説明

丸窓

【課題】枠体の建物躯体に対する取付時の施工性がよく、かつ確実に止水できる丸窓を提供する。
【解決手段】略円形の枠体1内にガラス体2を納め建物躯体6に対して固定してなる丸窓において、枠体1は周面の略全周に渡って金属からなるフィン状の取付部14を備え、取付部14はシール材17を介して枠体1に略適合する開口を形成されてなる金属板3に固定され、金属板3を建物躯体6に対して固定する。また、建物躯体6に取付けた金属板3の外周縁に防水テープを設けて、金属板3と建物躯体6の間を止水する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建物躯体に取付けられる円形状の丸窓に関し、特に建物躯体に対して取付ける際の施工性及び取付後の水密性の高い丸窓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物躯体の開口部に略円形の枠体を固定し、枠体の内部には略円形のガラス体を納めてなる丸窓が知られている。このような丸窓としては、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【特許文献1】特開2004−3194号公報
【0003】
従来の丸窓は、以下のようにして建物躯体に対して取付けられていた。図5には、従来の丸窓における組立斜視図を示している。この図に示すように、まず建物躯体64に対して下地材52を取付ける。下地材52は、ベニヤ材からなり、中心部を略円形にくり抜かれた板状に形成されている。そして、この下地材52を介して略円形状の枠体50が建物躯体64に対して固定される。枠体50は周面にフィン状の取付部51を備え、この取付部51が下地材52に当接し、建物躯体64に対する固定をなすようにされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の丸窓においては、以下に述べる問題点を有していた。図6には、枠体50を建物躯体64に取付けた状態の斜視図を示している。図5のようにして枠体50を建物躯体64に取付けた場合、枠体50と下地材52の間はシールされていない状態であるため、取付部51の外周縁には水密性確保のために防水テープ53を設ける必要がある。丸窓の場合、枠体50の取付部51も略円形状であるので、図6に示すように防水テープ53を細かく区切って取付部51と下地材52の隙間を塞ぐようにしなければならない。このため、施工性が悪く、かつ1か所でも隙間が塞がっていないと、水漏れを生じる恐れがあった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、枠体の建物躯体に対する取付時の施工性がよく、かつ確実に止水できる丸窓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る丸窓は、略円形の枠体内にガラス体を納め建物躯体に対して固定してなる丸窓において、
上記枠体は周面の略全周に渡って金属からなるフィン状の取付部を備え、該取付部はシール材を介して上記枠体に略適合する開口を形成されてなる金属板に固定され、該金属板を上記建物躯体に対して固定してなることを特徴として構成されている。
【0007】
また、本発明に係る丸窓は、上記枠体の取付部は上記金属板の開口縁に上記シール材を介して当接し固定されることを特徴として構成されている。
【0008】
さらに、本発明に係る丸窓は、上記金属板は外周縁を四角形または多角形状に形成されてなることを特徴として構成されている。
【0009】
さらにまた、本発明に係る丸窓は、上記金属板は上記建物躯体に対し略同形状の下地材を介して固定されてなることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る丸窓によれば、金属からなる枠体の取付部はシール材を介して枠体に略適合する開口を形成されてなる金属板に固定され、金属板を建物躯体に対して固定してなることにより、枠体の取付部と金属板の間は、金属材同士であるために重合面でシール材により容易かつ確実に止水でき、金属板と建物躯体の間は、金属板の外周縁を直線状とすることで容易かつ確実に止水できるので、枠体の止水を確実になすことができ、しかも施工性も向上させることができる。
【0011】
また、本発明に係る丸窓によれば、枠体の取付部は金属板の開口縁にシール材を介して当接し固定されることにより、枠体を室内側または室外側から金属板にはめ込み固定できるので、施工性をより向上させることができる。
【0012】
さらに、本発明に係る丸窓によれば、金属板は外周縁を四角形または多角形状に形成されてなることにより、金属板の外周縁に直線的に防水テープを設けることができるので、金属板と建物躯体の間で容易かつ確実な止水をなすことができ、しかも施工性も向上させることができる。
【0013】
さらにまた、本発明に係る丸窓によれば、金属板は建物躯体に対し略同形状の下地材を介して固定されてなることにより、平面状の下地材に対し金属板を重合し固定することができるので、枠体取付の施工性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施形態について図面に沿って詳細に説明する。図1には本実施形態における丸窓の斜視図を示している。この図に示すように、本実施形態における丸窓は、略円形状の枠体1を金属板3に固定し、この金属板3を建物躯体6に取付けられた下地材5に固定してなるものである。枠体1の内部には、ガラス体2が嵌め殺し状に納められている。また枠体1は、室外側を金属枠10により、室内側を樹脂からなる押縁部材13により、それぞれ構成されている。金属枠10は、半円形状に形成された2つの枠材を突き合わせ溶接により連結してなり、押縁部材13は、半円形状に形成された2つの部材を突き合わせて連結部材20により互いに連結してなっている。
【0015】
図2には、丸窓の縦断面図を示している。この図に示すように、枠体1は室外側の金属枠10と、その室内側を覆うように設けられる押縁部材13とからなっている。金属枠10は、アルミにより形成され、押縁部材13は樹脂により形成されている。本実施形態の丸窓は、樹脂からなる押縁部材13が金属からなる金属枠10の室内側露出面を覆っていることにより、断熱性が高く、室内側から見た意匠性の高い複合サッシとして構成されている。
【0016】
金属枠10は、内周面の室外側に見付方向内側に向かって突出する室外押圧部15を全周に渡って有しており、その先端部には室内側に向かって押縁材15aが設けられている。この押縁材15aによりガラス体2の室外面を支持している。また、金属枠10は、外周面の室内外中間部にフィン状の取付部14を全周に渡って有しており、この取付部14がアルミからなる金属板3及び下地材5を介して建物躯体6に固定されている。
【0017】
押縁部材13は、断面中空状に形成され、内周面の室外端部が室外側に延出されて室内押圧部16を、室内側端部が室内側に向かって延出されて室内延出部13bを、それぞれ全周に渡って形成している。室内押圧部16の先端部には室外側に向かって押縁材16aが設けられており、この押縁材16aによりガラス体2の室内面を支持している。また、押縁部材13は、室内延出部13bが室内化粧材18を介して建物躯体6に対してネジ止めされる。室内化粧材18は、枠体1の室内側に設けられるものであって、押縁部材13の室内延出部13bと重合し、建物躯体6の開口部内周面を覆うように設けられる。
【0018】
押縁部材13の中空部分には、室内外方向に並設された2つの中空部13a、13aが形成されており、これら中空部13a、13a間において金属枠10に対するネジ止めがなされる。ネジは、内周面側から挿入されるため、内周面のネジ挿入口を隠すためにカバー体13cが設けられる。
【0019】
金属板3は、建物躯体6の開口に略適合する略円形状の開口を形成されており、建物躯体6に取付けられた下地材5に対し当接しネジ止めされる。また、枠体1の取付部14は、金属板3の開口周縁部に対して室外側から重合状とされ、シール材17を介してネジ止めされる。シール材17は、ブチルシールや湿式シールからなり、枠体1の取付部14と金属板3の重合面の略全体に渡るように輪状に形成されたものである。枠体1と金属板3については、金属材同士の重合面にシール材17を設け、しかもネジ止めにより挟持されるので、容易かつ確実に止水をなすことができる。
【0020】
図3には、枠体1と金属板3の分解斜視図を示している。図3は、枠体1及び金属板3を室外側から見たものである。枠体1は金属枠10を略円形状に形成しておき、その内部にはガラス体2を納めてその室外面を支持し、室内側からは半円形状の2つの押縁部材13を取付けてガラス体2の室内面を支持すると共に、連結部材20により連結する。金属板3には中央部に略円形状の開口3aが形成されており、室外側から開口3aの周縁部に対して、枠体1の取付部14がシール材17を介して重合され固定される。これによって、枠体1と金属板3が一体化される。
【0021】
図4には、枠体1の建物躯体6に対する組立斜視図を示している。この図に示すように、枠体1を金属板3に対し取付けて一体化したものを予め用意しておき、これを建物躯体6に取付けた下地材5に対して固定する。ただし、下地材5を設けることなく、金属板3を建物躯体6に対して直接固定するようにしてもよい。
【0022】
枠体1を下地材5に固定したら、金属板3と下地材5の間の水密性を確保するために、防水テープ4を金属板3の周縁部に設ける。図1に示すように、金属板3は外形状を略方形状に形成されているので、防水テープ4は金属板3を四周に渡って止水するように、各辺にそれぞれ直線状に設けられる。すなわち、従来のように略円形状の枠体1の取付部周縁に防水テープ4を設ける場合と異なり、直線状に防水テープを設けることができるので、施工性がよく、しかも確実な止水をなすことができる。また、金属板3を建物躯体6に対して直接固定する場合には、同様に防水テープ4を金属板3の外周縁に設けてもよいし、設けなくてもよい。
【0023】
このように、枠体1に金属板3を取付け、一体化したものを建物躯体6に固定するようにしたので、枠体1と金属板3との止水は、これらが金属板同士であるために重合面で容易かつ確実になすことができ、金属板3と建物躯体6に取付けられた下地材5との止水は、金属板3の外形状を四角形ないし多角形状のように単純な形状とでき、防水テープを直線状に設けることができるので、確実になすことができ、しかも施工性もよい。
【0024】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。例えば、本実施形態では、枠体1を金属板3に対して室外側から取付けるようにしている。すなわち、枠体1の取付部14は金属板3の開口3a周縁部に対して室外側から当接する。しかしこれに限らず、逆に取付部14が室内側から金属板3の開口3a周縁部に当接するようにしてもよい。この場合には、枠体1は金属板3に対して室内側から取付けられることになる。また、本実施形態では、枠体1の取付部14と金属板3を室内側からネジ止めしているが、逆に室外側からネジ止めしてもよい。この場合には、取付部14と金属板3及び建物躯体6を一体的にネジ止めすることができる。また、枠体1の構成について、金属枠10は1つの枠材の両端部を連結して略円形状を形成するようにしてもよい。また、金属枠10及び押縁部材13とも、本実施形態では2つの部材を上下方向に配置して突き合わせているが、左右方向に配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態における丸窓の斜視図である。
【図2】本実施形態における丸窓の縦断面図である。
【図3】枠体と金属板の分解斜視図である。
【図4】枠体の建物躯体に対する組立斜視図である。
【図5】従来の丸窓における組立斜視図である。
【図6】従来の丸窓における止水構造を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
1 枠体
2 ガラス体
3 金属板
3a 開口
4 防水テープ
5 建物躯体
10 金属枠
13 押縁部材
14 取付部
17 シール材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円形の枠体内にガラス体を納め建物躯体に対して固定してなる丸窓において、
上記枠体は周面の略全周に渡って金属からなるフィン状の取付部を備え、該取付部はシール材を介して上記枠体に略適合する開口を形成されてなる金属板に固定され、該金属板を上記建物躯体に対して固定してなることを特徴とする丸窓。
【請求項2】
上記枠体の取付部は上記金属板の開口縁に上記シール材を介して当接し固定されることを特徴とする請求項1記載の丸窓。
【請求項3】
上記金属板は外周縁を四角形または多角形状に形成されてなることを特徴とする請求項1または2記載の丸窓。
【請求項4】
上記金属板は上記建物躯体に対し略同形状の下地材を介して固定されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の丸窓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−225869(P2006−225869A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−37807(P2005−37807)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】