説明

乗用型田植機

【課題】 乗用型田植機において、植付条の各々の近傍に被供給体を供給する複数の供給装置を、苗植付装置とは別に備えた場合、苗植付装置(植付アーム)及び供給装置の作動及び停止が適切に行えるように構成する。
【解決手段】 植付条の各々の近傍に被供給体を供給する複数の供給装置を備えて、植付アームに対する第1クラッチ19a〜19d及びこれを操作する第1電動アクチュエータ43、供給装置に対する第2クラッチ38a〜38d及びこれを操作する第2電動アクチュエータ65、人為的に操作されるクラッチ操作具41a〜41dを備える。クラッチ操作具41a〜41dの操作に基づいて、第1及び第2クラッチ19a〜38dが伝動及び遮断状態の同じ状態に操作されるように、第1及び第2電動アクチュエータ43,65を作動操作する連動モードと、クラッチ操作具41a〜41dの操作に基づいて、第1及び第2電動アクチュエータ43,65を別々に作動操作する非連動モードとを設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乗用型田植機において、植付条の各々の近傍に被供給体(粉粒状や液状(ペースト状)の肥料、薬剤及び種籾等)を供給する複数の供給装置を、苗植付装置とは別に備えた場合、苗植付装置及び供給装置の操作構造に関する。
【背景技術】
【0002】
乗用型田植機では、例えば特許文献1に開示されているように、苗を田面に植え付ける複数の植付アーム(特許文献1の図1及び図2の11)を植付条に応じて備えた苗植付装置に加えて、植付条の各々の近傍に粉粒状の肥料(被供給体に相当)を供給する複数の施肥装置(特許文献1の図1の16)(供給装置に相当)を備えることにより、苗植付装置による苗の植え付けに伴って、施肥装置により苗(植付条)の近傍に肥料を供給するように構成されたものがある。
【0003】
特許文献1では、苗植付装置(植付アーム)に動力を伝動及び遮断自在な植付クラッチ(第1クラッチに相当)(特許文献1の図4及び図6の33)が備えられ、施肥装置に動力を伝動及び遮断自在な施肥クラッチ(第2クラッチに相当)(特許文献1の図4及び図7の56)が備えられており、人為的に操作される操作レバー(クラッチ操作具に相当)(特許文献1の図9の61)と植付及び施肥クラッチとが、連係ロッド(特許文献1の図9及び図11の69,70,74)により機械的に連係されている。
これにより、操作レバーを操作することによって、植付及び施肥クラッチの両方を伝動状態に操作することができるのであり、植付及び施肥クラッチの両方を遮断状態に操作することができる。
【0004】
【特許文献1】特開2004−329018号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、植付及び施肥クラッチの両方が伝動状態に操作された状態(苗植付装置(植付アーム)及び施肥装置の両方の作動状態)、並びに、植付及び施肥クラッチの両方が遮断状態に操作された状態(苗植付装置(植付アーム)及び施肥装置の両方の停止状態)の、2つの状態しか得られないものとなっている。これにより、水田での各種の作業状態への対応(例えば畦が曲がりくねった変形の水田への対応等)と言う面で、改善の余地がある。
本発明は乗用型田植機において、植付条の各々の近傍に被供給体を供給する複数の供給装置を、苗植付装置とは別に備えた場合、苗植付装置(植付アーム)及び供給装置の作動及び停止が適切に行えるように構成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は、乗用型田植機において次のように構成することにある。
苗を田面に植え付ける複数の植付アームを植付条に応じて備え、植付条の各々の近傍に被供給体を供給する複数の供給装置を備える。
植付アームに動力を伝動及び遮断自在な第1クラッチと、第1クラッチを伝動及び遮断状態に操作自在な第1電動アクチュエータとを備える。供給装置に動力を伝動及び遮断自在な第2クラッチと、第2クラッチを伝動及び遮断状態に操作自在な第2電動アクチュエータとを備える。人為的に操作されるクラッチ操作具と、クラッチ操作具の操作に基づいて第1及び第2電動アクチュエータを作動操作する制御手段とを備える。
クラッチ操作具の操作に基づいて第1及び第2クラッチが伝動及び遮断状態の同じ状態に操作されるように第1及び第2電動アクチュエータを作動操作する連動モードと、クラッチ操作具の操作に基づいて第1及び第2電動アクチュエータを別々に作動操作する非連動モードとを、制御手段に設定する。
【0007】
(作用)
本発明の第1特徴によれば、制御手段を連動モードに設定すると、クラッチ操作具の操作に基づいて、第1及び第2電動アクチュエータにより第1及び第2クラッチの両方が伝動状態に操作されて、植付アーム及び供給装置が作動するのであり、クラッチ操作具の操作に基づいて、第1及び第2電動アクチュエータにより第1及び第2クラッチの両方が遮断状態に操作されて、植付アーム及び供給装置が停止する。この状態は、例えば通常の水田での作業状態に対応した状態と言うことができる。
【0008】
本発明の第1特徴によれば、制御手段を非連動モードに設定すると、クラッチ操作具の操作に基づいて、第1及び第2電動アクチュエータにより第1及び第2クラッチを別々に伝動及び遮断状態に操作することができる。
例えば、第1及び第2クラッチを伝動状態(植付アーム及び供給装置の作動状態)に操作した状態で、第1又は第2クラッチの一方(植付アーム又は供給装置の一方)を遮断状態に操作したり再び伝動状態に操作したりすることができる。第2クラッチを遮断状態(供給装置の停止状態)に操作した状態で、第1クラッチを伝動及び遮断状態(植付アームの作動及び停止状態)に操作することができるのであり、第1クラッチを遮断状態(植付アームの停止状態)に操作した状態で、第2クラッチを伝動及び遮断状態(供給装置の作動及び停止状態)に操作することができる。この状態は、例えば畦が曲がりくねった変形の水田での作業状態に対応した状態と言うことができる。
【0009】
この場合、クラッチ操作具の操作に基づいて、第1及び第2電動アクチュエータにより第1及び第2クラッチが伝動及び遮断状態に操作されるので、クラッチ操作具と第1及び第2クラッチとが連係ロッド等により機械的に連係されている構造に比べて、クラッチ操作具の操作が楽に行える。
【0010】
(発明の効果)
本発明の第1特徴によると、植付条の各々の近傍に被供給体を供給する複数の供給装置を、苗植付装置(植付アーム)とは別に備えた場合、水田での作業状態に応じて植付アーム及び供給装置を適切に作動及び停止状態に操作することができるようになって、乗用型田植機の作業性を向上させることができた。
本発明の第1特徴によると、クラッチ操作具の操作に基づいて、第1及び第2電動アクチュエータにより第1及び第2クラッチが伝動及び遮断状態に操作されるので、クラッチ操作具の操作が楽に行えるようになって、乗用型田植機の操作性を向上させることができた。
【0011】
[II]
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の乗用型田植機において次のように構成することにある。
複数の植付アームのうちの少数の植付アームに動力を伝動及び遮断自在な少数条クラッチを複数個備えて、複数の少数条クラッチにより第1クラッチを構成する。複数の供給装置のうちの少数の供給装置に動力を伝動及び遮断自在な供給クラッチを複数個備えて、複数の供給クラッチにより第2クラッチを構成する。
【0012】
(作用)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
乗用型田植機では一般に、複数の植付アームのうちの少数の植付アームに動力を伝動及び遮断自在な少数条クラッチを複数個備えて、一部の少数条クラッチを遮断状態に操作することにより、一部の植付アームを停止させることができるように構成されているものが多くある。同様に、複数の供給装置のうちの少数の供給装置に動力を伝動及び遮断自在な供給クラッチを複数個備えて、一部の供給クラッチを遮断状態に操作することにより、一部の供給装置を停止させることができるように構成されているものが多くある。
【0013】
本発明の第2特徴によると、複数の少数条クラッチにより第1クラッチを構成しているので、全ての少数条クラッチを伝動状態に操作すると第1クラッチの伝動状態が得られ、全ての少数条クラッチを遮断状態に操作すると第1クラッチの遮断状態が得られる。同様に全ての供給クラッチを伝動状態に操作すると第2クラッチの伝動状態が得られ、全ての供給クラッチを遮断状態に操作すると第2クラッチの遮断状態が得られる。これにより、既存の構造である少数条クラッチを第1クラッチに兼用することができ、既存の構造である供給クラッチを第2クラッチに兼用することができるのであり、連動及び非連動モードを現出させる為の専用の第1及び第2クラッチを備える必要がない。
【0014】
(発明の効果)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第2特徴によると、既存の構造である少数条クラッチを第1クラッチに兼用することができ、既存の構造である供給クラッチを第2クラッチに兼用することができるようになって、構造の簡素化の面で有利なものとなった。
【0015】
[III]
(構成)
本発明の第3特徴は、本発明の第2特徴の乗用型田植機において次のように構成することにある。
第1電動アクチュエータにより少数条クラッチが右又は左の植付条から一つずつ伝動及び遮断状態に操作されるように構成し、第2電動アクチュエータにより供給クラッチが右又は左の植付条から一つずつ伝動及び遮断状態に操作されるように構成する。連動モードにおいて、植付条に対応する少数条及び供給クラッチが伝動及び遮断状態の同じ状態に操作されるように、第1及び第2電動アクチュエータが作動操作されるように構成する。
【0016】
(作用)
本発明の第3特徴によると、本発明の第2特徴と同様に前項[I][II]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
前項[II]に記載のように、複数の少数条クラッチ及び複数の供給クラッチを備えた場合、例えば8条植型式において、第3及び第4条の少数条及び供給クラッチを停止させて、第1,2,5〜8条の少数条及び供給クラッチを作動させると言うようなことは行わない。又、例えば第1及び第2条の少数条クラッチを停止させて、第3〜8条の少数条クラッチを作動させ、第1〜4条の供給クラッチを停止させて、第5〜8条の供給クラッチを作動させると言うようなことも行わない。
【0017】
本発明の第3特徴によれば、制御手段を連動モードに設定すると、クラッチ操作具の操作に基づいて、第1及び第2電動アクチュエータにより少数条及び供給クラッチが右又は左の植付条から一つずつ伝動及び遮断状態の同じ状態に操作される。これにより、例えば8条植型式において、全ての少数条及び供給クラッチが伝動状態に操作された状態で、第1条の少数条及び供給クラッチを遮断状態に操作し、次に第2条の少数条及び供給クラッチを遮断状態に操作して、次に第3条の少数条及び供給クラッチを遮断状態に操作すると言う状態となる。
同様に、全ての少数条及び供給クラッチが遮断状態に操作された状態で、第8条の少数条及び供給クラッチを伝動状態に操作し、次に第7条の少数条及び供給クラッチを伝動状態に操作して、次に第6条の少数条及び供給クラッチを伝動状態に操作すると言う状態となる。
【0018】
(発明の効果)
本発明の第3特徴によると、本発明の第2特徴と同様に前項[I][II]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第3特徴によると、制御手段を連動モードに設定した場合、第1及び第2電動アクチュエータにより、少数条及び供給クラッチが右又は左の植付条から一つずつ伝動及び遮断状態の同じ状態に操作されるように構成することによって、作業状態に適切に対応することができるようになり、乗用型田植機の作業性を向上させることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
[1]
図1及び図2に示すように、前輪1及び後輪2で支持された機体の前部に、エンジン3及びミッションケース4が備えられ、機体の後部に四連リンク式のリンク機構6が油圧シリンダ14により昇降駆動自在に連結されており、リンク機構6に苗植付装置7が支持されて、乗用型田植機が構成されている。
【0020】
図1及び図2に示すように、苗植付装置7は8条植型式に構成されており、1個のフィードケース15(図3参照)、4個の伝動ケース8、伝動ケース8の右及び左側に回転駆動自在に支持された回転ケース9(植付条に対応)、回転ケース9の両端に備えられた一対の植付アーム10(植付条に対応)、接地フロート11、苗のせ台12、苗のせ台12に載置された苗を苗のせ台12の下部に送る縦送り機構13等を備えている。
【0021】
図1及び図3に示すように、リンク機構6の後部の下部にフィードケース15が前後軸芯周りにローリング自在に連結されており、エンジン3の動力がミッションケース4に内装された植付クラッチ26(図5参照)、及びPTO軸18を介してフィードケース15に伝達されている。フィードケース15に横向きの支持フレーム16が連結されており、支持フレーム16に4個の伝動ケース8が後向きに片持ち状に連結されて、フィードケース15と4個の伝動ケース8に亘って伝動軸17が接続されている。
【0022】
これによって、図3に示すように、エンジン3の動力が植付クラッチ26、PTO軸18、フィードケース15、伝動軸17、伝動ケース8、伝動ケース8の内部に配置された伝動チェーン(図示せず)を介して回転ケース9に伝達され、回転ケース9が回転駆動されて、苗のせ台12の下部から植付アーム10により交互に苗が取り出されて田面に植え付けられる(植付条)。後述する[12]に記載のように、植付クラッチ28は電動モータ29(図5参照)により伝動及び遮断状態に操作される。
【0023】
[2]
次に、第1,2,3,4少数条クラッチ19a,19b,19c,19d(第1クラッチに相当)について説明する。
図3に示すように、伝動ケース8における回転ケース9の支持部に、第1〜4少数条クラッチ19a〜19dが右の伝動ケース8から順に備えられている。第1〜4少数条クラッチ19a〜19dは1つの伝動ケース8において、2つの回転ケース9に動力を伝動及び遮断操作することにより、2つの回転ケース9を作動及び停止操作するものであり、バネ(図示せず)により伝動状態に付勢されている。
【0024】
これにより、図3に示すように、例えば第1少数条クラッチ19aを遮断状態に操作すると、最右側の伝動ケース8の2つの回転ケース9が停止する。第1〜4少数条クラッチ19a〜19dを遮断状態に操作すると、一対の植付アーム10の両方が田面から上方に位置する状態(例えば回転ケース9が田面と平行な状態)で、回転ケース9が停止するように構成されている。このように、第1少数条クラッチ19aが第1及び第2植付条に対応し、第2少数条クラッチ19bが第2及び第3植付条に対応し、第3少数条クラッチ19cが第5及び第6植付条に対応し、第4少数条クラッチ19dが第7及び第8植付条に対応している。
【0025】
[3]
次に、苗のせ台12及び縦送り機構13、第1,2,3,4縦送りクラッチ24a,24b,24c,24dについて説明する。
図2及び図3に示すように、伝動ケース8に亘って支持レール23が支持されており、苗のせ台12の下部が支持レール23に沿って左右方向に移動自在に支持されている。図1に示すように、支持フレーム16の右及び左側部から上方に右及び左の支持フレーム25が延出され、右及び左の支持フレーム25の上部に亘って横フレーム(図示せず)が連結されており、苗のせ台12の上部が横フレームに沿って左右方向に移動自在に支持されている。
【0026】
図3に示すように、フィードケース15から螺旋軸20が延出され、螺旋軸20が回転自在に支持されて、螺旋軸20に送り部材22が外嵌されており、苗のせ台12と送り部材22とがブラケット21を介して連結されている。これにより、フィードケース15の動力によって螺旋軸20が回転駆動され、送り部材22が螺旋軸20に沿って左右に往復横送り駆動されることによって、苗のせ台12が支持レール23に沿って左右に往復横送り駆動される。
【0027】
図2及び図3に示すように、苗のせ台12の苗のせ面の各々に、一対の無端回動ベルト型式の縦送り機構13が備えられており、苗のせ台12の隣接する2つの苗のせ面の縦送り機構13が一体で作動するように構成されて、一体で作動する4つの縦送り機構13が4組備えられている。苗のせ台12が右及び左の往復横送り駆動の移動限度に達すると、縦送り機構13が所定量だけ駆動されて、苗のせ台12に載置された苗が苗のせ台12の下部に送られる。
【0028】
図3に示すように、4組の縦送り機構13に対して、第1〜4縦送りクラッチ24a〜24dが右から順に備えられている。第1〜4縦送りクラッチ24a〜24dは、苗のせ台12の隣接する2つの苗のせ面の縦送り機構13に動力を伝動及び遮断操作することにより、苗のせ台12の隣接する2つの苗のせ面の縦送り機構13を作動及び停止操作するものであり、バネ(図示せず)により伝動状態に付勢されている。
【0029】
これにより、例えば第1縦送りクラッチ24aを遮断状態に操作すると、苗のせ台12の最右側の2つの苗のせ面の縦送り機構13が停止するのであり、第1縦送りクラッチ24aが第1及び第2植付条に対応し、第2縦送りクラッチ24bが第2及び第3植付条に対応し、第3縦送りクラッチ24cが第5及び第6植付条に対応し、第4縦送りクラッチ24dが第7及び第8植付条に対応している。
【0030】
[4]
次に、第1〜4少数条クラッチ19a〜19d及び第1〜4縦送りクラッチ24a〜24dの操作構造について説明する。
図1及び図3に示すように、苗のせ台12の前側部にブラケット42が連結されて、ブラケット42に第1電動モータ43(第1電動アクチュエータに相当)及びギヤケース44が連結され、操作軸48が回転自在に支持されている。操作軸48に固定された伝動ギヤ48aとギヤケース44のピニオンギヤ(図示せず)とが咬合しており、第1電動モータ43により操作軸48が回転駆動される。操作軸48にポテンショメータ49が連結されて、ポテンショメータ49の検出値が制御装置28(図5参照)に入力されており、操作軸48が回転駆動されると、ポテンションメータ49によって操作軸48の位相が検出される。
【0031】
図3に示すように、第1,2,3,4カム部材51,52,53,54が、所定角度ずつ位相をずらして操作軸48に連結され、ブラケット42にアーム状の第1,2,3,4操作部56a,56b,56c,56dが上下揺動自在に支持されており、第1〜4操作部56a〜56dの各々が第1〜4カム部材51〜54に接当している。ワイヤ59が第1〜4操作部56a〜56dの各々に接続され、ワイヤ59の下部の分岐部60から2本のワイヤ61が延出されて(合計8本のワイヤ61)、ワイヤ61が第1〜4少数条クラッチ19a〜19d、及び第1〜4縦送りクラッチ24a〜24dの各々に接続されている。
【0032】
以上の構造により、後述する[7]〜[11]に記載のように、第1〜4停止スイッチ41a〜41dの操作に基づいて、制御装置28により第1電動モータ43が作動操作され、第1電動モータ43により操作軸48及び第1〜4カム部材51〜54を回転駆動することによって、第1〜4カム部材51〜54により第1〜4操作部56a〜56dが揺動操作され、第1〜4操作部56a〜56d及びワイヤ59,61を介して第1〜4少数条クラッチ19a〜19d、及び第1〜4縦送りクラッチ24a〜24dが伝動及び遮断状態に操作される。
【0033】
[5]
次に、粉粒状の肥料を貯留するホッパー32、ホッパー32の肥料を第1〜4少数条クラッチ19a〜19dに対応する植付条に供給可能な複数の繰り出し部31(供給装置に相当)、繰り出し部31の動力を伝動及び遮断自在な第1,2,3,4供給クラッチ38a,38b,38c,38d(第2クラッチに相当)について説明する。
【0034】
図1,2,4に示すように、運転座席5の後側に左右方向に沿って支持フレーム(図示せず)が配置され、2つの植付条に対応した4個の繰り出し部31が支持フレームに連結されており、透明樹脂製で肥料を貯留するホッパー32が4個の繰り出し部31に亘って連結されている。植付アーム10によって植え付けられた苗(植付条)の横側に溝を形成する作溝器35が、植付条の各々に対応して8個用意されて接地フロート11に取り付けられており、2個の作溝器35と1個の繰り出し部31とがホース36を介して接続されている。運転座席5の下側にブロア40が備えられ、ブロア40から繰り出し部31の下側に沿って右及び左に横パイプ(図示せず)が延出されており、繰り出し部31においてホース36が接続される部分とは反対側の送風口(図示せず)が、横パイプに挿入されている。
【0035】
図4に示すように、繰り出し部31の各々に繰り出しロール31aが内装され、繰り出し部31の繰り出しロール31aに動力を伝達する1本の駆動軸37が繰り出し部31に亘って回転自在に支持されている。駆動軸37の動力を繰り出し部31の繰り出しロール31aに伝動及び遮断操作する第1〜4供給クラッチ38a〜38dが、繰り出し部31の各々に備えられており、第1〜4供給クラッチ38a〜38dがバネ38eにより伝動状態に付勢されている。
【0036】
図1及び図4に示すように、エンジン3の動力がミッションケース4に内装された施肥クラッチ27(図5参照)から伝動軸(図示せず)に伝達され、伝動軸がミッションケース4から機体の下部を通って駆動軸37の中央部の下方に延出されており、伝動軸の端部にクランクアーム(図示せず)が連結されている。駆動軸37の中央部にワンウェイクラッチ33が外嵌されており、クランクアームとワンウェイクラッチ33とに亘って連係ロッド39が接続されている。後述する[6]に記載のように、施肥クラッチ27は電動モータ30(図5参照)により伝動及び遮断状態に操作される。
【0037】
これにより、図4に示すように、エンジン3の動力が施肥クラッチ27から伝動軸に伝達されて、伝動軸及びクランクアームの回転運動による連係ロッド39の往復運動が、ワンウェイクラッチ33により回転運動に変換されて、駆動軸37が間欠的に回転駆動される。第1〜4供給クラッチ38a〜38dを介して繰り出し部31の繰り出しロール31aが間欠的に回転駆動されて、ホッパー32の肥料が繰り出し部31から所定量ずつ繰り出される。ブロア40からの高圧の風が横パイプを通ってホース36に供給されており、高圧の風により肥料がホース36を通って作溝器35に供給され、作溝器35により田面に形成された溝に肥料が供給される。
【0038】
例えば図4に示すように、第1供給クラッチ38aを遮断状態に操作すると、最右側の伝動ケース8の2つの回転ケース9に対応する繰り出し部31が停止して、最右側の伝動ケース8の2つの回転ケース9に対応する2つの作溝器35に肥料が供給されない。これにより、第1供給クラッチ38aが第1及び第2植付条に対応し、第2供給クラッチ38bが第2及び第3植付条に対応し、第3供給クラッチ38cが第5及び第6植付条に対応し、第4供給クラッチ38dが第7及び第8植付条に対応している。
【0039】
[6]
次に、第1〜4供給クラッチ38a〜38dの操作構造について説明する。
図4に示すように、駆動軸37と平行に繰り出し部31に亘って操作軸63が回転自在に支持されており、操作軸63において第1〜4供給クラッチ38a〜38dに対向する部分に、第1,2,3,4カム部材64a,64b,64c,64dが所定角度ずつ位相をずらして連結されている。操作軸63を回転駆動する第2電動モータ65(第2電動アクチュエータに相当)が操作軸63の一端に備えられて、操作軸63の位相を検出するポテンショメータ66が操作軸63の他端に備えられており、ポテンショメータ66の検出値が制御装置28(図5参照)に入力されている。
【0040】
以上の構造により、後述する[7]〜[11]に記載のように、第1〜4停止スイッチ41a〜41dの操作に基づいて、制御装置28により第2電動モータ65が作動操作され、第2電動モータ65により操作軸63及び第1〜4カム部材64a〜64dを回転駆動することにより、第1〜4カム部材64a〜64dにより第1〜4供給クラッチ38a〜38dが伝動及び遮断状態に操作される。
【0041】
[7]
次に、第1〜4少数条クラッチ19a〜19d及び第1〜4縦送りクラッチ24a〜24d、第1〜4供給クラッチ38a〜38dの操作について、連動モードが設定された状態について説明する。
図1及び図5に示すように、前輪1を操向操作する操縦ハンドル34の後側下部に、第1,2,3,4停止スイッチ41a,41b,41c,41d(クラッチ操作具に相当)が右側から順に左方に配置されている。第1〜4停止スイッチ41a〜41dはプッシュオン・プッシュオフ型式の押しボタン式に構成されて、第1〜4停止スイッチ41a〜41dにランプ(図示せず)が内装されており、第1〜4停止スイッチ41a〜41dの操作位置が制御装置28に入力されている。
【0042】
図5に示すように、操縦ハンドル34の近傍にモード設定スイッチ45が備えられ、モード設定スイッチ45の操作位置が制御装置28に入力されており、モード設定スイッチ45は連動位置、全条施肥停止位置及び全条植付停止位置に操作自在に構成されている。モード設定スイッチ45を連動位置に操作すると、制御装置28が連動モードに設定されて、計器パネル46に連動モードが設定されたことが表示される。
【0043】
連動モードにおいて、第1〜4停止スイッチ41a〜41dを伝動位置に操作していると、第1〜4停止スイッチ41a〜41dのランプが消灯し、第1〜4少数条クラッチ19a〜19d及び第1〜4縦送りクラッチ24a〜24d、第1〜4供給クラッチ38a〜38dが伝動状態に操作されている(全条作動状態)。
【0044】
連動モード及び全条作動状態において、第1停止スイッチ41aを押し操作して遮断位置に操作し、第2停止スイッチ41bを押し操作して遮断位置に操作し、第3停止スイッチ41cを押し操作して遮断位置に操作し、第4停止スイッチ41dを押し操作して遮断位置に操作すると、第1電動モータ43により操作軸48及び第1〜4カム部材51〜54が所定角度ずつ回転駆動されて、ワイヤ59,61が順番に引き操作され、第2電動モータ65により操作軸63及び第1〜4カム部材64a〜64dが所定角度ずつ回転駆動されて、第1〜4少数条クラッチ19a〜19d及び第1〜4縦送りクラッチ24a〜24d、第1〜4供給クラッチ38a〜38dが以下のように操作される。
【0045】
第1停止スイッチ41a(遮断位置)(第1停止スイッチ41aのランプ点灯)
第1少数条クラッチ19a及び第1縦送りクラッチ24a、第1供給クラッチ38aが遮断状態で、第2,3,4少数条クラッチ19b,19c,19d及び第2,3,4縦送りクラッチ24b,24c,24d、第2,3,4供給クラッチ38b,38c,38dが伝動状態。
【0046】
第1,2停止スイッチ41a,41b(遮断位置)(第1,2停止スイッチ41a,41bのランプ点灯)
第1,2少数条クラッチ19a,19b及び第1,2縦送りクラッチ24a,24b、第1,2供給クラッチ38a,38bが遮断状態で、第3,4少数条クラッチ19c,19d及び第3,4縦送りクラッチ24c,24d、第3,4供給クラッチ38c,38dが伝動状態。
【0047】
第1,2,3停止スイッチ41a,41b,41c(遮断位置)(第1,2,3停止スイッチ41a,41b,41cのランプ点灯)
第1,2,3少数条クラッチ19a,19b,19c及び第1,2,3縦送りクラッチ24a,24b,24c、第1,2,3供給クラッチ38a,38b,38cが遮断状態で、第4少数条クラッチ19d及び第4縦送りクラッチ24d、第4供給クラッチ38dが伝動状態。
【0048】
第1〜4停止スイッチ41a〜41d(遮断位置)(第1〜4停止スイッチ41a〜41dのランプ点灯)
第1〜4少数条クラッチ19a〜19d及び第1〜4縦送りクラッチ24a〜24d、第1〜4供給クラッチ38a〜38dが遮断状態(全条停止状態)。
【0049】
[8]
前項[7]に記載のように、連動モード及び第1〜4停止スイッチ41a〜41dを押し操作して遮断位置に操作した状態(全条停止状態)において、第4停止スイッチ41dを押し操作して伝動位置に操作し、第3停止スイッチ41cを押し操作して伝動位置に操作し、第2停止スイッチ41bを押し操作して伝動位置に操作し、第1停止スイッチ41aを押し操作して伝動位置に操作すると、第1電動モータ43により操作軸48及び第1〜4カム部材51〜54が逆方向に所定角度ずつ回転駆動されて、ワイヤ59,61が順番に戻し操作され、第2電動モータ65により操作軸63及び第1〜4カム部材64a〜64dが逆方向に所定角度ずつ回転駆動されて、第1〜4少数条クラッチ19a〜19d及び第1〜4縦送りクラッチ24a〜24d、第1〜4供給クラッチ38a〜38dが以下のように操作される。
【0050】
第4停止スイッチ41d(伝動位置)(第4停止スイッチ41dのランプ消灯)
第1,2,3少数条クラッチ19a,19b,19c及び第1,2,3縦送りクラッチ24a,24b,24c、第1,2,3供給クラッチ38a,38b,38cが遮断状態で、第4少数条クラッチ19d及び第4縦送りクラッチ24d、第4供給クラッチ38dが伝動状態。
【0051】
第4,3停止スイッチ41d,41c(伝動位置)(第4,3停止スイッチ41d,41cのランプ消灯)
第1,2少数条クラッチ19a,19b及び第1,2縦送りクラッチ24a,24b、第1,2供給クラッチ38a,38bが遮断状態で、第4,3少数条クラッチ19d,19c及び第4,3縦送りクラッチ24d,24c、第4,3供給クラッチ38d,38cが伝動状態。
【0052】
第4,3,2停止スイッチ41d,41c,41b(伝動位置)(第4,3,2停止スイッチ41d,41c,41bのランプ消灯)
第1少数条クラッチ19a及び第1縦送りクラッチ24a、第1供給クラッチ38aが遮断状態で、第4,3,2少数条クラッチ19d,19c,19b及び第4,3,2縦送りクラッチ24d,24c,24b、第4,3,2供給クラッチ38d,38c,38bが伝動状態。
【0053】
第1〜4停止スイッチ41a〜41d(伝動位置)(第1〜4停止スイッチ41a〜41dのランプ消灯)
第1〜4少数条クラッチ19a〜19d及び第1〜4縦送りクラッチ24a〜24d、第1〜4供給クラッチ38a〜38dが伝動状態(全条作動状態)。
【0054】
[9]
前項[7]に記載のように、連動モード及び第1〜4停止スイッチ41a〜41dを押し操作して伝動位置に操作した状態(全条作動状態)において、第4停止スイッチ41dを押し操作して遮断位置に操作し、第3停止スイッチ41cを押し操作して遮断位置に操作し、第2停止スイッチ41bを押し操作して遮断位置に操作し、第1停止スイッチ41aを押し操作して遮断位置に操作すると、第1電動モータ43により操作軸48及び第1〜4カム部材51〜54が逆方向に所定角度ずつ回転駆動されて、ワイヤ59,61が順番に引き操作され、第2電動モータ65により操作軸63及び第1〜4カム部材64a〜64dが逆方向に所定角度ずつ回転駆動されて、第1〜4少数条クラッチ19a〜19d及び第1〜4縦送りクラッチ24a〜24d、第1〜4供給クラッチ38a〜38dが以下のように操作される。
【0055】
第4停止スイッチ41d(遮断位置)(第4停止スイッチ41dのランプ点灯)
第1,2,3少数条クラッチ19a,19b,19c及び第1,2,3縦送りクラッチ24a,24b,24c、第1,2,3供給クラッチ38a,38b,38cが伝動状態で、第4少数条クラッチ19d及び第4縦送りクラッチ24d、第4供給クラッチ38dが遮断状態。
【0056】
第4,3停止スイッチ41d,41c(遮断位置)(第4,3停止スイッチ41d,41cのランプ点灯)
第1,2少数条クラッチ19a,19b及び第1,2縦送りクラッチ24a,24b、第1,2供給クラッチ38a,38bが伝動状態で、第4,3少数条クラッチ19d,19c及び第4,3縦送りクラッチ24d,24c、第4,3供給クラッチ38d,38cが遮断状態。
【0057】
第4,3,2停止スイッチ41d,41c,41b(遮断位置)(第4,3,2停止スイッチ41d,41c,41bのランプ点灯)
第1少数条クラッチ19a及び第1縦送りクラッチ24a、第1供給クラッチ38aが伝動状態で、第4,3,2少数条クラッチ19d,19c,19b及び第4,3,2縦送りクラッチ24d,24c,24b、第4,3,2供給クラッチ38d,38c,38bが遮断状態。
【0058】
第1〜4停止スイッチ41a〜41d(遮断位置)(第1〜4停止スイッチ41a〜41dのランプ点灯)
第1〜4少数条クラッチ19a〜19d及び第1〜4縦送りクラッチ24a〜24d、第1〜4供給クラッチ38a〜38dが遮断状態(全条停止状態)。
【0059】
[10]
前項[9]に記載のように、連動モード及び第1〜4停止スイッチ41a〜41dを押し操作して遮断位置に操作した状態(全条停止状態)において、第1停止スイッチ41aを押し操作して伝動位置に操作し、第2停止スイッチ41bを押し操作して伝動位置に操作し、第3停止スイッチ41cを押し操作して伝動位置に操作し、第4停止スイッチ41dを押し操作して伝動位置に操作すると、第1電動モータ43により操作軸48及び第1〜4カム部材51〜54が所定角度ずつ回転駆動されて、ワイヤ59,61が順番に戻し操作され、第2電動モータ65により操作軸63及び第1〜4カム部材64a〜64dが所定角度ずつ回転駆動されて、第1〜4少数条クラッチ19a〜19d及び第1〜4縦送りクラッチ24a〜24d、第1〜4供給クラッチ38a〜38dが以下のように操作される。
【0060】
第1停止スイッチ41a(伝動位置)(第1停止スイッチ41aのランプ消灯)
第1少数条クラッチ19a及び第1縦送りクラッチ24a、第1供給クラッチ38aが伝動状態で、第2,3,4少数条クラッチ19b,19c,19d及び第2,3,4縦送りクラッチ24b,24c,24d、第2,3,4供給クラッチ38b,38c,38dが遮断状態。
【0061】
第1,2停止スイッチ41a,41b(伝動位置)(第1,2停止スイッチ41a,41bのランプ消灯)
第1,2少数条クラッチ19a,19b及び第1,2縦送りクラッチ24a,24b、第1,2供給クラッチ38a,38bが伝動状態で、第3,4少数条クラッチ19c,19d及び第3,4縦送りクラッチ24c,24d、第3,4供給クラッチ38c,38dが遮断状態。
【0062】
第1,2,3停止スイッチ41a,41b,41c(伝動位置)(第1,2,3停止スイッチ41a,41b,41cのランプ消灯)
第1,2,3少数条クラッチ19a,19b,19c及び第1,2,3縦送りクラッチ24a,24b,24c、第1,2,3供給クラッチ38a,38b,38cが伝動状態で、第4少数条クラッチ19d及び第4縦送りクラッチ24d、第4供給クラッチ38dが遮断状態。
【0063】
第1〜4停止スイッチ41a〜41d(伝動位置)(第1〜4停止スイッチ41a〜41dのランプ消灯)
第1〜4少数条クラッチ19a〜19d及び第1〜4縦送りクラッチ24a〜24d、第1〜4供給クラッチ38a〜38dが伝動状態(全条作動状態)。
【0064】
[11]
次に、モード設定スイッチ45を全条施肥停止位置及び全条植付停止位置に操作した状態について説明する。
図5に示すように、モード設定スイッチ45を全条施肥停止位置に操作すると、全条施肥停止モードが設定されて、計器パネル46に全条施肥停止モードが設定されたことが表示されるのであり、第2電動モータ65により操作軸63及び第1〜4カム部材64a〜64dが大きく回転駆動されて、第1〜4供給クラッチ38a〜38dが遮断状態に操作される。
【0065】
これにより、全条施肥停止モードにおいて、第1〜4停止スイッチ41a〜41dを押し操作して伝動及び遮断位置に操作すると、第1〜4供給クラッチ38a〜38dが遮断状態に保持された状態で、第1〜4少数条クラッチ19a〜19d及び第1〜4縦送りクラッチ24a〜24dが前項[7]〜[10]に記載のように伝動及び遮断状態に操作される。
【0066】
図5に示すように、モード設定スイッチ45を全条植付停止位置に操作すると、全条植付停止モードが設定されて、計器パネル46に全条植付停止モードが設定されたことが表示されるのであり、第1電動モータ43により操作軸48及び第1〜4カム部材51〜54が大きく回転駆動されて、全てのワイヤ59,61が引き操作され、第1〜4少数条クラッチ19a〜19d及び第1〜4縦送りクラッチ24a〜24dが遮断状態に操作される。
【0067】
これにより、全条植付停止モードにおいて、第1〜4停止スイッチ41a〜41dを押し操作して伝動及び遮断位置に操作すると、第1〜4少数条クラッチ19a〜19d及び第1〜4縦送りクラッチ24a〜24dが遮断状態に保持された状態で、第1〜4供給クラッチ38a〜38dが前項[7]〜[10]に記載のように伝動及び遮断状態に操作される。
【0068】
[12]
図1及び図5に示すように、操縦ハンドル34の下側の右横側に操作レバー47が備えられ、操作レバー47が右の横外方に延出されており、次に操作レバー47の操作について説明する。
図5に示すように、操作レバー47は中立位置Nから上方の第1上昇位置U1及び第2上方位置U2、下方の第1下降位置D1及び第2下降位置D2、後方の右マーカー位置R及び前方の左マーカー位置Lの十字方向に操作自在に構成されて、中立位置Nに付勢されており、操作レバー47の操作位置が制御装置28に入力されている。
【0069】
図1及び図2に示すように、右及び左のマーカー50が苗植付装置7の右及び左横側部に備えられており、右及び左のマーカー50が田面に接地して次の作業行程の指標を形成する作用姿勢、及び田面から上方に離れた格納姿勢に変更自在に構成されている。図5に示すように、右及び左のマーカー50を作用及び格納姿勢に操作する電動モータ55が備えられており、制御装置28により電動モータ55が作動操作される。
【0070】
図5に示すように、操作レバー47を第2上昇位置U2に操作すると(第2上昇位置U2に操作して中立位置Nに操作すると)、電動モータ29,30により植付及び施肥クラッチ26,27が遮断状態に操作されて、後述する自動昇降制御が停止され、電動モータ55により右及び左のマーカー50が格納姿勢に操作されて、苗植付装置7が上限位置まで上昇駆動される。
【0071】
図5に示すように、操作レバー47を第2下降位置D2に操作すると(第2下降位置D2に操作して中立位置Nに操作すると)、苗植付装置7が下降駆動され、接地フロート11が田面に接地すると自動昇降制御が作動し、苗植付装置7が田面に接地して停止した状態となる。操作レバー47を第2下降位置D2に操作した後(第2下降位置D2に操作して中立位置Nに操作した後)、操作レバー47を再び第2下降位置D2に操作すると、電動モータ29,30により植付及び施肥クラッチ26,27が伝動状態に操作される。
【0072】
この場合、自動昇降制御は次のようにして行われる。
苗植付装置7に中央の接地フロート11の後部が上下に揺動自在に支持されて、苗植付装置7に対する中央の接地フロート11の高さを検出するポテンショメータ(図示せず)が備えられており、ポテンショメータの検出値が制御装置28に入力されている。機体の進行に伴って中央の接地フロート11が田面に接地追従するのであり、ポテンショメータの検出値により苗植付装置7に対する中央の接地フロート11の高さを検出することによって、田面(中央の接地フロート11)から苗植付装置7までの高さを検出することができる。これにより苗植付装置7に対する中央の接地フロート11の高さ(田面(中央の接地フロート11)から苗植付装置7までの高さ)に基づいて、苗植付装置7が田面から設定高さに維持されるように(ポテンショメータの検出値が設定値に維持されるように)、油圧シリンダ14が伸縮作動されて、苗植付装置7が自動的に昇降駆動される。
【0073】
図5に示すように、操作レバー47を右マーカー位置Rに操作すると(右マーカー位置Rに操作して中立位置Nに操作すると)、電動モータ55により右のマーカー50が作用姿勢に操作されるのであり、操作レバー47を左マーカー位置Lに操作すると(左マーカー位置Lに操作して中立位置Nに操作すると)、電動モータ55により左のマーカー50が作用姿勢に操作される。
【0074】
[13]
図5に示すように、操作レバー47を第1上昇位置U1に操作すると、電動モータ29,30により植付及び施肥クラッチ26,27が遮断状態に操作されて、自動昇降制御が停止され、電動モータ55により右及び左のマーカー50が格納姿勢に操作されて、苗植付装置7が上昇駆動される。この場合、操作レバー47を第1上昇位置U1に操作している間だけ苗植付装置7が上昇駆動されるのであり、操作レバーを第1上昇位置U1から中立位置Nに操作すると、苗植付装置7の上昇駆動が停止する。
【0075】
図5に示すように、操作レバー47を第1下降位置D1に操作すると、苗植付装置7が下降駆動される。この場合、操作レバー47を第1下降位置D1に操作している間だけ苗植付装置7が下降駆動されるのであり、操作レバーを第1下降位置D1から中立位置Nに操作すると、苗植付装置7の下降駆動が停止する。これにより、操作レバー47を第1上昇及び第1下降位置U1,D1に操作することにより、リンク機構6(苗植付装置7)を任意の高さに昇降駆動して停止させることができる。
【0076】
図1及び図5に示すように、操作レバー47の第1上昇及び第1下降位置U1,D1に相当する操作信号を発信する昇降スイッチ57が、運転座席5の右又は左の横後側部(繰り出し部31及びホッパー32の右又は左横側部)に備えられており、昇降スイッチ57の操作信号が制御装置28に入力されている。昇降スイッチ57は上昇ボタン(図示せず)及び下降ボタン(図示せず)が備えられており、昇降スイッチ57の上昇ボタンを押し操作している間だけリンク機構6(苗植付装置7)が上昇駆動されるのであり、昇降スイッチ57の上昇ボタンの押し操作を止めると、リンク機構6(苗植付装置7)の上昇駆動が停止する。昇降スイッチ57の下降ボタンを押し操作している間だけリンク機構6(苗植付装置7)が下降駆動されるのであり、昇降スイッチ57の下降ボタンの押し操作を止めると、リンク機構6(苗植付装置7)の下降駆動が停止する。
【0077】
これにより、苗植付装置7をリンク機構6から取り外してスタンド(図示せず)に支持させる場合や、苗植付装置7とは別の作業装置(例えば薬剤散布装置や直播装置)をリンク機構6に連結する場合、地上の作業者がリンク機構6の高さを近くで目視しながら、昇降スイッチ57の上昇及び下降ボタンを押し操作することにより、リンク機構6を所望の高さに昇降駆動して、前述のリンク機構6からの苗植付装置7の取り外し、及びリンク機構6への別の作業装置の連結を行うことができる。
【0078】
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]において、粉粒状の肥料に代えて種籾をホッパー32に入れて、繰り出し部31、ホッパー32、作溝器35及びホース36を直播装置(供給装置に相当)として使用してもよい。この場合、リンク機構6から苗植付装置7を取り外して、直播装置を使用してもよい。
【0079】
粉粒状の肥料に代えて粉粒状の薬剤をホッパー32に入れて、繰り出し部31、ホッパー32、作溝器35及びホース36を薬剤散布装置(供給装置に相当)として使用してもよい。この場合、繰り出し部31、ホッパー32、作溝器35及びホース36を、苗植付装置7に支持させてもよい(例えば伝動ケース8に支持させて苗のせ台12の後方に配置する)。
【0080】
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1別形態]において、繰り出し部31、ホッパー32、作溝器35及びホース36を廃止し、液状の肥料を貯留するタンク(図示せず)、液状の肥料をタンクから送り出す複数のポンプ(図示せず)(供給装置に相当)、液状の肥料を田面に供給するノズル(図示せず)、及びポンプとノズルとに亘って接続されるホース(図示せず)を備えて、ポンプに動力を伝動及び遮断自在な第2クラッチ(複数個の供給クラッチ)(図示せず)を備えるように構成してもよい。
【0081】
[発明の実施の第3別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1別形態][発明の実施の第2別形態]において、第1〜4停止スイッチ41a〜41dに代えて、一つのクラッチ操作レバー(図示せず)(クラッチ操作具に相当)を使用してもよい。
本発明は、8条植型式の苗植付装置7ばかりではなく、10条植型式や6条植型式、5条植型式の苗植付装置7にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】乗用型田植機の全体側面図
【図2】乗用型田植機の全体平面図
【図3】植付アーム、第1〜4少数条クラッチ、縦送り機構及び第1〜4縦送りクラッチ等の配置を示す苗植付装置の全体平面図
【図4】繰り出し部、操作軸及び第1〜4供給クラッチ等の配置を示す平面図
【図5】第1〜4停止スイッチ、第1〜4少数条クラッチ、第1〜4縦送りクラッチ及び第1〜4供給クラッチ等の連係状態を示す図
【符号の説明】
【0083】
10 植付アーム
19a,19b,19c,19d 第1クラッチ、少数条クラッチ
31 供給装置
38a,38b,38c,38d 第2クラッチ、供給クラッチ
41a,41b,41c,41d クラッチ操作具
43 第1電動アクチュエータ
65 第2電動アクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗を田面に植え付ける複数の植付アームを植付条に応じて備え、前記植付条の各々の近傍に被供給体を供給する複数の供給装置を備えて、
前記植付アームに動力を伝動及び遮断自在な第1クラッチと、前記第1クラッチを伝動及び遮断状態に操作自在な第1電動アクチュエータとを備え、
前記供給装置に動力を伝動及び遮断自在な第2クラッチと、前記第2クラッチを伝動及び遮断状態に操作自在な第2電動アクチュエータとを備えると共に、
人為的に操作されるクラッチ操作具と、前記クラッチ操作具の操作に基づいて第1及び第2電動アクチュエータを作動操作する制御手段とを備えて、
前記クラッチ操作具の操作に基づいて、前記第1及び第2クラッチが伝動及び遮断状態の同じ状態に操作されるように、前記第1及び第2電動アクチュエータを作動操作する連動モードと、
前記クラッチ操作具の操作に基づいて、前記第1及び第2電動アクチュエータを別々に作動操作する非連動モードとを、
前記制御手段に設定してある乗用型田植機。
【請求項2】
前記複数の植付アームのうちの少数の植付アームに動力を伝動及び遮断自在な少数条クラッチを複数個備えて、前記複数の少数条クラッチにより第1クラッチを構成し、
前記複数の供給装置のうちの少数の供給装置に動力を伝動及び遮断自在な供給クラッチを複数個備えて、前記複数の供給クラッチにより第2クラッチを構成してある請求項1に記載の乗用型田植機。
【請求項3】
前記第1電動アクチュエータにより少数条クラッチが右又は左の植付条から一つずつ伝動及び遮断状態に操作されるように構成し、前記第2電動アクチュエータにより供給クラッチが右又は左の植付条から一つずつ伝動及び遮断状態に操作されるように構成すると共に、
前記連動モードにおいて、植付条に対応する少数条及び供給クラッチが伝動及び遮断状態の同じ状態に操作されるように、前記第1及び第2電動アクチュエータが作動操作されるように構成してある請求項2に記載の乗用型田植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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