説明

乳飲料

【課題】缶入り等のレトルト殺菌乳飲料等において、高温殺菌や加熱保存に起因する乳成分の劣化臭、沈殿の発生や脂肪分の分離等の問題のない、より乳風味の豊かな乳飲料を提供すること。
【解決手段】乳成分と香味成分を含む乳飲料において、シスチン類を0.0005〜0.004質量%含有することを特徴とする乳飲料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳風味の豊かな乳飲料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
缶入りのココア乳飲料、コーヒー乳飲料、紅茶乳飲料等は自動販売機により販売され、手軽な飲料として大量に消費されている。
これらの乳飲料においては、高温殺菌されること、寒冷期等においては自動販売機や店頭にてホットベンダーに入れられて加温されて販売されることが多く、特に乳蛋白の含量が多い場合には、これらの経熱、加熱保存によって乳蛋白が劣化して風味が低下し、劣化臭の発生や乳蛋白の沈殿、脂肪分の分離等の問題がある。また、より乳風味の豊かな乳飲料も求められているものの、上記課題を解決して低価格で乳風味に富んだ乳飲料は、未だ存在しない。
もっとも、牛乳や乳成分を増量する等、直接的な手法をとることによって、乳風味豊かな飲料を製造することができる。しかし、コストの上昇や加温時の品質劣化など、牛乳や乳成分を増量することによって発生する課題も多く、牛乳や乳成分以外の成分により間接的に乳風味を向上させる技術開発が望まれている。
【0003】
生乳をホモゲナイザーで均質化後、非通気性容器に充填密閉してから115〜118℃で15〜20分の範囲で加熱処理する方法では、メイラード反応等によって乳が黄色味を帯びたり、褐変が著しく、飲用あるいは料理等に使用する際、外観上好ましくないという問題がある。
この問題を解決するため、生乳にL−シスチン及び/又はL−システィンを0.01〜0.1重量%添加混合したものを均質化処理した後、非通気性容器に充填し、密封して加熱処理する容器詰め牛乳の製造方法が知られている(特許文献1参照。)。しかし、この製造方法では、添加したL−シスチン又はL−システィンにより、牛乳が硫黄臭を帯びたり、牛乳が分離するという問題があり好ましい方法ではない。
【0004】
また、生乳にL−シスチンが0.006〜0.009重量%の範囲で添加される容器詰め牛乳の製造方法が提案されている(特許文献2参照。)。
この方法は、110〜120℃の温度で10〜30分間の加熱又は滅菌される容器詰め牛乳の製造方法で、加熱又は滅菌前の牛乳を80℃以下の温度で処理し、さらにL−シスチンを0.006〜0.009重量%の範囲で添加することを特徴とする製造方法である。このような範囲で添加すると、製造時または保存中の容器詰め牛乳の色調の変化をより効果的に抑制できるとしている。
しかし、L−シスチンが0.006〜0.009重量%であっても、依然として牛乳が保温保存による硫黄臭を帯びるという問題は解消できない。
【0005】
更にまた、原料乳の乳糖を含む膜透過液から部分的又はほぼ完全に乳糖を除去した乳糖除去透過液を、膜濃縮液に還流することにより、脂肪を除く固形量基準で乳糖含量を53重量%以下とし、これにL−シスチン/又はL−システィンを製品重量に対して0.01〜0.1%程度添加して褐変防止効果を発揮させ、硫黄臭等の悪影響を抑制し、低乳糖乳の風味を改善できるとする密封容器入り低乳糖乳製品が提案されている(特許文献3参照。)。
この特許文献3における技術内容は、原料乳の乳糖成分を減らして、褐変防止効果を発揮させ、硫黄臭等の悪影響を減じようとするもので、低乳糖にするために膜分離や乳糖透過液の濃縮等の操作を要し、加工コスト上昇の問題や、乳風味に乏しいことなどから、これを乳飲料の原料とすることは必ずしも適当でない。
上記のように特許文献1、2、及び3に記載された技術は、生乳又は低乳糖乳にシスチン等を添加する技術を開示するものであって、ココア乳飲料、コーヒー乳飲料、及び紅茶乳飲料等の乳飲料に関する乳風味の劣化を抑えることについては何ら記載されていない。
【0006】
【特許文献1】特開平2−207742号公報
【特許文献2】特開平5−227883号公報
【特許文献3】特開平6−303900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような状況に鑑み、乳飲料において、高温殺菌や加熱保存によって生じる乳成分の劣化臭発生、乳蛋白の沈殿や脂肪分の分離等の品質劣化を抑制し、より乳風味の豊かな乳飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記の目的を達成すべく鋭意研究の結果、シスチン類を0.0005〜0.004質量%含有する乳飲料とすることで、その目的を達成し得ることを見出し、本願発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)乳成分と香味成分を含む乳飲料において、シスチン類を0.0005〜0.004質量%含有することを特徴とする乳飲料、
(2)香味成分がココア、コーヒー、及び紅茶から選ばれる一種又は2種以上である前記(1)記載の乳飲料、及び
(3)シスチン類がL−シスチンである前記(1)又は(2)に記載の乳飲料、
を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シスチン類を0.0005〜0.004質量%含有するので、高温殺菌されることや、ホットベンダーでの加温販売において、これらの経熱、加熱保存によって乳蛋白が劣化し乳風味が低下することがなく、また、劣化臭の発生や乳蛋白の沈殿、脂肪分の分離等の問題も生じない。また、同一乳濃度でシスチン類を含まない乳飲料と比較して、より乳風味の豊かな乳飲料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の乳飲料は、例えば、所定量の乳成分及び香味成分に必要に応じて任意成分を加え、これらに湯水を加えて混合した後、シスチン類を所定量添加し、TKミキサーなどで均一撹拌した後、高温短時間殺菌(UTST)、超高温加熱殺菌(UHT)の後に容器に充填して製造されたり、又は、容器を密封した後、レトルト殺菌等の殺菌が行われ、室温まで冷却されて製造される。
容器としては、耐熱性を有するガスバリア性及び蒸気バリア性のあるものであればよく、軟包装材パウチ、缶、ガラス瓶、複合紙容器等を用いることができる。
【0011】
本発明の乳飲料の乳成分としては、乳蛋白質および/または乳脂肪を含有するものであればいずれであってもよく、例えば、生乳、牛乳、脱脂乳、部分脱脂乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、練乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、乳清(ホエー)、乳清蛋白質濃縮物(WPC)、乳清蛋白質分離物(WPI)、全乳蛋白質濃縮物(TMP)、クリーム、クリームパウダー、ホエーパウダー等が挙げられる。簡便には、市販の牛乳(例えば森永乳業社製等)を使用することができる。尚、粉末又は濃縮形態の乳成分は、最終的に飲料成分として利用するため、及び後記する殺菌を行うために、水、温水等の溶媒に分散又は溶解した溶液状態で使用される。
本発明は、あくまでも乳成分が少ない乳飲料において実施されることが好ましく、本発明における乳飲料の乳成分の量は、飲料全体の乳固形分(乳由来の脂肪、蛋白質、炭水化物、ミネラル、ビタミン等のこと。)として、5質量%未満である。もっとも、本発明における乳飲料の乳成分の量は、飲料全体の乳固形分として3質量%未満であることが、さらに好ましい。
また、本発明の乳飲料における乳成分としては、上記の乳成分のうち、市販の牛乳、練乳、加糖脱脂練乳、全脂粉乳、脱脂粉乳等を特に好ましく用いることができる。
【0012】
本発明における香味成分は、飲料成分として許容される材料で、得ようとする飲料の味付けおよび香り付けのために添加される材料であって、香りを呈する材料、および味と香りの両方を呈する材料がこれに含まれる。例えば、ココア、コーヒー、紅茶、緑茶、ほうじ茶、番茶、煎茶、ウーロン茶等の茶類が挙げられる。また、香りを調整するために補助的に用いられる香料も本発明における香味成分に含まれる。なお、粉末又は濃縮形態の香味成分は、最終的に飲料成分として利用するため、及び後記する殺菌を行うために、水、温水等の溶媒に分散又は溶解した溶液状態で使用される。
これらの香味成分のうち、ココア、コーヒー、及び紅茶から選ばれる一種又は2種以上を香味成分として用いることが、多くの大衆が嗜好する乳飲料であるので好ましい。
特に、本発明が実施されるレトルト殺菌飲料においては、飲料の殺菌に強い殺菌強度が必要なココアを香味成分とすることが更に好ましい。
【0013】
本発明のココア乳飲料における香味成分のココアは、カカオ豆から調製されるカカオマスや、そのカカオマスからココアバターの一部を除いたココアパウダーを原料とする。ただし、本発明のココア乳飲料は、ココアパウダーを1〜7質量%含有するものであることが好ましい。ココアパウダーの含有量が1質量%未満では、ココア本来の風味が得られず、7質量%を超えると、ねっとりした食感や口当たりになり、飲みにくくなる。
【0014】
次に、香味成分としてのコーヒーは、先ずコーヒー抽出液を調整する。コーヒー抽出液は、コーヒー豆を焙煎し、湯水で抽出することにより得られるが、コーヒー豆の種類、焙煎条件、抽出条件などは特に限定されず、所望により又は必要により適宜定めることができる。コーヒー抽出液は、そのままで、又は濃縮液で用いる。濃縮は加熱濃縮、減圧濃縮、凍結濃縮など公知の方法で行なわれる。また、抽出液又は濃縮液を加熱乾燥、噴霧乾燥、泡沫乾燥、凍結乾燥して乾燥物にして用いることもできる。
乳飲料におけるコーヒーの濃度としては、飲料全体100gに対してコーヒー生豆換算で1〜5gの範囲が嗜好される。
【0015】
また、本発明の紅茶乳飲料の香味成分としての紅茶は、常法により紅茶葉を抽出して得られる紅茶抽出液又はエキスが用いられる。紅茶成分の濃度としては、飲料全体100gに対して紅茶葉換算で0.5〜2gの範囲が嗜好される。
【0016】
本発明の乳飲料には、上記乳成分、香味成分のほかに、必要に応じて甘味料を含有することができる。
甘味料としては、例えば砂糖、ブドウ糖、果糖、乳糖、マルトース、パラチノース、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、ラフィノーズ等の糖類;ソルビトール、マンニトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチュロース等の糖アルコール;グルチルリチン、ステビオサイド、レバウディオサイド、甜茶抽出物、甘茶抽出物等の天然甘味料、スクラロース、アステルパーム等の人工甘味料を例示することができる。
また、その他の成分として、増粘多糖類、油脂、蛋白質、アミノ酸、有機酸、ビタミン、無機塩類、乳化剤、分散安定剤、pH調整剤等を添加することもできる。
【0017】
ココアを分散させるための分散安定剤として、セルロース、又はキサンタンガム等の増粘剤等を用いることができ、乳化剤として、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等、pH調整剤として、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、リン酸、炭酸水素ナトリウム等、調味料として、食塩等を、必要に応じて用いることができる。
【0018】
また、コーヒー抽出液は、通常弱酸性を呈しているため、これに乳成分を加え、加熱殺菌すると乳蛋白質の沈殿や脂肪の分離などが見られる。このような殺菌処理における乳成分による沈澱や脂肪の分離を防ぐため、加熱の前に炭酸水素ナトリウムなどのpH調整剤を添加して中性としてから乳成分を加え、加熱殺菌するのが一般的な方法である。しかし、乳成分の安定剤としてのpH調整剤の添加により、乳成分及びコーヒーの本来の風味が損なわれことがあるので、乳成分とコーヒー原料を分けて殺菌し、しかる後混合する製造方法も採用できる。
甘味料及びその他の成分は、乳成分と共に混合し、乳成分の殺菌方法に従って、殺菌することが可能であるが、乳成分との反応を防止し、乳成分の本来の風味を維持するためには、別途殺菌し、のち無菌的に混合することが望ましい。
【0019】
本発明の乳飲料に添加されるシスチン類としては、L−シスチン及びL−システィンが挙げられるが、L−シスチンは、調味料などにも使用され食品添加物にも指定されているため奨用される。
また、L−シスチンは乳成分への均一分散性の観点から、微粒子状のものが好ましい。
シスチン類の添加量は、乳飲料全体に対して0.0005〜0.004質量%が好ましい。0.0005質量%未満では、乳成分の劣化防止効果が不充分であり、0.004質量%を超えると、硫黄臭などの問題が発生する。
【実施例】
【0020】
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明する。なお、以下の記載において、%は質量%を表す。
【0021】
実施例1〜4、比較例1〜3
ココア乳飲料の系でシスチンの添加効果の有無の確認を目的として、表1に示す配合比率でのココア乳飲料を調製した。使用した原料は以下の通りである。
・ココアパウダー:脂肪分23%、森永製菓社製品
・牛乳:森永乳業社製品(乳固形分13%)
・安定剤:セルロース製剤、三栄源社製品
・シスチン:L−シスチン、協和発酵社製品
表1の配合組成において、シスチン以外の原料(ココア乳飲料7kg分)に80℃に温めた湯を加えて、4.9kgとなるように混合し、これを7等分した後、表1に示した濃度(質量%)となるようにシスチン粉末を添加した。シスチン添加後、TKミキサーで5分攪拌し、湯を加えて1kgに重量調整後、200ccの缶に充填し、巻き閉めて密封し、121℃で50分間の加熱殺菌を行い、室温まで冷却して缶入りのココア乳飲料を調製した。
【0022】
【表1】

【0023】
室温で4日間静置後、室温及び60℃に加温して、乳飲料嗜好度の高い5名のパネラーにより官能検査を実施した。また、加熱による品質劣化の有無を確認するために60℃の恒温機で3日間保存したものについても評価を実施した。なお、官能評価については5段階評価とし、対照品を3点とし、これと比較して顕著に乳風味が向上したものを5点、対照品と同程度の乳風味のものを3点、対照品と比較して顕著に乳風味が劣化したものや異風味が感じられたものを1点とし、パネラー5名の平均点で判定した。評価結果を表2に示す。
【0024】
【表2】

【0025】
表2に示すように、乳飲料全体に対してシスチン濃度が0.0005〜0.004質量%の実施例1〜4では、乳風味が増し、飲み口が軽くなる、まろやかになる、香ばしさを感じるなどの好結果が得られた。シスチン濃度が0.0002質量%の比較例2では、乳風味が無添加の比較例1と変わらず、0.006質量%の比較例3では、硫化水素のような硫黄臭があり、乳飲料として不適であった。
【0026】
実施例5〜8、比較例4〜6
コーヒー乳飲料の系でシスチンの添加効果の有無の確認を目的として、表3に示す配合比率でのコーヒー乳飲料を調製した。使用した原料は以下の通りである。
・コーヒーエキス:UCC社製品
・牛乳:森永乳業社製品(乳固形分13%)
表3の配合組成において、シスチン以外の原料(コーヒー乳飲料4.2kg分)に80℃に温めた湯を加えて、2.8kgとなるように混合し、これを7等分した後、表3に示した濃度(質量%)となるようにシスチン粉末を添加した。シスチン添加後、TKミキサーで5分攪拌し、湯を加えて1kgに重量調整後、200ccの缶に充填し、巻き閉めて密封し、121℃で30分間の加熱殺菌を行い、室温まで冷却して缶入りのコーヒー乳飲料を調製した。
【0027】
【表3】

【0028】
室温で4日間静置後、室温及び60℃に加温して、乳飲料嗜好度の高い5名のパネラーにより上記と同様の官能検査を実施した。評価結果を表4に示す。
【0029】
【表4】

【0030】
表4に示すように、シスチン濃度が0.0005〜0.004質量%(牛乳に対しては、0.0021〜0.017質量%)の実施例5〜8では、乳風味が向上し、特に実施例6及び7では、乳を足したかのように顕著に乳風味が向上している。シスチン濃度が0.0002質量%の比較例5では、乳風味が無添加の比較例4と変わらず、0.006質量%の比較例6では、硫化水素のような硫黄臭があり、コーヒー乳飲料として不適であった。
【0031】
実施例9、10及び比較例7、8
乳成分として牛乳以外の乳原料(脱脂粉乳・全脂粉乳・生クリーム)を使用した場合のシスチン添加効果の有無を確認することを目的として、表5に示す配合比率でのココア乳飲料を調製した。なお、全ての試験区について乳飲料中の乳固形分濃度が2.99質量%となるように乳原料を添加した。使用した原料は以下の通りである。
・ココアパウダー:脂肪分23%、森永製菓社製品
・全脂粉乳:森永乳業社製品
・脱脂粉乳:森永乳業社製品
・生クリーム:森永乳業社製品
・安定剤:セルロース製剤、三栄源社製品
表5に示すシスチン以外の原料(ココア乳飲料2kg分)に80℃に温めた湯を加えて各配合で1.2kgとなるように混合し、2等分した後、全脂粉乳を乳成分とする実施例9及び脱脂粉乳と生クリームを乳成分とする実施例10において、対ココア乳飲料で0.002質量%となるようにシスチン粉末を添加した。シスチン添加後、TKミキサーで5分攪拌し、湯を加えて各1kgに重量調整後、200ccの缶に充填し、巻き閉めて密封し、121℃で50分間の加熱殺菌を行い、室温まで冷却して缶入りのココア飲料を調製した。シスチンを添加しないものについても同様にしてココア飲料を調製した。
【0032】
【表5】

【0033】
室温で4日間静置後、室温及び60℃に加温して、乳飲料嗜好度の高い5名のパネラーにより上記と同様の官能検査を実施した。評価結果を表6に示す。
【0034】
【表6】

【0035】
表6に示すように、乳成分として牛乳(生乳)の代わりに全脂粉乳を使用した場合及び脱脂粉乳及び生クリームを使用した場合においても、シスチン濃度0.002質量%(実施例9及び実施例10)で乳風味が向上し、ココアの深みが増して本格感が付与される効果が認められた。
以上の官能検査より、本発明の乳飲料は、L−シスチンを0.0005〜0.004質量%含有することによって、高温殺菌や、加温保存による品質劣化がなく、乳風味が向上することが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明によれば、乳飲料に対してシスチン類を0.0005〜0.004質量%添加することで、高温殺菌や、自動販売機、ホットベンダー等の加温販売において、これらの経熱、加熱保存によって乳蛋白が劣化し乳風味が低下することがなく、劣化臭の発生や乳蛋白の沈殿、脂肪分の分離等の問題が生じない乳飲料を提供できる。また、同一乳濃度でシスチン類を含まない乳飲料と比較して、より乳風味の豊かな乳飲料を低価格で提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳成分と香味成分を含む乳飲料において、シスチン類を0.0005〜0.004質量%含有することを特徴とする乳飲料。
【請求項2】
香味成分がココア、コーヒー、及び紅茶から選ばれる一種又は2種以上である請求項1記載の乳飲料。
【請求項3】
シスチン類がL−シスチンである請求項1又は2に記載の乳飲料。

【公開番号】特開2009−55802(P2009−55802A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−223945(P2007−223945)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(000006116)森永製菓株式会社 (130)
【Fターム(参考)】