収束部(中性子線収束部)、108…減速体、112…放射線遮蔽壁、114…レール(相対移動手段)、116…摺動部(相対移動手段)、117…駆動部(相対移動手段)、118…第1放射線遮蔽扉、120…第2放射線遮蔽扉、F…設置床、N…中性子線、P…荷電粒子線、T…ターゲット(中性子線発生部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被照射体へ中性子線を照射する中性子線照射システムであって、
荷電粒子線が照射されて前記中性子線を発生させる中性子線発生部と、
減速体を少なくとも含み、前記中性子線発生部を収容する収容部と、
前記被照射体へ照射する前記中性子線を収束させる中性子線収束部と、
前記被照射体を載置する載置台と、
前記中性子線発生部、前記収容部及び前記中性子線収束部に対して前記載置台を接近及び離間するように相対移動させる相対移動手段と、を備えたことを特徴とする中性子線照射システム。
【請求項2】
前記中性子線発生部と前記載置台とを前記中性子線の照射時における位置関係に対して互いに離間させた状態にて前記中性子線発生部と前記載置台との間に配置される第1放射線遮蔽扉を備えたことを特徴とする請求項1記載の中性子線照射システム。
【請求項3】
前記相対移動手段は、前記中性子線発生部と前記中性子線収束部とを互いに接近及び離間するように相対移動させることを特徴とする請求項1又は2記載の中性子線照射システム。
【請求項4】
前記中性子線発生部と前記中性子線収束部とを前記中性子線の照射時における位置関係に対して互いに離間させた状態にて前記中性子線発生部と前記中性子線収束部との間に配置される第2放射線遮蔽扉を備えたことを特徴とする請求項3記載の中性子線照射システム。
【請求項5】
前記相対移動手段は、レールを含むことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項記載の中性子線照射システム。
【請求項6】
前記収容部を埋め込むように収容する放射線遮蔽壁を備えたことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項記載の中性子線照射システム。
【請求項7】
前記相対移動手段は、前記中性子線発生部と前記収容部とを互いに接近及び離間するように相対移動させることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項記載の中性子線照射システム。
【請求項8】
前記中性子線発生部は、設置床に固定されており、
前記相対移動手段は、前記収容部を前記設置床に対し移動させることで、前記中性子線発生部と前記収容部とを相対移動させることを特徴とする請求項7記載の中性子線照射システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−50698(P2012−50698A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195835(P2010−195835)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】