説明

乗り物用物入れ装置

【課題】シャッターがケースの開口を閉成している状態で、ケースの開口が形成されている面とシャッターの表面とが略同一面とした乗り物用物入れ装置を提供する。
【解決手段】小物を収納可能なる収納部2hを備え、一方の面に収納部2hに連通した開口2fを有するケースBと、ケースBの開口2fを閉成する位置及びケースBの開口2fを開成すると共にケースB内に収納される位置間を移動手段26により摺動自在なるシャッター11とよりなり、シャッター11が閉成した状態では、シャッター11の表面11aとケースBの開口2fが形成されてなる面とが略同一面となり、移動手段26は、シャッター11を摺動する方向に案内可能且つケースBに形成されてなるガイドレール25と、該ガイドレール25に沿って曲折可能且つシャッター11の外方に張り出してなると共にガイドレール25に摺動自在に軸支されてなるガイド軸10c、10c’とより構成されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や鉄道、航空機、船舶などの乗り物に用いられる物入れ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の乗り物、特に自動車用物入れ装置としては、中空状に形成されてなる小物収納用のケースの一方の面、例えば上面には、小物を出し入れするための開口が形成されてなり、該開口を閉成したり開成したりすることが可能なシャッターが、ケースに配されたレール上を摺動自在としているもの(先行技術文献1)が、従来技術として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−335604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術は、シャッターが摺動自在に係合しているレールが、ケースに設けられているため、レールを設ける関係で、ケースの上面より一段下げた位置にレールが配されることにより、ケースの上面より一段下がったレールに配されるシャッターは、ケースの上面より一段下がる事になる。つまり、シャッターの部分が、ケースの上面より下がった凹部となり、意匠性が悪いという課題がある。
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明は、シャッターがケースの開口を閉成している状態で、ケースの開口が形成されている面とシャッターの表面とが略同一面とした乗り物用物入れ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1記載の乗り物用物入れ装置は、小物を収納可能なる収納部を備え且つ一方の面に前記収納部に連通した開口を有するケースと、該ケースの開口を閉成する位置及び前記ケースの開口を開成すると共に前記ケース内に収納される位置間を移動手段により摺動自在なるシャッターとより少なくとも構成されてなり、前記シャッターが閉成した状態では、前記シャッターの表面と前記ケースの開口が形成されてなる面とが略同一面となり、前記移動手段は、前記シャッターを摺動する方向に案内可能且つ前記ケースに形成されてなるガイドレールと、該ガイドレールに沿って曲折可能且つ前記シャッターの外方に張り出してなると共に前記ガイドレールに摺動自在に軸支されてなるガイド軸とより構成されてなることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項2記載の乗り物用物入れ装置は、請求項1記載の前記ガイドレールは、前記シャッターが前記ケースの開口を開閉する際に前記開口と平行に導く開閉レールと、前記ケース下方に前記シャッターを案内可能な収納用固定レールと、該収納用固定レールの上部に配されて前記シャッターのガイド軸を前記収納用固定レールに案内制御可能なる可動レール体とより構成されてなることを特徴とする。
【0008】
更に、本発明の請求項3記載の乗り物用物入れ装置は、請求項2記載の前記可動レール体は、前記ケースを前後動可能なると共に常時前側に付勢されてなるリンクに係合されてなり、前記シャッターの閉成ロック時には前記付勢力に抗して前記リンクが前記可動レール体と前記ガイド軸とが案内できない位置に保持してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、請求項1記載の発明によれば、小物を収納可能なる収納部を備え且つ一方の面に前記収納部に連通した開口を有するケースと、該ケースの開口を閉成する位置及び前記ケースの開口を開成すると共に前記ケース内に収納される位置間を移動手段により摺動自在なるシャッターとより少なくとも構成されてなり、前記シャッターが閉成した状態では、前記シャッターの表面と前記ケースの開口が形成されてなる面とが略同一面となり、前記移動手段は、前記シャッターを摺動する方向に案内可能且つ前記ケースに形成されてなるガイドレールと、該ガイドレールに沿って曲折可能且つ前記シャッターの外方に張り出してなると共に前記ガイドレールに摺動自在に軸支されてなるガイド軸とより構成されてなることを特徴とするため、前記移動手段を備えてなるにもかかわらず、前記シャッターが前記ケースの開口を閉成している状態で、前記ケースの開口が形成されている面と前記シャッターの表面とが略同一面になるという効果を奏する。
【0010】
また、本発明は、請求項2記載の発明によれば、前記ガイドレールは、前記シャッターが前記ケースの開口を開閉する際に前記開口と平行に導く開閉レールと、前記ケース下方に前記シャッターを案内可能な収納用固定レールと、該収納用固定レールの上部に配されて前記シャッターのガイド軸を前記収納用固定レールに案内制御可能なる可動レール体とより構成されてなることを特徴とするため、前記シャッターの閉成時には、前記シャッターのガイド軸と前記可動レール体とが前後離間した位置にあり、収納用固定レールに案内されない状態にある。そして、前記シャッターのロック解除時には、前記シャッターのガイド軸と前記可動レール体とが前後連結した状態にあり、収納用固定レールに案内される状態にあって、摺動自在である、という効果を奏する。
【0011】
更に、本発明は、請求項3記載の発明によれば、前記可動レール体は、前記ケースを前後動可能なると共に常時前側に付勢されてなるリンクに係合されてなり、前記シャッターの閉成ロック時には前記付勢力に抗して前記リンクが前記可動レール体と前記ガイド軸とが案内できない位置に保持してなることを特徴とするため、前記シャッターのロックを解除すると、常時付勢手段により、前記リンクは前記可動レール体を収納用固定レールに案内可能位置に移動するので、前記シャッター開成の邪魔にならず、スムーズな開成を可能とする、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1に係るシャッターを閉じた状態における乗り物用物入れ装置を前側より示す斜視図。
【図2】図1のロック手段をシャッターより外した状態の斜視図。
【図3】図1の乗り物用物入れ装置の分解斜視図。
【図4】図2のロック手段の分解斜視図。
【図5】図1のSA−SA線に沿い且つシャッター閉時の縦断面図。
【図6】図5のSB−SBに沿った位置の断面であり且つ図1の左側の平断面を示す図。
【図7】図1のSA−SA線に沿い且つシャッターのロックを解除させた状態を示す図5相当断面図。
【図8】図7のSC−SCに沿った位置の断面であり且つ図1の左側の平断面を示す図。
【図9】図1のSA−SA線に沿い且つシャッターを若干開成させた状態を示す図5相当断面図。
【図10】図9のSD−SDに沿った位置の断面であり且つ図1の左側の平断面を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。本発明において、シャッターがケースの開口を閉成している状態で、ケースの開口が形成されている面とシャッターの表面とが略同一面とした乗り物用物入れ装置を提供するという目的を、小物を収納可能なる収納部を備え且つ一方の面に前記収納部に連通した開口を有するケースと、該ケースの開口を閉成する位置及び前記ケースの開口を開成すると共に前記ケース内に収納される位置間を移動手段により摺動自在なるシャッターとより少なくとも構成されてなり、前記シャッターが閉成した状態では、前記シャッターの表面と前記ケースの開口が形成されてなる面とが略同一面となり、前記移動手段は、前記シャッターを摺動する方向に案内可能且つ前記ケースに形成されてなるガイドレールと、該ガイドレールに沿って曲折可能且つ前記シャッターの外方に張り出してなると共に前記ガイドレールに摺動自在に軸支されてなるガイド軸とより構成されてなることで、実現した。以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0014】
本発明の実施例1に係る構造を、図1〜図10を用いて説明する。この実施例1の自動車用物入れ装置Mは、前後関係では、図示しないインストルメントパネルの後側RRに配され、上下関係では、図示しない床の上側UPに配され、左右関係では、図示しない左側LHの座席と右側RHの座席との間に配されているもので、前記座席に着座する乗員の小物、例えばCD、MDなどの音響機器やティッシュペーパー、チケット、菓子類などの一時保管場所として供されるものである。
【0015】
前記自動車用物入れ装置Mは、前記小物を収納可能なるケースBと、該ケースBを覆う化粧部材Aとよりなる。前記ケースBは、左側LHのボックス部1と右側RHのボックス部2とをそれぞれのフランジ1a、2aを重ねてビス止めすることで、前記小物(図示省略)を収納可能な箱状になる。前記化粧部材Aは、前記ケースBを上側UPから覆う化粧板12と、該化粧板12の開口12aを閉じる位置(図1参照)及び該開口12aを開成する位置(図示省略)とに移動可能なるシャッター11とよりなる。符号9は、前記シャッター11が化粧板12の開口12aを閉じた状態を保持するロック手段である。
【0016】
図1乃至4の左斜め下側矢印FR及び図5乃至10の左側矢印FRが、共に自動車の前側方向、同じく図1乃至4の右斜め上側矢印RR及び図5乃至10の右側矢印RRが、共に自動車の後ろ側方向、図5、図7、図9の上側矢印UPが、自動車の上側方向、図5、図7、図9の下側矢印LWRが、自動車の下側方向をそれぞれ指し示している。また、側方とは、即ち自動車の左右方向LH、RHを指し示している。
【0017】
前記ケースBは、側板部1bと底板部1cとよりなる左側LHのボックス部1及び該左側LHのボックス部1に対して左右対称に形成されてなる側板部2bと底板部2cとよりなる右側RHのボックス部2双方のフランジ1a,2aが合わさって、振動溶着、ビス止め等の支持手段(この実施例は、締結してなる。)により、側板部1b、2bの上端部に開口1g、2fが形成されてなる矩形の箱状をなす。箱状に形成された前記ケースBを覆う化粧部材Aの前記化粧板12の開口12aの縁部である前記ケースBの側板部1b、2bの最上端には、前記シャッター11が前側FR及び後側RRに摺動可能な開閉レール24、24’が略水平状且つ左右対称に形成されてなる。該開閉レール24、24’は、左右対称に形成されてなる。
【0018】
前記シャッター11は、図3に示すように、合成樹脂により表面11aが平滑状に形成されてなり、裏面11d側からの切り込み11cにより表面11aに複数の薄肉部11gが形成されてなるので、前記裏面11d側が前後FR、RRに傾く時のヒンジ機能を持つことが可能となっている。前記切り込み11cにより、側面視で裏面11d側が略逆三角形に形成されることで、前記シャッター11は、巻き込まれながら収納できる。つまり、前記したように、前記裏面11d側が前後FR、RRに傾くことが可能で、前記シャッター11は曲折が可能である。前記裏面11dの切り込み11cにより形成された垂下部11fそれぞれの先端(下端と言う意味)には中空状の筒部材11eが側方、即ち自動車の左右方向LH、RHそれぞれに向けて水平状に形成されてなる。符号11bは、上下貫通孔である。
【0019】
該シャッター11の裏面11dには、合成樹脂製の第2シャッター10が配されてなり、前記中空状の筒部材11eには、側方、即ち自動車の左右方向LH、RHそれぞれに張り出すと共に移動手段26のガイドレール25に摺動自在に軸支されてなる円柱状のガイド軸10cが形成されてなる。該ガイド軸10cは、前後FR、RRに31個等間隔で配され、最も後側のガイド軸10c’のみその前FRのガイド軸10cとの間の寸法が大きい位置に配されている。該ガイド軸10cは、都合32個である。符号10bは、前記上下貫通孔11bと同じ位置に形成されてなる上下貫通孔である。符号10aは、前記第2シャッター10の表面で、裏面(図示省略)側からの切り込み10dにより表面10aが薄肉状に形成されてなるから、前記裏面側が前後FR、RRに傾くことが可能で、前記シャッター11は曲折が可能である。
【0020】
前記移動手段26は、前記ガイドレール25と、前記ガイド軸10c、10c’とよりなる。前記ガイドレール25は、前記開閉レール24、24’と、後述する可動レール体5、6と、同じく後述する収納用固定レール22とより構成されてなる。前記可動レール体5、6は、前記開閉レール24、24’の後端部24a、24’aより後側RRに棚状に配されたプレート27、27’上を前後FR、RR移動自在に配してなり、図5に示すように、前記シャッター11が前記開口12aを閉じた状態で、前記可動レール体6の前端部6aに最も後側RRのガイド軸10c’が係合し、前記前端部6aの上側UPに表面11aの後端部11’aが載り、前記化粧板12の表面12bと、前記シャッター11の表面11aとが面一となる。
【0021】
前記可動レール体5は、前記可動レール体6に対して、左右対称に形成されてなるので、前記ガイド軸10c’が可動レール体6に係合すると同時に可動レール体5も係合することになる。前記収納用固定レール22は、例えば、半径80ミリメートルの単純円弧状に形成されてなる場合、前記可動レール体6が最前位置に移動した状態での前端部6aの位置は、前記収納用固定レール22の延長線上に位置するが、前記収納用固定レール22の上端部は、前記可動レール体6の底部の位置で止まるので、図5に示す前記可動レール体6の位置、即ち最も後退している位置が、開口12aの形成される位置となり、開口12aを大きくすることができる。尚、出願人において確認したところ、前記収納用固定レール22を半径80ミリメートル以下の単純円弧状に形成すると、前記シャッター11を摺動させる荷重が著しく大になることを確認した。図6に示すように、前記開閉レール24、24’は、前記ケースBの左側LHのボックス部1及び右側RHのボックス部2双方の側板部1b、2bの上端部に配設されてなるもので、前記ケースBの開口12aに沿った前後方向FR、RRに略水平に延びる。前記可動レール体5、6に係合してなるリンク3、4の傾斜面3a、4aに後述するロック手段9のローラー14が抑え込むことで、「付勢手段」であるスプリング7、8に抗して後側RRに移動させ、該リンク3、4に係合した可動レール体5、6が最も後側RRに移動し、固定される。
【0022】
前記ロック手段9は、ロックケース13と、第1ロック体16と、第2ロック体17と、ロックアウターパネル18と、ロックインナーパネル19とより構成されてなる。前記ロックケース13は、前記シャッター11の前側FRに上下UP、LWRに形成されてなる上下貫通孔11b内を介してビス13aにより固持されてなる。符号13dは、該ビス13aの下孔である。符号13eは、後述するロッド16aを軸支する貫通支持部である。前記ロックアウターパネル18の下孔18b、18bを介して前記ロックケース13の下孔13d,13dに螺合するビス18a、18aにより前記ロックケース13に前記ロックアウターパネル18を固定する。この際、前記ロックケース13の突起13c、13cに前記ロックアウターパネル18の貫通孔18c、18cを係合することで、ビス18a、18aを締結する前に仮止めできる。符号18dは、前記ロックインナーパネル19に形成されてなるボタン19aが出没自在する開口である。前記ロックアウターパネル18と前記ロックインナーパネル19との間には、第2ロックスプリング21が介在されてなる。符号20は、前記第1ロック体16と、第2ロック体17との間に介在されてなる第1ロックスプリングである。
【0023】
前記第1ロック体16には、左右方向LH、RHに進退自在なロッド16aと、該ロッド16aの先端部に配設されてなる支持部16bと、該支持部16bに上下方向UP、LWRに軸支されてなるロックピン16cとよりなり、該ロックピン16cにより前記ローラー14が回転自在に軸支されてなる。前記第2ロック体17には、左右方向LH、RHに進退自在なロッド17a及びロッド17dと、該ロッド17aの先端部に配設されてなる支持部17bと、該支持部17bに上下方向UP、LWRに軸支されてなるロックピン17cとよりなり、該ロックピン17cによりローラー15が回転自在に軸支されてなる。
【0024】
前記スプリング7、8は、左側のボックス部1の固定部1dと右側のボックス部2の固定部2dと、前記リンク3、4の前側FRのフランジ3b、4bに設けた係合部3d、4dとの間に懸架されて、常に前記リンク3、4を前側FRに付勢してなる。
【0025】
次に、この実施例1の作用を説明する。
【0026】
図5及び図6は、前記シャッター11が開口12aを閉じて、ロックされた状態を示す。つまり、リンク3、4は、スプリング7、8により前側FRへ引き寄せられる力が加えられているが、ロック手段9の第1ロックスプリング20によりロッド16a、17aを介してリンク3、4の傾斜面3a、4aに加わるローラー14、15の左右方向LH、RHへの押圧力によりリンク3、4は保持される。該リンク3、4に係合した可動レール体5、6もこの位置に保持される。従って、図5に示すように、最も後側RRのガイド軸10c’は、可動レール体5、6の前端部6aに係合しているが、可動レール体5、6は、最も後側RRの位置に保持される。シャッター11の表面11aは、化粧板12の表面12bと同一面を保持している。尚、スプリング7、8の付勢力よりも第1ロックスプリング20の付勢力の方が大きい。
【0027】
図5及び図6に示す状態で、ロック手段9のボタン19aを第2ロックスプリング21に抗して後側RRに押し込むと、図7及び図8に示すように、ロック手段9のロックが解除される。つまり、図6に示すロッド16aがロック体16側に引っ込むことで、ローラー14がリンク3の傾斜面3aから外れ、図8に示す位置に移動する。すると、スプリング7によりリンク3は前側FRに引っ張られ、該リンク3に係合した可動レール体5がプレート27上を前側FRに移動する。図示は省略しているが、前記したように、ロック状態を解除すると、リンク4の傾斜面4aからローラー15も外れ、スプリング8によりリンク4も前側FRに移動し、該リンク4に係合した可動レール体6もプレート27’上を前側FRに移動する。従って、前記シャッター11の最も後側RRのガイド軸10c’が前記可動レール体6の前端部6aから導入部6bに移動する。この状態、つまり、ロック手段9を解除した状態でボタン19aを押圧した力を解除すると、第1ロックスプリング20の力でロッド16a、17aが張り出し、リンク3、4の傾斜面3a、4aを押し、分力でリンク3、4は、スプリング7、8に抗して後側RRへ移動させることになる。リンク3、4に係合してなる可動レール体5、6も後側RRに移動し、シャッター11の最も後側RRのガイド軸10c’も図5に示す元の位置に戻ることになる。
【0028】
前記ロック手段9のロックを解除した状態において、手でロックアウターパネル18を持って前記シャッター11を開成する方向、つまり、後側RRに摺動させると、図9及び図10に示すように、前記シャッター11の最も後側RRのガイド軸10c’が前記可動レール体6の導入部6bから収納用固定レール22に移動し、前記シャッター11は、ケースB内に収納されることになる。この時、ロッド16a、17aは外側への付勢力が働いているが、ロッド16a、17aの先端部に支持されているローラー14、15によって、左右のボックス部1、2の側板部1b、2bの内面1b’、2b’を回転して移動するので、スムーズな移動を可能としている。この時、リンク3、4は、スプリング7、8により前側FRに引き寄せられたまま保持されているし、該リンク3、4に係合されてなる可動レール体5、6も、最も前側FRに保持されてなるので、次々に係合されるガイド軸10cもスムーズに移動していくことになる。また、前記シャッター11は、薄肉部11gにより前後FR、RRに合成樹脂により一体に形成されていることで、図1及び図5に示すように、前側FRから後側RRまで一様な平面状をなす形状から、図9に一部示すように、後側RRのみが曲折状をなす形状、そして、収納用固定レール22に沿って摺動する際に、収納用固定レール22の形状に従って円弧状に曲折されることになる。
【0029】
以上のように、小物を収納可能なる収納部1h、2hを備え且つ一方の面である上側に前記収納部1h、2hに連通した開口1g、2fを有するケースBと、該ケースBの開口1g、2fを閉成する位置及び前記ケースBの開口1g、2fを開成すると共に前記ケースB内に収納される位置間を移動手段26により摺動自在なるシャッター11とより少なくとも構成されてなり、前記シャッター11が閉成した状態では、前記シャッター11の表面11aと前記ケースBの開口1g、2fが形成されてなる面12bとが略同一面となり、前記移動手段26は、前記シャッター11を摺動する方向に案内可能且つ前記ケースBに形成されてなるガイドレール25と、該ガイドレール25に沿って曲折可能且つ前記シャッター11の外方に張り出してなると共に前記ガイドレール25に摺動自在に軸支されてなるガイド軸10c、10c’とより構成されてなるため、前記移動手段26を備えてなるにもかかわらず、前記シャッター11が前記ケースBの開口1g、2fを閉成している状態で、実施例的には、前記ケースBの開口1g、2fが形成されている化粧板12の表面12bと前記シャッター11の表面11aとが略同一面になるという効果を奏する。
【0030】
また、前記ガイドレール25は、前記シャッター11が、実施例的には前記ケースBの開口1g、2fであり、発明的には化粧板12の開口12aを開閉する際に、前記開口1g、2fと平行に導く開閉レール24、24’と、前記ケースBの下方に前記シャッター11を案内可能な収納用固定レール22と、該収納用固定レール22の上部に配されて前記シャッター11のガイド軸10c、10c’を前記収納用固定レール22に案内制御可能なる可動レール体5、6とより構成されてなるため、前記シャッター11の閉成時には、前記シャッター11のガイド軸10c、10c’と前記可動レール体5、6とが前後離間した位置にあり、収納用固定レール22に案内されない状態にある。そして、前記シャッター11のロック解除時には、前記シャッター11のガイド軸10c、10c’と前記可動レール体5、6とが前後連結した状態にあり、収納用固定レール22に案内される状態にあって、摺動自在である、という効果を奏する。
【0031】
更に、前記可動レール体5、6は、前記ケースBを前後動可能なると共に常時前側に付勢されてなるリンク3、4に係合されてなり、前記シャッター11の閉成ロック時には前記付勢力に抗して前記リンク3、4が前記可動レール体5、6と前記ガイド軸10c、10c’とが案内できない位置に保持してなるため、前記シャッター11のロックを解除すると、常時スプリング7、8により、前記リンク3、4は前記可動レール体5、6を収納用固定レール22に案内可能位置に移動するので、前記シャッター11開成の邪魔にならず、スムーズな開成を可能とする、という効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、以上の実施例では、自動車用物入れ装置Mを例にして説明したが、自動車用だけでなく、航空機、船舶、鉄道などあらゆる乗り物の物入れ装置に適用されるものである。
【0033】
本発明は、以上の実施例では、自動車用物入れ装置Mは、前後関係では、図示しないインストルメントパネルの後ろ側に配され、上下関係では、図示しない床の上に配され、左右関係では、図示しない座席と座席との間に配されているものとして説明したが、こうしたレイアウトに限定されるものではなく、座席に組み込まれたものでも、天井に組み込まれたものでも、左右何れかの、或いは左右双方の壁に組み込まれたものでも、床に組み込まれたものでも、良い。
【0034】
本発明は、以上の実施例では、開口12aが形成されてなるのは、化粧板12の表面12bは上側として説明したが、該表面12bは上側に限定されるものではなく、ほぼ垂直な状態までの間のあらゆる角度でも可能であるので、一方の面とした。
【符号の説明】
【0035】
M 自動車用物入れ装置
B ケース
1h、2h 収納部
1g、2f 開口
3、4 リンク
5、6 可動レール体
10c、10c’ ガイド軸
11 シャッター
11a シャッターの表面
12a 開口
12b 表面
22 収納用固定レール
24、24’ 開閉レール
25 ガイドレール
26移動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小物を収納可能なる収納部を備え且つ一方の面に前記収納部に連通した開口を有するケースと、該ケースの開口を閉成する位置及び前記ケースの開口を開成すると共に前記ケース内に収納される位置間を移動手段により摺動自在なるシャッターとより少なくとも構成されてなり、
前記シャッターが閉成した状態では、前記シャッターの表面と前記ケースの開口が形成されてなる面とが略同一面となり、
前記移動手段は、前記シャッターを摺動する方向に案内可能且つ前記ケースに形成されてなるガイドレールと、該ガイドレールに沿って曲折可能且つ前記シャッターの外方に張り出してなると共に前記ガイドレールに摺動自在に軸支されてなるガイド軸とより構成されてなることを特徴とする乗り物用物入れ装置。
【請求項2】
請求項1記載の乗り物用物入れ装置であって、
前記ガイドレールは、前記シャッターが前記ケースの開口を開閉する際に前記開口と平行に導く開閉レールと、前記ケース下方に前記シャッターを案内可能な収納用固定レールと、該収納用固定レールの上部に配されて前記シャッターのガイド軸を前記収納用固定レールに案内制御可能なる可動レール体とより構成されてなることを特徴とする乗り物用物入れ装置。
【請求項3】
請求項2記載の乗り物用物入れ装置であって、
前記可動レール体は、前記ケースを前後動可能なると共に常時前側に付勢されてなるリンクに係合されてなり、前記シャッターの閉成ロック時には前記付勢力に抗して前記リンクが前記可動レール体と前記ガイド軸とが案内できない位置に保持してなることを特徴とする乗り物用物入れ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−171503(P2012−171503A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35728(P2011−35728)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000229955)日本プラスト株式会社 (740)
【Fターム(参考)】