説明

乗客コンベアの消火装置

【課題】既設の乗客コンベアにも簡易に対応可能で、簡易な構造とした乗客コンベアの消火装置を提供する。
【解決手段】本発明によれば、前記ステップ3に前記消火装置1を備えることで、ステップ1枚の交換で全機種対応可能となる。
また、消火剤放出後は前記ステップ3から消火剤を注入することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレーターやオートライン等を含む乗客コンベアの消火装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術として、乗客コンベアのステップ下方に位置するトラス内の火災、発煙を感知する感知装置を備えた乗客コンベアの消火装置において、前記感知装置が動作した時、前記トラス内に不活性ガスを噴射する不活性噴射装置を設けたものがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平6−47279号公報(段落009、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、乗客コンベアのステップ下方は、連設されたステップや両側のハンドレール等の駆動装置や、ステップを周動させるための案内レールなどの機構を高密度に内蔵しているが、上記従来技術は、圧力配管を取付けなければならないため、構造が更に複雑化してコストアップの一因となるばかりか、既設の乗客コンベアヘの適用は困難であるという不都合があった。
【0004】
さらに不活性ガス再圧入時にはステップを取外す作業を行わなければならないと考えられ、作業者にとって煩雑な作業を必要とするという不都合もあった。
【0005】
本発明は、上記不具合を鑑みて為されたもので、その目的は、既設の乗客コンベアにも簡易に対応可能で、簡易な構造とした乗客コンベアの消火装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するために、乗客を上下部乗降口間で運搬するよう複数無端状に連結されて走行するステップを有する乗客コンベアの消火装置において、
前記ステップの少なくとも一つに設けられ、熱もしくは煙を検出する燃焼検出センサーと、前記ステップの走行位置を検出する位置センサーと、ステップより下方に向けて消火剤の放出を行う消火手段と、前記燃焼センサーの燃焼検出信号と前記位置センサーのステップ位置信号とを受信し前記燃焼検出信号を検出したステップ位置にステップが走行した時点で前記消火手段に放出指令を出し消火を行なう制御装置とを備えて構成したことを特徴とする。
【0007】
また、前記消火装置において、前記ステップの乗客踏面となるクリート部に注入口を設け、前記消火手段に消化剤を注入可能としたことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、前記ステップに前記消火装置を備えることで、ステップ1枚の交換で全機種対応可能となる。
【0009】
また、消火剤放出後は、前記注入口から消火剤を容易に注入することが可能となる。
【0010】
上記方法で前記問題点を解決することが出来る。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、このように、大多数の現場に対応出来、消火装置取付け作業時間及び消化剤注入時間低減が可能となり安全性に優れた乗客コンベアの消火装置を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明である乗客コンベア消火装置の一実施の形態について図1〜2を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、本発明の主要機種であるエスカレーターの概略図、図2は本発明である乗客コンベアの消火装置概略図である。なお、各図中、同一符号は同一部位を示す。
【0014】
図1〜2において、1は乗客コンベア消火装置を示し、1aは燃焼検出センサー、1bは位置センサー、1cは制御装置、1dはバルブ、1eは放水口、1fは注水口、1gはクリート、2はエスカレーター、3はステップを示す。
【0015】
また本発明の消火手段とは、バルブ1d、放水口1e、注水口1f、消火剤を蓄えるタンク1hとを備える構成である。
【0016】
本発明の主要機器である乗客コンベア消火装置1の構成について説明する。
【0017】
この乗客コンベアの消火装置1は、図示しない乗客を上下部乗降口4,5問で運搬するよう複数無端状に連結されて走行するステップ3を有する乗客コンベア消火装置1において、前記ステップ3の少なくとも一つに設けられ、熱もしくは煙を検出する燃焼検出センサー1aと、前記ステップ3の走行位置を検出する位置センサー1bと、ステップ3より下方に向けて消火剤の放出を行う消火手段と、前記燃焼センサー1aの燃焼検出信号と前記位置センサー1bのステップ3位置信号とを受信し前記燃焼検出信号を検出したステップ3位置にステップ3が走行した時点で前記消火手段に放出指令を出し消火を行なう制御装置1cとを備えて構成されている。
【0018】
次に本発明による乗客コンベア消火装置1の消火動作について説明する。
【0019】
まず走行中のステップ3に設けられた燃焼検出センサー1aで熱もしくは煙を検出すると、その検出信号が制御装置1cに送信され、制御装置1cはその検出位置信号を位置センサー1bから受信する。
【0020】
次に制御装置1cは、ステップ3が前記検出位置まで周回走行したことを位置センサー1bの検出信号を受信することで認識すると、前記消火手段に放出指令を出し、消火手段であるバルブ1dを開かせる。
【0021】
これにより、水などの消火剤を蓄えるタンク1bから放水口1eを介してステップ3下方の燃焼部位に消火剤が放出され、消火作業を行うことができる。
【0022】
また、前記乗客コンベアの消火装置1において、前記ステップ3の乗客踏面となるクリート部1gに注入口1fを設けたことから、前記タンク1hへの消火剤注入を容易に行うことを可能とした。
【0023】
さらに本発明によれば、前記ステップ3に前記消火装置1を備える簡易な構成としたことから、ステップ1枚を交換すれば良く、既設も含めた全機種に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の主要機種であるエスカレーターの概略図である。
【図2】本発明である乗客コンベアの消火装置の概略図である。
【符号の説明】
【0025】
1 乗客コンベア消火装置
1a 燃焼検出センサー
1b 位置センサー
1c 制御装置
1d バルブ
1e 放水口
1f 注水口
1g クリート
2 エスカレーター
3 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客を上下部乗降口間で運搬するよう複数無端状に連結されて走行するステップを有する乗客コンベアの消火装置において、
前記ステップの少なくとも一つに設けられ、熱もしくは煙を検出する燃焼検出センサーと、前記ステップの走行位置を検出する位置センサーと、ステップより下方に向けて消火剤の放出を行う消火手段と、前記燃焼センサーの燃焼検出信号と前記位置センサーのステップ位置信号とを受信し前記燃焼検出信号を検出したステップ位置にステップが走行した時点で前記消火手段に放出指令を出し消火を行なう制御装置とを備えて構成したことを特徴とする乗客コンベアの消火装置。
【請求項2】
請求項1に記載の乗客コンベアの消火装置において、前記ステップの乗客踏面となるクリート部に注入口を設け、前記消火手段に消化剤を注入可能としたことを特徴とする乗客コンベアの消火装置。

【図1】
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【図2】
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