説明

乗降検出プログラム、乗降検出方法及び乗降検出システム

【課題】対象のエレベータ乗降を正確に検出することができる乗降検出プログラム、乗降検出方法及び乗降検出システムを提供することを課題とする。
【解決手段】コンピュータ10に、エレベータ14及び乗降する対象に付けられた発信手段12、13からの信号をエレベータ14の外側で受信する受信手段11から、前記発信手段からの信号に関するデータを収集するデータ収集ステップと、データから、エレベータ14に付けられた発信手段13からの信号及び対象に付けられた発信手段12からの信号の受信開始時刻差及び受信終了時刻差を求め、受信開始時刻差が第1の閾値以下であれば対象のエレベータ14からの降車と判定し、受信終了時刻差が第2の閾値以下であれば対象のエレベータ14への乗車と判定する乗降検出ステップとを実行させることで上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は対象のエレベータ乗降を検出する乗降検出プログラム、乗降検出方法及び乗降検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば対象(人や物など)のエレベータ乗降を検出するエレベータ乗降検出は、乗車数に合わせたエレベータ運行制御、エレベータを待つ人などの誘導、高層ビル店舗の買い物客動線に基づいたマーケティング、高層ビルオフィスの従業員動線に基づいた業務効率化などに用いられている。
【0003】
エレベータ乗降検出は例えば以下のような技術を利用できる。電子タグを用いて人の入退室を検出する技術は従来から知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
電子タグを用いて人の入退室を検出する技術は、電子タグを人に付け、出入口境界に電子タグの信号を減衰させるシールドを設け、出口もしくは入口付近にリーダを設置して電子タグの信号を受信する。例えばリーダを出口付近に設置した場合、入室する人が持つ電子タグからの信号強度は人が出入口のシールドを通過するまでは緩やかに上昇するが、通過後、急激に低下する。逆に、退出する人が持つ電子タグからの信号強度はシールドを通過するまでは低いレベルで緩やかに上昇するが、通過後、急激に上昇する。入室せずに出口付近を通過しただけの人が持つ電子タグからの信号強度は人がリーダに近づく時、緩やかに上昇し、遠ざかる時、緩やかに低下する。
【0005】
電子タグを用いて人の入退室を検出する技術は、こうした電子タグからの信号強度の変化の大きさの違いを利用して、人が入室したのか、退室したのか、近くを通過しただけなのかを識別する。
【0006】
また、各所に電子タグとリーダとを設置し、電子タグからの信号強度の変動から人や物の位置を特定する技術は従来から知られている(例えば特許文献2)。
【0007】
電子タグとリーダとの間に何もなければ電子タグからの信号強度は安定している。電子タグとリーダとの間に人や物が入ると、その間、電子タグからの信号強度は不安定状態になる。各所に電子タグとリーダとを設置し、電子タグからの信号強度の変動から人や物の位置を特定する技術は、このような電子タグからの信号強度の変化を検出して、人や物の位置を特定する。
【0008】
他にも、エレベータ前をカメラで撮影し、画像の変化から人や物の移動を識別する技術は従来から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−255931号公報
【特許文献2】特開2008−180665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、電子タグを用いて人の入退室を検出する従来の技術では、人の移動速度が変わると正確な識別ができなくなる。人がリーダへ速く近づけば、人が持つ電子タグからの信号強度は急激に上昇する。人がリーダへ遅く近づけば、人が持つ電子タグからの信号強度の上昇は緩やかになる。
【0011】
遠ざかる場合も同様に、人がリーダへ速く遠ざかれば、人が持つ電子タグからの信号強度は急激に低下する。人がリーダへ遅く遠ざかれば、人が持つ電子タグからの信号強度の低下は緩やかになる。
【0012】
このように、電子タグを用いて人の入退室を検出する従来の技術では、電子タグからの信号強度の変化の違いが、シールド通過によるものなのか、人の移動速度によるものなのかを判別できないため、店舗など様々な速度で人々が行き交うような場所で、人が入室したのか、退室したのか、近くを通過しただけなのかを正しく識別できなかった。
【0013】
また、各所に電子タグとリーダとを設置し、電子タグからの信号強度の変動から人や物の位置を特定する従来の技術では、複数の人や物が移動する場合、正確に位置を特定することができなくなる。
【0014】
例えば、ある電子タグとリーダとの間に既に人や物がある場合、そこを別の人や物が通過しても、信号強度は既に不安定状態であるため通過を検知できない。店舗など大勢の人が集まる場所では、人や物の位置の特定ができなかった。
【0015】
カメラで撮影し、画像の変化から人や物の移動を識別する従来の技術では、多くの人や物が集まる場所で対象が陰になって隠れたり、重なったりするため、人や物の移動を正確に識別できなかった。
【0016】
本発明の一実施形態は、対象のエレベータ乗降を正確に検出することができる乗降検出プログラム、乗降検出方法及び乗降検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するため、本発明の一実施形態は、コンピュータに、エレベータ及び該エレベータに乗降する対象に付けられた発信手段からの信号を前記エレベータの外側で受信する受信手段から、前記発信手段からの信号に関するデータを収集するデータ収集ステップと、前記データから、前記エレベータに付けられた前記発信手段からの信号及び前記対象に付けられた前記発信手段からの信号の受信開始時刻差及び受信終了時刻差を求め、前記受信開始時刻差が第1の閾値以下であれば前記対象のエレベータからの降車と判定し、前記受信終了時刻差が第2の閾値以下であれば前記対象のエレベータへの乗車と判定する乗降検出ステップとを実行させることを特徴とする。
【0018】
なお、本発明の一実施形態の構成要素、表現又は構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、データ構造などに適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一実施形態によれば、対象のエレベータ乗降を正確に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施例の乗降検出システムの一実施例の構成図である。
【図2】乗降検出装置の一例のハードウェア構成図である。
【図3】リーダの動作を表した一例のフローチャートである。
【図4】検知データの一例の構成図である。
【図5】検知データの他の例の構成図である。
【図6】データ収集部の動作を表した一例のフローチャートである。
【図7】受信データの一例の構成図である。
【図8】リーダの動作を表した他の例のフローチャートである。
【図9】データ収集部の動作を表した他の例のフローチャートである。
【図10】エレベータ乗降判別部の動作を表した一例のフローチャートである。
【図11】連続受信データの一例の構成図である。
【図12】場所管理表の一例の構成図である。
【図13】エレベータへの乗車又は離脱を判別する方法の一例の説明図である。
【図14】エレベータへの乗車又は離脱を判別する方法の他の例の説明図である。
【図15】エレベータからの降車又は接近を判別する方法の一例の説明図である。
【図16】エレベータへの降車又は接近を判別する方法の他の例の説明図である。
【図17】エレベータ乗降判別部のステップS43の動作を表した一例のフローチャートである。
【図18】対象管理表の一例の構成図である。
【図19】乗降データの一例の構成図である。
【図20】閾値Ts、Rs、Te、Reを求める動作を表した一例のフローチャートである。
【図21】ペアの分類と閾値Ts、Rs、Te、Reとの関係を表した一例のグラフ図である。
【図22】本実施例の乗降検出システムの他の実施例の構成図である。
【図23】乗降データの他の例の構成図である。
【図24】乗車数データの一例の構成図である。
【図25】待ちデータの一例の構成図である。
【図26】待ち時間データの一例の構成図である。
【図27】エレベータ待ち・乗車カウンタ部の動作を表した一例のフローチャートである。
【図28】エレベータホール管理表の一例の構成図である。
【図29】端末に表示されるエレベータ利用情報画面の一例のイメージ図である。
【図30】図29のエレベータ利用情報画面が端末に表示されるときの各種データを表した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明を実施するための形態を、以下の実施例に基づき図面を参照しつつ説明していく。本実施例の乗降検出システムは大勢の人や物が様々な動きをしても、エレベータへの乗降、つまりエレベータのカゴに入ったか出たか、あるいは付近を通過しただけかを正確に識別することで、対象の移動速度、数、配置で識別精度が影響されるという課題を解決するものである。
【実施例1】
【0022】
図1は本実施例の乗降検出システムの一実施例の構成図である。乗降検出システム1は乗降検出装置10、リーダ11−1〜11−m、電子タグ12−1〜12−n、電子タグ13、ネットワーク15を有する。
【0023】
電子タグ12−1〜12−nは、エレベータ14への乗降を検出する対象となる人や物に付けられている。また、電子タグ13はエレベータ14内に付けられている。電子タグ12−1〜12−nの何れでもよい場合は、単に電子タグ12と呼ぶ。電子タグ12及び13は、固有の識別情報(ID)を電波で繰り返し発信する。なお、電子タグ12又は13は対象となる人や物、又は、エレベータ14に複数付けてもよい。
【0024】
対象となる人や物、又は、エレベータ14に、電子タグ12又は13を複数付けることにより、本実施例の乗降検出システム1は、リーダ11−1〜11−mの受信頻度を高めて受信失敗を軽減したり、電子タグ12又は13の故障や電池切れなどによって対象が検知不能になることを避けたり、電子タグ12又は13の故障を検出したりすることが可能になる。
【0025】
リーダ11−1〜11−mは、各エレベータホールに設置される。リーダ11−1〜11−mの何れでもよい場合は、単にリーダ11と呼ぶ。リーダ11はネットワーク15を介して乗降検出装置10とデータ通信可能に接続されている。ネットワーク15は無線通信でも有線通信でもよく、LANでもインターネットでもよい。
【0026】
乗降検出装置10は、対象・場所情報管理部16、エレベータ乗降判別部17、データ収集部18を有する。対象・場所情報管理部16は場所管理表を保持し、リーダ11の設置されている場所と、リーダ11の識別情報とを対応付けて管理する。また、対象・場所情報管理部16は対象管理表を保持し、対象の識別情報と、電子タグ12又は13の識別情報と、対象のタイプとを対応付けて管理する。エレベータ乗降判別部17は対象となる人や物のエレベータ14への乗降を判別する。データ収集部18はリーダ11から検知データを収集する。対象・場所情報管理部16、エレベータ乗降判別部17、データ収集部18の詳細は後述する。
【0027】
乗降検出装置10は例えばサーバコンピュータやクライアントコンピュータなどのコンピュータ20により実現される。乗降検出プログラムがインストールされたコンピュータ20は乗降検出装置10の一例である。
【0028】
図2は乗降検出装置の一例のハードウェア構成図である。ここでは、乗降検出プログラムがインストールされているコンピュータ20のハードウェア構成を説明する。コンピュータ20は、乗降検出装置10と同様の機能を有している乗降検出プログラムを実行する。
【0029】
図2のコンピュータ20は、入力装置21、表示装置22、コンピュータ本体23を有している。コンピュータ本体23はバス37で相互に接続された主記憶装置31、演算処理装置32、インターフェース装置33、記録媒体読取装置34及び補助記憶装置35を有する。また、バス37には入力装置21及び表示装置22が接続されている。
【0030】
バス37で相互に接続されている入力装置21、表示装置22、主記憶装置31、演算処理装置32、インターフェース装置33、記録媒体読取装置34及び補助記憶装置35は、演算処理装置32による管理下で相互にデータの送受を行うことができる。演算処理装置32は、コンピュータ20全体の動作制御を司る中央処理装置である。
【0031】
インターフェース装置33はネットワーク15等からのデータを受信し、データの内容を演算処理装置32に渡す。インターフェース装置33は演算処理装置32からの指示に応じてネットワーク15等にデータを送信する。
【0032】
補助記憶装置35には、乗降検出装置10と同様の機能をコンピュータ20に発揮させるプログラムの一部として、少なくとも乗降検出装置10における処理をコンピュータ20に実行させる乗降検出プログラムが記憶されている。
【0033】
そして、演算処理装置32が乗降検出プログラムを補助記憶装置35から読み出して実行することで、コンピュータ20は乗降検出装置10として機能するようになる。乗降検出プログラムは、演算処理装置32とアクセス可能な主記憶装置31に格納されていても良い。
【0034】
入力装置21は演算処理装置32の管理下でデータの入力を受付ける。乗降検出プログラムはコンピュータ20が読み取り可能な記録媒体36に記録しておくことができる。
【0035】
記録媒体36には、磁気記録媒体、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録媒体には、HDD、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ(MT)などがある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD−ROM(Compact Disc − Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。また、光磁気記録媒体には、MO(Magneto − Optical disk)などがある。
【0036】
乗降検出プログラムを流通させる場合には、例えば、乗降検出プログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型の記録媒体36を販売することが考えられる。乗降検出プログラムを実行するコンピュータ20は、例えば記録媒体読取装置34が乗降検出プログラムを記録した記録媒体36から、乗降検出プログラムを読み出す。演算処理装置32は、読み出された乗降検出プログラムを主記憶装置31若しくは補助記憶装置35に格納する。そして、コンピュータ20は自己の記憶装置である主記憶装置31若しくは補助記憶装置35から乗降検出プログラムを読み取り、乗降検出プログラムに従った処理を実行する。
【0037】
図3はリーダの動作を表した一例のフローチャートである。リーダ11はステップS1に進み、電子タグ12又は13からの信号の受信があるか否か判定する。リーダ11は電子タグ12又は13からの信号の受信があるまでステップS1の処理を繰り返す。電子タグ12又は13からの信号の受信があると、リーダ11はステップS2に進み、電子タグ12又は13からの信号をタグ発信データとして取得する。ステップS3に進み、リーダ11は取得したタグ発信データから検知データを生成し、検知データを乗降検出装置10のデータ収集部18へ通知する。
【0038】
図4は検知データの一例の構成図である。検知データは、時刻または経過時間、リーダID、電子タグID、受信強度を有する。時刻または経過時間は、電子タグ12又は13からの信号を受信した時刻またはリーダ11の起動などからの経過時間を表す。リーダIDはリーダ11の固有の識別情報である。電子タグIDは電子タグ12又は13の固有の識別情報である。受信強度は電子タグ12又は13からの信号の受信強度である。
【0039】
図5は検知データの他の例の構成図である。図5は、リーダ11が複数のアンテナを持つ場合の検知データである。図5の検知データは、時刻または経過時間、リーダID、電子タグID、アンテナに対応したチャンネル1〜nごとの受信強度、発信カウンタ値を有する。電子タグ12又は13が電子タグID以外の情報を送信する場合、検知データには電子タグID以外の情報を付加情報として加えても良い。発信カウンタ値は付加情報の一例である。
【0040】
発信カウンタ値は、電子タグ12又は13が内部に持つ発信回数を数えるカウンタの値である。例えば乗降検出装置10は受信した発信カウンタ値をc2、その前に受信した発信カウンタ値をc1とすると、c2−c1が1ならば受信失敗なし、c2−c1>1ならc2−c1−1回の受信失敗があったと判定することができる。
【0041】
図6はデータ収集部の動作を表した一例のフローチャートである。データ収集部18はステップS11に進み、リーダ11から検知データの通知があるか否かを判定する。検知データの通知があるまで、データ収集部18はステップS11の処理を繰り返す。データ収集部18は検知データの通知があると、ステップS12に進み、通知された検知データから受信データを生成して記録する。
【0042】
図7は受信データの一例の構成図である。受信データは、受信データID、時刻、受信強度、タグID、リーダIDを有する。受信データIDは受信データの固有の識別情報である。時刻はリーダ11が電子タグ12又は13からの信号を受信した時刻である。受信強度はリーダ11が電子タグ12又は13から受信した信号の受信強度である。タグIDはリーダ11が信号を受信した電子タグ12又は13の固有の識別情報である。リーダIDは電子タグ12又は13から信号を受信したリーダ11の固有の識別情報である。
【0043】
なお、受信データは図5に示すように、複数の受信強度が含まれている検知データである場合、最大値を受信強度としてもよく、平均値を受信強度としてもよく、中央値を受信強度としてもよい。
【0044】
図8はリーダの動作を表した他の例のフローチャートである。リーダ11はステップS21に進み、検知データログを初期化して空にする。ステップS22に進み、リーダ11は電子タグ12又は13からの信号の受信があるか否か判定する。リーダ11は電子タグ12又は13からの信号の受信があるまでステップS22の処理を繰り返す。電子タグ12又は13からの信号の受信があると、リーダ11はステップS23に進み、電子タグ12又は13からの信号をタグ発信データとして取得する。ステップS24に進み、リーダ11は取得したタグ発信データから検知データを生成し、検知データログに追加する。
【0045】
ステップS25に進み、リーダ11は乗降検出装置10のデータ収集部18からデータ要求があるか否かを判定する。データ収集部18からデータ要求がなければ、リーダ11はステップS22に戻る。また、データ収集部18からデータ要求があれば、リーダ11はステップS26に進み、検知データログを乗降検出装置10のデータ収集部18へ送信したあと、ステップS21に戻り、再び、ステップS21の検知データログの初期化から動作を繰り返す。検知データログは、任意の個数の検知データを含む。
【0046】
図9はデータ収集部の動作を表した他の例のフローチャートである。データ収集部18はステップS31に進み、iに1を代入する。ステップS32に進み、データ収集部18はiがリーダ11の数より大きいか否かを判定する。iがリーダ11の数より大きくないと判定すると、データ収集部18はリーダ11−iへデータ要求を送信する。
【0047】
ステップS34に進み、データ収集部18はリーダ11−iから検知データログを受信する。ステップS35に進み、データ収集部18は受信した検知データログを構成する検知データそれぞれから受信データを生成して記録する。ステップS36に進み、データ収集部18はiに1を加算したあと、ステップS32に戻り、再び、ステップS32から動作を繰り返す。なお、ステップS32において、iがリーダ11の数より大きいと判定すると、データ収集部18はステップS37に進み、時間t待ったあと、再び、ステップS31から動作を繰り返す。
【0048】
図9に示すデータ収集部18の動作は、リーダ11−1〜11−mのそれぞれに対してデータ要求を送信し、検知データログを受信し、検知データログを構成する検知データそれぞれから受信データを生成して記録するものである。
【0049】
図10はエレベータ乗降判別部の動作を表した一例のフローチャートである。ステップS41に進み、エレベータ乗降判別部17はデータ収集部18が記録した受信データを読み取る。ステップS42に進み、エレベータ乗降判別部17は受信データから電子タグ12又は13、リーダ11ごとに連続受信データを生成する。ステップS43に進み、エレベータ乗降判別部17は連続受信データから対象の乗降を判別し、結果を乗降データへ登録する。図10に示したフローチャートの動作は、例えば1日1回など定期的に実行してもよく、データ収集部18に新規の受信データが記録された時点で実行するようにしてもよい。
【0050】
図11は、連続受信データの一例の構成図である。連続受信データとは、あるリーダ11が、ある電子タグ12又は13からの信号を時間間隔がΔT以下で受信し続けた一連の受信データ群をいう。ΔTは、例えば電子タグ12又は13の発信間隔、あるいは、その2倍としてもよく、設定値でもよい。
【0051】
図11に示した連続受信データは、連続受信データID、始点受信データID、終点受信データID、タグID、リーダID、場所IDを有する。連続受信データIDは連続受信データの固有の識別情報である。始点受信データIDは対象となる受信データ中、時系列で最初の受信データの受信データIDである。終点受信データIDは対象となる受信データ中、時系列で最後の受信データの受信データIDである。
【0052】
タグIDは、リーダ11が信号を受信した電子タグ12又は13の固有の識別情報である。リーダIDは電子タグ12又は13から信号を受信したリーダ11の固有の識別情報である。場所IDはリーダ11が設置されている場所の固有の識別情報である。場所IDは対象・場所情報管理部16から取得される。エレベータ乗降判別部17は図10のステップS42において、対象・場所情報管理部16へ問い合わせて場所IDを取得する。
【0053】
対象・場所情報管理部16は場所管理表を保持し、エレベータ乗降判別部17からの問合せに対し、リーダIDに対応する場所IDを返す。図12は場所管理表の一例の構成図である。場所管理表は、場所ID、1つ以上のリーダIDを有する。場所IDはリーダ11が設置されている場所の固有の識別情報である。1つ以上のリーダIDは場所IDが示す場所に設置されているリーダ11のリーダIDである。つまり、場所IDが示す場所には複数のリーダ11を設置してもよい。その場合、場所IDは複数のリーダIDと対応付けられている。
【0054】
エレベータ乗降判別部17は連続受信データから各電子タグ12又は13に対応した対象のエレベータ14への乗降を判別する。ここでは、連続受信データから各電子タグ12又は13に対応した対象のエレベータ14への乗降を判別する方法について説明する。
【0055】
図13はエレベータへの乗車又は離脱を判別する方法の一例の説明図である。図13は電子タグXを付けた対象Xが電子タグYを付けたエレベータYへ乗車、電子タグZを付けた対象ZがリーダRの設置されているエレベータホールから離れた(離脱した)例を表している。
【0056】
図13(A)は電子タグXを付けた対象X、電子タグZを付けた対象Z、電子タグYを付けたエレベータY、リーダRの設置されているエレベータホールの関係を表した一例の模式図である。図13(B)はリーダRが電子タグX、Y、Zから受信する信号の受信強度を表した一例のグラフ図である。
【0057】
リーダRは電子タグX、Y及びZの発信を受信する。図13(B)は電子タグX、Y及びZのそれぞれに対応する連続受信データの末尾の一部を表している。図13(B)は縦軸が受信強度、横軸が時間を示している。エレベータ乗降判別部17はエレベータYに付けられた電子タグYからの信号受信が途絶える時刻と、対象X、Zに付けられた電子タグX、Zからの受信信号が途絶える時刻との差deを、それぞれ求める。
【0058】
エレベータYに乗車する対象Xに付けられた電子タグXからの受信信号は、エレベータYの扉が閉じて移動したタイミングで、エレベータYに付けられた電子タグYからの受信信号とほぼ同時に途絶え、受信不能となる。これは、エレベータYの扉及びフロア間(天井内)が電子タグX、Yからの発信電波を遮断するためである。
【0059】
一方、エレベータYに乗車しない対象Zに付けられた電子タグZからの受信信号はエレベータYに付けられた電子タグYからの受信信号と無関係に、対象Zがエレベータホールから離れた任意のタイミングで途絶え、受信不能となる。
【0060】
そこで、エレベータ乗降判別部17は、エレベータYに付けられた電子タグYからの信号受信が途絶える時刻と、対象X、Zに付けられた電子タグX、Zからの受信信号が途絶える時刻との差|de|が閾値Te以下であれば「乗車(仮)」と判定し、閾値Teを超えたら「離脱」と判定する。したがって、図13の例では、電子タグXが付けられた対象Xが「乗車(仮)」、電子タグZが付けられた対象Zが「離脱」と判定できる。
【0061】
ただし、電子タグZが付けられた対象Zが偶然、エレベータYの扉が閉じて移動したタイミングでエレベータホールを離れると、エレベータYに付けられた電子タグYからの信号受信が途絶える時刻と、対象Zに付けられた電子タグZからの受信信号が途絶える時刻との差|de|が図14に示すように閾値Te以下となることがある。
【0062】
図14はエレベータへの乗車又は離脱を判別する方法の他の例の説明図である。図14は電子タグXを付けた対象Xが電子タグYを付けたエレベータYへ乗車、電子タグZを付けた対象ZがリーダRの設置されているエレベータホールからエレベータYの扉が閉じて移動したタイミングで離れた(離脱した)例を表している。
【0063】
図14(A)は電子タグXを付けた対象X、電子タグZを付けた対象Z、電子タグYを付けたエレベータY、リーダRの設置されているエレベータホールの関係を表した一例の模式図である。図14(B)はリーダRが電子タグX、Y、Zから受信する信号の受信強度を表した一例のグラフ図である。
【0064】
なお、図14は図13と一部を除いて同様であるため、適宜、説明を省略する。リーダRはエレベータYの乗降口の近くに設置されている。したがって、エレベータYへ乗車した対象Xに付けられている電子タグXから受信する信号の受信強度は、エレベータYの扉が閉じて移動したタイミングで受信不能となるため、受信不能となる直前でも高い。
【0065】
一方、エレベータホールから離れた対象Zに付けられている電子タグZから受信する信号の受信強度は、受信可能な距離だけ既にエレベータホールから離れているため、受信不能となる直前で低い。
【0066】
そこで、エレベータ乗降判別部17は、エレベータYに付けられた電子タグYからの信号受信が途絶える時刻と、対象X、Zに付けられた電子タグX、Zからの受信信号が途絶える時刻との差|de|が閾値Te以下であり「乗車(仮)」と判定した場合、更に以下の判定を行う。
【0067】
エレベータ乗降判別部17は、エレベータYに付けられた電子タグYからの信号受信が途絶える直前の時点te0での対象X、Zに付けられた電子タグX、Zから受信する信号の受信強度re_x、re_zを求める。エレベータ乗降判別部17は、対象X、Zに付けられた電子タグX、Zから受信する信号の受信強度re_x、re_zが閾値Re以上であれば「乗車」と判定し、閾値Reより小さければ「離脱」と判定する。
【0068】
なお、エレベータ乗降判別部17はエレベータYに付けられた電子タグYからの信号受信が途絶えるdte秒前を時点te0としてもよく、電子タグYから受信する信号の受信強度を時系列で平滑化し、各時点の受信強度変化の傾きを当該時点の前後n個の受信強度から求め、傾きが時系列で最初にθe以下になる時点をte0としてもよく、電子タグYから受信する信号の受信強度を時系列で平滑化し、各時点で前後dt秒の範囲の受信強度の分散vtを求め、受信強度の分散vtが、あらかじめ設定した閾値Ve以下から閾値Veを超えた最後の時点をte0としてもよい。平滑化は、例えば多項式モデルや加法回帰モデルなどを適用して求めればよい。傾きは最小二乗法などを適用して求めればよい。
【0069】
図15は、エレベータからの降車又は接近を判別する方法の一例の説明図である。図15は電子タグXを付けた対象Xが電子タグYを付けたエレベータYから降り(降車)、電子タグZを付けた対象ZがリーダRの設置されているエレベータホールへ入った(接近した)例を表している。
【0070】
図15(A)は電子タグXを付けた対象X、電子タグZを付けた対象Z、電子タグYを付けたエレベータY、リーダRの設置されているエレベータホールの関係を表した一例の模式図である。図15(B)はリーダRが電子タグX、Y、Zから受信する信号の受信強度を表した一例のグラフ図である。
【0071】
リーダRは電子タグX、Y及びZの発信を受信する。図15(B)は電子タグX、Y及びZのそれぞれに対応する連続受信データの先頭の一部を表している。図15(B)は縦軸が受信強度、横軸が時間を示している。エレベータ乗降判別部17はエレベータYに付けられた電子タグYからの信号が受信され始める時刻と、対象X、Zに付けられた電子タグX、Zからの信号が受信され始める時刻との差dsを、それぞれ求める。
【0072】
エレベータYから降車する対象Xに付けられた電子タグXからの受信信号はエレベータYが停止して扉が開いたタイミングで、エレベータYに付けられた電子タグYからの受信信号とほぼ同時に受信され始める。一方、エレベータホールに接近する対象Zに付けられた電子タグZからの受信信号はエレベータYに付けられた電子タグYからの受信信号と無関係に、対象Zがエレベータホールに近づいた任意の時点で受信され始める。
【0073】
そこで、エレベータ乗降判別部17は、エレベータYに付けられた電子タグYからの信号が受信され始める時刻と、対象X、Zに付けられた電子タグX、Zからの信号が受信され始める時刻との差|ds|が閾値Ts以下であれば「降車(仮)」と判定し、閾値Tsを超えたら「接近」と判定する。したがって、図15の例では、電子タグXが付けられた対象Xが「降車(仮)」、電子タグZが付けられた対象Zが「接近」と判定できる。
【0074】
ただし、電子タグZが付けられた対象Zが偶然、エレベータYが停止して扉が開いたタイミングでエレベータホールに近づくと、エレベータYに付けられた電子タグYからの受信信号が受信され始める時刻と、対象Zに付けられた電子タグZから受信信号が受信され始める時刻との差|ds|が図16に示すように閾値Ts以下となることがある。
【0075】
図16はエレベータへの降車又は接近を判別する方法の他の例の説明図である。図16は電子タグXを付けた対象Xが電子タグYを付けたエレベータYから降車、電子タグZを付けた対象ZがリーダRの設置されているエレベータホールに、エレベータYが停止して扉が開いたタイミングで入った(接近した)例を表している。
【0076】
図16(A)は電子タグXを付けた対象X、電子タグZを付けた対象Z、電子タグYを付けたエレベータY、リーダRの設置されているエレベータホールの関係を表した一例の模式図である。図16(B)はリーダRが電子タグX、Y、Zから受信する信号の受信強度を表した一例のグラフ図である。
【0077】
なお、図16は図15と一部を除いて同様であるため、適宜、説明を省略する。リーダRはエレベータYの乗降口の近くに設置されている。したがって、エレベータYから降車した対象Xに付けられている電子タグXから受信する信号の受信強度はエレベータYが停止して扉が開いたタイミングで受信可能となるため、受信可能直後から高い。一方、エレベータホールに接近する対象Zに付けられている電子タグZから受信する信号の受信強度は受信可能な距離から受信し始めるため、受信可能直後で低い。
【0078】
そこで、エレベータ乗降判別部17は、エレベータYに付けられた電子タグYからの信号受信が始まる時刻と、対象X、Zに付けられた電子タグX、Zからの信号受信が始める時刻との差|ds|が閾値Ts以下であり「降車(仮)」と判定した場合、更に以下の判定を行う。
【0079】
エレベータ乗降判別部17は、エレベータYに付けられた電子タグYからの信号受信が始まる直後の時点ts0での対象X、Zに付けられた電子タグX、Zから受信する信号の受信強度rs_x、rs_zを求める。エレベータ乗降判別部17は、対象X、Zに付けられた電子タグX、Zから受信する信号の受信強度rs_x、rs_zが閾値Rs以上であれば「降車」と判定し、閾値Rsより小さければ「接近」と判定する。
【0080】
なお、エレベータ乗降判別部17はエレベータYに付けられた電子タグYからの信号受信が始まるdts秒後を時点ts0としてもよく、電子タグYから受信する信号の受信強度を時系列で平滑化し、各時点の受信強度変化の傾きを当該時点の前後n個の受信強度から求め、傾きが時系列で最初にθe以下になる時点をts0としてもよく、電子タグYから受信する信号の受信強度を時系列で平滑化し、各時点で前後dt秒の範囲の受信強度の分散vtを求め、受信強度の分散vtが、あらかじめ設定した閾値Vs以下になる時点をte0としてもよい。
【0081】
図10のステップS43に示した連続受信データから対象の乗降を判別し、結果を乗降データへ登録するエレベータ乗降判別部17の動作は、例えば図17に示すような手順で行われる。
【0082】
図17はエレベータ乗降判別部のステップS43の動作を表した一例のフローチャートである。図17に示した動作は、新規に生成された連続受信データそれぞれについて実行される。ステップS51に進み、エレベータ乗降判別部17は連続受信データをcx、連続受信データcxに該当する電子タグを電子タグxとする。ステップS52に進み、エレベータ乗降判別部17は対象・場所情報管理部16からエレベータYに付けられた1つ以上の電子タグyのタグIDを取得する。エレベータ乗降判別部17は取得した電子タグyのタグIDに対応する、それぞれの連続受信データcyを取り出す。
【0083】
ステップS53に進み、エレベータ乗降判別部17は連続受信データcx、cyの始点時刻xs、ysを、図7の受信データから求める。エレベータ乗降判別部17は連続受信データcxの始点時刻xs、連続受信データcyの始点時刻ysについて時間差dsを以下の式(1)から求める。
【0084】
ds=|xs−ys|…(1)
【0085】
ステップS54に進み、エレベータ乗降判別部17は連続受信データcx、cyの終点時刻xe、yeを、図7の受信データから求める。エレベータ乗降判別部17は連続受信データcxの終点時刻xe、連続受信データcyの終点時刻yeについて時間差deを以下の式(2)から求める。
【0086】
de=|xe−ye|…(2)
【0087】
ステップS55に進み、エレベータ乗降判別部17は求めた時間差dsが閾値Ts以下であるか否かを判定する。時間差dsが閾値Ts以下であれば、エレベータ乗降判別部17はステップS56に進み、連続受信データcyを平滑化したcy’を求め、cy’の傾きがθs以下となる時刻ts0を求める。ステップS57に進み、エレベータ乗降判別部17は連続受信データcyと同様、連続受信データcxを平滑化したcx’を求め、時刻ts0の受信強度rsを求める。
【0088】
ステップS58に進み、エレベータ乗降判別部17は求めた受信強度rsが閾値Rs以上であるか否かを判定する。受信強度rsが閾値Rs以上であれば、エレベータ乗降判別部17はステップS59に進み、電子タグxを付けた対象xの始点行動を「降車」と判定する。
【0089】
一方、ステップS55において時間差dsが閾値Tsを超えたとき、又はステップS58において受信強度rsが閾値Rsより小さいとき、ステップS60に進み、エレベータ乗降判別部17は電子タグxを付けた対象xの始点行動を「接近」と判定する。
【0090】
ステップS59又はS60に続いてステップS61に進み、エレベータ乗降判別部17は求めた時間差deが閾値Te以下であるか否かを判定する。時間差deが閾値Te以下であれば、エレベータ乗降判別部17はステップS62に進み、連続受信データcyを平滑化したcy’を求め、cy’の傾きがθe以下となる時刻te0を求める。ステップS63に進み、エレベータ乗降判別部17は連続受信データcyと同様、連続受信データcxを平滑化したcx’を求め、時刻te0の受信強度reを求める。
【0091】
ステップS64に進み、エレベータ乗降判別部17は求めた受信強度reが閾値Re以上であるか否かを判定する。受信強度reが閾値Re以上であれば、エレベータ乗降判別部17はステップS65に進み、電子タグxを付けた対象xの終点行動を「乗車」と判定する。
【0092】
一方、ステップS61において時間差deが閾値Teを超えたとき、又はステップS64において受信強度reが閾値Reより小さいとき、ステップS66に進み、エレベータ乗降判別部17は電子タグxを付けた対象xの終点行動を「離脱」と判定する。ステップS65又はS66に続いてステップS67に進み、エレベータ乗降判別部17は電子タグxを付けた対象xの始点行動と終点行動とを乗降データへ追加する。
【0093】
図18は対象管理表の一例の構成図である。対象管理表は、例えば対象・場所情報管理部16によって保持される。対象管理表は、対象ID、1つ以上のタグID、タイプを有する。対象IDは、対象のタイプに固有の識別情報である。タグIDは対象のタイプに対応付けられた電子タグ12又は13の固有の識別情報である。タイプは対象が何であるかを示す情報である。対象・場所情報管理部16は、図18の対象管理表を利用することにより、指定されたタイプに対応するタグIDを返すことができる。
【0094】
図19は乗降データの一例の構成図である。乗降データは、エレベータ乗降判別結果を表す情報である。乗降データは、乗降データID、対象ID、連続受信データID、判定を有する。乗降データIDは乗降データの固有の識別情報である。対象IDは、対象のタイプに固有の識別情報である。連続受信データIDは連続受信データの固有の識別情報である。判定は始点行動と終点行動を連結した情報である。
【0095】
例えば図19に示した乗降データID=1のレコードの意味は、タグID=310010・・・310110の電子タグ12を付けたベビーカー(対象ID=1)が、2010年1月8日10時0分0秒に場所ID=1の場所に接近し、同日10時10分0秒にエレベータへ乗車したことを表している。
【0096】
なお、2010年1月8日10時0分0秒は、連続受信データID=1及び始点受信データID=1から得られる。同日10時10分0秒は、連続受信データID=1及び終点受信データID=50から得られる。
【0097】
図20は、閾値Ts、Rs、Te、Reを求める動作を表した一例のフローチャートである。図20に示すフローチャートの動作は、例えばエレベータ乗降判別部17で、判別実行開始前に実行してもよいし、定期的に実行してもよいし、利用者の指示で実行してもよい。なお、図20に示すフローチャートの動作は、電子タグ12のそれぞれについて実行される。
【0098】
ステップS71に進み、エレベータ乗降判別部17は各対象xに付けられた電子タグxについて、過去の連続受信データを収集する。ステップS72に進み、エレベータ乗降判別部17は各連続受信データxdについて、エレベータyに付けられた電子タグyの中で始点が最も近い電子タグyの連続受信データyds、終点が最も近い電子タグyの連続受信データydeを求める。
【0099】
ステップS73に進み、エレベータ乗降判別部17は各連続受信データxdと対応する連続受信データyds、連続受信データydeについて、始点時間差ds及び終点時間差deを求める。
【0100】
ステップS74に進み、エレベータ乗降判別部17は各連続受信データxdと対応する連続受信データyds、連続受信データydeについて、連続受信データydsの開始直後のts0、連続受信データydeの終了直前のte0を求め、ts0、te0のそれぞれでの電子タグxの受信強度rs、reを求める。
【0101】
なお、エレベータ乗降判別部17は連続受信データydsの開始からdts秒後をts0としてもよいし、連続受信データydsの受信強度を時系列で平滑化し、各時点の受信強度変化の傾きを当該時点の前後n個の受信強度から求め、傾きが時系列で最初にθs以下になる時点をts0としてもよく、連続受信データydsの受信強度を時系列で平滑化し、各時点で前後dt秒の範囲の受信強度の分散vtを求め、受信強度の分散vtが、あらかじめ設定した閾値Vs以下になった最初の時点をts0としてもよい。
【0102】
エレベータ乗降判別部17は連続受信データydeの終了のdte秒前をte0としてもよいし、連続受信データydeの受信強度を時系列で平滑化し、各時点の受信強度変化の傾きを当該時点の前後n個の受信強度から求め、傾きが時系列で最初にθe以下になる時点をte0としてもよく、連続受信データydeの受信強度を時系列で平滑化し、各時点で前後dt秒の範囲の受信強度の分散vtを求め、受信強度の分散vtが、あらかじめ設定した閾値Ve以下から閾値Veを超えた最後の時点をte0としてもよい。平滑化は例えば多項式モデルや加法回帰モデルなどを適用して求めればよい。傾きは最小二乗法などを適用して求めればよい。
【0103】
ステップS75に進み、エレベータ乗降判別部17は全ての連続受信データxdについて、閾値Ts、Rs、Te、Reを求める。エレベータ乗降判別部17は、始点時間差dsと受信強度rsとのペアを分類し、境界を閾値Ts、Rsとする。同様に、エレベータ乗降判別部17は終点時間差deと受信強度reとのペアを分類し、境界をTe、Reとする。分類は、例えばクラスタ分析法を用いてもよい。境界は、例えば線形判別法で求めてもよい。
【0104】
図21は、ペアの分類と閾値Ts、Rs、Te、Reとの関係を表した一例のグラフ図である。図21(A)は横軸が始点時間差ds、縦軸が受信レベルrsのグラフ図を示している。図21(A)は全ての連続受信データxdについて、始点時間差dsと受信強度rsとのペア(ds、rs)をプロットしたグラフ図である。
【0105】
図21(A)における始点時間差dsと受信強度rsとのペア(ds、rs)はクラスタ分析手法により、3つのグループA、B、Cに分類できる。グループAは始点時間差dsが短く受信強度rsが高く、降車のケースに対応する。また、グループBは始点時間差dsが短いが受信強度rsが低く、偶然、エレベータy到着時にエレベータホールに近づいたケースに対応する。また、グループCは始点時間差dsが長く、エレベータyと無関係なケースに対応する。2本の直線Rs、Tsは、各グループA、B、Cの境界を線形判別法で求めることで定まる。2本の直線Rs、Tsは、閾値となる。
【0106】
また、図21(B)は横軸が終点時間差de、縦軸が受信レベルreのグラフ図を示している。図21(B)は全ての連続受信データxdについて、終点時間差deと受信強度reとのペア(de、re)をプロットしたグラフ図である。
【0107】
図21(B)における終点時間差deと受信強度reとのペア(de、re)はクラスタ分析手法により、3つのグループA、B、Cに分類できる。グループAは終点時間差deが短く受信強度reが高く、乗車のケースに対応する。
【0108】
また、グループBは終点時間差deが短いが受信強度reが低く、偶然、エレベータyが移動した時にエレベータホールから遠ざかったケースに対応する。また、グループCは終点時間差deが長く、エレベータyと無関係なケースに対応する。閾値となる2本の直線Re、Teは、各グループA、B、Cの境界を線形判別法で求めることで定まる。
【0109】
なお、図1に示した乗降検出装置10は、対象・場所情報管理部16、エレベータ乗降判別部17、データ収集部18を有しているが、複数のサーバ装置に分散させる形態としてもよい。
【実施例2】
【0110】
図22は本実施例の乗降検出システムの他の実施例の構成図である。乗降検出システム2はリーダ11−j〜11−i、電子タグ12−1〜12−n、電子タグ13、ネットワーク15、乗降検出装置40、端末43を有する。図22の乗降検出システム2は店員や係員などがエレベータホールで利用客へエレベータ14の混み具合を知らせたり、混雑を避けるために利用客の乗降をコントロールしたりするといったサービス、および、顧客満足度調査などのためのエレベータ待ち時間集計がこれに相当する。なお、図22の乗降検出システム2は一部を除き、図1の乗降検出システム1と同様であるため、適宜説明を省略する。
【0111】
エレベータ乗降判別部17は、データ収集部18で新しく受信データが記録されるタイミングで、図17に示す動作を実行する。実行の結果、エレベータ乗降判別部17は新たに登録した例えば図23に示すような乗降データをエレベータ待ち・乗車カウンタ部41へ送る。
【0112】
図23は乗降データの他の例の構成図である。乗降データは、乗降データID、対象ID、エレベータID、場所ID、連続受信データID、判定(始)、判定(終)を有している。乗降データIDは乗降データの固有の識別情報である。対象IDは、対象のタイプに固有の識別情報である。
【0113】
エレベータIDはエレベータ14の固有の識別情報である。場所IDはリーダ11が設置されている場所の固有の識別情報である。連続受信データIDは連続受信データの固有の識別情報である。判定(始)は始点行動の情報である。判定(終)は終点行動の情報である。
【0114】
エレベータ乗降判別部17は図17のステップS67において、始点行動を乗降データの判定(始)へ登録し、終点行動を判定(終)へ登録する。エレベータ乗降判別部17は連続受信データが継続中、すなわち当該リーダ11での当該電子タグ12又は13からの前回信号の受信からΔTを経過せずに次の信号を受信した場合、終点かどうかわからないので、その場合「未定」とする。
【0115】
また、乗降データの判定(始)が「降車」もしくは判定(終)が「乗車」の場合、エレベータ乗降判別部17は、対象管理表からエレベータ14に付けられた電子タグ13のタグIDを求め、そのタグIDに対応するエレベータIDを乗降データに登録する。そうでない場合、エレベータ乗降判別部17は、乗降データのエレベータIDへ「未定」を登録する。
【0116】
エレベータ待ち・乗車カウンタ部41は乗降データを受信した後、乗降データそれぞれについて乗車数データ、待ちデータ、待ち時間データを更新する。図24は乗車数データの一例の構成図である。乗車数データは、エレベータIDそれぞれについての乗車数を保持する。エレベータIDは対象管理表のタイプがエレベータである対象の固有の識別情報である。乗車数はエレベータIDそれぞれについての乗車数である。乗車数の初期値は0である。
【0117】
図25は、待ちデータの一例の構成図である。待ちデータは、場所IDのそれぞれについて、待ち数と該当する乗降データの乗降データIDリストを保持する。リーダ11が設置されている場所の固有の識別情報である。待ち数は場所IDに対応する場所においてエレベータ14を待っている利用客の数である。乗降データIDリストは場所IDに対応する場所において、エレベータ14を待っている利用客に対応する乗降データの乗降データIDリストである。図26は待ち時間データの一例の構成図である。待ち時間データは待ち時間と乗降データIDとの対応を保持する。
【0118】
図27は、エレベータ待ち・乗車カウンタ部の動作を表した一例のフローチャートである。エレベータ待ち・乗車カウンタ部41はステップS81に進み、乗降データaについて動作を開始する。ステップS82に進み、エレベータ待ち・乗車カウンタ部41は乗降データaの判定(始)が「降車」か「接近」の何れであるかを判別する。
【0119】
乗降データaの判定(始)が「降車」であれば、エレベータ待ち・乗車カウンタ部41はステップS83に進み、乗降データのエレベータIDに対応した乗車数データの乗車数を1減らす。一方、乗降データaの判定(始)が「接近」であれば、エレベータ待ち・乗車カウンタ部41はステップS84に進み、乗降データaの判定(終)が「未定」か「乗車」か「離脱」の何れであるかを判別する。
【0120】
乗降データaの判定(終)が「未定」であれば、エレベータ待ち・乗車カウンタ部41はステップS85に進み、乗降データaのエレベータIDに対応する場所IDを後述のエレベータホール管理表から検索して求める。
【0121】
図28はエレベータホール管理表の一例の構成図である。エレベータホール管理表は場所IDそれぞれについてエレベータID及び端末アドレスを保持する。エレベータホール管理表は場所ID、1つ以上のエレベータID、端末アドレスを有する。エレベータ待ち・乗車カウンタ部41は、検索した場所IDに対応した待ちデータの待ち数を1増やすと共に、乗降データaの乗降データIDを乗降データIDリストに追加する。
【0122】
乗降データaの判定(終)が「乗車」であれば、エレベータ待ち・乗車カウンタ部41はステップS86に進み、乗降データのエレベータIDに対応した乗車数データの乗車数を1増やす。
【0123】
ステップS86に続いてステップS87に進み、エレベータ待ち・乗車カウンタ部41は乗降データから対応する連続受信データIDを求め、該当する連続受信データから始点受信データIDを求め、該当する受信データから受信時刻を求める。この受信時刻は対象が待ちを開始した時刻twである。
【0124】
同様に、エレベータ待ち・乗車カウンタ部41は該当する連続受信データから終点受信データIDを求め、該当する受信データから受信時刻を求める。この受信時刻は対象が乗車した時刻trである。時刻tr−twを待ち時間として、エレベータ待ち・乗車カウンタ部41は乗降データIDと共に、エレベータ待ち時間記録部42へ送る。エレベータ待ち時間記録部42は、待ち時間と乗降データIDとを待ち時間データへ登録する。
【0125】
次に、エレベータ待ち・乗車カウンタ部41はステップS88に進み、乗降データのエレベータIDに対応する場所IDをエレベータホール管理表から検索して求める。そしてエレベータ待ち・乗車カウンタ部41は、待ちデータの場所IDに対応した待ち数を1減らす。同時に、エレベータ待ち・乗車カウンタ部41は乗降データIDを待ちデータの乗降データIDリストから削除する。
【0126】
乗降データaの判定(終)が「離脱」であれば、エレベータ待ち・乗車カウンタ部41はステップS88に進み、乗降データのエレベータIDに対応する場所IDをエレベータホール管理表から検索して求める。そしてエレベータ待ち・乗車カウンタ部41は、待ちデータの場所IDに対応した待ち数を1減らす。同時に、エレベータ待ち・乗車カウンタ部41は乗降データIDを待ちデータの乗降データIDリストから削除する。
【0127】
ステップS83、S85、S88に続いてステップS89に進み、エレベータ待ち・乗車カウンタ部41は待ちデータを更新したあと、端末43へ乗車数データ、待ちデータを通知する。このとき、エレベータ待ち・乗車カウンタ部41は乗降データのエレベータIDに対応する端末アドレスをエレベータホール管理表から検索して求め、検索した端末アドレスの端末43へ乗車数データ、待ちデータを通知する。
【0128】
端末43はエレベータ待ち・乗車カウンタ部41から乗車数データ、待ちデータを受信すると、図29に示すようなエレベータ利用情報を表示する。図29は端末に表示されるエレベータ利用情報画面の一例のイメージ図である。図29のエレベータ利用情報画面は中央に3基のエレベータについての現乗車数、下部に待っている利用客の情報、右下に現時刻を表示している。
【0129】
図30は図29のエレベータ利用情報画面が端末に表示されるときの各種データを表した説明図である。エレベータ利用情報画面における乗車数は、乗車数データの対応するエレベータIDの乗車数である。図29のエレベータ利用情報画面の左の乗車数「1」は乗車数データのエレベータID「100」の乗車数「1」に対応する。図29のエレベータ利用情報画面の中央の乗車数「0」は、乗車数データのエレベータID「101」の乗車数「0」に対応する。また、図29のエレベータ利用情報画面の右の乗車数「3」は乗車数データのエレベータID「102」の乗車数「3」に対応する。
【0130】
図29のエレベータ利用情報画面の待っている利用客の情報は、例えば次のように求められる。まず、エレベータ待ち・乗車カウンタ部41は待ちデータの乗降データIDリストから対応する乗降データを求め、各乗降データから連続受信データIDを求める。
【0131】
例えば図29の待ちデータの場所ID「5」の場合、エレベータ待ち・乗車カウンタ部41は乗降データIDリストから乗降データID「1、2、4、5」が求まる。求まった乗降データID「1」の連続受信データIDは「1」である。エレベータ待ち・乗車カウンタ部41は、連続受信データIDの始点受信データIDから、対応する受信データを求める。図30の連続受信データID「1」の始点受信データIDは「1」である。
【0132】
エレベータ待ち・乗車カウンタ部41は受信データID「1」の時刻「2010年3月30日10時10分」を取得し、現時刻「2010年3月30日10時15分」との差からタグID「310010」を付けた対象の待ち時間(5分)を求める。エレベータ待ち・乗車カウンタ部41は、他の乗降データについても同様にしてタグIDと待ち時間とを求め、待ち時間が3分以上のタグIDを取り出し、対象管理表から対応する対象IDの数を求め、表示する。
【0133】
端末43は、例えば百貨店などの店員が持ち、端末43に表示されるエレベータ利用情報に基づいたエレベータホールでの利用客への情報提供や、長時間待たされている利用客を優先するために、他の利用客を誘導するなどのサービスに用いてもよい。
【0134】
本実施例によれば、人や物の移動速度、数や配置に影響されずにエレベータ乗降を正確に識別することが可能である。
【0135】
本発明は、以下に記載する付記のような構成が考えられる。
(付記1)
コンピュータに、
エレベータ及び該エレベータに乗降する対象に付けられた発信手段からの信号を前記エレベータの外側で受信する受信手段から、前記発信手段からの信号に関するデータを収集するデータ収集ステップと、
前記データから、前記エレベータに付けられた前記発信手段からの信号及び前記対象に付けられた前記発信手段からの信号の受信開始時刻差及び受信終了時刻差を求め、前記受信開始時刻差が第1の閾値以下であれば前記対象のエレベータからの降車と判定し、前記受信終了時刻差が第2の閾値以下であれば前記対象のエレベータへの乗車と判定する乗降検出ステップと
を実行させることを特徴とする乗降検出プログラム。
(付記2)
前記乗降検出ステップは、更に、前記エレベータに付けられた前記発信手段からの信号の受信開始直後及び受信終了直前の前記対象に付けられた前記発信手段からの信号の受信強度を求め、
前記受信開始時刻差が第1の閾値以下且つ前記受信開始直後の前記受信強度が第3の閾値以上であれば前記対象のエレベータからの降車と判定し、前記受信終了時刻差が第2の閾値以下且つ前記受信終了直前の前記受信強度が第4の閾値以上であれば前記対象のエレベータへの乗車と判定する
ことを特徴とする付記1記載の乗降検出プログラム。
(付記3)
前記乗降検出ステップは、更に、前記受信開始時刻差が第1の閾値以下でなく又は前記受信開始直後の前記受信強度が第3の閾値以上でなければ前記対象のエレベータへの接近と判定し、前記受信終了時刻差が第2の閾値以下でなく又は前記受信終了直前の前記受信強度が第4の閾値以上でなければ前記対象のエレベータからの離脱と判定する
ことを特徴とする付記2記載の乗降検出プログラム。
(付記4)
前記乗降検出ステップは、前記エレベータに付けられた前記発信手段からの信号の受信開始から所定時間経過後及び受信終了の所定時間前の前記対象に付けられた前記発信手段からの信号の受信強度を求める
ことを特徴とする付記2又は3記載の乗降検出プログラム。
(付記5)
前記乗降検出ステップは、前記エレベータに付けられた前記発信手段からの信号の受信強度を時系列で平滑化し、各時点での受信強度変化の傾きを求めて、傾きが時系列で最初に第5の閾値以下となる時点及び第6の閾値以下となる時点の前記対象に付けられた前記発信手段からの信号の受信強度を求める
ことを特徴とする付記2又は3記載の乗降検出プログラム。
(付記6)
前記乗降検出ステップは、前記エレベータに付けられた前記発信手段からの信号の受信強度を時系列で平滑化し、各時点で前後所定時間の範囲の受信強度の分散を求め、分散が時系列で最初に第7の閾値以下となる時点及び第8の閾値以下から第8の閾値を超えた最後の時点の前記対象に付けられた前記発信手段からの信号の受信強度を求める
ことを特徴とする付記2又は3記載の乗降検出プログラム。
(付記7)
前記乗降検出ステップは、前記エレベータに付けられた前記発信手段からの信号及び前記対象に付けられた前記発信手段からの信号の受信開始時刻差及び前記エレベータに付けられた前記発信手段からの信号の受信開始直後の前記対象に付けられた前記発信手段からの信号の受信強度のペア、前記エレベータに付けられた前記発信手段からの信号及び前記対象に付けられた前記発信手段からの信号の受信終了時刻差及び前記エレベータに付けられた前記発信手段からの信号の受信終了直前の前記対象に付けられた前記発信手段からの信号の受信強度のペアをクラスタ分析で分類し、
前記受信開始時刻差について長短の境界値を第1の閾値、前記エレベータに付けられた前記発信手段からの信号の受信開始直後の前記対象に付けられた前記発信手段からの信号の受信強度について高低の境界値を第3の閾値、前記受信終了時刻差について長短の境界値を第2の閾値、前記エレベータに付けられた前記発信手段からの信号の受信終了直前の前記対象に付けられた前記発信手段からの信号の受信強度について高低の境界値を第4の閾値とする
ことを特徴とする付記2又は3記載の乗降検出プログラム。
(付記8)
コンピュータによって実行される乗降検出方法であって、
前記コンピュータが、
エレベータ及び該エレベータに乗降する対象に付けられた発信手段からの信号を前記エレベータの外側で受信する受信手段から、前記発信手段からの信号に関するデータを収集するデータ収集ステップと、
前記データから、前記エレベータに付けられた前記発信手段からの信号及び前記対象に付けられた前記発信手段からの信号の受信開始時刻差及び受信終了時刻差を求め、前記受信開始時刻差が第1の閾値以下であれば前記対象のエレベータからの降車と判定し、前記受信終了時刻差が第2の閾値以下であれば前記対象のエレベータへの乗車と判定する乗降検出ステップと
を実行することを特徴とする乗降検出方法。
(付記9)
エレベータ及び該エレベータに乗降する対象に付けられた発信手段と、
前記発信手段からの信号を前記エレベータの外側で受信して、前記受信した信号に関するデータを出力する受信手段と、
前記受信手段から前記データを収集するデータ収集手段と、
前記データから、前記エレベータに付けられた前記発信手段からの信号及び前記対象に付けられた前記発信手段からの信号の受信開始時刻差及び受信終了時刻差を求め、前記受信開始時刻差が第1の閾値以下であれば前記対象のエレベータからの降車と判定し、前記受信終了時刻差が第2の閾値以下であれば前記対象のエレベータへの乗車と判定するエレベータ乗降検出手段と
を有することを特徴とする乗降検出システム。
【0136】
なお、本実施例における乗降検出プログラムは、パッケージソフトの他、WEBサービス等によっても提供可能である。なお、特許請求の範囲に記載した発信手段は電子タグ12又は13に相当し、受信手段はリーダ11に相当し、データ収集手段はデータ収集部18に相当し、エレベータ乗降検出手段がエレベータ乗降判別部17に相当する。
【符号の説明】
【0137】
1、2 乗降検出システム
10、40 乗降検出装置
11、11−1〜11−m リーダ
12、12−1〜12−n、13 電子タグ
14 エレベータ
15 ネットワーク
16 対象・場所情報管理部
17 エレベータ乗降判別部
18 データ収集部
20 コンピュータ
21 入力装置
22 表示装置
23 コンピュータ本体
31 主記憶装置
32 演算処理装置
33 インターフェース装置
34 記録媒体読取装置
35 補助記憶装置
36 記録媒体
37 バス
41 エレベータ待ち・乗車カウンタ部
42 エレベータ待ち時間記録部
43 端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
エレベータ及び該エレベータに乗降する対象に付けられた発信手段からの信号を前記エレベータの外側で受信する受信手段から、前記発信手段からの信号に関するデータを収集するデータ収集ステップと、
前記データから、前記エレベータに付けられた前記発信手段からの信号及び前記対象に付けられた前記発信手段からの信号の受信開始時刻差及び受信終了時刻差を求め、前記受信開始時刻差が第1の閾値以下であれば前記対象のエレベータからの降車と判定し、前記受信終了時刻差が第2の閾値以下であれば前記対象のエレベータへの乗車と判定する乗降検出ステップと
を実行させることを特徴とする乗降検出プログラム。
【請求項2】
前記乗降検出ステップは、更に、前記エレベータに付けられた前記発信手段からの信号の受信開始直後及び受信終了直前の前記対象に付けられた前記発信手段からの信号の受信強度を求め、
前記受信開始時刻差が第1の閾値以下且つ前記受信開始直後の前記受信強度が第3の閾値以上であれば前記対象のエレベータからの降車と判定し、前記受信終了時刻差が第2の閾値以下且つ前記受信終了直前の前記受信強度が第4の閾値以上であれば前記対象のエレベータへの乗車と判定する
ことを特徴とする請求項1記載の乗降検出プログラム。
【請求項3】
前記乗降検出ステップは、更に、前記受信開始時刻差が第1の閾値以下でなく又は前記受信開始直後の前記受信強度が第3の閾値以上でなければ前記対象のエレベータへの接近と判定し、前記受信終了時刻差が第2の閾値以下でなく又は前記受信終了直前の前記受信強度が第4の閾値以上でなければ前記対象のエレベータからの離脱と判定する
ことを特徴とする請求項2記載の乗降検出プログラム。
【請求項4】
コンピュータによって実行される乗降検出方法であって、
前記コンピュータが、
エレベータ及び該エレベータに乗降する対象に付けられた発信手段からの信号を前記エレベータの外側で受信する受信手段から、前記発信手段からの信号に関するデータを収集するデータ収集ステップと、
前記データから、前記エレベータに付けられた前記発信手段からの信号及び前記対象に付けられた前記発信手段からの信号の受信開始時刻差及び受信終了時刻差を求め、前記受信開始時刻差が第1の閾値以下であれば前記対象のエレベータからの降車と判定し、前記受信終了時刻差が第2の閾値以下であれば前記対象のエレベータへの乗車と判定する乗降検出ステップと
を実行することを特徴とする乗降検出方法。
【請求項5】
エレベータ及び該エレベータに乗降する対象に付けられた発信手段と、
前記発信手段からの信号を前記エレベータの外側で受信して、前記受信した信号に関するデータを出力する受信手段と、
前記受信手段から前記データを収集するデータ収集手段と、
前記データから、前記エレベータに付けられた前記発信手段からの信号及び前記対象に付けられた前記発信手段からの信号の受信開始時刻差及び受信終了時刻差を求め、前記受信開始時刻差が第1の閾値以下であれば前記対象のエレベータからの降車と判定し、前記受信終了時刻差が第2の閾値以下であれば前記対象のエレベータへの乗車と判定するエレベータ乗降検出手段と
を有することを特徴とする乗降検出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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