説明

乗物用シート

【課題】着座フィーリングを良好に保ちつつ、コンパクトに形成することができる乗物用シートを提供する。
【解決手段】着座部の高さを調整可能な乗物用シートであって、前後方向に延びる本体部30Aと、本体部30Aの後部から上方に向けて突出するシートバックフレーム2の取付部30Bとを有し、着座部の左右のフレームを構成する左右のサイドフレーム30と、左右のサイドフレーム30を昇降させる高さ調整機構と、乗員の操作により高さ調整機構を駆動させる操作ノブ81を有し、左右のサイドフレーム30のうちの一方に固定される操作ユニット8と、左右のサイドフレーム30の本体部30Aの間に配置され、着座部に着座する乗員を支持するシートスプリング4とを備えている。操作ユニット8の操作ノブ81の回動軸81Aは、シートスプリング4よりも後方に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着座部の高さを調整可能な乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、着座部の高さを調整可能な車両用シートなどの乗物用シートが知られている。例えば、特許文献1には、左右のシートフレーム(サイドフレーム)と、サイドフレームの下方に設けられたシートライザーと、サイドフレームとシートライザーの間に介在されたフロントリンクおよびリアリンクとによって4節リンク機構が構成され、一方のサイドフレームに設けられた駆動手段(操作ユニット)を操作することで4節リンク機構が駆動し、サイドフレーム、すなわち着座部が昇降する車両用シートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−265365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、乗物用シートは、コンパクト化が求められている。そのため、ピニオンギヤなど、操作ユニットの4節リンク機構を駆動させるための構成が、着座部に着座した乗員の近くに位置することとなり、着座フィーリングを低下させる可能性があった。
【0005】
そこで、本発明は、着座フィーリングを良好に保ちつつ、コンパクト化することができる乗物用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するための本発明は、着座部の高さを調整可能な乗物用シートであって、前後方向に延びる本体部と、前記本体部の後部から上方に向けて突出するシートバックフレームの取付部とを有し、前記着座部の左右のフレームを構成する左右のサイドフレームと、前記左右のサイドフレームを昇降させる高さ調整機構と、乗員の操作により前記高さ調整機構を駆動させる操作部材を有し、前記左右のサイドフレームのうちの一方に固定される操作ユニットと、前記左右のサイドフレームの前記本体部の間に配置され、前記着座部に着座する乗員を支持する乗員支持部材と、を備え、前記操作ユニットの駆動軸は、前記乗員支持部材よりも後方に配置されたことを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、操作ユニットの駆動軸が乗員支持部材よりも後方に配置されることで、着座部の乗員が着座する部分から操作ユニットの高さ調整機構を駆動させるための構成を遠ざけることができるので、着座フィーリングを良好に保つことができる。また、操作ユニットの駆動軸と乗員支持部材とが上下に重なるように配置される構成と比較して、本体部を上下方向に小型化(薄型化)することが可能となるので、サイドフレームを高さ方向にコンパクト化することが可能となる。
【0008】
前記した乗物用シートにおいて、前記操作ユニットは、全体が前記乗員支持部材よりも後方に配置されていてもよい。
【0009】
このような構成によれば、着座フィーリングをより良好に保つことができる。また、このとき、操作ユニットを取付部にかかるように配置すれば、本体部をより薄型化することが可能となるので、サイドフレームを高さ方向によりコンパクト化することが可能となる。
【0010】
前記した各乗物用シートにおいて、前記乗員支持部材は、前記左右のサイドフレームの前記本体部の間に架け渡されるシートスプリングである構成とすることができる。
【0011】
このような構成によれば、前後方向において操作ユニットとシートスプリングとが重なる範囲が小さいので、シートスプリングの配設位置の自由度を向上させることができる。これにより、着座フィーリングを向上させることが可能となる。
【0012】
前記した乗物用シートにおいて、前記各本体部は、前記シートスプリングの端部が係合する係合部を有し、前記操作ユニットは、全体が前記係合部よりも後方に配置された構成とすることができる。
【0013】
このような構成によれば、前後方向において操作ユニットと係合部とが重なることがないので、係合部の配設位置の自由度を向上させることができる。これにより、着座フィーリングを向上させることが可能となる。
【0014】
前記した乗物用シートにおいて、前記操作ユニットは、径方向外側に向けて突出する板状の固定部を有し、当該固定部を前記係合部に向けた状態で前記サイドフレームに固定されている構成とすることができる。
【0015】
このような構成によれば、径方向外側に向けて突出する固定部が前を向くことになるので、固定部を上や下に向けた状態で固定する構成と比較して、サイドフレームを高さ方向にコンパクト化することが可能となる。
【0016】
前記した乗物用シートにおいて、前記係合部は、前記シートスプリングの端部が挿入される貫通孔を有し、前記操作ユニットは、前記固定部が前記係合部と隣接する位置に固定されている構成とすることができる。
【0017】
このような構成によれば、サイドフレームの剛性が低下する貫通孔の近くに固定部が固定されることで、貫通孔周辺がサイドフレームと板状の固定部との2重壁構造となるため、着座部のフレームの剛性を向上させることができる。
【0018】
前記した各乗物用シートにおいて、前記操作ユニットは、少なくとも一部が前記取付部にかかるように配置された構成とすることができる。
【0019】
このような構成によれば、操作ユニットの少なくとも一部が取付部にかかるように配置されることで、その分、本体部を薄型化することができる。これにより、サイドフレームを高さ方向にコンパクト化することができる。
【0020】
ここで、本発明において、操作部材は、例えば、ダイヤル型であってもよいし、レバー型であってもよい。なお、レバー型の操作部材を採用した場合には、操作ユニットの少なくとも一部が、取付部にかかるようにサイドフレームの後部に配置されることで、レバーの乗員が操作する部分の配設位置の自由度を高めることができる。これにより、操作部材の操作性を向上させることができる。
【0021】
前記した各乗物用シートにおいて、前記操作ユニットの駆動軸は、前記乗員支持部材よりも上方に配置された構成とすることができる。
【0022】
このような構成によれば、操作ユニットが乗員支持部材の真後ろに配置される構成と比較して、操作ユニットを前に寄せて配置することができるので、サイドフレームを前後方向にコンパクト化することができる。
【0023】
前記した本体部が係合部を有する乗物用シートは、前記取付部に設けられた前記シートバックフレームの角度を調整するリクライニング機構を備え、前記操作ユニットは、左右方向から見て、前記リクライニング機構の回動中心と前記係合部の後端部とを結ぶ線上に配置された構成とすることができる。
【0024】
このような構成によれば、リクライニング機構、操作ユニットおよび乗員支持部材を直線上に並べて配置することができるので、サイドフレームを高さ方向にコンパクト化することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、操作ユニットの駆動軸が乗員支持部材よりも後方に配置されることで、着座部の乗員が着座する部分から操作ユニットの高さ調整機構を駆動させるための構成を遠ざけることができるので、着座フィーリングを良好に保つことができる。また、本体部を薄型化することが可能となるので、サイドフレームを高さ方向にコンパクト化することが可能となる。
【0026】
また、本発明によれば、操作ユニットの全体を乗員支持部材よりも後方に配置することで、着座フィーリングをより良好に保つことができる。また、サイドフレームを高さ方向によりコンパクト化することが可能となる。
【0027】
また、本発明によれば、前後方向において操作ユニットとシートスプリングとが重なる範囲が小さいので、シートスプリングの配設位置の自由度を向上させることができ、着座フィーリングを向上させることが可能となる。
【0028】
また、本発明によれば、操作ユニットの全体を係合部よりも後方に配置することで、係合部の配設位置の自由度を向上させることができ、着座フィーリングを向上させることが可能となる。
【0029】
また、本発明によれば、固定部を係合部に向けた状態で操作ユニットを固定することで、サイドフレームを高さ方向にコンパクト化することが可能となる。
【0030】
また、本発明によれば、固定部が係合部と隣接する位置に操作ユニットを固定することで、着座部のフレームの剛性を向上させることができる。
【0031】
また、本発明によれば、操作ユニットの少なくとも一部を取付部にかかるように配置することで、本体部を薄型化することができ、サイドフレームを高さ方向にコンパクト化することができる。
【0032】
また、本発明によれば、操作ユニットの駆動軸を乗員支持部材よりも上方に配置することで、サイドフレームを前後方向にコンパクト化することができる。
【0033】
また、本発明によれば、操作ユニットをリクライニング機構の回動中心と係合部の後端部とを結ぶ線上に配置することで、サイドフレームを高さ方向にコンパクト化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用シートの斜視図である。
【図2】右のサイドフレーム周りを外側から見た側面図である。
【図3】操作ユニット周りの拡大図である。
【図4】右のサイドフレーム周りを内側から見た側面図である。
【図5】フロントリンクと連結パイプの接合を説明するための図(a),(b)である。
【図6】操作ユニットの固定を説明するための図(a),(b)である。
【図7】着座部の高さ調整を説明するための図であり、着座部が最低位置にあるときを示す図(a)と、着座部が最高位置にあるときを示す図(b)である。
【図8】変形例に係る乗物用シートの操作ユニット周りの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明において、前後、左右および上下は、シートに座る乗員を基準とする。
【0036】
図1に示すように、乗物用シートの一例としての車両用シート1は、乗員が着座する着座部の高さを調整可能に構成されており、シートバックのフレームを構成するシートバックフレーム2と、着座部のフレームを構成する着座部フレーム3と、乗員支持部材としてのシートスプリング4と、リンク支持部材としてのスライドレール5と、フロントリンク6と、リアリンク7と、操作ユニット8とを主に備えている。
【0037】
この車両用シート1は、シートバックフレーム2および着座部フレーム3の外側に、ウレタンフォームなどからなるシートクッション(図示省略)を被せることで構成される。
【0038】
着座部フレーム3は、着座部の左右のフレームを構成する略板状の左右のサイドフレーム30と、左右のサイドフレーム30の前部を連結するパンフレーム39とを主に備えている。各サイドフレーム30およびパンフレーム39は、それぞれ、金属板をプレス加工するなどして形成されている。
【0039】
なお、本実施形態おいては、操作ユニット8を左右いずれのサイドフレーム30にも取り付けることができるように、一対のサイドフレーム30は左右対称に形成されている。しかし、本発明はこれに限定されず、操作ユニット8が固定される右のサイドフレーム30と、操作ユニット8が固定されない左のサイドフレーム30とは、互いの形状が異なっていてもよい。具体的には、例えば、左のサイドフレーム30は、後述する保護壁36を有しない構成であってもよい。
【0040】
図2に示すように、サイドフレーム30は、略前後方向に延びる本体部30Aと、本体部30Aの後部から後斜め上方に向けて突出する取付部30Bとを主に有して構成されている。本実施形態において、サイドフレーム30は、本体部30Aと取付部30Bとが一体に(一部品として)形成されている。
【0041】
取付部30Bには、シートバックフレーム2の角度を調整するための公知のリクライニング機構9が設けられており、このリクライニング機構9を介して、取付部30B(着座部フレーム3の後部)にシートバックフレーム2が取り付けられている。
【0042】
本実施形態において、サイドフレーム30は、全体として凹凸面を有している。より具体的に、サイドフレーム30は、操作ユニット8が固定される固定壁31と、固定壁31の周囲に設けられた補強部としてのフランジ部32と、リンク取付凹部33とを有している。
【0043】
固定壁31は、本体部30Aの前部から後端に向けて略前後方向に沿って延び、その後部で取付部30Bの下側部分にかかるように上方に向けて突出するような形状をなしている。この固定壁31は、係合部34と、位置決め孔35(図3参照)と、保護壁36(図4参照)とを主に有している。
【0044】
フランジ部32は、固定壁31の周囲で固定壁31に対して左右方向外側に向けて突出してサイドフレーム30の上下の縁部に沿って延びるように設けられている。上下の各フランジ部32は、断面視においてそれぞれ略U形状をなしている(図5(a)参照)。
【0045】
なお、本実施形態において、サイドフレーム30の上下の縁部に設けられたフランジ部32と、サイドフレーム30(本体部30A)の前端部と、サイドフレーム30(取付部30Bの上部を含む)の後端部とは、面一な連続した面(後述する切れ目部を除く。)となっている。このため、リクライニング機構9は、操作ユニット8が固定される固定壁31に対して左右方向外側に向けて突出した面に取り付けられている。
【0046】
フランジ部32は、サイドフレーム30の上縁部の本体部30Aと取付部30Bとが連結する部分と、本体部30Aの下縁部の前後方向中央よりやや前側の部分において部分的に切れる、上側切れ目部32Aと、下側切れ目部32Bとを有している。上側切れ目部32Aと下側切れ目部32Bは、固定壁31と面一となっている。
【0047】
リンク取付凹部33は、本体部30Aの前後方向中央よりもやや前側の部分に設けられた、固定壁31に対して左右方向内側に向けて凹む凹部である。このリンク取付凹部33は、側面視において略円形状をなしており、その一部が下側切れ目部32Bにかかるように設けられている。これにより、例えば、下側切れ目部32Bが設けられていない上下のフランジ部32の間にリンク取付凹部33を設けるような構成と比較して、サイドフレーム30(本体部30A)を高さ方向にコンパクト化することができる。
【0048】
このリンク取付凹部33の底壁の左右方向内側には、フロントリンク6が連結されている。
【0049】
以上のように、サイドフレーム30が全体として凹凸面を有することで、サイドフレーム30の剛性を向上させることができる。また、本実施形態では、フランジ部32が断面略U形状をなしているので、例えば、サイドフレーム30の周縁部を左右方向外側に向けて1回折り曲げただけのような構成と比較して、サイドフレーム30の剛性をより向上させることができる。
【0050】
そして、このように剛性が向上したサイドフレーム30のリンク取付凹部33の底壁にフロントリンク6が連結されることで、フロントリンク6の動作を安定させることができる。同様のことは、リアリンク7やリクライニング機構9についてもいうことができるので、後述する着座部の高さ調整動作や、シートバックフレーム2の角度調整動作の安定性も向上させることができる。
【0051】
次に、固定壁31に設けられた係合部34、位置決め孔35および保護壁36の詳細について説明する。
【0052】
係合部34は、サイドフレーム30にシートスプリング4を取り付けるための構成であり、固定壁31(本体部30A)の上側切れ目部32Aの前端部の下方および下側切れ目部32Bの後端部の上方に1つずつ設けられている。図3に示すように、係合部34は、固定壁31に対して左右方向内側に向けて凹む凹形状に形成され(図6(a)も参照)、その底部に2つの貫通孔34Aを有している。シートスプリング4は、その端部が貫通孔34Aに挿入されることで係合部34に係合する。
【0053】
位置決め孔35は、サイドフレーム30に対する操作ユニット8の位置を決めるための側面視略円形状の貫通孔であり、固定壁31の後部、より具体的には、後側の係合部34の後方に2つ設けられている。この位置決め孔35の詳細については後述する。
【0054】
図4に示すように、保護壁36は、固定壁31の後部(後側の係合部34の後方)から左右方向内側に向けて延出する略カップ状の部分であり、固定壁31と一体に設けられている。この保護壁36は、固定壁31と略平行な底壁部36Aと、固定壁31と底壁部36Aとを連結する連結壁部36Bとを有している。
【0055】
底壁部36Aは、後述する、ピニオンギヤ82の全体と、当該ピニオンギヤ82とセクタギヤ71とが噛み合う部分とを左右方向内側から覆うように形成されている。また、連結壁部36Bは、ピニオンギヤ82の周囲に沿って、ピニオンギヤ82の後斜め上方から前斜め下方までを覆うように設けられ、これにより、ピニオンギヤ82とセクタギヤ71とが噛み合う部分を上から覆うように形成されている。
【0056】
このように、保護壁36がピニオンギヤ82とセクタギヤ71とが噛み合う部分を覆うことで、ピニオンギヤ82とセクタギヤ71の間に異物が入り込んで挟まることを抑制することができる。特に、本実施形態では、噛み合う部分を上から覆っているので、異物がピニオンギヤ82の歯やセクタギヤ71の歯に落ち込みにくくなっており、異物が入り込んで挟まることをより確実に抑制することができる。
【0057】
また、本実施形態では、保護壁36がサイドフレーム30に一体に設けられていることで、保護壁36と同様の機能を有する別部品をサイドフレーム30に取り付ける必要がなくなるので、部品点数の削減や組み付け作業性の向上を図ることができる。
【0058】
図1に示すように、シートスプリング4は、着座部に着座する乗員を支持する部材であり、左右のサイドフレーム30(本体部30A)の間に配置されている。より詳細に、本実施形態において、シートスプリング4は、その一端部が一方のサイドフレーム30の係合部34に係合し、他端部が他方のサイドフレーム30の係合部34に係合することで、左右のサイドフレーム30の本体部30Aの間に架け渡されるように配置されている。
【0059】
スライドレール5は、着座部フレーム3(着座部)を前後に移動させるための公知の構成であり、サイドフレーム30(着座部フレーム3)の下方に設けられている。このスライドレール5は、ロアレール51と、アッパーレール52とから主に構成されている。
【0060】
ロアレール51は、前後に長く延びた形状を有しており、左右に所定の間隔をあけて2つ設けられている。各ロアレール51は、車両(乗物)の床に固定される。
【0061】
アッパーレール52は、前後に長く延びた形状を有し、ロアレール51に対して前後にスライド移動可能に係合している。このアッパーレール52の上端には、フロントリンク6やリアリンク7の後述するストッパ部62,72,73が当接する略前後方向に延びる平面状の被当接面52Aと、フロントリンク6およびリアリンク7を回動可能に支持する側面視略三角形状のリンク支持部52Bとがそれぞれ設けられている。
【0062】
アッパーレール52は、フロントリンク6およびリアリンク7を介して着座部フレーム3と接続されており、これにより、着座部をロアレール51が固定される車両の床に対して前後にスライド移動させることができるようになっている。
【0063】
図4に示すように、フロントリンク6およびリアリンク7は、それぞれ、サイドフレーム30およびアッパーレール52(スライドレール5)に対して回動可能に接続されることで、サイドフレーム30およびスライドレール5とともに高さ調整機構としての4節リンク機構を構成している。そして、この4節リンク機構により、左右のサイドフレーム30(着座部)をスライドレール5(車両の床)に対して昇降させることができるようになっている。
【0064】
より詳細に、フロントリンク6は、左右に1つずつ設けられ(一方のみ図示)、それぞれ、図示後端がピン91により、サイドフレーム30(本体部30A)の前部に節点を形成するようにリンク取付凹部33の底壁に連結されている。ピン91は、フロントリンク6を回転可能に軸支しており、これにより、フロントリンク6がサイドフレーム30に対して回動可能となっている。
【0065】
また、フロントリンク6の図示前端は、ピン92によりアッパーレール52の前側のリンク支持部52Bに節点を形成するように連結されている。ピン92は、フロントリンク6を回転可能に軸支しており、これにより、フロントリンク6がスライドレール5に対して回動可能となっている。
【0066】
図5(a),(b)に示すように、各フロントリンク6の外周縁には、凹部61と、ストッパ部62とが一体に設けられている。
【0067】
凹部61は、連結部材としての連結パイプ65の端部が係合可能な凹部であり、左右方向から見て、略円弧状をなしている。左右のフロントリンク6は、略円筒状の連結パイプ65の端部が凹部61に係合した状態で連結パイプ65と溶接されることで、一方のサイドフレーム30から他方のサイドフレーム30に向けて延びる連結パイプ65によって互いに連結されている。なお、本願の図面においては、溶接した箇所をドットによるハッチングを付して示している。
【0068】
以上のような連結のための構成によれば、フロントリンク6の外周縁に設けられた凹部61に連結パイプ65を置くように配置し、取り付けることが可能となるので、フロントリンク6と連結パイプ65との組み付け作業性を向上させることができる。特に、本実施形態では、略円筒状の連結パイプ65と側面視略円弧状の凹部61との係合となるため、連結パイプ65とフロントリンク6との位置合わせが容易となり、組み付け作業性をより向上させることができる。
【0069】
また、連結パイプ65を凹部61に置くように配置できることで、車両用シート1を組み立てるときのフロントリンク6や連結パイプ65の組み付け順に自由度が生じるため、車両用シート1の組み立て作業性を向上させることが可能となる。
【0070】
以下、凹部61についてさらに説明する。
フロントリンク6が図5(b)に示す姿勢にあるとき、凹部61は、フロントリンク6の外周縁のうちの上側で、上方に向けて開口するように設けられている。より詳細に、凹部61は、フロントリンク6の外周縁のうち、フロントリンク6のサイドフレーム30側の回動軸であるピン91と、スライドレール5側の回動軸であるピン92との間で、左右のフロントリンク6のサイドフレーム30側の回動中心とスライドレール5側の回動中心とを結ぶ面PL2の上側の空間に向けて開口するように形成されている。
【0071】
これにより、凹部61に連結パイプ65を置くことができるので、フロントリンク6と連結パイプ65との組み付け作業性をより確実に向上させることができる。また、凹部61がピン91,92の間に形成されていることで、例えば、凹部61を設けるために、フロントリンク6にピン91の後方に向けて突出するような部位を設ける必要がないため、フロントリンク6の小型化やその構成の簡略化を図ることができる。
【0072】
さらに述べると、凹部61は、その開口縁部61Aが連結パイプ65と係合する部分よりも凹部61の外側に向けて広がるように形成されている。これにより、凹部61に対して連結パイプ65を係合させやすくなるので、フロントリンク6と連結パイプ65との組み付け作業性をさらに向上させることができる。
【0073】
本実施形態において、連結パイプ65は、凹部61の内周壁に沿って溶接されている。これにより、溶接により一体化された連結パイプ65と左右一対のフロントリンク6との連結強度を向上させることができるため、4節リンク機構の駆動に伴ってフロントリンク6にかかる荷重の方向が変化した場合でも、その変化の影響を受けにくくすることができる。
【0074】
なお、略円筒状の連結パイプ65と側面視略円弧状の凹部61とを、係合する範囲の全範囲にわたって溶接すると、連結パイプ65と左右一対のフロントリンク6とをより強固に連結することができるのでより望ましい。
【0075】
ストッパ部62は、アッパーレール52の被当接面52Aに当接することで、リアリンク7の後述する第2ストッパ部73とともに、4節リンク機構の駆動を規制する部位である。このストッパ部62は、フロントリンク6の外周縁のうち、前記した面PL2を基準として、凹部61が設けられた図示上側とは反対側の図示下側、具体的には、フロントリンク6が図5(b)に示す姿勢にあるときのピン91の下側において下方に向けて突出するように設けられている。
【0076】
このように、ストッパ部62と凹部61とが互いに離れて設けられていることで、ストッパ部62が被当接面52Aに当接したときにかかる荷重の影響が凹部61に係合する連結パイプ65にかかることを低減することができる。これにより、連結パイプ65の変形などを抑制することができる。
【0077】
図4に示すように、リアリンク7は、左右に1つずつ設けられ(一方のみ図示)、それぞれ、図示後端がピン93により、サイドフレーム30(本体部30A)の後部に節点を形成するように固定壁31の左右方向内側に連結されている。ピン93は、リアリンク7を回転可能に軸支しており、これにより、リアリンク7がサイドフレーム30に対して回動可能となっている。
【0078】
また、リアリンク7の図示前端は、ピン94によりアッパーレール52の後側のリンク支持部52Bに節点を形成するように連結されている。ピン94は、リアリンク7を回転可能に軸支しており、これにより、リアリンク7がスライドレール5に対して回動可能となっている。
【0079】
右のリアリンク7Rの外周縁には、セクタギヤ71と、ストッパ部(第1ストッパ部72および第2ストッパ部73)とが一体に設けられている。なお、本実施形態において、左のリアリンク7Lの外周縁には、セクタギヤ71と第1ストッパ部72は設けられておらず、第2ストッパ部73だけが一体に設けられている(図1参照)。
【0080】
セクタギヤ71は、操作ユニット8に設けられたピニオンギヤ82と噛み合って、ピニオンギヤ82の回動により4節リンク機構を駆動させるギヤであり、リアリンク7Rが図4に示す姿勢にある状態で、リアリンク7Rの後端の上面部に形成されている。セクタギヤ71の各ギヤ歯は、リアリンク7Rのサイドフレーム30側の回動軸であるピン93を中心とする略円弧上に配置されている。
【0081】
第1ストッパ部72および第2ストッパ部73は、アッパーレール52の被当接面52Aに当接することで4節リンク機構の駆動範囲を規制する部位である。より詳細に、第1ストッパ部72は、左右のサイドフレーム30(着座部)が最高位置にあるときに、被当接面52Aに当接して4節リンク機構の駆動を規制する部位(図7(b)参照)であり、第2ストッパ部73は、着座部が最低位置にあるときに、被当接面52Aに当接して4節リンク機構の駆動を規制する部位である。
【0082】
第1ストッパ部72は、リアリンク7Rが図4に示す姿勢にあるとき、リアリンク7Rのピン94を支持する部分付近から前方に向けて突出する部位であり、ピン94を基準として、セクタギヤ71が設けられた後端側とは反対側のリアリンク7Rの前端側に設けられている。この第1ストッパ部72の端面(前端面)は、着座部が最高位置にあるときに被当接面52Aに当接する第1当接面72Aとなっている。
【0083】
図7(b)に示すように、第1ストッパ部72の第1当接面72Aは、被当接面52Aに当接したときの前端部が操作ユニット8の後述する操作ノブ81(操作部材)の回動軸81Aよりも前方に位置し、被当接面52Aに当接したときの後端部における被当接面52Aの法線L1が操作ユニット8を通るように設けられている。
【0084】
図4に戻り、第2ストッパ部73は、リアリンク7が図4に示す姿勢にあるとき、リアリンク7のピン93,94の間から下方に向けて突出する部位であり、ピン93,94(ピン93の回動中心とピン94の回動中心とを結ぶ面PL3)を基準として、セクタギヤ71が設けられた上面側とは反対側のリアリンク7の下面側に設けられている。この第2ストッパ部73の端面(下端面)は、着座部が最低位置にあるときに被当接面52Aに当接する第2当接面73Aとなっている。
【0085】
なお、本実施形態において、リアリンク7Rのスライドレール5側の回動軸であるピン94は、前後方向において第1ストッパ部72と第2ストッパ部73との間に設けられている。
【0086】
第2ストッパ部73の第2当接面73Aは、被当接面52Aに当接したときの後端部が操作ノブ81の回動軸81Aよりも後方に位置し、被当接面52Aに当接したときの前端部における被当接面52Aの法線L2が操作ユニット8を通るように設けられている。
【0087】
図1に示すように、左右のリアリンク7は、略円筒状の連結パイプ75によって互いに連結されている。なお、本実施形態において、リアリンク7と連結パイプ75とは、従来どおり、リアリンク7に設けられた側面視略円形状の貫通孔に連結パイプ75の端部を挿入し、溶接することによって接合されている。しかし、本発明はこれに限定されず、リアリンク7も、前記したフロントリンク6と同様の構成を採用して互いに連結してもよい。
【0088】
操作ユニット8は、乗員の操作によって4節リンク機構を駆動させ、着座部の高さを調整するための部材であり、左右のサイドフレーム30のうちの、右のサイドフレーム30の左右方向外側の面の後部に固定されている。操作ユニット8の詳細な配置については後述する。
【0089】
この操作ユニット8は、図3に示すように、板状の台座部80と、操作部材としての操作ノブ81と、ピニオンギヤ82(図4参照)と、固定部83とを主に有して構成されている。
【0090】
操作ノブ81は、台座部80に対して回動可能に支持され、固定壁31の左右方向外側の面から外側に向けて突出するように設けられている。なお、図示は省略するが、この操作ノブ81は、公知の構成によって、台座部80に対してフリクションを持って回転するようになっている。
【0091】
図4に示すように、ピニオンギヤ82は、台座部80に対し操作ノブ81と同軸で操作ノブ81の操作により共に回動するように支持され、固定壁31の左右方向内側に設けられている。このピニオンギヤ82は、リアリンク7Rのセクタギヤ71と噛み合っている。このような構成により、操作ノブ81を回動させることで、ピニオンギヤ82が回動し、4節リンク機構を駆動させて着座部の高さを調整することができるようになっている。
【0092】
図3に戻り、固定部83は、台座部80から径方向外側に向けて突出する略三角形板状の部位であり、本実施形態においては2つ設けられている。より詳細に、2つの固定部83のうち、一方は、操作ノブ81の回動軸81Aを挟んで他方とは反対側に向けて突出して設けられている。
【0093】
各固定部83には、サイドフレーム30に対する固定部83(操作ユニット8)の位置を決めるための側面視略円形状の位置決め孔83A(貫通孔)が1つずつ設けられている。この合計2つの位置決め孔83Aは、サイドフレーム30に設けられた2つの位置決め孔35と重なり合うように、各固定部83の先端部83B付近に設けられている。
【0094】
本実施形態において、固定部83の位置決め孔83Aの径は、後述する位置決め用のピンP(図6(a)参照)の円筒部(位置決め孔83Aに挿入される部分)の径と略同一となっている。また、サイドフレーム30の位置決め孔35の径は、固定部83の位置決め孔83Aの径よりも大きく形成されている。位置決め孔35の詳細な大きさの程度については後述する。
【0095】
操作ユニット8は、サイドフレーム30に設けられた凹部の底壁、具体的には、フランジ部32などに対して左右方向内側に向けて凹む固定壁31に取り付けられている。これにより、左右方向外側への操作ユニット8の突出量を小さくできるので、着座部を左右方向に小型化することができ、車両用シート1のコンパクト化を図ることができる。
【0096】
また、操作ユニット8が固定壁31(凹部の底壁)に取り付けられていることで、例えば、取付部30Bのリクライニング機構9が取り付けられた面と面一となる面に操作ユニット8を取り付ける構成と比較して、ピニオンギヤ82の回転軸の長さを短くすることができる。これにより、ピニオンギヤ82の回転軸にかかる荷重の影響を低減することができる。
【0097】
この操作ユニット8は、固定壁31(サイドフレーム30)に対して溶接により固定されている。これにより、操作ユニット8をサイドフレーム30に対して強固に固定することができるので、例えば、車両が追突された場合などの操作ユニット8の耐衝撃性を高めることができる。
【0098】
さらに述べると、操作ユニット8は、固定部83がサイドフレーム30に溶接されることで、サイドフレーム30に固定されている。これにより、操作ユニット8とサイドフレーム30を、可動部分である操作ノブ81などから離れた位置で溶接できるので、溶接時に生じるスパッタや熱などの影響を抑制することができる。
【0099】
なお、本実施形態では、固定部83が2つ設けられているので、サイドフレーム30に対する操作ユニット8の固定強度がより向上し、操作ユニット8のより安定した固定が可能となっている。
【0100】
以下、操作ユニット8の配置について詳細に説明する。
本実施形態において、操作ユニット8は、駆動軸としての操作ノブ81の回動軸81Aがシートスプリング4よりも後方に配置されている。これにより、着座部の乗員が着座する部分から操作ユニット8の4節リンク機構を駆動させるための構成であるピニオンギヤ82などを遠ざけることができるので、着座フィーリングを良好に保つことができる。
【0101】
特に、本実施形態では、操作ユニット8は、その全体が後側の係合部34よりも後方に配置されているので、前後方向において操作ユニット8と係合部34とが重なることがない。そのため、係合部34の上下方向における配設位置の自由度を向上させることができるので、係合部34に係合されるシートスプリング4の配置の自由度が向上し、着座フィーリングを向上させることが可能となっている。
【0102】
なお、本実施形態では、乗員支持部材(着座部に着座する乗員を支持する部材)としてシートスプリング4を採用しており、前後方向において操作ユニット8とシートスプリング4とが重なる範囲が小さくなっているので、シートスプリング4自身の配設位置の自由度も向上している。これによっても、着座フィーリングを向上させることが可能となる。
【0103】
また、操作ノブ81の回動軸81Aがシートスプリング4の後方に配置されていることで、回動軸81Aとシートスプリング4とが上下に重なるように配置される構成と比較して、本体部30Aを上下方向に小型化(薄型化)することが可能となるので、サイドフレーム30を高さ方向にコンパクト化することができる。
【0104】
また、操作ユニット8は、一方の固定部83を係合部34に向けた状態、すなわち、2つの固定部83を略前後方向に向けた状態でサイドフレーム30に固定されている。これにより、固定部83を上下方向に向けた状態で固定する構成と比較して、サイドフレーム30を高さ方向にコンパクト化することができる。
【0105】
また、操作ユニット8は、その上部が取付部30Bの下側部分にかかるように、本体部30Aに対して上側に寄せられて配置されている。これにより、本体部30Aを薄型化することができるので、サイドフレーム30を高さ方向にコンパクト化することができる。
【0106】
また、操作ユニット8は、左右方向から見て、リクライニング機構9の回動中心と後側の係合部34の後端部とを結ぶ線L3上に配置されている。これにより、リクライニング機構9、操作ユニット8および後側の係合部34(シートスプリング4)を直線上に並べて配置することができるので、サイドフレーム30を高さ方向にコンパクト化することができる。
【0107】
また、図2に示すように、操作ユニット8は、操作ノブ81の回動軸81Aが、フロントリンク6のサイドフレーム30側の回動中心であるピン91と、リアリンク7のサイドフレーム30側の回動中心であるピン93とを結ぶ面PL1よりも上側に配置されている。これにより、操作ユニット8が4節リンク機構の駆動範囲よりも上方に配置されることになるので、フロントリンク6やリアリンク7の動作を阻害することなく、サイドフレーム30を高さ方向にコンパクト化することができる。
【0108】
また、図3に示すように、操作ユニット8は、その上部の前側部分が上側切れ目部32Aにかかるように配置されている。これにより、例えば、上側切れ目部32Aが設けられていない上下のフランジ部32の間に操作ユニット8が取り付けられる構成と比較して、サイドフレーム30を高さ方向にコンパクト化することができる。
【0109】
なお、本実施形態において、操作ユニット8は、前側の固定部83が上側切れ目部32Aにかかるように延出する姿勢で固定されているので、前側の固定部83が上側切れ目部32Aにかからない姿勢で固定される場合と比較して、操作ユニット8をより上方に配置することが可能となっている。これにより、サイドフレーム30のさらなるコンパクト化が可能となる。
【0110】
また、操作ユニット8は、左右方向から見て、後側の固定部83の最も突出した部位である先端部83Bがリクライニング機構9の回動中心と操作ノブ81の回動中心とを結ぶ線L4上を避けて当該線L4よりも下側に配置され、前側の固定部83の先端部83Bが後側の係合部34の後端部と操作ノブ81の回動中心とを結ぶ線L5上を避けて当該線L5よりも上側に配置されている。これにより、上下方向においてリクライニング機構9、操作ユニット8および後側の係合部34を近づけて配置することが可能となるので、サイドフレーム30を上下方向にコンパクト化することができる。
【0111】
また、操作ユニット8は、操作ノブ81の回動軸81Aがシートスプリング4よりも上方に配置されている。これにより、操作ユニット8がシートスプリング4の真後ろに配置される構成と比較して、操作ユニット8を前に寄せて配置することができるので、サイドフレーム30を前後方向にコンパクト化することができる。
【0112】
また、操作ユニット8は、前側の固定部83が後側の係合部34、より詳細には、係合部34(サイドフレーム30)に設けられた貫通孔34Aと隣接する位置に固定されている。貫通孔34Aの周辺ではサイドフレーム30の剛性が低下することとなるが、この貫通孔34Aの近くに固定部83が固定されることで、貫通孔34Aの周辺が固定壁31と板状の固定部83との2重壁構造となるため、着座部フレーム3全体の剛性を向上させることができる。
【0113】
また、操作ユニット8は、リクライニング機構9と隣接するように、リクライニング機構9の前斜め下方であって、リクライニング機構9が取り付けられる取付部30Bの前端部よりも後方の位置にかかるように取り付けられている。操作ユニット8およびリクライニング機構9は、いずれも剛性の高い部材であるため、これらが近くに配置されることで、サイドフレーム30全体としての剛性を向上させることができる。また、これにより、操作ユニット8を操作したときの着座部の高さ調整動作や、リクライニング機構9を操作したときのシートバックフレーム2の角度調整動作の安定性を向上させることができる。
【0114】
なお、本実施形態では、前側の固定部83の溶接部W1が係合部34の近くに位置し、後側の固定部83の溶接部W2がリクライニング機構9の近くに位置しているので、サイドフレーム30の剛性をより向上させることができるようになっている。
【0115】
図2に鎖線で示すように、操作ユニット8が取り付けられる右のサイドフレーム30には、リクライニング機構9を操作するための操作レバー9Lが設けられている。この操作レバー9Lは、左右方向外側から見て、リクライニング機構9の前部から略前斜め下方に向けて延びるように設けられており、その一部が操作ノブ81の回動軸81Aと重なるように、操作ノブ81の左右方向外側に配置されている。これにより、操作レバー9Lの左右方向内側のスペースを有効に活用することが可能となるので、車両用シート1のコンパクト化が可能となる。
【0116】
また、図示は省略するが、本実施形態において、操作ノブ81には、操作ノブ81を回動させるためのハイト機構操作レバーが設けられている。このハイト機構操作レバーは、操作ノブ81の前部から、サイドフレーム30と操作レバー9Lとの間を通って、略前方に向けて延びるように設けられている。
【0117】
本実施形態において、操作ユニット8はサイドフレーム30の後部に配置されているので、ハイト機構操作レバーの乗員が操作する部分の配置の自由度を高めることができる。これにより、乗員がより操作しやすい位置にハイト機構操作レバーを配設することが可能となるので、操作ノブ81の操作性を向上させることができる。
【0118】
次に、以上説明した車両用シート1の製造方法、より具体的には、車両用シート1の製造工程中におけるサイドフレーム30への操作ユニット8の固定について説明する。
【0119】
操作ユニット8をサイドフレーム30に固定するとき、まず、図6(a)に示すように、固定部83の位置決め孔83Aと、リアリンク7Rが連結されたサイドフレーム30の位置決め孔35に、仮止め用のピンPを挿入し、サイドフレーム30に対して操作ユニット8を仮止めする(仮止め工程)。これにより、図6(b)に示すように、操作ユニット8のピニオンギヤ82と、リアリンク7Rのセクタギヤ71とが互いに噛み合うこととなる。
【0120】
本実施形態においては、前記したとおり、位置決め孔83Aの径がピンPの円筒部の径と略同一であり、位置決め孔35の径が位置決め孔83Aの径よりも大きくなっている。これにより、操作ユニット8は、サイドフレーム30に対して固定壁31の面方向に若干の遊びを持った状態で仮止めされることとなる。その結果、操作ユニット8を矢印で示す方向に押し付けることで、ピニオンギヤ82をセクタギヤ71に押し付けることができるようになっている。
【0121】
そして、本実施形態の製造方法においては、ピニオンギヤ82をセクタギヤ71に押し付けながら、操作ユニット8の固定部83とサイドフレーム30の固定壁31とを溶接トーチTによって溶接し、操作ユニット8をサイドフレーム30に固定する(固定工程)。
【0122】
以上のような操作ユニット8の固定によれば、ピニオンギヤ82の歯とセクタギヤ71の歯との隙間を詰めることができるので、ピニオンギヤ82とセクタギヤ71のがたつきを抑制することができる。これにより、例えば、車両が追突されるなどして、車両用シート1に衝撃が加わった場合でも、リアリンク7の回動を抑制することができるので、4節リンク機構が駆動することによる着座部の沈み込みを抑制することができる。
【0123】
以上より、本発明において、位置決め孔35の大きさは、ピニオンギヤ82の歯とセクタギヤ71の歯との隙間を調整可能なくらい大きく、また、ピンPにより操作ユニット8をサイドフレーム30に対して仮止めすることができる程度に小さいことが望ましい。すなわち、位置決め孔35の大きさが位置決め孔83Aとほぼ同じであると、ピニオンギヤ82の歯とセクタギヤ71の歯との隙間を調整することが難しくなるし、位置決め孔35の大きさがあまりにも大きいと、仮止め時に操作ユニット8がサイドフレーム30から脱落してしまうからである。
【0124】
最後に、車両用シート1について、高さ調整を行うときの動作について説明する。
図7(a)に示すように、サイドフレーム30が最低位置にあるときに、乗員が操作ノブ81を操作してピニオンギヤ82を図の時計回り方向に回動させると、ピニオンギヤ82と噛み合うリアリンク7Rのセクタギヤ71がピン93を中心として図の反時計回り方向に回動する。これにより、連結パイプ75によって連結された左右のリアリンク7が前方に向けて立ち上がることとなる。
【0125】
そして、これ連動して、リアリンク7、スライドレール5およびサイドフレーム30とともに4節リンク機構を構成するフロントリンク6も前方に向けて立ち上がるので、図7(b)に示すように、サイドフレーム30が上方へ移動することとなる。これにより、サイドフレーム30の位置を高くすることができる。その後、リアリンク7Rの外周縁に設けられた第1ストッパ部72の第1当接面72Aが、スライドレール5の被当接面52Aに当接することで、4節リンク機構の駆動が規制され、サイドフレーム30は最高位置に到達する。
【0126】
図7(b)に示すサイドフレーム30が最高位置にあるときに、乗員が操作ノブ81を操作してピニオンギヤ82を図の反時計回り方向に回動させると、ピニオンギヤ82と噛み合うリアリンク7Rのセクタギヤ71がピン93を中心として図の時計回り方向に回動する。これにより、左右のリアリンク7が後方に向けて倒れることとなる。
【0127】
そして、これ連動して、フロントリンク6も後方に向けて倒れるので、図7(a)に示すように、サイドフレーム30が下方へ移動することとなる。これにより、サイドフレーム30の位置を低くすることができる。その後、フロントリンク6の外周縁に設けられたストッパ部62と、リアリンク7の外周縁に設けられた第2ストッパ部73の第2当接面73Aが、被当接面52Aに当接することで、4節リンク機構の駆動が規制され、サイドフレーム30は最低位置に到達する。
【0128】
本実施形態においては、サイドフレーム30を昇降させるためのリアリンク7Rにセクタギヤ71とストッパ部72,73を一体に設け、フロントリンク6およびリアリンク7Lにストッパ部62,73を一体に設けたので、ストッパを別部品として設ける必要がない。これにより、部品点数を削減することができるとともに、車両用シート1の組み立て作業性を向上させることができる。また、リンク6,7の外周縁にストッパ部62,72,73を一体に設けたことで、ストッパ構造を簡略化・小型化することができるので、車両用シート1の小型化を図ることが可能となる。
【0129】
特に、リアリンク7Rは、第1ストッパ部72と第2ストッパ部73を有するので、最高位置および最低位置の両方において、4節リンク機構の駆動を確実に規制することができ、いずれの位置においても着座部を安定して支持することができる。
【0130】
なお、本実施形態においては、ストッパ部62,72,73が当接する相手として、4節リンク機構を構成するスライドレール5を利用したので、ストッパ部62,72,73が当接する別の部品を設ける必要がないため、部品点数を削減することができる。また、これにより、車両用シート1の組み立て作業性を向上させることができる。
【0131】
また、本実施形態においては、ピン94が第1ストッパ部72と第2ストッパ部73との間に設けられているので、4節リンク機構の可動範囲、すなわち、調整可能な着座部の高さの範囲を大きくしつつ、被当接面52Aに当接したときには着座部を安定して支持することができる。
【0132】
また、図7(b)に示すように、第1当接面72Aの前端部が操作ノブ81の回動軸81Aよりも前方に位置し、図7(a)に示すように、第2当接面73Aの後端部が回動軸81Aよりも後方に位置しているので、回動軸81Aは、前後方向において第1当接面72Aの前端部と第2当接面73Aの後端部との間に位置することになる。これにより、回動軸81Aからピニオンギヤ82、セクタギヤ71およびリアリンク7Rを通って被当接面52Aに伝達される力の経路の長さの差を小さくすることができ、着座部をより安定して支持することができる。
【0133】
さらに、図7(b)に示す第1当接面72Aの後端部における被当接面52Aの法線L1と、図7(a)に示す第2当接面73Aの前端部における被当接面52Aの法線L2とが、いずれも操作ユニット8を通るので、言い換えると、操作ユニット8は、各当接面72A,73Aの上方に位置することになる。これにより、回動軸81Aからリアリンク7Rを通って被当接面52Aに伝達される力の経路を短くすることができ、着座部をより安定して支持することができる。
【0134】
なお、本実施形態においては、第1ストッパ部72がピン94を基準としてセクタギヤ71が設けられた後端側とは反対側の前端側に設けられ、第2ストッパ部73がピン93,94(面PL3)を基準としてセクタギヤ71が設けられた上面側とは反対側の下面側に設けられているため、各ストッパ部72,73は、セクタギヤ71と離れて設けられることとなる。これにより、各ストッパ部72,73が被当接面52Aに当接したときにかかる荷重の影響が、セクタギヤ71に及ぶことを低減することができるので、4節リンク機構を良好に駆動させることが可能となる。
【0135】
以上によれば、本実施形態において以下のような作用効果を得ることができる。
操作ユニット8の操作ノブ81の回動軸81Aがシートスプリング4よりも後方に配置されたので、着座部の乗員が着座する部分から操作ユニット8のピニオンギヤ82などを遠ざけることができ、着座フィーリングを良好に保つことができる。また、回動軸81Aとシートスプリング4とが上下に重なるように配置される構成と比較して、本体部30Aを薄型化することが可能となるので、サイドフレーム30を高さ方向にコンパクト化することができる。
【0136】
乗員支持部材がシートスプリング4であるため、前後方向において操作ユニット8とシートスプリング4とが重なる範囲が小さくなり、シートスプリング4の配設位置の自由度を向上させることができる。これにより、着座フィーリングを向上させることが可能となる。
【0137】
操作ユニット8の全体が係合部34よりも後方に配置されたので、前後方向において操作ユニット8と係合部34とが重なることがないため、係合部34の配設位置の自由度を向上させることができる。これにより、シートスプリング4の配置の自由度が向上するので、着座フィーリングを向上させることが可能となる。
【0138】
操作ユニット8が固定部83を係合部34に向けた状態でサイドフレーム30に固定されているので、サイドフレーム30を高さ方向にコンパクト化することが可能となる。
【0139】
操作ユニット8の板状の固定部83が貫通孔34Aを有する係合部34と隣接する位置に固定されているので、貫通孔34Aの周辺を2重壁構造とすることができ、着座部フレーム3の剛性を向上させることができる。
【0140】
操作ユニット8の上部が取付部30Bにかかるように配置されたので、その分、本体部30Aを薄型化することができ、サイドフレーム30を高さ方向にコンパクト化することができる。また、操作ユニット8がサイドフレーム30の後部に配置されることで、ハイト機構操作レバーの乗員が操作する部分の配設位置の自由度を高めることができ、操作ノブ81の操作性を向上させることができる。
【0141】
操作ユニット8の操作ノブ81の回動軸81Aがシートスプリング4よりも上方に配置されたので、操作ユニット8を前に寄せて配置することができ、サイドフレーム30を前後方向にコンパクト化することができる。
【0142】
操作ユニットがリクライニング機構9の回動中心と係合部34の後端部とを結ぶ線L3上に配置されたので、リクライニング機構9、操作ユニット8およびシートスプリング4を直線上に並べて配置することができ、サイドフレーム30を高さ方向にコンパクト化することができる。
【0143】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0144】
前記実施形態では、フランジ部32(補強部)が断面視略U形状をなしていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、フランジ部は、サイドフレームの周縁部を左右方向外側または内側に向けて1回折り曲げた、凹部の底壁と断面視略L形状をなすような構成であってもよい。
【0145】
前記実施形態では、リンク取付凹部33の一部が下側切れ目部32Bにかかるように設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図2を参考にして説明すると、リンク取付凹部33は、下側切れ目部32Bと対向する、具体的には、図2に示した鎖線と接するように設けられていてもよい。これによれば、下側切れ目部32Bを有しない構成においてリンク取付凹部33をフランジ部32に寄せて設ける場合と比較して、サイドフレーム30を高さ方向によりコンパクト化することができる。
【0146】
また、前記実施形態では、リンク取付凹部33が下側切れ目部32Bにかかるように設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図2を参考にして説明すると、フランジ部32に下側切れ目部32Bが設けられていない構成において、上下のフランジ部32の間にリンク取付凹部33を設けてもよい。このような構成であっても、サイドフレーム30の剛性を向上させることができる。また、剛性の高い部分にフロントリンク6が連結されることになるで、フロントリンク6の動作を安定させることができる。
【0147】
前記実施形態では、シートスプリング4が、左右のサイドフレーム30の本体部30Aの間に架け渡されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、シートスプリングは、左右のサイドフレームと略平行に前後方向に沿って張設されていてもよい。この場合、シートスプリングの端部は、例えば、左右のサイドフレーム30の間に架け渡されたフレームやパイプなどに取り付けるとよい。
【0148】
前記実施形態では、乗員支持部材としてシートスプリング4を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、乗員支持部材は、左右のサイドフレームの間に配置されるパンフレームなどであってもよい。
【0149】
前記実施形態では、リンク支持部材(リンク6,7を支持する部材)として、着座部を前後に移動可能とするスライドレール5を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、リンク支持部材は、乗物の床に固定されるリンク支持用の金具であってもよいし、リンク支持用の構成が一体に設けられた乗物の床であってもよい。
【0150】
前記実施形態では、第1ストッパ部72がピン94を基準としてセクタギヤ71が設けられた後端側とは反対側の前端側に設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図4を参考して説明すると、第1ストッパ部72は、ピン93,94(面PL3)を基準として、セクタギヤ71が設けられた上側とは反対側の下側に設けられていてもよい。これによれば、第1ストッパ部72とセクタギヤ71をより遠くに配置することができるので、第1ストッパ部72にかかる荷重の影響が、セクタギヤ71に及ぶことをより低減することができる。
【0151】
また、前記実施形態では、第2ストッパ部73がピン93,94(面PL3)を基準としてセクタギヤ71が設けられた側とは反対側に設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図4を参考して説明すると、第2ストッパ部73は、少なくとも一方のピン(回動中心)を基準として、セクタギヤ71が設けられた側とは反対側に設けられていてもよい。
【0152】
前記実施形態では、左右のリアリンク7の形状が異なっていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、前記実施形態において、操作ユニット8を左右いずれのサイドフレーム30に取り付けても4節リンク機構(高さ調整機構)を駆動させることができるように、左右のリアリンク7を左右対称に形成してもよい。
【0153】
前記実施形態では、リアリンク7Rにサイドフレーム30が最高位置にあるときに4節リンク機構の駆動を規制する第1ストッパ部72が設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1ストッパ部と第2ストッパ部は、前記実施形態のフロントリンク6(少なくとも一方)に設けてもよい。なお、本発明において、ストッパ部は、少なくともセクタギヤ71が設けられたリアリンク7Rだけに設けられていれば足りる。
【0154】
前記実施形態では、左右のフロントリンク6と連結パイプ65(連結部材)が溶接により固定されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、左右のリンクと連結部材は、接着により固定されていてもよいし、ボルトなどの締結により固定されていてもよい。左右のリアリンク7と連結パイプ75についても同様である。
【0155】
前記実施形態では、連結部材(左右のリンクを連結する部材)として、略円筒状の連結パイプ65を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、円柱状や角柱状の連結部材などであってもよい。また、連結パイプ75についても同様である。
【0156】
前記実施形態では、フロントリンク6の凹部61が左右方向から見て略円弧状をなしていたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、凹部の形状は、連結部材の形状に合わせて適宜変更することができる。
【0157】
前記実施形態では、操作ユニット8は、前側の固定部83の溶接部W1が係合部34の近くに位置し、後側の固定部83の溶接部W2がリクライニング機構9の近くに位置していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図3に鎖線で示すように、操作ユニット8は、前側の固定部83の溶接部W1’がフランジ部32の近くに位置し、後側の固定部83の溶接部W2’がピン93の近くに位置していてもよい。これによっても、サイドフレーム30の剛性を向上させることが可能となる。
【0158】
前記実施形態では、操作ユニット8は、図3に示したように、後側の固定部83の先端部83Bが線L4よりも下側に配置され、前側の固定部83の先端部83Bが線L5よりも上側に配置されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図8に示すように、操作ユニット8は、後側の固定部83の先端部83Bが線L4上を避けて当該線L4よりも上側に配置され、前側の固定部83の先端部83Bが線L5上を避けて当該線L5よりも下側に配置されていてもよい。これによれば、前後方向においてリクライニング機構9、操作ユニット8および後側の係合部34を近づけて配置することが可能となるので、サイドフレーム30を前後方向にコンパクト化することができる。なお、図8では溶接した箇所の図示を省略している。
【0159】
前記実施形態では、操作ユニット8は、操作ノブ81の回動軸81Aがシートスプリング4よりも後方に配置されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、前記実施形態において、操作ユニット8は、その全体がシートスプリング4(乗員支持部材)よりも後方に配置されていてもよい。
【0160】
これによれば、着座部の乗員が着座する部分からピニオンギヤ82などをより遠ざけることができるので、着座フィーリングをさらに良好に保つことができる。また、操作ユニット8がさらに後方に配置されることで、操作ユニット8の取付部30Bにかかる部分を多くできるので、本体部30Aをより薄型化することが可能となり、サイドフレーム30を高さ方向によりコンパクト化することが可能となる。
【0161】
前記実施形態では、操作ユニット8は、その一部が上側切れ目部32Aにかかるように配置されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図3を参考にして説明すると、操作ユニット8は、上側切れ目部32Aと対向する、具体的には、図3に示した鎖線と接するように配置されていてもよい。これによれば、上下にフランジ部32を有する構成において操作ユニット8を上のフランジ部32に寄せる場合と比較して、サイドフレーム30を高さ方向にコンパクト化することができる。
【0162】
前記実施形態では、操作ユニット8に2つの固定部83が設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、固定部は、1つだけ設けられていてもよいし、3つ以上設けられていてもよい。また、本発明において、固定部83の形状は特に限定されず、例えば、図8に示すような、略半長円状をなしていてもよい。
【0163】
前記実施形態では、ピニオンギヤ82が操作ノブ81(操作部材)と同軸で回動するように設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、リンク側のギヤと噛み合うギヤは、操作部材の回動軸と同軸で回動するギヤと直接、または、他のギヤを介して噛み合うように設けられていてもよい。
【0164】
前記実施形態では、サイドフレーム30の位置決め孔35が固定部83の位置決め孔83Aよりも大きく形成されていたが、本発明はこれに限定されず、固定部の位置決め孔がサイドフレームの位置決め孔よりも大きく形成されていてもよい。
【0165】
前記実施形態では、操作ユニット8が右のサイドフレーム30に取り付けられていたが、本発明はこれに限定されず、左のサイドフレーム30に取り付けられていてもよい。
【0166】
前記実施形態では、ハイト機構操作レバーが設けられた操作ノブ81(レバー型の操作部材)を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ダイヤル型の操作部材であってもよい。
【0167】
前記実施形態では、左右のサイドフレーム30を昇降させる高さ調整機構として、4節リンク機構を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、高さ調整機構は、モータや油圧、空気圧などでサイドフレームを昇降させる機構であってもよい。
【0168】
前記実施形態では、乗物用シートの適用例として、自動車などの車両用シート1を示したが、本発明はこれに限定されず、その他の乗物用シート、例えば、船舶用や航空機用のシートに適用することもできる。
【符号の説明】
【0169】
1 車両用シート
2 シートバックフレーム
3 着座部フレーム
4 シートスプリング
5 スライドレールク
6 フロントリンク
7 リアリンク
8 操作ユニット
9 リクライニング機構
30 サイドフレーム
30A 本体部
30B 取付部
34 係合部
34A 貫通孔
81 操作ノブ
81A 回動軸
83 固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座部の高さを調整可能な乗物用シートであって、
前後方向に延びる本体部と、前記本体部の後部から上方に向けて突出するシートバックフレームの取付部とを有し、前記着座部の左右のフレームを構成する左右のサイドフレームと、
前記左右のサイドフレームを昇降させる高さ調整機構と、
乗員の操作により前記高さ調整機構を駆動させる操作部材を有し、前記左右のサイドフレームのうちの一方に固定される操作ユニットと、
前記左右のサイドフレームの前記本体部の間に配置され、前記着座部に着座する乗員を支持する乗員支持部材と、を備え、
前記操作ユニットの駆動軸は、前記乗員支持部材よりも後方に配置されたことを特徴とする乗物用シート。
【請求項2】
前記操作ユニットは、全体が前記乗員支持部材よりも後方に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項3】
前記乗員支持部材は、前記左右のサイドフレームの前記本体部の間に架け渡されるシートスプリングであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の乗物用シート。
【請求項4】
前記各本体部は、前記シートスプリングの端部が係合する係合部を有し、
前記操作ユニットは、全体が前記係合部よりも後方に配置されたことを特徴とする請求項3に記載の乗物用シート。
【請求項5】
前記操作ユニットは、径方向外側に向けて突出する板状の固定部を有し、当該固定部を前記係合部に向けた状態で前記サイドフレームに固定されていることを特徴とする請求項4に記載の乗物用シート。
【請求項6】
前記係合部は、前記シートスプリングの端部が挿入される貫通孔を有し、
前記操作ユニットは、前記固定部が前記係合部と隣接する位置に固定されていることを特徴とする請求項5に記載の乗物用シート。
【請求項7】
前記操作ユニットは、少なくとも一部が前記取付部にかかるように配置されたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の乗物用シート。
【請求項8】
前記操作ユニットの駆動軸は、前記乗員支持部材よりも上方に配置されたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の乗物用シート。
【請求項9】
前記取付部に設けられた前記シートバックフレームの角度を調整するリクライニング機構を備え、
前記操作ユニットは、左右方向から見て、前記リクライニング機構の回動中心と前記係合部の後端部とを結ぶ線上に配置されたことを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の乗物用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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