説明

乗り物用物入れ装置

【課題】簡易な構成として原価が低減できると共に肘が載っても変形しないコンソールリッドを備えた乗り物用物入れ装置を提供する。
【解決手段】開口24を備えたボックス本体25と、開口24を開閉自在となるようにボックス本体25上に配されてなるコンソールリッド1とを備えてなり、コンソールリッド1は、プレート状のアウターリッド1aと、アウターリッド1a下に支持されてなるインナーリッド1bと、開口24を覆うように配され且つ回転自在なるヒンジプレート17と、アウターリッド1a及びヒンジプレート17の間に配されたローラー部材10が、アウターリッド1a突出位置及び非突出閉位置にて係合する操作装置26とより構成されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や鉄道、航空機、船舶などの乗り物用物入れ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の乗り物、特に自動車用物入れ装置としては、ボックス本体の開口を覆うコンソールリッドが、ボックス本体の上に載るリッドベースと、該リッドベースの上に載ると共に操作レバーを操作することで、前記リッドベースに対して前後スライド自在で、適宜位置でスライドが停止されるリッドカバーとより構成されてなる(先行技術文献。)ものが、従来技術として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−067104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、かかる従来技術は、前記コンソールリッドが、前記リッドベースと、前記リッドカバーとがそれぞれ動き得る複雑な構成をしていて、製造原価が高騰するおそれがある、という課題がある。また、乗員の肘をサポートする前記リッドカバーが、クッション材と表皮材とから構成されてなるので、肘の重みで変形するおそれがある、という課題がある。
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明は、簡易な構成として原価が低減できると共に肘が載っても変形しないコンソールリッドを備えた乗り物用物入れ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1記載の乗り物用物入れ装置は、開口を備えたボックス本体と、前記開口を開閉自在となるように前記ボックス本体上に配されてなるコンソールリッドとを少なくとも備えてなる乗り物用物入れ装置であって、前記コンソールリッドは、プレート状のアウターリッドと、前記開口を覆うように配され且つ前記ボックス本体に対して回転自在なるヒンジプレートと、前記アウターリッド及び前記ヒンジプレートの間に配されたローラーが、前記アウターリッド突出位置及び非突出閉位置にて係合する操作装置とより構成されてなることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項2記載の乗り物用物入れ装置は、請求項1記載の前記操作装置は、前記ヒンジプレート上に固着されたローラーベースと、該ローラーベース内に上下スライド自在なるローラーケースと、該ローラーケースにロック回転軸を介して前後いずれかに回転自在に軸支されてなり且つ前記インナリッドに形成されてなる係合孔に係合されてなるローラーと、前記ローラーケースを上方向に付勢してなるロックスプリングと、前記コンソールリッドに配設されてなるスイッチと、該スイッチにより前後いずれかに移動可能なると共に前記コンソールリッドが前記開口を閉じた状態で前記ローラーの上側に係合部が位置するスイッチアームと、該スイッチアームの係合部に上端部が係合されてなり且つ前記ローラーの上側に下端部が接触してなるロックブッシュとより構成されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、請求項1記載の発明によれば、開口を備えたボックス本体と、前記開口を開閉自在となるように前記ボックス本体上に配されてなるコンソールリッドとを少なくとも備えてなる乗り物用物入れ装置であって、前記コンソールリッドは、プレート状のアウターリッドと、前記開口を覆うように配され且つ前記ボックス本体に対して回転自在なるヒンジプレートと、前記アウターリッド及び前記ヒンジプレートの間に配されたローラーが、前記アウターリッド突出位置及び非突出閉位置にて係合する操作装置とより構成されてなるため、前後動を操作可能なる操作装置で行えることにより、簡易な構成として原価が低減できる、という効果を奏する。また、前記コンソールリッドが前記アウターリッドで補強されてなるので、乗員の肘が前記コンソールリッドに載った場合に、前記コンソールリッドが変形しない、という効果を奏する。
【0009】
また、本発明は、請求項2記載の発明によれば、前記操作装置は、前記ヒンジプレート上に固着されたローラーベースと、該ローラーベース内に上下スライド自在なるローラーケースと、該ローラーケースにロック回転軸を介して前後いずれかに回転自在に軸支されてなり且つ前記インナリッドに形成されてなる係合孔に係合されてなるローラーと、前記ローラーケースを上方向に付勢してなるロックスプリングと、前記コンソールリッドに配設されてなるスイッチと、該スイッチにより前後いずれかに移動可能なると共に前記コンソールリッドが前記開口を閉じた状態で前記ローラーの上側に係合部が位置するスイッチアームと、該スイッチアームの係合部に上端部が係合されてなり且つ前記ローラーの上側に下端部が接触してなるロックブッシュとより構成されてなるため、前記スイッチを操作することで、前記スイッチアームの前後移動によりロックプッシュを介してローラーをコンソールリッドから離脱でき、前後何れかに移動させることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1に係るコンソールリッドを備えた乗り物用物入れ装置を斜め前側より示す斜視図。
【図2】図1の矢視Aに係る側面図。
【図3】図2の矢視Bに係る上面図。
【図4】スイッチアームの係合部とロックプッシュの上端部とが係合し、第1係合孔にローラーが係合した状態における図3のSC−SC線に沿った断面図。
【図5】図4のSE−SE線に沿った断面図。
【図6】スイッチアームの係合部からロックプッシュの上端部が離脱した状態における図4相当断面図。
【図7】図6のSF−SF線に沿った断面図。
【図8】スイッチアームの斜め部により第2ロックプッシュが持ち上げられて第2係合孔にローラーが係合した状態における図4相当断面図。
【図9】図4から図8の状態までの途中を示す図4相当断面図。
【図10】図9のSG−SG線に沿った断面図。
【図11】図1乃至図10のコンソールリッドの分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。本発明において、簡易な構成として原価が低減できると共に肘が載っても変形しないコンソールリッドを備えた乗り物用物入れ装置を提供する、という目的を、開口を備えたボックス本体と、前記開口を開閉自在となるように前記ボックス本体上に配されてなるコンソールリッドとを少なくとも備えてなる乗り物用物入れ装置であって、前記コンソールリッドは、プレート状のアウターリッドと、前記開口を覆うように配され且つ前記ボックス本体に対して回転自在なるヒンジプレートと、前記アウターリッド及び前記ヒンジプレートの間に配されたローラーが、前記アウターリッド突出位置及び非突出閉位置にて係合する操作装置とより構成されてなることで、実現した。以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0012】
本発明の実施例1に係る構造を、図1〜図11を用いて説明する。「乗り物用物入れ」である自動車用センターコンソールボックス18は、フロアパネル(図示省略)上に配置されてなり且つ開口24を備えたボックス本体25と、該ボックス本体25の開口24を開閉自在となるように前記ボックス本体25上に配されてなるコンソールリッド1と、前記ボックス本体25の前側FRに配される引き蓋19を備えた物入れ(図示省略)とを備えてなる。尚、符号20は、前記引き蓋19の取っ手であり、該取っ手20をもって前記引き蓋19をスライドさせることで、物入れが開口するように構成されてなる。
【0013】
前記コンソールリッド1は、プレート状のアウターリッド1aと、前記開口24を覆うように配され且つ前記ボックス本体25に対して回転自在なるヒンジプレート17と、該ヒンジプレート17及びアウターリッド1a間に配され且つ前後動を操作可能なる操作装置26とより構成されてなる。符号16は、前記ヒンジプレート17を覆うヒンジカバーである。
【0014】
前記操作装置26は、前記ヒンジプレート17上に固着してなる上部開口筒状のローラーベース28と、該ローラーベース28内に上下UP、LWRスライド自在なる下部開口筒状のローラーケース29と、前記ローラーケース29に軸支されてなるロック回転軸27と、該ロック回転軸27を介して前後FR、RRいずれかに回転自在に軸支されてなり且つインナリッド1bに形成されてなる第1係合孔32及び第2係合孔33に係合可能なる球状のローラー10と、前記ローラーケース29を上方向UPに付勢してなるロックスプリング12と、前記コンソールリッド1の前端部に配設されてなるスイッチ4と、該スイッチ4により前後FR、RRいずれかに移動可能なると共に前記コンソールリッド1が前記開口24を閉じた状態で前記ローラー10の上側、望ましくは真上に逆へこみ状に形成されてなる係合部5aが位置するスイッチアーム5と、該スイッチアーム5の係合部5aに上端部6aが係合されてなり且つ前記ローラー10の上側、望ましくは真上に下端部6bが接触してなるロックブッシュ6とより構成されてなる。
【0015】
前記コンソールリッド1は、合成樹脂製のアウターリッド1aと、該アウターリッド1aの下側に配される合成樹脂製のインナーリッド1bとよりシェル状に形成されてなる。符号34は、前記アウターリッド1aの表側を覆うパッドである。該パッド34は、ポリウレタンフォームなどの緩衝材と、該緩衝材の表面を覆うポリ塩化ビニルなどの表皮材とより構成されてなる。
【0016】
前記コンソールリッド1の前側FRには、貫通孔1cが形成され、該貫通孔1c内に、スイッチカバー2が配され、該スイッチカバー2によって囲繞されてなると共に前後方向に進退自在なるスイッチ4が配されている。符号3は、スイッチブラケットである。前記スイッチ4の最奥端部には、前記スイッチアーム5が当接されてなる。該スイッチアーム5は、前記アウターリッド1aの下面に沿って配されてなる。該スイッチアーム5の下側LWRには、合成樹脂製の前記インナーリッド1bが配されてなる。符号1bbは、該インナーリッド1bの下面に形成されてなる平滑上のガイド面である。
【0017】
前記スイッチアーム5の前後途中には、下面がせり上がっている係合部5aが形成されてなり、前記スイッチアーム5の後端部には、下斜めに切り欠いたような斜め部5bが形成されてなる。図4の符号6及び符号30は、横T字状をなすロックプッシュ及び第2ロックプッシュであり、上端部6a及び30aは、前記係合部5a及び前記斜め部5bに係合可能な矢印状に形成されてなり、下端部6b及び30bは、L字状に形成されてなる。前記上端部6a及び30aと前記下端部6b及び30bとの間から水平方向に延在されてなるアーム6c及び30cは、前記インナーリッド1bとの間に介在されてなるコイル状スプリング7及び8により、常時上側UPに付勢されてなる。
【0018】
図11に示す符号14は、コンソールリッド1の前後動を案内するアッパスライド部材であり、同じく符号15は、該アッパスライド部材14をスライド自在なるように支持してなるロアスライド部材である。図4以下の符号21は、前記ボックス本体25の物入れ部である。同じく図4以下の符号22は、前記ボックス本体25を左右面及び後面から覆う化粧部材である。同じく図4以下の符号23は、前記物入れ部21と隔壁21aを介して隔てられてなる小物入れである。
【0019】
次に、この実施例1の作用を説明する。
【0020】
図4に示す状態は、前記コンソールリッド1が中立の位置にある。即ち、前記ロックプッシュ6の上端部6aが、スプリング8による付勢力によって、前記スイッチアーム5の係合部5a内に係合されていると共に前記ローラー10が、ロックスプリング12による付勢力によって、前記インナーリッド1bの第1係合孔32に係合されていることで、前後FR、RRいずれにも動かない状態に保持されている。この状態の前記コンソールリッド1は、図示しないロックでボックス本体25に係合されているが、該ロックを外すことで、ヒンジプレート17により上方向に回転させることができる。
【0021】
図4に示す状態で、スイッチ4を図6に示すように押し込むと、スイッチアーム5が後ろ側RRに移動し、前記ロックプッシュ6の上端部6aが、前記スイッチアーム5の係合部5aから外れて下方に移動する。前記ロックプッシュ6の下端部6bによって、前記ローラー10がロックスプリング12の付勢力に抗して、前記インナーリッド1bの第1係合孔32から離脱させる。こうして、前後ロックが解除される。その状態で、図9に示すように、例えば前側FRに前記コンソールリッド1を押すと、ガイド面1bbを前記ローラー10がスムーズに移動する。この時、前記ロックプッシュ6は、スプリング8によって、常に持ち上げられる方向に付勢されてなるので、上端部6aが係合部5aと合致する位置で、再び係合する。前記第2ロックプッシュ30は、スプリング7によって、持ち上げられ、上端部30aが斜め部5bに係合する。そして、図8に示すように、前記ローラー10が前記インナーリッド1bの第2係合孔33に係合することで、図8に示す前側に動いた位置で停止される。
【0022】
従って、本実施例1によれば、前記コンソールリッド1は、プレート状のアウターリッド1aと、前記開口24を覆うように配され且つ前記ボックス本体25に対して回転自在なるヒンジプレート17と、該ヒンジプレート17間に配され且つ前後動を操作可能なる操作装置26とより構成されてなるため、前後動を操作可能なる操作装置26で行えることにより、簡易な構成として原価が低減できる、という効果を奏する。また、コンソールリッド1がアウターリッド1aで補強されてなるので、乗員の肘がコンソールリッド1に載った場合に、コンソールリッド1が変形しない、という効果を奏する。
【0023】
また、前記操作装置26は、前記ヒンジプレート17上を前後FR、RRいずれかにスライド可能なるローラーベース28と、該ローラーベース28内に上下UP、LWRスライド自在なるローラーケース29と、該ローラーケース29にロック回転軸27を介して前後FR、RRいずれかに回転自在に軸支されてなり且つ前記インナリッド1bに形成されてなる第1係合孔32或いは第2係合孔33に係合されてなるローラー10と、前記ローラーケース29を上方向UPに付勢してなるロックスプリング12と、前記コンソールリッド1に配設されてなるスイッチ4と、該スイッチ4により前後FR、RRいずれかに移動可能なると共に前記コンソールリッド1が前記開口24を閉じた状態で前記ローラー10の上側、望ましくは真上に係合部5aが位置するスイッチアーム5と、該スイッチアーム5の係合部5aに上端部6aが係合されてなり且つ前記ローラー10の上側、望ましくは真上に下端部6bが接触してなるロックブッシュ6とより構成されてなるため、前記スイッチ4を操作することで、前記スイッチアーム5の前後移動によりロックプッシュ6を介してローラー10をコンソールリッド1から離脱でき、前後何れかに移動させることができる、という効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、以上の実施例では、自動車用センターコンソールボックス18を例にして説明したが、自動車用だけでなく、航空機、船舶、鉄道などあらゆる乗り物の物入れ装置に適用されるものである。
【0025】
本発明は、以上の実施例では、自動車用センターコンソールボックス18は、前後関係では、図示しないインストルメントパネルの後ろ側RRに配され、上下関係では、フロアパネルの上に配され、左右関係では、図示しない座席と座席との間に配されているものとして説明したが、こうしたレイアウトに限定されるものではなく、座席そのものに組み込まれたものでも、天井に組み込まれたものでも、左右何れかの、或いは左右双方の壁に組み込まれたものでも、床に組み込まれたものでも、良い。
【0026】
本発明は、以上の実施例では、ボックス本体25の上面は、ほぼ水平な状態の面のものとして説明したが、こうした状態だけに限定されるものではなく、ほぼ垂直な状態までの間のあらゆる角度でも使用可能である。
【符号の説明】
【0027】
1 コンソールリッド
1a アウターリッド
1b インナーリッド
4 スイッチ
5 スイッチアーム
5a 係合部
5b 斜め部
6 ロックプッシュ
6a ロックプッシュの上端部
6b ロックプッシュの下端部
10 ローラー
12 ロックスプリング
17 ヒンジプレート
18 「乗り物用物入れ装置」である自動車用センターコンソールボックス
24 ボックス本体の開口
25 ボックス本体
26 操作装置
27 ロック回転軸
28 ローラーベース
29 ローラーケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を備えたボックス本体と、前記開口を開閉自在となるように前記ボックス本体上に配されてなるコンソールリッドとを少なくとも備えてなる乗り物用物入れ装置であって、
前記コンソールリッドは、プレート状のアウターリッドと、前記開口を覆うように配され且つ前記ボックス本体に対して回転自在なるヒンジプレートと、前記アウターリッド及び前記ヒンジプレートの間に配されたローラーが、前記アウターリッド突出位置及び非突出閉位置にて係合する操作装置とより構成されてなることを特徴とする乗り物用物入れ装置。
【請求項2】
請求項1記載の乗り物用物入れ装置であって、
前記操作装置は、前記ヒンジプレート上に固着されたローラーベースと、該ローラーベース内に上下スライド自在なるローラーケースと、該ローラーケースにロック回転軸を介して前後いずれかに回転自在に軸支されてなり且つ前記インナリッドに形成されてなる係合孔に係合されてなるローラーと、前記ローラーケースを上方向に付勢してなるロックスプリングと、前記コンソールリッドに配設されてなるスイッチと、該スイッチにより前後いずれかに移動可能なると共に前記コンソールリッドが前記開口を閉じた状態で前記ローラーの上側に係合部が位置するスイッチアームと、該スイッチアームの係合部に上端部が係合されてなり且つ前記ローラーの上側に下端部が接触してなるロックブッシュとより構成されてなることを特徴とする乗り物用物入れ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−45973(P2012−45973A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187028(P2010−187028)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(000229955)日本プラスト株式会社 (740)
【Fターム(参考)】