説明

乗客コンベアの異常診断システム

【課題】乗客コンベアが設置された現場に赴いた保守員が、乗客コンベアが正常状態となったことを表すデータを入手可能な乗客コンベアの異常診断システム。
【解決手段】点検踏段に移動式のデータ収集手段10cを設け、乗客コンベア上で生じている事象を検出する。現場側制御装置20は、データ収集手段10cの収集事象を送信可能な収集データとして保管し、この保管された収集データを、通信回線40を介して送信する。遠隔監視装置30は、現場側制御装置20から送信されてきた収集データを受信し、正常時の収集データと比較して異常有無を判定する異常判定部35を有する。通信回線切替部60は現場側に設けられ、現場側制御装置20から送信される収集データを、携帯監視装置70に入力。携帯監視装置70は、正常時の収集データと通信回線切替部60から入力される収集データとを比較して異常有無を判定する異常判定部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エスカレータや動く歩道などの乗客コンベアに適用されて異常の有無を診断する乗客コンベアの異常診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エスカレータや動く歩道などの乗客コンベアは、多数の踏段(ステップ)をチェーンにより無端状に連結した踏段帯を、トラス内部に配設されたガイドレールに沿ってモータ駆動により循環移動させることで、踏段に搭乗した乗客を一方の乗降口から他方の乗降口へと搬送する構造である。このような構造の乗客コンベアでは、長期に亘る稼動による用品の磨耗や据え付け調整状態の経年劣化、或いは異物の混入や乗客によるいたずらなどに起因して、例えば、可動部分のこすれや乗り上げなどといった異常が発生することがある。このような異常は、音や振動として現われることが多々ある。
【0003】
乗客コンベアから、例えば、異音が発生しているという客先からの連絡を受けて保守員が対応する場合、通常、保守員が現場に赴いて実際に乗客コンベアを稼動させながら異音を確認し、その異音がどの部分で発生しているかを特定して、異音の発生要因となっている部品の交換や調整作業などを行うようにしている。この場合、乗客コンベアのサービスを停止させる時間が長くなり、利用者に多大な迷惑をかけてしまうことが多い。
【0004】
また、保守員が現場で異音の発生要因を特定する際、現場に赴いた保守員の熟練度によってその正確性や迅速性において差が生じることが多く、保守員の熟練度によってはさらに長時間のサービス停止を余儀なくされる場合もあった。このため、故障に至る前に何らかの異常が現われた段階でその異常を早期に発見し、保守作業によって異常を解消させて故障を回避できるようにすることが望まれている。
【0005】
このような要望に応えるものとして、少なくとも1つの踏段にマイクを配置し、このマイクで集音した乗客コンベア稼動音を音信号として制御装置に記憶させ、記憶装置に記憶された音信号を通信回線経由で遠隔地にある監視室に送信して、遠隔地において乗客コンベア稼動音を確認及び分析できるようにした乗客コンベアの異常診断システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−201498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した乗客コンベア監視システムでは、遠隔地において乗客コンベア稼動音の経年変化などを比較して乗客コンベアの異常部位を特定し、保守員へ指示して保守点検及び修理を行うシステムとなっている。一般に、修理を伴う保守点検を行った場合、動作確認を行って正常状態に戻ったことを確認する。この確認には、異常となった部位を含め、乗客コンベア各部が正常な状態であることを、データとして確認できることが求められている。
【0008】
しかしながら、乗客コンベアが正常であることをデータ上判別する機能は遠隔地の監視室であるため、現場に赴いた保守員は、乗客コンベアが正常状態となったことを確認できるデータを直ちに入手できないという問題がある。
【0009】
また、乗客コンベアなどで発生した異常の原因を遠隔地で特定できなかった場合、測定機器を現地に持込んで詳細調査を行うことが多いが、この間乗客コンベアによるサービスが出来なくなるとともに、測定機器仮設や撤去などの準備に要する時間が多くかかり、限られた時間内で十分な調査分析を行えない場合があった。
【0010】
発明が解決しようとする課題は、乗客コンベアが設置された現場に赴いた保守員が、乗客コンベアが正常状態となったことを表すデータを直ちに入手可能な乗客コンベアの異常診断システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施の形態によれば、複数の踏段を無端状に連結した踏段帯を循環移動させる乗客コンベアの異常診断システムであって、前記踏段帯を構成する少なくとも一つの点検踏段に設けられ、この点検踏段と共に移動して前記乗客コンベア上で生じている事象を検出する移動式のデータ収集手段と、前記点検踏段が前記踏段帯の循環移動経路に設定された基準位置を通過するタイミングを検出する基準位置通過センサーと、前記データ収集手段の収集事象を送信可能な収集データとして、前記基準位置通過センサーが検出する前記点検踏段の前記基準位置通過から次の基準位置通過タイミングまでの1周ごとに保管し、この保管された1周ごとの収集データを、通信回線を介して所定の送信相手に送信する現場側制御装置と、前記通信回線に接続され、前記現場側制御装置から送信されてきた収集データを受信し、この受信した前記1周ごとの収集データを、予め求められている前記乗客コンベアの正常時の収集データと比較して異常有無を判定する異常判定部を有する遠隔監視装置と、前記通信回線の前記現場側制御装置側に設けられ、この現場側制御装置から送信される前記1周ごとの収集データを、前記遠隔監視装置以外に入力させる通信回線切替部と、前記予め求められている前記乗客コンベアの正常時の収集データを有し、この正常時の収集データと前記通信回線切替部から入力される収集データとを比較して異常有無を判定する異常判定部を有する携帯監視装置とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、遠隔監視装置は、前記異常判定部の判定結果を、前記通信回線を介して所定の送信相手に送信し、携帯監視装置は、前記通信回線の前記現場側制御装置側に接続可能で、その接続時、前記遠隔監視装置から送信された前記判定結果を受信するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの異常診断システムの概略構成図である。
【図2】本発明の一実施の形態における要部構成を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施の形態における携帯監視装置を示す機能ブロック図である。
【図4】本発明の他の実施の形態におけるデータ収集手段を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態に係る乗客コンベアの異常診断システムについて、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
まず、図1,図2,図3で示す実施の形態を説明する。本実施の形態では、図1に示すように、乗客コンベアの例として、例えば、建物の上階と下階との間に傾斜して設置されたエスカレータを示している。この乗客コンベアは、多数の踏段4を隙間なく連結した踏段帯を、上部機械室2の乗降口と下部機械室3の乗降口との間で循環移動させることで、踏段4上に搭乗した乗客を搬送するものである。多数の踏段4は、図示しない無端状のチェーンによって連結されており、建物の床下に設置されたトラス1内に配置されている。トラス1の内部には、上部機械室2内及び下部機械室内3のそれぞれに図示しないスプロケットが配置されており、これら上部機械室2のスプロケットと下部機械室3のスプロケットとの間に図示しないチェーンが巻き掛けられている。
【0016】
上部機械室2のスプロケットと下部機械室3のスプロケットの何れか一方は、モータや減速機などを有する図示しない駆動装置に連結されている。そして、駆動装置によりこのスプロケットが回転し、スプロケットに噛み合うチェーンに駆動力が伝達されることで、チェーンによって連結された多数の踏段4が、図示しない案内レールにガイドされながら上部機械室2の乗降口と下部機械室3の乗降口との間を循環移動する構造となっている。
【0017】
トラス1の上部には、踏段4の左右両側面と対向するように一対の図示しないスカートガードが踏段4の移動方向に沿って設置されており、このスカートガード上にそれぞれ欄干7が立設されている。また、欄干7の周囲にはベルト状のハンドレール6が装着されている。ハンドレール6は、踏段4上に搭乗している乗客が把持する手摺であり、例えば、上述した駆動装置の駆動力が伝達されることで、踏段4の移動と同期して欄干7の周囲を周回する。
【0018】
監視対象の乗客コンベアの踏段帯を構成する多数の踏段4のうちの少なくとも1つを点検踏段5とする。この点検踏段5には、この点検踏段5と共に移動して乗客コンベア上で生じている事象を検出する移動式のデータ収集手段10cが設置される。この移動式のデータ収集手段10cとしては、乗客コンベアの稼動音を集音する集音装置(マイク)を用いる。また、この移動式のデータ収集手段10cの他に、固定式のデータ収集手段10a、10bを設ける。この固定式のデータ収集手段10a、10bとは、乗客コンベアの所定の固定部分、例えば、上部機械室2及び下部機械室3に設置され、循環移動する踏段帯がこの設置箇所を通過する際に生じる事象を検出するもので、同じく乗客コンベアの稼動音を集音する集音装置(マイク)を用いる。
【0019】
このほか、監視対象の乗客コンベアの設置現場における踏段4外部の任意の場所に設置された現場側制御装置(以下、単に制御装置と呼ぶ)20及び後述する基準位置通過センサーとして機能する位置検出装置50と、この監視対象の乗客コンベア設置現場から離れた遠隔地にあり、通信回線40により接続された監視センタに設置された遠隔監視装置30と、この通信回線40の現場側に設けられた通信回線切替え装置60と携帯監視装置70とを備えて構成される。
【0020】
点検踏段5に設置した移動式の集音装置10cは、監視対象の乗客コンベアが稼動している際に点検踏段5と共に循環移動しながら乗客コンベアの稼動音を集音するものである。また、固定式の集音装置である上部機械室2に設置された集音装置10a及び下部機械室3に設置された集音装置10bは、移動可能な集音装置10cと同期して上部機械室2と下部機械室3近傍の乗客コンベアの稼動音を集音する。
【0021】
この移動式の集音装置10c並びに固定式の集音装置10a,10bは、図2に示すように、音を音声信号に変換して出力する集音部11と、集音部11が出力した音声信号を無線信号に変換して発信する無線送受信部12と、集音部11及び無線送受信部12に対して電源を供給する電源供給部13とを有している。このような構成の集音装置10c(10a,10bも同じ)では、乗客コンベアの稼動時に電源供給部13から集音部11と無線送受信部12とに電源が供給されると、乗客コンベアの稼動に伴い発生する稼動音が集音部11によって音声信号に変換され、この音声信号が無線送受信部12によって無線信号に変換されて発信される。
【0022】
ここで、移動式の集音装置10cは点検踏段5と共に循環移動しているので、踏段4の移動経路における各地点で集音された乗客コンベア稼動音が、無線信号として発信される。この移動式の集音装置10cから発信された無線信号は、制御装置20によって受信される。同様に、固定式の集音装置である上部機械室2に設置された集音装置10aは、上部機械室2近傍の図示しない巻上げ機やスプロケットなどの稼動音を集音すると共に、多数の踏段4が上部機械室2を通過する際の稼動音を収集する。また、同じく固定式の集音装置である下部機械室3に設置された集音装置10bは、下部機械室3近傍の図示しない スプロケットなどの稼動音を収集すると共に、多数の踏段4が下部機械室3を通過する際の稼動音を収集する。
【0023】
なお、図1では移動式の集音装置10cが1つの点検踏段5のみに設置された様子を図示しているが、集音装置10cは2つ以上の点検踏段5に設置されていてもよい。
【0024】
ここで、乗客コンベアには、前述のように、基準位置が設定されており、この基準位置には、位置検出装置50が設けられている。この基準位置は、移動式の集音装置10cが検出した異常音の発生場所を特定するための基準位置、及び固定式の集音装置10a,10bの集音タイミングを移動式の集音装置10cの集音タイミングと同期させるための基準位置として用いられる。この基準位置は踏段帯の循環移動経路状の所定位置に設定されており、この基準位置に設けられた位置検出装置50は、点検踏段5がこの基準位置を通過するタイミングを検出する。したがって、この位置検出装置50を、以下、基準位置通過センサーと呼ぶ。
【0025】
このように、基準位置通過センサー50は、移動式の集音装置10cが設置された点検踏段5が、その移動経路中における所定の基準位置(例えば、図1で示すように下階の水平部など)を通過したタイミングで、制御装置20に対して位置検出信号を出力するものである。この基準位置通過センサー50の構成は、具体的には、例えば、基準位置に近接センサーや光電センサーなどを設置し、点検踏段5には、当該点検踏段5を識別するための金属板などを取り付けておく。そして、基準位置に設置した近接センサーや光電センサーなどが、金属板が取り付けられた点検踏段5の通過を検知し、その通過タイミングで位置検出信号を出力するように構成する。
【0026】
なお、基準位置通過センサー50として、近接センサーや光電センサーを用いた場合を例示したが、これらに代わって点検踏段5内に傾斜センサーを設けてもよい。この場合、基準位置は下階の水平部から傾斜部に移行する地点とする。すなわち、点検踏段5が下階の水平部から傾斜部に移行する際、点検踏段5の図示しない転動機構は水平状態から傾斜状態に移行するので、この傾斜角度への移行タイミングを、基準位置を通過したタイミングとする。
【0027】
現場側の制御装置20は、データ収集手段である各集音装置10c及び10a,10bの収集事象である乗客コンベアの稼動音を、送信可能な音声データに変換し、収集データとして乗客コンベアの1周ごとに保管する。すなわち、基準位置通過センサー50の検出信号に基づき、点検踏段5が、基準位置を通過してから次の基準位置を通過するタイミングまでの1周ごとに保管し、この保管された1周ごとの収集データを、通信回線を介して所定の送信相手に送信する。つまり、この制御装置20は、移動式の集音装置10c及び固定式の集音装置10a,10bによって集音され、無線信号として発信された乗客コンベア稼動音を受信して音声データに変換し、この乗客コンベア稼動音の音声データを、例えば、電話回線などの通信回線40を介して送信相手である監視センタの遠隔監視装置30に送信するものである。
【0028】
この制御装置20は、例えば、図2に示すように、無線送受信部21と、信号変換部22と、メモリ23と、データ送受信信部24とを有している。無線送受信部21は、移動可能な集音装置10c(固定式の集音装置10a,10bも同じ)の無線送受信部12から発信された無線信号を受信する。信号変換部22は、無線送受信部21が受信した無線信号を音声データに変換する。メモリ23は、信号変換部22で変換された乗客コンベア稼動音の音声データを所定周期(例えば、1周)ごとに一時的に記憶する。データ送受信信部24は、メモリ23に一時的に格納された乗客コンベア稼動音の音声データを通信回線40経由で送信する。
【0029】
このような構成の制御装置20では、乗客コンベアの稼動時に集音装置10a、10b、10cで集音された乗客コンベア稼動音が各集音装置10a、10b、10cから無線信号として発信されると、この無線信号が無線受信部21により受信され、信号変換部22により音声データに変換されてメモリ23に格納される。そして、メモリ23に格納された乗客コンベア稼動音の音声データが所定のデータ単位で読み出され、データ送受信部24から通信回線40経由で遠隔地の監視センタに設置された遠隔監視装極30へと送信される。
【0030】
ここで、移動式の集音装置10cは点検踏段5と共に循環移動しながら点検踏段5の移動経路における各地点で乗客コンベア稼動音を集音しているので、点検踏段5が1周する間に集音された乗客コンベア稼動音を音声データとしてメモリ23に逐次格納していくことで、乗客コンベアのほぼ全行程に亘る稼動音を音声データとしてメモリ23に蓄積でき、これを遠隔監視装極30へと送信できる。
【0031】
なお、制御装置20に対しては、前述したように、点検踏段5が所定の基準位置を通過するごとに基準位置通過センサー50から位置検出信号が供給される。したがって、制御装置20は、点検踏段5が基準位置を通過してからこの基準位置に戻るまでの1周分の乗客コンベア稼動音の音声データを1データ単位としてメモリ23に格納することができる。また、1周分のデータ単位ごとに乗客コンベア稼動音の音声データをメモリ23から読み出して遠隔監視装置30に送ることもできる。
【0032】
同様に、上部機械室2に設置された集音装置10aと下部機械室に設極された集音装置10bも、移動可能な集音装置10cと同期して集音するため、点検踏段5が基準位置を通過してからこの基準位置に戻るまでの1周分の乗客コンベア稼動音の音声データを1データ単位としてメモリ23に格納することができ、また、1周分のデータ単位ごとに乗客コンベア稼動音の音声データをメモリ23から読み出して遠隔監視装置30に送ることができる。
【0033】
遠隔監視装置30は、通信回線40に接続され、現場側の制御装置20から送信されてきた収集データを受信し、この受信した1周ごとの収集データを、予め求められている乗客コンベアの正常時の収集データと比較して異常有無を判定する異常判定部を有する。つまり、この遠隔監視装置30は、乗客コンベア設置現場の制御装置20から通信回線40経由で送信された乗客コンベア稼動音の音声データを受信して、その音声データに基づいて監視対象の乗客コンベアの異常を検出するための処理を行うものである。
【0034】
この遠隔監視装置30は、例えば図2に示すように、データ送受信部31と、データ処理部32と、異常報知部33とを有している。データ送受信部31は、通信回線40に接続して制御装置20のデータ送受信部24から通信回線40経由で送信された乗客コンベア稼動音の音声データを受信する。データ処理部32は、データ送受信部31が受信した乗客コンベア稼動音の音声データを解析して監視対象の乗客コンベアに発生した異常を検出する。異常報知部33は、データ処理部32でのデータ解析の結果を画像や音声などにより監視センタの監視員に報知する。さらに、データ処理部32の内部には、各種のデータが格納されるメモリ34と、異常の判定を行う異常判定部35とが設けられている。
【0035】
遠隔監視装置30のデータ処理部32に設けられた内部のメモリ34は、以下に説明するデータエリアを有する。第1のデータエリアは、監視対象の乗客コンベアごとに、それらが設置された「現場の住所や顧客の連絡先」などのデータエリアである。第2のデータエリアは、監視対象の乗客コンベアごとに、それらの階高や行程長さ、傾斜角度、運転速度、運転方向などの「乗客コンベア固有の仕様データ」が格納されたデータエリアである。第3のデータエリアは、監視対象の乗客コンベアの正常時に集音装置10a,10b,10cを用いて予め採取した「正常時音声データ」が格納されたデータエリアである。これらのデータは、例えば、監視対象となる乗客コンベアが登録されたときに収集されて、各々対応するエリアに書き込まれる。
【0036】
また、遠隔監視装置30のデータ処理部32は、制御装置20から通信回線40経由で送信された乗客コンベア稼動音の音声データがデータ受信部31により受信されると、この乗客コンベア稼動音の音声データを、点検踏段5が1周する間に集音装置10a,10b,10cにより集音された1周分のデータ単位ごとに、内部のメモリ34の第4のデータエリア、すなわち、「監視音声データ」のデータエリアに一時的に格納する。
【0037】
データ処理部32内部の異常判定部35は、集音装置10a,10b,10cで集音されて制御装置20から通信回線経由40で遠隔監視装置30へと送られた乗客コンベア稼動音の音声データを、監視対象の乗客コンベアの正常時に集音装極10a,10b,10cを用いて予め採取した正常時音声データと比較して、監視対象の乗客コンベアに異常が発生しているか否かを判定する。
【0038】
すなわち、異常判定部35は、メモリ34の第3のデータエリアに予め格納されている「正常時音声データ」と、メモリ34の第4のデータエリアに随時書き込まれた「監視音声データ」とをそれぞれ読み出し、これらの音声データを比較器に入力して比較を行う。ここで、メモリ34から読み出した「監視音声データ」及び「正常時音声データ」は、それぞれ、集音装置10cが設置された点検踏段5が基準位置を通過したタイミングを開始位置とし、当該踏段5が1周する間に集音装置10a,10b,10cで集音された乗客コンベア稼動音の時系列データである。異常判定部35は、これら「監視音声データ」と「正常時音声データ」とを、それぞれの開始位置を一致させて比較器に入力させ、例えば、「監視音声データ」と「正常時音声データ」との間で、所定の異常判定閾値を超える音圧レベルの差が生じている部分が検出された場合に、監視対象の乗客コンベアに異常が発生していると判定する。
【0039】
また、異常判定部35は、監視対象の乗客コンベアに異常が発生していると判定した場合、メモリ34の第2のデータエリアに予め格納されている「乗客コンベア固有の仕様データ」を読み出す。そして、「監視音声データ」と「正常時音声データ」との比較結果と、メモリ34から読み出した「乗客コンベア固有の仕様データ」とに基づいて、異常の発生箇所を特定する。
【0040】
具体的には、音声データの開始位置に対応する基準位置が下階の水平部であり、乗客コンベアの運転方向が上昇運転、運転速度が30m/分、行程長さが8mである場合、監視音声データで異常と判定された部分のデータ開始位置からの時間Tが20秒であれば、点検踏段5が下階の水平部から10m進んだ位置、つまり上階で折り返した直後の上階側の機械室付近で異常が発生していると特定できる。.なお、乗客コンベアの行程長さは、乗客コンベアの階高と傾斜角度とから幾何学的に算出できるので、乗客コンベアの行程長さが仕様データとして格納されていない場合は、これら階高と傾斜角度のデータを使用して異常の発生箇所を特定できる。
【0041】
上述のように、異常判定部35により監視対象の乗客コンベアに異常が発生していると判定され、その異常発生箇所が特定されると、遠隔監視装置30の異常報知部33によって、異常が発生している旨の情報や異常発生箇所に関する情報が、画像や音声などで監視センタの監視員に報知され、保守員への出役など保守点検計画を立案する。
【0042】
通信回線切替部60は、通信回線40の制御装置20側に設けられ、この現場側の制御装置20から送信される1周ごとの収集データを、遠隔監視装置30以外に入力させるものである。すなわち、通信回線切替部60は、通信回線を遠隔監視装置30側から携帯監視装置70側へ一時的に切替え可能に構成されている。
【0043】
携帯監視装置70は、予め求められている乗客コンベアの正常時の収集データを有し、この正常時の収集データと、通信回線切替部60から入力される収集データとを比較して異常有無を判定する異常判定部を有する。つまり、携帯監視装置70は、図3で示すように、遠隔監視装置30とほぼ同等の機能ブロックで構成されており、それぞれデータ送受信部71,データ処理部72,異常報知部73,データ処理部のメモリ74,異常判定部75、操作入力部76と持っている。これらの機能は、遠隔監視装置30の対応する機能ブロックとほぼ同等である。データ送受信部71は、無線送受信部77と有線送受信部78とを任意に切替可能に構成されている。
【0044】
通信回線切替部60は、遠隔監視装置30が監視対象の乗客コンベアの異常を検出して監視員に報知後、保守員を現地に派遣し、現地で点検保守作業や修理を行った後、この保守点検結果のデータを現場側にて入手すべく保守員により切替えられる。この切替え操作により、通信回線を遠隔監視装置30から携帯監視装置70へ一時的に切替えて、遠隔監視装置30と同等の診断を携帯監視装置70での簡易診断として実行させる。
【0045】
ここで、制御装置20の設置場所が、上部機械室2や下部機械室3のように有線接続が容易に行える場所では、携帯監視装置70の有線送受信部77を選択し使用する。これに対し、制御装置20の設置場所が、トラス1の任意な場所で有線接続が困難な場合は、無線送受信部77を選択し使用する。
【0046】
上記構成において、制御装置20は、監視対象の乗客コンベアが設置された施設の始業時又は就業時などの人が少なく、周囲雑音が少ない時間帯において、移動式の集音装置10c、及び固定式の集音装置10a,10bが集音した乗客コンベアの稼動音を入力する。そして、この稼動音を送信可能な音声データとして、基準位置通過センサー50の検出信号に基づき、1周ごとに数周分保管する。さらに、この保管された1周ごとの収集データを、通信回線40を介して遠隔地監視装置30に送信する。
【0047】
遠隔監視装置30では、通信回線40により現場側の制御装置20から送信されてきた音声データを受信する。そして、データ処理部32の異常判断部35により、この受信した1周ごと数周分の音声データを、予め求められている乗客コンベアの正常時の音声データと比較して異常有無を判定する。
【0048】
この異常診断の結果、監視対象の乗客コンベアの異常が検出されると、監視員に報知後、保守員を現地に派遣する。保守員は現地で監視対象の乗客コンベアに対する点検保守作業や修理を行う。この作業後、作業を終了する場合、現場の保守員は、異常が解消されたことを確認するためのデータを入手する必要がある。この異常解消の確認は、再度、集音装置10c,10a,10bが集音した乗客コンベアの稼動音を遠隔監視装置30に送信して、この遠隔監視装置30において乗客コンベア稼動音を分析し、その結果を保守員に送信することが考えられる。
【0049】
しかし、通信回線40がPHS回線など、伝送速度が低速な場合では、乗客コンベア稼動音の送信時間に数十分以上要する。このため、その間作業を終了できず、保守員が次の保守現場に赴けないなど、不要な待ち時間が発生する。
【0050】
この実施の形態では、保守点検結果のデータを現場側にて入手する場合、通信回線切替部60を、保守員の操作により携帯監視装置70側に切替える。この切替え操作により、通信回線が遠隔監視装置30側から携帯監視装置70側へ切替わるので、保守点検作業後に集音装置10c,10a,10bが集音した乗客コンベアの稼動音は、携帯監視装置70に入力される。携帯監視装置70は、遠隔監視装置30と同等の診断機能を持っており、この保守点検作業後に、集音装置10c,10a,10bが集音した乗客コンベアの稼動音は、正常時の音声データと比較されて異常の有無が簡易診断される。そして、この簡易診断の結果、保守点検作業後の異常無しが確認されると、この異常無し確認データを携帯監視装置70に保管して、保守点検又は修理作業を終了する。
【0051】
このように、保守点検作業後の異常無し確認を、現場側において携帯監視装置70により行うので、その場で異常無データを短時間のうちに入手することができる。したがって、通信回線40が低速の場合、送信時間に数十分以上要する乗客コンベア稼動音の遠隔監視装置30への送信を要しないためのため、保守点検及び修理作業後の診断を効率的に行うことができる。
【0052】
保守員は、現地で乗客コンベアの正常復旧を確認後、通信回線切替部60を遠隔監視装置30側に切替えて通信回線40を正常接続状態に戻すと共に、遠隔監視装置30に任意での診断要求をだす。このため、遠隔監視装置30は乗客コンベアの状態改善後の基礎データ収集を行う。
【0053】
なお、本実施の形態では、通信切替え部60は、手動で通信回線の切替えを行う構成としているが、切替え後予め設定した時間を経過した後に自動的に通信回線40に接続する構成としても良い。これにより、通信回線40の接続復旧忘れをカバー可能となる。
【0054】
以上のように、本実施の形態の乗客コンベアの診断システムにおいては、保守員が現地で監視対象の乗客コンベアの保守点検や修理後に、集音装置10a,10b,10cが、乗客コンベアのほぼ全行程に亘って乗客コンベア稼動音を集音する。そして、この集音装置10a,10b,10cで集音された乗客コンベア稼動音が、乗客コンベア設置現場の制御装置20で音声データに変換され、通信回線40経由で遠隔地にある監視センタに設置された遠隔監視装置30へと送られることなく、代わりに携帯監視装置70に送られる。携帯監視装置70では、この乗客コンベア稼動音の音声データ(監視音声データ)が正常時に予め採取された正常時音声データと比較されて異常の簡易判定が行われ、異常発生箇所有無の情報などが携帯監視装置70に報知される。したがって、この診断システムによれば、遠隔監装置30で異常を検知した場合に、乗客コンベア設置現場に保守員が出役して保守点検及び修理を行った後、乗客コンベア設置現場において通信回線を携帯監視装置70に切替えて簡易診断を行うことで、乗客コンベアの正常復旧確認を迅速に行うことが可能になり、通信回線40の伝送速度が低速な場合でも保守員の不要な待ち時間を減らして、次の保守現場への移動などが機動的に行えるようになる。
【0055】
次に、別の実施の形態を、図4を用いて説明する。なお、前述の実施の形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。前述の実施の形態では、データ収集手段として集音装置10a,10b,10cを例示したが、この実施の形態では、データ収集手段として図4で示すセンサーデータ収録装置16を用いる。このセンサーデータ収録装置16は、センサー12として加速度など振動を測定するセンサーを有する。したがって、この場合、データ収集手段16としてのセンサーデータ収録装置16は乗客コンベアの稼動時に生じる振動を検出する振動センサーとして機能する。センサー12は信号変換部15に接続され、この信号変換部15で送信データに変換して無線送受信部12から図1で示した制御装置20へ送信される。また、電源供給部13からセンサー12と信号変換部10と無線送受信部へ電源供給される。
【0056】
この振動センサーとして機能するセンサーデータ収録装置16及び前述の実施の形態で説明した集音装置10a,10b,10cは移動式及び固定式のデータ収集手段として使用できるが、固定式のデータ収集手段としては、上述した集音装置又は振動センサーのほか、センサーデータ収録装置16のセンサー12として、踏段帯を循環移動させる図示しない駆動用モータの電気量を検出する電圧センサーや電流センサー、周囲の温湿度を検出する温湿度センサーのいずれか又はこれらの組み合わせたものを用いてもよい。
【0057】
制御装置20は、これらセンサーデータ収録装置16からのデータについても、送信可能なデータとして、点検踏段5の基準位置通過から次の基準位置通過タイミングまでの1周ごとに保管し、これら保管された1周ごとの収集データを、それぞれ通信回線40を介して所定の遠隔監視装置30に送信する。
【0058】
遠隔監視装置30は、現場側の制御装置20から送信されてきた各収集データを受信し、図2で示した異常判定部35は、これら受信した1周ごとの各収集データを、予め求められている乗客コンベアの正常時の各収集データと比較して異常有無を判定する。この場合、異常判定部35は、正常時の収集データとして、前述した各センサー12により正常時に予め検出し、メモリ34に格納しておいた正常時データを比較対象として用いる。
【0059】
また、通信回線切替部60により、通信回線を通信回線40から携帯監視装置70に切替え、図4で示す携帯監視装置70には、センサー12からの収集データに対応した新たな診断機能を実装して保守点検結果を確認可能な構成とする。
【0060】
このように構成された本実施の形態において、センサーデータ収録装置16経由で収集されたセンサーデータは、制御装置20のメモリ23に一時的に蓄積される。メモリ23に蓄積されたセンシングデータは、通信回線切替部60を切替操作後は携帯監視装置70に送信され、携帯監視装置70に実装した新たな診断機能を用いて各種センサーを組合せての異常診断が可能となる。また、遠隔監視装置30に実装する前の新たな診断機能の確認を、現地に専用測定器を持込まなくても容易に行うことができるようになる。
【0061】
本実施の形態では、センシングするセンサー12のサンプリング周波数は固定値を前提としているが、センサー毎に変更可能な構成としても良い。これにより、異常事象をより詳細に分析可能となり、異常診断に必要なセンサーのサンプリング周波数の決定が容易に行えるようになる。
【0062】
以上のように、本実施形態の乗客コンベアの診断システムにおいては、新たなセンシング方法による診断など、データ収集手段として、集音装置10の代わりにセンサーデータ収録装極16を用いて収集されたセンサーデータを携帯監視装置70に実装して確認が可能なため、遠隔監視装置30に実装する前に診断機能の検証確認が可能となる。また、センサーデータ収録装置16を用いることで、専用の測定機器を現地に持込んで、測定機器仮設や撤去などの準備に要する時間を大幅に短縮可能になるとともに、測定機器などの輸送コストを抑制できる。
【0063】
前述した実施の形態はいずれも通信回線40の伝送速度が低速であることを前提としている。しかし、通信回線40の伝送速度が十分高速で、遠隔監視装置30で任意に診断した結果を数分で保守員に通知できる場合は、遠隔監視装置30を使用して正常復旧確認のための診断をしても良い。
【0064】
この場合、遠隔監視装置30は、前述の実施の形態と同様に、通信回線40に接続され、現場側の制御装置20から送信されてきた収集データを受信し、この受信した前記1周ごとの収集データを、異常判定部35により、予め求められている正常時の収集データと比較して異常有無を判定する。このような機能に加えて、本実施の形態では、異常判定部35による判定結果を、通信回線40を介して所定の送信相手に送信する機能をさらに設ける。
【0065】
また、携帯監視装置70は、通信回線40の現場側に接続可能に構成する。そして、接続時、遠隔監視装置30から送信された異常判定部35による判定結果を受信するための機能を設ける。
【0066】
このように構成することにより、現場の保守員は、保守点検後の復旧確認データを、現場側において回線切替を要することなく携帯端末70により入手することができる。これにより保守員は、点検保守作業以外の労力から開放される。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
4・・・踏段
5・・・点検踏段
10a,10b,10c、16・・・データ収集手段
20・・・現場側の制御装置
30・・・遠隔監視装置
40・・・通信回線
50・・・基準位置通過センサー
60・・・回線切替装置
70・・・携帯監視装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の踏段を無端状に連結した踏段帯を循環移動させる乗客コンベアの異常診断システムであって、
前記踏段帯を構成する少なくとも一つの点検踏段に設けられ、この点検踏段と共に移動して前記乗客コンベア上で生じている事象を検出する移動式のデータ収集手段と、
前記点検踏段が前記踏段帯の循環移動経路に設定された基準位置を通過するタイミングを検出する基準位置通過センサーと、
前記データ収集手段の収集事象を送信可能な収集データとして、前記基準位置通過センサーが検出する前記点検踏段の前記基準位置通過から次の基準位置通過タイミングまでの1周ごとに保管し、この保管された1周ごとの収集データを、通信回線を介して所定の送信相手に送信する現場側制御装置と、
前記通信回線に接続され、前記現場側制御装置から送信されてきた収集データを受信し、この受信した前記1周ごとの収集データを、予め求められている前記乗客コンベアの正常時の収集データと比較して異常有無を判定する異常判定部を有する遠隔監視装置と、
前記通信回線の前記現場側制御装置側に設けられ、この現場側制御装置から送信される前記1周ごとの収集データを、前記遠隔監視装置以外に入力させる通信回線切替部と、
前記予め求められている前記乗客コンベアの正常時の収集データを有し、この正常時の収集データと前記通信回線切替部から入力される収集データとを比較して異常有無を判定する異常判定部を有する携帯監視装置と、
を備えたことを特徴とする乗客コンベアの異常診断装置。
【請求項2】
複数の踏段を無端状に連結した踏段帯を循環移動させる乗客コンベアの異常診断システムであって、
前記踏段帯を構成する少なくとも一つの点検踏段に設けられ、この点検踏段と共に移動して前記乗客コンベア上で生じている事象を検出する移動式のデータ収集手段と、
前記点検踏段が前記踏段帯の循環移動経路に設定された基準位置を通過するタイミングを検出する基準位置通過センサーと、
前記データ収集手段の収集事象を送信可能なデータとして、前記基準位置通過センサーが検出する前記点検踏段の前記基準位置通過から次の基準位置通過タイミングまでの1周ごとに保管し、この保管された1周ごとの収集データを、通信回線を介して所定の送信相手に送信する現場側制御装置と、
前記通信回線に接続され、前記現場側制御装置から送信されてきた収集データを受信し、この受信した前記1周ごとの収集データを、予め求められている前記乗客コンベアの正常時の収集データと比較して異常有無を判定する異常判定部を有し、この異常判定部の判定結果を、前記通信回線を介して所定の送信相手に送信する遠隔監視装置と、
前記通信回線の前記現場側制御装置側に接続可能で、その接続時、前記遠隔監視装置から送信された前記判定結果を受信する携帯監視装置と、
を備えたことを特徴とする乗客コンベアの異常診断装置。
【請求項3】
前記乗客コンベアの所定の固定部分に設置され、前記循環移動する踏段帯がこの設置箇所を通過する際に生じる事象を検出する固定式のデータ収集手段をさらに有し、
前記現場側制御装置は、この固定式のデータ収集手段の収集事象についても送信可能なデータとして、前記点検踏段の前記基準位置通過から次の基準位置通過タイミングまでの1周ごとに保管し、これら保管された1周ごとの収集データを、それぞれ通信回線を介して所定の送信相手に送信する機能を有し、
前記遠隔監視装置は、前記現場側制御装置から送信されてきた各収集データを受信し、前記異常判定部はこれら受信した前記1周ごとの各収集データを、予め求められている前記乗客コンベアの正常時の各収集データと比較して異常有無を判定する機能を有する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の乗客コンベアの異常診断システム。
【請求項4】
データ収集手段は収集事象として乗客コンベアの稼動音を集音する集音装置であり、前記現場側制御装置は集音装置で集音された乗客コンベア稼動音を送信可能な音声データに変換して前記1周ごとの収集データとして保管することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の乗客コンベアの異常診断システム。
【請求項5】
データ収集手段は収集事象として、乗客コンベアの稼動時に生じる振動を検出する振動センサーであり、前記現場側制御装置は振動センサーで検出した振動データを前記1周ごとの送信可能な収集データとして保管することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の乗客コンベアの異常診断システム。
【請求項6】
固定式のデータ収集手段には、乗客コンベアの稼動音を集音する集音装置又は乗客コンベアの稼動時に生じる振動を検出する振動センサーのほか、前記踏段帯を循環移動させる駆動用モータの電気量を検出する電圧センサーや電流センサー、前記設置箇所周囲のオン湿度を検出する温湿度センサーのいずれか又はこれらの組み合わせにより構成したことを特徴とする請求項3に記載の乗客コンベアの異常診断システム。
【請求項7】
前記データ収集手段としてのセンサーのデータのサンプリング周波数を前記携帯監視装置から任意に変更可能な構成とすることを特徴とした請求項6に記載の乗客コンベアの異常診断システム。
【請求項8】
前記通信回線切替部は、前記通信回線を前記遠隔監視装置以外に切替えた際、予め決められた時間を経過すると前記遠隔監視装置側に接続を復旧させることを特徴とする請求項1記載の乗客コンベアの異常診断システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−192995(P2012−192995A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56600(P2011−56600)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】