説明

乗車・搭乗券及びそれを発行する自動券売機、並びにそれらを用いる乗車・搭乗システム

【課題】一枚の媒体で鉄道及び飛行機の両方を利用する乗車・搭乗券を鉄道の駅に設置される自動券売機で発行できるようにする。
【解決手段】自動券売機から発行発行される乗車・搭乗券は、鉄道の駅に設置される自動券売機から発行される際に、その自動券売機内に組み込まれている情報記憶手段により列車に乗車するための所定の内容が記憶された情報記憶部と、前記自動券売機から発行される際に、その自動券売機内に組み込まれている印刷手段により二次元バーコードの形で航空機に搭乗するための所定の内容が印刷された印刷部とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一枚の媒体で列車に乗車できるとともに、航空機に搭乗できる乗車・搭乗券及びその乗車・搭乗券を発行するための自動券売機、並びにそれら乗車・搭乗券及び自動券売機を用いる乗車・搭乗システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一枚の磁気カードからなる媒体に列車(本発明において「列車」というときは、電車やモノレール、あるいはバス等の航空機以外の輸送機関を含んでいる。)に乗車するための鉄道情報を記録する鉄道情報用トラックと航空機(飛行機)に搭乗するためのエアライン情報を記録するエアライン情報用トラックとを有する乗車・搭乗券が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−190520号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の一枚の磁気カードからなる媒体の乗車・搭乗券は、近年のバーコードからなる搭乗券に対応できないという欠点があった。すなわち、近年、航空機に搭乗するための搭乗券は、その搭乗券に記録される情報の安定性を図るため、多くの情報量を確保するため等の理由により、券面に二次元バーコード(二次元コードと言われることもある。)が印刷されるようになってきており、このため、空港に設備される自動チェックイン機や空港用の自動改札機等の空港機器には、その二次元バーコードを読み取るための光学読取ユニットが組み込まれるようになってきている。したがって、利用者が列車を利用する前に乗車券と搭乗券を入手する場合は、磁気券からなる乗車券と二次元バーコードを印刷した搭乗券とを入手する必要があり、使い勝手が悪いという欠点があった。また、自動券売機で光学読取ユニットの組み込まれている自動チェックイン機の空港機器に対応した乗車・搭乗券を発券する場合には、その自動券売機内に二次元バーコードを印刷する印刷機構を必要とするが、設備費を抑えて安価に乗車・搭乗券を発行したいという要望があった。
【0004】
そこで、本発明は、上記欠点を解決するため、及び上記要望に応えるためになされたものであって、その目的は、一枚の媒体で列車に乗車にできるとともに、航空機に搭乗できる乗車・搭乗券を提供するとともに、その乗車・搭乗券を発行するための自動券売機を提供し、さらに、それら乗車・搭乗券及び自動券売機を用いる乗車・搭乗システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る乗車・搭乗券は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、鉄道の駅に設置される自動券売機から発行される際に、その自動券売機内に組み込まれている情報記憶手段により列車に乗車するための所定の内容が記憶された情報記憶部と、前記自動券売機から発行される際に、その自動券売機内に組み込まれている印刷手段によりバーコードの形で航空機に搭乗するための所定の内容が印刷された印刷部とからなることを特徴としている。
本発明の請求項2に記載の乗車・搭乗券は、バーコードを二次元バーコードとしたことを特徴としている。
本発明の請求項3に記載の乗車・搭乗券は、情報記憶部が磁気データの形で、又は無線機能を備えたICカードの記憶部に記憶される形で記憶されることを特徴としている。
本発明の請求項4に記載の自動券売機は、一枚の媒体で鉄道及び航空機の両方を利用できる乗車・搭乗券を発行する自動券売機であって、前記鉄道及び航空機の利用に係る所定の情報を入力する入力手段と、その入力手段で入力された所定の情報を前記自動券売機の本体から発行される乗車・搭乗券に記憶させる情報記憶手段と、前記入力手段で入力された所定の情報を前記自動券売機の本体から発行される乗車・搭乗券の券面にバーコードを含んで所定の内容を印刷する印刷手段とを有することを特徴としている。
本発明の請求項5に記載の自動券売機は、バーコードを二次元バーコードとしたことを特徴としている。
本発明の請求項6に記載の自動券売機は、自動券売機の本体から発行される乗車・搭乗券が、その自動券売機の本体にその乗車・搭乗券の購入代金を満たす金銭が投入されたときに発行されるものであることを特徴としている。
本発明の請求項7に記載の自動券売機は、情報記憶手段が乗車・搭乗券に磁気データの形で、又は無線機能を備えたICカードの記憶部に記憶される形で記憶されることを特徴としている。
本発明の請求項8に記載の乗車・搭乗システムは、鉄道の駅に設置され、列車に乗車できる所定の情報及び航空機に搭乗できる所定のバーコードからなる所定の内容の印刷された乗車・搭乗券を発行する自動券売機と、その自動券売機から発行される乗車・搭乗券を用いて所定の入出場処理する鉄道用の自動改札機と、前記自動券売機から発行される乗車・搭乗券を用いて所定のチェックイン処理する空港に設置される自動チェックイン機と、その自動チェックイン機でチェックインされた乗車・搭乗券を用いて所定の入場処理する空港用の自動改札機とからなることを特徴としている。
本発明の請求項9に記載の乗車・搭乗システムは、バーコードを二次元バーコードにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1に記載の乗車・搭乗券は、鉄道の駅に設置される自動券売機から発行される際に、その自動券売機内に組み込まれている情報記憶手段により列車に乗車するための所定の内容が記憶された情報記憶部と、前記自動券売機から発行される際にその自動券売機内に組み込まれている印刷手段によりバーコードの形で航空機に搭乗するための所定の内容が印刷された印刷部とからなるので、鉄道の駅に設置されている自動券売機に組み込まれている印刷手段を用いて、低コストに、かつ容易にバーコードの印刷された乗車・搭乗券を得ることができる。
本発明の請求項2に記載の乗車・搭乗券は、バーコードを二次元バーコードとしたので、情報量を多くすることができる。
本発明の請求項3に記載の乗車・搭乗券は、情報記憶部が磁気データの形で、又は無線機能を備えたICカードの記憶部に記憶される形で記憶されるので、鉄道用の磁気券の自動改札機に対応した乗車・搭乗券を簡単に得ることができ、また、非接触式自動改札機に対応した乗車・搭乗券を簡単に得ることができる。
本発明の請求項4に記載の自動券売機は、鉄道及び航空機の利用に係る所定の情報を入力する入力手段と、その入力手段で入力された所定の情報を自動券売機の本体から発行される乗車・搭乗券に記憶させる情報記憶手段と、前記入力手段で入力された所定の情報を前記自動券売機の本体から発行される乗車・搭乗券の券面にバーコードを含んで所定の内容を印刷する印刷手段とを有するので、鉄道の駅に設置されている自動券売機に組み込まれている印刷手段を用いて、低コストに、かつ容易にバーコードの印刷された乗車・搭乗券を発行することができる。
本発明の請求項5に記載の自動券売機は、バーコードを二次元バーコードとしたので、情報量を多くすることができる。
本発明の請求項6に記載の自動券売機は、自動券売機の本体から発行される乗車・搭乗券が、その自動券売機の本体にその乗車・搭乗券の購入代金を満たす金銭が投入されたときに発行されるので、乗車・搭乗券の購入代金を確実に収受することができる。
本発明の請求項7に記載の自動券売機は、情報記憶手段が乗車・搭乗券に磁気データの形で、又は無線機能を備えたICカードの記憶部に記憶される形で記憶されるので、鉄道用の磁気券の自動改札機に対応した乗車・搭乗券を簡単に発行することができ、また、非接触式自動改札機に対応した乗車・搭乗券を簡単に発行することができる。
本発明の請求項8に記載の乗車・搭乗システムは、鉄道の駅に設置され、列車に乗車できる所定の情報及び航空機に搭乗できる所定のバーコードからなる所定の内容の印刷された乗車・搭乗券を発行する自動券売機と、その自動券売機から発行される乗車・搭乗券を用いて所定の入出場処理する鉄道用の自動改札機と、前記自動券売機から発行される乗車・搭乗券を用いて所定のチェックイン処理する空港に設置される自動チェックイン機と、その自動チェックイン機でチェックインされた乗車・搭乗券を用いて所定の入場処理する空港用の自動改札機とからなるので、鉄道と航空機とを一体とした乗車・搭乗券システムを効果的に構築することができる。
本発明の請求項9に記載の乗車・搭乗システムは、バーコードを二次元バーコードにしたので、情報量を多くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて説明する。図1は本発明に係る乗車・搭乗システムスの概略構成図である。図中、G1は、鉄道のA駅に設置されている入場用の自動改札機である。このA駅は所定の空港から離れた位置にあり、このA駅からその空港までは、列車イに乗車して行くことができ、そして、その空港の最寄りの駅がB駅となっていて、そのB駅には、出場用の自動改札機G2が設置されている。
【0008】
図1中、A駅及びB駅には、各一台の自動改札機しか示されていないが、実際は多数の入出場(入場又は出場)用の自動改札機が設置されているが、ここでは図面を簡略化すめために省略されているとともに、路線図も図面を簡略化すめために一本の形に省略されている。なお、自動改札機G3及び自動改札機G4は、航空機(以下、「飛行機」という。)ロを利用した利用者が列車ハを利用するときに使用されるもので、このうち、自動改札機G3は飛行機ロの着陸する空港の最寄りの駅Cに設置される入場用の自動改札機であり、自動改札機G4は利用者の下車駅のD駅に設置される出場用の自動改札機である。なお、これら自動改札機G1,G2,G3,G4は、後述する本発明の特徴をなす乗車・搭乗券を処理できる以外に、列車のみに乗車するための普通乗車券等の各種乗車券類を処理することができるが、ここでは、これら自動改札機G1,G2,G3,G4が処理する媒体は乗車・搭乗券として説明する。
【0009】
A駅に設置されている自動改札機G1は、改札口の係員コーナに設置されている監視盤1を介してそのA駅に設置されている駅務機器を管理制御する駅務機器管理装置、いわゆる駅制2に接続されている。この駅制2には、本発明の特徴をなす乗車・搭乗券Kを発行することのできる自動券売機aが接続されているとともに、図示しない自動精算機等の他の役務機器も接続されている。なお、この自動券売機aについては後述する。また、B駅に設置される自動改札機G2もB駅の改札口の係員コーナに設置されている監視盤1を介してそのB駅に設置されている駅務機器を管理制御する駅制2に接続されている。この駅制2にも、B駅に設置されている図示しない自動券売機や自動精算機等の他の役務機器が接続されている。
【0010】
図1中、3はホストコンピュータからなる中央装置であって、鉄道会社の本社等の所定の中央に設けられていて、通信回線を介して各駅(図示の例では、A駅,B駅)の駅制2,2…が接続されている。したがって、中央装置3は各駅に設けられている駅務機器で収集された所定の情報を入手することができるとともに、それら駅務機器に対して所定の情報を送信することができる。また、この中央装置3には、インターネットを含む通信回線網4を介して利用者の所持するパーソナルコンピュータ等の情報を入出力する端末機5が接続されているとともに、通信回線4aを介して後述する管理装置が接続されている。
【0011】
図1中、6は空港に設けられている自動チェックイン機であり、また、7はその空港に設けられている空港用の自動改札機である。そして、これら自動チェックイン機6及び自動改札機7は、空港に設けられている機器を統括的に管理制御するホストコンピュータからなる管理装置8に接続されている。この管理装置8は、通信回線4aを介して中央装置3に接続されている。すなわち、これら中央装置3及び管理装置8は、一つの通信ネットワーク(LAN)を形成している。なお、図示の例では、中央装置3及び管理装置8は通信回線4aを介して直接接続されているが、これら中央装置3及び管理装置8の上位装置に当たるホストコンピュータを設け、このホストコンピュータにより乗車・搭乗券Kを統括的に管理制御するようにしてもよい。
【0012】
図2は、上記自動券売機aの本体(以下、「券売機本体a」という。)の概略構成図であり、図2中、10はその券売機本体aの正面上部に設けられている表示部であって、この券売機本体aによって列車に乗車できる乗車券及び飛行機に搭乗できる搭乗券である乗車・搭乗券Kを購入できる旨が案内されている。そして、この券売機本体aの正面中央のスラント部には、本発明の入力手段をなす所定の内容を表示することができるとともに、所定の内容を入力することのできるタッチパネル11が設けられている。なお、この券売機本体aは、列車にのみ乗車するための通常の乗車券も発行することができるが、ここでは乗車・搭乗券Kの発行についてのみ説明する。また、図示の例では、券売機本体aは鉄道のA駅に設置されている例を示しているが、この券売機本体aが旅行会社等の鉄道の駅以外の所定の場所、又は後述するように空港に設置される場合であってもよい。したがって、本願発明で、「鉄道の駅に設置されている」というときは、このように、旅行会社や空港等に設置される場合を含んでいる。
【0013】
図2中、12は券売機本体aの正面下部に設けられている発券口であって、この発券口12から一枚の媒体で列車に乗車できるとともに、飛行機に搭乗できる乗車・搭乗券Kが発行されるように構成されている。すなわち、この発券口12の内側には、乗車・搭乗券Kの原紙がロール状の形で設けられていて、この原紙Kaが図示しない繰出機構で乗車・搭乗券Kの一枚分の長さが繰り出されると、カッタ13で切断されて一枚の原券Kbが生成されるように構成されている。そして、この原券Kbは、搬送機構14で発券口12に搬送される途中、書込ヘッドH1で所定の内容の磁気データが書き込まれ、読取ヘッドH2でその書き込まれた内容が読み取られてチェックされ、その後、本発明の印刷手段をなすサーマルヘッド15により、所定の内容の二次元バーコードK′のマークと列車及び飛行機に係る所定の文字や記号等の内容とが印刷されるように構成されている。
【0014】
図1に示される乗車・搭乗券Kは、乗車・搭乗券Kの券面(磁気記録面と反対側の面)に上記サーマルヘッド15により印刷された内容を示していて、ここには、列車に乗車するための周知の乗車券に印刷されていると同様の内容が印刷されているとともに、飛行機に搭乗するための周知の搭乗券に印刷されていると同様の内容が印刷されている他に、搭乗券を管理するための二次元バーコードK′が印刷されている。これら印刷内容は、これまでの券売機本体aに組み込まれている印刷機構(サーマルヘッド15)をそのまま利用して簡単に印刷することができる。
【0015】
図2中、16は券売機本体a内に組み込まれている金銭処理ユニットであって、図示しない投入口から投入された金銭を検銭するとともに、必要に応じて図示しない返却口に釣銭を排出することができないように構成されている。なお、乗車・搭乗券Kの購入代金をSFカードで支払うことができるときは、そのSFカードを処理するためのカード処理ユニットが設けられるとともに、その乗車・搭乗券Kの購入代金をクレジットカード等のカードでカード決済ができるときは、そのためのカード処理ユニットが設けられる。したがって、本発明で「乗車・搭乗券の購入代金を満たす金銭が投入されたとき」というときは、このような各種支払形態も含んでいる。
【0016】
図2中、17は券売機本体a内に設けられ、その券売機本体aを統括的に制御するための制御器であって、その概略構成を示すブロック図が図3に示されている。この制御器17は、所定のシステムプログラムの格納されているROM20及びワーキングデータの記憶されているRAM21を用いて所定の演算処理を行うCPU22を有している。そして、このCPU22には、I/Oユニット23を介して券売機本体aの上位装置に当たる駅制2と通信を行うための通信制御部24と、各ヘッドH1、H2を駆動制御する読取・書込ドライバ25と、サーマルヘッド15を駆動制御する印刷ドライバ26と、金銭処理ユニット16と、タッチパネル11を駆動制御する入出力ユニット27とが接続されている。なお、I/Oユニット23には、搬送路14の図示しないモータの駆動を行うモータドライバ、表示部10の表示内容を駆動制御する案内ユニット等が接続されているが、ここでは省略されている。
【0017】
図4は、各自動改札機G1,G2,G3,G4を統括的に駆動制御する制御器30の概略構成を示すブロック図が示されている。この制御器30は、所定のシステムプログラムの格納されているROM31及びワーキングデータの記憶されているRAM32を用いて所定の入出場の演算処理を行うCPU33を有している。そして、このCPU33には、I/Oユニット34を介して各自動改札機G1,G2,G3,G4の上位装置に当たる監視盤1と通信を行うための通信制御部35と、図示しない投入口から取出口まで乗車・搭乗券Kを搬送するためのカードハンドラ36と、その乗車・搭乗券Kに書き込まれている磁気データを読み取るとともに、新たな磁気データを書き込み、さらにその書き込まれた磁気データをチェックするための各磁気ヘッド(図示せず)を駆動制御するための読取・書込ドライバ37と、図示しないドアを駆動制御するためのドアドライバ38とが接続されている。なお、I/Oユニット34には、改札通路内の利用者を検知する図示しない人間検知器の検知信号を取り込むための人間検知器用アンプ、利用者に対する音声又は表示画面による案内のための案内ユニット等が接続されているとともに、改札機本体Gが無線通信機能を備えた非接触型ICカードを処理する機能を備えているときは、その非接触型ICカードを処理するためのリーダライタが接続される。
【0018】
図5は、空港に設置される自動チェックイン機6を統括的に駆動制御する制御器40の概略構成を示すブロック図が示されている。この制御器40は、所定のシステムプログラムの格納されているROM41及びワーキングデータの記憶されているRAM42を用いて所定のチェックイン処理の演算処理を行うCPU43を有している。そして、このCPU43には、I/Oユニット44を介して自動チェックイン機6の上位装置に当たる管理装置8と通信を行うための通信制御部45と、図示しない投入口から取り込んだ乗車・搭乗券Kに印刷されている二次元バーコードK′を読み取るための光学読取ユニット46と、その自動チェックイン機6に設けられている図示しないタッチパネルからなる表示画面を駆動制御する入出力ユニット47とが接続されている。なお、I/Oユニット44には、利用者に対して所定の内容を音声案内するための案内ユニット等が接続されているが、ここでは省略されている。
【0019】
図6は、空港に設置される自動改札機7を統括的に駆動制御する制御器50の概略構成を示すブロック図が示されている。この制御器50は、所定のシステムプログラムの格納されているROM51及びワーキングデータの記憶されているRAM52を用いて所定の入場の演算処理を行うCPU53を有している。そして、このCPU53には、I/Oユニット54を介して自動改札機の上位装置に当たる管理装置8と通信を行うための通信制御部55と、図示しない投入口から取り込んだ乗車・搭乗券Kに印刷されている二次元バーコードK′を読み取るための光学読取ユニット56と、図示しない表示画面及びスピーカを介して利用者に所定の内容を案内するための表示・案内ドライバ57と、図示しないドアを駆動制御するためのドアドライバ58とが接続されている。なお、I/Oユニット34には、改札通路内の利用者を検知する図示しない人間検知器の検知信号を取り込むための人間検知器用アンプや投入口から取出口まで乗車・搭乗券Kを搬送するカードハンドラ等が接続されているが、ここでは省略されている。
【0020】
以下、上記構成からなる乗車・搭乗システムの制御動作を図7(a),(b),(c)のフローチャートを用いて説明する。今、A駅近くに居住している利用者が飛行機ロを利用しようとしており、その利用者は、そのA駅から空港の最寄のB駅までは列車イを利用し、さらに飛行機ロを利用した後に、到着した空港の最寄りのC駅から目的地のD駅までは列車ハを利用しようとしているものとする。
【0021】
上述の利用者がA駅に到着すると、その利用者によってA駅に設置されている券売機本体aのタッチパネル11を用いて列車イ,ハに乗車するため所定の情報が入力されるとともに、飛行機ロに搭乗するために必要な所定の情報が入力される(ステップ100。以下、ステップを「S」とする。)。この情報の入力においては、利用者が指定席列車に乗車するときにはそのための情報も入力される。搭乗券を管理する管理装置8と乗車券を管理する中央装置3とが通信回線4aを介して通信ネットワーク(LAN)を形成しているので、券売機本体aからの情報の入力により列車イ及び飛行機ロの両方を利用することのできる乗車・搭乗券Kを購入することができる。したがって、入力された情報に対応した列車イ及び飛行機ロが利用可能なときは(S102肯定)、券売機本体aに乗車・搭乗券Kの購入代金の金額を満たす金銭が投入されると(S104肯定)、券売機本体a内に組み込まれている上述した書込ヘッドH1、読取ヘッドH2及びサーマルヘッド15等からなる発券機構を介して乗車・搭乗券Kが生成される(S106)。そして、その生成された乗車・搭乗券Kは発券口12に排出されて利用者に渡される(S108)。
【0022】
なお、上述の例では、飛行機ロを利用した後に、到着した空港の最寄りのC駅から目的地のD駅まで列車ハを利用するようにしているが、到着した空港から列車を利用しないときは、当然、列車ハの情報の入力は省略される。また、上述の例では、乗車・搭乗券Kを購入するための情報の入力は、A駅に設置されている券売機本体aのタッチパネル11を用いて行ったが、これを利用者の自宅や職場等に設置されている端末機5を用いて予め行い、券売機本体aのタッチパネル11の入力は、予約番号等の所定の識別情報の入力だけにするようにしてもよい。この場合は、券売機本体aを一人の利用者が長時間占領するのを効果的に防止することができる。さらにこの場合は、端末機5は携帯電話機(PHSを含む)やPDA等の携帯型の情報端末機器とすることもできる。
【0023】
乗車・搭乗券Kを用いてA駅からB駅まで列車イを利用した利用者は、B駅に設置されている自動改札機G2から返却された乗車・搭乗券Kを用いて空港に設置されている自動チェックイン機6を用いてチェックイン処理が行われる。すなわち、自動改札機G2に投入された媒体には、その投入された媒体が乗車・搭乗券Kである旨の所定の磁気情報が記録されているので、投入された乗車・搭乗券Kが自動改札機G2に集札(回収)されることなく、取出口に排出されて利用者に返却されるように構成されているので、その返却された乗車・搭乗券Kを用いてチェックインを行うことができる。
【0024】
利用者によって乗車・搭乗券Kが自動チェックイン機6に投入されると(S200肯定)、その自動チェックイン機6に組み込まれている光学読取ユニット46により、その乗車・搭乗券Kに印刷されている二次元バーコードK′が読み取られる(S202)。そして、その読み取られた二次元バーコードK′の情報を基にしたチェックインのための所定の演算処理の結果、チェックインを許可できるときはその乗車・搭乗券Kのチェックイン処理が行われ(S204肯定)、その乗車・搭乗券Kは利用者に返却される(S208)。また、上述の所定の演算処理の結果、飛行機ロが出発している等によりチェックイン処理を行うことができないときは(S204否定)、乗車・搭乗券Kが返却されるとともに、係員処理の案内が行われる(S207)。
【0025】
自動チェックイン機6によりチェックイン処理された乗車・搭乗券Kが空港用の自動改札機7に投入されると(S300肯定)、その自動改札機7に組み込まれている光学読取ユニット56により、その乗車・搭乗券Kに印刷されている二次元バーコードK′が読み取られる(S302)。そして、その読み取られた二次元バーコードK′の情報を基にした入場のための所定の演算処理の結果、入場を許可できる有効券のときは(S304肯定)、ドアが開かれて入場が許可されるとともに、その乗車・搭乗券Kが利用者に返却され、その乗車・搭乗券Kに係る利用者が飛行機ロに搭乗したことが自動改札機7から管理装置8に送信されて管理される(S306)。なお、搭乗口が異なる等により入場を許可できないときは(S304否定)、ドアが閉じられるとともに、乗車・搭乗券Kが返却され、係員処理案内が行われる(S305)。
【0026】
飛行機ロを利用した利用者がC駅からD駅まで列車ハを利用するときは、乗車・搭乗券KをC駅に設置されている自動改札機G3に投入して列車ハに乗車し、D駅に設置されている自動改札機G4に投入して出場することになる。この場合、自動改札機G4に投入された乗車・搭乗券Kは、自動改札機G4内に集札(回収)されるが、必要に応じて、例えば、会社の出張費清算のために使用済みの乗車・搭乗券Kが必要のときは、その乗車・搭乗券Kは返却される。
【0027】
なお、上述の例では、乗車・搭乗券Kを磁気券とした場合であるが、この乗車・搭乗券Kの本体を無線機能を備えたICカードとすることもできる。この場合は、券売機本体a内には原カードを収納するスタッカが設けられ、そのスタッカから一枚ずつ発券口12に搬送される途中、リーダライタによりそのICカードのメモリ(記憶部)に所定の情報が書き込まれるとともに、サーマルヘッド15を介してそのICカードの券面に二次元バーコードK′を含む所定の内容が印刷される。またこの場合は、自動改札機G1,G2,G3,G4には、ICカードを処理するためのリーダライタが設けられる。また、上述の例では、乗車・搭乗券Kに印刷されるバーコードは、QRコード等の二次元バーコード(二次元コード)としたが、通常のバーコードとすることもできる。しかし、上述のように、二次元バーコードにしたときは、情報量を多く記録することでできる特長がある。
【0028】
さらに、上述の例では、利用者が列車を利用した後に飛行機を利用する例を示したが、最初に飛行機を利用し、その後に列車を利用する場合であってもよい。この場合は、空港に本発明に係る券売機本体aが設置される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る乗車・搭乗システムの概略構成図である。
【図2】券売機本体の概略構成図である。
【図3】制御器の説明図である。
【図4】制御器の説明図である。
【図5】制御器の説明図である。
【図6】制御器の説明図である。
【図7】制御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0030】
イ,ハ 列車
ロ 航空機(飛行機)
1,G2,G3,G4 自動改札機
a 自動券売機(券売機本体)
K 乗車・搭乗券
K′ 二次元バーコード
1 監視盤
2 駅務機器制御装置(駅制)
3 中央装置
4 通信回線網
4a 通信回線
5 端末機
6 自動チェックイン機
7 自動改札機
8 管理装置
11 タッチパネル
12 発券口
1 書込ヘッド
2 読取ヘッド
15 サーマルヘッド(印刷手段)
16 金銭処理ユニット
17,30,40,50 制御器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道の駅に設置される自動券売機から発行される際に、その自動券売機内に組み込まれている情報記憶手段により列車に乗車するための所定の内容が記憶された情報記憶部と、
前記自動券売機から発行される際に、その自動券売機内に組み込まれている印刷手段によりバーコードの形で航空機に搭乗するための所定の内容が印刷された印刷部と、
からなることを特徴とする乗車・搭乗券。
【請求項2】
請求項1に記載の乗車・搭乗券において、前記バーコードは、二次元バーコードからなることを特徴とする乗車・搭乗券。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の乗車・搭乗券において、前記情報記憶部は、磁気データの形で、又は無線機能を備えたICカードの記憶部に記憶される形で記憶されることを特徴とする乗車・搭乗券。
【請求項4】
一枚の媒体で鉄道及び航空機の両方を利用できる乗車・搭乗券を発行する自動券売機であって、
前記鉄道及び航空機の利用に係る所定の情報を入力する入力手段と、
前記入力手段で入力された所定の情報を前記自動券売機の本体から発行される乗車・搭乗券に記憶させる情報記憶手段と、
前記入力手段で入力された所定の情報を前記自動券売機の本体から発行される乗車・搭乗券の券面にバーコードを含んで所定の内容を印刷する印刷手段と、
を有することを特徴とする自動券売機。
【請求項5】
請求項4に記載の自動券売機において、前記バーコードは、二次元バーコードからなることを特徴とする自動券売機。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の自動券売機において、前記自動券売機の本体から発行される乗車・搭乗券は、その自動券売機の本体にその乗車・搭乗券の購入代金を満たす金銭が投入されたときに発行されるものであることを特徴とする自動券売機。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれかに記載の自動券売機において、前記情報記憶手段は、前記乗車・搭乗券に磁気データの形で、又は無線機能を備えたICカードの記憶部に記憶される形で記憶されることを特徴とする自動券売機。
【請求項8】
鉄道の駅に設置され、列車に乗車できる所定の情報及び航空機に搭乗できる所定のバーコードからなる所定の内容の印刷された乗車・搭乗券を発行する自動券売機と、
前記自動券売機から発行される乗車・搭乗券を用いて所定の入出場処理する鉄道用の自動改札機と、
前記自動券売機から発行される乗車・搭乗券を用いて所定のチェックイン処理する空港に設置される自動チェックイン機と、
前記自動チェックイン機でチェックインされた乗車・搭乗券を用いて所定の入場処理する空港用の自動改札機と、
からなることを特徴とする乗車・搭乗システム。
【請求項9】
請求項8に記載の乗車・搭乗システムにおいて、前記バーコードは、二次元バーコードからなることを特徴とする乗車・搭乗システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−102564(P2008−102564A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−282161(P2006−282161)
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】