説明

乗客コンベアのベルトテンション監視装置

【課題】安価な構成でベルト伝達体のベルトテンションを精度よく判定できる乗客コンベアのベルトテンション監視装置の提供。
【解決手段】上記課題は、駆動用モータの駆動を制御するためのトルク指令によって出力される駆動用モータの駆動情報をモニターするモニター手段9と、減速機の回転を制動する制動手段10と、減速機の回転状態を検出する回転検出手段11と、制動手段の動作を制御しかつ回転検出手段及びモニター手段の情報を監視してトルク指令手段を制御する駆動装置制御手段12と、制動手段によりベルト伝達体が回転しないように保持した状態で駆動用モータを駆動するようにトルク指令手段に命令を発することでモニター手段の出力周波数が一定であればベルトスリップ無しかつモニター手段の出力周波数が変化すればベルトスリップ有りと判定するベルトテンション監視手段13とからなる構成で、達成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗客コンベアのベルトテンション監視装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ベルトテンション監視装置としては、ベルト伝達体駆動部とベルト伝達体従動部の、それぞれの回転軸に速度検出器を設け、その回転軸を拘束手段によって保持した状態で、ベルト伝達体駆動部のモータへトルクを与えて、この時にベルト伝達体駆動部側に設けた速度検出器が回転を検出したならば、ベルト伝達体が摩耗劣化によってスリップしていると判定するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−169854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した乗客コンベアのベルトテンション監視装置では、ベルト伝達体駆動部とベルト伝達体従動部の、それぞれの回転軸に速度検出器を設ける必要があるとともに、ベルト伝達体駆動部の回転軸の回転を拘束する拘束手段を設ける必要があるために、高価な装置となってしまうという問題があった。しかも、上述した従来の乗客コンベアのベルトテンション監視装置では、拘束手段の不良で、ベルト伝達体駆動部側に設けた速度検出器が回転を検出してしまう場合があり、拘束手段の不良なのか、ベルト伝達体の摩耗劣化なのかの判定ができず、拘束手段の不良をベルト伝達体の摩耗劣化と誤って判定してしまうという問題があった。
【0004】
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、安価な構成でベルト伝達体のベルトテンションを精度よく判定することができる乗客コンベアのベルトテンション監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、乗客コンベアの機械室内に設けられた駆動用モータの回転を減速機に伝達するベルト伝達体のテンションを監視する乗客コンベアのベルトテンション監視装置において、前記駆動用モータの駆動を制御するためのトルク指令を発するトルク指令手段と、このトルク指令手段のトルク指令によって出力される前記駆動用モータの駆動情報をモニターするモニター手段と、前記減速機の回転軸に固定されて前記減速機の回転を制動する制動手段と、前記減速機の回転状態を検出する回転検出手段と、前記制動手段の動作を制御するとともに、前記回転検出手段及び前記モニター手段の情報を監視して前記トルク指令手段を制御する駆動装置制御手段と、前記制動手段によって前記ベルト伝達体が回転しないように保持した状態で前記駆動用モータを駆動するように前記トルク指令手段に前記駆動装置制御手段から命令を発することにより前記モニター手段の出力周波数が一定であればベルトスリップ無し、かつ、前記モニター手段の出力周波数が変化すればベルトスリップ有りと判定して前記ベルト伝達体のベルトテンション状態を監視するベルトテンション監視手段とを、少なくとも備えてなる構成したことを特徴としている。
【0006】
さらに、本発明は、前記ベルト伝達体のベルトテンション状態を定期的に監視してその監視結果とその時点のベルト累積走行時間を記憶する監視結果記憶手段と、前記ベルト伝達体のベルトテンション状態の経年変化値から前記ベルト伝達体の張り直し若しくは交換作業が必要な時期を予測する作業時期予測手段と、この作業時期予測手段の結果と次回作業計画情報を基にベルトテンションが管理値を外れる前に前記ベルト伝達体のベルトテンションの張り直し作業日程を前もって計画する作業日程計画手段とを設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ベルト伝達体のベルトテンションを、保全作業者の実機によるテンション測定及び保全作業者の目視による確認をすることなく、駆動用モータ及び制動手段を制御することで、ベルト伝達体のベルトテンション状態を診断できるため、保全作業時間の低減化及び保全作業者の判定能力依存度の低減化が図られて保全性及び信頼性が向上するとともに、ベルト伝達体駆動部の回転軸に設けた速度検出器及びベルト伝達体駆動部の回転軸の回転を拘束する拘束手段を設ける必要がないので、低廉化を図ることのできる乗客コンベアのベルトテンション監視装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係る乗客コンベアのベルトテンション監視装置の一実施形態を、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る乗客コンベアの駆動用モータ周りの要部正面図である。図2は、本発明の一実施形態に係り、乗客コンベアのベルトテンション監視装置の機能ブロック図である。図3は、本発明の一実施形態に係り、乗客コンベアのベルトテンション監視装置による監視作業手順を示すフローチャートである。図4は、本発明の一実施形態に係り、乗客コンベアのベルトテンション監視装置による駆動用モータが回転しない際のトルク指令出力周波数特性図である。図5は、本発明の一実施形態に係り、乗客コンベアのベルトテンション監視装置による駆動用モータが回転した際のトルク指令出力周波数特性図である。図6は、本発明の他実施形態に係り、乗客コンベアのベルトテンション監視装置の機能ブロック図である。図7は、本発明の他実施形態に係り、乗客コンベアのベルトテンション監視装置による監視作業手順を示すフローチャートである。
【0009】
図1に示す本発明の一実施形態に係る乗客コンベア1は、エスカレーターからなっており、そのエスカレーターの駆動部は、駆動用モータ2、減速機3、ベルト伝達体4、スプロケット5、チェーン6を備えている。駆動用モータ2の回転は、ベルト伝達体4によって減速機3に伝達される。駆動用モータ2は、誘導電動機からなり、インバータを用いて速度制御(インバータ制御)される。減速機3の出力は、チェーン6によってスプロケット5に伝達される。スプロケット5の軸には、無端状に連結された複数個の踏み段(図示せず)を回転駆動させる踏み段チェーンが巻装されている。
【0010】
乗客コンベア1の機械室内に設けられた駆動用モータ2の回転を減速機3に伝達するベルト伝達体4のテンションを監視するベルトテンション監視装置7は、図2に示すように、駆動用モータ2の駆動を制御するためのトルク指令を発するトルク指令手段8と、このトルク指令手段8のトルク指令によって出力される駆動用モータ2の駆動情報をモニターするモニター手段9と、減速機3の回転軸に固定されて減速機3の回転を制動する制動手段10と、減速機3の回転状態を検出する回転検出手段11と、制動手段10の動作を制御するとともに、回転検出手段11及びモニター手段9の情報を監視してトルク指令手段8を制御する駆動装置制御手段12と、制動手段10によってベルト伝達体4が回転しないように保持した状態で駆動用モータ2を駆動するようにトルク指令手段8に駆動装置制御手段12から命令を発することによりモニター手段9の出力周波数が一定であればベルトスリップ無し、かつ、モニター手段9の出力周波数が変化すればベルトスリップ有りと判定してベルト伝達体4のベルトテンション状態を監視するベルトテンション監視手段13とを、少なくとも備えている。
【0011】
モニター手段9は、トルク指令手段8によって駆動した駆動用モータ2の出力情報から駆動用モータ2が指令通りに駆動しているかなどの駆動状態をモニターする機能を有している。回転検出手段11は、減速機3の回転数を検出する機能を有している。駆動装置制御手段12は、乗客コンベア1の加速及び減速時の加減速度を調整するために、駆動用モータ2へ与えるトルクの設定などの、乗客コンベア1全体の駆動を制御する機能を有している。
【0012】
次に、上記一実施形態に係るベルトテンション監視装置7よる監視作業手順を、図3〜図5に基づき、説明する。
【0013】
まず、乗客コンベア(エスカレーター)1が設置されている店舗などが閉店した後に、その乗客コンベア1が正常に休止している状態か否かを、図3のステップS1に示すように、判定する。そして、乗客コンベア1が正常に休止している場合には、図3のステップS2に進み、駆動装置制御手段12によって駆動用モータ2へ駆動命令が与えられても制動手段10が制動したままの状態で保持されるように制御命令を発する。これにより、制動手段10によって減速機3の回転を制動状態で保持される。
【0014】
次いで、図3のステップS3に進み、駆動用モータ2へトルク指令手段8によってトルク指令を発する。この時のトルク値は、ベルト伝達体4の許容伝達容量によって設定する必要があるが、概ねモータ定格トルクの50%〜400%とする。
【0015】
次いで、駆動用モータ2の出力情報から得られるところのトルク指令出力周波数をモニター手段9で計測して、トルク指令出力周波数が一定か(変化しないか)否かを、図3のステップS4に示すように、ベルトテンション監視手段13で判定する。そして、トルク指令出力周波数の値が、図4のトルク指令出力周波数特性図(インバータ出力周波数特性図)に示すように、略一定に推移している場合には、図3のステップS5に進み、駆動用モータ2が回転していないので、ベルト伝達体4がスリップせず、ベルト伝達体4のベルトテンション状態が正常であると、ベルトテンション監視手段13で判定されて、監視作業が終了する。
【0016】
図3のステップS4において、トルク指令出力周波数の値が、図5のトルク指令出力周波数特性図(インバータ出力周波数特性図)に示すように、時間(t)とともに増加していると判定された場合には、駆動用モータ2が回転しているので、図3のステップS6に進み、回転検出手段11によって検出される回転数がゼロ(零)か否かを判定する。
【0017】
図3のステップS6において、回転検出手段11が検出した回転数がゼロと判定された場合には、ベルト伝達体4が摩耗してスリップしているので、図3のステップS7に進み、ベルト伝達体4の張り直し若しくは交換の作業が必要であると、ベルトテンション監視手段13で判定されて、監視作業が終了する。
【0018】
図3のステップS6において、回転検出手段11によって検出される回転数がゼロ(零)でないと判定された場合には、制動手段10が滑ってしまっているので、図3のステップS8に進み、制動手段10の制動力が異常であると、ベルトテンション監視手段13で判定されて、監視作業が終了する。
【0019】
上記一実施形態のベルトテンション監視装置7によれば、ベルト伝達体4の
ベルトテンション状態及び摩耗状態並びに制動手段10の制動力の異常状態が機械的に診断することができ、保全作業者の経験及び習慣に依存することなく、ベルトテンション監視作業を実施することが可能となり、保全作業者の労力の軽減化及び監視作業の信頼性向上を図り得る。
【0020】
次に、上記他実施形態に係るベルトテンション監視装置70を、図6に基づき、説明する。図6において、図2と同一符号は同一内容を表している。
【0021】
図6に示す上記他実施形態に係るベルトテンション監視装置70と図2に示す上記一実施形態に係るベルトテンション監視装置7とは、前者が監視結果記憶手段71と作業時期予測手段72と作業日程計画手段73を設けているのに対して、後者が監視結果記憶手段71と作業時期予測手段72と作業日程計画手段73を設けていない点で相違している。
【0022】
図6に示す監視結果記憶手段71は、駆動装置制御手段12とベルトテンション監視手段13によってベルト伝達体4のベルトテンション状態を定期的に監視してその監視結果とその時点のベルト累積走行時間を記憶するものである。作業時期予測手段72は、監視結果記憶手段71からの情報(監視結果とベルト累積走行時間)とベルト伝達体4のベルトテンション状態の経年変化値からベルト伝達体4の張り直し若しくは交換作業が必要な時期を予測するものである。作業日程計画手段73は、作業時期予測手段72の結果と次回作業計画情報を基にベルトテンションが管理値を外れる前(ベルト伝達体4の使用限界に至る前)にベルト伝達体4のベルトテンションの張り直し作業日程(点検作業日程)を前もって計画するものである。
【0023】
次に、上記他実施形態に係るベルトテンション監視装置70よる監視作業手順を、図7に基づき、説明する。
【0024】
まず、乗客コンベア1が設置されている店舗などが閉店した後に、その乗客コンベア1が正常に休止している状態か否かを、図7のステップS11に示すように、判定する。そして、乗客コンベア1が正常に休止している場合には、図7のステップS12に進み、駆動装置制御手段12によって駆動用モータ2へ駆動命令が与えられても制動手段10が制動したままの状態で保持されるように制御命令を発する。これにより、制動手段10によって減速機3の回転を制動状態で保持される。
【0025】
次いで、図7のステップS13に進み、駆動用モータ2へトルク指令手段8によってトルクA%を加えるトルク指令を発する。この時のトルクA%は、ベルト伝達体4の許容伝達容量によって設定する必要があるが、上限側の概ねモータ定格トルクの200%〜400%とする。
【0026】
次いで、図7のステップS14に進み、駆動用モータ2の出力情報から得られるところのトルク指令出力周波数をモニター手段9で計測して、トルク指令出力周波数が一定か(変化しないか)否かを、ベルトテンション監視手段13で判定する。そして、トルク指令出力周波数の値が、図4のトルク指令出力周波数特性図に示すように、略一定に推移している場合には、図7のステップS15に進み、駆動用モータ2が回転していないので、ベルト伝達体4がスリップせず、ベルト伝達体4のベルトテンション状態が正常であると、ベルトテンション監視手段13で判定されて、図7のステップS16に進み、監視結果記憶手段71に、ベルト伝達体4のベルトテンション状態の判定結果(監視結果)とその時点におけるベルト伝達体4のベルト累積走行時間T1を記憶させて監視作業が終了する。
【0027】
また、図7のステップS14において、トルク指令出力周波数の値が、図5のトルク指令出力周波数特性図に示すように、時間(t)とともに増加していると判定された場合には、駆動用モータ2が回転しているので、図7のステップS17に進み、回転検出手段11によって検出される回転数がゼロ(零)か否かを判定する。
【0028】
図7のステップS17において、回転検出手段11が検出した回転数がゼロと判定された場合には、ベルト伝達体4が摩耗してスリップしているので、図7のステップS19に進み、駆動用モータ2へトルク指令手段8によってトルクB%を加えるトルク指令を発する。この時のトルクB%は、ベルト伝達体4の許容伝達容量によって設定する必要があるが、下限側の概ねモータ定格トルクの50%〜200%とする。
【0029】
次いで、図7のステップS20に進み、駆動用モータ2の出力情報から得られるところのトルク指令出力周波数をモニター手段9で計測して、トルク指令出力周波数が一定か(変化しないか)否かを、ベルトテンション監視手段13で判定する。そして、トルク指令出力周波数の値が、図4のトルク指令出力周波数特性図に示すように、略一定に推移している場合には、図7のステップS21に進み、駆動用モータ2が回転していないので、ベルト伝達体4がスリップせず、ベルト伝達体4のベルトテンション状態が管理範囲の中間レベルであると、ベルトテンション監視手段13で判定されて監視作業が終了する。
【0030】
また、図7のステップS20において、トルク指令出力周波数の値が、図5のトルク指令出力周波数特性図に示すように、時間(t)とともに増加していると判定された場合には、駆動用モータ2が回転しているので、図7のステップS22に示すように、ベルト伝達体4のベルトテンション状態が低下傾向にあると判定されて、図7のステップS23に進み、その判定結果(監視結果)とその時点におけるベルト伝達体4のベルト累積走行時間T2が、監視結果記憶手段71に記憶される。
【0031】
次いで、図7のステップS23で記憶したベルト累積走行時間T2、図7のステップS16で記憶したベルト累積走行時間T1、図7のステップS13で駆動用モータ2へ加えたトルクA%及び図7のステップS19で駆動用モータ2へ加えたトルクB%を基に、図7のステップS24に示すように、予め求めた実験式で、ベルト伝達体4の張り直し若しくは交換の作業が必要となる時間、すなわち、点検が必要となるまでの時間(使用限界までの時間)を、作業時期予測手段72で算出する。
【0032】
次いで、作業時期予測手段72で算出された点検が必要となるまでの時間(使用限界までの時間)及び次回作業計画情報を基に、ベルト伝達体4のベルトテンションの点検作業日程を、図7のステップS25に示すように、作業日程計画手段73で計画されて監視作業が終了する。
【0033】
また、図7のステップS17において、回転検出手段11によって検出される回転数がゼロ(零)でないと判定された場合には、制動手段10が滑ってしまっているので、図7のステップS18に進み、制動手段10の制動力が異常であると、ベルトテンション監視手段13で判定されて、監視作業が終了する。
【0034】
以上のように、上記他実施形態に係るベルトテンション監視装置70によれば、ベルト伝達体4のベルトテンション状態を定期的に監視して経年変化から使用限界に至るまでの時間を予測することで、使用限界に至る前に、点検日程を計画して保全作業者への指示を伝えることが可能となるので、予防保全を行うことができる。
【0035】
さらに、上記各実施形態に係るベルトテンション監視装置7、70によれば、制動手段10の制動を保持した状態で、駆動用モータ2にトルクを与えた時の、トルク指令出力周波数(インバータ出力周波数)の変化からベルト伝達体4のベルトテンション状態を、機械的に監視することができ、従来のように、ベルト伝達体駆動部の回転軸に速度検出器を設けたり、ベルト伝達体駆動部の回転軸の回転を拘束する拘束手段を設けたりする必要性がないので、コストの低減化及びベルトテンション監視の作業精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係る乗客コンベアの駆動用モータ周りの要部正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係り、乗客コンベアのベルトテンション監視装置の機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係り、乗客コンベアのベルトテンション監視装置による監視作業手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係り、乗客コンベアのベルトテンション監視装置による駆動用モータが回転しない際のトルク指令出力周波数特性図である。
【図5】本発明の一実施形態に係り、乗客コンベアのベルトテンション監視装置による駆動用モータが回転した際のトルク指令出力周波数特性図である。
【図6】本発明の他実施形態に係り、乗客コンベアのベルトテンション監視装置の機能ブロック図である。
【図7】本発明の他実施形態に係り、乗客コンベアのベルトテンション監視装置による監視作業手順を示すフローチャートである。
【0037】
1 乗客コンベア
2 駆動用モータ
3 減速機
4 ベルト伝達体
5 スプロケット
6 チェーン
7 ベルトテンション監視装置(一実施形態)
8 トルク指令手段
9 モニター手段
10 制動手段
11 回転検出手段
12 駆動装置制御手段
13 ベルトテンション監視手段
70 ベルトテンション監視装置(他実施形態)
71 監視結果記憶手段
72 作業時期予測手段
73 作業日程計画手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客コンベアの機械室内に設けられた駆動用モータの回転を減速機に伝達するベルト伝達体のテンションを監視する乗客コンベアのベルトテンション監視装置において、前記駆動用モータの駆動を制御するためのトルク指令を発するトルク指令手段と、このトルク指令手段のトルク指令によって出力される前記駆動用モータの駆動情報をモニターするモニター手段と、前記減速機の回転軸に固定されて前記減速機の回転を制動する制動手段と、前記減速機の回転状態を検出する回転検出手段と、前記制動手段の動作を制御するとともに、前記回転検出手段及び前記モニター手段の情報を監視して前記トルク指令手段を制御する駆動装置制御手段と、前記制動手段によって前記ベルト伝達体が回転しないように保持した状態で前記駆動用モータを駆動するように前記トルク指令手段に前記駆動装置制御手段から命令を発することにより前記モニター手段の出力周波数が一定であればベルトスリップ無し、かつ、前記モニター手段の出力周波数が変化すればベルトスリップ有りと判定して前記ベルト伝達体のベルトテンション状態を監視するベルトテンション監視手段とを、少なくとも備えてなることを特徴とする乗客コンベアのベルトテンション監視装置。
【請求項2】
前記ベルト伝達体のベルトテンション状態を定期的に監視してその監視結果とその時点のベルト累積走行時間を記憶する監視結果記憶手段と、前記ベルト伝達体のベルトテンション状態の経年変化値から前記ベルト伝達体の張り直し若しくは交換作業が必要な時期を予測する作業時期予測手段と、この作業時期予測手段の結果と次回作業計画情報を基にベルトテンションが管理値を外れる前に前記ベルト伝達体のベルトテンションの張り直し作業日程を前もって計画する作業日程計画手段とを設けたことを特徴とする請求項1記載の乗客コンベアのベルトテンション監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−169020(P2008−169020A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−5746(P2007−5746)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)
【Fターム(参考)】