説明

中継サーバおよび中継通信システム

【課題】LANに接続された端末が、必要なときに必要な相手とリソースの共有や操作が可能な、拡張性、柔軟性に優れた中継通信システム等の提供を目的とする。
【解決手段】WAN上の外部サーバSを介して他のLANの中継サーバRと通信可能な中継サーバRを備える。中継サーバRは、LAN内の端末Tのアカウント情報や、一群の中継サーバRの中継グループ情報100、リソースやそのリソースを共有する端末Tのアカウントを含む共有リソース情報120を記憶する。中継サーバRは、LAN内の端末Tから、同一LAN内あるいは他のLAN内の端末Tが保有するリソースの操作指示を付け付けると、中継グループ情報100および共有リソース情報120に基づいて、そのリソースの操作を中継する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイドエリアネットワーク(WAN)を越えてローカルエリアネットワーク(LAN)内の端末どうしの通信を可能とする中継通信システムおよびそのシステムに用いられる中継サーバに関する。とくに、あるLAN内の端末から、他のLAN内の端末が保有しているリソースの操作を可能とする通信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
VPN(Virtual Private Network)と呼ばれる通信技術がある。この通信技術を利用すれば、遠隔地にある他のLANを、あたかも直接接続されているネットワークのように利用することができる。たとえば、地域ごとに設けられた複数の支社のLANに接続された端末間でインターネットを越えて通信することができる。
【0003】
この種の技術に関しては、これまでも様々なシステムが提案されている(たとえば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−217938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この種のシステムは、ネットワークを仮想的に構築する関係上、硬直的なシステムになり易い。そのため、拡張性、柔軟性のあるシステムを構築することは容易でなく、これまでに提案されているシステムも、機能やコスト等、それぞれに一長一短が認められる。
【0006】
たとえば、同一のLAN内であれば、通常同じプロトコルの基でリソースが管理され、システム構成もそれほど複雑でないため、簡単に複数の端末間でリソースを共有等することができる。しかし、通信システムがWANを越えて複数のLAN間にわたる場合には、フォルダやファイルなどのリソースを複数の端末で共用したい、あるいは、ある端末から他の端末が保有しているファイルを削除等したいと思っても、容易には対応できない。それぞれのLANで用いられているプロトコルが異なっている場合はなお更である。あるいは、同一のLAN内であっても、異なるプロトコルが使用されている場合は同様の問題が生じる。
【0007】
また、各端末が保有しているリソースは、削除や移動等によって絶えず変化するにも関わらず、これらの変化に動的に対応させることも容易でない。
【0008】
そこで、本発明はこれら問題点に鑑み、異なるLANに接続され、異なるプロトコルで管理されている端末間であっても、あるいは、同一のLANに接続され、異なるプロトコルで管理されている端末間であっても、各端末が必要なときに必要な相手とリソースを共有したり、リソースを操作したりすることができ、運用が容易な中継通信システムおよびそのシステムに用いられる中継サーバの提供を目的とする。拡張性、柔軟性に優れ、リソースの移動等にも対応可能な動的な中継通信システム等の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、LANに接続される中継サーバであって、前記中継サーバに接続されているクライアント端末を特定するアカウント情報を記憶するクライアント情報登録部と、前記クライアント情報登録部に登録されているクライアント端末であって相互にリソースを共有するクライアント端末を特定するアカウント情報と、相互に共有する共有リソースを識別する識別情報と、共有リソースを操作可能なクライアント端末を特定するアカウント情報と、を含む共有リソース情報を記憶する共有リソース情報登録部と、を備え、相互にリソースを共有するクライアント端末であって、前記共有リソース情報登録部に記憶されているアカウント情報で特定されるクライアント端末から、前記共有リソース情報登録部に記憶されている共有リソースを識別する識別情報を指定した操作指示を受け付けると、前記共有リソース情報に基づいて指定された共有リソースを操作可能なクライアント端末を特定し、指定された共有リソースの操作指示を特定されたクライアント端末に転送することを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、中継サーバと、前記中継サーバとLANを介して接続された複数のクライアント端末と、を備える中継通信システムであって、前記中継サーバは、前記中継サーバに接続されているクライアント端末を特定するアカウント情報を記憶するクライアント情報登録部と、前記クライアント情報登録部に記憶されているクライアント端末であって相互にリソースを共有するクライアント端末を特定するアカウント情報と、相互に共有する共有リソースを識別する識別情報と、共有リソースを操作可能なクライアント端末を特定するアカウント情報と、を含む共有リソース情報を記憶する共有リソース情報登録部と、を有し、相互にリソースを共有するクライアント端末は、前記共有リソース情報登録部に記憶されている共有リソースを識別する識別情報を指定した操作指示を前記中継サーバに対して発行する操作指示発行部、を有し、前記中継サーバは、さらに、前記操作指示を受け付けると、前記共有リソース情報に基づいて指定された共有リソースを操作可能なクライアント端末を特定し、指定された共有リソースの操作指示を特定されたクライアント端末に転送する操作指示転送部、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る中継サーバを適用した中継通信システムによれば、クライアント端末Tが、他のクライアント端末Tが保有しているリソースを、あたかも自装置が保有しているかのごとく操作することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明に係る中継通信システムの全体構成を例示したものである。図1に示すように、本中継通信システムは、WANに接続された複数のLANで構成されている。そして、本中継通信システムは、外部サーバS、中継サーバR、クライアント端末T、ファイルサーバFなどを備えている。なお、ここでは、外部サーバSを利用した実施の形態を例示したが、外部サーバSを利用せず、中継サーバR間で直接通信する形態であってもよい。
【0013】
本実施の形態は、WANにおける外部サーバSと各中継サーバRとの間、LANにおける中継サーバRとクライアント端末T等との間の通信プロトコルに、SIP(Session Initiation Protocol)を利用したシステムを例に説明する。ただし、これらサーバ、端末間の通信プロトコルとして、SIP以外のプロトコルを利用することも可能である。
【0014】
WAN(Wide Area Network)は、異なるLANを接続するネットワークである。本実施の形態では、WANとしてインターネットを例示しているが、必ずしもこれに限定されるものでなく、これに類するその他のネットワークに適用することもできる。
【0015】
LAN(Local Area Network)は、限定された場所で構築される比較的小規模なネットワークである。LANは複数存在し、それぞれ物理的に離れた場所に構築されている。たとえば、本実施の形態であれば、東京の支社AにLAN1が構築され、大阪、名古屋、福岡の各支社B、C、DにLAN2、3、4がそれぞれ構築されているような場合である。そして、これら4つのLAN1・2・3・4が、グローバルなネットワークであるインターネットにそれぞれ接続されている。もちろん、LANの数は複数であればよく、4つに限られるものではない。
【0016】
{外部サーバ}
外部サーバSは、各LANに配置された中継サーバR間での通信に用いられる設備であり、インターネット上に設置されている。外部サーバSは、SIPサーバとしての機能を備えている。具体的には、外部サーバSは、SIPメソッドやレスポンスなどを中継するSIPプロキシーサーバとしての機能や、中継サーバRのアカウントを登録するSIPレジストラサーバとしての機能を備える。外部サーバSは一台に限らず、複数台で分散的に機能するものであってもよい。なお、SIP以外のプロトコルを利用する場合には、そのプロトコルに基づいて直接中継サーバR間の通信を制御すれば足り、SIPサーバとして機能する外部サーバSは必ずしも設ける必要はない。
【0017】
図2に、外部サーバSの機能ブロック図を示す。図2に示すように、外部サーバSは、WANインタフェース201、制御部202、中継サーバアカウント情報データベース(DB)203などを備えている。
【0018】
WANインタフェース201は、グローバルIPアドレスを利用して、インターネットに接続された中継サーバR等の各装置と通信を行うインタフェースである。
【0019】
中継サーバアカウント情報DB203は、登録要求のあった中継サーバRのアカウントをグローバルIPアドレスと対応付けて管理するデータベースである。
【0020】
制御部202は、WANインタフェース201を介して行う様々な通信を制御する処理部であり、TCP/IPやUDP、SIPなどのプロトコルに従った通信処理を制御する。たとえば、制御部202は、各中継サーバRから送信される各中継サーバRのアカウントを受信し、中継サーバアカウント情報DB203に登録する処理や、中継サーバRから送信された様々なSIPメソッドやレスポンスなどの通信データを他の中継サーバRに中継する処理などを実行する。制御部202を中心とした外部サーバSの各機能については、後述する。
【0021】
{クライアント端末}
クライアント端末Tは、ユーザが直接操作できる端末である。たとえば、ユーザによって日々の業務に利用されるパーソナルコンピュータ(PC)等がクライアント端末Tに該当する。したがって、通常LAN内には多数のクライアント端末Tが存在するが、本実施の形態では、LAN1にクライアント端末1A、1Bが接続されており、LAN2にクライアント端末2A、2Bが、LAN3にクライアント端末3A、3Bが、LAN4にクライアント端末4A,4Bがそれぞれ接続されている場合で説明する。各クライアント端末Tには、同一のLANの中でのみユニークに管理されたプライベートIPアドレスが付与される。
【0022】
図3にクライアント端末Tの機能ブロック図を示す。図3に示すように、クライアント端末Tは、LANインタフェース601、制御部602、リソース記憶部603、共有リソース情報データベース(DB)604などを備えている。
【0023】
LANインタフェース601は、プライベートIPアドレスを利用して、同一のLANに接続された中継サーバRやファイルサーバF等の各装置と通信を行うインタフェースである。
【0024】
リソース記憶部603は、そのクライアント端末Tが操作可能なファイルやフォルダ等のリソースの実体を記憶する。
【0025】
共有リソース情報データベース(DB)604は、そのクライアント端末Tが保有しているリソースの情報と、そのリソースを共有するクライアント端末Tのアカウントの情報とを含め、各クライアント端末Tが保有している共有リソースの情報を記述した共有リソース情報120を記憶する。
【0026】
制御部602は、LANインタフェース601を介して行う様々な通信を制御する処理部である。制御部602は、TCP/IPやUDP、SIPなどのプロトコルに従った通信処理を制御する。たとえば、制御部602は、リソース記憶部603に記憶されているリソースの移動や変更、削除等を制御する処理や、中継サーバRから共有リソース情報120の変更通知を受信して共有リソース情報DB604に記憶されている共有リソース情報120を更新する処理などを実行する。制御部602を中心としたクライアント端末Tの各機能については、後述する。
【0027】
{中継サーバ}
中継サーバRは、各LANにそれぞれ一台配置されている。具体的には、LAN1には中継サーバR1が配置されており、LAN2には中継サーバR2が、LAN3には中継サーバR3が、LAN4には中継サーバR4が配置されている。
【0028】
中継サーバRは、LANだけでなくインターネットにも接続されており、同一のLANに接続されている各クライアント端末Tと通信可能であるとともに、外部サーバSを介して他のLANに接続された中継サーバRと通信可能となっている。そのため、各中継サーバRには、それぞれプライベートIPアドレスに加えて、グローバルIPアドレスが付与されている。
【0029】
図4に、各中継サーバRの機能ブロック図を示す。図4に示すように、中継サーバRは、LANインタフェース501、WANインタフェース502、制御部503、アカウント情報データベース(DB)504、中継グループ情報データベース(DB)505、共有リソース情報データベース(DB)506などを備えている。
【0030】
LANインタフェース501は、プライベートIPアドレスを利用して、LANに接続されたクライアント端末T等との通信を行うインタフェースである。たとえば、LAN1であれば、中継サーバR1は、LANインタフェース501を利用して、各クライアント端末1A、1Bと通信を行う。
【0031】
WANインタフェース502は、グローバルIPアドレスを利用して、インターネット1に接続された外部サーバS等の各装置と通信を行うインタフェースである。なお、本実施の形態においては、中継サーバRがWANインタフェース502を備える構成としているが、インターネットとの接続はルータが行い、その配下に中継サーバRを設置する形態であってもよい。
【0032】
各中継サーバRと各クライアント端末Tと間の通信は、SIPを利用して行われるため、各中継サーバRは、SIPレジストラサーバとしての機能を備えている。たとえば、LAN2に接続されている中継サーバR2は、SIPを利用して、LAN2に接続されている各クライアント端末2A、2Bのアカウントをアカウント情報DB504に登録するSIPレジストラサーバとして機能するのである。
【0033】
したがって、中継サーバRは、図5に示すように、クライアント端末Tとの関係では、クライアント端末Tからアカウントを受信して登録(REGISTER)するサーバとして機能する。そして、外部サーバSとの関係では、外部サーバSに対してアカウントを送信して登録(REGISTER)するクライアントとして機能する。
【0034】
アカウント情報DB504は、登録要求のあったクライアント端末TのアカウントをプライベートIPアドレスと対応付けて管理するデータベースである。
【0035】
中継グループ情報DB505は、アカウント情報DBに登録されているクライアント端末Tが関連する中継グループ情報を管理するデータベースである。
【0036】
共有リソース情報DB506は、アカウント情報DBに登録されているクライアント端末Tが関連する共有リソース情報を管理するデータベースである。
【0037】
制御部503は、LANインタフェース501およびWANインタフェース502を介して行う様々な通信を制御する処理部であり、TCP/IPや、UDP、SIPなどのプロトコルに従った様々な通信処理を制御する。たとえば、制御部503は、自装置のアカウントを外部サーバSに送信して、登録要求する処理や、同一のLANに接続されているクライアント端末Tから送信されるアカウントをアカウント情報DB504に登録する処理、中継グループ情報100を作成して中継グループ情報DB505に記憶する処理、共有リソース情報120を作成して共有リソース情報DB506に記憶する処理などを実行する。制御部503を中心とした中継サーバRの各機能については後述する。
【0038】
{ファイルサーバ}
ファイルサーバFは、LANに接続されて、同一のLANに接続されている各クライアント端末Tから通信可能なサーバであり、ファイルやフォルダなどのリソースの実体を記憶することができる。つまり、ファイルサーバFは、各クライアント端末Tが備えているリソース記憶部603に代わるリソース記憶手段として機能する。つまり、本実施の形態において、各クライアント端末Tが操作可能なリソースは、そのクライアント端末Tのローカルディスク内に格納されている場合と、ネットワークドライブとしてファイルサーバF内に格納されている場合とがある。したがって、図1では、一部のLAN1、3にファイルサーバFを示したように、各LANに必須の設備ではなく、必要に応じて適宜設置される。
【0039】
次に、本中継通信システムで扱われる情報である中継グループ情報100、共有リソース情報120について説明する。
【0040】
{中継グループ情報}
中継グループ情報100の内容を図6に示す。図6は、中継サーバR1を基点に3つの中継サーバR1・R2・R3間で交換され、それぞれの中継グループ情報DB505に記憶される中継グループ情報100を示している。そこでの中継グループ情報100は、1つのグループ識別情報101と、相互に接続を許可する3つの中継サーバR1・R2・R3の情報(中継アカウント情報)102とで構成されている。
【0041】
グループ識別情報101は、その中継グループ情報100を識別するための情報であり、中継グループ情報が作成される度に、異なるIDが付与されて一意に識別できる構成となっている。したがって、オペレータ等は、このグループ識別情報101によって中継グループを特定することができ、グループ構成の変更等を簡単に行うことができる。
【0042】
中継アカウント情報102は、中継サーバRのアカウントと、その中継サーバRと同一のLANに接続されて、中継サーバRに登録されているクライアント端末Tのアカウントなどの情報で構成されている。中継サーバRのアカウントには、それぞれ具体的な名称が付与されており、ユーザの識別が容易になっている。各クライアント端末Tのアカウントにも同様にそれぞれ具体的な名称が付与されている。たとえば、中継サーバR1(Relay−server1)の中継アカウント情報102aであれば、中継サーバR1のアカウント(Relay−server1@net)に対して名称(支社A)が付与されている。そして、同一のLANに接続されているクライアント端末Tの各アカウント(たとえば、user1A@account)とその各名称(たとえば、terminal1A)が付与されているのである。なお、符号103は、「営業部」や「開発部」等、そのクライアント端末Tの所属を示す識別データである。
【0043】
以上のように、中継グループ情報100は、中継グループ情報ごとに一意に識別可能に作成されており、相互に接続を許可する一群の中継アカウント情報102を含むものである。そして、その中継アカウント情報102には、各中継サーバRのアカウント、およびこれと同一のLANに配置され、登録されているクライアント端末Tのアカウントとが含まれているため、中継グループ情報100を参照すれば、どのLANとどのLANとがグループとなっているのか、そしてそれらのLANにはどのような中継サーバRやクライアント端末Tが登録されているのかを知ることができる。
【0044】
{共有リソース情報}
次に、共有リソース情報120の内容を図7に示す。図7は、クライアント端末1Aの共有リソース情報DB604に記憶される共有リソース情報120を例示したものである。なお、これと同じ情報がクライアント端末1Aと同一のLANで登録されている中継サーバR1の共有リソース情報DB506にも記憶される。そこでの共有リソース情報120は、クライアント端末1Aに関する共有リソース情報120であることを示すアカウント識別情報121と、そのクライアント端末1Aが関連する個別共有リソース情報122とで構成されている。
【0045】
アカウント識別情報121は、クライアント端末ごとに共有リソース情報120が作成されるため、それを識別するための情報である。
【0046】
個別共有リソース情報122は、共有リソース識別情報123と、ファミリーアカウント情報124と、ファミリーリソース情報125などで構成されている。
【0047】
共有リソース識別情報123は、その個別共有リソース情報122を識別するための情報であり、個別共有リソース情報122が作成される度に、異なるIDが付与されて一意に識別できる構成となっている。ここでは、共有リソース情報120の作成要求のあったクライアント端末Tと関連付けられたID(たとえば、20061001150032user1A@relay−server1)と、その識別を容易にするための名称(たとえば、user1A−policy01)とで構成されている。
【0048】
したがって、ユーザ等は、共有リソース識別情報123によって、個別共有リソース情報122を特定することができるため、簡単にその内容を編集等することができる。
【0049】
ファミリーリソース情報125は、クライアント端末Tが保有しているファイルやフォルダなどのリソースの実体を示すリソース情報126の集合体である。各リソース情報126は、共有するリソースの実体の名称の情報(たとえば、resource name=“folderA”)と、そのリソースの実体の操作が可能なクライアント端末T(オーナクライアント端末)のアカウントの情報(たとえば、owner=“user1A@account”)と、そのリソースの実体の所在を示すアドレスの情報(たとえば、value=“c:/folderA”)とで構成されている。
【0050】
ファミリーアカウント情報124は、ファミリーリソース情報125で示されているリソースの実体を共有するクライアント端末Tのアカウント(たとえば、user1A@account)の集合体である。ファミリーアカウント情報124は、オーナクライアント端末Tと、オーナクライアント端末を介して間接的にリソースの実体の操作が可能なクライアント端末T(ユーザクライアント端末)とで構成されている。ユーザクライアント端末Tは、直接的にリソースの実体を操作することはできないが、オーナクライアント端末Tを介して間接的にリソースを操作することが可能なクライアント端末Tである。
【0051】
以上の通り構成された中継通信システムにおける通信処理の流れについて、図8、図9、図11、図15、および図18の処理シーケンス図を用いて説明する。図8に示すステップS1からステップS9は、各装置のアカウントの登録段階を示している。
【0052】
中継サーバR1が、外部サーバSに対してアカウントの登録要求(REGISTER)を送信する(ステップS1)。ここでは、中継サーバR1が、自身のアカウント(sip:relay−server1@net)の登録要求を行う。外部サーバSは、OKレスポンスを中継サーバR1に返信し、中継サーバR1のアカウントと中継サーバR1のグローバルIPアドレスとを対応付けて中継サーバアカウント情報DB203に登録する。
【0053】
続いて、中継サーバR2が、外部サーバSに対してアカウントの登録要求(REGISTER)を送信する(ステップS2)。ここでは、中継サーバR2が、自身のアカウント(sip:relay−server2@net)の登録要求を行う。外部サーバSは、OKレスポンスを中継サーバR2に返信し、中継サーバR2のアカウントと中継サーバR2のグローバルIPアドレスとを対応付けて中継サーバアカウント情報DB203に登録する。
【0054】
同様にして、中継サーバR3が、外部サーバSに対して自身のアカウントの登録要求(REGISTER)を行い、自身のアカウント等を外部サーバSに登録する(ステップS3)。
【0055】
次に、クライアント端末2Aが、中継サーバR2に対してアカウントの登録要求(REGISTER)を送信する(ステップS4)。ここでは、クライアント端末2Aが、自身のアカウント(sip:user2A@account)の登録要求を行う。中継サーバR2は、OKレスポンスを行い、クライアント端末2Aのアカウントとクライアント端末2AのプライベートIPアドレスとを対応付けてアカウント情報DB504に登録する。
【0056】
続いてクライアント端末1Aが、中継サーバR1に対してアカウントの登録要求(REGISTER)を送信する(ステップS5)。ここでは、クライアント端末1Aが、自身のアカウント(sip:user1A@account)の登録要求を行う。中継サーバR1は、OKレスポンスを行い、クライアント端末1Aのアカウントとクライアント端末1AのプライベートIPアドレスとを対応付けてアカウント情報DB504に登録する。
【0057】
同様にして、クライアント端末3Aが中継サーバR3に対し(ステップS6)、クライアント端末2Bが中継サーバR2に対し(ステップS7)、クライアント端末1Bが中継サーバR1に対し(ステップS8)、クライアント端末3Bが中継サーバR3に対し(ステップS9)、それぞれ自身のアカウントの登録要求を行い、自身のアカウント等をそれぞれの中継サーバRに登録する。
【0058】
以上のステップにより、各中継サーバRの外部サーバSに対するアカウントの登録が完了し、各クライアント端末Tの各中継サーバRに対するアカウントの登録が完了する。
【0059】
なお、以上の各ステップの順序は一例であって、各装置のアカウントの登録が完了すれば、その順序は問わない。また、ネットワーク上に存在しても、これらのアカウントの登録が完了して接続されなければ、中継通信システムとしては機能しない。たとえば、図1のLAN4は、ここではアカウントの登録が行われていないため、ネットワークに接続しておらず、ここで説明している通信サービスに参加することはできない。
【0060】
図9に示すステップS10からステップS16は、各中継サーバR間での通信段階を示している。なお、ステップS1からステップS16までの処理は、一般に、ユーザやオペレータによってネットワークの初期設定として行われる。
【0061】
中継サーバR1が、中継サーバR2に対する接続要求コマンド(INVITEメソッド)を、外部サーバSに送信する(ステップS10)。このINVITEメソッドでは、接続要求先の中継サーバR2のアカウント(sip:relay−server2@net)が指定されている。外部サーバSは、中継サーバアカウント情報DB203を参照することで、中継サーバR2のグローバルIPアドレスを取得する。そして、外部サーバSは、中継サーバR1から送信されたINVITEメソッドを中継サーバR2に中継する。接続要求コマンドが中継サーバR1から中継サーバR2に送信されると、外部サーバSを介して中継サーバR2から中継サーバR1に対してOKレスポンスが転送される。
【0062】
このように、各中継サーバR間の通信は、外部サーバSを経由して行われる。中継サーバR間の通信処理は、いずれの通信においても同様に外部サーバSを経由して行われるため、以降、外部サーバSを経由する通信処理の具体的な説明は省略する。
【0063】
次に、中継サーバR1が、中継サーバR2に対してSUBSCRIBEメソッドを利用して、中継サーバR2との間に、通知イベントを利用した変更通知設定を行う(ステップS11)。これによって、中継サーバR2がもつ中継グループ情報100の内容に変更が発生した場合、その都度、NOTIFYメソッドにより、その変更のあった情報が中継サーバR2から中継サーバR1に通知されることとなる。
【0064】
なお、SUBSCRIBEメソッドは、SIPで定義されている処理手段の一つであり、これで通知イベントを設定すると、それ以降は、通知イベントが実行可能な期間中、SUBSCRIBEメソッドを受信した側の装置の所定の情報に変更が生じた場合、その都度、NOTIFYメソッドにより、SUBSCRIBEメソッドを送信した側の装置に新たな情報の通知が行われる。
【0065】
同様にして、今度は逆に、中継サーバR2が、中継サーバR1に対してSUBSCRIBEメソッドを利用して、中継サーバR1との間に変更通知設定を行う(ステップS12)。これによって、中継サーバR1がもつ中継グループ情報100に変更が発生した場合、その都度、NOTIFYメソッドにより、その変更のあった情報が中継サーバR1から中継サーバR2に通知されることとなる。
【0066】
ここでは初めて変更通知設定が行われているため、SUBSCRIBEメソッドを受信した側から通知が行われて、SUBSCRIBEメソッドを送信した側の中継サーバRで新規に中継グループ情報100aが作成される。
【0067】
図10に、その中継グループ情報100aを示す。ここでは、中継サーバR1と中継サーバR2とで一つのグループが形成されているため、その中継グループ情報100aには、双方の中継アカウント情報102a・102bが含まれている。すなわち、ステップS11のNOTIFYメソッドでは中継サーバR2の中継アカウント情報102bが通知され、ステップS12のNOTIFYメソッドでは中継サーバR1の中継アカウント情報102aが通知されて、双方で同じ内容の中継グループ情報100aが作成されるのである。作成された中継グループ情報100aは、それぞれの中継グループ情報DB505に記憶される。
【0068】
次のステップS13は、ここで形成された中継サーバR1と中継サーバR2の中継グループに、中継サーバR2から新たに中継サーバR3が追加されるステップを示している。詳しくは、オペレータ等が、グループ識別情報101を参照してグループを特定する。そして、そのオペレータ等の操作に基づいて、中継サーバR2は、中継サーバR3に対して接続要求コマンド(INVITEメソッド)を送信する(ステップS13)。その送信を受けて中継サーバR3から中継サーバR2にOKレスポンスが転送される。そして、先のステップS11、ステップS12と同様に、互いにSUBSCRIBEメソッドを利用した変更通知設定が行われる(ステップS14、ステップS15)。そして、NOTIFYメソッドによりそれぞれ変更があった情報の通知が行われて新たに中継グループ情報100bが作成されるのである。
【0069】
ここでは、図6の中継グループ情報と同じ内容の中継グループ情報が作成される。図6に示すように、3つの中継サーバR1、R2、R3で一つのグループが形成されているため、その中継グループ情報100bには、各中継アカウント情報102a・102b・102cが含まれている。すなわち、ステップS14のNOTIFYメソッドでは中継サーバR3の中継アカウント情報102cが通知され、ステップS15のNOTIFYメソッドでは中継サーバR2が記憶している中継アカウント情報102a・102bが通知されて、双方で同じ内容の中継グループ情報100bが作成されるのである。作成された新たな中継グループ情報100bは、それぞれの中継グループ情報DB505に記憶される。
【0070】
ステップS14によって、中継サーバR2が中継グループ情報DB505に記憶している中継グループ情報100に変更が発生する。その結果、ステップS11で設定された変更通知設定に基づき、中継サーバR1に変更のあった情報が通知される(ステップS16)。具体的には、中継サーバR3の中継アカウント情報102cが中継サーバR1に通知されて、図6に示すグループ情報100bが作成され、記憶されるのである。
【0071】
こうして、中継サーバR1と中継サーバR2との間、中継サーバR2と中継サーバR3との間で、いずれかの中継グループ情報100に変更が生じた場合には自動的にその内容は更新されるため、中継サーバRやクライアント端末Tのアカウントが変動しても、動的に対応できるようになっている。なお、中継グループ情報100は、任意の中継サーバR間で形成可能であり、複数形成可能であることはいうまでもない。
【0072】
次に、リソースの共有に関する通信処理の流れについて、図11および図15の処理シーケンス図を用いて説明する。
【0073】
図11において、クライアント端末1Aが、中継サーバR1に対してアカウント情報の送信要求(GetAccountListコマンド)を送信する(ステップS21)。この送信要求に応じて、中継サーバR1は、クライアント端末1Aに、記憶している中継グループ情報の内容、すなわち各中継アカウント情報102が送信されて、クライアント端末1Aに表示される。ユーザは、各中継アカウント情報102を参照し、その中からリソースを共有するユーザクライアント端末Tを選択して、クライアント端末1Aに指定する。ここでは、ユーザクライアント端末2A、3Aが指定されている。
【0074】
指定を受けたクライアント端末1Aは、その情報を含む共有リソース作成要求(CreateSharedResourceコマンド)を中継サーバR1に送信する(ステップS22)。共有リソース作成要求を受信した中継サーバR1は、作成された共有リソース情報120を自身の共有リソース情報DB506に記憶する。そして、中継サーバR1は、指定されたユーザクライアント端末2A、3Aが接続されている各中継サーバR2、R3に、作成された共有リソース情報120をNOTIFYメソッドにより通知する(ステップS22.1、ステップS22.2)。通知を受けた各中継サーバR2、R3は、自身の共有リソース情報DB506にその共有リソース情報120を記憶する。そして、指定された各ユーザクライアント端末2A、3Aに対し、共有リソース変更要求(UpdateSharedResourceコマンド)を送信する(ステップS22.1.1、ステップS22.2.1)。この変更通知を受けた各ユーザクライアント端末2A、3Aは、自身の共有リソース情報DB604に記憶されている共有リソース情報120の変更を行う。
【0075】
図12に、ここで各中継サーバR1、R2、R3および各クライアント端末1A,2A,3Aに記憶される共有リソース情報120aを示す。そこには、この共有リソース情報120aを一意に識別するための共有リソース識別情報121と、オーナとなるクライアント端末1Aのアカウントおよびユーザとなる指定されたクライアント端末2A、3Aのアカウントの集合体であるファミリーアカウント情報124とが含まれている。
【0076】
次に、クライアント端末1Aから、ユーザの操作によって、共有するリソースの実体を示すリソース情報126を共有リソース情報120に加える処理が行われる。すなわち、ユーザは、クライアント端末1Aが操作可能なリソースの実体の中から、共有に供するリソースの実体を選択し、クライアント端末1Aに指定する。ここでは、「folderA」、「file001.xls」、「file002.wrd」、「file003.pdf」が指定されている。
【0077】
指定を受けたクライアント端末1Aは、指定された情報を含む共有リソース変更要求(UpdateSharedResourceコマンド)を中継サーバR1に送信する(ステップS23)。共有リソース変更要求を受信した中継サーバR1は、変更された共有リソース情報120bを自身の共有リソース情報DB506に記憶する。そして、中継サーバR1は、ユーザクライアント端末2A、3Aが接続されている各中継サーバR2、R3に、変更された共有リソース情報120bをNOTIFYメソッドにより通知する(ステップS23.1、ステップS23.2)。通知を受けた各中継サーバRは、自身の共有リソース情報DB506にその共有リソース情報120bを記憶する。そして、各ユーザクライアント端末2A,3Aに対し、共有リソース変更要求(UpdateSharedResourceコマンド)を送信する(ステップS23.1.1、ステップS23.2.1)。この変更要求を受けた各ユーザクライアント端末2A、3Aは、自身の共有リソース情報DB604に記憶されている共有リソース情報120を変更する。
【0078】
図13に、ここで各中継サーバRおよび各クライアント端末Tに記憶される共有リソース情報120bを示す。そこには、先のステップS22で作成された共有リソース情報120aにファミリーリソース情報125aが追加されている。
【0079】
以上の通信処理によって作成された共有リソース情報120bを参照すれば、クライアント端末1Aがオーナクライアント端末Tであること、各クライアント端末2A,3Aがユーザクライアント端末Tであること、オーナクライアント端末1Aが操作可能なリソースの実体の内容および、そのネットワーク上での存在位置などを特定することができる。
【0080】
次は、新たに、クライアント端末2Bから共有リソース情報120の作成処理が行われるステップを示している。
【0081】
クライアント端末2Bが、中継サーバR2に対してアカウント情報の送信要求(GetAccountListコマンド)を送信する(ステップS24)。この送信要求に応じて、中継サーバR2は、クライアント端末2Bに、記憶している中継グループ情報100の内容、すなわち各中継アカウント情報102が送信されて、クライアント端末2Bに表示される。ユーザは、各中継アカウント情報102を参照し、その中からリソースを共有するユーザクライアント端末Tを選択して、クライアント端末2Bに指定する。ここでは、ユーザクライアント端末としてクライアント端末1A、3Bが指定されている。
【0082】
指定を受けたクライアント端末2Bは、その情報を含む共有リソース作成要求(CreateSharedResourceコマンド)を中継サーバR2に送信する(ステップS25)。共有リソース作成要求を受信した中継サーバR2は、作成された共有リソース情報120を自身の共有リソース情報DB506に記憶する。そして、中継サーバR2は、指定されたユーザクライアント端末1A,3Bが接続されている各中継サーバR1、R3に、作成された共有リソース情報120をNOTIFYメソッドにより通知する(ステップS25.1、ステップS25.2)。通知を受けた各中継サーバR1、R3は、自身の共有リソース情報DB506に作成された共有リソース情報120を記憶する。そして、指定された各ユーザクライアント端末1A、3Bに対し、共有リソース変更要求(UpdateSharedResourceコマンド)を送信する(ステップS25.1.1、ステップS25.2.1)。この変更通知を受けた各ユーザクライアント端末1A、3Bは、自身の共有リソース情報DB604に記憶されている共有リソース情報120を変更する。
【0083】
図14に、クライアント端末1Aおよび中継サーバR1に記憶される共有リソース情報120cを示す。そこには、先のステップ3で作成された共有リソース情報120bに、新たに作成された個別共有リソース情報122aが追加されている。新たに作成された個別共有リソース情報122aには、新たに共有リソース識別情報123aが付与される。
【0084】
なお、クライアント端末2B、3Bは、先に作成されている共有リソース情報120bとは関連がないため、クライアント端末2B、3Bおよび中継サーバR2、R3には、新たに作成された個別共有リソース情報122aが共有リソース情報120として記憶される。
【0085】
次に、図15において、新たに作成された個別共有リソース情報122aに対し、クライアント端末1Aから共有に供するリソースのリソース情報126を加える処理が行われた場合の通信処理の流れを示している。
【0086】
ユーザは、共有リソース識別情報123aに基づいて、共有リソース情報120cの中からリソースを追加する個別共有リソース情報122aを選択して、クライアント端末1Aに指定する。そして、ユーザは、クライアント端末1Aが操作可能なリソースの実体の中から共有に供するリソースを選択し、クライアント端末1Aに指定する。ちなみに、ここでは「file005.ppt」が指定されている。
【0087】
指定を受けたクライアント端末1Aは、指定された情報を含む共有リソース変更要求(UpdateSharedResourceコマンド)を中継サーバR1に送信する(ステップS26)。共有リソース変更要求を受信した中継サーバR1は、変更された共有リソース情報120dを自身の共有リソース情報DB506に記憶する。そして、中継サーバR1は、対象となった個別共有リソース情報122aのファミリーアカウント情報124に含まれたユーザクライアント端末T(2B、3B)が接続されている各中継サーバR2、R3に、変更された個別共有リソース情報122aをNOTIFYメソッドにより通知する(ステップS26.1、ステップS26.2)。通知を受けた各中継サーバR2、R3は、自身の共有リソース情報DB506の共有リソース情報120を変更して記憶する。そして、各ユーザクライアント端末2B、3Bに対し、共有リソース変更要求(UpdateSharedResourceコマンド)を送信する(ステップS26.1.1、ステップS26.2.1)。この変更要求を受けた各ユーザクライアント端末2B、3Bは、自身の共有リソース情報DB604に記憶している共有リソース情報120を変更する。
【0088】
図16に、クライアント端末1Aおよび中継サーバR1に記憶される共有リソース情報120dを示す。そこには、先のステップS25で作成された共有リソース情報120cの個別共有リソース情報122aに、新たにファミリーリソース情報125bが追加変更されている。なお、クライアント端末2B、3Bおよび中継サーバR2、R3には、変更された共有リソース情報122aが共有リソース情報120として記憶される。
【0089】
次は、クライアント端末2Bから、個別共有リソース情報122aに対し、リソース情報126を共有リソース情報120に加える処理が行われた場合の通信処理の流れを示している。
【0090】
ユーザは、共有リソース識別情報123aに基づいて、共有リソース情報120の中から、リソースを追加する個別共有リソース情報122aを選択して、クライアント端末2Bに指定する。そして、ユーザは、クライアント端末2Bが操作可能なリソースの中から共有に供するリソースを選択し、クライアント端末2Bに指定する。ちなみに、ここでは「folderC」、「file00A.ppt」、「file00B.ppt」が指定されている。
【0091】
指定を受けたクライアント端末2Bは、指定された情報を含む共有リソース変更要求(UpdateSharedResourceコマンド)を中継サーバR2に送信する(ステップS27)。共有リソース変更要求を受信した中継サーバR2は、変更された共有リソース情報120を自身の共有リソース情報DB506に記憶する。そして、中継サーバR2は、リソースを共有するユーザクライアント端末1A,3Bが接続されている各中継サーバR1、R3に、変更された個別共有リソース情報122をNOTIFYメソッドにより通知する(ステップS27.1、ステップS27.2)。通知を受けた各中継サーバR1、R3は、自身の共有リソース情報DB506の共有リソース情報を変更して記憶する。そして、各ユーザクライアント端末1A、3Bに対し、共有リソース変更要求(UpdateSharedResourceコマンド)を送信する(ステップS27.1.1、ステップS27.2.1)。この変更要求を受けた各ユーザクライアント端末1A、3Bは、自身の共有リソース情報DB604に記憶されている共有リソース情報120を変更する。
【0092】
図17に、クライアント端末1Aおよび中継サーバR1に記憶される共有リソース情報120eを示す。そこには、先のステップS26で作成された共有リソース情報120dに、新たにファミリーリソース情報125cが追加変更されている。なお、クライアント端末2B、3Bおよび中継サーバR2、R3には、変更された個別共有リソース情報122aが共有リソース情報120として記憶される。
【0093】
このように、各クライアント端末Tは、個別にリソースを共有する集合体を形成することができる。そして、各クライアント端末Tは、共有するリソースを必要なときに必要なだけ変更することができ、汎用性、柔軟性に優れた中継通信システムとなっている。
【0094】
次に、図18において、あるLANに接続されているクライアント端末Tが、インターネットを越えて、他のLANのクライアント端末Tが保有するリソースを間接的に操作する通信処理の流れを説明する。
【0095】
最初の処理は、LAN2のクライアント端末2Aが、LAN1のクライアント端末1Aが保有し操作可能なリソースを間接的にコピーする場合の流れを示している。
【0096】
クライアント端末2Aは、ユーザから「file003.pdf」のコピーの指示を受けると、中継サーバR2に複写要求(Copyfileコマンド)を送信する(ステップS31)。複写要求を受信した中継サーバR2は、複写対象となっている「file003.pdf」を保有しているオーナクライアント端末Tを共有リソース情報120に基づいて選択し、そのオーナクライアント端末Tが接続されている中継サーバRを中継グループ情報100に基づいて選択して通信するのである。もちろん、共有できるリソースでないとか、アカウントの登録が行われていない場合には、通信は行われない。
【0097】
続いて、中継サーバR2は、特定した中継サーバR1に対し、外部サーバSを介して、接続要求(INVITEメソッド)を送信する(ステップS31.1)。接続要求を受信した中継サーバR1は、クライアント端末1Aに対し、複写要求を送信する(ステップS31.1.1)。複写要求を受信したクライアント端末1Aは、対象となるリソース(file003.pdf)の操作が可能であれば、OKレスポンスを中継サーバR1に送信し、中継サーバR1は、中継サーバR2に転送する。
【0098】
OKレスポンスを受信した中継サーバR2が、中継サーバR1に対し、Mediasessionコマンドを送信して、両中継サーバR1・R2間に通信経路が確立される(ステップS31.2)。Mediasessionコマンドを受信した中継サーバR1は、クライアント端末1Aに対し、ファイルを複写するGetFileDataコマンドを送信してファイル複写要求を行う(ステップS31.2.1)。ファイル複写要求を受けたクライアント端末1Aは、対象とされた「file003」を、リソース記憶部603から複写して中継サーバR1に送信する。そして、「file003」は、中継サーバR1、中継サーバR2を経由してクライアント端末2Aに送信される(FileTransferコマンド)。なお、リソースの実体は、リソース記憶部603からだけではなく、ファイルサーバFから複写される場合もある。
【0099】
一連の通信処理が終わると、確立された通信経路を切断するために、中継サーバR2から中継サーバR1に対して切断要求(BYEメソッド)が送信されて、両中継サーバ間の通信経路が切断されて通信が終了する(ステップS32)。
【0100】
次は、LAN3のクライアント端末3Bが、LAN2のクライアント端末2Bが保有し操作可能なリソースを間接的に削除する場合の流れを示している。
【0101】
クライアント端末3Bは、ユーザから「file00A.ppt」の削除の指示を受けると、中継サーバR3にファイルを削除するDeletefileコマンドを送信して削除要求する(ステップS33)。削除要求を受けた中継サーバR3は、削除対象の「file00A.ppt」を保有し操作可能なオーナクライアント端末Tと、そのオーナクライアント端末Tが接続されている中継サーバRとを、共有リソース情報120と中継グループ情報100とに基づいて特定する。
【0102】
続いて、中継サーバR3は、特定した中継サーバR2に対し、外部サーバSを介して、NOTIFYメソッドにより、削除要求の情報を送信する(ステップS33.1)。削除要求の情報を受信した中継サーバR2は、クライアント端末2Bに対し、Deletefileコマンドを送信して削除要求する(ステップS33.1.1)。削除要求を受信したクライアント端末2Bは、対象のリソース(file00A.ppt)を、リソース記憶部603から削除する。そして、OKレスポンスが、中継サーバR2、中継サーバR3を経由してクライアント端末3Bに送信される。
【0103】
図19に、削除処理が行われた後の共有リソース情報120fを示す。図19に示すように、削除対象であった「file00A.ppt」のリソース情報126は、共有リソース情報120の中から削除されている。リソースの実体が消去されたからである。
【0104】
リソースの削除等、共有リソース情報120の内容が変更される操作がなされた場合には、共有リソース情報の更新処理が引き続いて行われる。
【0105】
具体的には、共有リソース情報120の変更を伴う操作が指示されたクライアント端末3Bから、共有リソース変更要求(UpdateSharedResourceコマンド)が、中継サーバR3に送信される(ステップS34)。この変更要求を受信した中継サーバR3は、変更された共有リソース情報120に関わる中継サーバR1、R2に対し、変更された共有リソース情報120をNOTIFYメソッドにより通知する(ステップS34.1、ステップS34.2)。そして、各中継サーバR1、R2は、自身の共有リソース情報DB506の共有リソース情報を変更して記憶する。
【0106】
そして、それぞれ変更された共有リソース情報120に関わるユーザクライアント端末1A、2Bに共有リソース変更要求(UpdateSharedResourceコマンド)を送信する(ステップS34.1.1、ステップS34.2.1)。変更要求を受信した各ユーザクライアント端末1A、2Bは、自身の共有リソース情報DB604に記憶されている共有リソース情報を変更する。
【0107】
すなわち、共有リソース情報120が変更されると、関連する中継サーバRおよびクライアント端末Tには、その旨の通知がされて、直ちに新たな共有リソース情報120に更新されるようになっているのである。
【0108】
以上のように、本中継通信システムでは、クライアント端末Tが、WANを越えて、他のクライアント端末Tが保有するリソースを、あたかも自装置が保有しているかのごとく操作することができる。そして、各クライアント端末Tは、必要なときに必要な相手とグループを形成し、それぞれが保有しているリソースを必要に応じて共有することができる。また、リソースが削除等によって変化しても、自動的に関連する情報が更新され、動的に対応することができる。また、それぞれのLANで異なるプロトコルによってファイルが共有されていても、それを意識することなく、各クライアント端末からリソースを操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本実施の形態に係る中継通信システムのネットワーク構成図である。
【図2】外部サーバの機能ブロック図である。
【図3】クライアント端末の機能ブロック図である。
【図4】中継サーバの機能ブロック図である。
【図5】通信端末と中継サーバの関係および中継サーバと外部サーバとの関係を示す図である。
【図6】中継グループ情報の内容を示す図である。
【図7】共有リソース情報の内容を示す図である。
【図8】通信処理のシーケンス図である。
【図9】図8に続く通信処理のシーケンス図である。
【図10】ある過程における中継グループ情報のイメージ図である。
【図11】通信処理のシーケンス図である。
【図12】ある過程における共有リソース情報の内容を示す図である。
【図13】ある過程における共有リソース情報の内容を示す図である。
【図14】ある過程における共有リソース情報の内容を示す図である。
【図15】図11に続く通信処理のシーケンス図である。
【図16】ある過程における共有リソース情報の内容を示す図である。
【図17】ある過程における共有リソース情報の内容を示す図である。
【図18】通信処理のシーケンス図である。
【図19】ある過程における共有リソース情報の内容を示す図である。
【符号の説明】
【0110】
S 外部サーバ
T クライアント端末
R 中継サーバ
100 中継グループ情報
120 共有リソース情報
504 アカウント情報DB
505 中継グループ情報DB
506 共有リソース情報DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LANに接続される中継サーバであって、
前記中継サーバに接続されているクライアント端末を特定するアカウント情報を記憶するクライアント情報登録部と、
前記クライアント情報登録部に登録されているクライアント端末であって相互にリソースを共有するクライアント端末を特定するアカウント情報と、相互に共有する共有リソースを識別する識別情報と、共有リソースを操作可能なクライアント端末を特定するアカウント情報と、を含む共有リソース情報を記憶する共有リソース情報登録部と、
を備え、
相互にリソースを共有するクライアント端末であって、前記共有リソース情報登録部に記憶されているアカウント情報で特定されるクライアント端末から、前記共有リソース情報登録部に記憶されている共有リソースを識別する識別情報を指定した操作指示を受け付けると、前記共有リソース情報に基づいて指定された共有リソースを操作可能なクライアント端末を特定し、指定された共有リソースの操作指示を特定されたクライアント端末に転送することを特徴とする中継サーバ。
【請求項2】
中継サーバと、
前記中継サーバとLANを介して接続された複数のクライアント端末と、
を備える中継通信システムであって、
前記中継サーバは、
前記中継サーバに接続されているクライアント端末を特定するアカウント情報を記憶するクライアント情報登録部と、
前記クライアント情報登録部に記憶されているクライアント端末であって相互にリソースを共有するクライアント端末を特定するアカウント情報と、相互に共有する共有リソースを識別する識別情報と、共有リソースを操作可能なクライアント端末を特定するアカウント情報と、を含む共有リソース情報を記憶する共有リソース情報登録部と、
を有し、
相互にリソースを共有するクライアント端末は、
前記共有リソース情報登録部に記憶されている共有リソースを識別する識別情報を指定した操作指示を前記中継サーバに対して発行する操作指示発行部、
を有し、
前記中継サーバは、さらに、
前記操作指示を受け付けると、前記共有リソース情報に基づいて指定された共有リソースを操作可能なクライアント端末を特定し、指定された共有リソースの操作指示を特定されたクライアント端末に転送する操作指示転送部、
を有することを特徴とする中継通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−70393(P2009−70393A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271752(P2008−271752)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【分割の表示】特願2006−316815(P2006−316815)の分割
【原出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】