乳癌の手術中の放射線治療方法
乳癌患者は腫瘍切除の直後に放射線で手術中治療される。組織の病理がほぼ即時法で決定され、必要な場合は更なる切除が行われ、そして患者は次に、まだ麻酔されたままそして好ましくは動かされずに、放射線療法で治療される。好ましい態様では、アプリケーターが切除空洞に挿入され、該空洞は放射線源及びセンサーを使用して三次元マッピングされ、放射線治療計画が放射線処方及び決定された空洞の形状及び位置を用いて樹立され、そして治療計画が実行されるが、これら全ては患者が麻酔されたままで行われる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳癌又はその他の部位の癌の治療に関し、特に、患者を目覚めさせるか動かすことなく、或いは外部の画像化技術を使用することなく、切除した組織の病理学を含む外科的腫瘍切除後の放射線治療に有効な処置に関する。
【背景技術】
【0002】
患者を麻酔したまま乳癌並びに人体の他の領域に見いだされた癌を治療する際、腫瘍は(いくらかの周囲組織と共に)外科的に切除され、次に典型的には外科傷は閉じられ、患者は切除した腫瘍縁の病理学の決定を保留したまま家に送られ、放射線治療計画が展開され、そして患者はその後の一連の通院で、切除した腫瘍を取り巻く組織に対して放射線治療がなされる。これはしばしばイオン化放射線源、即ち放射活性同位体、を用いるためのアプリケーターを挿入するために外科空洞の再開口を含み得る。かかる状況下での放射線治療計画の形成は通常、切除空洞の形及び人体中の位置を決定するために、磁気共鳴像形成又はCT走査設備のような外部器具を使用した切除空洞の画像化を必要とする数時間かかる方法である。次に、放射線照射の計画を準備するために、像形成設備と治療計画ソフトウェアとの間でデータの移送が必要とされ、エラーを検査するために移送されたデータ値を検証する必要がある。
【0003】
これらのいくつかのステップはかなりの時間とそれに伴う費用がかかり、手術中の放射線治療を不可能でないとしても運用上難しくしている。乳房の腫瘍の場合、画像化のために患者を動かすことはそれ自体問題である。何故なら、乳房は柔軟であり、切除した空洞は動くかもしれないからである。患者を動かさず、外部の画像化器具を必要とせず、そして患者を麻酔から覚ますことなく乳癌又はその他の癌の手術中の放射線治療を可能にする方法が要請されている。
【0004】
また、医者の処方に厳密に従うために、外科手術後、組織に放射線を照射する際に正確さを増すことも要請されている。例えば、乳部組織の放射線照射において皮膚の損傷を避け、そして処方された線量を必要な箇所に照射しながら心臓、肺及び骨への損傷を避けるために、更に汎用性と精度が必要とされる。組織領域の過剰照射はできるだけ避けなければならない。
【0005】
最近の進歩で腫瘍又は周囲の組織の病理学の決定をほぼ即座に行うことができるようになった。例えば、非特許文献1を参照されたい。また、非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6を参照されたい。
【0006】
切除部位の組織の病理学の決定は、組織を更に切除することが必要か、或いは次の段階は放射線かを決定するのに医者が使用する情報である。治療計画の決定は、切除した空洞の形状と位置についての情報及び他の領域(例えば皮膚、胸壁、肺及び心臓)の組織への損傷を避ける必要性についての情報を得ることに依存する。手術中の放射線治療はいくつかの理由により一般に不可能か実用的でなかった。その理由は、治療計画を実行する前に、患者を画像化設備の位置に動かして画像データを得、そしてそのデータを、放射線照射を行うためのアプリケーター設備に使用できる形態に移す必要があること;及び切除した組織又は切除した空洞中の残りの組織の病理についてのデータを得る必要があることである。これらの必要なデータを得るにはかなりの時間を要する。一般に腫瘍切除後の患者は1/2時間以内、必ず1時間未満内に放射線治療をする用意ができていなければならないが、現在の手順及び設備では不可能である。
【0007】
最近の治療学で、腫瘍切除後に放射線治療するためのプログラムが開発された。この手順においては、乳房腫瘍が切除され、次に切除空洞にアプリケーターが(しばしば、腫瘍切除の時又は数週間後までに新たな切開を通して)挿入される。アプリケーターは膨張し、そして切開は、後の使用のための乳房の外に延びたピッグテール又はスピゴット以外は閉じられる。後日、病理学の決定後、更なる切除が指示されなかった場合は、患者はアプリケーターを介した放射線治療に戻る。最近のアプリケーターは球状であり、不規則形状の空洞に適応するように形状を変えることができない。該アプリケーターは、特定の空洞に適した大きさになるように充填することができるがこの大きさを越えて変動調整は不可能なバルーンを含む。外科医は器具を適正に使用できるように、できるだけ切除を球状に近く切開する必要がある。切除空洞中の充填したアプリケーターを用いて、患者の乳房は外部の画像化設備により画像化される。この画像化は、乳房切除空洞内の膨らまされたアプリケーターの大きさを決定するだけでなく、医者がアプリケーターと切除空洞の境界での組織との間の間隙を見ることができるようにする。傷からの血清腫がアプリケーターと空洞壁との間にあるかもしれない。適正な放射線伝達を確保するために、アプリケーターと切除空洞の間に90%から95%の接触が必要である。アプリケーター/組織の接触が十分であれば、医者は、アプリケーターの直径及び知られた放射性同位体源の特定の活動について必要な滞留時間を検討するために、テーブルを使用する。イオン化放射線源、即ち、ステンレス鋼ワイアの末端のイリジウム(192Ir)ワイアー、をアプリケーターの真ん中に処方時間挿入する。
【0008】
最近の手順は公知の図形、即ち球状形のアプリケーター及び空洞、に基づく。設備は不規則な形状の切除空洞に適合しない。更に、放射線源の近範囲での放射線線量の表面−深さ比が許容可能でないため、アプリケーターと手順は小さいサイズの腫瘍に有用でない。
下記の特許及び出願は本発明にいくらか関連性がある:
【特許文献1】欧州特許出願EP1050321
【非特許文献1】”Twenty Watts of Terahertz”,Eric J.Lerner,The Industrial Physicist,9頁、2003年4月/5月
【非特許文献2】"Development of Novel Technologies for In Vivo Imaging",PAR-01-102,2001年5月29日、nih.gov website
【非特許文献3】”In Vivo Endoscopic Optical Biopsy with Optical Coherence Tomography”,Tearney,Brezinski外,Science,Vol.276,1997年6月27日、2037-2039頁
【非特許文献4】"Oesophageal Histology Without a Biopsy",Tudor Toma,The Scientist,2001年2月7日、biomedcentral.com website
【非特許文献5】"Determination of Spatial Location and Pathology of Breast Lesions using Proton MRS",imrr.org website
【非特許文献6】"Multiphoton Excitation Microscopy of Human Skin in Vivo:Early Development of an Optical Biospy",Barry R.Masters and Peter T.C.So,optics.sgu.ru website
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の手順により、手術中の放射線治療が実用的意味で可能になる。第1に、これは(a)切除の後、病理学に関する近リアルタイムデータを提供し;そして(b)即時に、すべて患者を目覚めさせず又は動かさずに、切除空洞の形状及び位置を現場でマッピング(地図作成)することにより達成される。病理学の決定が医者に更なる切除が必要であることを指示した場合、切除は現場でのマッピング前に行われる。治療計画が三次元マッピングから非常に短時間内に算出され、そして治療計画はマッピングに使用したものと同じアプリケーター、同じアプリケーター位置及び同じイオン化放射線源を使用して実行される。ある意味では、本発明の手順のマッピングステップは”試行治療”を含み、放射線が要求されない箇所の効果を含めてアプリケーターの複数の放射線源の各々の効果を確認して正確な有用なデータを提供し、治療計画の正確なその後の実行を可能にする。 本発明の手術中の手順は放射線治療において精度を大きく改良するばかりでなく、典型的な手順と比べて患者に不快感及び外傷をずっと少なくする。開示された手順により、患者は手術室で麻酔されている間、腫瘍を除去するために手術され、非常に迅速な方法で腫瘍は病理について検査され、更に切除が必要かについて決定がなされ(切除が必要な場合はなされる)、医者は切除空洞を取り巻く組織の容積(又は領域、volume)に対して放射線線量を処方し、空洞の形状がマッピングされそして内部測定器により記録され、空洞中のいろいろな部位において伝達すべき放射線の計算がマッピングデータを用いてなされて、治療計画が作成され、そして治療計画が実施されるが、全て患者を目覚めさせず又は動かさずになされ、そして全てが妥当な時間内になされる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、手順は乳癌の治療に適用される。腫瘍が乳房から切除されて、切除空洞が生じる。患者が麻酔されたままで、病理が決定され、必要な場合は更なる切除が乳房空洞になされ、そして次に切除空洞は同位体又は切り替え可能なX線源である放射線源を使用してマッピングされる。これは、膨張可能なアプリケーター、例えば一連のガイドを有するバルーン、を用いてなされる。放射線源は周辺ガイドに挿入される。放射線センサーが中央ガイド中に置かれる。アプリケーターは膨張して切除空洞を実質的に満たすので、周辺ガイドは放射線で治療すべき乳房組織の容積(volume)に隣接した空洞の壁に置かれる。かかる容積(volume)は除去された腫瘍に隣接していたものである。乳房の切除空洞は、放射線源及びセンサーをガイドを通して動かし、そしてセンサーにおける線量を各放射線源について、次にかかる動きに沿った複数の位置における各放射線源の線量を決定することによりマッピングされる。これらの位置は空洞の壁の形状を実質的に規定するのに十分である。各源について各位置でセンサーが受け取った線量は源からセンサーまでの距離に算入され、これにより三次元ワイア−フレーム型マップ又はモデルを生成することが可能となる。
【0011】
好ましい態様において、センサーはまた、治療すべき乳房の外側、乳房の表面及び胸空洞壁にも(針によって)置かれ、これらはマッピング中に監視されて、乳房内の空洞の位置を示す。
【0012】
医者は切除した腫瘍を取り巻いていた乳房の容積(volume)の放射線治療を処方し、そしてこの処方から及び誘導された切除空洞の三次元マップから、放射線治療計画が切除空洞を取り巻く治療すべき該容積(volume)について即座に算出される。空洞の位置決めは重要であり、そして位置のデータは皮膚及び胸壁に損傷を与える放射線を避けるために使用される。コンピューターソフトウェアはこれらの全ての構成に基づき治療計画を決定する。
【0013】
次に、空洞内の位置に留まりそしてマッピング段階におけるように膨張したアプリケーターを用いて、放射線治療計画がアプリケーターガイド内でのイオン化放射線源の移動及び再配置により実施される。適当な滞留時間(dwell time)がいろいろな位置に使用されるので、処方された放射線線量は治療すべき容積(volume)の本質的に全ての領域で、皮膚又は胸壁のような敏感な領域を損傷せずに受け取られる。乳房の外側のセンサーはこれらの部位で処置中に実際に受け取られた放射線を監視し、そして/又は過剰の線量が受け取られた場合又は処方の線量を越えると予想された場合は処置を停止するためにフィードバックとして使用することができる。
【0014】
一つの好ましい態様において、イオン化放射線源は切り替え可能なX線源を含み、これは電圧及び電流について可変であり、そして治療中にオン/オフが切り替え可能であるので、治療計画が、敏感な領域を損傷せずに処方した容積(volume)を一層正確に治療するのを可能にする。治療すべき乳房の容積(volume)の外側のセンサーは処置の正確さを確認するために監視され、そして前に記したように、治療を制御するプロセッサーに情報を積極的にフィードバックすることができる。制御可能なX線源を用いて、このフィードバックは、必要な場合はX線源の中の適当なものからの放射線の浸透深さを低減するために使用することができる。
【0015】
従って、本発明の目的は、乳癌及びその他の悪性腫瘍の放射線治療を、主として放射線治療を手術中に、患者を動かさず又は目覚めさせず、外科手術後に、イオン化放射線源及び少なくとも一つのセンサーを使用したその場での切除空洞の三次元マッピングを使用して行い、そして即時の病理決定方法を使用することにより、改良することである。関連する目的は、制御可能なX線源を使用したほぼマッピング手順自体、及び治療自体であり、好ましくは、空洞外センサーで監視しながらリアルタイムで行う。これら及びその他の目的、本発明の利点及び特徴は添付の図面と共に考慮した以下の記載から明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明前の、特に患者の乳房から腫瘍を切除するための典型的な現在の実施及び手術後の手順を示す。患者は図面の10で示されるように麻酔され、そして腫瘍は図面の12に示されるように切除される。切除後、外科手術傷は14に記されるように閉じられ、そして患者はブロック16に示されるように回復しそして家に送られる。
【0017】
その間、切除した組織は18に示されるように病理に送られ、そして組織の病理が20に示されるようにきれいな周縁があるかどうかを決定する。前に説明したように、これはいくらかの時間を要する。別の外科医は、放射線治療が残っているかもしれない残りの微細病巣疾患を全て除くのに十分であると判断されるほど十分に周縁がきれいかどうかについての別の基準を適用する。21に示されるように、医者が組織の病理はきれいな周縁を示さないと決定すると、更なる切除が必要と見なされる。この場合、回復後の患者は再び22で麻酔され、24におけるように追加の組織が同じ又は別の外科手術傷を通して切除され、そしてブロック18への戻りにより示されるように、切除された組織は再び病理に送られる。外科手術傷は閉じられ(ブロック26)、そして28に示されるように患者は外科手術から再び回復し、そして再び家に送られる。
【0018】
決定ブロック20で外科医が切除した組織はきれいな周縁(30)を示すと決定すると、ブロック32で記載したように放射線治療計画が指示されそして計算される。次に患者は回復後(16又は28)、34に示すように、治療計画に従って放射線治療される。36に手順の完了が示される。この伝統的実践では、放射線治療計画は(a)典型的には患者の切除空洞の周りの組織において標準的な処方深さで標準的な放射線線量を与えることを含む処方、(b)乳房内の空洞の大きさと形及びその位置を決定するために、X線、超音波又はCT走査装置のような外部画像化器具による切除空洞の画像化、及び(c)治療計画ソフトウェアにおける画像化データの使用(それは画像化装置とソフトウェアとの間の正確な移送に依存する)から導かれる。乳房の手術の場合に前に説明したように、正確さは難しい。何故なら、患者を画像化設備に動かさなければならず、そして乳房は柔軟な組織を含むので、切除した空洞の位置の移動と形の変化を引き起こすからである。
【0019】
図2は、腫瘍の切除に伴う手術中の放射線治療のための本発明の手順の主な要素を示すフローチャートである。従来の手順のように、患者は40で麻酔され、腫瘍は42で切除される。切除された組織は病理(ブロック44)に持っていかれ、そして決定ボックス46に記載されたように、病理により組織がきれいな周縁を示すかどうか決定される。これは、前に論じたように、患者を目覚めさせずそして好ましくは動かさずに、近リアルタイム病理法によって行われる。かかる方法は前に論じた。
【0020】
近即時病理法から、切除した組織(又は切除空洞の壁)がきれいな周縁を示さないと決定されると、48に示すように、外科医は追加の組織を切除する。これは同じ又は異なる外科的切開による。これが完了すると、組織は再び近即時病理法により検査され、そして結果は組織がきれいな周縁を示すかどうかを決定するのに使用される。
【0021】
きれいな周縁と決定されると、計算された治療計画に従って、50に示されるIORT、即ち手術中放射線療法、に進む。放射線治療後、傷は閉じられ(52)、患者は54に示されるように回復し、処置は完了する(ブロック56)。
【0022】
図3は更に詳細なフローチャートであり、本発明の手術中放射線療法のための好ましい処置における追加のステップを示す。
【0023】
ステップ40、42、44、46及び48は前に図2において記載した通りである。一旦きれいな周縁が決定されると(それは前に記載したように患者が麻酔されたままの間に組織を追加切除した後であろう)、60に記したように、アプリケーターを切除空洞に入れる。アプリケーターは、X線源を受け入れるためのガイド、及びこの場合は一般に中央に置かれるX線センサーを収容するためのガイドを有するバルーン型器具又はその他の膨張可能なアプリケーターであり得る。一旦アプリケーターが切除空洞に入れられると、ボックス62に示されるように、好ましい態様ではX線源は、最終的には空洞の壁に向かって膨張するガイドに挿入され、そしてセンサーは中央ガイド内に置かれる。次に該源は、アプリケーターを畳み(collapsed)そして該源を中央センサーに近接して、校正される(calibrated)(64)。これは図4に概略的に示され、該源を収容したガイドは65で示され、そしてセンサーを有する中央ガイドは66で示される。ガイド66の後に膨張した位置は65aで示され、切除空洞の壁67に接触している。
【0024】
隣接するセンサーで読み取られる各源から発せられる放射線についての、畳んだ状態で取られる校正データを用いて、該源の差異及び相対値を決定することができるので、一旦アプリケーターが膨張すると、中央センサーで読み取られる各源からの線量を使用して距離を正確に計算することができる。
【0025】
源を校正して、アプリケーターはフローチャートの68及び図4の65aに示されるように膨張する。
【0026】
アプリケーターの膨張はX線源ガイドを切除空洞の壁に直接接触するように配置し(図4)、センサーガイドは一般に中央の位置に留まる(図4の66)。好ましくは、前に論じたように、追加のセンサーが他の戦略的位置に置かれる;乳房の場合、乳房の外側表面、そして好ましくは胸壁にも針を介して置かれる。これらのセンサーは、以下に記載するようにマッピングステップ中に切除空洞を位置決めし、そして放射線治療中に質制御、及び多分緊急の停止のための手段を与えるために使用される。図5は概略的に乳房Bの場合、乳房の外側表面に置かれ、好ましくは図示されるように側面に沿って整列し、そして垂直方向に分離して置かれたセンサーs、及び針で胸壁に挿入されたセンサーs’を示す。これは以下に更に論じる。
【0027】
アプリケーターを膨張させそしてセンサーを所定の場所において、三次元マッピングが図3の69に示すように始まる。患者は同じ位置に留まりそして麻酔され、そして切り替え可能であり得るX線源、例えば小さいX線管、又は同位体源はアプリケーターのガイド内に置かれる。X線センサーを一般に中央ガイド内に位置させて、ガイド内の該源及びセンサーを一連のステップで、ほぼ5から10個の切除空洞の異なる長さ方向の位置(即ち、アプリケーターガイドの長さ方向に沿った位置)にある切除空洞の遠位端部から近位端部まで引き戻す。切り替え可能なX線源の場合、各源は短い時間、設定のためにスイッチを入れ、そして線量が中央センサーで読まれる。或いは、各源は最大浸透するように最大電圧にスイッチを入れ、そしてX線の前もって選ばれた線量がセンサーで検出された時に自動的にスイッチを切ってもよい。次に、図6及び7を参照して以下に論じるように、距離を計算するために持続時間を使用する。いずれの場合も、これは、空洞の壁の周りに置かれた多数の源、例えば2ないし10個の源(異なる数を使用することができる)、に対して連続的に行われる。このようにして、各源の位置について独特な読み取りが得られ、そしてこれは上記したように空洞の多数の長さ方向位置で繰り返される。各線量値(又は持続時間)は距離に変換可能であり、従って切開空洞の内部の三次元マップが得られる。
【0028】
同位体の場合は、一般にただ1つの同位体が1回に使用され、まず1つのガイドに置かれ、ここで全ての読み取り値が連続的に取り出され、次に次のガイドに置かれ、以下同様である。いろいろな同位体を使用できるが、好ましくは同時に挿入しない。
【0029】
図6、7、7A及び7Bは上記の方法による空洞壁の形状の計算を例示する。図6では、線量はセンサーからの距離の関数として示される。垂直又はy軸は対数目盛である。示したように、線量は距離と共に非常に急速に降下する。これは逆自乗の法則(1/r2)によるだけでなく、組織を通過する放射線吸収の減衰の影響を取り入れている。例えば図6は、センサーからの距離を約0.5cmから1.0cmに2倍にすると、線量はほぼ9の係数で降下し、そして1cmから2cmにすると、ほぼ10の係数で降下する。図6のチャートは45kVpで作動するX線源からの線量を表す。
【0030】
図7Aは、切除空洞の壁(図示されていない)に接する位置にある6個の異なるX線源D1〜D6の可能な位置を概略的に示す。センサーsは一般に中央の位置にあるように示されている。概略的に示したように、各源はセンサーからのズレが異なる。図7Bは6個の源D1〜D6についての線量対距離の例を示す。”距離”及び”線量”についての情報は図6のグラフから取られる。しかしながら、図7Bの右欄は図7に相当し、それは特定の線量、例えば0.1Gy(よく知られるように、1Gy=100rad)、を受け取るための持続時間である。図7はこの型の距離マッピングを示すグラフであり、縦軸はミリ秒そして横軸は距離である。前に論じたように、マッピング中の患者の最小照射は、切り替え可能な放射線源を高電圧設定に回し、そしてその設定を各源位置について維持し、0.1Gyのような前以て選択した線量に達したときはいつでも該源を切ることにより達成することができる。10radに相当する0.1Gyは、中央センサーそしてまた図5におけるような乳房の外側に位置するセンサーで検出するのに適当なレベルの放射線を越える。図7のグラフは、距離がアルゴリズムによってどのようにして決定されるかを例示する。
【0031】
図5に戻ると、センサーs及びs’は乳房の表面及び胸壁に位置して、放射線を監視し、そしてまたこれらの位置に対して三次元空洞マップの相対的な位置を示す。図5に示されるように、表面に設けたセンサーsは処方された治療すべき容積(volume)内にあり得る。これは上部空洞c1の場合である。下部空洞c2は処方線量容積(volume)内に位置する胸壁センサーs’を有する。マッピング手順の間、3個のセンサーは皮膚又は胸壁が処方線量領域内にあるか、そして皮膚又は胸壁は医者が所望する線量を越える線量を受け取り得るかを決定する。これらの構造体での過剰の線量は損傷を招き得る。皮膚の場合、芳しくない美容上の結果を招き、そして胸壁の場合、肺、心臓、大動脈及び骨に損傷を招き得る。従って、医者若しくは放射線癌専門医、又はコンピュータープログラムのいずれかにより、処方線量を維持すべきかどうか、又はこれらの他の構造体への損傷の問題が治療計画を支配すべきかどうかの決定がなされる。本発明で好ましい切り替え可能なX線源を用いて、この問題はずっと容易にそしてより正確に取り扱われる。X線源はオン及びオフに切り替えることができ、そして/又はそれらの電圧は表面に近付くと変化して浸透を弱めることができる。更に、センサーs、s’を使用して、治療中これらの構造体が実際に受け取った線量を測定することにより、治療計画の正確さと有効性を監視することができる。前に記したように、電圧は、かかる検出に応じて、治療中リアルタイムで変えることができる。
【0032】
更に、そして重要なことには、センサーs及びs’を使用して、全ての位置において受け取った全線量を正確に外挿するソフトウェアでの計算により、全ての領域で受け取った全線量を証明することができる。センサーは図5のように処方容積(volume)中に直接位置する必要はない。
【0033】
図5A及び5Bは、切り替え可能且つ変動可能な源、例えば切り替え可能なX線管、の使用が、非常に特異な処方容積(volume)を治療する際に非常に大きい自由度を可能にすることを示す。乳房の例を用いて、図5Aは、図5のように、治療すべき処方容積(volume)が外部乳房表面Bと交差する状況を再び示す。説明したように、これは皮膚に激しい損傷を与える可能性があるので好ましくなく、そしてしばしば許容し得ない。治療すべきこの容積(volume)を規定するは、治療すべき容積(volume)内のあらゆる点における線量を最適にしそして乳房表面のような境界において損傷を与える可能性のある放射線を除いて、全てのドウェル破線V1は、基本的には三次元表面である等線量曲線である。治療計画点で多くの源の各々から受け取った線量を統合しなければならない。これは複雑なアルゴリズムであるが、典型的には、最良の方法として、固定TG−43プロフィールを有する同位体に対して成就される。アルゴリズムは各源に対する角度、および深さと角度に伴う線量の低下を考慮に入れる。図5において、修正曲線V2は、単に治療計画における滞留時間を制限することにより成就することができる最良に基づき最適化した等線量曲線である。これは、皮膚上の線量が処方線量を越えないように制限された場合、どのように等線量曲線が変わるかをおおよそ示す。図5Aの概略近似図に示されるように、皮膚境界は曲線V2による処方線量と重ならないが、同時に、処方容積(volume)内の他の領域は処方線量を与えられない、即ちこれらの領域は不十分な線量を与えられる。
【0034】
図5Bは、図5Aと同様概略図であるが、本発明及び好ましい切り替え可能、変更可能なX線源を使用して何が達成できるかをおおよそ示す。再び、等線量曲線V1は乳房表面Bと交差しそして重なる。しかしながら、ここではX線源は少なくとも電圧及び好ましくはまた電流についても切り替え可能且つ変更可能である。治療計画アルゴリズムはこれを考慮に入れ、そして処置すべき容積(volume)Vの全ての領域に対して、浸透深さを変えるための電圧、及び電流又は滞留時間(dwell time)(電流と滞留時間とは同等である)も変えられた源から受け取られる線量を最適化する。滞留時間はこれらの源をオン/オフに切り替えることにより変えられ、一方電流の低減は線量を低減するための別の方法である。図5Bの修正曲線V3は所望のように、実質的に乳房内の処理すべき容積(volume)Vの全範囲にわたって皮膚に非常に接近して近づく。これは、滞留時間(又は電流)及び電圧(浸透深さ)の両方を変える能力を有する、治療計画を算出する複合アルゴリズムにより達成される。
【0035】
前に記したように、この複合処方等線量表面を達成するアルゴリズムは全ての位置の全ての源の効果の統合を含まなければならない。源のあらゆるドウェル点は、処理すべき容積(volume)内のあらゆる点及び取り巻く点に影響を及ぼす。例えば、6個の源(即ちガイド)がアプリケーター内に使用されそして10個の異なるドウェル点が各ガイド内で使用された場合は、60個の異なるドウェル点が生じ、その各々の効果を、放射線が達したあらゆる点における効果について、治療計画に統合しなければ成らない。これは難しい問題であるが、適当なアルゴリズムを用いて解決することができ、所望の治療計画を達成する能力は、電圧、即ち線量の深さ、が可変の源を使用することにより可能になる。
記載の治療は、源及びセンサーの継続的移動により成し遂げることができ、かかる移動をアルゴリズムに考慮に入れ、移動速度(又は変化する速度)は治療計画の一部である。動く源を用いて三次元マッピングを行うことも可能であるが、これは、該源が絶えず放射線を放出していれば、マッピング中に過剰の放射線線量を与えることに成り得るので、望ましくなく、或いは、マッピング放射線に治療放射線が蓄積される場合は望ましくない。更に感受性のよいセンサーの開発は、動くマッピングを、放射線放出を少なくして、より望ましいものにすることができる。特許請求の範囲において、源及びセンサーを多数の位置に動かすことへの言及、又はいろいろな位置において読み取りを行うことへの言及は、継続的移動並びに一連の停止を含むことを理解されたい。
【0036】
放射線治療計画の算出は、マッピング中に処置すべき容積(volume)内に既に受け取られた放射線を考慮にいれることができることも理解されたい。一旦空洞の形状及び位置が決定されると、各位置において、マッピング中に受け取られる放射線線量を計算することができる。マッピング線量が相対的に非常に少量になるようにマッピング放射線が制限される場合は、この線量は一般に無視することができる。
【0037】
図8は、本発明のマッピング手順を用いて得ることができるワイアー−フレーム型三次元地図70を示す。ワイアーフレームモデル又は三次元地図の外側の縦方向線72、74、76、78等は空洞中のガイドのおおよその位置を表す。線72、74、76等の各々上の交点80は、源からの読み取りが行われるガイドの位置、即ちドウェル点、にある。センサーの一連の位置点は82、84、86、88、90及び92で示される。ドウェル点又は交点80は全て、センサー位置点82、84、86等の一つと同じ平面にある。全ての測定は、一時に一つの平面で行い、中央測定センサー及びX線源はその測定中同じ平面内にある。前に記したように、同位体の場合、唯一の同位体が使用され、次々に各ガイド内に位置するので、各平面のドウェル点は、その平面の全ての読み取りの後は同じ平面内にある。言い換えると、各測定平面内で、源は同じ点に進むので、それらは全てセンサーと同じ平面内にある。読み取りは同時というよりむしろ順次行われ、そして同位体については、これは各平面内での異なるドウェル点の各々への再配置を含む(ドウェル点の順序は次の平面に着手する前に一つの平面を完成する必要はない)。切り替え可能な源については、一連の源は好ましくは同時に所定の位置にあるが、順次作動される。しかしながら、切り替え可能な源については、所望により単一の源を使用することができ、同位体については、多数の源を使用することができるが、好ましくは切除空洞に同時に挿入されない。
【0038】
センサー点82、84、86等の各々は平面のおおよそ中央付近にあり、そのうちの6個の平面82a、84a、86a、88a等は図8に示され、それぞれ各読み取り位置に相当する。かかるワイアー平面の各々の中央点又はセンサー点から多数の取り巻く点(例示した態様では6個)の各々までの距離のデータを単に有すると、平面の寸法を与えるであろうが、その平面の、次の及び続く平面に対して相対的な位置を示さないであろう。一つの平面は他の平面から横方向にずれているかもしれない。即ち、センサー点82、84、86等は単一の線内になく、多分単一の滑らかな曲線上にないであろう。更に、ガイドが僅かに蛇行性の経路に従うならば、平面のいくつかは他のかかる平面に対してセンサー点82又は84又は86等の周りに回転していることができる。これらの平面の互いの正確な相対的位置決めをするのに必要な追加のデータは二つの方法の一つで与えることができる:即ち、比較的剛性且つ線状の中央ガイドと、各特定の曲線状のガイドが単一の平面にあるように膨張する周辺ガイドとを有するアプリケーターを使用する方法;又は空洞の外側で、前に記載したように例えば乳房表面で且つ胸壁に沿って置かれた追加のセンサーからのデータを使用する方法である。これらの追加のセンサーは平面の互いに相対的な位置を示し、そしてまた、乳房内又は他の患者の組織内の切除空洞自体(即ち、ワイアーフレームモデル70)の位置を示すであろう。
【0039】
図3において、三次元マッピングがブロック96で完了するように示される。これらのデータは、放射線処方(98)、即ち切除空洞を囲む患者の組織について望ましい線量及び深さ、と共に、放射線治療計画100を算出するのに使用される。治療計画の算出は、処置すべき乳房の場合、表面位置のセンサー及び胸壁への距離を考慮に入れる。何故なら、放射線を、損傷を防止するために皮膚において、及び胸壁において制限しなければならないからである。算出はこれを考慮に入れ、これらの位置の領域における合計放射線の浸透深さを減じるであろう。これは、切り替え可能なX線源、及び好ましくはオン/オフに切り替え可能なばかりでなく、電圧制御及び電流制御を有する源を使用して、ずっと容易に達成される。
【0040】
治療計画が算出されると、ブロック102に示したものと同じ源及びセンサーを使用して治療計画が実行される。この時点で、切除空洞の外側の外部センサーを使用して、実際に受け取られた放射線線量を監視することができる。これは緊急の遮断に使用するか、又は単に手順の質制御に使用することができ、実際の治療が計画に従ったことを実証する。
【0041】
図9は図8と同様であるが、乳房100内に配置し得る三次元ワイアーフレームモデルを示す。ワイアーフレームモデルは70aで示され、乳房組織内に置かれる。図9に示されていないが、図5におけるように、センサーは乳房の外側及び胸壁に置くことができる。
【0042】
上記の好ましい態様は本発明の本質を例示するためのもので、本発明を限定するためのものではない。他の態様及びこの好ましい態様の変形は当業者に明らかであり、そして特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行い得るであろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】腫瘍の切除、病理の決定、引き続く放射線照射における典型的な従来の実施を示す流れ図である。
【図2】本発明に従う手順を概説する流れ図である。
【図3】三次元マッピング手順を含む好ましい態様を表す更に詳細な流れ図である。
【図4】マッピングの前且つ治療の前の放射線源を校正するためのステップを示す概略図である。
【図5】処置すべき容積(volume)に囲まれた乳房内の切除空洞のいくつかの可能な位置を示し、そして処置すべき該容積内の処方された放射線の深さ、及び処方放射線容積(volume)と皮膚及び胸壁との交差を示し、そしてまた、該空洞の位置を決めるため及びフィードバックのための、乳房上及び該空洞の外側のどこかのセンサーの使用を示す立面断面概略図である。
【図5A】図5Aは、図5の一部を示し、そして従来の実施に従い皮膚での放射線を制限を示す概略図である。
【図5B】図5Bは、図5Aと同様の図であり、本発明で達成可能な放射線浸透の制限を示す図である。
【図6】放射線線量対源からの距離を示すグラフである。
【図7】図7、7A及び7Bは、距離と、予備選択された線量を受け取るのに必要な時間との関係、並びに単に距離と線量との関係を示すグラフ、概略図及び表である。
【図8】切除空洞のワイアー−フレームモデルを示す概略斜視図である。
【図9】図8におけるようなワイアー−フレームマップ又はモデルの形態の切除空洞を示す、乳房の概略斜視図である。
【符号の説明】
【0044】
65 X線源を収容したガイド
66 中央ガイド
70 ワイアー−フレーム型三次元地図
80 ドウェル点又は交点
82、84、86、88 センサー位置点
s、s’ センサー
B 乳房表面
V1 等線量曲線
V2、V3 修正曲線
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳癌又はその他の部位の癌の治療に関し、特に、患者を目覚めさせるか動かすことなく、或いは外部の画像化技術を使用することなく、切除した組織の病理学を含む外科的腫瘍切除後の放射線治療に有効な処置に関する。
【背景技術】
【0002】
患者を麻酔したまま乳癌並びに人体の他の領域に見いだされた癌を治療する際、腫瘍は(いくらかの周囲組織と共に)外科的に切除され、次に典型的には外科傷は閉じられ、患者は切除した腫瘍縁の病理学の決定を保留したまま家に送られ、放射線治療計画が展開され、そして患者はその後の一連の通院で、切除した腫瘍を取り巻く組織に対して放射線治療がなされる。これはしばしばイオン化放射線源、即ち放射活性同位体、を用いるためのアプリケーターを挿入するために外科空洞の再開口を含み得る。かかる状況下での放射線治療計画の形成は通常、切除空洞の形及び人体中の位置を決定するために、磁気共鳴像形成又はCT走査設備のような外部器具を使用した切除空洞の画像化を必要とする数時間かかる方法である。次に、放射線照射の計画を準備するために、像形成設備と治療計画ソフトウェアとの間でデータの移送が必要とされ、エラーを検査するために移送されたデータ値を検証する必要がある。
【0003】
これらのいくつかのステップはかなりの時間とそれに伴う費用がかかり、手術中の放射線治療を不可能でないとしても運用上難しくしている。乳房の腫瘍の場合、画像化のために患者を動かすことはそれ自体問題である。何故なら、乳房は柔軟であり、切除した空洞は動くかもしれないからである。患者を動かさず、外部の画像化器具を必要とせず、そして患者を麻酔から覚ますことなく乳癌又はその他の癌の手術中の放射線治療を可能にする方法が要請されている。
【0004】
また、医者の処方に厳密に従うために、外科手術後、組織に放射線を照射する際に正確さを増すことも要請されている。例えば、乳部組織の放射線照射において皮膚の損傷を避け、そして処方された線量を必要な箇所に照射しながら心臓、肺及び骨への損傷を避けるために、更に汎用性と精度が必要とされる。組織領域の過剰照射はできるだけ避けなければならない。
【0005】
最近の進歩で腫瘍又は周囲の組織の病理学の決定をほぼ即座に行うことができるようになった。例えば、非特許文献1を参照されたい。また、非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6を参照されたい。
【0006】
切除部位の組織の病理学の決定は、組織を更に切除することが必要か、或いは次の段階は放射線かを決定するのに医者が使用する情報である。治療計画の決定は、切除した空洞の形状と位置についての情報及び他の領域(例えば皮膚、胸壁、肺及び心臓)の組織への損傷を避ける必要性についての情報を得ることに依存する。手術中の放射線治療はいくつかの理由により一般に不可能か実用的でなかった。その理由は、治療計画を実行する前に、患者を画像化設備の位置に動かして画像データを得、そしてそのデータを、放射線照射を行うためのアプリケーター設備に使用できる形態に移す必要があること;及び切除した組織又は切除した空洞中の残りの組織の病理についてのデータを得る必要があることである。これらの必要なデータを得るにはかなりの時間を要する。一般に腫瘍切除後の患者は1/2時間以内、必ず1時間未満内に放射線治療をする用意ができていなければならないが、現在の手順及び設備では不可能である。
【0007】
最近の治療学で、腫瘍切除後に放射線治療するためのプログラムが開発された。この手順においては、乳房腫瘍が切除され、次に切除空洞にアプリケーターが(しばしば、腫瘍切除の時又は数週間後までに新たな切開を通して)挿入される。アプリケーターは膨張し、そして切開は、後の使用のための乳房の外に延びたピッグテール又はスピゴット以外は閉じられる。後日、病理学の決定後、更なる切除が指示されなかった場合は、患者はアプリケーターを介した放射線治療に戻る。最近のアプリケーターは球状であり、不規則形状の空洞に適応するように形状を変えることができない。該アプリケーターは、特定の空洞に適した大きさになるように充填することができるがこの大きさを越えて変動調整は不可能なバルーンを含む。外科医は器具を適正に使用できるように、できるだけ切除を球状に近く切開する必要がある。切除空洞中の充填したアプリケーターを用いて、患者の乳房は外部の画像化設備により画像化される。この画像化は、乳房切除空洞内の膨らまされたアプリケーターの大きさを決定するだけでなく、医者がアプリケーターと切除空洞の境界での組織との間の間隙を見ることができるようにする。傷からの血清腫がアプリケーターと空洞壁との間にあるかもしれない。適正な放射線伝達を確保するために、アプリケーターと切除空洞の間に90%から95%の接触が必要である。アプリケーター/組織の接触が十分であれば、医者は、アプリケーターの直径及び知られた放射性同位体源の特定の活動について必要な滞留時間を検討するために、テーブルを使用する。イオン化放射線源、即ち、ステンレス鋼ワイアの末端のイリジウム(192Ir)ワイアー、をアプリケーターの真ん中に処方時間挿入する。
【0008】
最近の手順は公知の図形、即ち球状形のアプリケーター及び空洞、に基づく。設備は不規則な形状の切除空洞に適合しない。更に、放射線源の近範囲での放射線線量の表面−深さ比が許容可能でないため、アプリケーターと手順は小さいサイズの腫瘍に有用でない。
下記の特許及び出願は本発明にいくらか関連性がある:
【特許文献1】欧州特許出願EP1050321
【非特許文献1】”Twenty Watts of Terahertz”,Eric J.Lerner,The Industrial Physicist,9頁、2003年4月/5月
【非特許文献2】"Development of Novel Technologies for In Vivo Imaging",PAR-01-102,2001年5月29日、nih.gov website
【非特許文献3】”In Vivo Endoscopic Optical Biopsy with Optical Coherence Tomography”,Tearney,Brezinski外,Science,Vol.276,1997年6月27日、2037-2039頁
【非特許文献4】"Oesophageal Histology Without a Biopsy",Tudor Toma,The Scientist,2001年2月7日、biomedcentral.com website
【非特許文献5】"Determination of Spatial Location and Pathology of Breast Lesions using Proton MRS",imrr.org website
【非特許文献6】"Multiphoton Excitation Microscopy of Human Skin in Vivo:Early Development of an Optical Biospy",Barry R.Masters and Peter T.C.So,optics.sgu.ru website
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の手順により、手術中の放射線治療が実用的意味で可能になる。第1に、これは(a)切除の後、病理学に関する近リアルタイムデータを提供し;そして(b)即時に、すべて患者を目覚めさせず又は動かさずに、切除空洞の形状及び位置を現場でマッピング(地図作成)することにより達成される。病理学の決定が医者に更なる切除が必要であることを指示した場合、切除は現場でのマッピング前に行われる。治療計画が三次元マッピングから非常に短時間内に算出され、そして治療計画はマッピングに使用したものと同じアプリケーター、同じアプリケーター位置及び同じイオン化放射線源を使用して実行される。ある意味では、本発明の手順のマッピングステップは”試行治療”を含み、放射線が要求されない箇所の効果を含めてアプリケーターの複数の放射線源の各々の効果を確認して正確な有用なデータを提供し、治療計画の正確なその後の実行を可能にする。 本発明の手術中の手順は放射線治療において精度を大きく改良するばかりでなく、典型的な手順と比べて患者に不快感及び外傷をずっと少なくする。開示された手順により、患者は手術室で麻酔されている間、腫瘍を除去するために手術され、非常に迅速な方法で腫瘍は病理について検査され、更に切除が必要かについて決定がなされ(切除が必要な場合はなされる)、医者は切除空洞を取り巻く組織の容積(又は領域、volume)に対して放射線線量を処方し、空洞の形状がマッピングされそして内部測定器により記録され、空洞中のいろいろな部位において伝達すべき放射線の計算がマッピングデータを用いてなされて、治療計画が作成され、そして治療計画が実施されるが、全て患者を目覚めさせず又は動かさずになされ、そして全てが妥当な時間内になされる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、手順は乳癌の治療に適用される。腫瘍が乳房から切除されて、切除空洞が生じる。患者が麻酔されたままで、病理が決定され、必要な場合は更なる切除が乳房空洞になされ、そして次に切除空洞は同位体又は切り替え可能なX線源である放射線源を使用してマッピングされる。これは、膨張可能なアプリケーター、例えば一連のガイドを有するバルーン、を用いてなされる。放射線源は周辺ガイドに挿入される。放射線センサーが中央ガイド中に置かれる。アプリケーターは膨張して切除空洞を実質的に満たすので、周辺ガイドは放射線で治療すべき乳房組織の容積(volume)に隣接した空洞の壁に置かれる。かかる容積(volume)は除去された腫瘍に隣接していたものである。乳房の切除空洞は、放射線源及びセンサーをガイドを通して動かし、そしてセンサーにおける線量を各放射線源について、次にかかる動きに沿った複数の位置における各放射線源の線量を決定することによりマッピングされる。これらの位置は空洞の壁の形状を実質的に規定するのに十分である。各源について各位置でセンサーが受け取った線量は源からセンサーまでの距離に算入され、これにより三次元ワイア−フレーム型マップ又はモデルを生成することが可能となる。
【0011】
好ましい態様において、センサーはまた、治療すべき乳房の外側、乳房の表面及び胸空洞壁にも(針によって)置かれ、これらはマッピング中に監視されて、乳房内の空洞の位置を示す。
【0012】
医者は切除した腫瘍を取り巻いていた乳房の容積(volume)の放射線治療を処方し、そしてこの処方から及び誘導された切除空洞の三次元マップから、放射線治療計画が切除空洞を取り巻く治療すべき該容積(volume)について即座に算出される。空洞の位置決めは重要であり、そして位置のデータは皮膚及び胸壁に損傷を与える放射線を避けるために使用される。コンピューターソフトウェアはこれらの全ての構成に基づき治療計画を決定する。
【0013】
次に、空洞内の位置に留まりそしてマッピング段階におけるように膨張したアプリケーターを用いて、放射線治療計画がアプリケーターガイド内でのイオン化放射線源の移動及び再配置により実施される。適当な滞留時間(dwell time)がいろいろな位置に使用されるので、処方された放射線線量は治療すべき容積(volume)の本質的に全ての領域で、皮膚又は胸壁のような敏感な領域を損傷せずに受け取られる。乳房の外側のセンサーはこれらの部位で処置中に実際に受け取られた放射線を監視し、そして/又は過剰の線量が受け取られた場合又は処方の線量を越えると予想された場合は処置を停止するためにフィードバックとして使用することができる。
【0014】
一つの好ましい態様において、イオン化放射線源は切り替え可能なX線源を含み、これは電圧及び電流について可変であり、そして治療中にオン/オフが切り替え可能であるので、治療計画が、敏感な領域を損傷せずに処方した容積(volume)を一層正確に治療するのを可能にする。治療すべき乳房の容積(volume)の外側のセンサーは処置の正確さを確認するために監視され、そして前に記したように、治療を制御するプロセッサーに情報を積極的にフィードバックすることができる。制御可能なX線源を用いて、このフィードバックは、必要な場合はX線源の中の適当なものからの放射線の浸透深さを低減するために使用することができる。
【0015】
従って、本発明の目的は、乳癌及びその他の悪性腫瘍の放射線治療を、主として放射線治療を手術中に、患者を動かさず又は目覚めさせず、外科手術後に、イオン化放射線源及び少なくとも一つのセンサーを使用したその場での切除空洞の三次元マッピングを使用して行い、そして即時の病理決定方法を使用することにより、改良することである。関連する目的は、制御可能なX線源を使用したほぼマッピング手順自体、及び治療自体であり、好ましくは、空洞外センサーで監視しながらリアルタイムで行う。これら及びその他の目的、本発明の利点及び特徴は添付の図面と共に考慮した以下の記載から明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明前の、特に患者の乳房から腫瘍を切除するための典型的な現在の実施及び手術後の手順を示す。患者は図面の10で示されるように麻酔され、そして腫瘍は図面の12に示されるように切除される。切除後、外科手術傷は14に記されるように閉じられ、そして患者はブロック16に示されるように回復しそして家に送られる。
【0017】
その間、切除した組織は18に示されるように病理に送られ、そして組織の病理が20に示されるようにきれいな周縁があるかどうかを決定する。前に説明したように、これはいくらかの時間を要する。別の外科医は、放射線治療が残っているかもしれない残りの微細病巣疾患を全て除くのに十分であると判断されるほど十分に周縁がきれいかどうかについての別の基準を適用する。21に示されるように、医者が組織の病理はきれいな周縁を示さないと決定すると、更なる切除が必要と見なされる。この場合、回復後の患者は再び22で麻酔され、24におけるように追加の組織が同じ又は別の外科手術傷を通して切除され、そしてブロック18への戻りにより示されるように、切除された組織は再び病理に送られる。外科手術傷は閉じられ(ブロック26)、そして28に示されるように患者は外科手術から再び回復し、そして再び家に送られる。
【0018】
決定ブロック20で外科医が切除した組織はきれいな周縁(30)を示すと決定すると、ブロック32で記載したように放射線治療計画が指示されそして計算される。次に患者は回復後(16又は28)、34に示すように、治療計画に従って放射線治療される。36に手順の完了が示される。この伝統的実践では、放射線治療計画は(a)典型的には患者の切除空洞の周りの組織において標準的な処方深さで標準的な放射線線量を与えることを含む処方、(b)乳房内の空洞の大きさと形及びその位置を決定するために、X線、超音波又はCT走査装置のような外部画像化器具による切除空洞の画像化、及び(c)治療計画ソフトウェアにおける画像化データの使用(それは画像化装置とソフトウェアとの間の正確な移送に依存する)から導かれる。乳房の手術の場合に前に説明したように、正確さは難しい。何故なら、患者を画像化設備に動かさなければならず、そして乳房は柔軟な組織を含むので、切除した空洞の位置の移動と形の変化を引き起こすからである。
【0019】
図2は、腫瘍の切除に伴う手術中の放射線治療のための本発明の手順の主な要素を示すフローチャートである。従来の手順のように、患者は40で麻酔され、腫瘍は42で切除される。切除された組織は病理(ブロック44)に持っていかれ、そして決定ボックス46に記載されたように、病理により組織がきれいな周縁を示すかどうか決定される。これは、前に論じたように、患者を目覚めさせずそして好ましくは動かさずに、近リアルタイム病理法によって行われる。かかる方法は前に論じた。
【0020】
近即時病理法から、切除した組織(又は切除空洞の壁)がきれいな周縁を示さないと決定されると、48に示すように、外科医は追加の組織を切除する。これは同じ又は異なる外科的切開による。これが完了すると、組織は再び近即時病理法により検査され、そして結果は組織がきれいな周縁を示すかどうかを決定するのに使用される。
【0021】
きれいな周縁と決定されると、計算された治療計画に従って、50に示されるIORT、即ち手術中放射線療法、に進む。放射線治療後、傷は閉じられ(52)、患者は54に示されるように回復し、処置は完了する(ブロック56)。
【0022】
図3は更に詳細なフローチャートであり、本発明の手術中放射線療法のための好ましい処置における追加のステップを示す。
【0023】
ステップ40、42、44、46及び48は前に図2において記載した通りである。一旦きれいな周縁が決定されると(それは前に記載したように患者が麻酔されたままの間に組織を追加切除した後であろう)、60に記したように、アプリケーターを切除空洞に入れる。アプリケーターは、X線源を受け入れるためのガイド、及びこの場合は一般に中央に置かれるX線センサーを収容するためのガイドを有するバルーン型器具又はその他の膨張可能なアプリケーターであり得る。一旦アプリケーターが切除空洞に入れられると、ボックス62に示されるように、好ましい態様ではX線源は、最終的には空洞の壁に向かって膨張するガイドに挿入され、そしてセンサーは中央ガイド内に置かれる。次に該源は、アプリケーターを畳み(collapsed)そして該源を中央センサーに近接して、校正される(calibrated)(64)。これは図4に概略的に示され、該源を収容したガイドは65で示され、そしてセンサーを有する中央ガイドは66で示される。ガイド66の後に膨張した位置は65aで示され、切除空洞の壁67に接触している。
【0024】
隣接するセンサーで読み取られる各源から発せられる放射線についての、畳んだ状態で取られる校正データを用いて、該源の差異及び相対値を決定することができるので、一旦アプリケーターが膨張すると、中央センサーで読み取られる各源からの線量を使用して距離を正確に計算することができる。
【0025】
源を校正して、アプリケーターはフローチャートの68及び図4の65aに示されるように膨張する。
【0026】
アプリケーターの膨張はX線源ガイドを切除空洞の壁に直接接触するように配置し(図4)、センサーガイドは一般に中央の位置に留まる(図4の66)。好ましくは、前に論じたように、追加のセンサーが他の戦略的位置に置かれる;乳房の場合、乳房の外側表面、そして好ましくは胸壁にも針を介して置かれる。これらのセンサーは、以下に記載するようにマッピングステップ中に切除空洞を位置決めし、そして放射線治療中に質制御、及び多分緊急の停止のための手段を与えるために使用される。図5は概略的に乳房Bの場合、乳房の外側表面に置かれ、好ましくは図示されるように側面に沿って整列し、そして垂直方向に分離して置かれたセンサーs、及び針で胸壁に挿入されたセンサーs’を示す。これは以下に更に論じる。
【0027】
アプリケーターを膨張させそしてセンサーを所定の場所において、三次元マッピングが図3の69に示すように始まる。患者は同じ位置に留まりそして麻酔され、そして切り替え可能であり得るX線源、例えば小さいX線管、又は同位体源はアプリケーターのガイド内に置かれる。X線センサーを一般に中央ガイド内に位置させて、ガイド内の該源及びセンサーを一連のステップで、ほぼ5から10個の切除空洞の異なる長さ方向の位置(即ち、アプリケーターガイドの長さ方向に沿った位置)にある切除空洞の遠位端部から近位端部まで引き戻す。切り替え可能なX線源の場合、各源は短い時間、設定のためにスイッチを入れ、そして線量が中央センサーで読まれる。或いは、各源は最大浸透するように最大電圧にスイッチを入れ、そしてX線の前もって選ばれた線量がセンサーで検出された時に自動的にスイッチを切ってもよい。次に、図6及び7を参照して以下に論じるように、距離を計算するために持続時間を使用する。いずれの場合も、これは、空洞の壁の周りに置かれた多数の源、例えば2ないし10個の源(異なる数を使用することができる)、に対して連続的に行われる。このようにして、各源の位置について独特な読み取りが得られ、そしてこれは上記したように空洞の多数の長さ方向位置で繰り返される。各線量値(又は持続時間)は距離に変換可能であり、従って切開空洞の内部の三次元マップが得られる。
【0028】
同位体の場合は、一般にただ1つの同位体が1回に使用され、まず1つのガイドに置かれ、ここで全ての読み取り値が連続的に取り出され、次に次のガイドに置かれ、以下同様である。いろいろな同位体を使用できるが、好ましくは同時に挿入しない。
【0029】
図6、7、7A及び7Bは上記の方法による空洞壁の形状の計算を例示する。図6では、線量はセンサーからの距離の関数として示される。垂直又はy軸は対数目盛である。示したように、線量は距離と共に非常に急速に降下する。これは逆自乗の法則(1/r2)によるだけでなく、組織を通過する放射線吸収の減衰の影響を取り入れている。例えば図6は、センサーからの距離を約0.5cmから1.0cmに2倍にすると、線量はほぼ9の係数で降下し、そして1cmから2cmにすると、ほぼ10の係数で降下する。図6のチャートは45kVpで作動するX線源からの線量を表す。
【0030】
図7Aは、切除空洞の壁(図示されていない)に接する位置にある6個の異なるX線源D1〜D6の可能な位置を概略的に示す。センサーsは一般に中央の位置にあるように示されている。概略的に示したように、各源はセンサーからのズレが異なる。図7Bは6個の源D1〜D6についての線量対距離の例を示す。”距離”及び”線量”についての情報は図6のグラフから取られる。しかしながら、図7Bの右欄は図7に相当し、それは特定の線量、例えば0.1Gy(よく知られるように、1Gy=100rad)、を受け取るための持続時間である。図7はこの型の距離マッピングを示すグラフであり、縦軸はミリ秒そして横軸は距離である。前に論じたように、マッピング中の患者の最小照射は、切り替え可能な放射線源を高電圧設定に回し、そしてその設定を各源位置について維持し、0.1Gyのような前以て選択した線量に達したときはいつでも該源を切ることにより達成することができる。10radに相当する0.1Gyは、中央センサーそしてまた図5におけるような乳房の外側に位置するセンサーで検出するのに適当なレベルの放射線を越える。図7のグラフは、距離がアルゴリズムによってどのようにして決定されるかを例示する。
【0031】
図5に戻ると、センサーs及びs’は乳房の表面及び胸壁に位置して、放射線を監視し、そしてまたこれらの位置に対して三次元空洞マップの相対的な位置を示す。図5に示されるように、表面に設けたセンサーsは処方された治療すべき容積(volume)内にあり得る。これは上部空洞c1の場合である。下部空洞c2は処方線量容積(volume)内に位置する胸壁センサーs’を有する。マッピング手順の間、3個のセンサーは皮膚又は胸壁が処方線量領域内にあるか、そして皮膚又は胸壁は医者が所望する線量を越える線量を受け取り得るかを決定する。これらの構造体での過剰の線量は損傷を招き得る。皮膚の場合、芳しくない美容上の結果を招き、そして胸壁の場合、肺、心臓、大動脈及び骨に損傷を招き得る。従って、医者若しくは放射線癌専門医、又はコンピュータープログラムのいずれかにより、処方線量を維持すべきかどうか、又はこれらの他の構造体への損傷の問題が治療計画を支配すべきかどうかの決定がなされる。本発明で好ましい切り替え可能なX線源を用いて、この問題はずっと容易にそしてより正確に取り扱われる。X線源はオン及びオフに切り替えることができ、そして/又はそれらの電圧は表面に近付くと変化して浸透を弱めることができる。更に、センサーs、s’を使用して、治療中これらの構造体が実際に受け取った線量を測定することにより、治療計画の正確さと有効性を監視することができる。前に記したように、電圧は、かかる検出に応じて、治療中リアルタイムで変えることができる。
【0032】
更に、そして重要なことには、センサーs及びs’を使用して、全ての位置において受け取った全線量を正確に外挿するソフトウェアでの計算により、全ての領域で受け取った全線量を証明することができる。センサーは図5のように処方容積(volume)中に直接位置する必要はない。
【0033】
図5A及び5Bは、切り替え可能且つ変動可能な源、例えば切り替え可能なX線管、の使用が、非常に特異な処方容積(volume)を治療する際に非常に大きい自由度を可能にすることを示す。乳房の例を用いて、図5Aは、図5のように、治療すべき処方容積(volume)が外部乳房表面Bと交差する状況を再び示す。説明したように、これは皮膚に激しい損傷を与える可能性があるので好ましくなく、そしてしばしば許容し得ない。治療すべきこの容積(volume)を規定するは、治療すべき容積(volume)内のあらゆる点における線量を最適にしそして乳房表面のような境界において損傷を与える可能性のある放射線を除いて、全てのドウェル破線V1は、基本的には三次元表面である等線量曲線である。治療計画点で多くの源の各々から受け取った線量を統合しなければならない。これは複雑なアルゴリズムであるが、典型的には、最良の方法として、固定TG−43プロフィールを有する同位体に対して成就される。アルゴリズムは各源に対する角度、および深さと角度に伴う線量の低下を考慮に入れる。図5において、修正曲線V2は、単に治療計画における滞留時間を制限することにより成就することができる最良に基づき最適化した等線量曲線である。これは、皮膚上の線量が処方線量を越えないように制限された場合、どのように等線量曲線が変わるかをおおよそ示す。図5Aの概略近似図に示されるように、皮膚境界は曲線V2による処方線量と重ならないが、同時に、処方容積(volume)内の他の領域は処方線量を与えられない、即ちこれらの領域は不十分な線量を与えられる。
【0034】
図5Bは、図5Aと同様概略図であるが、本発明及び好ましい切り替え可能、変更可能なX線源を使用して何が達成できるかをおおよそ示す。再び、等線量曲線V1は乳房表面Bと交差しそして重なる。しかしながら、ここではX線源は少なくとも電圧及び好ましくはまた電流についても切り替え可能且つ変更可能である。治療計画アルゴリズムはこれを考慮に入れ、そして処置すべき容積(volume)Vの全ての領域に対して、浸透深さを変えるための電圧、及び電流又は滞留時間(dwell time)(電流と滞留時間とは同等である)も変えられた源から受け取られる線量を最適化する。滞留時間はこれらの源をオン/オフに切り替えることにより変えられ、一方電流の低減は線量を低減するための別の方法である。図5Bの修正曲線V3は所望のように、実質的に乳房内の処理すべき容積(volume)Vの全範囲にわたって皮膚に非常に接近して近づく。これは、滞留時間(又は電流)及び電圧(浸透深さ)の両方を変える能力を有する、治療計画を算出する複合アルゴリズムにより達成される。
【0035】
前に記したように、この複合処方等線量表面を達成するアルゴリズムは全ての位置の全ての源の効果の統合を含まなければならない。源のあらゆるドウェル点は、処理すべき容積(volume)内のあらゆる点及び取り巻く点に影響を及ぼす。例えば、6個の源(即ちガイド)がアプリケーター内に使用されそして10個の異なるドウェル点が各ガイド内で使用された場合は、60個の異なるドウェル点が生じ、その各々の効果を、放射線が達したあらゆる点における効果について、治療計画に統合しなければ成らない。これは難しい問題であるが、適当なアルゴリズムを用いて解決することができ、所望の治療計画を達成する能力は、電圧、即ち線量の深さ、が可変の源を使用することにより可能になる。
記載の治療は、源及びセンサーの継続的移動により成し遂げることができ、かかる移動をアルゴリズムに考慮に入れ、移動速度(又は変化する速度)は治療計画の一部である。動く源を用いて三次元マッピングを行うことも可能であるが、これは、該源が絶えず放射線を放出していれば、マッピング中に過剰の放射線線量を与えることに成り得るので、望ましくなく、或いは、マッピング放射線に治療放射線が蓄積される場合は望ましくない。更に感受性のよいセンサーの開発は、動くマッピングを、放射線放出を少なくして、より望ましいものにすることができる。特許請求の範囲において、源及びセンサーを多数の位置に動かすことへの言及、又はいろいろな位置において読み取りを行うことへの言及は、継続的移動並びに一連の停止を含むことを理解されたい。
【0036】
放射線治療計画の算出は、マッピング中に処置すべき容積(volume)内に既に受け取られた放射線を考慮にいれることができることも理解されたい。一旦空洞の形状及び位置が決定されると、各位置において、マッピング中に受け取られる放射線線量を計算することができる。マッピング線量が相対的に非常に少量になるようにマッピング放射線が制限される場合は、この線量は一般に無視することができる。
【0037】
図8は、本発明のマッピング手順を用いて得ることができるワイアー−フレーム型三次元地図70を示す。ワイアーフレームモデル又は三次元地図の外側の縦方向線72、74、76、78等は空洞中のガイドのおおよその位置を表す。線72、74、76等の各々上の交点80は、源からの読み取りが行われるガイドの位置、即ちドウェル点、にある。センサーの一連の位置点は82、84、86、88、90及び92で示される。ドウェル点又は交点80は全て、センサー位置点82、84、86等の一つと同じ平面にある。全ての測定は、一時に一つの平面で行い、中央測定センサー及びX線源はその測定中同じ平面内にある。前に記したように、同位体の場合、唯一の同位体が使用され、次々に各ガイド内に位置するので、各平面のドウェル点は、その平面の全ての読み取りの後は同じ平面内にある。言い換えると、各測定平面内で、源は同じ点に進むので、それらは全てセンサーと同じ平面内にある。読み取りは同時というよりむしろ順次行われ、そして同位体については、これは各平面内での異なるドウェル点の各々への再配置を含む(ドウェル点の順序は次の平面に着手する前に一つの平面を完成する必要はない)。切り替え可能な源については、一連の源は好ましくは同時に所定の位置にあるが、順次作動される。しかしながら、切り替え可能な源については、所望により単一の源を使用することができ、同位体については、多数の源を使用することができるが、好ましくは切除空洞に同時に挿入されない。
【0038】
センサー点82、84、86等の各々は平面のおおよそ中央付近にあり、そのうちの6個の平面82a、84a、86a、88a等は図8に示され、それぞれ各読み取り位置に相当する。かかるワイアー平面の各々の中央点又はセンサー点から多数の取り巻く点(例示した態様では6個)の各々までの距離のデータを単に有すると、平面の寸法を与えるであろうが、その平面の、次の及び続く平面に対して相対的な位置を示さないであろう。一つの平面は他の平面から横方向にずれているかもしれない。即ち、センサー点82、84、86等は単一の線内になく、多分単一の滑らかな曲線上にないであろう。更に、ガイドが僅かに蛇行性の経路に従うならば、平面のいくつかは他のかかる平面に対してセンサー点82又は84又は86等の周りに回転していることができる。これらの平面の互いの正確な相対的位置決めをするのに必要な追加のデータは二つの方法の一つで与えることができる:即ち、比較的剛性且つ線状の中央ガイドと、各特定の曲線状のガイドが単一の平面にあるように膨張する周辺ガイドとを有するアプリケーターを使用する方法;又は空洞の外側で、前に記載したように例えば乳房表面で且つ胸壁に沿って置かれた追加のセンサーからのデータを使用する方法である。これらの追加のセンサーは平面の互いに相対的な位置を示し、そしてまた、乳房内又は他の患者の組織内の切除空洞自体(即ち、ワイアーフレームモデル70)の位置を示すであろう。
【0039】
図3において、三次元マッピングがブロック96で完了するように示される。これらのデータは、放射線処方(98)、即ち切除空洞を囲む患者の組織について望ましい線量及び深さ、と共に、放射線治療計画100を算出するのに使用される。治療計画の算出は、処置すべき乳房の場合、表面位置のセンサー及び胸壁への距離を考慮に入れる。何故なら、放射線を、損傷を防止するために皮膚において、及び胸壁において制限しなければならないからである。算出はこれを考慮に入れ、これらの位置の領域における合計放射線の浸透深さを減じるであろう。これは、切り替え可能なX線源、及び好ましくはオン/オフに切り替え可能なばかりでなく、電圧制御及び電流制御を有する源を使用して、ずっと容易に達成される。
【0040】
治療計画が算出されると、ブロック102に示したものと同じ源及びセンサーを使用して治療計画が実行される。この時点で、切除空洞の外側の外部センサーを使用して、実際に受け取られた放射線線量を監視することができる。これは緊急の遮断に使用するか、又は単に手順の質制御に使用することができ、実際の治療が計画に従ったことを実証する。
【0041】
図9は図8と同様であるが、乳房100内に配置し得る三次元ワイアーフレームモデルを示す。ワイアーフレームモデルは70aで示され、乳房組織内に置かれる。図9に示されていないが、図5におけるように、センサーは乳房の外側及び胸壁に置くことができる。
【0042】
上記の好ましい態様は本発明の本質を例示するためのもので、本発明を限定するためのものではない。他の態様及びこの好ましい態様の変形は当業者に明らかであり、そして特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行い得るであろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】腫瘍の切除、病理の決定、引き続く放射線照射における典型的な従来の実施を示す流れ図である。
【図2】本発明に従う手順を概説する流れ図である。
【図3】三次元マッピング手順を含む好ましい態様を表す更に詳細な流れ図である。
【図4】マッピングの前且つ治療の前の放射線源を校正するためのステップを示す概略図である。
【図5】処置すべき容積(volume)に囲まれた乳房内の切除空洞のいくつかの可能な位置を示し、そして処置すべき該容積内の処方された放射線の深さ、及び処方放射線容積(volume)と皮膚及び胸壁との交差を示し、そしてまた、該空洞の位置を決めるため及びフィードバックのための、乳房上及び該空洞の外側のどこかのセンサーの使用を示す立面断面概略図である。
【図5A】図5Aは、図5の一部を示し、そして従来の実施に従い皮膚での放射線を制限を示す概略図である。
【図5B】図5Bは、図5Aと同様の図であり、本発明で達成可能な放射線浸透の制限を示す図である。
【図6】放射線線量対源からの距離を示すグラフである。
【図7】図7、7A及び7Bは、距離と、予備選択された線量を受け取るのに必要な時間との関係、並びに単に距離と線量との関係を示すグラフ、概略図及び表である。
【図8】切除空洞のワイアー−フレームモデルを示す概略斜視図である。
【図9】図8におけるようなワイアー−フレームマップ又はモデルの形態の切除空洞を示す、乳房の概略斜視図である。
【符号の説明】
【0044】
65 X線源を収容したガイド
66 中央ガイド
70 ワイアー−フレーム型三次元地図
80 ドウェル点又は交点
82、84、86、88 センサー位置点
s、s’ センサー
B 乳房表面
V1 等線量曲線
V2、V3 修正曲線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生きた患者における乳癌の手術中放射線治療処置方法であって、下記を含む方法:
患者の乳房から腫瘍を切除し、これにより切除空洞を生じさせ、
かかる切除の後、患者が麻酔下にある間に、下記のステップ(a)−(e)により切除空洞のマッピングを行い:
(a)一連のガイドを含むアプリケーターを切除空洞に挿入し、
(b)一つ又はそれ以上のイオン化放射線源を該ガイドの周辺ガイドに挿入し、そして放射線センサーを該ガイドの中央ガイドに挿入し、
(c)該アプリケーターを該空洞を実質的に満たすように膨張させ、これにより該周辺ガイドを、放射線で治療すべき容積(volume)に隣接した該空洞の壁に実質的に置き、
(d)該源及びセンサーをガイドを介して動かし、そしてかかる移動に沿った多数の位置で該源の各々についての読み取りを該センサーを用いて行い、ここで該位置は該空洞の壁の形状を実質的に規定するのに十分であり、
(e)ステップ(d)で決定したデータから、該切除空洞の三次元モデルを決定する、
主治医が作成した放射線処方を使用し、患者が麻酔下にありそして該アプリケーターが切開空洞内にある間に、かかるイオン化放射線源及び該アプリケーターを使用して処置すべき容積を照射するために、該空洞の該三次元モデルに基づき、該切除空洞を直に取り巻く処置すべき該容積についての放射線治療計画を作成し、そして
該イオン化放射線源を該アプリケーターの該周辺ガイドを介して、実質的に処方した放射線の線量が治療すべき該容積の全領域中に受け取られるような適当な滞留時間動かすことにより、治療計画を実行する。
【請求項2】
イオン化放射線源が切り替え可能なX線源である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
切り替え可能なX線源が、治療計画の実行中、いろいろな位置におけるX線浸透深さを調整するために電圧を変えられる請求項2記載の方法。
【請求項4】
X線源のいくつかが、治療計画の実行中、他の該源と異なる電圧に維持されて、異なる位置において異なる浸透深さになるように放射線を伝達する請求項2記載の方法。
【請求項5】
切り替え可能なX線源の少なくともいくつかが、治療中、治療すべき容積中のいろいろな位置における線量密度を変えるために電流を変えられる、請求項2記載の方法。
【請求項6】
治療中、X線源のいくつかが、放射線治療計画に基づく要求に従って、異なる位置において異なる線量密度を伝達するために、他のX線源と異なる電流で作動される、請求項2記載の方法。
【請求項7】
放射線治療計画に従うために、治療中必要な場合、一つ又はそれ以上のX線源のスイッチを切ることを含む、請求項2記載の方法。
【請求項8】
イオン化放射線源が同位体であり、該同位体はマッピング後除去されそして治療計画を実行するためにアプリケーターに再挿入される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
マッピングステップの前に、イオン化放射線源を放射線センサーの周りに密接して群がらせることにより該イオン化放射線源を予備校正し、そして該センサーを使用して各源から受け取る線量を決定することを更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
イオン化放射線源が切り替え可能なX線源である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
イオン化放射線源が同位体である、請求項9記載の方法。
【請求項12】
腫瘍切除のステップの後、腫瘍から病理結果を得、そしてきれいな周縁が示されなかった場合は、切除空洞のマッピング前に再切除することを更に含み、これら全てを患者が麻酔下にある間に行う、請求項1記載の方法。
【請求項13】
腫瘍から病理結果を得るステップが、即時の病理結果決定方法を使用することを含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
イオン化放射線源が切り替え可能なX線源であり、そしてステップ(d)のセンサーで読み取るステップが、該源を高電圧で作動しそして該センサーにより、該センサーが各位置における各源の予備選択された線量を検出するために必要な持続時間を測定することにより達成される、請求項1記載の方法。
【請求項15】
ステップ(d)のセンサーで読み取るステップが、予備選択した時間にわたってセンサーにおいて各源から受け取られた線量を決定することにより達成される、請求項1記載の方法。
【請求項16】
空洞の外側の、損傷を避けるために放射線線量を制限しなければ成らない重要な領域に空洞外センサーを置き、そして治療計画の実行中、かかる空洞外センサーで受け取られる線量を監視して線量を該重要な領域で確実に制限することを更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項17】
上記空洞外センサーが乳房の皮膚上に位置する、請求項16記載の方法。
【請求項18】
上記空洞外センサーの少なくとも一つが、針により胸壁に配置される、請求項17記載の方法。
【請求項19】
空洞のマッピング前に、空洞の外側の、損傷を避けるために放射線線量を制限しなければならない重要な領域に空洞外センサーを置き、そして切除空洞のマッピング中、各空洞センサーにおいて多数の位置の該源からの読み取りを行い、そしてかかる読み取りからのデータを放射線治療計画を修正するのに使用して、かかる重要な領域における線量を必要に応じて制限する、請求項1記載の方法。
【請求項20】
治療計画の実行中、かかる空洞外センサーにおいて実際に受け取られた線量を監視して、線量が重要な領域内で必要に応じて確実に制限されるようにすることを更に含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
マッピング中に治療すべき容積の内側及び外側のいろいろな位置で受け取られた線量を計算し、そしてかかる既に受け取られた線量を、放射線治療計画の作成に際して考慮に入れることを含む、請求項19記載の方法。
【請求項22】
下記を含む、生きた患者における乳癌を手術中に放射線治療する方法:
患者の乳房から腫瘍を切除し、これにより切除空洞を生じさせ、
かかる切除の後、患者が麻酔下にある間に、近リアルタイムの病理決定方法により、切除周縁における組織の病理を決定し、
病理検査により指示された場合は、患者が麻酔下にある間に切除空洞における組織を更に切除し、そして
切除空洞に隣接する容積(volume)の組織に放射線を照射し、
これにより、患者が麻酔下にある間に且つ患者を本質的に動かさずに腫瘍の切除、病理検査及び放射線照射を手術中に行う。
【請求項23】
下記を含む、人体の空洞の三次元マッピング方法:
(a)一連のガイドを含むアプリケーターを切除空洞に挿入し、
(b)一つ又はそれ以上のイオン化放射線源を該ガイドの周辺ガイドに挿入し、そして放射線センサーを該ガイドの中央ガイドに挿入し、
(c)該アプリケーターを該空洞を実質的に満たすように膨張させ、これにより該周辺ガイドを、放射線で治療すべき容積(volume)に隣接した該空洞の壁に実質的に置き、
(d)該源及びセンサーを該ガイドを介して動かし、そしてかかる移動に沿った多数の位置の該源の各々についての読み取りを該センサーを用いて行い、ここで該位置は該空洞の壁の形状を実質的に規定するのに十分であり、そして
(e)ステップ(d)で決定したデータから、該切除空洞の三次元モデルを決定する。
【請求項24】
イオン化放射線源が切り替え可能なX線源であり、そしてステップ(d)のセンサーで読み取るステップが、該源を高電圧で作動しそしてセンサーが各位置における各源の予備選択された線量を検出するために必要な持続時間該センサーにより測定することによって達成される、請求項23記載の方法。
【請求項25】
ステップ(d)のセンサーで読み取るステップが、予備選択した時間にわたってセンサーにおいて該源の各々から受け取られた線量を決定することにより達成される、請求項23記載の方法。
【請求項26】
下記を含む、患者の放射線治療処置方法:
(a)一連のガイドを含むアプリケーターを患者の身体の空洞に挿入し、
(b)一つ又はそれ以上のイオン化放射線源を該ガイドの周辺ガイドに挿入し、そして放射線センサーを該ガイドの中央ガイドに挿入し、
(c)該アプリケーターを該空洞を実質的に満たすように膨張させ、これにより該周辺ガイドを、放射線で治療すべき容積(volume)に隣接した該空洞の壁に実質的に置き、
(d)該源及びセンサーをガイドを介して動かし、そしてかかる移動に沿った多数の位置で該源の各々についての読み取りを該センサーを用いて行い、ここで該位置は該空洞の壁の形状を実質的に規定するのに十分であり、
(e)ステップ(d)で決定したデータから、該空洞の三次元モデルを決定し、
(f)かかるイオン化放射線源及び該アプリケーターを使用して処置すべき容積(volume)に放射線照射をするために、放射線処方及び該空洞の該三次元モデルに基づき、該空洞を直に取り巻く処置すべき容積(volume)に対する放射線治療計画を作成し、そして
(g)該アプリケーターの該周辺ガイドを介してイオン化放射線源を適当な12回動かして治療計画を実行して、実質的に処方された放射線の線量が処置すべき容積(volume)の全ての領域で受け取られるようにする。
【請求項27】
空洞の外側の、損傷を避けるために放射線線量を制限しなければならない重要な領域に空洞外センサーを置き、そして治療計画の実行中、かかる空洞外センサーで受け取られる線量を監視して線量が該重要な領域で確実に制限されるようにすることを更に含む、請求項26記載の方法。
【請求項28】
ステップ(a)から(d)の間、空洞の外側の、損傷を避けるために放射線線量を制限しなければならない重要な領域に空洞外センサーを置き、そしてステップ(d)の間、各空洞外センサーにおいて、該多数の位置の該源の読み取りを行い、そしてかかる読み取りからのデータを、放射線治療計画を修正するために入力として使用して、かかる重要な領域での線量を制限する、請求項26記載の方法。
【請求項29】
治療計画の実行中、かかる空洞外センサーにおいて実際に受け取られた線量を監視して、線量が重要な領域内で必要に応じて確実に制限されるようにすることを更に含む、請求項28記載の方法。
【請求項30】
生きた患者内の容積を、敏感な領域への損傷を避けながら且つ必要に応じて放射線線量を制限しながらX線放射線で治療する方法であって、下記を含む方法:(a)アプリケーター内の少なくとも一つのX線センサーを処置すべき容積(volume)内に置き、
(b)一連の切り替え可能なX線源を、該アプリケーター内で且つ処置すべき容積(volume)内の該センサーを取り巻く位置に置き、
(c)該源を該センサーの周りに密接して群がらせながら各源を順にオン及びオフに切り替えることにより多数の放射線源を校正し、そして該X線源の各々から受け取る線量を決定し、
(d)該アプリケーターを処置すべき容積(volume)内で膨張させて、一連のX線源を該アプリケーターが膨張するにつれて外方向に拡がらせ、これにより各源を該センサーから一般に放射状に離れさせ、
(e)追加のX線センサーを処置すべき容積(volume)の外側に置いて、処置すべき容積(volume)の外側のいろいろな位置で受け取るX線放射線を監視し、
(f)該X線源及び該センサーを処置すべき容積(volume)中を動かし、一連のX線源のいろいろなX線源を順にオン及びオフに切り替え、そしてかかる源の各々からの放射線を、該容積内の該X線センサーを使用して検出し、
(g)全てのX線源及びX線センサーの相対的位置を、ステップ(f)で得た情報を用いて算出し、
(h)処置すべき容積(volume)に対して処方したX線放射線線量に基づき、処置すべき容積(volume)についての治療計画を作成し、そして必要に応じて各X線源をオン/オフに切り替えながら、該治療計画のための移動経路に沿って、該一連のX線源及び該センサーを処置すべき容積(volume)に沿ったいろいろな位置に動かすための計画を含め、
(i)処置すべき容積(volume)中を該X線源及びセンサーを治療計画に従って動かすことにより治療計画を実行し、そして一連のX線源の各々から伝達されるX線を、該源の各々を必要に応じてオン及びオフに切り替えることを含めて、治療計画に従って制御する。
【請求項1】
生きた患者における乳癌の手術中放射線治療処置方法であって、下記を含む方法:
患者の乳房から腫瘍を切除し、これにより切除空洞を生じさせ、
かかる切除の後、患者が麻酔下にある間に、下記のステップ(a)−(e)により切除空洞のマッピングを行い:
(a)一連のガイドを含むアプリケーターを切除空洞に挿入し、
(b)一つ又はそれ以上のイオン化放射線源を該ガイドの周辺ガイドに挿入し、そして放射線センサーを該ガイドの中央ガイドに挿入し、
(c)該アプリケーターを該空洞を実質的に満たすように膨張させ、これにより該周辺ガイドを、放射線で治療すべき容積(volume)に隣接した該空洞の壁に実質的に置き、
(d)該源及びセンサーをガイドを介して動かし、そしてかかる移動に沿った多数の位置で該源の各々についての読み取りを該センサーを用いて行い、ここで該位置は該空洞の壁の形状を実質的に規定するのに十分であり、
(e)ステップ(d)で決定したデータから、該切除空洞の三次元モデルを決定する、
主治医が作成した放射線処方を使用し、患者が麻酔下にありそして該アプリケーターが切開空洞内にある間に、かかるイオン化放射線源及び該アプリケーターを使用して処置すべき容積を照射するために、該空洞の該三次元モデルに基づき、該切除空洞を直に取り巻く処置すべき該容積についての放射線治療計画を作成し、そして
該イオン化放射線源を該アプリケーターの該周辺ガイドを介して、実質的に処方した放射線の線量が治療すべき該容積の全領域中に受け取られるような適当な滞留時間動かすことにより、治療計画を実行する。
【請求項2】
イオン化放射線源が切り替え可能なX線源である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
切り替え可能なX線源が、治療計画の実行中、いろいろな位置におけるX線浸透深さを調整するために電圧を変えられる請求項2記載の方法。
【請求項4】
X線源のいくつかが、治療計画の実行中、他の該源と異なる電圧に維持されて、異なる位置において異なる浸透深さになるように放射線を伝達する請求項2記載の方法。
【請求項5】
切り替え可能なX線源の少なくともいくつかが、治療中、治療すべき容積中のいろいろな位置における線量密度を変えるために電流を変えられる、請求項2記載の方法。
【請求項6】
治療中、X線源のいくつかが、放射線治療計画に基づく要求に従って、異なる位置において異なる線量密度を伝達するために、他のX線源と異なる電流で作動される、請求項2記載の方法。
【請求項7】
放射線治療計画に従うために、治療中必要な場合、一つ又はそれ以上のX線源のスイッチを切ることを含む、請求項2記載の方法。
【請求項8】
イオン化放射線源が同位体であり、該同位体はマッピング後除去されそして治療計画を実行するためにアプリケーターに再挿入される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
マッピングステップの前に、イオン化放射線源を放射線センサーの周りに密接して群がらせることにより該イオン化放射線源を予備校正し、そして該センサーを使用して各源から受け取る線量を決定することを更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
イオン化放射線源が切り替え可能なX線源である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
イオン化放射線源が同位体である、請求項9記載の方法。
【請求項12】
腫瘍切除のステップの後、腫瘍から病理結果を得、そしてきれいな周縁が示されなかった場合は、切除空洞のマッピング前に再切除することを更に含み、これら全てを患者が麻酔下にある間に行う、請求項1記載の方法。
【請求項13】
腫瘍から病理結果を得るステップが、即時の病理結果決定方法を使用することを含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
イオン化放射線源が切り替え可能なX線源であり、そしてステップ(d)のセンサーで読み取るステップが、該源を高電圧で作動しそして該センサーにより、該センサーが各位置における各源の予備選択された線量を検出するために必要な持続時間を測定することにより達成される、請求項1記載の方法。
【請求項15】
ステップ(d)のセンサーで読み取るステップが、予備選択した時間にわたってセンサーにおいて各源から受け取られた線量を決定することにより達成される、請求項1記載の方法。
【請求項16】
空洞の外側の、損傷を避けるために放射線線量を制限しなければ成らない重要な領域に空洞外センサーを置き、そして治療計画の実行中、かかる空洞外センサーで受け取られる線量を監視して線量を該重要な領域で確実に制限することを更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項17】
上記空洞外センサーが乳房の皮膚上に位置する、請求項16記載の方法。
【請求項18】
上記空洞外センサーの少なくとも一つが、針により胸壁に配置される、請求項17記載の方法。
【請求項19】
空洞のマッピング前に、空洞の外側の、損傷を避けるために放射線線量を制限しなければならない重要な領域に空洞外センサーを置き、そして切除空洞のマッピング中、各空洞センサーにおいて多数の位置の該源からの読み取りを行い、そしてかかる読み取りからのデータを放射線治療計画を修正するのに使用して、かかる重要な領域における線量を必要に応じて制限する、請求項1記載の方法。
【請求項20】
治療計画の実行中、かかる空洞外センサーにおいて実際に受け取られた線量を監視して、線量が重要な領域内で必要に応じて確実に制限されるようにすることを更に含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
マッピング中に治療すべき容積の内側及び外側のいろいろな位置で受け取られた線量を計算し、そしてかかる既に受け取られた線量を、放射線治療計画の作成に際して考慮に入れることを含む、請求項19記載の方法。
【請求項22】
下記を含む、生きた患者における乳癌を手術中に放射線治療する方法:
患者の乳房から腫瘍を切除し、これにより切除空洞を生じさせ、
かかる切除の後、患者が麻酔下にある間に、近リアルタイムの病理決定方法により、切除周縁における組織の病理を決定し、
病理検査により指示された場合は、患者が麻酔下にある間に切除空洞における組織を更に切除し、そして
切除空洞に隣接する容積(volume)の組織に放射線を照射し、
これにより、患者が麻酔下にある間に且つ患者を本質的に動かさずに腫瘍の切除、病理検査及び放射線照射を手術中に行う。
【請求項23】
下記を含む、人体の空洞の三次元マッピング方法:
(a)一連のガイドを含むアプリケーターを切除空洞に挿入し、
(b)一つ又はそれ以上のイオン化放射線源を該ガイドの周辺ガイドに挿入し、そして放射線センサーを該ガイドの中央ガイドに挿入し、
(c)該アプリケーターを該空洞を実質的に満たすように膨張させ、これにより該周辺ガイドを、放射線で治療すべき容積(volume)に隣接した該空洞の壁に実質的に置き、
(d)該源及びセンサーを該ガイドを介して動かし、そしてかかる移動に沿った多数の位置の該源の各々についての読み取りを該センサーを用いて行い、ここで該位置は該空洞の壁の形状を実質的に規定するのに十分であり、そして
(e)ステップ(d)で決定したデータから、該切除空洞の三次元モデルを決定する。
【請求項24】
イオン化放射線源が切り替え可能なX線源であり、そしてステップ(d)のセンサーで読み取るステップが、該源を高電圧で作動しそしてセンサーが各位置における各源の予備選択された線量を検出するために必要な持続時間該センサーにより測定することによって達成される、請求項23記載の方法。
【請求項25】
ステップ(d)のセンサーで読み取るステップが、予備選択した時間にわたってセンサーにおいて該源の各々から受け取られた線量を決定することにより達成される、請求項23記載の方法。
【請求項26】
下記を含む、患者の放射線治療処置方法:
(a)一連のガイドを含むアプリケーターを患者の身体の空洞に挿入し、
(b)一つ又はそれ以上のイオン化放射線源を該ガイドの周辺ガイドに挿入し、そして放射線センサーを該ガイドの中央ガイドに挿入し、
(c)該アプリケーターを該空洞を実質的に満たすように膨張させ、これにより該周辺ガイドを、放射線で治療すべき容積(volume)に隣接した該空洞の壁に実質的に置き、
(d)該源及びセンサーをガイドを介して動かし、そしてかかる移動に沿った多数の位置で該源の各々についての読み取りを該センサーを用いて行い、ここで該位置は該空洞の壁の形状を実質的に規定するのに十分であり、
(e)ステップ(d)で決定したデータから、該空洞の三次元モデルを決定し、
(f)かかるイオン化放射線源及び該アプリケーターを使用して処置すべき容積(volume)に放射線照射をするために、放射線処方及び該空洞の該三次元モデルに基づき、該空洞を直に取り巻く処置すべき容積(volume)に対する放射線治療計画を作成し、そして
(g)該アプリケーターの該周辺ガイドを介してイオン化放射線源を適当な12回動かして治療計画を実行して、実質的に処方された放射線の線量が処置すべき容積(volume)の全ての領域で受け取られるようにする。
【請求項27】
空洞の外側の、損傷を避けるために放射線線量を制限しなければならない重要な領域に空洞外センサーを置き、そして治療計画の実行中、かかる空洞外センサーで受け取られる線量を監視して線量が該重要な領域で確実に制限されるようにすることを更に含む、請求項26記載の方法。
【請求項28】
ステップ(a)から(d)の間、空洞の外側の、損傷を避けるために放射線線量を制限しなければならない重要な領域に空洞外センサーを置き、そしてステップ(d)の間、各空洞外センサーにおいて、該多数の位置の該源の読み取りを行い、そしてかかる読み取りからのデータを、放射線治療計画を修正するために入力として使用して、かかる重要な領域での線量を制限する、請求項26記載の方法。
【請求項29】
治療計画の実行中、かかる空洞外センサーにおいて実際に受け取られた線量を監視して、線量が重要な領域内で必要に応じて確実に制限されるようにすることを更に含む、請求項28記載の方法。
【請求項30】
生きた患者内の容積を、敏感な領域への損傷を避けながら且つ必要に応じて放射線線量を制限しながらX線放射線で治療する方法であって、下記を含む方法:(a)アプリケーター内の少なくとも一つのX線センサーを処置すべき容積(volume)内に置き、
(b)一連の切り替え可能なX線源を、該アプリケーター内で且つ処置すべき容積(volume)内の該センサーを取り巻く位置に置き、
(c)該源を該センサーの周りに密接して群がらせながら各源を順にオン及びオフに切り替えることにより多数の放射線源を校正し、そして該X線源の各々から受け取る線量を決定し、
(d)該アプリケーターを処置すべき容積(volume)内で膨張させて、一連のX線源を該アプリケーターが膨張するにつれて外方向に拡がらせ、これにより各源を該センサーから一般に放射状に離れさせ、
(e)追加のX線センサーを処置すべき容積(volume)の外側に置いて、処置すべき容積(volume)の外側のいろいろな位置で受け取るX線放射線を監視し、
(f)該X線源及び該センサーを処置すべき容積(volume)中を動かし、一連のX線源のいろいろなX線源を順にオン及びオフに切り替え、そしてかかる源の各々からの放射線を、該容積内の該X線センサーを使用して検出し、
(g)全てのX線源及びX線センサーの相対的位置を、ステップ(f)で得た情報を用いて算出し、
(h)処置すべき容積(volume)に対して処方したX線放射線線量に基づき、処置すべき容積(volume)についての治療計画を作成し、そして必要に応じて各X線源をオン/オフに切り替えながら、該治療計画のための移動経路に沿って、該一連のX線源及び該センサーを処置すべき容積(volume)に沿ったいろいろな位置に動かすための計画を含め、
(i)処置すべき容積(volume)中を該X線源及びセンサーを治療計画に従って動かすことにより治療計画を実行し、そして一連のX線源の各々から伝達されるX線を、該源の各々を必要に応じてオン及びオフに切り替えることを含めて、治療計画に従って制御する。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2007−526010(P2007−526010A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517442(P2006−517442)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/019621
【国際公開番号】WO2004/112890
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(505465520)ゾフト マイクロチューブ インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/019621
【国際公開番号】WO2004/112890
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(505465520)ゾフト マイクロチューブ インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】
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