説明

中空糸膜ドライヤ装置

【課題】パージ空気の供給を運転の休止中に停止し、運転再開時には直ちに供給できる中空糸膜ドライヤ装置の提供。
【解決手段】除湿空気の一部を中空糸膜の外周面に沿って流すパージ空気供給路24を具備する中空糸膜ドライヤ装置において、パージ空気供給路24に除湿空気を給停止する給停止部26が設けられ、給停止部26には、圧縮空気室30と除湿空気室34とを隔する第1弾性膜36と、除湿空気室34に設けられた第2弾性膜38と、第1弾性膜36側に設けられ、第2弾性膜38が密着する端面にパージ空気供給路24が開口された仕切部材40と、第2弾性膜38に端部が当接し第1弾性膜36に他端部が装着された軸部材44とが設けられている。圧縮空気室30の圧力が除湿空気室34の圧力よりも高圧となったとき、除湿空気室34の除湿空気の一部がパージ空気供給路24に流入するよう開口する方向に、軸部材44が第2弾性膜38を押圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は中空糸膜ドライヤ装置に関し、更に詳細には中空糸膜の内外を流れる空気の蒸気圧差に基いて除湿する中空糸膜ドライヤ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
中空糸膜ドライヤ装置の一例として、下記特許文献1に記載されている中空糸膜ドライヤ装置を図10に示す。図10に示す中空糸膜ドライヤ装置では、除湿する圧縮空気の圧縮空気供給部100と除湿空気吐出部102とが筒状容器104の一端側に直線状に配設されている。この圧縮空気供給部100に供給された圧縮空気は、筒状容器104の中央部に設けられた中央通路106の一端部に供給され、中央通路106の他端部に設けられている空間部108に到達し、この空間部108には、中央通路106の外周面と筒状容器104の内側に設けられた円筒109の内壁面との間に中空糸膜の多数本が束ねられた中空糸膜束110の一端側が臨んでいる。
中空糸膜束110の圧縮空気は、中空糸膜束110の他端方向に各中空糸膜内を通過しつつ、圧縮空気中の水分が選択的に中空糸膜を介して、中空糸膜の外側を流れるパージ空気側に分離されて除湿される。各中空糸膜を通過して除湿された除湿空気は、集合室102aに集合されて除湿空気吐出部102から吐出される
【0003】
集合室102aに集合された除湿空気の一部は、プロセスバルブ112及び図11に示す集合室102aの内壁面に開口する第1オリフィス114を経由してパージ空気供給路116に流入する。
パージ空気供給路116に流入した除湿空気は、円筒109の上部に形成された通気孔118aから中央通路106と円筒109との間に流入し、中空糸膜束110の各中空糸膜を流下して、円筒109の下部に形成された通気孔118b及び筒状容器104に形成された通気孔120から外部に放出される。
【0004】
かかるプロセスバルブ112は、図12に示す様に、ケーシング200の内壁面に摺接して昇降するピストン202が設けられ、このピストン202の他端部に弁体206が設けられている。かかる軸204の中途部は、ケーシング200を仕切る仕切部212を貫通している。
図12に示すピストン202は、バネ210によって弁体206の端面が弁坐208に当接する方向に押圧されている。このバネ210が挿入された空間部211及び弁体206が挿入された空間部207の各々には、除湿空気吐出部102から配管214、216を経由して除湿空気が供給される。
また、ピストン202及び仕切部212によって囲まれた空間部205には、圧縮空気供給部100から配管218を経由して圧縮空気が供給される。
尚、弁体206と弁坐208との間に間隙が形成されたとき、空間部207の除湿空気は配管220を経由してパージ空気供給路116に流入する。
【0005】
図10〜図12に示す中空糸膜ドライヤ装置によれば、除湿空気を使用しない場合には、圧縮空気供給部100の圧縮空気が供給されるプロセスバルブ112の空間部205の圧力と、除湿空気吐出部102の除湿空気が供給されるプロセスバルブ112の空間部211の圧力との差圧がゼロ又は極めて小さくなるため、バネ210の弾発力によって弁体206は弁坐208に当接して、配管220を経由してパージ空気供給路116に流入することを阻止する。
但し、パージ空気供給路116には、集合室102aの内壁面に開口する第1オリフィス114を経由して除湿空気が流入し、中空糸膜束110の各中空糸膜の外周面及びその近傍を乾燥状態に保持している。
一方、除湿空気を使用する場合には、圧縮空気供給部100の圧縮空気が供給される空間部205の圧力と、除湿空気吐出部102の除湿空気が供給される空間部211の圧力との差圧が、バネ210の弾発力よりも大きくなり、ピストン202を上方に押し上げる。
このため、弁体206と弁坐208との間に隙間が形成され、配管216を経由して空間部207に供給された除湿空気は、パージ空気供給路116に流入する。
【特許文献1】特開2001−232137号公報(〔0018〕〜〔0023〕)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図10〜図12に示す中空糸膜ドライヤ装置によれば、除湿空気を使用しない休止中には、中空糸膜束110の各中空糸膜の外周面に沿って流れるパージ空気量を、集合室102aの内壁面に開口する第1オリフィス114を経由してパージ空気供給路116に流入する除湿空気量に絞ることができる。このため、不必要に多量のパージ空気を流すことを防止できる。
しかし、この中空糸膜ドライヤ装置においても、その運転が休止中に、依然としてパージ空気を流しており、除湿空気を無駄にしている。
また、弁体206の上面側には、空間部207に供給された除湿空気の圧力が加えられているが、弁体206の下面側は、配管220を経由してパージ空気供給路116に接続されているため、弁体206の下面側の圧力は大気圧に等しい。この様に、弁体206には、弁坐208と当接する方向に、バネ210の弾発力に加えて除湿空気の圧力が加えられており、弁体206と弁坐208との間に間隙を形成するには、弁坐208と当接する方向に弁体206に加えられている力に対して反対方向の大きな力を加えることを要する。
更に、ピストン202とケーシング200の内壁面との間、及び仕切部212を貫通する貫通孔と、この貫通孔に挿入された軸204との間をシールすることを要するが、このシールを完全なものとすることは困難である。
そこで、本発明の課題は、運転の休止中には、パージ空気の供給を停止でき、運転を再開する際には、直ちにパージ空気を供給できる中空糸膜ドライヤ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、前記課題を解決すべく検討を重ねた結果、ゴム等の弾性材料から成る弾性膜を用いることによって、パージ空気供給路への除湿空気の給停止を容易に行なうことができることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、複数本の中空糸膜が束ねられて集束された中空糸膜集束体を収容するケースに、前記中空糸集束体の一端に圧縮空気を供給する圧縮空気供給部と、前記中空糸集束体の一端に供給された圧縮空気が前記中空糸膜内を流れて除湿され、前記中空糸集束体の他端から流出した除湿空気を集合して吐出する除湿空気吐出部とが設けられ、前記除湿空気の一部を中空糸膜の外周面に沿って流すパージ空気を供給するパージ空気供給路が形成されたパージ空気供給部とを具備する中空糸膜ドライヤ装置において、該パージ空気供給部に、前記パージ空気供給路に除湿空気を給停止する給停止部が設けられており、前記給停止部には、前記圧縮空気供給部側と除湿空気吐出部側とを隔する第1弾性膜と、前記除湿空気吐出部側に第1弾性膜から所定の間隔を介して設けられた第2弾性膜と、前記第1弾性膜側に設けられ、前記第2弾性膜が密着する端面に前記パージ空気供給路が開口された密着部材と、前記第2弾性膜に一端部が当接するように、前記第1弾性膜に他端部が装着されている軸部材とが設けられ、前記圧縮空気供給部の圧縮空気の圧力が除湿空気吐出部の除湿空気の圧力よりも高圧となったとき、前記除湿空気吐出部の除湿空気の一部が前記パージ空気供給路に流入するように、前記除湿空吐出部側の方向に押圧された前記第1弾性膜に装着された軸部材の一端部によって、前記パージ空気供給路が開口される方向に前記第2弾性膜が押圧されることを特徴とする中空糸膜ドライヤ装置にある。
【0008】
かかる本発明において、パージ空気供給路が開口された密着部材を、除湿空気吐出部を仕切る仕切部材とし、前記仕切部材によって仕切られた両空間部を連通する連通孔を形成すると共に、前記仕切部材の端面に形成されたパージ空気供給路の開口部に、前記仕切部材と第1弾性膜との間に形成された空間部の除湿空気が流入するように、前記仕切部材に除湿空気通過孔を形成することによって、パージ空気供給路への除湿空気の給停止を更に容易に行なうことができる。
この除湿空気通過孔が、軸部材が挿通される挿通孔を兼ねることによって、中空糸膜ドライヤ装置の構造を簡単化できる。
また、中空糸膜集束体として、U字状に形成された中空糸膜集束体を用い、圧縮空気供給部と除湿空気吐出部とを直線状に配設することによって、給停止部を容易に設置できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る中空糸膜ドライヤ装置によれば、その運転中には、除湿空気吐出部から吐出される除湿空気は種々の用途に使用され、除湿空気吐出部の除湿空気の圧力は圧縮空気供給部側の圧縮空気の圧力よりも低圧となる。このため、第1弾性膜は、圧縮空気によって除湿空気吐出部側に押圧されて突出し、第1弾性膜に一端部が装着された軸部材の他端部は第2弾性膜を押圧する。かかる軸部材の他端部によって押圧された、パージ空気供給路の開口部を覆っていた第2弾性膜は変形し、パージ空気供給路の開口部が開口して、除湿空気がパージ空気供給路に流入する。この様に、パージ空気供給路からの除湿空気がパージ空気として中空糸膜集束体の各中空糸膜の外周面に沿って流れることによって、各中空糸膜の内側を流れる圧縮空気を除湿できる。
【0010】
一方、中空糸膜ドライヤ装置の運転が停止した際には、除湿空気吐出部の除湿空気の圧力と圧縮空気供給部側の圧縮空気の圧力とは同圧となり、中空糸膜ドライヤ装置の運転中に、圧縮空気によって押圧されて形成された第1弾性膜の除湿空気吐出部側に突出する突出部も解消される。このため、第1弾性膜に一端部が装着された軸部材の他端部による第2弾性膜の押圧による変形は解除され、パージ空気供給路の開口部は第2弾性膜によって覆われて、除湿空気のパージ空気供給路への流入を阻止できる。
この様に、第1弾性膜と第2弾性膜とを用い、中空糸膜ドライヤ装置の運転が停止したとき、簡単な構造で除湿空気のパージ空気供給路への流入を阻止できる。
また、第2弾性膜は、第1弾性膜によって圧縮空気供給部と隔された除湿空気吐出部側に設けられており、第2弾性膜の両面は同一圧力の除湿空気であるため、第2弾性膜の有する弾発力に抗する力を加えることによって第2弾性膜を容易に変形でき、この力を解除することによって第2弾性膜の変形を容易に解消できる。このため、中空糸膜ドライヤ装置の運転の停止又は再開されたとき、直ちに、除湿空気のパージ空気供給路への流入停止又は流入再開を図ることができる。
更に、本発明に係る中空糸膜ドライヤ装置では、内壁面に外周面が摺動する部材が用いられておらず、シール等を容易に行なうことができる。
その結果、本発明に係る中空糸膜ドライヤ装置は、運転休止―運転再開の頻度の多い用途、例えば車両用ドアの開閉に用いられる中空糸膜ドライヤ装置に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係る中空糸膜ドライヤ装置の一例を図1に示す。図1に示す中空糸膜ドライヤ装置では、ケース10内に一部が蛇腹状に形成されたU字状のインナーケース12が収容され、このインナーケース12内に、複数本の中空糸膜が束ねられて集束された中空糸膜集束体14が収容されている。
かかる中空糸膜集束体14の一端部は、圧縮空気供給部を構成する圧縮空気供給口16に接続された圧縮空気供給室18に臨み、中空糸膜集束体14の他端部は、除湿空気吐出部を構成する除湿空気排出口20に接続された除湿空気排出室22に臨む。
この圧縮空気供給口16と圧縮空気供給室18とから成る圧縮空気供給部と、除湿空気排出口20と除湿空気排出室22とから成る除湿空気吐出部とは、直線状に配設されている。
【0012】
また、インナーケース12を収容するケース10の中央部近傍には、インナーケース12に収容された中空糸膜集束体14の各中空糸膜の外周面に沿って流すパージ空気を、インナーケース12内に供給するパージ空気供給路24を具備するパージ空気供給部が設けられている。かかるパージ空気供給部には、パージ空気供給路24に除湿空気を給停止する給停止部26も設けられている。
この給停止部26は、圧縮空気供給室18と除湿空気排出室22との外側に配設されており、図2(a)に示す様に、圧縮空気供給室18に流路28によって接続された圧縮空気室30と、除湿空気排出室22に流路32によって接続された除湿空気室34とに第1弾性膜36によって隔されている。
かかる除湿空気室34には、第1弾性膜36から所定の間隔を介して第2弾性膜38が設けられており、第2弾性膜38の第1弾性膜側には、パージ空気供給路24に接続されるパージ空気供給接続部24aが形成された仕切部材40が形成されている。
この仕切部材40の第2弾性膜38が密着する端面には、パージ空気供給接続部24aが開口されている。かかるパージ空気供給接続部24aとパージ空気供給路24との境界部には、オリフィス24bが設けられている。
図1及び図2に示す第1弾性膜36及び第2弾性膜38は、シリコーンゴムや天然ゴム等のゴム、高分子から成るエラストマーによって形成されている。また、第1弾性膜36及び第2弾性膜38として、金属製のダイヤフラムやベローズを用いてもよいが、パージ空気供給接続部24aの開口と接する部分を弾性材によって覆うことが好ましい。
【0013】
図2(a)に示す給停止部26では、除湿空気室34が仕切部材40及び第2弾性膜38によって、空間部34a,34bに分割されているが、空間部34a,34bを連通する除湿空気通過孔42が仕切部材40及び第2弾性膜38に形成されている。このため、空間部34a,34bは同一圧力となり、空間部34a,34bの圧力差に因る力が第2弾性膜38に加えられることがない。
かかる第2弾性膜38に一端部が当接するように、第1弾性膜36に他端部が装着されている軸部材44が、仕切部材40に形成された挿通孔46に挿通されている。この第2弾性膜38に当接する軸部材44の一端部は、球面状に形成されており、軸部材44の一端部が第2弾性膜38に当接したとき、第2弾性膜38の損傷を防止できる。
更に、挿通孔46は、後述する様に、軸部材44の一端部で押圧されて第2弾性膜38が変形し、仕切部材40に形成されたパージ空気供給接続部24aの開口部が開放されたとき、パージ空気供給接続部24aの開口部から流入する除湿空気が、軸部材44が挿通された状態で空間部34aから流入する除湿空気通過孔でもある。
尚、図2(a)に示す給停止部26には、透明キャップ内に湿度で色が変わるインジケータが内装されたインジ−ケータ部50が設けられており、透明キャップ内に除湿空気室34の空間部34bの除湿空気が流入可能となるように、通路50a,50aが形成されている。
【0014】
図1に示す中空糸膜ドライヤ装置の運転が停止されている場合には、除湿空気が使用されなたいため、圧縮空気供給室18と除湿空気排出室22との圧力が等しくなり、図2(a)に示す圧縮空気供給室18に接続されている圧縮空気室30と除湿空気排出室22に接続されている除湿空気室34との圧力も等しい。
したがって、圧縮空気室30と除湿空気排出室22とを隔する第1弾性膜36は、平坦膜となるため、第1弾性膜36に他端部が装着された軸部材44の先端部は、その当接する第2弾性膜38を押圧して変形させることができない。
このため、図2(a)に示す様に、第2弾性膜38は、パージ空気供給接続部24aが開口された仕切部材40の端面に密着し、パージ空気供給接続部24aの開口部を覆っており、除湿空気がパージ空気供給接続部24aに流入することを阻止している。
【0015】
一方、除湿空気の使用が再開され、中空糸膜ドライヤ装置の運転が再開されると、除湿空気排出室22の圧力が圧縮空気供給室18よりも低圧となるため、図2(b)に示す様に、第1弾性膜36が圧縮空気室30の圧縮空気圧によって除湿空気室34側に押圧される。この第1弾性膜36に他端部が装着された軸部材44の一端部によって、第2弾性膜38が押圧されて変形し、図3に示す様に、仕切部材40の端面に開口するパージ空気供給接続部24aの開口部が開放される。
この様に、パージ空気供給接続部24aの開口部が開放されたとき、空間部34aの除湿空気は、軸部材44が挿通された挿通孔46を通過してパージ空気供給接続部24aに流入し、オリフィス24bを通過してパージ空気供給路24に供給される。
パージ空気供給路24に供給された除湿空気は、インナーケース12に収容された中空糸膜集束体14の各中空糸膜の外周面に沿って流れるパージ空気となって、吸湿したパージ空気はインナーケース12の排出口15及びケース10の排出口17を経由して系外に排出される。
【0016】
図1〜図3に示す給停止部26が装着された中空糸膜ドライヤ装置では、その運転が停止されたとき、パージ空気供給接続部24aの開口部が第2弾性膜38によって覆われ、パージ空気供給接続部24aへの除湿空気の流入を阻止できる。このため、中空糸膜ドライヤ装置の運転が停止されている間にもパージ空気を中空糸膜集束体14の各中空糸膜の外周面に沿って流すことを防止でき、経済的に有利である。
また、中空糸膜ドライヤ装置の運転が再開されたとき、パージ空気の供給が迅速に再開できるため、中空糸膜ドライヤ装置から所定の露点の除湿空気を供給できる。
更に、給停止部26では、ケーシングの内壁面に摺接する摺接部材を用いておらず、構成部材のシール等を容易に行なうことができる。
【0017】
図1〜図3に示す給停止部26で用いた軸部材44は、第2弾性膜38を押圧する一端部が、軸部材44の本体径よりも大径で且つ第2弾性膜38に当接する当接面側が球状面に形成されたピストン部44aに形成されている。このため、圧縮空気供給室18と除湿空気排出室22との圧力差が小さくても第2弾性膜38を押圧できる。これに対し、図4に示す様に、ピストン部44aを柱状に形成し、第2弾性膜38と当接する当接面を平坦面に形成することによって、第2弾性膜38を押圧する面積を大きくでき、第2弾性膜38を押圧する力を分散できる。このため、第2弾性膜38のピストン部44aによって押圧される部分の損傷を防止できる。
【0018】
また、図3に示す様に、軸部材44の一端部に形成されたピストン部44aが収容される収容凹部46aが挿通孔46の開口部に形成されており、収容凹部46aが開口された端面は、図5(a)に示す様に、平坦面であってもよく、図3に示す様に、第2弾性膜38が仕切部材40の端面に密着した際に、そのシール性を向上させるべく、収容凹部46aを囲むように環状突起47を形成してもよい。
更に、図5(b)に示す様に、収容凹部46aを囲む面を、その開口部方向に傾斜するテーパ面49、或いは図5(c)に示す様に、開口部周縁から外方に傾斜する逆テーパ面51に形成してもよい。収容凹部46aを囲む面をテーパ面49又は逆テーパ面51に形成することによって、第2弾性膜38が仕切部材40の端面に密着した際に、そのシール性を向上できる。
【0019】
軸部材44の一端部に形成されたピストン部44aによって押圧される第2弾性膜38の押圧部分が損傷され易い場合には、図6(a)(b)に示す様に、押圧部分を他の部分よりも肉厚の肉厚部38bとすることによって強度を向上してもよい。この場合、肉厚部38bを、図6(a)に示す様に、収容凹部46a内に収容される大きさにしてもよく、図6(b)に示す様に、収容凹部46a内に収容されない大きさにしてもよい。
また、パージ空気供給接続部24aの仕切部材40の端面に開口する開口形状としては、円形又は楕円形の形状としてもよく、第2弾性膜38の仕切部材40の端面に対する密着程度に応じて、パージ空気供給接続部24aに流入する除湿空気量を調整し得る形状としてもよい。かかるパージ空気供給接続部24aの開口形状形状としては、例えば図7(a))に示す三角形形状、図7(b)に示す長方形形状、図7(c)に示す複数個の円形が連なった形状を上げることができる。
【0020】
図1〜図7に示す中空糸膜ドライヤ装置では、給停止部26が圧縮空気供給室18と除湿空気排出室22との外側に配設されているが、圧縮空気供給室18と除湿空気排出室22との境界部内側に給停止部26が配設されている中空糸膜ドライヤ装置を図8に示す。
図8に示す中空糸膜ドライヤ装置は、給停止部26が圧縮空気供給室18と除湿空気排出室22との境界部内側に配設されている他は、図1〜図7に示す中空糸膜ドライヤ装置と同一部材によって形成されている。
このため、図8に示す中空糸膜ドライヤ装置の構成部材について、図1〜図7に示す中空糸膜ドライヤ装置と同一部材については、同一番号を付して詳細な説明を省略する。
また、図1〜図8に示す中空糸膜ドライヤ装置では、中空糸膜集束体14がU字状に曲げられていたが、中空糸膜集束体14を直線状にケース10内に配設した中空糸膜ドライヤ装置を図9に示す。
図9に示す中空糸膜ドライヤ装置についても、その構成部材について、図1〜図8に示す中空糸膜ドライヤ装置と同一部材については、同一番号を付して詳細な説明を省略する。
図9に示す中空糸膜ドライヤ装置では、給停止部26が除湿空気排出室22の外側に配設されているため、圧縮空気供給室18と給停止部26の圧縮空気室30との間を配管29によって接続した他は、図1〜図8に示す中空糸膜ドライヤ装置と同一部材によって構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る中空糸膜ドライヤ装置の一例を示す断面図である。
【図2】図1に示す給停止部26の拡大断面図である。
【図3】図2に示す仕切部材40の端面形状を説明する部分断面図である。
【図4】図3に示す軸部材44の他の例を示す部分正面図である。
【図5】図2に示す仕切部材40の端面形状について他の例を示す部分断面図である。
【図6】図2に示す第2弾性膜38の他の例を示す部分断面図である。
【図7】図2に示す仕切部材40の端面に形成されたパージ空気供給接続部24aの開口形状について他の例を示す正面図である。
【図8】本発明に係る中空糸膜ドライヤ装置の他の例を示す断面図である。
【図9】本発明に係る中空糸膜ドライヤ装置の他の例を示す断面図である。
【図10】従来の中空糸膜ドライヤ装置を示す断面図である。
【図11】図10に示す中空糸膜ドライヤ装置の部分拡大断面図である。
【図12】従来の中空糸膜ドライヤ装置に設けられたプロセスバルブ112の構造を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0022】
10 ケース
12 インナーケース
14 中空糸膜集束体
16 圧縮空気供給口
18 圧縮空気供給室
20 除湿空気排出口
22 除湿空気排出室
24b オリフィス
24a パージ空気供給接続部
24 パージ空気供給路
26 給停止部
30 圧縮空気室
34a,34b 空間部
34 除湿空気室
36 第1弾性膜
38 第2弾性膜
38b 肉厚部
40 仕切部材
42 除湿空気通過孔
44a ピストン部
44 軸部材
46a 収容凹部
46 挿通孔
47 環状突起
49 テーパ面
51 逆テーパ面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の中空糸膜が束ねられて集束された中空糸膜集束体を収容するケースに、前記中空糸集束体の一端に圧縮空気を供給する圧縮空気供給部と、前記中空糸集束体の一端に供給された圧縮空気が前記中空糸膜内を流れて除湿され、前記中空糸集束体の他端から流出した除湿空気を集合して吐出する除湿空気吐出部とが設けられ、前記除湿空気の一部を中空糸膜の外周面に沿って流すパージ空気を供給するパージ空気供給路が形成されたパージ空気供給部とを具備する中空糸膜ドライヤ装置において、
該パージ空気供給部に、前記パージ空気供給路に除湿空気を給停止する給停止部が設けられており、
前記給停止部には、前記圧縮空気供給部側と除湿空気吐出部側とを隔する第1弾性膜と、前記除湿空気吐出部側に第1弾性膜から所定の間隔を介して設けられた第2弾性膜と、前記第1弾性膜側に設けられ、前記第2弾性膜が密着する端面に前記パージ空気供給路が開口された密着部材と、前記第2弾性膜に一端部が当接するように、前記第1弾性膜に他端部が装着されている軸部材とが設けられ、
前記圧縮空気供給部の圧縮空気の圧力が除湿空気吐出部の除湿空気の圧力よりも高圧となったとき、前記除湿空気吐出部の除湿空気の一部が前記パージ空気供給路に流入するように、前記除湿空吐出部側の方向に押圧された前記第1弾性膜に装着された軸部材の一端部によって、前記パージ空気供給路が開口される方向に前記第2弾性膜が押圧されることを特徴とする中空糸膜ドライヤ装置。
【請求項2】
パージ空気供給路が開口された密着部材が、除湿空気吐出部を仕切る仕切部材であって、前記仕切部材によって仕切られた両空間部を連通する連通孔が形成されていると共に、
前記仕切部材の端面に形成されたパージ空気供給路の開口部に、前記仕切部材と第1弾性膜との間に形成された空間部の除湿空気が流入するように、前記仕切部材に除湿空気通過孔が形成されている請求項1記載の中空糸膜ドライヤ装置。
【請求項3】
除湿空気流入孔が、軸部材が挿通される挿通孔を兼ねる請求項2記載の中空糸膜ドライヤ装置。
【請求項4】
中空糸膜集束体が、U字状に形成された中空糸膜集束体であって、圧縮空気供給部と除湿空気吐出部とが直線状に配設されている請求項1〜3のいずれか一項記載の中空糸膜ドライヤ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−21076(P2006−21076A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−199078(P2004−199078)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【出願人】(000103921)オリオン機械株式会社 (450)
【Fターム(参考)】