説明

中枢神経系障害を治療するための組成物および方法

【課題】外傷性脳障害、或いは脊髄傷害による中枢神経系圧迫傷害後の、自律神経系機能、感覚神経系機能、運動神経系機能、及びそれらと同等な機能を含む機能的回復を改善する方法の提供。
【解決手段】グルコサミノグリカン分解酵素の治療的に有効な量を投与する。グルコサミノグリカン分解酵素は、デルマタン硫酸あるいはコンドロイチン硫酸分解酵素である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年5月16日に出願された米国仮出願第60/417,236号明細書に対して優先権を主張した出願であり、その内容は本明細書にこの参照により完全に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は一般的に、中枢神経系(CNS)障害または疾患後の神経機能の回復を促進する方法に関連している。特に、本発明は脊髄における障害または脊髄に対する障害の後の自律神経系の神経機能の回復を促進するために、コンドロイチン分解酵素を利用する方法を対象とする。この方法で有益な組成物は、許容されるコンドロイチン分解酵素製剤を含み、さらにとりわけコンドロイチン分解酵素の持続性放出製剤を含む。本発明は、脊髄に対する挫傷障害後の神経機能の回復を促進する方法も対象とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
脊髄は身体における最大の神経であり、神経線維で構成されている。これらの神経線維は、感覚、運動、自律神経系の機能を含む身体の情報伝達系に関与している。感覚神経系機能は痛みなどの感覚を感知する能力を含む。運動機能は身体を随意的に動かす能力を含む。自律神経系機能は、例えば発汗および呼吸能力のような不随意性の身体機能を含む。
【0004】
中枢神経系は脳および脊髄を含む。前記脊髄は末梢神経系(PNS)と脳をつなぐ。前記脊髄の後根に入る感覚神経は、身体の感覚受容器からの感覚情報を脳に伝達する。様々な種類の感覚が様々な感覚経路で送信される。例えば、脊髄視床路が痛みと温度の感覚を伝え、脊柱路が体位と接触の感覚を伝える。前記脊髄の前根から出る運動神経は、脳からの随意的な運動情報を身体に伝達する。
【0005】
自律神経系(ANS)は、心臓筋肉およびホルモンを放出する腺を含む不随意性筋肉の活動に影響を及ぼす。特に、前記ANSは安定な体内環境を維持するために、心臓血管、消化器、および呼吸器系を制御する。前記ANSは、血管収縮と心拍数の上昇を引き起す交感神経、および血管拡張と心拍数の低下によって交感神経と反対の方法で作用する副交感神経を含む。
【0006】
脊髄を含む中枢神経系の損傷は機能の喪失をもたらす。中枢神経系に対する障害の種類によっては、前記機能の喪失によって、感覚神経系、運動神経系、または自律神経系の機能の喪失、またはそれらの組み合わせの喪失を示す可能性がある。
【0007】
最も一般的な脊髄障害(SCI)の種類は、挫傷(脊髄の打撲)および圧迫障害(脊髄に圧力をかけることよって引き起される)を含む。挫傷障害において、最も一般的な損傷の種類は、脊髄の中央において形成されることが多い空洞または穴である。神経細胞、またはPNSの神経細胞とは異なり、CNSの神経細胞は障害後再生しない。軸索の再生不能によって、感覚神経系機能、運動神経系機能、および自律神経系機能の損失ばかりではなく、永続的な麻痺に至る可能性がある。神経細胞が再生できない1つの理由は、それらが脊髄障害の後に発現するグリア性瘢痕を横断する能力がなくなることである可能性がある。病変をもたらす障害は、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CSPGs)を含む細胞外マトリックス分子を含有したグリア性瘢痕を発現する。CSPGsは、in vitroにおいて神経組織の成長を抑制し、およびin vivoにおいてCSPGsが豊富な領域における神経組織の再生を抑制する。
【0008】
多数の分子、およびそれらの特定領域は、神経細胞からの神経突起の発芽を支持する能力に関っており、この工程は神経突起の伸長とも呼ばれる。神経突起という用語は、軸索および樹状突起構造の両方を言及する。この神経突起の発芽工程は、特に身体的な障害または疾病が神経細胞に損傷を与えた後、神経の発達および再生において必須である。全ての動物種の中枢および末梢の両方の神経系の発達期間において、神経突起は盛んに伸長する。この現象は、軸索と樹状突起の両方に関連する。
【0009】
種々のポリペプチド、特に細胞接着分子(CAMs)は、神経細胞の増殖を促進することで知られている。この分野における初期の試みは、接着促進細胞外マトリックス蛋白質フィブロネクチン(FN)に集中したものであったが、他のポリペプチドが神経増殖を促進することも見出された。例えば、米国特許第5,792,743号公報は、可溶性神経CAM、それらの断片、またはそれらのFc−融合生成物の投与によって、哺乳類の中枢神経系における神経増殖を促進する新規なポリペプチドとその方法を開示している。米国特許第6,313,265号公報は、CAMsの薬理学的に活性な領域を含む合成ポリペプチドが、中枢神経系における末梢神経障害と病変の両方において神経の再生と修復を促進するのに使用され得ることを公開している。有益ではあるが、再生蛋白質単独の使用によって、神経系の損傷の修復が十分にもたらされるものではない可能性がある。
【0010】
過去およそ20年間、分子レベルで細胞外マトリックス(ECMs)における細胞粘着および遊走に対する基本的な知識が急速に拡大してきた。前記細胞外マトリックスおよび基底膜の成分を分解する酵素および他のポリペプチドの作用は、結合サイトカインの放出を含む種々の機構と前記基質の透過性の増加によって神経修復の現象を促進する可能性があり、その結果、媒介分子、成長因子、および走化性物質に加えて、治療工程に関与する細胞の移動性が増進する。例えば、米国特許第5,997,863号公報は、細胞増殖を操作して損傷の治癒を促進するグリコサミノグリカンの使用を公開している。
【0011】
ECM分子は抑制性CSPGsを含む。前記CSPGsの成分は、グリコサミノグリカン、コンドロイチン硫酸(CS),およびデルマタン硫酸(DS)として同定されている。これらの抑制性分子の除去は、身体的な障害または疾病後、ある領域において神経突起が再生し神経再支配することを可能にすると同時に、感覚神経系、運動神経系、および自律神経系の機能回復を可能にする。
【0012】
今までの研究は、コンドロイチナーゼがCSおよびDSを含むCSPGsを溶解および分解できることを見出した。ある研究は、in vivoにおけるラットCNSの病変領域の中およびその周囲において、コンドロイチナーゼABCがグリコサミノグリカン(GAG)鎖を除去することを見出した。前記GAGsの分解は、増殖関連蛋白質、GAP−43の発現を促進し、処置細胞において増進された再生傾向を示した。しかしながら、この増殖関連蛋白質は末梢神経障害における再生に関連しており、中枢神経障害には関連していない。別の研究は、in vivoにおいてラット脊髄のコンドロイチナーゼABC処置が、組織切片基層上の神経細胞を再生することを見出した。この研究は、CSPGsの分解がラミニンの神経刺激効果を促進する可能性に観察した(Zuo et al.Degradation of chondroitin sulfate proteoglycan enhances the neurite−promoting potential of spinal cord tissue,Exp.Neurol.154(2):654〜62(1998))。前記と同じ第一研究者によるその後の研究において、神経損傷部位におけるコンドロイチナーゼABCの注入によって、CSPGsが分解し、末端神経断片の基底層中への軸索の発芽の進入が増進することが報告されており、これは接合神経の接点における許容範囲の拡大を可能にする可能性がある(Zuo et al.Regeneration of axons after nerve transaction repair is enhanced by degradation of chondroitin sulfate proteoglycane.Exp.Neurol.176(1):221〜8(2002))。前記と同じグループの研究者らは、コンドロイチナーゼABCの処理によって軸索が無細胞移植片の中に対照移植片より速い速度で再生することを見出した(Krekoski et al.,Axonal regeneration into acellular nerve grafts is enhanced by degradation of chondroitin sulfate proteoglycan.J.Neurosci.15:21(16):6206〜13(2001))。障害皮質脊髄路、特に脊柱の障害に対するコンドロイチナーゼABCTypeIの適用は、患部領域からの軸索の退縮を阻止し、さらに軸索線維の増殖を対照より促進し、灰白質中に樹状になった軸索をいくつか伴った。再生CST軸索は機能的結合が確立していた(Bradbury et al.,Chondroitinase ABC promotes functional recovery after spinal cord injury,Nature 416:636〜640(2002))。
【0013】
しかしながら、脊柱断面病変動物モデルにおけるコンドロイチナーゼ−誘導による神経学的機能回復は、自律神経系機能、特に脊髄の打撲障害による自律神経系機能の回復に関連した限られた適用性または予測力を有する。2002年にBradburyらにより記述された脊柱切断病変において、ナイフで神経路を切ることにより脊柱線維が損傷されている。この方法によって、脊髄の実質を維持するために側枝の損傷を最小限にして神経線維を切断する局所的または「きれいな"clean"」病変が実現する。灰白質組織および他の白質路は最小限の損傷を受け、従ってこのモデルは運動神経細胞を供給する前記脊柱神経細胞の再生能力を研究するのに有用なものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は一般的に、神経学的な自律神経系機能の回復程度の増加をもたらす、CNSに対する障害の治療を対象とする。コンドロイチナーゼABCTypeI、コンドロイチナーゼABCTypeII、コンドロイチナーゼAC、コンドロイチナーゼB、または例えば、ヒアルロニダーゼ1(Hyal1)、ヒアルロニダーゼ2(Hyal2)、ヒアルロニダーゼ3(Hyal3)、ヒアルロニダーゼ4(Hyal4)などのコンドロイチナーゼ様活性を有する哺乳類の酵素、それらの断片、またはそれらの混合物の使用は、これらのコンドロイチナーゼが、再生を抑制するCNS細胞外マトリックスの成分を分解するために、哺乳類における前記CNSに対する障害後の神経学的な機能の回復を促進する。
【0015】
前記損傷が即時であろうと長期であろうと、様々な種類のコンドロイチナーゼがCNS障害で苦しむ哺乳類に対して投与され得る。前記コンドロイチナーゼは、CSPGsを分解するのに有効な量で投与され、従って自律神経系神経学的機能の回復を促進する。
【0016】
好ましくは、前記コンドロイチナーゼは適切な薬学的キャリアと共に投与されてもよい。前記投与は局所または全身性であってもよく、経口、非経口、腹腔内、くも膜下腔内、局所適用を含む。そのような製剤の放出特性は、短時間放出、即時放出、制御放出、または持続放出であってもよい。例えば前記製剤は、持続放出性基質と、グリコサミノグリカン分解酵素の治療的に有効な量とを含んでもよい。あるいは、CNS障害部位またはその近辺において、コンドロイチナーゼが、遊離型またはカプセルで、移植された一様に修飾された細胞から分泌されても良い。
【0017】
本開示に従った前記コンドロイチナーゼの投与、およびその結果生じる前記神経学的機能回復の促進は、中枢神経系に対する挫傷または非挫傷障害の後の各個人の反応性によって様々な程度に、運動神経系、感覚神経系、および自律神経系機能を修復する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の本質および利点をより十分に理解するために、添付図面に関連して以下の詳細な説明を参照する。
【図1】図1は、挫傷性脊髄障害後の残尿容量の図説である。
【図2】図2は、持続放出性基質からのコンドロイチナーゼの放出速度のグラフである。
【図3】図3は、挫傷性脊髄障害後のコンドロイチナーゼABCType1、ペニシリナーゼ、または対照による処置後のラットのBBBスコアのグラフである。
【図4】図4は、挫傷性脊髄障害後のコンドロイチナーゼABCType1、ペニシリナーゼによる処置後のラットのBBBスコアのグラフである。
【図5】図5は、コンドロイチナーゼの種々投与量の投与後の平均体重変化のグラフである。
【図6】図6は、コンドロイチナーゼABCType1の種々投与量における投与による平均体重変化の図説である。
【図7】図7は、コンドロイチナーゼABCType1の種々投与量における平均温度変化の図説である。
【図8】図8は、コンドロイチナーゼABCType1の反復および増量投与における体重変化の図説である。
【図9】図9は、コンドロイチナーゼABCType1の反復および増量投与における温度変化の図説である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の組成物および方法を記載する前に、本発明は、記載された特定の工程、組成物、または手順に限定されず、それらは変化してもよいことが理解される。この記載において使用された専門用語は、特定の見解または実施形態のみを説明する目的で、この記載に使用されたものであり、添付の請求項によってのみ限定される本発明の範囲を限定することを目的とするものではないことも理解される。
【0020】
本明細書および添付の請求項において使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに他のものを指示していない限り、複数の参照が含まれることも言及されるべきである。従って、例えば、「酵素」への言及は、1若しくはそれ以上の酵素、および当業者に知られているそれらと同等のものとその他に言及する。別に定義されていない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、当業者によって一般的に理解される同様の意味を有するものである。本明細書で記載されたものと類似若しくは同等の任意の方法および物質はすべて、本発明の実施形態の実行または試験において使用されてもよく、好ましい方法、装置、および物質はこれから記載される。本明細書で述べられるすべての文献は、この参照により完全に組み込まれる。本明細書は、本発明が先願発明の長所によってそのような公開を予期する権利がないことを承認するものとして解釈されるものではない。
【0021】
本開示は、外傷または疾病により引き起こされる哺乳類のCNS障害の処置方法を対象とする。特に、コンドロイチナーゼABCTypeI、コンドロイチナーゼABCTypeII、コンドロイチナーゼAC、コンドロイチナーゼB、および例えばHyal1、Hyal2、Hyal3、Hyal4などのコンドロイチン様活性を伴った哺乳類の酵素およびそれらの組み合わせ、またはそれらの断片は、脊髄障害の治療的処置を提供する。本明細書で使用される「中枢神経系障害」および「脊髄障害」および「挫傷障害」という用語は、例えば交通事故、墜落、または射創に加えてその他の障害などの外傷性障害、または非外傷性障害、または内部的または外部的原因によってもたらされる可能性がある圧迫などによってもたらされる神経の分裂、挫傷、または圧壊を招く可能性がある疾病および外傷性障害を含む。本発明の方法の実行は、処置された哺乳類に対して臨床的有用性を与え、対象者の運動神経系機能、感覚認知、または自律神経系機能の少なくとも1つにおいて臨床上適切な改善を提供する。臨床上適切な改善は、検出可能な改善から障害性または喪失したCNSの機能の完全回復までに及ぶ。
【0022】
Bradburyによって記載された「きれいな(clean)」病変とは対照的に、脊髄障害の挫傷モデルは、次々と起こる反応機構を通じて組織の無差別な破壊を引き起こす。挫傷障害は実験的には、露出した脊髄および標準的なヒト障害のより正確な模倣体に対して鈍力を適用することによってもたらされ、第一および第二の病態生理学的工程の両方の研究のためにより適切な状態を提供する(Blight AR.2000 Animal models of spinal cord injury.Top Spinal Cord Inj Rehabil 6(2):1〜13;Kwon BK,Oxland TR,Tetzlaff W.(2002)Animal models used in spinal cord regeneration research.Spine27(14):1504〜10))。白質における軸索を伸長および分裂することが可能である、組織に対する即時的な機械的損傷の後、前記組織のより深刻かつ一般的な破壊が続いて起こる。血液脳関門において障害が引き起こされ、さらに脊髄において広範囲におよぶ第二の細胞および組織の損傷をもたらす炎症性および生化学的カスケードを誘発する中心灰白質出血性壊死を受ける。数日から数週間の間、反応性グリア細胞、残留軸作、血管新生および細胞外マトリックス分子の沈着によって満たされる障害部位において空洞化した病変が形成される。感覚、運動、および自律神経系機能において障害が起きる可能性がある。比較的「きれいな」脊柱切断病巣の特性と比較して、挫傷障害は、脊髄組織の応答および修復機構のレパートリーが関与し、急性および慢性の両方の段階を対象とした可能な治療法を評価するのに適切である。さらに挫傷障害は、実質欠損、瘢痕、空洞形成、および同種のものなどを招く第二の影響を引き起こす。障害および修復に重大な影響を及ぼす可能性がある切断と比較して、挫傷障害はより丈夫な免疫応答を引き出す(Hirschberg DL,Yoles E,Belkin M,Schwartz M.1994)。
【0023】
SCIの潜在的な治療法を評価する実験的パラダイムは、結果を他の脊髄障害モデルに置き換える状況に置かれなければならない。前記脊柱切断障害と挫傷モデルの解剖学と病態生理学の対比は広域に及ぶ。脊柱切断障害は、感覚路内において再生し特異的な機能を有する傾向がよりある神経細胞に対して損傷を引き起こす。さらに、切断障害は最小の第二組織損傷を導く。一方、挫傷障害は、感覚および運動神経路の両方、感情的感覚、運動および自律神経系機能に損傷を与える。皮質脊髄路は脊柱で見出される神経細胞よりはるかに再生的ではない。挫傷障害は、脊柱病変よりかなり大きい病変を引き起こす広範囲な第二組織の損傷も導く。
【0024】
成体哺乳類におけるCNSの脊髄障害後、軸索の再生不能は永久麻痺を導く可能性がある。前記CNS障害の部位は、障害部位における星状細胞および乏突起膠細胞による細胞外マトリックス分子の沈着の増加によって病変またはグリア性瘢痕が発展する。これらの細胞外マトリックス分子は、瘢痕領域において高く発現されるCSPGsを含む。CSPGsはin vitroで神経組織の増殖を抑制し、さらにin vivoでCSPGs豊富範囲における神経組織の再生を抑制する。コンドロイチン硫酸A、BおよびCは、哺乳類において見出される優勢型である。これらのコンドロイチンは、細胞分化、接着、酵素経路、およびホルモン相互作用を含む様々な生物学的活性の調節に関与されている可能性がある。コンドロイチン硫酸プロテオグリカンの存在は、組織および血管損傷に応答した細胞増殖の後期において高められる。
【0025】
グリコサミノグリカン(GAGs)、コンドロイチン硫酸(CS)、およびデルマタン硫酸(DS)はCSPGの重要成分である。これらは、軸索および神経細胞の増殖を妨害することによって、成体哺乳類における前記CNSの再生の欠乏の原因となる抑制分子である。しかしながら、CSPGsは、発達期間、抑制よりむしろ神経細胞の誘導およびパターン化において重要である。
【0026】
グリコサミノグリカンは、異なる部位で硫酸基を運搬する交互性ヘキソサミンとヘキスロン残基から成る非分枝多糖類である。前記GAGsは一般的に二糖骨格の構成に従って3つのファミリーに分けられる。それらは、ヘパリン/ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、およびケラタン硫酸である。前記コンドロイチン硫酸ファミリーは、非硫酸化コンドロイチン硫酸、過硫酸化コンドロイチン硫酸、およびコンドロイチン硫酸A〜Eに指定された7つの亜型を含み、それらの硫酸エステル官能基の数と位置は変化する。コンドロイチン硫酸Bはデルマタン硫酸ともよばれ、交互性ヘキスロン酸位においてイズロン酸が優性残基であるという点が異なる。
【0027】
例えばコンドロイチナーゼABCTypeI、コンドロイチナーゼABCTypeII、コンドロイチナーゼAC、コンドロイチナーゼB、またはHyal1、Hyal2、Hyal3、およびHyal4を含むヒアルロノグルコサミニダーゼなどのようなコンドロイチナーゼ様活性を伴う哺乳類の酵素などのCSPG分解酵素は、コンドロイチン硫酸の効果を制御および/または抑制するのに有用であり、さらに病状を処置するための治療法の開発において有用であることが今回見出された。本明細書に記載したこの発見は、脊髄の挫傷障害後、神経学的な機能、特に自律神経系機能の回復において改善をもたらす挫傷障害のコンドロイチナーゼ処置を初めて記載したものである。
【0028】
コンドロイチナーゼACおよびコンドロイチナーゼBは、種々の発生源から導かれる可能性があるコンドロイチンリアーゼ酵素である。本開示において使用されるコンドロイチナーゼACまたはBはすべて、コンドロイチナーゼAC(フラボバクテリウム属ヘパリン由来;T.Yamagata,H.Saito,O.Habuchi,S.Suzuki,J.Biol.Chem.,243,1523(1968))、コンドロイチナーゼACII(アルスロバクター・ウレアファシエンス(Arthrobacter aurescens)由来;K.Hiyama,S.Okada,J.Biol.Chem.,250,1824(1975),K.Hiyama,S.Okada,J.Biochem.(Tokyo),80,1201(1976))、コンドロイチナーゼACIII(フラボバクテリウム種Hp102由来;H.Miyazono,H.Kikuchi,K.Yoshida,K.Morikawa,K.Tokuyasu,Seikagaku,61,1023(1989))、コンドロイチナーゼB(フラボバクテリウム属ヘパリン由来;Y.M.Michelaaci,C.P.Dietrich,Biochem.Biophys.Res.Commun.,56,973(1974)、V.M.Michelaaci,C.P.Dietrich,Biochem.J.,151,121(1975)、K.Maeyama,A.Tawada,A.Ueno,K.Yoshida,Seikagaku,57,1189(1985))、およびコンドロイチナーゼB(フラボバクテリウム種Hp102由来;H.Miyazono,H.Kikuchi,K.Yoshida,K.Morikawa,K.Tokuyasu,Seikagaku,61,1023(1989))を含むがこれらに限らない。好ましいコンドロイチナーゼACおよびコンドロイチナーゼBは、Seikagaku America(Falmouth,マサチューセッツ州、米国)にて市販されている。さらに、前記酵素は、Bennettらによる米国特許第6,093,563号公報において公開されている方法によって生産されても良く、この公開は本明細書に組み込まれる。コンドロイチナーゼABCTypeIおよびコンドロイチナーゼABCTypeIIはそれぞれ、コンドロイチンおよびデルマタン硫酸の両方を開裂するエキソおよびエンドリアーゼ作用する(Hamei et al 1997)。コンドロイチナーゼ様活性を伴う哺乳類の酵素は同定されている。例えば、Hyal1、Hyal2、Hyal3、およびHyal4などの一部のヒアルロニダーゼはCSPGsも分解し、さらに本発明において使用されることができる。
【0029】
コンドロイチナーゼ酵素活性は賦形剤の添加または凍結乾燥によって安定化させることができる。安定剤は炭化水素、アミノ酸、脂肪酸、および界面活性剤および当業者によって知られているものを含む。実施例は、例えばショ糖、乳糖、マンニトール、およびデキストランなどの炭化水素、アルブミンおよびプロタミンなどの蛋白質、アルギニン、グリシン、およびトレオニンなどのアミノ酸、例えばTWEEN(登録商標)およびPLURONIC(登録商標)などの界面活性剤、塩化カルシウムおよび硫酸ナトリウムなどの塩、脂肪酸、リン脂質、および胆汁酸などの脂質などを含む。前記安定剤は一般的に、蛋白質に対する炭化水素、蛋白質に対するアミノ酸、蛋白質に対する蛋白質安定剤、および蛋白質に対する塩の割合が1:10〜4:1の比で蛋白質に対して添加され、蛋白質に対する界面活性剤の割合が1:1000〜1:20の比で添加され、さらに蛋白質に対する脂質の割合が1:20〜4:1の比で添加される。他の安定剤は高濃度の硫酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、または硫酸ナトリウムを含み、へパリナーゼ活性による比較研究に基づく。前記安定化剤は、前記硫酸アンモニウムまたは他の類似の塩が、1U酵素あたり0.1〜4.0mgの硫酸アンモニウムの割合で酵素に対して添加されるのが好ましい。
【0030】
コンドロイチナーゼは局所または全身に投与されてもよい。そのような投与は、経口、非経口、腸内、腹腔内、くも膜下腔内、吸入、または局所性投与を含む。前記投与の好ましい形態は、静脈内、皮下、くも膜下腔内、皮内(intradermal)、筋肉内、節間、皮内(intracutaneous)、または経皮を含む。局所または局部投与は、適用を大いに制御することが好ましくてもよい。
【0031】
前記コンドロイチナーゼは、単独または組み合わせで、投与前に適切な薬学的キャリアと混合してもよい。薬学的キャリアおよび添加剤を使用した一般的な実施例は、従来の希釈剤、結合剤、滑剤、着色剤、崩壊剤、緩衝剤、等張化脂肪酸、等張化剤、防腐剤、麻酔剤、界面活性剤、および類似のもの、および当業者によって知られているものなどである。使用されても良い具体的な薬学的キャリアは、デキストラン、ショ糖、乳糖、マルトース、キシロース、トレハロース、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、イノシトール、血清アルブミン、ゼラチン、クレアチニン、ポリエチレングリコール、非イオン性界面活性剤(例えばポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール)、および類似の化合物などである。薬学的キャリアは、例えばポリエチレングリコールおよび/またはショ糖、またはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの組み合わせで用いられてもよく、特にポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸(20E.0.)が好ましい。
【0032】
そのような製剤の放出特性は、短時間放出、即時放出、制御放出、または持続放出であってもよい。特に、コンドロイチナーゼABCTypeI、コンドロイチナーゼABCTypeII、コンドロイチナーゼAC、およびコンドロイチナーゼB、または例えばHyal1、Hyal2、Hyal3、Hyal4のようなコンドロイチナーゼ様活性を伴う哺乳類の酵素の持続放出製剤は、自律神経系機能を含む神経学的な機能を改善または回復するために使用されてもよい。そのような製剤は、CSCPGsが分解されるようなシステム中への酵素の制御、持続放出をもたらす。CSPGsの分解は、損傷のCNS上流または下流内において、障害、空洞、または病変部位において起こってもよい。
【0033】
本発明に従った処置の処方計画は、コンドロイチナーゼABCTypeI、コンドロイチナーゼABCTypeII、コンドロイチナーゼAC、およびコンドロイチナーゼB、または例えばHyal1、Hyal2、Hyal3、Hyal4、などのコンドロイチナーゼ様活性を伴う哺乳類の酵素の投与方法によって実行されてもよく、好ましくはCNSに対して、さらにより好ましくはCNSの障害領域の病変に対して実行されてもよい。前記投与方法、投与時期、および投与量は、神経突起の伸長の促進によって前記CNSの機能障害が機能的に回復するように実行される。本公開の前記処置は、CNSまたはCNSの障害部位に対して、コンドロイチナーゼABCTypeI、コンドロイチナーゼABCTypeII、コンドロイチナーゼAC、およびコンドロイチナーゼB、または例えばHyal1、Hyal2、Hyal3、Hyal4などのコンドロイチナーゼ様活性を伴う哺乳類の酵素の有効な量を供給する。「有効な量」という用語は、CNS内または脊髄の病変領域のCSPGsを分解するのに十分な量、または哺乳類の運動、感覚、または自律神経系機能を全部または部分的に修復するのに十分な量という意味である。例えば、酵素の有効な量は、患者の体重1kgあたりおよそ0.0001mg〜およそ100mgであってもよい。コンドロイチナーゼの有効な量は、単回投与、2回投与、または複数投与で投与されてもよい。前記投与量はいつでも投与されてもよいことが理解されるが、ある実施形態において、前記投与量は障害後12時間内にされるか、または実現可能な限りすぐに投与される。別の実施形態において、前記投与量は1つの損傷した哺乳類に対し、1回、2回、または複数回の投与量で投与され、そのような投与量は前記損傷の重傷度、及びグリア性瘢痕に存在すCSPGsの量によって決まる。複数の投与量が投与される場合、それらは毎日、毎週、または隔週で供給されてもよい。前記投与量の供給は、カテーテルまたはシリンジの手段によるものであってもよい。あるいは、前記処置は、前記グリア性瘢痕への直接的な適用を許容するために、外科処置の期間に投与されてもよい。
【0034】
一旦、コンドロイチナーゼが投与されると、前記CSPGsの分解は神経突起の伸長を阻止する抑制分子を除去し、患部領域への神経突起の再生を許容する。コンドロイチナーゼの投与は、前記損傷の上流または下流を含む前記患部領域から遠いCNSにおけるCSPGsも分解する可能性がある。前記コンドロイチナーゼACおよびコンドロイチナーゼBはCSおよびDSをそれぞれ分解し、不飽和硫酸化二糖類をもたらす。コンドロイチナーゼABCTypeI、コンドロイチナーゼABCTypeIIは、エキソ−およびエンド−リアーゼ作用し、CSおよびDSの両方を開裂する。前記グリア性瘢痕からのCSおよびDSの除去は、前記障害部位への神経突起の伸長の再生を可能にする。
【0035】
前記患部CNS領域における神経細胞の再生は、運動、感覚、および自律神経系機能の回復を可能にする。臨床的に関連する改善は、検出可能な改善から障害または喪失した神経機能の完全回復までに及び、個々の患者および障害によって変化する。
【0036】
本発明の実行は、それらの更なる好ましい観点および実施形態を含み、以下の実施例によってより完全に理解され、それらは実例のみを提示したものであり、決して本発明を限定すると解釈されるべきものではない。
【実施例1】
【0037】
コンドロイチナーゼによるげっ歯類における脊髄障害後の自律神経系機能の改善
コンドロイチナーゼの使用を伴ったラットにおける脊髄の挫傷障害後の自律神経系機能の研究は、Acorda Animal Modeling Facilityにおいて完了した。動物(n=38)は確立されたSCIモデルにさらされた(Gruner et al.1996)。前記SCIの後、直ちに開始し、19体の動物は、コンドロイチナーゼABC1(Seikagaku;カタログ番号100332,ロット番号E02201)をくも膜下腔内(i.t.)に、各投与量、各ラットにつき人工脳脊髄液中0.06ユニットで、1日おきに2週間処理した。他の19体の動物は、賦型剤中の酵素蛋白質(Penicillinase−Sigma;カタログ番号P4524)で処理した。
【0038】
前記動物は、医療グレード空気(95%酸素、5%二酸化炭素)混合物中に供給される1.5%イソフルランを用いた外科麻酔法の状態に導入し維持した。セファゾリン(50mg/kg、s.c.)は術前に与えた。外科処置期間、前記動物は体温および心拍数の維持を補助するために加温パッド上に置き、SpO2と前記動物の体温を観察した。T9およびT10脊髄の脊椎の椎弓切除術を実施した。T13/L1接合部における部分的な椎弓切除術は、髄空内カテーテルを配置するために行なった。硬膜における切開は皮下注射の針を用いて行なった。A32ゲージカテーテル(ReCathCo.,LLC,CS132G,ロット番号20422)は、前記硬膜切開を通して挿入し、前記T9/T10椎弓切除術のすぐ尾方に位置するために吻方に送りこんだ。前記カテーテルはシアノアクリレート接着剤および縫合によって骨と筋肉に固定した。カバースリップピンセットを改良した刃物(4mm幅×0.5mm厚)は、前記脊髄の外側面と前記椎弓切除の吻側の脊椎との間の脊柱管内に挿入した。SCIはピンセットの刃物の間の脊髄を15秒間圧迫することによって誘導した。前記障害の重症度のレベルは、脊髄から0.3mmの距離で圧迫するピンセットを用いることによって誘導した(適度な障害)。前記障害を覆う硬膜は無傷のままであった。前記ピンセットを除去し、前記障害部位を生理食塩水で洗い流した。被さった筋肉層を一緒に縫合し、皮膚の創傷をホッチキスで閉じた。手術後、前記動物に直ちに乳酸リンガー生理食塩水の5mlのボーラスを与え、続いて2時間後に5mlの乳酸リンガー生理食塩水の第二回目の投与を行った。
【0039】
手術の直後およびその後1日おきに2週間、動物はイソフルレンで麻酔し、以下に記載した実験試薬(コンドロイチナーゼABCI)または対照試薬(ペニシリナーゼ)をくも膜下腔内カテーテル中に注入した。前記注入容量は3マイクロリットルでおこない、続いて4マイクロリットルの人工脳脊髄液で洗浄した。
【0040】
処置法
1.コンドロイチナーゼ(Chase)ABC1−コンドロイチナーゼABC1(Seikagaku)、0.06U/投与量、くも膜下腔内投与、aCSF3マイクロリットル中。
2.ペニシリナーゼ−ペニシリナーゼ(Sigma)、3マイクロリットル、くも膜下腔内投与、228マイクログラム/1ミリリットル。
【0041】
分析および結果
膀胱は少なくとも1日2回手動で絞り出し、尿量を記録した。全てのグループの尿量は障害後最初の4日間はおよそ2.7ミリリットルであった。ペニシリナーゼ処置グループの尿量は11ミリリットルのピーク容量に達し、障害後およそ3週間までに1日あたり6〜8ミリリットルの間に戻った。コンドロイチナーゼ処置グループの尿量は1日あたり6ミリリットルの最大容量に達し、3週間までにおよそ2ミリリットルに戻った。図1のコンドロイチナーゼおよびペニシリナーゼ処置ラットの適度な障害グループの平均残留尿量のプロットを参照。このシステムは、ラットにおける脊髄障害後の自律神経系機能回復を評価する分野において十分に許容されるものである。
【0042】
これらの結果は、脊髄障害後の自律神経系機能の回復に対してコンドロイチナーゼ酵素が利用できる可能性を実証するものである。前記脊髄障害モデルおよび行動解析システムは、前記分野において十分に許容されるものであり、何よりもヒトの脊髄障害に対して最も関連性があると考えられる。
【実施例2】
【0043】
コンドロイチナーゼの持続放出製剤
持続放出コンドロイチナーゼ酵素供給技術の発展によって、存続期間を与えるために、コンドロイチナーゼがSCIの後のいずれの時点においても投与されることが可能になった。コンドロイチナーゼの理想的な持続放出システムは、活性物質の放出の延長を提供するだけでなく、SCIの状況において使用するのに実用的なものある。最小限な設計基準は、CNSにおける前記装置の生態適合性、コンドロイチナーゼ触媒活性の滞留、および適切なコンドロイチナーゼ放出反応速度を含む。好ましくは、前記システムは、前記SCIの部位に適用される薄膜の形態、または前記部位に適用される重合システムにおいて、脊髄に接触して重合し、その後前記処置期間の過程全体にわたって適所に留まるものである。前記システムは、前記SCIへの導入によって圧縮形態における更なる外傷を導くことがないように、曲がりやすいものである。
【0044】
生体分解性薬剤供給システムにおける過去数年間にわたる進歩は、様々な実行可能な基質候補をもたらしてきた。理想的なシステムの選択は、生化学的で実行可能な特性の評価によって決まる。一般的に、これらのシステムは、共有架橋結合の形成を通じて均一層中に一緒に保持される基質、結晶化基質、乳濁液、または相転移における前記活性物質が捉えられる。前記基質物質は、生物学的システムまたは合成ポリマーのどちらかである。前記候補システムの実施例は、フィブリン接着剤、コラーゲン、およびアルギン酸のような生物学的基質を含み、合成基質の実施例は、ポリ乳酸/ポリグリコール酸、プルロニック(pluronic)およびエチレン酢酸ビニルを含む。本明細書の持続放出製剤は、CNSに対する挫傷障害の処置における使用に適しているだけでなく、他のCNS障害および疾病の処置における使用にも適していることが理解される。
【0045】
発展した組み換えコンドロイチナーゼ酵素は、種々のSR基質に取り込まれてもよく、フィブリン接着剤、コラーゲン、アルギン酸、ポリ乳酸/ポリグリコール酸、プルロニック(pluronic)およびエチレン酢酸ビニルを含むがこれに限らない。天然および合成ポリマーの両方を使用してもよい。合成ポリマーは正確な製剤で予測可能な放出特性であるという利点を有しているが、一方天然ポリマー製剤は増強された生体適合性を有する可能性がある。それぞれのポリマーシステムタイプは、コンドロイチナーゼ含浸膜またはゲルを作り出すために特有の特性と方法を有しており、各タイプは以下に記載した。
【0046】
コラーゲンゲル:コラーゲンは、その調整の容易さと生体適合性のために数十年もの間医療装置における生体材料として使用されてきた。コラーゲンは、例えば止血剤、組織増強ゲル、骨移植代替物、封止剤、および様々な創傷治療製品などの承認医療装置において見受けられる。前記生体医学の目的で使用されるコラーゲンは、一般的にウシの腱から単離される原線維タイプIコラーゲンである。コラーゲンゲルはげっ歯類タイプIコラーゲンから形成されたものであってもよい。コラーゲンゲルの形成方法は数年間日常的に使用されてきた。希酸中のコラーゲンは生理学的pHで緩衝剤中、コンドロイチナーゼ溶液と結合している。中和および温めた場合、前記タイプIコラーゲン原線維はゲルを作るために障害配列に融合する。得られるゲルの架橋結合密度は前記コラーゲンの濃度変化によって制御されてもよい。
【0047】
フィブリン接着剤:フィブリン接着剤は、止血剤または封止剤としてヨーロッパにおいて数年間臨床的に使用されてきた血液由来製品である。フィブリン接着剤はゲルを形成するために結合された2つの成分から成る。前記第一の構成物質は凝固に関与する主要プロテインであるフィブリノゲンである。フィブリノゲンはトロンビンと結合して凝固カスケードにおける最終段階を再現する。トロンビンは、フィブリンと呼ばれる線維網にフィブリノゲンの重合を追い込む反応性末端を暴露するためにフィブリノゲンにおいて作用するセリンタンパク分解酵素である。コンドロイチナーゼは前記フィブリノゲン溶液と結合されてもよく、その後トロンビンの添加によって重合される。
【0048】
アルギン酸:アルギン酸は海の昆布から単離される大きな分子量の糖質である。それは食品および化粧品において添加剤として最も頻繁に使用される。その安全性と生体適合性は、創傷治療製品におけるその使用をもたらしてきた。それは細胞または膵島のマイクロカプセル化の実験的製剤においても使用される。アルギン酸は、カルシウムのような二価カチオンと共にイオン的な架橋を経て様々な形および形態に形成することができるために、特に用途が広いものである。架橋密度はカルシウムおよびアルギン酸の濃度によって制御することができ、得られるゲルはin vivoで長期間安定である。コンドロイチナーゼとアルギン酸の溶液はカルシウム添加によりフィルムを形成するために使用されてもよい。
【0049】
PLA/PGA:ポリ乳酸およびポリグリコール酸の重合体または共重合体は、縫合および他の生体分解性移植可能医療装置において使用される加水分解的に不安定なポリエステルである。PLA/PGAは薬剤供給のためのマイクロカプセルを作るためにも使用されてきた。これらのポリマーを用いた持続放出システムを作り出すために利用可能な方法が幾つかある。例えば、溶媒交換システムはPLA/PGA重合体がn−メチルピリドンに溶解するために使用されてもよい。
【0050】
プルロニック:プルロニックは逆層転移を受ける親水性重合体である。プルロニック溶液は低温で粘性溶液であり、さらにその後より温かい温度に変えた場合、溶液から固体層への転移を受ける。プルロニックは、液体を組織に注入またはスプレーして前記液体がフィルム中で凝固することが望ましい場合、様々な生物医学的な用途において使用されてきた。プルロニックはコンドロイチナーゼを含む緩衝水溶液に溶解されてもよい。フィルムは、逆層転移およびフィルム形成を促進するためにインキュベータにおいて温められた組織培養プレートにおける鋳型ゲルによって形成されてもよい。
【0051】
エチレン酢酸ビニル:エチレン酢酸ビニル(EVA)は、非分解性、生体適合性移植を作るために使用される重合体の代表的なものである。EVAは塩化メチレンのような一部の有機溶媒に可溶である。緩衝水溶液におけるコンドロイチナーゼは乳化剤を作るために撹拌下でEVA溶液に添加されてもよい。前記有機溶媒はその後コンドロイチナーゼが含浸された半結晶化重合体基質の形成を促進する溶液から、その後エバポレートされてもよい。この方法は架橋結合密度範囲を作るために使用されてもよい。
【実施例3】
【0052】
コンドロイチナーゼABCTypeIの持続放出製剤
この研究において、コンドロイチナーゼABCTypeIは3つ持続放出基質中で処方した。:Duraseal(商標)I(Confluent Surgicalにて市販)、Duraseal(商標)II(Confluent Surgicalにて市販)、およびSpray Gel.Duraseal(商標)は増大ヒドロゲルである。前記Spray Gelはゲル発泡体に基づくコラーゲンである。放出は、長時間にわたって基質から放出されるコンドロイチナーゼ活性を測定することによって観察した。結果は図2に図説した。前記結果は、コンドロイチナーゼが長時間にわたって持続放出基質から放出され、持続放出製剤中で処方された可能性を実証していた。
【実施例4】
【0053】
げっ歯類における脊髄挫傷障害後のコンドロイチナーゼABCTypeIの神経学的機能回復
ラットにおける挫傷障害のコンドロイチナーゼABCTypeI処置の研究は、Acorda Animal Modeling Facilityにおいて達成した。動物(n=30)は確立されたSCIモデルに曝された(Gruner et al.1996)。前記SCIの直後、10体の動物は、コンドロイチナーゼABCI(Seikagaku;カタログ番号100332、ロット番号E02201)を髄空内(i.t.)中、投与量あたり1ラットあたり人工脳髄液中0.06ユニットの投与量で処理し、その後1週間毎日、さらにその後1週間1日おきに処理した。別の10体の動物は酵素蛋白(ペニシリナーゼ−Sigma;Cat numberP4524)を受け、他の10体の動物は賦形剤対照(人工脳髄液−Harvard Apparatus;Cat Number59−7316)を受けた。動物は12〜16週間、オープンフィールド行動試験によって評価した。
【0054】
前記動物は、医療グレード空気(95%酸素、5%CO)混合物中において運ばれる1.5%イソフランを用いた外科麻酔法の状態に導入し維持した。バイトリル(25mg/kg)は術前に与えた。外科手術の間、前記動物は動物の体温、心拍数、SpO2、および動物の温度維持を補助するために加温パッド上に置いた。T9およびT10脊髄の脊椎の椎弓切除を実施した。T13/L1接合における部分的な椎弓切除を脊髄内カテーテルの設置のために実施した。硬膜における切開は皮下注射の針を用いて行なった。カテーテル(Harvard Apparatus)は、前記硬膜切開を通して挿入し、前記T9/T10椎弓切除術のすぐ尾方に位置するために吻方に送り込んだ。前記カテーテルはシアノアクリレート接着剤および縫合によって骨と筋肉に固定した。カバースリップピンセットを改良した刃物(4mm幅×0.5mm厚)は、前記脊髄の外側面と前記椎弓切除の吻側の脊椎との間の脊柱管内に挿入した。SCIはピンセットの刃物の間の脊髄を15秒間圧迫することによって誘導した。前記ピンセットは脊髄から0.9mmの距離を圧迫するために設計された。前記ピンセットは除去し、前記障害部位は生理食塩水で洗浄した。付加筋肉層は一緒に縫合し、前記皮膚創傷はホッチキスで閉じた。外科手術後、前記動物に直ちに乳酸リンガー生理食塩水の5mlのボーラスを与え、続いて数時間後に5mlの乳酸リンガー生理食塩水の第二回目の投与を行った。
【0055】
外科手術の直後、およびその後1週間毎日、およびその後1日おきに1週間、動物はイソフルランで麻酔し、以下に記載した実験試薬および対照試薬(コンドロイチナーゼABC1、ペニシリナーゼ、またはaCSF)を髄空内カテーテル中に注入した。前記注入容量は6マイクロリットルで行い、続いて人工脳髄液6マイクロリットルの洗浄をおこなった。
【0056】
処置法
1.コンドロイチナーゼABC1−コンドロイチナーゼABC1(Seikagaku)、0.06ユニット/投与量、くも膜下腔内投与、aCSF6マイクロリットル中。
2.ペニシリナーゼ−ペニシリナーゼ(Sigma)、6マイクロリットル、くも膜下腔内投与、124マイクログラム/1ミリリットル。
3.aCSF−人工脳髄液(Harvard Apparatus)、6マイクロリットル、くも膜下腔内投与。
【0057】
行動分析
48時間後およびその後障害後毎週、Basso、Beattie an Bresnahan(BBB)記録システム(Basso et al.,1995)に従って、オープンフィールド自発運動を観察および記録した。このシステムはラットにおける脊髄障害後の運動神経系機能回復の評価の分野において十分に許容されるものである。
【0058】
結果:死亡率は処置グループ全域にわたって均等に分布して40%であり、障害の重篤度に関連したカテーテル法および有害事象によるものであった。ペニシリナーゼまたはaCSFで処理した動物はおよそ4の平均BBBスコア(n=11)で機能回復した。コンドロイチナーゼABC1処置動物は(n=7)はおよそ8のBBBスコアで運動神経系機能回復した。前記コンドロイチナーゼABC1処置グループはANOVAおよびpost−hocTurkey分析(P<0.01)によると他のグループ両方とは有意に異なっていた。挫傷脊髄障害後、aCSF、ペニシリナーゼ、またはコンドロイチナーゼABC1投与を伴った脊髄挫傷障害後のラットのBBBスコアを図説した図3を参照。
【0059】
これらの結果は、挫傷脊髄障害の処置のためにコンドロイチナーゼ酵素が使用できる可能性を実証している。前記脊髄障害モデルおよび行動分析システムは、前記分野において十分に許容されるものであり、さらにほとんどのヒト脊髄障害に対して関連すると考えられる。これらの結果は公開されているin vitroのコンドロイチナーゼの結果または脊髄の処理障害モデルから予期されるものではない。
【実施例5】
【0060】
コンドロイチナーゼABCType1によるげっ歯類における脊髄挫傷障害後の神経学的機能の改善
ラットにおける挫傷障害のコンドロイチナーゼType1処置の研究は、Acorda Animal Modeling Facilityにおいて完了した。動物(n=38)は確立されたSCIモデル(Gruner et al.1996)にさらした。前記SCIの直後、19体の動物は、コンドロイチナーゼABC1(Seikagaku;Cat number 100332、ロット番号E02201)を人工脳髄液中、1ラット、1回投与量あたり0.06ユニットでくも膜下腔内(i.t.)投与し、2週間1日おきに処理した。別の19体の動物は、賦形剤中の酵素蛋白質(ペニシリナーゼ−Sigma;Cat number P4524)で処理した。動物は10週間、オープンフィールド行動試験によって評価した。
【0061】
前記動物は、医療グレード空気(95%酸素、5%CO2)混合物中において運ばれる1.5%イソフランを用いた外科麻酔法の状態に導入し維持した。セファゾリン(50mg/kg、s.c.)の初回投与量は術前に与えた。外科手術期間中、前記動物は、体温、および心拍数、SpO2および動物の温度維持を補助するために加温パッド上に置いた。T9およびT10脊髄の脊椎の椎弓切除を実施した。くも膜下腔内カテーテルの設置のためにT13/L1接合部における部分的な椎弓切除を行った。皮下注射針を用いて硬膜切開を行った。前記硬膜切開を通してA32ゲージカテーテル(ReCathCo.,LLC,CS132G,Lot number 20422)を挿入し、前記T9/T10椎弓切除術のすぐ尾方に位置するために吻方に送り込んだ。前記カテーテルはシアノアクリレート接着剤および縫合によって骨と筋肉に固定した。カバースリップピンセットを改良した刃物(4mm幅×0.5mm厚)は、脊髄の外側面と椎弓切除の吻側における脊椎との間の脊柱管内に挿入された。SCIは脊髄をピンセットの刃物の間に15秒間圧迫することによって誘導した。前記障害の重症度は、脊髄から0.9mmの距離を圧迫するピンセットを用いることによって誘導した(適度な障害)。前記障害を覆う硬膜は無傷のままであった。前記ピンセットを除去し、前記障害部位を生理食塩水で洗い流した。覆い被さった筋肉層は一緒に縫合し、皮膚創傷はホッチキスで閉じた。外科手術後、前記動物に直ちに乳酸リンガー生理食塩水の5mlのボーラスを与え、続いて数時間後に5mlの乳酸リンガー生理食塩水の第二回目の投与を行った。
【0062】
外科手術の直後およびその後1日おきに2週間、動物はイソフルランで麻酔し、以下に記載した実験試薬(コンドロイチナーゼABC1)および対照試薬(ペニシリナーゼ)を髄空内カテーテル中に注入した。前記注入容量は3マイクロリットルで行い、続いて人工脳髄液4マイクロリットルの洗浄を行った。
【0063】
処置法
1.コンドロイチナーゼABC1−コンドロイチナーゼABC(Seikagaku)、0.06ユニット/投与量、くも膜下腔内投与(i.t.)、3マイクロリットルのaCSF中。
2.ペニシリナーゼ−ペニシリナーゼ(Sigma)、3マイクロリットル、くも膜下腔内投与(i.t.)、228マイクログラム/1ミリリットル。
【0064】
行動分析:48時間および障害後1週間毎に、Basso,Beattie an Bresnahan(BBB)スコアシステム(Basso et al.,1995)によるオープンフィールド自発運動を観察し記録した。このシステムはラットの脊髄障害後の運動機能の回復を評価する分野において十分に許容されるものである。
【0065】
結果:37体の動物を登録し、0.9mmピンセット障害において処置グループあたり19体であった。動物の死亡は全ての処置グループにおいておおよそ同等であった。死亡した動物の90%以上が尿路感染していた。ペニシリナーゼ処置した0.9mmピンセット障害動物は、3のBBBより回復しないスコアのため、またはかなり異常であったため除去した。付加した4体の動物は(2ペニシリナーゼおよび2−コンドロイチナーゼ処置)震えとジスキネジーのために除去した。これらの動物の除去は各0.9mmグループにおける動物数を12にした。
【0066】
0.9mmピンセット(適度な障害)。ペニシリナーゼ対照で処置した動物は障害10週間後、7.1±0.36(平均±SEM)(n=12)のBBBスコアで機能回復した。コンドロイチナーゼABCI(n=12)で処置した動物の平均BBBスコアは10週後、9.1±0.64の平均スコアで有意に高かった(p<0.01)。4週の安定期に達した後の各グループのスコアはANOVAによっても有意に異なった(p<0.001)。適度な挫傷SCI後のコンドロイチナーゼおよび対照動物のBBBスコアを図説した図4を参照。
【0067】
コンドロイチナーゼは、SCIの背側面片側切断および重症ピンセット圧迫モデルにおいて、機能を改善しさらに再生を促進することを示した。この研究はピンセット圧迫研究の結果を確認すると同時に、コンドロイチナーゼが適度な障害レベルにおける運動神経系機能の回復に効果的であることを実証している。前記適度な障害研究は、コンドロイチナーゼ処置を用いたオープンフィールド自発運動の有意な改善を示した。
【実施例6】
【0068】
コンドロイチナーゼABCType1の急性分布および毒性
およそ210グラムの体重のCharles River LaboratoriesからのメスLong EvansラットをAcorda Animal Care Facilityにおいて、健康および体重安定性を確認するために障害前5日間保管した。ラットはイソフルランで麻酔し、アコーダコンドロイチナーゼABCI(ABCI−バッチ3)を尾静脈から静脈内に注射した。動物は表1に示したように、それぞれハンクス液1mlあたり0、0.2、0.775、および7.775mgを含む溶液を用いて1kgあたり0.0.2、0.775.または7.775mgで注射した。
【0069】
【表1】

【0070】
動物はそれぞれのホームケージに戻し、痛みと苦痛を監視した。体重は毎日入手した。
【0071】
前記動物の半分は障害後24時間で犠牲にした。酵素分布評価および組織病理学のために、脳、脊髄、心臓、肝臓、腎臓、および血液を取り除き、−40℃に冷却したイソペンタン中で速やかに凍結した。残った動物は7日間観察し、その後犠牲にし、前記24時間生存グループと同様に処理した。
【0072】
組織は固定し20μmで低温切開した。切片は0.1Mリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で簡単に洗浄し、その後エタノール、ホルマリン、酢酸固定剤中(それぞれ66、4、5%容量)で10分間固定した。組織はpH7.4の0.1M PBS10%正常血清(2%正常ラット血清および8%正常ロバ血清を含む)含有溶液中で洗浄し固定した。切片は抗コンドロイチナーゼABCI抗体(#8429)中、一晩インキュベートした。組織は、抗コンドロイチナーゼとコンドロイチン硫酸プロテオグリカンを認識する抗体を用いて、免疫組織化学および組織ホモジネートをウエスタンブロットすることにより評価した。
【0073】
結果:障害期間または直後に顕在的な反応は観察されなかった。障害部位において、腫張、炎症、打撲、壊死は観察されなかった。摂食行動、身づくろい、または発声の変化は観察されなかった。動物はオープンプールにおいて運動行動を評価した。動物飼育係または行動専門家によって観察される異常はなかった。動物は関節の圧痛または腫脹の兆候を見せた。
【0074】
動物は障害の前後毎日体重を量った。体重の平均変化を図5に示した。処置グループの間に体重変化の有意な相違はなかった。全てのグループは、障害後24時間後、0〜6.667グラム体重が減った。賦形剤対照グループは24時間で最も体重が減った。全ての処置グループは連日体重が増えた。
【実施例7】
【0075】
コンドロイチナーゼABCType1単回投与くも膜下腔内毒性
くも膜下腔内カテーテルは、コンドロイチナーゼを供給するために、16体の正常無注射メスラットのおよそT13/L1脊髄接合のところに置いた。カテーテルは、今までのコンドロイチナーゼ研究を模擬試験するためにT9/T10レベルに置くために吻方においた。くも膜下腔内カテーテル設置後24時間、動物は、人工脳髄液20マイクロリットル中、アコーダコンドロイチナーゼABCI(1ミリグラムあたり100ユニット)を0、0.006、0.6、または6.0ユニットで20分もの間投与した。これらの投与量は、実施例1、4、および5で使用した投与量の0、1、10、および100倍から選択した。動物は24時間または7日間観察し、それらの体重および温度を追跡した。
【0076】
いずれのラットにおいても明らかな反応は見られなかった。図6および7に図説したように、体重または温度の群間それぞれの有意な相違はみられなかった。コンドロイチナーゼは、今までの研究で使用した投与量の100倍の投与量まで単回くも膜下腔内投与は安全に思われる。
【実施例8】
【0077】
コンドロイチナーゼABCType1反復および段階的投与のくも膜下腔内毒性研究
くも膜下腔内カテーテルは5匹のメス成人Long Evansラットに設置した。ラットは麻酔し、筋肉は脊椎から取り除き、およそT13/L1接合において小さな椎弓切除を行った。1.4mmの長さのくも膜下腔内カテーテルは、その末口がおよそT9/T10レベルになるように設置した。ラットはイソフルランで麻酔し、賦形剤(aCSF)、コンドロイチナーゼABCIの反復または段階投与のいずれかを投与した。反復投与は0.6ユニットまたは今までの研究の有効投与量の10倍であった。段階投与は、0.6、1.2、2.4、4.8、9.6、19.2ユニットであった。ラットは体重と温度変化、明らかな毒性と行動変化を記録した。
【0078】
コンドロイチナーゼABCIを反復または段階投与のどちらかで処理したラットは、賦形剤のものよりもわずかに体重が増加した。有害事象は、賦形剤、反復および段階投与ラットの間に一様に分布した。有害事象は昏睡状態および尻尾降下を含み、通常麻酔および投薬の日に起こった。投薬処方計画の期間の体重変化の散乱プロットは図8に示し、温度変化は図9に示した。いずれの図においても、1日に2回の体重を初回投与と比較してプロットしている。投与時期は矢印で示している。
【実施例9】
【0079】
コンドロイチナーゼによる慢性脊髄挫傷障害における神経学的機能の改善
ある程度の神経学的機能が回復したCNSに対する障害を有する個人は、その後限られた改善しか起こらない障害の慢性期に入る。本明細書の実施例の例外を伴うが、全てのコンドロイチナーゼを用いた研究は、脊髄障害処理の直後の動物において実施されてきた。実施例において、コンドロイチナーゼABCTypeI、コンドロイチナーゼTypeII、コンドロイチナーゼAC、およびコンドロイチナーゼB、または例えばHyal1、Hyal2、Hyal3、およびHyal4などのコンドロイチナーゼ様活性を伴う哺乳類酵素は、CNSの挫傷障害後の障害慢性期における哺乳類を処置するために使用した。この実施例において、ラットは脊髄の挫傷障害にさらされており、少なくとも6週間で回復することが認められている。前記動物はこの段階において、実施例1において記載したBBBスコア方法によって評価されるようなオープンフィールド運動に対して停滞期の値に達した。前記動物はコンドロイチナーゼABCTypeI、コンドロイチナーゼTypeII、コンドロイチナーゼAC、およびコンドロイチナーゼB、または例えばHyal1、Hyal2、Hyal3、およびHyal4などのコンドロイチナーゼ様活性を伴う哺乳類酵素で処置した。
【実施例10】
【0080】
フラボバクテリウム属hepariniumからのコンドロイチナーゼACのクローニング
フラボバクテリウム属heparinium(ATCC)は、LB(Luria broth)中25℃で4日間培養した。前記バクテリアは遠心分離で沈降させ、ゲノムDNAをDNeasy Tissue Kit(Qiagen)によって分離した。成熟蛋白質を合成するために、5'−CATATGCAGCAGACCGGTACTGCA−3'、および5'−GGATTCTCAGTGCTCTTTATTTCT−3'配列をそれぞれ有する5'末端におけるNdel制限酵素認識部位および3'末端におけるBamHI部位を用いてPCRプライマーを合成した。1マイクログラムのゲノムDNAは、dNTP(dATP、dTTP、dCTP、およびdGTP)をそれぞれ10mM、前方および後方プライマーをそれぞれ50pmol、MgSOを1mM、およびTflDNAポリメラーゼ(Promega)5ユニットを含む50マイクロリットルのPCR反応中で用いた。前記PCR反応の加温開始は、95℃で2分間変性することによって開始し、その後94℃で30秒の別の変性サイクルが続き、58℃で8分間のアニーリングおよび伸展を30サイクル続けた。前記最終伸展は、4℃での冷却前に72℃8分間で行った。前記2.0kbのPCR生成物は、pCR2.1ベクター(TOPOクローニングキット、Invitrogen)にライゲーションさせて、単発構成細胞(Invitrogen)に形質転換させた。プラスミドDNAは、EcoR1制限酵素の消化によって選別された多数のクローンから単離し、陽性クローンは2.0kb挿入断片を有するものとして選択した。前記遺伝子の整合性はDNA配列によって確認し、公開されている配列に対して100%の同一性を示した(Genbank accession no.U27583)。コンドロイチナーゼACのヌクレオチド配列はSEQ ID No.1であった。
【実施例11】
【0081】
フラボバクテリウム属hepariniumからのコンドロイチナーゼBのクローニング
コンドロイチナーゼBは、成熟蛋白質を合成するために5'−CATATGCAGGTTGTTGCTTCAAAT−3'および5'−GGATCCTCAGTGCTCTTTATT−TCT−3'配列を有する5末端Ndel制限酵素認識部位および3末端BamHI部位を用いた実施例2と同様の方法によってクローンを作成した。1マイクログラムのゲノムDNAは、dNTP(dATP、dTTP、dCTP、およびdGTP)をそれぞれ10mM、前方および後方プライマーをそれぞれ50pmol、MgSOを1mM、およびTflDNAポリメラーゼ(Promega)を5ユニット含む50マイクロリットルのPCR反応中で用いた。前記PCR反応の加温開始は、95℃2分間における変性によって開始し、その後94℃で30秒の第2の変性サイクルが続き、58℃で5分間のアニーリングおよび伸展を30サイクル続けた。前記最終伸展は、4℃における冷却前に72℃で8分間行った。前記1.6kbのPCR生成物は、pCR2.1ベクター(TOPOクローニングキット、Invitrogen)にライゲーションさせて、単発構成細胞(Invitrogen)に形質転換させた。プラスミドDNAは、EcoR1制限酵素の消化によって選別された多数のクローンから単離し、陽性クローンは1.6kb挿入断片を有するものとして選択した。前記遺伝子の整合性はDNA配列によって確認し、公開されている配列に対して100%の同一性を示した(accession no.U27584)。コンドロイチナーゼBのヌクレオチド配列はSEQ ID No.2であった。
【実施例12】
【0082】
コンドロイチナーゼABCTypeIのクローンニング
ゲノムDNAは、Dneasy Tissue キット(Qiagen)を用いてプロテウス・ブルガリスから単離した。PCRプライマーは5'−CATATGGCCACCAGCAATCCTGCATTTG−3'(F2)および5'―GGATCCTCAAGGGAGTGGCGAGAG−3'(R)をそれぞれ有するNdel制限酵素認識部位5'末端およびBamHI部位3'末端を用いて合成し、成熟蛋白質を合成した(2)。前記3.0kbのPCR生成物は、pCR2.1ベクターにライゲーションさせて(TOPOクローニングキット、Invitrogen)、DH5α構成細胞(Invitrogen)に形質転換させた。プラスミドDNAは、EcoR1制限酵素の消化によって選別された多数のクローンから単離した。前記遺伝子の整合性は繰返しDNA配列によって確認し、公開されている配列と比較してヌクレオチドとアミノ酸レベルそれぞれ99.7%および99.5%の同一性を示した。前記コンドロイチナーゼABC1のヌクレオチド配列はSEQ ID No.3であった。前記アミノ酸レベルにおける配列の同一性はSEQ ID No.4であった。
【実施例13】
【0083】
コンドロイチナーゼABCTypeIIのクローニング
コンドロイチナーゼABCIIはP.ブルガリスのゲノムDNAからクローン化した。前方および後方プライマーは、5'TTACCCACTCTGTCTCATGAAGCTTTC3'および5'TTACTTAACTAAATTAATAACAGTAGG3'の配列をそれぞれ有するよう設計した。3.0kbのmol.wt.PCT単一生成物は、P.ブルガリスのゲノムDNAを増幅した30循環後に単離した。前記PCR生成物は、pCR2.1ベクターにおいてクローン化し、制限消化によって確認した。前記遺伝子の整合性はDNA配列によって確認し、公開されている配列に対して99%の同一性を示した。前記コンドロイチナーゼABCIIのヌクレオチド配列は、SEQ ID No.5であった。
【0084】
前記ヌクレオチドレベル矛盾は、アミノ酸レベルにおける98.3%の同一性もたらした。前記コンドロイチナーゼABCIIのアミノ酸配列は、SEQ ID No.6であった。
【実施例14】
【0085】
コンドロイチナーゼACおよびBが引き起こしたin vitroにおける神経突起の伸長
抑制性CSPG基質を超えて神経突起の伸長を促進するコンドロイチナーゼACおよびBの能力を試験した。CSPG混合物(1mlあたり0.5mg;Chemicon)を、ポリ−1−リジンコーティング組織培養プラスチック上に染み付けた。組み換えコンドロイチナーゼACまたはBは、無血清培地のプレートに、1mlあたり0.5または0.1g、37℃で3時間加えた。胎児時からの18匹のラット仔の皮質ニューロンは、前記染み上にプレートした。プレート後48時間、接触面の顕微鏡写真を取得し、前記細胞の神経突起伸長を評価した。図2に見られるように、クローン化したコンドロイチナーゼACおよびB酵素のどちらも、非処置対照と比較すると、CSPG基質を超えた神経突起の伸長を促進した。神経突起の促進は、同等のモル濃度で市販のコンドロイチナーゼ酵素と類似であった。
【実施例15】
【0086】
コンドロイチナーゼの融合蛋白質およびTAT細胞形質導入
本明細書の使用に適したコンドロイチナーゼのTAT融合蛋白質は、これと共に同時に出願されている一般的に所有されている同時継続出願の米国特許出願第[未指定]において記載されており、それはこの参照により本明細書に組み込まれる。ヒト免疫不全ウィルス(HIV)の前記TAT蛋白質形態は、細胞へのHIVの形質導入に関る蛋白質形質導入範囲(PTD)を含む。前記PTDは、前記PTDの活性にかかわる11のアミノ酸範囲(TATペプチド)を含む。前記TATペプチドは蛋白質と結合し、前記蛋白質の細胞への形質導入を促進する。前記形質導入の機構は、前記TATペプチドに結合した蛋白質の分子量または化学的特性からは独立している。従って、前記TATペプチドは、細胞の細胞質に任意の蛋白質を輸送する方法を提供する。in vitroの研究は、120kd酵素に結合した前記TATペプチド、ベータ−ガラクトシダーゼ(β−Gal)から成る融合蛋白質をマウスに注入した場合、多岐にわたる細胞へのβ−Galの着実な輸送が観察された。特に、β−GalはCNSにおいて観察された。TATペプチドβ−GalがないことはCNSにおいて観察されなかった。従って、TATペプチド融合蛋白質は血液脳関門を渡り、細胞へ形質導入した。脳関門を越えた輸送は一般的に、特定の疎水性小分子、および特定の低分子量脂溶性ペプチドに限定されていた。β−Galと同じくらい大きな蛋白質の輸送は血液脳関門の実質的な分断なしでは不可能であるが、前記TATペプチドは血液脳関門が無傷のまま放置されている間輸送された。
【0087】
本発明はTATペプチド(TAT−コンドロイチナーゼ)に機能的に結合したコンドロイチナーゼ酵素である。第一の利点は、TAT−コンドロイチナーゼ血液脳関門を横切ることであり、脊髄障害を組織的に処置するために使用されてもよく、CNS疾患に関連してもよい。第二の利点は、TAT−コンドロイチナーゼが細胞に形質導入され、その後細胞内CSPGs貯蔵に分解されることである。従って、TAT−コンドロイチナーゼは細胞外および細胞内両方のCSPGsを分解する。
【実施例16】
【0088】
コンドロイチナーゼを放出するカプセル化細胞
コンドロイチナーゼAC、コンドロイチナーゼB、コンドロイチナーゼABCTypeI、コンドロイチナーゼABCTypeII、または例えばHyal1、Hyal2、Hyal3、およびHyal4などのコンドロイチナーゼ様活性を伴う他の酵素をコード化した遺伝子は、例えばCHO株などの適切な哺乳類の細胞に形質導入される。触媒的なコンドロイチナーゼ活性を発現する細胞は、クローン化され拡大する。コンドロイチナーゼ発現細胞株は例えば栄養素および期待を拡散することが可能なポリアクリルニトリル、ポリ塩化ビニル(PAN−PVC)などのポリマーシステムを用いてカプセル化するが、宿主細胞の形質移入は妨げた。前記カプセルが移植される場合、コンドロイチナーゼ産生細胞株は生存し絶え間なくコンドロイチナーゼを分泌するが、前記細胞はポリマーカプセル中、免疫隔離(immunoisolated)されているため免疫拒絶にさらされていなかった。このシステムの利点はカテーテルまたはポンプを通じてコンドロイチナーゼを供給する代わりに、前記コンドロイチナーゼは継続的に分泌した。その上、処置がもはや必要でなくなった場合には、前記カプセルは前記処置間隔を終結させるために回収することができた。本明細書における前記カプセル化された細胞基準システムは、CNSに対する挫傷障害の処置における利用に適切であるだけでなく、他のCNS障害および疾患の処置における使用にも適していることが理解される。
【実施例17】
【0089】
生物学的に活性なコンドロイチナーゼの突然変異体の削除
本明細書の使用に適したコンドロイチナーゼの突然変異体の削除は、一般に所有されており同時継続の米国特許出願第[未指定]において記載されており、それはこれと共に出願され、参照により本明細書に組み込まれる。組み換えにより生産されたコンドロイチナーゼACおよびBは、例えばアグリカンなどの阻害基質境界の障壁を乗り越えることによってin vitroにおいて効果を示し、さらに皮質神経細胞の比率のために神経突起の伸長をもたらす。しかし、上記酵素の障害部位に対する効果的な輸送を促進するために、得られる結晶構造に基づく系統的な欠失解析がCSPGsを分解することができる最小サイズのポリペプチドを測定するために実施される。これら全ての突然変異体の開裂活性は、アグリカンを基質として用いた酵素電気泳動によってin vitroにおいて選別した。今まで、全長蛋白質の75kDaと比較して38kDaの分子量をそれぞれ有するアミノおよびカルボキシ末端から50および275アミノ酸が欠損したコンドロイチナーゼAC(nΔ50−cΔ275)の切断ポリペプチドが、酵素電気泳動アッセイによって試験したように活性を保有した最小サイズであることが見出された。しかしながら、全長蛋白質の52kDaと比較して26kDaの分子量を有し、アミノおよびカルボキシ末端からそれぞれ120アミノ酸が欠損した前記コンドロイチナーゼB(nΔ120−cΔ120)の突然変異体の削除は、酵素電気泳動において同様に活性を保有していることが示された。均一的に精製し切断した前記酵素はin vitroにおいて特性を示し、脊髄障害の治療的可能性を評価するために、全長分子と同時にin vitroでさらに試験する。本明細書の突然変異体はCNSに対する挫傷障害の処置における使用に対して適しているだけでなく、他のCNS障害および疾患の処置における使用にも適していることが理解される。
【0090】
本明細書において記載し図解したことは、幾つかの変化を伴う本発明の実施形態である。本明細書で使用した用語、説明、および図は、図解のみの方法によって説明したものであり、限定を意味するものではない。当業者であれば、本発明の精神および範囲内において色々な変化が可能であり、本発明は請求項によって定義されることを意図しており、他を示していない限り、全ての用語においてそれらの対応する言葉幅広く妥当な意味を意味するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリコサミノグリカン分解酵素を哺乳類へ投与する工程を有する律神経機能を改善する方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記哺乳類へ投与されたグリコサミノグリカン分解酵素は、治療的に有効な量を含むものである、方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法において、前記グリコサミノグリカン分解酵素の治療的に有効な量は、コンドロイチン硫酸プロテオグリカンを分解するのに十分な量を含むものである、方法。
【請求項4】
請求項2記載の方法において、前記コンドロイチン硫酸プロテオグリカンの分解は、中枢神経系の損傷部位で起こるものである、方法。
【請求項5】
請求項2記載の方法において、前記コンドロイチン硫酸プロテオグリカンの分解は、中枢神経系の損傷部位の外側で起こるものである、方法。
【請求項6】
請求項2記載の方法において、前記グリコサミノグリカン分解酵素の治療的に有効な量は、最大およそ100mg/kgのコンドロイチナーゼを含むものである、方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、前記グリコサミノグリカン分解酵素は、中枢神経系の挫傷後に投与されるものである、方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、前記グリコサミノグリカン分解酵素は、挫傷ではない中枢神経系の損傷後に投与されるものである、方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法において、前記グリコサミノグリカン分解酵素は、コンドロイチナーゼABCタイプII、コンドロイチナーゼAC、コンドロイチナーゼB、ヒアルロニダーゼ1、ヒアルロニダーゼ2、ヒアルロニダーゼ3、ヒアルロニダーゼ4、それらの断片、及びそれらの組み合わせから成る群から選択されるものである、方法。
【請求項10】
請求項1記載の方法において、前記グリコサミノグリカン分解酵素は、コンドロイチナーゼABCタイプIである、方法。
【請求項11】
請求項1記載の方法において、前記投与は、局所投与を含むものである、方法。
【請求項12】
請求項1記載の方法において、前記投与は、髄腔内投与を含むものである、方法。
【請求項13】
請求項1記載の方法において、前記投与は、外用投与を含むものである、方法。
【請求項14】
請求項1記載の方法において、前記グルコサミノグリカン分解酵素は、持続放出製剤中に含まれるものである、方法。
【請求項15】
グリコサミノグリカン分解酵素及び持続放出基質を含む、徐放性組成物。
【請求項16】
請求項15記載の組成物において、前記グリコサミノグリカン分解酵素は、コンドロイチナーゼABCタイプII、コンドロイチナーゼAC、コンドロイチナーゼB、ヒアルロニダーゼ、ヒアルロニダーゼ2、ヒアルロニダーゼ3、ヒアルロニダーゼ4、それらの断片、及びそれらの組み合わせから成る群から選択されるものである、組成物。
【請求項17】
請求項15記載の組成物において、前記グリコサミノグリカン分解酵素は、コンドロイチナーゼABCタイプIである、組成物。
【請求項18】
請求項15記載の組成物において、前記持続放出基質は、フィブリン接着剤、コラーゲン、アルギン酸塩、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、プルロニック、およびエチレン酢酸ビニルからなる群から選択されるものである、組成物。
【請求項19】
中枢神経系の挫傷損傷後に、グリコサミノグリカン分解酵素の治療的に有効な量を投与する工程を含む、機能回復を改善する方法。
【請求項20】
請求項19記載の方法において、前記グリコサミノグリカン分解酵素の治療的に有効な量は、コンドロイチン硫酸プロテオグリカンを分解するのに十分な量を含むものである。
【請求項21】
請求項20記載の方法において、前記コンドロイチン硫酸プロテオグリカンの分解は、挫傷損傷部位で生じるものである、方法。
【請求項22】
請求項20記載の方法において、前記コンドロイチン硫酸プロテオグリカンの分解は、挫傷損傷部位の外部で生じるものである、方法。
【請求項23】
請求項19記載の方法において、前記グリコサミノグリカン分解酵素の治療的有効量は、運動機能、感覚機能、自律神経機能、又はそれらの組み合わせを改善するのに十分な量を含むものである、方法。
【請求項24】
請求項19記載の方法において、前記グリコサミノグリカン分解酵素は、コンドロイチナーゼABCタイプIである、方法。
【請求項25】
請求項19記載の方法において、前記グリコサミノグリカン分解酵素は、コンドロイチナーゼABCタイプII、コンドロイチナーゼAC、コンドロイチナーゼB、ヒアルロニダーゼ1、ヒアルロニダーゼ2、ヒアルロニダーゼ3、ヒアルロニダーゼ4、それらの断片、及びそれらの組み合わせから成る群から選択されるものである、方法。
【請求項26】
請求項19記載の方法において、前記挫傷損傷は、外傷性脳障害を含むものである、方法。
【請求項27】
請求項19記載の方法において、前記挫傷損傷は、脊髄損傷を含むものである、方法。
【請求項28】
請求項27記載の方法において、前記脊髄損傷は、脊髄の鈍器損傷を含むものである、方法。
【請求項29】
請求項27記載の方法において、前記脊髄の肉眼的形態は、維持されているものである、方法。
【請求項30】
請求項27記載の方法において、前記脊髄損傷は、単麻痺、両麻痺、対麻痺、片麻痺、四肢麻痺から成る群から選択される症状をもたらすものである、方法。
【請求項31】
請求項19記載の方法において、前記挫傷は、断裂しているか、或いは部分的に神経の役割を果たすものである、方法。
【請求項32】
請求項19記載の方法において、前記挫傷は、破砕された神経を含むものである、方法。
【請求項33】
請求項19記載の方法において、前記挫傷は、中枢神経系の圧迫を含むものである、方法。
【請求項34】
請求項33記載の方法において、前記圧迫は、前記脊髄への外傷性の力によって引き起こされるものである、方法。
【請求項35】
請求項33記載の方法において、前記圧迫は、腫瘍、出血、不完全骨折、感染工程、狭窄又は虚血によって引き起こされるものである、方法。
【請求項36】
中枢神経系の挫傷後の神経機能を改善するために使用される、コンドロイチナーゼABCタイプI、コンドロイチナーゼタイプII、コンドロイチナーゼAC、コンドロイチナーゼB、ヒアルロニダーゼ1、ヒアルロニダーゼ2、ヒアルロニダーゼ3、ヒアルロニダーゼ4、及び組み合わせから成る群から選択されるグリコサミノグリカン分解酵素を含む組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−126880(P2011−126880A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−281092(P2010−281092)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【分割の表示】特願2006−533101(P2006−533101)の分割
【原出願日】平成16年5月17日(2004.5.17)
【出願人】(505425351)アコーダ セラピューティクス、インク. (12)
【Fターム(参考)】