中性金属デンドリマー錯体
【課題】新規有用なデンドリマー、その形成方法、及びそれを使用した電気光学的デバイス、特に発光デバイスを提供する。
【解決方法】帯電中性有機金属デンドリマーが記載されており、前記デンドリマーは、式(I):芯−[デンドライト(−Q)a]n、〔式中、芯は、式MXxYz(ここでMは金属陽イオンを表し、xは1以上の整数を表し、同じか又は異なるXは、各々、一、二又は三デンテイト配位基を表し、zは0又は1以上の整数を表し、同じか又は異なるYは、各々、配位基を表し、(b.x)+(c.z)の合計はMの配位点の数に等しく、ここでbはX上の配位点の数であり、cはY上の配位点の数である)の基を表し;nは2以上の整数を表し;同じか又は異なるデンドライトは、各々、基Xに結合した樹枝状分子構造体を表し;aは、0又は1以上の整数を表し;同じか又は異なるQは、各々、表面基を表し;芯は、デンドライトの分岐基又は分岐原子に結合した第一単結合で終わっている〕を有し、該デンドリマーは、Mを中心とし前記デンドリマーを含む概念的球の半球が前記第一単結合を欠くことのない構造を有する。
【解決方法】帯電中性有機金属デンドリマーが記載されており、前記デンドリマーは、式(I):芯−[デンドライト(−Q)a]n、〔式中、芯は、式MXxYz(ここでMは金属陽イオンを表し、xは1以上の整数を表し、同じか又は異なるXは、各々、一、二又は三デンテイト配位基を表し、zは0又は1以上の整数を表し、同じか又は異なるYは、各々、配位基を表し、(b.x)+(c.z)の合計はMの配位点の数に等しく、ここでbはX上の配位点の数であり、cはY上の配位点の数である)の基を表し;nは2以上の整数を表し;同じか又は異なるデンドライトは、各々、基Xに結合した樹枝状分子構造体を表し;aは、0又は1以上の整数を表し;同じか又は異なるQは、各々、表面基を表し;芯は、デンドライトの分岐基又は分岐原子に結合した第一単結合で終わっている〕を有し、該デンドリマーは、Mを中心とし前記デンドリマーを含む概念的球の半球が前記第一単結合を欠くことのない構造を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デンドリマー(dendrimer)、その形成方法、及び電気光学的デバイス、特に発光デバイスにそれらを使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス(EL)デバイスとしても知られている有機発光ダイオード(OLED)は、発展し始めた表示技術である。基本的にはOLEDは、2つの電極の間に挟まれた薄い有機層又は有機層の積層体を含み、電圧を印加すると可視光その他の光を発する。それら電極の少なくとも一つは光に対し透明でなければならない。表示用途のためには、勿論その光は目に見えなければならず、従って、それら電極の少なくとも一つは可視光に対し透明でなければならない。
【0003】
OLEDで有機層を堆積させるのに用いることができる二つの重要な方法、すなわち加熱蒸着及び溶液処理が存在する。溶液処理は、潜在的に生産量が大きく、大きな基体を取扱うことができるため、比較的低コストの技術になる可能性を有する。適当な材料、特に重合体を開発するため、かなりの研究が行われてきた。より最近には、固体状態で発光する燐光有機金属デンドリマーが、OLEDで溶液処理可能な発光材料として非常に有望であることが示されてきた〔S.-C.ロー(Lo)ら、(Adv. Mater., 13, 975 (2002);J.P.J.マーカム(Markham)ら、Appl. Phys. Lett., 80, 2645 (2002)〕。溶液処理可能なOLEDの開発は進歩してきているが、依然として改良された効率及び寿命を有するOLEDが求められている。
【0004】
デンドリマーは、芯及び結合したデンドロン(dendron)(デンドライトとも呼ばれている)を有する分岐した巨大分子である。デンドロンは、分岐単位及び任意選択的に結合単位を含む分岐した構造体である。デンドロンのジェネレーション(generation)は、分岐点の組の数によって定められる。図1参照。より高いジェネレーション、即ち、より高次(higher order)のデンドロンは、同じ構造単位(分岐単位及び結合単位)から構成することができるが、追加された分岐レベル、即ち、繰り返し追加されたそれら分岐単位及び結合単位を有する。或いは、より高いジェネレーションは、追加された分岐レベルを有するが、より高いジェネレーションの所で異なった分岐及び結合単位を有することができる。デンドロンの周辺に表面基が存在することができる。
【0005】
発光デンドリマーは、発光芯を有するのが典型的であり、多くの場合少なくとも部分的に共役したデンドロンを有する。発光デンドリマーの更なる例には、P.W.ワン(Wang)ら、Adv. Mater., 8, 237 (1996);M.ハリム(Halim)ら、Adv. Mater., 11, 371 (1999);A.W.フリーマン(Freeman)ら、J. Am. Chem. Soc., 122, 12385 (2000);A.アドロノフ(Adronov)ら、Chem. Comm., 1701 (2000);C.C.クウォク(Kwok)ら、Macromolecules, 34, 6821 (2001)に見出されるものが含まれる。発光デンドリマーは、芯、デンドロン及び表面基の性質を独立に変化させることができると同時に、発光性及び処理性を独立に最適化することができるという、発光重合体に勝る利点を有する。例えば、デンドリマーの発光色は、芯を変えるだけで変化させることができる。そのような発光性デンドリマーは、電気光学的デバイス、特にOLEDで有用となり得る。
【0006】
デンドリマーは、粘度のような他の物理的性質によっても、利用可能な製造方法に対して、重合体よりも一層容易に適合し得る。有機金属デンドリマーは、従来OLED用途でフィルムの単一成分(即ち、フィルムそのもの)として、又は分子材料との混合物として、又は二種類以上の異なった種類(即ち、異なった芯)のデンドリマーの混合物として用いられてきた。例えば、J.M.ルプトン(Lupton)ら、Adv.Funct. Mater., 11, 287 (2001)、及びJ.P.J.マーカム(Markham)ら、Appl. Phys. Lett., 80, 2645 (2002)参照。
【0007】
有機発光及び輸送材料の光電子性で分子間相互作用は重要な役割を果たしている。緊密な接触及び良好な配列は大きな電荷易動度をもたらすことができるが、励起状態の二量体が形成されるため発光を低下することになることがある。以前の研究で、我々は分子間相互作用を、デンドリマーに結合したデンドロンのジェネレーションにより制御することができることを示した〔J.M.ルプトン(Lupton)ら、Phys. Rev. B, 63, 5206 (2001);J.P.J.マーカム(Markham)ら、Appl. Phys. Lett., 80, 2645 (2002)〕。しかし、我々は、一つの配位子当たり唯一つのデンドロンを含む有機金属デンドリマーについては、ジェネレーションが分子間相互作用について必ずしも適切な制御を与えるとは限らないことを見出した。例えば、J.P.J.マーカム(Markham)ら、Appl. Phys. Lett., 80, 2645 (2002)中のイリジウム系デンドリマーについては(図2参照)、第二ジェネレーション2の光ルミネッセンス量子効率は、第一ジェネレーション1の場合よりも大きいが、両方共、測定をデンドリマー分子間相互作用が存在していない希釈溶液中で行われた場合よりも低い。イリジウムデンドリマー1及び2について、デンドロンは二デンテイト(bidentate)配位子の一つの成分、即ち、フェニル環に結合しており、面状異性体〔facial(fac) isomer〕が形成される。この組合せは、デンドロンにより保護されていない芯の一つの面を残し、潜在的に有害な芯・芯相互作用を許す。
【0008】
V.バルザニ(Balzani)ら、Coord. Chem. Rev. 545, 291-221, (2001)では、トリスルテニウム2,2'−ビピリジン芯に基づくデンドリマーが知られている。これらのデンドリマーでは、二つのデンドロンが各々の2,2'−ビピリジン配位子に4及び4'の位置で結合している。しかし、2,2'−ビピリジンは中性配位子であり、これらの樹枝状錯体は、会合した対イオン、典型的には、PF6−によりバランスされなければならない正味の正電荷を有する。これら三つのビピリジン配位子はRuの球状配位を満たし、そのため、対イオンは金属の内部球状配位の一部分にはなっていないが、一層緩く会合している。OLED用途では、結合していない対イオンを有することは望ましくない。なぜなら、それらは印加電場の影響で移動することができ、それがOLEDデバイスの安定性に有害になることがあるからである。本発明は、中性、即ち、金属に直接配位/結合した配位子が電荷をバランスさせている有機金属デンドリマーに関する。
【0009】
我々は、OLEDに有害なこれらの都合の悪い芯・芯相互作用が、デンドリマー構造を変化させることにより解決できることを発見した。それを行う一つの方法は、金属陽イオンに錯化した一つを超える配位子に一つを超えるデンドロンを結合することである。例えば、2−フェニルピリジン配位子との八面体fac−イリジウム(III)錯体の場合、デンドロンをフェニル及びピリジル環の両方に結合し、次に二つ以上のこれらの配位子を金属陽イオンに錯化することができよう。本発明のこの態様では、有機金属デンドリマーは、各々の配位子に結合した一つを超えるデンドロンを含む。
【0010】
分子間芯・芯相互作用を制御する第二の方法は、異なった異性体を用いることによる。例えば、フェニル環に結合したデンドロンを有する2−フェニルピリジン配位子との八面体fac−イリジウム(III)錯体の場合、芯の一つの面はデンドロンによって保護されていない。メリジナル(meridinal)(mer)異性体を用いることにより、デンドロンを芯の回りに一層均一に分布させ、その結果芯はデンドロンにより一層保護される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、先行技術の問題点の幾つかを解決する、デンドリマー、それらの製造方法、及びそれらを含む光電子デバイス、特にOLEDに関する。特に、本発明は、OLED性能に有害な分子間相互作用を克服することを追及するものである。
【0012】
(発明の概要)
従って、本発明は、式(I):
芯−[デンドライト(−Q)a]n (I)
〔式中、芯(CORE)は、式MXxYz(ここでMは金属陽イオンを表し、xは1以上の整数を表し、同じか又は異なるXは、各々、一、二又は三デンテイト(dentate)配位基を表し、zは0又は1以上の整数を表し、同じか又は異なるYは、各々、配位基を表し、(b.x)+(c.z)の合計はMの配位点の数に等しく、ここでbはX上の配位点の数であり、cはY上の配位点の数である)の基を表し;nは2以上の整数を表し;同じか又は異なるデンドライト(DENDRITE)は、各々、基Xに結合した樹枝状分子構造体を表し;aは、0又は1以上の整数を表し;同じか又は異なるQは、各々、表面基を表し;芯は、デンドライトの分岐基又は分岐原子に結合した第一単結合で終わっている。〕の帯電中性有機金属デンドリマーであって、Mを中心とし前記デンドリマーを含む概念的球の半球が前記第一単結合を欠くことのない構造を有する、上記デンドリマーを提供する。
【0013】
式(I)において、Xが一デンテイト配位基である場合、bは1であり;Xが二デンテイト配位基である場合、bは2であり;Xが三デンテイト配位基である場合、bは3である。
【0014】
本発明は、順次、基体層、電極、任意選択的に第一電荷輸送層、発光層、任意選択的に第二電荷輸送層及び対電極を含み、前記発光層、任意選択的第一電荷輸送層及び任意選択的第二電荷輸送層の少なくとも一つが、本発明による有機金属デンドリマーを含むフィルムである有機発光層をも提供する。
【0015】
発光層が本発明による有機金属デンドリマーを含むフィルムであることが好ましい。
【0016】
有機金属デンドリマーを含むフィルムは、一つ以上の付加的物質を含んでいてもよく、それらは発光ドーパント、電荷輸送物質及び/又は付加的分子状、樹枝状及び/又は重合体状材料を含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、第二ジェネレーションデンドリマーA及びそれより高次(第三ジェネレーション)のデンドリマーBの模式的図である。
【図2】図2は、デンドロンが配位子のフェニル環にのみ結合したイリジウ系デンドリマーの第一ジェネレーション(1)及び第二ジェネレーション(2)面状異性体を示す図である。
【図3】図3は、デンドロンがフェニルピリジン配位子のフェニル及びピリジン環の両方に結合した第一ジェネレーション樹枝状配位子を製造するための反応経路を示す図である(例1〜6)。
【図4】図4は、図3で製造された配位子を用いた第一ジェネレーションイリジウムデンドリマーを製造する二つの方法の反応経路を示した図である。(一つの方法は例7に記載されている)。
【図5】図5は、第一ジェネレーションイリジウムデンドリマーB−4を製造するための別の反応経路を示す図である(例8〜10)。
【図6】図6は、一つを超える種類のデンドロンを含有する第一ジェネレーションイリジウムデンドリマーを製造するための反応経路を示す図である(例11〜14)。
【図7】図7は、デンドリマーA−8のエレクトロルミネッセンススペクトルを示す図である。
【図8】図8は、デンドリマーA−8を含有するOLEDデバイスの外部効率を示す図である。
【図9】図9は、デンドリマーA−8を含有するOLEDデバイスの発光効率を示す図である。
【図10】図10は、デンドリマーA−8を含有するOLEDデバイスの外部量子効率を示す図である。
【図11】図11は、本発明のデンドリマーについての要件を図式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(発明の詳細な説明)
本発明は、芯に結合したデンドロンの数及びそれらの空間的分布を調節することにより有機金属芯デンドリマーの分子間芯・芯相互作用を制御すること及びそれらのデンドリマーをOLEDに使用することを対象とする。
【0019】
本発明の第一の態様として、Mを中心としデンドリマーを含む概念的球の半球が前記第一単結合(即ち、芯を、デンドライトの分岐基又は分岐原子に結合している単結合)を欠くことがないという、必須のデンドロン空間分布は、金属陽イオンに錯化した二つ以上の配位子Xの各々に二つ以上のデンドロンを確実に結合させることにより達成される。従って、デンドリマーは、式(II);
M−[X(デンドライト(−Q)a)y]xYz (II)
〔式中、xは2以上の整数を表し、yは2以上の整数を表し、他の記号は式(I)について上で定義したのと同じである〕を有する。
【0020】
本発明の第二の態様として、有機金属デンドリマーは、金属含有芯の回りにデンドロンを一層均一に分布させた配置で、金属陽イオンに錯化した二つ以上の配位子Xの各々に結合した一つ以上のデンドロンを含有する。デンドロンが各配位子の同じ基に結合している場合、この態様のデンドリマーは八面体の幾何学的形態で配位子が金属陽イオンに結合している錯体については(面状であるよりもむしろ)メリジナルであり、四角平面の幾何学的形態で金属陽イオンに配位子が結合している錯体の場合には(シスよりもむしろ)トランスであることが好ましい。例えば、芯の一部分としてイリジウム(III)を含むデンドリマーでは、金属陽イオンに結合した2−フェニルピリジン配位子は、全てのデンドロンがフェニル環に結合しているようにすることができるであろう。分子間相互作用を制御することが重要である場合、配位子の少なくとも二つ、一層好ましくは全ての配位子上にデンドロンを有することが好ましい。二つ以上のデンドロンが配位子に結合している場合、デンドリマーの芯の所で金属錯体についてメリジナル及びトランスの配置を有することも可能である。分子間相互作用を制御する本発明の別の側面は、芯の一部分を形成する金属陽イオンの回りに、配位子の異なった部分にデンドロンが結合している配位子の組合せを有することである。例えば、デンドリマー芯の一部分としてfac−イリジウム(III)錯体を有する場合、デンドロンの結合は、一つのデンドロンが一つの2−フェニルピリジル配位子のピリジル環上にあり、他の二つのデンドロンが他の二つの2−フェニルピリジル配位子のフェニル環に結合しているようにすることができるであろう。一つのデンドロンを有する配位子と二つ以上のデンドロンを有する配位子との組合せを用いることもできる。
【0021】
例えば、四角平面状錯体の場合には、デンドリマーを含む概念的球を、前記第一単結合(即ち、デンドライトの分岐基又は分岐原子に芯を結合している単結合)がすべて、得られる二つの半球の交わる平面内にあるようなやり方で分割することが可能であることもある。本発明に関連して、そのような半球が「前記第一単結合を欠く」ことは無いということは理解されなければならない。従って、例えば、Mについてトランス四角平面状配列にある前記第一単結合を二つだけ含むデンドリマーは、概念的球の半球が前記第一単結合を欠くことがないとの要件によって排除されることはない。一方、Mについてシス四角平面状配列にある前記第一単結合を二つだけ含むデンドリマーは、この要件により排除される。なぜなら、概念的球が、一つの半球が前記第一単結合の両方を含み、他方の半球が前記第一単結合を欠くような仕方で分割され得るからである。
【0022】
図11は、デンドロンDの配列が、本発明の要件をデンドリマーが満足している(即ちB及びY)又は満足していない(即ちA及びX)幾つかの金属中心デンドリマーの模式的表示を示している。図面は、対称性を示すように簡単化されており、デンドロンが結合しており、金属に結合することになる配位子は示していない。どの場合でも、図解はデンドリマーを含む概念的球を示しており、その概念的球は例示的な一組の半球に分割されている。A及びXの両方については、半球の一つはデンドロンに対する単結合を含まず、従って、これらは本発明には含まれないことが分かるであろう。Bでは、半球は両方共デンドロンを含み、デンドロンを含まない半球を選択することができず、従ってこれらは本発明に入る。Yは、単結合が二つの半球の交わる平面内にある、上で論じた限定的場合を例示しており、XとYとの差はそれでも明確に分かる。
【0023】
本発明の全ての態様で、一つ以上の表面基は、デンドロンの末端の所で結合することができる。デンドリマーの芯は、デンドロンの分岐基又は分岐原子に結合した第一単結合で終わっている。典型的には、分岐基又は分岐原子は、一つを超える分岐鎖が結合したアリール又はヘテロアリール基又はNである。金属陽イオンに結合した配位子は、金属陽イオンの配位条件が満たされ、有機金属デンドリマーが中性になるようになっていなければならず、即ち、デンドリマーの電荷をバランスさせるのに殊更な対陰イオンは不必要である。対陰イオンの存在は、デバイス性能にとって有害になることがある。
【0024】
選択される金属陽イオンは、蛍光又は燐光デンドリマーを生ずることができるが、燐光デンドリマーが好ましい。燐光は、幾つかのd及びfブロック元素の金属錯体から観察することができるが、イリジウム、白金、及びレニウムに基づくデンドリマーが好ましい。ロジウムも用いることができる。
【0025】
金属に結合した配位子は、一、二又は三デンテイトとすることができるが、二デンテイトが好ましい。
【0026】
本発明に関連して、有機金属デンドリマーは、少なくとも一つの有機配位子が金属に配位したものであると理解すべきである。そのようなデンドリマーは必ずしも金属・炭素結合を含んでいなくてもよい。なぜなら、有機配位子は炭素以外の原子、例えば、窒素原子によって金属へ配位することができるからである。しかし、少なくとも一つの金属・炭素結合を含むデンドリマーが好ましい。デンドロンの少なくとも一つは、少なくとも一つの金属・炭素結合を介して金属に結合した配位子に結合しているのが好ましい。例えば、デンドロンは、シクロ金属化環の一部分である配位子に結合していてもよい。
【0027】
デンドリマーは、PCT/GB02/00750又は同時係属中の英国特許出願No.0206356.8に記載されている種類のものであるのが好ましく、一層詳細な点についてはそれらを参照すべきであるが、少なくとも二つのデンドライト基を有し、Mを中心とし前記デンドリマーを含む概念的球の半球が前記第一単結合を欠くことがないという要件を満足する。
【0028】
デンドライトは同じか又は異なり、各々、アリール及び/又はヘテロアリール基又は窒素及び、任意選択的に、前記(ヘテロ)アリール、ビニル及びアセチレニル基のsp2又はsp混成炭素原子を介して又はNと(ヘテロ)アリール基との間の単結合を介して結合されたビニル又はアセチレニル基を含む、本来的に少なくとも部分的に共役した樹枝状分子構造体を表しているのが好ましく、芯は、第一単結合で終わっており、その単結合は、第一(ヘテロ)アリール基のsp2混成(環)炭素原子又は一つを超える少なくとも部分的に共役した樹枝状分岐が結合した窒素に結合しており、前記環炭素原子又はNは、前記デンドライトの一部分を形成している。
【0029】
これに関連して、本来的に少なくとも部分的に共役した樹枝状構造体は、その樹枝状構造体を構成している基の間に共役が存在するが、π系が必ずしも完全に非局在化されているとは限らない構造体である。π系の非局在化は、結合物の位置化学(regiochemistry)に依存する。そのような樹枝状構造体は、共役樹枝状構造体とも呼ぶことができる。
【0030】
一つの態様として、少なくとも一つのデンドライトは、芳香族環系の一部分を形成するか、又は、例えば同時係属中の英国特許出願No.0206356.8に記載されている種類のもののように、少なくとも二つの芳香族基に直接結合した少なくとも一つの窒素原子を含む樹枝状分子構造体を表し、芯は、一つを超える樹枝状鎖が結合した第一窒素原子又は芳香族環に対する単結合で終わっており、前記窒素原子又は環は、前記デンドライトの一部分を形成している。
【0031】
好ましい態様として、デンドリマーは、式(III):
【0032】
【化1】
【0033】
〔式中、Mは、形式的電荷r+を有する金属陽イオンであり、Z1及びZ2は、任意選択的に置換されていてもよい完全な5又は6員環アリール又はヘテロアリール環に必要な基であり、デンドライト1及びデンドライト2はデンドロンであり、Yは、中性又は陰イオン性配位子であり、zが1より大きい場合、Yは各々同じか又は異なることができ、xは1以上の整数であり、zは、0、1、2、又は3であり、デンドリマーは、r=(p.x)+(q.z)であるように中性である。〕
を有する。xは、2又は3であるのが好ましい。
【0034】
Z1は、任意選択的に融合環系の一部分とすることのできる5又は6員環アリール又はヘテロアリール環が、フェニル、ピリジル、チオフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、ベンズアミダゾリル、カルバゾリル、フルオレニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、キノリニル、イソキノリニル、キノクサリニル、ベンゾチオフェニル、フタラジニル、キナゾリニル、イミダゾリル、ピラゾリニル、オキサゾリニル、オキサジアゾリニル、トリアゾリル、トリアジニル、チアジアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、フェナントリジニル、フリル及びベンゾチオフェニルから選択されているようであることが好ましい。Z2は、任意選択的に融合環系の一部分とすることのできる5又は6員環アリール又はヘテロアリール環が、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、キノクサリン、フタラジン、キナゾリン、ナフトリジン、シノリン、ピリミジン、フェナントロリン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、チアジアゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール及びフェナントリジンから選択されているようであることが好ましい。(ヘテロ)アリール環の適当な任意選択的置換基には、ハロ、アルキル(C1〜15)、ハロアルキル(例えば、CF3、CF2CF3)、アルキルオキシ、アリールオキシアリール、アルキルオキシアリール、アリール、アルキルアリール、シアノ、アミノ、ジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、アルキルチオ、アリールチオ、スルフィニル、スルホニル、アリールオキシ、アルキルアリールアミノ、ベンジルアルコール(benzylic alcohol)及びアルデヒドが含まれる。
【0035】
好ましい配位子Yには、式(IV):
【0036】
【化2】
【0037】
(Z1及びZ2は上で定義した通りであり、*はMへの結合を表す。)
の配位子が含まれる。他の好ましい配位子Yには、β−ジケトネート、2−カルボキシルピリジン、例えばピコリン酸、トリアリールホスフィン、例えばトリフェニルホスフィン、トリアルキルホスフィン、エチレンジアミン、シアン化物、一酸化炭素及び一硫化炭素が含まれる。
【0038】
デンドロンは、非共役単位、フレシェ(Frechet)型デンドロンのような共役単位と非共役単位との組合せ、又は共役単位を含むことができる。一つを超えるデンドロンを含むデンドリマーは、これらの種類の組合せを有することができるが、共役デンドロンが好ましい。少なくとも一つの共役デンドロンが存在するのが好ましい。二つ以上の配位子に共役デンドロンが結合しているのも更に好ましく、全ての配位子に共役デンドロンが結合しているのが更に好ましい。デンドロンは結合単位中に酸素原子を含まないのが好ましいが、酸素原子は表面基の中に存在していてもよい。
【0039】
共役デンドロンは分岐単位及び任意選択的に結合単位を含んでいる。分岐基は、三つ以上の結合物を有する。分岐単位は、アリール及び/又はヘテロアリール単位及び/又は窒素原子とすることができる。結合単位はアリール、ヘテロアリール、ビニル又はアセチレニルとすることができる。アリール又はヘテロアリール単位は、融合環系とすることができる。共役デンドロンが用いられる場合、非対称的デンドリマーが形成されるように、異なった結合配列及び/又はジェネレーションを用いることができる。一般に、デンドリマーは第二ジェネレーション以上であるのが有利である。しかし、デンドロンが更に一層均一に芯の回りに分布している本発明のデンドリマーの場合、低いジェネレーションで高いジェネレーションデンドリマーの利点の多くを達成することができ、材料の合成が簡単になる。
【0040】
共役デンドロンを有する有機金属デンドリマーは、主に二つの方法で形成することができる。本発明の一部分として本明細書に記載する有機金属デンドリマーについての希望の配列で、デンドロンを配位子に結合し、次いでその配位子を金属陽イオンに結合することができる。或いは、同じか又は異なる適当な反応性部分を有する配位子(単数又は複数)を、金属陽イオンに対して錯化し、そのようにして形成された錯体を、次に適当な反応性官能基をそれらの焦点の所に有する一つ以上のデンドロンと反応させることができる。配位子又はデンドロンが臭素又は沃素のようなハロゲン化物を含む場合、その相補的成分は、ボロン酸、ボロン酸エステル、スタナンのような基を含むことができ、又はビニル基又はアセチレニル基を、それら二つをパラジウム触媒を用いて結合することができるように含むことができる。最終的デンドリマー中の配位子に一つを超えるデンドロンが結合されている場合、一つ以上を金属陽イオンへ錯化する前に配位子に付加し、残りのデンドロンを錯化後に配位子の適当な反応性部分を有する点に付加することができる。
【0041】
好ましい態様として、有機金属デンドリマーは、可視光を発することができる。別の態様として、有機金属デンドリマーは、電荷輸送性を有する。光を発生するデンドリマーは電荷を輸送することもできることに注意すべきである。有機金属デンドリマーには、光通信に適した波長の光を発することのできるものもある。
【0042】
表面基Qは、PCT/GB02/00750に記載されている種類のものであるのが好ましく、一層詳細な点についてはそれを参照すべきである。適当な表面基には、分岐及び非分岐アルキル、特にt−ブチル、分岐及び非分岐アルコキシ、例えば2−エチルヘキシルオキシ、ヒドロキシ、アルキルシラン、カルボキシ、カルブアルコキシ、及びビニルが含まれる。一層包括的なリストには、一層反応性のアルケン、(メタ)アクリレート、硫黄含有又は珪素含有基;スルホニル基;ポリエーテル基;C1〜C15アルキル(好ましくはt−ブチル)基;アミン基;モノ−、ジ−又はトリ−C1〜C15アルキルアミン基;−COOR基(ここでRは水素又はC1〜C15アルキルである);−OR基(ここでRは、水素、アリール、又はC1〜C15アルキル又はアルケニルである);−O2SR基(ここでRは、C1〜C15アルキル又はアルケニルである);−SR基(ここでRは、アリール、又はC1〜C15アルキル又はアルケニルである);及び−SiR3基〔ここでR基は、同じか又は異なり、水素、C1〜C15アルキル又はアルケニル、又は−SR'基(R'は、アリール、又はC1〜C15アルキル又はアルケニルである。)、アリール、又はヘテロアリールである〕;が含まれる。典型的には、t−ブチル及びアルコキシ基が用いられる。異なるデンドロン又は一つのデンドロンの異なる末端基上に、異なる表面基が存在していてもよい。表面基が結合されるデンドロンの末端基は、(ヘテロ)アリール基であるのが好ましい。t−ブチル基が、フェニル環に結合した表面基である場合、一つを超えるものが末端フェニル単位の各々に結合しているのが好ましい。
【0043】
有機金属デンドリマーの表面基は、溶液処理に適した溶媒、例えば、THF、トルエン、クロロホルム、クロロベンゼン、キシレン及びメタノールのようなアルコール溶媒に対しデンドリマー混合物が可溶性であるように一般に選択される。表面基は、デンドリマーをパターニングできるように選択することもできる。例えば、照射又は化学的反応により架橋することができる架橋可能基を選択することができる。或いは、表面基は、架橋可能基を残すように除去することができる保護基を含むことができる。
【0044】
デンドリマーの性質は、溶液処理に対しそれらを理想的なものにする。デンドリマーは溶媒に溶解し、その溶液を基体上に付着させ、溶媒を除去して固体フィルムを残すようにすることができる。例えば、スピンコーティング、印刷(例えば、インクジェットプリント)及びディップコーティングのような慣用的溶液処理技術を用いることができる。有機金属デンドリマーを含有する固体フィルムは、蛍光又は燐光性とすることができる。固体フィルムは、基体の一方の側に形成するのが好ましく、固体フィルムの厚さは2μより小さいのが好ましい。
【0045】
本発明は、一つ以上の有機金属デンドリマーを含む固体フィルムを組込んだOLEDをも提供する。その最も簡単な形態として、少なくとも一方の電極が発光に対して透明である二つの電極の間に挟んだ発光層から有機発光又はエレクトロルミネッセンスデバイスを形成することができる。アノードと発光層との間に一つ以上のホール輸送層及び/又は発光層とカソードとの間に一つ以上の電子輸送層が、屡々存在する。一つの好ましい態様においては、有機金属デンドリマー含有フィルムはOLED中の発光層を形成する。この発光層中でデンドリマーが発光物質であることが特に好ましい。別の態様においては、有機金属デンドリマー含有フィルムはOLED中の電荷輸送層を形成する。
【0046】
そのようなデバイスは、透明基体層、例えば、ガラス又はPET層、透明電極層、発光層及び第二電極を含む慣用的構成を有することができる。アノードは、一般に透明であるが、インジウム錫酸化物(ITO)から作られているのが好ましいが、酸化インジウム/酸化錫、酸化錫/アンチモン、酸化亜鉛/アルミニウム、金及び白金を含む他の同様な材料も用いることができ、PANI(ポリアニリン)又はPEDOT/PSSのような伝導性重合体を用いることもできる。カソードは、通常Al、Ca、Mg、Li又はMgAlのような低仕事関数金属又は合金から、任意選択的にLiFの付加的層と共に作られている。別の形態においては、基体は、珪素のような不透明材料から形成してもよく、光は反対側の電極を通って放射される。OLEDデバイスは能動的に又は受動的にアドレスされてもよい。
【0047】
上で述べたように、有機金属デンドリマーが発光性である場合の典型的なOLEDデバイスの場合、有機金属デンドリマーを含有する溶液を、透明な電極層の上に適用し、溶媒を蒸発し、次に、続く電荷輸送層を適用することができる。OLED中のデンドリマー層の厚さは、典型的には10nm〜1000nm、好ましくは200nm以下、一層好ましくは30nm〜120nmである。アノードと、発光性有機金属デンドリマー含有層との間にホール輸送層が組込まれる場合、そのホール輸送材料は、溶液付着中、有意な程度除去されることのないようにしなければならない。
【0048】
有機金属デンドリマーを含む発光層を組込んだOLEDデバイスは、隣接する第一及び/又は第二電荷輸送層を任意選択的に有していてもよい。有機金属デンドリマーについての我々の研究では、発光デンドリマー層とカソードとの間にホールブロッキング/電子輸送層を有するのが特に有利であることが見出されている。そのようなホールブロッキング/電子輸送層に適した材料は公知であり、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)、1,3,5−トリス[2−N−フェニルベンズイミダゾリル]ベンゼン(TPBI)、2−ビフェニル−5(4'−t−ブチルフェニル)オキサジアゾール(PBD)、アルミニウムトリス(8−ヒドロキシキノレート)(Alq)、及びアルミニウムビス(2−メチル−8−キノラト)−4−フェニルフェノレート(BAlq)が含まれる。
【0049】
更に、デバイスの特性、例えば、効率及び寿命を改良するため、有機金属デンドリマーの層に、付加的発光性(蛍光又は燐光)又は電荷輸送性物質を任意選択的に添加してもよい。更に、改良された性能を与えるため、デンドリマーの混合物として一種類以上の他の分子状及び/又は樹枝状及び/又は重合体状物質を含有させることも有利になることがある。一つの態様においては、そのような付加的成分は、全混合物の95〜5モル%の部分を形成する。別の態様においては、それら付加的成分は、混合物の50重量%より多く、一層好ましくは70重量%より多くの部分を形成する。その態様では、それら付加的分子状、樹枝状、又は重合体状物質、例えば、共役重合体又はデンドリマーは、それら本来の特性により電荷を輸送できることが好ましい。更に別の態様においては、付加的成分は、混合物の50重量%未満、一層好ましくは30重量%未満を形成する。例えば、発光性デンドリマーと共に用いられる付加的電荷輸送性成分には、TPBI、PBD、BCP、4,4'−ビス(N−カルバゾール)ビフェニル(CBP)、4,4',4''−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)、及びトリス−4−(N−3−メチルフェニル−N−フェニル)フェニルアミン(MTDATA)、及びそれらの置換誘導体が含まれる。
【0050】
そのようなデンドリマーは、一つ以上の層を含むことができる光電池のような他のデバイス用途で用いることもできる。光電池で用いた場合、デンドリマーは光を吸収し、且つ/又は電荷を輸送することができなければならない。デンドリマーは、光電池デバイスでは均質な層として用いるか、又は他の分子状及び/又は樹枝状及び/又は重合体樹枝状材料と混合されていてもよい。デンドリマーは、光電池デバイスの一つ以上の層中に用いてもよい。
【0051】
本発明を、図面を参照して、次の例で記述する。
【実施例】
【0052】
例1
A−1
3−(3',5'−ジブロモフェニル)−2−プロペナル
アルゴン中、400cm3のエーテル中にt−ブトキシド(13.0g、116mM)、(1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)トリ−n−ブチルホスフィン臭化物塩(4.5M、32cm3、144mM)を入れた低温(氷水浴)溶液に、3,5−ジブロモベンズアルデヒド(16.1g、61.0mM)を添加した。その混合物を0〜2℃で2時間撹拌し、1.0MのHCl水溶液(300cm3)をその混合物に添加した。反応を徐々に室温へ暖め、室温で21時間撹拌した。二つの層を分離した。水性層をエーテル(3×200cm3)で抽出した。有機層及びエーテル抽出物を合わせ、塩水(1×300cm3)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を完全に除去すると、黄色の固体が残った。その固体を溶離剤として酢酸エチル・軽質石油(40〜60℃)を用いてシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、無色の固体として3.36g(19%)のA−1を得た;δH(200MHz;CDCl3)6.68(1H、dd、J7.4&16Hz、ビニルH)、7.33(1H、d、J16Hz、ビニルH)、7.33(2H、m、ArH)、7.63(1H、m、ArH)、及び9.72(1H、d、J7.6Hz、CHO);m/z[Cl(NH3)]306、308、310(MNH4+)、及び288、290、292(M+)。
【0053】
例2
A−2
3−{3',5'−ジ[4''−(2'''−エチルヘキシルオキシ)フェニル]フェニル}−2−プロペナル
PCT/GB02/00739の例4に従って調製された硼素化合物G0−BX2(647mg、2.59mM)、3−(3',5'−ジブロモフェニル)−2−プロペナルA−1(326mg、1.24mM)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(91mg、0.079mM)、2MのNa2CO3(水溶液)(1.0cm3)、EtOH(1.0cm3)及びトルエン(3.5cm3)の混合物を脱ガスし、次にアルゴン中18時間還流しながら(106℃の浴温度で)加熱した。その混合物を周囲温度へ冷却し、次に水(5cm3)及びエーテル(6cm3)で希釈した。二つの層を分離した。水性層をエーテル(3×5cm3)で抽出した。有機層及びエーテル抽出物を合わせ、塩水(1×10cm3)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を完全に除去した。残渣を溶離剤としてDCM・軽質石油(0:1〜1:30及び1:10)を用いてシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、明黄色の油として607mg(100%)のA−2を得た;δH(200MHz;CDCl3)0.80−1.05(12H、m、Me)、1.24−1.64(16H、m、CH2)、1.68−1.88(2H、m、CH)、3.91(4H、m、ArOCH2)、6.84(1H、dd、J7.8&16Hz、ビニルH)、7.20(1H、d、J16Hz、ビニルH)、7.58(4H、m、ArH)、7.67(2H、m、ArH)、7.79(1H、m、ArH)、及び9.77(1H、d、J16Hz、CHO);m/z[APCI+]541(MH+)。
【0054】
例3
A−3
3−ブロモフェニルアシル臭化物(956mg、3.44mM)と44cm3のアセトンとの混合物に、ピリジン(6cm3)を添加した。反応を室温で2時間撹拌し、減圧下で溶媒を除去した。得られた沈澱物をエーテル(4×10cm3)で洗浄し、減圧下で乾燥したところ、明るいピンク/クリームの固体として1.18g(96%)のA−3が残った。
【0055】
例4
A−4
2−(3'−ブロモフェニル)−4−{3'',5''−ジ[4'''−(2''''−エチルヘキシルオキシ)フェニル]フェニル}−ピリジン
3−{3',5'−ジ[4''−(2'''−エチルヘキシルオキシ)フェニル]フェニル}−2−プロペナル(607mg、1.12mM)、ピリジニウム塩A−3(481mg、1.35mM)及び12cm3のエタノールの混合物に、酢酸アンモニウム(5.97g、77.5mM)を添加した。その混合物を撹拌し、アルゴン中、90℃の油浴で5時間加熱した。その混合物を水(10cm3)で希釈し、DCM(4×15cm3)で抽出した。DCM抽出物を合わせ、塩水(1×30cm3)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、溶媒を除去したところ、明褐色の油が残った。その油を、溶離剤としてDCM・軽質石油(0:1〜1:40)を用いてシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、明黄色の油として292mg(36%)のA−4を得た;δH(200MHz;CDCl3)0.78−1.04(12H、m、Me)、1.17−1.64(16H、m、CH2)、1.67−1.88(2H、m、CH)、3.92(4H、m、ArOCH2)、7.01(4H、m、ArH)、7.08−8.03(13H、m、ArH&PyH)、8.25(1H、m、ArH)、及び8.78(1H、m、PyH);m/z[APCI+]717、718、719、720、721、722(M+)。
【0056】
例5
A−5
4−{3',5'−ジ[4''−(2'''−エチルヘキシルオキシ)フェニル]フェニル}−2−(3''''−{3''''',5'''''−ジ[4''''''−(2'''''''−エチルヘキシルオキシ)フェニル]フェニル}フェニル)−ピリジン
PCT/GB02/00739の例6に従って調製された硼素化合物G1−BX2(1.19mg、1.66mM)、臭化アリールA−4(1.14g、2.16mM)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(134mg、0.116mM)、2MのNa2CO3(水溶液)(2.0cm3)、EtOH(2.0cm3)及びトルエン(7cm3)の混合物を脱ガスし、次にアルゴン中86時間還流しながら(105℃の浴温度で)加熱した。その混合物を周囲温度へ冷却した。二つの層を分離した。水性層をエーテル(3×6cm3)で抽出した。有機層及びエーテル抽出物を合わせ、塩水(1×18cm3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を完全に除去した。残渣を溶離剤としてDCM・軽質石油(0:1〜1:10)を用いてシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、明黄色の油として755mg(41%)のA−5を得た;λmax/nm(薄膜)270;δH(200MHz;CDCl3)0.80−1.08(24H、m、Me)、1.22−1.65(32H、m、CH2)、1.69−1.91(4H、m、CH)、3.92(8H、m、ArOCH2)、6.92−7.12(8H、m、ArH)、7.51−7.83(16H、m、PyH&ArH)、8.03−8.12(3H、m、PyH&ArH)、8.41(1H、m、ArH)、及び8.83(1H、m、PyH);m/z[APCI+]1122、1123、1124、1125、1126(M+)。
【0057】
例6
A−6
4−ブロモ−2−(3'−ブロモフェニル)−ピリジン
2,4−ジブロモピリジン(3.30g、13.9mM)、3−ブロモフェニルボロン酸(3.69g、16.7mM)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(643mg、0.557mM)、2MのNa2CO3(水溶液)(12cm3)、EtOH(12cm3)及びトルエン(40cm3)の混合物を脱ガスし、次にアルゴン中3.5日間110℃の浴温度で還流加熱した。反応を冷却し、二つの層を分離した。水性層をエーテル(3×13cm3)で抽出した。有機層及びエーテル抽出物を合わせ、塩水(1×30cm3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を完全に除去したところ、黒褐色の油が残った。その油を、溶離剤としてDCM・軽質石油(0:1〜1:10)を用いてシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、白色固体として1.03g(24%)のA−6を得た;δH(200MHz;CDCl3)7.36(1H、m、ArH)、7.45(1H、m、PyH)、7.58(1H、m、ArH)、7.89(2H、m、PyH&ArH)、8.16(1H、m、ArH)、及び8.52(1H、m、PyH);m/z[APCI+]311、314、316(MH+)。
【0058】
例7
A−8
facトリス[4−{3',5'−ジ[4''−(2'''−エチルヘキシルオキシ)フェニル]フェニル}−2−(3''''−{3''''',5'''''−ジ[4''''''−(2'''''''−エチルヘキシルオキシ)フェニル]フェニル}フェニル)−ピリジン]イリジウム(III)
配位子A−5(200mg、0.178mM)、Ir(acac)3(12.4mg、0.025mM)及びグリセロール(1cm3)の混合物を脱ガスし、次に加熱マントルを用いて220℃で14時間加熱した。その混合物を周囲温度へ冷却した。その混合物をアセトン(8cm3)及びDCM(3cm3)中へ溶解した。その溶液を静置し、デンドリマーを含有する層をグリセロール層から分離した。その混合物を蒸発して約4cm3にし、溶離剤として軽質石油を用いてシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、黄橙色の固体として9mg(10%)のA−8を得た;λmax/nm(薄膜)277;δH(400MHz;CDCl3)0.87−1.02(72H、m、Me)、1.24−1.62(96H、m、CH2)、1.69−1.83(12H、m、CH)、3.80−3.97(24H、m、ArOCH2)、6.90−7.07(24H、m、ArH)、7.23(3H、m、PyH)、7.32−7.93(51H、m、ArH&PyH)、8.14(3H、m、PyH)、及び8.34(3H、m、PyH);m/z[MALDI]3560、3561、3562、3563、3564、3565、3567、3568(M+)。
【0059】
例8
B−1
5−ブロモ−2−(3'−ブロモフェニル)−ピリジン
2,5−ジブロモピリジン(4.33g、17.7mM)、3−ブロモフェニルボロン酸(4.70g、21.3mM)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(800mg、0.692mM)、2MのNa2CO3(水溶液)(18cm3)、EtOH(18cm3)及びトルエン(50cm3)の混合物を脱ガスし、アルゴン中23時間105℃の浴温度で還流加熱した。反応を冷却し、二つの層を分離した。水性層をエーテル(3×15cm3)で抽出した。有機層とエーテル抽出物とを合わせ、塩水(1×40cm3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を完全に除去したところ、オレンジ色の油が残った。その油を、溶離剤としてDCM・軽質石油(0:1〜1:10)を用いてシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、淡黄色の固体として2.50g(45%)のB−1を得た;δH(200MHz;CDCl3)7.26−7.42(1H、m、ArH)、7.57(2H、m、PyH&ArH)、7.88(2H、m、PyH&ArH)、8.14(1H、m、ArH)、及び8.74(1H、m、PyH);m/z[CI(NH3)]312、314、316(MH+)。
【0060】
例9
B−3
facトリス[5−ブロモ−2−(3'−ブロモフェニル)−ピリジン]イリジウム(III)
5−ブロモ−2−(3'−ブロモフェニル)ピリジン(1.00g、3.20mM)、塩化イリジウム三水和物(250mg、0.709mM)、H2O(6.3cm3)及び2−エトキシエタノール(19cm3)の混合物を、窒素流中24時間127℃の浴温度で還流加熱し、然る後、冷却した。その混合物から明橙黄色の固体が沈澱した。その混合物から液体を除去し、沈澱物を残した。沈澱物を90%EtOH(3×10cm3)で、その後EtOH(1×10cm3)で洗浄した。その固体を乾燥し、所望の生成物としての656mgの黄橙色の固体及び過剰の配位子を得た。
【0061】
上で得られた生成物(656mg)、5−ブロモ−2−(3'−ブロモフェニル)−ピリジンB−1(696mg、2.22mM)及びトリフルオロメタンスルホン酸銀(220mg、0.856mM)の混合物を、アルゴン中一週間160〜163℃の浴温度で加熱した。次に反応を室温へ冷却し、褐色の固体を得た。その固体を、溶離剤として酢酸エチル・軽質石油(0:1〜1:20)を用いてシリカゲルによりカラムクロマトグラフィーにより精製し、495mgの過剰の配位子を得、次に溶離剤としてDCM・軽質石油(1:4〜1:0)を用いて、黄色粉末として753mg(塩化イリジウム三水和物についての二つの工程に対して94%)のB−3を得た;δH(200MHz;CDCl3)6.55(1H、m、ArH)、6.95(1H、m、PyH)、7.54(1H、m、ArH)、及び7.71−7.89(3H、m、ArH&PyH);m/z[APCI+]1126、1127、1128、1129、1130、1131、1132(MH+)。
【0062】
例10
B−4
facトリス[5−{3',5'−ジ[4''−(2'''−エチルヘキシルオキシ)フェニル]フェニル}−2−(3''''−{3''''',5'''''−ジ[4''''''−(2'''''''−エチルヘキシルオキシ)フェニル]フェニル}フェニル)−ピリジン]イリジウム(III)
PCT/GB02/00739の例6に従って調製された硼素化合物G1−BX2(1.26mg、0.858mM)、トリス[5−ブロモ−2−(3'−ブロモフェニル)ピリジン]イリジウム(III)(178mg、0.158mM)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(36mg、0.032mM)、2MのNa2CO3(水溶液)(1.0cm3)、EtOH(1.0cm3)及びトルエン(3.0cm3)の混合物を脱ガスし、次にアルゴン中64時間105℃の浴温度で還流加熱した。その混合物を冷却した。その混合物を、溶離剤としてDCM・軽質石油(0:1〜1:30)を用いてシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、次に溶離剤としてDCM・軽質石油(1:30)を用いてクロマトトロン(chromatotron)により精製し、オレンジ色の固体として30mg(5%)のB−4を得た;δH(200MHz;CDCl3)0.77−1.08(72H、m、Me)、1.15−1.86(108H、m、CH2&CH)、3.69(12H、m、ArOCH2)、3.89(12H、m、ArOCH2)、6.68(12H、m、ArH)、7.00(12H、m、ArH)、及び7.22−8.32(60H、m、ArH&PyH);m/z[MALDI]3562、3563、3564、3567、3568(M+)。
【0063】
例11
DEHP−Car
3,6−ジ[4'−(2''−エチルヘキシルオキシ)フェニル]カルバゾール
3,6−ジブロモカルバゾール(12.0g、37.1mM)、PCT/GB02/00739の例4に従って調製された硼素化合物G0−BX2(24.1g、96.4mM)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(800mg、0.692mM)、2MのNa2CO3(水溶液)(40cm3)、EtOH(40cm3)及びトルエン(100cm3)の混合物を脱ガスし、次にアルゴン中42時間(100℃の浴温度で)還流加熱した。その混合物を冷却し、H2O(30cm3)及びエーテル(40cm3)で希釈した。二つの層を分離した。水性層をエーテル(3×40cm3)で抽出した。有機層とエーテル抽出物とを合わせ、塩水(1×50cm3)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、濾過した。溶媒を完全に除去し、残渣を、溶離剤として酢酸エチル・軽質石油(0:1〜1:10)及びDCM・酢酸エチル・軽質石油(4:1:20)を用いてシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、14.7g(69%)のDEHP−Carを得た;m/z[APCI+]576(M+)。
【0064】
例12
C−1
臭化3−{3',6'−ジ[4''−(2'''−エチルヘキシルオキシ)フェニル]カルバゾリル}フェニル
3,6−ジ[4'−(2''−エチルヘキシルオキシ)フェニル]カルバゾールDEHP−Car(2.50g、4.34mM)、1−ブロモ−3−ヨードベンゼン(4.91g、17.4mM)、ナトリウムt−ブトキシド(834mg、8.68mM)、及び蒸留トルエン(12cm3)の脱ガスした〔真空にし、次にアルゴンを満たしたシュレンク(Schlenk)ライン〕混合物に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジ−パラジウム(0)[Pd2(dba)3](198mg、0.217mM)及びトリ−t−ブチルホスフィン(ヘキサン中10%、4.4cm3)を添加した。その混合物を再び脱ガスし、然る後、アルゴン中63時間110℃の浴温度で還流加熱した。得られたものを室温へ冷却し、H2O(20cm3)及びエーテル(25cm3)で希釈した。二つの層を分離した。水性層をエーテル(3×20cm3)で抽出した。有機層とエーテル抽出物とを合わせ、塩水(1×40cm3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を完全に除去したところ、オレンジ色の油が残った。その混合物を、溶離剤としてDCM・軽質石油(0:1〜1:10)を用いてシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、明橙色の油として1.65g(52%)のC−1を得た;δH(200MHz;CDCl3)0.80−1.06(12H、m、Me)、1.26−1.68(16H、m、CH2)、1.71−1.89(2H、m、CH)、3.93(4H、m、ArOCH2)、7.04(4H、m、ArH)、7.42−7.74(11H、m、ArH&CarH)、7.80(1H、m、ArH)、及び8.33(2H、m、CarH);m/z[APCI+]730、731、732、733、734(MH+)。
【0065】
例13
C−2
2−(3−{3',6'−ジ[4''−(2'''−エチルヘキシルオキシ)フェニル]カルバゾリル}フェニル)−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)
アルゴン雰囲気中、13cm3の無水THF中に臭化アリールC−1(1.64g、2.24mM)を入れた低温(ドライアイス/アセトン浴)溶液に、t−ブチルリチウム(1.7M、2.1cm3、3.59mM)を添加した。その混合物を−78℃で1時間撹拌し、次に2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(0.9cm3)を迅速にその低温混合物に添加した。反応を−78℃で2時間撹拌し、然る後、ドライアイス/アセトン浴から取り出した。次にその混合物を室温で18時間撹拌し、H2O(8cm3)でクエンチした。二つの層を分離した。水性層をエーテル(3×10cm3)で抽出した。有機層とエーテル抽出物とを合わせ、塩水(1×30cm3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を完全に除去した。溶離剤としてDCM・軽質石油(0:1〜1:0)を用いてシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、明褐色の油として554mg(32%)のC−2を得た;δH(200MHz;CDCl3)0.83−1.03(12H、m、Me)、1.24−1.68(28H、m、CH2&Me)、1.68−1.88(2H、m、CH)、3.92(4H、m、ArOCH2)、7.03(4H、m、ArH)、7.40−8.04(12H、m、CarH&ArH)、及び8.33(2H、m、CarH);m/z[APCI+]776、777、778、779、780(M+)。
【0066】
例14
C−3
4−ブロモ−2−(3'−{3'',6''−ジ[4'''−(2''''−エチルヘキシルオキシ)フェニル]カルバゾリル}フェニル)ピリジン
ボロレートC−2(500mg、0.643mM)、2,4−ジブロモピリジン(152mg、0.643mM)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(52mg、0.045mM)、2MのNa2CO3(水溶液)(0.8cm3)、EtOH(0.8cm3)及びトルエン(2cm3)の混合物を脱ガスし、次にアルゴン中45時間110℃の浴温度で還流加熱した。その混合物を冷却した。二つの層を分離した。水性層をエーテル(3×4cm3)で抽出した。有機層とエーテル抽出物とを合わせ、塩水(1×7cm3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を完全に除去した。溶離剤としてDCM・軽質石油(0:1〜1:0)を用いてシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、明褐色の固体として140mg(27%)のC−3を得た;δH(200MHz;CDCl3)0.82−1.07(12H、m、Me)、1.23−1.68(16H、m、CH2)、1.69−1.88(2H、m、CH)、3.93(4H、m、ArOCH2)、7.04(4H、m、ArH)、7.43−7.83(11H、m、CarH&ArH)、7.97(1H、m、PyH)、8.11(1H、m、PyH)、8.36(2H、m、CarH)、及び8.54(1H、m、PyH);m/z[APCI+]805、806、807、808、809(M+)。
【0067】
例15
光物理的性質及びデバイス特性
A−8及びB−4の薄膜の光ルミネッセンス量子効率(PLQY)を測定し、各々32%及び70%であることが判明した。これは、配位子のフェニル環の同じ位置のみに同じデンドロンが結合した第一ジェネレーションIrppyD1(22%)及び第二ジェネレーションIrppyD2(31%)デンドリマーのPLQY〔J.P.J.マーカムら、Appl. Phys. Lett., 80, 2645 (2002)〕と比較されるべきものである。即ち、第二の第一ジェネレーションデンドロンを配位子へ入れると、PLQYが50〜140%改善されるのである。このことは、本発明が、望ましくない分子間相互作用を制御していることを証明するものである。このことが更に証明するのは、トルエンにB−4を入れた溶液のPLQYが75%であり、これは薄膜PLQYに匹敵し、しかも固体状態でのルミネッセンスのクエンチングが殆ど無いことを示すことである。より高いジェネレーションのものを合成することは比較的困難であることを考慮すると、これは先行技術に対する顕著な改良である。更に別の実際的利点は、PLQYを高くし、ELデバイス効率を高くするために、デンドリマーをホスト材料と混合する必要はないことである。
【0068】
次の方法によりA−8を用いて二層デバイスを製造した。ガラス上のITOをエミテク・プラズマ・アッシャー(Emitech plasma Asher)を用いて清浄した。O2流量を10に設定し、RF電力を70Wにし、クリーニング時間を4分にした。次に基体をスピンコーター中へ直接導入し、10Mg/mlの濃度でクロロホルム中に入れたA−8を2000rpmで60秒間スピンコーティングした。デバイスは順次TPBI、LiF、及びAlを蒸発させ、ITO/A−8/TPBI(50nm)/LiF(0.9nm)/Al(60nm)のデバイス構造を与えることにより完成した。このデバイス特性を図7〜10に示す。最大効率は、3.5Vで22 lm/Wであった。C/E座標は、x=0.5、y=0.5である。これらの結果は、各々の配位子にデンドロンが一つだけ結合した第一ジェネレーションデンドリマー(IrppyD1)に比較すべきものである。ITO/IrppyD1/BCP/LiF/Alのデバイス構成では、最大効率は9.5Vで0.14 lm/W(0.47cd/A)であった〔S.-C.ローら、Adv. Mater., 13, 975 (2002)〕。電子輸送/ホールブロッキング層は異なっているが、それらがこの場合に2桁を超える差を与えるとは予想もされなかったことであろう。このことは、本発明により得られる驚くべき改良を更に明らかにするものである。
【0069】
B−4を用いてITO/B−4/TPBI/LiF(90.8nm)/Al(100nm)を有する二層デバイスを製造した。それは、A−8を含有するデバイスのために用いたのと同じ手順を用いて製造したが、デンドリマーは、20mg/ml溶液により2000rpmでスピンコーティングした。このデバイスの最大効率は、38 lm/Wであった。100cd/m2及び4.8Vで、EQEは13.2%、45cd/Aであり、電力効率は30 lm/Wであった。発光のCIE座標は、x=0.47、及びy=0.52であり、これは、ピリジン環に対するデンドロンの結合位置が異なっているため、A−8の場合よりも僅かにブルーシフトしている。B−4含有デバイスの効率は、A−8含有デバイスの効率よりもむしろ高い。両方のデンドリマーは、発光層の単一成分として用いることができ、高効率デバイスを与えるためにホスト材料と混合する必要はないことに注意すべきである。このことも、本発明の利点を更に明らかにするものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、デンドリマー(dendrimer)、その形成方法、及び電気光学的デバイス、特に発光デバイスにそれらを使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス(EL)デバイスとしても知られている有機発光ダイオード(OLED)は、発展し始めた表示技術である。基本的にはOLEDは、2つの電極の間に挟まれた薄い有機層又は有機層の積層体を含み、電圧を印加すると可視光その他の光を発する。それら電極の少なくとも一つは光に対し透明でなければならない。表示用途のためには、勿論その光は目に見えなければならず、従って、それら電極の少なくとも一つは可視光に対し透明でなければならない。
【0003】
OLEDで有機層を堆積させるのに用いることができる二つの重要な方法、すなわち加熱蒸着及び溶液処理が存在する。溶液処理は、潜在的に生産量が大きく、大きな基体を取扱うことができるため、比較的低コストの技術になる可能性を有する。適当な材料、特に重合体を開発するため、かなりの研究が行われてきた。より最近には、固体状態で発光する燐光有機金属デンドリマーが、OLEDで溶液処理可能な発光材料として非常に有望であることが示されてきた〔S.-C.ロー(Lo)ら、(Adv. Mater., 13, 975 (2002);J.P.J.マーカム(Markham)ら、Appl. Phys. Lett., 80, 2645 (2002)〕。溶液処理可能なOLEDの開発は進歩してきているが、依然として改良された効率及び寿命を有するOLEDが求められている。
【0004】
デンドリマーは、芯及び結合したデンドロン(dendron)(デンドライトとも呼ばれている)を有する分岐した巨大分子である。デンドロンは、分岐単位及び任意選択的に結合単位を含む分岐した構造体である。デンドロンのジェネレーション(generation)は、分岐点の組の数によって定められる。図1参照。より高いジェネレーション、即ち、より高次(higher order)のデンドロンは、同じ構造単位(分岐単位及び結合単位)から構成することができるが、追加された分岐レベル、即ち、繰り返し追加されたそれら分岐単位及び結合単位を有する。或いは、より高いジェネレーションは、追加された分岐レベルを有するが、より高いジェネレーションの所で異なった分岐及び結合単位を有することができる。デンドロンの周辺に表面基が存在することができる。
【0005】
発光デンドリマーは、発光芯を有するのが典型的であり、多くの場合少なくとも部分的に共役したデンドロンを有する。発光デンドリマーの更なる例には、P.W.ワン(Wang)ら、Adv. Mater., 8, 237 (1996);M.ハリム(Halim)ら、Adv. Mater., 11, 371 (1999);A.W.フリーマン(Freeman)ら、J. Am. Chem. Soc., 122, 12385 (2000);A.アドロノフ(Adronov)ら、Chem. Comm., 1701 (2000);C.C.クウォク(Kwok)ら、Macromolecules, 34, 6821 (2001)に見出されるものが含まれる。発光デンドリマーは、芯、デンドロン及び表面基の性質を独立に変化させることができると同時に、発光性及び処理性を独立に最適化することができるという、発光重合体に勝る利点を有する。例えば、デンドリマーの発光色は、芯を変えるだけで変化させることができる。そのような発光性デンドリマーは、電気光学的デバイス、特にOLEDで有用となり得る。
【0006】
デンドリマーは、粘度のような他の物理的性質によっても、利用可能な製造方法に対して、重合体よりも一層容易に適合し得る。有機金属デンドリマーは、従来OLED用途でフィルムの単一成分(即ち、フィルムそのもの)として、又は分子材料との混合物として、又は二種類以上の異なった種類(即ち、異なった芯)のデンドリマーの混合物として用いられてきた。例えば、J.M.ルプトン(Lupton)ら、Adv.Funct. Mater., 11, 287 (2001)、及びJ.P.J.マーカム(Markham)ら、Appl. Phys. Lett., 80, 2645 (2002)参照。
【0007】
有機発光及び輸送材料の光電子性で分子間相互作用は重要な役割を果たしている。緊密な接触及び良好な配列は大きな電荷易動度をもたらすことができるが、励起状態の二量体が形成されるため発光を低下することになることがある。以前の研究で、我々は分子間相互作用を、デンドリマーに結合したデンドロンのジェネレーションにより制御することができることを示した〔J.M.ルプトン(Lupton)ら、Phys. Rev. B, 63, 5206 (2001);J.P.J.マーカム(Markham)ら、Appl. Phys. Lett., 80, 2645 (2002)〕。しかし、我々は、一つの配位子当たり唯一つのデンドロンを含む有機金属デンドリマーについては、ジェネレーションが分子間相互作用について必ずしも適切な制御を与えるとは限らないことを見出した。例えば、J.P.J.マーカム(Markham)ら、Appl. Phys. Lett., 80, 2645 (2002)中のイリジウム系デンドリマーについては(図2参照)、第二ジェネレーション2の光ルミネッセンス量子効率は、第一ジェネレーション1の場合よりも大きいが、両方共、測定をデンドリマー分子間相互作用が存在していない希釈溶液中で行われた場合よりも低い。イリジウムデンドリマー1及び2について、デンドロンは二デンテイト(bidentate)配位子の一つの成分、即ち、フェニル環に結合しており、面状異性体〔facial(fac) isomer〕が形成される。この組合せは、デンドロンにより保護されていない芯の一つの面を残し、潜在的に有害な芯・芯相互作用を許す。
【0008】
V.バルザニ(Balzani)ら、Coord. Chem. Rev. 545, 291-221, (2001)では、トリスルテニウム2,2'−ビピリジン芯に基づくデンドリマーが知られている。これらのデンドリマーでは、二つのデンドロンが各々の2,2'−ビピリジン配位子に4及び4'の位置で結合している。しかし、2,2'−ビピリジンは中性配位子であり、これらの樹枝状錯体は、会合した対イオン、典型的には、PF6−によりバランスされなければならない正味の正電荷を有する。これら三つのビピリジン配位子はRuの球状配位を満たし、そのため、対イオンは金属の内部球状配位の一部分にはなっていないが、一層緩く会合している。OLED用途では、結合していない対イオンを有することは望ましくない。なぜなら、それらは印加電場の影響で移動することができ、それがOLEDデバイスの安定性に有害になることがあるからである。本発明は、中性、即ち、金属に直接配位/結合した配位子が電荷をバランスさせている有機金属デンドリマーに関する。
【0009】
我々は、OLEDに有害なこれらの都合の悪い芯・芯相互作用が、デンドリマー構造を変化させることにより解決できることを発見した。それを行う一つの方法は、金属陽イオンに錯化した一つを超える配位子に一つを超えるデンドロンを結合することである。例えば、2−フェニルピリジン配位子との八面体fac−イリジウム(III)錯体の場合、デンドロンをフェニル及びピリジル環の両方に結合し、次に二つ以上のこれらの配位子を金属陽イオンに錯化することができよう。本発明のこの態様では、有機金属デンドリマーは、各々の配位子に結合した一つを超えるデンドロンを含む。
【0010】
分子間芯・芯相互作用を制御する第二の方法は、異なった異性体を用いることによる。例えば、フェニル環に結合したデンドロンを有する2−フェニルピリジン配位子との八面体fac−イリジウム(III)錯体の場合、芯の一つの面はデンドロンによって保護されていない。メリジナル(meridinal)(mer)異性体を用いることにより、デンドロンを芯の回りに一層均一に分布させ、その結果芯はデンドロンにより一層保護される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、先行技術の問題点の幾つかを解決する、デンドリマー、それらの製造方法、及びそれらを含む光電子デバイス、特にOLEDに関する。特に、本発明は、OLED性能に有害な分子間相互作用を克服することを追及するものである。
【0012】
(発明の概要)
従って、本発明は、式(I):
芯−[デンドライト(−Q)a]n (I)
〔式中、芯(CORE)は、式MXxYz(ここでMは金属陽イオンを表し、xは1以上の整数を表し、同じか又は異なるXは、各々、一、二又は三デンテイト(dentate)配位基を表し、zは0又は1以上の整数を表し、同じか又は異なるYは、各々、配位基を表し、(b.x)+(c.z)の合計はMの配位点の数に等しく、ここでbはX上の配位点の数であり、cはY上の配位点の数である)の基を表し;nは2以上の整数を表し;同じか又は異なるデンドライト(DENDRITE)は、各々、基Xに結合した樹枝状分子構造体を表し;aは、0又は1以上の整数を表し;同じか又は異なるQは、各々、表面基を表し;芯は、デンドライトの分岐基又は分岐原子に結合した第一単結合で終わっている。〕の帯電中性有機金属デンドリマーであって、Mを中心とし前記デンドリマーを含む概念的球の半球が前記第一単結合を欠くことのない構造を有する、上記デンドリマーを提供する。
【0013】
式(I)において、Xが一デンテイト配位基である場合、bは1であり;Xが二デンテイト配位基である場合、bは2であり;Xが三デンテイト配位基である場合、bは3である。
【0014】
本発明は、順次、基体層、電極、任意選択的に第一電荷輸送層、発光層、任意選択的に第二電荷輸送層及び対電極を含み、前記発光層、任意選択的第一電荷輸送層及び任意選択的第二電荷輸送層の少なくとも一つが、本発明による有機金属デンドリマーを含むフィルムである有機発光層をも提供する。
【0015】
発光層が本発明による有機金属デンドリマーを含むフィルムであることが好ましい。
【0016】
有機金属デンドリマーを含むフィルムは、一つ以上の付加的物質を含んでいてもよく、それらは発光ドーパント、電荷輸送物質及び/又は付加的分子状、樹枝状及び/又は重合体状材料を含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、第二ジェネレーションデンドリマーA及びそれより高次(第三ジェネレーション)のデンドリマーBの模式的図である。
【図2】図2は、デンドロンが配位子のフェニル環にのみ結合したイリジウ系デンドリマーの第一ジェネレーション(1)及び第二ジェネレーション(2)面状異性体を示す図である。
【図3】図3は、デンドロンがフェニルピリジン配位子のフェニル及びピリジン環の両方に結合した第一ジェネレーション樹枝状配位子を製造するための反応経路を示す図である(例1〜6)。
【図4】図4は、図3で製造された配位子を用いた第一ジェネレーションイリジウムデンドリマーを製造する二つの方法の反応経路を示した図である。(一つの方法は例7に記載されている)。
【図5】図5は、第一ジェネレーションイリジウムデンドリマーB−4を製造するための別の反応経路を示す図である(例8〜10)。
【図6】図6は、一つを超える種類のデンドロンを含有する第一ジェネレーションイリジウムデンドリマーを製造するための反応経路を示す図である(例11〜14)。
【図7】図7は、デンドリマーA−8のエレクトロルミネッセンススペクトルを示す図である。
【図8】図8は、デンドリマーA−8を含有するOLEDデバイスの外部効率を示す図である。
【図9】図9は、デンドリマーA−8を含有するOLEDデバイスの発光効率を示す図である。
【図10】図10は、デンドリマーA−8を含有するOLEDデバイスの外部量子効率を示す図である。
【図11】図11は、本発明のデンドリマーについての要件を図式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(発明の詳細な説明)
本発明は、芯に結合したデンドロンの数及びそれらの空間的分布を調節することにより有機金属芯デンドリマーの分子間芯・芯相互作用を制御すること及びそれらのデンドリマーをOLEDに使用することを対象とする。
【0019】
本発明の第一の態様として、Mを中心としデンドリマーを含む概念的球の半球が前記第一単結合(即ち、芯を、デンドライトの分岐基又は分岐原子に結合している単結合)を欠くことがないという、必須のデンドロン空間分布は、金属陽イオンに錯化した二つ以上の配位子Xの各々に二つ以上のデンドロンを確実に結合させることにより達成される。従って、デンドリマーは、式(II);
M−[X(デンドライト(−Q)a)y]xYz (II)
〔式中、xは2以上の整数を表し、yは2以上の整数を表し、他の記号は式(I)について上で定義したのと同じである〕を有する。
【0020】
本発明の第二の態様として、有機金属デンドリマーは、金属含有芯の回りにデンドロンを一層均一に分布させた配置で、金属陽イオンに錯化した二つ以上の配位子Xの各々に結合した一つ以上のデンドロンを含有する。デンドロンが各配位子の同じ基に結合している場合、この態様のデンドリマーは八面体の幾何学的形態で配位子が金属陽イオンに結合している錯体については(面状であるよりもむしろ)メリジナルであり、四角平面の幾何学的形態で金属陽イオンに配位子が結合している錯体の場合には(シスよりもむしろ)トランスであることが好ましい。例えば、芯の一部分としてイリジウム(III)を含むデンドリマーでは、金属陽イオンに結合した2−フェニルピリジン配位子は、全てのデンドロンがフェニル環に結合しているようにすることができるであろう。分子間相互作用を制御することが重要である場合、配位子の少なくとも二つ、一層好ましくは全ての配位子上にデンドロンを有することが好ましい。二つ以上のデンドロンが配位子に結合している場合、デンドリマーの芯の所で金属錯体についてメリジナル及びトランスの配置を有することも可能である。分子間相互作用を制御する本発明の別の側面は、芯の一部分を形成する金属陽イオンの回りに、配位子の異なった部分にデンドロンが結合している配位子の組合せを有することである。例えば、デンドリマー芯の一部分としてfac−イリジウム(III)錯体を有する場合、デンドロンの結合は、一つのデンドロンが一つの2−フェニルピリジル配位子のピリジル環上にあり、他の二つのデンドロンが他の二つの2−フェニルピリジル配位子のフェニル環に結合しているようにすることができるであろう。一つのデンドロンを有する配位子と二つ以上のデンドロンを有する配位子との組合せを用いることもできる。
【0021】
例えば、四角平面状錯体の場合には、デンドリマーを含む概念的球を、前記第一単結合(即ち、デンドライトの分岐基又は分岐原子に芯を結合している単結合)がすべて、得られる二つの半球の交わる平面内にあるようなやり方で分割することが可能であることもある。本発明に関連して、そのような半球が「前記第一単結合を欠く」ことは無いということは理解されなければならない。従って、例えば、Mについてトランス四角平面状配列にある前記第一単結合を二つだけ含むデンドリマーは、概念的球の半球が前記第一単結合を欠くことがないとの要件によって排除されることはない。一方、Mについてシス四角平面状配列にある前記第一単結合を二つだけ含むデンドリマーは、この要件により排除される。なぜなら、概念的球が、一つの半球が前記第一単結合の両方を含み、他方の半球が前記第一単結合を欠くような仕方で分割され得るからである。
【0022】
図11は、デンドロンDの配列が、本発明の要件をデンドリマーが満足している(即ちB及びY)又は満足していない(即ちA及びX)幾つかの金属中心デンドリマーの模式的表示を示している。図面は、対称性を示すように簡単化されており、デンドロンが結合しており、金属に結合することになる配位子は示していない。どの場合でも、図解はデンドリマーを含む概念的球を示しており、その概念的球は例示的な一組の半球に分割されている。A及びXの両方については、半球の一つはデンドロンに対する単結合を含まず、従って、これらは本発明には含まれないことが分かるであろう。Bでは、半球は両方共デンドロンを含み、デンドロンを含まない半球を選択することができず、従ってこれらは本発明に入る。Yは、単結合が二つの半球の交わる平面内にある、上で論じた限定的場合を例示しており、XとYとの差はそれでも明確に分かる。
【0023】
本発明の全ての態様で、一つ以上の表面基は、デンドロンの末端の所で結合することができる。デンドリマーの芯は、デンドロンの分岐基又は分岐原子に結合した第一単結合で終わっている。典型的には、分岐基又は分岐原子は、一つを超える分岐鎖が結合したアリール又はヘテロアリール基又はNである。金属陽イオンに結合した配位子は、金属陽イオンの配位条件が満たされ、有機金属デンドリマーが中性になるようになっていなければならず、即ち、デンドリマーの電荷をバランスさせるのに殊更な対陰イオンは不必要である。対陰イオンの存在は、デバイス性能にとって有害になることがある。
【0024】
選択される金属陽イオンは、蛍光又は燐光デンドリマーを生ずることができるが、燐光デンドリマーが好ましい。燐光は、幾つかのd及びfブロック元素の金属錯体から観察することができるが、イリジウム、白金、及びレニウムに基づくデンドリマーが好ましい。ロジウムも用いることができる。
【0025】
金属に結合した配位子は、一、二又は三デンテイトとすることができるが、二デンテイトが好ましい。
【0026】
本発明に関連して、有機金属デンドリマーは、少なくとも一つの有機配位子が金属に配位したものであると理解すべきである。そのようなデンドリマーは必ずしも金属・炭素結合を含んでいなくてもよい。なぜなら、有機配位子は炭素以外の原子、例えば、窒素原子によって金属へ配位することができるからである。しかし、少なくとも一つの金属・炭素結合を含むデンドリマーが好ましい。デンドロンの少なくとも一つは、少なくとも一つの金属・炭素結合を介して金属に結合した配位子に結合しているのが好ましい。例えば、デンドロンは、シクロ金属化環の一部分である配位子に結合していてもよい。
【0027】
デンドリマーは、PCT/GB02/00750又は同時係属中の英国特許出願No.0206356.8に記載されている種類のものであるのが好ましく、一層詳細な点についてはそれらを参照すべきであるが、少なくとも二つのデンドライト基を有し、Mを中心とし前記デンドリマーを含む概念的球の半球が前記第一単結合を欠くことがないという要件を満足する。
【0028】
デンドライトは同じか又は異なり、各々、アリール及び/又はヘテロアリール基又は窒素及び、任意選択的に、前記(ヘテロ)アリール、ビニル及びアセチレニル基のsp2又はsp混成炭素原子を介して又はNと(ヘテロ)アリール基との間の単結合を介して結合されたビニル又はアセチレニル基を含む、本来的に少なくとも部分的に共役した樹枝状分子構造体を表しているのが好ましく、芯は、第一単結合で終わっており、その単結合は、第一(ヘテロ)アリール基のsp2混成(環)炭素原子又は一つを超える少なくとも部分的に共役した樹枝状分岐が結合した窒素に結合しており、前記環炭素原子又はNは、前記デンドライトの一部分を形成している。
【0029】
これに関連して、本来的に少なくとも部分的に共役した樹枝状構造体は、その樹枝状構造体を構成している基の間に共役が存在するが、π系が必ずしも完全に非局在化されているとは限らない構造体である。π系の非局在化は、結合物の位置化学(regiochemistry)に依存する。そのような樹枝状構造体は、共役樹枝状構造体とも呼ぶことができる。
【0030】
一つの態様として、少なくとも一つのデンドライトは、芳香族環系の一部分を形成するか、又は、例えば同時係属中の英国特許出願No.0206356.8に記載されている種類のもののように、少なくとも二つの芳香族基に直接結合した少なくとも一つの窒素原子を含む樹枝状分子構造体を表し、芯は、一つを超える樹枝状鎖が結合した第一窒素原子又は芳香族環に対する単結合で終わっており、前記窒素原子又は環は、前記デンドライトの一部分を形成している。
【0031】
好ましい態様として、デンドリマーは、式(III):
【0032】
【化1】
【0033】
〔式中、Mは、形式的電荷r+を有する金属陽イオンであり、Z1及びZ2は、任意選択的に置換されていてもよい完全な5又は6員環アリール又はヘテロアリール環に必要な基であり、デンドライト1及びデンドライト2はデンドロンであり、Yは、中性又は陰イオン性配位子であり、zが1より大きい場合、Yは各々同じか又は異なることができ、xは1以上の整数であり、zは、0、1、2、又は3であり、デンドリマーは、r=(p.x)+(q.z)であるように中性である。〕
を有する。xは、2又は3であるのが好ましい。
【0034】
Z1は、任意選択的に融合環系の一部分とすることのできる5又は6員環アリール又はヘテロアリール環が、フェニル、ピリジル、チオフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、ベンズアミダゾリル、カルバゾリル、フルオレニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、キノリニル、イソキノリニル、キノクサリニル、ベンゾチオフェニル、フタラジニル、キナゾリニル、イミダゾリル、ピラゾリニル、オキサゾリニル、オキサジアゾリニル、トリアゾリル、トリアジニル、チアジアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、フェナントリジニル、フリル及びベンゾチオフェニルから選択されているようであることが好ましい。Z2は、任意選択的に融合環系の一部分とすることのできる5又は6員環アリール又はヘテロアリール環が、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、キノクサリン、フタラジン、キナゾリン、ナフトリジン、シノリン、ピリミジン、フェナントロリン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、チアジアゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール及びフェナントリジンから選択されているようであることが好ましい。(ヘテロ)アリール環の適当な任意選択的置換基には、ハロ、アルキル(C1〜15)、ハロアルキル(例えば、CF3、CF2CF3)、アルキルオキシ、アリールオキシアリール、アルキルオキシアリール、アリール、アルキルアリール、シアノ、アミノ、ジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、アルキルチオ、アリールチオ、スルフィニル、スルホニル、アリールオキシ、アルキルアリールアミノ、ベンジルアルコール(benzylic alcohol)及びアルデヒドが含まれる。
【0035】
好ましい配位子Yには、式(IV):
【0036】
【化2】
【0037】
(Z1及びZ2は上で定義した通りであり、*はMへの結合を表す。)
の配位子が含まれる。他の好ましい配位子Yには、β−ジケトネート、2−カルボキシルピリジン、例えばピコリン酸、トリアリールホスフィン、例えばトリフェニルホスフィン、トリアルキルホスフィン、エチレンジアミン、シアン化物、一酸化炭素及び一硫化炭素が含まれる。
【0038】
デンドロンは、非共役単位、フレシェ(Frechet)型デンドロンのような共役単位と非共役単位との組合せ、又は共役単位を含むことができる。一つを超えるデンドロンを含むデンドリマーは、これらの種類の組合せを有することができるが、共役デンドロンが好ましい。少なくとも一つの共役デンドロンが存在するのが好ましい。二つ以上の配位子に共役デンドロンが結合しているのも更に好ましく、全ての配位子に共役デンドロンが結合しているのが更に好ましい。デンドロンは結合単位中に酸素原子を含まないのが好ましいが、酸素原子は表面基の中に存在していてもよい。
【0039】
共役デンドロンは分岐単位及び任意選択的に結合単位を含んでいる。分岐基は、三つ以上の結合物を有する。分岐単位は、アリール及び/又はヘテロアリール単位及び/又は窒素原子とすることができる。結合単位はアリール、ヘテロアリール、ビニル又はアセチレニルとすることができる。アリール又はヘテロアリール単位は、融合環系とすることができる。共役デンドロンが用いられる場合、非対称的デンドリマーが形成されるように、異なった結合配列及び/又はジェネレーションを用いることができる。一般に、デンドリマーは第二ジェネレーション以上であるのが有利である。しかし、デンドロンが更に一層均一に芯の回りに分布している本発明のデンドリマーの場合、低いジェネレーションで高いジェネレーションデンドリマーの利点の多くを達成することができ、材料の合成が簡単になる。
【0040】
共役デンドロンを有する有機金属デンドリマーは、主に二つの方法で形成することができる。本発明の一部分として本明細書に記載する有機金属デンドリマーについての希望の配列で、デンドロンを配位子に結合し、次いでその配位子を金属陽イオンに結合することができる。或いは、同じか又は異なる適当な反応性部分を有する配位子(単数又は複数)を、金属陽イオンに対して錯化し、そのようにして形成された錯体を、次に適当な反応性官能基をそれらの焦点の所に有する一つ以上のデンドロンと反応させることができる。配位子又はデンドロンが臭素又は沃素のようなハロゲン化物を含む場合、その相補的成分は、ボロン酸、ボロン酸エステル、スタナンのような基を含むことができ、又はビニル基又はアセチレニル基を、それら二つをパラジウム触媒を用いて結合することができるように含むことができる。最終的デンドリマー中の配位子に一つを超えるデンドロンが結合されている場合、一つ以上を金属陽イオンへ錯化する前に配位子に付加し、残りのデンドロンを錯化後に配位子の適当な反応性部分を有する点に付加することができる。
【0041】
好ましい態様として、有機金属デンドリマーは、可視光を発することができる。別の態様として、有機金属デンドリマーは、電荷輸送性を有する。光を発生するデンドリマーは電荷を輸送することもできることに注意すべきである。有機金属デンドリマーには、光通信に適した波長の光を発することのできるものもある。
【0042】
表面基Qは、PCT/GB02/00750に記載されている種類のものであるのが好ましく、一層詳細な点についてはそれを参照すべきである。適当な表面基には、分岐及び非分岐アルキル、特にt−ブチル、分岐及び非分岐アルコキシ、例えば2−エチルヘキシルオキシ、ヒドロキシ、アルキルシラン、カルボキシ、カルブアルコキシ、及びビニルが含まれる。一層包括的なリストには、一層反応性のアルケン、(メタ)アクリレート、硫黄含有又は珪素含有基;スルホニル基;ポリエーテル基;C1〜C15アルキル(好ましくはt−ブチル)基;アミン基;モノ−、ジ−又はトリ−C1〜C15アルキルアミン基;−COOR基(ここでRは水素又はC1〜C15アルキルである);−OR基(ここでRは、水素、アリール、又はC1〜C15アルキル又はアルケニルである);−O2SR基(ここでRは、C1〜C15アルキル又はアルケニルである);−SR基(ここでRは、アリール、又はC1〜C15アルキル又はアルケニルである);及び−SiR3基〔ここでR基は、同じか又は異なり、水素、C1〜C15アルキル又はアルケニル、又は−SR'基(R'は、アリール、又はC1〜C15アルキル又はアルケニルである。)、アリール、又はヘテロアリールである〕;が含まれる。典型的には、t−ブチル及びアルコキシ基が用いられる。異なるデンドロン又は一つのデンドロンの異なる末端基上に、異なる表面基が存在していてもよい。表面基が結合されるデンドロンの末端基は、(ヘテロ)アリール基であるのが好ましい。t−ブチル基が、フェニル環に結合した表面基である場合、一つを超えるものが末端フェニル単位の各々に結合しているのが好ましい。
【0043】
有機金属デンドリマーの表面基は、溶液処理に適した溶媒、例えば、THF、トルエン、クロロホルム、クロロベンゼン、キシレン及びメタノールのようなアルコール溶媒に対しデンドリマー混合物が可溶性であるように一般に選択される。表面基は、デンドリマーをパターニングできるように選択することもできる。例えば、照射又は化学的反応により架橋することができる架橋可能基を選択することができる。或いは、表面基は、架橋可能基を残すように除去することができる保護基を含むことができる。
【0044】
デンドリマーの性質は、溶液処理に対しそれらを理想的なものにする。デンドリマーは溶媒に溶解し、その溶液を基体上に付着させ、溶媒を除去して固体フィルムを残すようにすることができる。例えば、スピンコーティング、印刷(例えば、インクジェットプリント)及びディップコーティングのような慣用的溶液処理技術を用いることができる。有機金属デンドリマーを含有する固体フィルムは、蛍光又は燐光性とすることができる。固体フィルムは、基体の一方の側に形成するのが好ましく、固体フィルムの厚さは2μより小さいのが好ましい。
【0045】
本発明は、一つ以上の有機金属デンドリマーを含む固体フィルムを組込んだOLEDをも提供する。その最も簡単な形態として、少なくとも一方の電極が発光に対して透明である二つの電極の間に挟んだ発光層から有機発光又はエレクトロルミネッセンスデバイスを形成することができる。アノードと発光層との間に一つ以上のホール輸送層及び/又は発光層とカソードとの間に一つ以上の電子輸送層が、屡々存在する。一つの好ましい態様においては、有機金属デンドリマー含有フィルムはOLED中の発光層を形成する。この発光層中でデンドリマーが発光物質であることが特に好ましい。別の態様においては、有機金属デンドリマー含有フィルムはOLED中の電荷輸送層を形成する。
【0046】
そのようなデバイスは、透明基体層、例えば、ガラス又はPET層、透明電極層、発光層及び第二電極を含む慣用的構成を有することができる。アノードは、一般に透明であるが、インジウム錫酸化物(ITO)から作られているのが好ましいが、酸化インジウム/酸化錫、酸化錫/アンチモン、酸化亜鉛/アルミニウム、金及び白金を含む他の同様な材料も用いることができ、PANI(ポリアニリン)又はPEDOT/PSSのような伝導性重合体を用いることもできる。カソードは、通常Al、Ca、Mg、Li又はMgAlのような低仕事関数金属又は合金から、任意選択的にLiFの付加的層と共に作られている。別の形態においては、基体は、珪素のような不透明材料から形成してもよく、光は反対側の電極を通って放射される。OLEDデバイスは能動的に又は受動的にアドレスされてもよい。
【0047】
上で述べたように、有機金属デンドリマーが発光性である場合の典型的なOLEDデバイスの場合、有機金属デンドリマーを含有する溶液を、透明な電極層の上に適用し、溶媒を蒸発し、次に、続く電荷輸送層を適用することができる。OLED中のデンドリマー層の厚さは、典型的には10nm〜1000nm、好ましくは200nm以下、一層好ましくは30nm〜120nmである。アノードと、発光性有機金属デンドリマー含有層との間にホール輸送層が組込まれる場合、そのホール輸送材料は、溶液付着中、有意な程度除去されることのないようにしなければならない。
【0048】
有機金属デンドリマーを含む発光層を組込んだOLEDデバイスは、隣接する第一及び/又は第二電荷輸送層を任意選択的に有していてもよい。有機金属デンドリマーについての我々の研究では、発光デンドリマー層とカソードとの間にホールブロッキング/電子輸送層を有するのが特に有利であることが見出されている。そのようなホールブロッキング/電子輸送層に適した材料は公知であり、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)、1,3,5−トリス[2−N−フェニルベンズイミダゾリル]ベンゼン(TPBI)、2−ビフェニル−5(4'−t−ブチルフェニル)オキサジアゾール(PBD)、アルミニウムトリス(8−ヒドロキシキノレート)(Alq)、及びアルミニウムビス(2−メチル−8−キノラト)−4−フェニルフェノレート(BAlq)が含まれる。
【0049】
更に、デバイスの特性、例えば、効率及び寿命を改良するため、有機金属デンドリマーの層に、付加的発光性(蛍光又は燐光)又は電荷輸送性物質を任意選択的に添加してもよい。更に、改良された性能を与えるため、デンドリマーの混合物として一種類以上の他の分子状及び/又は樹枝状及び/又は重合体状物質を含有させることも有利になることがある。一つの態様においては、そのような付加的成分は、全混合物の95〜5モル%の部分を形成する。別の態様においては、それら付加的成分は、混合物の50重量%より多く、一層好ましくは70重量%より多くの部分を形成する。その態様では、それら付加的分子状、樹枝状、又は重合体状物質、例えば、共役重合体又はデンドリマーは、それら本来の特性により電荷を輸送できることが好ましい。更に別の態様においては、付加的成分は、混合物の50重量%未満、一層好ましくは30重量%未満を形成する。例えば、発光性デンドリマーと共に用いられる付加的電荷輸送性成分には、TPBI、PBD、BCP、4,4'−ビス(N−カルバゾール)ビフェニル(CBP)、4,4',4''−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)、及びトリス−4−(N−3−メチルフェニル−N−フェニル)フェニルアミン(MTDATA)、及びそれらの置換誘導体が含まれる。
【0050】
そのようなデンドリマーは、一つ以上の層を含むことができる光電池のような他のデバイス用途で用いることもできる。光電池で用いた場合、デンドリマーは光を吸収し、且つ/又は電荷を輸送することができなければならない。デンドリマーは、光電池デバイスでは均質な層として用いるか、又は他の分子状及び/又は樹枝状及び/又は重合体樹枝状材料と混合されていてもよい。デンドリマーは、光電池デバイスの一つ以上の層中に用いてもよい。
【0051】
本発明を、図面を参照して、次の例で記述する。
【実施例】
【0052】
例1
A−1
3−(3',5'−ジブロモフェニル)−2−プロペナル
アルゴン中、400cm3のエーテル中にt−ブトキシド(13.0g、116mM)、(1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)トリ−n−ブチルホスフィン臭化物塩(4.5M、32cm3、144mM)を入れた低温(氷水浴)溶液に、3,5−ジブロモベンズアルデヒド(16.1g、61.0mM)を添加した。その混合物を0〜2℃で2時間撹拌し、1.0MのHCl水溶液(300cm3)をその混合物に添加した。反応を徐々に室温へ暖め、室温で21時間撹拌した。二つの層を分離した。水性層をエーテル(3×200cm3)で抽出した。有機層及びエーテル抽出物を合わせ、塩水(1×300cm3)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を完全に除去すると、黄色の固体が残った。その固体を溶離剤として酢酸エチル・軽質石油(40〜60℃)を用いてシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、無色の固体として3.36g(19%)のA−1を得た;δH(200MHz;CDCl3)6.68(1H、dd、J7.4&16Hz、ビニルH)、7.33(1H、d、J16Hz、ビニルH)、7.33(2H、m、ArH)、7.63(1H、m、ArH)、及び9.72(1H、d、J7.6Hz、CHO);m/z[Cl(NH3)]306、308、310(MNH4+)、及び288、290、292(M+)。
【0053】
例2
A−2
3−{3',5'−ジ[4''−(2'''−エチルヘキシルオキシ)フェニル]フェニル}−2−プロペナル
PCT/GB02/00739の例4に従って調製された硼素化合物G0−BX2(647mg、2.59mM)、3−(3',5'−ジブロモフェニル)−2−プロペナルA−1(326mg、1.24mM)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(91mg、0.079mM)、2MのNa2CO3(水溶液)(1.0cm3)、EtOH(1.0cm3)及びトルエン(3.5cm3)の混合物を脱ガスし、次にアルゴン中18時間還流しながら(106℃の浴温度で)加熱した。その混合物を周囲温度へ冷却し、次に水(5cm3)及びエーテル(6cm3)で希釈した。二つの層を分離した。水性層をエーテル(3×5cm3)で抽出した。有機層及びエーテル抽出物を合わせ、塩水(1×10cm3)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を完全に除去した。残渣を溶離剤としてDCM・軽質石油(0:1〜1:30及び1:10)を用いてシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、明黄色の油として607mg(100%)のA−2を得た;δH(200MHz;CDCl3)0.80−1.05(12H、m、Me)、1.24−1.64(16H、m、CH2)、1.68−1.88(2H、m、CH)、3.91(4H、m、ArOCH2)、6.84(1H、dd、J7.8&16Hz、ビニルH)、7.20(1H、d、J16Hz、ビニルH)、7.58(4H、m、ArH)、7.67(2H、m、ArH)、7.79(1H、m、ArH)、及び9.77(1H、d、J16Hz、CHO);m/z[APCI+]541(MH+)。
【0054】
例3
A−3
3−ブロモフェニルアシル臭化物(956mg、3.44mM)と44cm3のアセトンとの混合物に、ピリジン(6cm3)を添加した。反応を室温で2時間撹拌し、減圧下で溶媒を除去した。得られた沈澱物をエーテル(4×10cm3)で洗浄し、減圧下で乾燥したところ、明るいピンク/クリームの固体として1.18g(96%)のA−3が残った。
【0055】
例4
A−4
2−(3'−ブロモフェニル)−4−{3'',5''−ジ[4'''−(2''''−エチルヘキシルオキシ)フェニル]フェニル}−ピリジン
3−{3',5'−ジ[4''−(2'''−エチルヘキシルオキシ)フェニル]フェニル}−2−プロペナル(607mg、1.12mM)、ピリジニウム塩A−3(481mg、1.35mM)及び12cm3のエタノールの混合物に、酢酸アンモニウム(5.97g、77.5mM)を添加した。その混合物を撹拌し、アルゴン中、90℃の油浴で5時間加熱した。その混合物を水(10cm3)で希釈し、DCM(4×15cm3)で抽出した。DCM抽出物を合わせ、塩水(1×30cm3)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、溶媒を除去したところ、明褐色の油が残った。その油を、溶離剤としてDCM・軽質石油(0:1〜1:40)を用いてシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、明黄色の油として292mg(36%)のA−4を得た;δH(200MHz;CDCl3)0.78−1.04(12H、m、Me)、1.17−1.64(16H、m、CH2)、1.67−1.88(2H、m、CH)、3.92(4H、m、ArOCH2)、7.01(4H、m、ArH)、7.08−8.03(13H、m、ArH&PyH)、8.25(1H、m、ArH)、及び8.78(1H、m、PyH);m/z[APCI+]717、718、719、720、721、722(M+)。
【0056】
例5
A−5
4−{3',5'−ジ[4''−(2'''−エチルヘキシルオキシ)フェニル]フェニル}−2−(3''''−{3''''',5'''''−ジ[4''''''−(2'''''''−エチルヘキシルオキシ)フェニル]フェニル}フェニル)−ピリジン
PCT/GB02/00739の例6に従って調製された硼素化合物G1−BX2(1.19mg、1.66mM)、臭化アリールA−4(1.14g、2.16mM)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(134mg、0.116mM)、2MのNa2CO3(水溶液)(2.0cm3)、EtOH(2.0cm3)及びトルエン(7cm3)の混合物を脱ガスし、次にアルゴン中86時間還流しながら(105℃の浴温度で)加熱した。その混合物を周囲温度へ冷却した。二つの層を分離した。水性層をエーテル(3×6cm3)で抽出した。有機層及びエーテル抽出物を合わせ、塩水(1×18cm3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を完全に除去した。残渣を溶離剤としてDCM・軽質石油(0:1〜1:10)を用いてシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、明黄色の油として755mg(41%)のA−5を得た;λmax/nm(薄膜)270;δH(200MHz;CDCl3)0.80−1.08(24H、m、Me)、1.22−1.65(32H、m、CH2)、1.69−1.91(4H、m、CH)、3.92(8H、m、ArOCH2)、6.92−7.12(8H、m、ArH)、7.51−7.83(16H、m、PyH&ArH)、8.03−8.12(3H、m、PyH&ArH)、8.41(1H、m、ArH)、及び8.83(1H、m、PyH);m/z[APCI+]1122、1123、1124、1125、1126(M+)。
【0057】
例6
A−6
4−ブロモ−2−(3'−ブロモフェニル)−ピリジン
2,4−ジブロモピリジン(3.30g、13.9mM)、3−ブロモフェニルボロン酸(3.69g、16.7mM)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(643mg、0.557mM)、2MのNa2CO3(水溶液)(12cm3)、EtOH(12cm3)及びトルエン(40cm3)の混合物を脱ガスし、次にアルゴン中3.5日間110℃の浴温度で還流加熱した。反応を冷却し、二つの層を分離した。水性層をエーテル(3×13cm3)で抽出した。有機層及びエーテル抽出物を合わせ、塩水(1×30cm3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を完全に除去したところ、黒褐色の油が残った。その油を、溶離剤としてDCM・軽質石油(0:1〜1:10)を用いてシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、白色固体として1.03g(24%)のA−6を得た;δH(200MHz;CDCl3)7.36(1H、m、ArH)、7.45(1H、m、PyH)、7.58(1H、m、ArH)、7.89(2H、m、PyH&ArH)、8.16(1H、m、ArH)、及び8.52(1H、m、PyH);m/z[APCI+]311、314、316(MH+)。
【0058】
例7
A−8
facトリス[4−{3',5'−ジ[4''−(2'''−エチルヘキシルオキシ)フェニル]フェニル}−2−(3''''−{3''''',5'''''−ジ[4''''''−(2'''''''−エチルヘキシルオキシ)フェニル]フェニル}フェニル)−ピリジン]イリジウム(III)
配位子A−5(200mg、0.178mM)、Ir(acac)3(12.4mg、0.025mM)及びグリセロール(1cm3)の混合物を脱ガスし、次に加熱マントルを用いて220℃で14時間加熱した。その混合物を周囲温度へ冷却した。その混合物をアセトン(8cm3)及びDCM(3cm3)中へ溶解した。その溶液を静置し、デンドリマーを含有する層をグリセロール層から分離した。その混合物を蒸発して約4cm3にし、溶離剤として軽質石油を用いてシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、黄橙色の固体として9mg(10%)のA−8を得た;λmax/nm(薄膜)277;δH(400MHz;CDCl3)0.87−1.02(72H、m、Me)、1.24−1.62(96H、m、CH2)、1.69−1.83(12H、m、CH)、3.80−3.97(24H、m、ArOCH2)、6.90−7.07(24H、m、ArH)、7.23(3H、m、PyH)、7.32−7.93(51H、m、ArH&PyH)、8.14(3H、m、PyH)、及び8.34(3H、m、PyH);m/z[MALDI]3560、3561、3562、3563、3564、3565、3567、3568(M+)。
【0059】
例8
B−1
5−ブロモ−2−(3'−ブロモフェニル)−ピリジン
2,5−ジブロモピリジン(4.33g、17.7mM)、3−ブロモフェニルボロン酸(4.70g、21.3mM)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(800mg、0.692mM)、2MのNa2CO3(水溶液)(18cm3)、EtOH(18cm3)及びトルエン(50cm3)の混合物を脱ガスし、アルゴン中23時間105℃の浴温度で還流加熱した。反応を冷却し、二つの層を分離した。水性層をエーテル(3×15cm3)で抽出した。有機層とエーテル抽出物とを合わせ、塩水(1×40cm3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を完全に除去したところ、オレンジ色の油が残った。その油を、溶離剤としてDCM・軽質石油(0:1〜1:10)を用いてシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、淡黄色の固体として2.50g(45%)のB−1を得た;δH(200MHz;CDCl3)7.26−7.42(1H、m、ArH)、7.57(2H、m、PyH&ArH)、7.88(2H、m、PyH&ArH)、8.14(1H、m、ArH)、及び8.74(1H、m、PyH);m/z[CI(NH3)]312、314、316(MH+)。
【0060】
例9
B−3
facトリス[5−ブロモ−2−(3'−ブロモフェニル)−ピリジン]イリジウム(III)
5−ブロモ−2−(3'−ブロモフェニル)ピリジン(1.00g、3.20mM)、塩化イリジウム三水和物(250mg、0.709mM)、H2O(6.3cm3)及び2−エトキシエタノール(19cm3)の混合物を、窒素流中24時間127℃の浴温度で還流加熱し、然る後、冷却した。その混合物から明橙黄色の固体が沈澱した。その混合物から液体を除去し、沈澱物を残した。沈澱物を90%EtOH(3×10cm3)で、その後EtOH(1×10cm3)で洗浄した。その固体を乾燥し、所望の生成物としての656mgの黄橙色の固体及び過剰の配位子を得た。
【0061】
上で得られた生成物(656mg)、5−ブロモ−2−(3'−ブロモフェニル)−ピリジンB−1(696mg、2.22mM)及びトリフルオロメタンスルホン酸銀(220mg、0.856mM)の混合物を、アルゴン中一週間160〜163℃の浴温度で加熱した。次に反応を室温へ冷却し、褐色の固体を得た。その固体を、溶離剤として酢酸エチル・軽質石油(0:1〜1:20)を用いてシリカゲルによりカラムクロマトグラフィーにより精製し、495mgの過剰の配位子を得、次に溶離剤としてDCM・軽質石油(1:4〜1:0)を用いて、黄色粉末として753mg(塩化イリジウム三水和物についての二つの工程に対して94%)のB−3を得た;δH(200MHz;CDCl3)6.55(1H、m、ArH)、6.95(1H、m、PyH)、7.54(1H、m、ArH)、及び7.71−7.89(3H、m、ArH&PyH);m/z[APCI+]1126、1127、1128、1129、1130、1131、1132(MH+)。
【0062】
例10
B−4
facトリス[5−{3',5'−ジ[4''−(2'''−エチルヘキシルオキシ)フェニル]フェニル}−2−(3''''−{3''''',5'''''−ジ[4''''''−(2'''''''−エチルヘキシルオキシ)フェニル]フェニル}フェニル)−ピリジン]イリジウム(III)
PCT/GB02/00739の例6に従って調製された硼素化合物G1−BX2(1.26mg、0.858mM)、トリス[5−ブロモ−2−(3'−ブロモフェニル)ピリジン]イリジウム(III)(178mg、0.158mM)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(36mg、0.032mM)、2MのNa2CO3(水溶液)(1.0cm3)、EtOH(1.0cm3)及びトルエン(3.0cm3)の混合物を脱ガスし、次にアルゴン中64時間105℃の浴温度で還流加熱した。その混合物を冷却した。その混合物を、溶離剤としてDCM・軽質石油(0:1〜1:30)を用いてシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、次に溶離剤としてDCM・軽質石油(1:30)を用いてクロマトトロン(chromatotron)により精製し、オレンジ色の固体として30mg(5%)のB−4を得た;δH(200MHz;CDCl3)0.77−1.08(72H、m、Me)、1.15−1.86(108H、m、CH2&CH)、3.69(12H、m、ArOCH2)、3.89(12H、m、ArOCH2)、6.68(12H、m、ArH)、7.00(12H、m、ArH)、及び7.22−8.32(60H、m、ArH&PyH);m/z[MALDI]3562、3563、3564、3567、3568(M+)。
【0063】
例11
DEHP−Car
3,6−ジ[4'−(2''−エチルヘキシルオキシ)フェニル]カルバゾール
3,6−ジブロモカルバゾール(12.0g、37.1mM)、PCT/GB02/00739の例4に従って調製された硼素化合物G0−BX2(24.1g、96.4mM)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(800mg、0.692mM)、2MのNa2CO3(水溶液)(40cm3)、EtOH(40cm3)及びトルエン(100cm3)の混合物を脱ガスし、次にアルゴン中42時間(100℃の浴温度で)還流加熱した。その混合物を冷却し、H2O(30cm3)及びエーテル(40cm3)で希釈した。二つの層を分離した。水性層をエーテル(3×40cm3)で抽出した。有機層とエーテル抽出物とを合わせ、塩水(1×50cm3)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、濾過した。溶媒を完全に除去し、残渣を、溶離剤として酢酸エチル・軽質石油(0:1〜1:10)及びDCM・酢酸エチル・軽質石油(4:1:20)を用いてシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、14.7g(69%)のDEHP−Carを得た;m/z[APCI+]576(M+)。
【0064】
例12
C−1
臭化3−{3',6'−ジ[4''−(2'''−エチルヘキシルオキシ)フェニル]カルバゾリル}フェニル
3,6−ジ[4'−(2''−エチルヘキシルオキシ)フェニル]カルバゾールDEHP−Car(2.50g、4.34mM)、1−ブロモ−3−ヨードベンゼン(4.91g、17.4mM)、ナトリウムt−ブトキシド(834mg、8.68mM)、及び蒸留トルエン(12cm3)の脱ガスした〔真空にし、次にアルゴンを満たしたシュレンク(Schlenk)ライン〕混合物に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジ−パラジウム(0)[Pd2(dba)3](198mg、0.217mM)及びトリ−t−ブチルホスフィン(ヘキサン中10%、4.4cm3)を添加した。その混合物を再び脱ガスし、然る後、アルゴン中63時間110℃の浴温度で還流加熱した。得られたものを室温へ冷却し、H2O(20cm3)及びエーテル(25cm3)で希釈した。二つの層を分離した。水性層をエーテル(3×20cm3)で抽出した。有機層とエーテル抽出物とを合わせ、塩水(1×40cm3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を完全に除去したところ、オレンジ色の油が残った。その混合物を、溶離剤としてDCM・軽質石油(0:1〜1:10)を用いてシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、明橙色の油として1.65g(52%)のC−1を得た;δH(200MHz;CDCl3)0.80−1.06(12H、m、Me)、1.26−1.68(16H、m、CH2)、1.71−1.89(2H、m、CH)、3.93(4H、m、ArOCH2)、7.04(4H、m、ArH)、7.42−7.74(11H、m、ArH&CarH)、7.80(1H、m、ArH)、及び8.33(2H、m、CarH);m/z[APCI+]730、731、732、733、734(MH+)。
【0065】
例13
C−2
2−(3−{3',6'−ジ[4''−(2'''−エチルヘキシルオキシ)フェニル]カルバゾリル}フェニル)−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)
アルゴン雰囲気中、13cm3の無水THF中に臭化アリールC−1(1.64g、2.24mM)を入れた低温(ドライアイス/アセトン浴)溶液に、t−ブチルリチウム(1.7M、2.1cm3、3.59mM)を添加した。その混合物を−78℃で1時間撹拌し、次に2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(0.9cm3)を迅速にその低温混合物に添加した。反応を−78℃で2時間撹拌し、然る後、ドライアイス/アセトン浴から取り出した。次にその混合物を室温で18時間撹拌し、H2O(8cm3)でクエンチした。二つの層を分離した。水性層をエーテル(3×10cm3)で抽出した。有機層とエーテル抽出物とを合わせ、塩水(1×30cm3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を完全に除去した。溶離剤としてDCM・軽質石油(0:1〜1:0)を用いてシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、明褐色の油として554mg(32%)のC−2を得た;δH(200MHz;CDCl3)0.83−1.03(12H、m、Me)、1.24−1.68(28H、m、CH2&Me)、1.68−1.88(2H、m、CH)、3.92(4H、m、ArOCH2)、7.03(4H、m、ArH)、7.40−8.04(12H、m、CarH&ArH)、及び8.33(2H、m、CarH);m/z[APCI+]776、777、778、779、780(M+)。
【0066】
例14
C−3
4−ブロモ−2−(3'−{3'',6''−ジ[4'''−(2''''−エチルヘキシルオキシ)フェニル]カルバゾリル}フェニル)ピリジン
ボロレートC−2(500mg、0.643mM)、2,4−ジブロモピリジン(152mg、0.643mM)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(52mg、0.045mM)、2MのNa2CO3(水溶液)(0.8cm3)、EtOH(0.8cm3)及びトルエン(2cm3)の混合物を脱ガスし、次にアルゴン中45時間110℃の浴温度で還流加熱した。その混合物を冷却した。二つの層を分離した。水性層をエーテル(3×4cm3)で抽出した。有機層とエーテル抽出物とを合わせ、塩水(1×7cm3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を完全に除去した。溶離剤としてDCM・軽質石油(0:1〜1:0)を用いてシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、明褐色の固体として140mg(27%)のC−3を得た;δH(200MHz;CDCl3)0.82−1.07(12H、m、Me)、1.23−1.68(16H、m、CH2)、1.69−1.88(2H、m、CH)、3.93(4H、m、ArOCH2)、7.04(4H、m、ArH)、7.43−7.83(11H、m、CarH&ArH)、7.97(1H、m、PyH)、8.11(1H、m、PyH)、8.36(2H、m、CarH)、及び8.54(1H、m、PyH);m/z[APCI+]805、806、807、808、809(M+)。
【0067】
例15
光物理的性質及びデバイス特性
A−8及びB−4の薄膜の光ルミネッセンス量子効率(PLQY)を測定し、各々32%及び70%であることが判明した。これは、配位子のフェニル環の同じ位置のみに同じデンドロンが結合した第一ジェネレーションIrppyD1(22%)及び第二ジェネレーションIrppyD2(31%)デンドリマーのPLQY〔J.P.J.マーカムら、Appl. Phys. Lett., 80, 2645 (2002)〕と比較されるべきものである。即ち、第二の第一ジェネレーションデンドロンを配位子へ入れると、PLQYが50〜140%改善されるのである。このことは、本発明が、望ましくない分子間相互作用を制御していることを証明するものである。このことが更に証明するのは、トルエンにB−4を入れた溶液のPLQYが75%であり、これは薄膜PLQYに匹敵し、しかも固体状態でのルミネッセンスのクエンチングが殆ど無いことを示すことである。より高いジェネレーションのものを合成することは比較的困難であることを考慮すると、これは先行技術に対する顕著な改良である。更に別の実際的利点は、PLQYを高くし、ELデバイス効率を高くするために、デンドリマーをホスト材料と混合する必要はないことである。
【0068】
次の方法によりA−8を用いて二層デバイスを製造した。ガラス上のITOをエミテク・プラズマ・アッシャー(Emitech plasma Asher)を用いて清浄した。O2流量を10に設定し、RF電力を70Wにし、クリーニング時間を4分にした。次に基体をスピンコーター中へ直接導入し、10Mg/mlの濃度でクロロホルム中に入れたA−8を2000rpmで60秒間スピンコーティングした。デバイスは順次TPBI、LiF、及びAlを蒸発させ、ITO/A−8/TPBI(50nm)/LiF(0.9nm)/Al(60nm)のデバイス構造を与えることにより完成した。このデバイス特性を図7〜10に示す。最大効率は、3.5Vで22 lm/Wであった。C/E座標は、x=0.5、y=0.5である。これらの結果は、各々の配位子にデンドロンが一つだけ結合した第一ジェネレーションデンドリマー(IrppyD1)に比較すべきものである。ITO/IrppyD1/BCP/LiF/Alのデバイス構成では、最大効率は9.5Vで0.14 lm/W(0.47cd/A)であった〔S.-C.ローら、Adv. Mater., 13, 975 (2002)〕。電子輸送/ホールブロッキング層は異なっているが、それらがこの場合に2桁を超える差を与えるとは予想もされなかったことであろう。このことは、本発明により得られる驚くべき改良を更に明らかにするものである。
【0069】
B−4を用いてITO/B−4/TPBI/LiF(90.8nm)/Al(100nm)を有する二層デバイスを製造した。それは、A−8を含有するデバイスのために用いたのと同じ手順を用いて製造したが、デンドリマーは、20mg/ml溶液により2000rpmでスピンコーティングした。このデバイスの最大効率は、38 lm/Wであった。100cd/m2及び4.8Vで、EQEは13.2%、45cd/Aであり、電力効率は30 lm/Wであった。発光のCIE座標は、x=0.47、及びy=0.52であり、これは、ピリジン環に対するデンドロンの結合位置が異なっているため、A−8の場合よりも僅かにブルーシフトしている。B−4含有デバイスの効率は、A−8含有デバイスの効率よりもむしろ高い。両方のデンドリマーは、発光層の単一成分として用いることができ、高効率デバイスを与えるためにホスト材料と混合する必要はないことに注意すべきである。このことも、本発明の利点を更に明らかにするものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
芯−[デンドライト(−Q)a]n (I)
〔式中、芯は、式MXxYz(ここでMは金属陽イオンを表し、xは1以上の整数を表し、同じか又は異なるXは、各々、一、二、又は三デンテイト配位基を表し、zは0又は1以上の整数を表し、同じか又は異なるYは、各々、配位基を表し、(b.x)+(c.z)の合計はMの配位点の数に等しく、ここでbはX上の配位点の数であり、cはY上の配位点の数である)の基を表し;nは2以上の整数を表し;同じか又は異なるデンドライトは、各々、基Xに結合した樹枝状分子構造体を表し;aは、0又は1以上の整数を表し;同じか又は異なるQは、各々、表面基を表し;芯は、デンドライトの分岐基又は分岐原子に結合した第一単結合で終わっている。〕の帯電中性有機金属デンドリマーであって、Mを中心とし前記デンドリマーを含む概念的球の半球が前記第一単結合を欠くことのない構造を有する、上記デンドリマー。
【請求項2】
式(II);
M−[X(デンドライト(−Q)a)y]xYz (II)
(式中、xは2以上の整数を表し、yは2以上の整数を表し、他の記号は請求項1に定義した通りである)
を有する、請求項1に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項3】
xが3であり、zが0である、請求項2に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項4】
本来的に少なくとも部分的に共役したデンドロンを一つ含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項5】
本来的に少なくとも部分的に共役したデンドロンを二つ含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項6】
本来的に少なくとも部分的に共役したデンドロンを少なくとも三つ含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項7】
少なくとも本来的に部分的に共役したデンドロンをすべて含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項8】
固体状態で発光性である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項9】
固体状態で蛍光性である、請求項8に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項10】
固体状態で燐光性である、請求項8に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項11】
金属から配位子への電荷移動状態で発光する、請求項10に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項12】
各々のデンドライトが、アリール及び/又はヘテロアリール基又は窒素、任意選択的に前記(ヘテロ)アリール、ビニル及びアセチレニル基のsp2又はsp混成炭素原子を介して、或いはNと(ヘテロ)アリール基との間の単結合を介して結合されたビニル又はアセチレニル基を含む、本来的に少なくとも部分的に共役した樹枝状分子構造体を表し、
芯が、少なくとも部分的に共役した樹枝状分岐が一つより多く結合した、前記第一(ヘテロ)アリール基のsp2混成(環)炭素原子又は窒素に結合した第一単結合で終わっており、
前記環炭素原子又はNが、前記デンドライトの一部分を形成する、
請求項1〜11のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項13】
少なくとも一つのデンドライトが、芳香族環系の一部分を形成するか又は少なくとも二つの芳香族基に直接結合した、少なくとも一つの窒素原子を含む樹枝状分子構造体を表し、
芯が、樹枝状鎖が一つより多く結合した、第一窒素原子又は芳香族環に対する単結合で終わっており、
前記窒素原子又は環が、前記デンドライトの一部分を形成する、
請求項1〜12のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項14】
少なくとも一つのQが、更に反応可能なアルケン、(メタ)アクリレート、硫黄含有又は珪素含有基;スルホニル基;ポリエーテル基;C1〜C15アルキル基;アミン基;モノ−、ジ−、又はトリ−C1〜C15アルキルアミン基;−COOR基(ここでRは水素又はC1〜C15アルキルである);−OR基(ここでRは、水素、アリール、又はC1〜C15アルキル又はアルケニルである);−O2SR基(ここでRは、C1〜C15アルキル又はアルケニルである);−SR基(ここでRは、アリール、又はC1〜C15アルキル又はアルケニルである);及び−SiR3基〔ここでR基は、同じか又は異なり、水素、C1〜C15アルキル又はアルケニル、又は−SR′基(R′は、アリール、又はC1〜C15アルキル又はアルケニルである)、アリール、又はヘテロアリールである〕;から選択された表面基である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項15】
表面基が、溶液処理を可能にするような基である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項16】
表面基が、パターニングを可能にするような基である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項17】
金属陽イオンがイリジウムである、請求項1〜16のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項18】
金属陽イオンがレニウムである、請求項1〜16のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項19】
金属陽イオンが白金である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項20】
少なくとも一つのデンドライトが、少なくとも一つの金属・炭素結合を介してMに結合した配位基Xに結合している、請求項1〜19のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマーから本質的になるフィルム。
【請求項22】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマー及び一つ以上の分子状、樹枝状又は重合体状化合物を含有するフィルム。
【請求項23】
有機金属デンドリマー対他の成分(一種又は多種)のモル比が、1:1〜100:1である、請求項22に記載のフィルム。
【請求項24】
順次、任意選択的な基体、電極、任意選択的な第一電荷輸送層、発光層、任意選択的な第二電荷輸送層及び対電極の各層を含み、
前記発光層、任意選択的な第一電荷輸送層及び任意選択的な第二電荷輸送層の少なくとも一つが、請求項1〜20のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマーを含むフィルム又は請求項21〜23のいずれか1項に記載のフィルムである、有機発光デバイス。
【請求項25】
発光層が、請求項1〜20のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマーを含むフィルム又は請求項21〜23のいずれか1項に記載のフィルムである、請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
電荷輸送層を少なくとも一つ含む、請求項24又は25に記載のデバイス。
【請求項27】
発光層が、発光性ドーパントを付加的成分として含む、請求項24〜26のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項28】
発光層が、一つ以上の電荷輸送物質を付加的成分として含む、請求項24〜27のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項29】
発光層が、分子状又は樹枝状物質を付加的成分として含む、請求項24〜28のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項30】
発光層が、重合体を付加的成分として含む、請求項24〜29のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項31】
付加的成分が、全組成物の95〜5モル%を占める、請求項24〜30のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項32】
有機発光ダイオード(OLED)である、請求項24〜31のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項33】
請求項1〜20のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマーを含むフィルム又は請求項21〜23のいずれか1項に記載のフィルムの少なくとも一つの層を含む、光電池デバイス。
【請求項34】
実質的に上述したとおりの、請求項1に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項35】
実質的に上述したとおりの、請求項21又は22に記載のフィルム。
【請求項36】
実質的に上述したとおりの、請求項24に記載の有機発光デバイス。
【請求項37】
実質的に上述したとおりの、請求項33に記載の光電池デバイス。
【請求項1】
式(I):
芯−[デンドライト(−Q)a]n (I)
〔式中、芯は、式MXxYz(ここでMは金属陽イオンを表し、xは1以上の整数を表し、同じか又は異なるXは、各々、一、二、又は三デンテイト配位基を表し、zは0又は1以上の整数を表し、同じか又は異なるYは、各々、配位基を表し、(b.x)+(c.z)の合計はMの配位点の数に等しく、ここでbはX上の配位点の数であり、cはY上の配位点の数である)の基を表し;nは2以上の整数を表し;同じか又は異なるデンドライトは、各々、基Xに結合した樹枝状分子構造体を表し;aは、0又は1以上の整数を表し;同じか又は異なるQは、各々、表面基を表し;芯は、デンドライトの分岐基又は分岐原子に結合した第一単結合で終わっている。〕の帯電中性有機金属デンドリマーであって、Mを中心とし前記デンドリマーを含む概念的球の半球が前記第一単結合を欠くことのない構造を有する、上記デンドリマー。
【請求項2】
式(II);
M−[X(デンドライト(−Q)a)y]xYz (II)
(式中、xは2以上の整数を表し、yは2以上の整数を表し、他の記号は請求項1に定義した通りである)
を有する、請求項1に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項3】
xが3であり、zが0である、請求項2に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項4】
本来的に少なくとも部分的に共役したデンドロンを一つ含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項5】
本来的に少なくとも部分的に共役したデンドロンを二つ含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項6】
本来的に少なくとも部分的に共役したデンドロンを少なくとも三つ含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項7】
少なくとも本来的に部分的に共役したデンドロンをすべて含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項8】
固体状態で発光性である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項9】
固体状態で蛍光性である、請求項8に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項10】
固体状態で燐光性である、請求項8に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項11】
金属から配位子への電荷移動状態で発光する、請求項10に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項12】
各々のデンドライトが、アリール及び/又はヘテロアリール基又は窒素、任意選択的に前記(ヘテロ)アリール、ビニル及びアセチレニル基のsp2又はsp混成炭素原子を介して、或いはNと(ヘテロ)アリール基との間の単結合を介して結合されたビニル又はアセチレニル基を含む、本来的に少なくとも部分的に共役した樹枝状分子構造体を表し、
芯が、少なくとも部分的に共役した樹枝状分岐が一つより多く結合した、前記第一(ヘテロ)アリール基のsp2混成(環)炭素原子又は窒素に結合した第一単結合で終わっており、
前記環炭素原子又はNが、前記デンドライトの一部分を形成する、
請求項1〜11のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項13】
少なくとも一つのデンドライトが、芳香族環系の一部分を形成するか又は少なくとも二つの芳香族基に直接結合した、少なくとも一つの窒素原子を含む樹枝状分子構造体を表し、
芯が、樹枝状鎖が一つより多く結合した、第一窒素原子又は芳香族環に対する単結合で終わっており、
前記窒素原子又は環が、前記デンドライトの一部分を形成する、
請求項1〜12のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項14】
少なくとも一つのQが、更に反応可能なアルケン、(メタ)アクリレート、硫黄含有又は珪素含有基;スルホニル基;ポリエーテル基;C1〜C15アルキル基;アミン基;モノ−、ジ−、又はトリ−C1〜C15アルキルアミン基;−COOR基(ここでRは水素又はC1〜C15アルキルである);−OR基(ここでRは、水素、アリール、又はC1〜C15アルキル又はアルケニルである);−O2SR基(ここでRは、C1〜C15アルキル又はアルケニルである);−SR基(ここでRは、アリール、又はC1〜C15アルキル又はアルケニルである);及び−SiR3基〔ここでR基は、同じか又は異なり、水素、C1〜C15アルキル又はアルケニル、又は−SR′基(R′は、アリール、又はC1〜C15アルキル又はアルケニルである)、アリール、又はヘテロアリールである〕;から選択された表面基である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項15】
表面基が、溶液処理を可能にするような基である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項16】
表面基が、パターニングを可能にするような基である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項17】
金属陽イオンがイリジウムである、請求項1〜16のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項18】
金属陽イオンがレニウムである、請求項1〜16のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項19】
金属陽イオンが白金である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項20】
少なくとも一つのデンドライトが、少なくとも一つの金属・炭素結合を介してMに結合した配位基Xに結合している、請求項1〜19のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマーから本質的になるフィルム。
【請求項22】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマー及び一つ以上の分子状、樹枝状又は重合体状化合物を含有するフィルム。
【請求項23】
有機金属デンドリマー対他の成分(一種又は多種)のモル比が、1:1〜100:1である、請求項22に記載のフィルム。
【請求項24】
順次、任意選択的な基体、電極、任意選択的な第一電荷輸送層、発光層、任意選択的な第二電荷輸送層及び対電極の各層を含み、
前記発光層、任意選択的な第一電荷輸送層及び任意選択的な第二電荷輸送層の少なくとも一つが、請求項1〜20のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマーを含むフィルム又は請求項21〜23のいずれか1項に記載のフィルムである、有機発光デバイス。
【請求項25】
発光層が、請求項1〜20のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマーを含むフィルム又は請求項21〜23のいずれか1項に記載のフィルムである、請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
電荷輸送層を少なくとも一つ含む、請求項24又は25に記載のデバイス。
【請求項27】
発光層が、発光性ドーパントを付加的成分として含む、請求項24〜26のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項28】
発光層が、一つ以上の電荷輸送物質を付加的成分として含む、請求項24〜27のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項29】
発光層が、分子状又は樹枝状物質を付加的成分として含む、請求項24〜28のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項30】
発光層が、重合体を付加的成分として含む、請求項24〜29のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項31】
付加的成分が、全組成物の95〜5モル%を占める、請求項24〜30のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項32】
有機発光ダイオード(OLED)である、請求項24〜31のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項33】
請求項1〜20のいずれか1項に記載の有機金属デンドリマーを含むフィルム又は請求項21〜23のいずれか1項に記載のフィルムの少なくとも一つの層を含む、光電池デバイス。
【請求項34】
実質的に上述したとおりの、請求項1に記載の有機金属デンドリマー。
【請求項35】
実質的に上述したとおりの、請求項21又は22に記載のフィルム。
【請求項36】
実質的に上述したとおりの、請求項24に記載の有機発光デバイス。
【請求項37】
実質的に上述したとおりの、請求項33に記載の光電池デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−46740(P2011−46740A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−261450(P2010−261450)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【分割の表示】特願2004−532299(P2004−532299)の分割
【原出願日】平成15年8月28日(2003.8.28)
【出願人】(500189296)イシス イノベイション リミテッド (10)
【出願人】(504353877)ザ ユニバーシティ コート オブ ザ ユニバーシティ オブ セント アンドルーズ (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261450(P2010−261450)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【分割の表示】特願2004−532299(P2004−532299)の分割
【原出願日】平成15年8月28日(2003.8.28)
【出願人】(500189296)イシス イノベイション リミテッド (10)
【出願人】(504353877)ザ ユニバーシティ コート オブ ザ ユニバーシティ オブ セント アンドルーズ (6)
【Fターム(参考)】
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