説明

乗客コンベアシステム

【課題】第1乗客コンベアを利用者が第2乗客コンベアを利用を円滑にすると共に、第2乗客コンベアの省エネルギーを図る乗客コンベアシステムを提供する。
【解決手段】第1乗客コンベア1と、該第1乗客コンベア1と同一の昇降方向を有すると共に、第1乗客コンベア1から降りた乗客が乗り込む第2乗客コンベア51とを備えた乗客コンベアシステムにおいて、第1乗客コンベア1の降り部3の乗客Mを検出すると共に、第1検出信号を発生する第1検出器101と、第1検出信号に基づいて第2乗客コンベア51を停止から起動して第2乗客コンベアの定格速度よりも低い速度により走行する制御部とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗客コンベアシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の乗客コンベアシステムは下記特許文献1に記載のように、乗り場から降り場まで人を搬送する乗客コンベアの乗り場付近に設けられその乗客コンベアを利用する利用者の有無を検出する検出部と、検出部により前記利用者が検出された場合、その利用者を乗り場から前記降り場まで搬送するための所定の自動運転時間だけ乗客コンベアを駆動させる自動運転手段と、利用者が増加したことを検出する第1検出手段と、第1検出手段により前記利用者が増加したことが検出された場合、所定の連続運転時間だけ自動運転手段による前記乗客コンベアの駆動停止を制限して乗客コンベアを連続駆動させる連続運転手段とを備えた乗客コンベアシステムであって、乗客コンベアは乗り継ぎ可能に複数台設けられており、連続運転手段による乗客コンベアの駆動を検出する第2検出手段と、前記第2検出手段により複数の乗客コンベア内のどれか一つの連続運転手段による駆動が検知された場合、他の乗客コンベアにも連続運転手段による駆動を実行させる実行手段とを備えている。
【0003】
かかる乗客コンベアシステムによれば、複数の乗客コンベアのうち1台の乗客コンベアが連続運転に移行した場合、隣接する乗客コンベアの乗り場及び降り場付近で利用者が増加していると判断され、隣接する乗客コンベアも一時的な連続運転に移行されるため、その他の乗客コンベアの不必要な停止回数を未然に減少させることができる。したがって、全ての乗客コンベアにおける各機器の短命化を防止することができる。
【特許文献1】特開2006−188314号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、乗客コンベアシステムは、複数の乗客コンベアのうち第1乗客コンベアが連続運転に移行した場合、隣接する第2乗客コンベアも連続運転に移行する。このため、第1乗客コンベアは利用するが、第2乗客コンベアを利用しないという場合には、第2乗客コンベアが利用されないにも拘わらず定格速度により運転されることになる。したがって、省エネルギーの観点で好ましいことではなかった。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、第1乗客コンベアを利用者が第2乗客コンベアを利用を円滑にすると共に、第2乗客コンベアの省エネルギーを図る乗客コンベアシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る乗客コンベアシステムは、第1乗客コンベアと、該第1乗客コンベアと同一の昇降方向を有すると共に、第1乗客コンベアから降りた乗客が乗り込む第2乗客コンベアとを備えた乗客コンベアシステムにおいて、前記第1乗客コンベアの降部の前記乗客を検出することにより第1検出信号を発生する第1検出手段と、前記第1検出信号に基づいて前記第2乗客コンベアを停止から起動して前記第2乗客コンベアの定格速度よりも低い速度により走行する第1制御手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0007】
第2の発明に係る乗客コンベアシステムは、第2乗客コンベアの乗り込み部の乗客を検出することにより第2検出信号を発生する第2検出手段と、前記第2検出信号に基づいて第2乗客コンベアを定格速度にする第2制御手段と、を備えることが好ましい。
これにより、第1乗客コンベアを利用しても、第2乗客コンベアを利用せずに、例えば第2乗客コンベアに併設された階段などを利用する乗客がいても、このような場合には、第2乗客コンベアを定格速度にしないので、第2乗客コンベアの省エネルギーが図れる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1乗客コンベアを利用者が第2乗客コンベアの利用を円滑にすると共に、第2乗客コンベアの省エネルギーを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
本発明の一実施の形態を図1及び図2によって説明する。図1は本発明の一実施の形態を示す乗客コンベアシステムの全体図、図2は本発明の一実施の形態を示す第1乗客コンベアの降り部と第2乗客コンベアの乗り込み部付近の拡大図(a)、第2乗客コンベアの速度対時間曲線図(b)である。
図1おいて、乗客コンベアのシステムは、第1乗客コンベア1と、該第1乗客コンベア1と中継部40を介して乗り継ぎ可能に設けられると共に、乗客Mを第1乗客コンベア1と同一昇降方向として例えば、上昇方向に輸送する第2乗客コンベア51とを有している。
第1乗客コンベア1には、乗客Mを検出することにより第1検出信号を発生する第1検出器101が第1降り部3に設けられており、2乗客コンベア51には、乗客Mを検出することにより第2検出信号を発生する第2検出器102が第2乗り込み部52に設けられている。
【0010】
第1乗客コンベア1は、乗客Mが乗り込む第1乗込み部2と、乗客Mが降りる第1降り部3と、第1手摺4と、第1デッキボード(欄干)5と、複数の第1踏み段10とを有しており、第1デッキボード5の内部には、第1踏み段10を駆動する第1移動機構20を備えている。
第1移動機構20は、第1踏み段10を循環移動させる上部に設けられた第1上部スプロケット21と、下部に設けられた第1下部スプロケット22と、第1上部スプロケット21と第1下部スプロケット22とを連結する無端状の第1チェーン24と、第1踏み段10の走行を案内させる無端状の第1レール26とを備え、各段の第1踏み段10の固定部が第1チェーン24に所定間隔で固定されている。
そして、第1モータ33が第1減速機31を介して第1スプロケット21の軸(図示せず)を回転駆動するように形成されている。
【0011】
第2乗客コンベア51は、乗客Mが乗り込む第2乗込み部52と、乗客Mが降りる第2降り部53と、第2手摺54と、第2デッキボード(欄干)55と、複数の第2踏み段60とを有しており、第2デッキボード55の内部には、第2踏み段60を駆動する第2移動機構70を備えている。
【0012】
第2移動機構70は、第2踏み段60を循環移動させる上部に設けられた第2上部スプロケット71と、下部に設けられた第2下部スプロケット72と、第2上部スプロケット71と第2下部スプロケット72とを連結する無端状のチェーン74と、第2踏み段60の走行を案内させる無端状の第2レール76とを備え、各段の第2踏み段60の固定部が第2チェーン74に所定間隔で固定されている。
そして、第2モータ83が第2減速機81を介して第2上部スプロケット71の軸(図示せず)を回転駆動するように形成されている。
【0013】
制御装置200は、第1検出器101からの第1検出信号と第2検出器102からの第2検出信号を取り込むインターフェイス202と、CPU、RAM、ROMを有する第1及び第2制御手段としての制御部204と、制御部204からの第1駆動指令信号により第1モータ33を可変速駆動する第1駆動部206と、制御部204からの第2駆動指令信号により第2モータ83を可変速駆動する第2駆動部208とを備えている。
制御部204は、図2に示すように第1検出器101からの第1検出信号に基づいて第2乗客コンベア51を停止から起動して第2乗客コンベア51の定格速度よりも低い速度にする低速度指令信号を発生すると共に、第2検出器102からの第2検出信号に基づいて定格速度指令信号を第2モータ81に与えて第2乗客コンベア51を定格速度にするように形成されている。すなわち、第2駆動指令信号は、低速度指令信号と定格速度指令信号とを有している。
ここで、上記定格速度よりも低い速度とは、例えば定格速度の1/3の速度をいう。
【0014】
上記のように構成された乗客コンベアシステムの動作を図1から図3を参照して説明する。図3は一実施の形態による乗客コンベアシステムの動作を示すフローチャートである。
いま、第1乗客コンベア1が乗客Mを乗せて上昇方向に運転しており、第2乗客コンベア51が停止しているとする。ここで、乗客Mが第1乗客コンベア1の第1降り部3に達すると、第1検出器101が乗客Mを検出して第1検出信号を発生し、第1検出信号をインターフェイス202を介して制御部204に取り込む(ステップS101)。制御部204は、第2駆動指令信号から第2乗客コンベア52が停止しているか否かを判断し(ステップS103)、停止中であれば、第2駆動部208を介して第2モータ83を駆動して第2乗客コンベア51を低速速度VLの走行状態にする(ステップS105)。
【0015】
次に、乗客Mが第2乗客コンベア51の第2乗込み部52に移動すると、第2検出器102が乗客Mを検出して第2検出信号を発生し、第2検出信号をインターフェイス202を介して制御部204に取り込む(ステップS107)。制御部204は、第2駆動部208を介して第2モータ83を駆動して第2乗客コンベア51を定格走行Vnにする(ステップS109)。
一方、ステップS107において、乗客Mを検出しなければ、第2乗客コンベア51の低速走行を維持する。乗客Mが第1乗客コンベア1と第2乗客コンベア51との中継部40から第1又は第2乗客コンベア1,51に併設された階段などを利用して第2乗客コンベア51を利用しないことがあるからである。
【0016】
一方、ステップS103において、制御部204は、第2駆動指令信号から第2乗客コンベア51が走行していると判断し、さらに、第2乗客コンベア51が定格速度により走行していると判断すると(ステップS111)、第2駆動部208を介して定格速度の走行を維持する(ステップS115)。
【0017】
ステップS111において、制御部204は、第2駆動指令信号から第2乗客コンベア51が定格速度により走行していないと判断すると、制御部204は、第2駆動指令信号から低速速度の走行か否かを判断し(ステップS113)、低速速度の走行であれば、上記ステップS107に移行する。
一方、ステップS113において、第2乗客コンベア51が低速速度の走行でなければ、低速速度にする(ステップS105)。
【0018】
上記実施形態の乗客コンベアシステムは、第1乗客コンベア1と、該第1乗客コンベア1と同一の昇降方向を有すると共に、第1乗客コンベア1から降りた乗客が乗り込む第2乗客コンベア51とを備えた乗客コンベアシステムにおいて、第1乗客コンベア1の降り部3の乗客Mを検出すると共に、第1検出信号を発生する第1検出器101と、第1検出信号に基づいて第2乗客コンベア51を停止から起動して第2乗客コンベアの定格速度よりも低い速度により走行する制御部204とを備えたものである。
これにより、第1乗客コンベア1を利用者が第2乗客コンベア51の利用を円滑にすると共に、第2乗客コンベア51の省エネルギーを図ることができる。
【0019】
また、上記実施形態の乗客コンベアシステムは、第2乗客コンベア51の乗り込み部52の乗客Mを検出すると共に、第2検出信号を発生する第2検出器102と、第2検出信号に基づいて第2乗客コンベア51を定格速度にする制御部204と、を備えることが好ましい。
これにより、第1乗客コンベア1を利用しても、第2乗客コンベア51を利用せずに、例えば第2乗客コンベア51に併設された階段などを利用する乗客がいても、このような場合には、第2乗客コンベア51を定格速度にしないので、第2乗客コンベア51の省エネルギーが図れる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、乗客コンベアに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態を示す乗客コンベアシステムの全体図である。
【図2】本発明の一実施の形態を示す第1乗客コンベアの降り部(降り口)と第2乗客コンベアの乗り込み部(乗込み口)付近の拡大図(a)、第2乗客コンベアの速度対時間曲線図(b)である。
【図3】本発明の一実施の形態による乗客コンベアシステムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0022】
1 第1乗客コンベア、3 第1降り部、51 第2乗客コンベア、52 第2乗り込み部、101 第1検出器、102 第2検出器、204 制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1乗客コンベアと、該第1乗客コンベアと同一の昇降方向を有すると共に、第1乗客コンベアから降りた乗客が乗り込む第2乗客コンベアとを備えた乗客コンベアシステムにおいて、
前記第1乗客コンベアの降り部の前記乗客を検出することにより第1検出信号を発生する第1検出手段と、
前記第1検出信号に基づいて前記第2乗客コンベアを停止から起動して前記第2乗客コンベアの定格速度よりも低い速度により走行する第1制御手段と、
を備えたことを特徴とする乗客コンベアシステム。
【請求項2】
前記第2乗客コンベアの乗り込み部の前記乗客を検出することにより第2検出信号を発生する第2検出手段と、
前記第2検出信号に基づいて前記第2乗客コンベアを定格速度にする第2制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の乗客コンベアシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−247499(P2008−247499A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−87939(P2007−87939)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】