説明

中栓付複合容器蓋

【課題】TEバンドを連結しているブリッジの破断に先立ってのシールブレークの発生を防止する中栓付複合キャップを提供する。
【解決手段】容器口部に嵌合固定される中栓1と、容器口部に螺子締結される容器蓋本体2とからなり、中栓は、天板下面から下方に延びているシール用インナーリング23とを有しており、容器蓋本体のスカート状側壁7の下端には、ブリッジ15を介してTEバンド17が設けられている中栓付複合容器蓋において、中栓が容器口部50に嵌合固定されている状態において、インナーリングの外側面にインサイドシール面が形成され、インナーリングと環状シールリング25との間にトップシール面が形成され、環状シールリングの内側面にはアウトサイドシール面が形成され、容器蓋本体を容器口部に螺子固定した状態において、中栓押圧部9が天板上面外周縁部27を押圧賦勢し、アウトサイドシール面の密着を補強していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中栓と容器蓋本体とからなる中栓付複合容器蓋に関するものであり、より詳細には、容器口部に嵌合固定される中栓と、容器口部に嵌合固定された中栓を覆うように容器口部の外面に螺子締結される容器蓋本体とから成る複合容器蓋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記のような中栓付の複合容器蓋は、例えば飲料用の容器のキャップとして広く使用されている。このような複合容器蓋において、中栓は、容器口部をシールするものであり、天板と、天板の下面に形成されたインナーリングとから形成されており、このインナーリングが容器口部内に嵌め込まれ、その外壁面が容器口部壁の内側面と密着し、さらに天板のインナーリングよりも外側の下面が容器口部壁の上端面に密着することにより、容器口部のシールが行われるものである。
【0003】
このような中栓付複合容器蓋として、特許文献1には、天板の周縁部分の下面(即ち、インナーリングよりも外側部分)に、小突起を設け、小突起の内側面を容器口部壁の上端面近傍の外側面に密着させた構造のものが提案されている。即ち、かかる構造の複合容器蓋では、シール性が高められ、例えば落下衝撃などによるシール破壊を防止できるという利点がある。
【特許文献1】特開2000−332056号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような複合容器蓋では、一般に、内容物の品質保証の見地から、容器蓋本体のスカート状側壁(スカート部)の下端に開封履歴明示機能(TE性)を有するタンパーエビデントバンド(TEバンド)が設けられるが、特許文献1の複合容器蓋においても、このようなTEバンドによるTE性のさらなる向上が求められている。
【0005】
即ち、TEバンドは、その内面にフラップ片などの係合部材を有しており、破断可能なブリッジにより容器蓋本体のスカート状側壁の下端に連結されており、上記複合容器蓋が容器口部に装着されている状態において、容器蓋本体を開栓方向に旋回していくと、容器蓋本体のスカート状側壁は容器口部壁の外面に沿って上昇するが、TEバンドの係合部材が容器口部の外面に形成されている顎部の下面に当接するため、TEバンドの上昇は抑止される。従って、容器蓋本体の開栓方向への旋回を続けていくと、TEバンドとスカート状側壁とを連結しているブリッジが破断し、TEバンドは容器蓋本体(スカート状側壁)から切り離され、さらに容器蓋本体を開栓方向に旋回することにより、スカート状側壁内面に形成されている螺条の上端部が中栓の天板外周縁の下面に当接し、中栓は、スカート状側壁の上昇に伴って持ち上げられてシール解除(シールブレーク)がなされ、最終的に、中栓は、容器蓋本体とともに容器口部から取り外される。このことから理解されるように、一般の需要者は、TEバンドが容器蓋本体から切り離されていることにより、シール解除がなされたことを認識することができ、TEバンドが容器蓋本体から切り離されていないときには、シール解除がなされたことがないことを認識することができ、これにより、容器内容物の品質保証を達成することができるのである。
【0006】
しかるに、上記特許文献1のような複合容器蓋においても、TEバンドを連結しているブリッジが破断するよりも先に、シールブレークが発生してしまうという現象を生じることがある。即ち、容器口部の外面との螺子係合により固定されている容器蓋本体を開栓方向に旋回していくと、螺子係合力が低下していくため、容器蓋本体のスカート状側壁は容器口部壁に対して傾きながら上昇していく。この結果、中栓の天板の外周縁端部がスカート状側壁部の螺条よりも上方の内面に接触してしまうことがあり、このような接触を生じると、スカート状側壁内面との摩擦力により天板が持ち上げられてしまい、TEバンドの切り離し(ブリッジの破断)よりもシールブレークを発生してしまうのである。
【0007】
従って、本発明の目的は、TEバンドを連結しているブリッジの破断に先立ってのシールブレークの発生が確実に防止され、開封履歴明示機能が向上した中栓付複合容器蓋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、容器口部に嵌合固定される中栓と、容器口部に嵌合固定された該中栓を覆うように容器口部の外面に螺子締結される容器蓋本体とからなり、前記中栓は、天板と、天板の外周縁から間隔をおいて天板下面から下方に延びているシール用インナーリングとを有しており、前記容器蓋本体は、頂板部と頂板部の周縁から降下したスカート状側壁とを備え、該スカート状側壁の内面には、容器口部外面と螺子係合する螺条が形成され、且つ該スカート状側壁の下端には、破断可能なブリッジを介してタンパーエビデントバンドが設けられている複合容器蓋において、
前記容器蓋本体の頂板部下面からスカート状側壁内面にかけてのコーナー部には、中栓押圧部が形成されており、
前記中栓の天板の下面には、前記インナーリングの外側部分に、該インナーリングと間隔を置いて下方に延びている環状シールリングが設けられており、
前記中栓が容器口部に嵌合固定されている状態において、前記インナーリングの外側面には、容器口部壁の内側面と密着するインサイドシール面が形成され、前記天板下面の前記インナーリングと前記環状シールリングとの間の領域には、前記容器口部壁上端面と密着するトップシール面が形成され、前記環状シールリングの内側面には、前記容器口部壁の上端部の外側面に密着するアウトサイドシール面が形成され、
前記環状シールリングよりも外側には、環状フランジが設けられており、該環状フランジの下面は、実質上フラットであり、該環状シールリングの下端よりも上方に位置し且つ該環状シールリングの外側面から中栓の外周縁部まで延びており、
前記容器蓋本体を容器口部の外面に螺子固定した状態において、前記中栓押圧部が中栓上面の外周縁部を押圧賦勢し、前記アウトサイドシール面と容器口部壁との密着を補強していることを特徴とする複合容器蓋が提供される。
【0009】
本発明の複合容器蓋においては、
(1)前記環状シールリングのアウトサイドシール面が外方且つ下方に傾斜していること、
(2)前記容器蓋本体の開栓に伴って、該容器蓋本体のスカート状側壁内面に形成されている螺条の上端が前記中栓の環状フランジの下面と当接し、これにより、前記中栓が容器蓋本体と共に容器口部から取り外されること、
或いは、
(3)前記容器蓋本体のスカート状側壁内面には、該内面に形成されている螺条の上端と同じ高さの位置或いは該螺条よりも上方の位置に、水平ビードが形成されており、該容器蓋本体の開栓に伴って、該水平ビードと該螺条の上端とが或いは該水平ビードが前記中栓の環状フランジの下面と当接し、これにより、前記中栓が容器蓋本体と共に容器口部から取り外されること、
という態様を採用することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の複合容器蓋においては、容器蓋本体の頂板部下面からスカート状側壁内面にかけてのコーナー部には、例えば傾斜面からなる中栓押圧部が形成され、中栓には、アウトサイドシール面を形成する環状シールリングの外側面から中栓の外周縁部まで延びている実質上フラットな下面を有する環状フランジが形成されており、この環状フランジ面は、環状シールリングの下端よりも上方に位置している。このため、容器蓋本体を装着すると、中栓の上面外周縁部が容器蓋本体の中栓押圧部によって押圧賦勢され、しかも、この押圧力によって、前記環状シールリングの内側面に形成されているアウトサイドシール面と容器口部上端外側面との密着力が著しく高められる。また、インナーリングと環状シールリングとにより、容器口部を確実に保持しているため、容器蓋本体の開栓に際して、中栓の外周端縁の容器蓋本体のスカート状側壁内面との摩擦接触によるシールブレークが有効に防止され、優れた開封履歴明示機能を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明を、以下、添付図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の複合容器蓋を容器口部に装着する前の半断面側面図であり、
図2は、図1の複合容器蓋が容器口部に装着されている閉栓状態を示す半断面側面図であり、
図3は、図2の複合容器蓋における要部を拡大して示す図であり、
図4は、図2の複合容器蓋におけるTEバンドを繋ぐブリッジ破断時の状態を示す側断面図であり、
図5は、図4の状態における複合容器蓋の要部を拡大して示す側断面であり、
図6は、本発明の複合容器蓋の他の例における容器蓋本体のスカート状側壁内面の展開図である。
【0012】
図1及び図2において、本発明の複合容器蓋は、中栓1と容器蓋本体2とから成り、中栓1は、外面に螺条51を備えた容器口部50内に嵌め込まれるものであり、容器蓋本体2内に保持され、一方、容器蓋本体2は、容器口部50内に嵌め込まれた中栓1を覆うようにして、容器口部50に螺子締結され、これにより、閉栓状態が形成され、容器口部50がシールされる。即ち、本発明の複合容器蓋は、ポンチ等の治具を用いて中栓1を容器蓋本体2内に押し込み(図1参照)、この状態で、容器蓋本体2を容器口部50に螺子締結することにより、容器口部に装着されるものである。
【0013】
このような複合容器蓋を構成する中栓1及び容器蓋本体2は、それ自体公知の合成樹脂、例えば、ポリエチレン、アイソタクティクポリプロピレン、エチレン−ポリプロピレン共重合体、ポリブテン−1、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系樹脂や、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ABS樹脂或いはポリカーボネート等の一体成形によって形成されるが、特に中栓1は、比較的軟質で可撓性の高い材料で形成され、容器蓋本体2は、比較的硬質で、強度の高い剛性材料で形成される。
【0014】
容器蓋本体2は、頂板部5と、頂板部5の外周縁端部から下方に延びているスカート状側壁7とから形成されており、本発明において、かかる容器蓋本体2の頂板部5の内面からスカート状側壁7の内面にかけてのコーナー部には、中栓押圧部9が形成されている。かかる中栓押圧部9の機能については後述する。
【0015】
スカート状側壁7の内面には、容器口部50の外面に設けられている螺条51と螺子係合する螺条11が形成されており、更に、スカート状側壁7の外周面には、容器蓋本体2を手で旋回するときの滑り止め用のローレット13が設けられている。
【0016】
また、スカート状側壁7の下端には、破断可能なブリッジ15を介してタンパーエビデントバンド(TEバンド)17が連結されている。このTEバンド17の内面には、容器口部50の外面に係合するフラップ片19が形成されており、容器口部50に装着されている容器蓋本体2を開栓方向に旋回すると、このフラップ片19が容器口部50の外面に設けられている顎部53の下側に当接し、TEバンド17の上昇が制限され、ブリッジ15が破断して容器蓋本体2から切り離されることにより、所望の開封履歴明示機能が達成されるというものである。
【0017】
図1、図2並びに中栓1の周縁部分を拡大して示す図3を参照して、中栓1は、天板21と、天板21の外周端21aから間隔をおいて且つ天板5の下面に形成されたインナーリング23とを有している。
【0018】
図1及び図2と共に、上記天板21の周縁部分を拡大して示す図3を併せて参照して、インナーリング23の外側面は、外方に膨らんだ形状を有しているとともに、この中栓1の下面には、インナーリング23よりも外側部分にフラットな水平面を介して且つインナーリング23よりも短い環状シールリング25が形成されている。即ち、インナーリング23と環状シールリング25との間の凹部空間に容器口部50が嵌め込まれるようになっており(図2、図3参照)、中栓1が容器口部50に嵌合固定された状態において、インナーリング23の外側面には、容器口部50の内側壁面と密着するインサイドシール面Xが形成され、インナーリング23と環状シールリング25との間の水平面には、容器口部50の上端壁面と密着するトップシール面Yが形成され、環状シールリング25の内側面には、容器口部50の上端面近傍の外側壁面に密着するアウトサイドシール面Zが形成され、これらの3点シールにより、容器口部50が密封されるようになっている。
【0019】
尚、アウトサイドシール面Zは、外方且つ下方に傾斜していることが容器口部50を密封する上で好ましい。
【0020】
また、中栓1の天板21の上面において、実質上フラットな水平面24の外周縁部27は、内方から外方に向かって下方に降下していく凸面となっている。
【0021】
さらに、中栓1の周縁部(環状シールリング25の外側)には、実質上フラットな面29を有する環状フランジが形成されており、この環状フランジ下面29は、環状シールリング25の外側面25aから外方に延びており、外周端21aで上記の上面外周縁部27と連なっている。かかる環状フランジ下面29は、図3から理解されるように、環状シールリング25の下端よりも上方に位置している。
【0022】
このような本発明においては、容器蓋本体2を閉栓方向に旋回して閉じていくと、容器蓋本体2の頂板部5の下面が、中栓1の天板21の上面(水平面24)を押圧し、インナーリング23が容器口部50内に押し込まれ、これにより、前述した3点シールが形成されるが、本発明では、先に述べたように、容器蓋本体2の頂板部5の内面コーナー部に中栓押圧部9が形成されているため、この中栓押圧部9により、天板21の上面外周縁部27が押圧賦勢されることとなる。しかも、環状フランジ下面29は環状シールリング25の外側面25aから直接連続して延びているため、中栓押圧部9による上面外周縁部27に対する押圧力が環状シールリング25に有効に伝達され、この環状シールリング25の内側面は容器口部50の上端面近傍の外側面に強く押し付けられ、この結果、アウトサイドシール面Zの密着力が高められることとなる。例えば、環状シールリング25の外側面25aと環状フランジ下面29との間に凹部や溝が形成されていると、外周縁部27が中栓押圧部9によって強く押圧されたとしても、このような凹部乃至溝によって押圧力が吸収されてしまうため、環状シールリング25の内側面が容器口部50の上端外側面に強く押し付けられることはなく、アウトサイドシール面Zの密着力を高めることはできない。
【0023】
本発明においては、上記のように、アウトサイドシール面Zの密着力が高められているため、容器内容物の常温充填からホットパックまでの幅広い条件においても、高い密封性を確保することができる。
【0024】
図2と共に、開栓動作を説明するための図4及び図5を参照して、容器蓋本体2が閉じられ、中栓1が容器口部50内に嵌合固定されている状態(図2参照)から容器蓋本体2(スカート状側壁7)を開栓方向に旋回していくと、螺子係合の解除により、スカート状側壁7は上昇していくが、TEバンド17では、フラップ片19が容器口部50の顎部53の下面に当接するため、その上昇が抑止される。このため、容器蓋本体2の開栓を続行していくと、ブリッジ15が破断し、TEバンド17は容器蓋本体2(スカート状側壁7の下端)から切り離される(図4参照)。この状態からさらに、容器蓋本体2の開栓方向への旋回を続けていくと、スカート状側壁7の内面に形成されている螺条11の上端が、中栓1の天板21の下面に形成されている環状フランジ下面29に当接し(図5参照)、この結果、スカート状側壁7の上昇に伴い、中栓1は上方に持ち上げられ、シールブレークを生じることとなる。
【0025】
しかるに、従来公知の複合容器蓋では、図4に示されているようにTEバンド17が容器蓋本体2から切り離される前の段階で、シールブレークを生じてしまうことがある。即ち、図2に示されている状態で容器蓋本体2を旋回していくと、スカート状側壁7は上昇するが、螺子係合が解除されていくため、このスカート状側壁7は、若干傾斜しながら上昇することとなる。従って、この傾斜により、中栓1の天板21の外周端21aが、スカート状側壁7の螺条11よりも上方のフラットな内面部分(図2、図4で30で示す)に当接してしまうことがある。このような当接を生じると、その摩擦により、天板21が外周端21aから上方に捲れ上がってしまい、この結果、螺条11の上端が環状フランジ下面29に当接する前に、シールブレークが発生してしまうことがあるのである。
【0026】
これに対して、本発明では、インナーリング23にくわえて環状シールリング25を設けているために、容器口部50の保持力が強化され、高い密着力が維持される。従って、本発明では、開栓によりスカート状側壁7が傾斜して天板21の外周端21aがスカート状側壁7の内面30に当接し、この状態でスカート状側壁7が上昇したとしても、外周端21aの捲れあがりが有効に抑制され、アウトサイドシール面Zの密着によりインサイドシール面Xのシール力は損なわれず、シールブレークの発生を有効に防止することができるのである。即ち、本発明では、シールブレークは、TEバンド17が容器蓋本体2から切り離された後に発生することとなり、TEバンド17が切り離されていなければ、シールブレークが発生しておらず、TEバンド17の切り離しによってシールブレークの発生を確認することができ、優れたTE性を発現させることができる。
【0027】
尚、上述した本発明において、中栓押圧部9或いは中栓1(天板21)の外周縁部27の形状や大きさ等は、中栓押圧部9による押圧が有効に行われるように設定されるべきである。例えば、図示されているように、中栓押圧部9は、ストレートな傾斜面とし、外周縁部27は外側に膨らんだ凸面とするのが好適であるが、逆に、中栓押圧部9を外側(下方)に膨らんだ凸面とし、外周縁部27をストレートな傾斜面とすることもできる。
【0028】
また、環状フランジ下面29の大きさや位置等は、開栓に際してTEバンド17の切り離し(ブリッジ15の破断)が生じた後に、螺条11の上端部分と環状フランジ下面29との接触が生じるように設定される。例えば、環状シールリング25の下端と環状フランジ下面29との段差tは、環状フランジ下面29の位置が螺条11の上端との間に適当な間隔が確保され且つ中栓押圧部9による押圧によって環状シールリング25の内側面が容器口部50の外側壁面側に押圧賦勢されるような長さに設定されるのがよい。即ち、上記段差がゼロであると、十分な大きさのアウトサイドシール面Zを形成した状態では、螺条11の上端と環状フランジ下面29との間隔を大きく設定することが困難となり、容器蓋本体2の開栓開始後、直ちに螺条11と環状フランジ下面29との当接を生じてしまい、TEバンド17の切り離しに先立ってシールブレークを発生してしまうおそれを生じる。また、環状シールリング25の高さを低くしてアウトサイドシール面Zを短くすると、中栓1による容器口部50の保持力を保つことができなくなり、TE性を十分確実に保つことができなくなってしまう。
【0029】
さらに、天板21の外径Dは、容器蓋本体2のスカート状側壁7の前記内面30での内径よりも若干小さい程度とし、且つ環状シールリング25の外側面25aが螺条11の頂部(内方先端部分)を結ぶ直線L上に位置せしめるようにすることが、十分な大きさの環状フランジ下面29を形成でき、螺条11の上端による中栓1の持ち上げによる嵌合解除を有効に行うために好ましい。
【0030】
また、図示された例では、フラットな環状フランジ下面29は水平面となっているが、僅かであれば傾斜していてもよい。ただし、この環状フランジ下面29が大きく傾斜していると、螺条11の上端との当接による中栓1の持ち上げによる嵌合解除が困難となってしまうので、注意を要する。
【0031】
また、本発明においては種々の設計変更が可能である。例えば、上述した例では、開栓に伴なう容器蓋本体2(スカート状側壁7)上昇に際して、中栓1の環状フランジ下面29に、容器蓋本体2のスカート状側壁7内面の螺条11の上端を当接させることにより、中栓1を容器口部50から持ち上げて取り外すように構成されているが、図6に示すように、スカート状側壁7の内面の螺条11の上端部11aと略同等の高さ位置に水平ビード35を設け、この水平ビード35及び螺条11の上端部11aを環状フランジ下面29に当接することにより、容器蓋本体2の開栓に伴って中栓1を取り外すことができる。即ち、螺条11は螺旋状に形成されるものであるため、傾斜して延びており、従って、螺条11の上端部11aを環状フランジ下面29に当接させる場合には、螺条11の上端は斜めに接触することとなり、中栓1の周縁部分が捲れ上がって、中栓1の取り外しが困難となってしまうことがある。しかるに、上記のような水平ビード35を設けることにより、水平ビード35が、環状フランジ下面29にがっちりと面接触するため、中栓1の取り外しをより安定に行うことができ、TE性をさらに安定化することが可能となる。
【0032】
また、上記の水平ビード35は、螺条11の上端部11aより若干高く設けることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の複合容器蓋を容器口部に装着する前の半断面側面図。
【図2】図1の複合容器蓋が容器口部に装着されている閉栓状態を示す半断面側面図。
【図3】図2の複合容器蓋における要部を拡大して示す図。
【図4】図2の複合容器蓋におけるTEバンドを繋ぐブリッジ破断時の状態を示す側断面図。
【図5】図4の状態における複合容器蓋の要部を拡大して示す側断面。
【図6】本発明の複合容器蓋の他の例における容器蓋本体のスカート状側壁内面の展開図。
【符号の説明】
【0034】
1:中栓
2:容器蓋本体
5:頂板部
7:スカート状側壁
9:中栓押圧部
15:ブリッジ
17:TEバンド
21:天板
23:インナーリング
25:環状シールリング
27:外周縁部
29:環状フランジ下面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器口部に嵌合固定される中栓と、容器口部に嵌合固定された該中栓を覆うように容器口部の外面に螺子締結される容器蓋本体とからなり、前記中栓は、天板と、天板の外周縁から間隔をおいて天板下面から下方に延びているシール用インナーリングとを有しており、前記容器蓋本体は、頂板部と頂板部の周縁から降下したスカート状側壁とを備え、該スカート状側壁の内面には、容器口部外面と螺子係合する螺条が形成され、且つ該スカート状側壁の下端には、破断可能なブリッジを介してタンパーエビデントバンドが設けられている複合容器蓋において、
前記容器蓋本体の頂板部下面からスカート状側壁内面にかけてのコーナー部には、中栓押圧部が形成されており、
前記中栓の天板の下面には、前記インナーリングの外側部分に、該インナーリングと間隔を置いて下方に延びている環状シールリングが設けられており、
前記中栓が容器口部に嵌合固定されている状態において、前記インナーリングの外側面には、容器口部壁の内側面と密着するインサイドシール面が形成され、前記天板下面の前記インナーリングと前記環状シールリングとの間の領域には、前記容器口部壁上端面と密着するトップシール面が形成され、前記環状シールリングの内側面には、前記容器口部壁の上端部の外側面に密着するアウトサイドシール面が形成され、
前記環状シールリングよりも外側には、環状フランジが設けられており、該環状フランジの下面は、実質上フラットであり、該環状シールリングの下端よりも上方に位置し且つ該環状シールリングの外側面から中栓の外周縁部まで延びており、
前記容器蓋本体を容器口部の外面に螺子固定した状態において、前記中栓押圧部が中栓上面の外周縁部を押圧賦勢し、前記アウトサイドシール面と容器口部壁との密着を補強していることを特徴とする複合容器蓋。
【請求項2】
前記環状シールリングのアウトサイドシール面が外方且つ下方に傾斜している請求項1に記載の複合容器蓋。
【請求項3】
前記容器蓋本体の開栓に伴って、該容器蓋本体のスカート状側壁内面に形成されている螺条の上端が前記中栓の環状フランジの下面に当接し、これにより、前記中栓が容器蓋本体と共に容器口部から取り外される請求項1または2に記載の複合容器蓋。
【請求項4】
前記容器蓋本体のスカート状側壁内面には、該内面に形成されている螺条の上端と同じ高さの位置或いは該螺条よりも上方の位置に、水平ビードが形成されており、該容器蓋本体の開栓に伴って、該水平ビードと該螺条の上端とが或いは該水平ビードが前記中栓の環状フランジの下面と当接し、これにより、前記中栓が容器蓋本体と共に容器口部から取り外される請求項1乃至3のいずれかに記載の複合容器蓋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−151407(P2006−151407A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−341455(P2004−341455)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(000228442)日本クラウンコルク株式会社 (382)
【Fターム(参考)】