説明

乗り物用物入れ装置

【課題】通風する空気によって結露が生ぜず、剛性を維持しつつ軽量化が図れる乗り物用物入れ装置を提供する。
【解決手段】小物を収納可能なるボックス本体Bと、該ボックス本体Bの側部に配され且つ空調風を通気可能としたダクト5、5’と、該ダクト5、5’及び前記ボックス本体Bを側部より覆うサイドパネル6、6’とより構成されてなり、前記サイドパネル6、6’には、複数の貫通孔を形成すると共に内面に断熱体7を配設してなり、前記ダクト5、5’は、前記断熱体7をダクト5、5’の一方を構成するようにした空気通路5b、5b’を形成してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や鉄道、航空機、船舶などの乗り物に用いられる乗り物用物入れ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の乗り物、特に自動車用物入れ装置としては、ボックス本体の底板に、下方へ向かって突出し、前後方向に延びる縦壁と、該縦壁の下端から左右方向へ突出し前後方向に延びる横壁とを一体に形成し、底板と縦壁と横壁とで区画された空間に通風ダクトを形成しているもの(先行技術文献1。)が、従来技術として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−166599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術は、通風する空気によって結露が生じるおそれがあり、底板と縦壁と横壁とで区画されることで、重量が嵩むおそれがある。
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明は、通風する空気によって結露が生ぜず、剛性を維持しつつ軽量化が図れる乗り物用物入れ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1記載の乗り物用物入れ装置は、小物を収納可能なるボックス本体と、該ボックス本体の側部に配され且つ空調風を通気可能としたダクトと、該ダクト及び前記ボックス本体を側部より覆うサイドパネルとより少なくとも構成されてなり、前記サイドパネルには、複数の貫通孔を形成すると共に内面に断熱体を配設してなり、前記ダクトは、前記断熱体をダクトの一方を構成するようにした空気通路を形成してなることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項2記載の乗り物用物入れ装置は、請求項1記載の前記ダクトには、略中央部に前記断熱体に向けて突設してなるリブにより空気通路を分割形成してなることを特徴とする。
【0008】
更に、本発明の請求項3記載の乗り物用物入れ装置は、請求項1又は請求項2記載の前記ダクトは、前記ボックス本体に形成した係合部に係止される爪により保持されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、請求項1記載の発明によれば、小物を収納可能なるボックス本体と、該ボックス本体の側部に配され且つ空調風を通気可能としたダクトと、該ダクト及び前記ボックス本体を側部より覆うサイドパネルとより少なくとも構成されてなり、前記断熱体をダクトの一方を構成するようにした空気通路を形成してなるため、前記サイドパネルによって剛性を維持しつつ、該サイドパネルに形成されてなる複数の貫通孔及びダクトの一方を断熱体で構成することで、軽量化が図れると共に通風する空気が断熱体によって結露が生じない、という実益的効果を奏する。
【0010】
また、本発明は、請求項2記載の発明によれば、前記ダクトには、略中央部に前記断熱体に向けて突設してなるリブにより空気通路を分割形成してなるため、前記ダクトの剛性が著しく向上する、という実益的効果を奏する。
【0011】
更に、本発明は、請求項3記載の発明によれば、ダクトは、前記ボックス本体に形成した係合部に係止される爪により保持されてなるため、前記係合部と爪との係合により、ボックス本体にダクトが確実に保持されてなる、という実益的効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1に係る乗り物用物入れ装置を前側より示す斜視図。
【図2】図1の乗り物用物入れ装置の分解斜視図。
【図3】図1のSA−SA線に沿う乗り物用物入れ装置の断面図。
【図4】図3に示すサイドパネルのダクト側から見た斜視図。
【図5】図3に示すボックス本体からサイドパネルを外した状態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。本発明において、通風する空気によって結露が生ぜず、剛性を維持しつつ軽量化が図れる乗り物用物入れ装置を提供するという目的を、小物を収納可能なるボックス本体と、該ボックス本体の側部に配され且つ空調風を通気可能としたダクトと、該ダクト及び前記ボックス本体を側部より覆うサイドパネルとより少なくとも構成されてなり、前記サイドパネルには、複数の貫通孔を形成すると共に内面に断熱体を配設してなり、前記ダクトは、前記断熱体をダクトの一方を構成するようにした空気通路を形成してなることで、実現した。以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0014】
本発明の実施例1に係る構造を、図1〜図5を用いて説明する。この実施例1の「乗り物用物入れ装置」である自動車用コンソールボックス1は、前後関係では、図示しないインストルメントパネルの後側RRに配され、上下関係では、図示しない床の上側UPに配され、左右関係では、図示しない左側LHの座席と右側RHの座席との間に配されているもので、前記座席に着座する乗員の小物、例えばCD、MDなどの音響機器やティッシュペーパー、チケット、菓子類などの一時保管場所として供されるものである。
【0015】
前記自動車用コンソールボックス1は、前記小物を収納・取り出しが可能なる開口3を有する合成樹脂製のボックス本体Bと、該ボックス本体Bを覆う覆い部材14と、図示しない空調装置の噴き出し口に連通したダクト5、5’とよりなる。前記ボックス本体Bは、右側RHのボックス部2と左側LHのボックス部2’とがそれぞれ左右対称に形成されてなり、該ボックス部2、2’の周囲に形成されてなるフランジ2a、2bを重ねてビス15によりナット16に締結することで、前記右側RHのボックス部2と左側LHのボックス部2’とを収納可能な箱状になる。
【0016】
前記覆い部材14は、前記ボックス部2、2'を上側UPから覆う上面パネル11と、前記ボックス部2、2'を左右側LH、RHから覆う合成樹脂製のサイドパネル6、6’と、前記ボックス部2、2'を後側RRから覆う合成樹脂製の背面パネル8と、前記上面パネル11の開口11dを閉じる位置(図1参照)及び該開口11dを開成する位置(図示省略)とに移動可能なるシャッター10と、前記上面パネル11の開口11dの周囲を覆う合成樹脂製のフィニッシャ12とよりなる。符号9は、前記シャッター10を前記上面パネル11の開口11dを閉じる位置(図1参照)及び該開口11dを開成する位置(図示省略)とに移動方向に案内可能なガイドレールである。
【0017】
図1、図2、図5の右斜め下側矢印FRが、自動車の前側方向、同じく図1、図2、図5の左斜め上側矢印RRが、自動車の後ろ側方向、図1、図2、図5の上側矢印UPが、自動車の上側方向、図1、図2、図5の下側矢印LWRが、自動車の下側方向をそれぞれ指し示している。また、側方とは、即ち、自動車の前側FRを向いて左側矢印LHが、自動車の左側、同じ方向を向いて右側矢印RHが、自動車の右側方向を指し示している。
【0018】
前記ダクト5、5’は、ポリプロピレンなどの汎用樹脂を射出成形により左右対称に形成されてなる。即ち、前記ダクト5、5’は、前記ボックス部2、2’の側板に沿って形成された側板部5A、5A’と、天井板部5B、5B’と、底板部5C、5C’と、前記天井板部5B、5B’及び前記底板部5C、5C’の「リブ」である中間板部5D、5D’とよりなり、係るダクト5、5’の外側に「断熱体」であるシート7が配され且つダクト5、5’の外側を覆うことで、図示しない空調装置から噴出される空調風を導く「空気通路」である導入口5b、5b’が形成されてなる。前記ダクト5、5’の上端部及び下端部に形成されたフランジ5E、5E’と、前記サイドパネル6、6’との間に前記シート7が挟持されてなると共に両者5E、5E’、6、6’が超音波溶着されてなる。
【0019】
前記サイドパネル6、6’は、図1に示すように、周囲を除いて網目のように(この実施例では254個の)貫通孔6aが形成されてなり、前記シート7が前記したように内側から貼り付けられている際、前記貫通孔6aの全てを閉じて、ダクト5、5’内に通気された空調装置よりの空調風が漏れないように配されてなる。
【0020】
前記シャッター10は、合成樹脂により表面10bが平滑状に形成されてなり、裏面(図示省略)側からの切り込み(図示省略)により表面10bに複数の薄肉部(図示省略)が形成されてなるので、前記シャッター10は、巻き込まれながら収納できる。つまり、前記シャッター10は、曲折が可能である。前記シャッター10は、閉じた状態では、自動車の急制動・急加速などで開成しないロック手段が配されている。
【0021】
前記ダクト5、5’には、図5に示すように、前記ボックス本体Bに突出形成した係合部4に係止される爪13が、図4に示すように、形成されてなるため、図3に示すように、前記係合部4と爪13との係合により、ボックス本体Bにダクト5、5’が確実に保持されてなる。
【0022】
次に、この実施例1の作用を説明する。
【0023】
CD(コンパクトディスク)、MD(ミニディスク)などの音響機器やティッシュペーパー、チケット、菓子類などの小物を収納可能なるボックス本体Bと、該ボックス本体Bの側部に配され且つ空調風を通気可能としたダクト5、5’と、該ダクト5、5’及び前記ボックス本体Bを側部より覆うサイドパネル6、6’とより少なくとも構成されてなり、断熱効果を有する前記シート7をダクト5、5’の一方を構成するようにした空気通路5b、5b’を形成してなるため、前記サイドパネル6、6’によって剛性を維持しつつ、該サイドパネル6、6’に形成されてなる複数の貫通孔6aにより、また、ダクト5、5’の一方を軽量なシート7で構成することで、軽量化が図れると共に通風する空気の熱がシート7によって遮断されていることで、前記サイドパネル6、6’に結露が生じない、という実益的効果を奏する。
【0024】
また、前記ダクト5、5’には、略中央部に前記シート7に向けて突設してなるリブ5D、5D’により空気通路5b、5b’を分割形成してなるため、前記ダクト5、5’の剛性が著しく向上する、という実益的効果を奏する。
【0025】
更に、ダクト5、5’は、前記ボックス本体Bに形成した係合部4に係止される爪13により保持されてなるため、前記係合部4と爪13との係合により、ボックス本体Bにダクト5、5’が確実に保持されてなる、という実益的効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、以上の実施例では、乗り物用物入れ装置としての自動車用コンソールボックス1を例にして説明したが、自動車用だけでなく、航空機、船舶、鉄道などあらゆる乗り物の物入れ装置に適用されるものである。
【0027】
本発明は、以上の実施例では、乗り物用物入れ装置としての自動車用コンソールボックス1は、前後関係では、図示しないインストルメントパネルの後ろ側RRに配され、上下関係では、図示しない床の上UPに配され、左右関係では、図示しない座席と座席との間に配されているものとして説明したが、こうしたレイアウトに限定されるものではなく、座席に組み込まれたものでも、天井に組み込まれたものでも、左右何れかの、或いは左右双方の壁に組み込まれたものでも、床に組み込まれたものでも、良い。
【符号の説明】
【0028】
1 自動車用コンソールボックス(乗り物用物入れ装置)
2、2’ ボックス部
4 係合部
5、5’ ダクト
5b、5b’ 導入口(空気通路)
5D、5D’ 中間板部(リブ)
6、6’ サイドパネル
6a 貫通孔
7 シート(断熱体)
13 爪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小物を収納可能なるボックス本体と、該ボックス本体の側部に配され且つ空調風を通気可能としたダクトと、該ダクト及び前記ボックス本体を側部より覆うサイドパネルとより少なくとも構成されてなり、
前記サイドパネルには、複数の貫通孔を形成すると共に内面に断熱体を配設してなり、前記ダクトは、前記断熱体をダクトの一方を構成するようにした空気通路を形成してなることを特徴とする乗り物用物入れ装置。
【請求項2】
請求項1記載の乗り物用物入れ装置であって、
前記ダクトには、略中央部に前記断熱体に向けて突設してなるリブにより空気通路を分割形成してなることを特徴とする乗り物用物入れ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の乗り物用物入れ装置であって、
前記ダクトは、前記ボックス本体に形成した係合部に係止される爪により保持されてなることを特徴とする乗り物用物入れ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−224271(P2012−224271A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95062(P2011−95062)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000229955)日本プラスト株式会社 (740)
【Fターム(参考)】