説明

中隔圧縮リング

筺体内に画定された流体室へと延在する針開口を含む該筺体と、該針開口内に設置され、該針開口の内部外周に係合するセルフシールの中隔と、該中隔と該筺体との間に配置され、半径方向内向きの圧縮力を該中隔に向ける圧縮要素と、を備える、カテーテル用アクセスポート。上記圧縮要素は、中隔と一体的に形成され得る。上記圧縮要素は、針開口の内部外周に形成され得る。上記圧縮要素は、針開口の内部外周に係合する中隔の表面に形成され得る。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
脈管系への長期的アクセスは、治療薬、栄養、血液製剤および/または他の流体の定期的投与を必要とする病状の治療、またはそこからの流体の回収に、しばしば必要である。これらの場合、カテーテルは、カテーテルの近位端がアクセス可能な状態で、遠位端を血管に前進させることによって挿入され、脈管系への通路を形成する。
【0002】
例えば、当該カテーテルの近位端は、感染症の可能性を低減させながら、患者の活動に対する妨害を最小限にするために皮下にあってもよいポートに接続される場合がある。これらの場合、針は、皮膚に穴をあけ、ポートのセルフシールの中隔を貫通するために、しばしば使用される。しかしながら、穿刺を繰り返すと、中隔がそれ自体を再密封する能力が劣り、最終的にポートの置換が必要となる。中隔のこの「突き刺し寿命」または「穿刺寿命」を延長することによって、これらの置換術の回数が減り、結果として、手術に関連する不快感および費用が低減する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、筺体内に画定された流体室へと延在する針開口を含む該筺体と、該中隔と該筺体との間に配置され、半径方向内向きの圧縮力を該中隔に向ける圧縮要素と組み合わせた、該針開口内に設置され、該針開口の内部外周に係合するセルフシールの中隔と、を備える、カテーテル用アクセスポートに関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
本発明は、以下の説明、および同様の要素が同一参照符号で示される添付図面を参照して、さらに理解することができる。本発明は、カテーテルを介して脈管系にアクセスするための装置に関し、より具体的には、皮下中心静脈アクセスカテーテルを介して流体の注入および/または回収を行うためのアクセスポートに関する。
【0005】
本発明は、半径方向の圧縮力を中隔に印加することによって、中隔の穿刺寿命を延ばす方法およびシステムを提供する。一例示的実施形態では、半径方向圧縮を生成し、同時に、その結果として生じる、筺体アセンブリおよびポートの接合部およびつなぎに印加されるかもしれない軸力を最小限にするための中隔圧縮リングが備えられる。例えば、該力は、中隔とポートの筺体との間で締まり嵌合を行う中隔圧縮リングによって生じてもよい。中隔圧縮リングは、例えば、中隔の外径の外周に配置された、さらなる中隔材料のビーズによって形成されてもよい。
【0006】
図1および2に示されるように、例えば、皮下静脈アクセスポートであってもよいアクセスポート100は、コネクタ114を介して、埋め込まれたカテーテルに接続される。ポート100は、カテーテルと流体接続するためのコネクタ114にある出入り口113と流動的に関連して、内部流体室105を画定する、基部104および上部106を含む筺体102を備える。基部104および上部106は、他にも選択肢はあるが、例えば、クサビ嵌合、機械的連結、結合形成、または接着剤によって互いに接合されてもよい。筺体102は、縫合糸ループ124または装置を組織に固定するための同様の要素をさらに備えてもよい。カテーテルおよび結果的に脈管系に流動的に連結するために、皮膚を介して挿入された針が、開口116を介して流体室105を通過できるように、針開口116は、ポート100の皮膚の下側を向いている面に備えられる。
【0007】
ポート100は、基部102と上部106との間で適所に保持された中隔108を備える。例えば、中隔108の外周は、基部104および上部106の対向面の間に保持されてもよい。圧縮リング要素110は、中隔108の外径に配置された1つ以上のリング130によって形成される。圧縮リング要素110は、筺体102の上部106の内面126に対して半径方向に干渉するように配置される。半径方向の干渉によって、中隔108の膜112を圧縮する実質的に半径方向の力Aが生じる。使用中に、筺体102の接合部およびつなぎに弱い軸力しか印加されないように、該力は、最小軸方向成分を有する。
【0008】
本発明によると、圧縮リング要素110を形成する個々のリングまたはビーズ130の大きさ、形および数を選択して、筺体102および中隔108に印加された力を所望のレベルに調整する、または所望の方法で力を配置してもよい。例えば、圧縮リング要素110と上部106との間の摩擦は、中隔108が適所に押圧されている場合等、装置が組み立てられた状態で、面126に接触するビーズ130の表面積を減少させることによって、減少させてもよい。
【0009】
一例示的実施形態では、圧縮リング要素110は、実質的に半円形の断面を有する3つのリングまたはビーズ130を備える。図1および2に示されるように、ビーズ130は、圧縮力を生成するために、筺体102の内面126に干渉するように接触してピーク120を形成する。溝122は、ピーク120の間に形成され、上部106の内面126に接触する圧縮リング要素110の表面積を減少させる。減少した接触面積によって、中隔108を筺体102に挿入する場合に克服しなければならない摩擦が少なくなり、装置に印加された軸力も少なくなる。
【0010】
中隔108の所望の半径方向圧縮は、リングまたはビーズ130の適切な数、形および位置を選択することによって得ることができる。例えば、圧縮の量および膜112に印加される圧縮力の分配は、圧縮リング要素110の異なるパラメータを選択することによって修正されてもよい。個々のビーズ130の形状は、所望の圧縮力および筺体との摩擦を得るために変更されてもよい。例えば、図面に示されるビーズ130の半円形の断面に加えて、三角形、台形またはブロック形状のビーズ等、異なる形状を使用してもよい。これらのパラメータは、中隔の体積の全域で中隔の圧縮の分配を正常化するために、必要に応じて変化させてもよい。
【0011】
異なる実施形態では、特定のリングまたはビーズを追加することなく、膜112にかかる圧縮力を得ることができる。代替として、本実施形態では、中隔の外周の直径を過剰に大きくすると、ポートの筺体への干渉およびその結果として生じる中隔の半径方向圧縮が生じる。過大中隔外周は、例えば、それが中に収まる筺体部品の開口の内径よりわずかに大きい直径を有してもよい。
【0012】
さらに別の実施形態では、圧縮リングの特性は、中隔ではなくポートの筺体に適用されてもよい。図3に示されるように、本発明のさらなる実施形態によるポート200は、中隔210が中に収まる、開口207を画定する上部202で形成された筺体を含む。上部202の内面204の上に形成されたビーズ206は、半径方向圧縮要素を形成し、中隔210の外周との干渉および、その結果として生じる、それに印加される半径方向の圧縮力を生じさせる。
【0013】
本発明の例示的実施形態によると、圧縮リングは、中隔が形成される材料と同じ材料で形成されてもよい。例えば、中隔および/または圧縮リングは、シリコーンまたは任意の種々の異なるデュロメータ値の材料で形成されてもよい。
【0014】
特定の例示的実施形態を参照して、本発明を説明した。当業者は、特に、部品の形、大きさ、材料および配置に関して、変更が詳細に行われることを理解する。そのため、種々の修正および変更が、実施形態において行われる。したがって、本明細書および図面は、限定的意味ではなく、説明する意味であるとみなされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の実施形態によるアクセスポートを示す分解図であり、
【図2】図2は、図1に示されるアクセスポートの断面図であり、
【図3】図3は、本発明によるアクセスポートの別の実施形態の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体であって、該筺体内に画定される流体室へと延在する針開口を含む、筺体と、
該針開口内に設置され、該針開口の内部外周に係合するセルフシールの中隔と、
該中隔と該筺体との間に配置され、半径方向内向きの圧縮力を該中隔に向ける圧縮要素と
を備える、カテーテル用アクセスポート。
【請求項2】
前記圧縮要素は、前記中隔と一体的に形成される、請求項1に記載のポート。
【請求項3】
前記圧縮要素は、前記針開口の内部外周に形成される、請求項1に記載のポート。
【請求項4】
前記圧縮要素は、前記針開口の内部外周に係合する前記中隔の表面に形成される、請求項1に記載のポート。
【請求項5】
前記圧縮要素は、前記針開口の外周周辺に延在する少なくとも1つのビーズを含む、請求項1に記載のポート。
【請求項6】
前記中隔および前記ビーズは、同じ材料で形成される、請求項5に記載のポート。
【請求項7】
前記圧縮要素は、3つのビーズを含む、請求項5に記載のポート。
【請求項8】
前記少なくとも1つのビーズの断面は、半円形、三角形、台形およびブロックのうちの1つの形状をしている、請求項5に記載のポート。
【請求項9】
前記針開口の内部外周に係合する前記中隔の一部の外径は、該針開口の内部外周の直径より大きく、前記圧縮要素は、非圧縮状態で、該針開口の内部外周の直径を超えて半径方向に延在する該中隔の一部から構成される、請求項1に記載のポート。
【請求項10】
前記圧縮要素が形成される材料のデュロメータは、前記針開口上に延在する前記中隔の一部が形成される材料のデュロメータとは異なる、請求項1に記載のポート。
【請求項11】
前記圧縮要素は、前記針開口の内部外周に接触し、交互になっている溝とピークを含む、請求項1に記載のポート。
【請求項12】
セルフシールの中隔であって、該中隔の外面が針開口の内径に面する、アクセスポートの該針開口にわたって延在する、中隔と、
該中隔の外面と該針開口の内径との間に配置される圧縮要素であって、略半径方向内向きの圧縮力を該中隔に加える、圧縮要素と
を備える、皮下アクセスポート用中隔。
【請求項13】
前記圧縮要素は、前記針開口の直径の少なくとも一部の周りに延在する材料の少なくとも1つのビーズとして形成され、該材料の少なくとも1つのビーズは、前記中隔の外面および前記針開口の内部外周のうちの1つと結合される、請求項12に記載の中隔。
【請求項14】
前記少なくとも1つのビーズの断面は、半円形、三角形、台形およびブロックのうちの1つの形状をしている、請求項13に記載の中隔。
【請求項15】
前記中隔は、シリコーンで作られる、請求項12に記載の中隔。
【請求項16】
前記圧縮要素のデュロメータは、前記中隔のデュロメータとは異なる、請求項12に記載の中隔。
【請求項17】
前記圧縮要素は、過大な中隔外周を含む、請求項12に記載の中隔。
【請求項18】
前記少なくとも1つのビーズは、複数のビーズを含み、該複数のビーズの第1のビーズは、前記中隔の異なる部分で異なる圧縮力を生成するために、該複数のビーズの第2のビーズの大きさとは異なる大きさ有する、請求項13に記載の中隔。
【請求項19】
前記複数のビーズは、前記圧縮要素のピークおよび溝を画定し、該ピークは、前記針開口の内部外周に係合する、請求項18に記載の中隔。
【請求項20】
前記複数のビーズは、3つのビーズを含む、請求項18に記載の中隔。
【請求項21】
前記圧縮要素は、前記針開口の内部外周に対して半径方向に干渉するように配置される、請求項12に記載の中隔。
【請求項22】
前記圧縮要素および前記中隔は、一体的に形成される、請求項12に記載の中隔。
【請求項23】
前記中隔および前記圧縮要素は、実質的に同じ材料で形成される、請求項12に記載の中隔。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−538705(P2009−538705A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513341(P2009−513341)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/062435
【国際公開番号】WO2007/140029
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(508275892)ナビリスト メディカル, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】