説明

中空液滴生成装置

【課題】 その内部に気泡を含み、かつ、非常に小さい粒径を有する液滴を生成する装置を提供すること。
【解決手段】 本発明の中空液滴生成装置は、所定の液体の液相から気体を発生させる気体発生手段と、該所定の液体に力学的エネルギーを付与して液滴を生成する液滴生成手段とを備え、該気体発生手段から発生した気体を、該液滴生成手段で生成した液滴に取り込んで中空液滴を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その内部に気泡を含み、かつ、非常に小さい粒径を有する液滴を生成する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
微細な気泡(例えば、直径がマイクロメートルオーダーであるマイクロバブル、直径がナノメートルオーダーであるナノバブル)は、その独自の特性に起因して、種々の用途への適用が期待されている。
【0003】
例えば、マイクロバブルについては、広く研究がなされている。キャビテーションにより発生させた10マイクロメートル程度の直径を有するマイクロバブルは、その気液溶解および浮上分離等の機能あるいは油による汚濁水を浄化する機能を利用して、環境保全のために用いられることが期待されている。あるいは、養殖等における成長促進効果を利用して水系動植物の成長促進のために用いられることが期待されている。実際に、このような用途においては、マイクロバブルが一部利用されるようになってきている。
【0004】
また例えば、ナノバブルは、上記マイクロバブルの機能をより高めたものとしての利用が期待されている。より具体的には、浮力の減少、表面積の増加、表面活性の増大、局所高圧場の生成、静電分極による界面活性作用および殺菌効果のようなナノバブルの特性を利用して、洗浄装置、汚濁物の吸着、生体の疲労回復等の用途が期待されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかし、上記マイクロバブルおよびナノバブルはいずれも、液相で気泡を発生させている。言い換えれば、上記マイクロバブルおよびナノバブルはいずれも、液体中にしか存在し得ない。その結果、マイクロバブルやナノバブルの優れた特性を利用し得る範囲が、きわめて限定されている。
【0006】
以上のように、マイクロバブルおよびナノバブルが有する特性を気相中で発揮できるような技術が強く望まれている。
【0007】
一方、ミスト(微細な液滴)を発生させる技術として、超音波発振子を用いたキャビテーション効果などにより、数μm〜数100μmの液滴を発生させる技術が知られている。近年、液滴を発生できる小型の超音波発振子は、癒しのための商品として一般に市販されている。最近では、気相中に放出された液滴状の電解液において、ウィルスの失活、感染価の低減効果が認められている(例えば、非特許文献1参照)。
【0008】
しかし、上記のようにして得られる液滴は中実である。そこで、液滴に気泡を含有させてマイクロバブルやナノバブルが有する特性を付与できれば、液滴で現在認められている効果よりも優れた効果が得られるのではないかと期待されている。
【特許文献1】特開2004−121962号公報
【非特許文献1】http://www.sanyo.co.jp/koho/hypertext4/0501news-j/0121-1.html
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、マイクロバブルおよびナノバブルが有する特性を気相中で発揮できるような装置を提供することにある。本発明の目的はまた、中実の液滴で認められている効果よりも優れた特性を有する液滴を発生させる装置を提供することにある。すなわち、本発明の目的は、その内部に気泡を含み、かつ、非常に小さい粒径を有する液滴を生成する装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の中空液滴生成装置は、所定の液体の液相から気体を発生させる気体発生手段と、該所定の液体に力学的エネルギーを付与して液滴を生成する液滴生成手段とを備え、該気体発生手段から発生した気体を、該液滴生成手段で生成した液滴に取り込んで中空液滴を生成する。
【0011】
好ましい実施形態においては、上記気体発生手段は、電気分解によって気体を発生させる。
【0012】
好ましい実施形態においては、上記液滴生成手段は、超音波振動エネルギーを付与して液滴を生成する。さらに好ましい実施形態においては、上記超音波振動エネルギーは、M帯域の超音波振動を利用したものである。
【0013】
好ましい実施形態においては、上記液滴生成手段は、圧力エネルギーを付与して液滴を生成する。さらに好ましい実施形態においては、上記圧力エネルギーは、圧電素子の変形により付与される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、発生した気体(気泡)が液滴に取り込まれるようにして、気体発生手段(例えば、電気分解手段)と液滴生成手段(例えば、超音波式ネブライザー機構、インクジェット機構)とを組み合わせて構成することにより、その内部に気泡を含み、かつ、非常に小さい粒径を有する液滴を生成することが可能となる。その結果、マイクロバブルおよびナノバブルが有する特性を気相中で発揮させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【0016】
本発明の中空液滴生成装置は、所定の液体の液相から気体を発生させる気体発生手段と、該所定の液体に力学的エネルギーを付与して液滴を生成する液滴生成手段とを備え、該気体発生手段から発生した気体を、該液滴生成手段で生成した液滴に取り込んで中空液滴を生成する。本明細書において「中空液滴」とは、その内部に少なくとも1つの気泡を含む液滴をいう。このような中空液滴は、中心の気体部分と外側の液体部分との気−液平衡に起因して、液相中のナノバブルやマイクロバブルと同様に、表面活性の増大、局所高圧場の生成、静電分極による界面活性作用および殺菌効果といった特性を発現し得る。したがって、当該中空液滴を用いれば、液中でなくても(例えば、大気中のような通常の人間の生活環境下であっても)ナノバブルやマイクロバブルと同様の効果を発現し得る。
【0017】
図1は、本発明の好ましい実施形態による中空液滴生成装置の中空液滴生成メカニズムを説明する模式図である。この装置100は、所定の液体10中に、気体発生手段としての電気分解部20と、液滴発生手段としての超音波式ネブライザー機構30とを備える。液体10としては、電気分解部20による電気分解によって気体を発生し得、かつ、ネブライザー機構30の振動により霧化し得る(すなわち、微細な液滴を形成し得る)任意の適切な液体が採用され得る。このような液体の具体例としては、生理食塩水(塩化ナトリウム/純水の0.9%溶液)、水道水、電解水、アルカリイオン水、酸性水、超純水、海洋深層水、界面活性成分含有水が挙げられる。界面活性成分含有水が好ましい。気泡を崩壊させることなく液滴に取り込むことができるからである。
【0018】
電気分解部20としては、任意の適切な構成が採用され得る。例えば、陽極として白金または炭素棒が採用され、陰極として白金または炭素棒が採用され得る。好ましくは、電極表面は親水性である。電気分解によって生成した気泡が、電極から迅速かつ良好に離脱し得るからである。電極表面に親水性を付与する方法としては、酸素プラズマ処理が挙げられる。電気分解における印加電圧は、代表的には直流電圧であり、その大きさは1.0〜5.0Vである。印加電圧を変化させることにより、気泡の生成速度や生成する気泡の大きさを変化させることができる。例えば、印加電圧を低くすれば、気泡の生成速度が小さくなる。液体が生理食塩水である場合には、電圧を印加すると陽極から酸素気泡や塩素系化合物が発生し、陰極から水素気泡やナトリウム系化合物が発生する。得られる気泡の大きさは、代表的には直径数μm以下、好ましくは1nm〜10μm、さらに好ましくは100nm〜10μmである。このような微細な気泡の生成を実現したことが、本発明の大きな成果の1つである。このような微細な気泡は、上記のように印加電圧を制御すること、上記のように電極表面に親水性を付与すること、電極表面に超音波振動を与えること、およびそれらを組み合わせることによって実現され得る。このような処理を行わなければ、電極表面に生成された微細な気泡は微細であるがゆえに浮力が小さくその場所に滞留し、微細であるがゆえに比表面積が大きく、他の気泡と容易に吸着し得る。その結果、生成した気泡は、電極表面で他の気泡と結合し、大きくなって十分な浮力が働いてはじめて電極から離脱する。この場合には、気泡の大きさは、せいぜい直径20〜30μm程度にしか小さくできない。一方、上記のような処理を行うことにより、気泡が大きくなる前に電極から離脱させることができる。
【0019】
超音波式ネブライザー機構30としては、任意の適切な構成が採用され得る。代表的には、超音波式ネブライザー機構30は、超音波振動子31の振動エネルギーが液体10の表面に集中し、そのキャビテーション効果で液体が霧化する(すなわち、微細な液滴が発生する)。得られる液滴の直径は、好ましくは1〜20μmである。超音波振動子31は、代表的には圧電振動子であり、そのサイズは直径20mm程度である。超音波振動のエネルギーの大きさおよび振動数を変えることにより、発生する液滴の大きさを制御することができる。より具体的には、下記式(1)に示すとおり、得られる液滴径Aは、超音波の周波数の2乗に比例して小さくなる。例えば、10μm以下の直径を有する液滴を発生させるには、周波数を2MHz程度に設定する必要がある。したがって、超音波振動子の駆動周波数は、代表的にはM帯域(メガヘルツ帯域)であり、好ましくは1〜10MHzであり、さらに好ましくは1〜3MHzである。
A=(σ/(ρf))1/3 ・・・(1)
A:液滴径、ρ:液体の密度、σ:表面張力、f:発振周波数
【0020】
ここで、fを発振周波数、Cを液中の超音波の伝播速度、λを波長とするとλ=C/2fの関係を有するので、2MHzの超音波の場合には、エネルギー波がλ=0.36mmというきわめて短い波長で気−液界面に向かって進行する。このように波長が極めて短いことに起因して、エネルギー波の気−液界面での反射が乱反射となり、反射エネルギーが液中に戻ってこない。その結果、液共振が発生しないので、比較的安定に、かつ、効率的に液滴が形成される。一方、液共振が発生しない代わりに、液体の分子加速度は下記式(2)の通りとなる:
a=α*2*ω=α(2*3.14*f) ・・・(2)
a:加速度、α:振動子の振幅、ω=π*f
発振周波数が2MHzである場合には、a=1.58*10m/sとなり、重力加速度の約160万倍の加速度が得られる。すなわち、2MHzのような高周波の超音波は加速度力が支配的であり、電気分解部で発生した微細な気泡にほとんどダメージを与えない。その結果、超音波による定在波が気泡を破壊することなく液滴に取り込み、中空液滴を生成することが可能となる。
【0021】
気泡が液滴に取り込まれるメカニズムについて、より詳細に説明する。気−液界面における力学的平衡に関してのLaplaceの式は以下のように表される。
ΔP=Pg−Pl=2*σ/d
ΔP:中心の気泡と外側の液体との圧力差(Pa)
Pg:気泡内の圧力(Pa)、Pl:液体内の圧力(Pa)
σ:液体の表面張力(N/m)、d:気泡の直径(m)
この式によれば、気泡サイズと圧力差の関係は下記表1のようになる。
【0022】
【表1】

【0023】
表1から明らかなように、気泡が小さくなるほど気泡にかかる単位面積あたりの圧力は急激に大きくなる。したがって、気泡内の圧力がそれに耐え得るほどの高圧状態でなければ、気泡は潰れてしまう。そこで、気泡が液体から受ける圧力を低減する方法として、液滴を形成する液体にペンタノール等の界面活性剤を添加するのが好ましい。この場合には、気泡表面(気−液界面)に界面活性剤分子が吸着することにより引き起こされるマランゴニ効果により、気泡にかかる圧力の緩和が起こる。その結果、気泡の消滅が防止されるだけでなく、気泡の浮力による上昇や気泡同士の合体なども防止することができる。これらを考慮すると、適切な界面活性剤を用い、かつ、電気分解部20で発生させる気泡のサイズを好ましくは100nm〜10μmに設定することにより、気泡を消滅させることなく液滴に取り込むことが可能となる。なお、マランゴニ効果については、例えば、A. Frumkin and V. Levich, Zhur. Fiz. Khim,
21 (1947) 1183に記載されている。
【0024】
さらに、上記のような電気分解と超音波ネブライザー機構(代表的には、M帯域の超音波照射)とを組み合わせた場合の特徴として、液体として水を用いると、電気分解により生成した気泡の副産物として電解イオン水(すなわち、酸化性の水と還元性の水)が得られる。この詳細については「ウルトラクリーンテクノロジー、新しいウェット洗浄−RCA洗浄を越えて−、(株)プレテック技術本部、原田他」に記載されており、その開示は参考として本明細書に援用される。また、液体として水を用いてM帯域超音波を照射すると、水中にHラジカルおよびOHラジカルが生成する。このようなラジカルを含む水は、高性能な洗浄力を有する機能水として作用し得る。
【0025】
図2(a)および(b)は、本発明の別の好ましい実施形態による中空液滴生成装置の中空液滴生成メカニズムを説明する模式図である。この装置200は、気体発生手段としての電気分解部20と、液滴発生手段としてのいわゆるインクジェット機構40とを備える。液体10としては、電気分解部20による電気分解によって気体を発生し得、かつ、インクジェット機構40により微細な液滴を形成し得る任意の適切な液体が採用され得る。このような液体の具体例は、上記図1の説明の場合と同様である。
【0026】
図2(a)および(b)に示すように、電気分解部20の電極は、インクジェット機構40に組み込まれていることが好ましい。このような構成を採用することにより、電気分解部で生成した気泡を良好かつ効率的に液滴に取り込むことができる。電気分解部20の詳細は、上記図1の説明の場合と同様である。
【0027】
図2(a)および(b)に示すように、インクジェット機構40は、圧力発生部材(アクチュエーター)41と、弾性板(ダイアフラム)42と、液体室(チャンバー)43と、ノズル44とを有する。図4(b)に示すように、電圧を印加してアクチュエーター41を変形させると、その圧力でチャンバー43内の液体が押し出され、液滴を形成する。以下、図3〜図5を用いて、インクジェット機構における液滴形成の詳細なメカニズムを説明する。
【0028】
図3は、インクジェットヘッドの概略斜視図であり、説明のため一部を切断して断面を示してある。また、図3および図4においては、電気分解部の電極は記載を省略している。ノズル44は、チャンバー43と連通する位置にノズル形成基板45を貫通して配置されている。アクチュエーター41が、ダイアフラム42から構成されるチャンバー43の壁の1つと接触し押圧している。アクチュエーター41は、代表的には、チタン酸ジルコン酸鉛等の圧電材料46と銀パラジウム等の内部電極47aおよび47bとを積層した圧電素子である。ダイアフラム42は、液体室の全面を覆うように配置され、均一な厚みの膜で構成されている。ダイアフラム42の材質の代表例としては、Ni電鋳、ステンレス等の金属、またはポリイミド、ポリサルフォン等の高分子膜が挙げられる。
【0029】
図4は、駆動部48と液体流路49との接触状態を説明するための斜視図である。アクチュエーター41にはケース50が接合され、アクチュエーター41のダイアフラム42と接触する端面51とケース50の端面52とは、変位方向に距離gの一定の距離関係を保持している。図3に示すように、接合時にはケース50の端面52とダイアフラム42の表面53とが接触することによって、アクチュエーター41がダイアフラム42に均一に押し込まれる。図5は、液体の吐出状態を説明する断面図である。液体54は、ノズル44まで来ており、液体54の圧力によりメニスカス55を形成している。アクチュエーター41がダイアフラム42に均一に押し込まれることによりダイアフラム42が変形し、その圧力によってメニスカス55が突出する。その結果、液体54が液滴56となり、ノズル44から外部に向かって飛翔する。液滴形成の際には、電気分解部20の電極から発生した気泡(例えば、酸素および/または水素)57がノズル44内の液体54中に存在しているので、液滴56に気泡57が良好に取り込まれる。
【0030】
生成する気泡の大きさは、ダイアフラム42からの圧力を変化させることにより制御され得る。例えば、ノズル径が10μmでノズル長さが50μmである場合には、液体として粘度が1cpsの水を用いて直径約10μmの液滴を形成するに必要とされる圧力は約0.15MPaである。ダイアフラム42からの圧力は、アクチュエーター41の変形量(したがって、アクチュエーターの駆動電圧)を変化させることにより制御され得る。気泡の取り込みを効率的に行うことができるアクチュエーターの駆動電圧としては、例えば、共振周波数を考慮して、10KHz程度のパルス電圧が挙げられる。
【0031】
図6は、形成される液滴のサイズとそのために必要な圧力との関係を説明するグラフである。グラフの破線は粘度が1cpsの水を用いた場合を示し、実線は粘度が1cpsの水を用いた場合を示す。なお、このグラフは、図7に示すようなユニモルフモデルを用いて、下記式(3)〜(4)によるシミュレーションによって求めたものである。図6のグラフから明らかなように、液体の粘度が1cpsでは、圧力を少し変化させただけで液滴サイズが大幅に変化するので、液滴サイズの制御が困難である。一方、液体の粘度が10cpsでは、10μm〜15μmの液滴を形成し得る圧力の幅が非常に広いので、液滴サイズの制御が容易である。
P=(9/2)*(t/L)*(d31*(Y/8))*V ・・・(3)
ΔV=(1/16)*(bL/t)*d31*V ・・・(4)
t:アクチュエーター厚み=ダイアフラム厚み
Y:実効ヤング率、V:印加電圧
31:アクチュエーターの圧電定数、ΔV:体積変化
例えば、液体の粘度が10cpsである場合には、L=0.4mm、b=1mm、t=0.1mmとすると、20V程度の駆動電圧であっても、P=1.16MPa、ΔV=2.4ピコリットル(pl)を実現可能であり、直径10μm程度の液滴を実現可能である。なお、ここで留意すべき点は、気泡が圧力に対するダンパーとなり得ることである。すなわち、アクチュエーターによって発生した圧力が気泡を変形させる可能性があり、その結果、大きな気泡が形成されて液滴の吐出が困難となる可能性がある。しかし、微細な気泡であれば気泡内が局所的に高圧状態となっており、例えば、式(5)を用いて計算すると、直径3μm以下の気泡であればその内部は1気圧以上となる。したがって、気泡のダンパー効果は無視できる。その結果、インクジェット機構により、微細な気泡を取り込んで液滴を形成することが可能となる。
ΔP=2σ/d ・・・(5)
ΔP:液中の気泡内圧力、σ:気泡の表面張力
d:気泡の直径
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の中空液滴生成装置を用いて生成される中空液滴は、気泡が崩壊・消滅する際に、局所的に高圧場が形成され、かつ、高温となる。したがって、当該中空液滴は、温熱効果および水分補給効果に加えて、きわめて優れた殺菌作用を有する。このような中空液滴を生成し得る本発明の装置は、美顔スチーマー等の理美容機器に好適に用いられ得る。より具体的には、本発明は、皮膚表面の雑菌やアクネ菌を殺菌し、にきび、吹き出物、肌荒れ等を予防および/または治療し得る装置に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の好ましい実施形態による中空液滴生成装置の中空液滴生成メカニズムを説明する模式図である。
【図2】本発明の別の好ましい実施形態による中空液滴生成装置の中空液滴生成メカニズムを説明する模式図である。
【図3】本発明の中空液滴生成装置に用いられるインクジェット機構における液滴形成の詳細なメカニズムを説明する概略図である。
【図4】本発明の中空液滴生成装置に用いられるインクジェット機構における液滴形成の詳細なメカニズムを説明する概略図である。
【図5】本発明の中空液滴生成装置に用いられるインクジェット機構における液滴形成の詳細なメカニズムを説明する概略図である。
【図6】インクジェット機構によって形成される液滴のサイズとそのために必要な圧力との関係を説明するグラフである。
【図7】インクジェット機構によって形成される液滴のサイズをシミュレーションする際に用いられるユニモルフモデルを説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0034】
100 中空液滴生成装置
200 中空液滴生成装置
10 液体
20 電気分解部
30 超音波ネブライザー機構
40 インクジェット機構


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の液体の液相から気体を発生させる気体発生手段と、
該所定の液体に力学的エネルギーを付与して液滴を生成する液滴生成手段とを備え、
該気体発生手段から発生した気体を、該液滴生成手段で生成した液滴に取り込んで中空液滴を生成する
中空液滴生成装置。
【請求項2】
前記気体発生手段が、電気分解によって気体を発生させる、請求項1に記載の中空液滴発生装置。
【請求項3】
前記液滴生成手段が、超音波振動エネルギーを付与して液滴を生成する、請求項1または2に記載の中空液滴発生装置。
【請求項4】
前記超音波振動エネルギーが、M帯域の超音波振動を利用したものである、請求項3に記載の中空液滴発生装置。
【請求項5】
前記液滴生成手段が、圧力エネルギーを付与して液滴を生成する、請求項1または2に記載の中空液滴発生装置。
【請求項6】
前記圧力エネルギーが、圧電素子の変形により付与される、請求項5に記載の中空液滴生成装置。
【請求項7】
前記生成される液滴の直径が1〜20μmであり、該液滴に取り込まれる前記気泡の直径が100nm〜10μmである、請求項1から6のいずれかに記載の中空液滴生成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−247443(P2006−247443A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−63420(P2005−63420)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【出願人】(591167430)株式会社KRI (211)
【Fターム(参考)】