説明

乗客コンベア用移動手摺の生産管理システム

【課題】 納期短縮・コスト低減等が達成できる乗客コンベア用移動手摺の生産管理システムを得る。
【解決手段】 芯体層31と表面層32を持つ熱可塑性エラストマーを使用した乗客コンベア用移動手摺を製造するためのものであって、少なくとも芯体層押出し成型装置を持つ第一の生産現場1000と、少なくとも表面層押出し成型装置を持つ第二の生産現場2000、3000とを有し、受注データベース104及び前記受注データベースに基づき第二の生産現場で表面層製造指示を出す手段50を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、分散した工場における乗客コンベア用移動手摺製造のための生産管理システム及び生産管理方法に関し、分散した工場のデータ管理、データ共用を容易に行い、納期短縮・コスト低減ができる乗客コンベア用移動手摺の生産管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
エスカレータや動く歩道などの乗客コンベアには、乗客が転倒しないように支えるための移動手摺がコンベアと略平行に設けられ、コンベアの移動速度と同期して移動するように設けられている。
【0003】
上記の移動手摺は、コンベアの手摺ガイドレールに外嵌される断面略C字状のもので、一般には、カイドレールに当接する側に布製または合成繊維製のスライダーが、その外側に直接又は芯材を介して熱硬化性ゴムが設けられ、前記芯材の長手方向に沿って連続的に金属製又は合成繊維製の帯状または線状の伸び防止用抗張体が設けられた構成になっている。
【0004】
近年、内側にスライダー層を設け、芯材に熱可塑性エラストマーを使用し、少なくともその外側にもう一層熱可塑性エラストマーによる表面層を設けた移動手摺が使用されるようになってきた(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特表2002−519271号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
熱可塑性エラストマーを使用した乗客コンベア用移動手摺は、芯体層と表面層の少なくとも二層構造を有している。従来は同一の工場にて芯体層と表面層を熱融着してから、製品として顧客向けに出荷していた。しかし、表面層は顧客の注文仕様に合わせる必要があり、特に色仕様などが多数あるため、製造に時間がかかり、かつ輸送時間も長く掛かっていたので、コストが高いという問題点があった。
特定の工場で芯体層製造を集中的に行い、分散した工場で表面層製造が行えるのは、熱可塑性エラストマーを使用した移動手摺のみである。即ち、従来のゴム手摺では、中間製品、例えば予備成形段階の製品を作っても、材料の生ゴムには賞味期限が1ヶ月程度しかなく保存が難しいので、芯体層製造工場と表面層製造工場を分離すること、まして表面層製造工場が海外など遠く離れていては実現不可能であった。これに反し熱可塑性エラストマーを使用した移動手摺では、芯体層のみ一度に多量に製造してストックしておくことが可能である。
また、移動手摺の長さは、小は20m弱から、大は4〜500mまで様々である。顧客の仕様が決まってから長尺のものを作るのは材料手配から始めるプロセスで納期が長くなる。さらに手摺の基本寸法・性能は芯体層の出来如何で決まるので、品質管理のしっかりした工場で製造するのが望ましい。この点からも芯体層はメインファクトリーでの製造が不可欠である。
一方、表面層の色の種類も無数にあり、その都度カラーチップを入れて色見本を作って客先承認を得る必要があり、表面層製造は客先の近くの方が有利である。
【0007】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、分散した工場システムにおいて、移動手摺の芯体層は効率重視で一つの工場で集中的に製造し、表面層はなるべく顧客に近い工場、あるいは技術力、生産能力において最適な工場で分散して製造することによって、納期短縮・コスト低減等が達成できる、乗客コンベア用移動手摺の生産管理システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る乗客コンベア用移動手摺の生産管理システムにおいては、芯体層と表面層を持つ熱可塑性エラストマーを使用した乗客コンベア用移動手摺を製造するためのものであって、少なくとも芯体層押出し成型装置を持つ第一の生産現場と、少なくとも表面層押出し成型装置を持つ第二の生産現場とを有し、受注データベース及び前記受注データベースに基づき第二の生産現場で表面層製造指示を出す手段を備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明は、少なくとも芯体層押出し成型装置を持つ第一の生産現場と、少なくとも表面層押出し成型装置を持つ第二の生産現場とを有し、受注データベース及び前記受注データベースに基づき第二の生産現場で表面層製造指示を出す手段を備えたので、移動手摺製造の分業体制を容易に構築でき、納期短縮、コスト低減を図れるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
最初に熱可塑性エラストマーを用いた乗客コンベア用移動手摺の製造方法について説明する。
この移動手摺の製造方法は、芯体層用の熱可塑性エラストマーと金属製又は合成繊維製の抗張体及びスライダーを成形機から同時に押出して該抗張体及びスライダーを抱合した断面略C字状の芯体層を成形する工程と、透明を含み客先指定色等の所望の色に着色された表面層用の熱可塑性エラストマーを成形機から押出して断面略C字状の表面層を成形する工程とを少なくとも具備している。
【0011】
上記構成において、芯体層と表面層の間に、これらの熱可塑性エラストマーと硬度が異なり、または同じの押出して断面略C字状に成形される中間層の熱可塑性エラストマーを押出し成型する構成のものもある。また、芯体層と中間層を同時に押出し成形した後に、表面層を押出し成形する構成のものもある。更に、芯体層と表面層は、芯体層、表面層の順に、また、芯体層と表面層及び中間層は、芯体層、中間層、表面層の順に、それぞれ押出し成形される構成でもよい。更には、芯体層と表面層、又は、芯体層と表面層及び中間層は、それらを成形する熱可塑性エラストマーの共押出しにより同時に成形される構成のものもある。
【0012】
図2は乗客コンベア用移動手摺の左半分を示す断面図である。
図2において、30は断面略C字状の移動手摺、31は熱可塑性エラストマーにより断面略C字状に押出し成形された移動手摺30の芯体層、34は芯体層31の長手方向に沿って連続的に包合されている金属製のテープによる抗張体である。この抗張体34により、移動手摺30の長手方向への伸びは防止され、かつ、引張り破断強度が高められる。なお、抗張体34は金属テープの代わりに、金属又は合成繊維コードなどからなる複数本の低伸長材(図示せず)を使用することができる。合成繊維としては、アラミド繊維、カーボン繊維、ガラス繊維、ナイロン繊維などを使用することができる。また、芯体層31の熱可塑性エラストマーには、ポリウレタン系、ポリスチレン系、ポリオレフィン系などのいずれかのものを使用することができる。
【0013】
32は芯体層31の外側に設けられている表面層で、客先からの指定色やその他の所望の色に着色され、熱可塑性エラストマーにより断面略C字状に押出し成形されたものである。なお、表面層32は透明又は無彩色(素材色を含む)のままでもよい。この表面層32の熱可塑性エラストマーは、芯体層31の熱可塑性エラストマーと同様、ポリウレタン系、ポリスチレン系、ポリオレフィン系などのいずれかのものを使用することができる。また、表面層32の熱可塑性エラストマーの成形体の硬度は、芯体層31の熱可塑性エラストマーの成形体と同一の硬度のものと、異なる硬度のものとがある。
【0014】
33は上記の通り芯体層31の内側に設けられている布製のスライダーで、図示しないが、乗客コンベアの手摺ガイドレールや駆動ローラに当接する。スライダー33は、天然繊維及び/又は合成繊維の編成地や織物地により形成される。天然繊維としては綿や麻などを、合成繊維としてはポリエステルやナイロン、アラミドなどの繊維を用いることができる。なお、スライダー33は布製以外に、合成樹脂製のシート材などを使用することもできる。このスライダー33は移動手摺30の対向する両端部(断面略C字状の移動手摺30の開口部において対向する両側辺)において、芯体層31の両端部裏面側から表面層32側にそれぞれ折り返され、移動手摺30の厚みと略同じ高さに形成された垂直方向の端面33aと、この端面33aの先端側から斜め内側に折り返されて形成された傾斜片33bを有し、これら端面33a、傾斜片33bによって芯体層31の端部が包み込まれている。なお、傾斜片33bの外側は表面層32により被覆されている。
【0015】
スライダー33は、断面略C字状に成形し、予めその両端部を芯体層31の両端部裏面側から表面層32側に折り曲げて垂直方向の端面33aを形成し、更にその先端側を斜め内側に折り曲げて傾斜片33bを形成しておき、それに後から芯体層31を熱融着させてもよく、熱可塑性エラストマーを押出し成形機により押出して芯体層31を成形すると同時にスライダー33を熱融着させてもよい。更に、スライダー33の両端部を折り曲げて垂直方向の端面33aのみを形成しておき、芯体層31を熱融着させると同時に端面33aの先端側を折り曲げて傾斜片33bを形成してもよい。
【0016】
上記の移動手摺30は、エンドレス(環状)にして乗客コンベアに組込まれるので、直線状の移動手摺を所定長さに切断しその両端部を接続してエンドレスに形成する。
【0017】
図3、図4は乗客コンベア用移動手摺の製造工程を示す図で、図3は芯体層を製造する工程図、図4は表面層を製造する工程図を示す。
前記のように芯体層31と表面層32を同時に押出し成形する方法もあるが、表面層32が透明を含め客先指定色等の所望の色に着色される場合は、表面層32は後から芯体層31の外側に熱融着させる方が好ましい。表面層32の色は客先の仕様が中々決まらない場合が多いので、予め長尺の芯体層31を作ってストックしておき、客先から表面層32の色の指定があった後、表面層32を熱融着して、所定の長さに切断するのが、製造工程上有利だからである。
【0018】
図3において、帆布供給タイコ1からスライダー33を構成する帆布3が、金属テープ供給タイコ2から抗張体34を構成する金属テープ4が成形装置5に供給され、断面略C字型に成形され、芯体層エラストマー押出し装置6で熱可塑性エラストマーと融着され移動手摺30の手摺芯体層31が製造される。
押出し装置6は、芯体層用熱可塑性エラストマーを送り出すスクリュー等を備えた本体(図示せず)と、本体から送り出された熱可塑性エラストマーを芯体上に押出すヘッド(図示せず)を備えている。ここで製造される手摺芯体層31は、特に加工精度はそれ程要求されず、また艶出しも不要であるので、押出し装置6としてはよく知られたもので十分である。
この製造工程では、引き取り装置9の引き取り力が連続的に押出しを行う。この手摺芯体層31は冷却水槽8で冷却され、同じく引き取り装置9によって巻き取りタイコ10に巻き取られ、中間製品としてストックされる。
【0019】
図4は手摺芯体層31の上に、表面層32を熱融着する製造工程を示す。
図4においては、供給タイコ11から送り出される手摺芯体層31は熱融着用金型(図示せず)を備えた表面層エラストマー押出し装置15において、指定の色の熱可塑性エラストマーが芯体層31の上に熱融着され、その後、平滑化装置16によって移動手摺30の表面が平滑化され、次いで冷却水槽8によって冷却され、引き取り装置9によって、巻き取りタイコ17に巻き取られる。
【0020】
ここで、図2で示したような断面を有する移動手摺30は、乗客コンベアに組み込まれたときにはエンドレス状のものである。従って、移動手摺30を製造する場合には、直線状の移動手摺を所定の長さに切断した後、その両端部を接続してエンドレスとする工程が必要となる。
このエンドレスにする工程は、乗客コンベアの据付現地で行う場合と、予め工場でエンドレスにして出荷する場合がある。ここでは図2の断面を有する移動手摺30の接続を工場で行う方法について説明する。
【0021】
まず、所定の長さに切断された手摺の両端部から、図5に示すように、芯体層31、スライダー33及び表面層32の端部を除去し、抗張体34を露出させる。このとき、除去部分は後の接続部となるため、一直線状ではなく段差が生じるように、芯体層31、スライダー33及び表面層32の端部からの除去寸法を互いに異なるものとするのが望ましい。
なお、据付現地でエンドレス状にする場合には、移動手摺30を所定長さに切断後、現地加工時間を短縮するため、図5の端末加工を工場で予め施してから出荷する。
次に、図6に示すように、露出された抗張体34の両端部を、接着剤35を介して互いに重ね合わせる。この後、図7に示すように、抗張体34の両端部を射出成形器の金型36内にセットし、さらに金型36内のキャビティ36aに芯体用熱可塑性エラストマーを充填する。この芯体用熱可塑性エラストマーを冷却硬化させることにより、図8に示すように、芯体接続部37の成形が完了し、抗張体34の両端部は芯体接続部37により覆われ接続される。
【0022】
この後、露出された芯体31及び芯体接続部37の内側に帆布接続部38を添え、図9に示すように、移動手摺の両端部を射出成形器の金型39内にセットし、さらに金型39内のキャビティ39aに表面用熱可塑性エラストマーを充填する。この表面用熱可塑性エラストマーを冷却硬化させることにより、図10に示すように、表面層接続部32aが成形され、移動手摺の両端部の接続が完了する。
このような接続方法によれば、直線状の移動手摺の両端部を容易にかつ強固に接続することができる。
【0023】
図1はこの発明の乗客コンベア用移動手摺の生産管理システムの一例を示した構成図である。
図1において、1000、2000、3000は別々の場所に配置された工場であり、それぞれ国内に設けられる場合もあるし、何れかが海外に設けられる場合もある。
工場1000はこの発明に関わる移動手摺生産管理システムのメインファクトリーであり、工場システム100、データセンターシステム50、芯体層製造ライン120、表面層製造ライン130、エンドレス製造ライン140を有する。
工場2000、3000はこの発明に関わる移動手摺生産管理システムのサテライトファクトリーであり、それぞれ工場システム200、300、表面層製造ライン230、330、エンドレス製造ライン240、340を有する。
工場1000は移動手摺の芯体層製造、表面層製造及びエンドレス製造を行う。工場2000、3000は、移動手摺の表面層製造及びエンドレス製造を行う。
【0024】
工場システム100は、パソコン101、102、データ収集サーバ110を有しており、データ収集サーバ110は、生産計画データベース103、受注データベース104、製造データベース105を含む。
工場システム200は、パソコン201、202、データ収集サーバ210を有しており、データ収集サーバ210は、生産計画データベース203、受注データベース204、製造データベース205を含む。
同じく工場システム300は、パソコン301、302、データ収集サーバ310を有しており、データ収集サーバ310は、生産計画データベース303、受注データベース304、製造データベース305を含む。
【0025】
工場システム100において、パソコン101、102、生産計画データベース103、受注データベース104、製造データベース105は、ネットワークL1に接続されている。更にネットワークL1はデータセンターシステム50に接続されている。
工場システム200において、パソコン201、202、生産計画データベース203、受注データベース204、製造データベース205は、ネットワークL2に接続されている。
工場システム300も、工場システム200と同様で、パソコン301、302、生産計画データベース303、受注データベース304、製造データベース305は、ネットワークL3に接続されている。
【0026】
パソコン101、102、201、202、301、302は、それぞれ、ネットワークL1、L2、L3に接続し、WWW(World Wide Web)ブラウザ、電子メーラを設け、顧客からの注文に応じて受注データベース、生産計画データベースの操作等を行う。
【0027】
インターネット40は公衆回線で、工場システム100、200、300に接続する。具体的には、インターネット40は、図示しないファイヤーウォールを介して、ネットワークL1〜L3に接続する。モバイルパソコン41は、図示しないプロバイダーを介して、インターネット40に接続し、WWWブラウザ、電子メーラを有する。
【0028】
データセンターシステム50は、ネットワークL1を介して工場システム100と接続され、更にはインターネット40を介して工場システム200、300のデータを収集し、データを公開する。データセンターシステム50は、データサーバ51、WWWサーバ52、メールサーバ53を有する。
データサーバ51は、図示しないファイヤーウォールを介して、インターネット40に接続し、データ収集サーバ110、210、310とデータの送受信を行い、データを格納すると共に、データにより、工場システム100、200、300の生産計画を演算する。つまり、製造部位(芯体層、表面層、エンドレス)毎に最適製造工場を所定のプログラムに従って計算・決定し、納期、仕様などと併せて指示する。
【0029】
WWWサーバ52は、ファイヤーウォールを介して、インターネット40に接続し、データサーバ51のデータをインターネット40に対して公開すると共に、コントロールデータを入力し、データサーバ51に格納させる。メールサーバ53は、ファイヤーウォールを介して、インターネット40に接続し、データサーバ51のデータ解析に基づいて、メールを送信する。
【0030】
顧客60、70、80からの注文は、インターネット40の図示しないファイヤーウォールを介して接続された顧客のパソコン61、71、81、つまり顧客が持つパソコン或いは顧客に近いエリアにある営業拠点のパソコンからデータセンターシステム50に送られる。この時モバイルパソコン41を用いて注文が送られることもある。モバイルパソコン41の代わりに携帯電話、PDA(Personal Digital Assistants)等を用いてもよい。
【0031】
このような乗客コンベア用移動手摺の生産管理システムの動作を以下に説明する。
データセンターシステム50のデータサーバ51は、顧客60、70、80からの注文情報を収集し、この収集データに基づき、表面層の色による製造工場選択、最適生産ロット数、技術別生産工場(例えば特殊仕様対応可能な生産工場等)選択、顧客別生産工場選択、納期等を演算し、工場システム100、200、300のデータ収集サーバ110、210、310に送る。
この演算結果により、メールサーバ53は、電子メールで通知する。これによりパソコン101、102、201、202、301、302、モバイルパソコン41が電子メーラにより受け取る。また、メールサーバ53は、定期的にデータサーバ51からデータを取得し、レポートとしてメールを送信する。
【0032】
工場システム100では、データセンターシステム50からのデータが受注データベース104に格納され、過去の生産実績を勘案した受注予測を交えて、生産計画が演算され、生産計画データベース103に送られ、この生産計画に基づいて製造データベース105が芯体層製造ライン120、表面層製造ライン130、エンドレス製造ライン140に製造指示を出す。製造データベース105からの指示が芯体層だけの場合には芯体層のみの移動手摺を生産し、ストックする。
【0033】
ストックされた芯体層だけの移動手摺は、データセンターシステム50からの指示によって、最適な数量が工場2000、3000に輸送される。
【0034】
工場システム200、300では、データセンターシステム50からの生産指示がデータ収集サーバ210、310のそれぞれ受注データベース204、304に格納され、顧客指定の表面層色、納期、数量に基づいて、それぞれ生産計画データベース203、303が生産計画を演算し、製造データベース205、305に送る。製造データベース205、305は表面層製造ライン230、330、またエンドレスの必要のある時はエンドレス製造ライン240、340にそれぞれ指示を出し、移動手摺の完成品が製造され、顧客宛に発送される。
【0035】
パソコン101、102、201、202、301、302、モバイルパソコン41が、WWWブラウザにより、それぞれネットワークL1〜L3、インターネット40を介して、WWWサーバ52に表示(データ)要求を行う。この表示要求により、WWWサーバ52は、データサーバ51にアクセスして、所望の表示、例えば、製造日程や進捗を表示するデータを取得し、HTML(Hyper Text Markup Language)ファイルとして要求元に送る。このファイルにより、パソコン101、102、201、202、301、302、モバイルパソコン41は、WWWブラウザにより表示を行う。なお、WWWサーバ52は、ユーザID、パスワード等により、特定者に対してのみ公開することはいうまでもない。
また、パソコン101、102、201、202、301、302、モバイルパソコン41が、WWWブラウザにより、それぞれネットワークL1〜L3、インターネット40を介して、WWWサーバ52に表計算ファイルを要求する。この要求により、WWWサーバ52は、データサーバ51をアクセスして、所望のデータを表計算ファイルとして要求元に送る。そして、パソコン101、102、201、202、301、302、モバイルパソコン41が、WWWブラウザにより、それぞれネットワークL1〜L3、インターネット40を介して、WWWサーバ52から表計算ファイルを取得し、表示等を行う。
【0036】
このように、データセンターシステム50が、工場システム100、200、300のデータを収集し、インターネット40に対して公開するので、各工場システム100、200、300間のデータのやり取りのために、システム構築する必要がない。従って、分散した工場のデータ管理、データ共用を容易に行うことができる。特に、各工場システム100、200、300のメーカが異なっても、データのやり取りを容易に行うことができ、移動手摺製造の分業体制を容易に構築できる。
また、データセンターシステム50のデータサーバ51が、収集したデータの解析を行い、解析したデータをインターネット40に対して公開するので、各工場システム100、200、300のメーカが異なっても容易に解析結果を取得できる。
【0037】
さらに、WWWサーバ52がコントロールデータを受けて、データサーバ51に渡し、データサーバ51がデータ収集サーバ110、210、310にコントロールデータを渡すので、リモートコントロールを行うことができる。
【0038】
なお、この発明において、別々の場所に配置される工場1000、2000、3000は特定国に限定されるものではなく、一部工場が海外にあってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明の実施の形態1における乗客コンベア用移動手摺の生産管理システムの一例を示した構成図である。
【図2】乗客コンベア用移動手摺の左半分を示す断面図である。
【図3】乗客コンベア用移動手摺の芯体層を製造する工程を示す工程図である。
【図4】乗客コンベア用移動手摺の芯体層に表面層を熱融着させて移動手摺を製造する工程を示す工程図である。
【図5】乗客コンベア用移動手摺の両端部を接続してエンドレスにする一工程を示す図である。
【図6】乗客コンベア用移動手摺の両端部を接続してエンドレスにする一工程を示す図である。
【図7】乗客コンベア用移動手摺の両端部を接続してエンドレスにする一工程を示す図である。
【図8】乗客コンベア用移動手摺の両端部を接続してエンドレスにする一工程を示す図である。
【図9】乗客コンベア用移動手摺の両端部を接続してエンドレスにする一工程を示す図である。
【図10】乗客コンベア用移動手摺の両端部を接続してエンドレスにする一工程を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
1 帆布供給タイコ
2 金属テープ供給タイコ
3 帆布
4 金属テープ
5 成形装置
6 芯体層エラストマー押出し装置
8 冷却水槽
9 引き取り装置
10 巻き取りタイコ
11 供給タイコ
15 表面層エラストマー押し出し装置
16 平滑化装置
17 巻き取りタイコ
30 移動手摺
31 芯体層
32 表面層
33 スライダー
34 抗張体
1000、2000、3000 工場
100、200、300 工場システム
40 インターネット
41 モバイルパソコン
50 データセンターシステム
51 データサーバ
52 WWWサーバ
53 メールサーバ
60、70、80 顧客
61、71、81、101、102、201、202、301、302 パソコン
110、210、310 データ収集サーバ
103、203、303 生産計画データベース
104、204、304 受注データベース
105、205、305 製造データベース
120 芯体層製造ライン
130、230、330 表面層製造ライン
140、240、340 エンドレス製造ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯体層と表面層を持つ熱可塑性エラストマーを使用した乗客コンベア用移動手摺を製造するための生産管理システムであって、
少なくとも芯体層押出し成型装置を持つ第一の生産現場と、
少なくとも表面層押出し成型装置を持つ第二の生産現場とを有し、
受注データベース及び前記受注データベースに基づき第二の生産現場で表面層製造指示を出す手段を備えたことを特徴とする乗客コンベア用移動手摺の生産管理システム。
【請求項2】
芯体層と表面層を持つ熱可塑性エラストマーを使用した乗客コンベア用移動手摺を製造するための生産管理システムであって、
少なくとも芯体層押出し成型装置を持つ第一の生産現場と、
少なくとも表面層押出し成型装置を持つ第二の生産現場とを有し、
生産計画データベース、前記生産計画データベースに基づき第一の生産現場で芯体層製造指示を出す手段、受注データベース、及び前記受注データベースに基づき第二の生産現場で表面層製造指示を出す手段を備えたことを特徴とする乗客コンベア用移動手摺の生産管理システム。
【請求項3】
芯体層、表面層及びエンドレス部を持つ熱可塑性エラストマーを使用した乗客コンベア用移動手摺を製造するための生産管理システムであって、
少なくとも芯体層押出し成型装置を持つ第一の生産現場と、
少なくとも表面層押出し成型装置とエンドレス成型装置を持つ第二の生産現場とを有し、
受注データベース、及び前記受注データベースに基づき第二の生産現場で表面層製造指示及びエンドレス製造指示を出す手段を備えたことを特徴とする乗客コンベア用移動手摺の生産管理システム。
【請求項4】
芯体層、表面層及びエンドレス部を持つ熱可塑性エラストマーを使用した乗客コンベア用移動手摺を製造するための生産管理システムであって、
少なくとも芯体層押出し成型装置を持つ第一の生産現場と、
少なくとも表面層押出し成型装置とエンドレス成型装置を持つ第二の生産現場とを有し、
生産計画データベース、前記生産計画データベースに基づき第一の生産現場で芯体層製造指示を出す手段、受注データベース、及び受注データベースに基づき第二の生産現場で表面層製造指示及びエンドレス製造指示を出す手段を備えたことを特徴とする乗客コンベア用移動手摺の生産管理システム。
【請求項5】
芯体層と表面層を持つ熱可塑性エラストマーを使用した乗客コンベア用移動手摺を製造するための生産管理システムであって、
少なくとも芯体層押出し成型装置、表面層押出し成型装置を持つ第一の生産現場と、
少なくとも表面層押出し成型装置を持つ第二の生産現場とを有し、
納期、価格、仕様等で構成される受注データベース、技術力、生産能力等で構成される製造データベース、及び前記データベースをもとに最適表面層押出し生産現場を判定する手段を備えたことを特徴とする乗客コンベア用移動手摺の生産管理システム。
【請求項6】
芯体層と表面層とエンドレス部を持つ熱可塑性エラストマーを使用した乗客コンベア用移動手摺を製造するための生産管理システムであって、
少なくとも芯体層押出し成型装置、表面層押出し成型装置、エンドレス成型装置を持つ第一の生産現場と、
少なくとも表面層押出し成型装置とエンドレス成型装置を持つ第二の生産現場とを有し、
納期、価格、仕様等で構成される受注データベース、技術力、生産能力等で構成される製造データベース、及び前記データベースをもとに最適表面層押出し及びエンドレス生産現場を判定する手段を備えたことを特徴とする乗客コンベア用移動手摺の生産管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−88540(P2006−88540A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−277484(P2004−277484)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【出願人】(591040122)株式会社トーカン (15)
【Fターム(参考)】